説明

スピロシクロピペラジン類の第四級アンモニウム塩化合物、その製造方法および使用

一般式(I)により表わされる化合物、それらの立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、医薬的に許容できる塩類、およびそれらの製造方法または鎮痛薬の調製のための使用。式中:Rは、H、置換もしくは非置換フェニル、または置換もしくは非置換ヘテロアリールから選択され;Aは、結合、または飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝鎖炭化水素基であり;R、Rは、それぞれ独立して水素またはメチルであり、スピロシクロ構造のいずれかの位置に結合しており;nおよびmは、それぞれ独立して0〜2の整数であり、mとnが同時にゼロであることはなく;BおよびDは、それぞれ独立してC−C直鎖または分枝鎖アルキレンであり;Yは、−CHR−、O、S、−S(O)−、−SO−、−NR−、および置換または非置換フェニレンから選択され、ここでRはH、C−C飽和もしくは不飽和アルキル、メチルまたはエチルを表わし、これらは置換または非置換アリールまたはヘテロアリールで置換されており;Xは、医薬的に許容できる有機または無機アニオンである。これらの化合物は、ムスカリン受容体(M−受容体)および/またはニコチン性アセチルコリン受容体(N−受容体)のアゴニストまたはアンタゴニストとして使用できる。これらの化合物は良好な鎮痛作用をもち、耽溺性などの副作用をもたない。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、ムスカリン受容体(M−受容体)アゴニストもしくはアンタゴニストおよび/またはニコチン性アセチルコリン受容体(N−受容体)アゴニストもしくはアンタゴニストに関する。特に、本発明は鎮痛活性をもつスピロシクロピペラジン類の第四級アンモニウム塩化合物、それらの製造方法および使用に関する。
【0002】
背景技術
臨床において一般的な疾患である疼痛は3タイプに分けられる:身体痛、炎症痛および神経痛。現在、臨床的に用いられている鎮痛薬には主に2つのカテゴリー、すなわち非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)およびアヘン製剤が含まれる。
【0003】
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は、急性および慢性の疼痛を治療するために広く用いられている。それらはアヘン製剤の佐剤としても使用できる。一般に用いられている非ステロイド系抗炎症薬には、アスピリン、イブプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、ケトドラックおよびアセトアミノフェンが含まれる。残念ながらNSAIDは消化管刺激および潰瘍など、ある種の副作用を示す。
【0004】
臨床において、非ステロイド系抗炎症薬が疼痛を完全には鎮静できない場合、それらをアヘン製剤と併用する。モルヒネおよびコデインなどの慣用されるアヘン製剤は、中等度ないし重度の疼痛を治療することができる。アヘン製剤は有効な鎮痛作用をもつが、耽溺性、耐薬性および呼吸抑制などそれらの重篤な副作用のため、それらの臨床適用は厳格に規制されている。
【0005】
最近、本発明者らは中国特許出願CN01142111.8に式I〜IVにより表わされるピペラジン類の第四級アンモニウム塩化合物を開示した;これらは、有効な鎮痛作用をもち、NSAIDまたはアヘン製剤のような副作用をもたない新規化合物である。それらの構造を下記に示す:
【0006】
【化1】

【0007】
前記の特許出願に基づき、本発明において本発明者らは、良好な鎮痛機能をもち、耽溺性のない、スピロシクロ構造をもつ一連の新規なピペラジン類の第四級アンモニウム塩化合物をさらに見いだした。
【0008】
発明の詳細な記述
本発明の目的は、卓越した鎮痛活性などの副次的作用をもち、耽溺性のない、スピロシクロ構造をもつ一連の新規なピペラジン類の第四級アンモニウム塩を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、前記化合物の製造方法および使用を提供することである。
本発明は、一般式(I)により表わされる下記の化合物:
【0010】
【化2】

【0011】
またはそれらの立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、医薬的に許容できる塩類を提供する:
式中:
は、H、置換もしくは非置換フェニル、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
Aは、結合、または飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝鎖炭化水素基であり;
、Rは、それぞれ独立して水素またはメチルであり、スピロシクロ構造のいずれかの位置に結合しており;
nおよびmは、それぞれ独立して0〜2の整数であり、ただしmとnが同時にゼロであることはなく;
BおよびDは、それぞれ独立してC−C直鎖または分枝鎖アルキレンであり;
Yは、独立して−CHR−、O、S、−S(O)−、−SO−、−NR−、および置換または非置換フェニレンよりなる群から選択され、ここでRはH、C−C飽和もしくは不飽和アルキル、メチルまたはエチルを表わし、これらは置換または非置換アリールまたはヘテロアリールで置換されており;
は、医薬的に許容できる有機または無機アニオンである。
【0012】
本明細書中で用語”置換ヘテロアリール”はN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5員環または6員環、好ましくは1個以上の窒素原子をもつヘテロアリール、たとえばピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリミジニルまたはピリダジニル、より好ましくはピリジルおよびピリダジニルを表わす。
【0013】
本発明化合物において、Rが置換もしくは非置換フェニル、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである場合、用語”置換”はモノ置換またはポリ置換されていること、好ましくはパラ−またはメタ−位で置換されていることを表わす。前記の”置換基”はハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アルキル、アルコキシまたはアルコキシカルボニルよりなる群から選択される。用語”ハロゲン”は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子、好ましくはフッ素、塩素または臭素原子を表わす;用語”アルキル”は飽和炭化水素基を表わす;用語”アルコキシ”は炭素原子が酸素原子で置換されたアルキルを表わす;好ましくは、R基について”アルキル”または”アルコキシ”は、1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルキルまたはアルコキシ、より好ましくは1〜3個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルキルまたはアルコキシ、特に好ましくはメチル、エチル、プロピル、メトキシまたはエトキシを表わす。用語”アルコキシカルボニル”は、合計2〜6個の炭素原子を含む基、好ましくはメトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルを表わす。
【0014】
本発明化合物において、Aが結合、または飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝鎖炭化水素基である場合、用語”炭化水素基”は”鎖状炭化水素基”を表わし、これには直鎖または分枝鎖アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン;好ましくは、直鎖または分枝鎖アルキレンまたはアルケニレン;より好ましくは、1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルキレン、たとえば−CH−、−CHCH−、−CH(CH)−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)CH−および−CHCH(CHCH)CH−、または直鎖部分に1〜3個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルケニレン、たとえば−CH=CH−CH−、−C(CH)=CH−CH−、−CH=CH−CH(CH)−が含まれる。Aは、特に好ましくは結合、エチレンまたは−CH=CH−CH−である。
【0015】
本発明化合物において、Rが置換もしくは非置換換ヘテロアリールである場合、Aは好ましくは結合である。
本発明化合物において、”R−A−”は、好ましくはp−メチルフェニル、p−メトキシフェニル、p−ニトロフェニル、m−ニトロフェニル、p−クロロフェニル、o−メチルフェニル、o−フルオロフェニル、m−フルオロフェニル、m−ヒドロキシフェニル、m−シアノフェニル、m−エトキシカルボニル−フェニル、m−メトキシカルボニル−フェニル、m−アミノフェニル、o−ニトロフェニル、メチルピリジル、ジメチルピリジル、クロロピリジル(たとえば4−クロロ−3−ピリジル−1−イル)、メチルピリダジニルまたはクロロピリダジニル(たとえば4−クロロ−2,3−ピリダジン−1−イル)を表わす。
【0016】
本発明化合物において、基BおよびDはそれぞれ独立してC−C直鎖または分枝鎖アルキレン、好ましくは−CH−、−CHCH−、−CH(CH)−、−CHCHCH−または−CHCH(CH)−である。
【0017】
本発明化合物において、Yは独立して−CHR−、O、S、−S(O)−、−SO−、−NR−、および置換または非置換フェニレンよりなる群から選択され、ここでRはH、C−C飽和もしくは不飽和アルキル、メチルまたはエチルを表わし、これらは置換または非置換アリールまたはヘテロアリールで置換されている;好ましくはRはH、または1〜3個の炭素原子を含む直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、より好ましくはH、メチルまたはエチルを表わす。Yが置換または非置換フェニレン、好ましくはo−フェニレンである場合、置換基は−NO、−Me、−OMe、−CN、−COHおよび−COEtなどよりなる群から選択される。最も好ましくは、Yは−CH−、−CH(CH)−、−O−、−S−、−N(CH)−、−N(Et)−、または非置換フェニレンよりなる群から選択される。好ましくは、mおよびnは両方とも1である。
【0018】
Y基の定義に述べた用語”置換”はモノ−またはポリ−置換を表わし、置換基はRにおいて記載したものと同じ定義をもつ。
本発明化合物において、対イオンとしてのXは、医薬的に許容できるアニオン、特に医薬的に許容できる酸、たとえば無機酸、たとえば塩酸、硫酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、スルホン酸、リン酸など;または有機酸、たとえば酢酸、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、メチルスルホン酸またはトルエンスルホン酸などにより形成されるアニオンから選択される。好ましくは、Xはハロゲンアニオン、特に塩素アニオンまたは臭素アニオンを表わす。
【0019】
好ましくは、本発明化合物は下記よりなる群から選択される:
3−(β−フェニルエチル)−3,6−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
3−メチル−9−(β−フェニルエチル)−3,6,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
3−(β−フェニルエチル)−3,6−ジアザスピロ[5.5]−ベンゾ[8,9]ウンデカンクロライド;
3−メチル−9−ベンジル−3,6,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−β−(p−ニトロフェニル)エチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
3−メチル−9−(β−フェニルエチル)−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−β−(p−メトキシフェニル)エチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−β−(m−フルオロフェニル)エチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−β−(m−ニトロフェニル)エチル−3−チオ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−β−フェニルエチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
8−(4−クロロ−2,3−ピリダジニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンクロライド;
8−(β−フェニルエチル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンクロライド;
3−(β−フェニルエチル)−3,6−ジアザスピロ[5.6]ドデカンクロライド;
9−β−フェニルエチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
8−(p−ニトロフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(m−ニトロフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
3−(p−ニトロフェニル)−3,6−ジアザスピロ[5.6]ドデカンブロマイド;
8−フェニル−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(p−メトキシフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(m−ヒドロキシフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(m−フルオロフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(m−シアノフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(m−エトキシカルボニルフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(4−クロロ−3−ピリジル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(3−ピリジル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(m−アミノフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(m−メトキシカルボニルフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
2,4−ジメチル−9−アリル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−γ−フェニルプロピル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−シンナミル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−(2−ピリジル)−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
8−(m−ニトロフェニル)−7−メチル−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;および
2,4,7−トリメチル−9−β−フェニルエチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド。
【0020】
本発明の他の目的は、本発明化合物の製造方法を提供することである。本発明化合物は化学技術分野の常法により、好ましくは本発明化合物を製造するための下記の方法により製造できる:
方法1:
(1)触媒の存在下に、化合物(A)と化合物(B)を溶媒中で40〜140℃において反応させて化合物(C)を製造する;その際、溶媒はアルコール類、ケトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素、ベンゼン系溶媒、DMSOおよびDMFよりなる群から選択され;触媒は無機塩基または有機塩基である:
【0021】
【化3】

【0022】
(2)得られた生成物(C)を0〜80℃の温度で塩素化して化合物(D)を得る;その際、塩素化に際して使用する溶媒は非プロトン溶媒であり、使用する塩素化剤は塩化チオニル、三塩化リンおよび五塩化リンよりなる群から選択される:
【0023】
【化4】

【0024】
(3)触媒の存在下に、化合物(D)と化合物(E)を溶媒中で40〜140℃において反応させて目的化合物(I)を製造する:
【0025】
【化5】

【0026】
その際、溶媒はアルコール類、ケトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素、ベンゼン系溶媒、DMSOおよびDMFよりなる群から選択され;触媒は無機塩基または有機塩基である。
【0027】
方法1の工程(1)において、使用する溶媒はアルコール類、ケトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素、ベンゼン系溶媒、DMSOおよびDMFよりなる群から選択される。その際、”アルコール類”は、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノールおよびグリコールなどである;”ケトン類”は、たとえばアセトンまたはメチルエチルケトンなどである;”ニトリル類”は、たとえばアセトニトリルなどである;”塩素化炭化水素”は、たとえばクロロホルムまたはジクロロメタンなどである;”ベンゼン系溶媒”は、たとえばベンゼン、トルエンまたはキシレンなどである。溶媒は、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、アセトン、トルエン、ベンゼン、DMSO、DMF、クロロホルムまたはジクロロメタン、より好ましくはエタノールである。
【0028】
方法1の工程(1)において、使用する”触媒”は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などよりなる群から選択される無機塩基、またはトリエチルアミンもしくはイソプロパノールアミンなどよりなる群から選択される有機塩基である。好ましくは、塩基触媒は炭酸ナトリウムである。
【0029】
方法1の工程(1)において、反応温度は好ましくは80℃である。
方法1の工程(2)において、使用する溶媒は非プロトン溶媒、たとえばジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼンまたはトルエンなど、好ましくはクロロホルムであり;塩素化剤は好ましくは塩化チオニルであり;反応温度は好ましくは50℃である。
【0030】
方法1の工程(3)において、使用する溶媒はアルコール類、ケトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素、ベンゼン系溶媒、DMSOおよびDMFよりなる群から選択される。その際、”アルコール類”は、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノールおよびグリコールなどである;”ケトン類”は、たとえばアセトンまたはメチルエチルケトンなどである;”ニトリル類”は、たとえばアセトニトリルなどである;”塩素化炭化水素”は、たとえばクロロホルムまたはジクロロメタンなどである;”ベンゼン系溶媒”は、たとえばベンゼン、トルエンまたはキシレンなどである。溶媒は、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、アセトン、トルエン、ベンゼン、DMSO、DMF、クロロホルム、ジクロロメタンまたはグリコール、より好ましくはエタノールである。
【0031】
方法1の工程(3)において、使用する”触媒”は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などよりなる群から選択される無機塩基、またはトリエチルアミンもしくはイソプロパノールアミンなどよりなる群から選択される有機塩基である。好ましくは、塩基触媒は炭酸水素ナトリウムである。
【0032】
方法1の工程(3)において、反応温度は好ましくは80℃である。
方法2:
本発明は、本発明化合物を製造するための第2方法をも提供する。この方法は下記の工程を含む:
(1)触媒の存在下に、化合物(F):
【0033】
【化6】

【0034】
とR−A−Xの化合物(B)を溶媒中で反応させて中間化合物(G)を製造する;R−A−Xが非芳香族ハロゲン化物である場合、反応温度は40〜140℃であり、溶媒はアルコール類、ケトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素、ベンゼン系溶媒、DMSOおよびDMFよりなる群から選択され、触媒は各種の無機塩基または有機塩基であり;R−A−Xが芳香族ハロゲン化物である場合、反応温度は−20〜140℃であり、溶媒はプロトン溶媒であり、触媒はヨウ化銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)および酸化銅(I)よりなる群から選択され、無機塩基を同時に添加し、無機塩基はリン酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび水酸化ナトリウムよりなる群から選択される:
【0035】
【化7】

【0036】
(2)触媒の存在下に、得られた化合物(G)と化合物(H):
X−B−Y−D−X H
を40〜140℃の温度で溶媒中において反応させて、目的化合物(I)を製造する;その際、溶媒はアルコール類、ケトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素、ベンゼン系溶媒、DMSOおよびDMFよりなる群から選択され;使用する触媒は無機塩基または有機塩基である。
【0037】
方法2の工程(1)において、式(B)の出発物質が非芳香族ハロゲン化物である場合、使用する溶媒はアルコール類、ケトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素、ベンゼン系溶媒、DMSOおよびDMFよりなる群から選択される。その際、”アルコール類”は、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノールおよびグリコールなどである;”ケトン類”は、たとえばアセトンまたはメチルエチルケトンなどである;”ニトリル類”は、たとえばアセトニトリルなどである;”塩素化炭化水素”は、たとえばクロロホルムまたはジクロロメタンなどである;”ベンゼン系溶媒”は、たとえばベンゼン、トルエンまたはキシレンなどである。溶媒は、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、アセトン、トルエン、ベンゼン、DMSO、DMF、クロロホルムまたはジクロロメタン、より好ましくはエタノールである。使用する”触媒”は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などよりなる群から選択される無機塩基、またはトリエチルアミンもしくはイソプロパノールアミンなどよりなる群から選択される有機塩基である。好ましくは、塩基触媒は炭酸ナトリウムである。反応温度は好ましくは約80℃である。
【0038】
方法2の工程(1)において、式(B)の出発物質が芳香族ハロゲン化物である場合、使用する溶媒はプロトン溶媒、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリコールまたはグリセロール、より好ましくはイソプロパノールである。触媒は好ましくはヨウ化銅(I)であり、無機塩基、好ましくはリン酸カリウムを同時に添加する。反応温度は好ましくは約20℃である。
【0039】
方法2の工程(2)において、使用する溶媒はアルコール類、ケトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素、ベンゼン系溶媒、DMSOおよびDMFよりなる群から選択される。その際、”アルコール類”は、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノールおよびグリコールなどである;”ケトン類”は、たとえばアセトンまたはメチルエチルケトンなどである;”ニトリル類”は、たとえばアセトニトリルなどである;”塩素化炭化水素”は、たとえばクロロホルムまたはジクロロメタンなどである;”ベンゼン系溶媒”は、たとえばベンゼン、トルエンまたはキシレンなどである。溶媒は、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、アセトン、トルエン、ベンゼン、DMSO、DMF、クロロホルム、ジクロロメタンまたはグリコール、より好ましくはエタノールである。
【0040】
方法2の工程(2)において、使用する”触媒”は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などよりなる群から選択される無機塩基、またはトリエチルアミンもしくはイソプロパノールアミンなどよりなる群から選択される有機塩基である。好ましくは、塩基触媒は炭酸水素ナトリウムである。
【0041】
方法2の工程(2)において、反応温度は好ましくは80℃である。
方法1および方法2において、R、R、R、A、X、B、Y、D、nおよびmは前記のとおり定義される。
【0042】
方法1および方法2により得られる化合物の精製は、化学技術分野の常法、たとえば再結晶により実施できる。再結晶のための溶媒系は、酢酸エチル−エタノール、アセトン−エタノール、酢酸エチル−メタノール、アセトン−メタノール、アセトン−水、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールなどから選択され、好ましくは酢酸エチル−エタノールである。
【0043】
本発明の他の目的は、有効成分としての一般式(I)の化合物、および場合により医薬的に許容できるキャリヤーを含む、鎮痛用医薬組成物を提供することである。必要であれば、組成物中の有効成分の含量は0.1〜99%であり、残りは医薬的に許容できるキャリヤーである。
【0044】
本発明組成物は、各種の医薬製剤、たとえば経口製剤、注射剤、直腸投与用製剤、局所投与用製剤、たとえば錠剤、丸剤、分散用散剤、カプセル剤、顆粒剤、乳剤、液剤、懸濁液剤、シロップ剤、膣または直腸投与用の固形坐剤、局所投与用のパッチ剤などを得るための医薬分野の常法により調製できる。好ましくは、製剤は注射剤、経口製剤、または経皮局所投与用製剤、より好ましくは対応する徐放性製剤および制御放出製剤である。
【0045】
医薬組成物およびその各種製剤は、医薬分野の常法により調製できる。
適切な製剤を調製するために、必要であれば医薬キャリヤーを添加する。医薬キャリヤーには、各種の医薬助剤、たとえば賦形剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、界面活性剤、湿潤剤、保存剤、着香剤、色素などが含まれる。
【0046】
適切な製剤および用量は、疾患のタイプ、重症度、および患者の状態、たとえば性別、年齢、体重などに従って決定され、通常は成人について1〜200mg/kg(体重)/日、好ましくは1〜50mg/kg(体重)/日である。
【0047】
本発明の第3の目的は、鎮痛薬の製造における一般式(I)で表わされる化合物、またはそれらの立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、医薬的に許容できる塩類の使用を提供することであり、これには実際に適用するために前記物質を医薬製剤に調製する際の使用が含まれる。
【0048】
本発明の第4の目的は、その必要がある患者に療法有効量の一般式(I)で表わされる化合物、またはそれらの立体異性体、互変異性体、プロドラッグおよび医薬的に許容できる塩類を投与することを含む、鎮痛方法を提供することである。
【0049】
一般式(I)の化合物、またはそれらの立体異性体、互変異性体、プロドラッグおよび医薬的に許容できる塩類は、良好な鎮痛活性をもち、耽溺性はない。それは将来、広い用途および利用性をもつであろう。
【0050】
発明を実施するための最良の形態
以下の例は、本発明化合物、その製造方法および使用をさらに説明するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の精神に従った置換または修飾がいずれかも保護の範囲に含まれることは当業者には理解されるであろう。
【0051】
実施例1:3−(β−フェニルエチル)−3,6−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド(LXM−1);
【0052】
【化8】

【0053】
50mlの丸底フラスコに、25mlのエタノールを添加し、次いで0.50gのN,N−ビス(2−クロロエチル)フェニルエチルアミン、0.18gのヘキサヒドロピリジンを添加し、次いで1.50gの粉砕NaHCOを撹拌下で添加した。反応混合物を80℃で6時間、反応が完了するまで還流した。反応生成物を濾過し、NaHCOを除去し、得られた粗生成物を濃縮した。生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、白色フレーク状結晶0.56gを93.5%の収率で得た。融点221〜225℃;
【0054】
【化9】

【0055】
分析:C1727ClN・HOについて計算:理論値:C,65.26%;H,9.34%;N,8.95%;測定値:C,65.60%;H,9.28%;N,8.70%。
【0056】
実施例2:3−メチル−9−(β−フェニルエチル)−3,6,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド(LXM−2);
【0057】
【化10】

【0058】
化合物LXM−2を実施例1に記載した方法と同様な方法により合成した。N,N−ビス(2−クロロエチル)フェニルエチルアミンとN−メチルピペラジンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、0.54gの白色クラスター状結晶を85.8%の収率で得た。融点194℃(分解);
【0059】
【化11】

【0060】
分析:C1728ClN・3HOについて計算:理論値:C,61.26%;H,9.25%;N,12.61%;測定値:C,61.32%;H,9.11%;N,12.52%。
【0061】
実施例3:3−(β−フェニルエチル)−3,6−ジアザスピロ[5.5]−ベンゾ[8,9]ウンデカンクロライド(LXM−3);
【0062】
【化12】

【0063】
化合物LXM−3を実施例1に記載した方法と同様な方法により合成した。N,N−ビス(2−クロロエチル)フェニルエチルアミンとテトラヒドロイソキノリンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、0.57gの白色粉末を81.9%の収率で得た。融点202〜204℃;
【0064】
【化13】

【0065】
分析:C2127ClN・9HOについて計算:理論値:C,66.88%;H,8.23%;N,7.43%;測定値:C,67.00%;H,7.64%;N,7.30%。
【0066】
実施例4:3−メチル−9−ベンジル−3,6,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド(LXM−4);
【0067】
【化14】

【0068】
化合物LXM−4を実施例1に記載した方法と同様な方法により合成した。N,N−ビス(2−クロロエチル)ベンジルエチルアミンとN−メチルピペラジンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、0.15gの白色粉末を51.6%の収率で得た。融点180℃(分解)。
【0069】
【化15】

【0070】
実施例5:2,4−ジメチル−9−β−(p−ニトロフェニル)エチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド(LXM−5);
【0071】
【化16】

【0072】
化合物LXM−5を実施例1に記載した方法と同様な方法により合成した。N,N−ビス(2−クロロエチル)−p−ニトロフェニルエチルアミンと2,6−ジメチルモルホリンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、0.44gの黄褐色粉末状結晶を得た。融点288〜294℃;
【0073】
【化17】

【0074】
分析:C1828ClNについて計算:理論値:C,58.45%;H,7.63%;N,11.36%;測定値:C,58.75%;H,7.67%;N,11.31%。
【0075】
実施例6:3−メチル−9−(β−フェニルエチル)−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド(LXM−6);
【0076】
【化18】

【0077】
化合物LXM−6を実施例1に記載した方法と同様な方法により合成した。N,N−ビス(2−クロロエチル)フェニルエチルアミンと4−メチルヘキサヒドロピリジンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、0.53gの白色粉末を84.5%の収率で得た。融点230℃(分解);
【0078】
【化19】

【0079】
分析:C1829ClN・HOについて計算:理論値:C,66.13%;H,9.56%;N,8.57%;測定値:C,66.12%;H,9.40%;N,8.58%。
【0080】
実施例7:2,4−ジメチル−9−β−(p−メトキシフェニル)エチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド(LXM−7);
【0081】
【化20】

【0082】
化合物LXM−7を実施例1に記載した方法と同様な方法により合成した。N,N−ビス(2−クロロエチル)−p−メトキシフェニルエチルアミンと2,6−ジメチルモルホリンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して目的生成物を得た。MS−FAB(M+1):355.21。分析:C1931ClN・0.5HOについて計算:理論値:C,62.71%;H,8.86%;N,7.70%;測定値:C,62.68%;H,8.98%;N,7.38%。
【0083】
実施例8:2,4−ジメチル−9−β−(m−フルオロフェニル)エチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド(LXM−8);
【0084】
【化21】

【0085】
化合物LXM−8を実施例1に記載した方法と同様な方法により合成した。N,N−ビス(2−クロロエチル)−m−フルオロフェニルエチルアミンと2,6−ジメチルモルホリンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して目的生成物を得た。MS−FAB(M+1):344.19。分析:C1828ClFNOについて計算:理論値:C,63.05%;H,8.23%;N,8.17%;測定値:C,63.10%;H,8.12%;N,8.05%。
【0086】
実施例9:2,4−ジメチル−9−β−(m−ニトロフェニル)エチル−3−チオ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド(LXM−9);
【0087】
【化22】

【0088】
化合物LXM−9を実施例1に記載した方法と同様な方法により合成した。N,N−ビス(2−クロロエチル)−m−ニトロフェニルエチルアミンと2,6−ジメチル−チオモルホリンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して目的生成物を得た。MS−FAB(M+1):387.16。分析:C1828ClNSについて計算:理論値:C,56.02%;H,7.31%;N,10.89%;測定値:C,56.20%;H,7.12%;N,11.05%。
【0089】
実施例10:2,4−ジメチル−9−β−フェニルエチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド(LXM−10);
【0090】
【化23】

【0091】
化合物LXM−10を実施例1に記載した方法と同様な方法により合成した。N,N−ビス(2−クロロエチル)−フェニルエチルアミンと2,6−ジメチルモルホリンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、0.83gの白色粉末を83.8%の収率で得た。融点220℃(分解);
【0092】
【化24】

【0093】
分析:C1829ClNO・1.1HOについて計算:理論値:C,62.72%;H,9.12%;N,8.13%;測定値:C,62.50%;H,9.12%;N,8.05%。
【0094】
実施例11:8−(4−クロロ−2,3−ピリダジニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンクロライド(LXM−11);
【0095】
【化25】

【0096】
化合物LXM−11を実施例15に記載した方法と同様な方法により合成した。3,6−ジクロロピリダジンをピペラジンと反応させると中間体が得られ、次いでこの中間体と1,4−ジブロモブタンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、1.60gの白色粉末を95.6%の収率で得た。融点220℃。
【0097】
【化26】

【0098】
実施例12:8−(β−フェニルエチル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンクロライド(LXM−12);
【0099】
【化27】

【0100】
化合物LXM−12を実施例1に記載した方法と同様な方法により合成した。N,N−ビス(2−クロロエチル)−フェニルエチルアミンとテトラヒドロピロールを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、0.71gの白色粉末を83.1%の収率で得た。融点220℃(分解)。
【0101】
【化28】

【0102】
実施例13:3−(β−フェニルエチル)−3,6−ジアザスピロ[5.6]ドデカンクロライド(LXM−13);
【0103】
【化29】

【0104】
化合物LXM−13を実施例1に記載した方法と同様な方法により合成した。N,N−ビス(2−クロロエチル)−フェニルエチルアミンとアザ−シクロヘプタンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、0.79gの白色粉末を84.0%の収率で得た。融点220℃(分解);
【0105】
【化30】

【0106】
分析:C1829ClN・0.5HOについて計算:理論値:C,68.01%;H,9.51%;N,8.81%;測定値:C,67.97%;H,9.70%;N,8.73%。
【0107】
実施例14:9−β−フェニルエチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド(LXM−14);
【0108】
【化31】

【0109】
化合物LXM−14を実施例1に記載した方法と同様な方法により合成した。N,N−ビス(2−クロロエチル)−フェニルエチルアミンとモルホリンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、0.75gの白色粉末を83.1%の収率で得た。融点220℃(分解);
【0110】
【化32】

【0111】
分析:C1625ClNO・0.5HOについて計算:理論値:C,62.83%;H,8.57%;N,9.16%;測定値:C,62.89%;H,8.51%;N,9.18%。
【0112】
実施例15:8−(p−ニトロフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド(LXM−15);
【0113】
【化33】

【0114】
8.10gのp−ニトロ−ブロモベンゼンを、50mlのイソプロパノールを入れた250mlの丸底フラスコに添加し、次いで7.00gの無水ピペラジンを添加した。15.00gの無水KPOおよび4mlのグリコールを添加し、次いで2.00gのCuIを触媒として窒素雰囲気下で添加した(窒素雰囲気の非存在下で小規模反応を実施した結果は、収率が低いことを示した;CuIが酸化されたためと思われる)。反応混合物を窒素雰囲気下で2日間還流した。粗生成物を濾過し、濃縮した。濃縮物をクロロホルム/水で抽出した。クロロホルム抽出液を無水NaSOで乾燥させた。生成物のより高い極性と出発物質のより低い極性に基づいて、抽出液をカラム−クロマトグラフィーにより異なる比率の石油エーテル:酢酸エチル:エタノールの勾配溶離で精製し、溶出液を濃縮してN−4−ニトロ−フェニルピペラジンを黄色固体として得た(4.10g,49.4%の収率)。融点:126〜128℃(文献:130〜132℃)
0.81gのN−4−ニトロ−フェニルピペラジンおよび0.88gの1,4−ジブロモブタンを、25mlのエタノールを入れた50mlの丸底フラスコに添加し、3.00gの無水NaHCOを摩砕して撹拌しながら添加した。反応混合物を80℃で6時間、反応が完了するまで還流した。粗生成物を濾過し、NaHCOを除去し、濃縮した。濾液を酢酸エチルで洗浄すると、粗生成物1.14gが85.2%の収率で得られた。この生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、白色粉末を得た。融点278〜280℃;
【0115】
【化34】

【0116】
分析:C1420BrN・0.1HOについて計算:理論値:C,48.88%;H,5.92%;N,12.21%;測定値:C,48.73%;H,6.28%;N,11.94%。
【0117】
実施例16:8−(m−ニトロフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド(LXM−16);
【0118】
【化35】

【0119】
化合物LXM−16を実施例15に記載した方法と同様な方法により合成した。m−ニトロ−ヨードベンゼンをピペラジンと反応させると中間体が得られ、次いでこの中間体と1,4−ジブロモブタンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、0.80gの黄色粉末状結晶を96.6%の収率で得た。融点246〜249℃;
【0120】
【化36】

【0121】
分析:C1420Cl・0.2HOについて計算:理論値:C,48.62%;H,5.95%;N,12.15%;測定値:C,48.42%;H,5.74%;N,11.99%。
【0122】
実施例17:3−(p−ニトロフェニル)−3,6−ジアザスピロ[5.6]ドデカンブロマイド(LXM−17);
【0123】
【化37】

【0124】
化合物LXM−17を実施例15に記載した方法と同様な方法により合成した。p−ニトロ−ヨードベンゼンをピペラジンと反応させると中間体が得られ、次いでこの中間体と1,4−ジブロモヘキサンを反応させた。粗生成物が45%の収率で得られた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、黄色のフレーク状結晶を得た。融点255〜257℃;
【0125】
【化38】

【0126】
分析:C1624BrN・HOについて計算:理論値:C,51.90%;H,6.53%;N,11.35%;測定値:C,51.87%;H,6.68%;N,11.00%。
【0127】
実施例18:8−フェニル−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド(LXM−18);
【0128】
【化39】

【0129】
化合物LXM−18を実施例15に記載した方法と同様な方法により合成した。ヨードベンゼンをピペラジンと反応させると中間体が得られ、次いでこの中間体と1,4−ジブロモブタンを反応させた。1.28gの粗生成物が93.1%の収率で得られた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、白色粉末を得た。融点208〜209℃;
【0130】
【化40】

【0131】
分析:C1421BrN・0.3HOについて計算:理論値:C,55.56%;H,7.19%;N,9.26%;測定値:C,55.55%;H,6.91%;N,9.26%。
【0132】
実施例19:8−(p−メトキシフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド(LXM−19);
【0133】
【化41】

【0134】
化合物LXM−19を実施例15に記載した方法と同様な方法により合成した。p−メトキシ−ヨードベンゼンをピペラジンと反応させると中間体が得られ、次いでこの中間体と1,4−ジブロモブタンを反応させた。1.03gの粗生成物が89.8%の収率で得られた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、桃色のフレーク状結晶を得た。融点201〜203℃;
【0135】
【化42】

【0136】
分析:C1523BrNOについて計算:理論値:C,55.05%;H,7.08%;N,8.56%;測定値:C,55.00%;H,7.07%;N,8.55%。
実施例20:8−(m−ヒドロキシフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド(LXM−20);
【0137】
【化43】

【0138】
化合物LXM−20を実施例15に記載した方法と同様な方法により合成した。m−ヒドロキシ−ヨードベンゼンをピペラジンと反応させると中間体が得られ、次いでこの中間体と1,4−ジブロモブタンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して目的生成物を得た。MS−FAB(M+1):314.08。分析:C1421BrNOについて計算:理論値:C,53.68%;H,6.76%;N,8.94%;測定値:C,53.80%;H,6.87%;N,8.75%。
【0139】
実施例21:8−(m−フルオロフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド(LXM−21);
【0140】
【化44】

【0141】
化合物LXM−21を実施例15に記載した方法と同様な方法により合成した。m−フルオロ−ヨードベンゼンをピペラジンと反応させると中間体が得られ、次いでこの中間体と1,4−ジブロモブタンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して目的生成物を得た。MS−FAB(M+1):316.08。分析:C1420FNについて計算:理論値:C,53.34%;H,6.40%;N,8.89%;測定値:C,53.40%;H,6.17%;N,8.75%。
【0142】
実施例22:8−(m−シアノフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド(LXM−22);
【0143】
【化45】

【0144】
化合物LXM−22を実施例15に記載した方法と同様な方法により合成した。m−シアノ−ヨードベンゼンをピペラジンと反応させると中間体が得られ、次いでこの中間体と1,4−ジブロモブタンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して目的生成物を得た。MS−FAB(M+1):323.08。分析:C1520BrNについて計算:理論値:C,55.91%;H,6.26%;N,13.04%;測定値:C,56.00%;H,6.47%;N,13.15%。
【0145】
実施例23:8−(m−エトキシカルボニルフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド(LXM−23);
【0146】
【化46】

【0147】
化合物LXM−23を実施例15に記載した方法と同様な方法により合成した。m−エトキシカルボニル−ヨードベンゼンをピペラジンと反応させると中間体が得られ、次いでこの中間体と1,4−ジブロモブタンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して目的生成物を得た。MS−FAB(M+1):370.11。分析:C1725BrNについて計算:理論値:C,55.29%;H,6.82%;N,7.59%;測定値:C,55.40%;H,7.07%;N,7.55%。
【0148】
実施例24:8−(4−クロロ−3−ピリジル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド(LXM−24);
【0149】
【化47】

【0150】
化合物LXM−24を実施例15に記載した方法と同様な方法により合成した。2−クロロ−ヨードピリジンをピペラジンと反応させると中間体が得られ、次いでこの中間体と1,4−ジブロモブタンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して目的生成物を得た。MS−FAB(M+1):333.04。分析:C1319BrClNについて計算:理論値:C,46.94%;H,5.76%;N,12.63%;測定値:C,47.00%;H,5.67%;N,12.55%。
【0151】
実施例25:8−(3−ピリジル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド(LXM−25);
【0152】
【化48】

【0153】
化合物LXM−25を実施例15に記載した方法と同様な方法により合成した。3−ヨードピリジンをピペラジンと反応させると中間体が得られ、次いでこの中間体と1,4−ジブロモブタンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して目的生成物を得た。MS−FAB(M+1):299.08。分析:C1320BrNについて計算:理論値:C,52.36%;H,6.76%;N,14.09%;測定値:C,52.40%;H,6.87%;N,14.05%。
【0154】
実施例26:8−(m−アミノフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド(LXM−26);
【0155】
【化49】

【0156】
化合物LXM−26を実施例15に記載した方法と同様な方法により合成した。m−アミノ−ヨードベンゼンをピペラジンと反応させると中間体が得られ、次いでこの中間体と1,4−ジブロモブタンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して目的生成物を得た。MS−FAB(M+1):313.10。分析:C1422BrNについて計算:理論値:C,53.85%;H,7.10%;N,13.46%;測定値:C,54.00%;H,7.07%;N,13.55%。
【0157】
実施例27:8−(m−メトキシカルボニルフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド(LXM−27);
【0158】
【化50】

【0159】
化合物LXM−27を実施例15に記載した方法と同様な方法により合成した。m−アセトキシ−ヨードベンゼンをピペラジンと反応させると中間体が得られ、次いでこの中間体と1,4−ジブロモブタンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して目的生成物を得た。MS−FAB(M+1):356.09。分析:C1623BrNについて計算:理論値:C,54.09%;H,6.53%;N,7.89%;測定値:C,54.00%;H,6.57%;N,7.65%。
【0160】
実施例28:2,4−ジメチル−9−アリル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド(LXM−28);
【0161】
【化51】

【0162】
この化合物を実施例1に記載した方法と同様な方法により合成した。N,N−ビス(2−クロロエチル)アリルアミンと2,6−ジメチルモルホリンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、1.34gの白色粉末を43.8%の収率で得た。融点236℃(分解);
【0163】
【化52】

【0164】
分析:C1325ClNOについて計算:理論値:C,59.87%;H,9.66%;N,10.74%;測定値:C,59.62%;H,9.61%;N,10.60%。
【0165】
実施例29:2,4−ジメチル−9−γ−フェニルプロピル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド(LXM−29);
【0166】
【化53】

【0167】
実施例1に記載した方法と同様に、この化合物を試薬N,N−ビス(2−クロロエチル)−フェニルプロピルアミンおよび2,6−ジメチルモルホリンから同様にして合成した。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、0.20gの白色粉末を38%の収率で製造した。融点220℃(分解);
【0168】
【化54】

【0169】
分析:C1931ClNOについて計算:理論値:C,67.33%;H,9.22%;N,8.27%;測定値:C,67.29%;H,9.12%;N,8.11%。
実施例30:2,4−ジメチル−9−シンナメニル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド(LXM−30);
【0170】
【化55】

【0171】
実施例1に記載した方法と同様に、化合物LXM−30を試薬N,N−ビス(2−クロロエチル)シンナメニルアミンおよび2,6−ジメチルモルホリンから同様にして合成した。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、0.59gの白色粉末を製造した。融点266〜268℃;
【0172】
【化56】

【0173】
分析:C1929ClNO・0.4HOについて計算:理論値:C,66.32%;H,8.73%;N,8.14%;測定値:C,66.57%;H,8.90%;N,7.70%。
【0174】
実施例31:2,4−ジメチル−9−(2−ピリジル)−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド(LXM−31);
【0175】
【化57】

【0176】
化合物LXM−31を実施例1に記載した方法と同様な方法により合成した。N,N−ビス(2−クロロエチル)−2−ピリジニルエタミンと2,6−ジメチルモルホリンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して、0.31gの桃色粉末を得た。融点247℃;
【0177】
【化58】

【0178】
分析:C1728ClNOについて計算:理論値:C,62.66%;H,8.66%;N,12.89%;測定値:C,62.38%;H,8.63%;N,12.68%。
【0179】
実施例32:8−(m−ニトロフェニル)−7−メチル−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド(LXM−32);
【0180】
【化59】

【0181】
化合物LXM−32を実施例15に記載した方法と同様な方法により合成した。3−ヨード−ニトロベンゼンを2−メチル−ピペラジンと反応させると中間体が得られ、次いでこの中間体と1,4−ジブロモブタンを反応させた。粗生成物をエタノール/酢酸エチルで再結晶して目的生成物を得た。MS−FAB(M+1):357.3。分析:C1522BrNについて計算:理論値:C,50.57%;H,6.22%;N,11.79%;測定値:C,50.40%;H,6.37%;N,12.05%。
【0182】
実施例33:2,4,7−トリメチル−9−β−フェニルエチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド(LXM−33);
【0183】
【化60】

【0184】
化合物LXM−33を実施例10に記載した方法と同様な方法により合成した。MS−FAB(M+1):340.1。分析:C1931ClNOについて計算:理論値:C,67.33%;H,9.22%;N,8.27%;測定値:C,67.40%;H,9.37%;N,8.05%。
【0185】
実施例34:カプセル剤の調製
10mgの化合物LXM−10を粉砕して粉末にし、それらを硬カプセルに入れてカプセル剤を調製した。
【0186】
実施例35:カプセル剤の調製
【0187】
【表1】

【0188】
化合物LXM−10、乳糖、プレゲル化デンプン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムそれぞれを標準65メッシュふるいでふるい分け、次いでそれらを保存した。前記物質をランクインクリースバイディグリー法(rank−increase by degree method)に従って他の助剤と均一に混合し、65メッシュふるいで3回ふるい分け、No.3のカプセルに入れた。
【0189】
以下の例は医薬実験に関する。windows用SPSS 13.0を用いて結果を平均±S.E.M.で示した。腹部収縮試験およびホルマリン試験または繰り返し測定値についてデータを一元ANOVAにより分析し、ホットプレート試験およびテイルスイング(尾の振り、tail−swing)試験に続く最小有意差検定についてANOVAにより分析した。統計的有意性はP<値0.05により示された。
【0190】
実施例36:本発明化合物の鎮痛薬スクリーニング試験
下記の試験による本発明の代表的化合物の鎮痛活性に関する評価
1.実験法(酢酸誘発苦悶試験)
雌雄半分ずつのKunmingマウスをランダムに各グループ8匹のグループに分けた。下記のグループを定めた:生理食塩水(NS)対照グループ:生理食塩水を皮下注射(s.c.)により投与した;試験グループ:本発明のピペラジン類の第四級アンモニウム塩化合物31.0umol/kgを皮下注射により投与した。すべての薬物を使用前に生理食塩水に溶解した。薬物を0.1ml/10gの用量で注射した。30分後、0.2mlの0.6%酢酸を各マウスに腹腔内注射した。2〜3分後、苦悶(writhing)反応、たとえば腹部収縮、身体や後足の伸張、および腰の持上げなどが起きた。酢酸注射の5分後、苦悶回数を10分間計数した。次式(1)により阻害率%を判定した。
【0191】
阻害率%=[(対照グループの苦悶回数−薬物注射グループの苦悶回数)/対照グループの苦悶回数]×100% (1)
2.実験結果
代表的なスピロシクロモノピペラジン類の第四級アンモニウム塩が酢酸により誘発された疼痛に及ぼす鎮痛活性を表1に示した。
【0192】
【表2】

【0193】
実施例37:LXM−10の医薬実験
化合物LXM−10を被験物質として用いて、さらにそれらの鎮痛活性および本発明化合物の機序を多重実験法により調べた。結果を以下に示す:
(I)ホットプレート試験
1.実験法
ホットプレートの温度を55℃に調整した。後足のリッキング(舐め、licking)および跳躍(jumping)を観察指標とし、動物をホットプレートに乗せた時点から前記反応が観察されるまでの時間を不応時間として記録した。不応時間を3回測定し、それらの平均値をベースライン不応(BL)の基礎閾値として計算した。不応時間が4秒未満または10秒を越えるマウスを試験から除いた。残りのマウスを各グループ10匹の8グループに分けた。下記のグループを定めた:生理食塩水対照グループ(NS):生理食塩水を投与した(s.c.);モルヒネ対照グループ(Mor):モルヒネを10.0mg/kgの用量で投与した(s.c.);および化合物LXM−10グループ:化合物LXM−10を0.75、1.5、3.0、6.0、12.0および24.0mg/kgの用量で投与した(s.c.)。すべての薬物を使用前に生理食塩水に溶解した。薬物を0.1ml/10gの用量で注射した。LXM−10の投与後、1.0、1.5、2.0および3.0時間目に不応時間を測定した。皮膚の熱傷を避けるために、カットオフ時間を30秒に設定した。次式(2)により疼痛閾値上昇率%(PTE%)を判定した。
【0194】
PTE%=[(薬物注射グループの不応時間−対応する時点の対照グループの不応時間)/対応する時点の対照グループの不応時間]×100% (2)
LXM−10がこの基準で鎮痛薬として有効であったかどうかの判定:この化合物のピーク時点で化合物LXM−10の各グループの不応時間が対応する時点の生理食塩水対照グループの不応時間より大きかった;標準偏差のプラス3倍。各グループの有効率%を計算し、データを換算し、次いで式(3)および(4)に従い、計算のための一般法を用いて鎮痛薬のED50および95%信頼区間を計算した。
【0195】
【化61】

【0196】
式中:Xmは最大用量の対数値を表わし、iはグループ区間を表わし、ΣPは各グループの有効率の和を表わし、ΣPは各グループの有効率の二乗の和を表わし、nは実験グループ数を表わす。
【0197】
2.実験結果
実験結果を図1に示す。生理食塩水対照グループとの比較によりP<0.05、**P<0.01を記録した。LXM−10の作用開始時間は1.0時間目であり、2.0時間目にピークに達し、3.0時間目まで持続した。疼痛閾値上昇率%は、2.0時間目にそれぞれ1.5、3.0、6.0および12.0mg/kgで47.5%、54.8%、79.2%および126.8%であり、ある程度の用量−効果関係を示した。ED50値は3.2mg/kg、95%信頼区間(1.8〜5.4)mg/kgである。
【0198】
(II)酢酸誘発苦悶試験
1.実験法
この実験は実施例36の実験に従って実施された。
【0199】
2.実験結果
実験結果を図2に示した。生理食塩水対照グループとの比較によりP<0.05、**P<0.01を記録した。図2に示すように、疼痛阻害率は%皮下投与後、0.5時間目に1.5、3.0、6.0および12.0mg/kgで63.4%、78.8%、79.2%および55.6%であり、ある程度の用量−効果関係を示した。
【0200】
(III)ホルマリン試験
1.実験法
雌雄半分ずつ60匹のICRマウスをランダムに各グループ10匹の6グループに分けた。下記のグループを定めた:生理食塩水(NS)対照グループ:生理食塩水をs.c.により投与した;アスピリン対照グループ:アスピリンをi.g.により300mg/kgの用量で投与した;モルヒネ対照グループ:モルヒネを10.0mg/kgの用量で投与した(s.c.);ならびに化合物LXM−10グループ:化合物LXM−10を0.75、1.5、3.0および6.0mg/kgの用量で投与した(s.c.)。すべての薬物を使用前に生理食塩水に溶解した。薬物を0.1ml/10gの用量で注射した。投与の30分後、動物に20ulの2.5%ホルマリン溶液を右前足に投与した。直ちに、第1相反応としてリッキング(舐め)時間を0〜5分の間、記録した。20分後、第2相反応としてリッキング(舐め)時間を20〜25分の間、記録した。次式(5)により疼痛阻害率%を判定した。
【0201】
疼痛阻害率%=[(生理食塩水対照グループのリッキング時間−薬物注射グループのリッキング時間)/生理食塩水対照グループのリッキング時間]×100% (5)
2.実験結果
LXM−10がホルマリン誘発疼痛に及ぼす作用を図3に示した。LXM−10(s.c.)投与後、第1相のリッキング時間に対するLXM−10の明らかな作用はみられなかったが、第2相のリッキング時間は有意に短縮された。疼痛阻害率%はそれぞれ67.0%、69.6%および50.0%であり、ある程度の用量−効果関係を示した;
その際、生理食塩水対照グループ/NSグループ/生理食塩水対照グループ間のいずれかのランダム比較によりP<0.05、**P<0.01を記録した。
【0202】
実施例38:本発明化合物の鎮痛活性に関する機序試験
化合物LXM−10を被験物質として用いて前記のホットプレート試験により機序を調べた。
【0203】
1.オピオイド受容体に対するLXM−10の作用
ナロキソン(naloxone)(Nal)がLXM−10の鎮痛活性に及ぼす影響を図4に示した。この結果は、LXM−10の鎮痛作用がナロキソンにより遮断されないことを示した;これは、LXM−10の鎮痛活性がオピオイド受容体とは無関係であることを指摘した。図4において”Vel”は生理食塩水グループを表わす;BLは基礎不応時間を表わす;対応する時点でのNS/NSグループ間の比較により**P<0.01を記録し、対応する時点でのNSグループ/Morグループ間の比較により++P<0.01を記録した。
【0204】
2.ニコチン受容体に対するLXM−10の作用
メカミラミン(mecamylamine)(Mec)およびヘキサメトニウム(hexamethonium)(Hex)がLXM−10の鎮痛活性に及ぼす影響を図5および図6に示した。これらの結果は、LXM−10の鎮痛作用がメカミラミンおよびヘキサメトニウムにより用量依存性で遮断されることを示した;これは、LXM−10の鎮痛活性が末梢ニコチン受容体の拮抗に依存することを指摘した。図5においてBLは基礎不応時間を表わす;Mec(1)、Mec(2)およびMec(3)は3種類の異なる用量(1.0、2.5および5.0mg/kg)の異なる実験結果を表わす。対応する時点でのNS/NSグループ間の比較によりP<0.05、**P<0.01を記録し、対応する時点でのNS/LXM−10グループ間の比較によりP<0.05および++P<0.01を記録した。
【0205】
図6においてBLは基礎不応時間を表わす;Mec(1)、Mec(2)およびMec(3)は3種類の実験用量(1.0、2.5および5.0mg/kg)の異なる実験結果を表わす。対応する時点でのNS/NSグループ間の比較によりP<0.05、**P<0.01を記録し、対応する時点でのNS/LXM−10グループ間の比較によりP<0.05および++P<0.01を記録した。
【0206】
3.ムスカリン受容体に対するLXM−10の作用
アトロピン(Atr)およびメチルアトロピン(Amn)がLXM−10の鎮痛活性に及ぼす影響を図7および図8に示した。これらの結果は、LXM−10の鎮痛作用がアトロピンおよびメチルアトロピンにより用量依存性で遮断されることを示した;これは、LXM−10の鎮痛活性が末梢ムスカリン受容体の拮抗に依存することを指摘した。図7においてBLは基礎不応時間を表わす;Atr(1)、Atr(2)およびAtr(3)は3種類の異なる用量(1.0、2.5および5.0mg/kg)の異なる実験結果を表わす。対応する時点でのNS/NSグループ間の比較によりP<0.05、**P<0.01を記録し、対応する時点でのNS/LXM−10グループ間の比較によりP<0.05および++P<0.01を記録した。。図8においてBLは基礎不応時間を表わす;Amn(1)、Amn(2)およびAmn(3)は3種類の異なる用量(1.0、2.5および5.0mg/kg)の異なる実験結果を表わす。対応する時点でのNS/NSグループ間の比較によりP<0.05、**P<0.01を記録し、対応する時点でのNS/LXM−10グループ間の比較によりP<0.05および++P<0.01を記録した。
【0207】
4.α−アドレナリン受容体に対するLXM−10の作用
ヨヒンビン(yohimbine)(Yoh)がLXM−10の鎮痛活性に及ぼす影響を図9に示した。この結果は、LXM−10の鎮痛作用がヨヒンビンンにより遮断されないことを示した;これは、LXM−10の鎮痛活性がα−アドレナリン受容体とは無関係であることを指摘した。
【0208】
図9においてBLは基礎不応時間を表わす;Yoh(1)、Yoh(2)およびYoh(3)は3種類の異なる用量(1.0、2.5および5.0mg/kg)の異なる実験結果を表わす。対応する時点でのNS/NSグループ間の比較により**P<0.01を記録した。
【0209】
実施例39:LXM−10の毒性および副作用の評価
以下のすべての試験は化合物LXM−10を用いて常法により実施された。
1.化合物LXM−10の耽溺性試験
化合物LXM−10を被験化合物として用いた際に、マウスはそれぞれ6.0、12.0、24.0または445.0mg/kgの用量で尾の立上げ応答(tail−erected response)を示さなかった。マウスは平隠かつ正常である。
【0210】
2.LXM−10に関する急性毒性
化合物LXM−10のLD50値は514.0mg/kg(sc)、95%信頼区間(495.4〜530.8)mg/kgである。
【0211】
3.マウスの運動協調機能に対するLXM−10の作用
表2に示すように、化合物LXM−10はマウスの運動協調機能に有意に作用しなかった。筋弛緩作用がLXM−10の鎮痛作用に及ぼす影響も除外された;
【0212】
【表3】

【0213】
**P<0.01:生理食塩水対照グループ(NS)と比較。
4.マウスの自発運動に対するLXM−10の作用
表3に示すように、化合物LXM−10はマウスの自発運動に有意に作用しなかった;
【0214】
【表4】

【0215】
P<0.05、**P<0.01:生理食塩水対照グループ(NS)と比較。
5.マウスの体温に対するLXM−10の作用
表4に示すように、化合物LXM−10はマウスの体温に有意に作用しなかった;
【0216】
【表5】

【0217】
P<0.05、**P<0.01:生理食塩水対照グループ(NS)と比較。
前記の結果から下記の結論が得られた:
・化合物LXM−10は、化学物質誘発性および熱誘発性の疼痛において、用量依存性および時間依存性で明らかな鎮痛活性を生じた;
・LXM−10の鎮痛活性は、末梢のニコチン受容体およびムスカリン受容体の拮抗に依存していた;
・LXM−10の鎮痛活性は、オピオイド受容体またはα−アドレナリン受容体とは無関係であり、これにより耽溺性またはある種の有害反応が避けられる;
・LXM−10は明らかな毒性および副作用を示さなかった;これは耽溺性をもたず、かつマウスの運動協調、自発運動および体温に有意に作用しなかった;
・LXM−10の機序試験に基づいて本発明者らは、作用部位Fが末梢系に存在し、LXM−10の鎮痛活性を発生させるにはニコチン受容体およびムスカリン受容体の同時拮抗が必要であろうと提唱する。
【0218】
以上の結論から、LXM−10により代表されるスピロシクロモノピペラジン類の第四級アンモニウム塩化合物は確実な鎮痛活性を示すと演繹できる。それらの機序は新規である。これらの化合物は毒性および副作用が低く、耽溺性をもたない。したがって、これらの化合物により耽溺性のない新規な鎮痛薬が開発されると予想できる。
【図面の簡単な説明】
【0219】
【図1】ホットプレート試験におけるLXM−10(皮下)の鎮痛活性。
【図2】酢酸により誘発した苦悶試験におけるLXM−10の鎮痛活性。
【図3】ホルマリン誘発疼痛におけるLXM−10の鎮痛活性。
【図4】LXM−10の鎮痛作用に対するナロキソンの影響。
【図5】ホットプレート試験におけるLXM−10の鎮痛作用に対するメカミラミンの影響。
【図6】ホットプレート試験におけるLXM−10の鎮痛作用に対するヘキサメトニウムの影響。
【図7】ホットプレート試験におけるLXM−10の鎮痛作用に対するアトロピンの影響。
【図8】ホットプレート試験におけるLXM−10の鎮痛作用に対するアトロピンメチルナイトレートの影響。
【図9】ホットプレート試験におけるLXM−10の抗侵害受容作用に対するヨヒンビンの影響。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)により表わされる化合物:
【化1】

またはそれらの立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、医薬的に許容できる塩類
[式中:
は、H、置換もしくは非置換フェニル、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
Aは、結合、または飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝鎖炭化水素基であり;
、Rは、それぞれ独立して水素、またはメチルであり、スピロシクロ構造のいずれかの位置に結合しており;
nおよびmは、それぞれ独立して0〜2の整数であり、ただしmとnが同時にゼロであることはなく;
BおよびDは、それぞれ独立してC−C直鎖または分枝鎖アルキレンであり;
Yは、独立して−CHR−、O、S、−S(O)−、−SO−、−NR−、および置換または非置換フェニレンよりなる群から選択され、ここでRはH、C−C飽和もしくは不飽和アルキル、置換または非置換のアリールまたはヘテロアリールで置換されたメチルまたはエチルを表わし;
は、医薬的に許容できる有機または無機アニオンである]。
【請求項2】
は、置換もしくは非置換フェニルまたは置換ヘテロアリールであり、1個以上の置換基を含み;置換基はハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アルキル、アルコキシおよびアルコキシカルボニルよりなる群から選択され;その際、アルキルまたはアルコキシは1〜6個の炭素原子を含む直鎖基または分枝鎖基であり、アルコキシカルボニルは合計2〜6個の炭素原子を含む基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は、置換もしくは非置換換ヘテロアリールであり、ヘテロアリールはN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5員環または6員環、好ましくはピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリミジニルまたはピリダジニル、より好ましくはピリジルまたはピリダジニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
AはC−C飽和直鎖アルキレン、または直鎖部分に3個の炭素原子を含む分枝鎖もしくは直鎖アルキレンであり;Rが置換もしくは非置換換ヘテロアリールである場合、Aは結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
−A−基は、p−メチルフェニル、p−メトキシフェニル、p−ニトロフェニル、m−ニトロフェニル、p−クロロフェニル、o−メチルフェニル、o−フルオロフェニル、m−フルオロフェニル、m−ヒドロキシフェニル、m−シアノフェニル、m−エトキシカルボニル−フェニル、m−メトキシカルボニル−フェニル、m−アミノフェニル、o−ニトロフェニル、メチルピリジル、ジメチルピリジル、クロロピリジル、メチルピリダジニルまたはクロロピリダジニルである、請求項2〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
mおよびnは両方とも1であり;BおよびDは、それぞれ独立して−CH−、−(CH−、−(CH−、−CH(CH)−、−CHCHCH−および−CHCH(CH)−よりなる群から選択され;Yは、−CH−、−CH(CH)−、−O−、−S−、−N(CH)−、−N(Et)−、および非置換o−フェニレンよりなる群から選択され;Xはハライドアニオン、好ましくはクロライドアニオンまたはブロマイドアニオンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
化合物が下記のものである、請求項1に記載の化合物:
3−(β−フェニルエチル)−3,6−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
3−メチル−9−(β−フェニルエチル)−3,6,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
3−(β−フェニルエチル)−3,6−ジアザスピロ[5.5]−ベンゾ[8,9]ウンデカンクロライド;
3−メチル−9−ベンジル−3,6,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−β−(p−ニトロフェニル)エチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
3−メチル−9−(β−フェニルエチル)−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−β−(p−メトキシフェニル)エチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−β−(m−フルオロフェニル)エチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−β−(m−ニトロフェニル)エチル−3−チオ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−β−フェニルエチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
8−(4−クロロ−2,3−ピリダジニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンクロライド;
8−(β−フェニルエチル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンクロライド;
3−(β−フェニルエチル)−3,6−ジアザスピロ[5.6]ドデカンクロライド;
9−β−フェニルエチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
8−(p−ニトロフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(m−ニトロフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
3−(p−ニトロフェニル)−3,6−ジアザスピロ[5.6]ドデカンブロマイド;
8−フェニル−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(p−メトキシフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(m−ヒドロキシフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(m−フルオロフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(m−シアノフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(m−エトキシカルボニルフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(4−クロロ−3−ピリジル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(3−ピリジル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(m−アミノフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
8−(m−メトキシカルボニルフェニル)−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;
2,4−ジメチル−9−アリル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−γ−フェニルプロピル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−シンナミル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
2,4−ジメチル−9−(2−ピリジル)−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド;
8−(m−ニトロフェニル)−7−メチル−5,8−ジアザスピロ[4.5]デカンブロマイド;および
2,4,7−トリメチル−9−β−フェニルエチル−3−オキソ−6,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカンクロライド。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物を製造するための、下記を含む方法:
(1)触媒の存在下に、化合物(A)と化合物(B)を溶媒中で40〜140℃において反応させて化合物(C)を製造する;その際、溶媒はアルコール類、ケトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素、ベンゼン系溶媒、DMSOおよびDMFよりなる群から選択され;触媒は無機塩基または有機塩基である:
【化2】

(2)得られた生成物(C)を0〜80℃の温度で塩素化して化合物(D)を得る;その際、塩素化に際して使用する溶媒は非プロトン溶媒であり、使用する塩素化剤は塩化チオニル、三塩化リンおよび五塩化リンよりなる群から選択される:
【化3】

(3)触媒の存在下に、化合物(D)と化合物(E)を溶媒中で40〜140℃において反応させて目的化合物(I)を製造する:
【化4】

その際、溶媒はアルコール類、ケトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素、ベンゼン系溶媒、DMSOおよびDMFよりなる群から選択され;触媒は無機塩基または有機塩基である。
【請求項9】
工程(1)および(3)において、反応温度は80℃であり;使用する溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、アセトン、トルエン、ベンゼン、DMSO、DMF、クロロホルム、ジクロロメタンおよびグリコールよりなる群から選択され、好ましくはエタノールであり;触媒は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩よりなる群から選択される無機塩基、またはトリエチルアミンおよびイソプロパノールアミンよりなる群から選択される有機塩基であり;触媒は好ましくは、それぞれ工程(1)においては炭酸ナトリウム、工程(3)においては炭酸水素ナトリウムであり;工程(2)において、溶媒はクロロホルムであり、塩素化剤は塩化チオニルであり、反応温度は50℃である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物を製造するための、下記を含む方法:
(1)触媒の存在下に、化合物(F):
【化5】

とR−A−Xの化合物(B)を溶媒中で反応させて中間化合物(G)を製造する;R−A−Xが非芳香族ハロゲン化物である場合、反応温度は40〜140℃であり、溶媒はアルコール類、ケトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素、ベンゼン系溶媒、DMSOおよびDMFよりなる群から選択され、触媒は各種の無機塩基または有機塩基であり;R−A−Xが芳香族ハロゲン化物である場合、反応温度は−20〜140℃であり、溶媒はプロトン溶媒であり、触媒はヨウ化銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)および酸化銅(I)よりなる群から選択され、無機塩基を同時に添加し、無機塩基はリン酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび水酸化ナトリウムよりなる群から選択される:
【化6】

(2)触媒の存在下に、得られた化合物(G)と化合物(H):
X−B−Y−D−X H
を40〜140℃の温度で溶媒中において反応させて、目的化合物(I)を製造する;その際、溶媒はアルコール類、ケトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素、ベンゼン系溶媒、DMSOおよびDMFよりなる群から選択され;使用する触媒は無機塩基または有機塩基である。
【請求項11】
工程(1)において、化合物(III)が非芳香族ハロゲン化物である場合、溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、アセトン、トルエン、ベンゼン、DMSO、DMF、クロロホルムおよびジクロロメタンよりなる群から選択され、好ましくはエタノールであり;触媒は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩よりなる群から選択される無機塩基、またはトリエチルアミンもしくはイソプロパノールアミンよりなる群から選択される有機塩基、好ましくは炭酸ナトリウムであり;反応温度は80℃であり;化合物(III)が芳香族ハロゲン化物である場合、プロトン溶媒はメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリコールおよびグリセロールよりなる群から選択され、好ましくはイソプロパノールであり;触媒はヨウ化銅(I)であり、リン酸カリウムを同時に添加し;工程(2)において、溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、アセトン、トルエン、ベンゼン、DMSO、DMF、クロロホルム、ジクロロメタンおよびグリコールよりなる群から選択され、好ましくはエタノールであり;触媒は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩よりなる群から選択される無機塩基、またはトリエチルアミンもしくはイソプロパノールアミンよりなる群から選択される有機塩基、好ましくは炭酸水素ナトリウムであり;反応温度は80℃である、請求項20に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物を含む鎮痛用医薬組成物であって、有効成分として式(I)の化合物、それらの立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、医薬的に許容できる塩類を含み、場合により医薬的に許容できるキャリヤーを含む組成物。
【請求項13】
鎮痛薬としての、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、それらの立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、医薬的に許容できる塩類、または請求項12に記載の医薬組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−539889(P2009−539889A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514620(P2009−514620)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【国際出願番号】PCT/CN2007/001887
【国際公開番号】WO2007/147346
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(508369940)北京大学 (2)
【Fターム(参考)】