説明

スピンドル装置

【課題】 流体のエネルギーによって回転し、正逆いずれの回転方向にも回転可能であり、回転角や回転数の制御が可能であるスピンドル装置を提供する。
【解決手段】 スピンドル装置では、ケーシング5内に配置されたスピンドル2の中央部に軸方向に伸び、中間部において互いに分離された流体流路21,22が形成され、この流体流路21,22の各々は、外部から流体が供給される流体供給ポート25,27と、流体の流れにより流体の角運動量が変化する形状の流体流出ポート26,28とに連通し、流体供給ポート25,27に流体が供給されると、流体流出ポート26,28の形状で定まる方向に、供給される流体の流量に応じた回転数でスピンドル2が回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、工作機械、医療用機器等に用いるためのスピンドル装置に関し、特に流体のエネルギーを利用したモータ機能と静圧軸受機能を一体化したスピンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な工作機械のスピンドル装置の多くは、転がり軸受で支持され、スピンドル装置とは別に設けられた電気駆動モータの回転運動をベルトやプーリのような伝達要素を介して伝達している。このような構成のスピンドル装置を精密な工作機械システムに用いられる場合には、以下のような問題が発生する。
第1に、転がり軸受における摩擦や機械的なガタによって高精度の回転運動の実現が難しいだけでなく、超精密加工において要求される高速回転時には転がり軸受の焼き付きが発生しやすくなる。したがって、静圧軸受によってスピンドルを支持する方式にする必要がある。
第2に、スピンドルの高速回転時にはベルトやプーリのような伝達要素で発生する振動がスピンドルに伝わり、スピンドル自体の振動を引き起こすので、スピンドル自体に電気モータあるいは、タービンを取付け、これに流体を吹き付ける方式により、ベルト等の機械的な伝達要素を必要としない方式にする必要がある。
第3に、スピンドルが工作機械に用いられる場合、加工中に工具と被削材間で発生する摩擦熱がスピンドルに伝わり、スピンドルの熱膨張を引き起こし、これによって加工誤差が発生するので、スピンドル装置を冷却する必要がある。
これらに対処するスピンドル装置として、本発明者は先に特許文献1に示すモータ一体型スピンドル装置を提案した。
【特許文献1】特開2003−191142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、高精度加工を行う工作機械に用いられるスピンドル装置として、静圧軸受による支持機能、流体のエネルギーによってスピンドルに回転動作を発生させるモータ機能、および冷却機能を備えていることが必要になる。
特許文献1におけるスピンドル装置は、流体のエネルギーによってスピンドルに回転動作を発生させるモータ機能および冷却機能を備えており、これらの課題を解決するものである。しかし、このスピンドル装置はスピンドル構造によって決まる一方向にしか回転させることができない。また、割り出し動作や回転途中で止めるなど、回転角の制御をすることができないという課題があった。
【0004】
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、流体のエネルギーによってスピンドルに回転動作を発生させるモータ機能および冷却機能を備えるとともに、スピンドルは正逆いずれの回転方向にも回転可能であるとともに、回転角や回転数の制御が可能で、割り出し動作や回転途中で止めるなどの操作も簡単なスピンドル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明のスピンドル装置は、ケーシング内に配置されたスピンドルの中央部に軸方向に伸びるように形成され、中間部において互いに分離された第1の流体流路および第2の流体流路と、前記第1の流体流路および前記第2の流体流路の各々に独立に連通された第1の流体供給ポートおよび第2の流体供給ポートと、前記第1の流体流路および前記第2の流体流路の各々に独立に連通された第1の流体流出ポートおよび第2の流体流出ポートと、前記第1の流体供給ポートおよび前記第2の流体供給ポートに流体を供給する流体供給手段と、前記スピンドルの前記第1の流体流路および前記第2の流体流路の各々に対応して配置され、前記スピンドルの径方向の位置を支持する第1のジャーナル軸受および第2のジャーナル軸受と、前記スピンドルの前記第1の流体流路および前記第2の流体流路の各々に対応して配置され、前記スピンドルの軸方向の位置を支持する第1のスラスト軸受および第2のスラスト軸受とを具備したことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載のスピンドル装置において、前記第1の流体流出ポートは流体が流れたときに前記流体の角運動量が変化する形状の第1の流出流路を有しており、前記第2の流体流出ポートは流体が流れたときに前記流体の角運動量が変化する形状の第2の流出流路を有しており、前記第1の流出流路および前記第2の流出流路は流体が流れたときに互いに異なる方向に角運動量が変化する曲がり形状を有していることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載のスピンドル装置において、前記第1の流体流出ポートは流体が流れたときに前記流体の角運動量が変化する形状の第1の流出流路を有しており、前記第2の流体流出ポートは流体が流れたときに前記流体の角運動量が変化する形状の第2の流出流路を有しており、前記第1の流出流路および前記第2の流出流路は流体が流れたときに同一方向に角運動量が変化する曲がり形状を有していることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項2または請求項3に記載のスピンドル装置において、前記第1の流出流路および前記第2の流出流路を、各々、前記第1の流体流路および前記第2の流体流路から前記スピンドルの外周方向に伸びる曲がり形状としたことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1に記載のスピンドル装置において、前記第1の流体流出ポートおよび前記第2の流体流出ポートを、各々、前記第1の流体流路および前記第2の流体流路の端部に配置したことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1に記載のスピンドル装置において、前記流体供給手段は、前記第1の流体供給ポートおよび前記第2の流体供給ポートに供給する流体の流量を互いに独立して制御することを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載のスピンドル装置において、前記スピンドルの回転数を検出する回転数検知手段を有し、前記回転数検知手段が検出した前記スピンドルの回転数に応じて、前記第1の流体供給ポートおよび前記第2の流体供給ポートへの流量を制御する構成としたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項6に記載のスピンドル装置において、前記スピンドルの回転角を検出する回転角検知手段を有し、前記回転角検知手段が検出した前記スピンドルの回転角に応じて、前記第1の流体供給ポートおよび前記第2の流体供給ポートへの流量を制御する構成としたことを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項1に記載のスピンドル装置において、前記第1のジャーナル軸受および前記第2のジャーナル軸受を、加圧流体により前記スピンドルの一部を径方向に押圧する第1のジャーナル静圧軸受および第2のジャーナル静圧軸受により構成したことを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項1に記載のスピンドル装置において、前記第1のジャーナル軸受および前記第2のジャーナル軸受を、前記ケーシングと前記スピンドル間の空間に配置されたボールベアリングにより構成したことを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項1に記載のスピンドル装置において、前記第1のスラスト軸受および前記第2のスラスト軸受を、加圧流体により前記スピンドルの一部を軸方向に押圧する第1のスラスト静圧軸受および第2のスラスト静圧軸受により構成したことを特徴とする。
請求項12記載の本発明は、請求項11に記載のスピンドル装置において、前記第1のスラスト静圧軸受および前記第2のスラスト静圧軸受に供給する流体の流量を互いに独立して制御する構成としたことを特徴とする。
請求項13記載の本発明は、請求項12に記載のスピンドル装置において、前記スピンドルの軸方向の変位を検出するスラスト検知手段を有し、前記スラスト検知手段が検出した前記スピンドルの変位量に応じて、前記第1のスラスト静圧軸受および前記第2のスラスト静圧軸受への流量を制御する構成としたことを特徴とする。
請求項14記載の本発明のスピンドル装置は、請求項9に記載の前記第1のジャーナル静圧軸受および前記第2のジャーナル静圧軸受に加圧流体を供給するための流体供給制御系と、請求項11に記載の前記第1のスラスト静圧軸受および前記第2のスラスト静圧軸受に加圧流体を供給するための流体供給制御系とを兼用する構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、流体のエネルギーによってスピンドルの駆動、支持および冷却を行うので、電気的な配線や駆動機構が不要である。また、これらの駆動、支持および冷却機能をスピンドルの回転軸の内外に付随する機構で行うことができるとともに、スピンドルの中央部が中空であるので、スピンドルの小型軽量化を図ることができる。
また、スピンドルは正逆いずれの回転方向にも回転可能であるとともに、回転角や回転数の制御が可能であるので、割り出し動作や回転途中で止めるなどの操作も簡単に行うことができる。
また、スピンドルは流体以外とは完全に非接触にすることができるので、摩擦や機械的なガタがなく、高速回転時においても焼き付きがなく、ベルトやプーリのような機械的な振動伝達要素も必要ない。したがって、回転動作がスムースであり、騒音も小さくすることができる。
また、スピンドルにダイヤモンドバイトなどの工具を設けることにより、割り出し動作による工具の姿勢制御、回転角制御による自由曲面の超精密加工を行うことができる。
さらに、スピンドルを超精密サーボモータとして使用することができるので、超精密工作機械や液晶パネル製造装置に使用される超精密テーブルの位置決めなどを可能とすることができる。
また、流体として水を使用した場合には、水の粘性係数が空気と油の中間にあるので、水静圧軸受は比較的高い回転数領域における運転を可能とする。また、水は非圧縮流体であるので、空気静圧軸受に比較して高い支持剛性を得ることができる。したがって、軸受面を小さくすることができる。
一方、流体として空気を使用した場合は、流体の粘性が低いので、スピンドルの高速回転が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第1の実施の形態によるスピンドル装置は、ケーシング内に配置されたスピンドルの中央部に軸方向に伸びるように形成され、中間部において互いに分離された第1の流体流路および第2の流体流路と、第1の流体流路および第2の流体流路の各々に独立に連通された第1の流体供給ポートおよび第2の流体供給ポートと、第1の流体流路および第2の流体流路の各々に独立に連通された第1の流体流出ポートおよび第2の流体流出ポートと、第1の流体供給ポートおよび第2の流体供給ポートに流体を供給する流体供給手段と、スピンドルの第1の流体流路および第2の流体流路の各々に対応して配置され、スピンドルの径方向の位置を支持する第1のジャーナル軸受および第2のジャーナル軸受と、スピンドルの第1の流体流路および第2の流体流路の各々に対応して配置され、スピンドルの軸方向の位置を支持する第1のスラスト軸受および第2のスラスト軸受とを具備したものである。本実施の形態によれば、スピンドルがモータ機能と冷却機能を有するので、ベルトやプーリのような機械的な振動伝達要素がなく熱膨張もないスピンドルが得られる。そして、高精度加工を行う工作機械に用いられるスピンドル装置に必要な、摩擦や機械的なガタがなく、高速回転時においても焼き付きがなく、かつ、ベルトやプーリのような機械的な振動伝達要素がない条件をすべて満たすことを可能とする。また、1つのスピンドルを利用して2つのモータ部を構成することができるので、モータ部とスラスト静圧軸受およびジャーナル静圧軸受を有機的に一体化した、小型で簡単かつ高性能な構成のスピンドル装置を得ることを可能とする。また、正逆いずれの回転方向にも回転可能であるとともに、回転角や回転数の制御が可能で、割り出し動作や回転途中で止めるなどの操作も簡単なスピンドル装置を得ることを可能とする。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるスピンドル装置において、第1の流体流出ポートは流体が流れたときに流体の角運動量が変化する形状の第1の流出流路を有しており、第2の流体流出ポートは流体が流れたときに流体の角運動量が変化する形状の第2の流出流路を有しており、第1の流出流路および第2の流出流路は流体が流れたときに互いに異なる方向に角運動量が変化する曲がり形状を有しているものである。本実施の形態によれば、第1の流体流出ポートと第2の流体流出ポートとに流す流体流量を制御することにより、スピンドルの回転方向、回転数、回転角を自由に制御することができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態によるスピンドル装置において、第1の流体流出ポートは流体が流れたときに流体の角運動量が変化する形状の第1の流出流路を有しており、第2の流体流出ポートは流体が流れたときに流体の角運動量が変化する形状の第2の流出流路を有しており、第1の流出流路および第2の流出流路は流体が流れたときに同一方向に角運動量が変化する曲がり形状を有しているものである。本実施の形態によれば、スピンドルの回転速度を高速化させることができる。
本発明の第4の実施の形態は、第2または第3の実施の形態によるスピンドル装置において、第1の流出流路および第2の流出流路を、各々、第1の流体流路および第2の流体流路からスピンドルの外周方向に伸びる曲がり形状としたものである。本実施の形態によれば、簡単な構成でスピンドルに流出流路を形成することができる。
本発明の第5の実施の形態は、第1の実施の形態によるスピンドル装置において、第1の流体流出ポートおよび第2の流体流出ポートを、各々、第1の流体流路および第2の流体流路の端部に配置したものである。本実施の形態によれば、スピンドルの回転トルクを大きくすることができる。
本発明の第6の実施の形態は、第1の実施の形態によるスピンドル装置において、流体供給手段は、第1の流体供給ポートおよび第2の流体供給ポートに供給する流体の流量を互いに独立して制御するものである。本実施の形態によれば、スピンドルは正逆いずれの回転方向にも回転可能であるとともに、回転角や回転数の制御が可能で、割り出し動作や回転途中で止めるなどの操作も簡単なスピンドル装置を得ることができる。
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態によるスピンドル装置において、スピンドルの回転数を検出する回転数検知手段を有し、回転数検知手段が検出したスピンドルの回転数に応じて、第1の流体供給ポートおよび第2の流体供給ポートへの流量を制御する構成としたものである。本実施の形態によれば、スピンドルの回転数を所定の値に制御することができる。
本発明の第8の実施の形態は、第6の実施の形態によるスピンドル装置において、スピンドルの回転角を検出する回転角検知手段を有し、回転角検知手段が検出したスピンドルの回転数に応じて、第1の流体供給ポートおよび第2の流体供給ポートへの流量を制御する構成としたものである。本実施の形態によれば、スピンドルの回転角を所定の値に制御することができる。
本発明の第9の実施の形態は、第1の実施の形態によるスピンドル装置において、第1のジャーナル軸受および第2のジャーナル軸受を、加圧流体によりスピンドルの一部を径方向に押圧する第1のジャーナル静圧軸受および第2のジャーナル静圧軸受により構成したものである。本実施の形態によれば、流体制御されたジャーナル静圧軸受による安定した高精度のスピンドル支持が可能になる。すなわち、摩擦や機械的なガタがなく、高速回転時においても焼き付きがなくなる。
本発明の第10の実施の形態は、第1の実施の形態によるスピンドル装置において、第1のジャーナル軸受および第2のジャーナル軸受を、ケーシングとスピンドル間の空間に配置されたボールベアリングにより構成したものである。本実施の形態によれば、ジャーナル軸受の構造を簡単にすることができる。
本発明の第11の実施の形態は、第1の実施の形態によるスピンドル装置において、第1のスラスト軸受および第2のスラスト軸受を、加圧流体によりスピンドルの一部を軸方向に押圧する第1のスラスト静圧軸受および第2のスラスト静圧軸受により構成したものである。本実施の形態によれば、スラスト静圧軸受による安定した高精度のスピンドル支持が可能になる。すなわち、摩擦や機械的なガタがなく、高速回転時においても焼き付きがなくなる。
本発明の第12の実施の形態は、第11の実施の形態によるスピンドル装置において、第1のスラスト静圧軸受および第2のスラスト静圧軸受に供給する流体の流量を互いに独立して制御する構成としたものである。本実施の形態によれば、スピンドルのスラスト位置を独立して制御される流体の流量により簡単に調整することができる。
本発明の第13の実施の形態は、第12の実施の形態によるスピンドル装置において、スピンドルの軸方向の変位を検出するスラスト検知手段を有し、スラスト検知手段が検出したスピンドルの変位量に応じて、第1のスラスト静圧軸受および第2のスラスト静圧軸受への流量を制御する構成としたものである。本実施の形態によれば、スピンドルのスラスト位置の変位に応じてそのスラスト位置を精密に調整することができる。
本発明の第14の実施の形態によるスピンドル装置は、第9の実施の形態における第1のジャーナル静圧軸受および第2のジャーナル静圧軸受に加圧流体を供給するための流体供給制御系と、第11の実施の形態における第1のスラスト静圧軸受および第2のスラスト静圧軸受に加圧流体を供給するための流体供給制御系とを兼用する構成としたものである。本実施の形態によれば、それぞれの静圧軸受を制御する流体供給制御系の構成を簡単にすることができる。
【実施例1】
【0008】
以下、本発明の一実施例によるスピンドル装置を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例1におけるスピンドル装置の構成を示す断面図である。モータ部1が組み込まれたスピンドル2は、一対のジャーナル軸受、即ち第1のジャーナル静圧軸受41(以下、ジャーナル静圧軸受41)と第2のジャーナル静圧軸受42(以下、ジャーナル静圧軸受42)、および一対のスラスト軸受、即ち第1のスラスト静圧軸受51(以下、スラスト静圧軸受51)と第2のスラスト静圧軸受52(以下、スラスト静圧軸受52)により、ケーシング5の中央部に支持されている。
スピンドル2には、中央に形成された隔壁10で分離された軸方向に伸びる一対の穴によって第1の流体流路21(以下、流体流路21)、第2の流体流路22(以下、流体流路22)が形成されており、流体流路21,22のそれぞれの端部はプラグ23,24で止栓されている。
スピンドル2の中央部の外周にはスピンドル2の側壁を径方向に延長させた鍔部11が形成されている。鍔部11の厚さは隔壁10の厚さよりやや大きく形成されている。
流体流路21には、外部のポンプあるいはコンプレッサ(以下ポンプと略す)から供給される水などの流体を、流体供給手段としての流量制御装置6を介して、スピンドル2の流体流路21内に流入させる第1の流体供給ポート25(以下、流入ポート25)、および流体をスピンドル2から外部へ流出させる第1の流体流出ポート26(以下、流出ポート26)が形成されている。
流出ポート26は、流入ポート25に対して流体流路21の内側、すなわち、スピンドル2の中央部に形成されている。流入ポート25から流入した流体は、スピンドル2内で軸方向に伸びる流体流路21に沿って流れ、流出ポート26から流出する。流出ポート26は、スピンドル2の隔壁10に接しており、鍔部11内を通ってスピンドル2の外方に連通している。
【0009】
流出ポート26の断面図を図2(a)に示す。
スピンドル2の中央部に形成されている流体流路21から、スピンドル2の外部に第1の流出流路31(以下、流出流路31)が伸びている。流出流路31は、スピンドル2の隔壁10に接する位置からスピンドル2の鍔部11内に伸び、さらにスピンドル2の外部に開口した流出口35に連通している。この流出流路31は、流体流路21から径方向に伸びる細管部32と細管部32から略直角に伸びる経路33とから構成された曲がり形状をしている。
流出流路31は流出ポート26に1箇所形成すればよいが、回転数を高くするためには複数箇所設けることが好ましい。図2(a)では4箇所設けた場合を示す。
流出ポート26の流出流路31の曲がり方向は、流体流路21から流出流路31の出口に向かって反時計方向に曲がるように形成されて、流体が流体流路21から流出ポート26を通って外方に流出したときに、流体の角運動量が変化してスピンドル2が矢印Aで示すように時計方向に回転するような形状に形成される。
なお、流出流路31が曲がる角度や形状は、特に直角や直線状である必要はなく、流出流路31内に流体が流れたときに流体の角運動量が変化する形状であればよい。例えば、鈍角や弧状の滑らかな曲線でスピンドル2の外周方向に伸びる曲がり形状としてもよく、簡単な構成でスピンドル2に流出流路31を形成することができる。
細管部32は、スピンドル2の外周から中心に向かって径方向に流体流路21を貫通させ、かつ、スピンドル2の反対側に突き抜けないようにドリル加工で穿孔させて形成する。そして、経路33をスピンドル2の外方から穿孔して細管部32と連通させる。その後、スピンドル2の外周面に形成された孔にプラグ34を挿入してこの部分が流路とならないように止栓する。
同様に、スピンドル2の流体流路22には、流量制御装置6を介して、流体をスピンドル2の流体流路22内に流入させる第2の流体供給ポート27(以下、流入ポート27)、および流体をスピンドル2から外部へ流出させる第2の流体流出ポート28(以下、流出ポート28)が形成されている。
流出ポート28は、流入ポート27に対して流体流路22の内側、すなわち、スピンドル2の中央部に形成されている。流入ポート27から流入した流体は、スピンドル2内で軸方向に伸びる流体流路22に沿って流れ、流出ポート28から流出する。流出ポート28は、スピンドル2の隔壁10に接しており、鍔部11内を通ってスピンドル2の外方に連通している。
【0010】
流出ポート28の断面図を図2(b)に示す。
スピンドル2の中央部に形成されている流体流路22から、スピンドル2の外部に第2の流出流路36(以下、流出流路36)が伸びている。流出流路36は、スピンドル2の隔壁10に接する位置からスピンドル2の鍔部11内に伸び、さらにスピンドル2の外部に開口した流出口35に連通している。この流出流路36は、流体流路22から径方向に伸びる細管部37と細管部37から略直角に伸びる経路38とから構成された曲がり形状をしている。そして、スピンドル2の外周面の孔にプラグ39を挿入して止栓する。
また、流出流路36も流出ポート28に1箇所形成すればよいが、回転数を高くするためには複数箇所設けることが好ましい。図2(b)では4箇所設けた場合を示す。
流出ポート28の流出流路36の曲がり方向は、図2(a)とは反対方向、すなわち、流体流路22から流出流路36の出口に向かって時計方向に曲がるように形成されて、流体が流体流路22から流出ポート28を通って外方に流出したときに、流体の角運動量が変化してスピンドル2が矢印Bで示すように反時計方向に回転するような形状に形成される。
なお、流出流路36が曲がる角度や形状も流出流路31と同様に、特に直角や直線状である必要はなく、流出流路36内に流体が流れたときに流体の角運動量が変化する形状であればよい。
【0011】
流出ポート26,28の各々のスピンドル軸方向外側に、外部から供給される加圧流体によりスピンドル2の一部を軸方向に押圧するスラスト静圧軸受51,52が形成される。スラスト静圧軸受51,52は、スピンドル2の中央部における鍔部11の外側に配置され、外部のポンプから流量制御装置7を介して、スラスト静圧軸受51,52に供給される水などの流体の量を制御することにより、スピンドル2の軸方向の位置を制御しながらスラスト方向に支持する。供給された流体は排出口53,54から排出される。
一方、流体流路21,22の各々のプラグ23,24側におけるスピンドル軸方向の内側に、外部から供給される加圧流体によりスピンドル2の一部を径方向に押圧するジャーナル静圧軸受41,42が形成される。
ジャーナル静圧軸受41,42は、外部のポンプ(図示省略)から、流量制御装置7と同様な流量制御装置(図示省略)を介して、流体供給口43,44から水などの流体を供給してスピンドル2の径方向の位置を制御しながらジャーナル方向に支持する。供給された流体は排出口45,46から排出される。
スピンドル2の一端部には、スピンドル2の回転数または回転角を検出する回転数検知手段または回転角検知手段としてのロータリエンコーダ8が設けられており、制御回路15を介して外部の流量制御装置6に接続されている。
また、スピンドル2の一端部には、スピンドル2のスラスト方向の位置を検出するスラスト検知手段としての位置センサ9が設けられており、制御回路15を介して流量制御装置7に接続されている。
流量制御装置6は、2系統に分岐されており、各々の分岐経路中に流量制御弁61,62が設けられて、この流量制御弁61,62により、2系統に分岐した経路の各々の流量を自由に制御することができる。
一方、流量制御装置7は、2系統に分岐されており、各々の分岐経路中に流量制御弁71,72が設けられて、この流量制御弁71,72により、2系統に分岐した経路の各々の流量を自由に制御することができる。
【0012】
次に動作を説明する。
流量制御装置6から供給される流体は2系統に分岐されて、1つは流入ポート25から流入して、スピンドル2内で軸方向に伸びる流体流路21に沿って流れ、流出ポート26から流出する。流出ポート26から流出する流体は、流出ポート26の流出流路31の細管部22から細管部33に曲がって流出するので、流体の角運動量が変化し、これに伴ってスピンドル2を矢印A方向、即ち時計方向に回転させるトルクが発生し、モータとして機能する。このモータ機能は、流出流路31から流体が流出するたびにトルクを発生させることができる。スピンドル2の回転は、流出流路31の数および流体の流量により調整することができる。
一方、流量制御装置6で分岐した他方の流体は、流入ポート27から流入して、スピンドル2内で軸方向に伸びる流体流路22に沿って流れ、流出ポート28から流出する。流出ポート28から流出する流体は、流出ポート28の流出流路36の細管部37から細管部38に曲がって流出するので、流体の角運動量が変化し、これに伴ってスピンドル2を矢印B方向、即ち反時計方向に回転させるトルクが発生し、モータとして機能する。このモータ機能は、流出流路36から流体が流出するたびにトルクを発生させることができる。
【0013】
そして、スピンドル2を時計方向に回転させたい場合は、流量制御装置6の流量制御弁62を閉じて流入ポート27側への流体の供給を行わず、流量制御弁61により流入ポート25側へのみ流体の供給を行う。この結果、流体は流入ポート25にのみ供給され、スピンドル2内で軸方向に伸びる流体流路21に沿って流れて流出ポート26から流出するので、スピンドル2は流入ポート25に供給されている流体の流量に応じた回転数で時計方向に回転する。
スピンドル2の回転数を減少させたい場合には、流量制御装置6の流量制御弁61を調整して、流入ポート25に供給されている流体の流量を減少させればよい。あるいは、流量制御弁62を開いて流入ポート27にも流体を供給することにより、スピンドル2の回転数を減少させることができる。すなわち、流入ポート27にも流体を供給すると、流入ポート27に供給された流体は、スピンドル2内で軸方向に伸びる流体流路22に沿って流れて流出ポート28から流出するので、スピンドル2は流入ポート27に供給されている流体の流量に応じた回転数で反時計方向に回転させるトルクが発生する。したがって、時計方向に回転しているスピンドル2は、この反時計方向に作用するトルクの影響を受けて回転数が減少する。
また、スピンドル2の回転を停止させたい場合には、流量制御装置6の流量制御弁61を閉じて流入ポート25に供給されている流体の流量を0(零)にするか、流量制御弁61,62により流入ポート25および流入ポート27に供給する流体の流量を同一にすればよい。
同様に、スピンドル2を反時計方向に回転させたい場合は、流量制御装置6の流量制御弁61を閉じて流入ポート25側への流体の供給を行わず、流量制御弁62により流入ポート27側へのみ流体の供給を行ったり、流量制御弁61,62を調整して流入ポート25に供給されている流体の流量よりも流入ポート27に供給する流体の流量を大きくしたりすればよい。
【0014】
このように、スピンドル2は、流量制御装置6から流体流路21,22の各々に供給される流体により互いに逆方向に回転しようとする。この結果、スピンドル2は、流体流路21,22の各々に供給される流体により得られる角運動量の差に応じて回転方向および回転数が変化して回転する。
例えば、流体流路21側で発生する角運動量をω1、流体流路22側で発生する角運動量をω2とし、ω1の絶対値│ω1│がω2の絶対値│ω2│より大きいとすると、スピンドル2の回転は│ω1│−│ω2│の差の大きさで定まる回転数で、ω1による方向に回転する。
すなわち、スピンドル2の回転方向および回転数は、ロータリエンコーダ8でスピンドル2の回転方向および回転数を検出して制御回路15を介して流量制御装置6(の流量制御弁61,62)にフィードバックし、流量制御装置6から流体流路21に供給する流体の流量と流体流路22に供給する流体の流量とを制御することにより、所定の回転方向および回転数に制御することができる。
また、スピンドル2の回転角を制御することもできる。すなわち、ロータリエンコーダ8でスピンドル2の回転角を検出して制御回路15を介して流量制御装置6にフィードバックし、所定の回転角に到達したときに流量制御装置6から流体流路21および流体流路22に供給する流体の流量を0にすると、スピンドル2はそのときの位置で回転を停止する。従って、スピンドル2を所定の回転角の位置に制御することができる。なお、所定の回転角の微調整は流量制御弁61,62を調整して流量制御装置6から流体流路21および流体流路22に供給する流体の流量を調整することにより行うことができる。
【0015】
このように、本実施例によれば、スピンドル2は、正逆いずれの回転方向にも回転可能であるとともに、回転角や回転数の制御が可能であるので、割り出し動作や回転途中で止めるなどの操作も簡単に行うことができる。
なお、以上の説明では、流量制御装置6に2つの流量制御弁61,62を設けた流体供給手段の構成例について説明したが、流量制御装置6の流体流路21および流体流路22への接続を開閉弁により切り換えるようにして、流体流路21および流体流路22のいずれかに流体を供給する構成にしてもよい。
【0016】
一方、流量制御装置7から供給される流体は前述したように2系統に分岐されており、そのうちの1方は流量制御弁71を介してスラスト静圧軸受51に供給され、他方は流量制御弁72を介してスラスト静圧軸受52に供給される。流量制御装置7からの流体は、流量制御弁71,72により2系統に分岐した経路の各々の流量を自由に制御することができる。
流量制御弁71,72によって流量制御装置7からスラスト静圧軸受51およびスラスト静圧軸受52に供給する流体の量を互いに独立して制御することにより、スピンドル2の軸方向の位置、すなわち、スラスト方向のスラスト位置をナノオーダーあるいはサブミクロンオーダーで独立して制御しながら、流体による静圧軸受作用によりスピンドル2をスラスト方向に支持することができる。換言すれば、スラスト静圧軸受による安定した高精度のスピンドル支持が可能になる。
また、スラスト方向の位置の制御は、位置センサ9でスピンドル2のスラスト方向の位置を検出し、それに応じて制御回路15を介し流量制御装置7(の流量制御弁71,72)によって、スラスト静圧軸受51,52に供給する流量を制御すればよい。これにより、スラスト位置の変位に応じてスピンドル2のスラスト位置を精密に調整することができる。そして、スラスト静圧軸受51,52に供給された流体は排出口53,54から排出される。
一方、流量制御装置(図示省略)を介して、流体供給口43からジャーナル静圧軸受41に、流体供給口44からジャーナル静圧軸受42に加圧流体を供給して、スピンドル2の径方向の位置を制御しながら流体による静圧軸受作用によりスピンドル2をジャーナル方向に支持する。すなわち、流体制御されたジャーナル静圧軸受による安定した高精度のスピンドル支持が可能になる。そして、ジャーナル静圧軸受41,42に供給された流体は排出口45,46から排出される。
なお、スラスト静圧軸受51,52に加圧流体を供給するための流量制御装置7や流体供給管などの流体供給制御系と、ジャーナル静圧軸受41,42に加圧流体を供給するための流量制御装置(図示省略)や流体供給管などの流体供給制御系とを兼用する構成にしてもよく、これにより、それぞれの静圧軸受を制御する流体供給制御系の構成を簡単にすることができる。
なお、スピンドル2に供給される流体は、水が最適であるが、空気や油などその他の流体を使用することができる。
なお、流体はスピンドル2の外周および内部を流れるため、流体の温度を制御することにより、スピンドル2の温度変化を一定にすることができる。従って、スピンドル2の熱膨張を最小限にすることが可能になり、熱膨張によって発生する加工誤差をなくすことができる。また、スピンドルの冷却作用を行うことができる。
【0017】
このように、本実施例のスピンドル装置によれば、高精度加工を行う工作機械に用いられるスピンドル装置に必要な条件、すなわち、摩擦や機械的なガタがなく、高速回転時においても焼き付きがなく、かつ、ベルトやプーリのような機械的な振動伝達要素がない条件を、すべて満たすことができる。また、1つのスピンドルを利用して2つのモータ部を構成することができるので、モータ部とスラスト静圧軸受およびジャーナル静圧軸受を有機的に一体化した、小型で簡単かつ高性能な構成のスピンドル装置を得ることができる。また、正逆いずれの回転方向にも回転可能であるとともに、回転角や回転数の制御が可能で、割り出し動作や回転途中で止めるなどの操作も簡単なスピンドル装置を得ることができる。
【0018】
なお、以上の説明においては、流体流路21における流出ポート26からの流体の流出方向と、流体流路22における流出ポート28からの流体の流出方向が互いに反対方向である例について説明したが、両者の流出方向を同一方向にすることもできる。この場合は、スピンドル2の回転を高速化することができる。これは、2つのモータ部を直列連結した構成に相当する。
また、ジャーナル静圧軸受41,42のような加圧流体による静圧軸受の代わりに、ケーシング5とスピンドル2間の空間にボールベアリングを配置して、ジャーナル軸受の構造を簡単にする構成としてもよい。
【実施例2】
【0019】
図3は、本発明の実施例2によるスピンドル装置の構成を示す断面図である。図3において、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例のスピンドル装置では、流出ポート26,28が流入ポート25,27に対して、流体流路21,22における外側に配置されている。また、スピンドル2の両端には、ロータとしての鍔部29,30が形成されている。鍔部29,30の内側には、スラスト静圧軸受51,52が形成されており、そのさらに内側に、ジャーナル静圧軸受41,42が形成されている。
スラスト静圧軸受51,52およびジャーナル静圧軸受41,42の各々への流体供給路77,78は、ケーシング5内部で分岐されて、一方の流体供給路77はスラスト静圧軸受51およびジャーナル静圧軸受41に、他方の流体供給路78はスラスト静圧軸受52およびジャーナル静圧軸受42に連結されている。
流出ポート26,28から排出される流体、およびスラスト静圧軸受51,52、ジャーナル静圧軸受41,42から排出される流体は、共通の排出路75,76から排出される。
スピンドル2の一端にはロータリエンコーダ8が設けられており、他端には加工品としてのワークピース81を保持するワークホルダ82が設けられている。流出ポート26,28は図2で説明した構成と同一である。
本実施例の動作は実施例1と本質的に同一であるので、説明は省略する。
本実施例のスピンドル装置によれば、比較的慣性能力を大きくしたロータとしての鍔部29,30がスピンドル2の両端に形成されているので、スピンドル2を安定して回転させることができる。
【実施例3】
【0020】
図4は、本発明の実施例3によるスピンドル装置の構成を示す断面図である。図4において、図1、図3と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例のスピンドル装置は、実施例2における構成において、流出ポート26,28をスピンドル2の両端にロータとして設けられている鍔部29,30の内部に形成したものである。すなわち、流出ポート26,28を、各々、流体流路21,22の端部に配置した構成である。そのほかの構成および動作は実施例2と同様である。
本実施例のスピンドル装置によれば、流入ポート25,27から流出ポート26,28までの流体流路21,22の長さを長くすることができるので、鍔部29,30の回転トルクを大きくすることができる。さらに、流体流路21,22の端部に配置した鍔部29,30(即ち流出ポート26,28)の外径を大きくして回転モーメントを大きくすることにより、スピンドル2の回転トルクを大きくすることができる。
また、流出ポート26,28が鍔部29,30に形成されているので製造が容易である。また、鍔部29,30をスピンドル2に対してねじ込みなどの方法で着脱自在にすれば、流出ポート26,28の流出流路31,36の形状を他の形状に変更することができ、スピンドル2の回転性能(回転数や回転トルク)を自由に変えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明にかかるスピンドル装置は、正逆いずれの回転方向にも回転可能であるとともに、回転角や回転数の制御が可能であり、割り出し動作や回転途中で止めるなどの操作も簡単に行うことができる機能を有し、モータ、工作機械、医療用機器等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1におけるスピンドル装置の構成を示す断面図
【図2】図1におけるスピンドル装置の流出ポートの内部構造を説明する断面図
【図3】本発明の実施例2におけるスピンドル装置の構成を示す断面図
【図4】本発明の実施例3におけるスピンドル装置の構成を示す断面図
【符号の説明】
【0023】
1 モータ部
2 スピンドル
5 ケーシング
6,7 流量制御装置
8 ロータリエンコーダ
9 位置センサ
10 壁
11,29,30 鍔部
15 制御回路
21,22 流体流路
23,24 プラグ
25,27 流入ポート
26,28 流出ポート
31,36 流出流路
32,37 管部
33,38 経路
34,39 プラグ
35 流出口
41,42 ジャーナル静圧軸受
43,44 流体供給口
45,46 排出口
51,52 スラスト静圧軸受
53,54 排出口
61,62,71,72 流量制御弁
81 ワークピース
82 ワークホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内に配置されたスピンドルの中央部に軸方向に伸びるように形成され、中間部において互いに分離された第1の流体流路および第2の流体流路と、前記第1の流体流路および前記第2の流体流路の各々に独立に連通された第1の流体供給ポートおよび第2の流体供給ポートと、前記第1の流体流路および前記第2の流体流路の各々に独立に連通された第1の流体流出ポートおよび第2の流体流出ポートと、前記第1の流体供給ポートおよび前記第2の流体供給ポートに流体を供給する流体供給手段と、前記スピンドルの前記第1の流体流路および前記第2の流体流路の各々に対応して配置され、前記スピンドルの径方向の位置を支持する第1のジャーナル軸受および第2のジャーナル軸受と、前記スピンドルの前記第1の流体流路および前記第2の流体流路の各々に対応して配置され、前記スピンドルの軸方向の位置を支持する第1のスラスト軸受および第2のスラスト軸受とを具備したことを特徴とするスピンドル装置。
【請求項2】
前記第1の流体流出ポートは流体が流れたときに前記流体の角運動量が変化する形状の第1の流出流路を有しており、前記第2の流体流出ポートは流体が流れたときに前記流体の角運動量が変化する形状の第2の流出流路を有しており、前記第1の流出流路および前記第2の流出流路は流体が流れたときに互いに異なる方向に角運動量が変化する曲がり形状を有していることを特徴とする請求項1に記載のスピンドル装置。
【請求項3】
前記第1の流体流出ポートは流体が流れたときに前記流体の角運動量が変化する形状の第1の流出流路を有しており、前記第2の流体流出ポートは流体が流れたときに前記流体の角運動量が変化する形状の第2の流出流路を有しており、前記第1の流出流路および前記第2の流出流路は流体が流れたときに同一方向に角運動量が変化する曲がり形状を有していることを特徴とする請求項1に記載のスピンドル装置。
【請求項4】
前記第1の流出流路および前記第2の流出流路を、各々、前記第1の流体流路および前記第2の流体流路から前記スピンドルの外周方向に伸びる曲がり形状としたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のスピンドル装置。
【請求項5】
前記第1の流体流出ポートおよび前記第2の流体流出ポートを、各々、前記第1の流体流路および前記第2の流体流路の端部に配置したことを特徴とする請求項1に記載のスピンドル装置。
【請求項6】
前記流体供給手段は、前記第1の流体供給ポートおよび前記第2の流体供給ポートに供給する流体の流量を互いに独立して制御することを特徴とする請求項1に記載のスピンドル装置。
【請求項7】
前記スピンドルの回転数を検出する回転数検知手段を有し、前記回転数検知手段が検出した前記スピンドルの回転数に応じて、前記第1の流体供給ポートおよび前記第2の流体供給ポートへの流量を制御する構成としたことを特徴とする請求項6に記載のスピンドル装置。
【請求項8】
前記スピンドルの回転角を検出する回転角検知手段を有し、前記回転角検知手段が検出した前記スピンドルの回転角に応じて、前記第1の流体供給ポートおよび前記第2の流体供給ポートへの流量を制御する構成としたことを特徴とする請求項6に記載のスピンドル装置。
【請求項9】
前記第1のジャーナル軸受および前記第2のジャーナル軸受を、加圧流体により前記スピンドルの一部を径方向に押圧する第1のジャーナル静圧軸受および第2のジャーナル静圧軸受により構成したことを特徴とする請求項1に記載のスピンドル装置。
【請求項10】
前記第1のジャーナル軸受および前記第2のジャーナル軸受を、前記ケーシングと前記スピンドル間の空間に配置されたボールベアリングにより構成したことを特徴とする請求項1に記載のスピンドル装置。
【請求項11】
前記第1のスラスト軸受および前記第2のスラスト軸受を、加圧流体により前記スピンドルの一部を軸方向に押圧する第1のスラスト静圧軸受および第2のスラスト静圧軸受により構成したことを特徴とする請求項1に記載のスピンドル装置。
【請求項12】
前記第1のスラスト静圧軸受および前記第2のスラスト静圧軸受に供給する流体の流量を互いに独立して制御する構成としたことを特徴とする請求項11に記載のスピンドル装置。
【請求項13】
前記スピンドルの軸方向の変位を検出するスラスト検知手段を有し、前記スラスト検知手段が検出した前記スピンドルの変位量に応じて、前記第1のスラスト静圧軸受および前記第2のスラスト静圧軸受への流量を制御する構成としたことを特徴とする請求項12に記載のスピンドル装置。
【請求項14】
請求項9に記載の前記第1のジャーナル静圧軸受および前記第2のジャーナル静圧軸受に加圧流体を供給するための流体供給制御系と、請求項11に記載の前記第1のスラスト静圧軸受および前記第2のスラスト静圧軸受に加圧流体を供給するための流体供給制御系とを兼用する構成としたことを特徴とするスピンドル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−69761(P2008−69761A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251727(P2006−251727)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(592218300)学校法人神奈川大学 (243)
【Fターム(参考)】