スペーサおよびスペーサ付きリアトレイ
【課題】内装材の取付け時に、内装材との位置関係を容易に把握できるようにして、内装材の取付作業性の向上を図ることのできるスペーサおよびスペーサ付きリアトレイを提供する。
【解決手段】リアトレイ本体11の車幅方向の両側にスペーサ12を一体に形成する。スペーサ12は、内装材3A,3Bの背面側に配置されて内装材3A,3Bを支持する支持壁13と、支持壁13に支持された内装材3A,3Bを貫通して車室内側に突出する車内突出壁14を設ける。車内突出壁14の突出面14aは内装材3A,3Bの車内側面16a,16bと面一になるようにする。
【解決手段】リアトレイ本体11の車幅方向の両側にスペーサ12を一体に形成する。スペーサ12は、内装材3A,3Bの背面側に配置されて内装材3A,3Bを支持する支持壁13と、支持壁13に支持された内装材3A,3Bを貫通して車室内側に突出する車内突出壁14を設ける。車内突出壁14の突出面14aは内装材3A,3Bの車内側面16a,16bと面一になるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体部材と内装材の間に介装されるスペーサおよびスペーサ付きリアトレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体のパネル材の内面には内装材が取り付けられるが、内装材とパネル材の間に隙間があると、内装材のぶかつきによる質感の低下や、車内側からの見栄えの低下を招く原因となる。このため、内装材の背面にスペーサリブを一体に形成し、スペーサリブによって隙間を埋めるようにしたものが案出されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、内装材の背面にスペーサリブを一体に形成する場合、内装材の製造が難しいうえ、スペーサリブで埋める隙間が大きいときには、剛性の確保が難しくなる。
【0004】
このため、これに対処するものとして、内装材の背面に別体のスペーサをクリップによって取り付け、そのスペーサによって内装材とパネル材の間の隙間を埋めるようにしたものが案出されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−57172号公報
【特許文献2】特開2002−29353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、スペーサを用いるこの従来の技術の場合、内装材の完全な背面側にスペーサが配置されるため、内装材の取付け時に内装材とスペーサの位置関係を把握しにくく、作業性が悪いことが課題となる。
【0006】
そこで、この発明は、内装材の取付け時に、内装材との位置関係を容易に把握できるようにして、内装材の取付作業性の向上を図ることのできるスペーサ、および、そのスペーサを備えたリアトレイを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、車体部材(例えば、後述の実施形態における側壁パネル5)とその車内側面を覆う内装材(例えば、後述の実施形態における内装材3A,3B)の間に介装され、前記車体部材と内装材の隙間を埋めるスペーサ(例えば、後述の実施形態におけるスペーサ12)において、前記内装材の背面側に配置されて前記内装材を支持する支持壁(例えば、後述の実施形態における支持壁13)と、この支持壁に支持された内装材を貫通して車室内側に突出する車内突出壁(例えば、後述の実施形態における車内突出壁14)と、を設けたことを特徴とする。
これにより、車内突出壁が内装材を貫通して車内側に突出することになり、内装材の取付け時には、内装材を貫通する車内突出壁の位置を頼りにスペーサの位置を把握することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスペーサにおいて、前記車内突出壁の前記車室内側に突出した突出面を前記内装材の車内側面(例えば、後述の実施形態における車内側面16a,16b)とほぼ面一にしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のスペーサにおいて、前記車内突出壁に、車室内側に配置される室内部材(例えば、後述の実施形態におけるリアトレイ本体11)と連結する連結部を設けたことを特徴とする。
これにより、車内突出壁の連結部を通してスペーサと室内部材を一体化することが可能になる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載のスペーサにおいて、前記車内突出壁を、車室内側に配置される室内部材と一体に形成したことを特徴とする。
これにより、スペーサと室内部材が車内突出壁を通して一体化される。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載のスペーサにおいて、前記室内部材は、後部座席のシートバックの後方に配置されるリアトレイ(例えば、後述の実施形態におけるリアトレイ2)から成ることを特徴とする。
これにより、車内突出壁を介してリアトレイとスペーサを一体化することが可能になる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1または2に記載のスペーサをリアトレイ本体(例えば、後述の実施形態におけるリアトレイ本体11)の車幅方向の両側に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、内装材の取付け時に、内装材を貫通する車内突出壁の位置を頼りにスペーサの位置を把握することができるため、内装材の取付作業性を向上させることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、内装材を貫通した車内突出壁の突出面が内装材の車内側面とほぼ面一になるため、内装材との間に段差ができず、見栄えの低下を招くことがない。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、車内突出壁の連結部を通してスペーサと室内部材を一体化することができるため、室内部材をスペーサを介して車体部材に支持させることが可能になる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、スペーサと室内部材が車内突出壁を通して一体化されるため、室内部材をスペーサを介して車体部材に支持させることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、車内突出壁を介してリアトレイとスペーサを一体化することができるため、リアトレイをスペーサを介して車体部材に支持されることが可能になるとともに、部品点数の削減を図ることが可能になる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、リアトレイ本体の車幅方向の両側にスペーサを設けたため、リアトレイ本体の車幅方向の両側部をスペーサを介して車体部材に支持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、前後と上下については、特別に断らない限り、車両に対しての前後と上下を意味するものとする。また、各実施形態においては、同一部分に同一符号を付して重複する説明を省略するものとする。
【0020】
最初に、図1〜図7に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、セダン型車両の車体後部を車室内側から見た斜視図である。同図中1は、後部座席のシートバックであり、2は、シートバック1の後方側に略水平に配置された室内部材であるリアトレイ、3A,3Bは、リヤドア4の後方側の車体の側壁パネル5(車体部材)の車室内側面に取り付けられた樹脂製の内装材である。
【0021】
シートバック1の後方側には、車体左右の側壁パネル5のリヤホイールハウス(図示せず)の上方側位置を相互に連結する補強パネル6(車体側支持部材)が配置されている。補強パネル6は、車幅方向に延出して両端部が側壁パネル5に結合されるとともに、中央領域の下方に円弧状の開口7を有する略アーチ形状に形成されている。
後部座席のシートバック1と補強パネル6の間には、車幅方向に延出する設定幅の隙間8が設けられている。リアトレイ2は、補強パネル6の後方側から前方に延出してこの隙間8の上方を覆うようになっている。
【0022】
図2は、側壁パネル5から内装材3A,3Bを取り去った状態における図1と同様の斜視図であり、図3は、リアトレイ2の斜視図、図4は、リアトレイ2を車体に取付けた状態における断面図である。
補強パネル6は、図4に示すように略水平な上壁6aの前端部に斜め下方に傾斜した前部壁6bが連設されている。前部壁6bの上縁部には、車幅方向に離間して2つのボルト挿通孔9が形成され、前部壁6bの後面側には、各ボルト挿通孔9の孔位置と合致するようにウェルドナット10が設けられている。
【0023】
リアトレイ2は、車体取付状態において、図示しないリヤウインドシールドガラスの下端から前方に略水平に延出するリアトレイ本体11と、このリアトレイ本体11の前端部両側に延設された一対のスペーサ12,12とを備えている。
スペーサ12は、図示しないクリップ等によって側壁パネル5上の設定位置に係止固定され、側壁パネル5と内装材3A,3Bの間にあって内装材3A,3Bの背面を支持する支持壁13と、この支持壁13のほぼ中央部から車室内側に段差状に突出する車内突出壁14とを備えている。車内突出壁14は、2つの内装材3A,3Bに跨って形成された貫通孔15(図1参照)に嵌合され、貫通孔15を貫通した突出面14aが内装材3A,3Bの車内側面16a,16bとほぼ面一になるように設定されている。突出面14aは、内装材3A,3Bが側壁パネル6に取り付けられた状態において車室内に露出するようになっている。また、左右の各スペーサ12は、室内突出壁14においてリアトレイ本体11の前端部と一体化されている。
【0024】
この実施形態においては、リアトレイ本体11と左右のスペーサ12を一体に形成しているが、リアトレイ本体11とスペーサ12を別体に形成し、各スペーサ12の車内突出壁14に設けた連結部にリアトレイ本体11の前端部を連結するようにしても良い。
なお、図2,図3において、17は、各スペーサ12の支持壁13に形成され、内装材3A,3Bの背部の図示しない係止突起が嵌合される嵌合孔である。また、リアトレイ本体11のスペーサ12よりも車体後方側の両側の側縁部には複数の位置決め突起18が一体に形成され、内装材3Aが側壁パネル5に取り付けられたときに、内装材3Aの下縁がこれらの位置決め突起18と係合するようになっている。
【0025】
一方、リアトレイ本体11の前縁部には、車幅方向に離間して略矩形状の2つの開口部19,19が設けられ、この各開口部19が脱着可能な蓋部材20によって閉塞されている。各開口部19は、補強パネル6上のボルト挿通孔9とウェルドナット10の設置位置に対応して設けられており、これらの各開口部19を通して締結用の工具21の挿入が可能とされている。なお、図4中22は、蓋部材20の裏面に突設され、開口部19の周縁に係止される係止爪である。
【0026】
また、リアトレイ本体11の前縁部の裏面には、図4に示すように、各開口部19の下方を跨ぐように凹状の屈曲壁23が設けられている。この屈曲壁23の底壁部23aにはボルト挿通孔24が形成され、後壁部23bには、補強パネル6のボルト挿通孔9方向に臨む作業開口25が形成されている。
【0027】
さらに、図4に示すように、シートバック1の上部のフレーム部材26には車体後方側に延出するブラケット27が溶接固定されている。ブラケット27は、一端側にフレーム部材26に溶接固定されるシート固定部28が設けられるともに、車体後方側への延出端が上方に屈曲され、その屈曲片27a部分が補強パネル6の前部壁6bに重合されるようになっている。また、ブラケット27のシート固定部28と屈曲片27aの中間領域27bの上面側には、リアトレイ本体11の屈曲壁23の底壁部23aが重合されるようになっている。ブラケット27のこの中間領域27bと屈曲片27aにはそれぞれボルト挿通孔29,30が設けられ、中間領域27bの下面側にはボルト挿通孔29の孔位置と合致するようにウェルドナット31が設けられている。
【0028】
リアトレイ本体11の屈曲壁23とブラケット27のボルト挿通孔24,29にはボルト32が挿入され、そのボルト32をウェルドナット31に締め込むことによってリアトレイ本体11がブラケット27に連結されるようになっている。
また、ブラケット27と補強パネル6のボルト挿通孔30,9にはボルト33が挿入され、そのボルト33をウェルドナット10に締め込むことによってブラケット27の屈曲片27aが補強パネル6に固定されるようになっている。
【0029】
さらに、リアトレイ本体11の車体前後方向の略中央領域には、3つの開口34が車幅方向に離間して設けられ、これらの3つの開口34の上面側が一体のカバー部材35によって覆われている。カバー部材35はリアトレイ本体27の上面に接着やクリップ止めによって固定されている。
【0030】
図5,図6は、カバー部材35の構成部品を示す図であり、図7は、カバー部材35を含むリアトレイ2と補強パネル6の断面図である。
図7に示すように、補強パネル6の上壁6a上には車幅方向に離間してチャイルドシート固定用の3つのアンカー部材36が固定設置されており、リアトレイ本体11上の3つの開口34は、各アンカー部材36の設置位置に対応して設けられている。
【0031】
カバー部材35は、平面形状が車幅方向に長い略長方形状とされ、かつ、車体前後方向の断面形状が、略中央が上方に膨出する略円弧状とされている。カバー部材35上のリアトレイ本体11の各開口34に対応する位置には正面視が略長方形状の窪み部37が設けられ、その各窪み部37の底壁37aには、開口34を通して上方に突出したアンカー部材36が貫通するスリット38が設けられている。各窪み部37には、その上部を覆うことのできる蓋部材39が取り付けられている。蓋部材39は、窪み部37の上部を覆った状態において、カバー部材35の上面とほぼ面一となる略円弧状の断面形状とされている。
【0032】
また、各蓋部材39の側部には枢支軸40が設けられ、その枢支軸40が窪み部37の側壁37bに回動可能に支持されている。蓋部材39の枢支軸40は後部側に偏倚して設けられており、蓋部材39は、図7中の鎖線で示すように、後部側の枢支軸40を支点に前縁部側を上方に開き操作し得るようになっている。なお、図中41は、蓋部材39を開閉する際に指を掛けるための操作突起である。
【0033】
この実施形態のリアトレイ2を車体に取り付ける場合には、まず、リアトレイ本体11の前部両端のスペーサ12を車体の側壁パネル5に係止し、各スペーサ12の支持壁13の前面に内装材3A,3Bを配置する。このとき、内装材3A,3Bの貫通孔15を各スペーサ12の車内突出壁14を係合させるとともに、内装材3A,3Bの背部の図示しない係止突起を各スペーサ12の支持壁13上の対応する嵌合孔17に係合する。こうして、内装材3A,3Bをスペーサ12とともに側壁パネル5に取り付ける場合には、スペーサ12と内装材3A,3Bを正確に位置決めすることができるとともに、スペーサ12の車内突出壁14が車室内側に露出することから、作業者が取付け作業時に内装材3A,3Bとスペーサ12の位置関係を正確に把握することができる。
【0034】
したがって、スペーサ12を一体に備えたこのリアトレイ2を採用した場合には、内装材3A,3Bの取付精度の向上と取付作業性の向上を図ることができる。また、こうして側壁パネル5と内装材3A,3Bに係止されたスペーサ12は、車内突出壁14の突出面14aが内装材3A,3Bの車内側面16a,16bとほぼ面一となるため、内装材3A,3Bとの間に段差ができず、車内側からの見栄えを向上させることができる。
【0035】
また、リアトレイ本体11を車体に固定する場合には、図4に示すように、この後にリアトレイ本体11上の開口部19に工具21を挿入し、リアトレイ本体11とブラケット27をボルト32によって連結するとともに、ブラケット27を車体側の補強パネル6にボルト33によって締結する。そして、ボルト32,33の締結作業を終了した後には、開口部19を蓋部材20によって閉塞する。
【0036】
この実施形態で採用するスペーサ12は、内装材3A,3Bを貫通して車内側に突出する車内突出壁14にリアトレイ本体11が一体化されているため、リアトレイ本体11の前端側の両側部をスペーサ12を介して車体の側壁パネル5に支持させることができる。したがって、この構造の採用により、リアトレイ2の支持剛性を高めることができるとともに、リアトレイ2の車体に対する取付精度を高めることができる。
また、この実施形態の場合、左右のスペーサ12がリアトレイ本体11と一体に形成されているため、部品点数の削減によって製品コストの低減を図ることができるという利点もある。
【0037】
図8,図9は、この発明の第2の実施形態のリアトレイ102の斜視図と、リアトレイ102を車体に取付けた状態における断面図である。
第1の実施形態のリアトレイ2は、シートバック1が完全に固定された固定仕様のシートを採用する場合に用いられるものであるが、第2の実施形態のリアトレイ102は、シートバック101を前方に倒すことのであるフォールダウン仕様のシートを採用する場合に用いられるものである。
【0038】
この実施形態のリアトレイ102は、シートバック101が前方に傾動可能となっている関係で、リアトレイ本体11に連結されるブラケット127にはシート固定部(第1の実施形態におけるシート固定部28)が設けられておらず、ブラケット127の前端部には、リアトレイ本体11の前縁部の下面に突設された係止突起45に係合される係合孔46が設けられている。また、この実施形態の場合、チャイルドシート固定用のアンカー部材36が補強パネル6に設けられていないため、リアトレイ本体11上には開口部やそれを覆うカバー部材は設けられていない。
その他の部分は第1の実施形態と同様の構成とされ、スペーサ12やそのスペーサ12を介した内装材3A,3Bの取付構造も第1の実施形態と同様とされている。
【0039】
図10〜図14は、この発明の第3の実施形態を示すものである。
図10,図11は、車体の側壁パネル5に内装材3A,3Bを取り付けた状態において車体後部を車室内側から見た図と、側壁パネル5から内装材3A,3Bを取り去った状態における同様の図である。また,図12は、リアトレイ202の単品の斜視図であり、図13,図14は、リアトレイ202を車体に取り付けた状態における断面図である。
この第3の実施形態のリアトレイ202は、シートバック202の傾斜角度を調整できるリクライニング仕様のシートを採用する場合に用いられるものである。
【0040】
この実施形態のリアトレイ202は、シートバック202の後方側への傾動姿勢に拘わらず、シートバック202と補強パネル6の間の隙間8を常時覆う必要があることから、シートバック202の傾動に追従して回動するフラップ50がリアトレイ本体211の前端部に設けられている。また、このリアトレイ202は、車幅方向左右のスペーサ12を連結する断面略L字状の梁部材51が設けられ、その梁部材51にリアトレイ本体211とフラップ50が支持されるようになっている。
【0041】
梁部材51の両端部は、左右のスペーサ12の車内突出壁14の後端部と一体に成形されている。梁部材51の上部壁51aは、図13に示すように、車幅方向の複数箇所でリアトレイ本体211の前端部の下面の支持ボス部52にビス53によって固定されており、梁部材51の前部壁51bには、図14に示すように、ヒンジ部材54を介してフラップ50が回動可能に取り付けられている。
また、梁部材51の前部壁51bの車幅方向に離間した2位置には、図13に示すように、車体前方側に突出する矩形状の支持突起55が設けられ、その各支持突起55にボルト挿通孔56が形成されている。各支持突起55は、補強パネル6側のリアトレイ取付部であるボルト挿通孔9とウェルドナット10の位置にほぼ対応して設けられている。そして、補強パネル6上の2ヶ所のボルト挿通孔9とウェルドナット10には固定ナット57を保持する台座部材58がボルト59によって固定されている。
【0042】
各台座部材58には、梁部材51の支持突起55の後面側が係合され、梁部材51の前面側からボルト挿通孔9に挿入されたボルト60が固定ナット57に螺合されるようになっている。つまり、梁部材51は車体側の補強パネル6に対して台座部材58を介して取付けられている。また、支持突起55と台座部材58は、フラップ50をリアトレイ本体211のほぼ面一となるように上方に押し上げた状態において、ボルト締結用の工具21でボルト60を車体前方側から締結し得るように形成されている。
【0043】
この実施形態の他の部分の構造は第1の実施形態と同様とされ、スペーサ12やそのスペーサ12を介した内装材3A,3Bの取付構造も第1の実施形態と同様とされている。
【0044】
なお、この発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態においては、室内部材であるリアトレイの両側部にスペーサを一体に設けたものであるが、スペーサと一体に形成、若しくは、連結する室内部材はリアトレイ以外のものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の第1の実施形態を示すものであり、車体後部を車室内側から見た斜視図。
【図2】同実施形態を示すものであり、内装部材を取り去った車体後部を車室内側から見た斜視図。
【図3】同実施形態のリアトレイを示す斜視図。
【図4】同実施形態を示す図3のA−A断面に対応する断面図。
【図5】同実施形態のカバー部材を示す斜視図。
【図6】同実施形態のカバー部材に取り付けられる蓋部材を示す斜視図。
【図7】同実施形態を示す図3のB−B断面に対応する断面図。
【図8】この発明の第2の実施形態のリアトレイを示す斜視図。
【図9】同実施形態を示す図8のC−C断面に対応する断面図。
【図10】この発明の第3の実施形態を示すものであり、車体後部を車室内側から見た斜視図。
【図11】同実施形態を示すものであり、内装部材を取り去った車体後部を車室内側から見た斜視図。
【図12】同実施形態のリアトレイを示す斜視図。
【図13】同実施形態を示す図12のD−D断面に対応する断面図。
【図14】同実施形態を示す図12のE−E断面に対応する断面図。
【符号の説明】
【0046】
2…リアトレイ(室内部材)
3A,3B…内装材
5…側壁パネル(車体部材)
11…リアトレイ本体(室内部材)
12…スペーサ
13…支持壁
14…車内突出壁
16a,16b…車内側面
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体部材と内装材の間に介装されるスペーサおよびスペーサ付きリアトレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体のパネル材の内面には内装材が取り付けられるが、内装材とパネル材の間に隙間があると、内装材のぶかつきによる質感の低下や、車内側からの見栄えの低下を招く原因となる。このため、内装材の背面にスペーサリブを一体に形成し、スペーサリブによって隙間を埋めるようにしたものが案出されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、内装材の背面にスペーサリブを一体に形成する場合、内装材の製造が難しいうえ、スペーサリブで埋める隙間が大きいときには、剛性の確保が難しくなる。
【0004】
このため、これに対処するものとして、内装材の背面に別体のスペーサをクリップによって取り付け、そのスペーサによって内装材とパネル材の間の隙間を埋めるようにしたものが案出されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−57172号公報
【特許文献2】特開2002−29353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、スペーサを用いるこの従来の技術の場合、内装材の完全な背面側にスペーサが配置されるため、内装材の取付け時に内装材とスペーサの位置関係を把握しにくく、作業性が悪いことが課題となる。
【0006】
そこで、この発明は、内装材の取付け時に、内装材との位置関係を容易に把握できるようにして、内装材の取付作業性の向上を図ることのできるスペーサ、および、そのスペーサを備えたリアトレイを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、車体部材(例えば、後述の実施形態における側壁パネル5)とその車内側面を覆う内装材(例えば、後述の実施形態における内装材3A,3B)の間に介装され、前記車体部材と内装材の隙間を埋めるスペーサ(例えば、後述の実施形態におけるスペーサ12)において、前記内装材の背面側に配置されて前記内装材を支持する支持壁(例えば、後述の実施形態における支持壁13)と、この支持壁に支持された内装材を貫通して車室内側に突出する車内突出壁(例えば、後述の実施形態における車内突出壁14)と、を設けたことを特徴とする。
これにより、車内突出壁が内装材を貫通して車内側に突出することになり、内装材の取付け時には、内装材を貫通する車内突出壁の位置を頼りにスペーサの位置を把握することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスペーサにおいて、前記車内突出壁の前記車室内側に突出した突出面を前記内装材の車内側面(例えば、後述の実施形態における車内側面16a,16b)とほぼ面一にしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のスペーサにおいて、前記車内突出壁に、車室内側に配置される室内部材(例えば、後述の実施形態におけるリアトレイ本体11)と連結する連結部を設けたことを特徴とする。
これにより、車内突出壁の連結部を通してスペーサと室内部材を一体化することが可能になる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載のスペーサにおいて、前記車内突出壁を、車室内側に配置される室内部材と一体に形成したことを特徴とする。
これにより、スペーサと室内部材が車内突出壁を通して一体化される。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載のスペーサにおいて、前記室内部材は、後部座席のシートバックの後方に配置されるリアトレイ(例えば、後述の実施形態におけるリアトレイ2)から成ることを特徴とする。
これにより、車内突出壁を介してリアトレイとスペーサを一体化することが可能になる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1または2に記載のスペーサをリアトレイ本体(例えば、後述の実施形態におけるリアトレイ本体11)の車幅方向の両側に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、内装材の取付け時に、内装材を貫通する車内突出壁の位置を頼りにスペーサの位置を把握することができるため、内装材の取付作業性を向上させることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、内装材を貫通した車内突出壁の突出面が内装材の車内側面とほぼ面一になるため、内装材との間に段差ができず、見栄えの低下を招くことがない。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、車内突出壁の連結部を通してスペーサと室内部材を一体化することができるため、室内部材をスペーサを介して車体部材に支持させることが可能になる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、スペーサと室内部材が車内突出壁を通して一体化されるため、室内部材をスペーサを介して車体部材に支持させることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、車内突出壁を介してリアトレイとスペーサを一体化することができるため、リアトレイをスペーサを介して車体部材に支持されることが可能になるとともに、部品点数の削減を図ることが可能になる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、リアトレイ本体の車幅方向の両側にスペーサを設けたため、リアトレイ本体の車幅方向の両側部をスペーサを介して車体部材に支持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、前後と上下については、特別に断らない限り、車両に対しての前後と上下を意味するものとする。また、各実施形態においては、同一部分に同一符号を付して重複する説明を省略するものとする。
【0020】
最初に、図1〜図7に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、セダン型車両の車体後部を車室内側から見た斜視図である。同図中1は、後部座席のシートバックであり、2は、シートバック1の後方側に略水平に配置された室内部材であるリアトレイ、3A,3Bは、リヤドア4の後方側の車体の側壁パネル5(車体部材)の車室内側面に取り付けられた樹脂製の内装材である。
【0021】
シートバック1の後方側には、車体左右の側壁パネル5のリヤホイールハウス(図示せず)の上方側位置を相互に連結する補強パネル6(車体側支持部材)が配置されている。補強パネル6は、車幅方向に延出して両端部が側壁パネル5に結合されるとともに、中央領域の下方に円弧状の開口7を有する略アーチ形状に形成されている。
後部座席のシートバック1と補強パネル6の間には、車幅方向に延出する設定幅の隙間8が設けられている。リアトレイ2は、補強パネル6の後方側から前方に延出してこの隙間8の上方を覆うようになっている。
【0022】
図2は、側壁パネル5から内装材3A,3Bを取り去った状態における図1と同様の斜視図であり、図3は、リアトレイ2の斜視図、図4は、リアトレイ2を車体に取付けた状態における断面図である。
補強パネル6は、図4に示すように略水平な上壁6aの前端部に斜め下方に傾斜した前部壁6bが連設されている。前部壁6bの上縁部には、車幅方向に離間して2つのボルト挿通孔9が形成され、前部壁6bの後面側には、各ボルト挿通孔9の孔位置と合致するようにウェルドナット10が設けられている。
【0023】
リアトレイ2は、車体取付状態において、図示しないリヤウインドシールドガラスの下端から前方に略水平に延出するリアトレイ本体11と、このリアトレイ本体11の前端部両側に延設された一対のスペーサ12,12とを備えている。
スペーサ12は、図示しないクリップ等によって側壁パネル5上の設定位置に係止固定され、側壁パネル5と内装材3A,3Bの間にあって内装材3A,3Bの背面を支持する支持壁13と、この支持壁13のほぼ中央部から車室内側に段差状に突出する車内突出壁14とを備えている。車内突出壁14は、2つの内装材3A,3Bに跨って形成された貫通孔15(図1参照)に嵌合され、貫通孔15を貫通した突出面14aが内装材3A,3Bの車内側面16a,16bとほぼ面一になるように設定されている。突出面14aは、内装材3A,3Bが側壁パネル6に取り付けられた状態において車室内に露出するようになっている。また、左右の各スペーサ12は、室内突出壁14においてリアトレイ本体11の前端部と一体化されている。
【0024】
この実施形態においては、リアトレイ本体11と左右のスペーサ12を一体に形成しているが、リアトレイ本体11とスペーサ12を別体に形成し、各スペーサ12の車内突出壁14に設けた連結部にリアトレイ本体11の前端部を連結するようにしても良い。
なお、図2,図3において、17は、各スペーサ12の支持壁13に形成され、内装材3A,3Bの背部の図示しない係止突起が嵌合される嵌合孔である。また、リアトレイ本体11のスペーサ12よりも車体後方側の両側の側縁部には複数の位置決め突起18が一体に形成され、内装材3Aが側壁パネル5に取り付けられたときに、内装材3Aの下縁がこれらの位置決め突起18と係合するようになっている。
【0025】
一方、リアトレイ本体11の前縁部には、車幅方向に離間して略矩形状の2つの開口部19,19が設けられ、この各開口部19が脱着可能な蓋部材20によって閉塞されている。各開口部19は、補強パネル6上のボルト挿通孔9とウェルドナット10の設置位置に対応して設けられており、これらの各開口部19を通して締結用の工具21の挿入が可能とされている。なお、図4中22は、蓋部材20の裏面に突設され、開口部19の周縁に係止される係止爪である。
【0026】
また、リアトレイ本体11の前縁部の裏面には、図4に示すように、各開口部19の下方を跨ぐように凹状の屈曲壁23が設けられている。この屈曲壁23の底壁部23aにはボルト挿通孔24が形成され、後壁部23bには、補強パネル6のボルト挿通孔9方向に臨む作業開口25が形成されている。
【0027】
さらに、図4に示すように、シートバック1の上部のフレーム部材26には車体後方側に延出するブラケット27が溶接固定されている。ブラケット27は、一端側にフレーム部材26に溶接固定されるシート固定部28が設けられるともに、車体後方側への延出端が上方に屈曲され、その屈曲片27a部分が補強パネル6の前部壁6bに重合されるようになっている。また、ブラケット27のシート固定部28と屈曲片27aの中間領域27bの上面側には、リアトレイ本体11の屈曲壁23の底壁部23aが重合されるようになっている。ブラケット27のこの中間領域27bと屈曲片27aにはそれぞれボルト挿通孔29,30が設けられ、中間領域27bの下面側にはボルト挿通孔29の孔位置と合致するようにウェルドナット31が設けられている。
【0028】
リアトレイ本体11の屈曲壁23とブラケット27のボルト挿通孔24,29にはボルト32が挿入され、そのボルト32をウェルドナット31に締め込むことによってリアトレイ本体11がブラケット27に連結されるようになっている。
また、ブラケット27と補強パネル6のボルト挿通孔30,9にはボルト33が挿入され、そのボルト33をウェルドナット10に締め込むことによってブラケット27の屈曲片27aが補強パネル6に固定されるようになっている。
【0029】
さらに、リアトレイ本体11の車体前後方向の略中央領域には、3つの開口34が車幅方向に離間して設けられ、これらの3つの開口34の上面側が一体のカバー部材35によって覆われている。カバー部材35はリアトレイ本体27の上面に接着やクリップ止めによって固定されている。
【0030】
図5,図6は、カバー部材35の構成部品を示す図であり、図7は、カバー部材35を含むリアトレイ2と補強パネル6の断面図である。
図7に示すように、補強パネル6の上壁6a上には車幅方向に離間してチャイルドシート固定用の3つのアンカー部材36が固定設置されており、リアトレイ本体11上の3つの開口34は、各アンカー部材36の設置位置に対応して設けられている。
【0031】
カバー部材35は、平面形状が車幅方向に長い略長方形状とされ、かつ、車体前後方向の断面形状が、略中央が上方に膨出する略円弧状とされている。カバー部材35上のリアトレイ本体11の各開口34に対応する位置には正面視が略長方形状の窪み部37が設けられ、その各窪み部37の底壁37aには、開口34を通して上方に突出したアンカー部材36が貫通するスリット38が設けられている。各窪み部37には、その上部を覆うことのできる蓋部材39が取り付けられている。蓋部材39は、窪み部37の上部を覆った状態において、カバー部材35の上面とほぼ面一となる略円弧状の断面形状とされている。
【0032】
また、各蓋部材39の側部には枢支軸40が設けられ、その枢支軸40が窪み部37の側壁37bに回動可能に支持されている。蓋部材39の枢支軸40は後部側に偏倚して設けられており、蓋部材39は、図7中の鎖線で示すように、後部側の枢支軸40を支点に前縁部側を上方に開き操作し得るようになっている。なお、図中41は、蓋部材39を開閉する際に指を掛けるための操作突起である。
【0033】
この実施形態のリアトレイ2を車体に取り付ける場合には、まず、リアトレイ本体11の前部両端のスペーサ12を車体の側壁パネル5に係止し、各スペーサ12の支持壁13の前面に内装材3A,3Bを配置する。このとき、内装材3A,3Bの貫通孔15を各スペーサ12の車内突出壁14を係合させるとともに、内装材3A,3Bの背部の図示しない係止突起を各スペーサ12の支持壁13上の対応する嵌合孔17に係合する。こうして、内装材3A,3Bをスペーサ12とともに側壁パネル5に取り付ける場合には、スペーサ12と内装材3A,3Bを正確に位置決めすることができるとともに、スペーサ12の車内突出壁14が車室内側に露出することから、作業者が取付け作業時に内装材3A,3Bとスペーサ12の位置関係を正確に把握することができる。
【0034】
したがって、スペーサ12を一体に備えたこのリアトレイ2を採用した場合には、内装材3A,3Bの取付精度の向上と取付作業性の向上を図ることができる。また、こうして側壁パネル5と内装材3A,3Bに係止されたスペーサ12は、車内突出壁14の突出面14aが内装材3A,3Bの車内側面16a,16bとほぼ面一となるため、内装材3A,3Bとの間に段差ができず、車内側からの見栄えを向上させることができる。
【0035】
また、リアトレイ本体11を車体に固定する場合には、図4に示すように、この後にリアトレイ本体11上の開口部19に工具21を挿入し、リアトレイ本体11とブラケット27をボルト32によって連結するとともに、ブラケット27を車体側の補強パネル6にボルト33によって締結する。そして、ボルト32,33の締結作業を終了した後には、開口部19を蓋部材20によって閉塞する。
【0036】
この実施形態で採用するスペーサ12は、内装材3A,3Bを貫通して車内側に突出する車内突出壁14にリアトレイ本体11が一体化されているため、リアトレイ本体11の前端側の両側部をスペーサ12を介して車体の側壁パネル5に支持させることができる。したがって、この構造の採用により、リアトレイ2の支持剛性を高めることができるとともに、リアトレイ2の車体に対する取付精度を高めることができる。
また、この実施形態の場合、左右のスペーサ12がリアトレイ本体11と一体に形成されているため、部品点数の削減によって製品コストの低減を図ることができるという利点もある。
【0037】
図8,図9は、この発明の第2の実施形態のリアトレイ102の斜視図と、リアトレイ102を車体に取付けた状態における断面図である。
第1の実施形態のリアトレイ2は、シートバック1が完全に固定された固定仕様のシートを採用する場合に用いられるものであるが、第2の実施形態のリアトレイ102は、シートバック101を前方に倒すことのであるフォールダウン仕様のシートを採用する場合に用いられるものである。
【0038】
この実施形態のリアトレイ102は、シートバック101が前方に傾動可能となっている関係で、リアトレイ本体11に連結されるブラケット127にはシート固定部(第1の実施形態におけるシート固定部28)が設けられておらず、ブラケット127の前端部には、リアトレイ本体11の前縁部の下面に突設された係止突起45に係合される係合孔46が設けられている。また、この実施形態の場合、チャイルドシート固定用のアンカー部材36が補強パネル6に設けられていないため、リアトレイ本体11上には開口部やそれを覆うカバー部材は設けられていない。
その他の部分は第1の実施形態と同様の構成とされ、スペーサ12やそのスペーサ12を介した内装材3A,3Bの取付構造も第1の実施形態と同様とされている。
【0039】
図10〜図14は、この発明の第3の実施形態を示すものである。
図10,図11は、車体の側壁パネル5に内装材3A,3Bを取り付けた状態において車体後部を車室内側から見た図と、側壁パネル5から内装材3A,3Bを取り去った状態における同様の図である。また,図12は、リアトレイ202の単品の斜視図であり、図13,図14は、リアトレイ202を車体に取り付けた状態における断面図である。
この第3の実施形態のリアトレイ202は、シートバック202の傾斜角度を調整できるリクライニング仕様のシートを採用する場合に用いられるものである。
【0040】
この実施形態のリアトレイ202は、シートバック202の後方側への傾動姿勢に拘わらず、シートバック202と補強パネル6の間の隙間8を常時覆う必要があることから、シートバック202の傾動に追従して回動するフラップ50がリアトレイ本体211の前端部に設けられている。また、このリアトレイ202は、車幅方向左右のスペーサ12を連結する断面略L字状の梁部材51が設けられ、その梁部材51にリアトレイ本体211とフラップ50が支持されるようになっている。
【0041】
梁部材51の両端部は、左右のスペーサ12の車内突出壁14の後端部と一体に成形されている。梁部材51の上部壁51aは、図13に示すように、車幅方向の複数箇所でリアトレイ本体211の前端部の下面の支持ボス部52にビス53によって固定されており、梁部材51の前部壁51bには、図14に示すように、ヒンジ部材54を介してフラップ50が回動可能に取り付けられている。
また、梁部材51の前部壁51bの車幅方向に離間した2位置には、図13に示すように、車体前方側に突出する矩形状の支持突起55が設けられ、その各支持突起55にボルト挿通孔56が形成されている。各支持突起55は、補強パネル6側のリアトレイ取付部であるボルト挿通孔9とウェルドナット10の位置にほぼ対応して設けられている。そして、補強パネル6上の2ヶ所のボルト挿通孔9とウェルドナット10には固定ナット57を保持する台座部材58がボルト59によって固定されている。
【0042】
各台座部材58には、梁部材51の支持突起55の後面側が係合され、梁部材51の前面側からボルト挿通孔9に挿入されたボルト60が固定ナット57に螺合されるようになっている。つまり、梁部材51は車体側の補強パネル6に対して台座部材58を介して取付けられている。また、支持突起55と台座部材58は、フラップ50をリアトレイ本体211のほぼ面一となるように上方に押し上げた状態において、ボルト締結用の工具21でボルト60を車体前方側から締結し得るように形成されている。
【0043】
この実施形態の他の部分の構造は第1の実施形態と同様とされ、スペーサ12やそのスペーサ12を介した内装材3A,3Bの取付構造も第1の実施形態と同様とされている。
【0044】
なお、この発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態においては、室内部材であるリアトレイの両側部にスペーサを一体に設けたものであるが、スペーサと一体に形成、若しくは、連結する室内部材はリアトレイ以外のものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の第1の実施形態を示すものであり、車体後部を車室内側から見た斜視図。
【図2】同実施形態を示すものであり、内装部材を取り去った車体後部を車室内側から見た斜視図。
【図3】同実施形態のリアトレイを示す斜視図。
【図4】同実施形態を示す図3のA−A断面に対応する断面図。
【図5】同実施形態のカバー部材を示す斜視図。
【図6】同実施形態のカバー部材に取り付けられる蓋部材を示す斜視図。
【図7】同実施形態を示す図3のB−B断面に対応する断面図。
【図8】この発明の第2の実施形態のリアトレイを示す斜視図。
【図9】同実施形態を示す図8のC−C断面に対応する断面図。
【図10】この発明の第3の実施形態を示すものであり、車体後部を車室内側から見た斜視図。
【図11】同実施形態を示すものであり、内装部材を取り去った車体後部を車室内側から見た斜視図。
【図12】同実施形態のリアトレイを示す斜視図。
【図13】同実施形態を示す図12のD−D断面に対応する断面図。
【図14】同実施形態を示す図12のE−E断面に対応する断面図。
【符号の説明】
【0046】
2…リアトレイ(室内部材)
3A,3B…内装材
5…側壁パネル(車体部材)
11…リアトレイ本体(室内部材)
12…スペーサ
13…支持壁
14…車内突出壁
16a,16b…車内側面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体部材とその車内側面を覆う内装材の間に介装され、前記車体部材と内装材の隙間を埋めるスペーサにおいて、
前記内装材の背面側に配置されて前記内装材を支持する支持壁と、この支持壁に支持された内装材を貫通して車室内側に突出する車内突出壁と、を設けたことを特徴とするスペーサ。
【請求項2】
前記車内突出壁の前記車室内側に突出した突出面を前記内装材の車内側面とほぼ面一にしたことを特徴とする請求項1に記載のスペーサ。
【請求項3】
前記車内突出壁に、車室内側に配置される室内部材と連結する連結部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のスペーサ。
【請求項4】
前記車内突出壁を、車室内側に配置される室内部材と一体に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のスペーサ。
【請求項5】
前記室内部材は、後部座席のシートバックの後方に配置されるリアトレイから成ることを特徴とする請求項3または4に記載のスペーサ。
【請求項6】
請求項1または2に記載のスペーサをリアトレイ本体の車幅方向の両側に設けたことを特徴とするスペーサ付きリアトレイ。
【請求項1】
車体部材とその車内側面を覆う内装材の間に介装され、前記車体部材と内装材の隙間を埋めるスペーサにおいて、
前記内装材の背面側に配置されて前記内装材を支持する支持壁と、この支持壁に支持された内装材を貫通して車室内側に突出する車内突出壁と、を設けたことを特徴とするスペーサ。
【請求項2】
前記車内突出壁の前記車室内側に突出した突出面を前記内装材の車内側面とほぼ面一にしたことを特徴とする請求項1に記載のスペーサ。
【請求項3】
前記車内突出壁に、車室内側に配置される室内部材と連結する連結部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のスペーサ。
【請求項4】
前記車内突出壁を、車室内側に配置される室内部材と一体に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のスペーサ。
【請求項5】
前記室内部材は、後部座席のシートバックの後方に配置されるリアトレイから成ることを特徴とする請求項3または4に記載のスペーサ。
【請求項6】
請求項1または2に記載のスペーサをリアトレイ本体の車幅方向の両側に設けたことを特徴とするスペーサ付きリアトレイ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−58648(P2010−58648A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226114(P2008−226114)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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