説明

スリット塗布用感光性樹脂組成物

【課題】高速スリット塗布を行った場合にも、塗布ムラがなく、塗布膜厚が均一で、被膜の剥離もない、固形分含有量が高いスリット塗布用感光性樹脂組成物およびこれを用いたフラットパネルディスプレイを提供する。
【解決手段】m−またはp−位に置換基を有するフェノール性化合物を用いて合成され、かつ重量平均分子量(Mw)が3,000〜16,000で、o−o’結合率が20%以上、30%以下のアルカリ可溶性ノボラック樹脂、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルなどの感光剤、必要に応じフェノール性化合物、活性剤を含む感光性樹脂組成物を、スリットコーターを用いて基板上にスリット塗布する。200mm/sec以上の塗布速度で塗布しても、膜厚が均一で、塗布ムラのない塗膜が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリット塗布に適した感光性樹脂組成物、より詳しくは、スリット塗布による高速塗布に適した感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
感光性樹脂組成物は、半導体集積回路素子、固体撮像素子、カラーフィルター、液晶表示素子やプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(以下、「FPD」ということがある。)の製造過程において、エッチングレジスト、保護膜、素子表面を平坦化するための平坦化膜、電気的絶縁を保つための絶縁膜等種々の目的で用いられている。感光性樹脂組成物は、使用目的により種々の基板上に塗布され、塗布方法としてもスピンコート法、ロールコート法、ランドコート法、流延塗布法、ドクターコート法、含浸塗布法、スリット塗布法など種々の方法が知られている。また、基板としてもシリコン、ガラス、プラスチックフィルムなど種々のものが用いられ、例えば、FPDの製造の際には、基板としてガラスが多用されている。
【0003】
従来、FPDの製造において、サイズの小さい表示素子については、スピンコート法により感光性樹脂組成物をガラス基板に塗布することが一般的に行われていた。このスピンコート法においては、回転中心に感光性樹脂組成物を供給し、遠心力により感光性樹脂組成物を薄い被膜として形成しており、塗布された大部分の感光性樹脂組成物は、過剰の溶液として基板外周から飛散除去され、廃棄されている。このスピンコート法においては、均一な膜厚を有する感光性樹脂膜を容易に形成できる反面、前記するように廃棄されるレジストの量が多く、高コストとなるという問題を有している。
【0004】
これに対し、近年大きいサイズのFPDに対する需要が増大しており、また一方で大きなサイズの一枚の基板に一度に複数のFPDを作成し、これにより製造コストを下げることもなされている。しかし、大きなサイズの基板に対しスピンコート法により感光性樹脂を塗布するには、大型装置が必要となるという問題や、塗布された感光性樹脂組成物などの膜厚均一性の問題がある。また廃棄される感光性樹脂組成物の量を減らす観点から、スピンコート法に替えてスリット塗布法(スロットコーティング法あるいはスピンレスコーティング法と呼ばれることもある。)を用いる試みがなされている。これらの方法においては、基板を固定し、この固定された基板上を移動するスリットあるいはスロット状のノズルから基板表面上に所望量の感光性樹脂組成物を塗布する、あるいはノズルを固定し、基板を移動させ、所望量の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することにより、感光性樹脂被膜が形成される。感光性樹脂組成物の塗布された基板は、減圧乾燥又は真空乾燥の後、引き続き加熱乾燥(プリベーク)されて、組成物中の溶媒が除去され、その後紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の各種放射線による露光工程、及び現像工程にかけられ、例えばレジストパターンが形成される。
【0005】
ところで、FPD基板の大型化が図られる一方で、近年、より高い生産性とコストダウンを図ることが要求されている。このためには、より高速で感光性樹脂組成物を塗布すること、すなわち、基板上を移動するノズルの速度あるいは基板移動速度をより速くして、塗布に必要な時間を短縮する必要がある。一般に、昨今のスリット塗布の塗布速度はせいぜい200mm/sec程度である。しかし、この塗布速度を上げるためには、塗布装置の改善のみならず、塗布される感光性樹脂もより高速塗布が可能な特性を有すること、特に塗布過程において被膜の剥離が起こらず、塗布ムラが発生しないことが必要とされる。また、塗布速度をより高速とするためには、塗布液の粘度が重要なパラメーターとなり、一般的には塗布液の粘度を下げることで、塗布速度を大きくすることが可能となる。そして感光性樹脂組成物の粘度が固形分含有量に依存することはよく知られている。
【0006】
感光性樹脂組成物としては、ポジ型、ネガ型のものが知られており、いずれのものについても感光性樹脂組成物の固形分の大半は高分子量ポリマーであり、その含有量が増せば溶液の粘度は増大する。例えばポジ型の感光性樹脂組成物として広く知られているアルカリ可溶性ノボラック樹脂とキノンジアジド感光剤からなる感光性樹脂組成物においても、ノボラック樹脂の含有量を多くすれば、組成物の粘度は上昇する。従って、固形分含有量を下げること、すなわち溶媒の含有量を増やすことで、粘度を下げることは可能であるが、固形分含有量を下げる、すなわち溶媒含有量を増やすと乾燥工程において多量の溶媒を除去しなければならず、好ましくない。また、希釈度が高く、粘度が低いと、感光性樹脂組成物の貯蔵寿命が損なわれることも考えられる。さらには、溶媒の含有量が多いことによって、乾燥後の被膜の均一性も損なわれることも考えられる。
【0007】
このような問題に対処するため、特定のエステルを添加したスリット塗布法に適した感光性樹脂組成物が開発されている(特許文献1参照)。また、スリット塗布法において固形分濃度を維持したまま膜剥がれのない均一な被膜を得るのに適した塗布方法に関する技術も開発されている(特許文献2参照)。しかしながら、特定の塗布方法や添加物に依らず、固形分含有量を維持しながら高速塗布を可能にする感光性樹脂組成物が望ましい。
【特許文献1】特開2007−206256号公報
【特許文献2】特開2007−305697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のごとき問題を解決するためになされたものであり、半導体集積回路やカラーフィルター、液晶表示素子等のFPDなどの製造において、固形分含有量を下げることなく感光性樹脂組成物が低粘度化されたスリット塗布用感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、高速スリット塗布を行った場合にも、塗布ムラがなく、塗布膜厚が均一で、被膜の剥離もないスリット塗布用感光性樹脂組成物を提供することをも目的とする。
【0010】
また、本発明は、上記感光性樹脂組成物を用いて形成されたフラットパネルディスプレイ用基板および該基板の製造方法、並びにこのようなフラットパネルディスプレイ用基板を具備したフラットパネルディスプレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討の結果、アルカリ可溶性ノボラック樹脂と感光剤からなる感光性樹脂組成物において、アルカリ可溶性ノボラック樹脂として、合成原料として、m−またはp−位に置換基を有するフェノール性化合物を用いて合成され、重量平均分子量(Mw)およびo−o’結合率が特定の条件を満たすものを用いた場合に、上記目的を達成することができる、すなわち感光性樹脂組成物中の固形分含量を下げることなく、低粘度の感光性樹脂組成物を得ることができる、言葉を変えていうと粘度を固定した場合固形分含有量を上げた感光性樹脂組成物を得ることができ、しかも得られた感光性樹脂組成物は高速スリット塗布した際にも膜厚が均一で、塗布膜にはムラの発生がなく、塗布形成された被膜の剥離もない感光性樹脂膜を形成することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を成したものである。
【0012】
すなわち、本発明は、アルカリ可溶性ノボラック樹脂と感光剤を含む感光性樹脂において、前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂が、m−またはp−位に置換基を有するフェノール性化合物を用いて合成され、かつ重量平均分子量(Mw)が3,000〜16,000で、o−o’結合率が20%以上、30%以下の樹脂であることを特徴とする感光性樹脂組成物に関する。
【0013】
上記感光性樹脂組成物の好ましい態様としては、例えば次のようなものが挙げられる。
(i)前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂が、m−位に置換基を有するフェノール性化合物およびp−位に置換基を有するフェノール性化合物を用いて合成されたものであることを特徴とする感光性樹脂組成物。
(ii)前記m−位に置換基を有するフェノール性化合物とp−位に置換基を有するフェノール性化合物のモル比が7:3〜3:7であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
(iii)前記フェノール性化合物の置換基がアルキル基、例えばメチル基であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
(iv)前記感光剤がキノンジアジド基を含んだ感光剤であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
(v)前記感光性樹脂組成物には、さらにフェノール性化合物が含有されることを特徴とする感光性樹脂組成物。
(vi)前記感光性樹脂組成物には、さらに界面活性剤が含有されることを特徴とする感光性樹脂。
【0014】
また、本発明は、上記感光性樹脂組成物をスリット塗布法により基板上に塗布する工程を含むことを特徴とするフラットパネルディスプレイ(FPD)用基板の製造方法に関する。
【0015】
また、本発明は、上記FPD用基板の製造方法により製造されたフラットパネルディスプレイ(FPD)用基板に関する。
【0016】
また、本発明は、上記FPD用基板を具備してなることを特徴とするフラットパネルディスプレイに関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の感光性樹脂組成物は、特殊な添加剤や特殊な塗布法を用いることなく、低粘度であるにもかかわらず高固形分含有量であり、また高速スリット塗布することが可能である共に、高速スリット塗布したにもかかわらず膜厚が均一で、塗布ムラのない密着性の良好な塗布膜が得られる。これにより、大サイズの基板に感光性樹脂組成物を高速に塗布することが可能となり、省資源、低コストで大型フラットパネルディスプレイを含むフラットパネルディスプレイを製造することができる。また、本発明の感光性樹脂組成物は、半導体集積回路や固体撮像素子、カラーフィルターなどのレジスト膜、保護膜、絶縁膜などの形成材料としても好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記のとおりアルカリ可溶性ノボラック樹脂と感光剤を必須の成分として含有する。また、該アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、上記特定の重量平均分子量と特定のo−o’結合率を有することが必要とされる。以下、本発明で用いられるアルカリ可溶性ノボラック樹脂から具体的に説明する。
【0019】
(アルカリ可溶性ノボラック樹脂)
アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、フェノール類の少なくとも1種とホルムアルデヒドなどのアルデヒド類とを、例えば無機酸あるいは有機酸、二価金属の有機酸塩などの触媒を用いて酸性下に重縮合し、さらに必要に応であれば中和、水洗後二次反応させることによって得られる。このとき、反応液へのアルデヒドの添加速度、アルデヒドの添加量、反応温度、反応時間、触媒量などを適宜調整することにより、本発明のアルカリ可溶性ノボラック樹脂は得られる。このアルカリ可溶性ノボラック樹脂を製造するために用いられるフェノール類は、m−またはp−位に置換基を有し、o−位に官能基が付いていないものが用いられる。置換基としては、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、クロルなどのハロゲン基、水酸基などが挙げられる。
【0020】
本発明のアルカリ可溶性ノボラック樹脂を製造するために用いることのできるフェノール類を具体的に示すと、例えばp−クレゾールおよびm−クレゾール等のクレゾール類、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール等のキシレノール類、3,4,5−トリメチルフェノール等のトリメチルフェノール類、3−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール等のt−ブチルフェノール類、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、3,5−ジメトキシフェノール等のメトキシフェノール類、3−エチルフェノール、4−エチルフェノール、3,5−ジエチルフェノール、3,4,5−トリエチルフェノール等のエチルフェノール類、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、3,5−ジクロロフェノール等のクロロフェノール類、レゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール等のレゾルシノール類、ビスフェノールA等のビスフェノール類などを挙げることができる。これらは、単独でまたは複数種の混合物として用いることができる。置換基として水酸基を含むフェノール性化合物を用いると、製造されたノボラック樹脂が現像液に溶解し易くなり、分子量を高くしないと感度を合わせることができない(所定の感度を得ることができない)ことから、所定の粘度の組成物を得るためには固形分含有量を低くしなければならず、本発明の目的を達成することが難しい。したがって、本発明においては、水酸基を置換基として含まないフェノール性化合物が好ましい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基が好ましく、より好ましくはアルキル基であり、特にメチル基が好ましい。
【0021】
また、m−位に置換基を有するフェノール性化合物とp−位に置換基を有するフェノール性化合物との比は、7:3〜3:7が好ましく、6:4〜4:6であることがより好ましい。p−位に置換基を有するフェノール性化合物の比率を高くすると、所定粘度の感光性樹脂組成物を製造する際、該感光性樹脂組成物中の固形分量を高くすることができるが、耐熱性が不十分となる傾向にある。逆に、p−位に置換基を有するフェノール性化合物の比率が低くなりすぎると、感光性樹脂が著しく低固形分化する傾向となり、本発明の目的を達成することが難しくなる。このため、m−位に置換基を有するフェノール性化合物とp−位に置換基を有するフェノール性化合物との比は、上記範囲が好ましい。
【0022】
一方、アルデヒド類としては、ホルマリンの他、サリチルアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロロアセトアルデヒドなどが挙げられ、これらは単独でまたは複数種の混合物として用いられる。
【0023】
本発明においては、先に記載したように、o−o’結合率が、20%以上、30%以下であることが必要とされる。ノボラック樹脂のo−o’結合率が20%未満の場合、所定の感度を得るためにはより高分子量とすることが必要とされ、所定の粘度の塗布液を得るための固形分含有量は低くなり、また塗布の際塗布ムラが形成されるという問題が発生する。一方、30%を超える場合、所定の感度を得るためには樹脂を低分子量化することが必要となり、所定の粘度の塗布液を得る際の固形分含有量は多くできるものの、固形分含有量が高すぎるため塗布スピードが200mm/secを下回るとともに、均一な膜を形成することができないという問題が発生する。
【0024】
また、アルカリ可溶性ノボラック樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3,000〜16,000が好ましい。本発明での重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したスチレン換算分子量であるが、重量平均分子量3,000未満であると、200mm/sec以上の塗布スピードの高速塗布を行うことができず、また膜厚の均一な塗膜を形成することができないという問題があり、一方重量平均分子量が16,000を超える場合には、樹脂の粘度が高くなるすぎるため、反応釜から抽出し始めたポリマーと終了時のポリマーの重量平均分子量が大きく異なり、安定合成ができないという問題がある。
【0025】
なお、本発明におけるo−o’結合率は、フェノール類の核間メチレン結合のオルソ−オルソ結合の割合であり、次の方法により測定、算出される。
<o−o’結合率の測定、算出方法>
ピリジン溶媒を用いて1H−NMRスペクトル測定を行い、このスペクトルにより求めた核間メチレン結合のオルソ/オルソ結合(4.3〜5.0ppm)のピーク面積(A)、オルソ/パラ結合(4.0〜4.3ppm)のピーク面積(B)、パラ/パラ結合(3.3〜4.0ppm)のピーク面積(C)から、下記式によりo−o’結合率を求める。
o−o’結合率=〔A/(A+B+C)〕×100
【0026】
(感光剤)
本発明の感光性樹脂組成物における感光剤としては、キノンジアジド基を含む感光剤が好ましいものとして挙げられる。このキノンジアジド基を含む感光剤としては、従来キノンジアジド−ノボラック系レジストで用いられている公知の感光剤のいずれのものをも用いることができる。このような感光剤としては、ナフトキノンジアジドスルホン酸クロライドやベンゾキノンジアジドスルホン酸クロライド等と、これら酸クロライド等と縮合反応可能な官能基を有する低分子化合物または高分子化合物とを反応させることによって得られた化合物が好ましいものである。ここで酸クロライドと縮合可能な官能基としては水酸基、アミノ基等があげられるが、特に水酸基が好適である。水酸基を含む酸クロライドと縮合可能な化合物としては、例えばハイドロキノン、レゾルシン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン等のヒドロキシベンゾフェノン類、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン等のヒドロキシフェニルアルカン類、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタン、4,4’,2”,3”,4”−ペンタヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタン等のヒドロキシトリフェニルメタン類などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
また、ナフトキノンジアジドスルホン酸クロライドやベンゾキノンジアジドスルホン酸クロライドなどの酸クロライドとしては、例えば、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルフォニルクロライド、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルフォニルクロライドなどが好ましいものとして挙げられる。なお、ナフトキノンジアジドスルホン酸クロライドに替えて、ナフトキノンジアジドスルホン酸あるいはナフトキノンジアジドスルホン酸アルキルエステルなどを用いてもナフトキノンジアジドスルホン酸クロライドを用いた場合と同様のキノンジアジド基を含む感光剤を製造することができる。
【0028】
キノンジアジド基を含む感光剤の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部当たり、通常5〜50重量部、好ましくは、10〜40重量部である。これよりも少なくと、感光性樹組成物として十分な感度が得られないことがあり、またこれよりも多いと成分の析出の問題が起こることがある。
【0029】
(溶剤)
本発明の感光性樹脂組成物には、前記した各成分、および後述する添加剤を溶解させることができる溶剤が含まれる。用いることができる溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエテレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸エステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類などを挙げることができる。これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0030】
(添加剤)
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じてさらにフェノール性化合物が含まれていてもよい。本発明の感光性樹脂組成物にフェノール性化合物を用いることにより、感度向上効果を得ることができる。このようなフェノール性化合物としては、例えば下記一般式(I)で表されるものが好ましいものとして挙げられる。
【0031】
【化1】

【0032】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立して、H、C1−C4のアルキル基または
【化2】

(ここで、R8はHまたはC1−C4のアルキル基を表す。)
を表し、m及びnはそれぞれ独立して0〜2の整数であり、a、b、c、d、e、f、g及びhは、a+b≦5、c+d≦5、e+f≦5、g+h≦5を満たす0〜5の整数であり、iは0〜2の整数である。〕
【0033】
上記一般式(I)で表されるフェノール性化合物としては、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、ビスフェノールA、B、C、E、F及びG、4,4’,4”−メチリジントリスフェノール、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4’−[1−[4−[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4’,4”−エチリジントリスフェノール、4−[ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−2−エトキシフェノール、4,4’−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,3−ジメチルフェノール]、4,4’−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、2,2’−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[3,5−ジメチルフェノール]、2,2’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[3,5−ジメチルフェノール]、4,4’−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,3,6−トリメチルフェノール]、4−[ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)メチル]−1,2−ベンゼンジオール、4,6−ビス[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,4’−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[3−メチルフェノール]、4,4’,4”−(3−メチル−1−プロパニル−3−イリジン)トリスフェノール、4,4’,4”,4’’’−(1,4−フェニレンジメチリジン)テトラキスフェノール、2,4,6−トリス「(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、2,4,6−トリス「(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス[(ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス[2,6−ビス(ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]フェノールなどを挙げることができる。また好ましい化合物として、4,4’,4”−メチリジントリスフェノール、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4’−[1−[4−[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4’,4”−エチリジントリスフェノールなどが挙げられる。
【0034】
これらフェノール性化合物の中でも、特に下記式(II)又は(III)で表される化合物が好ましいものである。
【0035】
【化3】

【0036】
【化4】

【0037】
これらフェノール性化合物は、添加される場合には、アルカリ可溶性ノボラック樹脂と感光剤の合計量100重量部に対して、通常1〜25重量部、好ましくは1〜22重量部の量で用いられる。上記一般式(II)で示されるフェノール性化合物は、TrisP−PA(本州化学工業株式会社製)として市販されている。
【0038】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じさらに界面活性剤が含まれていてもよい。感光性樹脂組成物を基材に塗布した際、表面にうろこ状の模様(以下、「モヤムラ」という)が発生することがあるが、本発明による感光性樹脂組成物に界面活性剤を含有させることにより、このモヤムラが抑制される。本発明の感光性樹脂組成物には特にノニオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。ノニオン系界面活性剤としてはフッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、炭化水素系界面活性剤などがあり、特にフッ素系界面活性剤、例えばフロラード(商品名、住友3M(株)製)、メガファック(商品名、大日本インキ化学工業(株)製)、スルフロン(商品名、旭ガラス(株)製)を用いるのが好ましい。これら界面活性剤の配合量は、アルカリ可溶性ノボラック樹脂と感光剤の合計量1重量部に対し、通常200〜10,000ppmとされる。界面活性剤の含有量が多すぎると、現像不良などの問題が起こることがあるので注意が必要である。
【0039】
本発明の感光性樹脂組成物は、ポジ型であってもネガ型であってもよい。ネガ型とする場合には、エポキシ基を有する硬化剤などが更に添加され、露光後加熱硬化処理が行われる。
【0040】
本発明の感光性樹脂組成物は、各成分を所定量溶剤に溶解して調整される。このとき、各成分は予めそれぞれ別個に溶剤に溶解し、使用直前に各成分を所定の割合で混合して調製されてもよい。本発明の感光性樹脂組成物は溶液でもよいし、分散液でもよい。通常感光性樹脂組成物の溶液は、0.2μmのフィルター等を用いて濾過された後、使用に供される。粘度は感光性樹脂組成物を塗布する条件に合わせて調製されるが、25℃における動粘度が2〜10cStであることが好ましく、2〜5cStであることがより好ましい。動粘度がこの範囲外であると、高すぎても低すぎても塗布膜均一性が損なわれるおそれがある。
【0041】
続いて、本発明の感光性樹脂組成物を用いて、所望の例えばレジストパターンを形成する方法について説明する。本発明の微細化パターンの形成方法においては、まず下地基板上に、必要に応じ反射防止膜が塗布された後本発明の感光性樹脂組成物が塗布され、フォトリソグラフィー法によりレジストパターンが形成される。前記下地基板としては、LCD基板、PDP基板(ガラス基板)などのFPD用基板が好ましいものとして挙げられるが、半導体基板(例えば、シリコンウエハなど)などであってもよい。例えば、下地基板として用いられる基板は、ベアな基板であってもよいし、必要であれば、表面にシリコン酸化膜やアルミニウム、モリブデン、クロムなどの金属膜、ITOなどの金属酸化膜、ポリシリコンなどのシリコン膜を有する基板、或いは更にこれら基板上に、回路パターン或いは半導体素子などが形成された基板であってもよい。本発明においては、感光性樹脂組成物の塗布は、例えばスリットコーターによりスリット塗布される。これにより、例えば1.5μm厚(乾燥膜厚)の膜を200mm/sec以上の塗布速度で形成することができる。
【0042】
こうして塗布形成された感光性樹脂膜は、プリベーク(例えば、ベーク温度:70〜140℃で1分程度)後、露光され、必要に応じポストエクスポージャーベイク(PEB)(例えば、ベーク温度:50〜140℃)された後、アルカリ溶液を用いて現像処理され、必要であれば現像後ベークが行われて(例えば、ベーク温度:60〜120℃)、所望の感光性樹脂膜パターン(例えばレジストパターン)とされる。感光性樹脂組成物が基板に塗布された後、必要であれば溶媒を除去する乾燥工程が設けられてもよい。露光光源としては、用いられる感光性樹脂組成物の特性に応じ、g線、i線などの紫外線、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザなどの遠紫外線、X線、電子線などが用いられる。また、現像液として用いられるアルカリ溶液としては、感光性樹脂組成物がポジ型である場合、感光性樹脂膜の露光部分が速やかに溶解し、未露光部に対する溶解速度が極度に低い性質を有するものであれば、いずれのものでもよい、具体的には、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液などのテトラメチルアンモニウム系水溶液、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの無機アルカリ水溶液等が挙げられる。これらアルカリ水溶液は、通常、15重量%以下の濃度で使用される。現像法は、浸漬法、スプレー法など、従来感光性樹脂膜を現像するために用いられている方法によればよい。
【実施例】
【0043】
以下に実施例、比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例、比較例により何ら限定されるものではない。
【0044】
実施例1
m−クレゾール:p−クレゾール=6:4、o−o’結合率が21.7%、Mw=8398のノボラック樹脂 100重量部、平均エステル化率が75%で2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンアジド−5−スルフォニルクロライドとのエステル化合物からなる感光剤 22.5重量部、フェノール性化合物(TrisP−PA;本州化学工業株式会社製)をノボラック樹脂と感光剤の合計重量100重量部に対して5.5重量部、および活性剤(フッ素系界面活性剤メガファック;大日本インキ化学社製)を全固形分に対し、5000ppmをPGMEAで希釈、撹拌溶解し、キャノンフェンスケ自動粘度計(株式会社離合社製)により、25℃における動粘度が3cStになるように固形分濃度を調整して、感光性樹脂組成物1を得た。この感光性樹脂組成物の固形分濃度は12.1重量%であった。
【0045】
実施例2
ノボラック樹脂として、m−クレゾール:p−クレゾール=6:4、o−o’結合率が25.0%、Mw=6,450のノボラック樹脂を用いることを除き実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物2を得た。この感光性樹脂組成物の固形分濃度は13.0%であった。
【0046】
実施例3
ノボラック樹脂として、m−クレゾール:p−クレゾール=5:5、o−o’結合率が21.1%、Mw=5,761のノボラック樹脂を用いることを除き実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物3を得た。この感光性樹脂組成物の固形分濃度は12.3%であった。
【0047】
実施例4
ノボラック樹脂として、m−クレゾール:p−クレゾール=5:5、o−o’結合率が29.6%、Mw=4,636のノボラック樹脂を用いることを除き実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物4を得た。この感光性樹脂組成物の固形分濃度は16.0%であった。
【0048】
実施例5
m−クレゾール:p−クレゾール=4:6、o−o’結合率が22.0%、Mw=4,330のノボラック樹脂を用いることを除き実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物5を得た。この感光性樹脂組成物の固形分濃度は12.3%であった。
【0049】
実施例6
m−クレゾール:p−クレゾール=4:6、o−o’結合率が29.3%、Mw=3,397のノボラック樹脂を用いることを除き実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物6を得た。この感光性樹脂組成物の固形分濃度は15.8%であった。
【0050】
比較例1
m−クレゾール:p−クレゾール=6:4、o−o’結合率が16.7%、Mw=12,720のノボラック樹脂を用いることを除き実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物7を得た。この感光性樹脂組成物の固形分濃度は11.0%であった。
【0051】
比較例2
m−クレゾール:p−クレゾール=6:4、o−o’結合率が19.2%、Mw=9,695のノボラック樹脂を用いることを除き実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物8を得た。この感光性樹脂組成物の固形分濃度は11.5%であった。
【0052】
比較例3
m−クレゾール:p−クレゾール=6:4、o−o’結合率が31.2%、Mw=2,909のノボラック樹脂を用いることを除き実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物9を得た。この感光性樹脂組成物の固形分濃度は16.7%であった。
【0053】
比較例4
m−クレゾール:p−クレゾール=5:5、o−o’結合率が19.0%、Mw=6,109のノボラック樹脂を用いることを除き実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物10を得た。この感光性樹脂組成物の固形分濃度は11.4%であった。
【0054】
比較例5
m−クレゾール:p−クレゾール=4:6、o−o’結合率が19.5%、Mw=4,723のノボラック樹脂を用いることを除き実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物11を得た。この感光性樹脂組成物の固形分濃度は11.6%であった。
【0055】
比較例6
m−クレゾール:p−クレゾール=4:6、o−o’結合率が35.0%、Mw=2,818のノボラック樹脂を用いることを除き実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物12を得た。この感光性樹脂組成物の固形分濃度は17.7%であった。
【0056】
上記実施例1〜6および比較例1〜6の感光性樹脂組成物1〜12の物性をまとめると、次表1のとおりである。
【0057】
【表1】

【0058】
[感光性樹脂組成物の塗布試験]
実施例1〜6および比較例1〜6で得られた感光性樹脂組成物1〜12について、各々塗布試験を行い、塗布均一性、塗布スピード、および塗布膜のムラの評価を、下記試験法により行った。
【0059】
<塗布均一性評価試験>
各感光性樹脂組成物をスリットコーター(基板サイズ1100×1250mm)を用いてガラス基板上に塗布し、減圧乾燥し、その後ホットプレートによりプリベークを行うことにより、約1.5μmの感光性樹脂膜を形成した。得られた膜を光学式膜厚測定器を用いて、塗布方向と垂直方向に基板左端部から右端部まで90ポイント測定し、基板端部から15mm除外したものに関して平均膜厚と最大値、最小値を算出し、下記式により面内均一性(%)を求めた。
面内均一性(%)=〔(最大値−最小値)/平均膜厚〕×(1/2)×100
面内均一性の値が2%未満のものを◎、2%以上3%未満を○、3%以上4%未満を△、4%以上を×として評価した。結果を表2に示す。
【0060】
<塗布スピード評価試験>
感光性樹脂組成物をスリットコーターを用いて塗布する際、スリットノズルの速度が速すぎると突出液が液切れし、基板に塗布されない部分が出てきてしまう(以後「スジムラ」と呼ぶ)。塗布スピード評価試験においては、各感光性樹脂組成物をスリットコーター(基板サイズ1100×1250mm)を用いてガラス基板上に塗布して、スジムラが起こらない限界の速度を塗布速度として、評価した。結果を表2に示す。
【0061】
<塗布膜のムラの評価試験>
各感光性樹脂組成物をスリットコーター(基板サイズ1100×1250mm)を用いてガラス基板上に塗布し、減圧乾燥し、その後ホットプレートによりプリベークを行うことにより、約1.5μmの感光性樹脂膜を形成した。形成された膜について目視により、乾燥ムラ(凹凸)、風ムラ、オレンジピール、モヤムラ、ピン跡、横段ムラを確認し、ピン跡以外のムラが確認されない表面状態を○、ピン跡とともにモヤムラがわずかに確認できるものを△、ムラ(モヤムラを含む)が明確に確認されるものを×とした。
【0062】
【表2】

【0063】
上記表2より、ノボラック樹脂のo−o’結合率を20〜30%に高めることで、塗布速度200mm/sec以下にすることなく、固形分12.0%以上にムラの改善が見られることが分かる。
またノボラック樹脂のo−o’結合率が20%未満(感光性樹脂組成物7、8、10、11)の場合には、塗布速度が200mm/sec以上となるが、固形分濃度が12.0未満となり、本発明の優位性が見られない。
さらに、o−o’結合率が30%を超える(感光性樹脂組成物9、12)場合には、高固形分濃度の感光性樹脂組成物となるが、塗布速度が200mm/sec未満となり、レジストとしての特性を満たさない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性ノボラック樹脂と感光剤を含む感光性樹脂において、
前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂が、m−またはp−位に置換基を有するフェノール性化合物を用いて合成され、かつ重量平均分子量(Mw)が3,000〜16,000で、o−o’結合率が20%以上、30%以下の樹脂であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記フェノール性化合物として、m−位に置換基を有するフェノール性化合物とp−位に置換基を有するフェノール性化合物とが用いられ、そのモル比が7:3〜3:7であることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂性組成物。
【請求項3】
前記フェノール性化合物の置換基がメチル基であることを特徴とする請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記感光剤がキノンジアジド基を含んだ感光剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記感光性樹脂組成物が、さらに下記一般式(I)で表されるフェノール性化合物を含んでなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【化1】

〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立して、H、C1−C4のアルキル基または
【化2】

(ここで、R8はHまたはC1−C4のアルキル基を表す。)
を表し、m及びnはそれぞれ独立して0〜2の整数であり、a、b、c、d、e、f、g及びhは、a+b≦5、c+d≦5、e+f≦5、g+h≦5を満たす0〜5の整数であり、iは0〜2の整数である。〕
【請求項6】
前記感光性樹脂組成物が、さらに界面活性剤を含んでなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの感光性樹脂組成物をスリット塗布法により基板上に塗布する工程を含むことを特徴とするフラットパネルディスプレイ用基板の製造方法。
【請求項8】
請求項7の製造方法により製造されたフラットパネルディスプレイ用基板。
【請求項9】
請求項8に記載のフラットパネルディスプレイ用基板を具備することを特徴とするフラットパネルディスプレイ。

【公開番号】特開2010−72323(P2010−72323A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239529(P2008−239529)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(504435829)AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社 (79)
【Fターム(参考)】