説明

スルホネート基を含む新規な両性多糖類化合物、それを含む組成物及びその化粧品における使用

本発明は、以下の式に対応するスルホネート基を含む新規な両性多糖類化合物に関する:
【化1】


式中、Pは多糖類鎖を表し;X、Y及びZはそれぞれ、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和の、任意にヒドロキシル化した二価のC1〜C12の炭化水素をベースとする基であって、任意に該炭化水素をベースとする鎖中に少なくとも一つのエーテル及び/又はアミン基を含む基、又は基−Si(R)2−[O−Si(R)2]q−A−を表し;rは0又は1であり、Anは以下から選択するアニオン性機を表し:
【化2】


CATは4級アンモニウム基又は4級アンモニウム基を有するエチレン系モノマーのグラフト化及び重合により得られるカチオン性ポリマー鎖を表し、
Sulfoはスルホン基又はスルホネート基を表し、n、m及びpは多糖類の総置換度が2を越えない数である。
本発明はさらにこれらを含む組成物及びこれらの化粧品における使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホネート基を含む新規な両性多糖類化合物、その化粧品における使用及びそれを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の分野においては、ケラチン物質、例えば毛髪及び皮膚、特に敏感になった毛髪、すなわち、特に環境物質及び/又は毛髪処置、例えばパーマネントウエーブ処置、染色又は脱色処置の化学作用によって損傷を受け又はもろくなった毛髪の化粧特性を改良することが特に求められている。
この目的のために、コンディショニング剤として知られている相補的な化粧剤を使用することが通常行われており、該コンディショニング剤は、例えばカチオン性のポリマー又はシリコーンであり、毛髪繊維が多少とも繰り返して受ける種々の処置又は攻撃因子によって誘導される有害又は好ましくない結果を修復し又は制限することを主に意図している。これらのコンディショニング剤はまた天然毛髪の化粧品の作用を改良する。
他のコンディショニング剤、例えば米国特許第4,803,071号、米国特許第4,464,523号、国際公開第90/03779号及びフランス特許第2,883,599号に記載された両性多糖類は、毛髪用の化粧組成物において使用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらのコンディショニング剤は、コンディショニング及び残存に関して必ずしも極めて有効ではない。出願人は、何度か使用した後では、毛髪は積み重なり、軽快さを失うことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、また予期せざることに、出願人は、スルホネート基を含む新規な両性多糖類化合物を化粧品で使用すると、上記の欠点が解消されて優れた化粧特性、例えば毛髪に対する優れたコンディショニング作用及び保護作用、良好な毛髪の櫛通り性、良好な保持及び良好なヘアスタイルのまとまりが得られることを見出した。さらに、スルホネート基を含むこれらの両性多糖類化合物を使用すると、毛髪を数回洗浄した後であっても、積み重なった、非可鍛性で非柔軟性である毛髪に導く過剰な堆積を見ることなく、上記特性の良好な残存を生じる。
これらのコンディショニング剤はまた、皮膚に化粧特性、例えば良好な保湿性を与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
従って、本発明の一つの主題は、以下に記載するスルホネート基を含む新規な両性多糖類化合物である。
本発明の第二の主題は、化粧品、特にケラチン物質を化粧処置するための化粧品、例えば毛髪をケアしまた保護し、ヘアスタイリングし、パーマネントウエーブ処置し、直毛化し、毛髪を染色し若しくは脱色し、又は皮膚を洗浄又はケアし、又は皮膚、唇若しくは爪をメーキャップする化粧品における、このような多糖類化合物の使用である。
本発明の主題はまた、化粧品として受容可能な媒体中における、本発明に従う少なくとも一つの多糖類化合物を含む化粧組成物である。
本発明の主題はさらに以下に記載する新規な化合物である。
本発明の他の主題、特徴、観点及び利点は、以下の記載及び種々の例を読むことによってより明確となろう。
【0006】
本発明に従うスルホネート基を含む両性多糖類化合物は、スルホネート基以外の置換基として、少なくとも一つのアニオン性基及び少なくとも一つのカチオン性基を有し、これらの基は多糖類単位の酸素原子を解して多糖類鎖の結合している。
本発明に従うスルホネート基を含む両性多糖類化合物は、以下の式(I)によって表すことができる:
【化1】

式中:
酸素原子はPの一又は複数の多糖類単位に属し、
Pは多糖類鎖を表し、
X、Y及びZは、相互に独立に以下を表し:
− 直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和の、任意にヒドロキシル化した二価のC1〜C12の炭化水素をベースとする基であって、任意に該炭化水素をベースとする鎖中に少なくとも一つのエーテル及び/又はアミン基を含む基、又は
【0007】
− 以下の式の基:
【化2】

式中、ケイ素原子は基An−X−O−、CAT−(Y)r−O−又はSulfo−Z−O−中の酸素原子と結合しており、
ここで、Rはそれぞれ、同一又は異なってもよく、R1又は−OR1を表し、
1は直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和の、任意にヒドロキシル化したC1〜C8、好ましくはC1〜C4の一価の炭化水素をベースとする基であって、任意に該炭化水素をベースとする鎖中に少なくとも一つのエーテル及び/又はアミン基を含む基を表し、
qは、0〜10、好ましくは0〜5の範囲の整数を表し、q=0である場合が特に好ましく、
Aは、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和の、任意にヒドロキシル化したC1〜C12の二価の炭化水素をベースとする基であって、任意に該炭化水素をベースとする鎖中に少なくとも一つのエーテル及び/又はアミン基を含む基を表し、
rは、0又は1に等しく、アンモニウム基を有するエチレン系モノマーのグラフト化及び重合により得られるカチオン性ポリマー鎖をCATが表す場合にはrは0であり、
【0008】
Anは、以下から選択されるアニオン性基を表し:
【化3】

式中、Vは水素原子又はアルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばナトリウム若しくはカリウム原子を表し、
【0009】
CATは以下を表し:
− 以下の式のアンモニウム基
【化4】

式中、R2、R3及びR4は、相互に独立に、水素原子又は直鎖若しくは分岐した、飽和若しくは不飽和の、任意にヒドロキシル化したC1〜C22、好ましくはC1〜C18の一価の炭化水素をベースとする基であって、任意に該炭化水素をベースとする鎖中に少なくとも一つのエーテル及び/又はアミン基を含む基を表し、かつ、Q-は、無機又は有機アニオン、例えばハロゲン原子、例えば塩素若しくは臭素原子、特に好ましくは塩素原子、又はアセテート、シトレート、ラクテート、オレエート若しくはベヘネートを表し、又は
【0010】
− アンモニウム基、例えば以下の式の基を有するエチレン系モノマーのグラフト化及び重合によって得られるカチオン性ポリマー鎖:
【化5】

式中、R5、R6及びR7は、相互に独立に、水素原子、直鎖又は分岐したC1〜C22、好ましくはC1〜C18のアルキル基、又は直鎖又は分岐したC2〜C22、好ましくはC2〜C18のアルケニル基を表し、
Sulfoは、スルホン基又はスルホネート基、例えば−SO3V、ここでVは上記と同じ意味を有する、を表し、
nは、アニオン性基−CO2V及び/又は−PO32(DS(−)1)による多糖類化合物の置換度が0.01〜1.5、好ましくは0.05〜1の範囲となる数であり、
mは、カチオン性基(DS(+))による多糖類化合物の置換度が0.01〜1.5、好ましくは0.05〜1の範囲となる数であり、
pは、スルホン基又はスルホネート基(DS(−)2)による多糖類化合物の置換度が0.01〜1.5、好ましくは0.02〜1の範囲となる数であり、
多糖類化合物の総置換度は3を越えず、好ましくは0.05から2.5の範囲内にある。
【0011】
本発明に従う“両性多糖類化合物の置換度(DS(−)1)”という用語は、繰り返し単位におけるアニオン性基−CO2V及び/又は−PO32で置換されたヒドロキシル基の数の、該単位を構成する基本となる単糖類の数に対する比を意味する。
本発明に従う“両性多糖類化合物の置換度(DS(−)2)”という用語は、繰り返し単位におけるスルホン基又はスルホネート基で置換されたヒドロキシル基の数の、該単位を構成する基本となる単糖類の数に対する比を意味する。
本発明に従う“両性多糖類化合物の置換度(DS(+))”という用語は、繰り返し単位におけるカチオン性基で置換されたヒドロキシル基の数の、該単位を構成する基本となる単糖類の数に対する比を意味する。
【0012】
Pで表される多糖類鎖は、好ましくはセルロース、デンプン、イヌリン、グアーガム、キサンタンガム、プルラン、アガー−アガー、アルギン酸ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウム、カラギーナン、デキストラン、ファーセララン、ゲランガム、アラビアゴム、トラガカントゴム、ヒアルロン酸、コンニャクマンナン、リグニンスルホネート、カルボガム、部分的にN−アセチル化したキチン、ペクチン、ポリデキストロース、ラムサンガム又はウェランガムである。
より好ましくは、多糖類鎖は、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、デンプン、デンプンアセテート、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、イヌリン、グアーガム、カルボキシメチルグアーガム、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム又はキサンタンガムである。
スルホネート基を含む多糖類鎖は、好ましくは500〜15,000,000、より好ましくは1000〜10,000,000の範囲の質量平均分子量を有する。
【0013】
直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC1〜C12、好ましくはC1〜C8の二価の炭化水素をベースとする基X、Y、Z又はAの特に挙げることができる例は、直鎖又は分岐したC1〜C8アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、t−ブチレン、ヘキシレン又はオクチレン基;直鎖又は分岐したC2〜C8アルケニレン基、例えばビニレン、アリレン、クロトニレン、ブテニレン、イソブテニレン、t−ブテニレン、ヘキセニレン又はオクテニレン基を含む。これらの基はさらに少なくとも一つのヒドロキシル置換基を有することができ及び/又はアルキレン又はアルケニレン鎖中に少なくとも一つのエーテル及び/又はアミン基を有することができる。
特に挙げることができる直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC1〜C8、好ましくはC1〜C4の一価の炭化水素をベースとする基R1の例は以下を含む:直鎖又は分岐したC1〜C4アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル又はt−ブチル基;直鎖又は分岐したC2〜C4アルケニル基、例えばビニル、アリル、クロトニル、ブテニル、イソブテニル又はt−ブテニル基;これらの基は少なくとも一つのヒドロキシル置換基を有していてもよく、該アルキル又はアルケニル鎖中に少なくとも一つのエーテル及び/又はアミン基を含んでもよい。
特に挙げることができるR2からR7の例は以下を含む:直鎖又は分岐したC1〜C4アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル又はt−ブチル基、及び直鎖又は分岐したC12〜C18アルキル基、例えばラウリル、ミリスチル、セチル又はステアリル基。特に挙げることができる直鎖又は分岐したC2〜C18、好ましくはC2〜C6アルケニル基の例は、ビニル、アリル、クロトニル及びブテニル基を含む。
【0014】
本発明において最も好ましい両性多糖類化合物は、式(I)に対応するものであり、式中、
Pは、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、デンプン、デンプンアセテート、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、イヌリン、グアーガム、カルボキシメチルグアーガム、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム又はキサンタンガムを表し、
X、Y及びZは、相互に独立に直鎖又は分岐したC1〜C8アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、t−ブチレン、ヘキシレン又はオクチレン基;又は直鎖又は分岐したC2〜C8アルケニレン基、例えばビニレン、アリレン、クロトニレン、ブテニレン、イソブテニレン、t−ブテニレン、ヘキセニレン又はオクテニレン基を表し、又は
【0015】
以下の式の基
【化6】

式中、Rはそれぞれ、同一又は異なってもよく、R1又は−OR1を表し、
1は直鎖又は分岐したC1〜C4のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル又はt−ブチル基;又は直鎖又は分岐したC2〜C4アルケニル基、例えばビニル、アリル、クロトニル、ブテニル、イソブテニル又はt−ブテニル基を表し;
qは、0〜5の範囲の整数を表し、
Aは、直鎖又は分岐したC1〜C8アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、t−ブチレン、ヘキシレン又はオクチレン基;又は直鎖又は分岐したC2〜C8アルケニレン基、例えばビニレン、アリレン、クロトニレン、ブテニレン、イソブテニレン、t−ブテニレン、ヘキセニレン又はオクテニレン基を表し、
r、An、CAT、Sulfo、m、n及びpは上記と同じ意味を有し、かつ
2からR7は、水素原子、C1〜C4アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル又はt−ブチル基、又はC12〜C18アルキル基、例えばラウリル、ミリスチル、セチル又はステアリル基、又は直鎖又は分岐したC2〜C6アルケニル基、例えばビニル、アリル、クロトニル又はブテニル基を表す。
【0016】
上記のスルホネート基を含む両性多糖類化合物は、化粧品において、コンディショニング剤として、特にケラチン物質の化粧処置、例えば毛髪をケア及び保護し、ヘアスタイルを保持しまとめるための処置用に使用されるのみならず、さらに皮膚を洗浄しかつケアし、また皮膚、唇及び爪をメーキャップするために使用することができる。
【0017】
本発明の主題はまた、化粧品として受容可能な媒体中に、本発明に従うスルホネート基を含む少なくとも一つの両性多糖類化合物を、化粧組成物の全質量に対して好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.03〜25質量%の範囲の量で含む化粧組成物である。
用語“化粧品として受容可能な媒体”は、いずれのケラチン物質、例えば皮膚、毛髪、爪、まつげ、眉毛及び唇並びに身体及び顔の皮膚のいずれの他の領域とも適合する媒体を意味する。
化粧品として受容可能な媒体は、水のみから成っていてもよく、又は化粧品として受容可能な溶媒、例えばC1〜C4低級アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、t−ブタノール又はn−ブタノール;アルキレンポリオール、例えばプロピレングリコール;ポリオールエーテル;及びこれらの混合物と水との混合物から成っていてもよい。
【0018】
本発明に従う組成物は、さらに本技術分野で周知の一以上の標準的な添加剤、例えば以下のものを含むことができる:アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性又は双性イオン性界面活性剤、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性又は双性イオン性ポリマー、増粘剤、真珠光沢剤、不透明化剤、UV−遮蔽剤、芳香剤、鉱油、植物及び/又は合成油、脂肪酸エステル、染料、揮発性又は非揮発性の、有機変性したか又は有機変性していない、環状の又は非環状の、分岐したか又は分岐していないシリコーン、無機又は有機の、天然又は合成の粒子、保存剤及びpH安定剤。
当業者は、任意の添加剤及びその量を本発明の組成物の性質を害さないように、注意して選択するであろう。
これらの添加剤は本発明に従う組成物中に、組成物の全質量に対して一般的には0〜20質量%の範囲の量で存在する。
【0019】
本発明に従う化粧組成物は、ムース、ジェル、スプレー又はラッカーの形態にあることができ、また洗い流し型又は残置型の適用で使用することができる。
本発明に従う組成物は毛髪用製品として、特に洗い流し型又は残置型の製品、特に毛髪を洗浄し、ケアし及び/又はコンディショニングする製品、ヘアスタイルを保持し、毛髪を成形し、染色し、脱色し、パーマネントウエーブ処置し又は直毛化する製品として使用することができる。
本発明の組成物はさらに、ケア又は衛生製品、例えば顔、手及び身体用の保護、処置又はケアクリーム、保護又はケアのボディミルク、皮膚のケア又は洗浄用のジェル又はムースとして、又は皮膚、唇、爪及びまつげをメーキャップし又はこれらから化粧落としをする製品として使用することができる。
以下に示す例は、本発明の適用を示すために与えられている。
【0020】

例1
カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩のスルホン化及び引き続く4級化が行われる。
スルホン化
Fluka社が市販する、DSが0.6〜0.95であるカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩57gを、200mlの無水1,4−ジオキサンに激しく撹拌しながら分散させる。
1.2g(50ミリモル)の水素化ナトリウムを滴々と加える。混合物を2時間還流(99〜100℃)する。
混合物を80℃まで放冷し、次いで6.1g(50ミリモル)の1,3−プロパンスルトンを予め溶解させた50mlの無水ジオキサンを急速に加える。混合物をさらに5時間還流する。
室温まで冷却したのち、ろ過してベージュ色の粉末を集め、ジオキサン中で3回再スラリー化し、真空下に50℃で乾燥する。59.3gの生成物が得られる。
4級化
すべてのスルホン化した生成物を、500mlのアセトニトリルと0.5mlの50%水酸化ナトリウム溶液に分散させる。
次いで、9.7gの78%水性2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド溶液(50ミリモル)を加える。
混合物を50℃で5時間加熱する。室温に冷却後、ろ過及び200mlのアセトニトリル中での2回の再スラリー化により、明るい茶色の粉末を集める:アセトニトリルはガムに浸透し、いくらかの不純物が抽出されることを可能にし、次いでこれがガムを吸引ろ過することによって除去され、この操作が2回繰り返される。生成物を真空下に50℃で乾燥する。
【0021】
例2:シャンプー
以下の成分を使用してシャンプーを製造した。ここで、成分の量は組成物の全質量に対する活性物質の質量百分率として示されている。

【0022】
例3:コンディショナー
以下の成分を使用してコンディショナーを製造した。ここで、成分の量は組成物の全質量に対する活性物質の質量百分率として示されている。

【0023】
例4−6
以下の成分を使用して染料組成物を製造した。ここで、成分の量は組成物の全質量に対する活性物質の質量百分率として示されている。

使用時に、上記の各染料組成物を、質量対質量で20容量の過酸化水素溶液(6質量%)と混合した。
このようにして製造した混合物を、90%の白髪を含む灰色の天然の毛髪の房又はパーマネントウエーブ処置した毛髪の房に30分間適用した。毛髪の房を次いでリンスし、標準的なシャンプーで洗浄し、再度リンスし、次いで乾燥した。
例4ないし例6のそれぞれについて毛髪はゴールデン−ブロンドに染色された。
【0024】
例7
以下の成分を使用して他の染料組成物を製造した。ここで、成分の量は組成物の全質量に対する活性物質の質量百分率として示されている。

この組成物を使用時に、酸化剤として7.5%の過酸化水素を含むエマルション形態の酸化組成物と、酸化組成物1.5部当たり1部の染料組成物の比率で混合する。得られた混合物を、90%の白髪を含む天然毛髪の房に適用し、30分間放置して作用させる。リンスし、シャンプーで洗浄しかつ乾燥した後、強い赤銅色の明るい栗色の色調に染色された毛髪が得られる。
【0025】
例8
以下の組成物を製造した。ここで、示された百分率は組成物の全質量に対する質量百分率である。
酸化組成物




染料組成物

AM*=活性物質
染料組成物を、使用時に、プラスチックのボウル中で2分間、上記の酸化組成物と、酸化組成物1.5部当たり1部の染料組成物の割合で、混合した。
得られた混合物を、白髪を90%含む天然の毛髪の房に適用し、30分間放置して作用させた。
次いで房を水でリンスし、シャンプーで洗浄し、再度水でリンスし、次いで乾燥してくしで梳いた。
こうして毛髪は強い明るい栗色の色調に染色された。
【0026】
例9
以下の成分を使用して他の染料組成物を製造した。ここで、成分の量は組成物の全質量に対する活性物質の質量百分率として示されている。

AM: 活性物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)に対応するスルホネート基を含む両性多糖類化合物:
【化1】

式中:
酸素原子はPの一又は複数の多糖類単位に属し、
Pは多糖類鎖を表し、
X、Y及びZは、相互に独立に以下を表し:
− 直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和の、任意にヒドロキシル化した二価のC1〜C12の炭化水素をベースとする基であって、任意に該炭化水素をベースとする鎖中に少なくとも一つのエーテル及び/又はアミン基を含む基、又は
− 以下の式の基:
【化2】

式中、ケイ素原子は基An−X−O−、CAT−(Y)r−O−又はSulfo−Z−O−中の酸素原子と結合しており、
ここで、Rはそれぞれ、同一又は異なってもよく、R1又は−OR1を表し、
1は直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和の、任意にヒドロキシル化したC1〜C8の一価の炭化水素をベースとする基であって、任意に該炭化水素をベースとする鎖中に少なくとも一つのエーテル及び/又はアミン基を含む基を表し、
qは、0〜10の範囲の整数を表し、
Aは、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和の、任意にヒドロキシル化したC1〜C12の二価の炭化水素をベースとする基であって、任意に該炭化水素をベースとする鎖中に少なくとも一つのエーテル及び/又はアミン基を含む基を表し、
rは、0又は1に等しく、アンモニウム基を有するエチレン系モノマーのグラフト化及び重合により得られるカチオン性ポリマー鎖をCATが表す場合にはrは0であり、
Anは、以下から選択されるアニオン性基を表し:
【化3】

式中、Vは水素原子又はアルカリ金属又はアルカリ土類金属を表し、
CATは以下を表し:
− 以下の式のアンモニウム基
【化4】

式中、R2、R3及びR4は、相互に独立に、水素原子又は直鎖若しくは分岐した、飽和若しくは不飽和の、任意にヒドロキシル化したC1〜C22の一価の炭化水素をベースとする基であって、任意に該炭化水素をベースとする鎖中に少なくとも一つのエーテル及び/又はアミン基を含む基を表し、かつ、Q-は、無機又は有機アニオンを表し、又は
− アンモニウム基を有するエチレン系モノマーのグラフト化及び重合によって得られるカチオン性ポリマー鎖、
Sulfoは、スルホン基又はスルホネート基を表し、
nは、アニオン性基−CO2V及び/又は−PO32による多糖類化合物の置換度が0.01〜1.5の範囲となる数であり、
mは、カチオン性基による多糖類化合物の置換度が0.01〜1.5の範囲となる数であり、
pは、スルホン基又はスルホネート基による多糖類化合物の置換度が0.01〜1.5の範囲となる数であり、
多糖類化合物の総置換度は3を越えない。
【請求項2】
Pが、セルロース、デンプン、イヌリン、グアーガム、キサンタンガム、プルラン、アガー−アガー、アルギン酸ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウム、カラギーナン、デキストラン、ファーセララン、ゲランガム、アラビアゴム、トラガカントゴム、ヒアルロン酸、コンニャクマンナン、リグニンスルホネート、カルボガム、部分的にN−アセチル化したキチン、ペクチン、ポリデキストロース、ラムサンガム又はウェランガムを表すことを特徴とする、請求項1に記載の両性多糖類化合物。
【請求項3】
Pが、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、デンプン、デンプンアセテート、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、イヌリン、グアーガム、カルボキシメチルグアーガム、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム又はキサンタンガムを表すことを特徴とする、請求項2に記載の両性多糖類化合物。
【請求項4】
1〜C12の二価の炭化水素をベースとする基X、Y、Z又はAが、直鎖又は分岐したC1〜C8アルキレン基及び直鎖又は分岐したC2〜C8アルケニレン基から選択され、任意に少なくとも一つのヒドロキシル基を有し及び/又は任意に少なくとも一つのエーテル及び/又はアミン基を該アルキレン又はアルケニレン鎖中に含むことを特徴とする、先の請求項1ないし3のいずれか1項に記載の両性多糖類化合物。
【請求項5】
1〜C12の二価の炭化水素をベースとする基が、メチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、t−ブチレン、ヘキシレン、オクチレン、ビニレン、アリレン、クロトニレン、ブテニレン、イソブテニレン、t−ブテニレン、ヘキセニレン及びオクテニレン基から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の両性多糖類化合物。
【請求項6】
1が、直鎖又は分岐したC1〜C4のアルキル基又は直鎖又は分岐したC2〜C4のアルケニル基を表すことを特徴とする、先の請求項1ないし5のいずれか1項に記載の両性多糖類化合物。
【請求項7】
1が、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、ビニル、アリル、クロトニル、ブテニル、イソブテニル及びt−ブテニル基から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の両性多糖類化合物。
【請求項8】
Qが、ハロゲン原子、アセテート、シトレート、ラクテート、オレエート又はベヘネートを表すことを特徴とする、先の請求項1ないし7のいずれか1項に記載の両性多糖類化合物。
【請求項9】
2、R3及びR4が、相互に独立に、水素原子、直鎖若しくは分岐したC1〜C4アルキル基、直鎖若しくは分岐したC12〜C18アルキル基又は直鎖若しくは分岐したC2〜C6アルケニル基を表すことを特徴とする、先の請求項1ないし8のいずれか1項に記載の両性多糖類化合物。
【請求項10】
2、R3及びR4が、相互に独立に、水素原子又はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、ビニル、アリル、クロトニル又はブテニル基を表すことを特徴とする、請求項9に記載の両性多糖類化合物。
【請求項11】
アンモニウム基を有するエチレン系モノマーが以下の式に対応することを特徴とする、先の請求項1ないし10のいずれか1項に記載の両性多糖類化合物:
【化5】

式中、R5、R6及びR7は、相互に独立に、水素原子、直鎖又は分岐したC1〜C22のアルキル基又は直鎖又は分岐したC2〜C22のアルケニル基を表す。
【請求項12】
5、R6及びR7が、相互に独立に、水素原子、直鎖若しくは分岐したC1〜C4アルキル基、直鎖若しくは分岐したC12〜C18アルキル基又は直鎖若しくは分岐したC2〜C6アルケニル基を表すことを特徴とする、請求項11に記載の両性多糖類化合物。
【請求項13】
5、R6及びR7が、相互に独立に、水素原子又はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、ビニル、アリル、クロトニル又はブテニル基を表すことを特徴とする、請求項12に記載の両性多糖類化合物。
【請求項14】
先の請求項1ないし13のいずれか1項に記載のスルホネート基を含む少なくとも一つの両性多糖類化合物の、化粧品におけるコンディショニング剤としての使用。
【請求項15】
ケラチン物質の化粧処置のための、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
毛髪のケア及び保護のための、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
皮膚の洗浄及びケアのための、請求項15に記載の使用。
【請求項18】
皮膚、唇及び爪をメーキャップするための、請求項15に記載の使用。
【請求項19】
請求項1ないし13のいずれか1項に記載のスルホネート基を含む少なくとも一つの両性多糖類化合物を、化粧品として受容可能な媒体中に含む、化粧組成物。
【請求項20】
化粧品組成物が該スルホネート基を含む両性多糖類化合物を、該組成物の全質量に対して0.01〜50質量%の範囲の量で含むことを特徴とする、請求項19に記載の化粧組成物。
【請求項21】
化粧品組成物が該スルホネート基を含む両性多糖類化合物を、該組成物の全質量に対して0.03〜25質量%の範囲の量で含むことを特徴とする、請求項20に記載の化粧組成物。
【請求項22】
化粧品として受容可能な媒体が、水又は少なくとも一つの有機溶媒と水との混合物を含むことを特徴とする、請求項19ないし21のいずれか1項に記載の化粧組成物。
【請求項23】
有機溶媒が、C1〜C4低級アルコール、アルキレンポリオール、ポリオールエーテル、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の化粧組成物。
【請求項24】
組成物が以下から選択する少なくとも一つの添加剤を含むことを特徴とする、請求項19ないし23のいずれか1項に記載の化粧組成物:アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性又は双性イオン性界面活性剤、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性又は双性イオン性ポリマー、増粘剤、真珠光沢剤、不透明化剤、UV−遮蔽剤、芳香剤、鉱油、植物及び/又は合成油、脂肪酸エステル、染料、揮発性又は非揮発性の、有機変性したか又は有機変性していない、環状の又は非環状の、分岐したか又は分岐していないシリコーン、無機又は有機の、天然又は合成の粒子、保存剤及びpH安定剤。

【公表番号】特表2008−514736(P2008−514736A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526408(P2007−526408)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009991
【国際公開番号】WO2006/018327
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】