説明

スルホン化脂肪酸、それらのエステル、または塩、およびベタインまたはスルタインを含む粘性液体洗浄組成物

スルホン化脂肪酸エステルの塩および/またはスルホン化脂肪酸の塩、ならびにアルキルベタインまたはスルタインを含有する、少なくとも1000 cpsの粘度を有するパーソナルケア組成物およびパーソナルケア濃縮組成物の製剤が説明される。本技術のパーソナルケア組成物は、特に、液体ハンドソープ、バスおよびシャワー用洗剤、シャンプー、2イン1または3イン1シャンプー、ふけ防止シャンプー、洗顔剤を含む。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
非限定的に、特に、液体ハンドソープ、ボディー用洗剤、シャンプー、2イン1または3イン1シャンプー、バス用洗剤、起泡性ヘアコンディショナー、洗顔剤を含むパーソナルケア製品の開発は、良好な泡立ち、良好な洗浄、良好なすすぎ、増強された穏和性、および改善された肌の感触などの性能特性の組み合わせを提供する挑戦により推進されてきた。しばしば、洗浄組成物製剤への成分の添加は、組成物またはさらに最終製品の1つの特性を増強し、別の望ましい特性を害する可能性がある。従って、当業者は、望ましい性能特性の均衡を達成するのに役立つ新たな製剤を探索してきた。最近、パーソナルケア製品において、穏和であり、かつ合成よりもむしろ天然に由来する構成要素を含む製品を開発する傾向がある。
【0002】
αスルホン化脂肪酸エステルの塩およびαスルホン化脂肪酸の塩は、主要な界面活性剤として洗剤において使用されている。それらは、液体食器洗い用洗剤および強力な液体において優れた泡立ちおよび洗浄特性を有する。米国特許第5,616,781号(特許文献1)、米国特許第5,637,758号(特許文献2)、および米国特許第5,945,394号(特許文献3)は、液体食器洗い用洗剤および強力な液体におけるそれらのハイドロトロピック(hydrotropic)界面活性剤の説明および概観を提供する。しかしながら、αスルホン化脂肪酸エステルの塩およびαスルホン化脂肪酸の塩のハイドロトロピック特性のために、これらの材料を含有する製品は通常、25℃で1,000センチポアズ(cps)未満の粘度を有する。実際に、スルホン化脂肪酸塩は、液体洗剤またはペーストにおいて粘度低下剤として使用されている(米国特許第3,377,290号(特許文献4))。αスルホン化脂肪酸エステルの塩およびαスルホン化脂肪酸の塩を基にしたパーソナルケア最終製品の粘度を作り上げることは、長年にわたって界面活性剤産業における課題であった。
【0003】
いくつかの洗浄応用例において、製品の取扱いまたは適用の容易性のために、より高い粘度が必要とされる。加えて、より高い粘度のパーソナルケア製品は、より審美的に消費者にアピールする。例えば、シャンプーまたはボディー洗浄液の粘度は、典型的に、外界温度で2,000 cpsより高い。
【0004】
αスルホン化脂肪酸エステルの塩およびαスルホン化脂肪酸の塩を基にした組成物の粘度を作り上げるために、ポリマー増粘剤が使用されている。しかしながら、ポリマー増粘剤を使用することは製品性能を変更してしまう可能性がある。製品を一続き(stringing)にし、粘着性にし、かつ粘液性にする可能性がある。いくつかの場合において、ポリマーは、製剤化製品の泡立ちおよび洗浄性能にマイナスの影響を有する。加えて、ポリマー増粘剤は界面活性剤より高価であり、かつ洗浄製品において望ましい費用/性能効率を有さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,616,781号
【特許文献2】米国特許第5,637,758号
【特許文献3】米国特許第5,945,394号
【特許文献4】米国特許第3,377,290号
【発明の概要】
【0006】
発明の簡単な概要
本技術は、αスルホン化脂肪酸エステルおよび/またはαスルホン化脂肪酸および/またはそれらの塩を含む洗浄組成物の粘度を増加させるために電解質と組み合わせて効果的に使用され得る、界面活性剤増粘剤の発見に関連する。本技術はまた、液体洗浄消費者製品として使用され得る洗浄組成物に関連する。本技術の界面活性剤増粘剤の使用はさらに、αスルホン化脂肪酸エステル、αスルホン化脂肪酸、またはそれらの塩を含む最終洗浄製品の泡立ち、洗浄、および知覚的な肌の感触特性を改善する。
【0007】
本技術の1つの局面として、粘性液体洗浄組成物が提供される。洗浄組成物は、αスルホン化脂肪酸エステルの塩またはαスルホン化脂肪酸の塩、好ましくはαスルホン化脂肪酸エステルのモノ-塩(mono-salt)およびαスルホン化脂肪酸のジ-塩(di-salt)の混合物などの、a)少なくとも1つのハイドロトロピック界面活性剤を含むか、または本質的にそれから成る。好ましくは、αスルホン化脂肪酸エステルおよび/またはαスルホン化脂肪酸は、アルキル鎖の選択された分布、例えば、C12-C18の分布を有する。洗浄組成物はまた、b)少なくとも1つのアルキルベタインもしくはスルタイン(sultaine)、または、アルキル鎖長の選択された分布を有する、2つもしくはそれ以上のアルキルベタインおよび/もしくはアルキルスルタインの混合物を含むか、または本質的にそれから成る。洗浄組成物はまた、c)約0%〜約3%の電解質または塩;d)組成物全体を100%に合わせる量で存在する水;およびe)任意で1つまたは複数の他の界面活性剤または添加物を含むか、または本質的にそれから成る。組成物は、25℃で少なくとも約1,000 cpsの粘度を有する。本技術はまた、溶液における前述の要素の組み合わせまたは混合から結果として生じる任意の製品に関連する。
【0008】
本技術の別の局面として、
a)約2%〜約70%、より好ましくは約3%〜約50%、および最も好ましくは約5%〜約30%のハイドロトロピック界面活性剤、例えば、αスルホン化脂肪酸エステルおよび/もしくはαスルホン化脂肪酸、またはそれらの1つもしくは複数の塩;
b)約1%〜約50%、より好ましくは約1%〜約30%、および最も好ましくは約2%〜約20%のアルキルベタインまたはスルタイン;
c)約0%〜約3%の有機または無機塩または電解質;ならびに
d)約0%〜約50%の他の界面活性剤および添加物;ならびに
e)組成物全体を100%に合わせる量で存在する水
を含むか、または本質的にそれから成る粘性液体洗浄組成物が提供される。好ましくは、組成物は、約1.5%〜約80%の活性濃度を有し、かつ25℃で少なくとも約1,000 cpsの粘度を有する。本技術はまた、溶液における前述の要素の組み合わせまたは混合から結果として生じる任意の製品に関連する。
【0009】
本技術の別の局面として、粘性液体洗浄組成物を製造するためのプロセスが提供される。このプロセスは、
a)約2%〜約70%、より好ましくは約3%〜約50%、および最も好ましくは約5%〜約30%のハイドロトロピック界面活性剤、例えば、αスルホン化脂肪酸エステルおよび/もしくはαスルホン化脂肪酸、またはそれらの1つもしくは複数の塩;
b)約1%〜約50%、より好ましくは約1%〜約30%、および最も好ましくは約2%〜約20%のアルキルベタインまたはスルタイン;
c)約0%〜約3%の有機または無機塩;ならびに
d)約0%〜約50%の他の界面活性剤および添加物;ならびに
e)組成物全体を100%に合わせる量で存在する水
を組み合わせる段階を含むか、または本質的にそれから成る。好ましくは、結果として生じる組成物は、約1.5%〜約80%の活性濃度を有し、かつ25℃で少なくとも約1,000 cpsの粘度を有する。本技術はまた、溶液における前述の要素の組み合わせまたは混合から結果として生じる任意の製品に関連する。
【0010】
本技術のまた別の局面として、液体洗浄組成物を製造するため、および/または、そのような液体洗浄組成物に含まれるアルキルベタインもしくはスルタインを製造するためのプロセスが提供される。そのようなプロセスは、アルキル三級アミンを他の試薬と反応させてアルキルベタインまたはアルキルスルタインを形成することにより、アルキルベタインまたはアルキルスルタイン、または異なるアルキル鎖長を有するそれらの混合物を調製する段階を含み得る。反応産物が、液体洗浄組成物、または、液体洗浄組成物を提供するために希釈され得、かつ他の界面活性剤および添加物と組み合わされ得る濃縮物としての使用に適するように、ベタインおよび/またはスルタインは、スルホン化脂肪酸エステルおよび/またはαスルホン化脂肪酸、またはいずれかもしくは両方の塩を含む媒質において調製され得る。
【0011】
本技術のさらに別の局面として、アルキルベタインまたはアルキルスルタイン、20重量%未満のアニオン性界面活性剤、および3重量%未満の塩または電解質を含むか、または本質的にそれから成り、25℃で少なくとも約1,000 cpsの粘度を有する液体洗浄組成物が提供される。本技術はまた、溶液における前述の要素の組み合わせまたは混合から結果として生じる任意の製品に関連する。
【0012】
本技術の種々の態様において、ハイドロトロピック界面活性剤は、式1の構造を有する、αスルホン化脂肪酸、そのエステル、またはそのような酸もしくはそのようなエステルの塩である:

(式中、Rは、C6-C20ヒドロカルビル基、好ましくはアルキルもしくは他のヒドロカルビル基、またはそれらの組み合わせであり、Zは、-CH3、エチル、またはXであり、Xは、H、Na、K、Ca、Mg、NH4、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、またはそれらの混合物である)。
ハイドロトロピック界面活性剤は、そのようなスルホン化脂肪酸、エステル、または塩の組み合わせであり得る。Rは、アルキル鎖長の分布を表し得る。
【0013】
本組成物および製剤は、好ましくは、式2の構造を有するアルキルベタイン、または式3の構造を有するアルキルスルタイン、または該アルキルベタインおよび/もしくは該アルキルスルタインの混合物を含む:

(式中、R1は、C8-C22ヒドロカルビル基、好ましくはアルキル、またはアルキルおよび他のヒドロカルビル基の組み合わせであり、R'は、C1-C5アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシル化アルキル、またはそれらの組み合わせである)。
【0014】
本組成物および製剤は、好ましくは、1つまたは複数の以下の塩由来の電解質を含む:
塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせ。
組成物および製剤はまた、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、およびそれらの混合物から成る群より選択される少なくとも1つの他の界面活性剤を含み得る。本組成物および製剤に任意で含まれる添加物は、皮膚軟化剤、肌または髪のコンディショニング剤、真珠光沢剤、乳化剤、懸濁化剤、香料、着色料、ハーブ抽出物、ビタミン、ビルダー、酵素、pH調整剤、保存料、抗細菌剤、ポリマー、および当技術分野において一般的に公知である他の構成要素であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】異なるアルキル鎖長を有するアルキルジメチルベタインの混合物、およびαスルホン化脂肪酸エステルの塩またはαスルホン化脂肪酸の塩を含む種々の製剤において得られる高い粘度を例証する。
【図2】本組成物の態様により実証される泡立ちにおける改善を例証する。実施例11〜14は、油の存在を伴うかまたは伴わない実施例2と比較して、より高い泡体積を実証した。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
「ハイドロトロピック界面活性剤」という用語は、(1)ある特定のわずかに水溶性である有機化合物および有機化合物の金属塩の溶解性を増加させる能力を持つ化合物であるハイドロトロープ、ならびに(2)液体の表面張力を減少させるか、または、2つの液体の間もしくは液体と固体との間の界面張力を減少させる水溶性化合物である界面活性剤として同時に挙動する化合物を指す。これらのハイドロトロピック界面活性剤はまた、二価金属塩のための封鎖剤(sequesterant)および有機化合物の金属塩のための可溶化剤としても作用する。
【0017】
ハイドロトロピック界面活性剤は、αスルホン化脂肪酸、αスルホン化脂肪酸のエステル、αスルホン化脂肪酸のジ-カチオン塩(ジ-塩)、脂肪酸のαスルホン化エステルのモノ-カチオン塩(モノ-塩)、または前述の酸、エステル、もしくは塩の任意のブレンドであり得る。好ましくは、ハイドロトロピック界面活性剤は、脂肪酸のαスルホン化メチルエステルのモノ-カチオン塩(モノ-塩)およびαスルホン化脂肪酸のジ-カチオン塩(ジ-塩)を含み、モノ-塩対ジ-塩の比は少なくとも約1:1である。そのようなモノ-カチオン塩およびジ-カチオン塩は、本明細書において説明されるパーソナルケア組成物および製剤などの水性組成物に含まれ得る。そのような塩はある程度まで解離し得るため、そのような塩を含む組成物は、別の方法で指示されない限り、そのような塩によりもたらされる解離イオンを含む組成物を指すと理解される。従って、本技術は、αスルホン化脂肪酸のジ-カチオン塩(ジ-塩)、脂肪酸のαスルホン化エステルのモノ-カチオン塩(モノ-塩)、またはそれらの組み合わせの、本明細書において示される他の要素(アルキルベタインもしくはスルタイン、および/または電解質など)を含む水溶液における組み合わせから結果として生じる任意の製品を含む。
【0018】
ハイドロトロピック界面活性剤は、活性重量で約1%〜約30%の濃度で本組成物に存在する。好ましい組成物は、活性重量で約2.5〜約20%のハイドロトロピック界面活性剤を含有する。最も好ましい組成物は、活性重量で約3.5〜約15%のハイドロトロピック界面活性剤を含有する。
【0019】
本組成物を作製するために使用されるαスルホン化アルキルエステルは、純粋なアルキルエステル、または(1)エステルを形成するアルキル部分が1〜6個の炭素原子の直鎖もしくは分岐鎖アルキルである、8〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のαスルホン化アルキルエステルのモノ-塩、および(2)αスルホン化脂肪酸のジ-塩のブレンドであり、モノ-塩対ジ-塩の比が少なくとも約1:1であるブレンドであってもよい。本技術において使用されるαスルホン化アルキルエステルは、脂肪酸のアルキルエステルをSO3などのスルホン化剤でスルホン化することにより調製され得る。本様式において調製されるとき、αスルホン化アルキルエステルは通常、33重量%を超過しない少量の、エステルの加水分解から結果として生じるαスルホン化脂肪酸のジ-塩を含有する。好ましいαスルホン化アルキルエステルは、約10重量%未満の、対応するαスルホン化脂肪酸のジ-塩を含有する。
【0020】
アルキルエステルスルホナート界面活性剤としてもまた公知であるαスルホン化アルキルエステルは、「The Journal of American Oil Chemists Society」, 52 (1975), pp. 323-329に従ってガス状SO3でスルホン化されるC8〜C20カルボン酸(すなわち、脂肪酸)の直鎖エステルを含む。適当な出発材料は、ココヤシ、獣脂、パーム油などに由来するような天然の脂肪物質を含むと考えられる。
【0021】
好ましいαスルホン化脂肪酸エステル、αスルホン化脂肪酸、およびそれらの塩は、式1の構造を有する:

(式中、Rは、C6-C20ヒドロカルビル基、好ましくはアルキル基、またはアルキルおよび他のヒドロカルビル基の組み合わせであり;Zは、直鎖または分岐鎖C1-C6ヒドロカルビル、好ましくはアルキル、またはXであり、Xは、H、Na、K、Ca、Mg、NH4、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、またはそれらの混合物である)。
この範疇における例示的な製品は、Stepan Company, Northfield, Illinois由来のALPHA-STEP(登録商標)PC-48、ALPHA-STEP(登録商標)MC-48、ALPHA-STEP(登録商標)BSS-45、およびALPHA-STEP(登録商標)P-65を含む。Rは、アルキルベタインおよびアルキルスルタインに関して、アルキル鎖長の分布、例えば、下記に示されるアルキル鎖分布の1つであり得る。
【0022】
本組成物および製剤はまた、アルキルベタインまたはアルキルスルタインを含む。「アルキルベタイン」という用語は、式2の一般構造を有する化合物を指し、および「アルキルスルタイン」という用語は、式3の一般構造を有する化合物を指す:

(式中、R1は、C8-C22ヒドロカルビル基、好ましくはアルキル基、またはアルキルおよび他のヒドロカルビル基の組み合わせであり;R'は、C1-C5アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシル化アルキル、またはそれらの組み合わせである)。
前述の式2から、アルキルベタインという用語はアルキルアミドプロピルベタインを含まず、かつアルキルスルタインという用語はアルキルアミドプロピルスルタインを含まないことになる。本技術は、部分的に、アルキルベタインおよび/またはアルキルスルタインを含む製剤は、ココアミドプロピルベタインを含む匹敵する製剤より良好な特性を有するという驚くべき発見に基づく。多くの先行技術洗浄組成物においてココアミドプロピルベタインは好ましいベタインであるため、これは驚くべきことである。
【0023】
本組成物および製剤は、好ましくは、異なるアルキル鎖長を有する2つまたはそれ以上のアルキルベタインおよび/またはアルキルスルタインの混合物を含む。例えば、組成物または製剤に存在するアルキルベタインおよび/またはアルキルスルタインにおいてアルキル鎖長の選択された分布を提供するために、2つまたはそれ以上のアルキルベタインおよび/またはアルキルスルタインが含まれ得る。下記でより詳細に議論されるように、異なるアルキル鎖長を有するアルキルベタインの混合物は、粘度を作り上げる特性および泡立ち特性を改善し得ることが、驚くべきことに見出されている。アルキルベタインまたはアルキルスルタインの混合物は、C8-C22分布、C8-C20分布、C8-C18分布、C8-C16分布、C8-C14分布、C8-C12分布、C8-C10分布、C10-C22分布、C10-C20分布、C10-C18分布、C10-C16分布、C10-C14分布、C10-C12分布、C12-C22分布、C12-C20分布、C12-C18分布、C12-C16分布、C12-C14分布、C14-C22分布、C14-C20分布、C14-C18分布、C14-C16分布、C16-C22分布、C16-C20分布、C16-C18分布、C18-C22分布、C18-C20分布、またはC20-C22分布などの、アルキル鎖長の選択された分布を有し得る。好ましくは、アルキルジメチルベタインまたはアルキルジメチルスルタインの混合物は、アルキル鎖長のC8〜C22分布、より好ましくはC12〜C18分布;最も好ましくはC12〜C16分布を有する。C8、またはC10、またはC12、またはC14、またはそれらの任意の組み合わせから、C16、またはC18、またはC20、またはC22、またはそれらの任意の組み合わせの間の好ましいアルキル鎖の比は、約5/95〜約95/5である。アルキルベタインの混合物は、例えば、セチルジメチルベタイン、ココジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ベヘニルベタイン、およびラウリルジメチルベタインの2つまたはそれ以上の混合物であり得る。
【0024】
本技術のまた別の局面として、液体洗浄組成物を製造するため、および/または、そのような液体洗浄組成物に含まれるアルキルベタインもしくはスルタインを製造するためのプロセスが提供される。アルキル三級アミンの混合物(例えば、セチルジメチルアミンおよびココジメチルアミン)を組み合わせる段階、ならびにアルキル三級アミンを他の試薬(例えば、モノクロロ酢酸)と反応させる段階により、異なるアルキル鎖長を有する1つまたは複数のアルキルベタインまたはアルキルスルタインを含む混合物を製造するためのプロセスが提供される。本プロセスの利点は、C14より大きいアルキル鎖長を有するアルキルベタインまたはスルタインの高い粘度またはゲル化を回避することである。1つまたは複数のアルキル三級アミンを、水ならびにスルホン化脂肪酸および/またはαスルホン化脂肪酸、またはいずれかもしくは両方の塩を含む希釈剤に添加する段階、ならびにアルキル三級アミンを他の試薬(例えば、ハロカルボン酸)と反応させる段階により、1つまたは複数のアルキルベタインまたはアルキルスルタインを作製するための別のプロセスが提供される。アルキルベタインまたはアルキルスルタイン、またはベタインおよび/もしくはスルタインの混合物を製造するための前述のプロセスのいずれかまたは両方は、洗浄組成物を製造するためのプロセスに組み入れられ得る。例えば、液体洗浄組成物を製造するためのプロセスは、水ならびにスルホン化脂肪酸、それらのエステル、およびそれらの塩を含むALPHA-STEP(登録商標)PC-48においてココジメチルアミンおよびセチルジメチルアミンを組み合わせる段階、ならびに三級アミンをモノクロロ酢酸と反応させて、セチルジメチルベタイン、ココジメチルベタイン、ナトリウムスルホン化メチルC12-C18エステル(モノ)、およびジナトリウムスルホン化C12-C18脂肪酸の4つの成分システムを形成する段階により、アルキルジメチルベタインの混合物を調製する段階を含み得る。
【0025】
本技術はまた、液体洗浄組成物のための濃縮物を提供する。そのような濃縮物は、最終用途に適する液体洗浄組成物を提供するために、水または別の溶媒で希釈され得、ならびに任意で他の界面活性剤、塩、および/または添加物と組み合わされ得る。
【0026】
本組成物および製剤はまた、1つまたは複数の電解質を含み得る。「電解質」という用語は、水においてもしくは本組成物および製剤において、またはそれらと接触したときにイオン伝導性を提供するであろう物質を含み;そのような物質は固体または液体のいずれかであってもよい。「塩」という用語は、水に溶解されたときまたは水と接触したときに1つまたは複数の電解質を提供するイオン化合物を含む。塩は、有機または無機であり得る。好ましい塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせである。好ましい電解質は、好ましい塩の解離から結果として生じるものである。塩は、本液体洗浄組成物中に添加されるかまたは含まれる前は典型的に固体であるが、その後、液体組成物において電解質を提供するように部分的にまたは完全に解離する。
【0027】
本技術の洗浄組成物はまた、他の界面活性剤および添加物などの、使用に適する他の任意の構成要素を含有してもよい。追加的な界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性、双性イオン性、半極性非イオン性、カチオン性、およびそれらの混合物であり得る。
【0028】
本技術での使用に適するアニオン性界面活性剤の例は、非限定的に、スルホン化アルキルベンゼン、スルホン化αオレフィン、スルホン化パラフィン、アルキルスルファート、アルキルアルコキシスルファート、アルキルアルコキシカルボキシラート、アルキルホスファート、アルキルアルコキシホスファート、アルキルスルホン化およびアルキルアルコキシル化スルファート、脂肪石けん、アシルラクチラート、アルキルスルホアセテート、アルキルスルホスクシナート、アルキルアルコキシスルホスクシナート、アシルグルタメート、アルキルサルコシナート、アシルメチルタウラート、アシルイセチオナート、アシルアンホアセタート、ならびにそれらの組み合わせまたは混合物を含む。さらなる例は、「Surface Active Agents and Detergents」(Schwartz、Perry、およびBerchによる、第IおよびII巻)において示され、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。本技術での使用に適するアニオン性界面活性剤のさらなる例はまた、一般に、1975年12月30日にLaughlinらに発行された米国特許第3,929,678号において、「Anionic Detergents」という表題の下、23段58行目から29段23行目に開示され、その内容もまた参照により本明細書に組み入れられる。
【0029】
本技術での使用に適する非イオン性界面活性剤の例は、非限定的に、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルアルコール、アルキルアルコールエトキシラート、アルキルフェニルエトキシラート、プロピレングリコール、プロピレングリコールエステル、エチレングリコールエステル、エトキシ化グリコールエステル、ポリプロピレングリコールエステル、スクロースエステル、スクロトリグリエリド(sucrotriglyeride)、アルキル脂肪酸エステルアルコキシラート、アルキルグルカミド、ソルビタンエステル、スクローストリグリセリド、ポリグリセロールエステル、脂肪酸アミド、エトキシ化脂肪酸アミド、アルキルラクチルラクテート、およびそれらの組み合わせを含む。本技術での使用に適する非イオン性界面活性剤のさらなる例はまた、一般に、1975年12月30日にLaughlinらに発行された米国特許第3,929,678号において、13段14行目から16段6行目に開示され、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0030】
本技術での使用に適するカチオン性界面活性剤の例は、非限定的に、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、四級化セルロース、四級化グアーガム、TEAエステルアミンエステルクアット(TEA esteramine esterquat)、アミドクアット(amidoquat)、およびステアリルアミドプロピルジメチルアミンクアット(stearylammidopropyl dimethyl amine quat)、およびそれらの組み合わせを含む。本技術での使用に適するカチオン性界面活性剤のさらなる例はまた、一般に、1980年10月14日にCambreに発行された米国特許第4,228,044号において開示され、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0031】
本技術での使用に適する双性イオン性界面活性剤の例は、非限定的に、アミンオキシド、アミドプロピルベタイン、アミドプロピルスルタイン、アンホアセタート、およびプロピオナートを含む。本技術での使用に適する双性イオン性界面活性剤のさらなる例はまた、一般に、1975年12月30日にLaughlinらに発行された米国特許第3,929,678号において、19段38行目から22段48行目に開示され、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0032】
本技術での使用のための適当なポリマー添加物およびレオロジー改良剤は、ポリマーまたはコポリマーであり得、およびアニオン性、非イオン性、両性、またはカチオン性形態であり得る。本技術での使用のための適当なポリマー添加物は、好ましくは、水溶性または水分散性である。本技術のポリマー添加物のいくつかの例は、ポリアクリル酸およびその塩、ポリアクリラート、ポリアクリルアミド、アクリラートおよびアクリルアミドのコポリマー、アクリラートおよびヒドロキシエステルアクリラートのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセタート、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、加工デンプン、加工キサンタンピロガム(xanthan pyrrogum)、カチオン性セルロース、カチオン性デンプン、加工グアーガム、ビニルピロリドンおよびジメチルアミノエチルメタクリラートのコポリマー、ビニルピロリドンおよびビニルアセタートのコポリマー、カルボキシル化ビニルアセタートのコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエステル、それらの誘導体、ならびにそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0033】
本技術での使用に適する他の任意の構成要素は、例えば、皮膚軟化剤、肌コンディショニング剤、乳化剤/懸濁化剤、香料、着色料、ハーブ抽出物、ビタミン、ビルダー、酵素、pH調整剤、キレート剤、アミノ酸、感覚改良剤、肌のしわの軽減、紫外線吸収剤、剥脱剤、保存料、および抗細菌剤を含む。本技術での使用に適する皮膚軟化剤のいくつかの例は、非限定的に、植物油、鉱油、シリコーン油、ワセリン、ポリグリセロールメチルエステル、エステル、グリセリン、および遊離脂肪酸を含む。
【0034】
本技術の洗浄組成物は、25℃で、少なくとも約1,000 cps、あるいは少なくとも約1,500 cps、あるいは少なくとも約2,000 cps、あるいは少なくとも約2,500 cps、あるいは少なくとも約3,000 cps、あるいは少なくとも約3,500 cpsの粘度を有する。好ましい粘度範囲は、1,000〜50,000 cpsである。より好ましい粘度は、2,500〜20,000 cpsである。最も好ましい粘度範囲は、3,500〜15,000 cpsである。
【0035】
本技術の洗浄組成物はまた、泡立ちおよび肌の感触において既存の洗浄組成物を超える改善を実証した。これらの利点は、提供される実施例と共に実証されるであろう。
【0036】
さらに、本技術の別の態様において、アルキル鎖長の選択された分布を伴うアルキルベタインまたはスルタインは、「ナローカット(narrow cut)」のアルキルベタインまたはスルタインと比較してより良好な粘度を作り上げる特性および泡立ち特性を呈することが、驚くべきことに見出された。「ナローカット」とは、ラウリルベタインまたはステアリルベタインなどの狭いアルキル鎖分布を指す。アルキル鎖長の選択された分布はまた、セチルベタイン、ステアリルベタイン、ベヘニルベタイン、セチルスルタイン、ステアリルスルタイン、およびベヘニルスルタインなどの長鎖ベタインまたはスルタインの加工処理性を改善することができる。選択されたアルキル鎖分布を伴うアルキルベタインまたはスルタインは、一般的に使用されるココアミドプロピルベタインと比較してアニオン性界面活性剤を基にした組成物の粘度を作り上げることにおいてより効率的であることもまた、見出された。アルキルベタイン分布混合物の相乗効果が、提供される実施例において実証されるであろう。
【0037】
ハイドロトロピック界面活性剤を含む本技術のいくつかの適当な液体洗浄組成物は、例えば、パーソナルケア肌洗浄製品およびヘアケア製品を含む。パーソナルケア組成物は、例えば、活性重量で組成物の約0.1%〜約99%、あるいは約0.5%〜約99%、あるいは約1.0%〜約99%、あるいは約1.0%〜約80%、あるいは約2%〜約70%、あるいは約2%〜約60%、あるいは約3%〜約50%、あるいは約5%〜約30%、あるいは約5%〜約20%の量において、式1のものなどのハイドロトロピック界面活性剤を含み得る。本技術はまた、少なくとも約20%、あるいは少なくとも約30%、あるいは少なくとも約40%、あるいは少なくとも約50%、あるいは少なくとも約60%、あるいは少なくとも約70%のハイドロトロピック界面活性剤を含み、そのようなパーセンテージは濃縮物における活性重量による、パーソナルケアまたは洗浄濃縮物に関連する。前述は、その間の任意の範囲またはパーセンテージを含む。
【0038】
本技術のいくつかの態様は、活性重量で組成物の約1%〜約85%の少なくとも1つのアルキルベタインまたはスルタイン、好ましくは活性重量で約1%〜約50%、より好ましくは約1%〜約30%、最も好ましくは約2%〜約20%の該アルキルベタインまたはスルタインを含むパーソナルケア製品の組成物を提供する。あるいは、少なくとも1つのアルキルベタインまたはスルタインは、約1%〜約75%、約1%〜約60%、約1%〜約50%、約1%〜約40%、約1%〜約30%、約2%〜約20%、約2%〜約15%、約3%〜約10%、または約3%〜約5%であり得る。本技術はまた、重量で組成物の約5%〜約70%、あるいは約5%〜約60%、あるいは約5%〜約50%、あるいは約5%〜約40%、あるいは約5%〜約30%、あるいは約5%〜約20%、あるいは約5%〜約10%、あるいは約10%〜約60%、あるいは約10%〜約50%、あるいは約10%〜約40%、あるいは約10%〜約30%、あるいは約10%〜約20%、あるいは約15%〜約60%、約20%〜約40%、あるいは、重量で濃縮物の約1%〜約10%、約1%〜約20%、あるいは約5%〜約30%の量において少なくとも1つのアルキルベタインまたはスルタインを含むパーソナルケアまたは洗浄濃縮物に関連する。前述は、その間の任意のパーセンテージまたは範囲を含む。
【0039】
本技術のいくつかの態様は、活性重量で組成物の約0%〜約3%の少なくとも1つの電解質を含む液体洗浄組成物、または、活性重量で組成物の約0.5%〜約2%の少なくとも1つの塩を含む成分から調製される液体洗浄組成物を提供する。本技術のいくつかの態様において、上述の組成物は、追加的な界面活性剤をさらに含む。追加的な界面活性剤は、活性重量でパーソナルケア組成物の約0.1%〜約85%、好ましくは活性重量でパーソナルケア組成物の約0.1%〜約50%、あるいは活性重量で約0.1%〜約30%であり得る。あるいは、追加的な界面活性剤は、活性重量で組成物の約0.1%〜約75%、約0.1%〜約60%、約0.1%〜約50%、約0.1%〜約40%、約0.1%〜約30%、約0.1%〜約20%、約0.1%〜約15%、約0.1%〜約10%、約0.1%〜約5%、あるいは約1%〜約75%、約1%〜約60%、約1%〜約50%、約1%〜約40%、約1%〜約30%、約1%〜約20%、約1%〜約15%、約1%〜約10%、約1%〜約5%、あるいは約5%〜約70%、あるいは約5%〜約60%、あるいは約5%〜約50%、あるいは約5%〜約40%、あるいは約5%〜約30%、あるいは約5%〜約20%、あるいは約5%〜約10%、あるいは約10%〜約60%、あるいは約10%〜約50%、あるいは約10%〜約40%、あるいは約10%〜約30%、あるいは約10%〜約20%、あるいは約15%〜約60%、約20%〜約40%、あるいは、重量で組成物の約1%〜約10%、約1%〜約20%、あるいは約5%〜約30%であり得、かつその間の任意のパーセンテージまたは範囲を含む。
【0040】
本明細書において説明される液体洗浄組成物は、好ましくは、水が主な担体/媒体/希釈剤である液体の形態である。あるいは、より好まれないが、アルコールなどの他の溶媒が、水との組み合わせで利用されてもよい。液体洗浄組成物における水の量は、好ましくは、重量で組成物の約3%〜約99%である。組成物全体を100%に合わせるために、十分な量の水が添加され得る。
【0041】
さらに、少なくとも当業者により認識されるように、様々な担体、媒体、希釈剤などが、網羅的でない様式で本技術の実施における使用に適する。従って、担体、媒体、および希釈剤という用語は、本技術に関して、および種々の製剤、適用、組成物などを説明する段階において、網羅的でなくかつ互換的であると考えられるべきであることもまた認識されるであろう。
【0042】
本技術のいくつかの態様において、水に不溶の構成要素を可溶化するのを助けるため、粘度を減少させるため、および泡立ち能力を増加または減少させるために、式1の組成物がパーソナルケア製品またはヘアケア製品に含まれ得る。本技術のパーソナルケア組成物は、用途に応じて望ましい粘度および泡立ち能力を提供するように製剤化されてもよい。例えば、感触が心地よいが、妥当な量の製剤がハンドポンプ式の送達器具の適切な大きさの開口部を通して容易に送達されることを可能にする粘度を有する、ポンプで汲み出すことが可能である(pumpable)かまたはフィンガーポンプフォーマー(finger pump foamer)のハンド洗浄剤が望ましい場合がある。
【0043】
本技術のいくつかの態様において、所望の使用またはパーソナルケア組成物が使用される地域もしくは国の規格に合うよう製品の粘度を調整するために、式1記載のαスルホン化脂肪酸エステルの塩またはαスルホン化脂肪酸の塩の添加が使用され得る。例えば、約1,000 cPs(すなわち、センチポアズ)〜約3,000 cPsの粘度を有する製剤がいくつかの用途のために企図され、他方で、約20 rpmの速度を有するBrookfield粘度計モデルRVT、スピンドル#4または#5を使用して25℃で測定される約2,000 cPs〜約20,000 cPsの粘度が、他の用途のために企図される。
【0044】
本明細書で説明されている技術の製剤は、液体洗浄組成物として、好ましくはボディー用洗剤、ハンド用洗剤、洗顔剤、シャンプー、起泡性ヘアコンディショナーなどとして単独で使用されてもよい。あるいは、他の最終製品の中で、ポンプで汲み出すことが可能である液体ハンド洗浄剤、2イン1シャンプー、ゲル状ボディー用洗剤、バス用洗剤、液体食器用洗剤、液体洗剤などの様々な異なる使用のために本組成物をより好ましくするように、他の任意の構成要素が添加されてもよい。
【0045】
任意で、パーソナルケア製品組成物は、少なくとも1つの添加物を含み得る。適当な添加物は、例えば、粘度改良剤、電解質、増粘剤、皮膚軟化剤、肌コンディショニング剤、乳化剤/懸濁化剤、香料、着色料、ハーブ抽出物、ビタミン、ビルダー、酵素、pH調整剤、キレート剤、アミノ酸、感覚改良剤、肌のしわの軽減、紫外線吸収剤、剥脱剤、保存料、抗微生物剤(特に、例えば、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原生動物剤、抗蠕虫剤、それらの組み合わせ)、ふけ防止剤、および当技術分野において一般的に公知である他の構成要素を含むが、それらに限定されない。
【0046】
例えば、特定の洗浄組成物のために望ましい粘度を達成するように、必要な場合追加的な増粘剤が添加されてもよい。そのような粘稠化剤は、例えば、エステルクアット、アミドクアット、ステアリルアミドプロピルジメチルアミンクアットなどの単量体粘稠化剤、または、セルロースポリマー、ならびにアクリルポリマーおよびコポリマーなどのポリマー粘稠化剤を含んでもよい。あるいは、洗浄製品は、例えば、ヒドロキシプロピルグアーガムなどの、水和、膨張、または分子的に会合して濃度を提供するポリマー添加物を使用することにより粘稠化されてもよい。他の適当な粘稠化剤は、非限定的に、Handbook of Water-Soluble Gums and Resins, Robert L. Davidson, McGraw-Hill Book Co., New York, NY 1980の用語解説ならびに第3、4、12、および13章に列挙されているものを含んでもよく、その完全な事項は本明細書に組み入れられる。洗浄能力を助長するために、脂肪酸石けん、ビルダー、および追加的な界面活性剤が添加されてもよい。コンディショニング性能をさらに改善するために、皮膚軟化剤(非限定的に、植物油、鉱油、シリコーン油、ワセリン、ポリグリセロールメチルエステル、およびエステルを含む)、肌コンディショニング剤(グリセリンおよび遊離脂肪酸など)、ビタミン、ならびにハーブ抽出物が添加されてもよい。 最終製剤の外見および嗅覚特性をさらに向上させるために、香料、色素、不透明化剤、および真珠光沢剤もまた添加されてもよい。
【0047】
本技術の実施における使用に適するビルダーは、例えば、主要な目的が、カルシウムおよびマグネシウムなどの多価カチオンの界面活性への有害効果を相殺することである、洗浄組成物において使用される剤である。加えて、ビルダーは、界面活性剤の洗浄効率および有効性を増加させるように、かつ汚れの除去への有益な効果を補うように働く。本技術の実施における使用に適するビルダーの例は、特に、クエン酸ナトリウム、ポリカルボキシラート、炭酸ナトリウム、アルミノケイ酸ナトリウム(例えば、PQ Corporation, Valley Forge, Pennsylvania.より市販されているZeolite A)を含むが、それらに限定されない。本技術の実施における使用に適する追加的なビルダーは、John Wiley & Sons, Inc. Hoboken: New Jersey (2004)により刊行されたMilton J. Rosenによる「Surfactants and Interfacial Phenomena」第三版に記載されており、そのような例は参照により本明細書に組み入れられる。
【0048】
本技術の製剤における使用のための保存料は、パーソナルケア製品のための任意の適当な保存料であり、かつ、酸性物質(acidics)およびフェノール類、例えば、安息香酸および塩、ソルビン酸および塩、プロピオン酸および塩、ホウ酸および塩、デヒドロ酢酸、亜硫酸およびバニリン酸、Ottasept(登録商標)(Ottawa Chemical Company (Toledo, OH)から入手可能)、Irgasan DP 300(登録商標)(Geigy Chemical Corporation (Ardsley, NY)から入手可能)を含むが、それらに限定されない。パーソナルケア製品のための追加的な適当な保存料は、参照により全体として組み入れられる、2006年、David S. SteinbensによるPreservatives for Cosmetics Manual第二版において見出され得る。
【0049】
本技術の実施における使用のための適当な抗微生物剤は、1つまたは複数の抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗原生動物剤、抗蠕虫剤、抗真菌剤、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。例えば、適当な抗微生物剤は、参照により全体として組み入れられる、McCutcheons' 2009 Functional Materials of North American Edition、第2巻、2009年、239-246ページにおいて見出され得る。
【0050】
他の適当な抗微生物物質は、LDL抗微生物成分、トリクロサン、n-アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、n-アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、フェノール類、ヨードフォア、マツ油、メチルサリチラート、モルホリン、銀、銅、臭素、および四級アンモニウム化合物、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されず、ハンドソープ製剤において使用されるようなポリクオタニウムシリーズ、および、米国特許第6,605,579号において開示されるような3,4,4'トリクロロカルバニリドを含むが、それらに限定されない。
【0051】
追加的に、シリコーン誘導体、例えば、ジメチルポリシロキサンが、肌の感触および髪へのコンディショニング特性を増強するために利用されてもよい。さらに、ふけ防止剤が、ヒト対象の頭皮上のふけを制御するために利用されてもよい。
【0052】
本明細書における組成物およびそのような組成物を産生する方法は、それらが約4.0〜約8.5、好ましくは約5.0〜約7.0、あるいは約5.0〜約6.5、あるいは約5.0〜約6.0のpHを有するように製剤化されてもよく、および実施されてもよい。推奨された使用量レベルでpHを制御するための技術は、緩衝液、アルカリ、酸などの使用を含み、かつ、当業者に周知である。任意のpH調整剤は、クエン酸、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどを含み得るが、それらに限定されない。
【実施例】
【0053】
以下の実施例は、本技術を詳細にさらに説明する。変動が当業者に明白であろうため、これらの実施例は本発明の範囲を限定するようには意図されない。
【0054】
性能評価
表Aは、本技術の例示的な組成物において使用する種々の成分の商品名および説明を提供する。
【0055】
(表A)商品名および略語


【0056】
例示的な組成物の各々、および「対照組成物」と表示される任意の組成物を、脱イオン水中で調製した。すべての実施例において使用する材料を、活性材料のパーセンテージで表現する。各組成物の最終pHは、水酸化ナトリウムまたはクエン酸のいずれかの25%溶液を使用して5〜6に調整した。
【0057】
粘度測定試験法:
粘度を、10または20 rpmのいずれかの速度でスピンドル4番または5番を使用して、Brookfield RVT粘度計で測定した。いくつかの製剤の粘度はまた、25℃および1 1/s(秒の逆数)剪断速度で4cmコーンプレート形状を使用して、Rheologist AR2000レオメーター(TA instruments由来)で測定した。
【0058】
シリンダー反転泡試験法:
1.25℃の水道水中0.2%活性試料溶液を調製する。
2.100.0gの0.2%試料溶液を500 mlメスシリンダーに添加する。泡を最小限に保つ。
3.2.0gのヒマシ油をメスシリンダーに添加し、シリンダーを密封する。
4.メスシリンダーを機械的振盪泡装置に配置する。シリンダーを10回反転させる。
5.15秒間泡を鎮静させる。泡全体の高さの初期読み取り値を記録する。5分後に再び泡の高さを記録する。
【0059】
ヒトパネル試験法:
実施例についての肌の感触評価を、インビボヒト専門家パネル試験を使用して実施した。各試験のために、異なる肌タイプ(乾燥、標準、および湿潤)を有する3〜12人の訓練されたパネリストを選択した。パネリストの肌タイプを、本明細書においてNovaメーターと呼ぶNova Technology Corporation, Portsmouth, New Hampshireより入手可能な湿度メーターを使用して測定した。Novaメーターによる100未満の読み取り値は乾燥肌を表し、110-130は標準肌を表し、および130以上は湿潤肌を表す。1が最も悪くかつ5が最も良い、1〜5の尺度で、試験する各組成物の性能を各々評価することを、パネリストに求めた。試験する各組成物について、パネリストの個々の評価をその後平均し、かつ記録した。
【0060】
結果を下記に提供する表6に示すが、対照組成物を使用した試験において、相対比較の数値に到達するように対照組成物の平均スコアを各試験組成物のスコアから差し引いた。各特性について対照試料のスコアはゼロであり、かつ試験組成物についてのスコアは正、負、またはゼロのいずれかである。従って、正の数値は、試験した製剤が対照より良好に機能したことを示す。負の数値は、製剤が対照より劣って機能したことを示し、かつゼロは、試料と対照との間の同等の性能を示す。
【0061】
試験の間、下記に説明する手順に従って手を洗い、かつ洗浄および乾燥手順の間の以下の特徴:泡立ちの早さ(flash foam)、泡の感触、泡体積および粘着性を評価することを、パネリストに求めた。肌の柔らかさ、肌の乾燥、および肌の堅さを、肌が完全に乾燥した後に評価した。乾燥の間の粘着性を鑑定するために、いくつかの製品は湿った段階から乾燥した段階への移行の間に肌上へ粘り気のある/粘着性の感触を与え得ることを、パネリストに教えた。粘着性は、同じ手の指を互いに接触させることにより、または指を分離するために必要とされる力により評価することができる。乾燥時の肌の堅さを鑑定するために、いくつかの製品は肌が完全に乾燥した後肌が堅いまたは引っ張られたように感じさせ得ることを、パネリストに教えた。手が完全に乾いたことを確信するまでこの特性を評価するべきでないことを、パネリストに指示した。同様に、肌の乾燥は、一旦手が完全に乾いてから評価した。肌の柔らかさを鑑定するために、触るといかに柔らかくかつ滑らかに肌が感じるかを特徴付けるよう、パネリストに指示した。製品はしばしば、肌の感触を乾燥しているが滑らかにすることができる。正の極値は、滑らかなビロード状の感触であり、かつ正反対は、いくらかザラザラした感じを伴う粗い感触の肌であると考えられる。公正なかつ偏見のない比較を得るために、すべての試料をコード化した。
【0062】
各組成物について:
1.パネリストに、組成物で手を予洗し、肌から残分を除去し、かつ評価前のベースラインを確立するように求めた。
2.試験は、微温(95゜Fおよび105゜F)の水道水を使用して行った。
3.シリンジを使用して、1 mlの15%液体洗浄製品をパネリストの湿った手掌に分配し、その後1 mlの水を分配した。
4.パネリストに、30秒間手を互いに穏やかにすり合わせ、その後15秒間流水の下ですすぐことにより手を洗うように求めた。
5.手洗い工程の間に生じた泡を回収し、目盛り付きビーカー中に移した。泡体積を測定し、記録した。
6.肌の感触の評価を外界温度(25℃)で行った。
【0063】
サロン半頭(half-head)試験法:
1.乾いた髪を櫛でとかし、2つの区分(半頭)に分割する。徹底的に髪を湿らせる。
2.使い捨てシリンジを使用して、4 mlの各シャンプーを適用する(対照を一方の側、実験用をもう一方の側に適用)。
3.泡を引き起こすように8回の円運動を使用して各側を洗う。
4.泡体積、密度、安定性、およびすすぎ性(rinsability)について対照および実験用シャンプーを評価する。
5.髪を水道水で10秒間すすぐ。2 mlの各シャンプーを使用して、1〜4の手順を繰り返す。その後10秒間すすぐ。
6.泡体積、密度、安定性、およびすすぎ性について対照および実験用シャンプーを評価する。
7.プラスチックの櫛を使用して、2回目のシャンプー後、絡みおよび湿った髪の櫛通り能力(wet comb ability)の特性を評価する。
8.髪をドライヤーで乾かし、かつ、乾いた髪の櫛通り能力(dry comb ability)、静電気、ボリューム(body)、および輝きについて評価する。
【0064】
各組成物の性能を、対照と比較して、0は同等の性能であり、1はわずかにより良く、2は目立ってより良く、および3は明白により良い、0〜3の尺度で試験した。試験する各組成物について、各パネリストの個々の評価をその後平均し、かつ記録した。
【0065】
表1における実施例1〜10は、アルキルジメチルベタインとの組み合わせでαスルホン化脂肪酸エステルの塩およびαスルホン化脂肪酸の塩を含む本技術の高粘度洗浄組成物を例証する。対照1および2は、αスルホン化脂肪酸エステルの塩およびαスルホン化脂肪酸の塩との組み合わせでアルキルアミドプロピルベタインを含む製剤である。実施例7および対照1は、同一のココ(C8-18)アルキル鎖源に由来し;実施例8および対照2は、同一のラウリル(C12)アルキル鎖源に由来する。しかしながら、実施例7および8がアルキルベタインを含有し、他方で対照1および2がアルキルアミドプロピルベタインを含有する点で、製剤が異なる。同一の試験条件の下で、実施例7および実施例8は3,000 cpsより大きい粘度を有し、他方で対照製剤1および2は200 cpsまたはそれより小さい粘度を有する。これらの結果は、アミド結合を伴わないアルキルジメチルベタインが、αスルホン化脂肪酸エステルの塩およびαスルホン化脂肪酸の塩を基にした組成物の粘度を作り上げるための鍵となる分子構造であることを示唆する。
【0066】
表2における実施例11〜19は、αスルホン化脂肪酸エステルの塩およびαスルホン化脂肪酸の塩を含む組成物のための増粘剤としての、異なるアルキル鎖長を有するアルキルジメチルベタインの混合物を実証する。これらのアルキルジメチルベタインの混合物は、αスルホン化脂肪酸エステルの塩またはαスルホン化脂肪酸の塩を基にした製剤の粘度を効率的に作り上げることができる。実施例19を対照製剤3と比較すると、アルキルジメチル構造が、αスルホン化脂肪酸エステルの塩およびαスルホン化脂肪酸の塩を基にした組成物の粘度を作り上げるための鍵であることがさらに証明された。適切な濃度の塩を添加することにより、実施例製剤のいくつかについて10,000 cpsを超過する粘度を達成することができる。実施例2および実施例11〜14の粘度塩応答を、図1に例証する。実施例17および18は、パーソナルケア濃縮物の実施例である。
【0067】
加えて、セチル(C16)ベタインなどの「ピュアカット(pure cut)」のアルキルジメチルベタインと比較したとき、アルキルジメチルベタインの混合物におけるアルキル鎖長の選択された分布が、αスルホン化脂肪酸エステルの塩およびαスルホン化脂肪酸の塩を含む洗浄組成物の泡立ち性能を改善できることが、驚くべきことに見出された。泡立ちにおける改善を、図2に示す。実施例11〜14は、ヒマシ油の存在の有無にかかわらず、実施例2と比較してより高い泡体積を実証する。実施例11〜14はまた、今日パーソナルケア用途において最も一般的に使用される洗浄組成物である対照4の製剤と比較して、同等の泡立ち性能を有する。
【0068】
αスルホン化脂肪酸エステルの塩および/またはαスルホン化脂肪酸の塩を含む粘性液体洗浄組成物はまた、他の界面活性剤および添加物と組み合わせることができる。表3および4における実施例20〜40は、本技術を他の界面活性剤および添加物と組み合わせる概念を実証する。
【0069】
実施例41および42は表5に記載され、かつそれらは、αスルホン化脂肪酸エステルの塩および/またはαスルホン化脂肪酸の塩を基にした組成物の粘度を作り上げる段階において、アルキルジメチルスルタインがアルキルジメチルベタインと同様の利点を提供することを実証する。しかしながら、対照5および6は、アルキルアミドプロピルスルタインがアルキルジメチルスルタインと同一の粘度を作り上げる利点は有さなかったことを実証する。これらの結果は再度、アルキルベタインまたはアルキルスルタインは、ハイドロトロピック界面活性剤を基にした洗浄組成物の粘度を作り上げる段階に関して、アルキルアミドプロピルベタインまたはアルキルアミドプロピルスルタインと比較して有意にかつ驚くべきことに異なることを示す。
【0070】
アルキルベタインまたはアルキルスルタインの粘稠化効果は、上記の実施例において極めて詳細に説明されている。加えて、インビボ専門家パネル手洗い試験に基づいて、選択されたアルキル鎖分布のアルキルベタインと共にαスルホン化脂肪酸エステルの塩およびαスルホン化脂肪酸の塩を含む粘性液体洗剤組成物は、泡立ち性能および使用後の肌の感触(skin after-feel)を改善したことが、驚くべきことに見出された。インビボ専門家パネルを使用して、実施例13および23の性能を対照4と比較した。この研究の結果を表6に示す。
【0071】
表6に示されたスコアは、12人のパネリストを使用した平均の数値を表す。結果は、パネリストが、泡立ちおよび使用後の肌の感触の両方において対照より実験用製剤を好んだことを実証する。本技術の実験用製剤についての泡立ちの早さおよび泡体積は、対照と比較して有意により良好に機能した。実施例13および23についての泡体積は、対照4と比較してそれぞれ55%および65%、より高い。
【0072】
本技術の実施例23を、対照4および先行する市販シャンプーに対し、半頭サロン試験法を使用してシャンプーとして試験した。3人のパネリスト由来の平均結果を表7に示す。表7における結果は、本技術の組成物(実施例23)が、対照4および先行する市販シャンプーの両方より良好な泡立ちを有したことを示す。
【0073】
(表1)αスルホン化脂肪酸エステルおよびαスルホン化脂肪酸の塩(ALPHA-STEP(登録商標)PC-48)ならびにアルキルジメチルベタインを基にした粘稠化洗浄組成物の実施例

【0074】
(表2)αスルホン化脂肪酸エステルおよびαスルホン化脂肪酸の塩(ALPHA-STEP(登録商標)PC-48)ならびにアルキルジメチルベタインの混合物を基にした粘稠化洗浄組成物の実施例

【0075】
(表3)αスルホン化脂肪酸エステルおよびαスルホン化脂肪酸の塩(ALPHA-STEP(登録商標)PC-48)、アルキルジメチルベタイン、ならびに他の添加物を基にした粘稠化洗浄組成物の実施例

【0076】
(表4)αスルホン化脂肪酸エステルおよびαスルホン化脂肪酸の塩(ALPHA-STEP(登録商標)PC-48)、アルキルジメチルベタイン、ならびに他の添加物を基にした粘稠化洗浄組成物の実施例

【0077】
(表5)αスルホン化脂肪酸エステルおよびαスルホン化脂肪酸の塩(ALPHA-STEP(登録商標)PC-48)ならびにアルキルジメチルスルタインを基にした粘稠化洗浄組成物の実施例

【0078】
(表6)インビボ手洗い性能の結果(12人のパネリスト)

【0079】
(表7)インビボサロン半頭サロン試験の結果(3人のパネリスト)

【0080】
本技術のさらに別の利点は、より高い濃度のセチル(C16)およびステアリル(C18)鎖長を含有するアルキルベタインの製造の容易性である。
【0081】
セチルベタインまたはステアリルベタインの「ピュアカット」は、非常に高い粘度および一続きになる性向のために取り扱うことが難しいことがある。アルキルベタイン混合物におけるアルキル鎖長の選択された分布は、粘度の減少のためにこれらの製品の加工および取扱いを有意に改善し得ることが、驚くべきことに見出された。セチルベタインまたはステアリルベタインの高い粘度(ゲル化)を回避するために、アルキルベタインの混合物が好ましく、かつ混合されたアルキル四級アミン原材料から直接優先的に作製され得る。表8における実施例44〜46は、実施例43の「ピュアカット」のセチルベタインと比較して、幅広い炭素分布を伴うアルキルベタインの混合物の有益性を実証する。C8、またはC10、またはC12、またはC14、またはそれらの組み合わせから、C16、またはC18、またはC20、C22、またはそれらの組み合わせの間の好ましいアルキル鎖分布は、約1/10〜約10/1である。
【0082】
アルキルベタインまたはスルタインの混合物は、C14より大きい単一のアルキル鎖長または「ピュアカット」のアルキル鎖分布を伴うベタインまたはスルタインと比較して、改善された泡立ちを有する。アルキルベタインまたはスルタインの混合物はまた、C14より小さいかまたは同等の単一のアルキル鎖長または「ピュアカット」のアルキル鎖分布を伴うベタインまたはスルタインと比較して、改善された粘稠化特性を有する。
【0083】
選択されたアルキル鎖長分布を伴うアルキルベタインの混合物は、液体洗浄システムにおいて使用される伝統的なアルキルアミドプロピルベタインを上回る非常に効率的な増粘剤として働く。アルキルベタインの混合物の粘稠化剤としての効率は、表9における実施例47〜58により実証される。これらの実施例は以下のペアにおいて比較することができる:実施例47対実施例48;実施例49対実施例50;実施例51対実施例52;実施例53対実施例54;実施例55対実施例56;および実施例57対実施例58。同一の使用濃度で、アルキルジメチルベタイン混合物は、粘稠化界面活性剤溶液においてアルキルアミドプロピルベタインよりも有意に効率的である。
【0084】
実施例59および60は、界面活性剤、ならびに、肌および髪のコンディショニング剤、泡増進剤、湿潤剤、ポリマー、着色料、香料、真珠光沢剤、pH調整剤、保存料、および他の望ましい添加物または機能的材料などの他の添加物を含有する液体洗浄製剤を例証する。これらの製剤化された実施例は、追加的な塩無しで望ましい粘度を実証した。
【0085】
実施例61、62、および63は、アルキルベタインと共に、アルキル鎖の異なる分布を有するαスルホン化脂肪酸エステルおよびαスルホン化脂肪酸の塩を含有する液体洗浄製剤を例証する。これらの製剤化された実施例は、本技術が優れた泡立ち特性を有する粘稠化洗浄組成物を提供することのもう1つの実証を提供する。
【0086】
(表8)アルキルジメチルベタインの混合物の、狭い炭素分布を伴うセチルベタインとの取扱いの比較

【0087】
(表9)様々なアニオン性界面活性剤のための増粘剤としての、アルキルジメチルベタインのアルキルアミドプロピルベタインとの比較

【0088】
(表10)添加物を含む液体洗浄実施例

【0089】
(表11)異なるアルキル鎖長のαスルホン化脂肪酸エステルおよびαスルホン化脂肪酸を有する液体洗浄組成物

【0090】
結論
本明細書において説明される態様および実施例は例証であり、かつ決して現在説明されている技術を限定しない。本明細書において説明される本技術の範囲は、添付の特許請求の範囲により定義されるかまたは意味される完全な範囲である。明細書および特許請求の範囲において、具体的に指示された場所以外では、単数形の使用は複数形を含む。さらに、本明細書において言及された任意の参照文献は、別の方法で言及されない限り、全体として参照により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つのハイドロトロピック(hydrotropic)界面活性剤;
b)少なくとも1つのアルキルベタインまたはスルタイン(sultaine);
c)活性重量で0%〜約3%の電解質;
d)水;および
e)任意で1つまたは複数の他の界面活性剤または添加物
を含み、25℃で少なくとも約1,000 cpsの粘度を有する、粘性液体洗浄組成物。
【請求項2】
ハイドロトロピック界面活性剤が、αスルホン化脂肪酸、そのエステル、該酸もしくは該エステルの塩、またはそれらの組み合わせである、請求項1記載の洗浄組成物。
【請求項3】
ハイドロトロピック界面活性剤が、式1の構造を有する、αスルホン化脂肪酸、そのエステル、該酸もしくは該エステルの塩、またはそれらの組み合わせである、請求項1記載の洗浄組成物:

式中、Rは、C6-C20ヒドロカルビル基であり、Zは、直鎖もしくは分岐鎖C1-C6ヒドロカルビル、またはXであり、Xは、H、Na、K、Ca、Mg、NH4、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、またはそれらの混合物である。
【請求項4】
Rが、アルキル鎖長の分布である、請求項3記載の洗浄組成物。
【請求項5】
式2の構造を有するアルキルベタイン、または式3の構造を有するアルキルスルタイン、または該アルキルベタインおよび該アルキルスルタインの混合物を含む、請求項1記載の洗浄組成物:

式中、R1は、C8-C22ヒドロカルビル基であり、R'は、C1-C5アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシル化アルキル、またはそれらの組み合わせである。
【請求項6】
電解質が、1つまたは複数の以下の塩由来である、請求項1記載の洗浄組成物:
塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、およびそれらの混合物。
【請求項7】
アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、およびそれらの混合物から成る群より選択される少なくとも1つの追加的な界面活性剤を含む、請求項1記載の洗浄組成物。
【請求項8】
1つまたは複数の、皮膚軟化剤、肌コンディショニング剤、真珠光沢剤、乳化剤、懸濁化剤、香料、着色料、ハーブ抽出物、ビタミン、ビルダー、キレート剤、アミノ酸、感覚改良剤、肌のしわの軽減、紫外線吸収剤、剥脱剤、酵素、pH調整剤、保存料、抗細菌剤、またはポリマーを含む、請求項1記載の洗浄組成物。
【請求項9】
a)活性重量で約1%〜約70%のαスルホン化脂肪酸、そのエステル、該酸もしくは該エステルの塩、またはそれらの組み合わせ;
b)活性重量で約1%〜約50%のアルキルベタインまたはスルタイン;
c)活性重量で0%〜約3%の有機または無機塩;および
d)活性重量で約0%〜約50%の1つまたは複数の追加的な界面活性剤;
e)活性重量で約0%〜約50%の1つまたは複数の添加物;および
f)組成物全体を100%に合わせる量で存在する水
を含む、粘性液体洗浄組成物。
【請求項10】
ハイドロトロピック界面活性剤が、式1の化学構造を有する、αスルホン化脂肪酸、そのエステル、該酸もしくは該エステルの塩、またはそれらの組み合わせである、請求項9記載の洗浄組成物:

式中、Rは、C6-C20ヒドロカルビル基であり、Zは、-CH3、エチル、またはXであり、Xは、H、Na、K、Ca、Mg、NH4、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、またはそれらの混合物である。
【請求項11】
式2の構造を有する少なくとも1つのアルキルベタイン、または式3の構造を有する少なくとも1つのアルキルスルタイン、または該アルキルベタインおよび該アルキルスルタインの混合物を含む、請求項9記載の洗浄組成物:

式中、R1は、C8-C22ヒドロカルビル基であり、R'は、C1-C5アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシル化アルキル、またはそれらの組み合わせである。
【請求項12】
活性重量で約3%〜約30%のハイドロトロピック界面活性剤を含む、請求項9記載の洗浄組成物。
【請求項13】
活性重量で約2%〜約20%のアルキルベタインまたはスルタインを含む、請求項9記載の洗浄組成物。
【請求項14】
液体洗浄製品、液体ハンドソープ、バス用洗剤、シャワー用洗剤、シャンプー、洗顔剤、液体食器洗浄剤、または硬い表面の洗浄剤である、請求項9記載の洗浄組成物。
【請求項15】
式2のアルキルベタインまたは式3のアルキルスルタインが、異なるアルキル鎖長を伴うベタインまたはスルタインの混合物である、請求項11記載の洗浄組成物。
【請求項16】
アルキルベタインまたはスルタインが、異なるアルキルベタインまたはスルタインを混合することにより作製される、請求項15記載の洗浄組成物。
【請求項17】
異なるアルキル鎖長を有するアルキルジメチルベタインのベタイン混合物を含む洗浄組成物であって、該ベタイン混合物が、異なるアルキル鎖長を有するアルキル三級アミンを含むアミン混合物をハロカルボン酸と組み合わせることにより作製される、請求項9記載の洗浄組成物。
【請求項18】
シリンダー反転泡試験法において測定されたとき、200 mlまたはそれより多い泡体積を有する、請求項9記載の洗浄組成物。
【請求項19】
1つまたは複数のアルキル三級アミンを他の剤と反応させてアルキルベタインまたはアルキルスルタインまたは両方を形成することにより、アルキルベタインまたはアルキルスルタインまたはそれらの混合物を調製する段階;ならびに
該アルキルベタインまたは該アルキルスルタインまたは該それらの混合物をハイドロトロピック界面活性剤、電解質、および水と組み合わせて、25℃で少なくとも約1,000 cpsの粘度を有する液体洗浄組成物を提供する段階
を含む、液体洗浄組成物を製造する方法。
【請求項20】
1つまたは複数のアルキル三級アミンが、異なるアルキル鎖長を有する複数のアルキル三級アミンを含む、請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−508511(P2013−508511A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535296(P2012−535296)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/053166
【国際公開番号】WO2011/049932
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(591066100)ステパン カンパニー (5)
【Fターム(参考)】