ズームレンズおよび撮像装置
【課題】ズームレンズにおいて、高い光学性能を保持するとともに、高倍率を有し、小型に構成可能である。
【解決手段】ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有し、変倍時に固定されている第1レンズ群G1と、負の屈折力を有し、光軸に沿って移動することにより変倍を行う第2レンズ群G2と、絞りと、正の屈折力を有し、変倍時に固定されている第3レンズ群G3と、正の屈折力を有し、変倍に伴う像面位置の補正および合焦を行う第4レンズ群G4とを備える。第2レンズ群は、物体側から順に、1枚の負レンズL21と、1枚の正レンズL22および1枚の負レンズL23からなる接合レンズと、1枚の正レンズL24とを含む。
【解決手段】ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有し、変倍時に固定されている第1レンズ群G1と、負の屈折力を有し、光軸に沿って移動することにより変倍を行う第2レンズ群G2と、絞りと、正の屈折力を有し、変倍時に固定されている第3レンズ群G3と、正の屈折力を有し、変倍に伴う像面位置の補正および合焦を行う第4レンズ群G4とを備える。第2レンズ群は、物体側から順に、1枚の負レンズL21と、1枚の正レンズL22および1枚の負レンズL23からなる接合レンズと、1枚の正レンズL24とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズおよび撮像装置に関し、より詳しくは、ビデオカメラや電子スチルカメラ、監視カメラ等に好適に使用可能なズームレンズおよび該ズームレンズを備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオカメラや電子スチルカメラ等に用いられるズームレンズとして、第1レンズ群と第3レンズ群とを固定群とし、第2レンズ群を光軸に沿って移動することにより変倍を行い、変倍に伴う像面の補正を第4レンズ群により行うリアフォーカス式の4群ズームレンズが知られている。
【0003】
リアフォーカス式の4群ズームレンズとしては、例えば特許文献1、2に記載のものが知られている。特許文献1には、第2レンズ群を物体側から順に、負レンズと、負レンズおよび正レンズの接合レンズとからなる2群3枚構成とし、10倍程度のズーム比を有するズームレンズが開示されている。
【0004】
特許文献2には、第2レンズ群を物体側から順に、負レンズと、負レンズと、両凹形状の負レンズおよび正レンズの接合レンズとからなる3群4枚構成としたズームレンズが開示されている(なお、特許文献2に記載の第2群を本明細書においては第2レンズ群と呼ぶことにする)。
【0005】
一方、より広角でズーム比の大きいズームレンズを実現するために、5群構成としたズームレンズも知られている。特許文献3には、上記のような4群方式のズームレンズに対して、固定群として正の屈折力を有する第5レンズ群を追加し、20倍程度の変倍比を確保したズームレンズが開示されている。
【0006】
その他、本願とパワー配置およびズーム方式が異なる4群構成のズームレンズとしては、例えば特許文献4に記載のものがある。特許文献4には、物体側から順にそれぞれ、正、負、負、正の屈折力を有する第1〜第4レンズ群を有し、第1レンズ群と第4レンズ群とを固定群とし、第2レンズ群を光軸に沿って移動することにより変倍を行い、変倍に伴う像面の補正を第3レンズ群により行うインナーズーム方式のズームレンズが記載されている(なお、特許文献4に記載の第1群、第2群、第3群、第4群を、本明細書においてはそれぞれ第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群と呼ぶことにする)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−267006号公報
【特許文献2】特開2007−148340号公報
【特許文献3】特開平9−90221号公報
【特許文献4】特開2008−241884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年では、上記分野のカメラに搭載される撮像素子の高画素化に伴い、光学系に対しても高性能化が要望されており、さらには、約15〜20倍の高変倍比に対する要望も高まっている。これらの要望に加え、コンパクトな構成に対する従来からの要望も依然として存在している。
【0009】
特許文献1記載のズームレンズは、光学系の小型化には有利であるが、ズーム比を15倍以上とした場合、第1群レンズ群に起因する望遠端における軸上色収差と球面収差、広角端におけるコマ収差、像面湾曲を補正しきれず、ズーム全域で高性能を実現することは困難である。
【0010】
特許文献2記載のズームレンズは、第2レンズ群が物体側から順に負、負、負、正の4枚構成であり、特許文献1に記載のものよりも第2レンズ群のレンズ枚数が1枚多い。しかし、特許文献2記載のズームレンズの第2レンズ群は、正レンズが1枚しかないため、基準波長の収差補正の負担が大きく、十分な色収差補正を行うことが困難である。
【0011】
特許文献3記載のズームレンズは、20倍程度の変倍比を有するものであるが、5群構成であるため、光学系の小型化に不利である。
【0012】
特許文献4記載のズームレンズは、第2レンズ群および第3レンズ群が負レンズ群である。望遠端での青色の波長帯域の色収差を補正するためには、負レンズ群の屈折力を強くする必要があるが、特許文献4記載のズームレンズにおいて、負レンズ群の屈折力を強めると、第4レンズ群の大型化や球面収差の増大を招いてしまうため、好ましくない。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、高い光学性能を保持するとともに、高倍率を有し、小型に構成可能なズームレンズおよび該ズームレンズを備えた撮像装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有し、変倍時に固定されている第1レンズ群と、負の屈折力を有し、光軸に沿って移動することにより変倍を行う第2レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有し、変倍時に固定されている第3レンズ群と、正の屈折力を有し、変倍に伴う像面位置の補正および合焦を行う第4レンズ群とを備え、第2レンズ群が、物体側から順に、1枚の負レンズと、1枚の正レンズおよび1枚の負レンズからなる接合レンズと、1枚の正レンズとを含むことを特徴とするものである。
【0015】
本発明のズームレンズでは、4つのレンズ群のうち、第2レンズ群のみを負レンズ群としており、必然的に第2レンズ群の屈折力が強くなるため、望遠端での青色の波長帯域の色収差の補正に有利となる。また、本発明のズームレンズでは、第2レンズ群の構成を、正負のレンズからなる接合レンズを含み、物体側から2番目および4番目に正レンズが配置された少なくとも2枚の正レンズを有する4枚構成とすることが可能である。これにより、望遠端における軸上色収差の補正が容易になり、高い光学性能を保持しながら、高倍率化および小型化を実現しやすくなる。
【0016】
本発明のズームレンズにおいては、第2レンズ群が、物体側から順に、像側に曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた1枚の負レンズと、像側に凸面を向けた接合面を有する1枚の正レンズおよび1枚の負レンズからなる接合レンズと、像側に凹面を向けた1枚の正レンズとからなる3群4枚構成であることが好ましい。
【0017】
また、本発明のズームレンズにおいては、第2レンズ群の接合レンズを構成する正レンズと負レンズのd線におけるアッベ数をそれぞれν22、ν23としたとき、下記条件式(1)を満たすことが好ましい。
ν23−ν22>15.0 … (1)
【0018】
また、本発明のズームレンズにおいては、第2レンズ群の焦点距離をf2とし、第2レンズ群の接合レンズの接合面の曲率半径をR23fとしたとき、下記条件式(2)を満たすことが好ましい。
0.90<R23f/f2<1.50 … (2)
【0019】
ここで、接合面の曲率半径R23fの符号は、物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負とすることにする。
本発明のズームレンズにおいては、第2レンズ群における最も像側の正レンズのd線における屈折率をN24としたとき、下記条件式(3)を満たすことが好ましい。
1.75<N24 … (3)
【0020】
また、本発明のズームレンズにおいては、第1レンズ群が、物体側から順に、1枚の負レンズおよび1枚の正レンズからなる接合レンズと、2枚の正の単レンズとを含むように構成してもよい。
【0021】
その際に、第1レンズ群の接合レンズを構成する負レンズのd線におけるアッベ数をν1nとし、第1レンズ群の接合レンズを構成する正レンズおよび第1レンズ群の2枚の正の単レンズのd線におけるアッベ数の平均をν1pとし、第1レンズ群の接合レンズを構成する負レンズのd線における屈折率をN1nとしたとき、下記条件式(4)、(5)、(6)の少なくとも1つを満たすことが好ましい。
18.0<ν1n<30.0 … (4)
50.0<ν1p−ν1n … (5)
1.75<N1n … (6)
【0022】
また、本発明のズームレンズにおいては、第3レンズ群が、1枚の正レンズと、1枚の負レンズとを含み、第3レンズ群の少なくとも1枚の正レンズが少なくとも1面の非球面を有するように構成してもよい。
【0023】
また、本発明のズームレンズにおいては、第4レンズ群が、物体側から順に、2枚の正レンズと、1枚の負レンズとからなり、第4レンズ群における最も物体側の正レンズは両面が非球面であり、第4レンズ群の負レンズは像側に凹面を向けているように構成してもよい。
【0024】
なお、上記の第3レンズ群および第4レンズ群の非球面を有するレンズの屈折力の符号は、近軸領域におけるものとする。
【0025】
また、本発明のズームレンズにおいては、全系における最も物体側の面から像面までの光軸上の距離をTdとし、望遠端における焦点距離をftとしたとき、下記条件式(7)を満たすことが好ましい。
1.00<Td/ft<1.50 … (7)
【0026】
ここで、上記のTdの算出の際には、バックフォーカス分は空気換算長を用いるものとする。
【0027】
本発明の撮像装置は、上記記載の本発明のズームレンズを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、第1レンズ群と第3レンズ群とを固定群とし、第2レンズ群を光軸に沿って移動させることにより変倍を行い、変倍に伴う像面位置の補正および合焦を第4レンズ群の移動により行う方式のズームレンズにおいて、第1〜第4レンズ群のうち第2レンズ群のみを負レンズ群とし、第2レンズ群の構成を好適に設定しているため、高い光学性能を保持するとともに、高倍率を有し、小型に構成可能なズームレンズおよび該ズームレンズを備えた撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1のズームレンズのレンズ構成を示す断面図
【図2】本発明の実施例2のズームレンズのレンズ構成を示す断面図
【図3】本発明の実施例3のズームレンズのレンズ構成を示す断面図
【図4】本発明の実施例4のズームレンズのレンズ構成を示す断面図
【図5】本発明の実施例5のズームレンズのレンズ構成を示す断面図
【図6】本発明の実施例6のズームレンズのレンズ構成を示す断面図
【図7】図7(A)〜図7(L)は本発明の実施例1のズームレンズの各収差図
【図8】図8(A)〜図8(L)は本発明の実施例2のズームレンズの各収差図
【図9】図9(A)〜図9(L)は本発明の実施例3のズームレンズの各収差図
【図10】図10(A)〜図10(L)は本発明の実施例4のズームレンズの各収差図
【図11】図11(A)〜図11(L)は本発明の実施例5のズームレンズの各収差図
【図12】図12(A)〜図12(L)は本発明の実施例6のズームレンズの各収差図
【図13】本発明の実施形態にかかる撮像装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施形態にかかるズームレンズの構成を示す断面図であり、後述の実施例1のズームレンズに対応している。
【0032】
このズームレンズは、光軸Zに沿って、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とを備えている。
【0033】
このズームレンズは、リアフォーカス方式のズームレンズであり、広角端から望遠端への変倍を行う際には、第1レンズ群G1および第3レンズ群G3を光軸Z上に固定とし、第2レンズ群G2を光軸Zに沿って像側に移動させることにより変倍を行うとともに、該変倍に伴う像面位置の補正および合焦を第4レンズ群G4を光軸Zに沿って移動させることにより行うように構成されている。
【0034】
図1では、左側が物体側、右側が像側であり、上段に広角端におけるレンズ配置を示し、下段に望遠端におけるレンズ配置を示し、広角端から望遠端へ変倍するときの各レンズ群の概略的な移動軌跡を矢印で示している。なお、図1に示す開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。
【0035】
また、図1では像面をSimとして図示している。例えばこのズームレンズを撮像素子が搭載された撮像装置に適用する際には、像面Simに撮像素子の撮像面が位置するように配置される。
【0036】
ズームレンズを撮像装置に適用する際には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、最も像側のレンズと撮像面との間にカバーガラスや、プリズム、赤外線カットフィルタやローパスフィルタなどの各種フィルタ等を配置することが好ましく、図1では、最も像側のレンズ群と像面Simとの間に、これらを想定した平行平板状の光学部材PPが配置された例を示している。
【0037】
本実施形態のズームレンズは、主に第2レンズ群G2に特徴的な構成を有している。第2レンズ群G2は、図1に示す例のように、物体側から順に、1枚の負レンズL21と、1枚の正レンズL22および1枚の負レンズL23からなる接合レンズと、1枚の正レンズL24とを含むように構成される。
【0038】
特許文献1〜3に記載された従来例の第2レンズ群では、正レンズは最も像側の1枚だけであり、これでは十分な色収差補正を行うことが困難であった。これに対して、図1に示す本実施形態にかかるズームレンズでは、第2レンズ群G2の物体側から2番目と4番目に正レンズを配置しており、計2枚の正レンズを有しているため、良好な色収差の補正が可能になる。
【0039】
特に本実施形態では、第2レンズ群G2の物体側から2番目に正レンズL22が配置されている点が特許文献1〜3の従来例と大きく異なる。この正レンズL22と負レンズL23とで接合レンズを構成することで、この接合レンズの接合面の曲率半径を小さくすることができ、これにより、色収差、特に望遠端における軸上色収差を良好に補正することが可能になる。
【0040】
このタイプのズームレンズでは、望遠端における色収差を補正するために、第1レンズ群のレンズ材料に異常分散材料を用いることが考えられるが、第1レンズ群に異常分散材料を用いると、第1レンズ群で無視できない程度の青色の波長帯域の色収差が発生してしまう可能性が高い。全系の色収差を良好に抑えるためには第1レンズ群で発生するこの青色の波長帯域の色収差を他のレンズ群でキャンセルする必要がある。これには、光線が高く発散群である第2レンズ群で行うことが考えられる。
【0041】
しかし、特許文献1〜3の従来例のような正レンズが1枚しかない第2レンズ群の構成では、第1レンズ群に異常分散材料を用いた場合に発生する青色の波長帯域の色収差をキャンセルすることが困難であった。これに対して、本実施形態の第2レンズ群G2の構成によれば、第1レンズ群に異常分散材料を用いても、その際に発生する青色の波長帯域の色収差をキャンセルして全系で良好な色収差補正を行うことができる。なお、望遠端における色収差は、高倍率化に伴って大きく発現する傾向にあるため、本実施形態の第2レンズ群G2の構成は、高倍率化を図る上で特に有効である。
【0042】
なお、望遠端での青色の波長帯域の色収差を補正するためには、負レンズ群の屈折力を強くする必要があるが、本実施形態では第2レンズ群が唯一の負レンズ群であるため、必然的に第2レンズ群の屈折力は強いものとなっており、望遠端での青色の波長帯域の色収差の補正に有利である。また、本実施形態では、第2レンズ群の像側に続いて配置される第3レンズ群が正レンズ群であることから、第2レンズ群で発散した光線を第3レンズ群で収束できるため、第2レンズ群の屈折力を強くしても第4レンズ群の大型化を心配する必要はない。
【0043】
これに対して、特許文献4の従来例では第2レンズ群と第3レンズ群がともに負レンズ群であり、これら2つの負レンズ群で負の屈折力を分配する構成であるため、各負レンズ群の屈折力を強くしにくい。また、特許文献4の従来例では、第2レンズ群、第3レンズ群で発散した光線が第4レンズ群に入射するため、負レンズ群(第2レンズ群および/または第3レンズ群)の屈折力を強めると、第4レンズ群の大型化や、球面収差の増大を招いてしまうことになり、好ましくない。
【0044】
本実施形態の第2レンズ群G2のさらに詳細な構成としては、最も物体側の負レンズL21は像側に曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けていることが好ましく、正レンズL22および負レンズL23からなる接合レンズの接合面は像側に凸面を向けていることが好ましく、正レンズL24は像側に凹面を向けていることが好ましい。
【0045】
仮に負レンズL21が像側に曲率半径の絶対値の大きい方の面を向けるように構成した場合には、広角端における像面湾曲がマイナス側に倒れ、望遠端における球面収差がマイナス側に倒れてしまう。
【0046】
仮に正レンズL22および負レンズL23からなる接合レンズの接合面が像側に凹面を向けるように構成した場合には、広角端における倍率色収差が大きくなるとともに、望遠端における青色の波長帯域の軸上色収差が補正不足となる。
【0047】
仮に正レンズL24が像側に凸面を向けるように構成した場合には、中間から望遠端におけるコマ収差が大きくなってしまう。
【0048】
例えば、図1に示す例の第2レンズ群G2は、物体側から順に、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL21と、像側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL22および両凹形状の負レンズL23の貼り合わせによる接合レンズと、像側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL24とが配されてなる3群4枚構成を採っている。
【0049】
なお、第2レンズ群G2は5枚以上のレンズを有する構成を採ることも考えられるが、コンパクト性を重視する場合は、上記のような、負レンズL21と、正レンズL22および負レンズL23による接合レンズと、正レンズL24とからなる3群4枚構成とすることが好ましい。
【0050】
第1レンズ群G1の構成としては、例えば図1に示す例のように、物体側から順に、1枚の負レンズL11および1枚の正レンズL12からなる接合レンズと、2枚の単レンズである正レンズL13、L14とを含むことが好ましい。
【0051】
第1レンズ群G1をこのような構成とすることにより、正の屈折力を分散させ、第1レンズ群G1に起因する望遠端における軸上色収差と球面収差、広角端におけるコマ収差、像面湾曲を良好に補正することができる。
【0052】
第1レンズ群G1のさらに詳細な構成としては、負レンズL11は像側に凹面を向けたメニスカス形状であり、正レンズL12、L13、14は全て物体側に凸面を向けたメニスカス形状であることが好ましい。このような構成により、望遠端における周辺光束、広角端における軸外光束の各面での入射角が大きくなるのを抑制することができ、望遠端における球面収差、広角端におけるコマ収差、像面湾曲の補正効果を高めることができる。
【0053】
なお、第1レンズ群G1は5枚以上のレンズを有する構成を採ることも考えられるが、コンパクト性を重視する場合は、上記のような、物体側から順に、負レンズL11および正レンズL12による接合レンズと、2枚の単レンズである正レンズL13、14とが配されてなる3群4枚構成とすることが好ましい。
【0054】
ここで、第1レンズ群G1のレンズ枚数に注目して、図1に示す本実施形態のズームレンズと特許文献4に記載のズームレンズとを比較する。特許文献4に記載のズームレンズの第1レンズ群(すなわち特許文献4の記載における第1群G1)は、5枚構成であり、図1に示す本実施形態のものより1枚多い。特許文献4に記載のズームレンズでは、第1レンズ群の構成を適切に設定することにより、第1レンズ群で望遠端寄りの軸上色収差を補正しているため、第2レンズ群(すなわち特許文献4の記載における第2群G2)の青色の波長帯域の色収差の補正効果は少ない。
【0055】
したがって、小型化等の目的で、単純に特許文献4記載のズームレンズの第1レンズ群の枚数を減じた場合、第1レンズ群、第2レンズ群のレンズ枚数は見かけ上本実施形態と同様となるが、色収差補正能力は本実施形態と同等のものを期待することはできない。特許文献4記載のズームレンズの第1レンズ群の枚数を減じるのであれば、軸上色収差補正のために異常分散材料を用いる必要が生じ、その場合には前述したような考察が必要となる。
【0056】
本発明の実施形態にかかる第3レンズ群G3の構成としては、1枚の正レンズと、1枚の負レンズとを含み、第3レンズ群G3に含まれる少なくとも1枚の正レンズは少なくとも1面が非球面であることが好ましい。第3レンズ群G3が正レンズと負レンズの両方を有することで、色収差の補正においてバランスをとりやすくなる。また、非球面レンズを有することで、ズーム全域で軸上光束および軸外光束の両方の光束に作用し、良好に収差補正して高い光学性能を得ることが容易となる。
【0057】
例えば図1に示す例の第3レンズ群G3は、物体側から順に、正レンズL31と負レンズL32とが配されてなる2群2枚構成であるが、第3レンズ群G3は、後述の実施例に示すように、2枚の正レンズと1枚の負レンズとで構成してもよく、あるいは1枚の正レンズと2枚の負レンズとで構成してもよい。また、第3レンズ群G3は、隣り合う正レンズと負レンズを接合した構成を採用してもよい。
【0058】
第4レンズ群G4の構成としては、例えば図1に示す例のように、物体側から順に、2枚の正レンズL41、L42と、1枚の負レンズL43とからなり、第4レンズ群G4における最も物体側の正レンズL41は両面が非球面であり、第4レンズ群G4における負レンズL43は像側に凹面を向けていることが好ましい。
【0059】
仮に負レンズL43が像側に凸面を向けるように構成した場合には、広角端から中間で、球面収差がプラス側に倒れてしまう。
【0060】
第4レンズ群G4が正レンズと負レンズの両方を有することで、色収差の補正においてバランスをとりやすくなり、第4レンズ群G4が2枚の正レンズを有することで第4レンズ群G4に必要な正の屈折力を確保しやすくなる。また、非球面レンズを有することで、主に広角端で軸上光束および軸外光束、望遠端で軸外光束に作用し、良好に収差補正して高い光学性能を得ることが容易となる。
【0061】
本発明の実施形態にかかるズームレンズは、さらに以下に述べる条件式を満たすことが好ましい。なお、好ましい態様としては、下記条件式のいずれか1つの式を満足するものでもよく、あるいは任意の組合せを満足するものでもよい。以下に、条件式と、その作用効果について述べる。
【0062】
第2レンズ群G2の接合レンズを構成する正レンズL22と負レンズL23のd線におけるアッベ数をそれぞれν22、ν23としたとき、下記条件式(1)を満たすことが好ましい。
ν23−ν22>15.0 … (1)
【0063】
条件式(1)は、第2レンズ群G2の接合レンズを構成する正レンズL22と負レンズL23のアッベ数の差の範囲を規定するものである。一般に、高変倍比になると、望遠端の軸上色収差を補正することが困難になる。条件式(1)は、軸上色収差を良好に補正するための式である。条件式(1)の下限以下になると、軸上色収差を補正するために必要なアッベ数の差を得ることができず、軸上色収差を良好に補正することが困難になる。
【0064】
第2レンズ群G2の焦点距離をf2とし、第2レンズ群G2の接合レンズの接合面の曲率半径をR23fとしたとき、下記条件式(2)を満たすことが好ましい。
0.90<R23f/f2<1.50 … (2)
【0065】
条件式(2)は、第2レンズ群G2の焦点距離と接合面の曲率半径の関係を規定するものである。条件式(2)の下限以下になると、望遠端における赤色の波長帯域の軸上色収差が大きくなり、好ましくない。条件式(2)の上限以上になると、望遠端における青色の波長帯域の軸上色収差が大きくなり、好ましくない。
【0066】
第2レンズ群G2における最も像側の正レンズ(図1に示す例では正レンズL24)のd線における屈折率をN24としたとき、下記条件式(3)を満たすことが好ましい。
1.75<N24 … (3)
【0067】
条件式(3)は、第2レンズ群G2の最も像側の正レンズの屈折率の範囲を規定するものである。条件式(3)の下限以下になると、必要な屈折力を得るために曲率半径が小さくなり、そうするとレンズ周辺部まで含めて考えたときの第2レンズ群G2全体の光軸方向の長さが長くなり、好ましくない。
【0068】
第1レンズ群G1が、物体側から順に、1枚の負レンズL11および1枚の正レンズL12からなる接合レンズと、2枚の正の単レンズL13、L14とを含むように構成される場合、負レンズL11のd線におけるアッベ数をν1nとし、接合レンズを構成する正レンズL12および2枚の正の単レンズL13、L14のd線におけるアッベ数の平均をν1pとしたとき、下記条件式(4)、(5)を満たすことが好ましい。
18.0<ν1n<30.0 … (4)
50.0<ν1p−ν1n … (5)
【0069】
条件式(4)、(5)は望遠端における色収差を良好に補正するためのものである。条件式(4)、(5)を満足するレンズ材料の組み合わせを選択することにより、第1レンズ群G1で発生する軸上色収差を小さくし、望遠端における色にじみによる性能劣化を抑制することができる。
【0070】
第1レンズ群G1が、物体側から順に、1枚の負レンズL11および1枚の正レンズL12からなる接合レンズと、2枚の正の単レンズL13、L14とを含むように構成される場合、負レンズL11のd線における屈折率をN1nとしたとき、下記条件式(6)を満たすことが好ましい。
1.75<N1n … (6)
【0071】
条件式(1)は第1レンズ群G1の最も物体側の負レンズの屈折率を規定するものである。条件式(1)の下限以下になると、望遠比を小さくした場合に望遠端において諸収差、特にコマ収差が大きくなり、高性能を維持することができない。
全系における最も物体側の面から像面までの光軸上の距離をTdとし、望遠端における焦点距離をftとしたとき、下記条件式(7)を満たすことが好ましい。
1.00<Td/ft<1.50 … (7)
【0072】
条件式(7)は、望遠端における焦点距離に対する光学系全長を規定するものである。条件式(7)の下限以下になると、光学系全長の短縮には有利であるが、諸収差、特に望遠端における軸上色収差を補正することが困難となり、ズーム全域で高性能を維持することができない。条件式(7)の上限以上になると、収差の補正には有利であるが、光学系全長が長くなり小型化に反するため好ましくない。
【0073】
第2レンズ群G2の接合レンズを構成する正レンズL22と負レンズL23のd線における屈折率をそれぞれN22、N23としたとき、下記条件式(8)を満たすことが好ましい。
|N22−N23|<0.035 … (8)
【0074】
条件式(8)は、第2レンズ群G2の接合レンズを構成する正レンズL22と負レンズL23の屈折率の差の範囲を規定するものである。条件式(8)の上限以上になると、軸上色収差以外の諸収差を良好に補正することが困難になる。
【0075】
本発明の実施形態にかかるズームレンズは、さらに以下の条件式(1−1)、(2−1)、(3−1)、(4−1)、(5−1)、(6−1)、(7−1)のいずれかあるいは全てを満足することがより好ましい。条件式(1−1)、(2−1)、(3−1)、(4−1)、(5−1)、(6−1)、(7−1)それぞれを満たすことで、条件式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)それぞれを満たすことにより得られる効果をさらに高めることができる。
ν23−ν22>18.0 … (1−1)
1.00<R23f/f2<1.40 … (2−1)
1.84<N24 … (3−1)
18.0<ν1n<26.0 … (4−1)
56.0<ν1p−ν1n … (5−1)
1.80<N1n … (6−1)
1.10<Td/ft<1.40 … (7−1)
【0076】
また、本ズームレンズが例えば屋外等の厳しい環境において使用される場合には、最も物体側に配置されるレンズには、風雨による表面劣化、直射日光による温度変化に強く、さらには油脂・洗剤等の化学薬品に強い材料、すなわち耐水性、耐候性、耐酸性、耐薬品性等が高い材料を用いることが好ましく、さらには堅く、割れにくい材料を用いることが好ましい。以上のことから最も物体側に配置される材料としては、具体的にはガラスを用いることが好ましく、あるいは透明なセラミックスを用いてもよい。
【0077】
本ズームレンズが厳しい環境において使用される場合には、保護用の多層膜コートが施されることが好ましい。さらに、保護用コート以外にも、使用時のゴースト光低減等のための反射防止コート膜を施すようにしてもよい。
【0078】
図1に示す例では、レンズ系と像面Simとの間に光学部材PPを配置した例を示したが、ローパスフィルタや特定の波長域をカットするような各種フィルタ等を配置する代わりに、各レンズの間にこれらの各種フィルタを配置してもよく、あるいは、いずれかのレンズのレンズ面に、各種フィルタと同様の作用を有するコートを施してもよい。
【0079】
以上説明したように、本実施形態のズームレンズによれば、要求される仕様等に応じて、上記した好ましい構成を適宜採用することで、4群を有するリアフォーカス方式のズームレンズにおいて、レンズ枚数を大幅に増やすことなく、小型の構成と、高倍率、および高い光学性能を実現することができる。
【0080】
次に、本発明のズームレンズの数値実施例について説明する。実施例1のズームレンズのレンズ断面図は図1に示したものである。実施例2〜6のズームレンズの各レンズ断面図をそれぞれ図2〜図6に示す。図2〜図6の図示方法は図1のものと同様である。
【0081】
実施例1にかかるズームレンズの基本レンズデータを表1に、非球面データを表2に、諸データを表3に、各群の焦点距離を表4に示す。同様に、実施例2〜6にかかるズームレンズの基本レンズデータ、非球面データ、諸データ、各群の焦点距離を表5〜表24に示す。以下では、表中の記号の意味について、実施例1を例にとり説明するが、実施例2〜6のものについても基本的に同様である。
【0082】
表1の基本レンズデータでは、物体面の位置を無限遠とし、Siは最も物体側の構成要素の面を1番目として像側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1、2、3、…)の面番号を示し、Riはi番目の面の曲率半径を示し、Diはi番目の面とi+1番目の面との光軸Z上の面間隔を示している。また、基本レンズデータにおいて、Ndjは最も物体側のレンズを1番目として像側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、…)の光学要素のd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、νdjはj番目の光学要素のd線に対するアッベ数を示している。なお、基本レンズデータには、開口絞りStおよび光学部材PPも含めて示している。開口絞りStに相当する面の面番号の欄に(開口絞り)と記載している。基本レンズデータの曲率半径の符号は、物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。
【0083】
表1の基本レンズデータにおいて、変倍時に間隔が変化する面間隔の欄にはそれぞれD7、D14、D19、D25の符号を記載し、各符号の後に(可変)と記載している。後述の実施例についても同様に、変倍時に間隔が変化する面間隔の欄には対応する符号を記載している。
【0084】
表1の基本レンズデータでは、非球面の面番号に*印を付しており、非球面の曲率半径として光軸近傍の曲率半径の数値を示している。表2の非球面データには、非球面の面番号と、各非球面の非球面係数を示す。非球面係数は、以下の式(A)で表される非球面式における各係数KA、RBm(m=3、4、5、…20)の値である。
Zd=C・h2/{1+(1−KA・C2・h2)1/2}+ΣRBm・hm … (A)
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に
下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からのレンズ面までの距離)
C:光軸近傍の曲率半径の逆数
KA、RAm:非球面係数(m=3、4、5、…20)
【0085】
なお、表2の非球面係数の数値において、記号Eは、その次に続く数値が10を底としたべき指数であることを示し、その10を底とした指数関数で示される数値がEの前の数値に乗算されることを示す。例えば、「1.0E−2」であれば「1.0×10−2」であることを示す。
【0086】
表3の諸データには、ズーム比と、広角端、中間、望遠端における、全系の焦点距離f、Fナンバー、半画角ω、最大の像高Y、レンズ系全長、バックフォーカス、変倍時に変化する各面間隔D7、D14、D19、D25の値を示す。
【0087】
表4の各群の焦点距離には、第1レンズ群〜第4レンズ群の各群の始面(最も物体側の面)と、焦点距離を示す。
【0088】
なお、ここでは一例として、表1〜表4における長さの単位に「mm」を用い、角度の単位に「度」を用い、式(A)のZd、hの単位に「mm」を用いている。しかし、光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、単位は「mm」に限定されることはなく、他の適当な単位を用いることもできる。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
実施例1のズームレンズは、第3レンズ群G3を正レンズL31と、負レンズL32の2枚で構成していたが、実施例2のズームレンズは、第3レンズ群G3を正レンズL31と、正レンズL32と、負レンズL33の3枚で構成している。実施例3〜6の第3レンズ群G3も3枚構成である。
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】
【表8】
【0098】
【表9】
【0099】
【表10】
【0100】
【表11】
【0101】
【表12】
【0102】
【表13】
【0103】
【表14】
【0104】
【表15】
【0105】
【表16】
【0106】
【表17】
【0107】
【表18】
【0108】
【表19】
【0109】
【表20】
【0110】
【表21】
【0111】
【表22】
【0112】
【表23】
【0113】
【表24】
【0114】
表25に、実施例1〜6における条件式(1)〜(8)に対応する値を示す。表25からわかるように、実施例1〜6のいずれも、条件式(1)〜(8)を満足している。
【0115】
【表25】
【0116】
図7(A)〜図7(L)に実施例1のズームレンズの広角端、中間、望遠端における、球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、倍率色収差の各収差図を示す。各収差図には、d線(波長587.6nm)を基準波長とした収差を示すが、球面収差図および倍率色収差図には、波長587.6nmでの収差を実線、波長460.0nmでの収差を破線、波長615.0nmでの収差を一点鎖線で示す。球面収差図のFno.はFナンバー、その他の収差図のωは半画角を意味する。
【0117】
同様に、図8(A)〜図8(L)、図9(A)〜図9(L)、図10(A)〜図10(L)、図11(A)〜図11(L)、図12(A)〜図12(H)に、実施例2〜6のズームレンズの広角端、中間、望遠端における、球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、倍率色収差の各収差図を示す。
【0118】
以上のデータから、実施例1〜6のズームレンズは、15〜20倍程度の高倍率を有し、小型化を図りつつ、広角端でのFナンバーが1.6程度と小さく、広角端から望遠端にわたり各収差が良好に補正されて可視域において高い光学性能を有することがわかる。これらのズームレンズは、監視カメラや、ビデオカメラ、電子スチルカメラ等の撮像装置に好適に使用することができる。
【0119】
図13に、本発明の実施形態の撮像装置の一例として、本発明の実施形態にかかるズームレンズ1を用いて構成したビデオカメラ10の構成図を示す。なお、図13では、ズームレンズ1が備える正の第1レンズ群G1、負の第2レンズ群G2、開口絞りSt、正の第3レンズ群G3、正の第4レンズ群G4を概略的に示している。
【0120】
ビデオカメラ10は、ズームレンズ1と、ズームレンズ1の像側に配置されたローパスフィルタおよび赤外線カットフィルタ等の機能を有するフィルタ2と、フィルタ2の像側に配置された撮像素子4と、信号処理回路5とを備えている。撮像素子4はズームレンズ1により形成される光学像を電気信号に変換するものであり、例えば、撮像素子4としては、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いることができる。撮像素子4は、その撮像面がズームレンズ1の像面に一致するように配置される。
【0121】
ズームレンズ1により撮像された像は撮像素子4の撮像面上に結像し、その像に関する撮像素子4からの出力信号が信号処理回路5にて演算処理され、表示装置6に像が表示される。
【0122】
なお、図13には、1つの撮像素子4を用いた、いわゆる単板方式の撮像装置を図示しているが、本発明の撮像装置としては、ズームレンズ1と撮像素子4の間にR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)等の各色に分ける色分解プリズムを挿入し、各色に対応する3つの撮像素子を用いた、いわゆる3板方式のものでもよい。
【0123】
本発明の実施形態にかかるズームレンズ1は前述した長所を有するものであるため、本実施形態の撮像装置は、15〜20倍程度の変倍比を有し、小型に構成可能で、かつ高画質の映像を得ることができる。
【0124】
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数等の値は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
【符号の説明】
【0125】
1 ズームレンズ
2 フィルタ
4 撮像素子
5 信号処理回路
6 表示装置
10 ビデオカメラ
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
PP 光学部材
St 開口絞り
Z 光軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズおよび撮像装置に関し、より詳しくは、ビデオカメラや電子スチルカメラ、監視カメラ等に好適に使用可能なズームレンズおよび該ズームレンズを備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオカメラや電子スチルカメラ等に用いられるズームレンズとして、第1レンズ群と第3レンズ群とを固定群とし、第2レンズ群を光軸に沿って移動することにより変倍を行い、変倍に伴う像面の補正を第4レンズ群により行うリアフォーカス式の4群ズームレンズが知られている。
【0003】
リアフォーカス式の4群ズームレンズとしては、例えば特許文献1、2に記載のものが知られている。特許文献1には、第2レンズ群を物体側から順に、負レンズと、負レンズおよび正レンズの接合レンズとからなる2群3枚構成とし、10倍程度のズーム比を有するズームレンズが開示されている。
【0004】
特許文献2には、第2レンズ群を物体側から順に、負レンズと、負レンズと、両凹形状の負レンズおよび正レンズの接合レンズとからなる3群4枚構成としたズームレンズが開示されている(なお、特許文献2に記載の第2群を本明細書においては第2レンズ群と呼ぶことにする)。
【0005】
一方、より広角でズーム比の大きいズームレンズを実現するために、5群構成としたズームレンズも知られている。特許文献3には、上記のような4群方式のズームレンズに対して、固定群として正の屈折力を有する第5レンズ群を追加し、20倍程度の変倍比を確保したズームレンズが開示されている。
【0006】
その他、本願とパワー配置およびズーム方式が異なる4群構成のズームレンズとしては、例えば特許文献4に記載のものがある。特許文献4には、物体側から順にそれぞれ、正、負、負、正の屈折力を有する第1〜第4レンズ群を有し、第1レンズ群と第4レンズ群とを固定群とし、第2レンズ群を光軸に沿って移動することにより変倍を行い、変倍に伴う像面の補正を第3レンズ群により行うインナーズーム方式のズームレンズが記載されている(なお、特許文献4に記載の第1群、第2群、第3群、第4群を、本明細書においてはそれぞれ第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群と呼ぶことにする)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−267006号公報
【特許文献2】特開2007−148340号公報
【特許文献3】特開平9−90221号公報
【特許文献4】特開2008−241884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年では、上記分野のカメラに搭載される撮像素子の高画素化に伴い、光学系に対しても高性能化が要望されており、さらには、約15〜20倍の高変倍比に対する要望も高まっている。これらの要望に加え、コンパクトな構成に対する従来からの要望も依然として存在している。
【0009】
特許文献1記載のズームレンズは、光学系の小型化には有利であるが、ズーム比を15倍以上とした場合、第1群レンズ群に起因する望遠端における軸上色収差と球面収差、広角端におけるコマ収差、像面湾曲を補正しきれず、ズーム全域で高性能を実現することは困難である。
【0010】
特許文献2記載のズームレンズは、第2レンズ群が物体側から順に負、負、負、正の4枚構成であり、特許文献1に記載のものよりも第2レンズ群のレンズ枚数が1枚多い。しかし、特許文献2記載のズームレンズの第2レンズ群は、正レンズが1枚しかないため、基準波長の収差補正の負担が大きく、十分な色収差補正を行うことが困難である。
【0011】
特許文献3記載のズームレンズは、20倍程度の変倍比を有するものであるが、5群構成であるため、光学系の小型化に不利である。
【0012】
特許文献4記載のズームレンズは、第2レンズ群および第3レンズ群が負レンズ群である。望遠端での青色の波長帯域の色収差を補正するためには、負レンズ群の屈折力を強くする必要があるが、特許文献4記載のズームレンズにおいて、負レンズ群の屈折力を強めると、第4レンズ群の大型化や球面収差の増大を招いてしまうため、好ましくない。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、高い光学性能を保持するとともに、高倍率を有し、小型に構成可能なズームレンズおよび該ズームレンズを備えた撮像装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有し、変倍時に固定されている第1レンズ群と、負の屈折力を有し、光軸に沿って移動することにより変倍を行う第2レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有し、変倍時に固定されている第3レンズ群と、正の屈折力を有し、変倍に伴う像面位置の補正および合焦を行う第4レンズ群とを備え、第2レンズ群が、物体側から順に、1枚の負レンズと、1枚の正レンズおよび1枚の負レンズからなる接合レンズと、1枚の正レンズとを含むことを特徴とするものである。
【0015】
本発明のズームレンズでは、4つのレンズ群のうち、第2レンズ群のみを負レンズ群としており、必然的に第2レンズ群の屈折力が強くなるため、望遠端での青色の波長帯域の色収差の補正に有利となる。また、本発明のズームレンズでは、第2レンズ群の構成を、正負のレンズからなる接合レンズを含み、物体側から2番目および4番目に正レンズが配置された少なくとも2枚の正レンズを有する4枚構成とすることが可能である。これにより、望遠端における軸上色収差の補正が容易になり、高い光学性能を保持しながら、高倍率化および小型化を実現しやすくなる。
【0016】
本発明のズームレンズにおいては、第2レンズ群が、物体側から順に、像側に曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた1枚の負レンズと、像側に凸面を向けた接合面を有する1枚の正レンズおよび1枚の負レンズからなる接合レンズと、像側に凹面を向けた1枚の正レンズとからなる3群4枚構成であることが好ましい。
【0017】
また、本発明のズームレンズにおいては、第2レンズ群の接合レンズを構成する正レンズと負レンズのd線におけるアッベ数をそれぞれν22、ν23としたとき、下記条件式(1)を満たすことが好ましい。
ν23−ν22>15.0 … (1)
【0018】
また、本発明のズームレンズにおいては、第2レンズ群の焦点距離をf2とし、第2レンズ群の接合レンズの接合面の曲率半径をR23fとしたとき、下記条件式(2)を満たすことが好ましい。
0.90<R23f/f2<1.50 … (2)
【0019】
ここで、接合面の曲率半径R23fの符号は、物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負とすることにする。
本発明のズームレンズにおいては、第2レンズ群における最も像側の正レンズのd線における屈折率をN24としたとき、下記条件式(3)を満たすことが好ましい。
1.75<N24 … (3)
【0020】
また、本発明のズームレンズにおいては、第1レンズ群が、物体側から順に、1枚の負レンズおよび1枚の正レンズからなる接合レンズと、2枚の正の単レンズとを含むように構成してもよい。
【0021】
その際に、第1レンズ群の接合レンズを構成する負レンズのd線におけるアッベ数をν1nとし、第1レンズ群の接合レンズを構成する正レンズおよび第1レンズ群の2枚の正の単レンズのd線におけるアッベ数の平均をν1pとし、第1レンズ群の接合レンズを構成する負レンズのd線における屈折率をN1nとしたとき、下記条件式(4)、(5)、(6)の少なくとも1つを満たすことが好ましい。
18.0<ν1n<30.0 … (4)
50.0<ν1p−ν1n … (5)
1.75<N1n … (6)
【0022】
また、本発明のズームレンズにおいては、第3レンズ群が、1枚の正レンズと、1枚の負レンズとを含み、第3レンズ群の少なくとも1枚の正レンズが少なくとも1面の非球面を有するように構成してもよい。
【0023】
また、本発明のズームレンズにおいては、第4レンズ群が、物体側から順に、2枚の正レンズと、1枚の負レンズとからなり、第4レンズ群における最も物体側の正レンズは両面が非球面であり、第4レンズ群の負レンズは像側に凹面を向けているように構成してもよい。
【0024】
なお、上記の第3レンズ群および第4レンズ群の非球面を有するレンズの屈折力の符号は、近軸領域におけるものとする。
【0025】
また、本発明のズームレンズにおいては、全系における最も物体側の面から像面までの光軸上の距離をTdとし、望遠端における焦点距離をftとしたとき、下記条件式(7)を満たすことが好ましい。
1.00<Td/ft<1.50 … (7)
【0026】
ここで、上記のTdの算出の際には、バックフォーカス分は空気換算長を用いるものとする。
【0027】
本発明の撮像装置は、上記記載の本発明のズームレンズを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、第1レンズ群と第3レンズ群とを固定群とし、第2レンズ群を光軸に沿って移動させることにより変倍を行い、変倍に伴う像面位置の補正および合焦を第4レンズ群の移動により行う方式のズームレンズにおいて、第1〜第4レンズ群のうち第2レンズ群のみを負レンズ群とし、第2レンズ群の構成を好適に設定しているため、高い光学性能を保持するとともに、高倍率を有し、小型に構成可能なズームレンズおよび該ズームレンズを備えた撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1のズームレンズのレンズ構成を示す断面図
【図2】本発明の実施例2のズームレンズのレンズ構成を示す断面図
【図3】本発明の実施例3のズームレンズのレンズ構成を示す断面図
【図4】本発明の実施例4のズームレンズのレンズ構成を示す断面図
【図5】本発明の実施例5のズームレンズのレンズ構成を示す断面図
【図6】本発明の実施例6のズームレンズのレンズ構成を示す断面図
【図7】図7(A)〜図7(L)は本発明の実施例1のズームレンズの各収差図
【図8】図8(A)〜図8(L)は本発明の実施例2のズームレンズの各収差図
【図9】図9(A)〜図9(L)は本発明の実施例3のズームレンズの各収差図
【図10】図10(A)〜図10(L)は本発明の実施例4のズームレンズの各収差図
【図11】図11(A)〜図11(L)は本発明の実施例5のズームレンズの各収差図
【図12】図12(A)〜図12(L)は本発明の実施例6のズームレンズの各収差図
【図13】本発明の実施形態にかかる撮像装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施形態にかかるズームレンズの構成を示す断面図であり、後述の実施例1のズームレンズに対応している。
【0032】
このズームレンズは、光軸Zに沿って、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とを備えている。
【0033】
このズームレンズは、リアフォーカス方式のズームレンズであり、広角端から望遠端への変倍を行う際には、第1レンズ群G1および第3レンズ群G3を光軸Z上に固定とし、第2レンズ群G2を光軸Zに沿って像側に移動させることにより変倍を行うとともに、該変倍に伴う像面位置の補正および合焦を第4レンズ群G4を光軸Zに沿って移動させることにより行うように構成されている。
【0034】
図1では、左側が物体側、右側が像側であり、上段に広角端におけるレンズ配置を示し、下段に望遠端におけるレンズ配置を示し、広角端から望遠端へ変倍するときの各レンズ群の概略的な移動軌跡を矢印で示している。なお、図1に示す開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。
【0035】
また、図1では像面をSimとして図示している。例えばこのズームレンズを撮像素子が搭載された撮像装置に適用する際には、像面Simに撮像素子の撮像面が位置するように配置される。
【0036】
ズームレンズを撮像装置に適用する際には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、最も像側のレンズと撮像面との間にカバーガラスや、プリズム、赤外線カットフィルタやローパスフィルタなどの各種フィルタ等を配置することが好ましく、図1では、最も像側のレンズ群と像面Simとの間に、これらを想定した平行平板状の光学部材PPが配置された例を示している。
【0037】
本実施形態のズームレンズは、主に第2レンズ群G2に特徴的な構成を有している。第2レンズ群G2は、図1に示す例のように、物体側から順に、1枚の負レンズL21と、1枚の正レンズL22および1枚の負レンズL23からなる接合レンズと、1枚の正レンズL24とを含むように構成される。
【0038】
特許文献1〜3に記載された従来例の第2レンズ群では、正レンズは最も像側の1枚だけであり、これでは十分な色収差補正を行うことが困難であった。これに対して、図1に示す本実施形態にかかるズームレンズでは、第2レンズ群G2の物体側から2番目と4番目に正レンズを配置しており、計2枚の正レンズを有しているため、良好な色収差の補正が可能になる。
【0039】
特に本実施形態では、第2レンズ群G2の物体側から2番目に正レンズL22が配置されている点が特許文献1〜3の従来例と大きく異なる。この正レンズL22と負レンズL23とで接合レンズを構成することで、この接合レンズの接合面の曲率半径を小さくすることができ、これにより、色収差、特に望遠端における軸上色収差を良好に補正することが可能になる。
【0040】
このタイプのズームレンズでは、望遠端における色収差を補正するために、第1レンズ群のレンズ材料に異常分散材料を用いることが考えられるが、第1レンズ群に異常分散材料を用いると、第1レンズ群で無視できない程度の青色の波長帯域の色収差が発生してしまう可能性が高い。全系の色収差を良好に抑えるためには第1レンズ群で発生するこの青色の波長帯域の色収差を他のレンズ群でキャンセルする必要がある。これには、光線が高く発散群である第2レンズ群で行うことが考えられる。
【0041】
しかし、特許文献1〜3の従来例のような正レンズが1枚しかない第2レンズ群の構成では、第1レンズ群に異常分散材料を用いた場合に発生する青色の波長帯域の色収差をキャンセルすることが困難であった。これに対して、本実施形態の第2レンズ群G2の構成によれば、第1レンズ群に異常分散材料を用いても、その際に発生する青色の波長帯域の色収差をキャンセルして全系で良好な色収差補正を行うことができる。なお、望遠端における色収差は、高倍率化に伴って大きく発現する傾向にあるため、本実施形態の第2レンズ群G2の構成は、高倍率化を図る上で特に有効である。
【0042】
なお、望遠端での青色の波長帯域の色収差を補正するためには、負レンズ群の屈折力を強くする必要があるが、本実施形態では第2レンズ群が唯一の負レンズ群であるため、必然的に第2レンズ群の屈折力は強いものとなっており、望遠端での青色の波長帯域の色収差の補正に有利である。また、本実施形態では、第2レンズ群の像側に続いて配置される第3レンズ群が正レンズ群であることから、第2レンズ群で発散した光線を第3レンズ群で収束できるため、第2レンズ群の屈折力を強くしても第4レンズ群の大型化を心配する必要はない。
【0043】
これに対して、特許文献4の従来例では第2レンズ群と第3レンズ群がともに負レンズ群であり、これら2つの負レンズ群で負の屈折力を分配する構成であるため、各負レンズ群の屈折力を強くしにくい。また、特許文献4の従来例では、第2レンズ群、第3レンズ群で発散した光線が第4レンズ群に入射するため、負レンズ群(第2レンズ群および/または第3レンズ群)の屈折力を強めると、第4レンズ群の大型化や、球面収差の増大を招いてしまうことになり、好ましくない。
【0044】
本実施形態の第2レンズ群G2のさらに詳細な構成としては、最も物体側の負レンズL21は像側に曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けていることが好ましく、正レンズL22および負レンズL23からなる接合レンズの接合面は像側に凸面を向けていることが好ましく、正レンズL24は像側に凹面を向けていることが好ましい。
【0045】
仮に負レンズL21が像側に曲率半径の絶対値の大きい方の面を向けるように構成した場合には、広角端における像面湾曲がマイナス側に倒れ、望遠端における球面収差がマイナス側に倒れてしまう。
【0046】
仮に正レンズL22および負レンズL23からなる接合レンズの接合面が像側に凹面を向けるように構成した場合には、広角端における倍率色収差が大きくなるとともに、望遠端における青色の波長帯域の軸上色収差が補正不足となる。
【0047】
仮に正レンズL24が像側に凸面を向けるように構成した場合には、中間から望遠端におけるコマ収差が大きくなってしまう。
【0048】
例えば、図1に示す例の第2レンズ群G2は、物体側から順に、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL21と、像側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL22および両凹形状の負レンズL23の貼り合わせによる接合レンズと、像側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL24とが配されてなる3群4枚構成を採っている。
【0049】
なお、第2レンズ群G2は5枚以上のレンズを有する構成を採ることも考えられるが、コンパクト性を重視する場合は、上記のような、負レンズL21と、正レンズL22および負レンズL23による接合レンズと、正レンズL24とからなる3群4枚構成とすることが好ましい。
【0050】
第1レンズ群G1の構成としては、例えば図1に示す例のように、物体側から順に、1枚の負レンズL11および1枚の正レンズL12からなる接合レンズと、2枚の単レンズである正レンズL13、L14とを含むことが好ましい。
【0051】
第1レンズ群G1をこのような構成とすることにより、正の屈折力を分散させ、第1レンズ群G1に起因する望遠端における軸上色収差と球面収差、広角端におけるコマ収差、像面湾曲を良好に補正することができる。
【0052】
第1レンズ群G1のさらに詳細な構成としては、負レンズL11は像側に凹面を向けたメニスカス形状であり、正レンズL12、L13、14は全て物体側に凸面を向けたメニスカス形状であることが好ましい。このような構成により、望遠端における周辺光束、広角端における軸外光束の各面での入射角が大きくなるのを抑制することができ、望遠端における球面収差、広角端におけるコマ収差、像面湾曲の補正効果を高めることができる。
【0053】
なお、第1レンズ群G1は5枚以上のレンズを有する構成を採ることも考えられるが、コンパクト性を重視する場合は、上記のような、物体側から順に、負レンズL11および正レンズL12による接合レンズと、2枚の単レンズである正レンズL13、14とが配されてなる3群4枚構成とすることが好ましい。
【0054】
ここで、第1レンズ群G1のレンズ枚数に注目して、図1に示す本実施形態のズームレンズと特許文献4に記載のズームレンズとを比較する。特許文献4に記載のズームレンズの第1レンズ群(すなわち特許文献4の記載における第1群G1)は、5枚構成であり、図1に示す本実施形態のものより1枚多い。特許文献4に記載のズームレンズでは、第1レンズ群の構成を適切に設定することにより、第1レンズ群で望遠端寄りの軸上色収差を補正しているため、第2レンズ群(すなわち特許文献4の記載における第2群G2)の青色の波長帯域の色収差の補正効果は少ない。
【0055】
したがって、小型化等の目的で、単純に特許文献4記載のズームレンズの第1レンズ群の枚数を減じた場合、第1レンズ群、第2レンズ群のレンズ枚数は見かけ上本実施形態と同様となるが、色収差補正能力は本実施形態と同等のものを期待することはできない。特許文献4記載のズームレンズの第1レンズ群の枚数を減じるのであれば、軸上色収差補正のために異常分散材料を用いる必要が生じ、その場合には前述したような考察が必要となる。
【0056】
本発明の実施形態にかかる第3レンズ群G3の構成としては、1枚の正レンズと、1枚の負レンズとを含み、第3レンズ群G3に含まれる少なくとも1枚の正レンズは少なくとも1面が非球面であることが好ましい。第3レンズ群G3が正レンズと負レンズの両方を有することで、色収差の補正においてバランスをとりやすくなる。また、非球面レンズを有することで、ズーム全域で軸上光束および軸外光束の両方の光束に作用し、良好に収差補正して高い光学性能を得ることが容易となる。
【0057】
例えば図1に示す例の第3レンズ群G3は、物体側から順に、正レンズL31と負レンズL32とが配されてなる2群2枚構成であるが、第3レンズ群G3は、後述の実施例に示すように、2枚の正レンズと1枚の負レンズとで構成してもよく、あるいは1枚の正レンズと2枚の負レンズとで構成してもよい。また、第3レンズ群G3は、隣り合う正レンズと負レンズを接合した構成を採用してもよい。
【0058】
第4レンズ群G4の構成としては、例えば図1に示す例のように、物体側から順に、2枚の正レンズL41、L42と、1枚の負レンズL43とからなり、第4レンズ群G4における最も物体側の正レンズL41は両面が非球面であり、第4レンズ群G4における負レンズL43は像側に凹面を向けていることが好ましい。
【0059】
仮に負レンズL43が像側に凸面を向けるように構成した場合には、広角端から中間で、球面収差がプラス側に倒れてしまう。
【0060】
第4レンズ群G4が正レンズと負レンズの両方を有することで、色収差の補正においてバランスをとりやすくなり、第4レンズ群G4が2枚の正レンズを有することで第4レンズ群G4に必要な正の屈折力を確保しやすくなる。また、非球面レンズを有することで、主に広角端で軸上光束および軸外光束、望遠端で軸外光束に作用し、良好に収差補正して高い光学性能を得ることが容易となる。
【0061】
本発明の実施形態にかかるズームレンズは、さらに以下に述べる条件式を満たすことが好ましい。なお、好ましい態様としては、下記条件式のいずれか1つの式を満足するものでもよく、あるいは任意の組合せを満足するものでもよい。以下に、条件式と、その作用効果について述べる。
【0062】
第2レンズ群G2の接合レンズを構成する正レンズL22と負レンズL23のd線におけるアッベ数をそれぞれν22、ν23としたとき、下記条件式(1)を満たすことが好ましい。
ν23−ν22>15.0 … (1)
【0063】
条件式(1)は、第2レンズ群G2の接合レンズを構成する正レンズL22と負レンズL23のアッベ数の差の範囲を規定するものである。一般に、高変倍比になると、望遠端の軸上色収差を補正することが困難になる。条件式(1)は、軸上色収差を良好に補正するための式である。条件式(1)の下限以下になると、軸上色収差を補正するために必要なアッベ数の差を得ることができず、軸上色収差を良好に補正することが困難になる。
【0064】
第2レンズ群G2の焦点距離をf2とし、第2レンズ群G2の接合レンズの接合面の曲率半径をR23fとしたとき、下記条件式(2)を満たすことが好ましい。
0.90<R23f/f2<1.50 … (2)
【0065】
条件式(2)は、第2レンズ群G2の焦点距離と接合面の曲率半径の関係を規定するものである。条件式(2)の下限以下になると、望遠端における赤色の波長帯域の軸上色収差が大きくなり、好ましくない。条件式(2)の上限以上になると、望遠端における青色の波長帯域の軸上色収差が大きくなり、好ましくない。
【0066】
第2レンズ群G2における最も像側の正レンズ(図1に示す例では正レンズL24)のd線における屈折率をN24としたとき、下記条件式(3)を満たすことが好ましい。
1.75<N24 … (3)
【0067】
条件式(3)は、第2レンズ群G2の最も像側の正レンズの屈折率の範囲を規定するものである。条件式(3)の下限以下になると、必要な屈折力を得るために曲率半径が小さくなり、そうするとレンズ周辺部まで含めて考えたときの第2レンズ群G2全体の光軸方向の長さが長くなり、好ましくない。
【0068】
第1レンズ群G1が、物体側から順に、1枚の負レンズL11および1枚の正レンズL12からなる接合レンズと、2枚の正の単レンズL13、L14とを含むように構成される場合、負レンズL11のd線におけるアッベ数をν1nとし、接合レンズを構成する正レンズL12および2枚の正の単レンズL13、L14のd線におけるアッベ数の平均をν1pとしたとき、下記条件式(4)、(5)を満たすことが好ましい。
18.0<ν1n<30.0 … (4)
50.0<ν1p−ν1n … (5)
【0069】
条件式(4)、(5)は望遠端における色収差を良好に補正するためのものである。条件式(4)、(5)を満足するレンズ材料の組み合わせを選択することにより、第1レンズ群G1で発生する軸上色収差を小さくし、望遠端における色にじみによる性能劣化を抑制することができる。
【0070】
第1レンズ群G1が、物体側から順に、1枚の負レンズL11および1枚の正レンズL12からなる接合レンズと、2枚の正の単レンズL13、L14とを含むように構成される場合、負レンズL11のd線における屈折率をN1nとしたとき、下記条件式(6)を満たすことが好ましい。
1.75<N1n … (6)
【0071】
条件式(1)は第1レンズ群G1の最も物体側の負レンズの屈折率を規定するものである。条件式(1)の下限以下になると、望遠比を小さくした場合に望遠端において諸収差、特にコマ収差が大きくなり、高性能を維持することができない。
全系における最も物体側の面から像面までの光軸上の距離をTdとし、望遠端における焦点距離をftとしたとき、下記条件式(7)を満たすことが好ましい。
1.00<Td/ft<1.50 … (7)
【0072】
条件式(7)は、望遠端における焦点距離に対する光学系全長を規定するものである。条件式(7)の下限以下になると、光学系全長の短縮には有利であるが、諸収差、特に望遠端における軸上色収差を補正することが困難となり、ズーム全域で高性能を維持することができない。条件式(7)の上限以上になると、収差の補正には有利であるが、光学系全長が長くなり小型化に反するため好ましくない。
【0073】
第2レンズ群G2の接合レンズを構成する正レンズL22と負レンズL23のd線における屈折率をそれぞれN22、N23としたとき、下記条件式(8)を満たすことが好ましい。
|N22−N23|<0.035 … (8)
【0074】
条件式(8)は、第2レンズ群G2の接合レンズを構成する正レンズL22と負レンズL23の屈折率の差の範囲を規定するものである。条件式(8)の上限以上になると、軸上色収差以外の諸収差を良好に補正することが困難になる。
【0075】
本発明の実施形態にかかるズームレンズは、さらに以下の条件式(1−1)、(2−1)、(3−1)、(4−1)、(5−1)、(6−1)、(7−1)のいずれかあるいは全てを満足することがより好ましい。条件式(1−1)、(2−1)、(3−1)、(4−1)、(5−1)、(6−1)、(7−1)それぞれを満たすことで、条件式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)それぞれを満たすことにより得られる効果をさらに高めることができる。
ν23−ν22>18.0 … (1−1)
1.00<R23f/f2<1.40 … (2−1)
1.84<N24 … (3−1)
18.0<ν1n<26.0 … (4−1)
56.0<ν1p−ν1n … (5−1)
1.80<N1n … (6−1)
1.10<Td/ft<1.40 … (7−1)
【0076】
また、本ズームレンズが例えば屋外等の厳しい環境において使用される場合には、最も物体側に配置されるレンズには、風雨による表面劣化、直射日光による温度変化に強く、さらには油脂・洗剤等の化学薬品に強い材料、すなわち耐水性、耐候性、耐酸性、耐薬品性等が高い材料を用いることが好ましく、さらには堅く、割れにくい材料を用いることが好ましい。以上のことから最も物体側に配置される材料としては、具体的にはガラスを用いることが好ましく、あるいは透明なセラミックスを用いてもよい。
【0077】
本ズームレンズが厳しい環境において使用される場合には、保護用の多層膜コートが施されることが好ましい。さらに、保護用コート以外にも、使用時のゴースト光低減等のための反射防止コート膜を施すようにしてもよい。
【0078】
図1に示す例では、レンズ系と像面Simとの間に光学部材PPを配置した例を示したが、ローパスフィルタや特定の波長域をカットするような各種フィルタ等を配置する代わりに、各レンズの間にこれらの各種フィルタを配置してもよく、あるいは、いずれかのレンズのレンズ面に、各種フィルタと同様の作用を有するコートを施してもよい。
【0079】
以上説明したように、本実施形態のズームレンズによれば、要求される仕様等に応じて、上記した好ましい構成を適宜採用することで、4群を有するリアフォーカス方式のズームレンズにおいて、レンズ枚数を大幅に増やすことなく、小型の構成と、高倍率、および高い光学性能を実現することができる。
【0080】
次に、本発明のズームレンズの数値実施例について説明する。実施例1のズームレンズのレンズ断面図は図1に示したものである。実施例2〜6のズームレンズの各レンズ断面図をそれぞれ図2〜図6に示す。図2〜図6の図示方法は図1のものと同様である。
【0081】
実施例1にかかるズームレンズの基本レンズデータを表1に、非球面データを表2に、諸データを表3に、各群の焦点距離を表4に示す。同様に、実施例2〜6にかかるズームレンズの基本レンズデータ、非球面データ、諸データ、各群の焦点距離を表5〜表24に示す。以下では、表中の記号の意味について、実施例1を例にとり説明するが、実施例2〜6のものについても基本的に同様である。
【0082】
表1の基本レンズデータでは、物体面の位置を無限遠とし、Siは最も物体側の構成要素の面を1番目として像側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1、2、3、…)の面番号を示し、Riはi番目の面の曲率半径を示し、Diはi番目の面とi+1番目の面との光軸Z上の面間隔を示している。また、基本レンズデータにおいて、Ndjは最も物体側のレンズを1番目として像側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、…)の光学要素のd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、νdjはj番目の光学要素のd線に対するアッベ数を示している。なお、基本レンズデータには、開口絞りStおよび光学部材PPも含めて示している。開口絞りStに相当する面の面番号の欄に(開口絞り)と記載している。基本レンズデータの曲率半径の符号は、物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。
【0083】
表1の基本レンズデータにおいて、変倍時に間隔が変化する面間隔の欄にはそれぞれD7、D14、D19、D25の符号を記載し、各符号の後に(可変)と記載している。後述の実施例についても同様に、変倍時に間隔が変化する面間隔の欄には対応する符号を記載している。
【0084】
表1の基本レンズデータでは、非球面の面番号に*印を付しており、非球面の曲率半径として光軸近傍の曲率半径の数値を示している。表2の非球面データには、非球面の面番号と、各非球面の非球面係数を示す。非球面係数は、以下の式(A)で表される非球面式における各係数KA、RBm(m=3、4、5、…20)の値である。
Zd=C・h2/{1+(1−KA・C2・h2)1/2}+ΣRBm・hm … (A)
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に
下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からのレンズ面までの距離)
C:光軸近傍の曲率半径の逆数
KA、RAm:非球面係数(m=3、4、5、…20)
【0085】
なお、表2の非球面係数の数値において、記号Eは、その次に続く数値が10を底としたべき指数であることを示し、その10を底とした指数関数で示される数値がEの前の数値に乗算されることを示す。例えば、「1.0E−2」であれば「1.0×10−2」であることを示す。
【0086】
表3の諸データには、ズーム比と、広角端、中間、望遠端における、全系の焦点距離f、Fナンバー、半画角ω、最大の像高Y、レンズ系全長、バックフォーカス、変倍時に変化する各面間隔D7、D14、D19、D25の値を示す。
【0087】
表4の各群の焦点距離には、第1レンズ群〜第4レンズ群の各群の始面(最も物体側の面)と、焦点距離を示す。
【0088】
なお、ここでは一例として、表1〜表4における長さの単位に「mm」を用い、角度の単位に「度」を用い、式(A)のZd、hの単位に「mm」を用いている。しかし、光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、単位は「mm」に限定されることはなく、他の適当な単位を用いることもできる。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
実施例1のズームレンズは、第3レンズ群G3を正レンズL31と、負レンズL32の2枚で構成していたが、実施例2のズームレンズは、第3レンズ群G3を正レンズL31と、正レンズL32と、負レンズL33の3枚で構成している。実施例3〜6の第3レンズ群G3も3枚構成である。
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】
【表8】
【0098】
【表9】
【0099】
【表10】
【0100】
【表11】
【0101】
【表12】
【0102】
【表13】
【0103】
【表14】
【0104】
【表15】
【0105】
【表16】
【0106】
【表17】
【0107】
【表18】
【0108】
【表19】
【0109】
【表20】
【0110】
【表21】
【0111】
【表22】
【0112】
【表23】
【0113】
【表24】
【0114】
表25に、実施例1〜6における条件式(1)〜(8)に対応する値を示す。表25からわかるように、実施例1〜6のいずれも、条件式(1)〜(8)を満足している。
【0115】
【表25】
【0116】
図7(A)〜図7(L)に実施例1のズームレンズの広角端、中間、望遠端における、球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、倍率色収差の各収差図を示す。各収差図には、d線(波長587.6nm)を基準波長とした収差を示すが、球面収差図および倍率色収差図には、波長587.6nmでの収差を実線、波長460.0nmでの収差を破線、波長615.0nmでの収差を一点鎖線で示す。球面収差図のFno.はFナンバー、その他の収差図のωは半画角を意味する。
【0117】
同様に、図8(A)〜図8(L)、図9(A)〜図9(L)、図10(A)〜図10(L)、図11(A)〜図11(L)、図12(A)〜図12(H)に、実施例2〜6のズームレンズの広角端、中間、望遠端における、球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、倍率色収差の各収差図を示す。
【0118】
以上のデータから、実施例1〜6のズームレンズは、15〜20倍程度の高倍率を有し、小型化を図りつつ、広角端でのFナンバーが1.6程度と小さく、広角端から望遠端にわたり各収差が良好に補正されて可視域において高い光学性能を有することがわかる。これらのズームレンズは、監視カメラや、ビデオカメラ、電子スチルカメラ等の撮像装置に好適に使用することができる。
【0119】
図13に、本発明の実施形態の撮像装置の一例として、本発明の実施形態にかかるズームレンズ1を用いて構成したビデオカメラ10の構成図を示す。なお、図13では、ズームレンズ1が備える正の第1レンズ群G1、負の第2レンズ群G2、開口絞りSt、正の第3レンズ群G3、正の第4レンズ群G4を概略的に示している。
【0120】
ビデオカメラ10は、ズームレンズ1と、ズームレンズ1の像側に配置されたローパスフィルタおよび赤外線カットフィルタ等の機能を有するフィルタ2と、フィルタ2の像側に配置された撮像素子4と、信号処理回路5とを備えている。撮像素子4はズームレンズ1により形成される光学像を電気信号に変換するものであり、例えば、撮像素子4としては、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いることができる。撮像素子4は、その撮像面がズームレンズ1の像面に一致するように配置される。
【0121】
ズームレンズ1により撮像された像は撮像素子4の撮像面上に結像し、その像に関する撮像素子4からの出力信号が信号処理回路5にて演算処理され、表示装置6に像が表示される。
【0122】
なお、図13には、1つの撮像素子4を用いた、いわゆる単板方式の撮像装置を図示しているが、本発明の撮像装置としては、ズームレンズ1と撮像素子4の間にR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)等の各色に分ける色分解プリズムを挿入し、各色に対応する3つの撮像素子を用いた、いわゆる3板方式のものでもよい。
【0123】
本発明の実施形態にかかるズームレンズ1は前述した長所を有するものであるため、本実施形態の撮像装置は、15〜20倍程度の変倍比を有し、小型に構成可能で、かつ高画質の映像を得ることができる。
【0124】
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数等の値は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
【符号の説明】
【0125】
1 ズームレンズ
2 フィルタ
4 撮像素子
5 信号処理回路
6 表示装置
10 ビデオカメラ
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
PP 光学部材
St 開口絞り
Z 光軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、正の屈折力を有し、変倍時に固定されている第1レンズ群と、負の屈折力を有し、光軸に沿って移動することにより変倍を行う第2レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有し、変倍時に固定されている第3レンズ群と、正の屈折力を有し、変倍に伴う像面位置の補正および合焦を行う第4レンズ群とを備え、
前記第2レンズ群が、物体側から順に、1枚の負レンズと、1枚の正レンズおよび1枚の負レンズからなる接合レンズと、1枚の正レンズとを含むことを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
前記第2レンズ群が、物体側から順に、像側に曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた1枚の負レンズと、像側に凸面を向けた接合面を有する1枚の正レンズおよび1枚の負レンズからなる接合レンズと、像側に凹面を向けた1枚の正レンズとからなる3群4枚構成であることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記第2レンズ群の前記接合レンズを構成する前記正レンズと前記負レンズのd線におけるアッベ数をそれぞれν22、ν23としたとき、下記条件式(1)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
ν23−ν22>15.0 … (1)
【請求項4】
前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、前記第2レンズ群の前記接合レンズの接合面の曲率半径をR23fとしたとき、下記条件式(2)を満たすことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
0.90<R23f/f2<1.50 … (2)
【請求項5】
前記第2レンズ群における最も像側の正レンズのd線における屈折率をN24としたとき、下記条件式(3)を満たすことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
1.75<N24 … (3)
【請求項6】
前記第1レンズ群が、物体側から順に、1枚の負レンズおよび1枚の正レンズからなる接合レンズと、2枚の正の単レンズとを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記第1レンズ群の前記接合レンズを構成する前記負レンズのd線におけるアッベ数をν1nとし、前記第1レンズ群の前記接合レンズを構成する前記正レンズおよび前記第1レンズ群の前記2枚の正の単レンズのd線におけるアッベ数の平均をν1pとしたとき、下記条件式(4)、(5)を満たすことを特徴とする請求項6に記載のズームレンズ。
18.0<ν1n<30.0 … (4)
50.0<ν1p−ν1n … (5)
【請求項8】
前記第1レンズ群の前記接合レンズを構成する前記負レンズのd線における屈折率をN1nとしたとき、下記条件式(6)を満たすことを特徴とする請求項6または7に記載のズームレンズ。
1.75<N1n … (6)
【請求項9】
前記第3レンズ群が、1枚の正レンズと、1枚の負レンズとを含み、前記第3レンズ群の少なくとも1枚の正レンズが少なくとも1面の非球面を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記第4レンズ群が、物体側から順に、2枚の正レンズと、1枚の負レンズとからなり、前記第4レンズ群における最も物体側の前記正レンズは両面が非球面であり、前記第4レンズ群の前記負レンズは像側に凹面を向けていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項11】
全系における最も物体側の面から像面までの光軸上の距離をTdとし、望遠端における焦点距離をftとしたとき、下記条件式(7)を満たすことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のズームレンズ。
1.00<Td/ft<1.50 … (7)
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載のズームレンズを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
物体側から順に、正の屈折力を有し、変倍時に固定されている第1レンズ群と、負の屈折力を有し、光軸に沿って移動することにより変倍を行う第2レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有し、変倍時に固定されている第3レンズ群と、正の屈折力を有し、変倍に伴う像面位置の補正および合焦を行う第4レンズ群とを備え、
前記第2レンズ群が、物体側から順に、1枚の負レンズと、1枚の正レンズおよび1枚の負レンズからなる接合レンズと、1枚の正レンズとを含むことを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
前記第2レンズ群が、物体側から順に、像側に曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた1枚の負レンズと、像側に凸面を向けた接合面を有する1枚の正レンズおよび1枚の負レンズからなる接合レンズと、像側に凹面を向けた1枚の正レンズとからなる3群4枚構成であることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記第2レンズ群の前記接合レンズを構成する前記正レンズと前記負レンズのd線におけるアッベ数をそれぞれν22、ν23としたとき、下記条件式(1)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
ν23−ν22>15.0 … (1)
【請求項4】
前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、前記第2レンズ群の前記接合レンズの接合面の曲率半径をR23fとしたとき、下記条件式(2)を満たすことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
0.90<R23f/f2<1.50 … (2)
【請求項5】
前記第2レンズ群における最も像側の正レンズのd線における屈折率をN24としたとき、下記条件式(3)を満たすことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
1.75<N24 … (3)
【請求項6】
前記第1レンズ群が、物体側から順に、1枚の負レンズおよび1枚の正レンズからなる接合レンズと、2枚の正の単レンズとを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記第1レンズ群の前記接合レンズを構成する前記負レンズのd線におけるアッベ数をν1nとし、前記第1レンズ群の前記接合レンズを構成する前記正レンズおよび前記第1レンズ群の前記2枚の正の単レンズのd線におけるアッベ数の平均をν1pとしたとき、下記条件式(4)、(5)を満たすことを特徴とする請求項6に記載のズームレンズ。
18.0<ν1n<30.0 … (4)
50.0<ν1p−ν1n … (5)
【請求項8】
前記第1レンズ群の前記接合レンズを構成する前記負レンズのd線における屈折率をN1nとしたとき、下記条件式(6)を満たすことを特徴とする請求項6または7に記載のズームレンズ。
1.75<N1n … (6)
【請求項9】
前記第3レンズ群が、1枚の正レンズと、1枚の負レンズとを含み、前記第3レンズ群の少なくとも1枚の正レンズが少なくとも1面の非球面を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記第4レンズ群が、物体側から順に、2枚の正レンズと、1枚の負レンズとからなり、前記第4レンズ群における最も物体側の前記正レンズは両面が非球面であり、前記第4レンズ群の前記負レンズは像側に凹面を向けていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項11】
全系における最も物体側の面から像面までの光軸上の距離をTdとし、望遠端における焦点距離をftとしたとき、下記条件式(7)を満たすことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のズームレンズ。
1.00<Td/ft<1.50 … (7)
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載のズームレンズを備えたことを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−160298(P2010−160298A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2161(P2009−2161)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】
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