説明

セキュリティ顔料

本発明は、透明な無機マトリックスおよびそのマトリックス中に埋め込まれている少なくとも1つの粒子材料からなる固有の秘密および/または法科学的セキュリティ機能を有するセキュリティ顔料、このタイプのセキュリティ顔料のペイント、コーティング等の顔料着色のための使用、およびこのタイプのセキュリティ顔料の検出方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペイント、コーティング、粉体コーティング、印刷インキ、コーティング組成物、プラスチック、接着剤、製紙原料、建築材料、ゴム組成物、爆発物等を顔料着色するために使用でき、これらの製品の真正性の識別または検証に対して役立つ、固有の秘密および/または法科学的セキュリティ機能を有するセキュリティ顔料に関する。本発明によるセキュリティ顔料は、したがって、セキュリティ文書およびセキュリティ製品の顔料着色で特別な利点も有する。
【背景技術】
【0002】
すべての種類の製品の模倣および偽造に対する防御は重要性が増している。特に、高価な商標保有製品は、しばしば模倣され非常に人を信じ込ませる包装で販売に出される。医薬品または車両の交換部品が偽造者による攻撃を受けて、オリジナル商品の製造業者についての物的損失ばかりでなく、消費者の少なからぬ健康被害や危険の恐れを生じさせる可能性があることも頻繁にある事例である。
【0003】
したがって、すべての種類の商標保有製品の製造業者についてのイメージ損失および損害賠償請求に備え、そして、顧客または患者を予測不可能な製品の影響に備えて防御するための広範囲にわたる努力が業界によりなされている。その使用の特質のために、常に特定のセキュリティ対策をしなければならない製品、即ちセキュリティ文書またはセキュリティ製品、例えば、銀行券、小切手、クレジットカード、小切手保証カード、債券、証券、身分証明書等は、特に多種多様で偽造検査済みの形でのそれらの真正性の証拠を備えていなければならないことは疑いないことである。
【0004】
上記製品におけるセキュリティ機能は、その性質が許容する場合には製品に一体化され、あるいは製品またはその包装に直接適用される。
【0005】
一般に、セキュリティ機能には公開セキュリティ機能と秘密セキュリティ機能とに区別される。一般にその2つの組合せが使用される。
【0006】
公開セキュリティ機能は、訓練されていない観察者が特定の目に見える公知の記号を見ることによって彼自身が製品の真正性をたやすく調べることができるように容易に利用できることが意図されている。公開セキュリティ機能は、したがって、補助器具無しでまたは簡単な補助器具のみを用いて見抜くことができるものである。この目標を達成するためによく使用されるのは、着色したセキュリティ要素、とりわけ、照明および/または視角、ホログラム、キネグラム、透かし、セキュリティスレッド等によってそれらの色を変化させるカラーフロップ効果を有するものである。このタイプのセキュリティ要素は、末端の顧客、税関または情報に通じた専門家による基礎的な識別に役立ち、確認するのが容易である(識別レベル1)。
【0007】
セキュリティ要素の正規の識別について使用されるのは秘密セキュリティ機能(レベル2)であり、それは補助器具無しでは見ることができず、資格のある観察者、例えば、認定された業者または検査官、税関等の当局だけの注意を引く。このタイプのセキュリティ要素は、訓練後にのみ見抜くことができ、例えばある条件下において製品のあるポイントでUVまたはIR活性を発現する添加剤あるいは特に使用される液晶材料またはタガントからなり、後者は、例えばその層構造の特定の配列により確認でき、極めて低濃度でのみ存在し、特定の補助器具(拡大装置)を用いることによってのみ見ることができる。
【0008】
最高の識別レベル(レベル3)は、商標権者による製品監視に役立ち、その商標権の所有者、法的権限のある者および専門家以外の誰の注意も引かない法科学的機能により得られる。このタイプのセキュリティ機能は、特定の技術的情報的必要条件によってのみ見抜くことができ、とりわけ、法廷において製品の真正性または偽造を証明すること、流通網による製品監視、生産または流通網における厄介者の発見、除覆製品の悪用、並行貿易および不法再輸入を発見すること等に役立つことが意図される。それらの例は、DNAタガント、スマートラベルのRFIDトランスポンダー等である。
【0009】
タガントは、一定の条件下で繰り返して検出でき、製品の確認またはその製品の真正性を証明するのに役立つように、通常は製品中にごく少量添加されるマイクロスケールの粒子である。これはその検出または帰属を単純化する特別の粒子特性を有する。これは、しばしば色および/または層の配列によりコード化された多層粒子であり、したがって特定の製品、製品バッチまたは製造業者をたどることができる。
【0010】
かかる粒子の化学的または物理的性質が、それらを繰り返して検出できることの基礎となっている。
【0011】
タガントは、一般に、各製品に予め特定化した条件下でほぼ確認できるが、対応する補助器具無しでは見ることができない量でだけ添加される。後者には、全体としてのその製品の外観を、タガントが添加されていない同等製品と視覚的に識別できる程度に影響を及ぼさないようにその性質が設計されることが必要である。
【0012】
効果顔料をタガントとして使用することは既に記載されている。例えばWO2005/055236は、タガントが添加されているポリマーの真正性を判定するプロセスについて記載しており、そこで使用されるタガントは、例えば、フレーク状の金属顔料で、それらの表面に印刷された顕微鏡学的に小さいコードを有するものまたは視角によって色変化を示す特別の粒子である。
【0013】
有機可溶性染料を用いて既に別の方法で着色されていてもよいポリマー中においては、このタイプの粒子は、訓練を受けた観察者によって比較的はっきりと検出できる。しかしながら、ポリマーがタガントと似た材料組成を有する効果顔料を用いて練り込み着色されている場合には、それらは着色のために使用されるので比較的多量で使用されていて、タガントの検出、すなわち製品の真正性の判定は、訓練を受けた専門家にとっても大きな困難を伴なう。
【0014】
米国特許第4,234,734号は、製造業者または所有者をたどることができる、ポリマーフレークあるいはスタンプで押して金属箔から切り取られた、同じ形状と大きさで表面に符号を持つフレークをタガントとして使用することを開示している。しかしながら、このタイプのタガントの調製は、その粒子の個々に様々な符号をつけるための多数の手段が必要なため非常にコストがかかる。したがって、可能な変更態様の数は非常に限られており、確認される製品のコストは非常に増大する。外形とタガントの材料についての望ましい変化への速い適応もコストの増加と関係する。
【0015】
米国特許第6,643,001号も、一定の形状および大きさを有し、その表面に付けられるパターンによりコード化でき、製品の確認のために使用できるフレークについて記載している。そのフレークは、さらに、蛍光を発する層で被覆することもできる。それらは実質的に視角によって色が変化する外観(傾斜効果またはカラーフロップ)を与える液晶コレステリック材料からなる。しかしながら、このタイプの液晶材料は、液晶材料の重合層を適切な様式で分ける必要があるので、所望の一様な粒子形状に変換するのが非常に困難である。フレークの表面のコード化もポリマー液晶材料の光学特性を破壊しない特別な処理によってのみ可能である。
【0016】
EP978373は、異なる化学的および/または物理的性質を有し、1つが他の上にある少なくとも2つの層を有する無機層パッケージを粉砕して得られる顔料を開示している。これらの顔料はその表面に1つ以上の符号を有し、タガントとして使用できる。これらの顔料は、好ましくは異なる角度から見るとカラーフロップを有し、重要なのは2つを超える層を有することと言われる。符号は、レーザーにより、顔料の表面に付けられるとされる。
【0017】
かかる顔料の層構造は、非常に複雑であり、顕微鏡学的に小さい符号のレーザーによる付与は、そのレーザーが、各顔料が少なくとも1つのその符号の確認可能な部分を持つように非常に微細な線構造を生成しなければならないために非常に困難である。加えて製品中に分散している顔料のカラーフロップは、顔料がその製品中に如何に配置しているかに依存する各粒子の異なる色として感知できるのみである。その製品を異なる視角に傾けると、逆に個々の粒子についてカラーフロップが見られない。したがって、粒子の確認は、実際には符号または表面に位置する符号部分により可能なだけである。
【0018】
WO2005/017048は、単一の無機誘電体層からなり、選ばれた形状を有し、および/またはパターンもしくは符号を表面に有する秘密セキュリティ用途のためのフレークについて記載している。これらのフレークは、好ましくは硫化亜鉛からなる。この材料が適切に処理された場合にそれは蛍光を発することもできる。しかしながら、別にさらに顔料着色されている媒体中ではそのフレークの外形は、はるかに多量に存在するその他の顔料の外形と区別することは極めて困難であり、この場合もやはり、フレークの表面の符号だけが、または適切な場合は、そのフレークの蛍光を発する挙動が本質的な区別の基準として寄与できることを意味している。
【0019】
従来技術文献中の上記のタガントは、それらの識別のための共通の基準として、粒子の外形および/またはその表面にあるパターンのいずれかを本質的に使用している。粒子が発光特性をさらに有する場合は、これはそれぞれの場合において、その材料の使用を通しての粒子表面の全体と関係する。これらの場合、使用される識別機能は、発光が有るかまたは無いかである。このタイプの差別機能は、識別レベル2に属する秘密機能である。秘密機能以外に法科学的機能をも持つ識別レベル3のタガントは、引用した文献には記載されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ここで、本発明の目的は、顔料着色のためと、同時に多種多様のタイプの製品についての識別/真正性判定のためとに用いることができ、秘密および/または法科学的セキュリティ機能を含むセキュリティ顔料であって、そのセキュリティ顔料中のセキュリティ機能は、必要により大した技術的な複雑さ無しに、互いに組み合わせることができ、そのセキュリティ顔料は、固有の製品コード化を可能にし、異なる識別レベルにおいて様々な等級で検出できるセキュリティ顔料を提供することにある。
【0021】
本発明のさらなる目的は、本発明によるセキュリティ顔料の使用法を示すことにある。
【0022】
本発明の付加的な目的は、媒体中の、またはそれによって顔料着色された製品中の本発明によるセキュリティ顔料の検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の目的は、固有の秘密セキュリティ機能および/または法科学的セキュリティ機能を有するセキュリティ顔料であって、透明な無機マトリックスと、該マトリックス中に埋め込まれていて、該マトリックスとは異なるものであって、電磁放射線に曝露すると可視光を選択的または非選択的に吸収、反射および/または放射する少なくとも1つの粒子材料とからなるセキュリティ顔料によって達成される。
【0024】
本発明の目的は、ペイント、コーティング、粉体コーティング、印刷インキ、コーティング組成物、プラスチック、接着剤、製紙原料、建築材料、ゴム組成物および爆発物を顔料着色するために前記セキュリティ顔料を使用することによってさらに達成される。
【0025】
加えて、本発明の目的は、本発明によるセキュリティ顔料を検出する方法であって、前記セキュリティ顔料を含む媒体またはこのタイプの媒体を含む製品を電磁放射線に曝露し、第一段階では、前記セキュリティ顔料の外形および大きさを見分けることが可能で、第二段階では、マトリックス中に埋め込まれている粒子材料の形状、大きさ、数および/または色を見分けることが可能な、十分に大きい倍率で観測する方法によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明によるセキュリティ顔料は、透明な無機マトリックスと、該マトリックス中に埋め込まれていて、該マトリックスとは異なるものであって、電磁放射線に曝露すると可視光を選択的または非選択的に吸収、反射および/または放射する少なくとも1つの粒子材料とからなる。
【0027】
本発明の目的に対しては、無機マトリックスは、それが本質的に、即ち少なくとも90%程度まで可視光を透過させる場合、透明とみなされることを意図している。ここでマトリックスとは、他の構成物質が埋め込まれる材料組成物を意味する。透明な無機マトリックスとして用いられる材料は、原則として、その前駆体がセキュリティ顔料の製造工程中に粒子物質を取り入れることが可能であり、固体の状態で可視光に透明であり十分に化学的および物理的に安定しているすべての無機材料である。
【0028】
透明なマトリックスは有色でも無色でもよい。好ましくは無色である。
【0029】
透明な無機マトリックスは、好ましくは、二酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化マグネシウムまたはこれら化合物の2つ以上の混合物(低い屈折率を有するマトリックス)または二酸化チタンおよび/または二酸化チタン水和物(高い屈折率を有するマトリックス)からなる。
【0030】
無機マトリックスは、また、二酸化チタンおよび/または二酸化チタン水和物の1つ以上の前節で述べたその他の材料との混合物からなることもできる。そのような場合、それが高い屈折率を有するか低い屈折率を有するかの割当は、各材料の百分率比に依存する。しかしながら、このタイプの混合物は、本発明の特に好ましい実施形態ではない。
【0031】
マトリックス中に埋め込まれる適当な粒子材料は、すべて、少なくとも1つの波長または波長範囲の電磁放射線の作用下で選択的または非選択的に、吸収、反射および/または放射する粒子材料である。
【0032】
これは、粒子材料が、少なくとも1つの電磁(太陽光)スペクトル部分領域の放射線の作用下で少なくとも1つの目に見える色を有することを意味する。
【0033】
これは、例えば、粒子材料に対する太陽光の可視波長領域(λ=380〜780nm)の入射に基づき、粒子材料による選択吸収から生じる目に見える反射色、例えば、対応的する相補的吸収による赤、青または緑の反射色である。これに対して、可視放射線を非選択的に吸収する粒子材料は、一般に、目に見える、本質的に白色または黒色を有する。
【0034】
他の適切な粒子材料としては、また、可視光波長領域外の電磁放射線の作用下目に見える色を有する材料、即ち、次の条件下、例えば、赤外(IR)光(λ>780nm)および/または紫外(UV)光(λ<380)の入射によって、励起されて可視光を放つ材料である。かかる材料は、IRアップコンバーターまたはUVダウンコンバーターとしても知られる。それらは、前記条件下で可視光波長領域の冷光を発する。
【0035】
この可視光は、この場合もやはり、白(広い波長スペクトルにわたって発光する励起)か有色(比較的狭く限定された波長範囲にわたって発光する励起)のいずれかである。
【0036】
本発明によるセキュリティ顔料は、本質的にはフレークの形状を有する。これは、その上部側と底部側で互いにほぼ平行している2つの表面を有する平板的構造であり、その長さと幅の寸法がその顔料の最大の寸法を表すことを意味する。フレークの厚さを表す前記表面間の距離間隔は反対に最小の寸法を有する。
【0037】
本発明によるセキュリティ顔料の長さと幅の寸法は、1μmと250μmの間、好ましくは、2μmと100μmの間、特に好ましくは、5μmと60μmの間である。厚さは、0.1μmから12μmまで、好ましくは0.1から10μm未満まで、特に好ましくは0.1μmから5μmまで、とりわけ好ましくは0.2から2μmまでである。
【0038】
フレークのアスペクト比、即ち、最大の長さまたは幅寸法対厚さの比は、ここでは少なくとも2:1であるが、好ましくは10:1であり、特に好ましくは、20:1を超える。
【0039】
フレーク状顔料の最大表面が上から見られるとき、これは規則的形状および不規則的形状の両方でよい。
【0040】
本発明の目的において、規則的とは、フレーク状顔料が、例えば規則的もしくは不規則的な多角形、円形または楕円形の所定の形状を有することを意味する。
【0041】
しかしながら、本発明による顔料の最大表面の形状については平面図において不規則であることが好ましい。この場合、その外形は決まっておらず、先が尖っているもの角があるものの両方でよく、また丸味があるものや角が取れた縁を有するもの、あるいは互いにそれらを組み合わされたものでもよい。したがって、本発明によるセキュリティ顔料の外形は、表面コーティング、印刷インキ、ポリマー組成物等の顔料着色のために通常使用される他の効果顔料の外形と区別することはできない。後者は、一般に同様に不規則な形状を有する。
【0042】
本発明によるセキュリティ顔料においては、マトリックスは、屈折率n1を有し、粒子材料は屈折率n2を有し、ここで、n1は、n2とは異なり、n1とn2の間の差Δnが少なくとも0.2である。
【0043】
マトリックスが低い屈折率を有する場合、それは、屈折率n1<1.8を有し、二酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化マグネシウムまたはこれら化合物の2つ以上の混合物からなる。
【0044】
屈折率n1≧1.8を有する高屈折率のマトリックスを得るためには、マトリックス材料として二酸化チタンおよび/または二酸化チタン水和物が好ましくは用いられる。
【0045】
固化されたマトリックスの厚さは、0.05μmから10μm未満まで、好ましくは0.1μmから5μm未満まで、特に好ましくは0.2μmから2μm未満までである。
【0046】
本発明の特に好ましい実施形態において、マトリックスは、酸化ケイ素および/または二酸化ケイ素水和物からなる。
【0047】
マトリックス中に埋め込まれる粒子材料は、実質的に球形かまたは三次元的に規則的もしくは不規則的な形状の材料であり、0.01から12μmの粒径を有する。
【0048】
粒子材料の粒径は、その粒子材料が埋め込まれている固化したマトリックスの厚さより必ずしも小さくなくてもよいことをここで注目すべきである。望ましい干渉効果を大きく得るために特に滑らかな表面の形成が重要である干渉顔料とは対照的に、マトリックス表面の上に突出している埋め込まれた粒子によって引き起こされる顔料表面の一定の粗さが、本発明によるセキュリティ顔料において発生することは全くあり得ることである。本発明によるセキュリティ顔料の表面における干渉効果の発現は、逆に多層構造の顔料の場合であってもむしろ望ましいものではなく、すなわち好ましいものではない。
【0049】
使用される粒子材料は、少なくとも1つの無機白色、黒色もしくは有色顔料、無機UV色素、無機IRアップコンバーター色素、カプセル化有機染料、カプセル化UVまたはIRアップコンバーター材料またはそれらの2つ以上の混合物である。
【0050】
ここで使用できる白、黒または有色顔料は、原則として、すべて、所望の粒径まで細かく砕き、マトリックス中に導入するときそれらの形状および大きさを保持できる着色顔料である。個々の粒子として細かく分けられた状態であっても高い着色力を有する顔料がここでは好ましい。これらは、例えば、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、ピグメントブラック、酸化鉄(ヘマタイト、マグネタイト)、酸化クロム、テナールブルー(CoAl24)、リンマングリーン(ZnCo24)、コバルト−クロム−アルミン酸塩スピネル((Co,Cr)Al24)またはそれらの2つ以上の混合物である。
【0051】
マトリックス中に埋め込むための粒子材料として適切なのは、同様に紫外線により励起すると可視光を放つ材料である。これらは、例えば、ドープした金属酸化物、ドープした金属硫化物、蛍光を発することができるランタニドの金属オキシ硫化物もしくは混合酸化物またはそれらの2つ以上の混合物である。
【0052】
このタイプの材料は公知であり、一般に、UV蛍光顔料と呼ばれている。典型的な代表例は、少しだけ挙げれば、例えば、ZnS:Cu、Cdオキシ硫化物、Yオキシ硫化物または、例えば、Ba/Mgアルミン酸塩等の混合酸化物である。
【0053】
このタイプの材料のセキュリティ製品中での使用は一般に広く普及している。したがって多数の使用可能な物質を当業者には入手可能である。これらは、それらを必要な粒径にすることができる限りは、それらの材料組成に制限されることなく使用可能である。
【0054】
赤外線による励起で可視光を放つ粒子材料、即ち、いわゆるIRアップコンバーターも本発明によるセキュリティ顔料に使用するのが適切である。これらは、例えば、少なくとも1つの遷移金属イオン、ランタニドイオンおよび/またはアクチニドイオンによりドープされている元素Li、Na、K、Mg、Ge、Ga、Al、Pb、Cd、Ba、Mn、Nb、Ta、Cs、Y、Nd、Gd、Lu、Rb、Sc、Bi、ZrおよびWの酸化物、ハロゲン化物、カルコゲニド、オキシハロゲン化物、オキシ硫化物、フルオロヒ酸塩またはフルオロインジウム酸塩、またはそれらの2つ以上の混合物である。
【0055】
ここでの特に適切なドーピングイオンは、遷移金属イオン、ランタニドイオンおよび/またはアクチニドイオンのTi2+、Cr3+、Ni2+、Mo3+、Re4+、Os4+、Pr3+、Nd3+、Gd3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm2+、U4+および/またはU3+である。
【0056】
非常に頻繁に使用されるIRアップコンバーターは、オキシハロゲン化物またはオキシ硫化物または複数ドープされた化合物である。
【0057】
これらは、例えば、イットリウムオキシ硫化物と、ガドリニウムオキシ硫化物、イッテルビウムオキシ硫化物、エルビウム硫化物およびツリウムオキシ硫化物から選択される1つ以上の化合物とを含む混合物である。ガドリニウムオキシクロリド/フルオリドのイッテルビウムオキシクロリド/フルオリドおよび/またはエルビウムオキシクロリド/フルオリドとの混合物、あるいはY23:Yb,Er,Nd:YAGおよびLi,NaYF4:Er等の化合物もIRアップコンバーターとして市販されている。それらは市場で容易に入手できるので、本発明によるセキュリティ顔料中に使用するのが好ましい。原則として、マトリックス中への組込み時およびその後の固化工程において、形状と大きさを保持し、力学的および化学的に安定している限りは、すべての市販のIRアップコンバーター材料を用いることができる。
【0058】
UV材料およびIRアップコンバーター材料は、また、カプセル化された形でもよい。カプセル(保護鞘)は、無機材料または有機ポリマーからなり、一般に、そのコア中にある材料を保護するかまたは液体の発光物質を操作できる固形に変換するのに使用される。UVまたはIR励起により可視波長領域で冷光を発するこのタイプの前記の粒径のカプセル化材料も市販されている。実際に溶解される既知のUV蛍光染料は、例えば、クマリン、ローダミン、フタレイン、例えばフルオレシン、ウラニン、またはスチルベン等、あるいは、とりわけ、ブランコフォー等のピラゾール誘導体である。
【0059】
溶解され、可溶性の有機染料は、カプセル化した形でも使用できる。カプセルは、有機染料がマトリックス中に導入される場合、マトリックス材料の完全な着色を防ぐ。適当な有機染料は適切な方法でカプセル化できるすべての既知の染料である。ここで挙げるべき一例は、苛性アルカリ溶液または酸性アゾ染料中に溶解するヒドロキシアントラキノン染料である。
【0060】
上記の粒子材料は、本発明によるセキュリティ顔料中に個別、または混合物の形のいずれかで存在する。ここでの混合物は、同じタイプの複数種、例えば、複数種の黒色、白色または着色顔料、複数種のUV顔料またはIRアップコンバーター顔料からなることができ、ここでこれらはその種の中で一緒に混合されてもまたは互いに一緒に混合されてもよく、あるいは1以上の発光性の粒子材料と混合される黒色、白色または着色顔料からなることができる。
【0061】
粒子材料が、少なくとも1つの選択的または非選択的な吸収材料と少なくとも1つの発光材料との混合物であることが、特に好ましい本発明の一実施形態である。
【0062】
本発明の特に好ましい実施形態は、二酸化ケイ素を含むマトリックス中に埋め込まれた、二酸化チタン、二酸化チタンと酸化鉄(ヘマタイト)、UV顔料(例えばZnS:Cu)、UV顔料と二酸化チタンおよび/または酸化鉄、IRアップコンバーター(例えば、イットリウムオキシ硫化物のガドリニウムオキシ硫化物、イッテルビウムオキシ硫化物およびエルビウムオキシ硫化物との混合物)、IRアップコンバーターとUV顔料、IRアップコンバーターと二酸化チタンおよび/または酸化鉄を含む微粒子状の粒子である。
【0063】
本発明による顔料を光学顕微鏡下で見るとき、その粒子材料は、白(TiO2)、赤褐色/オレンジ(Fe23)に見え、紫外線および/または赤外線照射による励起下では明るい白または着色されて見える。
【0064】
粒子材料は、マトリックス中に、セキュリティ顔料の全重量を基準として1から80重量%の割合で存在する。マトリックス中の粒子材料の割合は、セキュリティ顔料の全重量を基準として、好ましくは1から60重量%、特に好ましくは10から50重量%である。
【0065】
上で既に述べたように、本発明によるセキュリティ顔料に埋め込まれている粒子材料は、適切な場合には、紫外線および/または赤外線による励起後の光学顕微鏡下において、あるいはUV顕微鏡下において適切な倍率で、個々の粒子として認識できる。ここでの粒子の(正確なまたはおおよその)数およびマトリックス中のそれらの色、大きさまたは割合は、簡単な方法で視覚的に測定できる。これらのパラメーターの変化は、したがって本発明によるセキュリティ顔料を、製造業者、バッチ、生産期間、流通ルート等によってコード化するために特に使用できる。訓練されていない観察者は、適用媒体中の本発明によるセキュリティ顔料を見つけることができ、例えばその色を通してその埋め込まれた粒子材料を見分けることができたとしてもコード化について知らされていない場合は、本質的にそのセキュリティ顔料に固有のコードを解読することはできない。
【0066】
したがって、粒子材料の粒径は、可視光下で見ることができる粒子の割合、ならびに/あるいは可視光、UV光および/またはIR光に曝露して見ることができる粒子材料の色と共同して、そのセキュリティ顔料の情報を持ち訓練されている少数の観察者にのみそれ自体が開示する法科学的コードを表す。
【0067】
本発明の他の実施形態において、セキュリティ顔料は、それを完全に包囲する単層または多層の追加のコーティングを有する。
【0068】
その追加のコーティングは、好ましくは、少なくとも1つの無機誘電材料からなる。
【0069】
適切な無機誘電材料は、原則として、すべて既知の無機誘電材料、例えば、金属酸化物、金属酸化物水和物またはそれらの混合物、金属混合酸化物、亜酸化物、オキシ窒化物または金属フッ化物等である。
【0070】
特に、TiO2、Fe23、Fe34、SnO2、Sb23、SiO2、A123、ZrO2、B23、Cr23、ZnO、CuO、NiOまたはそれらの混合物、あるいはフッ化マグネシウムから選択される有色または無色の金属酸化物を使用できる。
【0071】
特に適切なのは、無色の金属酸化物、例えば、TiO2、SnO2、SiO2、A123、ZrO2、B23およびZnO、ならびにそれらの酸化物の水和物である。
【0072】
コーティング用の材料は、マトリックスの材料に一致していてもよいしそれとは異なっていてもよい。
【0073】
複数の層からなるコーティングもまた可能である。このタイプの多層コーティングのマトリックスに面する層は、同様に、マトリックスの材料に一致してもそれとは異なっていてもよい。
【0074】
追加のコーティングは、セキュリティ顔料の表面の改変に役立つ。これは、一桁ナノメートルの範囲の層の厚さを有し、本発明によるセキュリティ顔料の例えば印刷インキ等の適用媒体中への混和に対する表面特性を改善するのに役立つ1以上の無機および/または有機層から構成されているポストコーティングとして一般に知られている層配列でよい。このタイプのポストコーティングは、多様な顔料、例えば、干渉顔料で一般的に適用され、その光学的挙動を損なうことはない。これは当業者にはよく知られている。
【0075】
しかしながら、本発明によるセキュリティ顔料の表面の改変は、マトリックスの屈折率が適用媒体と比較して追加のコーティングにより変更されるように行うこともできる。
【0076】
この場合、追加のコーティングは、少なくとも1つの無機誘電材料からなり、本発明の一実施形態においては、少なくともマトリックスから見て外方に向く表面上にマトリックスの屈折率n1とは異なる屈折率n3を有する。
【0077】
本発明の他の実施形態において、コーティングは、少なくとも1つの無機誘電材料からなり、少なくともマトリックスから見て外方に向く表面上に粒子材料の屈折率n2とは異なる屈折率n3を有している。
【0078】
本発明の別の実施形態において、コーティングは、少なくとも1つの無機誘電材料からなり、少なくともマトリックスから見て外方に向く表面上に粒子材料の屈折率n2と実質的に等しい屈折率n3を有している。
【0079】
また、本発明のさらなる実施形態において、コーティングは、少なくとも1つの無機誘電材料からなり、少なくともマトリックスから見て外方に向く表面上にセキュリティ顔料を包囲している媒体の屈折率n4とは異なる屈折率n3を有している。
【0080】
上で示した実施形態を、以下に簡単な例を参照して説明する。
【0081】
しかし、最初は、追加のコーティングがないか1つだけのいわゆるポストコーティングを有するかのいずれかの本発明によるセキュリティ顔料の光学的挙動について説明する。このタイプのセキュリティ顔料において、適用媒体の光学的性質は、マトリックスの材質および埋め込まれた粒子材料の材質によって決まる。
【0082】
コーティング組成物、ペイント、ラッカー、印刷インキまたはプラスチック組成物等の顔料についての一般的な適用媒体は、約1.5から約1.65までの範囲の比較的低い屈折率を一般に有する。このタイプの適用媒体中に導入されている顔料がその中で目に見えるかどうかは、その適用媒体と顔料の色に加えて2つの材料の屈折率差に依存する。適用媒体と顔料が無色でかつ透明である場合は、その顔料の可視性は、その2つの材料の屈折率差のみに依存する。
【0083】
約1.45から1.5の屈折率を一般に有するSiO2を含むマトリックスを有する顔料は、したがって、それ自体は1.5から1.65の屈折率を有する適用媒体中では外形については目に見えない。
【0084】
一方、このタイプの顔料が、本発明におけるように微粉砕した粒子材料を含む場合、これらの粒子は、マトリックスと異なる屈折率を有する場合、相応した高い倍率の光学顕微鏡で検出できる。このタイプの粒子は、透過光中で生じる散乱効果によっても目に見えるようにできる。この可視性は、粒子材料の着色またはそのUV/IR活性とは無関係である。
【0085】
粒子材料の濃度が十分に高く、その粒径が十分に小さい場合、セキュリティ顔料の形状は、その外面形状を直接見ることはできないが、適用媒体中の粒子材料の集積の形状から同様に判断できる。
【0086】
一方、マトリックスが約2.4の屈折率を有するTiO2または酸化チタン水和物等の高屈折率材料からなる場合、本発明によるセキュリティ顔料は、ここでは屈折率差が十分なので、適用媒体中のその外形を見ることができる。
【0087】
SiO2(n1=1.45)を含むマトリックスを有するセキュリティ顔料が、TiO2(n3=2.4)を含むコーティングを施された場合、屈折率n4=1.5を有する適用媒体中のこのタイプの顔料の外形は、光学顕微鏡で検出できる。
【0088】
有色であり、および/またはIR/UV活性である埋め込まれた粒子は、光学顕微鏡の倍率がその後増加され、および/またはIR/UV光源が使用されると、目に見えるようにできる。
【0089】
粒子材料の屈折率n2とコーティングの屈折率n3に差が存在する場合、無色であるIR/UV材料も、相応した高倍率の光学顕微鏡で見ることができる。
【0090】
一方、粒子状のIR/UV材料の屈折率n2が、追加のコーティングの屈折率と実質的に等しい場合は、いずれの場合も本発明によるセキュリティ顔料の外形のみが、光学顕微鏡により適用媒体中で検出可能である。IR/UV活性のある埋め込まれた粒子は、逆に、相応する励起がなされたときのみ見ることが可能であり、セキュリティ顔料の中の濃度にも依存するが、その際、それは、例えばこのタイプの粒子材料を適用媒体中にランダム分布で含む従来のセキュリティ製品では達成できない、極めて小さい空間中の集積された形をしている。これは、最終製品中の少量の発光物質によって、例えばIR活性およびUV活性のある蛍光材料の明らかな証拠を提供でき、かつコード化を可能にすることができるという本発明の大きな利点である。
【0091】
追加のコーティング用の材料を、所望の効果が現れるように、屈折率に関して、状況に応じてマトリックスの材料および粒子材料に適合させることは言うまでもない。
【0092】
SiO2を含むマトリックス用の適当な高屈折率材料は、例えばSnO2、TiO2またはAl23であり、場合によっては混合物または連続層である。一方、TiO2を含むマトリックスは、例えば、SiO2、SnO2またはAl23を含むコーティングによって、そのコーティングの屈折率がマトリックスの屈折率より低くなるように、その屈折率を変更することができる。
【0093】
本発明によるセキュリティ顔料は、上記の1以上の粒子材料と、マトリックスを形成するために必要である液体または流動性を有する前駆物質との混合物を、シート状の支持体に均一な膜を形成するように塗布し、この膜を乾燥して固化し、その支持体から引き剥がし、粉末状にして、粒子材料が埋め込まれている固体マトリックスを含む顔料を得て調製される。
【0094】
必要に応じてこれらの顔料は、追加の乾燥および粉砕ステップおよび/または焼成ステップにかけることができる。
【0095】
このタイプの工程は、それ自体公知であり、一般にベルト装置により行われる。固体マトリックスの形成には、安定なマトリックスを得るために、固化した前駆物質の膜を水、酸および/または苛性アルカリ溶液により処理することが必要となることもある。粒子材料を前駆物質に加える順序は一般に重要ではない。同様に、前駆物質と粒子材料との混合はシート状の支持体上で直接行うだけでよい。
【0096】
本発明によるセキュリティ顔料の調製用の適当な出発材料(前駆物質)は、特に、ナトリウム水ガラスおよびカリウム水ガラス、四塩化チタン等の加水分解性チタン化合物、ならびに加水分解性アルミニウムおよびマグネシウム化合物である。対応する工程は、EP608388およびDE19618564に記載されている。
【0097】
本発明によるセキュリティ顔料に、追加のコーティングを施す場合、このコーティングは、よく知られている干渉顔料のコーティング用の工程に従って行うことができる。有機または無機加水分解性金属化合物による湿潤化学コーティング工程が、許容できるコストで顔料の均一なコーティングをもたらすので、ここでは出発材料として好ましくは選択される。特に好ましいのは全く無機の出発材料のみを用いるプロセスである。
【0098】
誘電体層を持つ干渉顔料のコーティングとは対照的に、顔料の完全に滑らかな表面、包囲層の均一な層の厚さあるいはコーティングの厳しく制限された層の厚さの順守は、本発明によるセキュリティ顔料の場合は重要ではない。その代わりに、本発明によるセキュリティ顔料は、好ましくは適用媒体に面する表面がマトリックスの屈折率とは異なる屈折率を有するコーティングによって完全に包囲されていることで十分である。
【0099】
フレーク状顔料の湿潤化学コーティング工程は、例えば、文献DE1467468、DE1959998、DE2009566、DE2214545、DE2215191、DE2244298、DE2313331、DE2522572、DE3137808、DE3137809、DE3151355、DE3211602およびDE3235017から公知である。
【0100】
特に高い屈折率を有する二酸化チタン(ルチル)を塗布する場合、予め薄い酸化チタン層を塗布することが望ましい。
【0101】
追加のコーティングを塗布した後、IR/UV活性の粒子材料を含む顔料に対しては、得られた顔料を、100℃と1000℃の間の温度、好ましくは100℃と300℃の間の温度で焼成するのが有利である。
【0102】
本発明によるセキュリティ顔料は、本発明に従って、ペイント、コーティング、粉体コーティング、印刷インキ、コーティング組成物、プラスチック、接着剤、製紙原料、建築材料、ゴム組成物および爆発物等を顔料着色するために使用される。
【0103】
このセキュリティ顔料は、タガントとして用いられることがここでは特に好ましい。
【0104】
上記のように、タガントは、それによって顔料着色された材料中に、検出され分析されることが丁度可能なように非常に低濃度で存在する。
【0105】
一般に、従来の適用媒体は着色用の様々な顔料によってどのようにでも顔料着色されている。
【0106】
セキュリティ顔料が、有色顔料および/または効果顔料との混合物として使用される場合、後者によって発せられる色彩印象を著しく損ない、改変しまたは決定しないことが本発明にとって重要である。
【0107】
本発明によれば、セキュリティ顔料は、ペイント、コーティング、粉体コーティング、印刷インキ、コーティング組成物、プラスチック、接着剤、製紙原料、建築材料、ゴム組成物または爆発物に、それぞれの材料の全重量を基準として、0.0001から20重量%の量で添加される。ここでのセキュリティ顔料の割合は、勿論、適用媒体のタイプに依存する。例えば、コンクリート、接着剤およびゴム組成物等の建築材料の場合は極めて少量で十分であるが、コーティング組成物および印刷インキは通常はより多い量を含む。
【0108】
ペイント、コーティング、粉体コーティング、印刷インキ、コーティング組成物、プラスチック、接着剤、製紙原料またはゴム組成物は、本発明に従って、セキュリティ文書またはセキュリティ製品、例えば、銀行券、小切手、銀行およびクレジットカード、小切手保証カード、債券、身分証明書、証券、検査証、収入印紙および郵便切手、身元証明カード、鉄道乗車券および航空券、入場券、テレフォンカード、ラベル、テストスタンプおよび包装材料等の文書の製造のために使用される。このリストは単なる例示であり、限定するものとみなすべきではない。
【0109】
特に、顔料を含有するコーティング、印刷物、セキュリティストリップ等の形で、顔料の光学的効果に関係してセキュリティ機能が既に与えられているセキュリティ文書およびセキュリティ製品で使用するとき、タガントとして本発明による顔料を添加することにより、着色に使用した顔料の真正性を確認できる。本発明によるセキュリティ顔料は、通常の干渉顔料および多種多様に設計されている金属効果顔料とはっきり区別でき、単にそれが存在することを通して、製品の真正性の証拠を提供できる。同時に、それは、法科学的セキュリティ機能が本質的に存在するようにコード化できる。
【0110】
本発明は、また、セキュリティ顔料を検出する方法であって、セキュリティ顔料を含む媒体またはこのタイプの媒体を含む製品を電磁放射線に曝露し、第一段階では、前記セキュリティ顔料の外形および大きさを見分けることが可能で、第二段階では、マトリックス中に埋め込まれている粒子材料の形状、大きさ、数および/または色を見分けることが可能な、十分に大きい倍率で観測する方法にも関する。
【0111】
ここでの電磁放射線は、可視光、UV波長領域の放射線および/またはIR波長領域の放射線である。
【0112】
上述したように、セキュリティ顔料の外形および大きさは、直接または間接的に測定できる。マトリックスの屈折率と適用媒体の屈折率とが著しく異なる場合、そのセキュリティ顔料の外形および大きさは直接測定できる。
【0113】
マトリックスの屈折率と適用媒体の屈折率とがほぼ等しい場合、そのセキュリティ顔料の外形および大きさは、粒子材料の屈折率が、マトリックスの屈折率および適用媒体の屈折率と異なる限り、マトリックス中に埋め込まれている粒子材料の数、分布および/または色により間接的に測定できる。
【0114】
粒子材料の形状、大きさ、数および/または色は、ここでは、可視光への曝露、UV波長領域および/またはIR波長領域の放射線への曝露によって決定され、これらの範囲の電磁放射線の少なくとも2つは、媒体または製品に対して連続的に作用する。
【0115】
粒子材料が、例えば、白色、黒色または有色顔料あるいはカプセル化染料である場合、本発明によるセキュリティ顔料を含む製品は、先ず、例えば市販の顕微鏡等の拡大装置を用いて、天然または人工照明(光学顕微鏡)のもとで、本発明によるセキュリティ顔料程度の大きさを有する粒子を検出するのに十分な倍率で観測される。マトリックスと適用媒体との屈折率の差、または適切な場合には、セキュリティ顔料のコーティングと適用媒体の屈折率の差によって、セキュリティ顔料の外形は認識できたりできなかったりする。
【0116】
不規則な顔料形状を前提としてそれが認識できる場合、それは、着色用に使用されている周囲の顔料の形状と区別できない。第2段階において、可視光のもとだが高い倍率で新たに見ると、粒子材料の個々の粒子が見えるようになる。これらは著しい集積状態をしており、互いの中での色および大きさの違いを有することができ、それが情報を知らされている観察者にのみそれと分かるコードに対応していることがある。
【0117】
粒子の集積は、周囲を取り囲む顔料から極めて容易に区別できる。セキュリティ指示に従って顔料着色された製品中に存在しなければならない場合、それは、観察者(情報を知らされている観察者のみ)に知られている条件の体系に基づいて容易に識別でき、その製品(または印刷インキ)の真正性の証拠が得られる。粒子材料がその組成の様式でコードに対応している場合は、識別に対するさらなる指針が観察者にはかさねて必要である。これらは特別のセキュリティ手段(法科学的コード)を表す。
【0118】
粒子材料がIR/UV活性材料である場合、検出方法の最初のステップはまさに上記と同じものである。
【0119】
一定の状況下において埋め込まれたIR/UV活性材料も、上で既に説明したものと同様に、高倍率において光学顕微鏡で見えるようになる。
【0120】
IRまたはUV領域での顔料の励起が高倍率で起こっている場合、それぞれの可視光は、マトリックス中の個々の発光粒子を見えるようにする。このタイプの励起がより低い倍率で起こっている場合、IRまたはUV励起で生じた放射線を、個々の粒子ではなく発光顔料として感知できる強度で感知できるに過ぎない。言うまでもないことであるが、発光物質は、同様に大きさ、数および色を変化させて法科学的コードを生じるようにできる。
【0121】
同様に言うまでもないことであるが、着色粒子と、UV活性発光粒子および/またはIR活性発光粒子とは、両方が共に、両方が相互の間で、そしてまた互いに一緒になるように、マトリックス中で組み合わせることができる。
【0122】
それらが相互の間で組み合わされる場合、そのマトリックスは、互いに異なり、その色がいずれの場合も可視光またはUV波長領域の放射線もしくはIR波長領域の放射線に曝露したときにのみ目に見える2以上の粒子材料を含む。
【0123】
一方、それらが互いに一体となるように組み合わされる場合、異なる波長領域の放射線への露光は、上述したように連続的に行われる。
【0124】
既に説明したそれぞれの個々の手段以外に、可視光またはUV波長領域の放射線もしくはIR波長領域の放射線に曝露したときに見ることができる異なる粒子材料の色の全体性により、同様に法科学的コードを生じさせることができる。
【0125】
加えて、それぞれの電磁放射線の作用下で見ることができるマトリックス中の粒子材料の粒子の形状、大きさ、数および/または分布もまた、法科学的コードの形成のために利用できる。
【0126】
上で既に説明したが、セキュリティ顔料を含む媒体は、ペイント、コーティング、粉体コーティング、印刷インキ、コーティング組成物、プラスチック、接着剤、製紙原料、建築材料、ゴム組成物または爆発物であることを再度指摘する。
【0127】
セキュリティ顔料を含有する媒体を含む適当な製品は、その選択については上で既により詳細に説明した、事実上全ての既知のタイプのセキュリティ文書およびセキュリティ製品である。
【0128】
本発明によるセキュリティ顔料は、多種多様のタイプの製品の識別および真正性判定に有利に用いることができる。それらは、着色に役立つ他の顔料を付加的に含む媒体中で使用するのと、さもなければ顔料着色されない媒体に個別の顔料として同様に加えることの両方が可能である。ここで例として、前者の可能性にはペイント、コーティングおよび印刷インキを、2番目の可能性には無色のコーティング組成物、接着剤、建築材料、製紙原料等を挙げることができる。
【0129】
本発明によるセキュリティ顔料は、マトリックス中に埋め込まれている粒子材料の色および/または発光特性に起因する固有の秘密セキュリティ機能を有する。これらは、異なる条件下の異なる方法により、即ち、複数のステップにより、識別できる。観察者の情報の程度に応じて、本発明によるセキュリティ顔料は、異なるセキュリティクラス(識別レベル)に属する。さらに、マトリックス中に埋め込まれている粒子材料は、粒子材料のある混合物の特定の組合せを通して、情報を持っていない観察者にはたとえ彼が個々の粒子を光学的に識別できてもそれ自体は開示されていない法科学的コードも含むことができる。これは、観察者に対して特別の指示を必要とする。粒子材料の多くの異なる可能性のある組合せが、セキュリティ顔料の製造工程をこの目的のためにあまり修正することなく得られるので、本発明によるセキュリティ顔料は、安い費用で、ユーザーの希望に応じて高度に変化をもたせて作製できる。特に、発光粒子の使用によって、適用媒体中の発光物質の低い全体濃度で、本物と偽物の適用媒体/セキュリティ製品の間の高い識別率を得ることができることがさらに強調されるべきである。これは、満足に識別できる高い選択的濃度の発光粒子が本発明によるセキュリティ顔料中に存在するからである。
【0130】
本発明によるセキュリティ顔料は、それ故、それらの固有の色および/または発光特性により、基本的に上記のタイプの適用媒体の単独の顔料着色にも適するが、タガントとして有利に用いられる。
【0131】
本発明によるセキュリティ顔料は、したがって、それによりそれぞれの製品の非常に高いセキュリティレベルを安い費用で達成できる製品保護のための価値ある手段であることを示している。
【0132】
実施例を参照しつつ、本発明を以下に説明するが、これらは本発明を詳細に説明するもので、限定するものではない。
実施例1
UV発光粒子が埋め込まれているSiO2マトリックス
市販のケイ酸ナトリウム溶液を脱塩水により1:2.5の比率で希釈する。添加物(1重量%のDisperse AYT W−22、プロアディティブ社製)を上記の分散液に加える。その混合物を均質化し、次いでケイ酸塩溶液の固形分含量(SiO2)を基準として30重量%のZnS:Cuをその後撹拌しながら加える。ここでのZnS:Cuの平均粒径は、約2μmである。その分散液を1時間にわたって激しく混合する(プロペラ撹拌機、Ultra−Turrax)。その分散液を続いてDE4134600に記載されている方法により連続して動いているPETベルトに塗布し、乾燥し、そのベルトから引き剥がしてフレークの形の顔料を得る。これらを水中に懸濁させ、鉱酸(例えば、HCl)により処理する。得られた顔料を粉砕工程にかけ(粒径2〜60μm)、150℃の温度で12時間乾燥する。
実施例2:
UV発光粒子が埋め込まれているSiO2マトリックスおよび高屈折率コーティング(TiO2
本発明によるセキュリティ顔料を、実施例1に記載されているようにして作製する。これを脱塩水により50g/lの固形分濃度に希釈し、続いて懸濁させる。その懸濁液を75℃に加熱し、SnCl4の2.25重量%の溶液を続いて加える。その添加中、pHを32重量%のNaOH溶液を用いて一定に保つ。SnO2の沈殿後、100mlのTiCl4溶液(400gのTiCl4/1lの水)を加える。その懸濁液をさらに15分間撹拌する。得られた顔料を、その後分離し、脱塩水で洗浄し、150℃で12時間乾燥する。
実施例3:
UV発光粒子が埋め込まれているSiO2マトリックスおよび高屈折率コーティング(Al23
セキュリティ顔料を実施例1において説明したようにして作製する。これを脱塩水により50g/lの固形分濃度に希釈し、10重量%のAlCl3の溶液を続いて加える。その添加中、pHを32重量%のNaOH溶液を用いて7.0で一定に保つ。その懸濁液をさらに15分間撹拌する。得られた顔料をその後分離し、脱塩水で洗浄し、150℃で12時間乾燥する。
使用例A:
溶媒含有グラビア印刷のための印刷インキの調製
15gのカラーフロップ顔料(色変化青〜紫)、0.15gの例1によるセキュリティ顔料および75gのニトロセルロース/アルコールのブレンドを、高せん断力を用いて互いにかき混ぜる。その懸濁液を続いて印刷粘度(DIN 53211によるDIN4カップ、14〜25秒)に調整する。
得られた印刷インキを適当な印刷機(例えば、Moser−Rototest)で適当なスクリーンを有するグラビア印刷(例えば60線/cm、電子的に彫刻したもの)によって印刷する。
【0133】
印刷層の層厚(乾燥時)は4〜8μmである。得られた印刷域は、日光中で見ると青(急角度)から紫(平面角度)までの色変化を示す。UV顕微鏡のもとで見ると、発光粒子の大きな集積が印刷物のわずかな点ではっきりと分かる。
【0134】
本発明によるセキュリティ顔料についてのその他の印刷への応用は、活版印刷、フレキソ印刷、直刷りオフセット印刷、間接オフセット印刷、パッド印刷、凹版印刷またはスクリーン印刷である。すべての印刷への応用における本発明によるセキュリティ顔料の濃度は、その印刷インキの顔料含量を基準として、0.05〜35重量%である。
使用例B:
セキュリティ顔料を含む紙の製造
実施例1によるセキュリティ顔料を紙パルプに、成形の前ではあるが、0.5〜1重量%の濃度で加え、撹拌して均一に分布させる。
製紙の残りの工程、例えば成形、プレス成形、乾燥等は、通常のやり方で進める。
【0135】
光学顕微鏡のもとで該セキュリティ顔料は、屈折率の差が小さいために認識できない。UV顕微鏡(340〜380nmで励起)のもとでその発光顔料ははっきりと識別できた。
使用例C:
セキュリティ顔料を含む建築材料の製造
実施例1によるセキュリティ顔料を水性石膏ペーストに0.5〜1重量%の濃度でペースト化の間に加える。その石膏の処理および乾燥は、その後通常のやり方で行う。
【0136】
光学顕微鏡のもとでは、このセキュリティ顔料は屈折率の差が小さいために認識できない。UV顕微鏡(340〜380nmで励起)のもとでその発光顔料ははっきりと識別できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有の秘密セキュリティ機能および/または法科学的セキュリティ機能を有するセキュリティ顔料であって、透明な無機マトリックスと、該マトリックス中に埋め込まれており、該マトリックスとは異なるものであって、電磁放射線に曝露すると可視光を選択的または非選択的に吸収、反射および/または放射する少なくとも1つの粒子材料とからなるセキュリティ顔料。
【請求項2】
本質的にフレーク形状を有することを特徴とする、請求項1に記載のセキュリティ顔料。
【請求項3】
フレークの最大表面が、平面図において不規則な形状を有することを特徴とする、請求項2に記載のセキュリティ顔料。
【請求項4】
1から250μmの長さおよび幅の寸法と0.05から12μmの厚さとを有することを特徴とする、請求項1から3の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料。
【請求項5】
前記粒子材料が、球形または三次元的に規則的もしくは不規則的な形状の材料であり、0.01から12μmの粒径を有することを特徴とする、請求項1から4の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料。
【請求項6】
前記マトリックスが屈折率n1を有し、前記粒子材料が屈折率n2を有し、ここで、n1は、n2とは異なり、n1とn2の間の差Δnが少なくとも0.2であることを特徴とする、請求項1から5の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料。
【請求項7】
前記マトリックスが、屈折率n1<1.8を有し、二酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化マグネシウムまたはこれら化合物の2つ以上の混合物からなることを特徴とする、請求項1から6の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料。
【請求項8】
前記マトリックスが、屈折率n1≧1.8を有し、二酸化チタンおよび/または二酸化チタン水和物からなることを特徴とする、請求項1から6の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料。
【請求項9】
前記粒子材料が、少なくとも1つの無機白色、黒色または有色顔料、無機UV色素、無機IRアップコンバーティング色素、カプセル化有機染料、カプセル化UVまたはIRアップコンバーティング材料またはこれらの2つ以上の混合物であることを特徴とする、請求項1から8の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料。
【請求項10】
前記粒子材料が、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、ピグメントブラック、酸化鉄(ヘマタイト、マグネタイト)、酸化クロム、テナールブルー(CoAl24)、リンマングリーン(ZnCo24)、コバルト−クロム−アルミン酸塩スピネル((Co,Cr)Al24)またはそれらの2つ以上の混合物であることを特徴とする、請求項1から9の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料。
【請求項11】
前記粒子材料が、ドープした金属酸化物、ドープした金属硫化物、蛍光を発することができるランタニドの金属オキシ硫化物もしくは混合酸化物またはそれらの2つ以上の混合物であり、該粒子材料が紫外線による励起に基づいて可視光を放射することを特徴とする、請求項1から9の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料。
【請求項12】
前記粒子材料が、少なくとも1つの遷移金属イオン、ランタニドイオンおよび/またはアクチニドイオンによりドープされている元素Li、Na、K、Mg、Ge、Ga、Al、Pb、Cd、Ba、Mn、Nb、Ta、Cs、Y、Nd、Gd、Lu、Rb、Sc、Bi、ZrおよびWの酸化物、ハロゲン化物、カルコゲニド、オキシハロゲン化物、オキシ硫化物、フルオロヒ酸塩またはフルオロインジウム酸塩、あるいはそれらの2以上の混合物であり、該粒子材料が、赤外線による励起に基づいて可視光を放つことを特徴とする、請求項1から11の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料。
【請求項13】
前記遷移金属イオン、ランタニドイオンおよび/またはアクチニドイオンが、Ti2+、Cr3+、Ni2+、Mo3+、Re4+、Os4+、Pr3+、Nd3+、Gd3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm2+、U4+および/またはU3+であることを特徴とする、請求項12に記載のセキュリティ顔料。
【請求項14】
前記粒子材料が、少なくとも1つの選択的または非選択的な吸収材料と少なくとも1つの発光材料との混合物であることを特徴とする、請求項1から13の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料。
【請求項15】
前記粒子材料が、マトリックス中に、セキュリティ顔料の全重量を基準として1から80重量%の割合で存在することを特徴とする、請求項1から14の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料。
【請求項16】
粒子材料の粒径が、可視光下で見ることができる粒子の分率、ならびに/あるいは可視光、UV光および/またはIR光に曝露して見ることができる粒子材料の色と共同して、法科学的コードを表すことを特徴とする、請求項1から14の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料。
【請求項17】
セキュリティ顔料を完全に包囲する単層または多層の追加のコーティングを有することを特徴とする、請求項1から16の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料。
【請求項18】
前記追加のコーティングが、少なくとも1つの無機誘電材料からなることを特徴とする、請求項17に記載のセキュリティ顔料。
【請求項19】
前記追加のコーティングが、少なくとも1つの無機誘電材料からなり、少なくともマトリックスから見て外方に向く表面上に該マトリックスの屈折率n1とは異なる屈折率n3を有することを特徴とする、請求項18に記載のセキュリティ顔料。
【請求項20】
前記コーティングが、少なくとも1つの無機誘電材料からなり、少なくともマトリックスから見て外方に向く表面上に前記粒子材料の屈折率n2とは異なる屈折率n3を有することを特徴とする、請求項18または19に記載のセキュリティ顔料。
【請求項21】
前記コーティングが、少なくとも1つの無機誘電材料からなり、少なくともマトリックスから見て外方に向く表面上に前記粒子材料の屈折率n2と実質的に等しい屈折率n3を有することを特徴とする、請求項18または19に記載のセキュリティ顔料。
【請求項22】
前記コーティングが、少なくとも1つの無機誘電材料からなり、少なくともマトリックスから見て外方に向く表面上にセキュリティ顔料を包囲している媒体の屈折率n4とは異なる屈折率n3を有することを特徴とする、請求項18から21の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料。
【請求項23】
請求項1から22の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料の、ペイント、コーティング、粉体コーティング、印刷インキ、コーティング組成物、プラスチック、接着剤、製紙原料、建築材料、ゴム組成物および爆発物を顔料着色するための使用。
【請求項24】
前記セキュリティ顔料が、タガントとして使用されることを特徴とする、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
前記セキュリティ顔料が、有色および/または効果顔料との混合物中で使用され、後者によって生じる色彩印象を著しく損ない、改変しまたは決定しないことを特徴とする、請求項23または24に記載の使用。
【請求項26】
セキュリティ顔料が、ペイント、コーティング、粉体コーティング、印刷インキ、コーティング組成物、プラスチック、接着剤、製紙原料、建築材料、ゴム組成物または爆発物に、それぞれの材料の全重量を基準として、0.0001から20重量%の量で添加されることを特徴とする、請求項23から25の一項または複数項に記載の使用。
【請求項27】
ペイント、コーティング、粉体コーティング、印刷インキ、コーティング組成物、プラスチック、接着剤、製紙原料またはゴム組成物が、セキュリティ文書またはセキュリティ製品、例えば、銀行券、小切手、銀行およびクレジットカード、小切手保証カード、債券、身分証明書、証券、検査証、収入印紙および郵便切手、身元証明カード、鉄道乗車券および航空券、入場券、テレフォンカード、ラベル、テストスタンプおよび包装材料等の文書の製造のために使用されることを特徴とする、請求項23から26の一項または複数項に記載の使用。
【請求項28】
請求項1から22の一項または複数項に記載のセキュリティ顔料を検出する方法であって、該セキュリティ顔料を含む媒体またはこのタイプの媒体を含む製品を電磁放射線に曝露し、第一段階では、該セキュリティ顔料の外形および大きさを見分けることが可能で、第二段階では、マトリックス中に埋め込まれている粒子材料の形状、大きさ、数および/または色を見分けることが可能な十分に大きい倍率で観測することを特徴とする方法。
【請求項29】
前記電磁放射線が、可視光、UV波長領域の放射線および/またはIR波長領域の放射線であることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記セキュリティ顔料の外形および大きさが、直接または間接的に測定できることを特徴とする、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
前記セキュリティ顔料の外形および大きさが、マトリックス中に埋め込まれている粒子材料の数、分布および/または色により間接的に測定できることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記粒子材料の形状、大きさ、数および/または色が、可視光への曝露、UV波長領域および/またはIR波長領域の放射線への曝露によって測定され、ここで少なくとも2つのこれらの範囲の電磁放射線の照射が、媒体または製品に対して連続的になされることを特徴とする、請求項28から31の一項または複数項に記載の方法。
【請求項33】
前記マトリックスが、互いに異なる2つ以上の粒子材料を含み、その色がいずれの場合も可視光またはUV波長領域の放射線もしくはIR波長領域の放射線に曝露したときにのみ見ることができることを特徴とする、請求項28から32の一項または複数項に記載の方法。
【請求項34】
可視光またはUV波長領域の放射線もしくはIR波長領域の放射線に曝露したときに見ることができる、異なる粒子材料の色の全体性が法科学的コードを生じさせることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
それぞれの電磁放射線の作用下で見ることができるマトリックス中の粒子材料の粒子の形状、大きさ、数および/または分布が、法科学的コードをさらに生じさせることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
セキュリティ顔料を含む媒体が、ペイント、コーティング、粉体コーティング、印刷インキ、コーティング組成物、プラスチック、接着剤、製紙原料、建築材料、ゴム組成物または爆発物である、請求項28から35の一項または複数項に記載の方法。
【請求項37】
前記媒体を含む製品がセキュリティ文書またはセキュリティ製品である、請求項28から36の一項または複数項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−507982(P2011−507982A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536346(P2010−536346)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009533
【国際公開番号】WO2009/071167
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】