説明

セッション管理装置および方法

【課題】一次サーバの障害復旧後も代替サーバに負荷が集中し続けてしまうことのないセッション管理装置および方法を提供する。
【解決手段】接続先サーバおよび障害発生時の接続先サーバの情報を保持するセッション管理テーブルと、セッション管理手段とを備えていて、セッション管理手段は、障害検出手段を有していて、セッション開始時に、接続先サーバに一次アプリケーションサーバの情報を設定し、接続先サーバで障害が発生した時、接続先サーバに設定されていた情報を障害発生時の接続先サーバに退避した後に、接続先サーバに代替アプリケーションサーバの情報を設定し、発生した接続先サーバの障害が復旧した時、障害発生時の接続先サーバに退避されていた一次アプリケーションサーバの情報を接続先サーバに復旧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次サーバで障害が発生した場合に、代替サーバに接続を切り替える冗長構成システムにおいて、一次サーバの障害が復旧した場合に、一次サーバに接続を切り替える方式を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
一次サーバと代替サーバから構成される冗長構成システムでは、一次サーバで障害が発生した場合に、一次サーバとの接続を任意の代替サーバに切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004−536406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、一次サーバの障害復旧後も代替サーバに接続されたままであるため、代替サーバに負荷が集中し続けてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるセッション管理装置は、Webクライアントからの要求に応じて一次アプリケーションサーバまたは代替アプリケーションサーバを呼び出すWebサーバ内のセッション管理装置において、現在実行中のセッションに対する接続先サーバおよび障害発生時の接続先サーバの情報を保持するセッション管理テーブルと、前記セッション管理テーブルを用いてセッションを管理するセッション管理手段とを備えていて、前記セッション管理手段は、一次アプリケーションサーバで障害が発生したか否か、および障害が復旧したか否かを検出する障害検出手段を有していて、前記セッション管理手段は、セッション開始時に、セッション管理テーブルにおける接続先サーバに一次アプリケーションサーバの情報を設定し、これにより、以降、Webサーバは、接続先サーバに示される一次アプリケーションサーバに接続され、接続先サーバで障害が発生した時、障害検出手段は障害が発生したことを検出し、セッション管理テーブルにおける接続先サーバに設定されていた情報を障害発生時の接続先サーバに退避した後に、接続先サーバに任意の代替アプリケーションサーバの情報を設定し、これにより、以降、Webサーバは、接続先サーバに示される代替アプリケーションサーバに接続され、発生した接続先サーバの障害が復旧した時、障害検出手段は障害が復旧したことを検出し、セッション管理テーブルにおける障害発生時の接続先サーバに退避されていた一次アプリケーションサーバの情報を接続先サーバに復旧し、これにより、以降、Webサーバは、接続先サーバに示される一次アプリケーションサーバに接続されることを特徴とする。
【0006】
また、本発明によるセッション管理方法は、Webクライアントからの要求に応じてWebサーバが一次アプリケーションサーバまたは代替アプリケーションサーバを呼び出すセッション管理方法において、現在実行中のセッションに対する接続先サーバおよび障害発生時の接続先サーバの情報を保持するセッション管理テーブルを用いて、セッション開始時に、セッション管理テーブルにおける接続先サーバに一次アプリケーションサーバの情報を設定し、これにより、以降、Webサーバが、接続先サーバに示される一次アプリケーションサーバに接続されるステップと、接続先サーバで障害が発生した時、障害が発生したことを検出し、セッション管理テーブルにおける接続先サーバに設定されていた情報を障害発生時の接続先サーバに退避した後に、接続先サーバに任意の代替アプリケーションサーバの情報を設定し、これにより、以降、Webサーバが、接続先サーバに示される代替アプリケーションサーバに接続されるステップと、発生した接続先サーバの障害が復旧した時、障害が復旧したことを検出し、セッション管理テーブルにおける障害発生時の接続先サーバに退避されていた一次アプリケーションサーバの情報を接続先サーバに復旧し、これにより、以降、Webサーバが、接続先サーバに示される一次アプリケーションサーバに接続されるステップとを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
一次サーバで障害が発生した時に、任意の代替サーバに切り替えられた接続が、一次サーバの障害復旧後に、一次サーバに切り替えられることにより、代替サーバへの負荷を軽減できる。
【0008】
その理由は、接続先サーバで障害が発生した時に、Webサーバ内のセッション管理テーブルにおける「接続先サーバ」に設定されていた情報を「障害発生時の接続先サーバ」に退避してから、接続先を任意の代替サーバに切り替え、接続先サーバの障害が復旧した時に、「障害発生時の接続先サーバ」に退避されていた情報を「接続先サーバ」に復旧するためである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の冗長構成システムにおけるセッション管理装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、本発明の冗長構成システムにおけるセッション管理装置の一実施形態は、Webクライアント10と、Webサーバ20と、一次アプリケーションサーバ30と、代替アプリケーションサーバ40とから構成されている。Webクライアント10、Webサーバ20、一次アプリケーションサーバ30、代替アプリケーションサーバ40は、例えばコンピュータによって構成され、相互にネットワーク等によって接続されている。
【0011】
Webサーバ20は、セッション管理手段21と、セッション管理テーブル22とを有していて、セッション管理テーブル22は、現在実行中のセッションに関する情報として、セッションID、接続先サーバ、障害発生時の接続先サーバを含む。セッション管理テーブル22は、Webサーバ20に内蔵されているメモリ、ハードディスク等の記憶装置に記憶されている。記憶装置には、一次アプリケーションサーバ30、代替アプリケーションサーバ40の情報も記憶されている。セッション管理手段21は、Webサーバ20に内蔵されているCPU等の演算装置と、演算装置上で実行されるソフトウェアによって実現される。セッション管理手段21は、障害検出手段23を有している。障害検出手段23は、一次アプリケーションサーバ30で障害が発生したか否か、および障害が復旧したか否かを検出する。
【0012】
Webクライアント10は、利用者(不図示)からの要求を受け付け、Webサーバ20を呼び出す。Webサーバ20は、Webクライアント10からの要求を受け付け、一次アプリケーションサーバ30、代替アプリケーションサーバ40のいずれかを呼び出す。
【0013】
一次アプリケーションサーバ30と代替アプリケーションサーバ40は冗長構成となっており、通常時は一次アプリケーションサーバ30がWebサーバ20からの要求を受け付け、一次アプリケーションサーバ30障害時は代替アプリケーションサーバ40がWebサーバ20からの要求を受け付ける。
【0014】
次に、図1及び図2を参照して本実施形態の動作を説明する。セッション開始時、セッション管理手段21は、新規のセッションIDを生成し、セッション管理テーブル22上に新規のレコードを生成する。このとき、「接続先サーバ」に一次アプリケーションサーバ30の情報を設定する。以降、Webサーバ20は、「接続先サーバ」に示されるサーバ(一次アプリケーションサーバ30)に接続される。
【0015】
一次アプリケーションサーバ30で障害が発生した時、セッション管理手段21は、障害検出手段23によって、一次アプリケーションサーバ30で障害が発生したことを検出し、セッション管理テーブル22の当該レコードを検索し、「接続先サーバ」に設定されている情報(一次アプリケーションサーバ30の情報)を「障害発生時の接続先サーバ」に退避したのち、「接続先サーバ」に代替アプリケーションサーバ40の情報を設定する。以降、Webサーバ20は、「接続先サーバ」に示されるサーバ(代替アプリケーションサーバ40)に接続される。
【0016】
一次アプリケーションサーバ30の障害が復旧した時、セッション管理手段21は、障害検出手段23によって、一次アプリケーションサーバ30の障害が復旧したことを検出し、セッション管理テーブル22の当該レコードを検索し、「障害発生時の接続先サーバ」に退避されている情報(一次アプリケーションサーバ30の情報)を「接続先サーバ」に復旧する。以降、Webサーバ20は、「接続先サーバ」に示されるサーバ(一次アプリケーションサーバ30)に接続される。
【符号の説明】
【0017】
10 Webクライアント
20 Webサーバ
21 セッション管理手段
22 セッション管理テーブル
23 障害検出手段
30 一次アプリケーションサーバ
40 代替アプリケーションサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Webクライアントからの要求に応じて一次アプリケーションサーバまたは代替アプリケーションサーバを呼び出すWebサーバ内のセッション管理装置において、
現在実行中のセッションに対する接続先サーバおよび障害発生時の接続先サーバの情報を保持するセッション管理テーブルと、
前記セッション管理テーブルを用いてセッションを管理するセッション管理手段とを備えていて、
前記セッション管理手段は、一次アプリケーションサーバで障害が発生したか否か、および障害が復旧したか否かを検出する障害検出手段を有していて、
前記セッション管理手段は、
セッション開始時に、セッション管理テーブルにおける接続先サーバに一次アプリケーションサーバの情報を設定し、これにより、以降、Webサーバは、接続先サーバに示される一次アプリケーションサーバに接続され、
接続先サーバで障害が発生した時、障害検出手段は障害が発生したことを検出し、セッション管理テーブルにおける接続先サーバに設定されていた情報を障害発生時の接続先サーバに退避した後に、接続先サーバに任意の代替アプリケーションサーバの情報を設定し、これにより、以降、Webサーバは、接続先サーバに示される代替アプリケーションサーバに接続され、
発生した接続先サーバの障害が復旧した時、障害検出手段は障害が復旧したことを検出し、セッション管理テーブルにおける障害発生時の接続先サーバに退避されていた一次アプリケーションサーバの情報を接続先サーバに復旧し、これにより、以降、Webサーバは、接続先サーバに示される一次アプリケーションサーバに接続される
ことを特徴とするセッション管理装置。
【請求項2】
Webクライアントからの要求に応じてWebサーバが一次アプリケーションサーバまたは代替アプリケーションサーバを呼び出すセッション管理方法において、
現在実行中のセッションに対する接続先サーバおよび障害発生時の接続先サーバの情報を保持するセッション管理テーブルを用いて、
セッション開始時に、セッション管理テーブルにおける接続先サーバに一次アプリケーションサーバの情報を設定し、これにより、以降、Webサーバが、接続先サーバに示される一次アプリケーションサーバに接続されるステップと、
接続先サーバで障害が発生した時、障害が発生したことを検出し、セッション管理テーブルにおける接続先サーバに設定されていた情報を障害発生時の接続先サーバに退避した後に、接続先サーバに任意の代替アプリケーションサーバの情報を設定し、これにより、以降、Webサーバが、接続先サーバに示される代替アプリケーションサーバに接続されるステップと、
発生した接続先サーバの障害が復旧した時、障害が復旧したことを検出し、セッション管理テーブルにおける障害発生時の接続先サーバに退避されていた一次アプリケーションサーバの情報を接続先サーバに復旧し、これにより、以降、Webサーバが、接続先サーバに示される一次アプリケーションサーバに接続されるステップと
を有していることを特徴とするセッション管理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−224744(P2010−224744A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69685(P2009−69685)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】