説明

セミクローラ型作業車両

【課題】セミクローラ型作業車両において、左右クローラ走行装置を持ち上げ支持し、泥の落下を防止しながら路上走行をすることを課題とする。
【解決手段】作業車両の機体前側部には左右前輪を、機体後部には左右クローラ走行装置を設けたセミクローラ型作業車両において、機体後部に作業機昇降用のリフトアーム及び作業機連結用の三点リンク機構を設け、該三点リンク機構の左右ロワーリンクに、前後方向に長い左右持ち上げ棒を取り付け、左右ロワーリンクの前端部よりも前方へ突出する左右持ち上げ棒の前側部位に左右接地輪体を設け、左右リフトアームにより左右ロワーリンクを上方へ回動させると、左右持ち上げ棒の左右接地輪体により左右クローラ走行装置を地面から浮上させて支持することを特徴とするセミクローラ型作業車両とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農用トラクタのクローラ持ち上げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両におけるクローラ走行装置の持ち上げ装置において、前後及び上方の開放している正面視凹状の持ち上げ支持体と、持ち上げ支持体の下部に取り付けた左右キャスタと、持ち上げ支持体の上部左右両側から中央部に向けて延出している固定支持軸と左右方向に移動可能の移動支持軸とで構成し、クローラ走行装置を地面から持ち上げて支持するものは、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−132321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、作業車両の機体前側部には左右前輪を、機体後部に左右クローラ走行装置を備えたセミクローラ型作業車両において、機体後部に設けられている作業機昇降用のリフトアーム及び作業機連結用の三点リンク機構を有効に活用し、左右クローラ走行装置を持ち上げ支持し、泥の落下を防止しながら路上走行をしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために次のような技術的手段を講じた。
請求項1の発明は、作業車両の機体前側部には左右前輪(4,4)を、機体後部には左右クローラ走行装置(6,6)を設けたセミクローラ型作業車両において、機体後部に作業機昇降用のリフトアーム(9,9)及び作業機連結用の三点リンク機構(10)を設け、該三点リンク機構(10)の左右ロワーリンク(26,26)に、前後方向に長い左右持ち上げ棒(21a,21a)を取り付け、左右ロワーリンク(26,26)の前端部よりも前方へ突出する左右持ち上げ棒(21a,21a)の前側部位に左右接地輪体(21b,21b)を設け、左右リフトアーム(9,9)により左右ロワーリンク(26,26)を上方へ回動させると、左右持ち上げ棒(21a,21a)の左右接地輪体(21b,21b)により左右クローラ走行装置(6,6)を地面から浮上させて支持することを特徴とするセミクローラ型作業車両とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記左右持ち上げ棒(21a,21a)の左右接地輪体(21b,21b)により前記左右クローラ走行装置(6,6)を地面から浮上させて支持した状態で、前記左右前輪(4,4)を駆動し、左右前輪(4,4)と左右持ち上げ棒(21a,21a)の左右接地輪体(21b,21b)により作業車両を走行させることを特徴とするセミクローラ型作業車両とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1及び請求項2の発明において、左右持ち上げ棒(21a,21a)の前記左右接地輪体(21b,21b)を前後方向あるいは左右方向に調節可能に構成したことを特徴とするセミクローラ型作業車両とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の発明において、前記左右クローラ走行装置(6,6)におけるクローラのテンション調節用の左右前側誘導輪(6c,6c)を左右油圧シリンダ(23,23)により前後方向に移動調整可能に構成したことを特徴とするセミクローラ型作業車両とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によると、左右リフトアーム(9,9)により左右ロワーリンク(26,26)を上方へ回動し、左右持ち上げ棒(21a,21a)の左右接地輪体(21b,21b)により左右クローラ走行装置(6,6)を地面から浮上させ、左右前輪(4,4)を停止した状態で左右クローラ走行装置(6,6)を駆動することにより、クローラに付着している泥をその場に落下させることができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1発明の前記効果に加えて、左右持ち上げ棒(21a,21a)の左右接地輪体(21b,21b)により左右クローラ走行装置(6,6)を地面から浮上させ、左右前輪(4,4)と左右持ち上げ棒(21a,21a)の左右接地輪体(21b,21b)で機体を支持し、左右前輪(4,4)を駆動することにより、左右クローラ走行装置(6,6)から泥の落下を防止しながら路上走行をすることができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1及び請求項2の発明の前記効果に加えて、左右持ち上げ棒(21a,21a)に対して左右接地輪体(21b,21b)を前後方向あるいは左右方向に調節することにより、トラクタの大きさに合わせて左右クローラ走行装置(6,6)を安定した状態で支持し路上走行を円滑にすることができる。
【0012】
請求項4の発明によると、請求項1乃至請求項3の発明の前記効果に加えて、左右クローラ走行装置(6,6)のクローラのテンションを適正な張力に迅速に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】セミクローラ型農用トラクタの全体側面図。
【図2】セミクローラ型農用トラクタの全体側面図。
【図3】クローラ走行装置の持ち上げ装置の斜視図。
【図4】セミクローラ型農用トラクタの全体側面図。
【図5】クローラ走行装置の持ち上げ装置の斜視図。
【図6】クローラ走行装置の一部省略した側面図、切断平面図。
【図7】農用トラクタの後部の斜視図。
【図8】農用トラクタの後部の斜視図。
【図9】農用トラクタの後部の斜視図。
【図10】農用トラクタの前後方向中間部の側面図。
【図11】農用トラクタの前後方向中間部の側面図。
【図12】シートの側面図。
【図13】シートの斜視図。
【図14】シートの切断正面図、側面図。
【図15】シートの切断正面図、側面図。
【図16】ボンネットの斜視図。
【図17】ステアリングハンドル部の切断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、図1に基づき本発明を備えた農用トラクタの全体構成について説明する。
トラクタは走行車体1の前側部にエンジンEを搭載し、エンジンEをボンネット2で被覆し、エンジンEからの回転動力をミッションケース3内の主変速装置及び副変速装置で変速し、左右前輪4,4及び左右後輪5,5駆動用の後車軸5a,5aに伝達し、後車軸5a,5aに左右後輪5,5あるいは左右クローラ走行装置6,6を取り付け、車輪型あるいはセミクローラ型の農用トラクタに構成している。
【0015】
また、ミッションケース3の後側上部にはシート7を設け、その左右両側に左右フェンダ8,8を設けている。走行車体1の前側にフロントローダ(図示省略)を装着可能に構成し、後側にバックホウ(図示省略)を装着可能に構成している。また、走行車体1の後側にはシリンダケース25(図示省略)を設け、シリンダケース25の後側部に左右リフトアーム9,9を上下回動自在に設け、3点リンク機構10に連結したロータリ耕耘装置11を昇降するように構成している。
【0016】
また、エンジンEの後方には、ハンドルフレーム16を立設し、その上部にステアリングハンドル17を設けている。走行車体1の後部に後側安全フレーム18を立設している。
【0017】
左右クローラ走行装置6,6は、左右後車軸5a回りに回動可能に取り付けられているクローラフレーム6aと、後車軸5aにより駆動される駆動スプロケット6bと、クローラフレーム6aの下部前側部に前後方向に移動自在に支持されている前側誘導輪6cと、クローラフレーム6aの下部後側部に支持されている後側誘導輪6dと、クローラフレーム6aの下部における前後方向中間部に支架している複数の中間転輪6e,…と、駆動スプロケット6b、前側誘導輪6c、後側誘導輪6d及び中間転輪6e,…に巻き掛けた走行クローラ6fにより構成されている。
【0018】
次に、図7に基づきミッションケース3の後部に設けたシリンダケース25部の構成について説明する。
ミッションケース3の後側上部にシリンダケース25を取り付け、シリンダケース25の後側部に左右リフトアーム9,9を左右方向の軸回りに回動自在に軸支している。そして、シリンダケース25の左側部に作業機昇降用の油圧制御弁28をそのスプール弁28aを前後方向に沿うようにして配置し、シリンダケース25の前側右側部に外部油圧取出用の第2油圧制御弁29をそのスプール弁29aを上下方向に沿うようにして配設している。そして、第2油圧制御弁29から取り出した油圧を例えば機体前側部のフロントローダに送り油圧作動部を作動するようにしている。
【0019】
また、ミッションケース3の後側下部に3点リンク機構10を構成する左右ロワーリンク26,26を上下回動自在に軸支し、左右リフトアーム9,9と左右ロワーリンク26,26とを左右リフトロッド27,27で連結し、シリンダケース25に内装している作業機昇降用の油圧シリンダの伸縮により上下回動するように構成している。
【0020】
前記構成によると、ミッションケース3とシート7との間の狭い空間部に油圧制御弁28と第2油圧制御弁29を配設することができ、双方の油圧ホース等を交錯することなく配索することができる。
【0021】
次に、図8に基づきミッションケース3の後部に設けたシリンダケース25の他の実施例について説明する。
ミッションケース3の後側上部にシリンダケース25を取り付け、シリンダケース25の後側部に左右リフトアーム9,9を上下回動自在に軸支している。シリンダケース25の上部から取付フレーム31を上方へ延出し、取付フレーム31の右側部に作業機昇降用の油圧制御弁28をそのスプール弁28aを上下方向に沿わせて配設している。
【0022】
また、取付フレーム31の左側部に外部油圧取出用の第2油圧制御弁29をそのスプール弁29aを前後方向に沿わせて配設している。また、ミッションケース3の後側下部に左右ロワーリンク26,26を上下回動自在に軸支し、左右リフトアーム9,9と左右ロワーリンク26,26とを左右リフトロッド27,27で連結している。ミッションケース3の後部左右両側に連結した左右チエックチエーン32,32の後側端部を左右ロワーリンク26,26の前後方向中間部に連結し、横振れを防止するようにしている。
【0023】
また、取付フレーム31の上部を第2油圧制御弁29よりも上方へ延出し、その上端部に係止凹部31aを設け、前方上方へ退避回動したトップリンク30のフック30aを係止するようにし、トップリンク30の係止構成を簡単化している。
【0024】
次に、図9に基づき作業機昇降装置におけるセンサ類の取付構成について説明する。
シリンダケース25における左リフトアーム9の回動基部近傍で且つ後側車軸5aの上方部位に、トラクタの電子油圧制御用のセンサ類、すなわち、リフトアーム9の上下回動状態を検出するリフトアーム検出センサ34、後部作業機の牽引力を検出するドラフト検出センサ35、機体の左右傾斜状態を検出する左右傾斜検出センサ36、機体の前後傾斜状態を検出する前後傾斜検出センサ37を設け、これらセンサを単一のカバー(図示省略)で被覆している。
【0025】
次に、図2及び図3に基づきクローラ走行装置6,6の泥落し構成について説明する。
機体後部には作業機昇降用のリフトアーム9,9の上下動を利用し、左右後輪5,5や左右クローラ走行装置6,6を地面から浮上させて支持する左右持ち上げ装置21,21を設けている。
【0026】
この左右持ち上げ装置21,21は、前後方向に沿に長い持ち上げ棒21aと、持ち上げ棒21aの前側部で且つ左右ロワーリンク26,26の前側端部よりも前方へ突出した部位に取り付けた接地輪体21bとを備えている。
【0027】
そして、持ち上げ棒21aの後側端部に設けた後側連結孔21cとロワーリンク26,26の後端部の連結孔とに左右方向のピン22を挿入して連結可能に構成している。また、持ち上げ棒21aの前後方向中間部に中間連結孔21dを設け、ロワーリンク26,26の前側連結孔と中間連結孔21dとにピン22を挿入して連結している。
【0028】
しかして、持ち上げ棒21aの取付状態では前側端部の接地輪体21bがロワーリンク26,26の前側端部よりも前方へ突出した部位に位置するようにしている。従って、左右ロワーリンク26,26と左右持ち上げ棒21a,21aとを一体構成とし、左右ロワーリンク26,26を上下回動することにより、左右持ち上げ棒21a,21aが上下回動し接地輪体21bでクローラ走行装置6を持ち上げることができる。
【0029】
前記構成によると、下降回動している左右ロワーリンク26,26に左右持ち上げ棒21a,21aを取り付け、左右リフトアーム9,9を上方へ回動し、左右リフトロッドを介して左右ロワーリンク26,26の後側部を上方へ回動する。すると、左右持ち上げ棒21a,21aが前後方向中間部のピン22回りに前下がり傾斜に回動し、左右接地輪体21b,21bによりトラクタの機体後部を持ち上げ、左右後輪5,5あるいは左右クローラ走行装置6,6を地面から浮上させることができる。
【0030】
このような状態で、左右前輪4,4を停止した状態で、左右後車軸5a,5aを駆動し、左右後輪5,5あるいは左右クローラ走行装置6,6を回転させると、作業時に付着した泥をその場に落下させることができる。次いで、左右前輪4,4を駆動し走行を開始すると、左右後輪5,5や左右クローラ走行装置6,6を浮上させた状態で左右接地輪体21b,21bで支持しながら走行することができ、左右クローラ走行装置6,6の耐久性を高め泥の落下を防止しながら路上走行をすることができる。
【0031】
なお、前記実施例では左右持ち上げ棒21a,21aの前側端部に2個の接地輪体21b,…を設けた構成であるが、接地輪体21bの数を増やしてもよい。
また、図4及び図5に示すように、左右ロワーリンク26,26の前後方向中間部に設けている左右チエックチエーン32,32の連結部26a,26aを利用して、左右ロワーリンク26,26の前後方向中間部に左右持ち上げ棒21a,21aの後側端部を固着するようにしてもよい。このように構成すると、左右持ち上げ棒21a,21aを短くコンパクトに構成し、コストの低減を図ることができる。
【0032】
また、左右持ち上げ棒21a,21aを、前側持ち上げ棒21aaと後側持ち上げ棒21abとで二重のパイプ構成として伸縮可能にし、ピンの差し替えにより長さを調節するようにしている。
【0033】
また、接地輪体21b,21bの左右方向の支持アーム21eを内側アーム21eaと外側アーム21ebとに分割して二重のパイプ構成とし、ピンの差し替えにより左右方向の突出長さを調節可能に構成している。
【0034】
しかして、左右接地輪体21b,21bを前後方向あるいは左右方向に調節できる。
前記構成によると、接地輪体21b,21bを前後方向あるいは左右方向に調節することにより、トラクタの大きさや、左右クローラ走行装置6,6の左右幅に合わせて安定した状態で支持することができる。
【0035】
次に、図6に基づき左右クローラ走行装置6,6の伸縮構成について説明する。
左右クローラ走行装置6,6のクローラフレーム6aにおける下部前側部を、基部フレーム筒体6aaと移動フレーム筒体6abに分割して二重構造とし、移動フレーム筒体6abに前側誘導輪6cを支架し、油圧シリンダ23の伸縮により前側誘導輪6cを前後に移動調節可能に構成している。そして、駆動スプロケット6b、前側誘導輪6c、後側誘導輪6d及び中間転輪6e,…に走行クローラ6fを巻き掛けている。しかして、油圧シリンダ23を伸長し前側誘導輪6cを迅速に前側に移動調節し、走行クローラ6fのテンションを適正張力に調整することができる。
【0036】
また、図示を省略したが、トラクタの油圧装置の油圧ポンプから油圧制御弁を経由して作業機昇降用の油圧シリンダあるいは前記油圧シリンダ23に圧油を給排するように構成している。そして、操縦部から離れた位置、例えば後側安全フレーム18部に油圧制御弁の切換スイッチを設け、作業機昇降用の油圧シリンダを作動状態としたり、あるいは、前側誘導輪6c作動用の油圧シリンダ23を作動状態とに切り換えるようにしている。
【0037】
また、油圧シリンダ23に伸縮状態を検出する伸縮検出手段を設け、伸縮検出手段の検出情報が基準長さより短縮したことを検出すると、コントローラの基準長さ伸長指令に基づき油圧シリンダ23を基準長さに伸長し、走行クローラ6fを基準張力に復帰させるようにし、走行の円滑化を図っている。
【0038】
また、油圧制御弁から油圧シリンダ23への接続回路にリリーフ弁を設け、リリーフ弁の最大圧力を走行クローラ6fの最適緊張値に設定し、所定時間毎に最大圧力以上の油圧を接続回路に送り込むことにより、走行クローラ6fの張りを適正にするようにしてもよい。
【0039】
次に、図10に基づき油圧式無段変速装置38の操作構成について説明する。
ミッションケース3には油圧式無段変速装置38を取り付け、主変速レバー38a及び前後進ペダル38bの操作により油圧式無段変速装置38のトラニオン軸を作動し、前後進の切換及び増減速調節をするように構成している。また、トラニオン軸の中立位置復帰装置38cに中立復帰バネ38dを連結し、また、前後進ペダル38bにもペダル用中立復帰バネ38eを装着している。しかして、前後進ペダル38bからオペレータが足を離すと、前後進ペダル38bはペダル用中立復帰バネ38eにより中立位置に復帰し、トラニオン軸の中立位置復帰装置38cを中立復帰バネ38dにより中立位置に確実に復帰させるようにしている。
【0040】
また、図11に示すように構成してもよい。前後進ペダル38bにペダル用中立復帰バネ38eを装着するにあたり、ミッションケース3側の機体側ブラケット39には前下がり傾斜状の支持面39aを設け、前後進ペダル38b側のペダルブラケット40に前下がり傾斜状の支持面40aを設け、これらの支持面39a,40aで中立復帰バネ38eを復帰作用方向に沿うように支持すると、前後進ぺダル38bの中立位置復帰を確実にすることができる。
【0041】
次に、図12に基づきシート7支持構成の他の実施例について説明する。
ミッションケース3の上方に設けたシートフレーム42には左右前側ブラケット43,43を設け、シート7に左右前側ブラケット7a,7aを設けている。機体側の左右前側ブラケット43,43における上下方向の長孔43a,43aに、シート7側の左右前側ブラケット7a,7aにおける左右方向のピン45,45を挿通し、シート7の前側部を上下動自在で且つピン45,45回りに回動可能に支持している。
【0042】
そして、シートフレーム42の後側部とシート7の後側部との間に、サスペンションスプリング46を介装し、上下振動自在に支持している。そして、シート7の前側部下方にセンサブラケット47を左右方向の軸47a回りに回動自在に設け、センサブラケット47に始動スイッチ48を取り付けている。しかして、シート7にオペレータが座ると、シート7の前側部が下方に移動し、シート7の前側下面でシートスイッチ48を押し下げてONし、エンジンの始動が可能になる。
【0043】
前記構成によると、シート7の前側部を軸支しているピン45の前後方向近傍に始動スイッチ48を配置しているので、シート7側のピン45が長孔7aに沿って下方へ移動することにより、始動スイッチ48への加重変動を減らした状態でスイッチONとすることができる。
【0044】
次に、図13及び図14に基づき他の実施例について説明する。
シートフレーム42には前側ブラケット43を設けている。この前側ブラケット43は、正面視凹状に屈曲構成し、左右両側の上方へ屈折した左右側板部には上下方向の左右長孔43a,43aを構成している。また、正面視凹状のシートブラケット44を設け、このシートブラケット44の左右両側の上方へ屈折した左右側板部には、上側に左右長孔溝44a,44aと、その下方に左右支持孔44b,44bを設けている。
【0045】
そして、前側ブラケット43の上方にシートブラケット44を所定空間を空けて嵌合し、左右長孔43a,43aと左右支持孔44b,44bとに左右係止ピン49,49を挿通し、また、シート7における前側部の左右前側係止片7a,7aをシートブラケット44の上方に嵌合し、前側ブラケット43の左右長孔43a,43a、シートブラケット44の左右支持孔44b,44b、及び、シート7の左右前側係止片7a,7aの支持孔に、支持シートピン50を挿通し、シート7及びシートブラケット44を上下動自在に支持している。
【0046】
また、前側ブラケット43とシートブラケット44との間には左右両側部には左右スイッチスプリング51,51を介装し、左右方向中央部には図15図に示すように始動スイッチ48を取り付け、シートフレーム42の後側部とシート7の後側部との間にサスペンションスプリング46を介装し、シート7を上下動自在に支持している。
【0047】
前記構成によると、オペレータがシート7に着座あるいは起立すると、シート7の前側部を円滑確実に下動し、始動スイッチ48を確実にON/OFFすることができる。
次に、図16に基づきボンネット2のロック構成について説明する。
【0048】
ボンネット2の前側下端部を左右方向の軸回りに開閉自在に軸支し、ボンネット2の下面後側部にボンネットステー55を左右方向に沿わせて取り付けている。このボンネットステー55を正面視逆凹状に屈折構成し、その左右折曲板部55a,55aをボンネット2の左右側面部2a,2aの内側面に接着固着し、ボンネットステー55の左右両側部に下方に向けて起立している起立プレート55b,55b(前後方向及び上下方向に沿っている)を設けている。ボンネットステー55の左右方向中央部に板バネ材で構成したロックノブ58を後方へ突出するように取り付け、その前後方向中間部にロック凹部58aを設け、その後側端部2番に操作部57bを設けている。
【0049】
また、ハンドルフレーム16の前側部に取り付けたパネルフレーム56にはロックステー57を取り付けている。このロックステー57は平面視変形W型に構成し、中央部から前側に短く突出しているロック部57aと、左右両側部から前方へ長く突出している左右突出規制部57b,57bを構成している。
【0050】
しかして、ボンネット2が上方から下方へ閉鎖回動すると、ボンネット2側の左右起立プレート55b,55bの内側面が機体側のロックステー57における左右突出規制部57b,57bの外側面に沿って左右方向の位置決めがなされながら下方へ回動し、ロックノブ58のロック凹部58aがロックステー57のロック部57aに係合しロックされる。なお、ボンネット2を開放する際には、ロックステー57の操作部57bを上方へ持ち上げ、ロックを解除し開放する。
【0051】
前記構成によると、簡単な構成でボンネット2の左右方向へのずれを規制しながら円滑に開閉することができる。
次に、図17に基づきステアリングハンドル17の軸支構成について説明する。
【0052】
ハンドルフレーム16にハンドル軸61を軸架し、ハンドル軸61の上部にステアリングハンドル17のボス部を嵌合しボルトで固着している。ハンドルフレーム17の上部とハンドル軸61の上部との間に、外側筒状体62と内側筒体63を嵌合介装している。この外側筒状体62は、耐油性を有するゴムをベースに構成し、その外側面に振動を吸収するように上下方向に沿った凹凸形状に構成している。そして、この外側筒状体62の内側面とハンドル軸61の外側面との間に内側筒体63を嵌合介装している。そして、この内側筒体63をオイルを含浸した樹脂で構成している。
【0053】
しかして、ハンドル軸61の振動を吸収し、摩耗を少なくし騒音の低減及びコストの低減をし、耐久性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0054】
4 前輪
5a 後車軸
6 クローラ走行装置
6a クローラフレーム
6b 駆動スプロケット
6c 前側誘導輪
6f 走行クローラ
9 リフトアーム
10 三点リンク機構
21a 持ち上げ棒
21b 接地輪体
23 油圧シリンダ
26 ロワーリンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両の機体前側部には左右前輪(4,4)を、機体後部には左右クローラ走行装置(6,6)を設けたセミクローラ型作業車両において、機体後部に作業機昇降用のリフトアーム(9,9)及び作業機連結用の三点リンク機構(10)を設け、該三点リンク機構(10)の左右ロワーリンク(26,26)に、前後方向に長い左右持ち上げ棒(21a,21a)を取り付け、左右ロワーリンク(26,26)の前端部よりも前方へ突出する左右持ち上げ棒(21a,21a)の前側部位に左右接地輪体(21b,21b)を設け、左右リフトアーム(9,9)により左右ロワーリンク(26,26)を上方へ回動させると、左右持ち上げ棒(21a,21a)の左右接地輪体(21b,21b)により左右クローラ走行装置(6,6)を地面から浮上させて支持することを特徴とするセミクローラ型作業車両。
【請求項2】
請求項1の発明において、前記左右持ち上げ棒(21a,21a)の左右接地輪体(21b,21b)により前記左右クローラ走行装置(6,6)を地面から浮上させて支持した状態で、前記左右前輪(4,4)を駆動し、左右前輪(4,4)と左右持ち上げ棒(21a,21a)の左右接地輪体(21b,21b)により作業車両を走行させることを特徴とするセミクローラ型作業車両。
【請求項3】
請求項1及び請求項2の発明において、左右持ち上げ棒(21a,21a)の前記左右接地輪体(21b,21b)を前後方向あるいは左右方向に調節可能に構成したことを特徴とするセミクローラ型作業車両。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の発明において、前記左右クローラ走行装置(6,6)におけるクローラのテンション調節用の左右前側誘導輪(6c,6c)を左右油圧シリンダ(23,23)により前後方向に移動調整可能に構成したことを特徴とするセミクローラ型作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−175944(P2012−175944A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41463(P2011−41463)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】