説明

セラミックヒータ及びそれを用いたガスセンサ素子

【課題】短絡の発生を防止することができるセラミックヒータ及びそれを用いたガスセンサ素子を提供すること。
【解決手段】セラミックヒータは、通電により発熱する発熱部21と発熱部21に通電するための一対のリード部22とを有するヒータパターン2をセラミック基板上に形成してなる。発熱部21は、一対のリード部22にそれぞれ接合される一対の発熱接合端部211を有する。各リード部22は、発熱部21の発熱接合端部211に接合されるリード接合端部221を有する。発熱部21とリード部22とは、発熱接合端部211上にリード接合端部221を重ね合わせることによって接合されている。リード部22のリード接合端部22の幅Bは、発熱部21の発熱接合端部211の幅Aよりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサ素子等を加熱するためのセラミックヒータ及びそれを用いたガスセンサ素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の内燃機関の排気系には、排ガス等の被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサが配設されている。また、ガスセンサには、ガスセンサ素子を加熱するためのセラミックヒータが内蔵されている。
セラミックヒータとしては、例えば、通電により発熱する発熱部とその発熱部に通電するためのリード部とを有するヒータパターンをセラミック基板上に形成したものがある。
【0003】
近年、ガスセンサ素子の急速昇温化(早期活性化)、使用温度の高温化等の要求により、発熱部の比抵抗を小さくする傾向がある。
例えば、特許文献1では、発熱部及びリード部をそれぞれ異なる材料で構成し、発熱部の比抵抗をリード部の比抵抗よりも小さくしたセラミックヒータが開示されている。このセラミックヒータは、異なる材料によって発熱部及びリード部を形成することから、例えば、発熱部の端部とリード部の端部とを重ね合わせることにより、両者を接合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−342622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記セラミックヒータでは、次のような問題があった。
すなわち、セラミックヒータを製造するに当たっては、例えば、セラミック基板上に発熱部用の導体ペーストを印刷した後、リード部用の導体ペーストを印刷する。このとき、発熱部とリード部との接合部分については、発熱部用の導体ペースト上にリード部用の導体ペーストを同じ幅で重ねるように印刷する。そのため、上側に印刷したリード部用の導体ペーストにダレが発生し、そのダレが発熱部用の導体ペーストよりも外側に伸展することにより、リード部間に短絡が発生するおそれがあった。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、短絡の発生を防止することができるセラミックヒータ及びそれを用いたガスセンサ素子を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様は、通電により発熱する発熱部と該発熱部に通電するための一対のリード部とを有するヒータパターンをセラミック基板上に形成してなるセラミックヒータであって、
上記発熱部は、上記一対のリード部にそれぞれ接合される一対の発熱接合端部を有し、
上記各リード部は、上記発熱部の上記発熱接合端部に接合されるリード接合端部を有し、
上記発熱部と上記リード部とは、上記発熱接合端部上に上記リード接合端部を重ね合わせることによって接合されており、
上記リード部の上記リード接合端部の幅は、上記発熱部の上記発熱接合端部の幅よりも小さいことを特徴とするセラミックヒータにある(請求項1)。
【0008】
本発明の他の態様は、上記セラミックヒータを備えていることを特徴とするガスセンサ素子にある(請求項5)。
【発明の効果】
【0009】
上記セラミックヒータは、発熱部の発熱接合端部上にリード部のリード接合端部を重ね合わせることにより、発熱部とリード部とを接合している。そして、リード部のリード接合端部の幅を発熱部の発熱接合端部の幅よりも小さくしている。
これにより、セラミックヒータにおける短絡の発生、特にリード部間における短絡の発生を防止することができる。
【0010】
すなわち、リード部のリード接合端部の幅を発熱部の発熱接合端部の幅よりも小さくすることにより、例えば、セラミック基板上に発熱部用及びリード部用の導体ペーストを印刷してヒータパターンを形成する場合に、発熱部とリード部との接合部分において、発熱部の発熱接合端部上にリード部のリード接合端部を重ねて印刷することが容易となる。また、上側に印刷したリード部のリード接合端部にダレが発生しても、そのダレが発熱部の発熱接合端部よりも外側に伸展することを抑制することができる。その結果、リード部間の距離を十分に確保することができ、リード部間における短絡の発生を防止することができる。
【0011】
上記ガスセンサ素子は、上述したとおり、短絡の発生を防止することができるセラミックヒータを備えている。そのため、品質の高い、信頼性に優れたガスセンサ素子を得ることができる。
【0012】
このように、短絡の発生を防止することができるセラミックヒータ及びそれを用いたガスセンサ素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における、セラミックヒータの構造を示す斜視展開図。
【図2】実施例1における、セラミック基板及びヒータパターンを示す平面図。
【図3】実施例1における、発熱部とリード部との接合部分を拡大して示す説明図。
【図4】実施例1における、セラミック基板の幅方向の断面を示す説明図。
【図5】実施例1における、ガスセンサ素子の構造を示す断面説明図。
【図6】実施例1における、ガスセンサ素子の構造を示す斜視展開図。
【図7】実施例2における、発熱部とリード部との接合部を拡大して示す説明図。
【図8】実施例2における、発熱部とリード部との接合部を拡大して示す説明図。
【図9】実施例2における、発熱部とリード部との接合部を拡大して示す説明図。
【図10】実施例2における、発熱部とリード部との接合部を拡大して示す説明図。
【図11】実施例2における、発熱部とリード部との接合部を拡大して示す説明図。
【図12】実施例2における、発熱部とリード部との接合部を拡大して示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記セラミックヒータにおいて、上記発熱部の上記発熱接合端部の幅Aと上記リード部の上記リード接合端部の幅Bとの関係は、B/A=0.5〜0.95とすることができる(請求項2)。
この場合には、導体ペーストの印刷時におけるリード部のリード接合端部のダレを抑制し、リード部間における短絡の発生を防止するという上述の効果を十分に発揮することができる。
【0015】
また、上記発熱部の上記発熱接合端部の幅Aと上記リード部の上記リード接合端部の幅Bとの関係は、B/A=0.6〜0.9とすることができる(請求項3)。
この場合には、導体ペーストの印刷時におけるリード部のリード接合端部のダレを抑制し、リード部間における短絡の発生を防止するという上述の効果をより一層発揮することができる。
【0016】
また、上記発熱部の上記発熱接合端部の幅Aと上記リード部の上記リード接合端部の幅Bとの関係がB/A<0.5である場合には、両者の接合部分に抵抗差が生じ、局所的な異常発熱、断線等のおそれがある。また、抵抗差を小さくするためにリード部のリード接合端部の厚みを大きくすれば、セラミック基板や発熱部との段差が大きくなり、セラミックヒータの通電時等において段差部に発生する応力が増大し、剥離やクラックの発生要因となるおそれがある。
また、B/A>0.95である場合には、導体ペーストの印刷時におけるリード部のリード接合端部のダレを抑制し、リード部間における短絡の発生を防止するという上述の効果が十分に得られないおそれがある。
【0017】
また、上記ヒータパターンは、導体ペーストを印刷することによって形成することができる(請求項4)。
この場合には、導体ペーストの印刷時におけるリード部のリード接合端部のダレを抑制し、リード部間における短絡の発生を防止するという上述の効果を有効に発揮することができる。
【0018】
上記ガスセンサ素子としては、例えば、自動車エンジン等の各種車両用内燃機関の排気管に設置して排ガスフィードバックシステムに使用されるA/Fセンサに内蔵するA/Fセンサ素子、排ガス中の酸素濃度を測定するO2センサ素子、排気管に設置する三元触媒の劣化検知等に利用されるNOx等の大気汚染物質濃度を調べるNOxセンサ素子等がある。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
セラミックヒータ及びそれを用いたガスセンサ素子にかかる実施例について、図を用いて説明する。
本例のセラミックヒータ1は、図1〜図4に示すごとく、通電により発熱する発熱部21と発熱部21に通電するための一対のリード部22とを有するヒータパターン2をセラミック基板11上に形成してなる。
【0020】
発熱部21は、一対のリード部22にそれぞれ接合される一対の発熱接合端部211を有する。各リード部22は、発熱部21の発熱接合端部211に接合されるリード接合端部221を有する。発熱部21とリード部22とは、発熱接合端部211上にリード接合端部221を重ね合わせることによって接合されている。リード部22のリード接合端部221の幅Bは、発熱部21の発熱接合端部211の幅Aよりも小さい。
以下、これを詳説する。
【0021】
本例のセラミックヒータ1は、図5、図6に示すごとく、ガスセンサ素子3の一部として配設されている。
ガスセンサ素子3としては、例えば、自動車エンジン等の各種車両用内燃機関の排気管に設置して排ガスフィードバックシステムに使用されるA/Fセンサに内蔵するA/Fセンサ素子、排ガス中の酸素濃度を測定するO2センサ素子、排気管に設置する三元触媒の劣化検知等に利用されるNOx等の大気汚染物質濃度を調べるNOxセンサ素子等がある。
【0022】
同図に示すごとく、ガスセンサ素子3は、酸素イオン伝導性の固体電解質体31を有する。固体電解質体31は、ジルコニアを主成分とする材料からなる。
固体電解質体31の一方の面には、被測定ガス側電極32が設けられている。また、固体電解質体31の他方の面には、基準ガス側電極33が設けられている。被測定ガス側電極32及び基準ガス側電極33は、白金を主成分とする材料からなる。
【0023】
また、固体電解質体31における被測定ガス側電極32の側には、ガス透過性のアルミナ多孔体からなる多孔質の拡散抵抗層35と電気的絶縁性を有すると共に緻密でガスを透過させないアルミナからなるスペーサ層36とが積層されている。拡散抵抗層35は、被測定ガス(排ガス)を導入して被測定ガス側電極32に接触させることができるよう構成されている。
また、拡散抵抗層35及びスペーサ層36における固体電解質体31とは反対の側には、電気的絶縁性を有すると共に緻密でガスを透過させないアルミナからなる遮蔽層37が積層されている。
【0024】
また、固体電解質体31における基準ガス側電極33の側には、電気的絶縁性を有すると共に緻密でガスを透過させないアルミナからなる基準ガス室形成層34が積層されている。基準ガス室形成層34には、切欠部341が設けられており、この切欠部341内に基準ガス室340が形成されている。基準ガス室340は、基準ガス(大気)を導入して基準ガス側電極33に接触させることができるよう構成されている。
また、基準ガス室形成層34における固体電解質体31とは反対の側には、セラミックヒータ1が積層されている。
【0025】
また、固体電解質体31の一方の面に設けられた被測定ガス側電極32は、導電性の接続リード部321、さらにスペーサ層36及び遮蔽層37にそれぞれ形成されたスルーホール368、378を介して、電極パッド322に電気的に接続されている。なお、各スルーホール368、378内には、導体(図示略)が配設されている。
また、固体電解質体31の他方の面に設けられた基準ガス側電極33は、導電性のリード部331、さらに固体電解質体31、スペーサ層36及び遮蔽層37にそれぞれ形成されたスルーホール319、369、379を介して、電極パッド332に電気的に接続されている。なお、各スルーホール319、369、379内には、導体(図示略)が配設されている。
【0026】
次に、セラミックヒータ1について詳細に説明する。
図1に示すごとく、セラミックヒータ1は、セラミック基板11と、そのセラミック基板11と基準ガス質形成層34(図5)との間に配置されたセラミック絶縁層12とを積層してなる。セラミック基板11及びセラミック絶縁層12は、電気的絶縁性を有すると共に緻密でガスを透過させないアルミナからなる。
【0027】
図1、図2に示すごとく、セラミック基板11の一方の表面111には、ヒータパターン2が形成されている。ヒータパターン2は、導体ペーストを印刷することによって形成されている。また、ヒータパターン2は、セラミック絶縁層12と対面するように形成されている。
また、ヒータパターン2は、通電により発熱し、ガスセンサ素子3を活性温度まで加熱するための発熱部21と、発熱部21に通電するための一対のリード部22とを有する。発熱部21及びリード部22は、白金を主成分とする材料からなり、アルミナを含有している。
【0028】
また、発熱部21は、セラミック基板11の長手方向Xにおける一方の端部に形成されている。発熱部21の両端部には、一対のリード部22にそれぞれ接合される一対の発熱接合端部211が設けられている。
また、一対のリード部22は、セラミック基板11の長手方向Xに形成されている。また、一対のリード部22は、セラミック基板11の幅方向Yにおいて互いに平行に配置されている。各リード部22の一方の端部には、発熱部21の発熱接合端部211に接合されるリード接合端部221が設けられている。
【0029】
また、図3に示すごとく、セラミック基板11をヒータパターン2が形成されている表面111に対して鉛直方向(セラミック基板11の厚み方向Z)から見た場合のヒータパターン形状(以下、単にヒータパターン形状という)において、発熱部21の発熱接合端部211及びリード部22のリード接合端部221は、その端縁212、222の形状が幅方向Yに平行な直線形状となっている。
【0030】
そして、図3、図4に示すごとく、発熱部21とリード部22とは、発熱部21の発熱接合端部211上にリード部22のリード接合端部221を重ね合わせることによって接合されている。また、リード部22のリード接合端部221の幅Bは、発熱部21の発熱接合端部211の幅Aよりも小さい。発熱接合端部211の幅Aとリード接合端部221の幅Bとの関係は、B/A=0.5〜0.95を満たしている。
【0031】
また、図4に示すごとく、セラミック基板11の表面111に形成された発熱部21は、一対のリード部22、さらにはセラミック基板11に形成された一対のスルーホール119を介して、セラミック基板11の他方の表面112に配設された一対の電極パッド29に電気的に接続されている。なお、各スルーホール119内には、導体28が配設されている。
【0032】
次に、セラミックヒータ1及びガスセンサ素子3の製造方法について説明する。
まず、セラミックヒータ1を構成するセラミック基板11及びセラミック絶縁層12となる各アルミナセラミックシートを成形する。また、セラミック基板11となるアルミナセラミックシートには、スルーホール119となる貫通孔を形成しておく。
このアルミナシートは、例えば、アルミナ粉末にSiO2、MgO、CaO等の焼結助剤を混合し、さらに有機バインダ等を混合して調整されたスラリーをドクターブレード法等の成形方法によって50〜500μmの厚さに成形する。
【0033】
次いで、セラミック基板11となるアルミナシートの一方の表面に、ヒータパターン2となる導体ペーストを印刷する。具体的には、発熱部21となる導体ペーストを印刷した後、リード部22となる導体ペーストを印刷する。そして、発熱部21とリード部22との接合部分については、発熱部21となる導体ペースト上にリード部22となる導体ペーストを重ねて印刷する。
【0034】
ここで、発熱部21及びリード部22となる導体ペーストは、例えば、主成分となる白金粉末にアルミナ粉末を所定の比率で混合し、さらにアクリル樹脂等の有機バインダ、DBPやDOP等の可塑剤、ターピネオール等の有機溶媒等を混合し、ペースト状に調整したものである。
【0035】
また、セラミック基板11となるアルミナシートの他方の表面に、電極パッド29となる導体ペーストを印刷する。また、予め形成しておいた貫通孔に導体28となる導体ペーストを充填する。
そして、セラミック基板11及びセラミック絶縁層12となるアルミナシートを積層し、ヒータ積層体を作製する。
【0036】
また、ガスセンサ素子3を構成する固体電解質体31となるジルニコアシートを成形し、そこへ被測定ガス側電極32、基準ガス側電極33等となる導体ペーストを印刷する。また、ガスセンサ素子3を構成する基準ガス室形成層34、拡散抵抗層35、スペーサ層36、遮蔽層37となる各アルミナシートを成形する。そして、これらのシートを積層し、センサ積層体を作製する。
【0037】
次いで、このセンサ積層体に上述のヒータ積層体を積層し、全体を熱圧着して素子積層体を作製する。そして、素子積層体を所定の条件で焼成する。
これにより、本例のセラミックヒータ1(図1〜図4)を内蔵してなるガスセンサ素子3(図5)が得られる。
【0038】
次に、本例のセラミックヒータ1及びそれを用いたガスセンサ素子3における作用効果について説明する。
本例のセラミックヒータ1は、発熱部21の発熱接合端部211上にリード部22のリード接合端部221を重ね合わせることにより、発熱部21とリード部22とを接合している。そして、リード部22のリード接合端部221の幅Bを発熱部21の発熱接合端部211の幅Aよりも小さくしている。
これにより、セラミックヒータ1における短絡の発生、特にリード部22間における短絡の発生を防止することができる。
【0039】
すなわち、リード部22のリード接合端部221の幅Bを発熱部21の発熱接合端部211の幅Aよりも小さくすることにより、例えば、セラミック基板11上に発熱部21用及びリード部22用の導体ペーストを印刷してヒータパターン2を形成する場合に、発熱部21とリード部22との接合部分において、発熱部21の発熱接合端部211上にリード部22のリード接合端部221を重ねて印刷することが容易となる。また、上側に印刷したリード部22のリード接合端部221にダレが発生しても、そのダレが発熱部21の発熱接合端部211よりも外側に伸展することを抑制することができる。その結果、リード部22間の距離を十分に確保することができ、リード部22間における短絡の発生を防止することができる。
【0040】
また、本例では、発熱部21の発熱接合端部211の幅Aとリード部22のリード接合端部221の幅Bとの関係は、B/A=0.5〜0.95である。これにより、導体ペーストの印刷時におけるリード部22のリード接合端部221のダレを抑制し、リード部22間における短絡の発生を防止するという上述の効果を十分に発揮することができる。
【0041】
また、ヒータパターン2は、発熱部21用及びリード部22用の導体ペーストを印刷することによって形成されている。これにより、導体ペーストの印刷時におけるリード部22のリード接合端部221のダレを抑制し、リード部22間における短絡の発生を防止するという上述の効果を有効に発揮することができる。
【0042】
また、本例のガスセンサ素子3は、上述したとおり、短絡の発生を防止することができるセラミックヒータ1を備えている。そのため、品質の高い、信頼性に優れたガスセンサ素子3を得ることができる。
【0043】
このように、本例によれば、短絡の発生を防止することができるセラミックヒータ1及びそれを用いたガスセンサ素子3を提供することができる。
【0044】
(実施例2)
本例は、図7〜図12に示すごとく、ヒータパターン2における発熱部21とリード部22との接合部分の構成を変更したセラミックヒータ1の例である。
【0045】
図7に示す例では、ヒータパターン形状において、互いに接合されている発熱部21の発熱接合端部211及びリード部22のリード接合端部221は、その端縁212、222がセラミック基板11の幅方向Yに対して傾斜した直線となっており、互いに同じ方向に傾斜している。また、発熱部21の発熱接合端部211の端縁212同士及びリード部22のリード接合端部221の端縁222同士は、互いに異なる方向に傾斜している。
【0046】
図8に示す例では、ヒータパターン形状において、互いに接合されている発熱部21の発熱接合端部211及びリード部22のリード接合端部221は、その端縁212、222がセラミック基板11の幅方向Yに対して傾斜した直線となっており、互いに異なる方向に傾斜している。また、発熱部21の発熱接合端部211の端縁212同士及びリード部22のリード接合端部221の端縁222同士は、互いに異なる方向に傾斜している。
【0047】
図9に示す例では、ヒータパターン形状において、互いに接合されている発熱部21の発熱接合端部211及びリード部22のリード接合端部221は、その端縁212、222がセラミック基板11の幅方向Yに対して傾斜した直線となっており、互いに異なる方向に傾斜している。また、発熱部21の発熱接合端部211の端縁212同士及びリード部22のリード接合端部221の端縁222同士は、互いに同じ方向に傾斜している。
【0048】
図10に示す例では、ヒータパターン形状において、発熱部21の発熱接合端部211は、その端縁212が円弧状の曲線となっている。一方、リード部22のリード接合端部221は、その端縁222が幅方向Yに平行な直線となっている。
【0049】
図11に示す例では、ヒータパターン形状において、発熱部21の発熱接合端部211は、その端縁212が幅方向Yに平行な直線となっている。一方、リード部22のリード接合端部221は、その端縁222が円弧状の曲線となっている。
【0050】
図12に示す例では、ヒータパターン2において、発熱部21の発熱接合端部211及びリード部22のリード接合端部221は、その端縁212、222が円弧状の曲線となっている。
【0051】
そして、図7〜図12に示すいずれの例においても、その他は、実施例1と同様の構成であり、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0052】
(実施例3)
本例は、セラミックヒータについて評価したものである。
本例では、発熱部の上記発熱接合端部の幅Aとリード部のリード接合端部の幅Bとの比率B/Aが異なる複数のセラミックヒータを準備し、それぞれについて「印刷によるダレ」及び「クラックの有無」について評価を行った。
なお、準備したセラミックヒータは、実施例1の図1〜図4に示したセラミックヒータと同様である。
【0053】
次に、セラミックヒータにおける「印刷によるダレ」及び「クラックの有無」の評価方法について説明する。
「印刷によるダレ」の評価については、ヒータパターンにおける発熱部とリード部との接合部分において、印刷によるダレ量を測定する。この印刷によるダレ量は、セラミックヒータの幅方向において、ヒータパターンの側面から印刷によるダレの先端までの長さである。そして、印刷によるダレ量がリード接合端部の側面から発熱接合端部の側面までの距離以内の場合には○、リード接続端部の側面から発熱接合端部の側面までの距離と同じ場合には△、リード接合端部の側面から発熱接合端部の側面までの距離よりも大きい場合には×とした。
【0054】
「クラックの有無」については、発熱部とリード部との接合部分及びその周辺において、ヒータパターンやセラミック基板にクラックが発生しているか否かを染色、透過X線、SEM等により観察する。そして、ヒータパターン又はセラミック基板にクラックが発生してない場合には○、ヒータパターン又はセラミック基板にクラックが発生していないがヒータパターンとセラミック基板との界面に100μm以下のデラミネーション(剥離)が発生している場合には△、ヒータパターン又はセラミック基板にクラックが発生しているか、ヒータパターンとセラミック基板との界面に100μmを超えるデラミネーション(剥離)が発生している場合には×とした。
【0055】
【表1】

【0056】
次に、セラミックヒータの評価結果について説明する。
表1に示すごとく、発熱部の上記発熱接合端部の幅Aとリード部のリード接合端部の幅Bとの比率B/Aが1.00の場合には、「印刷によるダレ」の評価が×であった。また、比率B/Aが0.95の場合には、「印刷によるダレ」の評価が△であった。
また、発熱部の上記発熱接合端部の幅Aとリード部のリード接合端部の幅Bとの比率B/Aが0.50の場合には、「クラックの有無」の評価が△であった。また、比率B/Aが0.40の場合には、「クラックの有無」の評価が×であった。
一方、発熱部の上記発熱接合端部の幅Aとリード部のリード接合端部の幅Bとの比率B/Aが0.60、0.70、0.80、0.90の場合には、「印刷によるダレ」及び「クラックの有無」の評価が共に○であった。
【0057】
以上の結果から、セラミックヒータのヒータパターンにおいて、リード部のリード接合端部の幅Bを発熱部の発熱接合端部の幅Aよりも小さくすることによって、印刷によるダレを抑制することができることがわかった。
また、発熱部の発熱接合端部の幅Aとリード部のリード接合端部の幅Bとの比率B/Aを0.5〜0.95とすることが好ましく、0.6〜0.9とすることがより好ましいことがわかった。
【符号の説明】
【0058】
1 セラミックヒータ
11 セラミック基板
2 ヒータパターン
21 発熱部
211 発熱接合端部
22 リード部
221 リード接合端部
3 ガスセンサ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により発熱する発熱部と該発熱部に通電するための一対のリード部とを有するヒータパターンをセラミック基板上に形成してなるセラミックヒータであって、
上記発熱部は、上記一対のリード部にそれぞれ接合される一対の発熱接合端部を有し、
上記各リード部は、上記発熱部の上記発熱接合端部に接合されるリード接合端部を有し、
上記発熱部と上記リード部とは、上記発熱接合端部上に上記リード接合端部を重ね合わせることによって接合されており、
上記リード部の上記リード接合端部の幅は、上記発熱部の上記発熱接合端部の幅よりも小さいことを特徴とするセラミックヒータ。
【請求項2】
請求項1に記載のセラミックヒータにおいて、上記発熱部の上記発熱接合端部の幅Aと上記リード部の上記リード接合端部の幅Bとの関係は、B/A=0.5〜0.95であることを特徴とするセラミックヒータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセラミックヒータにおいて、上記発熱部の上記発熱接合端部の幅Aと上記リード部の上記リード接合端部の幅Bとの関係は、B/A=0.6〜0.9であることを特徴とするセラミックヒータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックヒータにおいて、上記ヒータパターンは、導体ペーストを印刷することによって形成されていることを特徴とするセラミックヒータ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のセラミックヒータを備えていることを特徴とするガスセンサ素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−51070(P2013−51070A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187368(P2011−187368)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】