説明

セラミド溶液及び皮膚外用剤

【課題】セラミド類の溶解性の改善を図る
【解決手段】 セラミド類と、脂肪酸トリグリセリド、フィトステロール誘導体を含む油溶液であって、脂肪酸トリグリセリドとセラミド類とフィトステロール誘導体の配合比が100:0.02〜0.2:1〜20であることを特徴とする油溶液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミド類の溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミドは皮膚の角層の細胞間脂質に含有され、皮膚バリア機能に寄与する成分である。セラミドは溶解が困難な成分として知られている。
セラミドの類似物質としてN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドが知られている(特許文献1:特開昭63−228048号公報)。本物質は肌荒れに対して優れた改善及び予防効果を発揮することが知られているが、溶解が困難であり、色々な工夫がなされてきた。
【0003】
例えばトリグリセライドを除く特定の多価アルコール脂肪酸エステルにセラミド類似物質を溶解する技術が知られているが(特許文献2:特許第3503834号公報)、トリグリセライドにセラミド類似物質を溶解することは困難であった。両親媒性高分子と特定の油剤を用いてセラミド類似物質を溶解する技術が知られているが(特許文献3:特許第3779661号公報)、両親媒性高分子の使用が避けられず、使用性が限定されてしまう。ソルビタンモノラウレートを用いてセラミド類似物質を安定に溶解する技術が知られているが(特許文献4:特開2005−8580号公報)、ソルビタンモノラウレートを高濃度で用いる必要があり、安全性に問題があった。
また、セラミド類を溶解あるいは分散する技術として、1価の低級アルコール、油、水を含有させる技術(特許文献5:特開2000−119178号公報)、脂肪族アルコールとグリセリルモノオレイルエーテルを含有させる技術(特許文献6:特開2003−12486号公報)、乳酸アルキルを配合する技術(特許文献7:特開2003−40728号公報)、ダイマージオール誘導体を含有させる技術(特許文献8:特開2004−131420号公報)、リン脂質、常温で液状の高級アルコールを含有させる技術(特許文献9:特開2007−1950号公報)が知られている。しかしながら、セラミド類を溶解させる技術はさらなる改良が求められている。
【0004】
【特許文献1】特開昭63−228048号公報
【特許文献2】特許第3503834号公報
【特許文献3】特許第3779661号公報
【特許文献4】特開2005−8580号公報
【特許文献5】特開2000−119178号公報
【特許文献6】特開2003−12486号公報
【特許文献7】特開2003−40728号公報
【特許文献8】特開2004−131420号公報
【特許文献9】特開2007−1950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セラミド類の溶解性の改善を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、セラミド類の溶解性を脂肪酸トリグリセリド、フィトステロール誘導体と組み合わせることにより向上させたものである。本発明のセラミド類としては、セラミド、セラミド誘導体、セラミド類似物質が挙げられる。
【0007】
本発明の主な解決手段は次のとおりである。
(1)セラミド類と、脂肪酸トリグリセリド、フィトステロール誘導体を含む油溶液であって、脂肪酸トリグリセリドとセラミド類とフィトステロール誘導体の配合比が100:0.02〜0.2:1〜20であることを特徴とする油溶液。
(2)セラミド類が、セラミド、セラミド誘導体、セラミド類似物質のいずれかであることを特徴とする(1)記載の油溶液。
(3)セラミドが、セラミド2、セラミド3、N−アシルスフィンゴシン(セラミド)、N−アシルジヒドロスフィンゴシン(ジヒドロセラミド)、N−アシルフィトスフィンゴシン(フィトセラミド)のいずれかであり、
セラミド誘導体が、スフィンゴミエリン、セレブロシド、ガングリオシド、スルファチド、スフィンゴシン、アシルスフィンゴシン、テトラアセチルフィトスフィンゴシンのいずれかであり、
セラミド類似物質が、N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド、トリヒドロキシパルミタミドヒドロキシプロピルミリスチルエーテル、セチルヒドロキシプロリンパルミタミドのいずれかであることを特徴とする(2)記載の油溶液。
(4)フィトステロール誘導体が、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)から選択される1又は複数であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の油溶液。
(5)フィトステロール誘導体が、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルであり、脂肪酸トリグリセリドとセラミド類の配合比が100:0.02〜0.2:1〜6であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の油溶液。
(6)ソルビタンモノラウレート又は両親媒性高分子を含まない(1)〜(5)のいずれかに記載の油溶液。
(7)(1)〜(6)記載のいずれかの油溶液を含む皮膚外用剤。
(8)0.5〜5質量%の脂肪酸トリグリセリドを含有し、0.001質量%以上のセラミド類を含有することを特徴とする(7)に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0008】
セラミド類の析出のない安定した溶解状態のセラミド類溶液を提供することができる。室温下で液状フィトステロール誘導体は、セラミド類の溶解の妨げにはならなく、補助的働きをすることを明らかにすることができた。フィトステロール誘導体は、添加量は少量で効果があり、種類により異なるが添加量を増やすとセラミド類の析出を助長させる傾向がある。特にマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルは、脂肪酸トリグリセリド:フィトステロール誘導体=50:1〜10:1の範囲で溶解性がほぼ良好であって10:1以上ではセラミドの析出を助長させる。また、固体のフィトステロール誘導体においては、油剤の総量が増えるからといって溶解性が向上するわけではなく、セラミド類を安定にさせる適度な比率があることを明確に示すことができた。
一般的に、セラミド類を皮膚外用剤に配合して、肌荒れ改善効果を向上させるためには0.001質量%以上の配合が必要である。本発明の油溶液は高濃度のセラミド類を含有するので、皮膚外用剤に0.5〜5質量%の脂肪酸トリグリセリドを添加することで、0.001質量%以上のセラミド類の配合を実現でき、さっぱりした使用感と肌荒れ改善効果をともに実現できる。
本願発明は、従来技術で用いられているソルビタンモノラウレート、両親媒性高分子を使用することなく、脂肪酸トリグリセリドとフィトステロール誘導体を溶媒として高濃度のセラミド類を溶解することができた。これにより安全性が高く、使用性を自由に設計できる皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
セラミドは、人の皮膚(角層)に存在する細胞間脂質の約50%を占めるアミド誘導体である。正常な皮膚では、角化の過程でセラミドが生成されるが、加齢とともに角層内のセラミドは減少するので、年齢が高くなるほど乾燥しやすく、また、バリア機能も低下する。従って、化粧料にセラミドを配合することによって、保湿性アップ等をすることによりバリア機能を向上させることができる。
本願発明では、セラミド、セラミド誘導体、セラミド類似物質などのセラミド類の化合物を用いて、溶解量を高めた油溶液を開発した。これらの物質は溶解性が低いことは背景技術で述べたとおりであり、ソルビタンモノラウレート等肌には好ましくない助剤を使用して溶解性を確保しているが、このような不適当な助剤を用いることなく溶解性を高めた。少なくとも0.2重量%溶解させることが可能となった。
本願発明で用いるセラミド類の溶媒として脂肪酸トリグリセリドを用いる。溶解させるセラミド類は脂質(油の一種)で、親油基と親水基を構造中にもつため、水分を抱え込むことができる。脂肪酸トリグリセリドとして、特にマカデミアナッツ油は、パルミトオレイン酸を25%近く含有し、皮脂に近い油剤として好ましい。
フィトステロールは、肌への親和性を高めるために生体類似成分として用いた。フィトステロールを配合しない場合、本願発明のセラミド類は、脂肪酸トリグリセリドだけでは高濃度配合できないことが確認され、一方、フィトステロール誘導体は、適当な添加量でないと溶解性を阻害することも確認された。フィトステロールの種類にもよるが溶媒100に対して1〜20が適当である。本発明で用いるフィトステロールは植物由来が好ましい。
本発明のセラミド類を脂肪酸トリグリセリドに溶解した油溶液を乳化して化粧料などの皮膚外用剤として用いることができる。例えば、水中油型乳液である。セラミド類が高含有された油溶液であるので、必要な量のセラミド類を配合した乳液を実現するには少量で十分であるし、高配合の乳液も提供することが可能となる。
本発明のセラミド類の油溶液は安定なので、セラミド類を配合するのに界面活性剤を多量に配合する必要がない。セラミド類を脂肪酸トリグリセリドに溶解するに当たりフィトステロール誘導体以外に界面活性剤などの助剤を必要としないので、人体に対する安全性の高い油溶液を提供することができる。乳液などの剤型にする場合に添加する乳化剤などを配合する際に安全性の高い物質を選択することができる。
【0010】
以下に各構成要素について述べる。
1.本発明のセラミド類としては、セラミド、セラミド誘導体、セラミド類似物質が挙げられる。
セラミドとしてはN−アシルスフィンゴシン(セラミド)、N−アシルジヒドロスフィンゴシン(ジヒドロセラミド)、N−アシルフィトスフィンゴシン(フィトセラミド)等が挙げられる。なお前記のスフィンゴシンの構造は(2S,3R,4E)−2−アミノ−4−オクタデセン−1,3−ジオール、ジヒドロスフィンゴシンの構造は(2S,3R)−2−アミノオクタデカン−1,3−ジオール、フィトスフィンゴシンの構造は(2S,3S,4R)−2−アミノ−1,3,4−オクタデカントリオールである。
特に本発明に用いるセラミドとしては、N−アシルジヒドロスフィンゴシン(ジヒドロセラミド)に分類されるセラミド2(化粧品原料表示名称)、N−アシルフィトスフィンゴシン(フィトセラミド)に分類されるセラミド3(化粧品原料表示名称)が好ましい。
本発明に用いるセラミド2(化粧品原料表示名称)の化学式は(2S,3R)−2−オクタデカノイルアミノオクタデカン−1,3−ジオールであり、市販品(高砂香料工業株式会社製 Ceramide TIC-001)を用いることができる。
本発明に用いるセラミド3(化粧品原料表示名称)の化学式は2−オクタデカノイルアミノ−1,3,4−オクタデカントリオールであり、市販品(DOOSAN社製 DS-Ceramide Y3S)を用いることができる。
セラミド誘導体としてスフィンゴミエリン、セレブロシド、ガングリオシド、スルファチド、スフィンゴシン、アシルスフィンゴシン等が挙げられる。アシルスフィンゴシンとしてテトラアセチルフィトスフィンゴシンが挙げられ、市販品(DOOSAN社製 DS-TAPS)を用いることができる。
セラミド類似物質としてN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド、トリヒドロキシパルミタミドヒドロキシプロピルミリスチルエーテル、セチルヒドロキシプロリンパルミタミド等が挙げられる。トリヒドロキシパルミタミドヒドロキシプロピルミリスチルエーテルは市販品(セダーマ社製 CERAMIDE HO3)を用いることができる。
【0011】
N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド
本発明のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドの油溶液は安定なので、N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドの溶解を目的としてソルビタンモノラウレート等の界面活性剤を多量に配合する必要がない。N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを脂肪酸トリグリセリドに溶解するに当たりフィトステロール誘導体以外に界面活性剤などの助剤を必要としないので、人体に対する安全性の高い油溶液を提供することができる。乳液などの剤型にする場合に添加する乳化剤などを配合する際に安全性の高い物質を選択することができる。
【0012】
N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドは、セラミド類似物質であり、肌荒れの改善に優れた効果を有する。本化合物は市販品(花王株式会社製 ソフケアセラミドSL−E)を用いることができる。
N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを0.001質量%以上の濃度で皮膚外用剤に配合することにより肌荒れ改善効果が得られる。
【0013】
2. 脂肪酸トリグリセライド
脂肪酸トリグリセライドは極性の高い油剤であり、動物油、植物油由来であっても合成したものであっても好適に使用できる。例えば、ツバキ油、月見草油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、小麦胚芽油、トリオクタン酸グリセリン等を用いることができる。特にマカデミアナッツ油はパルミトオレイン酸を25%近く含有し、皮脂に近い油剤であり、セラミド類似物質とともに使用することで優れた肌荒れ改善効果を示す。
【0014】
なお、化粧料に用いられる一般的な油剤スクワランは、極性が低いため溶解性が悪いものと推測され、溶媒としては不適当である。
【0015】
3.フィトステロール誘導体
フィトステロールは生体類似成分であり肌荒改善効果が高い。フィトステロール誘導体としてマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)等が挙げられ、いずれも市販品を用いることができる。
【0016】
4.皮膚外用剤
本発明のセラミド類、脂肪酸トリグリセリド、フィトステロール誘導体からなる油溶液は、皮膚外用剤に安定に配合することができる。皮膚外用剤としては、皮膚外用薬、医薬部外品、化粧料が挙げられる。剤型としては、軟膏、油溶液、乳化組成物(クリーム、乳液等)が挙げられる。
【0017】
5.その他配合成分
本発明の皮膚外用剤には、以下の成分を用いることができる。
本発明の皮膚外用剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、炭化水素油系油性成分、高級アルコール系油性成分、高級脂肪酸系油性成分、シリコーン系油性成分等を用いることができる。
【0018】
炭化水素油系油性成分としては、例えば、スクワラン、流動パラフィン、スクワレン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0019】
高級アルコール系油性成分として、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、オクチルドデカノール、モノステアリルグリセリンエーテル、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。
【0020】
高級脂肪酸系油性成分として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等が挙げられる。
【0021】
シリコーン系油性成分として、例えば、鎖状ポリシロキサンのジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等、環状ポリシロキサンのデカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
【0022】
本発明の皮膚外用剤には、多価アルコール、保湿剤、糖類、界面活性剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子のような高分子、増粘剤、粉体成分、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤等を含有させることができる。また、ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の他の化粧成分や薬効成分、生理活性成分を含有させることもできる。
【0023】
多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等が挙げられる。
【0024】
保湿剤として、例えば、キシリトール、マルチトール、マルトース、ソルビトール、ブドウ糖、果糖、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、シクロデキストリン等が挙げられる。
【0025】
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、スルホコハク酸塩、N−アシルアミノ酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、アミドベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
【0026】
防腐剤として、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、フェキノキシエタノール等を挙げることができる。
金属イオン封鎖剤として、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩を挙げることができる。
【0027】
水溶性高分子あるいは増粘剤として、例えば、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、デキストラン、デキストリン、プルラン、カルボキシメチルデンプン、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、ベントナイト等を挙げることができる。
【0028】
粉末成分としては、例えば、タルク、カオリン、雲母、シリカ、ゼオライト、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、セルロース粉末、無機白色顔料、無機赤色系顔料、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ等のパール顔料、赤色201号、赤色202号等の有機顔料を挙げることができる。
【0029】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、2、4−ジヒドロキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
紫外線遮断剤として、例えば、酸化チタン、タルク、カルミン、ベントナイト、カオリン、酸化亜鉛等を挙げることができる。
【0030】
薬効成分としては、例えば、ビタミンA油、レチノール等のビタミンA類、リボフラビン等のビタミンB類、ピリドキシン塩酸塩等のB類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−グルコシド等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、ビタミンD、コレカルシフェロール等のビタミンD類;α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類等のビタミン類を挙げることができる。プラセンタエキス、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ローヤルゼリー、ブナノキエキス等の皮膚賦活剤、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、γ−オリザノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、アズレン等の消炎剤、アルギニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸類、常在菌コントロール剤のマルトースショ糖縮合物、塩化リゾチーム等を挙げることができる。さらに、カミツレエキス、パセリエキス、ブナノキエキス、ワイン酵母エキス、グレープフルーツエキス、スイカズラエキス、コメエキス、ブドウエキス、ホップエキス、コメヌカエキス、ビワエキス、オウバクエキス、ヨクイニンエキス、センブリエキス、メリロートエキス、バーチエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、トウガラシエキス、レモンエキス、ゲンチアナエキス、シソエキス、アロエエキス、ローズマリーエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、ハマメリスエキス、クワエキス等の各種抽出物を挙げることができる。
【0031】
<試験例1>
N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドと油剤(脂肪酸トリグリセリド、炭化水素)、フィトステロール誘導体の組み合わせでN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドの溶解性を評価した。
【0032】
N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドと油剤(脂肪酸トリグリセリド、炭化水素)と、6種類のフィトステロール誘導体を組み合わせてその溶解性について試験をする。N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドはマカデミアナッツ油と単独では溶解性が認められておらず、皮脂になじみが良いマカデミアナッツ油を用いてN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを溶解する技術を開発することを目的として、溶解性を向上させる補助剤としてフィトステロール誘導体に注目し、溶解性の確認試験を行った。
(1)セラミド類似物質の含有量は、溶媒となるマカデミアナッツ油に対して0.2質量%として、6種類のフィトステロール誘導体をマカデミアナッツ油に対して2%、10%、20%として溶解性に与える影響と試験した。それぞれを表1、表2、表3に溶解状態の評価結果と共に示す。
(2)セラミド類似物質の含有量を溶媒となるマカデミアナッツ油に対して0.02質量%として、6種類のフィトステロール誘導体をマカデミアナッツ油に対して2%、10%、20%として溶解性に与える影響を試験した。それぞれを表4、表5、表6に溶解状態の評価結果と共に示す。
(3)上記(1)及び(2)の結果に基づいて、マカデミアナッツ油に対してセラミド類似物質の溶解上限、フィトステロール誘導体の添加上限を確認する試験を表7の配合によって確認した。
(4)溶媒としてスクワランを用いて比較試験を行った。配合と溶解性の評価を表8に示す。
(5)溶解方法は、マカデミアナッツ油5gに対して、N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドとしてソフケアセラミド SL-E(花王株式会社製)を各表に示す配合量を加温溶解し、各フィトステロール誘導体を各表に示す配合量を加え、さらに加温溶解させる。なお、試験に用いた成分の物性値と出所について表9に示す。
(6)評価は、3日後(室温放置)の溶解液に、結晶が出ていないか以下の規準により、目視で確認する。
○:結晶が析出せず透明である。
△:結晶は析出しないが白濁する。
×:結晶が析出する。
【0033】
【表1】

【0034】
表1の結果から次のことが分かる。
マカデミアナッツ油に0.2質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを溶解することはできなかったが、マカデミアナッツ油にf−1〜f−6のフィトステロール誘導体を2質量%配合することにより0.2質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを安定に溶解することができた。
【0035】
【表2】

【0036】
表2の結果から次のことが分かる。
マカデミアナッツ油にf−2〜f−4、f−6のフィトステロール誘導体を10質量%配合することにより0.2質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを安定に溶解することができた。しかしながら、マカデミアナッツ油に10質量%のf−1のマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルを配合した場合には、0.2質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを溶解することができなかった。マカデミアナッツ油に10質量%のf−5のラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルド
デシル/フィトステリル/ベヘニル)を配合した場合には、0.2質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドの溶解が可能であり、結晶は析出しなかったが、白濁が生じた。
【0037】
【表3】

【0038】
表3の結果から次のことが分かる。
マカデミアナッツ油にf−4、f−6のフィトステロール誘導体を20質量%配合することにより0.2質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを安定に溶解することができた。しかしながら、マカデミアナッツ油に20質量%のf−1、f−2のフィトステロール誘導体を配合した場合には、0.2質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを溶解することができなかった。マカデミアナッツ油に20質量%のf−3、f−5のフィトステロール誘導体を配合した場合には、0.2質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドの溶解が可能であり、結晶は析出しなかったが、白濁が生じた。
【0039】
【表4】

【0040】
表4の結果から次のことが分かる。
マカデミアナッツ油にf−1〜f−6のフィトステロール誘導体を2質量%配合することにより0.02質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを安定に溶解することができた。
【0041】
【表5】

【0042】
表5の結果から次のことが分かる。
マカデミアナッツ油にf−2〜f−4、f−6のフィトステロール誘導体を10質量%配合することにより0.02質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを安定に溶解することができた。しかしながら、マカデミアナッツ油に10質量%のf−1のマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルを配合した場合には、0.02質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを溶解することができなかった。表2と比べてN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2
−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドの濃度を1/10としたが、溶解性は変わらなかった。マカデミアナッツ油に10質量%のf−5のラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)を配合した場合には、0.02質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドの溶解が可能であり、結晶は析出しなかったが、白濁が生じた。
【0043】
【表6】

【0044】
表6の結果から次のことが分かる。
マカデミアナッツ油にf−4、f−6のフィトステロール誘導体を20質量%配合することにより0.02質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを安定に溶解することができた。しかしながら、マカデミアナッツ油に20質量%のf−1、f−2のフィトステロール誘導体を配合した場合には、0.02質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを溶解することができなかった。表3と比べてN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドの濃度を1/10としたが、溶解性は変わらなかった。マカデミアナッツ油に20質量%のf−3、f−5のフィトステロール誘導体を配合した場合には、0.02質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドの溶解が可能であり、結晶は析出しなかったが、白濁が生じた。
【0045】
【表7】

【0046】
表7の結果から次のことが分かる。
表2に示したとおり、マカデミアナッツ油に10質量%のf−1のマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルを配合した場合には、0.2質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを溶解することができなかったが、マカデミアナッツ油に6質量%のf−1のマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルを配合した場合には、0.2質量%のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを溶解することができた。
【0047】
【表8】

【0048】
表8の結果から、セラミド誘導体は、低極性油であるスクワランに溶解せず、フィトステロール誘導体を添加しても、溶解の改善が見られなかった。
【0049】
【表9】

【0050】
<N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド溶液に関する効果>
N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドの析出のない安定した溶解状態のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド溶液を提供することができる。室温下で液状フィトステロール誘導体は、N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドの溶解の妨げにはならなく、補助的働きをすることを明らかにすることができた。室温で固体のフィトステロール誘導体、特にマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルは、脂肪酸トリグリセリド:フィトステロール誘導体=50:1〜10:1の範囲で溶解性が良好であって10:1以上ではセラミドの析出を助長させる。特に固体のフィトステロール誘導体においては、油剤の総量が増えるからといって溶解性が向上するわけではなく、N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを安定にさせる適度な比率があることを明確に示すことができた。
一般的に、セラミド類似物質のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを皮膚外用剤に配合して、肌荒れ改善効果を向上させるためには0.001質量%以上の配合が必要である。本発明の油溶液は高濃度のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを含有するので、皮膚外用剤に0.5〜5質量%の脂肪酸トリグリセリドを添加することで、0.001質量%以上のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドの配合を実現でき、さっぱりした使用感と肌荒れ改善効果をともに実現できる。
本願発明は、従来技術で用いられているソルビタンモノラウレート、両親媒性高分子を使用することなく、脂肪酸トリグリセリドとフィトステロール誘導体を溶媒として高濃度のN−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを溶解することができた。これにより安全性が高く、使用性を自由に設計できる皮膚外用剤を提供することができる。
【0051】
[セラミド類の溶解性試験]
セラミド類(セラミド2、セラミド3、テトラアセチルフィトスフィンゴシン、トリヒドロキシパルミタミドヒドロキシプロピルミリスチルエーテルのいずれか)と脂肪酸トリグリセリド、フィトステロール誘導体の組み合わせでセラミド類の溶解性を評価した。
【0052】
セラミド類と脂肪酸トリグリセリドと、3種類のフィトステロール誘導体を組み合わせてその溶解性について試験をする。前記セラミド類はマカデミアナッツ油と単独では溶解性が認められておらず、皮脂になじみが良いマカデミアナッツ油を用いてセラミド類を溶解する技術を開発することを目的として、溶解性を向上させる補助剤としてフィトステロール誘導体に注目し、溶解性の確認試験を行った。
【0053】
溶解方法は、マカデミアナッツ油5gに対して、セラミド類を表11〜14に示す配合量を加温溶解し、各フィトステロール誘導体を各表に示す配合量を加え、さらに加温溶解させる。フィトステロール誘導体として、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル(f−1)、オレイン酸フィトステリル(f−2)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(f−6)の3種類を用いた。なお、試験に用いたセラミド類の出所について表10に示す。
【0054】
各セラミド類化合物の評価は、3日後(室温放置)の溶解液に、結晶が出ていないか以下の規準により、目視で確認する。
○:結晶が析出せず透明である。
△:結晶は析出しないが白濁する。
×:結晶が析出する。
【0055】
【表10】

【0056】
<試験例2>
セラミド2の含有量を溶媒となるマカデミアナッツ油に対して0.02質量%として、3種類のフィトステロール誘導体をマカデミアナッツ油に対して2%、10%、20%として溶解性に与える影響を試験した。表11に溶解状態の評価結果と共に示す。
【0057】
【表11】

【0058】
表11の結果から次のことが分かる。
セラミド2は、マカデミアナッツ油のみでは溶解させることができず、フィトステロールをマカデミアナッツ油に配合することにより溶解性を向上させることができることがわかる。フィトステロールの種類により、配合量と溶解性に差が出ることがわかる。f−1のマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルは、マカデミアナッツ油に対して2〜10重量%配合した場合に、0.02重量%のセラミド2を溶解することができている。20重量%配合した場合には、0.02重量%のセラミド2を溶解することができないことがわかる。
f−2のオレイン酸フィトステリル、f−6のラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)は、マカデミアナッツ油に対して2〜20重量%配合した場合に、0.02重量%のセラミド2を溶解することができている。
【0059】
<試験例3>
セラミド3の含有量を溶媒となるマカデミアナッツ油に対して0.02質量%として、3種類のフィトステロール誘導体をマカデミアナッツ油に対して2%、10%、20%として溶解性に与える影響を試験した。表12に溶解状態の評価結果と共に示す。
【0060】
【表12】

【0061】
表12の結果から次のことが分かる。
セラミド3は、マカデミアナッツ油のみでは溶解させることができず、フィトステロールをマカデミアナッツ油に配合することにより溶解性を向上させることができることがわかる。フィトステロールの種類により、配合量と溶解性に差が出ることがわかる。f−1のマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルと f−2のオレイン酸フィトステリルは、マカデミアナッツ油に対して2〜10重量%配合した場合に、0.02重量%のセラミド2を溶解することができている。20重量%配合した場合には、0.02重量%のセラミド2を溶解することができないことがわかる。
f−6のラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)は、マカデミアナッツ油に対して2〜20重量%配合した場合に、0.02重量%のセラミド2を溶解することができている。
【0062】
<試験例4>
テトラアセチルフィトスフィンゴシンの含有量を溶媒となるマカデミアナッツ油に対して0.02質量%として、3種類のフィトステロール誘導体をマカデミアナッツ油に対して2%、10%、20%として溶解性に与える影響を試験した。表13に溶解状態の評価結果と共に示す。
【0063】
【表13】

【0064】
表13の結果から次のことが分かる。
テトラアセチルフィトスフィンゴシンは、マカデミアナッツ油のみでは溶解させることができず、フィトステロールをマカデミアナッツ油に配合することにより溶解性を向上させることができることがわかる。フィトステロールの種類により、配合量と溶解性に差が出ることがわかる。
f−1のマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルは、マカデミアナッツ油に対して2重量%配合した場合に、0.02重量%のセラミド2を溶解することができている。10重量%、20重量%配合した場合には、0.02重量%のセラミド2を溶解することができないことがわかる。
f−2のオレイン酸フィトステリルは、マカデミアナッツ油に対して2〜10重量%配合した場合に、0.02重量%のセラミド2を溶解することができている。20重量%配合した場合には、0.02重量%のセラミド2を溶解することができないことがわかる。
f−6のラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)は、マカデミアナッツ油に対して2〜20重量%配合した場合に、0.02重量%のセラミド2を溶解することができている。
【0065】
<試験例5>
トリヒドロキシパルミタミドヒドロキシプロピルミリスチルエーテルの含有量を溶媒となるマカデミアナッツ油に対して0.02質量%として、3種類のフィトステロール誘導体をマカデミアナッツ油に対して2%、10%、20%として溶解性に与える影響を試験した。表14に溶解状態の評価結果と共に示す。
【0066】
【表14】

【0067】
表14の結果から次のことが分かる。
トリヒドロキシパルミタミドヒドロキシプロピルミリスチルエーテルは、マカデミアナッツ油のみでは溶解させることができず、フィトステロールをマカデミアナッツ油に配合することにより溶解性を向上させることができることがわかる。フィトステロールの種類により、配合量と溶解性に差が出ることがわかる。f−1のマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルは、マカデミアナッツ油に対して2〜10重量%配合した場合に、0.02重量%のセラミド2を溶解することができている。20重量%配合した場合には、0.02重量%のセラミド2を溶解することができないことがわかる。
f−2のオレイン酸フィトステリル、f−6のラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)は、マカデミアナッツ油に対して2〜20重量%配合した場合に、0.02重量%のセラミド2を溶解することができている。
【0068】
処方例1 白濁化粧水
成分 配合量(質量%)
1.N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド 0.001
2.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 0.05
3.マカデミアナッツ油 0.5
4.グリセリン 5
5.1,3−ブチレングリコール 6
6.1,2−ペンタンジオール 2
7.エチルヘキシルグリセリン 1
8.カルボキシビニルポリマー 0.05
9.水酸化カリウム 0.02
10.キサンタンガム 0.01
11.トリメチルグリシン 0.1
12.ブトウ糖 0.3
13.水添レシチン 2.0
14.精製水 残余
【0069】
調製方法
1)1を2、3に85℃以上で溶解させる。
2)4〜8、10〜13を85℃まで加温溶解し、1)を加える。
3)9を加えて攪拌溶解する。
4)30℃まで冷却し、白濁化粧水を得た。
得られた乳化化粧料含まれる油分は約0.5質量%であり、さっぱりした使用感を実現しながら、N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを0.001質量%含有し、肌荒れ改善効果に優れるものである。
【0070】
処方例2 乳液
成分 配合量(質量%)
1.精製水 残余
2.カルボキシビニルポリマー 0.05
3.グリセリン 5
4.ラフィノース 2
5.アラニルグルタミン 0.1
6.クレアチン 0.1
7.ヒアルロン酸Na 0.001
8.ジプロピレングリコール 2
9.水添レシチン 0.2
10.1,2-ペンタンジオール 2
11.PEG-60水添ヒマシ油 0.7
12.Arlatone 2121 0.4
13.ジメチコン 5
14.スクワラン 2
15.ホホバ油 2
16.マカデミアナッツ油 0.5
17.マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 0.01
18.N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド 0.001
19.1,3-ブチレングリコール 4
20.SIMULGEL NS 1
21.水酸化カリウム 0.006
※Arlatone 2121は、ユニケマジャパン社製
ステアリン酸ソルビタン 92.5%、ヤシ脂肪酸スクロース 7.5%のプレミックス原料
※SIMULGEL NSは、SEPPIC社製
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 37.5%、スクワラン 25.5%、ポリソルベート60 5.5%、水 30.0%、イソステアリン酸ソルビタン 1.5%のプレミックス原料
【0071】
調製方法
1)2を1に溶解させる。
2)1)の溶解を確認し、3〜10を添加、85℃まで加温溶解し、50℃まで冷却する。
3)11〜15を85℃にて加温溶解し、50℃まで冷却する。
4)16〜18まで加温溶解し、3)に投入後攪拌する。
5)4)に2)を徐々に添加し、ホモミキサー3000rpmにて5分乳化後、21を添加する。
6)19と20を混合後5)に添加し、攪拌する。
7)6)を30℃まで冷却し、乳液を得た。
【0072】
処方例3 ジェル状美容液
成分 配合量(質量%)
1.マカデミアナッツ油 2.5
2.ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル) 0.5
3.トリヒドロキシパルタミドヒドロキシプロピルミリスチル 0.001
4.水 76.739
5.メチルパラベン 0.15
6.BG 7
7.グリセリン 5
8.エタノール 5
9.ジメチコン 2
10.カンゾウ根エキス 0.01
11.キサンタンガム 0.3
12.ポリソルベート60 0.2
13.カルボキシビニルポリマー 0.45
14.アルギニン 0.1
15.シリカ 0.05
【0073】
調製方法
1)3を1,2にて加温溶解する。
2)4〜13、15を85℃にて加温溶解し、1)を加える。
3)2)に14を徐々に添加し、ホモミクサー3000rmpにて5分攪拌する。
4)30℃まで冷却し、ジェル状美容液を得た。
【0074】
処方例4 クリーム
成分 配合量(質量%)
1.ハイビスワコー103 0.14
2.メチルパラベン 0.15
3.L−セリン 0.01
4.グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
5.ポリソルベート60 0.5
6.グリセリン 4
7.1,3-ブチレングリコール 7
8.マカデミアナッツ油 5
9.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 0.5
10.セラミド2 0.001
11.スクワラン 10
12.ジメチコン(50cs) 0.5
13.ヒドロキシステアリン酸コレステリル 1
14.ベヘニルアルコール 0.5
15.ステアリン酸 1
16.パルミチン酸セチル 1.5
17.トコフェロール 0.03
18.パルミチン酸レチノール 0.01
19.ステアリン酸ソルビタン 1
20.ヒアルロン酸Na 0.001
21.水酸化カリウム 0.065
22.精製水 67.043
【0075】
調製方法
1)1〜7を22に加え、85℃にて加温溶解させる。
2)10を8,9に加温溶解する。
3)11〜19を85℃にて加温溶解し、2)を加える。
4)3)に1)を徐々に添加し、ホモミクサー3000rpmにて5分乳化後、21を添加する。
5) 40℃まで冷却し、20を添加する。
6)さらに30℃まで冷却し、クリームを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミド類と、脂肪酸トリグリセリド、フィトステロール誘導体を含む油溶液であって、
脂肪酸トリグリセリドとセラミド類とフィトステロール誘導体の配合比が100:0.02〜0.2:1〜20であることを特徴とする油溶液。
【請求項2】
セラミド類が、セラミド、セラミド誘導体、セラミド類似物質のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の油溶液。
【請求項3】
セラミドが、セラミド2、セラミド3、N−アシルスフィンゴシン(セラミド)、N−アシルジヒドロスフィンゴシン(ジヒドロセラミド)、N−アシルフィトスフィンゴシン(フィトセラミド)のいずれかであり、
セラミド誘導体が、スフィンゴミエリン、セレブロシド、ガングリオシド、スルファチド、スフィンゴシン、アシルスフィンゴシン、テトラアセチルフィトスフィンゴシンのいずれかであり、
セラミド類似物質が、N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド、トリヒドロキシパルミタミドヒドロキシプロピルミリスチルエーテル、セチルヒドロキシプロリンパルミタミドのいずれかであることを特徴とする請求項2記載の油溶液。
【請求項4】
フィトステロール誘導体が、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)から選択される1又は複数であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油溶液。
【請求項5】
フィトステロール誘導体が、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルであり、脂肪酸トリグリセリドとセラミド類の配合比が100:0.02〜0.2:1〜6であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油溶液。
【請求項6】
ソルビタンモノラウレート又は両親媒性高分子を含まない請求項1〜5のいずれかに記載の油溶液。
【請求項7】
請求項1〜6記載のいずれかの油溶液を含む皮膚外用剤。
【請求項8】
0.5〜5質量%の脂肪酸トリグリセリドを含有し、0.001質量%以上のセラミド類を含有することを特徴とする請求項7に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2008−297301(P2008−297301A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113276(P2008−113276)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(593106918)株式会社ファンケル (310)
【Fターム(参考)】