説明

センシング装置および電子機器

【課題】対象物からの反射光を精度よく受光できるようにしつつ装置を薄型化する。
【解決手段】センシング装置において発光部20は受光部30より対象物F側に位置する。発光部20は、照射光ILを発する発光層26と、照射光ILと反射光RLを透過する第1電極22と、照射光ILと反射光RLを遮光すると共に開口部が形成された第2電極24と、第2電極24の開口部に対応する位置に設けられ、照射光ILと反射光RLを遮光すると共に第1電極22と第2電極24とを部分的に絶縁する絶縁層28とを備える。受光部30は反射光RLを受光する受光素子Dを備える。遮光層BMは、第2電極24の開口部に対応する位置に設けられ、照射光ILと反射光RLを遮光すると共に開口部が形成されている。対象物F側から平面視した場合に、遮光層BMは第2電極24の開口部と重なり、受光素子Dの受光面は遮光層BMの開口部内に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に光を照射してその反射光を受光するセンシング装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
生体認証装置やイメージスキャナーの中には、読取領域の上に置かれた対象物(例えば指や原稿等)に対して発光部と受光部が同じ側に配置され、対象物に対して発光部から光を照射し、その反射光を受光部で受光して対象物の画像を読み取るものがある。例えば、特許文献1には、光源6からの出射光(近赤外光)を導光板3の背面に形成された複数の反射面11によって指100に照射し、指100からの反射光を複数の画素PXを有する受光素子1で受光することで指100の静脈像を取得する生体情報取得装置50が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−172263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された生体情報取得装置50では、各画素PXに入射する反射光の光路上(各画素PXから鉛直方向に延びる直線上)に、反射光よりも光量が大きい光源6からの出射光を導光する導光板3が存在する。また、光源6からの出射光の一部が、導光板3の背面側に形成された低屈折率層21や反射層(半反射層)40を透過して受光素子1側に漏れ出てしまう。このため受光素子1において指100からの反射光を精度よく受光することができない。また、導光板3や遮光層2によって生体情報取得装置50の厚みが増してしまうという問題もあった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、対象物からの反射光を精度よく受光できるようにしつつ装置を薄型化することが可能なセンシング装置、およびこれを用いた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明の第1の態様に係るセンシング装置は、発光部、受光部および遮光層を備え、対象物に対して前記発光部から光を照射し、前記対象物からの反射光を前記受光部で受光するセンシング装置において、前記発光部および前記受光部は前記対象物に対して同じ側に設けられ、前記発光部は前記受光部より前記対象物側に位置し、前記発光部は、前記対象物に照射する照射光を発する発光層と、前記発光層より前記対象物側に位置し、前記照射光および前記反射光を透過する第1電極と、前記発光層より前記受光部側に位置し、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に第1の開口部が形成された第2電極と、前記第1の開口部に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を透過すると共に前記第1電極と前記第2電極とを部分的に絶縁する絶縁層とを備え、前記受光部は、前記反射光を受光する受光素子を備え、前記遮光層は、前記第1の開口部に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に第2の開口部が形成されており、前記対象物側から平面視した場合に、前記遮光層は前記第1の開口部と重なり、前記受光素子の受光面が前記第2の開口部内に位置する、ことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、対象物側から平面視した場合に、発光層のうち受光素子の受光面に対応する位置とその周辺(第1の開口部に対応する部分)は、絶縁層によって絶縁されるので照射光を発光しない非発光領域になる。従って、受光素子の受光面に入射する反射光の光路上には、反射光よりも光量が大きい照射光を発光する発光領域が存在しない。また、遮光層と第2電極によって第2の開口部以外の部分が遮光されるので、受光素子の受光面には対象物からの反射光のうち真上からの反射光が入射される。また、発光層(発光領域)から出射された照射光が第1の開口部を通って受光素子の受光面に直接入射することも遮光層と第2電極によって抑えることができる。よって、受光素子において対象物からの反射光を精度よく受光することができる。また、第1電極、第2電極、発光層、絶縁層、遮光層を設ける必要があるものの、これらの各要素は極めて薄く形成することができるので、特許文献1に記載された発明に比べ、センシング装置の厚さを薄くすることができる。
【0008】
なお、対象物は、生体の一部(例えば、指、手のひら、手の甲、眼等)であってもよいし、文書や画像が印刷された紙やOHP(OverHead Projector)シート等であってもよい。また、発光層が発する光の波長は任意に定めることができる。つまり、照射光や反射光は、例えば近赤外光であってもよいし、可視光であってもよい。また、第1電極と第2電極は、第1電極が陽極で第2電極が陰極であってもよいし、第1電極が陰極で第2電極が陽極であってもよい。また、第2の開口部の形状や受光素子の受光面の形状は、矩形、円形、楕円、六角形等、任意に定めることができる。また、第2の開口部の大きさと受光面の大きさは、第2の開口部の方が受光面より小さくてもよいし、その逆であってもよいし、両者が同じ大きさであってもよい。また、必ずしも受光面の全てが第2の開口部内に位置している必要はなく、少なくとも受光面の一部が第2の開口部内に位置していればよい。また、遮光層は、例えば、図2、図17、図18にBMとして示す位置に設けることができる。
【0009】
また、本発明の第2の態様に係るセンシング装置は、発光部、受光部および遮光層を備え、対象物に対して前記発光部から光を照射し、前記対象物からの反射光を前記受光部で受光するセンシング装置において、前記発光部および前記受光部は前記対象物に対して同じ側に設けられ、前記発光部は前記受光部より前記対象物側に位置し、前記発光部は、前記対象物に照射する照射光を発する発光層と、前記発光層より前記対象物側に位置し、前記照射光および前記反射光を透過する第1電極と、前記発光層より前記受光部側に位置し、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に互いに離間して設けられた第2電極および第3電極と、前記第2電極と前記第3電極との間の離間領域に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を透過すると共に前記第2電極および前記第3電極と前記第1電極とを部分的に絶縁する絶縁層とを備え、前記受光部は、前記反射光を受光する受光素子を備え、前記遮光層は、前記離間領域に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に開口部が形成されており、前記対象物側から平面視した場合に、前記遮光層は前記離間領域と重なり、前記受光素子の受光面が前記開口部内に位置する、ことを特徴とする。
【0010】
この構成であっても第1の態様に係るセンシング装置と同様の効果を奏する。つまり、開口部を有する1つの第2電極の代わりに、互いに離間して設けられた2つの電極(第2電極および第3電極)を用いてもよい。なお、この構成の場合も、第1電極が陽極で第2電極および第3電極が陰極であってもよいし、第1電極が陰極で第2電極および第3電極が陽極であってもよい。
【0011】
また、第1の態様に係るセンシング装置において、前記遮光層は、前記第1電極の前記対象物側から前記第2電極までの間に設けられていてもよい。同様に第2の態様に係るセンシング装置においても、前記遮光層は、前記第1電極の前記対象物側から前記第2電極および前記第3電極までの間に設けられていてもよい。
【0012】
また、本発明の第3の態様に係るセンシング装置は、発光部、受光部および複数の遮光層を備え、対象物に対して前記発光部から光を照射し、前記対象物からの反射光を前記受光部で受光するセンシング装置において、前記発光部および前記受光部は前記対象物に対して同じ側に設けられ、前記発光部は前記受光部より前記対象物側に位置し、前記発光部は、前記対象物に照射する照射光を発する発光層と、前記発光層より前記対象物側に位置し、前記照射光および前記反射光を透過する第1電極と、前記発光層より前記受光部側に位置し、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に互いに離間して設けられた複数の第2電極と、隣り合う前記第2電極間の離間領域ごとに当該離間領域に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を透過すると共に前記第1電極と前記第2電極とを部分的に絶縁する複数の絶縁層とを備え、前記受光部は、前記反射光を受光する複数の受光素子を備え、前記複数の遮光層の各々は、互いに異なる前記離間領域に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に1以上の開口部が形成されており、前記対象物側から平面視した場合に、前記離間領域の各々は前記遮光層と重なり、各々の前記開口部内には前記受光素子の受光面が1つずつ位置する、ことを特徴とする。
この構成であっても第1の態様に係るセンシング装置と同様の効果を奏する。つまり、受光素子を複数備えると共に、第2電極と絶縁層と遮光層についても各々を複数備える構成であってもよい。
【0013】
また、本発明の第4の態様に係るセンシング装置は、発光部、受光部および複数の遮光層を備え、対象物に対して前記発光部から光を照射し、前記対象物からの反射光を前記受光部で受光するセンシング装置において、前記発光部および前記受光部は前記対象物に対して同じ側に設けられ、前記発光部は前記受光部より前記対象物側に位置し、前記発光部は、前記対象物に照射する照射光を発する発光層と、前記発光層より前記対象物側に位置し、前記照射光および前記反射光を透過すると共に互いに離間して設けられた複数の第1電極と、前記発光層より前記受光部側に位置し、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に、互いに離間して設けられ、前記複数の第1電極と交差する複数の第2電極と、隣り合う前記第2電極間の離間領域ごとに当該離間領域に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を透過すると共に前記第1電極と前記第2電極とを部分的に絶縁する複数の絶縁層とを備え、前記受光部は、前記反射光を受光する複数の受光素子を備え、前記複数の遮光層の各々は、互いに異なる前記離間領域に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に1以上の開口部が形成されており、前記対象物側から平面視した場合に、前記離間領域の各々は前記遮光層と重なり、各々の前記開口部内には前記受光素子の受光面が1つずつ位置する、ことを特徴とする。
この構成であっても第1の態様に係るセンシング装置と同様の効果を奏する。つまり、第1電極についても互いに離間して設けられた複数の電極であってよい。
【0014】
また、第3の態様に係るセンシング装置において、前記複数の第2電極のうち、前記発光層を発光させるための駆動信号を供給する対象として一部の前記第2電極を選択する第1の駆動回路と、前記複数の受光素子のうち、前記対象物側から平面視した場合に、前記第1の駆動回路が選択した一部の前記第2電極に隣り合う前記受光素子から前記受光面に入射した前記反射光の光量を示す受光信号を読み出す読出回路とを備える構成としてもよい。
【0015】
この構成によれば、対象物側から平面視した場合に、発光層のうち第1の駆動回路が選択した一部の第2電極に対応する部分だけから照射光を発光させることができる。また、第1の駆動回路が選択した一部の第2電極に隣り合う受光素子、すなわち発光層のうち照射光を発光した部分の近傍に位置する受光素子だけから受光信号を読み出すことができる。従って、照射光の発光範囲と受光信号の読出範囲を一部に限定して駆動することができるので、センシング装置の消費電力を低減することができる。
【0016】
また、上述したセンシング装置において、前記対象物の画像を読み取る読取領域のうち前記対象物が置かれた領域を検出し、検出結果に基づいて前記第1の駆動回路が選択する一部の前記第2電極を決定する制御回路を備える構成としてもよい。
この場合、読取領域の上に置かれた対象物のサイズや位置に応じて照射光の発光範囲と受光信号の読出範囲を決定することができる。
【0017】
また、第4の態様に係るセンシング装置において、前記複数の第2電極のうち、前記発光層を発光させるための駆動信号を供給する対象として一部の前記第2電極を選択する第1の駆動回路と、前記複数の第1電極のうち、前記駆動信号を供給する対象として一部の前記第1電極を選択する第2の駆動回路と、前記複数の受光素子のうち、前記対象物側から平面視した場合に、前記第1の駆動回路が選択した一部の前記第2電極と、前記第2の駆動回路が選択した一部の前記第1電極とが重なる部分に隣り合う前記受光素子から前記受光面に入射した前記反射光の光量を示す受光信号を読み出す読出回路とを備える構成としてもよい。
この構成の場合も、照射光の発光範囲と受光信号の読出範囲を一部に限定して駆動することができるので、センシング装置の消費電力を低減することができる。
【0018】
また、上述したセンシング装置において、前記対象物の画像を読み取る読取領域のうち前記対象物が置かれた領域を検出し、検出結果に基づいて、前記第1の駆動回路が選択する一部の前記第2電極と、前記第2の駆動回路が選択する一部の前記第1電極とを決定する制御回路を備える構成としてもよい。
この場合も、読取領域の上に置かれた対象物のサイズや位置に応じて照射光の発光範囲と受光信号の読出範囲を決定することができる。
【0019】
また、第3の態様に係るセンシング装置において、前記複数の第2電極のうち、前記発光層を発光させるための駆動信号を供給する対象として1以上の前記第2電極を選択する第1の駆動回路と、前記複数の受光素子の各々から前記受光面に入射した前記反射光の光量を示す受光信号を読み出す読出回路と、前記読出回路が読み出した前記受光信号に基づいて前記対象物の画像を生成する生成回路とを備え、前記複数の第2電極は複数のグループに分けられ、前記第1の駆動回路は、前記複数の第2電極を前記グループ単位で順次選択し、前記読出回路は、前記第1の駆動回路が前記グループ単位で選択を行うごとに全ての前記受光素子から前記受光信号を読み出し、前記生成回路は、前記第1の駆動回路が前記グループ単位で選択を行うごとに、前記読出回路が読み出した全ての前記受光信号から、前記対象物側から平面視した場合に、少なくとも前記第1の駆動回路が選択した1以上の前記第2電極に隣り合う前記受光素子から読み出した前記受光信号を除き、残りの前記受光信号に基づいて前記対象物の画像を生成するようにしてもよい。
【0020】
この構成によれば、対象物側から平面視した場合に、第1の駆動回路が選択した1以上の第2電極に隣り合う受光素子からの受光信号、すなわち発光層のうち照射光を発光した部分の近傍に位置する受光素子からの受光信号を使用せずに対象物の画像を生成することができる。従って、生体の一部に近赤外光を照射し、その反射光の受光結果から静脈像を生成する場合に、生体の表面(表皮)で反射した表面反射光によって静脈像の画質が低下することを防ぐことができる。
【0021】
また、第3の態様に係るセンシング装置において、前記複数の第2電極のうち、前記発光層を発光させるための駆動信号を供給する対象として1以上の前記第2電極を選択する第1の駆動回路と、前記複数の受光素子の各々から前記受光面に入射した前記反射光の光量を示す受光信号を読み出す読出回路と、前記読出回路が読み出した前記受光信号に基づいて前記対象物の画像を生成する生成回路とを備え、前記複数の第2電極は複数のグループに分けられ、前記第1の駆動回路は、前記複数の第2電極を前記グループ単位で順次選択し、前記読出回路は、前記第1の駆動回路が前記グループ単位で選択を行うごとに、前記対象物側から平面視した場合に、少なくとも前記第1の駆動回路が選択した1以上の前記第2電極に隣り合う前記受光素子を除き、残りの前記受光素子から前記受光信号を読み出すようにしてもよい。
【0022】
この場合も、発光層のうち照射光を発光した部分の近傍に位置する受光素子からの受光信号を使用せずに対象物の画像を生成することができる。従って、照射光や反射光として近赤外光を用いて静脈像を生成する場合に、表面反射光によって静脈像の画質が低下することを防ぐことができる。また、表面反射光が入射した受光素子から受光信号を読み出さずに済むので、センシング装置の消費電力を低減することもできる。
【0023】
また、第4の態様に係るセンシング装置において、前記複数の第2電極のうち、前記発光層を発光させるための駆動信号を供給する対象として1以上の前記第2電極を選択する第1の駆動回路と、前記複数の第1電極のうち、前記駆動信号を供給する対象として1以上の前記第1電極を選択する第2の駆動回路と、前記複数の受光素子の各々から前記受光面に入射した前記反射光の光量を示す受光信号を読み出す読出回路と、前記読出回路が読み出した前記受光信号に基づいて前記対象物の画像を生成する生成回路とを備え、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極は複数のグループに分けられ、前記第1の駆動回路は、前記複数の第2電極を前記グループ単位で順次選択し、前記第2の駆動回路は、前記複数の第1電極を前記グループ単位で順次選択し、前記読出回路は、前記第1の駆動回路と前記第2の駆動回路が前記グループ単位で選択を行うごとに全ての前記受光素子から前記受光信号を読み出し、前記生成回路は、前記第1の駆動回路と前記第2の駆動回路が前記グループ単位で選択を行うごとに、前記読出回路が読み出した全ての前記受光信号から、前記対象物側から平面視した場合に、少なくとも、前記第1の駆動回路が選択した1以上の前記第2電極と、前記第2の駆動回路が選択した1以上の前記第1電極とが重なる部分に最も近い前記受光素子から読み出した前記受光信号を除き、残りの前記受光信号に基づいて前記対象物の画像を生成するようにしてもよい。
【0024】
この構成であっても、対象物側から平面視した場合に、第1の駆動回路が選択した1以上の第2電極と、第2の駆動回路が選択した1以上の第1電極とが重なる部分に最も近い受光素子からの受光信号、すなわち発光層のうち照射光を発光した部分に最も近い受光素子からの受光信号を使用せずに対象物の画像を生成することができる。従って、照射光や反射光として近赤外光を用いて静脈像を生成する場合に、表面反射光によって静脈像の画質が低下することを防ぐことができる。
【0025】
また、第4の態様に係るセンシング装置において、前記複数の第2電極のうち、前記発光層を発光させるための駆動信号を供給する対象として1以上の前記第2電極を選択する第1の駆動回路と、前記複数の第1電極のうち、前記駆動信号を供給する対象として1以上の前記第1電極を選択する第2の駆動回路と、前記複数の受光素子の各々から前記受光面に入射した前記反射光の光量を示す受光信号を読み出す読出回路と、前記読出回路が読み出した前記受光信号に基づいて前記対象物の画像を生成する生成回路とを備え、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極は複数のグループに分けられ、前記第1の駆動回路は、前記複数の第2電極を前記グループ単位で順次選択し、前記第2の駆動回路は、前記複数の第1電極を前記グループ単位で順次選択し、前記読出回路は、前記第1の駆動回路と前記第2の駆動回路が前記グループ単位で選択を行うごとに、前記対象物側から平面視した場合に、少なくとも、前記第1の駆動回路が選択した1以上の前記第2電極と、前記第2の駆動回路が選択した1以上の前記第1電極とが重なる部分に最も近い前記受光素子を除き、残りの前記受光素子から前記受光信号を読み出すようにしてもよい。
【0026】
この場合も、発光層のうち照射光を発光した部分の近傍に位置する受光素子からの受光信号を使用せずに対象物の画像を生成することができる。従って、照射光や反射光として近赤外光を用いて静脈像を生成する場合に、表面反射光によって静脈像の画質が低下することを防ぐことができる。また、表面反射光が入射した受光素子から受光信号を読み出さずに済むので、センシング装置の消費電力を低減することもできる。
【0027】
また、上述したいずれかのセンシング装置において、前記発光層は近赤外光を発する構成であってもよい。つまり、照射光や反射光は近赤外光であってもよい。この場合、生体の一部に近赤外光を照射し、その反射光を受光することで静脈像を生成することができる。
【0028】
また、本発明に係る電子機器は、上述したいずれかのセンシング装置を備える。電子機器には、例えば、静脈、指紋、網膜、虹彩等に基づいて生体認証を行う各種の生体認証装置の他、イメージスキャナー、複写機、ファクシミリ、バーコードリーダー等の画像読取装置が含まれる。また、電子機器は、生体認証機能を備えたパーソナルコンピューターや携帯電話機等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態に係る生体認証装置の構成を示すブロック図である。
【図2】センシングユニットの断面図である。
【図3】陰極と受光素子の配置を示す平面図である。
【図4】1つの受光素子に着目した場合の各層の配置を示す模式図である。
【図5】第2実施形態に係り、陰極と受光素子の配置を示す平面図である。
【図6】1つの受光素子に着目した場合の各層の配置を示す模式図である。
【図7】第3実施形態に係り、陽極と陰極と受光素子の配置を示す平面図である。
【図8】1つの受光素子に着目した場合の各層の配置を示す模式図である。
【図9】第4実施形態に係る生体認証装置の発光部の回路構成を示す図である。
【図10】受光部の回路構成を示す図である。
【図11】静脈像の生成動作について説明するための図である。
【図12】第4実施形態の変形例について説明するための図である。
【図13】第5実施形態に係る生体認証装置の発光部の回路構成を示す図である。
【図14】静脈像の生成動作について説明するための図である。
【図15】第6実施形態に係り、照射光の発光範囲と受光信号の読出範囲を示す図である。
【図16】第6実施形態の変形例について説明するための図である。
【図17】センシングユニットの断面図(変形例)である。
【図18】センシングユニットの断面図(変形例)である。
【図19】陽極と陰極と受光素子の配置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態を説明する。なお、図面において各層や各部材の寸法の比率は実際のものと適宜異なる。
<A.第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る生体認証装置1の構成を示すブロック図である。
同図に示す生体認証装置1は、指Fの静脈像を撮像して本人認証を行う装置であり、センシングユニット2と、記憶部40と、制御部50と、出力部60とを備える。また、センシングユニット2は、カバーガラス10と、発光部20と、受光部30とを備える。カバーガラス10は、撮像領域を覆うガラスの保護カバーである。このカバーガラス10の上に認証対象となる者の指F(例えば右手の人差し指)が置かれる。発光部20は、例えば、有機EL(Electro Luminescent)材料で形成された発光層と、陽極と、陰極と、絶縁層とを備え、指Fに照射する照射光ILを発する。照射光ILは近赤外光であり、その波長は、例えば750〜3000nm(より好ましくは800〜900nm)である。
【0031】
発光部20から出射された照射光IL(近赤外光)は、カバーガラス10の下側から指Fに照射され、指Fの内部に到達すると散乱し、その一部が反射光RLとして受光部30側に向かう。静脈を流れる還元ヘモグロビンは近赤外光を吸収する性質がある。このため近赤外光用のイメージセンサーを用いて指Fを撮像すると、指Fの皮下にある静脈部分が周辺組織に比べて暗く写る。この明暗の差による紋様が静脈像となる。受光部30は、近赤外光用のイメージセンサーであり、マトリクス状に配列された複数の受光素子を備える。各受光素子は、入射光(指Fからの反射光RL)をその光量に応じた信号レベルを有する電気信号(受光信号)に変換する。
【0032】
なお、発光部20や受光部30の具体的な構造については後述するが、図1に示すように発光部20と受光部30は、カバーガラス10の上に置かれた指Fに対して同じ側(図中下側)に位置する。また、発光部20は受光部30よりもカバーガラス10側(図中上側)に位置する。
【0033】
記憶部40は、フラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性メモリであり、本人認証用のマスター静脈像として、事前に登録された指F(例えば右手の人差し指)の静脈像が記憶されている。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)を備え、発光部20の点灯や消灯を制御する。また、制御部50は、受光部30に備わる各受光素子から受光信号を読み出し、読み出した1フレーム分(撮像領域分)の受光信号に基づいて指Fの静脈像を生成する。また、制御部50は、生成した静脈像を記憶部40に登録されているマスター静脈像と照合し、本人認証を行う。例えば、制御部50は、照合する2つの静脈像の特徴(例えば静脈の枝分かれの数や位置等)を比較し、類似度が予め定められた閾値以上であった場合に、カバーガラス10の上に指Fを置いた者が記憶部40にマスター静脈像が登録されている本人であると認証する。出力部60は、例えば表示部や音声報知部であり、表示や音声によって認証結果を報知する。
【0034】
図2は、センシングユニット2の断面図である。
同図において受光部30(近赤外光用のイメージセンサー)の上面には、複数の受光素子Dがマトリクス状に配置されている。各受光素子Dは、受光面に入射された反射光RL(近赤外光)をその光量に応じた信号レベルを有する受光信号に変換する。また、受光部30の上側に対向配置された対向基板GSは、例えば透明なガラスや透明なプラスチック等、近赤外光に対して透過性の高い材料で形成されている。この対向基板GSの上側には、撮像領域の全面にわたってレンズアレイLAとカバーガラス10が設けられている。レンズアレイLAとカバーガラス10は、近赤外光に対して透過性の高い材料で形成されている。レンズアレイLAは複数のマイクロレンズMLをマトリクス状に並べたものである。マイクロレンズMLの配列ピッチは受光素子Dの配列ピッチと同じであり、各マイクロレンズMLは、指Fからの反射光RLを真下に位置する受光素子Dの受光面に結像する。
【0035】
一方、対向基板GSの下側には、発光部20と複数の遮光層BMが設けられている。まず、対向基板GSの下面には、撮像領域の全面にわたって陽極22が形成されている。陽極22は、有機EL層26(または遮光層BMと絶縁層28と有機EL層26)を挟んで陰極24と対向する膜体の電極(導電体)であり、近赤外光に対して透過性が高く、かつ導電性の高い材料で形成されている。一方、陰極24は、複数の受光素子Dの各々と対応する位置に開口部が設けられた電極(導電体)であり、近赤外光に対して遮光性が高く、かつ導電性の高い材料で形成されている。また、陰極24の下側や陰極24の各開口部は、近赤外光に対して透過性の高い材料で形成された封止層29で覆われている。なお、図3は、陰極24と受光素子Dの配置を示す平面図である。同図に示すように、陰極24に設けられた各開口部の形状は正方形であり、陰極24はカバーガラス10側から平面視したとき井桁状の形状を有する。開口部の配列ピッチは受光素子Dの配列ピッチと同じであり、開口部と受光素子D(受光面)は1対1で対応する。また、各々の開口部内に受光素子D(受光面)が1つずつ含まれる。なお、陰極24は透明電極と遮光層で構成されていてもよい。すなわち、近赤外光に対して透過性が高く、かつ導電性の高い材料で形成された井桁状の透明電極と、近赤外光に対して遮光性が高い材料で形成された井桁状の遮光層とを重ね合わせて陰極24を構成してもよい。
【0036】
図2に戻り、陽極22の下面には、陰極24に設けられた各開口部と対応する位置に遮光層BMが設けられている。各遮光層BMは、近赤外光に対して遮光性の高い材料で形成され、受光素子Dの受光面と対応する位置に開口部が設けられている。各受光素子Dの受光面の中心は、真上に位置する遮光層BMの開口部に含まれる。各遮光層BM(各開口部)は、真上に位置するマイクロレンズMLを透過してきた反射光RLを、真下に位置にする受光素子Dの受光面に入射させる。
【0037】
また、各遮光層BMは、遮光層BMごとに絶縁層28によって覆われている。各絶縁層28は、近赤外光に対して透過性が高く、かつ絶縁性の高い材料で形成されている。各絶縁層28は、陽極22と陰極24を部分的に絶縁し、有機EL層26に近赤外光を発光しない非発光領域を形成する。なお、各絶縁層28は陰極24の各開口部に対応する位置に設けられているので、有機EL層26のうち各受光素子Dの受光面に対応する位置とその周辺を非発光領域にする。つまり、各受光素子Dの受光面に入射する反射光RLの光路上(各受光素子Dの受光面からZ軸方向に延びる直線上)には、有機EL層26のうち近赤外光を発光する発光領域が存在しない。
【0038】
有機EL層26は、近赤外光に対して透過性が高い有機EL材料で形成された発光層であり、撮像領域の全面にわたって形成されている。有機EL層26は、電流を供給することで正孔と電子が結合し、近赤外光を発する。また、有機EL層26は陽極22と陰極24で挟まれた部分が発光するが、絶縁層28が形成された部分は陽極22と陰極24が絶縁されるので、図2に示すように有機EL層26のうちハッチングで示す部分(陽極22と陰極24で直接挟まれた部分)が近赤外光を発光する発光領域になり、それ以外の部分は非発光領域になる。このように有機EL層26には発光領域と非発光領域が存在する。なお、有機EL層26の発光領域は、カバーガラス10側から平面視したとき、図3においてハッチングで示す部分になる。同図に示すように発光領域は各受光素子Dの周囲を取り囲むように形成されるので、指Fに対して均一な強度の近赤外光(照射光IR)を照射することができる。
【0039】
図4は、1つの受光素子Dに着目した場合の各層の配置を示す模式図である。
同図において最下層に位置する受光素子Dの受光面は円形の形状を有する。また、その上には、受光素子Dの受光面よりも大きな正方形の開口部を有する陰極24が設けられている。一方、最上層には全面にわたって陽極22が設けられ、その下には、陰極24の開口部よりも大きな正方形の外形を有する遮光層BMが設けられている。遮光層BMの中心には受光素子Dの受光面よりも小さな円形の開口部が設けられており、この開口部以外の部分が遮光層BMと陰極24によって遮光される。このように遮光層BMと陰極24は、カバーガラス10側から平面視したとき、遮光層BMの開口部以外の部分を覆い、受光素子Dの受光窓として機能する。また、遮光層BMの下には絶縁層28が設けられている。絶縁層28は、遮光層BMよりも大きな外形(正方形)を有し、遮光層BMの全面を覆う。また、絶縁層28の下には全面にわたって有機EL層26が設けられている。有機EL層26は、陽極22と陰極24に挟まれ、かつ絶縁層28によって絶縁されていない部分が発光する。従って、同図に示す有機EL層26のうちハッチングで示す周辺部分が発光領域になり、その内側部分が非発光領域になる。
【0040】
図4からも明らかとなるように、有機EL層26のうち受光素子Dの受光面に対応する位置とその周辺は非発光領域になる。従って、受光素子Dの受光面に入射する反射光RLの光路上には、反射光RLよりも光量が大きい照射光ILを発光する発光領域が存在しない。また、遮光層BMと陰極24によって遮光層BMの開口部以外の部分が遮光されるので、受光素子Dの受光面には、真上に位置するマイクロレンズMLを透過してきた反射光RLが入射され、隣のマイクロレンズML等から斜めに入射してきた反射光RL(散乱光)が受光素子Dの受光面に入射するのを抑制することができる。
【0041】
次に、生体認証装置1の動作について説明する。
制御部50は、図示を省略した接触センサー等を用いてカバーガラス10の上に指Fが置かれたことを検知すると、陽極22と陰極24の間に電流を供給し、有機EL層26(発光領域)を発光させる。有機EL層26から出射された照射光IL(近赤外光)は、陽極22、対向基板GS、レンズアレイLA、カバーガラス10を介して指Fに照射され、指Fの内部に到達すると散乱し、その一部が反射光RLとして受光部30側に向かう。また、指Fからの反射光RLの一部が、カバーガラス10、レンズアレイLA、対向基板GS、陽極22、遮光層BMの開口部、絶縁層28、有機EL層26(非発光領域)、陰極24の開口部、封止層29を介して受光素子Dの受光面に入射される。各受光素子Dは、受光面に入射された反射光RLをその光量に応じた信号レベルを有する受光信号に変換する。制御部50は、各受光素子Dから受光信号を読み出し、読み出した1フレーム分の受光信号に基づいて指Fの静脈像を生成する。また、制御部50は、生成した静脈像を記憶部40に登録されているマスター静脈像と照合して本人認証を行い、認証結果を出力部60から出力する。
【0042】
以上説明したように本実施形態によれば、有機EL層26のうち各受光素子Dの受光面に対応する位置とその周辺は非発光領域になる。従って、各受光素子Dの受光面に入射する反射光RLの光路上には、反射光RLよりも光量が大きい照射光ILを発光する発光領域が存在しない。また、各遮光層BMと陰極24によって各遮光層BMの開口部以外の部分が遮光される。従って、各受光素子Dの受光面には真上に位置するマイクロレンズMLを透過してきた反射光RLが入射され、隣のマイクロレンズML等から斜めに入射してきた反射光RL(散乱光)の入射を抑制することができる。また、有機EL層26(発光領域)から出射された照射光ILが陰極24の開口部を通って各受光素子Dの受光面に直接入射することも陰極24と各遮光層BMによって抑制することができる。よって、各受光素子Dにおいて指Fからの反射光RLを精度よく受光することが可能になるので、静脈像の撮像精度を高めることができる。また、陽極22、陰極24、有機EL層26、絶縁層28、遮光層BMを設ける必要があるものの、これらの各要素は極めて薄く形成することができるので、特許文献1に記載された発明に比べ、生体認証装置1(センシングユニット2)のZ軸方向の厚さを薄くすることができる。
【0043】
<B.第2実施形態>
上述した第1実施形態において、複数の開口部を有する1つの陰極24(図3)を、図5に示すように互いに離間して配置された複数の陰極24’としてもよい。各陰極24’は、Y軸方向に延在する帯状の形状を有し、受光部30に備わる複数の受光素子Dと重ならないよう互いに離間して配置される。この場合、第1実施形態における各遮光層BMや各絶縁層28についても、図5において隣り合う陰極24’間の離間領域を覆うようにその外形等を変形する必要がある。
【0044】
図6は、第2実施形態における各層の配置を示す模式図である。
なお、受光素子Dと陽極22は、第1実施形態で説明したものと同じである。同図に示すようにY軸方向に延在する2本の陰極24’は、受光素子Dの受光面を挟んでその両隣(図中左右)に位置する。この2本の陰極24’の離間幅をW1としたとき、遮光層BM’のX軸方向の幅W2はW1よりも大きい。遮光層BM’は、Y軸方向に延在する帯状の外形を有する。また、遮光層BM’は、受光素子Dの受光面に対応する位置に受光面よりも小さな円形の開口部を有する。なお、図5に示したように受光素子DはY軸方向に沿って複数配列されているから、各遮光層BM’にもY軸方向に沿って複数の開口部が形成されている。
【0045】
また、絶縁層28’のX軸方向の幅W3は、遮光層BM’の幅W2よりも大きい。絶縁層28’についても遮光層BM’と同様にY軸方向に延在する帯状の外形を有する。絶縁層28’と遮光層BM’は、2本の陰極24’間の離間領域を覆い、絶縁層28’と遮光層BM’の両端(X軸方向)は両隣の陰極24’と重なる。また、有機EL層26’は全面にわたって分布しているが、陽極22’と陰極24’に挟まれ、かつ絶縁層28’によって絶縁されていない部分が発光する。従って、同図に示すように有機EL層26’のうちハッチングで示す両脇部分が発光領域になり、その内側部分が非発光領域になる。なお、本実施形態において複数の陰極24’には同時に電流が供給される。従って、有機EL層26’の発光領域は、カバーガラス10側から平面視したとき、図5においてハッチングで示す部分になる。
【0046】
以上の構成であっても、有機EL層26’のうち各受光素子Dの受光面に対応する位置とその周辺は非発光領域になる。従って、各受光素子Dの受光面に入射する反射光RLの光路上には、反射光RLよりも光量が大きい照射光ILを発光する発光領域が存在しない。また、遮光層BM’とその両脇の2本の陰極24’によって遮光層BM’の開口部以外の部分が遮光される。従って、各受光素子Dの受光面には、真上に位置するマイクロレンズMLを透過してきた反射光RLが入射される。よって、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0047】
<C.第3実施形態>
上述した第1実施形態において、陰極24に加え、陽極22についても図7に示すように互いに離間して配置された複数の陽極22’としてもよい。各陽極22’は、X軸方向に延在する帯状の形状を有し、受光部30に備わる複数の受光素子Dと重ならないよう互いに離間して配置される。
【0048】
図8は、第3実施形態における各層の配置を示す模式図である。
なお、遮光層BM’と絶縁層28’と陰極24’と受光素子Dについては、第2実施形態で説明したものと同じである。同図に示すようにX軸方向に延在する2本の陽極22’は、受光素子Dの受光面を挟んでその両隣(図中上下)に位置する。また、陽極22’間の離間幅は、陰極24’間の離間幅と同じW1になる。有機EL層26’は全面にわたって分布しているが、陽極22’と陰極24’に挟まれ、かつ絶縁層28’によって絶縁されていない部分が発光する。従って、同図に示すように有機EL層26’のうちハッチングで示す四隅の部分が発光領域になり、その他の部分が非発光領域になる。なお、本実施形態において複数の陽極22’と複数の陰極24’には同時に電流が供給される。従って、有機EL層26’の発光領域は、カバーガラス10側から平面視したとき、図7においてハッチングで示す部分になる。
【0049】
以上の構成であっても、有機EL層26’のうち各受光素子Dの受光面に対応する位置とその周辺は非発光領域になる。また、遮光層BM’とその両脇の2本の陰極24’によって遮光層BM’の開口部以外の部分が遮光される。従って、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0050】
<D.第4実施形態>
ところで、各受光素子Dの受光面に入射する反射光RLには、指Fの表面(表皮)で反射した光が含まれる。このような表面反射光は静脈像の撮像精度を低下させる。そこで、本実施形態では、表面反射光による撮像精度の低下を防ぐことが可能な生体認証装置について説明する。
【0051】
図9は、第4実施形態に係る生体認証装置の発光部20Aの回路構成を示す図である。
同図に示すように発光部20Aには、撮像領域の全面を覆う陽極22と、Y軸方向に延在するn本の陰極24〜24が設けられている。なお、以下の説明において各陰極を特に区別する必要がない場合は、陰極24と記載する。また、本実施形態において、陽極22と、複数の陰極24と、有機EL層26と、複数の絶縁層28と、複数の遮光層BMの配置については、上述した第2実施形態と同じである。また、発光部20Aには、陰極駆動回路200が設けられている。陰極駆動回路200は、制御部50から供給されるクロック信号と制御信号に従って、n本の陰極24〜24の中から、電流を供給する1または複数の陰極24を順次選択する。つまり、陰極駆動回路200によって選択された1以上の陰極24と、陽極22との間に電流が供給され、有機EL層26が発光する。例えば、陰極駆動回路200が全ての陰極24〜24を選択している場合、有機EL層26の発光領域は図中ハッチングで示す部分になる。
【0052】
図10は、受光部30の回路構成を示す図である。
同図に示すように撮像領域Sには、Y方向に延在するn本の走査線と、X方向に延在するm本の読出線とが形成され、走査線と読出線との交差に対応してm(行)×n(列)個の受光素子D11〜Dmnが配置されている。なお、以下の説明において各受光素子を特に区別する必要がない場合は、受光素子Dと記載する。制御部50は、受光センサー走査回路300に対してクロック信号と走査用の制御信号を供給する。また、制御部50は、受光信号読出回路400に対してクロック信号と読出制御用の制御信号を供給する。受光センサー走査回路300は、マトリクス状に配置されたm×n個の受光素子Dを、走査信号X1〜Xnを用いて順次選択する。また、受光信号読出回路400は、受光センサー走査回路300によって順次選択される1列分(m個)の受光素子Dからm本の読出線を介して受光信号Y1〜Ymを読み出し、これらを制御部50に出力する。なお、図10に示す受光部30の回路構成は、本実施形態に限らず各実施形態で共通である。
【0053】
図11は、静脈像の生成動作について説明するための図である。
n本の陰極24〜24は複数のグループに分けられている。同図に示す例の場合は、3つのグループに分けられており、第1グループには陰極24,陰極24,陰極24…が含まれ、第2グループには陰極24,陰極24,陰極24…が含まれ、第3グループには陰極24,陰極24,陰極24…が含まれる。また、陰極駆動回路200は、n本の陰極24〜24をグループごとに順次選択する。つまり、同図に示す例の場合、陰極駆動回路200は、期間T1において第1グループに属する陰極24,陰極24,陰極24…を選択し、期間T2において第2グループに属する陰極24,陰極24,陰極24…を選択し、期間T3において第3グループに属する陰極24,陰極24,陰極24…を選択する。
【0054】
この場合、期間T1では、有機EL層26のうち陰極24,陰極24,陰極24…に対応する部分がストライプ状に発光し、期間T2では、有機EL層26のうち陰極24,陰極24,陰極24…に対応する部分がストライプ状に発光し、期間T3では、有機EL層26のうち陰極24,陰極24,陰極24…に対応する部分がストライプ状に発光する。
【0055】
一方、受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400は、陰極駆動回路200がn本の陰極24〜24をグループごとに順次選択する都度、全ての受光素子D(m×n個)から受光信号を読み出す。従って、制御部50には、期間T1における1フレーム分の受光信号と、期間T2における1フレーム分の受光信号と、期間T3における1フレーム分の受光信号とが入力される。
【0056】
ところで、例えば、陰極駆動回路200が陰極24を選択した場合、有機EL層26のうち陰極24に対応する部分がストライプ状に発光するが、この際、陰極24を挟んでその両隣に位置する2列の受光素子D13〜Dm3,D14〜Dm4の各々については、発光領域からの距離が近いため、受光面に入射する反射光RLに指Fの表皮で反射した表面反射光が含まれてしまう。
【0057】
このため制御部50は、期間T1における1フレーム分の受光信号から、期間T1での各発光領域の近傍に位置する受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りを静脈像生成用の受光信号とする。つまり、制御部50は、期間T1における1フレーム分の受光信号から、期間T1において陰極駆動回路200が選択していた1列目,4列目,7列目…の各陰極24(各発光領域)の両隣に位置する1列目,3列目,4列目,6列目,7列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りとなる2列目,5列目,8列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を静脈像生成用の受光信号とする。
【0058】
また、制御部50は、期間T2における1フレーム分の受光信号から、期間T2での各発光領域の近傍に位置する受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りを静脈像生成用の受光信号とする。つまり、制御部50は、期間T2における1フレーム分の受光信号から、期間T2において陰極駆動回路200が選択していた2列目,5列目,8列目…の各陰極24(各発光領域)の両隣に位置する1列目,2列目,4列目,5列目,7列目,8列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りとなる3列目,6列目,9列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を静脈像生成用の受光信号とする。
【0059】
同様に、制御部50は、期間T3における1フレーム分の受光信号から、期間T3での各発光領域の近傍に位置する受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りを静脈像生成用の受光信号とする。つまり、制御部50は、期間T3における1フレーム分の受光信号から、期間T3において陰極駆動回路200が選択していた3列目,6列目,9列目…の各陰極24(各発光領域)の両隣に位置する2列目,3列目,5列目,6列目,8列目,9列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りとなる1列目,4列目,7列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を静脈像生成用の受光信号とする。
【0060】
この後、制御部50は、期間T1における静脈像生成用の受光信号(2列目,5列目,8列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号)と、期間T2における静脈像生成用の受光信号(3列目,6列目,9列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号)と、期間T3における静脈像生成用の受光信号(1列目,4列目,7列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号)とを合成し、静脈像を生成する。このように期間T1,T2,T3における静脈像生成用の受光信号を合成することで、表面反射光が入射した受光素子Dからの受光信号を使用せずに静脈像を生成することができるので、表面反射光による撮像精度の低下を防ぎ、静脈像の撮像精度を高めることができる。
【0061】
なお、n本の陰極24〜24を3つ以上のグループに分けてもよい。例えば、n本の陰極24〜24を4つのグループに分け、第1グループに陰極24,陰極24,陰極24…を含み、第1グループに陰極24,陰極24,陰極2410…を含み、第3グループに陰極24,陰極24,陰極2411…を含み、第4グループに陰極24,陰極24,陰極2412…を含む構成としてもよい。この場合、制御部50は、例えば、陰極駆動回路200が第1グループに属する1列目,5列目,9列目…の各陰極24を選択しているときに読み出した1フレーム分の受光信号から、陰極駆動回路200が選択していた各陰極24(各発光領域)の両隣に位置する1列目,4列目,5列目,8列目,9列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りとなる2列目,3列目,6列目,7列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を静脈像生成用の受光信号とする。
【0062】
また、n本の陰極24〜24をn個のグループに分けてもよい。この場合、制御部50は、例えば、陰極駆動回路200が1列目の陰極24を選択しているときに読み出した1フレーム分の受光信号から、陰極24(発光領域)の隣に位置する1列目の各受光素子Dから読み出した受光信号を除去すると共に、3列目以降の各受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りとなる2列目の各受光素子Dから読み出した受光信号を静脈像生成用の受光信号とする。
【0063】
ここで、1列目の各受光素子Dから読み出した受光信号を除去する理由は、表面反射光による撮像精度の低下を防ぐためである。これに対し、3列目以降の各受光素子Dから読み出した受光信号を除去する理由は、例えば、n−1列目やn列目の各受光素子Dは、発光領域からの距離が遠いため、反射光RLを受光することができない、あるいは反射光RLを受光することができても静脈像の生成に適したレベルの反射光RLではないためである。このように制御部50は、1フレーム分の受光信号から静脈像生成用の受光信号を取得する際に、陰極駆動回路200が選択していた1以上の陰極24(発光領域)の両隣に位置する各受光素子Dから読み出した受光信号だけでなく、発光領域からの距離が遠く、静脈像の生成に適したレベルの反射光RLを得ることができない各受光素子Dから読み出した受光信号を除去することもある。
【0064】
また、図12に示すように、櫛歯状の形状を有する2つの陰極24A,24Bを設けると共に、陰極24Aと陰極24Bの間の各離間領域に2列ずつ受光素子Dを配置することで、2フレーム分の受光信号から1つの静脈像を生成することができる。なお、同図に示す例の場合、陰極駆動回路200は、期間T1において陰極24Aを選択し、期間T2において陰極24Bを選択する。また、期間T1では、有機EL層26のうち陰極24Aと重なる部分の一部(図中点線で示す領域)が発光し、期間T2では、有機EL層26のうち陰極24Bと重なる部分の一部(図中点線で示す領域)が発光する。
【0065】
この場合、制御部50は、期間T1における1フレーム分の受光信号から、陰極24Aの両隣に位置する2列目,3列目,6列目,7列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りとなる1列目,4列目,5列目,8列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を静脈像生成用の受光信号とする。また、制御部50は、期間T2における1フレーム分の受光信号から、陰極24Bの両隣に位置する1列目,4列目,5列目,8列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りとなる2列目,3列目,6列目,7列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を静脈像生成用の受光信号とする。
【0066】
また、制御部50は、期間T1における静脈像生成用の受光信号(1列目,4列目,5列目,8列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号)と、期間T2における静脈像生成用の受光信号(2列目,3列目,6列目,7列目…の各受光素子Dから読み出した受光信号)とを合成し、静脈像を生成する。この場合も、期間T1,T2における静脈像生成用の受光信号を合成することで、表面反射光が入射した受光素子Dからの受光信号を使用せずに静脈像を生成することができるので、表面反射光による撮像精度の低下を防ぎ、静脈像の撮像精度を高めることができる。また、2フレーム分の受光信号から1つの静脈像を生成することができるので、図11の場合に比べ、静脈像の生成に要する時間を短縮することや、静脈像の生成に要する消費電力を低減することができる。
【0067】
また、受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400を用いて受光信号を読み出す際に、静脈像生成用の受光信号だけを読み出すようにしてもよい。例えば、図11に示した例の場合、受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400は、期間T1において、陰極駆動回路200が選択している1列目,4列目,7列目…の各陰極24(各発光領域)の両隣に位置する1列目,3列目,4列目,6列目,7列目…の各受光素子Dを読出対象から除外し、その残りとなる2列目,5列目,8列目…の各受光素子Dから受光信号を読み出す。
【0068】
また、受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400は、期間T2において、陰極駆動回路200が選択している2列目,5列目,8列目…の各陰極24(各発光領域)の両隣に位置する1列目,2列目,4列目,5列目,7列目,8列目…の各受光素子Dを読出対象から除外し、その残りとなる3列目,6列目,9列目…の各受光素子Dから受光信号を読み出す。同様に、受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400は、期間T3において、陰極駆動回路200が選択している3列目,6列目,9列目…の各陰極24(各発光領域)の両隣に位置する2列目,3列目,5列目,6列目,8列目,9列目…の各受光素子Dを読出対象から除外し、その残りとなる1列目,4列目,7列目…の各受光素子Dから受光信号を読み出す。
【0069】
また、制御部50は、期間T1において読み出した受光信号と、期間T2において読み出した受光信号と、期間T3において読み出した受光信号とを合成し、静脈像を生成する。この場合も、表面反射光が入射した受光素子Dからの受光信号を使用せずに静脈像を生成することができるので、表面反射光による撮像精度の低下を防ぎ、静脈像の撮像精度を高めることができる。また、受光センサー走査回路300における走査回数や、受光信号読出回路400における受光信号の読出数を減らすことができるので、消費電力を低減することもできる。
【0070】
<E.第5実施形態>
上述した第4実施形態において、陰極24〜24だけでなく陽極22についても互いに離間して配置された複数の陽極とし、電流を供給する陽極も選択できるようにすることが可能である。
【0071】
図13は、第5実施形態に係る生体認証装置の発光部20Bの回路構成を示す図である。同図に示すように発光部20Bには、X軸方向に延在するm本の陽極22〜22と、Y軸方向に延在するn本の陰極24〜24が設けられている。なお、以下の説明において各陽極を特に区別する必要がない場合は、陽極22と記載する。また、本実施形態において、複数の陽極22と、複数の陰極24と、有機EL層26と、複数の絶縁層28と、複数の遮光層BMの配置については、上述した第3実施形態と同じである。
【0072】
また、発光部20Bには、第4実施形態で説明した陰極駆動回路200の他に、陽極駆動回路250が設けられている。陽極駆動回路250は、制御部50から供給されるクロック信号と制御信号に従って、m本の陽極22〜22の中から、電流を供給する1または複数の陽極22を順次選択する。つまり、陽極駆動回路250によって選択された1以上の陽極22と、陰極駆動回路200によって選択された1以上の陰極24との間に電流が供給され、有機EL層26が発光する。例えば、陽極駆動回路250が全ての陽極22〜22を選択しており、かつ陰極駆動回路200も全ての陰極24〜24を選択している場合、有機EL層26の発光領域は図中ハッチングで示す部分になる。なお、本実施形態における受光部30の回路構成は、第4実施形態(図10)と同じでよい。
【0073】
図14は、静脈像の生成動作について説明するための図である。
m本の陽極22〜22とn本の陰極24〜24は、複数のグループに分けられている。同図に示す例の場合は、3つのグループに分けられており、第1グループには、全ての陰極24〜24と、陽極22,陽極22,陽極22…が含まれる。また、第2グループには、全ての陰極24〜24と、陽極22,陽極22,陽極22…が含まれる。また、第3グループには、全ての陰極24〜24と、陽極22,陽極22,陽極22…が含まれる。
【0074】
陰極駆動回路200は、n本の陰極24〜24をグループごとに順次選択する。なお、同図に示す例の場合は、全てのグループに全陰極24〜24が属しているので、陰極駆動回路200は、期間T1〜T3の全てにおいて全陰極24〜24を選択することになる。また、陽極駆動回路250は、m本の陽極22〜22をグループごとに順次選択する。つまり、同図に示す例の場合、陽極駆動回路250は、期間T1において第1グループに属する陽極22,陽極22,陽極22…を選択し、期間T2において第2グループに属する陽極22,陽極22,陽極22…を選択し、期間T3において第3グループに属する陽極22,陽極22,陽極22…を選択する。
【0075】
この場合、期間T1では、有機EL層26のうち、全陰極24〜24と、陽極22,陽極22,陽極22…とが重なる部分の一部(図中黒で示す領域)が発光する。また、期間T2では、有機EL層26のうち、全陰極24〜24と、陽極22,陽極22,陽極22…とが重なる部分の一部(図中ハッチングで示す領域)が発光する。また、期間T3では、有機EL層26のうち、全陰極24〜24と、陽極22,陽極22,陽極22…とが重なる部分の一部(図中網掛けで示す領域)が発光する。
【0076】
一方、受光センサー走査回路300および受光信号読出回路400は、陰極駆動回路200と陽極駆動回路250がグループ単位で選択を行う都度、全ての受光素子D(m×n個)から受光信号を読み出す。従って、制御部50には、期間T1における1フレーム分の受光信号と、期間T2における1フレーム分の受光信号と、期間T3における1フレーム分の受光信号とが入力される。
【0077】
制御部50は、期間T1における1フレーム分の受光信号から、期間T1での各発光領域の近傍に位置する受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りを静脈像生成用の受光信号とする。つまり、制御部50は、期間T1における1フレーム分の受光信号から、期間T1において陽極駆動回路250が選択していた1行目,4行目,7行目…の各陽極22の両隣(図中上下)に位置する1行目,3行目,4行目,6行目,7行目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りとなる2行目,5行目,8行目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を静脈像生成用の受光信号とする。
【0078】
また、制御部50は、期間T2における1フレーム分の受光信号から、期間T2での各発光領域の近傍に位置する受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りを静脈像生成用の受光信号とする。つまり、制御部50は、期間T2における1フレーム分の受光信号から、期間T2において陽極駆動回路250が選択していた2行目,5行目,8行目…の各陽極22の両隣(図中上下)に位置する1行目,2行目,4行目,5行目,7行目,8行目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りとなる3行目,6行目,9行目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を静脈像生成用の受光信号とする。
【0079】
同様に、制御部50は、期間T3における1フレーム分の受光信号から、期間T3での各発光領域の近傍に位置する受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りを静脈像生成用の受光信号とする。つまり、制御部50は、期間T3における1フレーム分の受光信号から、期間T3において陽極駆動回路250が選択していた3行目,6行目,9行目…の各陽極22の両隣(図中上下)に位置する2行目,3行目,5行目,6行目,8行目,9行目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を除去し、その残りとなる1行目,4行目,7行目…の各受光素子Dから読み出した受光信号を静脈像生成用の受光信号とする。
【0080】
この後、制御部50は、期間T1における静脈像生成用の受光信号(2行目,5行目,8行目…の各受光素子Dから読み出した受光信号)と、期間T2における静脈像生成用の受光信号(3行目,6行目,9行目…の各受光素子Dから読み出した受光信号)と、期間T3における静脈像生成用の受光信号(1行目,4行目,7行目…の各受光素子Dから読み出した受光信号)とを合成し、静脈像を生成する。以上の構成であっても、期間T1,T2,T3における静脈像生成用の受光信号を合成することで、表面反射光が入射した受光素子Dからの受光信号を使用せずに静脈像を生成することができるので、第4実施形態と同様の効果を奏する。
【0081】
なお、第4実施形態の場合と同様に本実施形態においても、m本の陽極22〜22とn本の陰極24〜24を3つ以上のグループに分けてもよい。また、制御部50は、1フレーム分の受光信号から静脈像生成用の受光信号を取得する際に、陽極駆動回路250が選択していた1以上の陽極22と、陰極駆動回路200が選択していた1以上の陰極24とが重なる部分(発光領域)の近傍に位置する各受光素子Dから読み出した受光信号だけでなく、発光領域からの距離が遠く、静脈像の生成に適したレベルの反射光RLを得ることができない各受光素子Dから読み出した受光信号を除去してもよい。
【0082】
また、受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400を用いて受光信号を読み出す際に、静脈像生成用の受光信号だけを読み出すようにしてもよい。例えば、図14に示した例の場合、受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400は、期間T1において、陽極駆動回路250が選択している1行目,4行目,7行目…の各陽極22の両隣(図中上下)に位置する1行目,3行目,4行目,6行目,7行目…の各受光素子Dを読出対象から除外し、その残りとなる2行目,5行目,8行目…の各受光素子Dから受光信号を読み出す。
【0083】
また、受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400は、期間T2において、陽極駆動回路250が選択している2行目,5行目,8行目…の各陽極22の両隣(図中上下)に位置する1行目,2行目,4行目,5行目,7行目,8行目…の各受光素子Dを読出対象から除外し、その残りとなる3行目,6行目,9行目…の各受光素子Dから受光信号を読み出す。同様に、受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400は、期間T3において、陽極駆動回路250が選択している3行目,6行目,9行目…の各陽極22の両隣(図中上下)に位置する2行目,3行目,5行目,6行目,8行目,9行目…の各受光素子Dを読出対象から除外し、その残りとなる1行目,4行目,7行目…の各受光素子Dから受光信号を読み出す。
【0084】
また、制御部50は、期間T1において読み出した受光信号と、期間T2において読み出した受光信号と、期間T3において読み出した受光信号とを合成し、静脈像を生成する。この場合も、表面反射光が入射した受光素子Dからの受光信号を使用せずに静脈像を生成することができるので、表面反射光による撮像精度の低下を防ぎ、静脈像の撮像精度を高めることができる。また、受光センサー走査回路300における走査回数や、受光信号読出回路400における受光信号の読出数を減らすことができるので、消費電力を低減することもできる。
【0085】
<F.第6実施形態>
上述した各実施形態では本発明を生体認証装置に適用した場合について説明したが、原稿等の画像を読み取るイメージスキャナーに本発明を適用することもできる。この場合、照射光ILや反射光RLとして近赤外光の代わりに可視光を用いる。つまり、発光部20(有機EL層26)は、照射光ILとして近赤外光の代わりに可視光を発光し、受光部30(各受光素子D)は、反射光RLとして近赤外光の代わりに可視光を受光する。また、カバーガラス10、レンズアレイLA、対向基板GS、陽極22、絶縁層28、有機EL層26および封止層29は、可視光に対して透過性の高い材料で形成され、陰極24および遮光層BMは、可視光に対して遮光性の高い材料で形成される。
【0086】
ところで、本発明を適用したイメージスキャナーが図9に示した発光部20Aと図10に示した受光部30を備える場合、撮像領域Sの上に置かれた原稿のサイズや位置に応じて照射光ILの発光範囲と受光信号の読出範囲を定めることで、消費電力を低減することができる。例えば、撮像領域Sに対し、図15(A)に示すように原稿Mが置かれた場合を考える。なお、撮像領域Sには、その全面を覆う1つの陽極22と、Y軸方向に延存する240本の陰極24〜24240が設けられているものとする。また、撮像領域Sには、180(行)×240(列)個の受光素子D11〜D180,240がマトリクス状に配置されているものとする。
【0087】
この場合、イメージスキャナーは、まず、プリスキャンを行って撮像領域Sの上に置かれた原稿Mのサイズや位置を検出する。なお、プリスキャンは、本スキャンの前に、本スキャンよりも粗い解像度で原稿Mをスキャンすることである。例えば、プリスキャンを行う場合、陰極駆動回路200は、240本の陰極24〜24240の中から、陰極2410,陰極2420,陰極2430,…陰極24240を選択する。つまり、陰極駆動回路200は、10本ごとに1本の割合で陰極24を選択する。これによりプリスキャンを行う場合には、陰極駆動回路200が選択した計24本の各陰極24と、陽極22との間に電流が供給され、有機EL層26が発光する。
【0088】

また、受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400は、プリスキャンを行う場合に、例えば、10列目,20列目,30列目,…240列目の各受光素子Dから受光信号を読み出す。なお、受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400は、プリスキャンを行う場合に、Y軸方向(行方向)についても、10行目,20行目,30行目,…180行目等、適宜間引きを行って受光信号を読み出すことができる。また、制御部50は、プリスキャンによって読み出した各受光信号に基づいて原稿Mが置かれた領域を検出する。例えば、図15(A)の場合、原稿Mが置かれた領域は、X軸方向が1列目〜180列目までの範囲で、Y軸方向が1行目〜120行目までの範囲であると検出される。このようにして原稿Mが置かれた領域を検出すると、制御部50は、検出した領域に応じて、本スキャンを行う場合の照射光ILの発光範囲LAと受光信号の読出範囲RAを決定する。
【0089】
例えば、図15(A)の場合、照射光ILの発光範囲LAと受光信号の読出範囲RAを図中一点鎖線で示す範囲に決定することができる。この場合、制御部50は、本スキャンを行う場合に陰極駆動回路200が選択する陰極24を、陰極24〜24180に決定する。また、制御部50は、本スキャンを行う場合に受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400が受光信号を読み出す受光素子Dを、1列目〜180列目までの計32400個の受光素子D11〜D180,180に決定する。
【0090】
従って、本スキャンでは、陰極駆動回路200が陰極24〜24180を選択するので、陰極24181〜24240に対応する部分については有機EL層26を発光させずに済む。また、本スキャンでは、受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400が1列目〜180列目までの計32400個の受光素子D11〜D180,180から受光信号を読み出すので、181列目〜240列目までの計10800個の受光素子D1,181〜D180,240については受光信号を読み出さずに済む。従って、イメージスキャナーの消費電力を低減することができる。
【0091】
なお、図15(A)の場合、制御部50は、本スキャンを行う場合に受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400が受光信号を読み出す受光素子Dを、1列目〜180列目で、かつ1行目〜120行目までの計21600個の受光素子D11〜D120,180に決定することもできる。この場合、受光信号の読出範囲RAを狭めることができるので、消費電力をさらに低減できる。
【0092】
また、本発明を適用したイメージスキャナーが図13に示した発光部20Bと図10に示した受光部30を備える場合についても、撮像領域Sの上に置かれた原稿のサイズや位置に応じて照射光ILの発光範囲LAと受光信号の読出範囲RAを定めることで、消費電力を低減することができる。例えば、撮像領域Sに対し、図15(B)に示すように原稿Mが置かれた場合を考える。なお、撮像領域Sには、X軸方向に延存する180本の陽極22〜22180と、Y軸方向に延存する240本の陰極24〜24240が設けられているものとする。また、撮像領域Sには、180(行)×240(列)個の受光素子D11〜D180,240がマトリクス状に配置されているものとする。
【0093】
この場合もイメージスキャナーは、プリスキャンを行って撮像領域S上に置かれた原稿Mのサイズや位置を検出する。例えば、陰極駆動回路200は、前述したようにプリスキャンを行う場合、陰極2410,陰極2420,陰極2430,…陰極24240を選択する。また、陽極駆動回路250は、プリスキャンを行う場合、180本の陽極22〜22180の中から、例えば、陽極2210,陽極2220,陽極2230,…陽極22180を選択する。つまり、陽極駆動回路250についても10本ごとに1本の割合で陽極22を選択する。これによりプリスキャンを行う場合には、陽極駆動回路250が選択した計18本の各陽極22と、陰極駆動回路200が選択した計24本の各陰極24との間に電流が供給され、有機EL層26が発光する。
【0094】
また、受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400は、プリスキャンを行う場合に、10列目,20列目,30列目,…240列目の各走査線と、10行目,20行目,30行目,…180行目の各読出線とが交差する位置にある計432個の受光素子Dから受光信号を読み出す。また、制御部50は、プリスキャンによって読み出した各受光信号に基づいて原稿Mが置かれた領域を検出し、検出した領域に応じて本スキャンを行う場合の照射光ILの発光範囲LAと受光信号の読出範囲RAを決定する。
【0095】
例えば、図15(B)の場合、照射光ILの発光範囲LAと受光信号の読出範囲RAを図中一点鎖線で示す範囲に決定することができる。この場合、制御部50は、本スキャンを行う場合に陰極駆動回路200が選択する陰極24を、陰極24〜24180に決定する。また、制御部50は、本スキャンを行う場合に陽極駆動回路250が選択する陽極22を、陽極22〜22120に決定する。また、制御部50は、本スキャンを行う場合に受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400が受光信号を読み出す受光素子Dを、1列目〜180列目で、かつ1行目〜120行目までの計21600個の受光素子D11〜D120,180に決定する。
【0096】
従って、本スキャンでは、陰極駆動回路200が陰極24〜24180を選択し、陽極駆動回路250が陽極22〜22120を選択するので、陰極24181〜24240に対応する部分と陽極22121〜22180に対応する部分については有機EL層26を発光させずに済む。また、本スキャンでは、受光センサー走査回路300と受光信号読出回路400が、1列目〜180列目で、かつ1行目〜120行目までの計21600個の受光素子D11〜D120,180から受光信号を読み出すので、181列目〜240列目までの各受光素子Dと121行目〜180行目までの各受光素子D(合計21600個)については受光信号を読み出さずに済む。従って、図15(A)の場合に比べ、照射光ILの発光範囲LAと受光信号の読出範囲RAを狭めることができるので、消費電力をさらに低減することができる。
【0097】
なお、プリスキャンを行って照射光ILの発光範囲LAと受光信号の読出範囲RAを決定した後、本スキャンを行う場合に、上述した第4,第5実施形態で説明した表面反射光の影響を排除する駆動(発光制御と読出制御)を行うことで、静脈像の撮像精度を高めることができる。また、例えば、図16に示すように撮像領域Sが予め12個の分割領域S1〜S12に区分されており、プリスキャンを行った結果、原稿Mの置かれた領域が分割領域S1〜S3,S5〜S7であった場合は、照射光IRの発光範囲LAと受光信号の読出範囲RAを分割領域S1〜S3,S5〜S7,S9〜S11(または分割領域S1〜S3,S5〜S7)に決定し、本スキャンを行うようにしてもよい。
【0098】
また、生体認証装置においても、プリスキャンを行って撮像領域Sのうち指Fが置かれた領域を検出し、検出した領域に応じて本スキャンを行う場合の照射光ILの発光範囲LAと受光信号の読出範囲RAを決定することで、消費電力を低減することができる。
【0099】
<G.変形例>
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下の変形が可能である。また、以下に示す2以上の変形を適宜組み合わせることもできる。
【0100】
[変形例1]
例えば、受光量(積算量)による受光素子Dの光電変換特性の変化を補正するため、あるいは反射光RLが全く入射されていない状態における受光信号の値を基準値として取得するため、撮像領域の端部等に、受光面の上側が遮光層BMで完全に覆われた受光素子Dが設けられていてもよい。このように必ずしも全ての受光素子Dに対して本発明に係る構造が適用されている必要はなく、少なくとも1以上の受光素子Dに対して本発明に係る構造が適用されていればよい。つまり、第1実施形態の場合、陰極24の開口部、受光素子D、遮光層BM(開口部)および絶縁層28は、少なくとも1つずつ以上あればよい。また、第2実施形態の場合、陰極24’は少なくとも2つ以上あればよく、受光素子Dと遮光層BM’(開口部)と絶縁層28’は少なくとも1つずつ以上あればよい。
【0101】
[変形例2]
遮光層BMは、近赤外光に対して遮光性が高く、かつ絶縁性の高い部材で形成されていてもよい。また、遮光層BMや陰極24は、近赤外光に対して反射性が低い材料で形成されているのが望ましい。また、図17に示すように遮光層BMと絶縁層28を有機EL層26の下側に設けてもよい。また、この構成において有機EL層26の上側にも第2の絶縁層を併せて設けてもよい。また、図18に示すように遮光層BMを対向基板GSの下面に設けてもよい。また、陽極22と陰極24の極性を逆にしてもよい。また、発光層として、有機EL層26の他に、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等が含まれていてもよいし、発光層は、有機EL材料でなく無機EL材料や発光ポリマー等で形成されていてもよい。また、発光層は、電圧の印加によって光を発する電圧駆動型であってもよい。また、受光素子Dの受光面や遮光層BMの開口部の形状は、円形に限らず、楕円、矩形、六角形等、任意の形状にすることができる。陰極24の開口部の形状や、遮光層BMの形状(外形)、絶縁層28の形状(外形)についても、正方形や長方形に限らず任意の形状であってよい。また、受光素子Dの受光面の大きさと遮光層BMの開口部の大きさは、開口部の方が受光面より大きくてもよいし、両者が同じ大きさであってもよい。また、カバーガラス10側から平面視したとき、受光素子Dの受光面の中心(または重心)が遮光層BMの開口部内に位置することが望ましいが、少なくとも受光面の一部が開口部内に位置していればよい。また、受光素子Dや開口部の配列パターンはマトリクス状に限定されない。例えば、チェス柄(市松模様)における黒または白の配列パターンとなるように受光素子Dや開口部を並べてもよい。また、スイープ型の生体認証装置に本発明を適用してもよい。この場合、例えば図19(A)や図19(B)に示すように、複数の受光素子DはX軸方向に沿って一列に並んでいればよい。また、この場合、各遮光層BMには開口部が1つだけ設けられていればよい。これらの変形は上述した各実施形態に適用可能である。
【0102】
[変形例3]
静脈認証の対象となる生体の部位は、手のひら、手の甲、眼等であってもよい。また、近赤外光以外の光を遮光するバンドパスフィルター(光学フィルター)を設けてもよい。例えば、バンドパスフィルターは、対向基板GSと陽極22の間や、カバーガラス10とレンズアレイLAの間に設けることができる。また、近赤外光の代わりに可視光を使用し、指紋や虹彩に基づいて生体認証を行う生体認証装置に本発明を適用することもできる。この場合、発光部20(有機EL層26)は、照射光ILとして可視光を発光する。また、受光部30(各受光素子D)は、反射光RLとして可視光を受光する。また、カバーガラス10、レンズアレイLA、対向基板GS、陽極22、絶縁層28、有機EL層26および封止層29は、可視光に対して透過性の高い材料で形成され、陰極24および遮光層BMは、可視光に対して遮光性の高い材料で形成される。これらの変形は第6実施形態を除く各実施形態に適用可能である。
【0103】
[変形例4]
例えば、生体認証機能を有するパーソナルコンピューターや携帯電話機等に本発明を適用することができる。また、イメージスキャナーの他に、複写機、ファクシミリ、バーコードリーダー等の画像読取装置に本発明を適用することもできる。なお、画像読取装置に本発明を適用する場合も、照射光ILや反射光RLとして近赤外光の代わりに可視光を用いることになる。
【符号の説明】
【0104】
1…生体認証装置(センシング装置)、2,2A,2B…センシングユニット(センシング装置)、10…カバーガラス、20,20A,20B…発光部、30…受光部、40…記憶部、50…制御部(制御回路,生成回路)、60…出力部、F…指(対象物)、IL…照射光、RL…反射光、D,D11〜Dmn…受光素子、GS…対向基板、22,22’,22〜22…陽極(第1電極)、24,24’,24〜24,24A,24B…陰極(第2電極、第3電極)、26,26’…有機EL層(発光層)、BM,BM’…遮光層、28,28’…絶縁層、29…封止層、LA…レンズアレイ、ML…マイクロレンズ、200…陰極駆動回路(第1の駆動回路)、250…陽極駆動回路(第2の駆動回路)、300…受光センサー走査回路(読出回路)、400…受光信号読出回路(読出回路)、S…撮像領域(読取領域)、X1〜Xn…走査信号、Y1〜Ym…受光信号、T1〜T3…期間、M…原稿(対象物)、LA…発光範囲、RA…読出範囲、S1〜S12…分割領域。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部、受光部および遮光層を備え、対象物に対して前記発光部から光を照射し、前記対象物からの反射光を前記受光部で受光するセンシング装置において、
前記発光部および前記受光部は前記対象物に対して同じ側に設けられ、前記発光部は前記受光部より前記対象物側に位置し、
前記発光部は、
前記対象物に照射する照射光を発する発光層と、
前記発光層より前記対象物側に位置し、前記照射光および前記反射光を透過する第1電極と、
前記発光層より前記受光部側に位置し、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に第1の開口部が形成された第2電極と、
前記第1の開口部に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を透過すると共に前記第1電極と前記第2電極とを部分的に絶縁する絶縁層とを備え、
前記受光部は、
前記反射光を受光する受光素子を備え、
前記遮光層は、
前記第1の開口部に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に第2の開口部が形成されており、
前記対象物側から平面視した場合に、前記遮光層は前記第1の開口部と重なり、前記受光素子の受光面が前記第2の開口部内に位置する
ことを特徴とするセンシング装置。
【請求項2】
発光部、受光部および遮光層を備え、対象物に対して前記発光部から光を照射し、前記対象物からの反射光を前記受光部で受光するセンシング装置において、
前記発光部および前記受光部は前記対象物に対して同じ側に設けられ、前記発光部は前記受光部より前記対象物側に位置し、
前記発光部は、
前記対象物に照射する照射光を発する発光層と、
前記発光層より前記対象物側に位置し、前記照射光および前記反射光を透過する第1電極と、
前記発光層より前記受光部側に位置し、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に互いに離間して設けられた第2電極および第3電極と、
前記第2電極と前記第3電極との間の離間領域に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を透過すると共に前記第2電極および前記第3電極と前記第1電極とを部分的に絶縁する絶縁層とを備え、
前記受光部は、
前記反射光を受光する受光素子を備え、
前記遮光層は、
前記離間領域に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に開口部が形成されており、
前記対象物側から平面視した場合に、前記遮光層は前記離間領域と重なり、前記受光素子の受光面が前記開口部内に位置する
ことを特徴とするセンシング装置。
【請求項3】
前記遮光層は、前記第1電極の前記対象物側から前記第2電極までの間に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のセンシング装置。
【請求項4】
発光部、受光部および複数の遮光層を備え、対象物に対して前記発光部から光を照射し、前記対象物からの反射光を前記受光部で受光するセンシング装置において、
前記発光部および前記受光部は前記対象物に対して同じ側に設けられ、前記発光部は前記受光部より前記対象物側に位置し、
前記発光部は、
前記対象物に照射する照射光を発する発光層と、
前記発光層より前記対象物側に位置し、前記照射光および前記反射光を透過する第1電極と、
前記発光層より前記受光部側に位置し、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に互いに離間して設けられた複数の第2電極と、
隣り合う前記第2電極間の離間領域ごとに当該離間領域に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を透過すると共に前記第1電極と前記第2電極とを部分的に絶縁する複数の絶縁層とを備え、
前記受光部は、
前記反射光を受光する複数の受光素子を備え、
前記複数の遮光層の各々は、
互いに異なる前記離間領域に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に1以上の開口部が形成されており、
前記対象物側から平面視した場合に、前記離間領域の各々は前記遮光層と重なり、各々の前記開口部内には前記受光素子の受光面が1つずつ位置する
ことを特徴とするセンシング装置。
【請求項5】
発光部、受光部および複数の遮光層を備え、対象物に対して前記発光部から光を照射し、前記対象物からの反射光を前記受光部で受光するセンシング装置において、
前記発光部および前記受光部は前記対象物に対して同じ側に設けられ、前記発光部は前記受光部より前記対象物側に位置し、
前記発光部は、
前記対象物に照射する照射光を発する発光層と、
前記発光層より前記対象物側に位置し、前記照射光および前記反射光を透過すると共に互いに離間して設けられた複数の第1電極と、
前記発光層より前記受光部側に位置し、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に、互いに離間して設けられ、前記複数の第1電極と交差する複数の第2電極と、
隣り合う前記第2電極間の離間領域ごとに当該離間領域に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を透過すると共に前記第1電極と前記第2電極とを部分的に絶縁する複数の絶縁層とを備え、
前記受光部は、
前記反射光を受光する複数の受光素子を備え、
前記複数の遮光層の各々は、
互いに異なる前記離間領域に対応する位置に設けられ、前記照射光および前記反射光を遮光すると共に1以上の開口部が形成されており、
前記対象物側から平面視した場合に、前記離間領域の各々は前記遮光層と重なり、各々の前記開口部内には前記受光素子の受光面が1つずつ位置する
ことを特徴とするセンシング装置。
【請求項6】
前記複数の第2電極のうち、前記発光層を発光させるための駆動信号を供給する対象として一部の前記第2電極を選択する第1の駆動回路と、
前記複数の受光素子のうち、前記対象物側から平面視した場合に、前記第1の駆動回路が選択した一部の前記第2電極に隣り合う前記受光素子から前記受光面に入射した前記反射光の光量を示す受光信号を読み出す読出回路とを備える
ことを特徴とする請求項4に記載のセンシング装置。
【請求項7】
前記対象物の画像を読み取る読取領域のうち前記対象物が置かれた領域を検出し、検出結果に基づいて前記第1の駆動回路が選択する一部の前記第2電極を決定する制御回路を備える
ことを特徴とする請求項6に記載のセンシング装置。
【請求項8】
前記複数の第2電極のうち、前記発光層を発光させるための駆動信号を供給する対象として一部の前記第2電極を選択する第1の駆動回路と、
前記複数の第1電極のうち、前記駆動信号を供給する対象として一部の前記第1電極を選択する第2の駆動回路と、
前記複数の受光素子のうち、前記対象物側から平面視した場合に、前記第1の駆動回路が選択した一部の前記第2電極と、前記第2の駆動回路が選択した一部の前記第1電極とが重なる部分に隣り合う前記受光素子から前記受光面に入射した前記反射光の光量を示す受光信号を読み出す読出回路とを備える
ことを特徴とする請求項5に記載のセンシング装置。
【請求項9】
前記対象物の画像を読み取る読取領域のうち前記対象物が置かれた領域を検出し、検出結果に基づいて、前記第1の駆動回路が選択する一部の前記第2電極と、前記第2の駆動回路が選択する一部の前記第1電極とを決定する制御回路を備える
ことを特徴とする請求項8に記載のセンシング装置。
【請求項10】
前記複数の第2電極のうち、前記発光層を発光させるための駆動信号を供給する対象として1以上の前記第2電極を選択する第1の駆動回路と、
前記複数の受光素子の各々から前記受光面に入射した前記反射光の光量を示す受光信号を読み出す読出回路と、
前記読出回路が読み出した前記受光信号に基づいて前記対象物の画像を生成する生成回路とを備え、
前記複数の第2電極は複数のグループに分けられ、
前記第1の駆動回路は、前記複数の第2電極を前記グループ単位で順次選択し、
前記読出回路は、前記第1の駆動回路が前記グループ単位で選択を行うごとに全ての前記受光素子から前記受光信号を読み出し、
前記生成回路は、前記第1の駆動回路が前記グループ単位で選択を行うごとに、前記読出回路が読み出した全ての前記受光信号から、前記対象物側から平面視した場合に、少なくとも前記第1の駆動回路が選択した1以上の前記第2電極に隣り合う前記受光素子から読み出した前記受光信号を除き、残りの前記受光信号に基づいて前記対象物の画像を生成する
ことを特徴とする請求項4に記載のセンシング装置。
【請求項11】
前記複数の第2電極のうち、前記発光層を発光させるための駆動信号を供給する対象として1以上の前記第2電極を選択する第1の駆動回路と、
前記複数の受光素子の各々から前記受光面に入射した前記反射光の光量を示す受光信号を読み出す読出回路と、
前記読出回路が読み出した前記受光信号に基づいて前記対象物の画像を生成する生成回路とを備え、
前記複数の第2電極は複数のグループに分けられ、
前記第1の駆動回路は、前記複数の第2電極を前記グループ単位で順次選択し、
前記読出回路は、前記第1の駆動回路が前記グループ単位で選択を行うごとに、前記対象物側から平面視した場合に、少なくとも前記第1の駆動回路が選択した1以上の前記第2電極に隣り合う前記受光素子を除き、残りの前記受光素子から前記受光信号を読み出す
ことを特徴とする請求項4に記載のセンシング装置。
【請求項12】
前記複数の第2電極のうち、前記発光層を発光させるための駆動信号を供給する対象として1以上の前記第2電極を選択する第1の駆動回路と、
前記複数の第1電極のうち、前記駆動信号を供給する対象として1以上の前記第1電極を選択する第2の駆動回路と、
前記複数の受光素子の各々から前記受光面に入射した前記反射光の光量を示す受光信号を読み出す読出回路と、
前記読出回路が読み出した前記受光信号に基づいて前記対象物の画像を生成する生成回路とを備え、
前記複数の第1電極と前記複数の第2電極は複数のグループに分けられ、
前記第1の駆動回路は、前記複数の第2電極を前記グループ単位で順次選択し、
前記第2の駆動回路は、前記複数の第1電極を前記グループ単位で順次選択し、
前記読出回路は、前記第1の駆動回路と前記第2の駆動回路が前記グループ単位で選択を行うごとに全ての前記受光素子から前記受光信号を読み出し、
前記生成回路は、前記第1の駆動回路と前記第2の駆動回路が前記グループ単位で選択を行うごとに、前記読出回路が読み出した全ての前記受光信号から、前記対象物側から平面視した場合に、少なくとも、前記第1の駆動回路が選択した1以上の前記第2電極と、前記第2の駆動回路が選択した1以上の前記第1電極とが重なる部分に最も近い前記受光素子から読み出した前記受光信号を除き、残りの前記受光信号に基づいて前記対象物の画像を生成する
ことを特徴とする請求項5に記載のセンシング装置。
【請求項13】
前記複数の第2電極のうち、前記発光層を発光させるための駆動信号を供給する対象として1以上の前記第2電極を選択する第1の駆動回路と、
前記複数の第1電極のうち、前記駆動信号を供給する対象として1以上の前記第1電極を選択する第2の駆動回路と、
前記複数の受光素子の各々から前記受光面に入射した前記反射光の光量を示す受光信号を読み出す読出回路と、
前記読出回路が読み出した前記受光信号に基づいて前記対象物の画像を生成する生成回路とを備え、
前記複数の第1電極と前記複数の第2電極は複数のグループに分けられ、
前記第1の駆動回路は、前記複数の第2電極を前記グループ単位で順次選択し、
前記第2の駆動回路は、前記複数の第1電極を前記グループ単位で順次選択し、
前記読出回路は、前記第1の駆動回路と前記第2の駆動回路が前記グループ単位で選択を行うごとに、前記対象物側から平面視した場合に、少なくとも、前記第1の駆動回路が選択した1以上の前記第2電極と、前記第2の駆動回路が選択した1以上の前記第1電極とが重なる部分に最も近い前記受光素子を除き、残りの前記受光素子から前記受光信号を読み出す
ことを特徴とする請求項5に記載のセンシング装置。
【請求項14】
前記発光層は近赤外光を発する
ことを特徴する請求項1乃至13のうちいずれか一項に記載のセンシング装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のうちいずれか一項に記載のセンシング装置を備えたことを特徴とする電子機器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−221083(P2012−221083A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84243(P2011−84243)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】