説明

タイマを有する医療用固定デバイス

医療用ラインおよび/または医療用ライン固定デバイスを患者の皮膚に安定させるためのアンカーパッドなどの医療用具がタイマを備える。このタイマは、経過時間を測定して、その表示を提供することができる。このタイマは可撓性でも剛性でもよく、アンカーパッドに、アンカーパッドに配置された可撓性もしくは剛性の基材に、またはアンカーパッドによって支持された保持具に直接配置されることができる。一体化したタイマを有するアンカーパッドは、医療用ラインの留置以降の経過時間の使い易い視覚的表示を提供し、医療用ラインの別の場所への移動をいつ行うべきかを知らせる信頼できる手段を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2009年10月6日に出願された「Anchor Pad with In−Use Timer」という名称の米国仮特許出願第61/249,222号の優先権を主張するものであり、その開示を全体として参照により本明細書に組み込む。
【0002】
[0002]本発明は、患者の皮膚に取り付けられ、タイマを含む固定デバイスに関する。たとえば、この固定デバイスはアンカーパッドとすることができる。このアンカーパッドは、患者の皮膚に対して医療用ラインまたは医療デバイスを直接的に安定させることもできるし、保持具により医療用ラインまたは医療デバイスを間接的に安定させることもできる。タイマは、経過時間、間隔などを測定することができる。
【背景技術】
【0003】
[0003]患者の治療において、カテーテルを利用して、流体および薬剤を患者に直接的に導入したり、患者から流体を回収したりすることは、一般的に行われている。患者の治療中に長時間にわたってこのようなカテーテル処置を維持することが望まれる場合が多い。治療期間中にカテーテルまたは他の医療用ラインを適切に位置付けておくために、カテーテルまたは医療用ラインは、さまざまな手段で患者に固定されることができる。カテーテルまたは医療用ラインは、長期間にわたって患者に固定される場合がある。したがって、たとえば治療期間を現場で(locally)監視することが有利な場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本発明のデバイスおよび方法はいくつかの特徴を有するが、そのいずれも単独ではその所望の属性に対応することはできない。ここで、以降の特許請求の範囲によって記載される本発明の範囲を限定することなく、本発明のより顕著な特徴について簡単に説明する。この説明を検討すれば、特に「発明を実施するための形態」という名称の項を読めば、既存の医療デバイスに勝るいくつかの利点が本発明の特徴によってどのように提供されるかが理解されよう。
【0005】
[0005]本発明の一態様は、患者に固定するためのアンカーパッドを含む。このアンカーパッドは、タイマを含む。
[0006]本発明の別の態様は、医療用具を患者の皮膚に固定するための固定システムを含む。この固定システムは、下面を有するアンカーパッドを備え、この下面の少なくとも一部分は接着材によって覆われる。この固定システムは、アンカーパッドによって支持された保持具をさらに含み、この保持具は、医療用具の少なくとも一部分を受けるように構成される。この固定システムは、固定システムによって支持されたタイマをさらに含む。
【0006】
[0007]本発明の別の態様は、患者における医療用ラインの留置時間(dwell time)を示す方法を対象とする。この方法は、患者の皮膚の挿入部位に医療用ラインを挿入するステップと、この挿入部位近くの患者の皮膚にアンカーパッドを固定するステップであって、このアンカーパッドが、経過時間の表示を提供するように構成されたタイマを備える、ステップと、このタイマを起動させるステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】[0008]本発明の好ましい一実施形態によるタイマを含む、アンカーパッドなどの固定デバイスの斜視図である。
【図1B】[0009]例示的な医療用具を固定するように示された、図1Aのアンカーパッドの斜視図である。
【図2】[0010]図2Aは、取り外し可能な保護層を有する化学反応を利用したタイマを含む、別の実施形態によるアンカーパッドの一部分の上面図である。[0011]図2Bは、保護層が取り外された、図2Aのアンカーパッドの上面図である。[0012]図2Cは、図2Bのアンカーパッドの側面図である。
【図3】[0013]電池駆動(battery−powered)タイマを含む、他の実施形態によるアンカーパッドの一部分の上面図である。
【図4】[0014]他の実施形態による化学的に起動されたタイマを示す図である。
【図5】[0015]アンカーパッドを介して患者に固定された、図4の化学的に起動されたタイマを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0016]好ましい実施形態を説明し図示する以下の説明および添付の図は、固定デバイスが本発明の種々の態様および特徴を含むために用いることができるいくつかの考えられ得る構成を示すものである。固定デバイスの図示の実施形態は、患者の皮膚に固定されたアンカーパッドである。さらに、図示の実施形態は、コネクタ継手(fitting)および/または医療用ラインなどの医療用具を説明するための例、ならびにこの医療用具をアンカーパッドに対して固定するように構成された保持具を説明するための例のいずれか一方または両方を用いて示されている。
【0009】
[0017]これと関連するアンカーパッドの例は、開示される本発明の態様および特徴を特定の実施形態または医療用具または保持具との併用に限定するものではない。開示される本発明の態様および特徴は、固定デバイス、医療用具、または保持具のいかなる特定の実施形態との併用にも限定されるものではないことが当業者には理解されよう。たとえば、固定デバイスは、さまざまな医療用具および/または保持具の有無にかかわらず使用するように設計可能な本明細書において説明される本発明の態様および特徴の1つまたは複数を含むアンカーパッドとすることができる。
【0010】
[0018]感染症、患者の移動に起因する溢出、および静脈の閉塞または虚脱を含む、静脈カテーテルの長期留置に伴う問題を軽減するために、一定の留置時間が経過した後に、医療従事者が医療用ラインの交換および/または別の場所への移動(re−site)を定期的に行うことがある。留置時間を表すため、医療従事者は、典型的には、患者の皮膚の挿入部位の近くに配置されたラベル(sticker)またはテープにラインを挿入した日付および/または時間を記入する。医療従事者がこのステップを省略したり、間違った日付を記入したりすると、実際の留置時間を決定するのがはるかに困難になる。
【0011】
[0019]本発明の実施形態は、有利にはタイマを提供する。このタイマは、アンカーパッドまたは保持具などの固定デバイスに配置される。この固定デバイスは、患者の皮膚に対して医療用具または医療用ラインを安定させることができる。タイマは、経過時間を測定することができる。タイマは、使用者によって、または患者の皮膚との接触などの他の手段によって起動されることができる。タイマは、たとえば医療用具または医療用ラインが患者の所定の位置にある時間の長さなどの、医療用具または医療用ラインの時間に基づく特性を示す。
【0012】
[0020]特定の実施形態では、固定デバイスは、アンカーパッド、保持具、または図1Aに示されるものなどのアンカーパッドと保持具を組み合わせたものである。当然のことながら、固定デバイスは図示の実施形態に限定されず、保持具やアンカーパッド以外の他の固定デバイスの形をとることができる。
【0013】
[0021]図1Aの固定デバイスの保持具は、アンカーパッドに配置されている。この保持具は、医療用ラインが保持具内に配置されているとき、長手方向、横方向(lateral)、および/または縦方向(transverse direction)における医療用ラインの移動(および/または医療用ラインに接続された医療用具の移動)を阻止するように構成されることができる。
【0014】
[0022]タイマは可撓性でも剛性でもよく、アンカーパッドに直接配置されてもよく、或いは、アンカーパッドに配置された可撓性もしくは剛性の基材に、またはアンカーパッドによって支持された保持具に配置されることができる。アンカーパッドなどの固定デバイスの一部としてタイマを組み込むことによって、本発明の実施形態は、医療用具または医療用ラインの留置以降の経過時間の使い易く信頼できる視覚的表示を提供する。
【0015】
[0023]ここで図1Aを参照すると、保持具104とタイマ106とを支持するアンカーパッド102を含む固定システム100が示されている。図1Bは、例示的な医療用ライン110を含む例示的な医療用具108を固定する固定システム100を示す。図1Aおよび図1Bに示される実施形態では、タイマ106は、アンカーパッド102上の保持具104から離間され、挿入部位から離隔され、医療用ライン110の経路から離隔されている。他の実施形態では、タイマ106は、保持具104のより近くに、または保持具104の一部分に配置されることができる。タイマ106は、医療用ライン110が患者に挿入されて固定されるのとほぼ同時に(または挿入の直前もしくは直後に)医療従事者によって起動され、挿入以降に経過した時間すなわち挿入以降の期間の長さの視覚的表示を提供することができる。
【0016】
[0024]表示の間の期間は固定されてもよいし、可変でもよい。たとえば、タイマは、第1の期間の後に表示を提供し、次いで第2の期間の後に第2の表示を提供することができる。第1の期間と第2の期間は同じ時間長を有してもよいし、異なる時間長を有してもよい。第1の表示は第2の表示と同じであってもよいし、異なってもよい。たとえば、タイマは、第1の期間の後に音響的表示を、第2の期間の後に視覚的表示を提供することができる。このように、タイマ106は、医療用ラインの交換および/または別の場所への移動をいつ行うべきかを知らせるために使用されることができる。
【0017】
[0025]タイマ106は、使用者によって起動され、経過時間の視覚的表示を提供することができる。たとえば、時間106は電池で作動する(battery−operated)タイマでもよいし、化学的活性(chemically−active)タイマでもよい。化学的活性タイマの実施形態は、空気または選択された化学物質に所与の時間さらされると、変色するかまたは別の視覚反応を提供することができる。
【0018】
[0026]タイマ106は可撓性でも剛性でもよく、アンカーパッド102に直接配置されてもよく、或いはアンカーパッド102に配置された基材に、またはアンカーパッド102によって支持された保持具の一部分に配置されることができる。タイマ106は、視覚反応に加えてまたはこの代わりに、音響的表示を所与の時間提供することができる。
【0019】
[0027]アンカーパッド102はさまざまな形状を有することができ、単一の一体のパッドを備えてもよいし、複数の別個のセクションを備えてもよい。アンカーパッド102は、望ましくは、プラスチック、紙、または発泡体からなる上部層(たとえば、独立気泡細胞ポリエチレンフォーム)と下部接着層とを有するラミネート構造を備える。この下部接着層は、アンカーパッドの下面を構成する。この下面は、望ましくは、医療グレードの接着材であり、特定の適用例に応じて発汗性でも非発汗性でもよい。接着層を有するこのような発泡体は、Painsville、OhioのAvery Dennisonから市販されている。
【0020】
[0028]他の変形形態では、有利には、アンカーパッドを患者の皮膚に取り付けるために、親水コロイド接着材または酸化亜鉛系接着材をアンカーパッド102の上で使用することができる。親水コロイド接着材または酸化亜鉛系接着材は、単独で、または別の医療グレードの接着材と組み合わせて(たとえば、Avery Dennisonから入手可能な接着材と組み合わせて)使用されることができる。親水コロイド接着材および酸化亜鉛系接着材は、除去されるときに患者の皮膚に擦過傷が生じる傾向が低い。これは、新生児およびコラーゲン欠乏症または他の皮膚関連疾患を有する者など、皮膚が敏感または脆弱な患者にとって特に重要な場合がある。
【0021】
[0029]別の変形形態では、アンカーパッド102は、上部織布層と下部接着層とを有するラミネート構造を備える。上部層は、ポリエステル材料または他の適切なポリマー材料もしくは織物材料とすることができる。特に適切な材料の1つは、Tycoから「Tricot」という名称で市販されているポリエステル織布である。下部接着層は、アンカーパッド102の下面を構成する。この下面は、望ましくは、医療グレードの接着材であり、特定の適用例に応じて発汗性でも非発汗性でもよい。
【0022】
[0030]上部発泡体層の面は、アンカーパッド102の上面を構成する。この上面は、低電荷で発泡体をコロナ処理することによって粗面化することができる。さらなる変形形態では、アンカーパッド102は、粗面化された上部発泡体面の代わりに、紙または他の織布もしくは不織布もしくはプラスチックからなる上部層を備えることができる。
【0023】
[0031]図示されていないが、取り外し可能な紙またはプラスチックの剥離ライナが、望ましくは、使用前の下部接着面(adhesive lower surface)を覆う。このライナは、好ましくは耐裂性を有し、望ましくは患者の皮膚にパッドを取り付け易くするために複数の片に分割することができる。
【0024】
[0032]保持具104は、(少なくとも発泡体またはテープと比較して)略剛性構造を含むことができるが、保持具の一部またはすべてにある程度の可撓性を付与する構造および/または材料を含むこともできる。適度に剛性かつ可撓性の材料としては、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ナイロン、オレフィン、アクリル、ポリエステル、ならびに成形性シリコン、熱可塑性ウレタン、熱可塑性エラストマー、熱硬化プラスチックなどのプラスチック、ポリマー、または複合材料があるが、これらに限定されない。しかし、他の材料を利用することもできる。
【0025】
[0033]図2A〜図2Cは、アンカーパッド200の形をとる固定デバイスの一部分を示す。アンカーパッド200は、化学的活性タイマ202を含む。タイマ202は、周囲環境への暴露を受けて経過した時間の長さを視覚的に示すことができる。そのため、タイマ202は、化学的活性領域204と、この活性領域204を、層206が医療従事者によって除去される(図2B)まで周囲環境から保護するように構成された取り外し可能な可撓性保護層206(図2A)とを含むことができる。化学的活性領域204は、領域204がたとえば酸素、空気などの特定の化学物質に暴露された時間の長さの視覚的表示を提供する。保護層206は、活性領域204に対する封止を形成して、保護層206が除去されるまで活性領域204が起動しないように、層206の下側に粘着性または接着性の領域または層を備えることができる。図2Aから分かるように、保護層206は、活性領域204よりやや大きな大きさにされ、プルタブ208を含む。プルタブ208は、保護層206の下側の粘着性または接着性の領域を越えて延び、医療従事者は、適時に活性領域204を周囲環境に暴露するために容易にタブ208を握って保護層206を除去することが可能である。プルタブ208は、アンカーパッド200の縁部も越えて延び、プルタブ208へのより容易なアクセスを提供することができる。
【0026】
[0034]化学的活性領域204は、2つ以上の小領域を含むことができる。暴露感度は小領域ごとに異なってよい。たとえば、小領域の1つまたは複数は、化学暴露に対して異なる反応を示すことができる。特定の実施形態では、1つまたは複数の小領域は、領域204が特定の化学物質に暴露された時間の長さを特定の適用例に対する所望の特異性によって示すために、あらかじめ設定されたグラフィカルインジケータを含む。
【0027】
[0035]図2Aおよび図2Bに示される実施形態では、化学的活性領域204は、暴露されると、周囲環境の酸素と反応し、周囲環境への暴露が継続されると徐々に変色するように構成される。図2Aおよび図2Bに示される実施形態における活性領域204では、変色は活性領域204の中心部分210から始まり、時間の経過と共に外側に進行する。
【0028】
[0036]図2Bに示されるように、活性領域204は、特定の変色度の意味を示す静的なグラフィックマーカも含む。内側リング214およびマーカ「2」は合わせて、内側リング214の内部にある領域が完全に変色すると、活性領域204が暴露されてから約2日が経過したことを示す。外側リング216およびマーカ「4」は合わせて、外側リング216の内部にある領域が完全に変色すると、活性領域204が暴露されてから約4日が経過したことを示し、したがって医療用ラインの交換または別の場所への移動を行うべきであることを知らせる。
【0029】
[0037]起動後2日および4日経過したことを示すマーカを用いて示されているが、実施形態によるタイマは、他の任意の所望のスケジュールに従って変色するおよび/または経過時間の視覚的表示を提供するように構成されることができる。さらに、領域の内側部分から外側部分に向かって変色する活性領域を用いて示されているが、活性領域が外側領域から内側領域に向かって変色するように構成された逆の構成も可能である。いくつかの実施形態では、化学的活性領域204全体が同時に変色するように構成されることができ、したがって活性領域204の完全な変色(たとえば灰色から赤色またはその逆)によって、医療用ラインの交換または別の場所への移動を行うべきであることが知らされる。いくつかの実施形態では、活性領域は、一定の時間空気に暴露されると退色するように構成された消色(fadable)インクを含むことができる。実施形態はまた、他の任意の所望の方法で変色する活性領域と、この活性領域と協調して、暴露されてから特定の時間の長さがいつ経過したかを示す任意の所望の視覚的マーカを含むことができる。いくつかの実施形態では、活性領域は、暴露時には直ちに確認できないものの活性領域が退色または変色するにつれて確認できるようになる静的な視覚的マーカを含むことができる。
【0030】
[0038]図2Cに示されるように、化学的活性領域204は基材218に配置されることができ、基材218は、接着層によってアンカーパッド200上の所定の位置に固定されることができる。活性領域204は単層として示されているが、1つまたは複数の薄膜または薄層を備えることができ、その具体的な組成は、変色の所望の速度および/または品質を実現するように選択されることができる。活性領域204は、スクリーン印刷または他の任意の適切な方法によって基材上に形成されることができる。
【0031】
[0039]いくつかの実施形態では、基材218は、アンカーパッド200と共に使用者の体型に沿うように可撓性である。一実施形態では、基材218は紙からなる。他の実施形態では、基材218は、たとえばプラスチックなどの剛性材料からなることができる。いくつかの実施形態では、基材218はアンカーパッド200の上に直接配置されることができるが、他の実施形態では、基材218は、アンカーパッド200に形成されたへこみ、くぼみ、または穴の中に配置されることができる。いくつかの実施形態では、基材218はアンカーパッド200の下部層とすることができる。
【0032】
[0040]ここで図3を参照すると、別の実施形態によるアンカーパッド300の一部分が示されている。アンカーパッド300はタイマ302を含み、タイマ302は電池で作動するデジタルタイマとすることができる。タイマ302は、使用者によって起動される開始ボタン304と、使用者が開始ボタン304を起動してから経過した時間の長さを表示するように構成された表示領域306とを含むことができる。いくつかの実施形態では、開始ボタン304は、タイマ302の上面から突き出ているボタンからなることができる。ボタン304は、使用者による十分な下向きの圧力または接触によって起動されることができる。他の実施形態では、開始ボタンは、タイマ302の上面の下に凹設され、タイマ302を起動させるためにスタイラスまたは他の物体の挿入を必要とする。このような配置では、医療従事者または患者によりタイマ302が早期にまたは誤って起動される可能性を減少させることができる。アンカーパッド300はまた、タイマ302の上に、予定の時間の前に開始ボタン304が起動するのを防ぐように構成された取り外し可能な保護層または保護キャップを含むことができる。いくつかの実施形態では、停止ボタンも設けられ、タイマが誤って起動された場合に医療従事者がタイマの実行を止めることができるように構成されることができる。
【0033】
[0041]図4は、別の実施形態によるタイマ400を示す。タイマ400は、略剛性基材402と、化学的活性領域404と、化学物質貯蔵部406と、グラフィックマーカ408とを含む。化学的活性領域404および化学物質貯蔵部406は、タイマ400の上面のすべてまたは一部を覆う保護層によって外部環境から密閉されることができる。化学的活性領域404と化学物質貯蔵部406は、障壁410によって互いから隔てられるかまたは閉鎖されることができる。タイマ400を起動させるために、医療従事者は障壁410を破壊する。たとえば、医療従事者は、化学物質貯蔵部406の上にある保護層に下向きの圧力を加えることができる。この圧力によって、化学物質貯蔵部406と化学的活性領域404の間の障壁410が破壊され、貯蔵部406内の化学物質が活性領域404と接触する。化学的活性領域404は、貯蔵部406内の化学物質への暴露に応答して徐々に変色する。たとえば、変色は、障壁410から始まって、グラフィカルマーカ408に向かって進む。変色がグラフィカルマーカ408に達すると、医療従事者は、医療用ラインの交換および/または別の場所への移動を行うように知らされる。いくつかの実施形態では、タイマ400は、図1から図3に示されるアンカーパッド102、200、および300などのアンカーパッドに配置されることができる。
【0034】
[0042]他の実施形態では、タイマ400は、アンカーパッド414上に位置する保持具の上面に配置される。このような一実施形態では、タイマ400は保持具に配置される。たとえば、図5は、アンカーパッド414と保持具(図示せず)の両方の上に位置するタイマ400を示す。保持具はタイマ400とアンカーパッド414の間に配置され、医療用ライン412を患者の皮膚に固定する。
【0035】
[0043]以下の使用方法では、主に図4および図5を参照し、静脈ラインを開始することに関して説明する。使用方法の一実施形態のこの説明は上記の他の実施形態の説明を補うことを意図したものであり、この両者は併せ読まれなければならない。
【0036】
[0044]本発明の一実施形態では、医療従事者は、既知の手技を使用してカテーテルまたは医療用ライン412などの医療用ラインの端部を挿入部位で患者の脈管構造に挿入することによって、静脈ラインの留置時間を示すことができる。たとえば、針、スタイラス、またはトロカールは、挿入される前に医療用ラインの1つまたは複数の部分の中に摺動可能に受けられ、その後、医療用ラインが患者の脈管構造に挿入された後に除去されることができる。いくつかの実施形態では、医療用ラインは無菌流体で満たされ、流体流が確実にシステムを通るようにする。
【0037】
[0045]医療従事者は、医療用ラインを挿入した後、医療用ラインを流体供給ラインに接続することができる。医療用ラインが挿入され、流体供給ラインに接続された状態で、医療従事者は、アンカーパッド410を挿入部位近くの患者の皮膚に貼付する。医療従事者は、タイマ400を起動させることによって、アンカーパッド410上のタイマ400を開始する。図4および図5に示される実施形態では、たとえば、医療従事者は、化学物質貯蔵部406の上にある保護層に下向きの圧力を加え、それにより化学物質貯蔵部406と化学的活性領域404の間の障壁410を破壊し、貯蔵部406内の化学物質を活性領域404と接触させることによって、タイマ400を起動させる。いくつかの実施形態では、医療従事者はまた、アンカーパッド上の保持具(図示せず)を使用して医療用ライン412(またはその一部分)を患者の皮膚に固定することができる。
【0038】
[0046]本発明の実施形態では、使用中のタイマは、コネクタ継手、カテーテル、ハブ、カテーテルアダプタ、流体供給ライン、または1つもしくは複数のアンカーパッドおよび/もしくは保持具による固定に適した他の用具などの1つまたは複数の医療用具を含むカテーテル処置システムまたは固定システムの一構成要素を形成することができる。
【0039】
[0047]このように、上述の固定デバイスおよび技術の種々の実施形態は、医療用ラインが患者の身体に最初に留置されてから経過した時間の長さの信頼できる表示を提供するいくつかの手段を提供する。本発明の実施形態は、さまざまな固定デバイス、たとえばアンカーパッドや保持具と共に使用するように適合されることができる。さらに、本発明の実施形態は、さまざまな医療用具と共に使用するように適合されることができる。医療用具は単一の医療用具でもよいし、1つまたは複数の医療用具を組み合わせたものでもよい。このような医療用具は、たとえばコネクタ継手、カテーテル、カテーテルハブ、カテーテルアダプタ、流体供給ライン、または他の類似の用具であるがこれらに限定されないものであってもよいし、それらを含んでもよい。さらに、説明した技術は、さまざまな医療用ラインおよび医療手技と共に使用するように広く適用されることができる。
【0040】
[0048]当然のことながら、必ずしもこのようなすべての目的または利点が、本明細書において説明するシステムを使用する任意の特定の実施形態により達成されるとは限らないことを理解されたい。したがって、たとえば、システムは、本明細書において教示または示唆され得る他の目的または利点を必ずしも達成することなく本明細書において教示される1つの利点または一連の利点を達成または最適化されるような形で開発され得ることが当業者には理解されよう。
【0041】
[0049]そのうえ、当業者には、さまざまな実施形態からの種々の特徴に互換性があることも理解されよう。これらの技術およびシステムを特定の実施形態および例に関して開示してきたが、これらの技術およびシステムは、具体的に開示されている実施形態を超えて、他の実施形態および/または使用法ならびにその自明の変更形態および等価物に拡張できることが当業者には理解されよう。加えて、説明されている本発明の種々の態様および特徴は、別々に、組み合わせて、または互いに置換して実施できること、ならびに特徴および態様のさまざまな組み合わせおよび副組み合わせも可能であり、本発明の範囲に含まれることが企図されている。したがって、本明細書で開示されるシステムの範囲は、上述の特定の開示された実施形態によって限定されないことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に固定するためのアンカーパッドであって、タイマを備えるアンカーパッド。
【請求項2】
前記タイマが使用者により起動される、請求項1に記載のアンカーパッド。
【請求項3】
前記タイマが経過時間の表示を提供する、請求項1に記載のアンカーパッド。
【請求項4】
前記タイマによって提供される前記表示が視覚的である、請求項3に記載のアンカーパッド。
【請求項5】
前記タイマによって提供される前記表示が音響的である、請求項3に記載のアンカーパッド。
【請求項6】
表示部をさらに備える、請求項1に記載のアンカーパッド。
【請求項7】
前記タイマの少なくとも一部分を覆う保護層をさらに備える、請求項1に記載のアンカーパッド。
【請求項8】
化学物質貯蔵部と、化学的活性領域とをさらに備える、請求項1に記載のアンカーパッド。
【請求項9】
前記化学物質貯蔵部と前記化学的活性領域の間に配置された破壊可能な障壁をさらに備える、請求項8に記載のアンカーパッド。
【請求項10】
医療用具を患者の皮膚に固定する固定システムであって、
下面を有するアンカーパッドであって、前記下面の少なくとも一部分が接着材によって覆われる、アンカーパッドと、
前記アンカーパッドによって支持された保持具であって、前記医療用具の少なくとも一部分を受けるように構成された保持具と、
タイマと
を備える固定システム。
【請求項11】
前記タイマが前記保持具に配置される、請求項10に記載の固定システム。
【請求項12】
前記タイマが経過時間を示す、請求項10に記載の固定システム。
【請求項13】
前記タイマが可撓性である、請求項10に記載の固定システム。
【請求項14】
前記タイマが剛性である、請求項10に記載の固定システム。
【請求項15】
前記タイマが基材に配置され、前記基材が前記アンカーパッドに配置される、請求項10に記載の固定システム。
【請求項16】
患者における医療用ラインの留置時間を示す方法であって、
前記患者の皮膚の挿入部位に前記医療用ラインを挿入するステップと、
前記挿入部位近くの前記患者の皮膚にアンカーパッドを固定するステップであって、前記アンカーパッドが、経過時間の表示を提供するように構成されたタイマを備える、ステップと、
前記タイマを起動させるステップと
を含む方法。
【請求項17】
前記アンカーパッドに配置された保持具を使用して前記医療用ラインの少なくとも一部分を固定するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記タイマが経過時間の音響的表示を提供するように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記タイマが経過時間の視覚的表示を提供するように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記タイマが、破壊可能な障壁によって化学的活性領域から分離された化学物質貯蔵部を備える、請求項19に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2013−506536(P2013−506536A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533285(P2012−533285)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/051659
【国際公開番号】WO2011/044256
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(512091110)ヴェネテック・インターナショナル,インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】