説明

タイヤの熱分解の方法と設備

【課題】
【解決手段】本発明は、トンネル型の加熱炉の中で、熱分解ガスの燃焼による煙道ガスでタイヤ全体が直接的に加熱される廃タイヤのための熱分解の方法および装置に関する。そのプロセスにより熱エネルギーやカーボンブラック、鉱油が生産される。冷却された煙道ガスは大気に放出される前に硫黄酸化物を除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃タイヤの熱分解のための方法およびその実施のための設備に関するものであり、熱エネルギーやカーボンブラック、鉱油の生産のためのタイヤの再処理に応用することができる。得られるカーボンブラックはゴム製品の生産に用い、鉱油はそのような製品を生産する際の燃料や軟化剤として用いることができる。
【背景技術】
【0002】
文献GB2303859は、一ピースに加工されたもしくは大きなピースに切断されたタイヤの熱分解方法を発表しており、ここではタイヤが200℃乃至1000℃の温度、好適には300℃乃至800℃の温度の水平チャネルであるパイロライザーの中で間接的に加熱され、その中に送り込まれるタイヤは、可動式のトロリーに積載される。加熱されると、タイヤが熱分解し、熱分解ガス、熱分解ガスとともに運ばれる鉱油蒸気および固体炭素が得られる。このプロセスは3段階で起こる:タイヤの加熱、加熱したタイヤの熱分解のプロセス、得られる固体炭素の冷却である。間接的な加熱は熱分解ガスの一部の燃焼により得られた熱煙道ガスによって実現される。受け取られる熱分解ガスは硫黄酸化物を除去される。
【0003】
文献GB2303859は、タイヤと共にトロリーが設置された水平加熱炉チャネルとして形成されるパイロライザーを具えるタイヤの熱分解設備も示している。チャネルは外側から熱煙道ガスにより加熱される。パイロライザーは可動式のスクリーンによって、加熱および熱分解ゾーンと固体炭素の冷却ゾーンとに分離されている。この設備は、得られた炭素生成物からワイヤを取り除くための磁石システムと同様に、熱分解ガスを燃焼させるバーナーと、煙道ガスから硫黄酸化物を除去するユニットと、鉱油を分離する凝縮ユニットとを具える。
【0004】
公知の方法と設備は、パイロライザーの壁を通したタイヤの間接的な加熱を用いるため、排ガスは高温で放出され、エネルギー損失の増加の原因となる。さらに、パイロライザーの壁を高温に加熱すると、熱分解によって得られる炭化水素のクラッキングが生じ、それらの生成量の減少と得られる炭素生成物の品質の低下へとつながる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決すべき技術上の課題は、熱分解による廃タイヤの再処理の際のエネルギー効率を向上する一方で、得られる残留固体炭素の品質の向上にあり、残留固体炭素はゴム産業のカーボンブラックとしての使用に適している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はタイヤ全体の熱分解の方法により解決しており、これらは400℃乃至950℃の温度に加熱され、熱分解する。このプロセスの結果として、熱分解ガス、熱分解ガスとともに運ばれる鉱油蒸気および固体炭素が得られる。熱分解ガスの冷却で鉱油は分離される。熱分解に必要な熱は、熱分解ガスの燃焼で得られる煙道ガスによって供給される。その過程で得られる硫黄酸化物は分離される。
【0007】
本発明によると、本方法の特性は600℃乃至950℃、主に650℃乃至750℃の温度で横切る向流の煙道ガスによってタイヤが直接的に加熱されることであり、この煙道ガスは濃度15%乃至40%、好ましくは18%乃至30%の水蒸気が含まれている。熱分解ガスが得られる過程において、150℃乃至300℃の温度へと冷却され、冷却後に二つの流れへと分けられる。一つの流れは、さらに80℃乃至100℃の温度へと冷却され、その結果その流れに含まれている鉱油の部分が凝縮し、その後、それは他の冷却されていない熱分解ガスの流れと再び混合される。得られるガスは燃焼させられ、熱煙道ガスのみが熱分解に用いられ、冷却後のガスは硫黄酸化物を除去され、大気中へ放出される。得られる固体炭素は、ゴム産業での使用に適しているカーボンブラックに相当する。
【0008】
本発明によると、方法を実現するための設備は、加熱炉チャネルとして形成される水平パイロライザーを具え、タイヤを積載するトロリーがその内部を移動し、当該パイロライザーは可動式のスクリーンによって、加熱および熱分解ゾーンとカーボンブラックの冷却用のゾーンとに分けられる。熱分解ガスを燃焼させるバーナーと、煙道ガスから硫黄酸化物を除去するユニットと、分離した鉱油の凝縮装置もまた具える。
【0009】
本発明によると、本設備の特徴的構成は、パイロライザーが熱的に隔離され、トロリーが垂直のパーティションを有し、それらがレール上に配置され、パイロライザーの壁に密着されていることである。ガスを供給し排出するチャネルと、パイロライザーを通ってガスの向流を可能とするチャネルはその両側に設置される。全てのチャネルはその側壁に均等に配置された穴を介してパイロライザーに接続されている。一つのトロリーの長さ以上の小型の壁が、これらの壁に組み込まれている。加熱および熱分解ゾーンやカーボンブラックの冷却用のゾーンと同様に予熱ゾーン、エアーを吹き込むゾーン、カーボンブラックを分離するゾーンが、小型の壁とトロリーの垂直部により形成されている。冷却された煙道ガスを排出するチャネルは排気管に接続されている。予熱ゾーンで煙道ガスを供給するチャネルは、カーボンブラックの冷却用のゾーンから煙道ガスを排出するチャネルに接続されている。カーボンブラックの冷却用のゾーンの中へ煙道ガスを供給するチャネルは、ガスダクトを通して排気管に接続されている。噴霧器で終端している水の供給パイプラインもまたこのガスダクトに接続されている。熱分解ガスチャネルは、熱分解ガスバルブが設けられているガスダクトを通してバーナーを具える燃焼室に接続されている。直接冷却器と熱交換器を具えた鉱油を分離する凝縮ユニットは、バルブの両側に接続されている。バーナーを具える燃焼室はボイラーに直接接続されており、これがさらに、パイロライザーに熱ガスを供給するチャネルに接続され、同様に接触エコノマイザーにも接続されている。このエコノマイザーは煙道ガスから硫黄酸化物を除去するユニットにも接続されており、これがさらに、排気管に接続されている。設備は空気加湿器も具え、これが第1のファン、バーナーを具える燃焼室および接触エコノマイザーに接続されている。エアーを吹き込むゾーンはエアー供給チャネルを通して第2のエアーファンに接続されている。このゾーンはエアー吹き出し口チャネルにも接続されており、後者は排気管に接続されている。設備を実施するための好ましい形態として、トロリーはフロアと垂直のパーティションと接続された形状を有する。後者はパイロライザーの断面に沿うように形成されており、「ヒンジ」によって接続され、タイバーによって固定されるプレートによってそれに密着される。各トロリーは車輪を具える。トロリーに積載されたタイヤの直径方向の水平軸は、パイロライザーの軸に対して概ね垂直である。タイヤは、好適には延伸した金属板で作成されベアラーによって固定された支柱によって支持される。
【0010】
タイヤ熱分解方法と設備の利点は、タイヤの加熱が直接的にガスによってなされ、壁を通した加熱と比較してエネルギー消費を減らすことにつながることである。混合したガスに水蒸気を加え、パイロライザー内の温度を低下させることは、熱分解により得られる生成物の量や質においてクラッキングという有害な影響を大幅に減らし、そして水蒸気はこの設備内に回収される。パイロライザーへタイヤを供給するために使われるトロリーに、タイヤを破砕しない機関を提供するため、この設備はタイヤ全体の熱分解に特に効率的となる。加熱の結果、タイヤが軟化するとそれらの加熱した表面は減少しない。
【0011】
本発明は添付した図面によって説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明にかかるタイヤの熱分解設備の実施例は、図1に示すように、熱的に隔離された水平加熱炉チャネルに相当するパイロライザー2を具える。トロリー1はその中でレールに沿って進む。この設備はまた、バーナーを具える燃焼室33、ボイラー34、接触エコノマイザー42、空気加湿器40、直接冷却器29、熱交換器24、ファン19、39、56およびポンプ26、38を具える。トロリー1は図2、3に示されているように、フレームを構成する形状から成る。小型のメタルシートで作られたフロア12と、トロリー1の後部に位置する垂直のパーティション50はこのフレームで接続されている。このパーティションはパイロライザー2の断面に沿うように形成されており、トロリー1の移動方向に対して逆方向に傾いたプレート51によってパイロライザーの壁に対して密着される。プレート51は「ヒンジ」によってトロリー1と接続され、タイバーによって固定されている。各トロリー1は車輪52を具える。トロリーはタイヤ49を積載し、これらのタイヤ49の直径方向の水平軸は、パイロライザー2の軸に対して垂直である。タイヤ49は延伸した金属板で作成されパイプで作られるベアラー53によって固定された支柱54に支持される。パイロライザーへガスを供給し、そしてパイロライザーからガスを排出するチャネル4、5、6、8、9、10、11、57は、ガスの向流移動を実現するためのチャネル7と同様に、パイロライザーの側面に設けられる。チャネル4、5、6、7、8、9、10、11、57の高さはパイロライザー2の高さと同じである。これらは、それらのチャネルで共有している壁に設置され、均等に配置された穴を介してパイロライザーに接続されている。隣接したチャネル6、7間や7、8間と同様に、隣接したチャネル7の間に、パイロライザーの壁は小型の壁3として構成される。上述の隣接したチャネル間の距離は、トロリーの長さの1.05倍に等しい。分割されたゾーンは、対向する小型の壁3と垂直部分50とによって構成されパイロライザー2を5つのゾーンに分割している。:予熱ゾーン58、加熱および熱分解ゾーン59、カーボンブラックの冷却用のゾーン60、エアーを吹き込むゾーン61、カーボンブラックを分離するゾーン62である。一枚の小型の壁3と一枚の垂直のパーティション50がタイヤ49を通るガスの流れの変化を生じさせる。カーボンブラックを分離するゾーン62はバンカー13に接続されている。このバンカー13はまた、設備からカーボンブラックを排出するライン17にも接続されている。チャネル4は冷却された煙道ガスの排出の役割を果たし、冷却された煙道ガス用の第2のガスダクト21を通して排気管63に接続されている冷却された煙道ガス用の第1のガスダクト44に接続されている。煙道ガスバルブ45が冷却された煙道ガス用の第1のガスダクト44に取り付けられている。チャネル5はタイヤの予熱ゾーン58へ煙道ガスを供給する役割を果たし、冷却された煙道ガス用の第3のガスダクト14を通してカーボンブラックの冷却用のゾーン60から煙道ガスを排出するチャネル10に接続されている。チャネル9はカーボンブラックの冷却用のゾーン60へ煙道ガスを供給する役割を果たし、冷却された煙道ガス用の第2のガスダクト21の接続部の前で、第4のガスダクト20を通して冷却された煙道ガス用の第1のガスダクト44に接続されている。噴霧器で終端している水供給用の水供給パイプライン64は第4のガスダクト20の端部に接続されている。ファン19は冷却された煙道ガス用の第2のガスダクト21に接続されている。熱分解ガスチャネル6は、第1の熱分解ガスダクト28を通してバーナーを具える燃焼室33に接続されている。熱分解ガスバルブ31と熱分解ガスファン56はバーナーを具える燃焼室33の前でガスダクト28に接続されている。バーナーを具える燃焼室33はボイラー34に直接に接続されている。後者は熱煙道ガス用のガスダクト36を通して、熱煙道ガスをパイロライザーへ供給する役割のチャネル8に接続されている。それぞれ直接冷却器29へ熱分解ガスを供給し排出する役割のガスダクト65と32は、第1の熱分解ガスダクト28に設けられた熱分解ガスバルブ31の両側に接続されている。冷却器29は凝縮油を排出するパイプライン27にも接続されている。パイプライン27はそれぞれ温凝縮油や冷凝縮油を熱交換器へ供給し排出するパイプライン25と30にも接続されている。ポンプ26が温凝縮油の供給パイプライン25に設けられている。冷水を供給し、温水を排出するパイプライン22と23はそれぞれ熱交換器24にも接続されている。空気加湿器40は第1のエアーダクト55を通して第1のエアー供給ファン39に接続されている。これはまた第2のエアーダクト35を通してバーナーを具える燃焼室33と、ウォーターポンプ38が設けられた循環冷却水用のパイプライン37を通して接触エコノマイザー42にも接続されている。それは温水パイプライン41を通してこの装置にも接続されている。接触エコノマイザー42は、煙道ガスバルブ45の手前で、第5の煙道ガスパイプライン43を通して煙道ガスを排出する第1の排気管44にも接続されている。接触エコノマイザー42は、第6の排気管の煙道46を通して、煙道ガスから硫黄酸化物を除去するユニット47にも接続されている。後者は、さらにまた、第7の排気管の煙道48を通して排気管63へ煙道ガスを排出する第1の排気管の煙道44に、煙道ガスバルブ45の後ろであって、排気管の煙道が冷却された煙道ガス用の第4のガスダクト20に接続されている位置の前で接続されている。エアーを吹き込むゾーン61はエアー供給チャネル11を通して第2のエアーダクト16に接続されており、そしてそれを通して第2のエアーファン15に接続されている。それはまた、第3のエアーダクト18に接続されエアーを排出するチャネル57にも接続されている。エアーダクトは、冷却された煙道ガス用の第2の煙道ガスダクト21との接続部より後ろで、煙道ガスを排出する第1の排気管の煙道44に接続されている。
【産業上の利用可能性】
【0013】
上述された設備は以下のように作動する。
【0014】
タイヤ49はあらかじめ洗浄、乾燥させられ、トロリー1の支柱54の上に積載される。積載したトロリーはパイロライザー2の中に送り込まれ、プレート51でその壁に対して密着される。煙道ガスがタイヤ49を積載したトロリー1に横切る流れでパイロライザー2の中へ送られ、パイロライザー2の入り口部分での温度は650℃に保たれる。この煙道ガスは25%の水蒸気を含む。前もって冷却されたガスは、ボイラー34から出ると、熱煙道ガスダクト36に沿って、パイロライザー2へ熱ガスを供給するチャネル8の穴のある壁を通して、タイヤ49に横切る向流で送りこまれる。それらの行程はこの形態に従う:タイヤ49を通りガスチャネル7の第1の通路へと、ガスの向流移動を実現する。このチャネルから、タイヤ49を通って反対側のガスチャネル7を通過して再びガスの向流移動を実現し、さらに、再び最後のチャネル7を通過してガスの向流移動を連続的に実現する。ここからタイヤ49を通り、ガスは熱分解ガス用のチャネル6の中へ入る。ガスがタイヤを通って移動するとき、それらは170℃へと冷える。その温度で、得られる熱分解ガスは、熱分解ガスチャネル6を通り熱分解ガスダクト28を通ってパイロライザー2から離れる。ここから一部のガスが熱分解ガスバルブ31によって直接冷却器29へと流れを変えられ、ここで、循環式の冷却された熱分解油によって85℃へと冷却される。ガスから生じる油の一部は冷却により凝縮し、凝縮油排出用のパイプライン27を通して設備から分離される。処理済のガスは未処理の熱分解ガスと混合され、熱分解ガスファン56を通してバーナーを具える燃焼室33へ供給される。直接冷却器29で凝縮した熱分解油は凝縮油ポンプ26を通して熱交換器24へ供給され、ここで水で間接的に87℃へ冷却される。冷却に使われた水は、冷水供給パイプライン22に沿って熱交換器24へ供給され、80℃でそれからパイプライン23に沿って排出される。ここで用いられた熱は、家庭や地域の暖房目的で利用される。
【0015】
空気加湿器40から第2のエアーダクト35を通して供給され、24%の水蒸気を含み、予熱エアーの流れと混合された熱分解ガスは、バーナーを具える燃焼室33で点火され燃焼させられる。燃焼済の煙道ガスはボイラー34に供給され、ここで水蒸気生成のためにそれらの熱を排出する。燃焼済の煙道ガスの一部が、それらの最終的な冷却の前にボイラー34で分離され、熱煙道ガスダクト36を通してパイロライザー2へ650℃の温度で入る。それらの残りは110℃の温度でボイラー34を離れ、煙道ガスバルブ45により流れを変え、煙道ガスパイプライン43に沿って接触エコノマイザー42へ入る。ここでそれらは循環冷却水により洗浄され、それを67℃へ加熱する。接触エコノマイザーで冷却された煙道ガスは、第6の排気管の煙道46を通して煙道ガスから硫黄酸化物を除去するユニット47へと入り、その後、第7の排気管の煙道48を通り抜け排気管63を通して大気中へと排出される。
【0016】
接触エコノマイザーで加熱された水は空気加湿器へと供給され、それは、第1のエアーファン39から供給される空気の向流の中で熱くなり、空気を66.5℃へと加熱しそれを25%へ加湿する。その温度と水分量で加熱された空気は、第2のエアーダクト35を通してバーナーを具える燃焼室33のバーナーへと供給される。
【0017】
熱分解を受けるために用意されたタイヤ49は、トロリー1に積載され、第1の分離されているゾーンにレールに沿って入る。そこから、それらはタイヤの予熱ゾーン58を通過し、ここでそれらは煙道ガスによって60℃の温度へ加熱される。ここで110℃の温度へ冷却された煙道ガスは、冷却された煙道ガス用の第2のガスダクト21を通して排気管63へ送られる。タイヤの予熱ゾーン58は、対向するスクリーン3の間の第2の分離ゾーンによって、加熱および熱分解ゾーン59から分離されている。熱煙道ガスで処理されると、熱分解ガスへ変わるプロセスの中で、タイヤは熱分解する。このプロセス内で得られる液状の熱分解生成物の蒸気と熱分解ガスは煙道ガスと混合し、熱分解ガスチャネル6を通して熱分解ガスとして排出される。タイヤの生産で加えられそれらに含まれるカーボンブラックや他のフィラーと同様にタイヤのワイヤが、トロリー1に残る。供給される煙道ガスの高温や高水分にさらされ、カーボンブラックが精製され、ゴム製品の生産における二次的利用のためにゴム産業での利用に適するようになる。トロリー1がパイロライザー2を通過すると、それぞれ対応するトロリー1が次の分離ゾーン3に入る。そこから、それはトロリーとカーボンブラックの冷却用のゾーン60を通過し、第4のガスダクト20を通して供給される煙道ガスによって110℃の温度へ冷える。微細に分散した水が、噴霧器で終端しているパイプライン64を通して煙道ガスの冷却を促進するために吹き込まれる。ガスダクト14に沿って95℃の温度に冷却され、これらのガスはタイヤの予熱ゾーン58に入る。
【0018】
第4の分離ゾーン3の次に、トロリー1が第2のエアーファン15によって供給されるエアーを吹き込むゾーン61へと通過する。加熱されたエアーの流れは第3のエアーダクト18を通して排気管63に供給される。冷却されたトロリー1は第5の分離ゾーン3を通過する。そこから、それらはカーボンブラックを分離するゾーン62に入る。ここでトロリーからカーボンブラックが取り除かれてバンカー13へと送り込まれ、そこからワイヤを分離しその後に粉砕するライン17を通して、パイロライザーから排出される。トロリー1は洗浄、乾燥させられたタイヤ49を再度積載し、再びパイロライザー2の中へと供給される。
【0019】
2.2tonのタイヤを処理すると、約770kgのカーボンブラックと水蒸気の形で約9000kWhの熱が得られる。最終生産物として鉱油の一部を抽出すると、得られる熱量は相応じて減少する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明を実施するための形態としての設備のフロー図を示す。
【図2】図2は、トロリーの前面図を示す。
【図3】図3は、トロリーの側面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ全体を熱分解する方法であって、これらは400℃乃至950℃の温度に加熱されて熱分解して、熱分解ガスと、前記熱分解ガスとともに発生する鉱油蒸気と同様に固体炭素を生産し、同時に、前記熱分解ガスの冷却で前記鉱油が分離され、前記熱分解に必要とされる熱は前記熱分解ガスの燃焼で得られる煙道ガスによって供給され、このプロセスの間に得られる酸化物は除去される方法において、前記タイヤは、初期温度が600℃乃至950℃、主に650℃乃至750℃であり濃度15%乃至40%、好ましくは18%乃至30%の水蒸気を含有する、横切る向流である煙道ガスにより直接的に加熱され、同時に熱分解ガスを得て、これを150℃乃至300℃の温度へ冷却し、当該冷却後にこれを二つの流れへと分け、その一方はさらに、含まれている前記鉱油が凝縮する80℃乃至100℃の温度へと冷却され、その後、他方の冷却されていない熱分解ガスの流れと混合され、これで得られた熱分解ガスは燃焼させられ、この熱煙道ガスの一部のみが前記熱分解に用いられ、残った方は、冷却後に硫黄酸化物が除去されて大気中へ放出され、得られた固体炭素がゴム産業での利用に適したカーボンブラックに相当することを特徴とする方法。
【請求項2】
タイヤ全体を熱分解する設備であって、水平加熱炉チャネルとして形成されたパイロライザーを具え、ここにはタイヤを積載する可動式のトロリーと、これを加熱および熱分解ゾーンとカーボンブラックの冷却用のゾーンとに分離する可動式のスクリーンとがあり、前記設備がまた、熱分解ガスを燃焼させるバーナーと、煙道ガスから硫黄酸化物を除去するユニットと、鉱油を分離する凝縮ユニットとを具える設備において、前記パイロライザー(2)が熱的に隔離されており、前記トロリー(1)が垂直のパーティション(50)を有し、これらはレール上に配置され、前記パイロライザーの壁に密着されており、この後者の両側に、ガスを供給および排出するチャネル(4、5、6、8、9、10、11および57)と前記パイロライザー(2)を通ってガスの向流移動を実現するためのチャネル(7)が設置され、全てのチャネルが、パイロライザーの壁側に均等に配置された穴を介して前記パイロライザー(2)に接続され、また小型の壁(3)が前記トロリー(1)の長さ以上でこれらの壁に形成され、これらの対向する小型の壁(3)と前記垂直な壁(50)によって分離ゾーンが形成され、これが前記パイロライザー(2)を加熱および熱分解ゾーン(59)と、前記カーボンブラックの冷却用のゾーン(60)、同様に予熱ゾーン(58)と、エアーを吹き込むゾーン(61)と、前記カーボンブラックを分離するゾーン(62)とに分離しており、前記チャネル(4)は、冷却された煙道ガスを排出するよう排気管(63)に接続されており;前記チャネル(5)は、前記ゾーン(58)への煙道ガスを供給するよう、前記カーボンブラックの冷却用のゾーン(60)から煙道ガスを排出する前記チャネル(10)に接続され、前記チャネル(9)は、前記カーボンブラックの冷却用のゾーン(60)へ煙道ガスを供給するよう、ガスダクトを通して前記排気管(63)に接続され、噴霧器で終端している水供給パイプライン(64)もまた、そのガスダクトに接続され、前記チャネル(6)は、前記熱分解ガス用であり、熱分解ガスバルブ(31)が設けられたガスパイプラインを通してバーナーを具える燃焼室(33)に接続され、前記熱分解ガスバルブの両側に、直接冷却器(29)と熱交換器(24)を具える鉱油を分離する凝縮ユニットが接続され、バーナーを具える前記燃焼室(33)はボイラー(34)に直接接続され、ボイラー(34)の一方は、パイロライザー(2)に熱ガスを供給するチャネル(8)および接触エコノマイザー(42)に接続され、この後者はまた、前記煙道ガスから硫黄酸化物を除去する前記ユニット(47)に接続されており、さらにこれが、前記排気管(63)に接続されており、また、空気加湿器(40)が設けられており、これは第1のファン(39)から前記バーナーを具える燃焼室(33)および前記接触エコノマイザー(42)に接続されており、前記エアーを吹き込むためのゾーン(61)は、前記エアー供給チャネル(11)を通して第2のエアーファン(15)に接続され、他方で、このゾーンはエアーの排出用のチャネル(57)に接続されさらにまた、前記排気管(63)に接続されていることを特徴とする設備。
【請求項3】
請求項2に記載のタイヤ全体を熱分解する設備(請求項1、2にかかる方法の実施)において、前記トロリー(1)はフロア(12)と垂直のパーティション(50)に接続された形状を具え、この後者は前記パイロライザー(2)の断面に沿うように形成され、「ヒンジ」によって接続されタイバーによって固定されるプレート(51)によって前記パイロライザーの壁に密着され、各トロリー(1)は車輪(52)を具え、前記トロリー(1)に積載された前記タイヤ(49)の直径方向の水平軸は、前記パイロライザー(2)の軸に対して概ね垂直であり、前記タイヤ(49)は、好適には延伸した金属板で作成されベアラー(53)によって固定された支柱(54)に支持されていることを特徴とする設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−543981(P2008−543981A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510368(P2008−510368)
【出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【国際出願番号】PCT/BG2006/000010
【国際公開番号】WO2006/119594
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(507366197)
【出願人】(507366245)
【出願人】(507366072)
【Fターム(参考)】