タイヤ空気圧検出装置
【課題】送信機の消費電力の低減により通信時間短縮を図ることができるタイヤ空気圧検出装置を提供する。
【解決手段】タイヤ空気圧に関するデータを含む本データの前に、本データが送信されてくることを示すダミーデータを送信する場合において、ダミーデータを間欠的に送信するようにする。これによりめ、ダミーデータを送信するために必要な電力量を低減できる。その結果、送信機2から受信機3に向けてデータ送信するときに必要な電力量を低減することが可能となる。これにより、送信機2の消費電力の低減による通信時間短縮を図ることができるタイヤ空気圧検出装置とすることが可能となる。
【解決手段】タイヤ空気圧に関するデータを含む本データの前に、本データが送信されてくることを示すダミーデータを送信する場合において、ダミーデータを間欠的に送信するようにする。これによりめ、ダミーデータを送信するために必要な電力量を低減できる。その結果、送信機2から受信機3に向けてデータ送信するときに必要な電力量を低減することが可能となる。これにより、送信機2の消費電力の低減による通信時間短縮を図ることができるタイヤ空気圧検出装置とすることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤが取り付けられた車輪に圧力センサが備えられた送信機を直接取り付け、その圧力センサからの検出信号を送信機から送信し、車体側に取り付けられた受信機によって受信することで、タイヤ空気圧の検出を行うダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置において、車体側の受信機と車輪側の送信機との無線通信に、トランスポンダ方式を用いることが検討されている。
【0003】
トランスポンダ方式は、車体側の電力チャージ用アンテナからチャージ用の電波(以下、チャージ波という)を送ることで送信機(トランスポンダ)の充電用コンデンサへのチャージを行い、充電用コンデンサにデータ送信に必要な電荷量が貯まると、自動的にタイヤ空気圧に関するデータを受信機に向けて返信するものである。このトランスポンダ方式は、送信機に電源となるバッテリを設置する必要がなくなるという利点がある。
【0004】
その反面、トランスポンダ方式では、チャージ波によって充電用コンデンサに電荷を貯められるチャージ可能範囲が非常に狭い。このため、車両走行中、限られたチャージ可能範囲で確実な通信が実現できるように、受信機には送信機から返信されるデータがどのタイミングで来ても受信できるような機能が備えられている。
【0005】
具体的には、受信機側からチャージ波を送信機に向けて間欠送信し、送信機側は充電用コンデンサに一定の電荷量が貯まった後、返信データのヘッド部分にダミーデータを付加して返信している。図11は、チャージ波の送信時間および送信タイミングと返信データの関係を表したタイミングチャートである。
【0006】
この図に示されるように、受信機側では、チャージ波の送信ONがTon時間、送信OFFがToff時間に設定され、送信ONの時にチャージ波を送信して送信機の充電用コンデンサを充電し、送信OFFの時にチャージ波の送信をやめて送信機からの返信データの受信ができるように待ち受け状態となる。このため、送信OFFの期間は、返信データのヘッド部分に付加されたダミーデータを受信したときに、返信データを受信したことを認識できる程度の長さに設定されている。
【0007】
そして、充電用コンデンサに返信データの送信に必要な電荷量が貯まると、送信機から返信データが送信される。このとき、返信データのヘッド部分に付加されたダミーデータのデータ長(以下、ダミーデータ長という)は、チャージ波の送信ONの期間よりも長く設定され、チャージ波とダミーデータの送信が同期してしまって受信機側でダミーデータが受信できなくなる状況が発生しないようにしている。
【特許文献1】特開2006−21746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のようなトランスポンダ方式を適用する場合、通信時間の内訳のうち、送信機が必要な電荷量を充電するのに掛かる時間が支配的となるため、送信機の消費電荷量を削減し、必要な電荷量を下げることが通信時間短縮の一つの課題となる。送信機の消費電荷量は、ダミーデータ長に大きく依存するが、ダミーデータ長は上記のようにチャージ波と重なっても受信機側でダミーデータの受信ができるように設定されており、単純に短くすることはできない。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、送信機の消費電力の低減により通信時間短縮を図ることができるタイヤ空気圧検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明では、受信機(3)にて、チャージ波の送信を行うチャージ波送信時間(Ton)と該送信を行わないチャージ波非送信時間(Toff)とを繰り返し行い、送信機(2)にて、受信機(3)から送信されるチャージ波を受けてチャージ部(22)に電力チャージを行い、チャージ部(22)がタイヤの空気圧に関するデータの送信を行うために必要な電力を蓄えたときに、タイヤの空気圧に関するデータの送信を行うように構成されたタイヤ空気圧検出装置であって、送信機(2)における第1制御部(23a)は、フレームにおけるヘッド部にタイヤ空気圧に関するデータの送信を行うことを示すダミーデータを格納し、フレームのうちのダミーデータを送信するダミー送信時間(Tdon)と該送信を行わないダミー非送信時間(Tdoff)とを繰り返すことによってダミーデータを間欠的に複数回送信したのち、タイヤ空気圧に関するデータを送信することを特徴としている。
【0011】
このように、タイヤ空気圧に関するデータの前に、該データが送信されてくることを示すダミーデータを送信する場合において、ダミーデータを間欠的に送信するようにしている。このため、ダミーデータを送信するために必要な電力量を低減でき、その結果、送信機(2)から受信機(3)に向けてデータ送信するときに必要な電力量を低減することが可能となる。これにより、送信機(2)の消費電力の低減による通信時間短縮を図ることができるタイヤ空気圧検出装置とすることが可能となる。
【0012】
この場合、送信機(2)における第1制御部(23a)は、ダミーデータを受信機(3)が受信したと認識するのに要する時間をダミー検出時間とすると、ダミーデータの送信開始から送信終了までのダミーデータ長をチャージ波の送信を行うチャージ波送信時間(Ton)にダミー検出時間を加算した時間以上に設定することができる。
【0013】
このように、ダミーデータ長をチャージ波の送信を行うチャージ波送信時間(Ton)にダミー検出時間を加算した時間以上に設定すると、チャージ波送信時間(Ton)の経過後に確実にダミー検出時間分、ダミーデータを送信するダミー送信時間(Tdon)がチャージ波の送信を行わないダミー非送信時間(Toff)と重なるようにでき、受信機(3)にダミーデータを受信させることができる。
【0014】
また、受信機(3)における第2制御部(32b)は、チャージ波の送信を行わないチャージ波非送信時間(Toff)を少なくともダミーデータを送信するダミー送信時間(Tdon)の2回分とダミーデータを送信しないダミー非送信時間(Tdoff)の1回分を加算した時間以上に設定することができる。
【0015】
このように、チャージ波の送信を行わないチャージ波非送信時間(Toff)を少なくともダミーデータを送信するダミー送信時間(Tdon)の2回分とダミーデータを送信しないダミー非送信時間(Tdoff)の1回分を加算した時間以上に設定すれば、ダミーデータが送信されたときに、チャージ波非送信時間(Toff)中に少なくとも1回は受信機(3)にダミーデータを受信させることができる。
【0016】
また、受信機(3)における第2制御部(32b)は、チャージ波の送信を予め決めておいた回数繰り返すまでにダミーデータを受信したか否かの判定手段(120、140、150)を有し、該判定手段(120、140、150)にてダミーデータを受信していないと判定された場合に、チャージ送信時間(Ton)もしくはチャージ非送信時間(Toff)を該判定前に対して変更することもできる。
【0017】
このようにすれば、タイヤが回転しても毎回送信機2がチャージ可能範囲に来た時にチャージ波の送信OFFが重なり、送信機2のチャージ部22の充電がほとんど行われなくなるという状況を防止することが可能となる。
【0018】
例えば、受信機(3)における第2制御部(32b)は、判定手段(120、140、150)にてダミーデータを受信していないと判定された場合に、チャージ非送信時間(Toff)を該判定前の複数倍に変更することができる。
【0019】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0021】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す。なお、図1の紙面上方向が車両1の前方、紙面下方向が車両1の後方に一致する。図2に、車両に搭載された状態の送信機2および受信機3の車体側アンテナ31を示す。
【0022】
図1に示すように、タイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送信機2、受信機3および警報部4を備えて構成されている。
【0023】
送信機2は、図2に示すように、車両1における各車輪5a〜5dに取り付けられるもので、車輪5a〜5dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、その検出結果を示す検出信号のデータを送信フレーム内に格納して、受信機3に送信するものである。
【0024】
本実施形態では、送信機2は、受信機3から送信されるチャージ波によって電力チャージを行うというトランスポンダ方式の電力チャージがなされ、チャージされた電力に基づいて駆動される。
【0025】
受信機3は、車両1における車体6側に取り付けられるものであり、図1に示すように、車体側アンテナ31とマイクロコンピュータ32を備えている。車体側アンテナ31は、タイヤの数、すなわち送信機2の数に対応して個数備えられる。各車体側アンテナ31は、車体6のうち各送信機2の位置と対応する場所に設置され、各送信機2から所定間隔離れた位置において車体6に固定される。本実施形態では、図2に示すように、車体側アンテナ31は、各タイヤハウス7に1つずつ搭載されている。
【0026】
そして、受信機3は、図2に示すように、各車体側アンテナ31を介して、それぞれに対応する各送信機2へチャージ波を送信することで、送信機2の電力チャージを行う共に、送信機2から送信される送信フレームを受信し、その中に格納された検出信号に基づいて各種処理や演算等を行うことでタイヤ空気圧を求めるものである。
【0027】
図3(a)、(b)は、これら送信機2と受信機3のブロック構成を示した図である。
【0028】
図3(a)に示すように、送信機2は、センシング部21、チャージ部22、マイクロコンピュータ23、車輪側アンテナ24を備えた構成となっており、車輪側アンテナ24を通じて受信機3からのチャージ波を受け取り、そのチャージ波を電力エネルギーに変換してチャージ部22に蓄えることで作動する。なお、このトランスポンダ方式による電力チャージの基本原理に関しては、バッテリーレスのIDタグ認識等の分野において周知のものであるため、ここでは説明を省略する。
【0029】
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサや温度センサを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力するようになっている。
【0030】
チャージ部22は、車輪側アンテナ24から受け取った電波に基づいて充電を行い、センシング部21やマイクロコンピュータ23への電力供給を行うもので、例えば充電用コンデンサによって構成されている。
【0031】
マイクロコンピュータ23は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のもので、第1制御部としての制御部23aや送受信部23bなどを備え、ROM内に記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行するようになっている。
【0032】
制御部23aは、センシング部21からの検出信号を受け取り、その信号を必要に応じて信号処理したのち、この検出結果を示すデータを本データとして、ダミーデータと共に送信フレーム内に格納し、その後、送受信部23bを通じて送信フレームを受信機3に向けて送信するようになっている。この受信機3に送信フレームを送る処理は、例えば、上記プログラムに従って、送信機2が送信フレームを正常に送信するために必要な電力がチャージ部22に蓄えられたタイミングをトリガとして実行されるようになっている。
【0033】
送受信部23bは、車輪側アンテナ24を通じて、チャージ波を受け取ってチャージ部22および制御部23aに送る入力部としての機能と、制御部23aから送られてきた送信フレームを受信機3に向けて送信する出力部としての機能を果たすものである。なお、本実施形態の場合、この送受信部23bおよび車輪用アンテナ24が送受信手段を構成している。
【0034】
このように構成される送信機2は、例えば、各車輪5a〜5dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、該当する車輪5a〜5dのタイヤ空気圧を検出し、各送信機2に備えられた車輪側アンテナ24を通じて、所定周期毎(例えば、1分毎)の上記タイミングの際に、送信フレームを送信するようになっている。
【0035】
受信機3のアンテナ31は、チャージ波の送信用と送信フレームの受信用を兼ねた共用アンテナとなっている。ここでは共用アンテナとしているが、勿論、これらを別々の構成とすることも可能である。
【0036】
受信機3のマイクロコンピュータ32は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のもので、第2送受信部としての送受信部32aや第2制御部としての制御部32bなどを備え、ROM内に記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行するようになっている。
【0037】
送受信部32aは、各アンテナ31を通じて、制御部32bからのチャージ波を出力する出力部としての機能と、受信された各送信機2から送信されたフレームを入力し、そのフレームを制御部32bに送る入力部としての機能を果たすものである。本実施形態の場合、この送受信部32aおよびアンテナ31が送受信手段を構成している。
【0038】
制御部32bは、送受信部32aが行う各アンテナ31からのチャージ波の出力を制御するようになっている。このチャージ波の出力制御については、後で詳細に説明する。そして、制御部32bは、送受信部32aから送られてきたフレーム内に格納されたダミーデータを受け取ると、送信機2からデータが送られてきたと認識し、その後はチャージ波の出力を停止してフレームの入力を行い、フレーム内に格納された検出信号のデータに基づいて、各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧や温度などを求めると共に、求めたタイヤ空気圧に応じた電気信号を警報部4に出力するようになっている。
【0039】
警報部4は、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置される警報ランプや警告表示器(ディスプレイ)、もしくは警報ブザーによって構成される。この警報部4は、例えば受信機3における制御部32bからタイヤ空気圧の低下を示す信号が送られてくると、その旨を示す警報を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を伝えるようになっている。以上のようにしてタイヤ空気圧検出装置が構成されている。
【0040】
続いて、上記のように構成されるタイヤ空気圧検出装置の作動について、図4〜図6を参照して説明する。
【0041】
図4は、チャージ波の送信ONの時間Tonと送信OFFの時間Toffおよびダミーデータ長の関係を示したタイミングチャートであり、図4(a)が従来の関係を示したもの、図4(b)が本実施形態の関係を示したものである。
【0042】
図4(a)に示すように、従来では、送信機2が送信するフレームのヘッド部に格納されるダミーデータは連続して送信される。このときダミーデータ長は、チャージ波の送信ONの期間Tonよりも長く設定され、チャージ波とダミーデータの送信が同期してしまって受信機3側でダミーデータが受信できなくなる状況が発生しないようにしている。そして、受信機3がダミーデータを検出するために要する時間(以下、ダミー検出時間(例えば、1msec)という)もあるため、その分を考慮して、ダミーデータ長は、チャージ波の送信ONの時間Tonにダミー検出時間を加算した値以上に設定される。
【0043】
なお、ダミーデータの送信は、チャージ波に基づいてチャージ部22がフレームの送信に要する充電量を蓄えたときに開始されるため、チャージ波の送信OFFのときに開始されることはない。このため、仮に、チャージ波の送信ONの開始した瞬間にチャージ部22での充電が完了し、ダミーデータの送信が開始されたとしても、少なくともダミー検出時間分はチャージ波の送信ONのタイミングと重ならないようにできるため、受信機3でダミーデータを検出することが可能である。
【0044】
また、チャージ波の送信OFFの時間Toffは、ダミー検出時間以上である必要がある。そして、従来のようにダミーデータが連続して送信される場合には、チャージ波のON時間終了時点から直ぐにダミーデータの検出が開始されるため、チャージ波の送信OFFの時間Toffはダミー検出時間分あれば良い。
【0045】
従来では、チャージ波の送信ONの時間Tonを例えば10msec、ダミー検出時間を例えば1msecとした場合、ダミーデータ長を時間Tonとダミー検出時間を加算した11msec、チャージ波の送信OFFの時間Toffを例えばダミー検出時間相当の1msecとしている。
【0046】
しかしながら、従来の場合、ダミーデータ長がチャージ波の送信時間にダミー検出時間を加算した値以上という長い期間に設定され、その期間中連続してダミーデータが送信されているため、ダミーデータの送信のために必要な充電量が多くなる。このため、本実施形態では、図4(b)に示すように、ダミーデータが間欠的に送信されるようにし、各回のダミーデータの送信を行う送信ONの時間Tdonがダミー検出時間以上(ここではダミー検出時間分)となるようにし、ダミーデータの最初の送信ONから最後の送信ONまでの時間が従来のダミーデータ長と同等となるようにしている。
【0047】
すなわち、チャージ波の送信ONの時間Tonを例えば10msec、ダミー検出時間を例えば1msecとした場合、ダミーデータ長を時間Tonとダミー検出時間を加算した11msecとし、その間において間欠的に複数回ダミーデータを送信し、各回のダミーデータの送信ONの時間Tdonを1msecにする。
【0048】
また、チャージ波の送信OFFの時間Toffは、ダミー検出時間を考慮して設定されることになるが、本実施形態の場合、ダミーデータが間欠的に送信されているため、チャージ波の送信ON時間終了時点から直ぐにダミーデータの検出が開始されるとは限らない。チャージ波の送信ON時間終了間際にダミーデータの送信が開始された場合、チャージ波の送信OFF中におけるそのダミーデータの送信時間がダミー検出時間を満たさないことになるため、最長でダミーデータを2回分送信する時間を見込んでチャージ波の送信OFFの時間Toffを設定しなければならない。そして、ダミーデータを2回分送信する間に1回ダミーデータの送信OFFの時間Tdoffがあるため、チャージ波の送信OFFの時間Toffは、ダミーデータの送信ONの時間Tdonの2回分(Tdon×2)にダミーデータの送信OFFの時間Tdoffを加算した値(Tdon×2+Tdoff)に設定される。
【0049】
このとき、ダミーデータの送信OFFの時間Tdoffは、ダミーデータの送信を行う送信機2の制御部23aなどの処理能力などに基づいて必然的に決まるかもしれないが、基本的には、どのような長さとされても構わない。例えば、ダミーデータの送信OFFの時間Tdoffを1msecに設定して、送信ONの時間Tdonに対する送信OFFの時間Tdoffが1:1となるようにしても良いし、時間Tdoffをより長い時間に設定することで、上記比が1:2もしくは1:3となるようにしても良い。この送信OFFの時間Tdoffの比率が高くなればなるほど、ダミーデータ長に対するダミーデータの送信ONの時間Tdonが短くなるため、ダミーデータを送信するために要する充電量を少なくすることが可能となる。
【0050】
例えば、本実施形態のように、ダミーデータの送信ONの時間Tdonと送信OFFの時間Tdoffを共に1msecとした場合、ダミーデータ長が11msecであった場合にダミーデータの送信ONが6sec(6回)分あるため、従来に対してダミーデータの送信に要する電力(電荷量)を45%(≒6/11)にすることができる。
【0051】
ただし、ダミーデータの送信OFFの時間Tdoffを長くし過ぎると、その分、チャージ波の送信OFFの時間Toffが長くなり、チャージ波の送信ONの時間Tonに対する送信OFFの時間Toffの比が高くなって、チャージ波に基づいてチャージ部22を充電するために掛かる時間が長くなる。このため、チャージ部22を充電するために掛かる時間とのバランスを考慮した上で、ダミーデータの送信OFFの時間Tdoffを設定するのが好ましい。このため、本実施形態では、例えば、ダミーデータ送信OFFの時間Tdoffを例えば1msecに設定し、チャージ波の送信OFFの時間Toffを3msecに設定している。
【0052】
このようなチャージ波の送信ONの時間Tonと送信OFFの時間Toffおよびダミーデータ長の関係となるように、送信機2および受信機3で図5、図6に示す各処理を実行する。
【0053】
図5は、受信機3における制御部32bが実行するチャージ波の出力制御のフローチャートであり、図6は、送信機2における制御部23aが実行するデータ送信処理のフローチャートである。図5に示すチャージ波の出力制御は、例えば、図示しないイグニッションスイッチがONされたときに予め決められた演算周期毎に実行され、図6に示すデータ送信処理は、例えば、車両走行中であるか停止中であるかなどによって変化する演算周期毎に実行される。なお、受信機3の制御部32bや送信機2の制御部23aでは、ここで示した処理以外にも様々な処理、例えば制御部32bでは受け取ったタイヤ空気圧に関するデータからタイヤ空気圧を演算する処理、制御部23aではタイヤ空気圧に関するデータをフレームに格納する処理などを行っているが、この処理に関しては従来から行われているものであるため、ここでは説明を省略する。
【0054】
まず、受信機3の制御部32bでは、送信機2のチャージ部22への充電を行わせつつ、かつ、送信機2から送られてくるフレームを確実に受信できるように、チャージ波の出力制御を行う。
【0055】
すなわち、図5に示すように、ステップ100では、チャージ波の送信ONを設定する。これにより、時間Ton、例えば10msec連続してチャージ波が出力される。続く、ステップ110では、チャージ波送信OFFを設定すると共に、ダミーデータのモニタを行う。これにより、時間Toff、例えば3msecチャージ波の出力が停止され、その期間中に送信機2からダミーデータが送信しているか否かのモニタを行う。ダミーデータのモニタに関しては、送信機2からフレームが送信されると、それが受信機3のアンテナ31にて受信され、送受信部32aを通じて制御部32bに入力されるようになっているため、その入力状況をモニタすることにより行われる。
【0056】
そして、ステップ120において、ダミーデータの受信が確認されたのであれば、ステップ130に進み、ダミーデーダの受信が確認されていなければ再度チャージ波の送信ONから繰り返す。
【0057】
ステップ130では、本データを受信するために待機状態となる。つまり、ダミーデータを受信したのであれば、それは送信機2が送信したフレームのヘッド部を受信したということであるため、その後にタイヤ空気圧に関するデータを含む本データが送信されてくる。このため、この本データを受信できるように、待機状態、つまり送信機2が送信するフレームがチャージ波によって受信できない状態にならないように、チャージ波の送信を行わない状態とする。
【0058】
一方、送信機2の制御部32bでは、受信機3が出力するチャージ波に基づいてチャージ部22を充電させ、フレームの送信に必要な充電量が貯まったときに、タイヤ空気圧に関するデータを送信するという処理を行う。
【0059】
すなわち、図6に示すように、ステップ200では、チャージ部22の充電量(電荷量)のモニタを行う。例えば、チャージ部22が充電用コンデンサで構成される場合、充電用コンデンサの充電電圧が制御部32bに入力されるようにしておけば、その充電電圧がフレームの送信に必要な電荷量を表していることになる。このため、充電用コンデンサの充電電圧をモニタすることにより、チャージ部22の充電量のモニタを行うことができる。
【0060】
続く、ステップ210では、チャージ部22の充電量がしきい値以上であるか否かを判定する。ここでいうしきい値は、フレームの送信に必要と考えられる値に設定される。充電量がしきい値以上であれば、フレームの送信を行うことができる状態になっていることを示している。
【0061】
このため、ステップ210で肯定判定されればステップ220に進み、否定判定されればステップ200に戻る。そして、ステップ220において、ヘッド部にダミーデータを格納し、かつ、タイヤ空気圧に関するデータをダミーデータの後に格納したフレームを受信機3に向けて送信する。
【0062】
これに伴い、受信機3が送信機2から送信されたフレーム内に格納された本データ、具体的にはタイヤ空気圧を示すデータおよびタイヤ内の温度を示すデータ等を受信すると、制御部32bにおいて、温度を示すデータに基づいて必要に応じて温度補正が成され、タイヤ空気圧が求められる。このとき、求められたタイヤ空気圧が所定のしきい値を下回っていると判定されれば、制御部32bから警報部4にその旨を示す信号が出力され、警報部4にて警報を行う。
【0063】
以上説明した本実施形態のタイヤ空気圧検出装置によれば、タイヤ空気圧に関するデータを含む本データの前に、本データが送信されてくることを示すダミーデータを送信する場合において、ダミーデータを間欠的に送信するようにしている。このため、ダミーデータを送信するために必要な電力量を低減でき、その結果、送信機2から受信機3に向けてデータ送信するときに必要な電力量を低減することが可能となる。これにより、送信機2の消費電力の低減による通信時間短縮を図ることができるタイヤ空気圧検出装置とすることが可能となる。
【0064】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態のタイヤ空気圧検出装置は、第1実施形態に対して受信機3の制御部32bが実行するチャージ波の出力制御の処理を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは異なる部分についてのみ説明する。
【0065】
上記第1実施形態では、送信機2のチャージ部22がチャージ波に基づいて確実に充電され、送信機2からフレームが返信されてくることを前提として説明を行ったが、車両走行中には、タイヤの回転に伴って送信機2も送信することになり、チャージ波による充電が良好に行われないこともあり得る。これについて、図7および図8を参照して説明する。
【0066】
図7は、車輪5a〜5dの回転状態と通信可能範囲の関係を示した模式図であり、図8は、チャージ波の送信タイミングと送信機2のチャージ部22で充電され得る期間の関係を示したタイミングチャートである。これらの図を参照して、車輪5a〜5dの回転状態と通信可能範囲の関係について説明する。
【0067】
図7(a)の矢印で示したように、車輪5a〜5dが回転すると、それに伴って送信機2も回転する。このときの車輪5a〜5dの中心から見た送信機2の高さは、図7(b)に示されるように変動する。そして、車輪5a〜5dの中心からタイヤ最上位置側に引いた鉛直線を中心とする周方向前後の約45度、つまり90度程度の角度範囲がチャージ可能範囲となることから、送信機2の高さが通信可能範囲に入るときをハッチングで示すと、タイヤ1回転中の約1/4程度の僅かな領域となる。この僅かな領域内でチャージを行わなければならない。
【0068】
一方、タイヤの回転周期とチャージ波の送信周期が同期してしまうと、図8に示すように、送信機2がチャージ可能範囲を通過するタイミングとチャージ波の送信OFFの時間Toffが重なってしまうことがあり得る。このような場合、タイヤが回転しても毎回送信機2がチャージ可能範囲に来た時にチャージ波の送信OFFが重なり、送信機2のチャージ部22の充電がほとんど行われなくなる。
【0069】
したがって、このような場合を考慮に入れ、本実施形態では、チャージ波の送信ONを予め決めておいた回数(Na回)行っても受信機3で送信機2から送信されたフレームを受信できなかった場合、チャージ波の送信OFFの時間Toffをずらすという処理を行う。このようにすれば、送信機2がチャージ可能範囲を通過するタイミングとチャージ波の送信OFFの時間Toffとの同期を外すことができ、チャージ部22の充電を確実に行うことが可能となる。
【0070】
図9は、本実施形態の受信機3における制御部32bが実行するチャージ波の出力制御のフローチャートを示したものである。
【0071】
まず、ステップ100、110では、上記第1実施形態と同様に、チャージ波の送信ON、送信OFFの設定およびダミーデータのモニタを行い、ステップ120において、ダミーデータの受信があったか否かの判定を行う。そして、ダミーデータの受信が確認されたのであれば、ステップ130に進んで本データを受信するために待機状態となり、ダミーデーダの受信が確認されていなければステップ140に進む。
【0072】
ステップ140では、制御部32bに内蔵されたカウンタのカウント数Nを1つインクリメントする。これにより、受信機3がチャージ波を送信しても送信機2からフレームが送信されなかった回数が何回あるかがカウントされる。そして、ステップ150において、カウント数Nが予め決められた回数Naになったか否かを判定し、回数Naに至っていなければチャージ波の送信OFF時間の変更ないままステップ100に戻って上記各処理を繰り返し、回数Naに至っていればステップ160に進んでチャージ波の送信OFFの時間Toffの変更処理を行う。
【0073】
ステップ160では、チャージ波の送信OFFの時間Toffの変更処理として、一度だけ時間Toffを通常設定されている値の2倍の大きさ、例えば6msecに設定すると共に、カウント数Nをリセットし、その後、再びステップ100に戻って上記各処理を繰り返す。
【0074】
以上説明した本実施形態のタイヤ空気圧検出装置によれば、上記第1実施形態の効果をられるのに加えて、タイヤが回転しても毎回送信機2がチャージ可能範囲に来た時にチャージ波の送信OFFが重なり、送信機2のチャージ部22の充電がほとんど行われなくなるという状況を防止することが可能となる。
【0075】
参考として、図10中に、本実施形態のように、時間Toffを変更した場合のチャージ波送信タイミングと送信機2のチャージ部22で充電され得る期間の関係を示した。この図に示すように、チャージ波の送信OFFの時間Toffの変更に伴い、送信機2のチャージ部22の充電が行われる時間が長くなっていることが確認できる。
【0076】
なお、ここではチャージ波の送信OFFの時間Toffを通常設定されている値の2倍の大きさに設定するようにしているが、この値は任意である。つまり、送信機2がチャージ可能範囲に来た時にチャージ波の送信OFFが重ならないようにずらせるものであれば、どのような形態を採っても良い。また、時間Toffの変更を行う回数に関しても、1回に限る必要はなく、複数回としても構わない。
【0077】
(他の実施形態)
上記実施形態では、受信機3に取り付けられるアンテナ31が各送信機2に対応した数配置されるタイヤ空気圧検出装置を例に挙げて説明したが、アンテナ31を1つの共通アンテナとしたタイヤ空気圧検出装置についても本発明を適用することが可能である。
【0078】
上記第2実施形態では、チャージ波の送信OFFの時間Toffを通常設定されている値からずらすようにしてるが、チャージ波の送信OFFの期間を変更するだけでなく、チャージ波の送信ONの時間Tonをずらしても、同様の効果を得ることができる。
【0079】
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】車両に搭載された状態の送信機2および受信機3の車体側アンテナ31の様子を示した模式図である。
【図3】図1に示すタイヤ空気圧検出装置の送信機と受信機のブロック構成を示した図である。
【図4】(a)、(b)は、従来と第1実施形態のタイヤ空気圧検出装置それぞれにおけるチャージ波の送信ONの時間Tonと送信OFFの時間Toffおよびダミーデータ長の関係を示したタイミングチャートである。
【図5】受信機3における制御部32bが実行するチャージ波の出力制御のフローチャートである。
【図6】送信機2における制御部23aが実行するデータ送信処理のフローチャートである。
【図7】車輪5a〜5dの回転状態と通信可能範囲の関係を示した模式図である。
【図8】チャージ波の送信タイミングと送信機2のチャージ部22で充電され得る期間の関係を示したタイミングチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態のタイヤ空気圧検出装置に備えられた受信機3における制御部32bが実行するチャージ波の出力制御のフローチャートである。
【図10】図9に示す制御を実行した場合の時間Toffを変更した場合のチャージ波送信タイミングと送信機2のチャージ部22で充電され得る期間の関係を示したタイミングチャートである。
【図11】チャージ波の送信時間および送信タイミングと返信データの関係を表したタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1…車両、2…送信機、3…受信機、4…警報部、5a〜5d…車輪、6…車体、
7…タイヤハウス、21…センシング部、22…チャージ部、
23…マイクロコンピュータ、23a…制御部(第1制御部)、23b…送受信部、
24…車輪側アンテナ、31…車体側アンテナ、32…マイクロコンピュータ、
32a…送受信部、32b…制御部(第2制御部)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤが取り付けられた車輪に圧力センサが備えられた送信機を直接取り付け、その圧力センサからの検出信号を送信機から送信し、車体側に取り付けられた受信機によって受信することで、タイヤ空気圧の検出を行うダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置において、車体側の受信機と車輪側の送信機との無線通信に、トランスポンダ方式を用いることが検討されている。
【0003】
トランスポンダ方式は、車体側の電力チャージ用アンテナからチャージ用の電波(以下、チャージ波という)を送ることで送信機(トランスポンダ)の充電用コンデンサへのチャージを行い、充電用コンデンサにデータ送信に必要な電荷量が貯まると、自動的にタイヤ空気圧に関するデータを受信機に向けて返信するものである。このトランスポンダ方式は、送信機に電源となるバッテリを設置する必要がなくなるという利点がある。
【0004】
その反面、トランスポンダ方式では、チャージ波によって充電用コンデンサに電荷を貯められるチャージ可能範囲が非常に狭い。このため、車両走行中、限られたチャージ可能範囲で確実な通信が実現できるように、受信機には送信機から返信されるデータがどのタイミングで来ても受信できるような機能が備えられている。
【0005】
具体的には、受信機側からチャージ波を送信機に向けて間欠送信し、送信機側は充電用コンデンサに一定の電荷量が貯まった後、返信データのヘッド部分にダミーデータを付加して返信している。図11は、チャージ波の送信時間および送信タイミングと返信データの関係を表したタイミングチャートである。
【0006】
この図に示されるように、受信機側では、チャージ波の送信ONがTon時間、送信OFFがToff時間に設定され、送信ONの時にチャージ波を送信して送信機の充電用コンデンサを充電し、送信OFFの時にチャージ波の送信をやめて送信機からの返信データの受信ができるように待ち受け状態となる。このため、送信OFFの期間は、返信データのヘッド部分に付加されたダミーデータを受信したときに、返信データを受信したことを認識できる程度の長さに設定されている。
【0007】
そして、充電用コンデンサに返信データの送信に必要な電荷量が貯まると、送信機から返信データが送信される。このとき、返信データのヘッド部分に付加されたダミーデータのデータ長(以下、ダミーデータ長という)は、チャージ波の送信ONの期間よりも長く設定され、チャージ波とダミーデータの送信が同期してしまって受信機側でダミーデータが受信できなくなる状況が発生しないようにしている。
【特許文献1】特開2006−21746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のようなトランスポンダ方式を適用する場合、通信時間の内訳のうち、送信機が必要な電荷量を充電するのに掛かる時間が支配的となるため、送信機の消費電荷量を削減し、必要な電荷量を下げることが通信時間短縮の一つの課題となる。送信機の消費電荷量は、ダミーデータ長に大きく依存するが、ダミーデータ長は上記のようにチャージ波と重なっても受信機側でダミーデータの受信ができるように設定されており、単純に短くすることはできない。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、送信機の消費電力の低減により通信時間短縮を図ることができるタイヤ空気圧検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明では、受信機(3)にて、チャージ波の送信を行うチャージ波送信時間(Ton)と該送信を行わないチャージ波非送信時間(Toff)とを繰り返し行い、送信機(2)にて、受信機(3)から送信されるチャージ波を受けてチャージ部(22)に電力チャージを行い、チャージ部(22)がタイヤの空気圧に関するデータの送信を行うために必要な電力を蓄えたときに、タイヤの空気圧に関するデータの送信を行うように構成されたタイヤ空気圧検出装置であって、送信機(2)における第1制御部(23a)は、フレームにおけるヘッド部にタイヤ空気圧に関するデータの送信を行うことを示すダミーデータを格納し、フレームのうちのダミーデータを送信するダミー送信時間(Tdon)と該送信を行わないダミー非送信時間(Tdoff)とを繰り返すことによってダミーデータを間欠的に複数回送信したのち、タイヤ空気圧に関するデータを送信することを特徴としている。
【0011】
このように、タイヤ空気圧に関するデータの前に、該データが送信されてくることを示すダミーデータを送信する場合において、ダミーデータを間欠的に送信するようにしている。このため、ダミーデータを送信するために必要な電力量を低減でき、その結果、送信機(2)から受信機(3)に向けてデータ送信するときに必要な電力量を低減することが可能となる。これにより、送信機(2)の消費電力の低減による通信時間短縮を図ることができるタイヤ空気圧検出装置とすることが可能となる。
【0012】
この場合、送信機(2)における第1制御部(23a)は、ダミーデータを受信機(3)が受信したと認識するのに要する時間をダミー検出時間とすると、ダミーデータの送信開始から送信終了までのダミーデータ長をチャージ波の送信を行うチャージ波送信時間(Ton)にダミー検出時間を加算した時間以上に設定することができる。
【0013】
このように、ダミーデータ長をチャージ波の送信を行うチャージ波送信時間(Ton)にダミー検出時間を加算した時間以上に設定すると、チャージ波送信時間(Ton)の経過後に確実にダミー検出時間分、ダミーデータを送信するダミー送信時間(Tdon)がチャージ波の送信を行わないダミー非送信時間(Toff)と重なるようにでき、受信機(3)にダミーデータを受信させることができる。
【0014】
また、受信機(3)における第2制御部(32b)は、チャージ波の送信を行わないチャージ波非送信時間(Toff)を少なくともダミーデータを送信するダミー送信時間(Tdon)の2回分とダミーデータを送信しないダミー非送信時間(Tdoff)の1回分を加算した時間以上に設定することができる。
【0015】
このように、チャージ波の送信を行わないチャージ波非送信時間(Toff)を少なくともダミーデータを送信するダミー送信時間(Tdon)の2回分とダミーデータを送信しないダミー非送信時間(Tdoff)の1回分を加算した時間以上に設定すれば、ダミーデータが送信されたときに、チャージ波非送信時間(Toff)中に少なくとも1回は受信機(3)にダミーデータを受信させることができる。
【0016】
また、受信機(3)における第2制御部(32b)は、チャージ波の送信を予め決めておいた回数繰り返すまでにダミーデータを受信したか否かの判定手段(120、140、150)を有し、該判定手段(120、140、150)にてダミーデータを受信していないと判定された場合に、チャージ送信時間(Ton)もしくはチャージ非送信時間(Toff)を該判定前に対して変更することもできる。
【0017】
このようにすれば、タイヤが回転しても毎回送信機2がチャージ可能範囲に来た時にチャージ波の送信OFFが重なり、送信機2のチャージ部22の充電がほとんど行われなくなるという状況を防止することが可能となる。
【0018】
例えば、受信機(3)における第2制御部(32b)は、判定手段(120、140、150)にてダミーデータを受信していないと判定された場合に、チャージ非送信時間(Toff)を該判定前の複数倍に変更することができる。
【0019】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0021】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す。なお、図1の紙面上方向が車両1の前方、紙面下方向が車両1の後方に一致する。図2に、車両に搭載された状態の送信機2および受信機3の車体側アンテナ31を示す。
【0022】
図1に示すように、タイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送信機2、受信機3および警報部4を備えて構成されている。
【0023】
送信機2は、図2に示すように、車両1における各車輪5a〜5dに取り付けられるもので、車輪5a〜5dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、その検出結果を示す検出信号のデータを送信フレーム内に格納して、受信機3に送信するものである。
【0024】
本実施形態では、送信機2は、受信機3から送信されるチャージ波によって電力チャージを行うというトランスポンダ方式の電力チャージがなされ、チャージされた電力に基づいて駆動される。
【0025】
受信機3は、車両1における車体6側に取り付けられるものであり、図1に示すように、車体側アンテナ31とマイクロコンピュータ32を備えている。車体側アンテナ31は、タイヤの数、すなわち送信機2の数に対応して個数備えられる。各車体側アンテナ31は、車体6のうち各送信機2の位置と対応する場所に設置され、各送信機2から所定間隔離れた位置において車体6に固定される。本実施形態では、図2に示すように、車体側アンテナ31は、各タイヤハウス7に1つずつ搭載されている。
【0026】
そして、受信機3は、図2に示すように、各車体側アンテナ31を介して、それぞれに対応する各送信機2へチャージ波を送信することで、送信機2の電力チャージを行う共に、送信機2から送信される送信フレームを受信し、その中に格納された検出信号に基づいて各種処理や演算等を行うことでタイヤ空気圧を求めるものである。
【0027】
図3(a)、(b)は、これら送信機2と受信機3のブロック構成を示した図である。
【0028】
図3(a)に示すように、送信機2は、センシング部21、チャージ部22、マイクロコンピュータ23、車輪側アンテナ24を備えた構成となっており、車輪側アンテナ24を通じて受信機3からのチャージ波を受け取り、そのチャージ波を電力エネルギーに変換してチャージ部22に蓄えることで作動する。なお、このトランスポンダ方式による電力チャージの基本原理に関しては、バッテリーレスのIDタグ認識等の分野において周知のものであるため、ここでは説明を省略する。
【0029】
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサや温度センサを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力するようになっている。
【0030】
チャージ部22は、車輪側アンテナ24から受け取った電波に基づいて充電を行い、センシング部21やマイクロコンピュータ23への電力供給を行うもので、例えば充電用コンデンサによって構成されている。
【0031】
マイクロコンピュータ23は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のもので、第1制御部としての制御部23aや送受信部23bなどを備え、ROM内に記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行するようになっている。
【0032】
制御部23aは、センシング部21からの検出信号を受け取り、その信号を必要に応じて信号処理したのち、この検出結果を示すデータを本データとして、ダミーデータと共に送信フレーム内に格納し、その後、送受信部23bを通じて送信フレームを受信機3に向けて送信するようになっている。この受信機3に送信フレームを送る処理は、例えば、上記プログラムに従って、送信機2が送信フレームを正常に送信するために必要な電力がチャージ部22に蓄えられたタイミングをトリガとして実行されるようになっている。
【0033】
送受信部23bは、車輪側アンテナ24を通じて、チャージ波を受け取ってチャージ部22および制御部23aに送る入力部としての機能と、制御部23aから送られてきた送信フレームを受信機3に向けて送信する出力部としての機能を果たすものである。なお、本実施形態の場合、この送受信部23bおよび車輪用アンテナ24が送受信手段を構成している。
【0034】
このように構成される送信機2は、例えば、各車輪5a〜5dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、該当する車輪5a〜5dのタイヤ空気圧を検出し、各送信機2に備えられた車輪側アンテナ24を通じて、所定周期毎(例えば、1分毎)の上記タイミングの際に、送信フレームを送信するようになっている。
【0035】
受信機3のアンテナ31は、チャージ波の送信用と送信フレームの受信用を兼ねた共用アンテナとなっている。ここでは共用アンテナとしているが、勿論、これらを別々の構成とすることも可能である。
【0036】
受信機3のマイクロコンピュータ32は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のもので、第2送受信部としての送受信部32aや第2制御部としての制御部32bなどを備え、ROM内に記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行するようになっている。
【0037】
送受信部32aは、各アンテナ31を通じて、制御部32bからのチャージ波を出力する出力部としての機能と、受信された各送信機2から送信されたフレームを入力し、そのフレームを制御部32bに送る入力部としての機能を果たすものである。本実施形態の場合、この送受信部32aおよびアンテナ31が送受信手段を構成している。
【0038】
制御部32bは、送受信部32aが行う各アンテナ31からのチャージ波の出力を制御するようになっている。このチャージ波の出力制御については、後で詳細に説明する。そして、制御部32bは、送受信部32aから送られてきたフレーム内に格納されたダミーデータを受け取ると、送信機2からデータが送られてきたと認識し、その後はチャージ波の出力を停止してフレームの入力を行い、フレーム内に格納された検出信号のデータに基づいて、各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧や温度などを求めると共に、求めたタイヤ空気圧に応じた電気信号を警報部4に出力するようになっている。
【0039】
警報部4は、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置される警報ランプや警告表示器(ディスプレイ)、もしくは警報ブザーによって構成される。この警報部4は、例えば受信機3における制御部32bからタイヤ空気圧の低下を示す信号が送られてくると、その旨を示す警報を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を伝えるようになっている。以上のようにしてタイヤ空気圧検出装置が構成されている。
【0040】
続いて、上記のように構成されるタイヤ空気圧検出装置の作動について、図4〜図6を参照して説明する。
【0041】
図4は、チャージ波の送信ONの時間Tonと送信OFFの時間Toffおよびダミーデータ長の関係を示したタイミングチャートであり、図4(a)が従来の関係を示したもの、図4(b)が本実施形態の関係を示したものである。
【0042】
図4(a)に示すように、従来では、送信機2が送信するフレームのヘッド部に格納されるダミーデータは連続して送信される。このときダミーデータ長は、チャージ波の送信ONの期間Tonよりも長く設定され、チャージ波とダミーデータの送信が同期してしまって受信機3側でダミーデータが受信できなくなる状況が発生しないようにしている。そして、受信機3がダミーデータを検出するために要する時間(以下、ダミー検出時間(例えば、1msec)という)もあるため、その分を考慮して、ダミーデータ長は、チャージ波の送信ONの時間Tonにダミー検出時間を加算した値以上に設定される。
【0043】
なお、ダミーデータの送信は、チャージ波に基づいてチャージ部22がフレームの送信に要する充電量を蓄えたときに開始されるため、チャージ波の送信OFFのときに開始されることはない。このため、仮に、チャージ波の送信ONの開始した瞬間にチャージ部22での充電が完了し、ダミーデータの送信が開始されたとしても、少なくともダミー検出時間分はチャージ波の送信ONのタイミングと重ならないようにできるため、受信機3でダミーデータを検出することが可能である。
【0044】
また、チャージ波の送信OFFの時間Toffは、ダミー検出時間以上である必要がある。そして、従来のようにダミーデータが連続して送信される場合には、チャージ波のON時間終了時点から直ぐにダミーデータの検出が開始されるため、チャージ波の送信OFFの時間Toffはダミー検出時間分あれば良い。
【0045】
従来では、チャージ波の送信ONの時間Tonを例えば10msec、ダミー検出時間を例えば1msecとした場合、ダミーデータ長を時間Tonとダミー検出時間を加算した11msec、チャージ波の送信OFFの時間Toffを例えばダミー検出時間相当の1msecとしている。
【0046】
しかしながら、従来の場合、ダミーデータ長がチャージ波の送信時間にダミー検出時間を加算した値以上という長い期間に設定され、その期間中連続してダミーデータが送信されているため、ダミーデータの送信のために必要な充電量が多くなる。このため、本実施形態では、図4(b)に示すように、ダミーデータが間欠的に送信されるようにし、各回のダミーデータの送信を行う送信ONの時間Tdonがダミー検出時間以上(ここではダミー検出時間分)となるようにし、ダミーデータの最初の送信ONから最後の送信ONまでの時間が従来のダミーデータ長と同等となるようにしている。
【0047】
すなわち、チャージ波の送信ONの時間Tonを例えば10msec、ダミー検出時間を例えば1msecとした場合、ダミーデータ長を時間Tonとダミー検出時間を加算した11msecとし、その間において間欠的に複数回ダミーデータを送信し、各回のダミーデータの送信ONの時間Tdonを1msecにする。
【0048】
また、チャージ波の送信OFFの時間Toffは、ダミー検出時間を考慮して設定されることになるが、本実施形態の場合、ダミーデータが間欠的に送信されているため、チャージ波の送信ON時間終了時点から直ぐにダミーデータの検出が開始されるとは限らない。チャージ波の送信ON時間終了間際にダミーデータの送信が開始された場合、チャージ波の送信OFF中におけるそのダミーデータの送信時間がダミー検出時間を満たさないことになるため、最長でダミーデータを2回分送信する時間を見込んでチャージ波の送信OFFの時間Toffを設定しなければならない。そして、ダミーデータを2回分送信する間に1回ダミーデータの送信OFFの時間Tdoffがあるため、チャージ波の送信OFFの時間Toffは、ダミーデータの送信ONの時間Tdonの2回分(Tdon×2)にダミーデータの送信OFFの時間Tdoffを加算した値(Tdon×2+Tdoff)に設定される。
【0049】
このとき、ダミーデータの送信OFFの時間Tdoffは、ダミーデータの送信を行う送信機2の制御部23aなどの処理能力などに基づいて必然的に決まるかもしれないが、基本的には、どのような長さとされても構わない。例えば、ダミーデータの送信OFFの時間Tdoffを1msecに設定して、送信ONの時間Tdonに対する送信OFFの時間Tdoffが1:1となるようにしても良いし、時間Tdoffをより長い時間に設定することで、上記比が1:2もしくは1:3となるようにしても良い。この送信OFFの時間Tdoffの比率が高くなればなるほど、ダミーデータ長に対するダミーデータの送信ONの時間Tdonが短くなるため、ダミーデータを送信するために要する充電量を少なくすることが可能となる。
【0050】
例えば、本実施形態のように、ダミーデータの送信ONの時間Tdonと送信OFFの時間Tdoffを共に1msecとした場合、ダミーデータ長が11msecであった場合にダミーデータの送信ONが6sec(6回)分あるため、従来に対してダミーデータの送信に要する電力(電荷量)を45%(≒6/11)にすることができる。
【0051】
ただし、ダミーデータの送信OFFの時間Tdoffを長くし過ぎると、その分、チャージ波の送信OFFの時間Toffが長くなり、チャージ波の送信ONの時間Tonに対する送信OFFの時間Toffの比が高くなって、チャージ波に基づいてチャージ部22を充電するために掛かる時間が長くなる。このため、チャージ部22を充電するために掛かる時間とのバランスを考慮した上で、ダミーデータの送信OFFの時間Tdoffを設定するのが好ましい。このため、本実施形態では、例えば、ダミーデータ送信OFFの時間Tdoffを例えば1msecに設定し、チャージ波の送信OFFの時間Toffを3msecに設定している。
【0052】
このようなチャージ波の送信ONの時間Tonと送信OFFの時間Toffおよびダミーデータ長の関係となるように、送信機2および受信機3で図5、図6に示す各処理を実行する。
【0053】
図5は、受信機3における制御部32bが実行するチャージ波の出力制御のフローチャートであり、図6は、送信機2における制御部23aが実行するデータ送信処理のフローチャートである。図5に示すチャージ波の出力制御は、例えば、図示しないイグニッションスイッチがONされたときに予め決められた演算周期毎に実行され、図6に示すデータ送信処理は、例えば、車両走行中であるか停止中であるかなどによって変化する演算周期毎に実行される。なお、受信機3の制御部32bや送信機2の制御部23aでは、ここで示した処理以外にも様々な処理、例えば制御部32bでは受け取ったタイヤ空気圧に関するデータからタイヤ空気圧を演算する処理、制御部23aではタイヤ空気圧に関するデータをフレームに格納する処理などを行っているが、この処理に関しては従来から行われているものであるため、ここでは説明を省略する。
【0054】
まず、受信機3の制御部32bでは、送信機2のチャージ部22への充電を行わせつつ、かつ、送信機2から送られてくるフレームを確実に受信できるように、チャージ波の出力制御を行う。
【0055】
すなわち、図5に示すように、ステップ100では、チャージ波の送信ONを設定する。これにより、時間Ton、例えば10msec連続してチャージ波が出力される。続く、ステップ110では、チャージ波送信OFFを設定すると共に、ダミーデータのモニタを行う。これにより、時間Toff、例えば3msecチャージ波の出力が停止され、その期間中に送信機2からダミーデータが送信しているか否かのモニタを行う。ダミーデータのモニタに関しては、送信機2からフレームが送信されると、それが受信機3のアンテナ31にて受信され、送受信部32aを通じて制御部32bに入力されるようになっているため、その入力状況をモニタすることにより行われる。
【0056】
そして、ステップ120において、ダミーデータの受信が確認されたのであれば、ステップ130に進み、ダミーデーダの受信が確認されていなければ再度チャージ波の送信ONから繰り返す。
【0057】
ステップ130では、本データを受信するために待機状態となる。つまり、ダミーデータを受信したのであれば、それは送信機2が送信したフレームのヘッド部を受信したということであるため、その後にタイヤ空気圧に関するデータを含む本データが送信されてくる。このため、この本データを受信できるように、待機状態、つまり送信機2が送信するフレームがチャージ波によって受信できない状態にならないように、チャージ波の送信を行わない状態とする。
【0058】
一方、送信機2の制御部32bでは、受信機3が出力するチャージ波に基づいてチャージ部22を充電させ、フレームの送信に必要な充電量が貯まったときに、タイヤ空気圧に関するデータを送信するという処理を行う。
【0059】
すなわち、図6に示すように、ステップ200では、チャージ部22の充電量(電荷量)のモニタを行う。例えば、チャージ部22が充電用コンデンサで構成される場合、充電用コンデンサの充電電圧が制御部32bに入力されるようにしておけば、その充電電圧がフレームの送信に必要な電荷量を表していることになる。このため、充電用コンデンサの充電電圧をモニタすることにより、チャージ部22の充電量のモニタを行うことができる。
【0060】
続く、ステップ210では、チャージ部22の充電量がしきい値以上であるか否かを判定する。ここでいうしきい値は、フレームの送信に必要と考えられる値に設定される。充電量がしきい値以上であれば、フレームの送信を行うことができる状態になっていることを示している。
【0061】
このため、ステップ210で肯定判定されればステップ220に進み、否定判定されればステップ200に戻る。そして、ステップ220において、ヘッド部にダミーデータを格納し、かつ、タイヤ空気圧に関するデータをダミーデータの後に格納したフレームを受信機3に向けて送信する。
【0062】
これに伴い、受信機3が送信機2から送信されたフレーム内に格納された本データ、具体的にはタイヤ空気圧を示すデータおよびタイヤ内の温度を示すデータ等を受信すると、制御部32bにおいて、温度を示すデータに基づいて必要に応じて温度補正が成され、タイヤ空気圧が求められる。このとき、求められたタイヤ空気圧が所定のしきい値を下回っていると判定されれば、制御部32bから警報部4にその旨を示す信号が出力され、警報部4にて警報を行う。
【0063】
以上説明した本実施形態のタイヤ空気圧検出装置によれば、タイヤ空気圧に関するデータを含む本データの前に、本データが送信されてくることを示すダミーデータを送信する場合において、ダミーデータを間欠的に送信するようにしている。このため、ダミーデータを送信するために必要な電力量を低減でき、その結果、送信機2から受信機3に向けてデータ送信するときに必要な電力量を低減することが可能となる。これにより、送信機2の消費電力の低減による通信時間短縮を図ることができるタイヤ空気圧検出装置とすることが可能となる。
【0064】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態のタイヤ空気圧検出装置は、第1実施形態に対して受信機3の制御部32bが実行するチャージ波の出力制御の処理を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは異なる部分についてのみ説明する。
【0065】
上記第1実施形態では、送信機2のチャージ部22がチャージ波に基づいて確実に充電され、送信機2からフレームが返信されてくることを前提として説明を行ったが、車両走行中には、タイヤの回転に伴って送信機2も送信することになり、チャージ波による充電が良好に行われないこともあり得る。これについて、図7および図8を参照して説明する。
【0066】
図7は、車輪5a〜5dの回転状態と通信可能範囲の関係を示した模式図であり、図8は、チャージ波の送信タイミングと送信機2のチャージ部22で充電され得る期間の関係を示したタイミングチャートである。これらの図を参照して、車輪5a〜5dの回転状態と通信可能範囲の関係について説明する。
【0067】
図7(a)の矢印で示したように、車輪5a〜5dが回転すると、それに伴って送信機2も回転する。このときの車輪5a〜5dの中心から見た送信機2の高さは、図7(b)に示されるように変動する。そして、車輪5a〜5dの中心からタイヤ最上位置側に引いた鉛直線を中心とする周方向前後の約45度、つまり90度程度の角度範囲がチャージ可能範囲となることから、送信機2の高さが通信可能範囲に入るときをハッチングで示すと、タイヤ1回転中の約1/4程度の僅かな領域となる。この僅かな領域内でチャージを行わなければならない。
【0068】
一方、タイヤの回転周期とチャージ波の送信周期が同期してしまうと、図8に示すように、送信機2がチャージ可能範囲を通過するタイミングとチャージ波の送信OFFの時間Toffが重なってしまうことがあり得る。このような場合、タイヤが回転しても毎回送信機2がチャージ可能範囲に来た時にチャージ波の送信OFFが重なり、送信機2のチャージ部22の充電がほとんど行われなくなる。
【0069】
したがって、このような場合を考慮に入れ、本実施形態では、チャージ波の送信ONを予め決めておいた回数(Na回)行っても受信機3で送信機2から送信されたフレームを受信できなかった場合、チャージ波の送信OFFの時間Toffをずらすという処理を行う。このようにすれば、送信機2がチャージ可能範囲を通過するタイミングとチャージ波の送信OFFの時間Toffとの同期を外すことができ、チャージ部22の充電を確実に行うことが可能となる。
【0070】
図9は、本実施形態の受信機3における制御部32bが実行するチャージ波の出力制御のフローチャートを示したものである。
【0071】
まず、ステップ100、110では、上記第1実施形態と同様に、チャージ波の送信ON、送信OFFの設定およびダミーデータのモニタを行い、ステップ120において、ダミーデータの受信があったか否かの判定を行う。そして、ダミーデータの受信が確認されたのであれば、ステップ130に進んで本データを受信するために待機状態となり、ダミーデーダの受信が確認されていなければステップ140に進む。
【0072】
ステップ140では、制御部32bに内蔵されたカウンタのカウント数Nを1つインクリメントする。これにより、受信機3がチャージ波を送信しても送信機2からフレームが送信されなかった回数が何回あるかがカウントされる。そして、ステップ150において、カウント数Nが予め決められた回数Naになったか否かを判定し、回数Naに至っていなければチャージ波の送信OFF時間の変更ないままステップ100に戻って上記各処理を繰り返し、回数Naに至っていればステップ160に進んでチャージ波の送信OFFの時間Toffの変更処理を行う。
【0073】
ステップ160では、チャージ波の送信OFFの時間Toffの変更処理として、一度だけ時間Toffを通常設定されている値の2倍の大きさ、例えば6msecに設定すると共に、カウント数Nをリセットし、その後、再びステップ100に戻って上記各処理を繰り返す。
【0074】
以上説明した本実施形態のタイヤ空気圧検出装置によれば、上記第1実施形態の効果をられるのに加えて、タイヤが回転しても毎回送信機2がチャージ可能範囲に来た時にチャージ波の送信OFFが重なり、送信機2のチャージ部22の充電がほとんど行われなくなるという状況を防止することが可能となる。
【0075】
参考として、図10中に、本実施形態のように、時間Toffを変更した場合のチャージ波送信タイミングと送信機2のチャージ部22で充電され得る期間の関係を示した。この図に示すように、チャージ波の送信OFFの時間Toffの変更に伴い、送信機2のチャージ部22の充電が行われる時間が長くなっていることが確認できる。
【0076】
なお、ここではチャージ波の送信OFFの時間Toffを通常設定されている値の2倍の大きさに設定するようにしているが、この値は任意である。つまり、送信機2がチャージ可能範囲に来た時にチャージ波の送信OFFが重ならないようにずらせるものであれば、どのような形態を採っても良い。また、時間Toffの変更を行う回数に関しても、1回に限る必要はなく、複数回としても構わない。
【0077】
(他の実施形態)
上記実施形態では、受信機3に取り付けられるアンテナ31が各送信機2に対応した数配置されるタイヤ空気圧検出装置を例に挙げて説明したが、アンテナ31を1つの共通アンテナとしたタイヤ空気圧検出装置についても本発明を適用することが可能である。
【0078】
上記第2実施形態では、チャージ波の送信OFFの時間Toffを通常設定されている値からずらすようにしてるが、チャージ波の送信OFFの期間を変更するだけでなく、チャージ波の送信ONの時間Tonをずらしても、同様の効果を得ることができる。
【0079】
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】車両に搭載された状態の送信機2および受信機3の車体側アンテナ31の様子を示した模式図である。
【図3】図1に示すタイヤ空気圧検出装置の送信機と受信機のブロック構成を示した図である。
【図4】(a)、(b)は、従来と第1実施形態のタイヤ空気圧検出装置それぞれにおけるチャージ波の送信ONの時間Tonと送信OFFの時間Toffおよびダミーデータ長の関係を示したタイミングチャートである。
【図5】受信機3における制御部32bが実行するチャージ波の出力制御のフローチャートである。
【図6】送信機2における制御部23aが実行するデータ送信処理のフローチャートである。
【図7】車輪5a〜5dの回転状態と通信可能範囲の関係を示した模式図である。
【図8】チャージ波の送信タイミングと送信機2のチャージ部22で充電され得る期間の関係を示したタイミングチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態のタイヤ空気圧検出装置に備えられた受信機3における制御部32bが実行するチャージ波の出力制御のフローチャートである。
【図10】図9に示す制御を実行した場合の時間Toffを変更した場合のチャージ波送信タイミングと送信機2のチャージ部22で充電され得る期間の関係を示したタイミングチャートである。
【図11】チャージ波の送信時間および送信タイミングと返信データの関係を表したタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1…車両、2…送信機、3…受信機、4…警報部、5a〜5d…車輪、6…車体、
7…タイヤハウス、21…センシング部、22…チャージ部、
23…マイクロコンピュータ、23a…制御部(第1制御部)、23b…送受信部、
24…車輪側アンテナ、31…車体側アンテナ、32…マイクロコンピュータ、
32a…送受信部、32b…制御部(第2制御部)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを備えた複数個の車輪(5a〜5d)それぞれに備えられ、前記複数個の車輪(5a〜5d)それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧に応じた検出信号を出力するセンシング部(21)と、前記センシング部(21)の検出信号を信号処理して前記タイヤの空気圧に関するデータを得てフレームに格納する第1制御部(23a)と、前記第1制御部(23a)が得た前記タイヤの空気圧に関するデータを含む前記フレームの送信を行うと共に電力チャージ用のチャージ波の受信を行う送受信手段(23b、24)と、前記チャージ波を受けて電力チャージを行うチャージ部(22)とを備えた送信機(2)と、
車体(6)側に備えられ、前記フレームの受信を行うと共に前記チャージ波の送信を行う送受信手段(31、32a)と、前記チャージ波の送信タイミングを制御すると共に、前記フレーム内の前記タイヤの空気圧に関するデータに基づいて前記複数個の車輪(5a〜5d)それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧を求める第2制御部(32b)を備えた受信機(3)とを備え、
前記受信機(3)にて、前記チャージ波の送信を行うチャージ波送信時間(Ton)と該送信を行わないチャージ波非送信時間(Toff)とを繰り返し行い、
前記送信機(2)にて、前記受信機(3)から送信されるチャージ波を受けて前記チャージ部(22)に電力チャージを行い、前記チャージ部(22)が前記タイヤの空気圧に関するデータの送信を行うために必要な電力を蓄えたときに、前記タイヤの空気圧に関するデータの送信を行うように構成されたタイヤ空気圧検出装置であって、
前記送信機(2)における前記第1制御部(23a)は、前記フレームにおけるヘッド部に前記タイヤ空気圧に関するデータの送信を行うことを示すダミーデータを格納し、前記フレームのうちの前記ダミーデータを送信するダミー送信時間(Tdon)と該送信を行わないダミー非送信時間(Tdoff)とを繰り返すことによって前記ダミーデータを間欠的に複数回送信したのち、前記タイヤ空気圧に関するデータを送信することを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。
【請求項2】
前記送信機(2)における前記第1制御部(23a)は、前記ダミーデータを前記受信機(3)が受信したと認識するのに要する時間をダミー検出時間とすると、前記ダミーデータの送信開始から送信終了までのダミーデータ長を前記チャージ波の送信を行うチャージ波送信時間(Ton)に前記ダミー検出時間を加算した時間以上に設定することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項3】
前記受信機(3)における前記第2制御部(32b)は、前記チャージ波の送信を行わないチャージ波非送信時間(Toff)を少なくとも前記ダミーデータを送信するダミー送信時間(Tdon)の2回分と前記ダミーデータを送信しないダミー非送信時間(Tdoff)の1回分を加算した時間以上に設定することを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項4】
前記受信機(3)における前記第2制御部(32b)は、前記チャージ波の送信を予め決めておいた回数繰り返すまでに前記ダミーデータを受信したか否かの判定手段(120、140、150)を有し、該判定手段(120、140、150)にて前記ダミーデータを受信していないと判定された場合に、前記チャージ送信時間(Ton)もしくは前記チャージ非送信時間(Toff)を該判定前に対して変更することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項5】
前記受信機(3)における前記第2制御部(32b)は、前記判定手段(120、140、150)にて前記ダミーデータを受信していないと判定された場合に、前記チャージ非送信時間(Toff)を該判定前の複数倍に変更することを特徴とする請求項4に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項1】
タイヤを備えた複数個の車輪(5a〜5d)それぞれに備えられ、前記複数個の車輪(5a〜5d)それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧に応じた検出信号を出力するセンシング部(21)と、前記センシング部(21)の検出信号を信号処理して前記タイヤの空気圧に関するデータを得てフレームに格納する第1制御部(23a)と、前記第1制御部(23a)が得た前記タイヤの空気圧に関するデータを含む前記フレームの送信を行うと共に電力チャージ用のチャージ波の受信を行う送受信手段(23b、24)と、前記チャージ波を受けて電力チャージを行うチャージ部(22)とを備えた送信機(2)と、
車体(6)側に備えられ、前記フレームの受信を行うと共に前記チャージ波の送信を行う送受信手段(31、32a)と、前記チャージ波の送信タイミングを制御すると共に、前記フレーム内の前記タイヤの空気圧に関するデータに基づいて前記複数個の車輪(5a〜5d)それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧を求める第2制御部(32b)を備えた受信機(3)とを備え、
前記受信機(3)にて、前記チャージ波の送信を行うチャージ波送信時間(Ton)と該送信を行わないチャージ波非送信時間(Toff)とを繰り返し行い、
前記送信機(2)にて、前記受信機(3)から送信されるチャージ波を受けて前記チャージ部(22)に電力チャージを行い、前記チャージ部(22)が前記タイヤの空気圧に関するデータの送信を行うために必要な電力を蓄えたときに、前記タイヤの空気圧に関するデータの送信を行うように構成されたタイヤ空気圧検出装置であって、
前記送信機(2)における前記第1制御部(23a)は、前記フレームにおけるヘッド部に前記タイヤ空気圧に関するデータの送信を行うことを示すダミーデータを格納し、前記フレームのうちの前記ダミーデータを送信するダミー送信時間(Tdon)と該送信を行わないダミー非送信時間(Tdoff)とを繰り返すことによって前記ダミーデータを間欠的に複数回送信したのち、前記タイヤ空気圧に関するデータを送信することを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。
【請求項2】
前記送信機(2)における前記第1制御部(23a)は、前記ダミーデータを前記受信機(3)が受信したと認識するのに要する時間をダミー検出時間とすると、前記ダミーデータの送信開始から送信終了までのダミーデータ長を前記チャージ波の送信を行うチャージ波送信時間(Ton)に前記ダミー検出時間を加算した時間以上に設定することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項3】
前記受信機(3)における前記第2制御部(32b)は、前記チャージ波の送信を行わないチャージ波非送信時間(Toff)を少なくとも前記ダミーデータを送信するダミー送信時間(Tdon)の2回分と前記ダミーデータを送信しないダミー非送信時間(Tdoff)の1回分を加算した時間以上に設定することを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項4】
前記受信機(3)における前記第2制御部(32b)は、前記チャージ波の送信を予め決めておいた回数繰り返すまでに前記ダミーデータを受信したか否かの判定手段(120、140、150)を有し、該判定手段(120、140、150)にて前記ダミーデータを受信していないと判定された場合に、前記チャージ送信時間(Ton)もしくは前記チャージ非送信時間(Toff)を該判定前に対して変更することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項5】
前記受信機(3)における前記第2制御部(32b)は、前記判定手段(120、140、150)にて前記ダミーデータを受信していないと判定された場合に、前記チャージ非送信時間(Toff)を該判定前の複数倍に変更することを特徴とする請求項4に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−302188(P2007−302188A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135065(P2006−135065)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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