説明

タイヤ空気圧監視システム

【課題】車両環境に変化が生じた場合であれ、各車輪のタイヤの空気圧を適切に監視することのできるタイヤ空気圧監視システムを提供する。
【解決手段】このタイヤ空気圧監視システムでは、各車輪W1〜W4にそれぞれ設けられて無線信号を送信するセンサユニットU1〜U4と、監視装置1との間で無線信号の受信の授受が行われる。監視装置1は、受信アンテナ10aを介して無線信号を受信した際の受信信号強度に基づいて無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定するとともに、その判定結果、及び無線信号に含まれる空気圧の情報に基づき各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧を監視する。ここでは、受信信号強度に基づいてセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定することができないとき、指向性変更部12を通じて受信アンテナ10aの指向性を変更し、センサユニットの設けられている車輪の位置を再判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のタイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)としては、例えば特許文献1に記載のシステムが知られている。この特許文献1に記載のタイヤ空気圧監視システムでは、タイヤの空気圧を検出するセンサユニットを車両の各車輪にそれぞれ設けるようにしている。センサユニットは、タイヤの空気圧を検出すると、検出した空気圧の情報、及び自身の識別コード(IDコード)を含む無線信号を生成してこれを送信するものである。そしてこのシステムでは、このセンサユニットから送信された無線信号が、車両に設けられた監視装置によって受信される。監視装置は、センサユニットから送信された無線信号を受信すると、同無線信号に含まれる識別コードと、自身が保持する登録情報に登録されている複数の識別コードとの照合を行う。なお、登録情報は、各車輪の位置に対応するセンサユニットの識別コードをそれぞれ示すものである。そして、監視装置は、識別コードの照合に基づき無線信号に含まれる空気圧の情報が各車輪のいずれのものであるかを判定するとともに、その空気圧の情報に基づき各車輪のタイヤの空気圧の異常の有無を監視する。また、各車輪のいずれかのタイヤに空気圧の異常が生じている旨を判断した場合には、車両に設けられた表示部を通じてユーザに対して警告を行う。
【0003】
一方、このようなタイヤ空気圧監視システムでは通常、センサユニットが車輪に一体的に組み付けられているため、例えばタイヤローテーションなどに伴って前輪のタイヤと後輪のタイヤとの交換が行われたような場合には、センサユニットの設けられている車輪の位置が変化する。このような場合、タイヤの空気圧を適切に監視するためには、各センサユニットの識別コードと各車輪の位置とが適切に対応するように登録情報を更新する必要がある。
【0004】
そこで、上記特許文献1に記載のタイヤ空気圧監視システムでは、センサユニットから送信される無線信号を監視装置により受信した際にその信号強度の経時的な変化を検出するとともに、検出された受信信号強度の推移傾向に基づいて、受信した無線信号が各車輪のいずれのセンサユニットから送信されたものであるかを判定するようにしている。そして、判定された車輪の位置に関連付けるかたちで、無線信号に含まれる識別コードを登録情報に登録するようにしている。このような構成によれば、タイヤローテーションなどに伴ってセンサユニットの設けられている車輪の位置が変化した場合であっても、センサユニットと監視装置との間で無線信号を授受するだけで登録情報を自動的に更新することができる。このため、利便性が向上するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−312342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このようなタイヤ空気圧監視システムにあっては、同一の車輪のセンサユニットから送信された無線信号であっても、その受信信号強度の推移傾向は、例えば車両の乗員数や、車両に隣接するガードレールの有無など、車両の置かれた環境に応じて変化する。したがって、車両環境によっては、例えば異なるセンサユニットからそれぞれ送信された無線信号の受信信号強度が互いに同じような推移傾向を示す可能性がある。このような場合、センサユニットの設けられている位置を受信信号強度に基づいて判定することが困難となり、ひいては各車輪のタイヤの空気圧を適切に監視することができないおそれがある。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両環境に変化が生じた場合であれ、各車輪のタイヤの空気圧を適切に監視することのできるタイヤ空気圧監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の各車輪にそれぞれ設けられてタイヤの空気圧を検出するとともに該検出された空気圧の情報を含む無線信号を送信するセンサユニットと、車両に設けられた監視装置との間で前記無線信号の授受を行い、該監視装置は、車両に設けられた受信アンテナを介して前記無線信号を受信した際にその受信信号強度に基づいて当該無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定するとともに、その判定結果、及び前記無線信号に含まれる空気圧の情報に基づき前記各車輪のタイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記受信アンテナの指向性を変更する指向性変更部を備え、前記監視装置は、前記受信信号強度に基づき前記センサユニットの設けられている車輪の位置を判定することができないとき、前記指向性変更部を通じて前記受信アンテナの指向性を変更し、前記受信信号強度に基づき前記センサユニットの設けられている車輪の位置を再判定することを要旨としている。
【0009】
上述のように、例えば車両環境の変化などに起因して、異なるセンサユニットからそれぞれ送信された無線信号の受信信号強度が互いに近似する推移傾向を示すようになると、受信信号強度に基づいてセンサユニットの設けられている車輪の位置を適切に判定することができなくなるおそれがある。この点、上記構成によれば、このように受信信号強度に基づいてセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定することができない場合には、指向性変更部により受信アンテナの指向性が変更される。これにより、センサユニットから送信される無線信号の受信信号強度の推移傾向に変化が生じるため、変化後の受信信号強度に基づいてセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定すれば、センサユニットの設けられている車輪の位置を判定することのできる可能性が高くなる。このため、たとえ車両環境に変化が生じた場合であれ、各車輪のタイヤの空気圧を的確に検出することができるようになる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記指向性変更部は、前記受信アンテナの指向性を変更するにあたり、当該指向性を前記受信アンテナを中心に「90°」だけ回転するように変更するものであることを要旨としている。
【0011】
同構成によるように、受信アンテナの指向性を変更する際に、その指向性を受信アンテナを中心に「90°」だけ回転するように変更することとすれば、無線信号の受信信号強度の推移傾向を大きく変化させることができる。これにより、異なるセンサユニットからそれぞれ送信される無線信号の受信信号強度が互いに近似する推移傾向を示している場合であっても、それぞれの受信信号強度の推移傾向を大きく異ならせることができるため、各センサユニットの設けられている車輪の位置を判定することのできる可能性が更に高まる。したがって、無線信号を送信したセンサユニットの位置をより的確に検出することができるようになる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記センサユニットは、前記無線信号を送信するにあたり、自身の識別コードを前記無線信号に含めて送信するものであり、前記監視装置は、前記各車輪の位置及び前記識別コードの関係を示す登録情報を保持して、該登録情報に登録された識別コードと前記無線信号に含まれる識別コードとの照合を通じて前記無線信号に含まれる空気圧の情報が前記各車輪のいずれのタイヤの空気圧を示すものであるかを判断するとともに、前記受信信号強度に基づいて当該無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定したとき、その車輪の位置に関連付けするかたちで当該無線信号に含まれる識別コードを前記登録情報に登録するものであることを要旨としている。
【0013】
同構成によれば、無線信号の受信信号強度に基づいて判定されたセンサユニットの設けられている車輪の位置とセンサユニットの識別コードとが登録情報に一旦登録されて以降は、無線信号に含まれる識別コードと登録情報に登録されている識別コードとの照合を通じて当該無線信号に含まれる空気圧の情報が各車輪のいずれのものであるかを容易に判断することができる。このため、各車輪のタイヤの空気圧を容易に監視することができるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、車両環境に変化が生じた場合であれ、各車輪のタイヤの空気圧を適切に監視することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムについてそのシステム構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムの指向性変更部による受信アンテナの指向性の変更態様を模式的に示す図。
【図3】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてその監視制御部のメモリに記憶されている登録情報を模式的に示す図。
【図4】(a)〜(d)は、センサユニットから送信された無線信号を受信アンテナを介して受信した際の受信信号強度と車輪の回転角度との関係をセンサユニットの設けられている車輪の位置毎に示すグラフ。
【図5】(a)及び(b)は、受信アンテナの指向性が第1のパターンに設定されている場合について、右前輪及び左前輪のセンサユニットから送信された無線信号を受信アンテナを介して受信した際の受信信号強度と車輪の回転角度との関係をそれぞれ示すグラフ。
【図6】(a)は、車輪一回転当たりの受信信号強度の最大値、最小値、平均値、及びヌル点の数からセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定する際に用いられるマップについて、受信アンテナの指向性が第1のパターンに設定されている場合に用いられるマップであり、(b)は、受信アンテナの指向性が第2のパターンに設定されている場合に用いられるマップ。
【図7】(a)及び(b)は、受信アンテナの指向性が第2のパターンに設定されている場合について、右前輪及び左前輪のセンサユニットから送信された無線信号を受信アンテナを介して受信した際の受信信号強度と車輪の回転角度との関係をそれぞれ示すグラフ。
【図8】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムによる登録情報更新処理についてその手順の一部を示すフローチャート。
【図9】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムによる登録情報更新処理についてその手順の一部を示すフローチャート。
【図10】(a),(b)は、同実施形態のタイヤ空気圧監視システムの動作例を示す図。
【図11】(a),(b)は、同実施形態のタイヤ空気圧監視システムの動作例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの一実施形態について図1〜図11を参照して説明する。はじめに、図1〜図3を参照して、本実施形態のタイヤ空気圧監視システムの概要について説明する。なお、図1において、W1は車両の右前輪を、W2は車両の左前輪を、W3は車両の右後輪を、W4は車両の左後輪をそれぞれ示している。
【0017】
図1に示すように、このタイヤ空気圧監視システムは、大きくは、各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧をそれぞれ検出するセンサユニットU1〜U4と、これらセンサユニットU1〜U4との無線通信を通じて各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧を監視する監視装置1とから構成されている。
【0018】
センサユニットU1〜U4は、タイヤの空気圧を検出する空気圧センサや無線信号を送信する送信部などを有して構成されるものであって、図中の二点鎖線で囲まれた領域内に例示するように、各車輪W1〜W4のエアバルブABの内部に一体的に設けられている。また、センサユニットU1〜U4は、固有の識別コード(IDコード)ID1〜ID4をそれぞれ有している。そして、センサユニットU1〜U4は、タイヤの空気圧の検出を所定の周期をもってそれぞれ行うとともに、検出したタイヤの空気圧の情報、及び自身の識別コードを含む無線信号を生成してこれを送信する。本実施形態では、センサユニットU1〜U4から送信される無線信号の干渉を回避すべく、無線信号の送信間隔が予め定められた時間幅内でランダムに変更される。
【0019】
また、監視装置1は、センサユニットU1〜U4から送信される無線信号を受信アンテナ10aを介して受信する受信部10、及び各車輪W1〜W4のいずれかのタイヤの空気圧に異常が生じたときに当該異常が生じた車輪の位置をユーザが特定することのできるかたちで警告表示を行う表示部13を有している。このうち、受信部10は、受信アンテナ10aを介して受信した無線信号の信号強度を検出するRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路11、及び受信アンテナ10aの指向性を変更するための指向性変更部12を有している。この指向性変更部12は、図2に示すように、受信アンテナ10aの指向性を、通常使用される第1のパターンD1、及び同第1のパターンD1を受信アンテナ10aを中心に「90°」だけ回転させた第2のパターンD2のいずれかに選択的に切り替える部分である。また、図1に示すように、監視装置1は、車両の速度を検出する車速センサ14、及びユーザによって操作される登録モード切り替えスイッチ16を有している。そして、RSSI回路11、車速センサ14、及び登録モード切り替えスイッチ16のそれぞれの出力は、監視装置1に設けられた監視制御部15に取り込まれている。この監視制御部15は、受信部10を介して受信した無線信号の処理、指向性変更部12による受信アンテナ10aの指向性の切り替え制御、及び表示部13による警告表示などを行う。なお、監視制御部15は、図3に示す各車輪W1〜W4の位置と各センサユニットU1〜U4の識別コードID1〜ID4との関係を示す登録情報が記憶された不揮発性のメモリ15aを有している。
【0020】
このような構成からなるタイヤ空気圧監視システムにあっては、各センサユニットU1〜U4から送信された無線信号が受信部10を介して受信されたとすると、監視装置1は次のように動作する。まず、監視装置1では、無線信号が受信部10を介して受信されると、同無線信号が監視制御部15に伝達される。監視制御部15は、無線信号が伝達されると、同無線信号に含まれる識別コードと、上記登録情報に登録された識別コードとの照合を行うことで、当該無線信号に含まれる空気圧の情報が各車輪のいずれのものであるかを判定する。具体的には、例えば無線信号に含まれる識別コードがセンサユニットU1の識別コードID1である場合には、同無線信号に含まれる空気圧の情報は右前輪W1のタイヤの空気圧を示すものであると判定する。監視制御部15は、このような判定手法に基づいて各車輪W1〜W4のタイヤ空気圧の情報を取得するとともに、各車輪のいずれかのタイヤに空気圧の異常が検出された場合には、その旨の警告表示を表示部13を通じて行う。
【0021】
一方、このようなタイヤ空気圧監視システムでは、前述のように、例えばタイヤローテーションなどに伴ってセンサユニットの設けられている車輪の位置が変化した場合、各センサユニットの識別コードと各車輪の位置とが適切に対応するように上記登録情報を更新する必要がある。本実施形態では、上記登録モード切り替えスイッチ16がユーザによってオン操作されると当該システムが登録モードに設定されて、これにより登録情報の更新が自動的に行われる。具体的には、監視制御部15は、登録モード切り替えスイッチ16のオン操作を検出すると、当該システムを登録モードに設定する。これにより、監視制御部15は、まず、上記登録情報に登録された識別コードの情報を初期化する。その後、受信部10を介して無線信号を受信すると、上記RSSI回路11を通じてその受信信号強度の推移傾向を検出するとともに、検出した受信信号強度の推移傾向に基づいて当該無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定する。そして、判定された車輪の位置に関連付けするかたちで無線信号に含まれる識別コードを登録情報に登録する。以下、こうした登録情報の更新処理について詳述する。まずは、図4〜図9を参照して、無線信号の受信信号強度に基づいて当該無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置を検出する方法について説明する。図4(a)〜(d)は、上記受信アンテナ10aの指向性が第1のパターンD1に設定されているときに、各車輪W1〜W4のセンサユニットU1〜U4からそれぞれ送信された無線信号を受信アンテナ10aを介して受信した際にRSSI回路11を通じて検出される受信信号強度について、その車輪一回転当たりの推移をそれぞれ示したものである。
【0022】
受信アンテナ10aにおける無線信号の受信信号強度は、受信アンテナ10aに対するセンサユニットの位置や向きに応じて変化する。すなわち、図4(a)〜(d)に示されるように、無線信号の受信信号強度は、各車輪W1〜W4の回転に伴って周期的に変化する。また、受信信号強度の推移傾向は、センサユニットの設けられている車輪の位置に応じて異なる。したがって、基本的には、RSSI回路11を通じて検出される受信信号強度の推移傾向が図4(a)〜(d)のいずれの傾向を示しているかを判別することによって、無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定することが可能である。ただし、同一のセンサユニットから送信された無線信号であっても、その受信信号強度の推移傾向は、例えば車両の乗員数や、車輪に隣接するガードレールの有無など、車両の置かれた環境に応じて様々に変化する。具体的には、右前輪W1のセンサユニットから送信される無線信号の受信信号強度の推移傾向は、車両環境に応じて、例えば図5(a)に示す2つの曲線M10及びM11により挟まれた領域A内で変化する。また、左前輪W2のセンサユニットから送信される無線信号の受信信号強度の推移傾向も、車両環境に応じて、例えば図5(b)に示す2つの曲線M20及びM21により挟まれた領域B内で変化する。したがって、車両一回転当たりの無線信号の受信信号強度が領域A内を推移しているか、あるいは領域D内を推移しているかを判定することができれば、車両環境が変化した場合であっても、センサユニットの設けられている車輪の位置が右前輪W1及び左前輪W2のいずれであるかを判定することができる。
【0023】
そこで本実施形態では、まず、受信信号強度の推移の特徴を示すパラメータとして、車輪一回転当たりの受信信号強度の最大値Vmax、最小値Vmin、平均値Vavg、並びに車輪が一回転する間に発生する受信信号強度のヌル点の数nを用いることとしている。このうち、受信信号強度の最大値Vmax、最小値Vmin、及び平均値Vavgは、例えば受信信号強度が先の図4(a)に例示した推移傾向を示した場合、図中に示すように求められる。また、ヌル点nの数は、車輪が一回転する間に受信信号強度が平均値Vavgよりも小さくなった回数として求められる。すなわち、無線信号の受信信号強度が先の図4(a)に例示した推移傾向を示した場合には、ヌル点の数は「2」となる。そして、本実施形態では、図6(a)に示すように、これらのパラメータが以下の(a1)〜(a4)の条件を全て満たすことを条件に、無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置が右前輪W1であると判定する。なお、閾値Vmax10,Vmax11,Vmin10,Vmin11,Vavg10,Vavg11,n10,n11の値は、受信信号強度が図5(a)に示す領域A内を推移していると判定することのできる値に予めの実験などを通じて設定されている。
【0024】
(a1)車輪一回転当たりの受信信号強度の最大値Vmaxが「Vmax10<Vmax<Vmax11」なる関係を満たすこと。
(a2)車輪一回転当たりの受信信号強度の最小値Vminが「Vmin10<Vmin<Vmin11」なる関係を満たすこと。
【0025】
(a3)車輪一回転当たりの受信信号強度の平均値Vavgが「Vavg10<Vavg<Vavg11」なる関係を満たすこと。
(a4)車輪が一回転する間に発生する受信信号強度のヌル点の数nが「n10≦n<n11」なる関係を満たすこと(但し、n10及びn11は整数。)。
【0026】
また、上記パラメータが以下の(b1)〜(b4)の条件を全て満たすことを条件に、無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置が左前輪W2であると判定する。なお、閾値Vmax20,Vmax21,Vmin20,Vmin21,Vavg20,Vavg21,n20,n21の値は、受信信号強度が図5(b)に示す領域B内を推移していると判定することのできる値に予めの実験などを通じて設定されている。
【0027】
(b1)車輪一回転当たりの受信信号強度の最大値Vmaxが「Vmax20<Vmax<Vmax21」なる関係を満たすこと。
(b2)車輪一回転当たりの受信信号強度の最小値Vminが「Vmin20<Vmin<Vmin21」なる関係を満たすこと。
【0028】
(b3)車輪一回転当たりの受信信号強度の平均値Vavgが「Vavg20<Vavg<Vavg21」なる関係を満たすこと。
(b4)車輪が一回転する間に発生する受信信号強度のヌル点の数nが「n20≦n<n21」なる関係を満たすこと(但し、n20及びn21は整数。)。
【0029】
なお、無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置が右後輪W3であるか、左後輪W4であるかの判定についても同様に行われる。
ところで、このような手法に基づいてセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定する場合には、次のような問題が無視できないものとなる。まず、例えば右前輪W1のセンサユニットから送信された無線信号の受信信号強度が図5(a)の二点鎖線M12で示すような推移傾向を示すとともに、左前輪W2のセンサユニットから送信された無線信号の受信信号強度が図5(b)の二点鎖線M22で示すような推移傾向を示したとする。すなわち、右前輪W1及び左前輪W2のそれぞれのセンサユニットから送信された無線信号の受信信号強度が互いに近似する推移傾向を示したとする。このような場合には、二点鎖線M12及びM22の双方が上記(a1)〜(a4)の条件を全て満たすとともに、上記(b1)〜(b4)の条件を全て満たすことがあるため、無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置が右前輪W1であるか、左前輪W2であるかを判定することができない。
【0030】
そこで、本実施形態では、受信信号強度の推移傾向に基づいてセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定することができない場合、上記指向性変更部12を通じて受信アンテナ10aの指向性を第1のパターンD1から第2のパターンD2に変更する。これにより、右前輪W1のセンサユニットU1から送信される無線信号の受信信号強度は、車両環境に応じて、例えば図7(a)に示すように2つの曲線M30及びM31により挟まれた領域C内で変化するようになる。また、左前輪W2のセンサユニットU2から送信される無線信号の受信信号強度は、車両環境に応じて、例えば図7(b)に示すように2つの曲線M40及びM41により挟まれた領域D内で変化するようになる。すなわち、それぞれの受信信号強度の推移傾向を大きく異ならせることができる。これにより、右前輪W1のセンサユニットU1から送信される無線信号の受信信号強度の推移と、左前輪W2のセンサユニットU2から送信される無線信号の受信信号強度の推移とが互いに近似する傾向を示す可能性が低くなる。したがって、受信信号強度が領域C内を推移しているか、あるいは領域D内を推移しているかを判定することによって、無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置が右前輪W1であるか、左前輪W2であるかを高い精度で判定することができるようになる。
【0031】
なお、本実施形態では、図6(b)に示すように、受信アンテナ10aの指向性が第2のパターンD2に設定されている場合には、上記パラメータが以下の(c1)〜(c4)の条件を全て満たすことを条件に、無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置が右前輪W1であると判定する。なお、閾値Vmax30,Vmax31,Vmin30,Vmin31,Vavg30,Vavg31,n30,n31の値は、受信信号強度が図7(a)に示す領域C内を推移していると判定することのできる値に予めの実験などを通じて設定されている。
【0032】
(c1)車輪一回転当たりの受信信号強度の最大値Vmaxが「Vmax30<Vmax<Vmax31」なる関係を満たすこと。
(c2)車輪一回転当たりの受信信号強度の最小値Vminが「Vmin30<Vmin<Vmin31」なる関係を満たすこと。
【0033】
(c3)車輪一回転当たりの受信信号強度の平均値Vavgが「Vavg30<Vavg<Vavg31」なる関係を満たすこと。
(c4)車輪が一回転する間に発生する受信信号強度のヌル点の数nが「n30≦n<n31」なる関係を満たすこと(但し、n30及びn31は整数。)。
【0034】
また、上記パラメータが以下の(d1)〜(d4)の条件を全て満たすことを条件に、無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置が左前輪W2であると判定する。なお、閾値Vmax40,Vmax41,Vmin40,Vmin41,Vavg40,Vavg41,n40,n41の値は、受信信号強度が図7(b)に示す領域D内を推移していると判定することのできる値に予めの実験などを通じて設定されている。
【0035】
(d1)車輪一回転当たりの受信信号強度の最大値Vmaxが「Vmax40<Vmax<Vmax41」なる関係を満たすこと。
(d2)車輪一回転当たりの受信信号強度の最小値Vminが「Vmin40<Vmin<Vmin41」なる関係を満たすこと。
【0036】
(d3)車輪一回転当たりの受信信号強度の平均値Vavgが「Vavg40<Vavg<Vavg41」なる関係を満たすこと。
(d4)車輪が一回転する間に発生する受信信号強度のヌル点の数nが「n40≦n<n41」なる関係を満たすこと(但し、n40及びn41は整数。)。
【0037】
なお、無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置が右後輪W3であるか、左後輪W4であるかの判定についても同様に行われる。
図8及び図9は、こうした判定のもとに上記監視制御部15を通じて実行される登録情報更新処理についてその手順をフローチャートとして示したものである。なお、この図8及び図9に示す処理は、上記登録モード切り替えスイッチ16がオン操作されたときに実行される。また、受信アンテナ10aの指向性は、初期状態として上記第1のパターンD1に設定されている。
【0038】
図8に示されるように、この処理では、はじめに、上記登録情報に登録されている識別コードの情報が初期化された後(ステップS1)、受信アンテナ10aを介して無線信号を受信したか否かが監視される(ステップS2)。そして、無線信号を受信した場合には(ステップS2:YES)、車速センサ14を通じて車両の速度が所定速度以上か否かが判断される(ステップS3)。なお、所定速度は、センサユニットが1フレームの無線信号を送信している期間に車輪が一回転以上回転することのできる速度に設定されている。ここで、車両の速度が所定速度以上でない場合(ステップS3:NO)、すなわち車輪一回転当たりの受信信号強度の時系列的なデータを取得することができない場合には、無線信号の受信が再び監視される(ステップS2)。
【0039】
一方、車両の速度が所定速度以上である場合(ステップS3:YES)、すなわち車輪一回転当たりの受信信号強度の時系列的なデータを取得することができる場合には、RSSI回路11を通じて車輪一回転当たりの受信信号強度の時系列的なデータが取得される(ステップS4)。具体的には、まず、無線信号の受信が完了するまでRSSI回路11を通じて受信信号強度を検出することで、1フレームの無線信号に対応する受信信号強度の時系列的なデータが取得される。その後、この1フレームの無線信号に対応する受信信号強度の時系列的なデータから、例えばその周期性などを利用して、車輪一回転当たりの受信信号強度の時系列的なデータが取得される。そして、続くステップS5の処理として、そのデータと無線信号に含まれる識別コードとが関連付けされてメモリ15aに記憶される。ここで、ステップS2〜S5の処理は、車輪一回転当たりの受信信号強度の時系列的なデータを互いに異なる4種類の識別コードについて取得する(ステップS6:YES)まで、繰り返し実行される。そして、その受信信号強度のデータを異なる4種類の識別コードについて取得した場合(ステップS6:YES)、すなわち各車輪W1〜W4に設けられた全てのセンサユニットについて受信信号強度のデータを取得することができた場合には、ステップS7の処理が実行される。この処理では、受信アンテナ10aの現在の指向性パターンに対応するマップ、すなわち先の図6(a)に示したマップに基づいて、各識別コードに対応する受信信号強度の時系列的なデータから、各識別コードに対応する車輪の位置がそれぞれ判定される。なおここでは、例えば受信信号強度のデータが先の図5(a)に例示した二点鎖線M12のような推移傾向を示している場合など、一つの識別コードに対応する車輪の位置として2つ以上の候補が存在する場合には、その識別コードに対応する車輪の位置を判定することができないと判断される。そして、続くステップS8の処理として、4種類全ての識別コードに対応する車輪の位置を判定することができたか否かが判断される。ここで、4種類の識別コードに対応する車輪の位置を全て判定することができた場合には(ステップS8:YES)、その判定結果に基づき、それら4種類の識別コードが各車輪W1〜W4の位置と関連付けされて登録情報に登録される(ステップS9)。これにより、各車輪W1〜W4の位置に対応する識別コードがそれぞれ確定して、登録情報の更新が完了する。
【0040】
一方、車輪の位置を判定することのできない識別コードが存在している場合には(ステップS8:NO)、車輪の位置を判定することのできた識別コードについては車輪の位置と関連付けされて登録情報に登録される(ステップS10)。そして、図9に示すように、続くステップS11の処理として、指向性変更部12を通じて受信アンテナ10aの指向性が現在のパターンとは別のパターンに、すなわち第2のパターンD2に設定される。こうして、受信アンテナ10aの指向性が第2のパターンD2に変更された後にあっては、上記ステップS2〜S5と同様の処理であるステップS12〜S15の処理が実行される。このステップS12〜S15の処理は、車輪の位置を判定することのできていない識別コードについて車輪一回転当たりの受信信号強度の時系列的なデータを取得することができる(ステップS16:YES)まで、繰り返し実行される。ここで、車輪の位置を判定することのできていない識別コードについて車輪一回転当たりの受信信号強度の時系列的なデータを取得することができた場合には(ステップS16:YES)、ステップS17の処理が実行される。この処理では、現在の受信アンテナ10aの指向性に対応するマップ、すなわち先の図6(b)に示したマップに基づいて、識別コードに対応する受信信号強度の時系列的なデータから、その識別コードに対応する車輪の位置が判定される。なおここでも、一つの識別コードに対応する車輪の位置として2つ以上の候補が存在する場合には、その識別コードに対応する車輪の位置を判定することができないと判断される。ここで、ステップS11〜S17の処理は、4種類全ての識別コードに対応する車輪の位置を判定することができるまで(ステップS18:YES)、繰り返し実行される。そして、4種類全ての識別コードに対応する車輪の位置を判定することができた場合には(ステップS18:YES)、その判定結果に基づき、それら4種類の識別コードが各車輪W1〜W4の位置と関連付けされて登録情報に登録される(ステップS19)。これにより、各車輪W1〜W4の位置に対応する識別コードがそれぞれ確定されて、登録情報の更新が完了する。
【0041】
以下、本実施形態のタイヤ空気圧監視システムの動作例(作用)について、先の図1とともに、図10及び図11を併せ参照して説明する。なおここでは、受信アンテナ10aの指向性が初期状態として第1のパターンD1に設定されているとする。
【0042】
図10(a)に示すように、ユーザが右前輪W1及び右後輪W3を交換するとともに、左前輪W2及び左後輪W4を交換するタイヤローテーションを行った後、登録モード切り替えスイッチ16をオン操作したとする。このとき、図1に示すように、監視制御部15は、登録モード切り替えスイッチ16のオン操作を検知すると、まずは、登録情報に登録されている識別コードの情報を初期化する。その後、監視制御部15は、各センサユニットU1〜U4から送信される無線信号の受信信号強度をRSSI回路11により検出することで、各センサユニットU1〜U4の識別コードID1〜ID4に対応する車輪一回転当たりの受信信号強度の時系列的なデータを取得する。また、監視制御部15は、こうして取得した各識別コードID1〜ID4に対応する車輪一回転当たりの受信信号強度の時系列的なデータから、先の図6(a)に示したマップに基づいて、各識別コードに対応する車輪の位置を判定する。そして、各識別コードに対応する車輪の位置を全て判定すると、その判定結果に基づいて登録情報を更新する。
【0043】
一方、車両環境の変化に起因して、例えば図10(b)に示すように、識別コードID1,ID2に対応する車輪の位置が右後輪W3及び左後輪W4であることを判定することができたが、識別コードID3,ID4に対応する車輪の位置を判定することができなかったとする。このとき、監視制御部15は、図11(a)に示すように、指向性変更部12を通じて受信アンテナ10aの指向性を第1のパターンD1から第2のパターンD2に変更した後、図1に示すように、各センサユニットU1〜U4から送信される無線信号の受信信号強度をRSSI回路11により再び検出する。そして、監視制御部15は、識別コードID3,ID4に対応する車輪一回転当たりの受信信号強度の時系列的なデータを取得する。その後、監視制御部15は、こうして取得した識別コードID3,ID4に対応する車輪一回転当たりの受信信号強度の時系列的なデータから、先の図6(b)に示したマップに基づいて、各識別コードに対応する車輪の位置を再判定する。そして、識別コードID3,ID4に対応する車輪の位置が右前輪W1及び左前輪W2であることを判定すると、それまでの判定結果に基づいて、図11(b)に示すように登録情報を更新する。よって、車両環境に変化が生じた場合であれ、各センサユニットの設けられている車輪の位置を適切に判定することができるため、各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧を適切に検出することができるようになる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)無線信号の受信信号強度に基づきセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定することができないとき、受信アンテナ10aの指向性を変更するとともに、無線信号の受信信号強度に基づきセンサユニットの設けられている車輪の位置を再判定することとした。これにより、たとえ車両環境が変化した場合であれ、センサユニットの設けられている車輪の位置を判定することができる可能性が高まるため、各車輪のタイヤの空気圧を的確に検出することができるようになる。
【0045】
(2)受信アンテナ10aの指向性を変更するにあたり、当該指向性を受信アンテナ10aを中心に「90°」だけ回転するように変更することとした。これにより、指向性の変更前後で、センサユニットから送信される無線信号の受信信号強度を大きく異ならせることができるため、無線信号を送信したセンサユニットの位置をより的確に判定することができるようになる。
【0046】
(3)無線信号の受信信号強度の推移傾向に基づいて当該無線信号に含まれる識別コードに対応する車輪の位置を判定したとき、判定した車輪の位置に関連付けるかたちで同識別コードを登録情報に登録することとした。これにより、無線信号に含まれる識別コードと登録情報に登録されている識別コードとの照合を通じて無線信号に含まれる空気圧の情報が各車輪のいずれのものであるかを容易に判断することができるため、各車輪のタイヤの空気圧を容易に監視することができるようになる。
【0047】
(4)受信信号強度の最大値、最小値、平均値、及びヌル点の数に基づいて、センサユニットの設けられている車輪の位置を判定することとした。これにより、受信信号強度の推移傾向の特徴を的確に捉えることができるため、センサユニットの設けられている車輪の位置を的確に判定することができるようになる。
【0048】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、センサユニットの設けられている車輪の位置の判定を、受信信号強度の最大値、最小値、平均値、及びヌル点の数に基づいて行うこととしたが、これに代えて、例えば受信信号強度の最大値及び最小値のみに基づいて行ってもよい。また、受信信号強度の値の分布に基づいてセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定するようにしてもよい。要は、受信アンテナ10aを介して無線信号を受信した際の受信信号強度に基づいてセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定するものであればよい。
【0049】
・上記実施形態では、無線信号に含まれる識別コードと登録情報に登録されている識別コードとの照合を通じて当該無線信号に含まれる空気圧の情報が各車輪のいずれのものであるかを判断することとした。これに代えて、例えばセンサユニットから送信された無線信号を受信アンテナ10aを介して受信する都度、RSSI回路11を通じて無線信号の受信信号強度を検出するとともに、検出した受信信号強度に基づいて無線信号に含まれる空気圧の情報が各車輪のいずれのものであるかを判断するようにしてもよい。このような構成を採用すれば、識別コードの照合が不要となるため、監視制御部15のメモリ15aに登録情報を記憶させる必要がなくなる。このため、同メモリ15aの容量的な余裕を確保することができるようになる。また、センサユニットに固有の識別コードを設定する必要もなくなるため、センサユニットに内蔵されるメモリを排除することもできる。したがって、センサユニットの構造の簡素化を図ることも可能である。
【0050】
・上記実施形態では、受信アンテナ10aの指向性を変更するにあたり、当該指向性を受信アンテナ10aを中心に「90°」だけ回転するように変更することとしたが、指向性の変更態様は任意である。例えば指向性の向きだけでなく、その強さなどを変更してもよい。また、2種類の指向性に変更するだけでなく、例えば3種類以上の指向性に変更するようにしてもよい。
【0051】
<付記>
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記受信信号強度に基づく前記センサユニットの設けられている車輪の位置の判定が、車輪一回転当たりの前記受信信号強度の最大値に基づいて行われることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、受信信号強度の推移傾向の特徴を的確に捉えることができるため、センサユニットの設けられている車輪の位置を的確に判定することができるようになる。
【0052】
(ロ)請求項1〜3、及び付記イのいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記受信信号強度に基づく前記センサユニットの設けられている車輪の位置の判定が、車輪一回転当たりの前記受信信号強度の最小値に基づいて行われることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、受信信号強度の推移傾向の特徴を的確に捉えることができるため、センサユニットの設けられている車輪の位置を的確に判定することができるようになる。
【0053】
(ハ)請求項1〜3、付記イ、及び付記ロのいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記受信信号強度に基づく前記センサユニットの設けられている車輪の位置の判定が、車輪一回転当たりの前記受信信号強度の平均値に基づいて行われることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、受信信号強度の推移傾向の特徴を的確に捉えることができるため、センサユニットの設けられている車輪の位置を的確に判定することができるようになる。
【0054】
(ニ)請求項1〜3、及び付記イ〜ハのいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記受信信号強度に基づく前記センサユニットの設けられている車輪の位置の判定が、車輪が一回転する期間に発生する前記受信信号強度のヌル点の数に基づいて行われることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、受信信号強度の推移傾向の特徴を的確に捉えることができるため、センサユニットの設けられている車輪の位置を的確に判定することができるようになる。
【符号の説明】
【0055】
AB…エアバルブ、W1…右前輪、W2…左前輪、W3…右後輪、W4…左後輪、U1〜U4…センサユニット、1…監視装置、10…受信部、10a…受信アンテナ、11…RSSI回路、12…指向性変更部、13…表示部、14…車速センサ、15…監視制御部、15a…メモリ、16…登録モード切り替えスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の各車輪にそれぞれ設けられてタイヤの空気圧を検出するとともに該検出された空気圧の情報を含む無線信号を送信するセンサユニットと、車両に設けられた監視装置との間で前記無線信号の授受を行い、該監視装置は、車両に設けられた受信アンテナを介して前記無線信号を受信した際にその受信信号強度に基づいて当該無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定するとともに、その判定結果、及び前記無線信号に含まれる空気圧の情報に基づき前記各車輪のタイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記受信アンテナの指向性を変更する指向性変更部を備え、前記監視装置は、前記受信信号強度に基づき前記センサユニットの設けられている車輪の位置を判定することができないとき、前記指向性変更部を通じて前記受信アンテナの指向性を変更し、前記受信信号強度に基づき前記センサユニットの設けられている車輪の位置を再判定する
ことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
【請求項2】
前記指向性変更部は、前記受信アンテナの指向性を変更するにあたり、当該指向性を前記受信アンテナを中心に「90°」だけ回転するように変更するものである
請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項3】
前記センサユニットは、前記無線信号を送信するにあたり、自身の識別コードを前記無線信号に含めて送信するものであり、
前記監視装置は、前記各車輪の位置及び前記識別コードの関係を示す登録情報を保持して、該登録情報に登録された識別コードと前記無線信号に含まれる識別コードとの照合を通じて前記無線信号に含まれる空気圧の情報が前記各車輪のいずれのタイヤの空気圧を示すものであるかを判断するとともに、前記受信信号強度に基づいて当該無線信号を送信したセンサユニットの設けられている車輪の位置を判定したとき、その車輪の位置に関連付けするかたちで当該無線信号に含まれる識別コードを前記登録情報に登録するものである
請求項1又は2に記載のタイヤ空気圧監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−162236(P2012−162236A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26211(P2011−26211)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】