説明

タッチパネル及びその製造方法、タッチパネルを利用したディスプレイ

【課題】本発明は、タッチパネル及びその製造方法、タッチパネルを利用したディスプレイに関し、特にカーボンナノチューブフィルムを利用したタッチパネル及びその製造方法、タッチパネルを利用したディスプレイに関する。
【解決手段】本発明のタッチパネルは、第一基板及び前記第一基板に設置された第一導電構造体を有する第一電極板と、前記第一電極板から所定の距離だけ離れ、第二基板及び前記第二基板に設置された第二導電構造体を有する第二電極板と、を含む。前記第一導電構造体及び/又は前記第二導電構造体は、カーボンナノチューブ構造体を含む。前記カーボンナノチューブ構造体は複数のカーボンナノチューブを含む。さらに、前記複数のカーボンナノチューブは相互に絡み合っている。本発明では、前記タッチパネルの製造方法及び前記タッチパネルを利用したディスプレイも提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル及びその製造方法、タッチパネルを利用したディスプレイに関し、特にカーボンナノチューブフィルムを利用したタッチパネル及びその製造方法、タッチパネルを利用したディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、画面に指やペンなどで直接触れることで機械を操作する装置であり、LCDなど表示装置、PDAなど携帯装置、銀行のATMやPOSなど多くの装置で用いられている。タッチパネルに対して、タッチした位置の検出を電気的に行うものとして、抵抗膜方式や静電容量方式などがある。一方、電気を用いないものとして、超音波方式や赤外遮光方式、画像認識方式などがある。
【0003】
現在の抵抗膜方式タッチパネルは、ベースとなるガラス基板の表面に非常に微小なスペーサをはさみ、その表面にしなやかなフィルムが貼り付けられる。前記ガラス基板及び前記フィルムの向かい合う面には、それぞれ透明導電性薄膜が設けられている。
【0004】
タッチしていない状態では、前記微小なスペーサにより前記二枚の透明導電性薄膜は接触していないために、電流が生じない。前記フィルムをタッチすると、圧力によりフィルムがたわみ、前記ガラス基板の透明導電性薄膜と接触し、電流が流れる。前記ガラス基板、フィルムそれぞれの透明導電性薄膜の抵抗による分圧比を測定することで押された位置を検出する。
【非特許文献1】Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、“Spinning continuous carbon nanotube yarns”、Nature、2002年、第419巻、p.801
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在主流の方式では、全面がITO(Indium Tin Oxide)と呼ばれる透明導電性薄膜で構成されるために、構造が単純となり、剥離や磨耗、断線などがおきにくいために、寿命が長く、透過率も高く改善された。しかし、ITO(Indium Tin Oxide)はスパッタリング法、イオンプレーティング、塗布法などの方法により成膜されるので、製造方法が複雑である。また、ITO薄膜は、機械的及び化学的性能が良好でなく、膜質の均一性が低いという欠点がある。また、ITO薄膜の光透過性が低いので、明るい環境で表示パネルに表示される画面が見にくくなる。従って、現在のタッチパネルは、正確性や応答性が低く、光透過性が低いという課題がある。
【0006】
前記課題を解決するために、正確性や応答性が向上し、光透過性が高いタッチパネルを提供することが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のタッチパネルは、第一基板及び前記第一基板に設置された第一導電構造体を有する第一電極板と、前記第一電極板から所定の距離だけ離れ、第二基板及び前記第二基板に設置された第二導電構造体を有する第二電極板と、を含む。前記第一導電構造体及び/又は前記第二導電構造体は、カーボンナノチューブ構造体を含む。前記カーボンナノチューブ構造体は複数のカーボンナノチューブを含む。さらに、前記複数のカーボンナノチューブは相互に絡み合っている。
【0008】
前記カーボンナノチューブ構造体は、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む。
【0009】
単一の前記カーボンナノチューブ構造体の厚さは0.5〜100μmであり、単一の前記カーボンナノチューブの長さは10μm以上である。
【0010】
前記カーボンナノチューブ構造体のカーボンナノチューブは等方的に配列されている。
【0011】
隣接するカーボンナノチューブは相互に絡み合って、微多孔構造に形成される。該微多孔構造において、単一の微小孔の直径は10μmにされている。
【0012】
本発明のタッチパネルの製造方法は、カーボンナノチューブ原料と、第一基板と、第二基板と、を提供する第一ステップと、前記カーボンナノチューブ原料を加工して綿毛構造に形成させ、それぞれ第一導電構造体及び第二導電構造体として前記第一基板及び第二基板に設置して、第一電極板及び第二電極板を製造する第二ステップと、第一導電板の対向する両方の端部にそれぞれ二つの第一電極を設置し、第二導電板の対向する両方の端部にそれぞれ二つの第二電極を設置し、前記第一導電板及び前記第二導電板を所定の距離で分離して設置する第三ステップと、を含む。
【0013】
本発明のディスプレイは、タッチパネルと、該タッチパネルに近接する表示素子と、を含む。前記タッチパネルは、第一基板及び前記第一基板に設置された第一導電構造体を有する第一電極板と、前記第一電極板から所定の距離だけ離れ、第二基板及び前記第二基板に設置された第二導電構造体を有する第二電極板と、を含む。前記第一導電構造体及び/又は前記第二導電構造体は、カーボンナノチューブ構造体を含む。前記カーボンナノチューブ構造体は複数のカーボンナノチューブを含む。前記複数のカーボンナノチューブは相互に絡み合っている。
【発明の効果】
【0014】
従来技術と比べると、本発明のタッチパネルは、次の優れた点がある。第一に、カーボンナノチューブは良好な機械性能を有するので、複数の絡み合ったカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ構造体を利用した本発明のタッチパネルは、良好な機械的強度及び靱性を有する。従って、該タッチパネルを利用したディスプレイの使用寿命を延長することができる。第二に、前記複数の絡み合ったカーボンナノチューブは、等方的に、均一に前記カーボンナノチューブ構造体に分布され、多くの微小な穴が形成されるので、該カーボンナノチューブ構造体を利用した透明な導電構造体は、均一な抵抗値分布及び良好な光透過性を有することができる。従って、前記カーボンナノチューブ構造体を利用したタッチパネルのコントラスト及び正確性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1及び図2を参照すると、本実施形態のタッチパネル10は、第一電極板12と、第二電極板14と、前記第一電極板12及び第二電極板14の間に挟まれる複数のスペーサ16と、を含む。
【0017】
前記第一電極板12は、第一基板120と、第一導電構造体122と、二つの第一電極124と、を備える。前記第一基板120は第一表面及び第二表面を有し、該第一表面及び第二表面はそれぞれ平面形に形成されている。前記第一導電構造体122及び前記二つの第一電極124は全部前記第一基板120の第一表面に設置されている。前記二つの第一電極124は前記第一導電構造体122を挟むように、前記第一基板120の両側に設置される。また、前記二つの第一電極124はそれぞれ前記第一導電構造体122に電気的に接続されている。ここで、一つの第一電極124から、前記第一導電構造体122を越えてもう一つの第一電極124まで進む方向は、前記第一方向と定義されている。
【0018】
前記第二電極板14は、第二基板140と、第二導電構造体142と、二つの第二電極144と、を備える。前記第二基板140は第一表面及び第二表面を有し、該第一表面及び第二表面はそれぞれ平面形に形成されている。前記第二導電構造体142及び前記二つの第二電極144は全部前記第二基板140の第一表面に設置されている。前記二つの第二電極144は前記二つの第一電極124の側に対向せず、前記第二基板140の両側に設置される。また、前記二つの第二電極144は前記第二導電構造体142を挟むように前記第二導電構造体142に電気的に接続されている。ここで、一つの第二電極144から、前記第に導電構造体142を越えてもう一つの第に電極144まで進む方向は、前記第二方向と定義されている。
【0019】
また、前記第一方向は前記第二方向に対して垂直する。前記二つの第一電極124は前記第一方向に平行に並列し、前記二つの第二電極144は前記第二方向に平行に並列している。即ち、前記第一電極124の長手方向は前記第二方向に平行し、前記第二電極144の長手方向は前記第一方向に平行する。前記第一基板120は、柔軟な薄膜又は薄板であり、前記第二基板140は例えば、ガラス、石英、ダイヤモンドのような透明な基板である。本実施形態において、前記第一基板120は、PET(Polyethylene Terephthalate)のようなポリエステルフィルムであり、前記第二基板140はガラスからなる。前記第一電極124及び前記第二電極144は、銀ペーストからなる。
【0020】
本実施形態において、前記第二電極板14及び前記第一電極板12の間の距離は2〜10μmに設定されている。前記複数のスペーサ16はそれぞれ所定の距離だけ離れて、均一に前記第二電極板14の前記第二導電構造体142に設置される。さらに、前記第二電極板14及び前記第一電極板12を密封するように、前記第二電極板14と前記第一電極板12との間に枠形状の絶縁部18を設置する。前記複数のスペーサ16及び前記絶縁部18は、例えば、透明な樹脂のような絶縁材料からなり、前記第一電極板12と前記第二電極板14とを絶縁して組み合わせるように機能する。前記複数のスペーサ16の数量及び寸法は、実際のタッチパネルの寸法に応じて、前記第一電極板12と前記第二電極板14とを絶縁させるように設けられる。
【0021】
さらに、前記第一電極板12を保護するために、前記第一電極板12の第一表面に対向する第二表面に透明な保護膜126を設置することができる。前記透明な保護膜126としては、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリエステル又はアクリル酸などのいずれか一種からなる。さら、前記透明な保護膜126は、表面硬化処理によるプラスチック膜(例えば、PET)であることができる。
【0022】
前記第一導電構造体122及び/又は前記第二導電構造体142はカーボンナノチューブ構造体(図示せず)を含む。前記カーボンナノチューブ構造体は少なくとも一つのカーボンナノチューブフィルムを含む。該カーボンナノチューブフィルムは薄膜の形状に形成され、複数のカーボンナノチューブを含む。単一のカーボンナノチューブフィルムは複数のカーボンナノチューブを含む。ここで、前記複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接近して、相互に絡み合って、カーボンナノチューブネットに形成されている。前記複数のカーボンナノチューブは、等方的に、均一に前記カーボンナノチューブ構造体に分布されている。前記複数のカーボンナノチューブは配向せずに配列されて、多くの微小な穴が形成されている。ここで、単一の前記微小な穴の直径が10μm以下になる。
【0023】
用途に応じて、前記第一導電構造体122及び/又は前記第二導電構造体142に利用されるカーボンナノチューブ構造体の長さ及び幅を調整することができる。また、必要な光透過度が確保される限り、前記カーボンナノチューブ構造体の厚さを調整することができる。前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、直径が0.5nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが二層カーボンナノチューブである場合、直径が1nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、直径が1.5nm〜50nmに設定される。
【0024】
前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは、相互に絡み合って配列されるので、該カーボンナノチューブ構造体は完璧な柔軟性があり、任意の形状に湾曲して形成させることができる。
【0025】
図3を参照すると、前記タッチパネル10は次の工程により製造される。
【0026】
第一ステップでは、カーボンナノチューブ原料及び、第一基板、第二基板を提供する。
【0027】
前記カーボンナノチューブ原料は、次のようにして得られる。まず、シリコン基板にカーボンナノチューブアレイを成長させる。次に、ブレードなどの工具を利用して、前記カーボンナノチューブを前記シリコンから削剥して、カーボンナノチューブ原料が得られる。ここで、前記カーボンナノチューブ原料において、単一のカーボンナノチューブの長さは、10μm以上である。
【0028】
本実施形態において、前記カーボンナノチューブアレイは化学気相堆積方法(CVD法)により成長される。次に、前記カーボンナノチューブアレイの成長工程について詳しく説明する。まず、基材を提供する。該基材は、P型又はN型のシリコン基材、又は表面に酸化物が形成されたシリコン基材が利用される。本実施形態において、厚さが4インチのシリコン基材を提供する。次に、前記基材の表面に触媒層を堆積させる。該触媒層としては、Fe、Co、Ni又はそれらの合金である。次に、前記触媒層が堆積された前記基材を、700〜900℃、空気の雰囲気において30〜90分間アニーリングする。最後に、前記基材を反応装置内に置いて、保護ガスを導入すると同時に前記基材を500〜700℃に加熱して、5〜30分間カーボンを含むガスを導入する。これにより、高さが200〜400μmの超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1)が成長される。前記超配列カーボンナノチューブアレイは、相互に平行に基材に垂直に成長する複数のカーボンナノチューブからなる。前記の方法により、前記超配列カーボンナノチューブアレイにアモルファス炭素又は触媒剤である金属粒子などの不純物が残らず、純粋なカーボンナノチューブアレイが得られる。
【0029】
本実施形態において、前記カーボンを含むガスはアセチレンなどの炭化水素であり、保護ガスは窒素やアンモニアなどの不活性ガスである。勿論、前記カーボンナノチューブアレイは、アーク放電法又はレーザー蒸着法によっても得られることができる。
【0030】
第二ステップでは、前記カーボンナノチューブ原料を溶媒に浸漬して綿毛構造を形成させる第一サブステップと、該綿毛構造のカーボンナノチューブをろ過してカーボンナノチューブ構造体を形成させる第二サブステップと、前記カーボンナノチューブ構造体をそれぞれ第一導電構造体122及び第二導電構造体142として、前記第一基板120及び前記第二基板140の表面に形成させる第三サブステップと、を含む。
【0031】
前記第二ステップの第一サブステップにおいて、前記溶媒は、水又は揮発性有機溶剤である。さらに、前記カーボンナノチューブ原料を前記溶媒に浸漬した後、超音波式分散又は高強度攪拌又は振動などの方法により、前記カーボンナノチューブを綿毛構造に形成させる工程が提供されている。本実施形態において、超音波式分散方法により、カーボンナノチューブを含む溶剤に対して10〜30分間処理する。カーボンナノチューブは大きい比表面積を持ち、カーボンナノチューブの間に大きい分子間力があるので、前記カーボンナノチューブはそれぞれもつれて、綿毛構造に形成されている。
【0032】
前記第二ステップの第二サブステップにおいて、まず、微多孔膜又はエアーポンプファネル(Air−pumping Funnel)を提供する。次に、前記微多孔膜又はエアーポンプファネルを利用して、前記綿毛構造のカーボンナノチューブを含む溶剤をろ過して、溶剤を除去させる。最後、前記微多孔膜に残った前記綿毛構造のカーボンナノチューブを乾燥させて、カーボンナノチューブ構造体を形成させる。
【0033】
前記微多孔膜は、平滑な表面を有する。該微多孔膜において、単一の微小孔の直径は、0.22μmにされている。前記微多孔膜は平滑な表面を有するので、前記カーボンナノチューブ構造体は容易に前記微多孔膜から剥落することができる。さらに、前記エアーポンプを利用することにより、前記綿毛構造のカーボンナノチューブに空気圧をかけるので、均一なカーボンナノチューブ構造体を形成させることができる。
【0034】
前記第二ステップの第三サブステップにおいて、前記カーボンナノチューブ構造体を、所定の形状に切って、それぞれ前記第一基板120及び前記第二基板140に貼り付ける。
【0035】
本実施形態において、前記カーボンナノチューブの伸展面積を制御することにより、前記カーボンナノチューブ構造体の厚さ及び表面密度を制御することができる。即ち、一定の体積を有する前記綿毛構造のカーボンナノチューブは、伸展面積が大きくなるほど、厚さ及び密度が低減する。
【0036】
図4を参照すると、前記カーボンナノチューブ構造体において、複数のカーボンナノチューブは、相互に絡み合って等方的に配列されている。隣接するカーボンナノチューブが分子間力で相互に絡み合って、綿毛構造のカーボンナノチューブが形成されている。前記カーボンナノチューブ構造体は複数の微小孔を備える。単一の微小孔の直径は、10μm以下にされている。従って、前記カーボンナノチューブ構造体は、良好な靱性を有する。さらに、前記カーボンナノチューブ構造体は損害がないように、任意な形状に湾曲させることができる。
【0037】
前記方法により製造されるカーボンナノチューブ構造体は次の優れた点がある。第一では、複数のカーボンナノチューブが分子間力で絡み合って綿毛構造に形成されているので、カーボンナノチューブ構造体は良好な耐久性がある。第二では、本実施形態のカーボンナノチューブ構造体の製造方法は簡単及び高効率である。また、本実施形態の製造方法は従来のITO薄膜の製造方法と比べて、真空の雰囲気及び加熱処理が必要でないので、コストが低く、製造環境が安全であり、エネルギー効率が良いという優れた点もある。
【0038】
第三ステップでは、第一電極板12及び第二電極板14を所定の距離で分離して設置する。前記第一電極板12の対向する二つの端部にそれぞれ第一電極124を設置し、前記第二電極板14の対向する二つの端部にそれぞれ第二電極144を設置する。前記第一電極板12の前記第二電極板14に面する表面に第一導電構造体122を設置し、前記第二電極板14の前記第一電極板12に面する表面に第二導電構造体124を設置する。
【0039】
前記第一電極124及び第二電極144は、例えば、導電性の銀ペーストである。次に、前記第一電極124及び第二電極144の製造方法について説明する。まず、第一方向に沿って前記第一電極板12の第一導電構造体122の表面に導電の銀ペーストを塗布し、第二方向に沿って前記第二電極板14の第二導電構造体142の表面に導電の銀ペーストを塗布する。100℃〜120℃の条件で前記第一導電板12及び前記第二導電板14を、10〜60分間加熱して乾燥させる。ここで、前記第一方向は前記第二方向に垂直である。
【0040】
本実施形態では、前記第一導電板12及び前記第二導電板14を接合させるために、前記第一導電板12の前記第二導電板14に近接する表面の端部、又は/前記第二導電板14の前記第一導電板12に近接する表面の端部に絶縁の接着剤を設置して絶縁層18を形成する。
【0041】
図5を参照すると、本実施形態のディスプレイ100は、前記タッチパネル10と、表示素子20と、第一制御素子30と、中央処理装置(CPU)40と、第二制御素子50と、を含む。前記タッチパネル10は前記表示素子20に近接して設置され、また、外部回路(図示せず)で前記第一制御素子30に電気的に接続されている。前記タッチパネル10は、所定の空間で分離して前記表示素子20に接続され、又は、直接前記表示素子20に密接に接続されていてもよい。本実施形態において、前記タッチパネル10は、空間26で分離して前記表示素子20に電気的に接続されている。前記第一制御素子20及び前記中央処理装置40は、それぞれ前記第二制御素子50に電気的に接続されている。前記中央処理装置40は、前記表示素子20を制御することができる。
【0042】
前記表示素子20は、例えば液晶表示装置、電界放出型表示装置、プラズマ表示装置、電子発光表示装置、真空蛍光ディスプレイ、陰極線管などの表示装置のいずれか一種であることができる。
【0043】
さらに、前記第二基板140の前記導電構造体142に面する表面とは反対側の表面に遮蔽層22を設置する場合、前記遮蔽層22の前記基板140に面する表面とは反対側の表面に硬化層24を設置する。該硬化層24は、窒化ケイ素又は二酸化ケイ素からなる。該硬化層24は誘電体層として利用されることができる。前記硬化層24は所定の距離で分離して前記表示装置20の上方に設置され、又は、直接前記表示素子20に設置されている。前記硬化層24は絶縁層として利用でき、外力(例えば、電気力)で前記表示素子20が損傷を受けること防止することができる。
【0044】
前記第一電極板12及び前記第二電極板14にそれぞれ例えば5Vの電圧を印加する場合、使用者はディスプレイ20に表示された情報を読みながら、指又はペンなどの接触物60で前記ディスプレイ20の表面に設置される前記タッチパネル10を押す。これにより、前記第一電極板12の前記第一基板120を湾曲させ、変形70を形成させ、前記第一電極板12の前記第一導電構造体122と前記第二電極板14の前記第二導電構造体142とを接触させて回路を形成する。前記第一制御素子30により、それぞれ前記第一導電構造体122におけるカーボンナノチューブの配列方向及び前記第二導電構造体142におけるカーボンナノチューブの配列方向に流れる電流を測定して、測定のデータを前記中央処理装置40に伝送する。前記中央処理装置40は前記測定のデータにより、前記第一電極板12の前記第一導電構造体122と前記第二電極板14の前記第二導電構造体142との接触の場所を計算する。これによれば、前記ディスプレイ20における所定の場所に、必要な情報を表示することができる。
【0045】
本発明のタッチパネルに利用するカーボンナノチューブフィルムは、良好な機械性及び強靱性、均一な導電性を有するので、本発明のタッチパネル10及びディスプレイ100は、優れた導電性及び耐久性がある。さらに、本発明の綿毛構造のカーボンナノチューブの製造方法は簡単である。従って、本発明の製造方法により、前記タッチパネル10及びディスプレイの大量生産が実現でき、前記タッチパネル10及びディスプレイのコストが低減することができる。さらに、本発明のカーボンナノチューブ構造体は、複数の、直径が10μm以下の微小孔を有する微多孔構造に形成されるので、前記カーボンナノチューブ構造体を有する導電構造体は光透過性が高く、該導電構造体を利用する前記タッチパネル10及びディスプレイの輝度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態のタッチパネルの分解図である。
【図2】本発明の実施形態のタッチパネルの断面図である。
【図3】本発明の実施形態のタッチパネルの製造方法のフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態のカーボンナノチューブフィルムのSEM写真である。
【図5】本発明の実施形態のタッチパネルを利用したディスプレイを示す図である。
【符号の説明】
【0047】
10 タッチパネル
100 ディスプレイ
12 第一電極板
120 第一基板
122 第一導電構造体
124 第一電極
126 保護膜
14 第二電極板
140 第二基板
142 第二導電構造体
144 第二電極
16 スペーサ
18 絶縁層
30 第一制御素子
40 中央処理装置
50 第二制御素子
60 接触物
70 変形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板及び前記第一基板に設置された第一導電構造体を有する第一電極板と、
前記第一電極板から所定の距離だけ離れ、第二基板及び前記第二基板に設置された第二導電構造体を有する第二電極板と、を含み、
前記第一導電構造体及び/又は前記第二導電構造体は、カーボンナノチューブ構造体を含み、
前記カーボンナノチューブ構造体は複数のカーボンナノチューブを含み、
前記複数のカーボンナノチューブは相互に絡み合っていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブ構造体は、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含むことを特徴とする、請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
単一の前記カーボンナノチューブ構造体の厚さは0.5〜100μmであり、
単一の前記カーボンナノチューブの長さは10μm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブ構造体のカーボンナノチューブは等方的に配列されていることを特徴とする、請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項5】
隣接するカーボンナノチューブは相互に絡み合って、微多孔構造に形成され、
単一の微小孔の直径が10μmにされていることを特徴とする、請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項6】
カーボンナノチューブ原料と、第一基板と、第二基板と、を提供する第一ステップと、
前記カーボンナノチューブ原料を加工して綿毛構造に形成させ、それぞれ第一導電構造体及び第二導電構造体として前記第一基板及び第二基板に設置して、第一電極板及び第二電極板を製造する第二ステップと、
第一導電板の対向する両方の端部にそれぞれ二つの第一電極を設置し、第二導電板の対向する両方の端部にそれぞれ二つの第二電極を設置し、前記第一導電板及び前記第二導電板を所定の距離で分離して設置する第三ステップと、
を含むことを特徴とするタッチパネルの製造方法。
【請求項7】
タッチパネルと、該タッチパネルに近接する表示素子と、を含むディスプレイにおいて、
前記タッチパネルは、
第一基板及び前記第一基板に設置された第一導電構造体を有する第一電極板と、
前記第一電極板から所定の距離だけ離れ、第二基板及び前記第二基板に設置された第二導電構造体を有する第二電極板と、を含み、
前記第一導電構造体及び/又は前記第二導電構造体は、カーボンナノチューブ構造体を含み、
前記カーボンナノチューブ構造体は複数のカーボンナノチューブを含み、
前記複数のカーボンナノチューブは相互に絡み合っていることを特徴とするディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−146416(P2009−146416A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317351(P2008−317351)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】