説明

タッチパネル装置及び画像形成装置

【課題】タッチパネルコントローラーに電力が供給されていなくても、タッチパネル部の押下を検知できる。
【解決手段】4線式抵抗膜式のタッチパネル部11において、第1の電極と第3の電極とが、X方向に間隔を有して第1の抵抗膜に配置される。第2の電極と第4の電極とが、Y方向に間隔を有して第2の抵抗膜に配置される。スイッチ部14(T1,T2,T3)は、タッチパネルコントローラー13に電力が供給される通常電力モードと、タッチパネルコントローラー13に電力が供給されない省電力モードとのうち、省電力モードにおいて、第1の電極を第2の電源部V2に接続し、第3の電極を接地する。コンパレーター15は、省電力モードにおいて、第2の電極で検出される電圧が、タッチパネル部11が押下されたことを示す値と判定した場合、省電力モードから通常電力モードに切り換えを命令する信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力が異なる電力モードで使用されるタッチパネル装置、及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置において、省電力モード時に液晶ディスプレイを消灯した状態で、タッチパネルのX方向の座標値のみを検出可能とし、タッチパネルが押下された位置のX方向の座標値に応じて、省電力モードから、コピーモード、ファクシミリモード、又はスキャナーモードに復帰する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−211225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記画像形成装置によれば、省電力モード時にタッチパネルのX方向の座標値を検出可能にするために、省電力モードにおいて、タッチパネルコントローラーに電力を供給しなければならず、その分だけ電力を消費する。
【0005】
本発明は、タッチパネルコントローラーに電力が供給されていなくても、タッチパネル部の押下を検知できるタッチパネル装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明の一の局面に係るタッチパネル装置は、第1の抵抗膜、前記第1の抵抗膜と対向して配置された第2の抵抗膜、前記第1の抵抗膜に配置された第1の電極、及び、前記第2の抵抗膜に配置された第2の電極を含む抵抗膜方式のタッチパネル部と、前記タッチパネル部を制御するタッチパネルコントローラーと、前記タッチパネルコントローラーに電力が供給される第1の電力モードと、前記第1の電力モードより消費電力が少ない電力モードであり、前記タッチパネルコントローラーに電力が供給されない第2の電力モードとのうち、前記第2の電力モードにおいて、前記第1の電極を電源に接続するスイッチ部と、前記第2の電力モードにおいて、前記第2の電極で検出される電圧が、前記タッチパネル部が押下されたことを示す値と判定した場合、前記第2の電力モードから前記第2の電力モードより消費電力が大きい電力モードに切り換えを命令する信号を出力する判定部と、を備える。
【0007】
本発明によれば、タッチパネルコントローラーに電力が供給される第1の電力モードより消費電力が少ない第2の電力モードにおいて、スイッチ部は第1の抵抗膜に配置された第1の電極を電源に接続する。そして、判定部は、第2の抵抗膜に配置された第2の電極で検出される電圧が、タッチパネル部が押下されたことを示す値と判定した場合、第2の電力モードから第2の電力モードより消費電力が大きい電力モードに切り換えを命令する信号を出力する。従って、タッチパネルコントローラーに電力が供給されていなくても、タッチパネル部の押下を検知することができる。
【0008】
判定部には、例えば、第2の電力モードで第2の電極で検出される電圧と、第2の電力モードでタッチパネル部が押下されていない状態で第2の電極で検出される電圧を基にして予め設定された電圧とを比較し、第2の電極で検出される電圧が、タッチパネル部が押下されたことを示す値の場合に出力が反転するコンパレーターが含まれる。
【0009】
第2の電力モードより消費電力が大きい電力モードとは、タッチパネル装置が取り付けられた電気機器(例えば、画像形成装置)が使用されている時の電力モードである通常電力モードでもよいし、上記電気機器が使用されていない時の電力モードである省電力モードでもよい。第2の電力モードより消費電力が大きい電力モードは、第1の電力モードでもよいし、それ以外の第2の電力モードより消費電力が大きい電力モードでもよい。
【0010】
上記構成において、前記タッチパネル部は、一の方向に前記第1の電極と間隔を有して前記第1の抵抗膜に配置された第3の電極、及び、前記一の方向と直交する他の方向に前記第2の電極と間隔を有して前記第2の抵抗膜に配置された第4の電極を、さらに含む4線式抵抗膜方式のタッチパネルである。
【0011】
この構成は、本発明に適用できるタッチパネル部の一例である。
【0012】
上記構成において、前記スイッチ部は、前記第2の電力モードにおいて、前記第1の電極を電源に接続し、前記第3の電極を接地する。
【0013】
第2の電力モードで第3の電極をフローティングにした場合、タッチパネル部が押下された際に、第1の電極から第2の電極に過度の電流が流れる可能性がある。この構成によれば、第2の電力モードにおいて、第3の電極を接地する。従って、第2の電力モードでタッチパネル部が押下された際に、第1の電極から第2の電極に過度の電流が流れることを防止できる。
【0014】
上記構成において、前記判定部は、前記タッチパネル部の前記第1の電極側の押下により前記第2の電極で検出される電圧である第1の電極側電圧と、前記タッチパネル部の前記第3の電極側の押下により前記第2の電極で検出される電圧である第3の電極側電圧とのうち、いずれの電圧が入力されても出力が反転する第1のコンパレーターと、前記第1の電極側電圧と前記第3の電極側電圧とのうち、一方の電圧が入力されると出力が反転し、他方の電圧が入力されると出力が反転しない第2のコンパレーターと、を含む。
【0015】
第2の電力モードでは第1の電極が電源に接続され、第3の電極が接地される。このため、タッチパネル部の中央に対して、タッチパネル部の第1の電極側の押下により第2の電極で検出される電圧である第1の電極側電圧と、タッチパネル部の第3の電極側の押下により第2の電極で検出される電圧である第3の電極側電圧とは、異なる値になる。この構成によれば、第1の電極側電圧と、第3の電極側電圧とのうち、いずれの電圧が入力しても出力が反転する第1のコンパレーター、及び、一方の電圧が入力すると出力が反転し、他方の電圧が入力すると出力が反転しない第2のコンパレーターを備える。従って、第2の電力モードでタッチパネル部が押下された場合、タッチパネル部の中央よりも、第1の電極側が押下されたのか、第3の電極側が押下されたのかを、区別して判定することができる。これにより、第1の電極側が押下された場合と、第3の電極側が押下された場合とで異なる処理を実行することができる(例えば、第1の電極側が押下されると、コピーモードに復帰し、第3の電極側が押下されると、スキャナーモードに復帰する処理を実行することができる)。
【0016】
上記構成において、前記スイッチ部は、前記第2の電力モードにおいて、前記第1の電極及び前記第3の電極を電源に接続する。
【0017】
この構成によれば、第2の電力モードにおいて、第3の電極をフローティングにした場合に比べて、第1の抵抗膜の電位を安定させることができる。従って、第2の電力モードにおいて、第2の電極で検出される電圧が、タッチパネル部が押下されたことを示す値の判定をより正確にすることができる。
【0018】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記第2の電力モードより消費電力が大きい電力モードとは、前記第1の電力モードであり、上述したタッチパネル装置と、用紙に画像を形成する動作を実行する画像形成部と、前記画像形成部が前記動作を実行できる通常電力モードである前記第1の電力モードと、前記画像形成部が前記動作を実行できない省電力モードである前記第2の電力モードとを切り換える制御をする電力モード制御部と、を備え、前記電力モード制御部は、前記判定部から出力された前記信号に基づいて、前記第2の電力モードから前記第1の電力モードに切り換える制御をする。
【0019】
本発明の他の局面に係る画像形成装置によれば、上述した本発明の一の局面に係るタッチパネル装置を備えることにより、省電力モード時に、タッチパネル部が押下されると、通常電力モードに復帰することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、タッチパネルコントローラーに電力が供給されていなくても、タッチパネル部の押下を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造の概略を示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るタッチパネル装置の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るタッチパネル装置の第2の変形例の構成を示す回路図である。
【図5】第2の変形例のタッチパネル装置を備えた画像形成装置において、省電力モードから通常電力モードに復帰する処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造の概略を示す図である。画像形成装置1は例えば、コピー、プリンタ、スキャナ及びファクシミリの機能を有するデジタル複合機に適用することができる。画像形成装置1は装置本体100、装置本体100の上に配置された原稿読取部200、原稿読取部200の上に配置された原稿給送部300及び装置本体100の上部前面に配置された操作部400を備える。
【0023】
原稿給送部300は自動原稿送り装置として機能し、原稿載置部301に置かれた複数枚の原稿を連続的に原稿読取部200に送ることができる。
【0024】
原稿読取部200は露光ランプ等を搭載したキャリッジ201、ガラス等の透明部材により構成された原稿台203、不図示のCCD(Charge Coupled Device)センサー及び原稿読取スリット205を備える。原稿台203に載置された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿台203の長手方向に移動させながらCCDセンサーにより原稿を読み取る。これに対して、原稿給送部300から給送された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿読取スリット205と対向する位置に移動させて、原稿給送部300から送られてきた原稿を、原稿読取スリット205を通してCCDセンサーにより読み取る。CCDセンサーは読み取った原稿を画像データとして出力する。
【0025】
装置本体100は用紙貯留部101、画像形成部103及び定着部105を備える。用紙貯留部101は装置本体100の最下部に配置されており、用紙の束を貯留することができる用紙トレイ107を備える。用紙トレイ107に貯留された用紙の束において、最上位の用紙がピックアップローラー109の駆動により、用紙搬送路111へ向けて送出される。用紙は用紙搬送路111を通って、画像形成部103へ搬送される。
【0026】
画像形成部103は搬送されてきた用紙にトナー画像を形成する。画像形成部103は感光体ドラム113、露光部115、現像部117及び転写部119を備える。露光部115は画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)に対応して変調された光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム113の周面に照射する。これにより、感光体ドラム113の周面には画像データに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム113の周面に現像部117からトナーを供給することにより、周面には画像データに対応するトナー画像が形成される。このトナー画像は転写部119によって先ほど説明した用紙貯留部101から搬送されてきた用紙に転写される。
【0027】
トナー画像が転写された用紙は定着部105に送られる。定着部105において、トナー画像と用紙に熱と圧力が加えられて、トナー画像は用紙に定着される。用紙はスタックトレイ121又は排紙トレイ123に排紙される。
【0028】
操作部400は操作キー部401と表示部403を備える。表示部403はタッチパネル機能を有しており、ソフトキーを含む画面が表示される。ユーザーは画面を見ながらソフトキーを操作することによって、コピー等の機能の実行に必要な設定等をする。
【0029】
操作キー部401にはハードキーからなる操作キーが設けられている。具体的にはスタートキー405、テンキー407、ストップキー409、リセットキー411、コピー、プリンタ、スキャナ及びファクシミリを切り換えるための機能切換キー413等が設けられている。
【0030】
スタートキー405はコピー、ファクシミリ送信等の動作を開始させるキーである。テンキー407はコピー部数、ファクシミリ番号等の数字を入力するキーである。ストップキー409はコピー動作等を途中で中止させるキーである。リセットキー411は設定された内容を初期設定状態に戻すキーである。
【0031】
機能切換キー413はコピーキー及び送信キー等を備えており、コピー機能、送信機能等を相互に切り替えるキーである。コピーキーを操作すれば、コピーの初期画面が表示部403に表示される。送信キーを操作すれば、ファクシミリ送信及びメール送信の初期画面が表示部403に表示される。
【0032】
図2は図1に示す画像形成装置1の構成を示すブロック図である。画像形成装置1は装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作部400、制御部500、通信部600、第1の電源部V1及び第2の電源部V2が、バスによって相互に接続された構成を有する。装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300及び操作部400に関しては既に説明したので、説明を省略する。
【0033】
制御部500はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び画像メモリ等を備える。CPUは画像形成装置1を動作させるために必要な制御を、装置本体100等の画像形成装置1の上記構成要素に対して実行する。ROMは画像形成装置1の動作の制御に必要なソフトウェアを記憶している。RAMはソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶及びアプリケーションソフトの記憶等に利用される。画像メモリは画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)を一時的に記憶する。
【0034】
制御部500は電力モード制御部501の機能を有する。電力モード制御部501は通常電力モードと省電力モードとを切り換える制御をする。
【0035】
通常電力モード(第1の電力モードの一例)では、装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作部400、制御部500、及び通信部600がそれぞれ動作をすることができ、第1の電源部V1からの電力が、装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作部400、制御部500、及び通信部600に供給される。従って、通常電力モードでは、画像形成部103が画像を形成する動作を実行することができる。
【0036】
省電力モード(第2の電力モードの一例)は、装置本体100等が使用されていない状態において、通常電力モードから切り換わる電力モードであり、通常電力モードよりも消費電力が少ない電力モードである。省電力モードでは、第2の電源部V2からの電力が、後で説明する図3に示すスイッチ部14及びコンパレーター15等に供給される。
【0037】
通信部600はファクシミリ通信部601及びネットワークI/F部603を備える。ファクシミリ通信部601は相手先ファクシミリとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)及びファクシミリ通信用の信号を変復調する変復調回路を備える。ファクシミリ通信部601は電話回線605に接続される。
【0038】
ネットワークI/F部603はLAN(Local Area Network)607に接続される。ネットワークI/F部603はLAN607に接続されたパソコン等の端末装置との間で通信を実行するための通信インターフェイス回路である。
【0039】
次に、表示部403を構成する本発明の一実施形態に係るタッチパネル装置について説明する。図3はこのタッチパネル装置3aの構成を示す回路図である。タッチパネル装置3aは、タッチパネル部11、スクリーン部12、タッチパネルコントローラー13、スイッチ部14及びコンパレーター15を備える。
【0040】
タッチパネル部11は4線式抵抗膜方式のタッチパネルである。タッチパネル部11は第1の抵抗膜21、第1の抵抗膜21と対向して配置された第2の抵抗膜22、第1の電極23、第2の電極24、第3の電極25及び第4の電極26を含む。第1の電極23と第3の電極25とは、X方向(一の方向の一例)に間隔を有して第1の抵抗膜21に配置されている。第2の電極24と第4の電極26とは、Y方向(他の方向の一例)に間隔を有して第2の抵抗膜22に配置されている。
【0041】
タッチパネル部11はスクリーン部12の上に配置されている。スクリーン部12は、例えば液晶ディスプレイであり、画像形成装置1の操作画面を表示する機能を有する。
【0042】
タッチパネルコントローラー13は、タッチパネル部11及びスクリーン部12を制御する。タッチパネルコントローラー13は、制御部500のCPU16とバス17によって接続されている。タッチパネルコントローラー13には、第1の電極23と接続されている配線27、第2の電極24と接続されている配線28、第3の電極25と接続されている配線29、第4の電極26と接続されている配線30、及びスクリーン部12と接続されている配線31が接続されている。
【0043】
タッチパネルコントローラー13には通常電力モード(第1の電力モードの一例)の場合、第1の電源部V1から電力が供給され、省電力モード(第2の電力モードの一例)の場合、電力が供給されない。
【0044】
タッチパネルコントローラー13は、通常電力モード時に、画像形成装置1の操作画面をスクリーン部12に表示させる制御をし、操作画面に含まれるキー画像を、ユーザーが押下すると、以下のようにして、そのキー画像のX座標とY座標を算出する。
【0045】
タッチパネルコントローラー13はX座標測定時、第1の電極23を第1の電源部V1に接続し、第3の電極25を接地する。ユーザーがキー画像を押下(タッチパネル部11を押下)することにより、第1の抵抗膜21と第2の抵抗膜22とが接触した箇所(押下箇所)での第1の抵抗膜21の電圧が、第2の電極24で検出される。この電圧はタッチパネルコントローラー13に入力され、タッチパネルコントローラー13は押下箇所のX座標を演算する。
【0046】
タッチパネルコントローラー13はY座標測定時、第2の電極24を第1の電源部V1に接続し、第4の電極26を接地に接続する。押下箇所での第2の抵抗膜22の電圧が、第1の電極23で検出される。この電圧はタッチパネルコントローラー13に入力され、タッチパネルコントローラー13は押下箇所のY座標を演算する。以上により、スクリーン部12に表示される操作画面に含まれるキー画像のうち、どのキー画像が押下されたかを特定することができる。
【0047】
スイッチ部14はNPNのバイポーラトランジスタT1、バイポーラトランジスタT2及びバイポーラトランジスタT3を備える。バイポーラトランジスタT1のコレクターは、第2の電源部V2と接続されており、エミッターは第1の電極23と接続されている配線27に接続されており、ベースには電力モード制御部501(図2)からの信号が入力される。バイポーラトランジスタT1は第1の電極23を第2の電源部V2と接続・切り離しをするスイッチとして機能する。
【0048】
バイポーラトランジスタT2のコレクターは、第3の電極25と接続されている配線29に接続されており、エミッターは接地されており、ベースには電力モード制御部501からの信号が入力される。バイポーラトランジスタT2は第3の電極25をグランドと接続・切り離しをするスイッチとして機能する。
【0049】
バイポーラトランジスタT3のコレクターは、第2の電極24と接続されている配線28に接続されており、エミッターは後で説明するコンパレーター15の非反転入力端子と配線32によって接続されており、ベースには電力モード制御部501からの信号が入力する。配線32はプルダウン抵抗33を介して接地されている。バイポーラトランジスタT3は第2の電極24をコンパレーター15の非反転入力端子と接続・切り離しをするスイッチとして機能する。
【0050】
電力モード制御部501は、通常電力モード時、バイポーラトランジスタT1,T2,T3をオフさせる信号を、バイポーラトランジスタT1,T2,T3のそれぞれのベースに出力する。電力モード制御部501は、省電力モード時、バイポーラトランジスタT1,T2,T3をオンさせる信号を、バイポーラトランジスタT1,T2,T3のそれぞれのベースに出力する。
【0051】
電力モード制御部501は通常電力モードから省電力モードに切り換えるとき、電源を第1の電源部V1から第2の電源部V2に切り換える。これにより、CPU16、タッチパネルコントローラー13、スクリーン部12には電力が供給されないが、スイッチ部14及びコンパレーター15には第2の電源部V2から電力が供給される。
【0052】
コンパレーター15の非反転入力端子には、上述したように配線32が接続されている。コンパレーター15の反転入力端子は、抵抗34を介して第2の電源部V2と接続されており、抵抗35を介して接地されている。コンパレーター15の+Vcc端子は第2の電源部V2に接続され、−Vcc端子は接地されている。省電力モード時に、コンパレーター15の反転入力端子には、次に説明する予め設定された電圧が入力される。この電圧値は抵抗34と抵抗35の値により設定される。コンパレーター15から出力された信号は、電力モード制御部501(制御部500のCPU16)に送られる。
【0053】
省電力モード時に、コンパレーター15の反転入力端子に入力される電圧について説明する。配線32がプルダウン抵抗33に接続されているので、タッチパネル部11が押下されていない状態では、第2の電極24で検出される電圧は0Vである。このため、コンパレーター15の非反転入力端子に入力される電圧は、0Vである。
【0054】
省電力モードにおいて、第1の電極23は第2の電源部V2と接続され、第3の電極25は接地されているので、第2の電極24で検出される電圧は、タッチパネル部11が押下された箇所のX方向の位置に応じて異なる。第2の電極24で検出される一番大きい電圧は、第1の電極23付近を押下したときであり、例えば、第2の電源部V2の電圧を5.0Vとした場合、4.5Vとする。第2の電極24で検出される一番小さい電圧は、第3の電極25付近を押下したときであり、例えば、0.5Vとする。従って、コンパレーター15の反転入力端子に入力される電圧は、0Vより大きく、0.5Vより小さい値(例えば、0.3V)に設定される。
【0055】
省電力モードにおいて、タッチパネル部11が押下されていない場合、第2の電極24で検出される電圧は0Vとなるので、コンパレーター15から出力される信号の電圧はLレベルとなる。一方、タッチパネル部11が押下された場合、第2の電極24で検出される電圧は0.5V以上となる。これにより、コンパレーター15の非反転入力端子に入力される電圧は、反転入力端子に入力される電圧(0.3V)より大きくなるので、コンパレーター15から出力される信号の電圧はHレベルとなる。このように、コンパレーター15は判定部の一例であり、省電力モード(第2の電力モード)において第2の電極24で検出される電圧が、タッチパネル部11が押下されたことを示す値と判定した場合、省電力モードから通常電力モード(第2の電力モードより消費電力が大きい電力モードの一例)に切り換えを命令する信号(Hレベルの信号)を出力する。
【0056】
本実施形態の主な効果を説明する。本実施形態によれば、タッチパネルコントローラー13に電力が供給される通常電力モードより消費電力が少なく、タッチパネルコントローラー13に電力が供給されない省電力モードにおいて、スイッチ部14は第1の抵抗膜21に配置された第1の電極23を第2の電源部V2に接続し、第3の電極25を接地する。そして、コンパレーター15は、第2の抵抗膜22に配置された第2の電極24で検出される電圧が、タッチパネル部11が押下されたことを示す値と判定した場合、省電力モードから通常電力モードに切り換えを命令する信号を出力する。これにより、電力モード制御部501は、画像形成装置1が省電力モードから通常電力モードに復帰する制御をする。従って、省電力モード時にタッチパネルコントローラー13に電力が供給されていなくても、タッチパネル部11の押下を検知することができ、これにより、通常電力モードに復帰することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、省電力モードにおいて、タッチパネルコントローラー13に電力が供給されないので、省電力モードにおいてタッチパネルコントローラー13に電力が供給される場合に比べて、省電力モードでの消費電力を低くすることができる。
【0058】
さらに、本実施形態によれば、省電力モードにおいて、スイッチ部14が、第1の電極23を第2の電源部V2に接続し、第3の電極25を接地している。省電力モードで第3の電極25をフローティングにした場合、タッチパネル部11が押下された際に、第1の電極23から第2の電極24に過度の電流が流れる可能性がある。本実施形態では、省電力モードにおいて、第3の電極25を接地する。従って、省電力モードでタッチパネル部11が押下された際に、第1の電極23から第2の電極24に過度の電流が流れることを防止できる。
【0059】
本実施形態の変形例を説明する。第1の変形例は、省電力モード(第2の電力モードの一例)において、スイッチ部14が、第1の電極23及び第3の電極25を第2の電源部V2に接続する。
【0060】
第1の変形例によれば、省電力モードにおいて、第3の電極25をフローティングにした場合に比べて、第1の抵抗膜21の電位を安定させることができる。従って、省電力モードにおいて、第2の電極24で検出される電圧が、タッチパネル部11が押下されたことを示す値の判定をより正確にすることができる。
【0061】
図4は第2の変形例のタッチパネル装置3bの構成を示す回路図である。第2の変形例では図3に示すタッチパネル装置3aに、さらに、コンパレーター41と、コンパレーター41の反転入力端子に入力される電圧を設定するための抵抗42,43が追加されている。
【0062】
コンパレーター41の非反転入力端子には、配線32に接続された配線44が接続されている。コンパレーター41の反転入力端子は、抵抗42を介して第2の電源部V2と接続されており、抵抗43を介して接地されている。コンパレーター41から出力された信号は、電力モード制御部501(制御部500のCPU16)に送られる。コンパレーター41の+Vcc端子は第2の電源部V2に接続され、−Vcc端子は接地されている。
【0063】
省電力モード時に、コンパレーター41(第2のコンパレーターの一例)の反転入力端子には、予め設定された電圧が入力される。この電圧値は抵抗42と抵抗43の値により設定され、コンパレーター15(第1のコンパレーターの一例)の反転入力端子に入力される電圧(例えば、0.3V)より、大きな値が設定される。この値について説明する。
【0064】
上述したように省電力モードにおいて、第1の電極23は第2の電源部V2と接続され、第3の電極25は接地されているので、第2の電極24で検出される電圧は、タッチパネル部11が押下された箇所のX方向の位置に応じて異なる。第1の電極23付近を押下したときに、第2の電極24で検出される電圧が一番大きくなり(例えば、4.5V)、第3の電極25付近を押下したときに、第2の電極24で検出される電圧が一番小さくなる(例えば、0.5V)。第1の電極23と第3の電極25との中間付近を押下すると、最大の電圧と最小の電圧との中間の電圧となる(例えば、2.5V)。この中間の電圧を、コンパレーター41の反転入力端子に入力される電圧にする。これにより、タッチパネル部11の中央よりも、第3の電極25側が押下されると、コンパレーター15から出力される信号の電圧はHレベルとなるが、コンパレーター41から出力される信号の電圧はLレベルのままである。一方、タッチパネル部11の中央よりも、第1の電極23側が押下されると、コンパレーター15から出力される信号の電圧、コンパレーター41から出力される信号の電圧はいずれもHレベルとなる。
【0065】
従って、省電力モードでタッチパネル部11が押下された場合、第1の電極23側が押下されたのか、第3の電極25側が押下されたのかを、区別して判定することができる。これにより、第1の電極23側が押下された場合と、第3の電極25側が押下された場合とで異なる処理を実行することができる。この処理の一例を説明する。図5は第2の変形例のタッチパネル装置3bを備えた画像形成装置1において、省電力モードから通常電力モードに復帰する処理を説明するフローチャートである。例えば、タッチパネル部11の周囲に、「タッチパネルの左側(第1の電極23側)を押下すると、コピーモードに復帰し、タッチパネルの右側(第3の電極25側)を押下すると、スキャナーモードに復帰します」と表示されたラベルを貼り付ける。
【0066】
画像形成装置1が使用されない時間が、所定時間を超えると、電力モード制御部501は通常電力モードから省電力モードに切り換える(ステップS1)。コンパレーター15は、タッチパネル部11が押下されたか判定する(ステップS2)。コンパレーター15が、タッチパネル部11が押下されたと判定しない場合(ステップS2でNo)、ステップS1に戻る。
【0067】
電力モード制御部501は、タッチパネル部11が押下されたことをコンパレーター15により判定された場合(ステップS2でYes)、コンパレーター15,41から出力される信号の電圧を基にして、第1の電極23側が押下(コピーモードに復帰が選択)されたのか、第3の電極25側が押下(スキャナーモードに復帰が選択)されたのか判断する。
【0068】
第3の電極25側が押下されると、コンパレーター15から出力される信号の電圧はHレベルとなるが、コンパレーター41から出力される信号の電圧はLレベルのままである。第1の電極23側が押下されると、コンパレーター15から出力される信号の電圧、コンパレーター41から出力される信号の電圧はいずれもHレベルとなる。
【0069】
従って、コンパレーター15から出力される信号の電圧、コンパレーター41から出力される信号の電圧がいずれもHレベルの場合、電力モード制御部501はタッチパネル部11の押下箇所が第1の電極23側と判断し(ステップS3でYes)、コピーモードで通常モードに復帰する(ステップS4)。
【0070】
コンパレーター15から出力される信号の電圧がHレベルであり、コンパレーター41から出力される信号の電圧がLレベルの場合、電力モード制御部501はタッチパネル部11の押下箇所が第3の電極25側と判断し(ステップS3でNo)、スキャナーモードで通常モードに復帰する(ステップS5)。
【0071】
以上説明したように、第2の変形例によれば、省電力モードでタッチパネル部11が押下された場合、タッチパネル部11の中央に対して、第1の電極23側が押下されたのか、第3の電極25側が押下されたのかを、区別して判定することができる。これにより、第1の電極23側が押下された場合と、第3の電極25側が押下された場合とで異なる処理を実行することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 画像形成装置
3a,3b タッチパネル装置
11 タッチパネル部
13 タッチパネルコントローラー
14 スイッチ部(トランジスタT1,T2,T3)
15 コンパレーター(第1のコンパレーター)
21 第1の抵抗膜
22 第2の抵抗膜
23 第1の電極
24 第2の電極
25 第3の電極
26 第4の電極
41 コンパレーター(第2のコンパレーター)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の抵抗膜、前記第1の抵抗膜と対向して配置された第2の抵抗膜、前記第1の抵抗膜に配置された第1の電極、及び、前記第2の抵抗膜に配置された第2の電極を含む抵抗膜方式のタッチパネル部と、
前記タッチパネル部を制御するタッチパネルコントローラーと、
前記タッチパネルコントローラーに電力が供給される第1の電力モードと、前記第1の電力モードより消費電力が少ない電力モードであり、前記タッチパネルコントローラーに電力が供給されない第2の電力モードとのうち、前記第2の電力モードにおいて、前記第1の電極を電源に接続するスイッチ部と、
前記第2の電力モードにおいて、前記第2の電極で検出される電圧が、前記タッチパネル部が押下されたことを示す値と判定した場合、前記第2の電力モードから前記第2の電力モードより消費電力が大きい電力モードに切り換えを命令する信号を出力する判定部と、を備えるタッチパネル装置。
【請求項2】
前記タッチパネル部は、一の方向に前記第1の電極と間隔を有して前記第1の抵抗膜に配置された第3の電極、及び、前記一の方向と直交する他の方向に前記第2の電極と間隔を有して前記第2の抵抗膜に配置された第4の電極を、さらに含む4線式抵抗膜方式のタッチパネルである請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項3】
前記スイッチ部は、前記第2の電力モードにおいて、前記第1の電極を電源に接続し、前記第3の電極を接地する請求項2に記載のタッチパネル装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記タッチパネル部の前記第1の電極側の押下により前記第2の電極で検出される電圧である第1の電極側電圧と、前記タッチパネル部の前記第3の電極側の押下により前記第2の電極で検出される電圧である第3の電極側電圧とのうち、いずれの電圧が入力されても出力が反転する第1のコンパレーターと、
前記第1の電極側電圧と前記第3の電極側電圧とのうち、一方の電圧が入力されると出力が反転し、他方の電圧が入力されると出力が反転しない第2のコンパレーターと、を含む請求項3に記載のタッチパネル装置。
【請求項5】
前記スイッチ部は、前記第2の電力モードにおいて、前記第1の電極及び前記第3の電極を電源に接続する請求項2に記載のタッチパネル装置。
【請求項6】
前記第2の電力モードより消費電力が大きい電力モードとは、前記第1の電力モードであり、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のタッチパネル装置と、
用紙に画像を形成する動作を実行する画像形成部と、
前記画像形成部が前記動作を実行できる通常電力モードである前記第1の電力モードと、前記画像形成部が前記動作を実行できない省電力モードである前記第2の電力モードとを切り換える制御をする電力モード制御部と、を備え、
前記電力モード制御部は、前記判定部から出力された前記信号に基づいて、前記第2の電力モードから前記第1の電力モードに切り換える制御をする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−12017(P2013−12017A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143980(P2011−143980)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】