説明

ターボチャージャ

【課題】コンプレッサハウジングに設けられたシール部の表面にオイルが固化して堆積することを防止でき、長期に亘り安定した性能や動作特性を維持できるターボチャージャを提供する。
【解決手段】本発明のターボチャージャは、コンプレッサハウジング5の内部に回転翼8が設けられ、回転翼8の外周部に対向する略環状のシール部53がコンプレッサハウジング5に設けられたターボチャージャであって、シール部53における回転翼8との対向面54の外径は、回転翼8におけるシール部53との対向部81の外径以下であるという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンから排出される排気ガスの運動エネルギーを利用して、エンジンに空気を過給するターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンから排出される排気ガスの運動エネルギーを利用して、エンジンに空気を過給するターボチャージャが用いられている。
ターボチャージャは、タービンとコンプレッサとを有している。エンジンから排出された排気ガスがタービンに導入され、タービンの内部に設けられたタービンインペラを回転させる。タービンインペラは、コンプレッサの内部に設けられたコンプレッサインペラと一体的に連結されており、タービンインペラの回転によりコンプレッサインペラが回転する。回転するコンプレッサインペラが外部から導入された空気を圧縮し、コンプレッサが圧縮された空気をエンジンに供給することで、エンジンの性能を向上させる。
【0003】
コンプレッサの外殻は、コンプレッサハウジングによって構成されている。コンプレッサハウジングに形成された空気の流路における内壁は、コンプレッサインペラの外周部に近接しており、流路の内壁とコンプレッサインペラの外周部との間の隙間は非常に小さくなっている。これは、上記隙間が大きいと、その隙間内を流動する空気量が増え、コンプレッサによる空気の圧縮効率が低下してしまうためである。
しかし、コンプレッサハウジング及びコンプレッサインペラは共に硬度の高い金属等の材料で形成されているため、上記隙間を過度に小さくした場合には、例えば振動によってコンプレッサインペラが流路の内壁に接触し、コンプレッサインペラを破損する虞があった。
【0004】
そのため、特許文献1には、コンプレッサインペラの破損を防止するために、コンプレッサインペラの外周部に対向する略環状のシール部を流路の内壁に設けたターボチャージャが開示されている。
特許文献1に開示されたシール部は樹脂等で形成されている。そのため、振動等によりコンプレッサインペラがシール部に接触した場合における、コンプレッサインペラが破損する可能性を低減させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−299381号公報(第8頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、コンプレッサにおける吸気口の上流側には、エンジン等から排出されるブローバイガスの導入口が設けられている。ブローバイガスは、エンジンのピストン及びシリンダの隙間等から漏出したガスのことであり、その中にはオイル等が含まれ、汚染の原因となることからそのまま外部に排出することはできない。そのため、ブローバイガスは所定の箇所に集められ、オイルセパレータによって液体のオイル等が除去された後に、上記導入口及び吸気口を介してコンプレッサ内に導入される。ブローバイガスは、空気と共にコンプレッサにより圧縮され、再びエンジンに供給されて燃料と共に燃焼される。
【0007】
ここで、コンプレッサ内に導入されたブローバイガスには、オイルセパレータで除去できなかった霧状のオイルが含まれており、このオイルがシール部の表面に付着した後、固化して堆積するという現象が見られた。上記オイルは所定の温度(例えば165℃)で固化する性質を有しており、また、シール部は樹脂であることから断熱効果が高く、金属製のコンプレッサハウジングよりも温度が高く維持されやすい。そのため、シール部の表面でオイルが固化して堆積しやすいという傾向があった。
オイルが堆積することで、コンプレッサハウジング内における空気の流路幅が縮小してしまい、ターボチャージャの性能や動作特性が変化してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、コンプレッサハウジングに設けられたシール部の表面にオイルが固化して堆積することを防止でき、長期に亘り安定した性能や動作特性を維持できるターボチャージャを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明のターボチャージャは、コンプレッサハウジングの内部に回転翼が設けられ、回転翼の外周部に対向する略環状のシール部がコンプレッサハウジングに設けられたターボチャージャであって、シール部における回転翼との対向面の外径は、回転翼におけるシール部との対向部の外径以下であるという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、対向面の外径が回転翼における対向部の外径以下であるため、対向面には全面に亘り対向部が対向しており、シール部の対向面にオイルが付着した場合には、オイルは回転翼によって掻き出されて上記対向面の径方向外側に移動する。
【0010】
また、本発明のターボチャージャは、シール部の対向面における周縁部近傍での、回転翼とシール部との間の隙間は、周縁部近傍以外での回転翼とシール部との間の隙間よりも広いという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、シール部の対向面における周縁部近傍での回転翼とシール部との間の隙間内を、径方向外側に向かって空気が流動しており、上記周縁部近傍に付着したオイルは、この空気の流動によって吹き飛ばされることにより対向面の径方向外側に移動する。
【0011】
また、本発明のターボチャージャは、コンプレッサハウジングにおけるシール部の径方向外側に位置する面部は、シール部の対向面と面一に形成されているという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、シール部の対向面及びコンプレッサハウジングの面部に沿って空気が円滑に流動するため、対向面に付着したオイルは効率よく径方向外側に移動する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
本発明によれば、コンプレッサハウジングに設けられたシール部の表面に、オイルが固化して堆積することを防止できるという効果がある。したがって、本発明によれば、コンプレッサハウジング内において空気を流動させる流路の幅が変化しないため、ターボチャージャの性能や動作特性を長期に亘り安定化できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係るターボチャージャ1の全体構成を示す概略図である。
【図2】第1の実施形態におけるシール部53及びその周辺の拡大図である。
【図3】第2の実施形態における第2シール部53A及びその周辺の拡大図である。
【図4】第1の実施形態におけるコンプレッサハウジング5の変形例を示す概略図である。
【図5】第1の実施形態におけるシール部53又は第2の実施形態における第2シール部53Aの変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
本実施形態に係るターボチャージャ1の全体構成を、図1を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係るターボチャージャ1の全体構成を示す概略図である。図1中の矢印Fは前方向を示す。
【0015】
ターボチャージャ1は、不図示のエンジンから排出される排気ガスの運動エネルギーを利用して、エンジンに空気を過給する装置である。
図1に示すように、ターボチャージャ1は、タービンハウジング2と、軸受けハウジング3と、シールプレート4と、コンプレッサハウジング5とが前方より順次配置され一体的に設けられた構成となっている。
【0016】
軸受けハウジング3内部には、前後方向で延びるインペラ軸6が、複数の軸受け31を介して回転自在に設けられている。
インペラ軸6の両端には、回転する翼であるタービンインペラ7及びコンプレッサインペラ(回転翼)8がそれぞれ一体的に連結されている。タービンインペラ7及びコンプレッサインペラ8は、いずれも複数の翼が回転軸周りに等間隔で設けられた構成となっている。タービンインペラ7は、タービンハウジング2の略中央部に配置され、コンプレッサインペラ8は、コンプレッサハウジング5の略中央部に配置されている。
【0017】
タービンハウジング2は、タービンインペラ7を囲み前後方向に直交する面に沿って略渦巻状に形成されるタービンスクロール流路21と、排気ガスの排出口であるタービンハウジング出口22とを有している。
タービンスクロール流路21は、エンジンから排出された排気ガスが導入される不図示のガス流入口に連通している。また、タービンスクロール流路21は、タービンインペラ7の設置箇所を介して、タービンハウジング出口22に連通している。タービンハウジング出口22は、不図示の排気ガス浄化装置に接続されている。
【0018】
コンプレッサハウジング5は、後方に開口し不図示のエアクリーナに接続される吸気口51と、コンプレッサインペラ8を囲み前後方向に直交する面に沿って略渦巻状に形成されるコンプレッサスクロール流路52と、コンプレッサインペラ8の外周部に対向する略環状のシール部53とを有している。また、シールプレート4とコンプレッサハウジング5との間には、空気を圧縮して昇圧させるディフューザ流路41が、コンプレッサインペラ8を中心にして略環状に形成されている。
吸気口51は、コンプレッサインペラ8の設置箇所を介してディフューザ流路41に連通しており、ディフューザ流路41は、コンプレッサスクロール流路52に連通している。
吸気口51と上記エアクリーナとの間には、エンジン等から排出されるブローバイガスの導入口(図示せず)が設けられている。なお、上記導入口から導入されるブローバイガスは、不図示のオイルセパレータによって液状のオイルが除去されたものである。
【0019】
次に、本実施形態におけるシール部53の構成を、図2を参照して説明する。
図2は、第1の実施形態におけるシール部53及びその周辺の拡大図である。図2中の矢印Fは前方向を示す。
【0020】
図2に示すように、シール部53におけるコンプレッサインペラ8との対向面54は、コンプレッサインペラ8におけるシール部53との対向部81の外形に沿う形状となっている。対向面54と対向部81との間には所定の隙間Sが形成されており、隙間Sは対向面54上のいずれの位置においても略等しい大きさとなっている。なお、本実施形態における隙間Sの大きさは、凡そ0.1mmである。
対向面54の外径は、対向部81の外径と略同一の大きさで形成されている。すなわち、対向面54の全表面に亘り、コンプレッサインペラ8が対向している構成となっている。
【0021】
コンプレッサハウジング5には、シール部53を設けるための凹部55が形成されている。さらに、凹部55内には第2凹部56が形成されている。
コンプレッサハウジング5における対向面54の径方向外側に位置する面部57は、対向面54の表面と面一に形成されている。
【0022】
シール部53は、耐熱性(例えば200℃まで)を有する樹脂材料で形成されている。また、上記樹脂材料には、振動等によりコンプレッサインペラ8がシール部53に接触した場合に、コンプレッサインペラ8の破損を防止するこのできる硬度の材料が用いられている。
【0023】
シール部53は、射出成形法を用いて成形されている。なお、コンプレッサハウジング5の第2凹部56内に上記樹脂材料が充填されて硬化することで、シール部53がコンプレッサハウジング5の凹部55から前方に外れることを防止している。
もっとも、本実施形態におけるシール部53の成形方法は、上記成形方法に限定されず、シール部53を単体で樹脂材料から成形した後、シール部53をコンプレッサハウジング5に機械的に接続する構成としてもよい。
【0024】
続いて、本実施形態におけるターボチャージャ1の動作を説明する。
まず、ターボチャージャ1の過給動作、すなわち、不図示のエンジンから排出される排気ガスの運動エネルギーを利用して、エンジンに空気を過給する動作について説明する。
【0025】
エンジンの排気口から排出された排気ガスは、タービンハウジング2のガス流入口を介してタービンスクロール流路21に導入される。排気ガスは、タービンスクロール流路21内をタービンインペラ7周りで回転するように流動しつつ、タービンインペラ7に導入される。この排気ガスの導入により、タービンインペラ7が回転する。タービンインペラ7を回転させた後、排気ガスはタービンハウジング出口22から排出され、排気ガス浄化装置によって浄化された後に大気に放出される。
【0026】
タービンインペラ7は、インペラ軸6を介してコンプレッサインペラ8と一体的に連結されているため、タービンインペラ7が回転することでコンプレッサインペラ8もかいてんする。
コンプレッサインペラ8の回転により、コンプレッサハウジング5の吸気口51から導入された空気がディフューザ流路41に送り出される。送り出された空気は、ディフューザ流路41内を流動することで昇圧される。昇圧された空気は、コンプレッサスクロール流路52を通ってエンジンの吸気口に供給される。エンジンに圧縮された空気が供給されることで、エンジンの性能を向上させることができる。
以上で、ターボチャージャ1の過給動作が終了する。
【0027】
次に、ターボチャージャ1に導入されるブローバイガス及びブローバイガスに含まれるオイルの流動について説明する。
【0028】
吸気口51の上流側に設けられた不図示の導入口より、オイルセパレータによって液状のオイルが除去されたブローバイガスが導入される。ブローバイガスは、エアクリーナを介して外部から導入された空気と混合され、吸気口51を介してコンプレッサハウジング5内に導入される。その後、ブローバイガスは、コンプレッサインペラ8によって空気と共に圧縮され、ディフューザ流路41及びコンプレッサスクロール流路52を介してエンジンに供給される。エンジンに供給されたブローバイガスは、燃料と共に燃焼される。
【0029】
ブローバイガスには、オイルセパレータによっても除去できない霧状のオイル(オイルミスト)が含まれている。ブローバイガスがコンプレッサハウジング5内に導入されると、このオイルはコンプレッサインペラ8の翼部、ディフューザ流路41の内壁及びシール部53の対向面54等に付着する。なお、オイルは所定の温度(凡そ165℃)になると固化する性質を有する。
【0030】
ここで、コンプレッサインペラ8は高速で回転していることから、その翼部にオイルが付着しても回転により径方向外側に飛ばされる。よって、オイルはコンプレッサインペラ8の翼部に堆積しない。
また、コンプレッサインペラ8で空気が圧縮され高温となるのであるが、ディフューザ流路41を形成するシールプレート4及びコンプレッサハウジング5は共に金属材料で形成されており、その熱伝導性が高いことから短時間で放熱し、オイルが固化するほどの温度に到達しない。よって、ディフューザ流路41の内壁にもオイルは堆積しない。
【0031】
一方、シール部53は樹脂材料で形成されていることから、その熱伝導性は低く温度が高く維持されやすい。そのため、シール部53の対向面54には、オイルが固化して堆積する傾向がある。
しかし、対向面54の表面にオイルが付着したとしても、対向面54には僅かな隙間Sを残してコンプレッサインペラ8の対向部81が近接しているため、付着したオイルはコンプレッサインペラ8によって掻き出され、径方向外側に送り出される。また、対向面54の全表面に亘りコンプレッサインペラ8が対向している構成となっているため、対向面54の全面においてオイルが固化して堆積することはない。
また、コンプレッサハウジング5の面部57は、対向面54と面一に形成されていることから、コンプレッサインペラ8により掻き出されたオイルは、対向面54から面部57に円滑に移動する。
【0032】
したがって、コンプレッサインペラ8の翼部、ディフューザ流路41の内壁及びシール部53の対向面54等に付着したオイルは下流側に送り出され、コンプレッサスクロール流路52を介してエンジンに導入され燃焼される。
以上で、ターボチャージャ1に導入されるブローバイガス及びブローバイガスに含まれるオイルの流動が終了する。
【0033】
したがって、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
本実施形態によれば、コンプレッサハウジング5に設けられたシール部53の表面に、オイルが固化して堆積することを防止できるという効果がある。したがって、本実施形態によれば、コンプレッサハウジング5内において空気を流動させる流路の幅が変化しないため、ターボチャージャ1の性能や動作特性を長期に亘り安定化できるという効果がある。
【0034】
〔第2実施形態〕
本実施形態に係るターボチャージャ1を、図3を参照して説明する。
図3は、第2の実施形態における第2シール部53A及びその周辺の拡大図である。図2中の矢印Fは前方向を示す。なお、図3において、第1の実施形態の構成要素と同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
本実施形態に係るターボチャージャ1の全体構成及びその過給動作は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0036】
図3に示すように、第2シール部53Aにおける対向面54の周縁部58は、コンプレッサインペラ8の対向部81から離間する側に向かって傾斜している。よって、周縁部58と対向部81との間に形成される第2隙間S2は、隙間Sよりも広くなっている。
また、コンプレッサハウジング5の面部57は、周縁部58の表面と面一に形成されている。
【0037】
続いて、第2シール部53Aの表面に付着したオイルの流動について説明する。なお、ブローバイガス自体の流動は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0038】
第2シール部53Aの対向面54に付着したオイルは、第1の実施形態と同様に、コンプレッサインペラ8により掻き出されて径方向外側に向かって移動する。対向面54の外側に向かって移動したオイルは、周縁部58に付着する。
ここで、コンプレッサインペラ8の回転により、第2隙間S2では空気が径方向外側に向かって流動している。よって、周縁部58に付着したオイルは、この空気の流動により吹き飛ばされ、周縁部58の径方向外側に移動する。したがって、周縁部58に付着したオイルを効率よくディフューザ流路41側に送り出すことができる。
【0039】
また、コンプレッサハウジング5の面部57は、周縁部58と面一に形成されていることから、上記空気の流動を阻害せず、オイルを周縁部58からディフューザ流路41側に円滑に送り出すことができる。
【0040】
したがって、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
本実施形態によれば、第1の実施形態によって得られる効果に加え、第2シール部53Aの周縁部58に付着したオイルを、効率よくディフューザ流路41側に送り出すことができるという効果がある。
【0041】
なお、前述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲においてプロセス条件や設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0042】
例えば、上記実施形態では、隙間Sの大きさは0.1mmであるが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、ターボチャージャの性能及び動作特性に合わせて適切な大きさを選択してよい。
【0043】
また、第1の実施形態では、コンプレッサハウジング5の面部57はシール部53の対向面54と面一に形成されているが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、図4に示すような構成を採用してもよい。
図4は、第1の実施形態におけるコンプレッサハウジング5の変形例を示す概略図である。
図4に示すように、コンプレッサハウジング5の面部57は、コンプレッサインペラ8の対向部81から離間する側に変位している。このような構成によれば、対向部81の周縁部が振動等によって面部57に接触する可能性を低減させることができる。
【0044】
また、上記実施形態では、シール部53及び第2シール部53Aにおける対向面54の外径は、コンプレッサインペラ8における対向部81の外径と略同一に形成されているが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、図5に示すような構成を採用してもよい。
図5は、第1の実施形態におけるシール部53又は第2の実施形態における第2シール部53Aの変形例を示す概略図である。
図5に示すように、シール部53又は第2シール部53Aにおける対向面54の外径は、対向部81の外径よりも小さく形成されている。このような構成であっても、対向面54の全表面に亘りコンプレッサインペラ8が対向しているため、対向面54に付着したオイルをコンプレッサインペラ8により掻き出して径方向外側に移動させることができる。
【符号の説明】
【0045】
1…ターボチャージャ、5…コンプレッサハウジング、53…シール部、53A…第2シール部、54…対向面、58…周縁部、8…コンプレッサインペラ(回転翼)、81…対向部、S…隙間、S2…第2隙間



【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサハウジングの内部に回転翼が設けられ、前記回転翼の外周部に対向する略環状のシール部が前記コンプレッサハウジングに設けられたターボチャージャであって、
前記シール部における前記回転翼との対向面の外径は、前記回転翼における前記シール部との対向部の外径以下であることを特徴とするターボチャージャ。
【請求項2】
前記シール部の前記対向面における周縁部近傍での、前記回転翼と前記シール部との間の隙間は、前記周縁部近傍以外での前記回転翼と前記シール部との間の隙間よりも広いことを特徴とする請求項1に記載のターボチャージャ。
【請求項3】
前記コンプレッサハウジングにおける前記シール部の径方向外側に位置する面部は、前記シール部の前記対向面と面一に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のターボチャージャ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−209847(P2010−209847A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58438(P2009−58438)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】