説明

ダイコン種子調製物におけるグルコラファニンを富化する方法

【課題】 化学的予防性化合物、および十字花植物種子から化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を製造する方法の提供。より詳しくは、ダイコン種子から、グルコラファニン対グルコラフェニンの割合が増加した化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を製造する方法の提供。
【解決手段】 水性抽出物を調製する工程、前記水性抽出物を吸着剤と接触させる工程、吸着を除去してグルコシノレート含有抽出物を得る工程、グルコシノレート含有抽出物を乾燥して乾燥されたグルコシノレート含有抽出物を得る工程、少なくとも一部の乾燥されたグルコシノレート含有抽出物を溶媒と混合してグルコシノレート含有懸濁液を形成する工程、グルコシノレート含有懸濁液を清澄化する工程、グルコシノレート含有懸濁液を触媒と接触させる工程、および化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって水素を導入する工程を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学防御前駆体化合物、ならびに各種食料品、医薬品、および健康補助食品に組み入れることができる化学防御前駆体化合物を富化した十字花植物種子の抽出物を製造する方法に関する。より詳細には、ダイコン種子抽出物中のグルコラフェニンに対するグルコラファニンの割合が増加した抽出物を供給するのに有効な水素化法を提供する。
【背景技術】
【0002】
食餌療法は癌発生のリスクを抑制する上で大きな役割を果たし、果実および野菜の摂取を増加することにより、ヒトにおける癌発生率を減少することができることは、一般に認められている。植物中の特定の微量な化学成分が存在することにより、哺乳動物細胞に供給すると、主要な保護機構をもたらすことができる。更に、植物から抽出された抗癌化学成分で強化するかまたは補充した、医薬品、栄養補給剤、または食料品を提供することにより、付加的な健康上の利点をもたらすことができる。米国食品産業の重要な傾向として、健康志向の食料品を推進している。
【0003】
十字花科野菜は、哺乳動物細胞に供給された場合に発癌性物質の解毒機構を誘導すると思われる強力な化学的予防剤の植物化学物質前駆体、特に(スルフォラファングルコシノレートまたは4−メチルスルフィニルブチルグルコシノレートとしても知られている)グルコラファニン、およびその関連変換産物スルフォラファンを含有する。グルコシノレートは、双子葉類の(dicotyledenous)植物中に、最も一般的にはアブラナ科(十字花科)に見出される。グルコシノレートは、一般構造:
【0004】
【化1】

【0005】
の硫黄含有化合物である。グルコシノレートには、アミノ酸由来のR基、およびスルホン化オキシムの炭素に対するチオグルコシド結合が含まれている。グルコシノレートのチオグルコシド結合は、β−チオグルコシダーゼで加水分解されて不安定なグルコシノレートアグリコンとなり、それが自発転位を受けてスルフォラファンなどの化学的予防剤イソチオシアネート、およびニトリル、チオシアネートなどの他の化合物となる。
【0006】
特定の癌リスクを減少することに加え、グルコラファニンは、生理活性の変換産物スルフォラファンを介し、胃潰瘍の大部分を引き起こす原因である微生物を破壊するのに有効であることが最近示されており、循環器および眼の疾患を発症するリスクを減少する新規な手法を提供することもできる。これらの作用物質の天然含量が高い食料品、または十字花植物の化学的予防剤を添加含有した食品にラベル表示をする承認を得る努力がなされている。化学的予防剤の添加剤を含有する製品は、このようなラベル表示を付けていないが、すでに市場に出ている。
【0007】
十字花科野菜は、良好な健康状態を維持するのに問題となり得るインドールグルコシノレート(例えば、4−ヒドロキシグルコブラシカン)など他の化合物も含有している。これらの化合物は、発癌性物質の解毒系の弱い誘導物質であるだけでなく、特定の前発癌性物質を生物活性化しうる系を誘導する可能性もある。従って、インドールグルコシノレートまたは他の有害化合物ができるだけ残留していないグルコラファニン含有調製物を製造することは有利である。
【0008】
グルコシノレート、特にグルコラファニンの製造は、高コストのため問題がある。本発明までは、グルコラファニンの最適な製造源は、高価なブロッコリーの特定品種であった。グルコシノレートの相当な保健上の可能性は、グルコラファニンを調達する高コストのため、実現されていない。従って、グルコシノレート、特にグルコラファニンを高収率で製造する代替法を得る必要がある。
【0009】
【非特許文献1】Talalay, P.ら、J. Nutr.、131 (11 Supp.): 30275〜30335 (2001)
【非特許文献2】Barillari, J.ら、J. Agric. Food Chem.、53: 9890〜9896 (2005)
【非特許文献3】West, L.、J. Agric. Food Chem.、52: 916〜926 (2004)
【非特許文献4】Westら、J. Chromatography A、966: 227〜232 (2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
技術的にも簡易であり、製造コストの観点からも魅力的である本発明の方法は、かかる改善を提供する。実際、本発明の方法は、比較的安価なダイコン種子由来の化学的予防剤前駆体の化合物、特にグルコラファニンを富化した抽出物の調製を可能にすると同時に、実質的に、より高価なブロッコリー品種から調製される抽出物の健康上の利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、化学的予防剤前駆体の組成物を富化した十字花植物種子の抽出物、特にダイコン種子抽出物、およびそれらの調製方法を対象としている。本発明の方法を使用する、十字花植物種子、好ましくはダイコン種子由来の水性抽出物の処理により、グルコラファニンなど特定の化学的予防剤前駆体の化合物(アルキルグルコシノレート)の量が実質的に増加する。該方法は、ダイコン種子中に発見される化合物であるグルコラフェニンをグルコラファニンに変換することにより、化学的予防剤前駆体を富化した十字花植物種子の抽出物を提供する。グルコラフェニンは、グルコラファニンと同様の化学構造を有しているが、同様の健康増進活性を有しているとは考えられていない。グルコラファニンおよびグルコラフェニンの構造を下記に示す。
【0012】
【化2】

【0013】
本発明の方法により、グルコラフェニンは、(必要であれば追加の水素化ステップを使用してもよいが、通常、1つ、2つ、または3つの水素化ステップを含む)水素化反応を介してグルコラファニンへ変換される。通常、本発明の方法により製造された十字花植物種子の抽出物は、グルコラファニン対グルコラフェニンの割合が、少なくとも約1:1、好ましくは少なくとも約5:1、更により好ましくは少なくとも約100:1であり、グルコラフェニンがもはやHPLCにより検出できないことが最も好ましい。得られる抽出物は、乾燥してもよいし、あるいは添加物として、種々の食料品、健康補助食品、または医薬品組成物に直接使用してもよい。
【0014】
ダイコン種子などの十字花植物種子由来の化学的予防剤前駆体を富化する方法を提供する。十字花植物野菜からの種子は、化学的予防剤前駆体の植物化学物質の良好な供給源として特定されている。十字花植物科に属する特に有用なものとして、ブロッコリー、ケール、コラード、ケールキャベツ、マローステムケール、サウザンドヘッドケール、チャイニーズケール、カリフラワー、ポルトガルケール、メキャベツ、コールラビ、ジャージーケール、サボイキャベツ、コラード類、ボーレコール、ダイコンなど、およびその混合物が挙げられる。好ましい態様では、ダイコン種子を使用する。通常、カイワレ大根は、種子が発芽する際、グルコラフェニンが化学的予防剤前駆体ではない4−メチルチオ−3−ブテニルグルコシノレートに変換されるので、化学的予防剤前駆体の有用な供給源ではない。
【0015】
通常、該方法には、十字花植物種子の水性抽出物の調製が含まれる。任意選択により、水性抽出物を細胞性物質から分離してもよい。水性抽出物は、良好な健康状態に問題である特定の化合物、すなわち特定のインドールグルコシノレート、ならびに望ましくない香味、匂い、および色を除去するための吸着剤と接触させる。使用してもよい吸着剤として、活性炭、シリカ、種々の化学修飾シリカ(C18シリカなど)、および漂白用粘土など、ならびにそれらの混合物が挙げられる。吸着剤は、活性炭が好ましい。通常、種子材料の乾燥重量に対し、吸着剤約1から約20重量%を水性抽出物と混合する。好ましい態様では、種子材料の乾燥重量に対し、吸着剤約8から約12重量%を水性抽出物と混合する。別の態様では、水性抽出物を、吸着剤を含むカラムに通過させてもよい。
【0016】
従来の技術(例えば、ろ過、デカント、遠心分離など)を使用して、水性抽出物を吸着剤から分離して、グルコシノレート含有抽出物を得る。次に、グルコシノレート含有抽出物を乾燥して、乾燥されたグルコシノレート含有抽出物を形成する。次に、乾燥されたグルコシノレート含有抽出物を溶媒中に懸濁させて、グルコシノレート含有懸濁液を形成する。
【0017】
所望であれば、該懸濁液を水素化前に清澄化してもよい。低圧または高圧水素化法を使用して、グルコラフェニンをグルコラファニンに変換することができる。触媒をグルコシノレート含有懸濁液に添加し、水素化反応を、得られる生成物中のグルコラファニン対グルコラフェニンの所望の割合に応じて、(必要であれば、追加の水素化ステップを使用してもよいが)通常、1つ、2つ、または3つのステップの水素化反応で行う。適当な触媒として、パラジウム、白金、ニッケル、それらの任意の誘導体などが挙げられる。通常、水素化は温度約25℃から約450℃で行い、水素は圧力約50から約10000psiで導入される。各水素化反応の間に反応生成物をろ過して使用済み触媒を除去し、追加触媒を各反応前に添加する。通常、該方法は、グルコラファニン対グルコラフェニンの割合が約1:1、好ましくは約5:1、更により好ましくは少なくとも約100:1、最も好ましくはグルコラフェニンがHPLCにより検出できない、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに有効である。
【0018】
別の態様では、化学的予防剤前駆体が富化された十字花植物種子の抽出物を含む食料品および医薬品を提供する。化学的予防剤前駆体が富化された十字花植物種子の抽出物は、食料品に直接組み入れてもよいし、あるいは乾燥、冷却、冷凍、または凍結乾燥した後で食料品に組み入れてもよい。化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を組み入れてもよい食料品として、食品サプリメント(food supplements)、飲料、ミルクセーキ、焼き菓子、茶、スープ、シリアル、丸薬、錠剤、サラダ、サンドイッチ、グラノーラ、サラダドレッシング、ソース、コーヒー、チーズ、ヨーグルト、エネルギーバーなど、およびそれらの混合物が挙げられる。サプリメント(supplements)には、栄養補助食品(dietary supplements)、栄養補給剤(nutritional supplements)、ハーブ系サプリメント(herbal supplements)などが挙げられる。本態様では、食料品1サービング当り約1から約100mgなど、有効量の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を、食料品に含むことができる。投与一回分当り約10から約50mgなど、有効量の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を、医薬品組成物に組み入れることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の方法は、十字花植物種子の抽出物中での化学的予防剤前駆体の費用効率の高い富化を提供する。より詳細には、本発明は、十字花植物種子、特にダイコン種子中に存在する化合物のグルコラフェニンを、化学的予防剤前駆体グルコラファニンに変換する方法を提供する。
【0020】
本明細書で使用する場合、「化学的予防剤」および「化学的予防性化合物」は、発癌性物質の有毒作用、および腫瘍作用に対する哺乳動物の感受性を減少させるのに有効な植物起源の作用物質を示す。化学的予防剤の「前駆体」は、酵素的および/または化学的手段により、化学的予防剤を生じる作用物質を示す(非特許文献1参照)。こうした化学的予防剤前駆体の例として、グルコラファニンなどのアルキルグルコシノレートが挙げられる。
【0021】
主反応を、図1に例示する。本発明の方法は、水素化反応を介し、グルコラフェニンをグルコラファニンに変換する。次にin vivoで、グルコラファニンのチオグルコシド結合を腸微生物叢で加水分解して、不安定なグルコシノレートアグリコンとし、自発転位が行われてスルフォラファンなどのイソチオシアネート、ならびにニトリルおよびチオシアネートなど他の化合物となる。
【0022】
本明細書で使用する場合、「水性抽出物」は、水100%、またはエチルアルコールなどの有機溶剤の添加量25%以下で調製した抽出物を意味する。
【0023】
本明細書で使用する場合、「有効量」は、摂取により所望の効果または利益を提供する添加物の量である。通常、本発明の化学的予防剤が富化された抽出物は食料品1サービング当り約1から約100mg、または医薬品組成物は投与一回分当り約1から約50mgである。
【0024】
十字花植物種子、特にダイコン種子は、有用な出発原料である。通常、ダイコン種子は、他の十字花植物種子より多量のグルコラフェニンを含有する。自然では、ダイコン種子は、グルコラファニンよりも多量のグルコラフェニン(通常、グルコラファニン対グルコラフェニンの割合は約1:50から約1:150の範囲)を含有する。自然では、ダイコン種子は、カイワレ大根より多量のグルコラフェニンを含有し、従って、本発明においては、ダイコン種子の方が有用である(非特許文献2参照)。その上、種子は、成長した植物より処理が容易で安価でもある。
【0025】
癌の化学的予防剤の供給源として適当な種子は、一般に、アブラナ科由来の十字花科種子である。好ましくは、種子はダイコン種子である。請求項の範囲に記載されている方法で使用される特に有用なダイコンの品種は、チェリーベルおよびチャンピオンである。しかし、他の多くのダイコン品種も適している。
【0026】
本発明の1つの実施形態を、図2に例示する。通常、本方法は、十字花植物種子を処理して水性抽出物を製造することにより行われる。処理される種子は、微粉砕し、脱脂された十字花植物種子であるのが好ましい。1つの態様では、十字花植物種子を、例えば参照により本明細書に組み込まれている非特許文献3に記載されているように、知られている脱脂法を使用し、水性抽出物を形成する前に脱脂してもよい(非特許文献3参照)。別の態様では、十字花植物種子を、水性溶媒の添加前またはその添加と同時に、すり砕くか、微粉砕するか、または混合してもよい。
【0027】
水性抽出物は、当分野で知られている任意の方法により製造することができる。通常、十字花植物種子、好ましくはダイコン種子約1から約5部を、水性溶媒約5から約50部と混合し、約90℃から約110℃で、約5から約15分間維持して、十字花植物種子の水性抽出物を形成する。水性溶媒は、水が好ましいが、該水性溶媒は、エチルアルコールなどの有機溶剤を含有する水性溶媒であってもよい。抽出後、種子材料残渣は、ろ過、遠心分離、デカントなどにより、十字花植物種子の水性抽出物から除去するのが好ましい。
【0028】
吸着剤を、種子の抽出と同時に添加してもよいが、水性抽出物は、熱処理を伴う別のステップで、好ましくは種子材料残渣の除去後に、吸着剤で処理するのが好ましい。通常、種子材料の乾燥重量に対し、吸着剤約1から約20重量%を、十字花植物種子の水性抽出物と混合し、温度約90℃から約110℃で、約5から約15分間加熱する。好ましい態様では、種子材料の乾燥重量に対し、吸着剤約8から約12重量%を、十字花植物種子の抽出物と混合する。別の態様では、種子水性抽出物を、黒鉛化カーボンブラックなどの吸着剤を含有するカラムに通して、グルコシノレート含有抽出物を製造してもよい。通常、十字花植物種子の水性抽出物は、(例えば、吸着剤カラムを使用して)回分、半回分、半連続、または連続モードで、吸着剤と直接混合することができる。本明細書に使用する場合、吸着剤は、アルキルグルコシノレートよりもインドールグルコシノレーを優先的に吸着するのに有効な化合物を示す。吸着剤で種子水性抽出物を処理することは、望ましくない色、匂い、香味を除去する役目を果たし、重要なことには、著しい量のインドールグルコシノレートを除去する。有用な吸着剤として、活性炭、シリカ、各種の化学修飾シリカ(C18シリカなど)、および漂白用粘土などが挙げられる。吸着剤は活性炭が好ましい。
【0029】
水性抽出物を遠心分離および/またはろ過して使用済み吸着剤を除去し、清澄化されたグルコシノレート含有抽出物を形成することができる。吸着剤は、ろ過、限外ろ過、遠心分離、またはデカントなど、当分野で知られている任意の手段により、グルコシノレート含有抽出物から分離することができる。使用済み吸着剤の除去後、グルコシノレート含有抽出物の含水率を約10%未満まで、好ましくは約5%未満まで減少するのに十分な時間にわたってグルコシノレート含有抽出物を乾燥して、乾燥されたグルコシノレート含有抽出物を形成する。通常、グルコシノレート含有抽出物は、それだけに限定されないが、凍結乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥など、任意の知られている方法を使用して乾燥することができる。次いで、所望であれば、清澄化されたグルコシノレート含有抽出物を、限外ろ過で更に処理してもよい。
【0030】
次いで、少なくとも一部の乾燥されたグルコシノレート含有抽出物を溶媒と混合して、グルコシノレート含有懸濁液を形成する。適当な溶媒として、例えば、エタノール、メタノール、水、またはそれらの混合物が挙げられる。通常、低圧水素化条件を使用する場合、溶媒は、エタノール、メタノール、またはそれらの混合物などの有機溶剤を含有すべきであり、通常、有機溶剤を少なくとも約50%必要とする。溶媒はエタノールが好ましい。高圧水素化条件を使用する場合、(所望であれば、有機溶剤を含むことができるが)水性溶媒を単独で使用することができる。通常、乾燥されたグルコシノレート含有抽出物に添加される溶媒の量は、均質の懸濁液を形成するのに十分な溶媒を添加する限り、重要ではない。溶媒は、音波処理、振盪、またはマイクロ波処理など、当分野で知られている任意の手段により、乾燥抽出物と混合またはブレンドして、実質的に均質のグルコシノレート含有懸濁液を形成することができる。
【0031】
任意選択的ではあるが、混合ステップの後、グルコシノレート含有懸濁液中の不溶物を除去するのが好ましい。不溶物は、例えば、ろ過、遠心分離、またはデカントなどを含む任意の慣用の技術により、グルコシノレート含有懸濁液から分離して、清澄化されたグルコシノレート溶液を形成することができる。不溶物は、孔径が0.45ミクロンのフィルターを使用してろ過することにより、分離することが好ましい。
【0032】
通常、水素化は、温度約25℃から約450℃で、約10から約100psiなどの比較的低い水素化圧を使用するか、または1000から約10000psiなどの比較的高い水素化圧下で行うことができる。水素化反応は、連続、半連続、回分、または半回分のプロセスで行うことができる。低圧水素化装置などの水素化反応容器(Parr Hydrogenator Series 3916、Parr Instrument Co.、Moline、IL)中で、グルコシノレート含有懸濁液を触媒と接触させ、圧力約10から約100psi、好ましくは約50から約80psi、および温度約25℃から約100℃、好ましくは約25℃から約50℃の範囲で、グルコラファニン対グルコラフェニンの割合が少なくとも約1:1である化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって水素を導入する。高圧水素化は約5から約12時間などのより少ない時間で行うことができるが、通常、水素化は、軽い振盪下、約10から約24時間行う。
【0033】
それだけに限定されないが、ニッケル、パラジウム、または白金触媒などの各種の慣用の触媒を使用してもよい。触媒は、Sigma-Aldrich Corp.(Milwaukee、WI)の酸化白金(IV)など、白金触媒が好ましい。触媒は、約1から約25%の範囲の量で、好ましくは約5から約20%の範囲の量で通常使用される。
【0034】
水素化後、反応生成物を、ろ過、限外ろ過、デカント、または遠心分離などにより清澄化して、使用済み触媒を除去する。当業者であれば、水素化後のグルコラファニン対グルコラフェニンの割合が、出発原料の十字花植物種子中のグルコラファニン対グルコラフェニンの割合に影響されることを認識されようが、一般には、反応生成物は、少なくとも約1対1のグルコラファニン対グルコラフェニンの割合を有する。
【0035】
最終生成物中のグルコラファニン対グルコラフェニンの所望の割合に応じて、一次水素化ステップからの生成物を、任意選択的に、二次水素化ステップで更に水素化して、グルコラファニン対グルコラフェニンの割合を増加させてもよい。二次水素化ステップは、一次水素化ステップからのろ過した生成物に、触媒を通常約1から約25%、好ましくは約5から約20%添加することにより行われる。二次水素化ステップは、温度約25から約100度で、振盪下、更に10から約24時間にわたって行われる。通常、該反応は、グルコラファニン対グルコラフェニンの割合が少なくとも約5対1、好ましくは10対1である化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって行われる。二次水素化反応後、反応生成物を、ろ過、限外ろ過、デカント、または遠心分離などにより清澄化して、使用済み触媒を除去する。
【0036】
再度、グルコラファニン対グルコラフェニンの所望の割合に応じて、二次水素化反応からの生成物に、任意選択的に、三次水素化ステップを行い、グルコラファニン対グルコラフェニンの割合を更に増加してもよい。三次水素化ステップは、二次水素化反応からの生成物に、触媒を通常約1から約25%、好ましくは約5から約20%添加することにより行われる。三次水素化ステップは、温度約25から約100度で、振盪下、更に10時間から約24時間にわたって行われる。通常、該反応は、少なくとも約100対1のグルコラファニン対グルコラフェニンの割合を有し、好ましくはグルコラフェニンがもはやHPLCにより検出できないような化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって行われる。
【0037】
所望であれば追加の水素化ステップを使用してもよいが、グルコラファニンがもはやHPLCにより検出できないように、実質的に全てのグルコラフェニンをグルコラファニンに変換するには、通常、低圧水素化装置を使用する3つの水素化ステップしか必要としない。低圧水素化を使用する場合、単独の水素化ステップで触媒量を増加する代わりに、上記条件で少なくとも2つの水素化ステップを使用するのが好ましい。通常、触媒の添加量を多くすると、不要な副反応が起こることが多い。更に、単独の水素化ステップで反応時間を増加すると、触媒が被毒されるので、通常、生成物中のグルコラファニン対グルコラフェニンの割合は実質的に増加しない。高圧水素化を使用する場合、必要に応じて追加の水素化ステップを当然に使用してもよいが、通常、グルコラファニン対グルコラフェニンの所望の割合を得るのに必要とされる水素化ステップ数は少なくなる。
【0038】
三次水素化反応後、反応生成物をろ過、限外ろ過、デカント、または遠心分離などにより清澄化して、使用済み触媒を除去し、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得てもよい。孔径0.45マイクロメーターのフィルターを使用する限外ろ過を使用し、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物をろ液として回収するのが好ましい。
【0039】
少なくとも1つのステップの水素化プロセスは、回分、半回分、半連続、または連続モードで実施することができる。該プロセスは、連続モードで行うのが好ましい。
【0040】
本発明の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物は、更に、様々な形態に処理してもよい。例えば、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を、噴霧乾燥、凍結乾燥、または真空乾燥などにより乾燥して、乾燥された化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を形成してもよい。化学的予防剤前駆体が富化された抽出物は、冷却また凍結により更に処理してもよいし、あるいは膜処理、クロマトグラフィー処理、または透析を行って、タンパク質およびポリサッカライドなどの高分子量化合物を除去して、化学的予防剤前駆体の単離物または精製生成物を形成してもよい。
【0041】
化学的予防剤前駆体が富化された抽出物には、任意選択的な成分が有意なやり方で安定性に有害な影響を与えない限り、例えば、香味料、栄養素、ビタミン、着色剤、栄養補給の添加剤、抗酸化剤、プロバイオティクスなどの任意選択的な成分または要素が導入されていてもよい。特に、こうした任意選択的な成分の存在および量は、当然、抽出物が組み込まれる製品に応じて、かなり異なる。
【0042】
本発明の化学防御物質前駆体が富化された抽出物を、食料品および医薬品を含む、種々の製品に含むことができる。また、化学的予防剤前駆体が富化された十字花植物種子抽出物を、食品栄養強化物として使用することができる。抽出物が組み込まれてもよい食料品として、食品サプリメント、飲料、ミルクセーキ、焼き菓子、茶、スープ、シリアル、丸薬、錠剤、サラダ、サンドイッチ、グラノーラ、サラダドレッシング、ソース、コーヒー、チーズ、ヨーグルト、エネルギーバーなど、およびそれらの混合物が挙げられる。サプリメントには、栄養補助食品、栄養補給剤、またはハーブ系サプリメントが挙げられる。本態様では、食料品は、食料品1サービング当り約1から約100mgなどの有効量の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を含有することができる。約10から約50mgなどの有効量の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を、同様に、医薬品組成物に組み込むこともできる。
【0043】
下記実施例は、本発明を例証することを意図し、限定するものではない。他に特に記載のない限り、全ての%、部、および割合は、重量によるものである。本明細書に引用される(公報、特許、特許出願、および特許公報などを含む)全ての文献を、参照により本明細書に組み込む。
【実施例1】
【0044】
一次(または単独)水素化ステップ
ダイコン種子(Diakon)(New England Seed Co.、Hartford、CTより入手)を、高速ブレンダー(Model 500、Vita-Mix Corp.、Cleveland、OH)を使用し、アルゴン中で微粉砕した。ヘキサン(Sigma-Aldrich、Milwaukee、WI)を使用するソックスレー抽出法を介して、ヘキサン抽出脂質を除去し、および高真空下で残留溶媒を最少にした。種子材料を攪拌しながら沸騰水に入れ(水リットル当り種子材料100g)、10分間にわたって保持した。混合物を、Whatman#2ろ紙を介して熱ろ過した。活性炭(Sigma-Aldrich、Milwaukee、WIより入手のDARCO(登録商標)G−60)を、種子材料100g当り活性炭10gで添加し、該混合物をちょうど沸騰するようにした。室温まで冷却した際、活性炭を遠心分離(約7000×G、30分間)により除去し、上澄みをナイロン膜(0.45ミクロン、次いで0.2ミクロン)を介してろ過し、清澄化された抽出物を得た。ろ液および再循環の流量がそれぞれ約2ml/分および約200ml/分で動作させたタンジェンシャルフロー装置3000MWCO(Ultrasette(商標)、Pall Corp.、East Hills、NY)を使用して、清澄化された抽出物を限外ろ過した。
【0045】
ろ液を凍結乾燥し、参照として本明細書に組み込む非特許文献4に記載のように、HPLCを使用し、YMC ODS−A C18カラム(Waters Co.、 Milford、 MA.から入手、150×4.6mmi.d.、粒径5マイクロメーター)を使用してグルコラフェニンを分析した(非特許文献4参照)。典型的には、種子200gを一度に処理すると、グルコラフェニンを>25%含有する半精製抽出物の収率は>20gであった。グルコラファニン対グルコラフェニンの出発原料の割合を、HPLCを使用して検出したところ、約1:90であった。
【0046】
乾燥されたグルコシノレート含有抽出物1/2gを、無水エタノール150mlに懸濁させ、10分間にわたって音波処理した。不溶物を0.45ミクロンのナイロンフィルターを使用してろ過により分離し、ろ液を回収した。該ろ液を、250ml水素化反応ボトルへ移し、Sigma-Aldrich、Milwaukee、WIから入手した酸化白金(IV)100mgを添加した。反応ボトルを、低圧水素化装置(Parr Hydrogenator Series 3916、Parr Instrument Co.、Moline、IL)に接続し、圧力60psiで水素を導入した。室温で18時間軽い振盪を連続させた後、反応ボトルを取り外し、0.45ミクロンのナイロンフィルターを使用して溶液をろ過し、使用済み触媒を除去した。ろ液を回収してHPLCにより分析したところ、グルコラファニン対グルコラフェニンの割合が、当初の十字花植物種子抽出物の当初の割合1:90から、水素化後の約2:1の割合に、有意に増加したことが明らかになった。
【実施例2】
【0047】
二次水素化ステップ
最初の反応ステップ後、実施例1のろ過された反応混合物に、酸化白金(IV)を更に100mg添加し、水素化反応を約24時間継続させたこと以外は、実施例1の実験を繰り返した。反応ボトルを取り外し、0.45ミクロンのナイロンフィルターを使用して溶液をろ過して、使用済み触媒を除去した。ろ液を回収し、HPLCにより分析したところ、グルコラファニン対グルコラフェニンの割合が、約10:1まで更に増加したことが明らかになった。
【実施例3】
【0048】
三次水素化ステップ
実施例2の実験を繰り返した。酸化白金(IV)100mgを、実施例2のろ過された反応混合物に添加し、水素化反応を約18時間継続させた。反応ボトルを取り外し、0.45ミクロンのナイロンフィルターを使用して溶液をろ過して、使用済み触媒を除去した。ろ物を回収してHPLCにより分析したところ、グルコラフェニンがもはやHPLCにより検出できず、グルコラファニン含有量が更に実質的に増加したことが明らかになっており、水素化反応が進んで本質的に完了したことを示唆している。
【0049】
本発明を好ましい実施形態によって記載したが、当業者には、本発明が添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で修正して実施できることを認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】グルコラフェニンをスルフォラファンへ変換する主反応の図である。
【図2】本発明の一般的なプロセスを図示する工程図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)十字花植物種子の水性抽出物を調製する工程、
(ii)水性抽出物を吸着剤と接触させる工程、
(iii)水性抽出物から吸着剤を除去してグルコシノレート含有抽出物を得る工程、
(iv)グルコシノレート含有抽出物を乾燥して、乾燥されたグルコシノレート含有抽出物を得る工程、
(v)少なくとも一部の乾燥されたグルコシノレート含有抽出物を溶媒と混合して、グルコシノレート含有懸濁液を形成する工程、
(vi)任意選択的に、不溶物質を除去して、清澄化されたグルコシノレート含有懸濁液を形成する工程、
(vii)工程(v)または(vi)のいずれかからのグルコシノレート含有懸濁液を触媒と接触させる工程、
(viii)化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって、温度25℃から450℃、圧力10から10000psiで水素を導入する工程
を特徴とする、十字花植物種子の調製物における化学的予防剤前駆体を富化する方法。
【請求項2】
工程(viii)の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物をろ過することにより、清澄化された化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を形成する工程を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって、温度25から100℃、圧力10から100psiで水素を導入することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
清澄化された化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を乾燥して、乾燥された化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を形成する工程を更に含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
化学的予防剤前駆体は、グルコラファニンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
化学的予防剤前駆体が富化された抽出物は、グルコラファニン対グルコラフェニンの割合が少なくとも1対1であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
グルコシノレート含有懸濁液を、1から25重量%の量の触媒と接触させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
触媒は、白金、パラジウム、ニッケル、それらの誘導体、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
十字花植物種子の水性抽出物を、十字花植物種子を、温度90℃から110℃の水と、少なくとも10分間にわたって接触させることにより形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
十字花植物種子は、ダイコン種子であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
吸着剤は、活性炭、シリカ、各種化学修飾シリカ、漂白用粘土、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
吸着剤は、活性炭であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1から20%の吸着剤を前記水性抽出物と混合することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
溶媒は、エタノールであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
水素を1から24時間にわたって導入することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
工程(viii)の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を、1から25%の量の触媒と接触させ、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって温度25℃から450℃、圧力10から10000psiで水素を導入する二次水素化ステップを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
二次水素化ステップにおいて、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって、温度25から100℃、圧力10から100psiで水素を導入することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
二次水素化ステップの化学的予防剤前駆体が富化された抽出物は、グルコラファニン対グルコラフェニンの割合が少なくとも5対1であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
二次水素化ステップの化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を、1から25%の量の触媒と接触させ、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって温度25℃から450℃、圧力10から10000psiで水素を導入する三次水素化ステップを更に含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
三次水素化ステップにおいて、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって、温度25から100℃、圧力10から100psiで水素を導入することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
三次水素化ステップの化学的予防剤前駆体が富化された抽出物は、グルコラファニン対グルコラフェニンの割合が、少なくとも100対1であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
グルコラフェニンが、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物中で、HPLCにより検出できないことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
(i)十字花植物種子の水性抽出物を調製する工程、
(ii)水性抽出物を吸着剤と接触させる工程、
(iii)水性抽出物から吸着剤を除去してグルコシノレート含有抽出物を得る工程、
(iv)グルコシノレート含有抽出物を乾燥して、乾燥されたグルコシノレート含有抽出物を得る工程、
(v)少なくとも一部の乾燥されたグルコシノレート含有抽出物を溶媒と混合して、グルコシノレート含有懸濁液を形成する工程、
(vi)任意選択的に、不溶物質を除去して、清澄化されたグルコシノレート含有懸濁液を形成する工程、
(vii)工程(v)または(vi)のいずれかからのグルコシノレート含有懸濁液を、触媒と接触させる工程、
(viii)化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって、温度25℃から450℃、圧力10から10000psiで水素を導入する工程
を含む方法により形成されることを特徴とする、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物。
【請求項24】
工程(viii)の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物をろ過して、清澄化された化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を形成する工程を更に含むことを特徴とする、請求項23に記載の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物。
【請求項25】
化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって、温度25から100℃、圧力10から100psiで水素を導入することを特徴とする、請求項23に記載の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物。
【請求項26】
化学的予防剤前駆体は、グルコラファニンであることを特徴とする、請求項23に記載の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物。
【請求項27】
化学的予防剤前駆体が富化された抽出物は、グルコラファニン対グルコラフェニンの割合が、少なくとも1対1であることを特徴とする、請求項23に記載の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物。
【請求項28】
十字花植物種子は、ダイコン種子であることを特徴とする、請求項23に記載の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物。
【請求項29】
前記方法が、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を1から25%の量の触媒と接触させ、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって、温度25℃から450℃、圧力10から10000psiで水素を導入する二次水素化ステップを更に含むことを特徴とする、請求項23に記載の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物。
【請求項30】
二次水素化ステップにおいて、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって、温度25から100℃、圧力10から100psiで水素を導入することを特徴とする、請求項29に記載の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物。
【請求項31】
二次水素化ステップの化学的予防剤前駆体が富化された抽出物は、グルコラファニン対グルコラフェニンの割合が、少なくとも5対1であることを特徴とする、請求項29に記載の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物。
【請求項32】
前記方法が、二次水素化ステップの化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を、1から25%の量の触媒と接触させ、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって、温度25℃から450℃、圧力10から10000psiで水素を導入する三次水素化ステップを更に含むことを特徴とする、請求項29に記載の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物。
【請求項33】
三次水素化ステップにおいて、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物を得るのに十分な時間にわたって、温度25から100℃、圧力10から100psiで水素を導入することを特徴とする、請求項32に記載の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物。
【請求項34】
三次水素化ステップの化学的予防剤前駆体が富化された抽出物のグルコラファニン対グルコラフェニンの割合が、少なくとも100対1であることを特徴とする、請求項32に記載の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物。
【請求項35】
グルコラフェニンが、化学的予防剤前駆体が富化された抽出物中で、HPLCにより検出できないことを特徴とする、請求項32に記載の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物。
【請求項36】
請求項23に記載の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物の有効量を含むことを特徴とする食料品。
【請求項37】
十字花植物種子はダイコン種子であり、化学的予防剤前駆体はグルコラファニンであることを特徴とする、請求項36に記載の食料品。
【請求項38】
請求項23に記載の化学的予防剤前駆体が富化された抽出物の有効量を含むことを特徴とする医薬品組成物。
【請求項39】
十字花植物種子はダイコン種子であり、化学的予防剤前駆体はグルコラファニンであることを特徴とする、請求項38に記載の医薬品組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−189652(P2008−189652A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−249445(P2007−249445)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(501360131)クラフト・フーヅ・ホールディングス・インコーポレイテッド (49)
【氏名又は名称原語表記】KRAFT FOODS HOLDINGS, INC.
【住所又は居所原語表記】Three Lakes Drive, Northfield, Illinois 60093 United States of America
【Fターム(参考)】