説明

ダイナミックダンパ及びプロペラシャフト

【課題】 ゴム層を外周に設けたダイナミックダンパにおいて、中空シャフトに圧入されたゴム層の該中空シャフトに対する耐抜け性を向上すること。
【解決手段】 アウタパイプ20と、アウタパイプ20の内部に配置されるウエイト30と、アウタパイプ20とウエイト30の間に介装される弾性体40と、アウタパイプ20の外周面に被着されるゴム層50とを有してなるダイナミックダンパ10において、ゴム層50の両端部にゴム圧縮手段60を設け、ゴム圧縮手段60は該ダイナミックダンパ10が中空シャフト2内に圧入されたときにゴム層50の両端部の圧縮率を該ゴム層50の他の部分の圧縮率より上げるものであるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイナミックダンパ及びプロペラシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
中空プロペラシャフトの軸方向のストレートな円形孔内に圧入されて該プロペラシャフトの振動を低減し、車体振動や騒音を低減するダイナミックダンパとして、特許文献1に記載の如く、アウタパイプと、アウタパイプの内部に配置されるウエイトと、アウタパイプとウエイトの間に介装される弾性体と、アウタパイプの外周面に被着されるゴム層とを有してなるものがある。
【0003】
このダイナミックダンパは、ゴム層の弾性変形によってダイナミックダンパを中空シャフトの孔内に容易に挿嵌することができるとともに、ゴム層の弾性力によって該孔内に圧接させて固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3-288041
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のダイナミックダンパは、中空プロペラシャフトの孔に圧入されるゴム層を軸方向にストレートな円筒状にし、このゴム層が被着されるアウタパイプを軸方向にストレートな円筒状にしている。従って、圧入されたゴム層は、圧入荷重や熱、振動等の影響を受け、該ゴム層の外方に解放されている両端部が中空プロペラシャフトとアウタパイプの間の環状間隙からアウタパイプの両端面の側にかぶる如くに逃げ変形する。これにより、中空プロペラシャフトに対するゴム層の圧接力が該ゴム層の両端部で低下し、中空プロペラシャフトに対するゴム層の耐抜け性が低下するおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、ゴム層をアウタパイプの外周に設けたダイナミックダンパにおいて、中空シャフトに圧入されたゴム層の該中空シャフトに対する耐抜け性を向上して耐久信頼性を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、アウタパイプと、アウタパイプの内部に配置されるウエイトと、アウタパイプとウエイトの間に介装される弾性体と、アウタパイプの外周面に被着されるゴム層とを有してなるダイナミックダンパにおいて、ゴム層の両端部にゴム圧縮手段を設け、ゴム圧縮手段は該ダイナミックダンパが中空シャフト内に圧入されたときにゴム層の両端部の圧縮率を該ゴム層の他の部分の圧縮率より上げるようにしたものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記ゴム圧縮手段が、アウタパイプの両端部でゴム層が被着される該アウタパイプの外周面を軸方向の外方に向けて拡径した拡径部からなるようにしたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1の発明において更に、前記ゴム圧縮手段が、ゴム層の両端部の外径を該ゴム層の他の部分の外径より突出させた突起部からなるようにしたものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1の発明において更に、前記ゴム圧縮手段が、アウタパイプの一端部でゴム層が被着される該アウタパイプの外周面を軸方向の外方に向けて拡径した拡径部からなるとともに、アウタパイプの他端部の側に位置するゴム層の他端部の外径を該ゴム層の他の部分の外径より突出させた突起部からなるようにしたものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のダイナミックダンパを中空シャフト内に圧入して固定配置したプロペラシャフトである。
【発明の効果】
【0012】
(請求項1)
(a)ダイナミックダンパを構成するゴム層の両端部にゴム圧縮手段を設け、ゴム圧縮手段は該ダイナミックダンパが中空シャフト内に圧入されたときにゴム層の両端部の圧縮率を該ゴム層の他の部分の圧縮率より上げるものとしている。従って、圧入されたゴム層が圧入荷重や熱等の影響を受けても、該ゴム層の外方に解放されている両端部の圧縮率が予め高く設定されているから、該ゴム層の両端部が中空シャフトとアウタパイプの間の環状間隙からアウタパイプの両端面の側にかぶる如くに逃げ変形しても両端部の圧接力の低下を押さえることができる。これにより、中空シャフトに対するゴム層の圧接力を該ゴム層の両端部を含む全長の範囲で低下させず、中空シャフトの回転数、トルクの急激な変動等による大きな加速度、振動を生じても、ゴム層の中空シャフトに対する耐抜け性を向上することができる。
【0013】
(b)ゴム層の両端部にゴム圧縮手段を設けたから、ゴム層の一端部にだけゴム圧縮手段を設けるものに比して、中空シャフトに対するゴム層の耐抜け性を向上するとともに、中空シャフトに対するダイナミックダンパの同芯度も安定維持し、中空シャフトの振動を効率良く低減し、車体振動や騒音を低減することができる。
【0014】
(請求項2)
(c)ゴム圧縮手段がアウタパイプの両端部の拡径部からなるものにした。このとき、ゴム層の外径は軸方向にストレートをなすものとする。従って、ゴム層の圧入前の当初厚みtは両端部で他の部分より小さく、ゴム層の圧入による圧縮量Δtは両端部も他の部分も同じ(略一定)であり、結果としてゴム層の圧縮率Δt/tは両端部で上がるものになる。
【0015】
(請求項3)
(d)ゴム圧縮手段がゴム層の両端部の外径の突起部からなるものとする。このとき、アウタパイプの外周径は軸方向にストレートをなすものとする。従って、ゴム層の両端部の外径の突起部の突起量(≒圧縮量)を大きく設定することにより、ゴム層の圧縮率は両端部で上がるものになる。
【0016】
(請求項4)
(e)ゴム圧縮手段がアウタパイプの一端部の拡径部と、アウタパイプの他端部の側に位置するゴム層の他端部の外径の突起部からなるものとする。これにより、アウタパイプの一端部の側ではゴム層の圧縮率を前述(c)により上げ、アウタパイプの他端部の側ではゴム層の圧縮率を前述(d)により上げるものになる。ゴム層の外径の突起部をゴム層の一端部にだけ設けることにより、ダイナミックダンパの成形型に対する型抜き部に該突起部がアンダーカットにならず、ダイナミックダンパの型抜き性を向上できる。
【0017】
(請求項5)
(f)プロペラシャフトにおいて、上述(a)〜(e)を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は実施例1のダイナミックダンパを示し、(A)は正面図、(B)はB−B線に沿う断面図である。
【図2】図2は実施例2のダイナミックダンパを示し、(A)は正面図、(B)はB−B線に沿う断面図である。
【図3】図3は実施例3のダイナミックダンパを示し、(A)は正面図、(B)はB−B線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施例1)
図1のダイナミックダンパ10は、自動車用プロペラシャフト1の中空シャフト2の軸方向にストレートな円形孔内の軸方向所定位置に圧入して嵌挿され、固定配置されたものである。ダイナミックダンパ10は、プロペラシャフト1の振動を低減し、車体振動や騒音を低減する。
【0020】
ダイナミックダンパ10は、アウタパイプ20と、ウエイト30と、弾性体40と、ゴム層50とを有して構成される。
【0021】
アウタパイプ20は、後述する如くの筒状をなし、ばね鋼板等の金属板からなる巻きパイプ又は鋼管等の金属管の中空パイプからなる。
【0022】
ウエイト30は、円柱等の短柱状をなし、棒鋼等の金属棒からなる。ウエイト30は、アウタパイプ20の内部に該アウタパイプ20と同芯配置される。ウエイト30はアウタパイプ20より広巾とされる。
【0023】
弾性体40は、アウタパイプ20とウエイト30の間の環状空間11内に配置され、アウタパイプ20の内面に接着される外周層41と、ウエイト30の外面に接着される内周層42と、外周層41と内周層42の間の周方向複数位置(本実施形態では5位置)に設けた弾性介装部43とからなる。外周層41と内周層42はアウタパイプ20と概ね同一巾とされる。弾性介装部43は外周層41と内周層42より狭巾とされ、外周層41と内周層42の巾方向中央部に立設される。そして、弾性体40は、相隣る弾性介装部43、43の間に貫通状空洞部44を設けている。弾性体40は、合成ゴム等からなり、アウタパイプ20とウエイト30とともに一体に加硫形成される。
【0024】
ゴム層50は、アウタパイプ20の外周面に被着される。ゴム層50は、軸方向にストレートな外径であって、中空シャフト2の孔径よりも大きな外径を有する円筒状をなし、中空シャフト2の孔内に圧入されて挿嵌されたダイナミックダンパ10は、中空シャフト2の孔に対するゴム層50の弾性力及び摩擦によって軸方向の所定位置に固定される。
【0025】
しかるに、ダイナミックダンパ10は、ゴム層50の両端部にゴム圧縮手段60を設けている。ゴム圧縮手段60は、ダイナミックダンパ10が中空シャフト2の孔内に圧入されたときに、ゴム層50の両端部の圧縮率を該ゴム層50の他の部分(両端部に挟まれる中間部分)の圧縮率より上げるものになる。
【0026】
本実施例のゴム圧縮手段60は、アウタパイプ20の両端部で、ゴム層50が被着される該アウタパイプ20の外周面を軸方向の外方に向けて拡径した拡径部70からなるものである。尚、アウタパイプ20の両端部の拡径部70に挟まれる中間部分は軸方向にストレートな円筒状をなすものとされている。そして、アウタパイプ20の両端部は、アウタパイプ20のストレートな円筒状中間部分から軸方向の外方に向けてテーパ状に拡開する円筒状をなすものとされている。このアウタパイプ20の外周面に被着されるゴム層50の外径は軸方向にストレートをなすものであるから、ゴム層50の中空シャフト2の孔内への圧入前の当初厚みtはその両端部で他の部分より端部側に向かう方向でより小さいものになる。尚、ダイナミックダンパ10が中空シャフト2の孔内に挿嵌されるとき、ゴム層50は両端部及び中間部分の全体を中空シャフト2の孔内にて弾性的に圧縮される。
【0027】
ダイナミックダンパ10は、成形型内にアウタパイプ20とウエイト30を配置した状態で、ゴムを注入して弾性体40とゴム層50を一体成形することにて加硫形成される。
【0028】
従って、本実施例のダイナミックダンパ10によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)ダイナミックダンパ10を構成するゴム層50の両端部にゴム圧縮手段60を設け、ゴム圧縮手段60は該ダイナミックダンパ10が中空シャフト2内に圧入されたときにゴム層50の両端部の圧縮率を該ゴム層50の他の部分の圧縮率より上げるものとしている。従って、圧入されたゴム層50が圧入荷重や熱、振動等の影響を受けても、該ゴム層50の外方に解放されている両端部の圧縮率が予め高く設定されているから、該ゴム層50の両端部が中空シャフト2とアウタパイプ20の間の環状間隙からアウタパイプ20の両端面の側にかぶる如くに逃げ変形を防止でき、両端部の圧接力の低下を防止できる。これにより、中空シャフト2に対するゴム層50の圧接力が該ゴム層50の両端部を含む全長の範囲で低下せず、中空シャフト2の回転による、トルクの急激な変動等による大きな加速度、振動を生じても、ゴム層50の中空シャフト2に対する耐抜け性を向上することができる。
【0029】
(b)ゴム層50の両端部にゴム圧縮手段60を設けたから、ゴム層50の一端部にだけゴム圧縮手段60を設けるものに比して、中空シャフト2に対するゴム層50の耐抜け性を向上するとともに、中空シャフト2に対するダイナミックダンパ10の同芯度も安定維持し、中空シャフト2の振動を効率良く低減し、車体振動や騒音を低減することができる。
【0030】
(c)ゴム圧縮手段60がアウタパイプ20の両端部の拡径部70からなるものにした。このとき、ゴム層50の外径は軸方向にストレートをなすものとする。従って、ゴム層50の圧入前の当初厚みtは両端部で他の部分より小さく、ゴム層50の圧入による圧縮量Δtは両端部も他の部分も同じであるから、結果としてゴム層50の圧縮率Δt/tは両端部で上がるものになる。
【0031】
(d)プロペラシャフト1において、上述(a)〜(c)を実現できる。
【0032】
ダイナミックダンパ10にあっては、アウタパイプ20の両端部をテーパ状に拡開する円筒状にし、アウタパイプ20の両端部の拡径部70をアウタパイプ20の周方向に連続するものにした。但し、アウタパイプ20の両端部の拡径部70をアウタパイプ20の周方向に等間隔をおいた複数か所に設けるものでも良い。
【0033】
(実施例2)
図2のダイナミックダンパ100が図1のダイナミックダンパ10と実質的に異なる点は、ゴム圧縮手段60の構成にある。尚、ダイナミックダンパ100においては、アウタパイプ20を軸方向にストレートな内外径を有する円筒状にした。
【0034】
本実施例のゴム圧縮手段60は、ゴム層50の両端部の外径を該ゴム層50の他の部分の外径より突出させた突起部80からなるものである。尚、ダイナミックダンパ100が中空シャフト2の孔内に挿嵌されるとき、ゴム層50は両端部の突起部80及び両端部の突起部80に挟まれる中間部分の全体が中空シャフト2の孔内にて弾性的に圧縮される。本実施例の突起部80はゴム層50の周方向に連続する環状をなす。
【0035】
ダイナミックダンパ100は、成形型内にアウタパイプ20とウエイト30を配置した状態で、ゴムを注入して弾性体40とゴム層50を一体成形することにて加硫形成される。
【0036】
本実施例のダイナミックダンパ100によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)ダイナミックダンパ100を構成するゴム層50の両端部にゴム圧縮手段60を設け、ゴム圧縮手段60は該ダイナミックダンパ100が中空シャフト2内に圧入されたときにゴム層50の両端部の圧縮率を該ゴム層50の他の部分の圧縮率より上げるものとしている。従って、圧入されたゴム層50が圧入荷重や熱、振動等の影響を受けても、該ゴム層50の外方に解放されている両端部の圧縮率が予め高く設定されているから、該ゴム層50の両端部が中空シャフト2とアウタパイプ20の間の環状間隙からアウタパイプ20の両端面の側にかぶる如くに逃げ変形を抑制し、結果として圧接力が低下することがない。これにより、中空シャフト2に対するゴム層50の圧接力が該ゴム層50の両端部を含む全長の範囲で低下せず、中空シャフト2の回転数、トルクの急激な変動等による大きな加速度、振動を生じても、ゴム層50の中空シャフト2に対する耐抜け性を向上することができる。
【0037】
(b)ゴム層50の両端部にゴム圧縮手段60を設けたから、ゴム層50の一端部にだけゴム圧縮手段60を設けるものに比して、中空シャフト2に対するゴム層50の耐抜け性を向上するとともに、中空シャフト2に対するダイナミックダンパ100の同芯度も安定維持し、中空シャフト2の振動をより低減し、車体振動や騒音を低減することができる。
【0038】
(c)ゴム圧縮手段60がゴム層50の両端部の外径の突起部80からなるものとする。このとき、アウタパイプ20の外周径は軸方向にストレートをなすものとする。従って、ゴム層50の両端部の外径の突起部80の突起量(≒圧縮量)を大きく設定することにより、ゴム層50の圧縮率は両端部で上がるものになる。
【0039】
(d)プロペラシャフト1において、上述(a)〜(c)を実現できる。
【0040】
ダイナミックダンパ100にあっては、ゴム層50の両端部の突起部80を、ゴム層50の周方向に連続するものとした。但し、ゴム層50の両端部の突起部80をゴム層50の周方向に等間隔をおいた複数か所に設けるものでも良い。
【0041】
(実施例3)
図3のダイナミックダンパ200が図1のダイナミックダンパ10と実質的に異なる点は、ゴム圧縮手段60の構成にある。
【0042】
本実施例のゴム圧縮手段60は、アウタパイプ20の一端部でゴム層50が被着される該アウタパイプ20の外周面を軸方向の外方に向けて拡径した拡径部70からなるとともに、アウタパイプ20の他端部の側に位置するゴム層50の他端部の外径を該ゴム層50の他の部分の外径より突出させた突起部80からなるものである。即ち、ダイナミックダンパ200にあっては、ダイナミックダンパ200の一端側半部を図1のダイナミックダンパ10の一端側半部と同様の拡径部70を有するものにし、ダイナミックダンパ200の他端側半部を図2のダイナミックダンパ100の他端側半部と同様の突起部80を有するものにした。
【0043】
ダイナミックダンパ200は、成形型内にアウタパイプ20とウエイト30を配置した状態で、ゴムを注入して弾性体40とゴム層50を一体成形することにて加硫形成される。
【0044】
本実施例のダイナミックダンパ200によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)ダイナミックダンパ200を構成するゴム層50の両端部にゴム圧縮手段60を設け、ゴム圧縮手段60は該ダイナミックダンパ200が中空シャフト2内に圧入されたときにゴム層50の両端部の圧縮率を該ゴム層50の他の部分の圧縮率より上げるものとしている。従って、圧入されたゴム層50が圧入荷重や熱等の影響を受けても、該ゴム層50の外方に解放されている両端部の圧縮率が予め高く設定されているから、該ゴム層50の両端部が中空シャフト2とアウタパイプ20の間の環状間隙からアウタパイプ20の両端面の側にかぶる如くに逃げ変形を抑制して圧接力が低下することがない。これにより、中空シャフト2に対するゴム層50の圧接力が該ゴム層50の両端部を含む全長の範囲で低下せず、中空シャフト2の回転数、トルクの急激な変動等による大きな加速度、振動が生じても、ゴム層50の中空シャフト2に対する耐抜け性を向上することができる。
【0045】
(b)ゴム層50の両端部にゴム圧縮手段60を設けたから、ゴム層50の一端部にだけゴム圧縮手段60を設けるものに比して、中空シャフト2に対するゴム層50の耐抜け性を向上するとともに、中空シャフト2に対するダイナミックダンパ200の同芯度も安定維持し、中空シャフト2の振動を効率良く低減し、車体振動や騒音を低減することができる。
【0046】
(c)ゴム圧縮手段60がアウタパイプ20の一端部の拡径部70と、アウタパイプ20の他端部の側に位置するゴム層50の他端部の外径の突起部80からなるものとする。これにより、アウタパイプ20の一端部の側ではゴム層50の圧縮率を前述ダイナミックダンパ10の拡径部70によると同様にして上げ、アウタパイプ20の他端部の側ではゴム層50の圧縮率を前述ダイナミックダンパ100の突起部80によると同様にして上げるものになる。ゴム層50の外径の突起部80をゴム層50の一端部にだけ設けることにより、ダイナミックダンパ200の成形型に対する型抜き部に該突起部80がアンダーカットにならず、ダイナミックダンパ200の型抜き性を向上できる。
【0047】
(d)プロペラシャフト1において、上述(a)〜(c)を実現できる。
【0048】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、ゴム層の両端部にゴム圧縮手段を設け、ゴム圧縮手段は該ダイナミックダンパが中空シャフト内に圧入されたときにゴム層の両端部の圧縮率を該ゴム層の他の部分の圧縮率より上げるものであるものとすることにより、ゴム層を外周に設けたダイナミックダンパにおいて、中空シャフトに圧入されたゴム層の該中空シャフトに対する耐抜け性を向上することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 プロペラシャフト
2 中空シャフト
10、100、200 ダイナミックダンパ
20 アウタパイプ
30 ウエイト
40 弾性体
50 ゴム層
60 ゴム圧縮手段
70 拡径部
80 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウタパイプと、アウタパイプの内部に配置されるウエイトと、アウタパイプとウエイトの間に介装される弾性体と、アウタパイプの外周面に被着されるゴム層とを有してなるダイナミックダンパにおいて、
ゴム層の両端部にゴム圧縮手段を設け、ゴム圧縮手段は該ダイナミックダンパが中空シャフト内に圧入されたときにゴム層の両端部の圧縮率を該ゴム層の他の部分の圧縮率より上げるものであることを特徴とするダイナミックダンパ。
【請求項2】
前記ゴム圧縮手段が、アウタパイプの両端部でゴム層が被着される該アウタパイプの外周面を軸方向の外方に向けて拡径した拡径部からなるものである請求項1に記載のダイナミックダンパ。
【請求項3】
前記ゴム圧縮手段が、ゴム層の両端部の外径を該ゴム層の他の部分の外径より突出させた突起部からなるものである請求項1に記載のダイナミックダンパ。
【請求項4】
前記ゴム圧縮手段が、アウタパイプの一端部でゴム層が被着される該アウタパイプの外周面を軸方向の外方に向けて拡径した拡径部からなるとともに、アウタパイプの他端部の側に位置するゴム層の他端部の外径を該ゴム層の他の部分の外径より突出させた突起部からなるものである請求項1に記載のダイナミックダンパ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のダイナミックダンパを中空シャフト内に圧入して固定配置したプロペラシャフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−216578(P2010−216578A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64567(P2009−64567)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000146010)株式会社ショーワ (715)
【Fターム(参考)】