説明

ダブルパターニング方法及び材料

シルセスキオキサン樹脂をパターン形成フォトレジストの上に塗布し、硬化して、パターン表面上に硬化シルセスキオキサン樹脂を生成する。次に未硬化シルセスキオキサン樹脂を除去し、パターン表面上に硬化シルセスキオキサン樹脂を残す。水平表面上の硬化シルセスキオキサン樹脂を除去し、下にあるフォトレジストを露光する。このフォトレジストを除去し、硬化シルセスキオキサンのパターンを残す。任意で、新規パターンを下層へ転写することができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
マイクロエレクトロニクス産業において、所定のチップサイズについての向上した回路の要求は、工程速度を増加させ、チップの効率を向上させるため、より小さなハーフピッチノードへと向かった。マイクロリソグラフィー技術は構造機構のサイズ低減の鍵である。焦点及び分解の深度はリソグラフィー装置の開口数及び光の波長によって決まる。
【0002】
ダブルパターニングはフォトリソグラフィーの機構密度を向上するために開発された技術の一種である。半導体産業にとって、ダブルパターニングは現在入手可能な193nm液浸リソグラフ装置を用いる32nm及び22nmハーフピッチノードに用いられる唯一のリソグラフィー技術であり得る。ダブルパターニングには4つの一般的なスキーム:(1)二重露光;(2)自己整合スペーサマスク;(3)混成マスク;及び(4)速やかなパターン蓄積を用いることができる。これらの中でも、自己整合スペーサマスクはおそらくもっとも期待される技術であるが、その工程は非常に高度であり、多くの複雑なステップを含む。一般的にはスペーサ材料をまず予備パターン形成機構の側壁に形成し、スピンオン又は蒸着工程により塗布した後、水平表面上のすべての膜材料をエッチング除去し、側壁のみを残す。もとのパターン形成機構を除去した後、スペーサのみが残る。線ごとに2つのスペーサが存在するので、線密度は2倍となる。
【0003】
シリコン含有材料がダブルパターニングに有用であるためには、いくつかの基準を満たさなければならない。まず、フォトレジストが溶けない有機アルコール又はエーテルのような溶媒中になければならない。また、複数の硬化方法により硬化することができ、CF及びOのような異なるエッチング方法によりエッチングすることができる選択された組成物の形成を可能にすることができなければならない。特定のシルセスキオキサン樹脂はこれらの基準を満たすことが見出された。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、基板、一般的には電子デバイス上のパターンの生成におけるシルセスキオキサン樹脂を含むコーティング組成物の使用に関する。この工程は、パターン形成フォトレジスト層をその上に有する基板で開始する。コーティング組成物をパターン形成フォトレジストの上に塗布し、パターン表面で硬化し、パターン表面上に硬化シルセスキオキサン樹脂を生成する。未硬化シルセスキオキサン樹脂層を次に除去し、パターン表面上に硬化シルセスキオキサン樹脂を残す。水平表面上の硬化シルセスキオキサン樹脂を除去し、下にあるフォトレジストを露光する。このフォトレジストを除去し、硬化シルセスキオキサンのパターンを残す。任意で、新規パターンを下層へ転写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】ダブルパターニング方法を用い、シルセスキオキサン樹脂を用いる基板上にパターンを形成する工程ステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書では基板上にパターンを形成する方法について開示するが、該方法は、
(I)コーティング組成物を熱酸発生剤、光酸発生剤又はアミン架橋剤から選択される活性剤を含有する第1パターン形成材料の上に塗布するステップであって、該コーティング組成物が、
(i)単位
(HSiO(3−x)/2(OR’)
(RSiO(3−x)/2(OR’)
(RSiO(3−x)/2(OR’)
(RSiO(3−x)/2(OR’)
を含み、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、Rはエポキシを含有する基、アクリロキシ官能基を含有する基、及びビニルエーテル基から選択される光硬化性基であり、Rは親水性有機基であり、Rはいずれかの有機補助基であり、xは0、1又は2の値を有し、樹脂中、mは0.10〜0.95の値を有し、nは0.05〜0.7の値を有し、pは0.05〜0.5の値を有し、qは0〜0.5の値を有し、m+n+p+q1であるシルセスキオキサン樹脂を含む、ステップと;
(II)該コーティング組成物を硬化機構に露光し、該第1パターン材料の表面上に硬化コーティングを生成するステップと;
(III)いずれの未硬化コーティング組成物も除去するステップと;
(IV)該硬化コーティングをいずれの水平表面からも除去し、該第1パターン材料の側壁上に硬化コーティングをもたらすステップと;
(V)該第1パターン材料を除去し、これにより該基板上に該硬化コーティング組成物からなる第2パターンを生成するステップと
を具える。
【0007】
シルセスキオキサン樹脂は、単位
(HSiO(3−x)/2(OR’)
(RSiO(3−x)/2(OR’)
(RSiO(3−x)/2(OR’)
(RSiO(3−x)/2(OR’)
を含み、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、Rは3−グリシドキシプロピル基又は2−(3,4−エポキシシクロへキシル)−エチル基のようなエポキシ官能基を含有する基、メタクリロキシプロピル基、アクリロキシプロピル基のようなアクリロキシ官能基を含有する基、及びビニルエーテル基から選択される光硬化性基であり、Rは、これらに限定されないが、ポリエチレングリコール基、スルホン酸基、リン酸基から選択される親水性有機基であり、Rはメチル、フェニル基を含むいずれかの有機補助基であり、xは0、1又は2の値を有し、樹脂中、mは0.10〜0.95の値を有し、nは0.05〜0.7の値を有し、pは0.05〜0.5の値を有し、qは0〜0.5の値を有し、m+n+p+q1である。一般的にはmは0.2〜0.90、あるいは0.3〜0.85の値を有する。一般的にはnは0.05〜0.50、あるいは0.1〜0.3の値を有する。一般的にはpは0.05〜0.30、あるいは0.1〜0.20の値を有する。一般的にはqは0〜0.25、あるいは0.01〜0.20の値を有する。
【0008】
R’は単独で水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基である。R’の例としては、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、及びtert−ブチルを挙げることができる。一般的にはR’はH又はメチルである。
【0009】
Rは光硬化性有機基である。光硬化性有機基の例としては、エポキシ官能基を含有する基、アクリロキシ官能基を含有する基又はビニルエーテル基を挙げることができるが、これらに限定されない。エポキシ官能基を含有する基は、Rが1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基又はポリエーテル基である式−ROCHCH(O)CH又はCHCH−(C(O))により表すことができる。エポキシ官能基を含有する基の例としては、3−グリシドキシプロピル基又は2−(3,4−エポキシシクロへキシル)基を挙げることができる。アクリロキシ官能基を含有する基は、Rが水素原子又はメチル基であり、Rが1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基又はポリエーテル基である式CH=C(R)COOR−により表すことができる。アクリロキシ官能基を含有する基の例としては、メタクリロキシプロピル又はアクリロキシプロピルを挙げることができるが、これらに限定されない。ビニルエーテル基は−O−CH=CHにより表すことができる。
【0010】
は親水基である。親水基の例としては、ポリエチレングリコール基、スルホン酸基、リン酸基を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0011】
本発明において有用である樹脂の例としては:
(HSiO(3−x)/2(OR’)0.5〜0.9(RSiO(3−x)/2(OR’)0.1〜0.35(RSiO(3−x)/2(OR’)0.01〜0.2
(Rがエチルシクロヘキセンオキシド(CHEp)であり、Rがポリエチレンオキシド(PEO)であり、R’がH若しくはアルキル基である)
、又は、
(HSiO(3−x)/2(OR’)0.5〜0.9(RSiO(3−x)/2(OR’)0.1〜0.35(RSiO(3−x)/2(OR’)0.01〜0.2
(Rがメタクリレート基(MA)であり、RがPEOであり、R’がH又はアルキル基である)
を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0012】
シルセスキオキサン樹脂は当技術分野において知られるいずれかの方法により生成することができる。例えば、シルセスキオキサン樹脂は適当なシランの加水分解及び/又は縮合により生成することができる。この方法により、不完全な加水分解又は縮合の結果として残留−OH及び/又はOR’がシルセスキオキサン樹脂中に残る可能性がある。−OR’基を含有するシルセスキオキサン樹脂中の単位の総量が70モル%を超えると、樹脂のゲル化及び不安定化が起こり得る。一般的にはシルセスキオキサン樹脂は、合成経路に応じて、6〜60モル%の−OR’基を含有する単位を含有する。
【0013】
シルセスキオキサン樹脂を生成する別の方法は、ヒドロシルセスキオキサン(HSQ)のC=C官能基を含有するR基とのヒドロシリル化触媒の存在下での反応による。
【0014】
シルセスキオキサン樹脂を生成する別の方法は、(HSiO(3−x)/2(OR’)(RSiO(3−x)/2(OR’)のC=C官能基を含有するR基及びC=C官能基を含有するR基とのヒドロシリル化触媒の存在下での反応により、式中、mは0.30〜1.0の値を有し、Rは上述のとおりである。
【0015】
シルセスキオキサン樹脂は、RI検出及び標準ポリスチレンを用いるゲル透過クロマトグラフィーにより測定されるように、500〜200,000の範囲内、あるいは500〜100,000の範囲内、あるいは700〜30,000の範囲内の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0016】
シルセスキオキサン樹脂は一般的には溶媒の存在下で生成される。加水分解及び/又は縮合反応に関与し得るアルコール以外の官能基を含有しないいずれかの適切な有機又はシリコーン溶媒をシルセスキオキサン樹脂の生成に用いることができる。溶媒は一般的には溶媒及びシラン反応剤の総重量に対して40〜98重量パーセント、あるいは70〜90重量パーセントの量で用いられる。反応は二相又は単相系として行うことができる。
【0017】
有用な有機溶媒の例としては、n−ペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン、及びイソオクタンのような飽和脂肪族化合物;シクロペンタン及びシクロヘキサンのような脂環式化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンのような芳香族化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル;メチルイソブチルケトン(MIBK)及びシクロヘキサノンのようなケトン;トリクロロエタンのようなハロゲン置換アルカン;ブロモベンゼン及びクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族化合物;酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMEA)、イソ酪酸イソブチル及びプロピオン酸プロピルのようなエステル;メタノール、エタノール及びイソプロパノールのようなアルコールを挙げることができるが、これらに限定されない。有用なシリコーン溶媒の例としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、及びデカメチルシクロペンタシロキサンのような環状シロキサンを挙げることができるが、これらに限定されない。単一溶媒を用いてもよく、又は溶媒の混合物を用いてもよい。
【0018】
シルセスキオキサン樹脂を生成する反応は、シルセスキオキサン樹脂の著しいゲル化又は硬化を引き起こさない限り、いかなる温度で行うこともできる。一般的には、反応は5℃〜150℃の範囲内の温度で行われ、15℃〜110℃が推奨されている。
【0019】
シルセスキオキサン樹脂を形成する時間は、温度、反応剤のタイプ及び量、並びに触媒の量のような多数の要因によって決まる。一般的には、反応時間は数分〜数時間である。当業者であれば、反応を完了するのに必要な時間を容易に決定することができるだろう。反応を促進するのに用いることができる酸触媒としては、硝酸、硫酸、スルホン酸、塩酸、酢酸、等が挙げられるが、これらに限定されない。反応を促進するのに用いることができる塩基触媒としては、とりわけ水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
反応の完了後、触媒は任意で除去することができる。触媒の除去方法は当技術分野において周知であり、中和、揮散若しくは水洗又はこれらの組み合わせを含む。多量の触媒はとくに溶液中でのシリコーン樹脂の保存寿命に悪影響を及ぼし得、よってその除去が推奨されている。
【0021】
シルセスキオキサン樹脂の生成工程では、反応を完了した後、揮発物質をシルセスキオキサン樹脂溶液から減圧下で除去することができる。こうした揮発物質としては、アルコール副生成物、過剰水、触媒、塩酸(クロロシラン経路)及び溶媒が挙げられる。揮発物質の除去方法は当技術分野において知られ、例えば蒸留が挙げられる。
【0022】
シルセスキオキサン樹脂を生成する反応後、多数の任意のステップを行い、所望の形態又は所望の濃度のシルセスキオキサン樹脂を得ることができる。例えば、シルセスキオキサン樹脂は溶媒を除去することにより濃縮することができる。溶媒の除去方法は重要ではなく、多くの方法が当技術分野において周知である(例えば、加熱及び/又は真空下での蒸留)。シルセスキオキサン樹脂の濃度が特定の濃度に達すると、特定の用途のために樹脂を同じ又は別の溶媒で希釈することができる。あるいは、最終製品には異なる溶媒、反応に用いた溶媒以外が望ましい場合、第2溶媒を添加し、第1溶媒を例えば蒸留によって除去することにより、溶媒交換を行うことができる。また、溶媒中の樹脂濃度は、いくらかの溶媒を除去又は追加の溶媒を添加することにより、調整することができる。
【0023】
コーティング組成物は一般的には溶媒を含有する。有用な溶媒(iii)としては、とりわけ1−メトキシ−2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール、酢酸プロピレングリコールモノメチルエチル、γ−ブチロラクトン、及びシクロヘキサノンが挙げられるが、これらに限定されない。コーティング組成物は一般的には、コーティング組成物の総重量に対して、10〜99.9重量%、あるいは80〜98重量%の溶媒を含む。
【0024】
コーティング組成物をその上にパターンを有する基板上に塗布する。一般的には、基板は半導体部品の製造に用いられるシリコン系デバイス及びガリウムヒ素系デバイスのような半導体デバイスである。一般的には、デバイスは少なくとも1つの半導体層及び各種導体、半導体、又は絶縁材料からなる複数の他の層を備える。
【0025】
半導体デバイス上のパターンは一般的には塗布及びパターン形成されたフォトレジスト層である。一般的には、パターン形成フォトレジストは、図1に示すようにハードマスクの上に形成される反射防止コーティングの上に形成される。フォトレジスト、反射防止コーティング及びハードマスク層の塗布方法は当技術分野において知られている。フォトレジスト層におけるパターンの生成方法も当技術分野において知られている。
【0026】
フォトレジスト層は、熱酸発生剤、光酸発生剤又はアミン架橋剤から選択される活性剤を含む。
【0027】
熱酸発生剤は、加熱すると、例えば焼成ステップ又はレジストフロー工程中に、酸性部分を発生させることができる化合物である。熱酸発生剤は、非イオン性熱酸発生剤、イオン性酸発生剤又はポリマー酸発生剤とすることができる。非イオン性熱酸発生剤の例としては、これらに限定されないが、p−トルエンスルホン酸シクロへキシル、p−トルエンスルホン酸メンチル、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホン酸シクロへキシル、ニトロベンジルエステル、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、有機スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、リン酸、カンファースルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びこれらの塩のアルキルエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。イオン性熱酸発生剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、ドデシルベンゼンジスルホン酸トリエチルアミン塩、炭素環アリール(例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル、等)、ヘテロアリール(例えばチエニル)又は脂肪族スルホン酸塩、好適には炭素環アリールスルホン酸塩、任意で置換ベンゼンスルホン酸塩、等のようなスルホン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。炭素環アリールスルホン酸塩は非置換とすることができ、又は例えば1つ以上のヒドロキシ;任意で置換アルキル;任意で置換アルケニル;任意で置換アルコキシ;任意で置換炭素環アリール、例えば任意で置換フェニル、任意で置換ナフチル、任意で置換アントラセン等;任意で置換アラルキル、例えば任意で置換ベンジル等;並びに任意で好適には1〜3個の環、各環に3〜8個の環員、及び1〜3個のクマリニル、キノリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾール、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノ、ピロリジニルのようなヘテロ原子を有する置換複素芳香族又は複素脂環式基;等により置換することができる。
【0028】
光酸発生剤は、UVに露光すると、例えば焼成ステップ又はレジストフロー工程中に酸性部分を発生させることができる化合物である。光酸発生剤としては、硫化物及びオニウム系化合物が挙げられる。光酸発生剤としては、ヘキサフルオロリン酸ジフェニルヨード、ヘキサフルオロヒ酸ジフェニルヨード、ヘキサフルオロアンチモン酸ジフェニルヨード、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルp−メトキシフェニル、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルp−トルエニル、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルp−イソブチルフェニル、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルp−tert−ブチルフェニル、ヘキサフルオロリン酸トリフェニルスルホニウム、ヘキサフルオロヒ酸トリフェニルスルホニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム及びトリフルオロメタンスルホン酸ジブチルナフチルスルホニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
アミン架橋剤は、加熱又はUVに露光すると、例えば焼成ステップ又はレジストフロー工程中にアミンを発生させることができる化合物である。アミン架橋剤の例としては、グリコウリルホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、ウレアホルムアルデヒド樹脂、N,N,N,N−テトラ(アルコキシメチル)グリコウリル、N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコウリル、N,N,N,N−テトラ(エトキシメチル)グリコウリル、N,N,N,N−テトラ(n−プロポキシメチル)グリコウリル、N,N,N,N−テトラ(t−プロポキシメチル)グリコウリル、N,N,N,N−テトラ(n−ブトキシメチル)グリコウリル、及びN,N,N,N−テトラ(t−ブトキシメチル)グリコウリルが挙げられるが、これらに限定されない。N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコウリルはCytecIndustriesから商標POWDERLINK(例えば、POWDERLINK 1174)で市販されている。
【0030】
一般的には、活性剤はフォトレジスト中に、フォトレジストの総重量に対して、最大20,000ppm、あるいは10〜10,000ppmの量で存在している。
【0031】
コーティング組成物の基板への具体的な塗布方法としては、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、フローコーティング、スクリーン印刷等が挙げられるが、これらに限定されない。一般的な塗布方法はスピンコーティングである。一般的には、コーティングは電子デバイスの1,000〜2,000RPMでの回転、及びコーティング組成物の回転する電子デバイスの表面への添加を含む。
【0032】
コーティング組成物が塗布されると、いずれの溶媒も除去され、コーティング組成物を硬化機構に露光し、フォトレジストにおいて活性剤を活性化し、コーティング組成物をフォトレジストの表面で硬化する。シルセスキオキサン樹脂上の官能基及び組成物中の活性剤に応じて、硬化機構は熱又は放射線によるものであってもよい。
【0033】
コーティング組成物を熱硬化するため、コーティングした基板を十分な温度まで十分な時間加熱し、硬化をもたらす。硬化は例えばコーティング組成物を80℃〜250℃で0.1〜60分、あるいは100℃〜150℃で0.5〜5分、あるいは100℃〜130℃で0.5〜2分間加熱することにより行うことができる。硬化工程中にいずれかの加熱方法を用いることができる。例えば、コーティングした電子デバイスは石英環状炉、対流式オーブン中、又は加熱板上に配置することができる。
【0034】
放射線硬化は、コーティング組成物をUV、X線、eビーム、EUV、等のような放射線源に露光すると起きる。一般的には200nm〜450nmの波長を有する紫外線を用い、あるいは245nm〜365nmの波長を有する紫外線を用いる。適切な放射線源としては、水銀、水銀/キセノン、及びキセノンランプが挙げられる。好適な放射線源はKrFエキシマレーザー(248nm)である。より長い波長、例えば365nmの放射線を用いる場合、増感剤をフォトレジスト組成物に添加し、放射線の吸収を向上することが推奨されている。コーティング組成物の完全露光は一般的には100mJ/cm未満の放射線、あるいは50mJ/cm未満の放射線で達成される。
【0035】
硬化するコーティング組成物の量はフォトレジスト中の活性剤の量及びコーティング組成物を硬化機構に露光する時間によって決まる。コーティング組成物を放射線源に露光する場合、その後の熱処理を行い、樹脂中での硬化を促進することが望ましくあり得る。
【0036】
硬化が起こった後、未硬化コーティング組成物を現像剤溶液で除去することができる。適切な現像剤溶液は一般的には塩基水溶液、一般的には金属イオンを含まない塩基水溶液、及び任意で有機溶媒を含有する。当業者であれば適当な現像剤溶液を選択することができるだろう。標準的な産業用の現像剤溶液の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及び水性アンモニアのような有機アルカリ、エチルアミン及びn−プロピルアミンのような第1級アミン、ジエチルアミン及びジ−n−ブチルアミンのような第2級アミン、トリエチルアミン及びメチルジエチルアミンのような第3級アミン、ジメチルエタノールアミン及びトリエタノールアミンのようなアルコールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム及び塩素のような第4級アンモニウム塩、並びにピロール及びピペリジンのような環状アミンを挙げることができるが、これらに限定されない。一般的には水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)のような第4級アンモニウム塩の溶液が用いられる。
【0037】
未硬化コーティング組成物を除去した後、パターン形成フォトレジストの上に硬化コーティング組成物の層が残る。硬化コーティング組成物の水平表面を次に除去し、フォトレジストの側壁上に硬化コーティング組成物を残す。硬化コーティング組成物はCFのような既知の反応性イオンエッチング技術により除去することができる。
【0038】
フォトレジスト層は次に、酸素、プラズマ、及び/又は酸素/二酸化硫黄プラズマのような反応性イオンでのエッチングのような既知の技術により除去することができる。適切なプラズマ装置としては、電子サイクロトロン共鳴(ECR)、ヘリコン、誘導結合プラズマ(ICP)、及び伝送結合プラズマ(TCP)システムが挙げられるが、これらに限定されない。エッチング技術は当技術分野において周知であり、当業者であれば各種市販のエッチング装置に精通しているだろう。
【0039】
追加のステップ又はパターンを下層中へ転写するステップを用い、所望の構造を有するデバイスを製造することができる。
【実施例】
【0040】
以下の実施例は本発明の実施形態を示すために含む。当業者であれば、以下の実施例に開示する技術が本発明者により本発明の実施において十分に機能することが見出された技術を表し、よってその実施について一般的な態様を構成するとみなすことができることを理解すべきである。しかしながら、当業者であれば、本開示を踏まえて、本発明から逸脱することなく、開示する具体的な実施形態において多くの変更を行うことができ、さらに同様又は類似の結果が得られることを理解すべきである。すべてのパーセントは重量%である。
【0041】
(実施例1) T(H)0.65T(CHEp)0.3T(PEO)0.05の合成
トルエン中のヒドロシルセスキオキサン(Mw=2200、212g、トルエン中12.5重量%)、アリルモノメチルポリエチレングリコール(18.75g)、及びビニルシクロヘキセンオキシド(18.63g)を含有する500mLフラスコに、数滴の白金触媒を添加した。混合物を2時間80℃で撹拌した。溶媒交換により選択された溶媒の溶液を得、10重量%とした。溶液は0.2ミクロンPTFEフィルターを通してろ過し、HDPE瓶に保存した。GPC(vs.PS):Mw=4360、PDI=3.04。
【0042】
(実施例2) T(H)0.55T(MA)0.30T(PEO)0.15の合成
三口3Lフラスコに、酢酸エチル(100g)、Me(OCHCH5〜9O(CHSiCl(28.84g)、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(37.25g)、及びHSiCl(37.25g)を入れた。酢酸エチル(300g)及び水(27g)の溶液をフラスコに1時間かけて添加した。溶液を1時間放置した。次に樹脂溶液をDI水で洗浄し、回転蒸発器を用いてイソブタノールへ溶媒交換した。溶液を揮散させ、i−ブタノール中10重量%まで希釈した。溶液は0.2ミクロンPTFEフィルターを通してろ過し、HDPE瓶に保存した。GPC(vs.PS):Mw=9530、PDI=2.02。
【0043】
(実施例3) T(H)0.6T(CHEp)0.3T(PEO)0.1の合成
トルエン中のヒドロシルセスキオキサン(424g、Mw=2200、トルエン中12.5重量%)、アリルモノメチルポリエチレングリコール(25g)、及びビニルシクロヘキセンオキシド(37.26g)を含有する500mLフラスコに、数滴の白金触媒を添加した。混合物を2時間室温で撹拌した。溶媒交換により選択された溶媒の溶液を得、10重量%とした。溶液は0.2ミクロンPTFEフィルターを通してろ過し、HDPE瓶に保存した。GPC(vs.PS):Mw=8900、PDI=4.26。
【0044】
(実施例4) T(H)0.85T(CHEp)0.15T(PEO)0.05の合成
トルエン中のヒドロシルセスキオキサン(153.2g、Mw=2200、トルエン中12.5重量%)、アリルモノメチルポリエチレングリコール(6.25g)、及びビニルシクロヘキセンオキシド(9.31g)を含有する500mLフラスコに、数滴の白金触媒を添加した。混合物を2時間室温で撹拌した。溶媒交換により選択された溶媒の溶液を得、10重量%とした。溶液は0.2ミクロンPTFEフィルターを通してろ過し、HDPE瓶に保存した。GPC(vs.PS):Mw=4360、PDI=3.04。
【0045】
(実施例5) T(H)0.85T(CHEp)0.15T(PEO)0.05の合成
トルエン中のヒドロシルセスキオキサン(306g、Mw=2200、トルエン中12.5重量%)、アリルモノメチルポリエチレングリコール(12.5g)、及びビニルシクロヘキセンオキシド(18.63g)を含有する500mLフラスコに、数滴の白金触媒を添加した。混合物を2時間室温で撹拌した。溶媒交換により選択された溶媒の溶液を得、10重量%とした。溶液は0.2ミクロンPTFEフィルターを通してろ過し、HDPE瓶に保存した。GPC(vs.PS):Mw=4370、PDI=2.98。
【0046】
(実施例6) T(H)0.85T(CHEp)0.15T(HOP)0.05の合成
トルエン中のヒドロシルセスキオキサン(37.6g、Mw=2200、トルエン中23.5重量%)、2−アリルオキシテトラヒドロピラン(HOP、6.62g)、及びビニルシクロヘキセンオキシド(4.13g)を含有する250mLフラスコに、数滴のエーテル溶媒中の白金触媒を添加した。混合物を数時間室温で撹拌した。溶媒交換により選択された溶媒の溶液を得、10重量%とした。溶液は0.2ミクロンPTFEフィルターを通してろ過し、HDPE瓶に保存した。GPC(vs.PS):Mw=6730、PDI=3.21。
【0047】
(樹脂配合、コーティング及び特性)
樹脂に応じて、所定の量の光開始剤、すなわち光酸発生剤(PAG)であるテトラキス−(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸(p−イソプロピルフェニル)(p−メチルフェニル)ヨードニウム、又は光ラジカル発生剤(PRG)であるCiba Special ChemicalsのIrgacure 379を10重量%の樹脂溶液に溶解した(表1)。ウェーハ上の膜コーティングはKarl Suss CT62スピンコーターで行った。樹脂溶液はまず0.20ミクロンTEFLONフィルターを通してろ過した後、標準片面4インチ研磨低抵抗ウェーハ又は両面研磨FTIRウェーハ上にスピンコーティングした(とくに指示のない限り回転速度=2000rpm、加速速度=5000、時間=20秒)。ウェーハを120℃で60秒間予備焼成した後、広帯域UV照射を行った(UV線量は表1にJ/mで示す)。ウェーハを次に120℃で60秒間後焼成した。その後、硬化ウェーハをTMAH溶液(0.24N)中に60秒間浸漬した。後硬化後のTMAH現像剤による膜損失(%)は、硬化ウェーハをTMAH(0.24N)に1分間浸漬する前後の膜厚変化をJ.A.Woollam偏光解析器を用いて測定することにより割り出した。記録した厚さの値は7測定の平均である。
【0048】
シルセスキオキサン材料の光硬化特性
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)コーティング組成物を熱酸発生剤、光酸発生剤又はアミン架橋剤から選択される活性剤を含有する第1パターン形成材料の上に塗布するステップであって、該コーティング組成物が、
(i)単位
(HSiO(3−x)/2(OR’)
(RSiO(3−x)/2(OR’)
(RSiO(3−x)/2(OR’)
(RSiO(3−x)/2(OR’)
を含み、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、Rはエポキシを含有する基、アクリロキシ官能基を含有する基、及びビニルエーテル基から選択される光硬化性基であり、Rは親水性有機基であり、Rはいずれかの有機補助基であり、xは0、1又は2の値を有し、樹脂中、mは0.10〜0.95の値を有し、nは0.05〜0.7の値を有し、pは0.05〜0.5の値を有し、qは0〜0.5の値を有し、m+n+p+q≒1であるシルセスキオキサン樹脂を含む、ステップと;
(II)該コーティング組成物を硬化機構に露光し、該第1パターン材料の表面上に硬化コーティングを生成するステップと;
(III)いずれの未硬化コーティング組成物も除去するステップと;
(IV)該硬化コーティングをいずれの水平表面からも除去し、該第1パターン材料の側壁上に硬化コーティングをもたらすステップと;
(V)該第1パターン材料を除去し、これにより該基板上に該硬化コーティング組成物からなる第2パターンを生成するステップと
を具える、基板上にパターンを形成する方法。
【請求項2】
mが0.2〜0.90の値を有し、nが0.05〜0.50の値を有し、pが0.05〜0.30の値を有し、qが0〜0.25の値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
mが0.3〜0.85の値を有し、nが0.1〜0.3の値を有し、pが0.1〜0.20の値を有し、qが0.01〜0.20の値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Rは、Rが1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基又はポリエーテル基の、式−ROCHCH(O)CH又はCHCH−(C(O))を有するエポキシ基である、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
Rが3−グリシドキシプロピル基である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
Rが2−(3,4−エポキシシクロへキシル)基である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
Rは、Rが水素原子又はメチル基であり、Rが1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基又はポリエーテル基の、式CH=C(R)COOR−を有するアクリロキシ官能基である、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項8】
Rがメタクリロキシプロピルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Rがアクリロキシプロピルである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
Rがビニルエーテル基である、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項11】
前記コーティング組成物が溶媒も含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記コーティング組成物が加熱により熱硬化される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティング組成物が放射線に露光により硬化される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
いずれの未硬化コーティング組成物も現像剤溶液で除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記硬化コーティングがいずれの水平表面からも反応性イオンエッチング技術により除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記硬化コーティングがCFでのエッチングにより除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1パターン形成材料がエッチングにより除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1パターン形成材料がOプラズマでのエッチングにより除去される、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−533907(P2012−533907A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521647(P2012−521647)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/039411
【国際公開番号】WO2011/011140
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】