説明

チューナブルフィルタおよびその作製方法

【課題】簡易な構造で効率的に共振器間の結合容量を可変にすることができ、かつ集積化に適したチューナブルフィルタを提供する。
【解決手段】チューナブルフィルタ10は、2以上の共振器12a、12bと、前記共振器12a、12bと同一基板上に形成され、互いに隣接する共振器12a、12bの間に設けられる可変容量結合部Aを配置し、可変容量結合部Aに直流バイアスを印加することにより、容量を変化させ共振器12a、12b間の結合を変えてチューナブルフィルタ10の帯域周波数を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信等の分野で用いられる高周波回路素子に関し、特に、所望の周波数のみを通過させる共振器を用いたチューナブルバンドパスフィルタと、その作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話の普及、発展に伴い、高速・大容量の伝送技術が不可欠になってきている。高速・大容量の通信を実現するために、広い周波数帯域を確保する必要があり、無線通信で用いる周波数帯が高周波の方向にシフトしている。そのため、移動通信の基地局用のフィルタとしても、高周波帯域において所望の周波数のみを効率よく通過させるバンドパスフィルタが必要となる。超伝導体は、高周波領域においても、通常の電気的良導体に0比べて表面抵抗が非常に小さいので、低損失、高Q値の共振器が期待でき、移動通信の基地局用のフィルタとして有望視されている。
【0003】
一方、高周波回路素子を移動通信の用途で用いる場合、周波数のチューニング(同調)能力が要求される。たとえば、高周波バンドパスフィルタを同調可能とするために、超伝導の共振器パターンと誘電体薄膜を組み合わせて、フィルタ特性を調整可能とすることが考えられる。誘電体薄膜は、DCバイアスの印加によりその誘電率を大きく変化させることができ、フィルタやフェーズシフタ等、高周波回路のチューナブルデバイスへの応用が検討されている。
【0004】
しかし、誘電体薄膜は、一般に誘電損失が大きいため、共振を用いたフィルタ素子に用いた場合には、高いQ値のフィルタ特性を得ることが難しい。誘電損失を防止し、無負荷Qの劣化を防止するために、電流または電界の集中箇所を避けて、バラクタ素子(容量可変素子)を配置することが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。しかし、この方法でも、共振器の一部にバラクタ素子があるために、Q値の低下が見込まれる。
【0005】
また、共振器間の結合を制御する目的で、共振素子間のギャップに誘電体材料からなる誘電体を対向配置し、誘電体に電圧を印加することにより結合を変化させる方法が提案されている。この方法では誘電体を共振器と対向させる必要があるため、構造的に集積化に不向きである。
【特許文献1】特開平6−045812号公報
【特許文献2】特開2001−102808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、簡単な構成で効率的に共振器間の結合容量を可変にすることができ、かつ集積化に適したチューナブルフィルタを提供することを課題とする。
【0007】
また、そのようなチューナブルフィルタの作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、良好な実施形態では、少なくとも2個の共振器(たとえばヘアピン型共振器)の結合間に容量結合素子を配置し、これにDCバイアスを印加することによって容量結合素子の容量を変化させて、ヘアピン共振器間の結合を変化させる。
【0009】
より具体的には、第1の側面では、容量可変のチューナブルフィルタを提供する。このチューナブルフィルタは、(a)2以上の共振器と、(b)前記共振器と同一基板上に形成され、互いに隣接する共振器の間に設けられる可変容量結合部と、を有する。
【0010】
良好な構成例では、可変容量結合部は、互いに隣接する共振器の開放端に設けられる容量結合素子を含む。
【0011】
たとえば、可変容量結合部は、薄膜誘電体を用いた容量結合素子と、チューナブルフィルタ全体のキャパシタンスを一定に保つ補助キャパシタとを含む。或いは、可変容量結合部は、互いに隣接する共振器の開放端にそれぞれ設けられるインターデジタルキャパシタと、これらのインターデジタルキャパシタの間に接続される薄膜キャパシタと、を含む。
【0012】
別の態様のチューナブルフィルタとして、上述したチューナブルフィルタの入出力フィーダが、同軸コネクタを介して外部に接続されるようにパッケージ内に収容されているチューナブルフィルタも提供される。
【0013】
第2の側面では、チューナブルフィルタの作製方法を提供する。この作製方法は、2以上の共振器パターンと、前記2以上の共振器パターンの間に位置する容量結合素子の電極パターンと、前記容量結合素子にバイアス電圧を印加するための配線とを、同一基板上に同一プロセスで形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
簡単な構成で、共振器間の結合容量を効果的に変化させることができる。また共振器パターンと容量結合素子の電極パターンを同一プロセスで容易に作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の良好な実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るチューナブルフィルタ10の構成図である。図1(a)は平面図、図1(b)は共振器間の可変容量結合部Aの拡大図、図1(c)は、共振器間の容量結合素子として用いられる薄膜キャパシタの断面図である。チューナブルフィルタ10は、たとえば、5GFz帯のバンドフィルタとして用いられる。
【0016】
実施形態のチューナブルフィルタ10は、2つのヘアピン型共振器12a、12bと、これら2つの間に設けられる可変容量結合部Aと、直流電源31と、可変容量結合部Aを直流配線31に接続するバイアス印加配線14と、を含む。チューナブルフィルタ10はまた、共振器12a、12bに信号を供給する入力フィーダ13aと、共振器12a、12bからの出力信号を伝送する出力フィーダ13bを有する。入出力フィーダ13a、13bは、共振器12a、12bと空間的にカップリングする。ヘアピン型共振器12a、12bの線幅は、たとえば500μmであり、長さは実効波長λの1/2である。また、ヘアピン型共振器12とフィーダ13との間隔は、たとえば、500μmである。
【0017】
直流電源31に接続されるバイアス印加配線14の途中に、扇型のスタブ32が配置されている。スタブ32は、交流成分(高周波成分)を除去するフィルタとして機能する。スタブ32は、可変容量結合部Aの端部からλ/4の距離に配置されている。ここで、λは伝送する信号の実効波長である。
【0018】
図1(b)は、可変容量結合部Aの拡大図である。可変容量結合部Aは、2つのインターデジタルキャパシタ25a、25bと、これらの間に直列に接続される容量結合素子としての薄膜キャパシタ21を有する。この構成例では、インターデジタルキャパシタ25a、薄膜キャパシタ21、インターデジタルキャパシタ25bがこの順で直列接続されている。インターデジタルキャパシタ25a、25bの各々は、共振器12の開放端に形成された櫛歯電極15と、この櫛歯電極15と交指状に対向する櫛歯電極16とで、構成される。対向する櫛歯電極16は、バイアス印加配線14の先端に形成されている。櫛歯電極15、16の櫛歯状の突起部の幅は、たとえば25μm程度である。
【0019】
一方、薄膜キャパシタ21は、図1(c)に示すように、下部電極22と、上部電極24と、これら一対の電極間に挟持される薄膜誘電体23を含む。薄膜誘電体23の材料としては、SrTiO3(以下、適宜「STO」と称する)、(Ba,Sr)TiO3(以下、適宜「BST」と称する)、Bi1.5Zn1Nb1.57(以下、適宜「BZN」と称する)等が好適に用いられる。
【0020】
薄膜キャパシタ21の薄膜誘電体23に、直流電源31からバイアス電圧を印加することで誘電率を変化させ、2つの共振器12a、12b間の結合を変化させる。薄膜キャパシタ21の両側に接続されるインターデジタルキャパシタ25a、25bは、共振器12a、12bに直流バイアス電圧が入り込まないようにブロックするとともに、バイアス電圧が印加されてもチューナブルフィルタ全体でのキャパシタンスの変化をなるべく小さく抑える補助キャパシタとしての役割を果たす。共振器間の結合調節用の薄膜キャパシタ21のキャパシタンスは、なるべく小さいほうが望ましい。キャパシタンスが大きいと、カプリングが強くなりすぎるからである。薄膜キャパシタ21の両側に比較的大きなインターデジタルキャパシタ25a、25bを設けることで、論理的に非常に小さな結合用キャパシタ21を共振器12a、12bの間に挿入したことになり、バイアス電圧の印加で共振器12間の結合を変化させても、フィルタ全体のキャパシタンスはほぼ一定に保つことができる。
【0021】
良好な実施形態では、共振器12a、12b、インターデジタルキャパシタ25a、25b、薄膜キャパシタ21の下部電極22、バイアス印加用配線14は、同一プロセスで同一平面上に形成される。これらのコンポーネントの材料としては、任意の導体材料を用いてもよいし、また、超伝導材料を用いてもよい。超伝導材料を用いる場合は、YBCO(Y−Ba−Cu−O)、RBCO(R−Ba−Cu−O;R元素としてYに代えて、Nd、Gd、Sm、Hoを用いる)、BSCCO(Bi−Sr−Ca−Cu−O)、PBSCCO(Pb−Bi−Sr−Ca−Cu−O)、CBCCO(Cu−Bap−Caq−Cur−Ox、1.5<p<2.5、2.5<q<3.5、3.5<r<4.5)等を用いることができる。
【0022】
また、フィーダ13やスタブ32も、同一工程内で、同一平面上に形成することができる。バイアス印加用配線14を直流電源31に電気的に接続して、チューナブルフィルタが出来上がる。動作時には、バイアス印加ポートにDCバイアスを印加して薄膜キャパシタ21の容量を変化させることによって、チューナブルフィルタ10の帯域周波数を制御する。
【0023】
図2に、図1のチューナブルフィルタの実装例を示す。図2(a)はパッケージ内に収容されたチューナブルフィルタの斜視図、図2(b)は、パッケージを冷却装置の断熱真空容器内にセットした状態を示す概略図である。
【0024】
図2(a)に示すように、チューナブルフィルタ10を金属パッケージ40に入れ、入出力フィーダ13a、13bが接続される接続電極45と、同軸コネクタ41の中心導体(不図示)とを接続する。この際の接合方法は、超音波熱圧着によるワイヤボンディング、テープボンディング、はんだ接合等、任意の方法を用いることができる。同軸コネクタ41と接続電極45の接続がとれると、パッケージ蓋(不図示)をかぶせて密閉する。フィルタリングされる信号は、同軸コネクタ41に接続される同軸ケーブル(図2(b)参照)からチューナブルフィルタ10に入力され、フィルタ出力は、出力側の同軸ケーブルへと取り出される。
【0025】
チューナブルフィルタの共振器12を超伝導材料で形成する場合は、パッケージされたチューナブルフィルタを、図2(b)に示すように、冷却装置内に保持する。より具体的には、冷却装置の断熱真空容器50内のコールドプレート51上にパッケージ40をセットし、10Pa〜3Paまで真空引きした後、所定の温度(たとえば70K)まで冷却する。冷却は、冷凍機膨張部55と冷凍機圧縮部56を組み合わせて行う。
【0026】
パッケージ40の同軸コネクタ41と、断熱真空容器50のハーメチック同軸コネクタ58との間を、同軸ケーブル54で接続して、断熱真空容器50の外部と信号の入出力を行う。なお、チューナブルフィルタ10の可変容量部Aに接続される直流電源は、断熱真空容器50の外部に、電圧制御部(不図示)とともに設けられてもよい。
【0027】
図3及び図4は、図1のチューナブルフィルタ10のバイアス印加ポートにDCバイアスを印加することによる、フィルタ特性の変化を示すグラフである。図3では、DCバイアスが印加されない状態(容量369fF)から、異なるレベルでDCバイアスを印加して容量を変化させたときのフィルタ特性のシミュレーション結果である。隣接する共振器12a、12b間に配置される薄膜キャパシタ21にDCバイアス電圧を印加して、結合容量を可変にすることによって、フィルタ特性が変化することがわかる。また、結合容量が小さくなりすぎると良好なフィルタ特性を得ることができないので、共振器12のサイズ、間隔、薄膜キャパシタ21のサイズ、誘電体23の膜厚等に応じて、フィルタ特性を制御するのに適切な印加電圧の範囲を設定することが必要である。
【0028】
図4は、図3と同様に、可変容量結合部Aの薄膜キャパシタ21に対するDCバイアス電圧の印加がないときと、一定のDCバイアス電圧を印加して結合容量を変えたときのフィルタ特性の制御例である。薄膜キャパシタ21の誘電体23に適切なレベルのDCバイアスを印加することによって、挿入損失の絶対値を増大させることなく、帯域幅と中心周波数の双方を制御することが可能である。
【0029】
図5は、図1のチューナブルフィルタの可変容量結合部Aの薄膜キャパシタ21の作製工程図である。まず、図5(a)に示すように、たとえば厚さ0.5mmのMgO誘電体ベース基板11の両面に、膜厚500nmのYBCO膜をエピタキシャル成長する。裏面に形成されるYBCO膜は、グランド膜26となり、表面のYBCO膜は、ヘアピン共振器12、信号入出力フィーダ13、バイパス印加用配線14、可変容量結合部Aの電極パターンの加工用の超伝導材料膜28となる。
【0030】
図5(b)に示すように、フォトリソグラフィにより図示しないレジストマスクを形成し、エッチングにより表側の超伝導材料膜28をパターニングして、共振器12a、12b、フィーダ13、バイアス印加用配線14と同時に、薄膜キャパシタの下部電極22を形成する。下部電極22の右側に残るYBCO膜27は、バイアス印加用配線14につながる部分である。このときのエッチングで、共振器12a、12bの開放端と、バイアス印加用配線14の先端部に、一対の対向する櫛歯電極15、16も同時に作り込む。
【0031】
図5(c)に示すように、全面にSTO薄膜33を、膜厚300nmで形成する。次いで、図5(d)に示すように、フォトリソグラフィによりレジストマスク(不図示)を形成してSTO薄膜33をエッチングし、キャパシタ用の薄膜誘電体23とする。その後、全面に電極材料膜34を形成する。
【0032】
最後に、図5(e)に示すように、電極材料膜34を加工して上部電極24を形成し、薄膜キャパシタ21が完成する。
【0033】
このようなチューナブルフィルタでは、2以上の共振器の開放端を、薄膜キャパシタによりフィルタ素子と同一平面上で容量結合させ、さらに外部からの直流バイアス電圧の印加により、薄膜キャパシタの誘電体の容量を変化させることによって、共振器間の結合を変化させることができる。これにより、バンドパスフィルタの通過帯域の帯域幅および中心周波数を可変にすることができる。
【0034】
なお、ストリップ型共振器12の形状は、ヘアピン形状に限定されず、直線のストリップ形状、コの字型等、任意のストリップ形状をとることができる。また、3以上のストリップ型共振器が配置される場合も、各共振器の間に、容量結合用の微細な薄膜キャパシタが挿入される。このときも、隣接する共振器の開放端にインターデジタルキャパシタがそれぞれ形成されて、これらのインターデジタルキャパシタの間に、容量結合用の薄膜キャパシタが直列接続されるのが望ましい。
【0035】
最後に以上の記載に対して、以下の付記を記載する。
(付記1)
2以上の共振器と、
前記共振器と同一基板上に形成され、互いに隣接する共振器の間に設けられる可変容量結合部と、
を有することを特徴とするチューナブルフィルタ。
(付記2)
前記可変容量結合部は、直流電源に接続されていることを特徴とする付記1に記載のチューナブルフィルタ。
(付記3)
前記可変容量結合部は、前記互いに隣接する共振器の開放端に設けられる容量結合素子で構成されることを特徴とする付記1又は2に記載のチューナブルフィルタ。
(付記4)
前記可変容量結合部は、薄膜誘電体を用いた容量結合素子と、前記チューナブルフィルタ全体のキャパシタンスを一定に保つ補助キャパシタとを含むことを特徴とする付記1又は2に記載のチューナブルフィルタ。
(付記5)
前記可変容量結合部は、前記互いに隣接する共振器の開放端にそれぞれ設けられるインターデジタルキャパシタと、これらのインターデジタルキャパシタの間に接続される薄膜キャパシタと、を含むことを特徴とする付記1又は2に記載のチューナブルフィルタ。
(付記6)
前記可変容量結合素子と前記直流電源の間に位置する交流成分除去フィルタ、
をさらに有することを特徴とする付記1に記載のチューナブルフィルタ。
(付記7)
前記薄膜キャパシタは、誘電体材料としてSrTiO3、(Ba,Sr)TiO3、Bi1.5Zn1Nb1.57のいずれかを用いることを特徴とする付記1〜6のいずれかに記載のチューナブルフィルタ。
(付記8)
前記共振器は、ヘアピン共振器であることを特徴とする付記1〜7のいずれかに記載のチューナブルフィルタ。
(付記9)
前記共振器は、超伝導材料で形成されていることを特徴とする付記1〜8のいずれかに記載のチューナブルフィルタ。
(付記10)
前記交流成分除去フィルタは、前記共振器および容量結合素子と同一平面上に位置することを特徴とする付記6〜9のいずれかに記載のチューナブルフィルタ。
(付記11)
2以上の共振器パターンと、前記2以上の共振器パターンの間に位置する容量結合素子の電極パターンと、前記容量結合素子にバイアス電圧を印加するための配線パターンとを、同一基板上に同一プロセスで形成することを特徴とするチューナブルフィルタの作製方法。
(付記12)
付記1〜10のいずれかに記載のチューナブルフィルタの入出力フィーダが、同軸コネクタを介して外部に接続されるようにパッケージ内に収容されているチューナブルフィルタ。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態のチューナブルフィルタの構造を示す図である。
【図2】図1のチューナブルフィルタの実装例を示す図である。
【図3】図1のチューナブルフィルタに直流バイアス電圧を印加したときと、印加しないときのS11特性とS21特性をそれぞれ示すシミュレーショングラフである。
【図4】図1のチューナブルフィルタに直流バイアス電圧を印加したときと、印加しないときのS11特性とS21特性をそれぞれ示すシミュレーショングラフである。
【図5】図1のチューナブルフィルタで用いられる容量結合用の薄膜キャパシタの作製工程図である。
【符号の説明】
【0037】
10 チューナブルフィルタ
11 MgO誘電体ベース基板
12 共振器
13a、13b 信号入力フィーダおよび出力フィーダ
14 バイアス印加用配線
15、16 櫛歯電極
21 容量結合用の薄膜キャパシタ
22 下部電極
23 薄膜誘電体
24 上部電極
25a、25b インターデジタルキャパシタ(補助キャパシタ)
31 直流電源
32 スタブ
40 パッケージ
A 可変容量結合部
50 断熱真空容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の共振器と、
前記共振器と同一基板上に形成され、互いに隣接する共振器の間に設けられる可変容量結合部と、
を有することを特徴とするチューナブルフィルタ。
【請求項2】
前記可変容量結合部は、直流電源に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項3】
前記可変容量結合部は、前記互いに隣接する共振器の開放端に設けられる容量結合素子で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項4】
前記可変容量結合部は、薄膜誘電体を用いた容量結合素子と、前記チューナブルフィルタ全体のキャパシタンスを一定に保つ補助キャパシタとを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項5】
前記可変容量結合部は、前記互いに隣接する共振器の開放端にそれぞれ設けられるインターデジタルキャパシタと、これらのインターデジタルキャパシタの間に接続される薄膜キャパシタと、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項6】
前記可変容量結合素子と前記直流電源の間に位置する交流成分除去フィルタ、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項7】
前記共振器は、超伝導材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のチューナブルフィルタ。
【請求項8】
前記交流成分除去フィルタは、前記共振器および容量結合素子と同一平面上に位置することを特徴とする請求項6〜7のいずれかに記載のチューナブルフィルタ。
【請求項9】
2以上の共振器パターンと、前記2以上の共振器パターンの間に位置する容量結合素子の電極パターンと、前記容量結合素子にバイアス電圧を印加するための配線パターンとを、同一基板上に同一プロセスで形成することを特徴とするチューナブルフィルタの作製方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載のチューナブルフィルタの入出力フィーダが、同軸コネクタを介して外部に接続されるようにパッケージ内に収容されているチューナブルフィルタ。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−252340(P2008−252340A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89168(P2007−89168)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、総務省、「電波資源拡大のための研究開発」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】