説明

チョコレート用包装積層材、チョコレート用収納袋およびチョコレート製品

【課題】 溶媒臭の少ないチョコレート用包装積層材を提供する。
【解決手段】 印刷層を有する紙基材と、前記紙基材に積層された補強層と、前記補強層に積層された熱融着性樹脂層と、前記補強層および/または熱融着性樹脂層に積層されたアルミ蒸着層とからなることを特徴とする、チョコレート用包装積層材である。溶媒臭が少なく、ヒートシールによって容易に袋状に成形できる。本発明のチョコレート用包装積層材を用いれば、一次包装材のみでチョコレート製品の陳列を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョコレートを直接包装しうるチョコレート用包装積層材に関し、より詳細には、印刷層や接着剤層が発する印刷臭や溶剤臭を低減させたチョコレート用包装積層材、該積層材からなるチョコレート用収納袋、および該収納袋にチョコレートを収納したチョコレート製品に関する。
【背景技術】
【0002】
チョコレートとは、カカオ豆から調製されたカカオマス、ココアバター、ココアケーキまたはココアバウターを原料とし、必要により糖類、乳製品、他の食用油脂、香料などを加えて練り、冷却固化した菓子であり、典型的にはビターチョコレート、ミルクチョコレートやホワイトチョコレートなどがある。また、昨今ではカカオマス濃度の異なる種々のチョコレートが市販されるようになり、その他、抹茶や果物などの香りをつけたチョコレート、更には、ビスケット、ナッツやドライフルーツ、洋酒などを練り合わせたチョコレートなど、色、香り、形などの異なる種々のチョコレートが市販されている。
【0003】
このようなチョコレートは、味覚と共にカカオマスの芳醇な香りや、生地に添加された果実などのフレーバーを楽しむ食品であり、保香性の維持が要求されると共に移り香が極度に嫌われる食品でもある。更に、チョコレートは、ココアバターの代わりに動物、植物もしくは両者由来のテンパリング脂、ノンテンパリング脂、またはこれらを混合した油脂を使用して製造される場合もあり、チョコレートを直接包装する一次包装材としては、耐油性も要求され、従来から銀紙や合成樹脂性フィルムが多用されている。
【0004】
このような合成樹脂性フィルムとして、少なくとも基材の両面に、基材と異なる樹脂からなるヒートシール層を有する包装用フィルムであって、非塩素系材料からなり、包装用フィルム同士をヒートシール温度110〜140℃の温度でヒートシールした際のヒートシール強度が、ヒートシール時に密着させる面がいずれの面であっても、70g/15mm幅以上である包装用フィルムがある(特許文献1)。該公報に記載されるフィルムは、チョコレートなどの菓子類は紙箱に収納した上で防湿性および保香性を目的としてその外側をポリプロピレン系樹脂フィルムをベースとした包装用フィルムにより上包みすることが多く、ポリプロピレン系樹脂フィルムは防湿性などでは優れるが保香性に問題があり、かつ包装時のヒートシール部の強度が弱いことに鑑みてなされたものであり、保香性を向上すべく、所定のヒートシール強度を確保しうる包装用フィルムを提案するものである。また、水蒸気透過度を5.5g/m2/day以下に限定し、被包装物中の収納物の保湿性を確保している。
【0005】
また、チョコレート含有油性菓子包装体の製造方法であって、チョコレート含有油性菓子を65〜90℃の範囲内に加温し、包装容器内に押し出し、次いで密封包装するチョコレート含有油性菓子包装体の製造方法もある(特許文献2)。該公報では、包装容器として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等の飽和ポリエステル、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン6,6等のポリアミド、芳香族ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等、これらのガスバリヤー性樹脂フィルムとポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド等のフィルム、アルミ箔、ガラス蒸着フィルムとの積層フィルムなどのガスバリヤー性樹脂フィルムからなるものを使用し、これによれば長期にわたる品質の保持を行うことができるという。
【0006】
このようなチョコレート菓子は、成分中にココアバターなどの油脂が多く含まれ、舌に載せ溶融して味わう製品であり、速やかに溶融させるために薄型に成型されることが一般的である。したがって、チョコレート表面や角部が損傷を受けやすい。このため、合成樹脂性フィルムや銀紙で一次包装された後、紙包装されたり紙箱に収納されて陳列されることが一般的である。
【0007】
これに対し、仕切られた合成樹脂性の可撓性パッケージにチョコレート菓子製品が収納されたパッケージ菓子であって、前記菓子製品が、可撓性パッケージに個別に収納されるパッケージ菓子もある(特許文献3)。個別包装よりも安価であり、追加の包装も不要である、という。
【0008】
このように、チョコレートは成分に由来する特性や品質保持の観点から合成樹脂性フィルムや銀紙で一次包装されることが一般的であり、これらが二次包装材である紙箱に収納され、または一次包装材として合成樹脂性フィルムで個別包装されたものがより大きな合成樹脂性外装袋に収納されて陳列されている。
【特許文献1】特開2002−210878号公報
【特許文献2】特開2005−204593号公報
【特許文献3】特開2004−529043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、チョコレートに含まれるカカオ・ポリフェノールが、癌や動脈硬化などの原因とされる活性酸素の働きを抑制し、チョコレートの香りが精神活動を高め、心理的ストレスに対する抵抗力を増強させるともいわれ、このようなチョコレートの外装に対しても、より安らぎを感じさせるデザインが要求されるようになり、特にチョコレートを紙製包装材で一次包装することへの要求が高まっている。このような紙基材を使用すれば、合成樹脂フィルムの使用量を低減することができ、環境保全にも優れる。
【0010】
しかしながら、単に紙基材のみで包装したのでは、遮光性、ガスバリア性などが不足するため品質を維持することができない。したがって、品質保持性能に優れる紙基材を含むチョコレート用包装積層材の開発が望まれる。
【0011】
また、紙基材は多量の溶剤を吸収するため、積層時や印刷時に使用する溶剤が残存しやすい。このような場合、予め着色した用紙に必要な情報のみを印刷する方法もあるが、チョコレートは、カカオマス含有量が異なるものや、果汁風味、抹茶風味など、たとえ同じ形状でも異なる風味の種々のチョコレートが多く、チョコレートごとに異なる用紙を使用することは煩雑である。したがって、全面印刷を行った場合でも、溶媒臭の無い、紙基材を含むチョコレート用包装積層材の開発が望まれる。
【0012】
また、チョコレートを紙基材を含む包装材で一次包装した場合に、二次包装せずに陳列できれば、紙包装を外部から認識することができ、消費者の購買意欲も向上する。したがって、チョコレートの損傷を防止し、かつ簡便に陳列しうるチョコレート用収納袋が望まれる。
【0013】
更に、チョコレート製品の外装部には、一般消費者が商品を選択する際の目安となる表示事項、例えば種類別名称、原材料名、賞味期限、保存方法、事業者の氏名又は名称及び住所、事故品を取り替える旨、ココアバターの重量百分比などが表示されているが、その表示事項は、容器又は包装の外部から見やすい場所に明瞭に表示される必要がある。一次包装のみで陳列する場合には、一次包装材にこのような表示事項の印刷を行う必要があるが、紙基材は、本来、印刷が不鮮明となりやすい。そこで、明瞭な印刷を行いうる紙基材を含むチョコレート用包装積層材が望まれる。
【0014】
上記に鑑み、本発明は、印刷適性に優れ、遮光性、ガスバリア性を有する紙基材を含むチョコレート用包装積層材を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、上記チョコレート用包装積層材の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
更に、本発明は、内容物を保護しうる柔軟性、耐衝撃性、耐摩擦性、印刷適性、開口性、充填包装適性を有するチョコレート用収納袋を提供することを目的とする。
【0017】
加えて、本発明は、陳列が容易なチョコレート製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
チョコレートの一次包装材について詳細に検討した結果、合成樹脂性包装材は印刷時の溶媒の吸収率が低く溶媒臭が問題とならないが、紙基材を使用する場合には多量の溶媒を吸収するため溶媒臭が残存することが判明した。しかしながら、紙基材として秤量が特定範囲の薄いものを使用すると溶媒臭を抑制できること、このような薄い紙基材であっても特定の補強層を裏打ちすると印刷が可能となること、および前記補強層に特定の性能を有する熱融着性樹脂層を積層すると、遮光性、ガスバリア性およびヒートシール性を確保することができチョコレート製品の一次包装材として好適であることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0019】
本発明のチョコレート用包装積層材は、表面が紙基材からなるため、消費者の購買意欲を向上させ、前記補強層および/または熱融着性樹脂層に積層されたアルミ蒸着層を含むため、チョコレートの品質保持性能に優れる。
【0020】
また、本発明のチョコレート用包装積層材の紙基材に設けた印刷層は印字が明瞭であり、二次包装材を使用しなくても商品情報を適切に印字することができる。
【0021】
本発明のチョコレート用包装積層材は、簡便な方法で製造することができる。
【0022】
本発明のチョコレート用包装積層材は、紙基材を含むため適度なコシがあり、これを用いて製造したチョコレート用収納袋は、チョコレートを収納した後にチョコレートを適度の空間を保持しつつ収納することができ、チョコレートの形状維持特性に優れる。
【0023】
本発明のチョコレート製品は、一次包装材を外装として使用することができるため二次包装材が不要であり、環境保全に優れると共に、製品自体をコンパクトにでき、狭いスペースでも陳列することができる。
【0024】
本発明のチョコレート用包装積層材は、紙基材を使用しても溶媒臭が少なく、デリケートな味覚を味わうチョコレートの一次包装材として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の第一は、印刷層を有する紙基材と、前記紙基材に積層された補強層と、前記補強層に積層された熱融着性樹脂層と、前記補強層および/または熱融着性樹脂層に積層されたアルミ蒸着層とからなることを特徴とする、チョコレート用包装積層材である。図1に示す本発明のチョコレート用包装積層材の好適な実施態様の一例を示すが、図1(a)では、チョコレート用包装積層材の外層から内層に向かって、印刷層(10)、紙基材(20)、補強層(30)、およびアルミ蒸着層(60)が積層された熱融着性樹脂層(40)とを有し、紙基材(20)と補強層(30)、および補強層(30)と熱融着性樹脂層(40)とがラミネート用接着剤(50)によって接着されている。また、図1(b)では、チョコレート用包装積層材の外層から内層に向かって、印刷層(10)、紙基材(20)、アルミ蒸着層(60)が積層された補強層(30)、および熱融着性樹脂層(40)とを有し、紙基材(20)とアルミ蒸着層(60)、および補強層(30)と熱融着性樹脂層(40)とがラミネート用接着剤(50)によって接着されている。
【0026】
本発明のチョコレート用包装積層材は、紙基材を使用しても溶媒臭が少なく、デリケートな味覚を味わうチョコレート製品の一次包装材として好適である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0027】
(1)紙基材
本発明のチョコレート用包装積層材で使用しうる紙基材としては、これがチョコレート用包装積層材を構成する基本素材となることから、印刷適性、耐屈曲性、剛性、腰、強度等を有するものを使用することができ、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙、あるいは、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の各種の紙を使用することができる。
【0028】
本発明で使用する紙基材の秤量には制限はないが、好ましくは坪量20〜60g/m2の範囲のものである。20g/m2を下回ると、紙基材が薄いために明瞭な印字ができる印刷層を形成しづらい場合があり、かつチョコレート用包装積層材に占める紙基材の質量比が小さくなりすぎ、好ましくない。一方、60g/m2を超えると、紙基材が厚くなるため、印刷時の溶媒が残存する場合があり、溶媒臭が残存する一因となる。また、コシが強いため、成形後に内容物の収納が困難となる場合がある。
【0029】
また、上記紙基材の印刷面は、3次元表面粗度Zの中心面平均値が2μm以下、より好ましくは1.5μm以下であれば、印刷層の印字を明瞭にすることができる。なお、3次元表面粗度Zは、後記する実施例で記載する方法で測定したものとする。
【0030】
(2)補強層
本発明で使用しうる補強層とは、紙基材と積層することで紙基材への印刷を容易にしうる層であり、単層に限られず2種以上の複合層であってもよい。このような補強層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂などがある。これらのフィルムは、未延伸でも延伸したものでもよく、延伸は一軸延伸、二軸延伸のいずれでもよい。補強層として、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ナイロンなどからなるフィルムである。
【0031】
上記補強層の厚みは、6.5〜40μm、好ましくは9〜30μmである。6.5μmを下回ると腰が弱くなって加工時にシワになったり、破断したりして加工性が悪くなる場合がある。一方、40μmを超えると引裂強度が大きくなり、チョコレート用包装積層材として適さない場合がある。
【0032】
補強層には、適宜、各種安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、帯電防止剤、抗菌剤、分散性補助剤等を加えることもできる。
【0033】
(3)熱融着性樹脂層
本発明で使用しうる熱融着性樹脂層とは、ヒートシール性を有する層であり、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、未延伸ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の樹脂からなる1種以上のフィルムもしくはシートまたは塗布膜などを使用することができる。チョコレート用包装積層材として使用するには、未延伸ポリプロピレン系樹脂であれば機械的、化学的強度に優れ、かつこのようなコシを付与することができる。
【0034】
このような熱融着性樹脂層の層厚は、13〜60μm、より好ましくは、15〜30μmが好ましい。なお、上記樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数10%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
【0035】
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を任意に使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0036】
熱融着性樹脂層は、上記樹脂の1種からなる単層でも多層でもよく、熱融着性樹脂層の厚さとしては、13〜60μm、より好ましくは15〜30μmである。
【0037】
(4)アルミ蒸着層
本発明では、前記補強層および/または熱融着性樹脂層にアルミ蒸着層が積層されることを特徴とする。アルミ蒸着層を設けることで、内容物の品質を保持しうる遮光性、ガスバリア性が確保される。
【0038】
アルミ蒸着は、補強層および/または熱融着性樹脂層上に直接行ってもよいが、予めこれらの表面層に表面処理を行った後にアルミ蒸着処理を行うことが好ましい。このような表面処理としては、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、プライマーコート剤、アンダーコート剤、アンカーコート剤、接着剤、あるいは、蒸着アンカーコート剤等の塗布による表面処理がある。
【0039】
アルミ蒸着は、例えば、プラズマ化学気相成長法、低温プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等によって行うことができる。また、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができる。高活性の安定したプラズマが得られる点で、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが好ましい。アルミ蒸着の膜厚は、400〜800Åの範囲内で任意に選択することができる。遮光性の点から、600〜800Åがより好ましい。
【0040】
なお、本発明で使用するアルミ蒸着層を有する補強層や熱融着性樹脂層としては、内容物の品質を保持しうる遮光性、ガスバリア性を有し、かつ補強機能やヒートシール機能があれば、東レフィルム加工社製、商品名「2203」などの市販のフィルムを使用することもできる。
【0041】
(5)印刷層
本発明では、印刷方法に限定はない。例えばグラビア印刷で印刷層を形成することができる。ここに、グラビア印刷は、原版のインクの付く部分が凹状に彫り込まれているタイプの印刷方式であり、インクはこの凹部からでてくるので、その深さと大きさ、印刷層への凹部の圧力などによって色の濃度を調整することがきる。グラビア印刷機は、色ごとに1つの印刷ユニットを有し、写真など階調を持つ画像の再現性に優れる。
【0042】
印刷層としては、樹脂と溶媒から通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を調製し、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の助剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用することができる。
【0043】
このようなインキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。インクビヒクルは、版から被印刷物に着色剤を運び、被膜として固着させる働きをする。
【0044】
また、溶剤によってインキの乾燥性が異なる。印刷インキに使用される主な溶剤は、トルエン、MEK、酢酸エチル、IPAであり、速く乾燥させるために沸点の低い溶剤を用いるが、乾燥が速すぎると印刷物がかすれたり、うまく印刷できない場合があり、沸点の高い溶剤を適宜混合することができる。これによって、細かい文字もきれいに印刷できるようになる。着色剤には、溶剤に溶ける染料と、溶剤には溶けない顔料とがあり、グラビアインキでは顔料を使用する。顔料は無機顔料と有機顔料に分けられ、無機顔料としては酸化チタン(白色)、カーボンブラック(黒色)、アルミ粉末(金銀色)などがあり、有機顔料としてはアゾ系のものを好適に使用することができる。
【0045】
上記は、グラビア印刷で説明したが、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式であってもよい。
【0046】
(6)ラミネート用接着剤
本発明では、上記紙基材と補強層との接着や補強層と熱融着性樹脂層との積層にはドライラミネート積層法により積層することができる。また、前記補強層および/または熱融着性樹脂層にアルミ蒸着層が積層される場合には、アルミ蒸着層を介してドライラミネート積層法により積層してもよい。
【0047】
ドライラミネート積層法で使用しうるラミネート用接着剤としては、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルへキシルエステルなどのホモポリマーもしくはこれらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレンなどとの共重合体などからなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸などのモノマーとの共重合体などからなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂などからなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル酸系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどからなる無機系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラスなどからなる無機系接着剤、その他の接着剤を使用することができる。
【0048】
より好ましくは、例えば、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナートなどの芳香族ポリイソシアナート、またはヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナートなどの脂肪族ポリイソシアナート等の多官能イソシアナートと、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリアクリレートポリオール、その他のヒドロキシル基含有化合物との反応によって得られるポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン系樹脂、ポリアクリレートポリウレタン系樹脂を主成分とするものである。これらによれば、柔軟性と屈曲性に富む薄膜を形成することができ、その引っ張り伸長度を向上させ、アルミ蒸着層を含む熱融着性樹脂層や補強層に対し、柔軟性、屈曲性などを有する被膜として作用し、ラミネート加工、印刷加工などの加工適性を向上させ、アルミ蒸着層を含む熱融着性樹脂層や補強層へのクラックなどの発生を回避することができる。上記ラミネート用接着剤からなるラミネート接着剤層は、JIS規格K7113に基づいて、100〜300%の引っ張り伸長度を有することが好ましい。
【0049】
これらの接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型などのいずれの組成物形態でもよく、その性状はフィルム、シート状、粉末状、固形状などのいずれでもよい。更に、反応機構として、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶着型、熱圧型などのいずれでもよい。
【0050】
ラミネート用接着剤の使用量には特に限定はないが、一般には、0.1〜10g/m2(乾燥状態)である。上記ラミネート用接着剤は、ロールコート、グラビアコート、キスコートその他のコート法や印刷法によって行うことができる。
【0051】
(7)チョコレート用包装積層材の製造方法
本発明のチョコレート用包装積層材の製造方法に限定はないが、補強層および/または熱融着性樹脂層にアルミ蒸着層を積層し、前記補強層を紙基材に積層し、前記紙基材面に印刷層を形成し、ついで前記補強層に前記熱融着性樹脂層を積層してチョコレート用包装積層材を製造することができる。本発明では、前記補強層および/または熱融着性樹脂層にアルミ蒸着層が積層される点に特徴があるが、予めアルミ蒸着層が積層された補強層および/または熱融着性樹脂層を使用することができる。この方法によれば、紙基材が薄い場合でも補強層の支持力によって紙基材に印刷層を設けることができるため、紙基材に残存する溶媒臭を低減することができ、かつ前記補および/または熱融着性樹脂層にアルミ蒸着層が積層されるため、遮光性、ガスバリア性などの品質保持特性を確保でき、かつ熱融着性樹脂層によってヒートシールを可能とすることができる。なお、紙基材、補強層および熱融着性樹脂層として、前記したいずれか1種以上を好適に使用することができる。
【0052】
使用する紙基材は、前記したように好ましくは秤量20〜60g/cm2である。このような薄い紙基材は、そのままでは印刷層を形成することが困難な場合があるが、秤量を大きくすると溶媒吸収量および残存溶媒量が増大する。そこで、紙基材に予め補強層をドライラミネート積層法で積層する。
【0053】
本発明では、紙基材と補強層とを接着して印刷用複合基材を形成した後に、前記印刷用複合基材の紙基材表面に印刷層を形成する。印刷方法に限定はなく、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他のいずれであってもよい。本発明では、紙基材の秤量が上記範囲にあるため、たとえ全面印刷を行った場合であっても、紙基材が吸収する溶媒量が少なく、溶媒臭を低減することができる。
【0054】
本発明では、印刷後に印刷用複合基材を乾燥する。一般に、印刷後には溶媒を除去し、印刷層を安定化するため乾燥工程を設けるが、本発明においてもこの乾燥工程を行い、残存する溶媒を低減させる。前記したように、印刷用複合基材は、紙基材と補強層とをラミネート用接着剤で積層したものであり、使用するラミネート用接着剤としては溶媒含有量が少ないことが好ましいが、溶媒含有量が少ないとラミネート用接着剤に含まれる接着剤成分量が増大し、最終的に得られるチョコレート用包装積層材の全質量が増大する。しかしながら、本発明では、乾燥工程を設けることで、このような接着剤に含まれる溶媒を低減することができ、その結果、チョコレート用包装積層材の全質量を低減することができる。
【0055】
また、印刷用インクに含まれる低沸点溶媒は、残存溶媒量を低減するには効果的であるが印字が不鮮明となる場合があり、一方、高沸点溶媒を使用すると残存溶媒量が増加しやすい。しかしながら、乾燥工程によって印刷インクに含まれる溶媒を効率的に除去することができる。本発明において、乾燥工程は上記目的で行われる。なお、乾燥によって紙基材が縮む恐れがある場合には、予め乾燥処理を行った紙基材を使用して印刷用複合基材を調製し、これに印刷層を形成すれば、印刷用複合基材の縮小や変形を防止することができる。
【0056】
ついで、補強層にラミネート用接着剤を介し、または押出しラミネート積層法で熱融着性樹脂層を接着する。この際、熱融着性フィルム層がチョコレート用包装積層材の最内層となるように接着する。
【0057】
なお、本発明においては、いずれかのフィルムや層の積層を行う際、および補強層や熱融着性樹脂層にアルミ蒸着層を形成する際に、必要ならば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムや層に施すことができ、また、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他等のラミネート用接着剤等の公知の前処理のほか、アンダーコート剤などを使用してもよい。
【0058】
また、積層後には積層体を乾燥し、ラミネート用接着剤に含まれる溶媒を除去する。このような乾燥工程は上記目的で行われる。
【0059】
本発明のチョコレート用包装積層材の製造方法によれば、アルミ蒸着層を有する補強層および/または熱融着性樹脂層を使用し、前記補強層に紙基材と前記熱融着性樹脂層とをラミネート用接着剤を介し、または押出しラミネート積層法によって接着することができるため、物性を低下させることなく残留溶剤を減らすことができる。この点を詳記すれば、機能的には印刷層を形成した紙基材と熱融着性樹脂層を貼り合せるだけでチョコレート用包装積層材を製造することができるが、上記2層をラミネート用接着剤で接着すると、紙基材の深くまで接着剤に含まれる溶剤が浸透するため多量に残留溶剤が残る。また、熱融着性樹脂層に接着剤を塗布する方法は、熱融着性樹脂層が未延伸フィルムである場合にはテンションを強く掛けると伸びてしまい、加工が困難であり、かつフィルムの伸びにより熱融着性樹脂層にアルミ蒸着層が積層される場合には、該アルミ蒸着層がクラックダメージを受け、ガスバリアーが低下する。一方、ポリエチレンなどのポリオレフィンの押出しによって貼り合せる方法では、高温のポリエチレンにより該アルミ蒸着層がダメージを受け、外観が劣化し、かつバリアー性も低下する。しかしながら、補強層を使用し、紙基材との第一ラミネーション工程、および熱融着性樹脂層との第2ラミネーション工程とも、この補強層の表面に接着剤を塗布して行うことができるため、ガスバリア性や遮光性などの物性を低下させることなく残留溶剤を減らすことができる。
【0060】
(8)チョコレート用収納袋
本発明のチョコレート用収納袋は、チョコレートの一次包装材に使用することができ、上記チョコレート用包装積層材を用いて製造することができる。例えば、本発明のチョコレート用包装積層材の熱融着性樹脂層が対向するように2枚を重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部の三方をヒートシールしてヒートシール部を形成すると共にその上部に開口部を形成して、三方シール型のチョコレート用収納袋を製造することができる。これらのチョコレート用収納袋を使用し、その上部の開口部から、各種のチョコレートを充填し、次いで、その開口部をヒートシールすれば、本発明のチョコレート用収納袋を使用した包装製品を製造することができる。また、一枚のチョコレート用包装積層材を折り返し、側部をヒートシールし、その上部に開口部を形成して、二方シール型のチョコレート用収納袋を製造することができる。内容物を収納した後に開口部をヒートシールすればよい。
【0061】
本発明のチョコレート用収納袋は、チョコレートを直接包装する、いわゆる一次包装材である。上記チョコレート用包装積層材は、アルミ蒸着ポリプロピレンフィルムなどの品質保持層を有するため、ガスバリア性および遮光性に優れ、品質保持性能に優れる。このため、二次包装材を使用せずに品質を保持できる。
【0062】
一方、最外層は紙基材であって手触りが天然繊維からなるものであるから肌に優しく、癒し効果を発揮する。しかも、全面印刷が可能であって広い印刷面にチョコレート製品に必要な情報を印字することができ、しかも風味が重要なチョコレートを直接包装するものであるが、溶媒臭がない。
【0063】
本発明のチョコレート用収納袋の形状としては、上記の他、ピロー包装形態、ガセット包装形態、スタンディング(自立性)パウチ包装形態、その他等の内容物に合った種々の形態からなるチョコレート用収納袋を製造し得る。なお、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
【0064】
本発明のチョコレート用収納袋の好適な態様の一例を図2に示す。図2(a)はチョコレート用収納袋(100)の正面図であり、図2(b)はその側面図である。図2に示すチョコレート用収納袋(100)は、一枚のチョコレート用包装積層材を折り返して最内層を重ね合わせ、側部および天井部をヒートシール(110)し、特に天井部を幅広にヒートシールしたものであり、天井部には吊り下げ用の貫通孔(120)が設けられている。外周部をヒートシールしているため、図2(b)に示すように薄型である。また、図2(a)に示すように、容易に開封できるように切り込み(130)を設けてもよい。
【0065】
(9)チョコレート製品
本発明のチョコレート製品は、本発明のチョコレート用収納袋にチョコレートを収納したものである。チョコレートには、台紙と共に前記チョコレート用収納袋(100)に収納してもよい。図3(a)に本発明のチョコレート製品の部分切り欠き図を示し、図3(b)に台紙にチョコレートを載せた状態を示す。
【0066】
前記台紙(140)の形状は、本発明のチョコレート用収納袋(100)に収納できればよく、内容物であるチョコレートの形状に応じて適宜選択することができる。台紙(140)の一部につまみが設けられていると内容物を取り出すのに簡便である。例えば、チョコレートが扁平な方形である場合には、台紙(140)のつまみ(145)を引き出すことで容易にチョコレート用収納袋(100)から全てのチョコレート(150)を取り出すことができる。このような態様を図3に示す。図3(a)では、上部につまみ(145)を設けた略5角形の台紙(140)に扁平かつ方形のチョコレート(150)が4つ載置され、本発明のチョコレート用収納袋(100)に収納されている。
【0067】
このように収納された場合、本発明のチョコレート製品は扁平であり、吊り下げ用の貫通孔(120)を用いて陳列バーに複数個を一列に陳列することができる。
【0068】
すなわち、本発明のチョコレート製品は、一次包装のまま陳列することができ、かつ当該製品の陳列方法は吊り下げ用の貫通孔を介して陳列バーに吊り下げるだけであるので、製品パッケージを極めて簡略化することができる。また、一次包装のみであるため、切り込み(130)から開封すれば、ただちにチョコレート(150)を手にすることができる。
【0069】
本発明のチョコレート用収納袋に収納されるチョコレートの意味は広義であり、表示に関する公正競争規約に規定するチョコレート類やチョコレート利用食品に限定されず、冷却すると硬化する可食性油脂の連続層からなるマトリックス構造を有し、実質的に当該油脂に、他の可食性成分、添加剤、香料などが添加された食品をいう。すなわち、前記規約で定められた純チョコレート、チョコレート、準チョコレートなどのチョコレート類に限らず、それ以外のチョコレート類それ以外のチョコレート類も含まれる。通常のチョコレートは、原料として、カカオマス、ココアバターなどのカカオ成分と砂糖と、所望により全粉乳や脱脂粉乳など乳製品やナッツ、果実、香料、乳化剤などの副原料が含まれる。それ以外のチョコレート類としては、例えば、ココアバターの代わりにココアバター代用脂として、動物、植物もしくは両者由来のテンパリング脂、ノンテンパリング脂またはそれらを混合した油脂を使用した各種チョコレート類、ココアパウダー及びカカオマスを使用しないで、ココアバターまたはココアバター代用脂に、全粉乳や脱脂粉乳と砂糖などを使用することにより得られるホワイトチョコレート類、フルーツ、コーヒー、抹茶などの風味素材を併用し、様々な風味や色調をしたカラーチョコレート類も含まれる。また、砂糖の代わりに、砂糖の一部または全部をぶどう糖、ケストース、麦芽糖などの糖類や糖アルコールなどに置換してもよい。糖アルコールとしては、例えばソルビトール、キシリトール、トレハロース、マンニトール、還元麦芽糖、還元乳糖、還元パラチノースなどが挙げられる。また、上記各種チョコレート類の生地のみを固めてできたもの以外に、ビスケット、ナッツ、ドライフルーツ等と各種チョコレート類の生地を組み合わせた複合菓子もチョコレートに含まれる。
【0070】
このため、例えば、カカオマスの含有量の異なるビターチョコレートや、ココアバターを主原料とし、ミルクの味と色の白さが生かされているミルクチョコレート、ミルクチョコレートに果実の風味や抹茶の風味、または洋酒の風味を付加した風味添加チョコレート、ミルクチョコレートにナッツなどの副食材を混合したチョコレートなどを、それぞれのチョコレートの内容に即した異なる印刷を施したチョコレート用収納袋に収納し、販売することができる。本発明では、多品種のチョコレートを少量ずつ個別販売を行う場合でも、個別の製品の情報を全面印刷によって特徴づけることができる。しかも、同じ形状のチョコレート用収納袋を使用すれば、多品種のチョコレートの中から消費者の好みにあうものだけ個別に購入することができ、便利である。
【0071】
更に、本発明のチョコレート製品が薄型である場合には、同じ種類のチョコレート製品を陳列バーを使用して一列に陳列でき、異なる種類のチョコレート製品をそれぞれの陳列バーに陳列することで、消費者の選択意欲も向上する。
【実施例】
【0072】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
【0073】
実施例1
厚さ9μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)(東洋紡績株式会社製「T4100」)を使用し、その片面に2液硬化型ドライラミネート接着剤(三井武田ケミカル株式会社製「主剤A969/硬化剤A5」)を塗布して、坪量31g/m2の純白紙(天間特殊製紙株式会社製「ハクヨウAFT」)を積層し、印刷用基材を作製した。
【0074】
次いで、この印刷用複合基材の紙基材面に、紙用グラビア印刷用インキ(ザ・インクテック社製、商品名「XK」)を使用してグラビア印刷方式により、厚さ1μmの印刷層を形成した。この印刷層を形成した印刷用複合基材に乾燥処理を行った。
【0075】
次いで、この印刷層を形成した印刷用複合基材のPETフィルム面に2液硬化型ドライラミネート接着剤(三井武田ケミカル株式会社製「主剤A969/硬化剤A5」)を塗布して、厚さ20μmのアルミ蒸着CPPフィルム(東レフィルム加工社製、商品名「2203」)を積層して積層体を得た。ついで、この積層体に乾燥処理を行い、チョコレート用包装積層材を製造した。
【0076】
得られたチョコレート用包装積層材の層構成は、印刷層/紙基材(31g/m2)/ドライラミネート接着剤層3μm/ポリエチレンテレフタレートフィルム9μm/ドライラミネート接着剤層3μm/アルミ蒸着加工済未延伸ポリプロピレンフィルム20μmであった。
【0077】
(1)得られたチョコレート用包装積層材の包材質量は、61.6g/m2であり、紙基材の質量はチョコレート用包装積層材の50.3質量%であった。
【0078】
(2)チョコレート用包装積層材に使用した紙面の表面性として、3次元表面粗さの測定を行った。測定方法は、東精エンジニアリング株式会社製の測定機[機種名:SURFCOM 1400D−3DF]にて測定した。また、印刷面の印刷性を目視により観察した。結果を表1に示す。なお、表1において、◎:印刷が極めて鮮明、○:印刷が鮮明、を意味する。
【0079】
(3)得られたチョコレート用包装積層材の残留溶剤臭気として、ガスクロマトグラフィー測定を行った。測定方法は、日立株式会社製の測定機[機種名:G−3000]にて測定した。結果を表2に示す。
【0080】
(4)得られたチョコレート用包装積層材の品質保持特性として、水蒸気透過度の測定を行った。測定方法は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機[機種名:パーマトラン(PERMATRAN-W−3/31)にて測定した。結果を表2に示す。
【0081】
(5)得られたチョコレート用包装積層材の品質保持特性として、全光線透過率を測定した。測定方法は、スガ試験機製の測定機[機種名:ヘーズ HGM−2K]にて測定した。結果を表2に示す。
【0082】
(6)得られたチョコレート用包装積層材の品質保持特性として、UV・可視光透過率を測定した。測定方法は、島津製作所製の測定機[機種名:UV−2400PC]にて測定した。結果を表2に示す。
【0083】
実施例2
厚さ9μmのアルミ蒸着PETフィルム(日本メタライジング工業社製、商品名「ニチメタ800」)を使用し、そのアルミ蒸着面に2液硬化型ドライラミネート接着剤(三井武田ケミカル株式会社製「主剤A969/硬化剤A5」)を塗布して、坪量31g/m2の純白紙(天間特殊製紙株式会社製「ハクヨウAFT」)を積層し、印刷用基材を作製した。
【0084】
次いで、この印刷用複合基材の紙基材面に、紙用グラビア印刷用インキ(ザ・インクテック社製、商品名「XK」)を使用してグラビア印刷方式により、厚さ1μmの印刷層を形成した。この印刷層を形成した印刷用複合基材に乾燥処理を行った。
【0085】
次いで、この印刷層を形成した印刷用複合基材のアルミ蒸着PETフィルムのPET面側に2液硬化型ドライラミネート接着剤(三井武田ケミカル株式会社製「主剤A969/硬化剤A5」)を塗布して、厚さ20μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ社製、商品名「TAF502C」)を積層して積層体を得た。ついで、この積層体に乾燥処理を行い、チョコレート用包装積層材を製造した。
【0086】
得られたチョコレート用包装積層材の層構成は、印刷層/紙基材(31g/m2)/ドライラミネート接着剤層3μm/アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム9μm/ドライラミネート接着剤層3μm/未延伸ポリプロピレンフィルム20μmであった。
【0087】
得られたチョコレート用包装積層材について、実施例1と同様にして、残留溶剤臭気、水蒸気透過度、全光線透過率、UV・可視光透過率を測定した。結果を表2に示す。
【0088】
実施例3
坪量31g/m2の純白紙(天間特殊製紙株式会社製「ハクヨウAFT」)に代えて、坪量31g/m2の純白紙(大王製紙製金鯱)を使用した以外は、実施例1と同様に操作してチョコレート用包装積層材を製造した。
【0089】
得られたチョコレート用包装積層材の層構成は、印刷層/紙基材(31g/m2)/ドライラミネート接着剤層3μm/ポリエチレンテレフタレートフィルム9μm/ドライラミネート接着剤層3μm/アルミ蒸着加工済未延伸ポリプロピレンフィルム20μmであった。
【0090】
実施例1と同様にして、純白紙(大王製紙製金鯱)の表面性として、3次元表面粗さの測定および印刷面の印刷性を目視により観察した。結果を表1に示す。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係るチョコレート用包装積層材は、溶媒臭が少ないためチョコレートなどの風味が重視される食品の包装材として好適であり、一次包装材のみで陳列できるため、二次包装材を不要とすることができ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明のチョコレート用包装積層材の層構成を説明する横断面図である。
【図2】本発明のチョコレート用収納袋の正面図(a)および側面図(b)である。
【図3】図3(a)は、本発明のチョコレート用収納袋にチョコレートを収納した場合の部分切り欠き図であり、図3(b)は台紙にチョコレートを載せた場合の側面図である。
【符号の説明】
【0095】
10・・・印刷層、
20・・・紙基材、
30・・・補強層、
40・・・熱融着性樹脂層、
50・・・接着剤層、
60・・・アルミ蒸着層、
100・・・チョコレート用収納袋、
110・・・ヒートシール部、
120・・・吊り下げ用の貫通孔、
130・・・切り込み、
140・・・台紙、
150・・・チョコレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷層を有する紙基材と、前記紙基材に積層された補強層と、前記補強層に積層された熱融着性樹脂層と、前記補強層および/または熱融着性樹脂層に積層されたアルミ蒸着層とからなることを特徴とする、チョコレート用包装積層材。
【請求項2】
前記紙基材は、坪量20〜60g/cm2である、請求項1記載のチョコレート用包装積層材。
【請求項3】
前記紙基材と前記補強層および/または前記補強層と前記熱融着性樹脂層は、ドライラミネート積層法または押出しラミネート積層法で積層されたものである、請求項1または2に記載のチョコレート用包装積層材。
【請求項4】
前記補強層は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムであり、前記アルミ蒸着層を積層した熱融着性樹脂層はアルミ蒸着ポリプロピレンフィルムである、請求項1〜3のいずれかに記載のチョコレート用包装積層材。
【請求項5】
前記アルミ蒸着層を積層した補強層は、アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムであり、前記熱融着性樹脂層はポリプロピレンフィルムである、請求項1〜3のいずれかに記載のチョコレート用包装積層材。
【請求項6】
補強層および/または熱融着性樹脂層にアルミ蒸着層を積層し、前記補強層を紙基材に積層し、前記紙基材面に印刷層を形成し、ついで前記補強層に前記熱融着性樹脂層を積層することを特徴とする、チョコレート用包装積層材の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のチョコレート用包装積層材からなるチョコレート用収納袋であって、2つの前記熱融着性樹脂層を対向させて熱融着により貼り合わせて袋状に仕立てたものである、チョコレート用収納袋。
【請求項8】
吊り下げ用の貫通孔が設けられることを特徴とする、請求項7記載のチョコレート用収納袋。
【請求項9】
請求項7または8記載のチョコレート用収納袋にチョコレートを収納したチョコレート製品。
【請求項10】
前記チョコレートは、台紙と共に前記チョコレート用収納袋に収納される、請求項9記載のチョコレート製品。
【請求項11】
前記吊り下げ用の貫通孔に吊り下げられた請求項9または10記載のチョコレート製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−24372(P2008−24372A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155601(P2007−155601)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000006091)明治製菓株式会社 (180)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】