説明

テストソケット

【課題】 固体撮像装置の形状により柔軟に対応でき、固体撮像装置の位置決めをより正確に実施できるテストソケットを提供する。
【解決手段】 テスト時に、固体撮像装置である被テスト装置を収容するためのテストソケット1であって、収容状態における被テスト装置の天面に平行なX方向に、被テスト装置を位置決めする第1位置決め手段12と、収容状態における被テスト装置の天面に垂直なZ方向に第1位置決め手段12を付勢する付勢手段13と、付勢手段13による第1位置決め手段12のZ方向への移動の上限を設定して、被テスト装置に対する第1位置決め手段12のZ方向の位置を設定する位置設定手段14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置された固体撮像装置に対する位置決めを行う位置決め手段を備えたテストソケットに関する。
本発明は、ソケットに挿入された固体撮像装置の位置決めを行い、常に光学の中心合わせを可能とし、サイズが異なった固体撮像装置にも対応可能とするソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ付携帯電話やデジタルスチルカメラ等、固体撮像装置を用いた撮像機器の高性能化が進んでおり、これに伴って、固体撮像装置においても、高画素化、広画角化等の高性能化が進んでいる。更に、固体撮像装置には、カメラ駆動用回路を実装したフレキシブル基板やリジッド基板等の基板を搭載することにより、高密度化したものがある。
【0003】
固体撮像装置の製造工程では、従来、不良品をスクリーニングするために種々のテストを実施している。固体撮像装置のテストは、通常、電気的な試験や特性評価等を行うためのテスタに設けられたテストソケット内に検査対象の固体撮像装置を設置して行う。
【0004】
以下、固体撮像装置のテストソケットの構成について、図7を基に簡単に説明する。ここで、図7は、従来の固体撮像装置用のテストソケット、特に、基板を搭載した固体撮像装置用のテストソケット100の概略構成例を示している。
【0005】
図7に示すように、テストソケット100は、固体撮像装置を収容する台座部110と蓋部120を備えて構成されている。台座部110には、固体撮像装置の基板を含む本体部の下部の形状に応じて第1凹部111が形成され、蓋部120には、第1凹部111と対応する位置に、固体撮像装置の基板を含む本体部の上部の形状に応じて第2凹部121が形成されており、台座部110に形成された第1凹部111と蓋部120に形成された第2凹部121とで、固体撮像装置を収容するように構成されている。台座部110の第1凹部111の底面には、固体撮像装置の各端子と電気的に接続するためのコンタクトピンの複数を備えたコンタクト部が設けられている。尚、台座部110に形成された第1凹部111及び蓋部120に形成された第2凹部121は、通常、固体撮像装置をスムーズに着脱できるように、ある程度のあそびを持った形状となっている。
【0006】
ところで、固体撮像装置、特に、上述した高性能な固体撮像装置の場合、良好にテストを実施するためには、固体撮像装置の焦点や画角を、光学の中心にできるだけ正確に合わせる必要がある。しかし、上述したように、通常、テストソケット100の台座部110に形成された第1凹部111及び蓋部120に形成された第2凹部121は、あそびを持った形状となっているため、テストを精度良く行うためには、固体撮像装置をできるだけ正確に位置決めする必要がある。
【0007】
テストソケットにおける固体撮像装置の位置決めに係る技術には、例えば、固体撮像装置を、収容状態における固体撮像装置の天面に平行な方向(第1方向)に位置決め及び固定する位置決め手段として、固体撮像装置の角部の内、所定の対角線上の2つの角部を夫々中心に向けて付勢する可動チャックを備えたテストソケットがある(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2007−109534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、例えば、従来のテストソケットを用いて基板が搭載されている固体撮像装置に対するテストを行う場合、テストソケットの位置決め手段と固体撮像装置との接触位置に基板が搭載されているような場合には、固体撮像装置をテストソケットに設置する際、位置決め手段と基板が接触する等して、固体撮像装置の位置決めが困難となる場合がある。このような場合には、形状が異なる固体撮像装置に対応するため、固体撮像装置の形状毎に専用のテストソケットを作成する必要が生じるという問題があった。
【0010】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、固体撮像装置の形状により柔軟に対応でき、固体撮像装置の位置決めをより正確に実施できるテストソケットを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係るテストソケットは、テスト時に、固体撮像装置である被テスト装置を収容するためのテストソケットであって、収容状態における前記被テスト装置の天面に平行な第1方向に、前記被テスト装置を位置決めする第1位置決め手段と、収容状態における前記被テスト装置の天面に垂直な第2方向に前記第1位置決め手段を付勢する付勢手段と、前記付勢手段による前記第1位置決め手段の前記第2方向への移動の上限を設定して、前記被テスト装置に対する前記第1位置決め手段の前記第2方向の位置を設定する位置設定手段と、を備えることを第1の特徴とする。
【0012】
上記特徴の本発明に係るテストソケットは、前記第1位置決め手段は、前記テストソケットに前記第1方向について固定的に設置され、前記被テスト装置の対角線上の角部の一つである第1角部を支持する第1固定部と、前記被テスト装置の前記対角線に平行な方向に摺動可能に構成され、前記被テスト装置の前記対角線上の他の角部である第2角部を、前記第1固定部に向けて付勢する第2固定部と、を備えて構成されることを第2の特徴とする。
【0013】
上記何れかの特徴の本発明に係るテストソケットは、前記第1位置決め手段の前記第2方向とは反対方向側に、前記付勢手段と、前記被テスト装置の各端子と電気的に接続するコンタクト端子を複数備えたコンタクト部が設置され、前記第1位置決め手段の前記第2方向側から、前記第2方向とは反対の方向に前記被テスト装置を付勢して、前記被テスト装置の天面の位置を所定の天面位置に固定する第2位置決め手段を備えることを第3の特徴とする。
【0014】
上記特徴の本発明に係るテストソケットは、前記コンタクト部は、前記コンタクト端子がマトリクス状に配置されていることを第4の特徴とする。
【0015】
上記第1または第2の特徴の本発明に係るテストソケットは、前記被テスト装置が、前記固体撮像装置に短冊状のフレキシブル配線基板を接続して構成され、前記フレキシブル配線基板が、前記固体撮像装置が接続された端部と反対側の端部に複数の接続端子を備えて構成されている場合に、前記被テスト装置の各接続端子と電気的に接続するコンタクト端子を複数備えたコンタクト部が設置され、前記コンタクト部は、前記コンタクト端子と前記フレキシブル配線基板の接続端子との接触面が、移動可能に構成されていることを第5の特徴とする。
【0016】
上記特徴の本発明に係るテストソケットは、前記コンタクト部が、前記固体撮像装置が前記第1位置決め手段及び前記位置設定手段により位置決めされた状態において、前記フレキシブル配線基板の長手方向に垂直な方向成分を持って移動可能に構成されていることを第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記特徴のテストソケットによれば、第2方向に第1位置決め手段を付勢する付勢手段と、付勢手段による第1位置決め手段の第2方向への移動の上限を設定する位置設定手段を備えて構成したので、収容状態における固体撮像装置に対する第1位置決め手段の第2方向の位置を、任意に調節することが可能になる。これにより、上記特徴のテストソケットでは、例えば、基板を搭載した固体撮像装置をテストする場合に、第1位置決め手段が固体撮像装置と接触する位置を、基板搭載部分以外の部分に設定することが可能になる。従って、上記特徴のテストソケットは、固体撮像装置の形状により柔軟に対応でき、基板の搭載の有無等に拘わらず、固体撮像装置を収容し固定することが可能になる。
【0018】
また、上記特徴のテストソケットによれば、収容状態における固体撮像装置の天面に平行な方向(第1方向)に位置決めする第1位置決め手段を備えて構成したので、第1方向の位置決めを精度良く実施することが可能になる。これによって、固体撮像装置の焦点や画角を、光学の中心により良好に合わせることが可能になる。
【0019】
上記第2の特徴のテストソケットによれば、第1位置決め手段を、固体撮像装置の第1角部を支持固定する第1固定部と、第1角部と対角上にある固体撮像装置の第2角部を第1角部に向けて付勢する第2固定部とで構成したので、第1位置決め手段を簡素な構成で実現でき、第1方向の位置決めを精度良く実施することが可能になる。
【0020】
上記第3の特徴のテストソケットによれば、第1位置決め手段の第2方向側から、第2方向とは反対の方向に被テスト装置を付勢して、被テスト装置の天面の位置を所定の天面位置に固定する第2位置決め手段を備えて構成したので、第2方向の位置決めを精度良く実施することが可能になる。
【0021】
上記第4の特徴のテストソケットによれば、コンタクト端子がマトリクス状に配置されたコンタクト部を備えるように構成したので、固体撮像装置の側面から端子までの長さ及び端子同士の間隔が同じ固体撮像装置については、同じテストソケットを利用することが可能になる。これにより、テストに係るコストの削減、及び、テストソケット開発期間の短縮を図ることができる。
【0022】
上記第5の特徴のテストソケットによれば、被テスト装置の固体撮像装置にフレキシブル配線基板が接続されている場合に、コンタクト部が、コンタクト端子とフレキシブル配線基板の接続端子との接触面が移動可能となるように構成されているので、固体撮像装置とフレキシブル配線基板の接続のずれに柔軟に対応できる。
【0023】
より具体的には、固体撮像装置とフレキシブル配線基板を接続する際、固体撮像装置とフレキシブル配線基板との接続のずれが一定範囲内の場合には、良品と判定される。即ち、全ての被テスト装置において、固体撮像装置とフレキシブル配線基板の接続状態が完全に同じ状態にはならない。このため、フレキシブル配線基板が接続された固体撮像装置のテストを行う場合、コンタクト部が固定的に設置されている場合には、固体撮像装置とフレキシブル配線基板の接続のずれにより、テストソケットのコンタクト部と被テスト装置の接続端子との間で位置ずれが生じ、テストが実施できない場合や被テスト装置を破損する可能性がある。上記第5の特徴のテストソケットによれば、コンタクト部が、コンタクト端子とフレキシブル配線基板の接続端子との接触面が移動可能となるように構成されているので、固体撮像装置とフレキシブル配線基板の接続のずれにより、テストが実施できない或いは被テスト装置を破損するのを効果的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るテストソケットの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
〈第1実施形態〉
本発明に係るテストソケットの第1実施形態について、図1〜図6を基に説明する。ここで、図1は、本発明に係るテストソケット1の開状態における概略構成例を示している。また、図2は、図1に示すテストソケット1において、後述する台座部10の要部の一概略構成例を示しており、図2(a)は、図2(b)のAA’における断面図であり、図2(b)は、台座部10の上面視図である。尚、本実施形態では、テストソケットに収容する被テスト装置として、本体部の下部に基板を搭載し、天面に撮像部を備えた固体撮像装置を想定して説明する。
【0026】
テストソケット1は、図1に示すように、略直方体状の台座部10と蓋部20を備えて構成されている。従来技術の場合と同様に、台座部10には、被テスト装置の基板を含む本体部の下部の形状に応じて第1凹部11が形成され、蓋部20には、第1凹部11と対応する位置に、被テスト装置の基板を含む本体部の上部の形状に応じて第2凹部21が形成されており、台座部10に形成された第1凹部11と蓋部20に形成された第2凹部21とで、被テスト装置を収容するように構成されている。尚、従来技術の場合と同様に、台座部10に形成された第1凹部11及び蓋部20に形成された第2凹部21は、被テスト装置をスムーズに着脱できるように、ある程度のあそびを持った形状となっている。更に、ここでのテストソケット1は、台座部10に蓋部20を係合するためのラッチ部材19を備えている。
【0027】
台座部10は、図1及び図2に示すように、収容状態における被テスト装置の天面に平行なX方向(第1方向に相当)に被テスト装置を位置決めする第1位置決め手段12と、収容状態における被テスト装置の天面に垂直なZ方向(第2方向に相当)に第1位置決め手段12を付勢する付勢手段13と、付勢手段13による第1位置決め手段12のZ方向への移動の上限を設定して、被テスト装置に対する第1位置決め手段12のZ方向の位置を設定する位置設定手段14を備えている。尚、本実施形態では、付勢手段13がバネ13a、13bを用いて構成され、位置設定手段14がネジ14a、14bを用いて構成されている場合を想定して説明する。
【0028】
より詳細には、台座部10の第1位置決め手段12は、図2に示すように、テストソケット1にX方向について固定的に設置され、収容状態における被テスト装置の対角線AA’上の角部の一つである第1角部を支持する第1固定部12aと、対角線AA’に平行な方向(本実施形態ではX方向)に摺動可能に構成され、対角線AA’上の他の角部である第2角部を、第1固定部12aに向けて付勢する第2固定部12bを備えて構成されている。
【0029】
第1固定部12aは、図2に示すように、被テスト装置の第1角部と係合するように、略直角三角形状の切り欠き部を備えた略L字型の板状部材を用いて構成されている。この板状部材には、Z方向に摺動可能な状態で1対の支柱15の夫々を通す1対の開口部が設けられている。1対の支柱15の夫々を対応する板状部材の開口部内に夫々配置することにより、第1固定部12aは、X方向の位置が固定され、更に、後述する付勢手段13及び位置設定手段14によるZ方向の移動または第2位置決め手段によるZ方向の移動が可能となっている。
【0030】
第1固定部12aの板状部材には、図2に示すように、Z方向に摺動可能な状態で、位置設定手段14としてのネジ14aを通すための開口部が設けられている。ネジ14aは、第1固定部12aの板状部材の開口部内と、付勢手段13としてのバネ13a内を通って台座部10に一部で締結している。第1固定部12aの板状部材は、第1固定部12aの板状部材と台座の間に配置された(第1位置決め手段12のZ方向とは反対方向側に設置された)バネ13aによってZ方向に付勢される。テストソケット1が開状態のときは、第1固定部12aの板状部材は、ネジ14aのネジ山に接触した状態で固定される。即ち、第1固定部12aの板状部材は、ネジ14aの締結度合いによって、Z方向の移動の上限が設定される。ネジ14aを台座部10にきつく締結することで移動の上限を低くし、ネジ14aを台座部10に緩く締結することで移動の上限を高くすることができる。
【0031】
第2固定部12bは、図2に示すように、被テスト装置の第2角部と係合するように、略直角三角形状の切り欠き部12cを備えた板状部材と、板状部材をX方向に付勢するバネ12dを備えて構成されている。板状部材には、支柱16を通す開口部17が設けられている。開口部17は、略トラック状に形成されており、支柱16を開口部17内に配置することで、第2固定部12bの板状部材がX方向及びZ方向に摺動可能な状態となる。
【0032】
ここで、図3は、被テスト装置が着脱可能状態にあるときの第2固定部12bの台座部10に対する位置関係を示しており、図4は、被テスト装置が固定状態にあるときの第2固定部12bの台座部10に対する位置関係を示している。被テスト装置のテストソケット1への設置は、先ず、第2固定部12bをX方向に移動させ、テストソケット1を図3に示す着脱可能状態にして、台座部10の第1凹部11に被テスト装置の下部を挿入する。第2固定部12bは、バネ12dによってX方向とは反対方向に付勢されており、これによって、被テスト装置の第1角部と第2角部が、第1固定部12aと第2固定部12bによって挟み込まれ、X方向について位置決めされる。被テスト装置は、第1角部が常に同じ位置、即ち、第1固定部12aの切り欠き部に位置するように固定されることから、精度良く位置決めされる。
【0033】
更に、第2固定部12bの板状部材には、図2に示すように、Z方向に摺動可能な状態で、位置設定手段14としての1対のネジ14bを通す1対の開口部が設けられている。ネジ14bは、夫々、対応する第2固定部12bの板状部材の開口部内と、付勢手段13としてのバネ13b内を通って台座部10に一部で締結している。第2固定部12bの板状部材は、第2固定部12bの板状部材と台座の間に配置されたバネ13bによってZ方向に付勢される。テストソケット1が開状態の場合は、第2固定部12bの板状部材は、ネジ14bのネジ山に接触した状態で固定される。即ち、第2固定部12bの板状部材は、ネジ14bの締結度合いによって、Z方向の移動の上限が設定される。ネジ14bを台座部10にきつく締結することで移動の上限を低くし、ネジ14bを台座部10に緩く締結することで移動の上限を高くすることができる。
【0034】
尚、第1固定部12aのZ方向の移動の上限を設定するネジ14aと、第2固定部12bのZ方向の移動の上限を設定するネジ14bは、第1固定部12aの板状部材と第2固定部12bの板状部材の高さが同じになるように台座部10に締結されることが望ましいが、これに限るものではなく、板状部材の厚みや被テスト装置の基板の設置位置等を考慮して適切に設定する。これにより、第1固定部12a及び第2固定部12bが、被テスト装置の基板等に接触することなく、被テスト装置を固定することが可能になる。
【0035】
台座部10の底部には、被テスト装置の各端子と電気的に接続するコンタクト端子18a(コンタクトピン18a)を複数備えたコンタクト部18が設置されている。コンタクト部18は、本実施形態では、コンタクト端子18aがマトリクス状に配置されている。
【0036】
ここで、図5は、コンタクト部18の一概略構成例を示している。上述したように、第2固定部12bは、図2及び図5におけるX方向に摺動可能に構成されていることから、図5において、被テスト装置の端部から端子までの長さ及び端子間の間隔が同じ固体撮像装置であり、固体撮像装置のサイズがコンタクト部18のコンタクト端子18aの数及び配置によって決まる固体撮像装置の大きさの上限以下である固体撮像装置に対応できる。
【0037】
蓋部20は、台座部10の第1凹部11に被テスト装置を置いた状態で、後述するラッチ部材19により台座部10と係合させて閉状態にすることで、Z方向とは反対の方向に被テスト装置を付勢して、被テスト装置の天面の位置を所定の天面位置に固定する第2位置決め手段として機能する。より詳細には、本実施形態では、蓋部20の第2凹部21が被テスト装置の天面に接するように構成されており、蓋部20に対する被テスト装置の天面に設けられた撮像部のZ方向の位置が常に同じ位置に固定される。
【0038】
更に、本発明の蓋部20は、第2固定部12bの移動を確保するために、第3凹部21aが形成されている。第3凹部21aは、第2固定部12bの形状に応じた形状を備えている。
【0039】
ラッチ部材19は、図6に示すように、係合部19a、バネ19b及び係合解除部19cを備えて構成されている。ラッチ部材19の係合部19aは、バネ19bによって蓋部20の方向に向けて付勢されており、テストソケット1を閉状態にしたときに、蓋部20の係合部22と自動的に係合するように構成されている。また、ラッチ部材19が係合状態にあるときに、ラッチ部材19の係合解除部19cをZ方向と反対方向に押すと、蓋部20の係合状態が解除される。尚、本実施形態では、図1に示すように、テストソケット1の台座部10と蓋部20は、開状態となるように付勢されており、ラッチ部材19による係合が解除されると、自動的に図1に示す開状態となる。
【0040】
〈第2実施形態〉
本発明に係るテストソケットの第2実施形態について、図8〜図10を基に説明する。尚、本実施形態では、上記第1実施形態とは、被テスト装置及びテストソケットの台座部の構成が異なる場合について説明する。
【0041】
ここで、図8は、本実施形態のテストソケット2の開状態における概略構成例を、図9は、本実施形態のテストソケット2の台座部10の要部の概略構成例を夫々示している。尚、本実施形態では、図10に示すように、テストソケット2によるテスト対象の被テスト装置Dとして、固体撮像装置Mに短冊状のフレキシブル配線基板FPCが接続された装置を想定しており、フレキシブル配線基板FPCが、固体撮像装置Mが接続された端部と反対側の端部に複数の接続端子CBを備えて構成されている場合を想定している。
【0042】
本実施形態のテストソケット2は、図8及び図9に示すように、台座部10と蓋部20を備えて構成され、台座部10には、被テスト装置Dの下部形状に応じて第1凹部11が形成されており、蓋部20には、第1凹部11と対応する位置に、被テスト装置Dの上部形状に応じて第2凹部21が形成されており、台座部10に形成された第1凹部11と蓋部20に形成された第2凹部21とで、被テスト装置Dを収容するように構成されている。尚、上記第1実施形態と同様に、台座部10に形成された第1凹部11及び蓋部20に形成された第2凹部21は、被テスト装置Dをスムーズに着脱できるように、ある程度のあそびを持った形状となっている。更に、上記第1実施形態と同様に、テストソケット2は、台座部10に蓋部20を係合するためのラッチ部材19を備えている。
【0043】
尚、本実施形態の第1凹部11は、被テスト装置Dの固体撮像装置Mの形状に応じて形成された第1収容部11aと被テスト装置Dのフレキシブル配線基板の形状に応じて形成された第2収容部11bとを備えて構成されている。
【0044】
台座部10は、第1実施形態と同様に、図9に示すように、第1収容部11aに、収容状態における被テスト装置Dの天面に平行なX方向(第1方向に相当)に被テスト装置Dを位置決めする第1位置決め手段12と、収容状態における被テスト装置Dの天面に垂直なZ方向(第2方向に相当)に第1位置決め手段12を付勢する付勢手段13と、付勢手段13による第1位置決め手段12のZ方向への移動の上限を設定して、被テスト装置Dに対する第1位置決め手段12のZ方向の位置を設定する位置設定手段14を備えている。尚、第1位置決め手段12、付勢手段13、及び、位置設定手段14の構成は、上記第1実施形態と同じである。
【0045】
更に、本実施形態の台座部10は、第2収容部11bに、被テスト装置Dの各接続端子CBと電気的に接続するコンタクト端子31を複数備えたコンタクト部30が設置されている。
【0046】
コンタクト部30は、図9に示すように、板状部材で構成されており、コンタクト端子31とフレキシブル配線基板の接続端子との接触面が、移動可能に構成されている。より詳細には、コンタクト部30は、固体撮像装置Mが第1位置決め手段12及び位置設定手段14により位置決めされた状態において、フレキシブル配線基板FPCの長手方向(BB’の方向)に垂直な方向成分を持って移動可能に構成されている。本実施形態では、コンタクト部30は、支柱32を中心として、被テスト装置Dの固体撮像装置Mとフレキシブル配線基板FPCとの取り付け誤差を考慮し、一定の範囲内で回転可能に構成されている。
【0047】
ここで、図10(a)は、テストソケット2のコンタクト部30の移動について、図10(b)は、固体撮像装置Mとフレキシブル配線基板FPCが標準的な状態で取り付けられている場合における被テスト装置Dを、図10(c)は、固体撮像装置Mとフレキシブル配線基板FPCがずれた状態で取り付けられている場合における被テスト装置Dを夫々示している。図10(b)及び図10(c)に示す被テスト装置Dは、固体撮像装置Mとフレキシブル配線基板FPCの取り付け状態が異なるものの、何れも良品である場合を想定している。
【0048】
上記第1実施形態で説明したように、第2固定部12bをX方向に移動させた状態で、台座部10の第1凹部11aに被テスト装置Dの下部を挿入し、続いて、被テスト装置Dの固体撮像装置Mを、第1固定部12aと第2固定部12bにより挟み込んだ状態で位置決めする。引き続き、被テスト装置Dのフレキシブル配線基板FPCの接続端子CBの位置に応じて、コンタクト部30を移動させ、被テスト装置Dの接続端子CBとコンタクト部30のコンタクト端子31を接続する。
【0049】
より具体的には、例えば、図10(b)に示す固体撮像装置Mとフレキシブル配線基板FPCが標準的な状態で取り付けられている被テスト装置Dの場合には、固体撮像装置Mを位置決めした後、コンタクト部30を通常の位置で移動させずに、被テスト装置Dの接続端子CBとコンタクト部30のコンタクト端子31を接続する。また、例えば、図10(c)に示す固体撮像装置Mとフレキシブル配線基板FPCがずれた状態で取り付けられている被テスト装置Dの場合には、固体撮像装置Mを位置決めした後、コンタクト端子31が下方に移動するようにコンタクト部30を移動させて、被テスト装置Dの接続端子CBとコンタクト部30のコンタクト端子31を接続する。
【0050】
このように構成することにより、本実施形態のテストソケット2は、図10(c)に示すように固体撮像装置Mとフレキシブル配線基板FPCがずれた状態で取り付けられている場合でも、被テスト装置Dを破損させたりすることなく、従来のテストソケットに比べより良好な接続状態で検査を行うことができる。
【0051】
尚、本実施形態では、コンタクト部30は、支柱32を中心として回転移動するように構成されているが、支柱32の位置は、コンタクト部30のコンタクト端子31を移動させたときに、被テスト装置Dの接続端子CBの取り付け状態のずれを吸収できる位置に設定する。また、本実施形態では、コンタクト部30は、支柱32を中心として回転移動するように構成したが、これに限るものではなく、例えば、長手方向に垂直な方向に平行移動するように構成しても良い。更に、本実施形態では、コンタクト部30を板状部材で構成したが、これに限るものではない。
【0052】
〈別実施形態〉
〈1〉上記実施形態では、台座部10に、第1位置決め手段12、付勢手段13及び位置設定手段14が構成されている場合について説明したが、これに限るものではなく、蓋部20に、これらの内の全部または一部を構成しても良い。
【0053】
〈2〉上記実施形態では、付勢手段13がバネ13を用いて構成され、位置設定手段14がネジ14を用いて構成されている場合を想定して説明したが、これに限るものではない。付勢手段13は、例えば、バネ以外の弾性部材やモータ等であっても良く、位置設定手段14は、付勢手段13の構成に応じて構成する。
【0054】
〈3〉上記実施形態では、被テスト装置として、基板を搭載した固体撮像装置を例に説明したが、これに限るものではない。本発明に係るテストソケットは、特に、第1位置決め手段12が接する部位が限られる被テスト装置の場合に有用である。尚、基板等を備えない固体撮像装置の場合には、第1位置決め手段12のZ方向の位置を、固体撮像装置の構成上、良好に固定できる位置を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係るテストソケットの第1実施形態において開状態での概略構成例を示す上面視図
【図2】本発明に係るテストソケットの第1実施形態における台座部の要部の概略構成例を示す模式図
【図3】本発明に係るテストソケットの第1実施形態において、被テスト装置が固定状態にあるときの台座部の概略構成例を示す上面視図
【図4】本発明に係るテストソケットの第1実施形態において、被テスト装置が着脱可能状態にあるときの台座部の概略構成例を示す上面視図
【図5】本発明に係るテストソケットの第1実施形態におけるコンタクト部の概略構成例を示す上面視図
【図6】台座部に蓋部を係合するためのラッチ部材の構成を示す端面図
【図7】従来技術に係る固体撮像装置用のテストソケットの概略構成を示す斜視図
【図8】本発明に係るテストソケットの第2実施形態において開状態での概略構成例を示す上面視図
【図9】本発明に係るテストソケットの第2実施形態における台座部の要部の概略構成例を示す模式図
【図10】本発明に係るテストソケットのコンタクト部の動作及び被テスト装置の概略構成例を示す模式図
【符号の説明】
【0056】
1 本発明に係るテストソケット
2 本発明に係るテストソケット
10 台座部
11 第1凹部
11a 第1収容部
11b 第2収容部
12 第1位置決め手段
12a 第1固定部
12b 第2固定部
12c 切り欠き部
12d バネ
13 バネ(付勢手段)
13a バネ(付勢手段)
13b バネ(付勢手段)
14 ネジ(位置設定手段)
14a ネジ(位置設定手段)
14b ネジ(位置設定手段)
15 支柱
16 支柱
17 開口部
18 コンタクト部
18a コンタクトピン(コンタクト端子)
19 ラッチ部材
19a 係合部
19b バネ
19c 係合解除部
20 蓋部(第2位置決め手段)
21 第2凹部
21a 第3凹部
22 係合部
30 コンタクト部
31 コンタクト端子
32 支柱
100 従来技術に係るテストソケット
110 台座部
120 蓋部
111 第1凹部
121 第2凹部
D 被テスト装置
M 固体撮像装置
FPC フレキシブル配線基板
CB 接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト時に、固体撮像装置である被テスト装置を収容するためのテストソケットであって、
収容状態における前記被テスト装置の天面に平行な第1方向に、前記被テスト装置を位置決めする第1位置決め手段と、
収容状態における前記被テスト装置の天面に垂直な第2方向に前記第1位置決め手段を付勢する付勢手段と、
前記付勢手段による前記第1位置決め手段の前記第2方向への移動の上限を設定して、前記被テスト装置に対する前記第1位置決め手段の前記第2方向の位置を設定する位置設定手段と、
を備えることを特徴とするテストソケット。
【請求項2】
前記第1位置決め手段は、
前記テストソケットに前記第1方向について固定的に設置され、前記被テスト装置の対角線上の角部の一つである第1角部を支持する第1固定部と、
前記被テスト装置の前記対角線に平行な方向に摺動可能に構成され、前記被テスト装置の前記対角線上の他の角部である第2角部を、前記第1固定部に向けて付勢する第2固定部と、を備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載のテストソケット。
【請求項3】
前記第1位置決め手段の前記第2方向とは反対方向側に、前記付勢手段と、前記被テスト装置の各端子と電気的に接続するコンタクト端子を複数備えたコンタクト部が設置され、
前記第1位置決め手段の前記第2方向側から、前記第2方向とは反対の方向に前記被テスト装置を付勢して、前記被テスト装置の天面の位置を所定の天面位置に固定する第2位置決め手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のテストソケット。
【請求項4】
前記コンタクト部は、前記コンタクト端子がマトリクス状に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のテストソケット。
【請求項5】
前記被テスト装置が、前記固体撮像装置に短冊状のフレキシブル配線基板を接続して構成され、前記フレキシブル配線基板が、前記固体撮像装置が接続された端部と反対側の端部に複数の接続端子を備えて構成されている場合に、
前記被テスト装置の各接続端子と電気的に接続するコンタクト端子を複数備えたコンタクト部が設置され、
前記コンタクト部は、前記コンタクト端子と前記フレキシブル配線基板の接続端子との接触面が、移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のテストソケット。
【請求項6】
前記コンタクト部が、前記固体撮像装置が前記第1位置決め手段及び前記位置設定手段により位置決めされた状態において、前記フレキシブル配線基板の長手方向に垂直な方向成分を持って移動可能に構成されていることを特徴とする請求項5に記載のテストソケット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−89373(P2009−89373A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223072(P2008−223072)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】