テストヘッド及びそれを備えた半導体ウェハ試験装置
【課題】プローブカードの撓みを抑制することが可能なテストヘッドを提供する。
【解決手段】テストヘッド40は、フレーム51を有するテストヘッド本体50と、プローブカード20とテストヘッド本体50とを電気的に接続するインタフェース装置60と、プローブカード20とフレーム51の間に介在して、プローブカード20に印加される押圧力Fをフレーム51に伝達するブレーキユニット80と、を備えている。
【解決手段】テストヘッド40は、フレーム51を有するテストヘッド本体50と、プローブカード20とテストヘッド本体50とを電気的に接続するインタフェース装置60と、プローブカード20とフレーム51の間に介在して、プローブカード20に印加される押圧力Fをフレーム51に伝達するブレーキユニット80と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハの試験に用いられるテストヘッド及びそれを備えた半導体ウェハ試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハを介して伝達される押圧力でプローブカードが撓むのを抑制するために、プローブカードの裏面で当該押圧力を受け止める当接機構をハイフィックスに取り付けた電子部品試験装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/057990号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電子部品試験装置では、プローバのヘッドプレートとハイフィックスのトッププレートとが連結されているので、プローブカードが受ける押圧力は、最終的にヘッドプレートに伝達される。このため、プローブカードに大きな押圧力が印加されると、ハイフィックスを介してヘッドプレートが撓み、これに伴ってプローブカードも撓んでしまう恐れがあった。特に、プローブカードを多ピン化/大型化すると、半導体ウェハに印加される押圧力も増大するため、プローブカードの撓みが顕著となる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、プローブカードの撓みを抑制することが可能なテストヘッド及びそれを備えた半導体ウェハ試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るテストヘッドは、フレームを有するテストヘッド本体と、プローブカードと前記テストヘッド本体とを電気的に接続するインタフェース装置と、を備えたテストヘッドであって、前記プローブカードと前記フレームの間に介在して、前記プローブカードに印加される押圧力を前記フレームに伝達する伝達手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記発明において、前記インタフェース装置のトッププレートに設けられ、前記プローブカードを保持する保持機構と、前記トッププレートに設けられ、前記保持機構が前記プローブカードに対して離反方向に移動することを規制する規制手段と、を備えており、前記伝達手段は、前記規制手段又は前記フレームの一方に対して相対移動可能であり、前記規制手段又は前記フレームの他方に当接する当接部と、前記規制手段又は前記フレームの前記一方に設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有してもよい。
【0008】
上記発明において、前記インタフェース装置のトッププレートに設けられ、前記プローブカードを保持する保持機構を備えており、前記伝達手段は、前記トッププレート又は前記フレームの一方に対して相対移動可能であり、前記トッププレート又は前記フレームの他方に当接する当接部と、前記トッププレート又は前記フレームの前記一方に設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有してもよい。
【0009】
上記発明において、前記インタフェース装置のトッププレートに設けられ、前記プローブカードを保持する保持機構を備えており、前記伝達手段は、前記保持機構又は前記フレームの一方に対して相対移動可能であり、前記保持機構又は前記フレームの他方に当接する当接部と、前記保持機構又は前記フレームの一方に設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有してもよい。
【0010】
上記発明において、前記保持機構は、前記プローブカードの中央部分に設けられたクランプヘッドを把持してもよい。
【0011】
上記発明において、前記伝達手段は、前記フレームに対して相対移動可能であり、前記プローブカードに当接する当接部と、前記フレームに設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有してもよい。
【0012】
上記発明において、前記当接部は、前記トッププレートにおけるプローバのヘッドプレートとの連結部よりも内側に配置されてもよい。
【0013】
上記発明において、前記伝達手段は、前記当接部材を付勢する付勢手段を有してもよい。
【0014】
上記発明において、前記ロック機構は、前記テストヘッド本体がプローバに対して位置決めされる前において、前記当接部の相対移動を許容し、前記テストヘッド本体が前記プローバに対して位置決めされた後において、前記当接部の相対移動をロックしてもよい。
【0015】
本発明に係る半導体ウェハ試験装置は、上記のテストヘッドと、前記プローブカードに前記半導体ウェハを押し付けるプローバと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プローブカードとテストヘッド本体のフレームの間に介在して、プローブカードに印加される押圧力をテストヘッド本体のフレームに伝達する伝達手段を備えているので、プローブカードの撓みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施形態における半導体ウェハ試験装置を示す概略側面図である。
【図2】図2は、図1のII部の拡大断面図である。
【図3】図3は、図2のIII部の拡大断面図である。
【図4】図4は、図3のIV部の拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットの拡大断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットのロック機構を示す平面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットのロック機構の変形例を示す平面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットの配置を示す概略平面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットの第1変形例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットの第2変形例を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットの第3変形例を示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態におけるテストヘッドの第1変形例を示す断面図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態におけるテストヘッドの第2変形例を示す断面図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態におけるテストヘッドの第3変形例を示す断面図である。
【図15】図15は、本発明の実施形態におけるテストヘッドの第4変形例を示す断面図である。
【図16】図16は、本発明の実施形態におけるテストヘッドの第5変形例を示す断面図である。
【図17】図17は、本発明の実施形態におけるテストヘッドの分解断面図である。
【図18】図18は、本発明の実施形態におけるセンタクランプの動作を説明する拡大断面図である(その1)。
【図19】図19は、本発明の実施形態におけるセンタクランプの動作を説明する拡大断面図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本実施形態における半導体ウェハ試験装置を示す概略側面図、図2は図1のII部の拡大断面図、図3は図2のIII部の拡大断面図、図4は図3のIV部の拡大断面図である。
【0020】
本実施形態における半導体ウェハ試験装置1は、半導体ウェハWに造り込まれた集積回路素子等のDUT(Device Under Test)の電気的特性を試験する装置であり、図1に示すように、テスタ10と、プローブカード20と、プローバ30と、テストヘッド40と、を備えている。
【0021】
この半導体ウェハ試験装置1では、図1に示すように、テスタ10とテストヘッド40とがケーブル11を介して電気的に接続されており、テストヘッド40にはプローブカード20が装着されている。そして、プローバ30が半導体ウェハWをプローブカード20に押し付けてこれらを電気的に接続した状態で、テスタ10がテストヘッド40及びプローブカード20を介して半導体ウェハWに対してテスト信号を入出力することで、半導体ウェハWに造り込まれたDUTの試験が実施される。
【0022】
プローブカード20は、図2に示すように、コンタクタ21と、回路基板22と、スティフナ23と、クランプヘッド24と、コネクタ25と、を備えている。
【0023】
コンタクタ21は、半導体ウェハWのDUTの電極パッドと接触する接触子であり、具体的には、ポゴピン、ニードル、バンプ等を例示することができる。このコンタクタ21は、半導体ウェハW上の電極パッドに対向するように、回路基板22の下面の中央部分に実装されている。
【0024】
一方、回路基板22の上面には、プローブカード20とハイフィックス60とを電気的に接続するための多数のコネクタ25が実装されている。また、回路基板22の上面には、これらのコネクタ25を囲むようにスティフナ23が設けられており、このスティフナ23によってプローブカード20が補強されている。
【0025】
図2〜図4に示すように、スティフナの略中央部分には、ハイフィックス60に向かって突出した円柱状のクランプヘッド24が設けられている。このクランプヘッド24の上部には、センタクランプ70のスリーブ当接面71aと密着するクランプ当接面24aが形成されている。
【0026】
また、このクランプヘッド24の周面上部には、図4に示すように、センタクランプ70の鋼球74を外側に押し出すテーパ面24bが全周に亘って形成されている。さらに、クランプヘッド24の周面の略中央部には、センタクランプ70の鋼球74が係合する係合溝24cが全周に亘って形成されている。
【0027】
プローバ30は、図2に示すように、ヘッドプレート31及び搬送アーム33を有している。
【0028】
ヘッドプレート31は、同図に示すように、プローバ30の上部に位置するプレートである。このヘッドプレート31には、ホルダ34を介してプローブカード20が装着される開口部31aが形成されている。また、ヘッドプレート31における開口部31aの周囲には、ハイフィックス60のトッププレート61の連結部61bと係合するフック形状の連結部31bが設けられている。
【0029】
搬送アーム33は、半導体ウェハWを吸着ステージ33aで吸着保持した状態で、半導体ウェハWをXY方向に移動させると共にZ軸を中心として回転させることで、半導体ウェハWをプローブカード20に対して位置決めすることが可能となっている。この搬送アーム33は、半導体ウェハWの試験に際して、半導体ウェハWを押圧力Fでプローブカード20に押し付ける。これにより、プローブカード20のコンタクタ21の先端が半導体ウェハWのDUTの電極パッドに接触し、半導体ウェハWの試験が可能となる。
【0030】
テストヘッド40は、図2に示すように、テストヘッド本体50と、ハイフィックス60と、センタクランプ70と、ブレーキユニット80と、リミットユニット90と、を有している。
【0031】
テストヘッド本体50は、図2に示すように、テストヘッド本体50の骨格を成す構造部材である箱状のフレーム51を有しており、このフレーム51の内部には、特に図示しない多数のピンエレクトロニクスカードが収容されている。また、このテストヘッド本体50は、図1に示すように、ハイフィックス60を介してプローブカード20に電気的に接続されていると共に、ケーブル11を介してテスタ10に電気的に接続されている。このテストヘッド本体50は、マニピュレータ41及びモータ42等によって、メンテナンス位置(図1にて破線で示す。)からプローバ30のヘッドプレート31上に反転可能となっている。
【0032】
ハイフィックス60は、テストヘッド本体50とプローブカード20とを電気的に接続するインタフェース装置である。このハイフィックス60は、プローバ30のヘッドプレート31に隣接するトッププレート61を有しており、このトッププレート61の下面には、上述したヘッドプレート31の連結部31bと係合するフック状の連結部61bが設けられている。これら連結部31b,61bの接触面が傾斜しており、連結部31b,61bを相互に係合させると、ハイフィックス60がプローバ30に固定される。
【0033】
また、このハイフィックス60は、プローブカード20のコネクタ25と接続されるコネクタ62を有している。このコネクタ62は、ケーブル63を介して、テストヘッド本体50内のピンエレクトロニクスカード(不図示)に接続されている。コネクタ25,62としては、例えばZIFコネクタ(ZIF:Zero Insertion Force)を用いることができる。なお、コネクタ25をピンエレクトロニクスカードにケーブル63で直接接続せずに、それらの間に別のコネクタをさらに介在させてもよい。
【0034】
図2に示すように、このハイフィックス60とテストヘッド本体50とはスプリング64を介して連結されており、ハイフィックス60はテストヘッド本体50に対して機械的にフローティング状態となっている。また、本実施形態では、後述するように、テストヘッド本体50にブレーキユニット80が設けられており、このブレーキユニット80をロックすることで、フローティング状態となっているハイフィックス60をテストヘッド本体50に対して固定することが可能となっている。
【0035】
センタクランプ70は、図3及び図4に示すように、スリーブ71と、第1のエアシリンダ72と、スライドボディ73と、鋼球74と、第2のエアシリンダ75と、を備えており、クランプヘッド24を把持することでプローブカード20を保持することが可能となっている。
【0036】
スリーブ71は、クランプヘッド24のクランプ当接面24aと当接するスリーブ当接面71aを底面に有する有底筒体である。また、このスリーブ71におけるスリーブ当接面71aの周囲には、スライドボディ73を収容する環状凹部71bが形成されており、さらに環状凹部71bの外側には、スリーブ当接面71aよりも下方に突出したリブ71cが設けられている。このリブ71cの下部には、鋼球74の一部分を収容可能なように内側に向かって開口した収容溝71dが形成されている。
【0037】
一方、スリーブ71の上部には、図3に示すように、外側に向かって突出した板状のフランジ71eが設けられている。このフランジ71eの下面には第1のエアシリンダ72が連結しており、その上面にはリミットユニット90のシャフト93が当接している。なお、第1のエアシリンダ72は、ハイフィックス60のトッププレート61に固定されている。
【0038】
スライドボディ73は、図3及び図4に示すように、クランプヘッド24が挿入可能な貫通孔が形成された環状部材であり、スリーブ71の環状凹部71b内にスリーブ71に対して相対移動可能に収容されている。このスライドボディ73の側面には、鋼球74を収容可能な複数の収容孔73aが実質的に等間隔で形成されている。この収容孔73aは、図4に示すように、内側(クランプヘッド24側)で開口する内側開口部が鋼球74よりも小さく、外側(スリーブ71のリブ側71c)で開口する外側開口部が鋼球74よりも大きくなっており、傾斜した内壁面を有している。
【0039】
なお、このスライドボディ73は、図3に示すように、第2のエアシリンダ75と連結され、スリーブ71に対して相対的に上下動可能となっている。この第2のエアシリンダ75もハイフィックス60のトッププレート61に固定されている。
【0040】
次に、ブレーキユニット80について説明する。
【0041】
図5は本実施形態におけるブレーキユニットの拡大断面図、図6は本実施形態におけるブレーキユニットのロック機構を示す平面図、図7は本実施形態におけるブレーキユニットのロック機構の変形例を示す平面図、図8は本実施形態におけるブレーキユニットの配置を示す概略平面図、図9〜図11は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットの変形例を示す図である。
【0042】
ブレーキユニット80は、図2に示すように、テストヘッド本体50のフレーム51とハイフィックス60のトッププレート61との間に介在し、搬送アーム33が半導体ウェハWをプローブカード20に押し付ける際の押圧力Fを、フレーム51に伝達することが可能となっている。
【0043】
このブレーキユニット80は、図5に示すように、本体ブロック81と、シャフト82と、弾性部材83と、ロック機構84と、を有している。
【0044】
本体ブロック81は、同図に示すように、テストヘッド本体50のフレーム51に固定されており、摺動孔81aが形成されている。この摺動孔81aは、シャフト82が図中上下に摺動可能な孔である。この摺動孔81aの内部には、シャフト82をリミットユニット90に向かって付勢する弾性部材83が収容されている。なお、本実施形態では、弾性部材83をコイル状のスプリングで構成しているが、特にこれに限定されず、例えば、板状のスプリングやゴムであってよい。
【0045】
シャフト82は、本体ブロック81の摺動孔81aに部分的に挿入された棒状の部材であり、フレーム51に対して相対移動可能となっている。また、このシャフト82は、摺動孔81a内の弾性部材83に付勢された状態で、リミットユニット90の支持ブロック92に当接している。
【0046】
ロック機構84は、図5に示すように、シャフト82の相対移動をロックする機構である。このロック機構84は、同図に示すように、支持ブロック92に当接した状態のシャフト82をロックすることで、シャフト82を、フレーム51とリミットユニット90との間で突っ張った状態で保持する。これにより、リミットユニット90が受ける押圧力Fを、シャフト82を介してフレーム51に伝達することが可能となっている。
【0047】
このロック機構84は、図6に示すように、シャフト82の断面形状に応じた凹部が形成された2枚の爪84a,84bと、爪84a,84bを開閉させるチャック式エアシリンダ84cと、により構成されている。このロック機構84は、チャック式エアシリンダ84cで2つの爪84a,84bを閉じて、2つの爪84a,84bでシャフト82を挟み込むことでシャフト82の相対移動をロックする。このロック機構84は、シャフト82に100kg以上の荷重が印加されても、シャフト82のロックを維持できるようになっている。
【0048】
なお、ブレーキユニット80のロック機構84は、上記の構造に限定されない。例えば、図7に示すように、ロック機構84を、2枚の爪84a,84bと、回転軸84dと、リング状部材84eと、弾性部材84fと、エアシリンダ84gと、で構成してもよい。
【0049】
この場合には、2枚の爪84a,84bを、回転軸84dで回転可能に連結して、リング状部材84eに挿入する。弾性部材84fは、回転軸84dから離反する方向(図中左)に向かってリング状部材84eを付勢し、エアシリンダ84gは、エアの供給によって、これとは反対側(図中右側)にリング状部材84eを押圧する。
【0050】
このようなロック機構84において、シャフト82をロックする場合には、弾性部材84fでリング状部材84eを付勢して、リング状部材84eを回転軸84dと反対側に移動させる。これにより、2枚の爪84a,84bが、リング状部材84eの内周面に押圧されて互いに接近し、シャフト82をロックする。このように、弾性部材84fによって、シャフト82をロックすることで、ロック状態におけるエアの供給が不要となり、ロック状態が安定して維持される。
【0051】
一方、ロック機構84がシャフト82のロックを解除する際には、エアシリンダ84gにエアを供給して、リング状部材84eを回転軸84dに向かって移動させる。これにより、リング状部材84eの内周面による押圧から爪84a,84bが開放されて、シャフト82のロックが解除される。
【0052】
本実施形態では、このようなブレーキユニット80が、図8に示すように、4個設けられており、プローブカード20の中心Oを軸とした周方向に実質的に等間隔で配置されている。また、それぞれのシャフト82が、同図に示す平面視において、トッププレート61のトップ連結部61bよりも内側でリミットユニット90と当接している。なお、ブレーキユニット80の数は、4個以上であってもよく、押圧力Fの大きさ等に応じて適宜設定することができる。
【0053】
また、ブレーキユニット80は、フレーム51又はリミットユニット90に対して相対移動可能な部材(機構)と、且つリミットユニット90が受ける押圧力Fをフレーム51に伝達できる部材(機構)と、を含んでいればよく、上記の構成に特に限定されない。
【0054】
例えば、図9に示すように、ブレーキユニット80を、エアシリンダ85aと、エアシリンダ85aのシャフト85bを把持することでロックするロック機構85cと、で構成してもよい。
【0055】
また、図10に示すように、ブレーキユニット80を、リンク機構を有するテーブルリフト86aと、テーブルリフト86aのガイドローラ86bの移動をロックするロック機構86cと、で構成してもよい。なお、テーブルリフト86aの両端をフレーム51と支持ブロック92にそれぞれ固定してもよい。或いは、テーブルリフト86aの一端を開放端にして、スプリング等によってテーブルリフト86aの一端を付勢してもよい。
【0056】
また、図11に示すように、ブレーキユニット80を、ねじ87aが形成されたシャフト87bと、ねじ87aと螺合するナット87cと、ねじ87aに対応するようにフレーム51に形成したねじ穴87dと、で構成してもよい。この場合には、ねじ穴87dにねじ87aを螺合させ、シャフト87bの先端が支持ブロック92と当接した状態で、ナット87cによりシャフト87bを固定する。
【0057】
リミットユニット90は、図2に示すように、トッププレート61に取り付けられており、センタクランプ70のスリーブ71がトッププレート61に対して離反方向に移動するのを規制(制限)している。
【0058】
リミットユニット90は、図2に示すように、本体ブロック91と、支持ブロック92と、シャフト93と、弾性部材(不図示)と、ロック機構(不図示)と、を有している。このリミットユニット90は、支持ブロック92を有すること以外はブレーキユニット80と実質的に同一の構成となっており、本体ブロック91は本体ブロック81と実質的に同一の構造であり、シャフト93はシャフト83と実質的に同一の構造である。なお、このリミットユニット90も、図8に示すように、4個設けられており、プローブカード20の中心Oを軸とした周方向に実質的に等間隔で配置されている。なお、リミットユニット90は、4個以上(例えば8個)であってもよい。
【0059】
支持ブロック92は、図2に示すように、トッププレート61と本体ブロック91との間に介在して、本体ブロック91をトッププレート61に固定している。また、この支持ブロック92の上面には、ブレーキユニット80のシャフト82が当接する。
【0060】
本実施形態では、シャフト93がスリーブ71に当接した状態で、リミットユニット90のロック機構がシャフト93をロックしている。これにより、スリーブ71は、図中上方向への移動が規制される。
【0061】
次に、本実施形態におけるテストヘッド40の作用について説明する。
【0062】
図2に示すように、搬送アーム33がプローブカード20に半導体ウェハWを押し付けると、その際の押圧力Fがプローブカード20を介して、センタクランプ70のスリーブ71に伝達される。このような押圧力Fは、プローブカード20の大型化やプローブ針21の多ピン化に伴って増大する傾向にある(例えば400kg程度)。
【0063】
このような押圧力Fを受けたスリーブ71は、プローブカード20に対して離反する方向に移動しようとするが、その移動がリミットユニット90により規制されている。すなわち、押圧力Fは、スリーブ71からリミットユニット90に伝達される。また、このリミットユニット90がトッププレート61に固定されていることから、押圧力Fは、トッププレート61にも伝達される。
【0064】
ここで、トッププレート61がプローバ30のヘッドプレート31と機械的に連結していることから、押圧力Fがヘッドプレート31に最終的に伝達されて、ヘッドプレート31が撓み、これに伴って、プローブカード20も撓んでしまう恐れがある。特に、トッププレート61やヘッドプレート31が薄いと、プローブカード20の撓みの問題が顕著に生じ易くなる。そこで、プローブカード20の撓みを抑制するために、スティフナ23の剛性を上げることで対応することも考えられるが、スティフナ23を厚くすることには限界がある。
【0065】
これに対し、本実施形態におけるテストヘッド40は、この押圧力Fをテストヘッド本体50のフレーム51に伝達するブレーキユニット80を備えている。このブレーキユニット80では、支持ブロック92に当接しているシャフト82を、フレーム51に取り付けられたロック機構84がロックする。このため、リミットユニット90に伝達された押圧力Fが、ヘッドプレート31に伝達される前に、ブレーキユニット80を介してフレーム51に伝達される。
【0066】
すなわち本実施形態では、プローブカード20に印加された押圧力Fが、センタクランプ70→リミットユニット90→ブレーキユニット80の経路を介して、テストヘッド本体50のフレーム51に伝達される。
【0067】
本実施形態では、4つのブレーキユニット80が、それぞれ100kg以上の荷重に耐えられるので、押圧力Fが400kg以下であれば、その押圧力Fをロスなくテストヘッド本体50のフレーム51に伝達することが可能となっている。
【0068】
また、このテストヘッド本体50の重量は、1000kg程度となっており、プローブカード20に印加される押圧力F(400kg程度)を十分に受け止めることが可能となっている。
【0069】
このように、ブレーキユニット80を介して押圧力Fを剛堅なフレーム51に伝達することで、ヘッドプレート31が撓み難くなり、これに伴ってプローブカード20の撓みも抑制される。プローブカード20の撓みが抑制されることで、プローブカード20のコンタクタ21と半導体ウェハWのDUTとの電気的な接触不良が抑制される。
【0070】
また、本実施形態では、ブレーキユニット80及びリミットユニット90が、図8に示すように、プローブカード20の中心Oを軸とした周方向に実質的に等間隔で配置されている。このため、ブレーキユニット80及びリミットユニット90が、プローブカード20に印加される押圧力Fをバランスよく受け止めることができ、プローブカード20の撓みが効果的に抑制される。
【0071】
また、本実施形態では、センタクランプ70がプローブカード20の中央部分に設けられたクランプヘッド24を把持し、プローブカード20が受ける押圧力Fを直接受け止めている。このため、スティフナ23の剛性に係わらず、押圧力Fに対応することができ、コストや取り扱いの点において優れている。
【0072】
また、本実施形態では、図2及び図8に示すように、ブレーキユニット80のシャフト82が、トップ連結部61bよりも内側(中心O寄り)に位置している。これにより、プローブカード20に印加される押圧力Fは、連結部31b,61bを介してヘッドプレート31に伝達される前に、ブレーキユニット80を介してフレーム51に確実に伝達される。このため、プローブカード20の撓みが効果的に抑制される。
【0073】
図12〜図15は本実施形態におけるテストヘッドの変形例を示す断面図である。
【0074】
本実施形態におけるブレーキユニット80では、シャフト82がリミットユニット90に当接しているが、特に限定されない。例えば、図12に示すように、シャフト82を、トッププレート61に直接当接させてもよい。この場合には、プローブカード20に印加される押圧力Fは、センタクランプ70→リミットユニット90→トッププレート61→ブレーキユニット80の経路を介してフレーム51に伝達される。このため、上記と同様に、プローブカード20の撓みを抑制することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、ブレーキユニット80をフレーム51に取り付け、シャフト82をリミットユニット90に当接させたが、これらの関係が逆であってもよい。例えば、図13に示すように、ロック機構84とリミットユニット90とを一体的にしてトッププレート61に固定し、シャフト82をテストヘッド本体50のフレーム51に当接させてもよい。この場合には、プローブカード20に印加される押圧力Fは、センタクランプ70→リミットユニット90→ブレーキユニット80の経路を介してフレーム51に伝達される。なお、図13に示す変形例において、リミットユニット90を設けなくてもよい。
【0076】
また、図14に示すように、ブレーキユニット80を、トッププレート61に取り付けて、シャフト82をテストヘッド本体50のフレーム51に当接させてもよい。この場合にも、プローブカード20に印加される押圧力Fは、センタクランプ70→リミットユニット90→ブレーキユニット80の経路を介してフレーム51に伝達される。
【0077】
また、図15に示すように、リミットユニット90を設けず、ブレーキユニット80のシャフト82を、センタクランプ70のスリーブ71の上面に当接させてもよい。この場合には、プローブカード20に印加される押圧力Fは、センタクランプ70→ブレーキユニット80の経路を介してフレーム51に伝達される。なお、図15に示す変形例において、ブレーキユニット80をセンタクランプ70に取り付けて、シャフト82をテストヘッド本体50のフレーム51に当接させてもよい。
【0078】
また、図16に示すように、センタクランプ70及びリミットユニット90を設けず、ブレーキユニット80のシャフト82を、プローブカード20の中央部分に直接当接させてもよい。この場合には、プローブカード20に印加される押圧力Fは、プローブカード20からブレーキユニット80のみを介してフレーム51に伝達される。このように、ブレーキユニット80が、プローブカード20の中央部分で押圧力Fを受け止めることで、より効果的にプローブカード20の撓みを抑制することができる。なお、この場合には、同図に示すように、プローブカード20にクランプヘッドを設けなくてもよい。
【0079】
次に、本実施形態におけるプローブカード20の装着方法について説明する。
【0080】
図17は本実施形態におけるテストヘッドの分解断面図、図18及び図19は本実施形態におけるセンタクランプの動作を説明する拡大断面図である。
【0081】
先ず、センタクランプ70及びリミットユニット90が取り付けられたハイフィックス60を、ブレーキユニット80が取り付けられたテストヘッド本体50に装着する。なお、この状態では、ブレーキユニット80のロック機構84のロックは解除されており、シャフト82の相対移動が許容されている。同様に、リミットユニット90のロック機構のロックも解除されており、シャフト93の相対移動が許容されている。従って、ハイフィックス60とテストヘッド本体50との機械的な接続は、スプリング64によってフローティング状態となっている。
【0082】
次いで、図1に示すように、マニピュレータ41及びモータ42によって、テストヘッド40をプローバ30に向かって反転させる。
【0083】
なお、この状態においてもシャフト82の相対移動は許容されており、図17の(i)に示すように、ハイフィックス60の微動に対してシャフト82が追従可能となっている。因みに、シャフト82は、弾性部材83によって付勢されて支持ブロック92に当接しているだけであるので、ハイフィックス60の平面方向の微動も許容される。なお、図17中の点線で示したテストヘッド本体50等は、上述の反転時の状態を示している。
【0084】
次いで、テストヘッド本体50をプローバ30に対して位置決めする。このテストヘッド本体50の位置決めは、特に図示しないが、プローバ30に設けられたガイドピンを、テストヘッド本体50の下面に形成されたガイド孔に嵌合させることによって行う。
【0085】
次いで、図17の(ii)に示すように、ブレーキユニット80のシャフト82をロックする。ここで、弾性部材83がシャフト82を付勢しているので、シャフト82は、リミットユニット90とフレーム51との間で突っ張った状態でロック(固定)される。
【0086】
なお、シャフト82のロックは、テストヘッド本体50の反転後であればよく、ヘッドプレート31とトッププレート61の連結部31b、61bの連結後(図17中の(vi)の後)に行ってもよい。なお、このようなブレーキユニット80(ロック機構84)の制御は、同図に示すように、コントローラ100によって行われる。
【0087】
次いで、図17中の(iii)に示すように、ホルダ34に装着されたプローブカード20を、センタクランプ70が把持可能な位置(高さ)まで搬送する。なお、プローブカード20の搬送は、プローバ30内の交換アーム(不図示)によって行われる。
【0088】
次いで、同図中の(iv)に示すように、センタクランプ70が、プローブカード20のクランプヘッド24を保持する。
【0089】
具体的には、図18に示すように、第1のエアシリンダ72を短縮させることで、スリーブ71をクランプヘッド24に向かって接近させて、クランプヘッド24のテーパ面24bで鋼球74を、スライドボディ73の外側に押し出す。これにより、鋼球74は、一旦、スライドボディ73の収容孔73aと、スリーブ71のリブ71cに形成された収容溝71dと、の間に収容される。
【0090】
次いで、図19に示すように、スリーブ71をクランプヘッド24に向かってさらに接近させて、スライドボディ73の先端をプローブカード20のスティフナ23に当接させる。この状態から、スリーブ71をクランプヘッド24に向かってさらに移動させると、スリーブ71がスライドボディ73に対して相対的に下降するので、鋼球74が、リブ71cの収容溝71dから押し出され、クランプヘッド24の係合溝24cと係合し、センタクランプ70によってクランプヘッド24が保持される(図4参照)。
【0091】
次いで、特に図示しないが、リミットユニット90をロックさせた後に、第2のエアシリンダ75を短縮させる。これにより、スライドボディ73がスリーブ71に対して相対的に引き上げられ、鋼球74と係合溝24cとの接触位置が、係合溝24cの略中央部分から係合溝24cの上部に移動するので、スリーブ当接面71aとクランプ当接面24aとが良好に密着することとなる。なお、第1及び第2のエアシリンダ72,75及びリミットユニット90の制御は、図17に示すコントローラ100によって行われる。
【0092】
次いで、図17の(v)に示すように、プロープカード20に設けられたコネクタ25と、ハイフィックス60のコネクタ62とを接続して、ハイフィックス60とプローブカード20を電気的に接続させる。
【0093】
次いで、図17の(vi)に示すように、ヘッドプレート31とトッププレート61の連結部31b,61bを係合させて、ハイフィックス60をプローバ30のヘッドプレート31に固定する。
【0094】
このように、本実施形態では、ブレーキユニット80のロック機構84が、テストヘッド本体50の位置決め前において、シャフト82の相対移動を許容し、テストヘッド本体50の位置決め後に、シャフト82の相対移動をロックする。このため、メンテナンスや部品交換等に伴ってテストヘッド40をプローバ30にドッキングする度に、シャフト82がハイフィックス60とテストヘッド本体50との間で突っ張った状態で固定し直されるので、ハイフィックス60とテストヘッド本体50との間隔が変動しても、プローブカード20に印加される押圧力Fをフレーム51に確実に伝達することができる。
【0095】
以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0096】
1…半導体ウェハ試験装置
10…テスタ
20…プローブカード
24…クランプヘッド
30…プローバ
31…ヘッドプレート
31b…ヘッド連結部
40…テストヘッド
50…テストヘッド本体
51…フレーム
60…ハイフィックス(インタフェース装置)
61…トッププレート
61b…トップ連結部
70…センタクランプ(保持機構)
71…スリーブ
80…ブレーキユニット(伝達手段)
81…本体ブロック
82…シャフト(当接部)
83…弾性部材(付勢手段)
84…ロック機構
90…リミットユニット(規制手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハの試験に用いられるテストヘッド及びそれを備えた半導体ウェハ試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハを介して伝達される押圧力でプローブカードが撓むのを抑制するために、プローブカードの裏面で当該押圧力を受け止める当接機構をハイフィックスに取り付けた電子部品試験装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/057990号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電子部品試験装置では、プローバのヘッドプレートとハイフィックスのトッププレートとが連結されているので、プローブカードが受ける押圧力は、最終的にヘッドプレートに伝達される。このため、プローブカードに大きな押圧力が印加されると、ハイフィックスを介してヘッドプレートが撓み、これに伴ってプローブカードも撓んでしまう恐れがあった。特に、プローブカードを多ピン化/大型化すると、半導体ウェハに印加される押圧力も増大するため、プローブカードの撓みが顕著となる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、プローブカードの撓みを抑制することが可能なテストヘッド及びそれを備えた半導体ウェハ試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るテストヘッドは、フレームを有するテストヘッド本体と、プローブカードと前記テストヘッド本体とを電気的に接続するインタフェース装置と、を備えたテストヘッドであって、前記プローブカードと前記フレームの間に介在して、前記プローブカードに印加される押圧力を前記フレームに伝達する伝達手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記発明において、前記インタフェース装置のトッププレートに設けられ、前記プローブカードを保持する保持機構と、前記トッププレートに設けられ、前記保持機構が前記プローブカードに対して離反方向に移動することを規制する規制手段と、を備えており、前記伝達手段は、前記規制手段又は前記フレームの一方に対して相対移動可能であり、前記規制手段又は前記フレームの他方に当接する当接部と、前記規制手段又は前記フレームの前記一方に設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有してもよい。
【0008】
上記発明において、前記インタフェース装置のトッププレートに設けられ、前記プローブカードを保持する保持機構を備えており、前記伝達手段は、前記トッププレート又は前記フレームの一方に対して相対移動可能であり、前記トッププレート又は前記フレームの他方に当接する当接部と、前記トッププレート又は前記フレームの前記一方に設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有してもよい。
【0009】
上記発明において、前記インタフェース装置のトッププレートに設けられ、前記プローブカードを保持する保持機構を備えており、前記伝達手段は、前記保持機構又は前記フレームの一方に対して相対移動可能であり、前記保持機構又は前記フレームの他方に当接する当接部と、前記保持機構又は前記フレームの一方に設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有してもよい。
【0010】
上記発明において、前記保持機構は、前記プローブカードの中央部分に設けられたクランプヘッドを把持してもよい。
【0011】
上記発明において、前記伝達手段は、前記フレームに対して相対移動可能であり、前記プローブカードに当接する当接部と、前記フレームに設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有してもよい。
【0012】
上記発明において、前記当接部は、前記トッププレートにおけるプローバのヘッドプレートとの連結部よりも内側に配置されてもよい。
【0013】
上記発明において、前記伝達手段は、前記当接部材を付勢する付勢手段を有してもよい。
【0014】
上記発明において、前記ロック機構は、前記テストヘッド本体がプローバに対して位置決めされる前において、前記当接部の相対移動を許容し、前記テストヘッド本体が前記プローバに対して位置決めされた後において、前記当接部の相対移動をロックしてもよい。
【0015】
本発明に係る半導体ウェハ試験装置は、上記のテストヘッドと、前記プローブカードに前記半導体ウェハを押し付けるプローバと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プローブカードとテストヘッド本体のフレームの間に介在して、プローブカードに印加される押圧力をテストヘッド本体のフレームに伝達する伝達手段を備えているので、プローブカードの撓みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施形態における半導体ウェハ試験装置を示す概略側面図である。
【図2】図2は、図1のII部の拡大断面図である。
【図3】図3は、図2のIII部の拡大断面図である。
【図4】図4は、図3のIV部の拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットの拡大断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットのロック機構を示す平面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットのロック機構の変形例を示す平面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットの配置を示す概略平面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットの第1変形例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットの第2変形例を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットの第3変形例を示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態におけるテストヘッドの第1変形例を示す断面図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態におけるテストヘッドの第2変形例を示す断面図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態におけるテストヘッドの第3変形例を示す断面図である。
【図15】図15は、本発明の実施形態におけるテストヘッドの第4変形例を示す断面図である。
【図16】図16は、本発明の実施形態におけるテストヘッドの第5変形例を示す断面図である。
【図17】図17は、本発明の実施形態におけるテストヘッドの分解断面図である。
【図18】図18は、本発明の実施形態におけるセンタクランプの動作を説明する拡大断面図である(その1)。
【図19】図19は、本発明の実施形態におけるセンタクランプの動作を説明する拡大断面図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本実施形態における半導体ウェハ試験装置を示す概略側面図、図2は図1のII部の拡大断面図、図3は図2のIII部の拡大断面図、図4は図3のIV部の拡大断面図である。
【0020】
本実施形態における半導体ウェハ試験装置1は、半導体ウェハWに造り込まれた集積回路素子等のDUT(Device Under Test)の電気的特性を試験する装置であり、図1に示すように、テスタ10と、プローブカード20と、プローバ30と、テストヘッド40と、を備えている。
【0021】
この半導体ウェハ試験装置1では、図1に示すように、テスタ10とテストヘッド40とがケーブル11を介して電気的に接続されており、テストヘッド40にはプローブカード20が装着されている。そして、プローバ30が半導体ウェハWをプローブカード20に押し付けてこれらを電気的に接続した状態で、テスタ10がテストヘッド40及びプローブカード20を介して半導体ウェハWに対してテスト信号を入出力することで、半導体ウェハWに造り込まれたDUTの試験が実施される。
【0022】
プローブカード20は、図2に示すように、コンタクタ21と、回路基板22と、スティフナ23と、クランプヘッド24と、コネクタ25と、を備えている。
【0023】
コンタクタ21は、半導体ウェハWのDUTの電極パッドと接触する接触子であり、具体的には、ポゴピン、ニードル、バンプ等を例示することができる。このコンタクタ21は、半導体ウェハW上の電極パッドに対向するように、回路基板22の下面の中央部分に実装されている。
【0024】
一方、回路基板22の上面には、プローブカード20とハイフィックス60とを電気的に接続するための多数のコネクタ25が実装されている。また、回路基板22の上面には、これらのコネクタ25を囲むようにスティフナ23が設けられており、このスティフナ23によってプローブカード20が補強されている。
【0025】
図2〜図4に示すように、スティフナの略中央部分には、ハイフィックス60に向かって突出した円柱状のクランプヘッド24が設けられている。このクランプヘッド24の上部には、センタクランプ70のスリーブ当接面71aと密着するクランプ当接面24aが形成されている。
【0026】
また、このクランプヘッド24の周面上部には、図4に示すように、センタクランプ70の鋼球74を外側に押し出すテーパ面24bが全周に亘って形成されている。さらに、クランプヘッド24の周面の略中央部には、センタクランプ70の鋼球74が係合する係合溝24cが全周に亘って形成されている。
【0027】
プローバ30は、図2に示すように、ヘッドプレート31及び搬送アーム33を有している。
【0028】
ヘッドプレート31は、同図に示すように、プローバ30の上部に位置するプレートである。このヘッドプレート31には、ホルダ34を介してプローブカード20が装着される開口部31aが形成されている。また、ヘッドプレート31における開口部31aの周囲には、ハイフィックス60のトッププレート61の連結部61bと係合するフック形状の連結部31bが設けられている。
【0029】
搬送アーム33は、半導体ウェハWを吸着ステージ33aで吸着保持した状態で、半導体ウェハWをXY方向に移動させると共にZ軸を中心として回転させることで、半導体ウェハWをプローブカード20に対して位置決めすることが可能となっている。この搬送アーム33は、半導体ウェハWの試験に際して、半導体ウェハWを押圧力Fでプローブカード20に押し付ける。これにより、プローブカード20のコンタクタ21の先端が半導体ウェハWのDUTの電極パッドに接触し、半導体ウェハWの試験が可能となる。
【0030】
テストヘッド40は、図2に示すように、テストヘッド本体50と、ハイフィックス60と、センタクランプ70と、ブレーキユニット80と、リミットユニット90と、を有している。
【0031】
テストヘッド本体50は、図2に示すように、テストヘッド本体50の骨格を成す構造部材である箱状のフレーム51を有しており、このフレーム51の内部には、特に図示しない多数のピンエレクトロニクスカードが収容されている。また、このテストヘッド本体50は、図1に示すように、ハイフィックス60を介してプローブカード20に電気的に接続されていると共に、ケーブル11を介してテスタ10に電気的に接続されている。このテストヘッド本体50は、マニピュレータ41及びモータ42等によって、メンテナンス位置(図1にて破線で示す。)からプローバ30のヘッドプレート31上に反転可能となっている。
【0032】
ハイフィックス60は、テストヘッド本体50とプローブカード20とを電気的に接続するインタフェース装置である。このハイフィックス60は、プローバ30のヘッドプレート31に隣接するトッププレート61を有しており、このトッププレート61の下面には、上述したヘッドプレート31の連結部31bと係合するフック状の連結部61bが設けられている。これら連結部31b,61bの接触面が傾斜しており、連結部31b,61bを相互に係合させると、ハイフィックス60がプローバ30に固定される。
【0033】
また、このハイフィックス60は、プローブカード20のコネクタ25と接続されるコネクタ62を有している。このコネクタ62は、ケーブル63を介して、テストヘッド本体50内のピンエレクトロニクスカード(不図示)に接続されている。コネクタ25,62としては、例えばZIFコネクタ(ZIF:Zero Insertion Force)を用いることができる。なお、コネクタ25をピンエレクトロニクスカードにケーブル63で直接接続せずに、それらの間に別のコネクタをさらに介在させてもよい。
【0034】
図2に示すように、このハイフィックス60とテストヘッド本体50とはスプリング64を介して連結されており、ハイフィックス60はテストヘッド本体50に対して機械的にフローティング状態となっている。また、本実施形態では、後述するように、テストヘッド本体50にブレーキユニット80が設けられており、このブレーキユニット80をロックすることで、フローティング状態となっているハイフィックス60をテストヘッド本体50に対して固定することが可能となっている。
【0035】
センタクランプ70は、図3及び図4に示すように、スリーブ71と、第1のエアシリンダ72と、スライドボディ73と、鋼球74と、第2のエアシリンダ75と、を備えており、クランプヘッド24を把持することでプローブカード20を保持することが可能となっている。
【0036】
スリーブ71は、クランプヘッド24のクランプ当接面24aと当接するスリーブ当接面71aを底面に有する有底筒体である。また、このスリーブ71におけるスリーブ当接面71aの周囲には、スライドボディ73を収容する環状凹部71bが形成されており、さらに環状凹部71bの外側には、スリーブ当接面71aよりも下方に突出したリブ71cが設けられている。このリブ71cの下部には、鋼球74の一部分を収容可能なように内側に向かって開口した収容溝71dが形成されている。
【0037】
一方、スリーブ71の上部には、図3に示すように、外側に向かって突出した板状のフランジ71eが設けられている。このフランジ71eの下面には第1のエアシリンダ72が連結しており、その上面にはリミットユニット90のシャフト93が当接している。なお、第1のエアシリンダ72は、ハイフィックス60のトッププレート61に固定されている。
【0038】
スライドボディ73は、図3及び図4に示すように、クランプヘッド24が挿入可能な貫通孔が形成された環状部材であり、スリーブ71の環状凹部71b内にスリーブ71に対して相対移動可能に収容されている。このスライドボディ73の側面には、鋼球74を収容可能な複数の収容孔73aが実質的に等間隔で形成されている。この収容孔73aは、図4に示すように、内側(クランプヘッド24側)で開口する内側開口部が鋼球74よりも小さく、外側(スリーブ71のリブ側71c)で開口する外側開口部が鋼球74よりも大きくなっており、傾斜した内壁面を有している。
【0039】
なお、このスライドボディ73は、図3に示すように、第2のエアシリンダ75と連結され、スリーブ71に対して相対的に上下動可能となっている。この第2のエアシリンダ75もハイフィックス60のトッププレート61に固定されている。
【0040】
次に、ブレーキユニット80について説明する。
【0041】
図5は本実施形態におけるブレーキユニットの拡大断面図、図6は本実施形態におけるブレーキユニットのロック機構を示す平面図、図7は本実施形態におけるブレーキユニットのロック機構の変形例を示す平面図、図8は本実施形態におけるブレーキユニットの配置を示す概略平面図、図9〜図11は、本発明の実施形態におけるブレーキユニットの変形例を示す図である。
【0042】
ブレーキユニット80は、図2に示すように、テストヘッド本体50のフレーム51とハイフィックス60のトッププレート61との間に介在し、搬送アーム33が半導体ウェハWをプローブカード20に押し付ける際の押圧力Fを、フレーム51に伝達することが可能となっている。
【0043】
このブレーキユニット80は、図5に示すように、本体ブロック81と、シャフト82と、弾性部材83と、ロック機構84と、を有している。
【0044】
本体ブロック81は、同図に示すように、テストヘッド本体50のフレーム51に固定されており、摺動孔81aが形成されている。この摺動孔81aは、シャフト82が図中上下に摺動可能な孔である。この摺動孔81aの内部には、シャフト82をリミットユニット90に向かって付勢する弾性部材83が収容されている。なお、本実施形態では、弾性部材83をコイル状のスプリングで構成しているが、特にこれに限定されず、例えば、板状のスプリングやゴムであってよい。
【0045】
シャフト82は、本体ブロック81の摺動孔81aに部分的に挿入された棒状の部材であり、フレーム51に対して相対移動可能となっている。また、このシャフト82は、摺動孔81a内の弾性部材83に付勢された状態で、リミットユニット90の支持ブロック92に当接している。
【0046】
ロック機構84は、図5に示すように、シャフト82の相対移動をロックする機構である。このロック機構84は、同図に示すように、支持ブロック92に当接した状態のシャフト82をロックすることで、シャフト82を、フレーム51とリミットユニット90との間で突っ張った状態で保持する。これにより、リミットユニット90が受ける押圧力Fを、シャフト82を介してフレーム51に伝達することが可能となっている。
【0047】
このロック機構84は、図6に示すように、シャフト82の断面形状に応じた凹部が形成された2枚の爪84a,84bと、爪84a,84bを開閉させるチャック式エアシリンダ84cと、により構成されている。このロック機構84は、チャック式エアシリンダ84cで2つの爪84a,84bを閉じて、2つの爪84a,84bでシャフト82を挟み込むことでシャフト82の相対移動をロックする。このロック機構84は、シャフト82に100kg以上の荷重が印加されても、シャフト82のロックを維持できるようになっている。
【0048】
なお、ブレーキユニット80のロック機構84は、上記の構造に限定されない。例えば、図7に示すように、ロック機構84を、2枚の爪84a,84bと、回転軸84dと、リング状部材84eと、弾性部材84fと、エアシリンダ84gと、で構成してもよい。
【0049】
この場合には、2枚の爪84a,84bを、回転軸84dで回転可能に連結して、リング状部材84eに挿入する。弾性部材84fは、回転軸84dから離反する方向(図中左)に向かってリング状部材84eを付勢し、エアシリンダ84gは、エアの供給によって、これとは反対側(図中右側)にリング状部材84eを押圧する。
【0050】
このようなロック機構84において、シャフト82をロックする場合には、弾性部材84fでリング状部材84eを付勢して、リング状部材84eを回転軸84dと反対側に移動させる。これにより、2枚の爪84a,84bが、リング状部材84eの内周面に押圧されて互いに接近し、シャフト82をロックする。このように、弾性部材84fによって、シャフト82をロックすることで、ロック状態におけるエアの供給が不要となり、ロック状態が安定して維持される。
【0051】
一方、ロック機構84がシャフト82のロックを解除する際には、エアシリンダ84gにエアを供給して、リング状部材84eを回転軸84dに向かって移動させる。これにより、リング状部材84eの内周面による押圧から爪84a,84bが開放されて、シャフト82のロックが解除される。
【0052】
本実施形態では、このようなブレーキユニット80が、図8に示すように、4個設けられており、プローブカード20の中心Oを軸とした周方向に実質的に等間隔で配置されている。また、それぞれのシャフト82が、同図に示す平面視において、トッププレート61のトップ連結部61bよりも内側でリミットユニット90と当接している。なお、ブレーキユニット80の数は、4個以上であってもよく、押圧力Fの大きさ等に応じて適宜設定することができる。
【0053】
また、ブレーキユニット80は、フレーム51又はリミットユニット90に対して相対移動可能な部材(機構)と、且つリミットユニット90が受ける押圧力Fをフレーム51に伝達できる部材(機構)と、を含んでいればよく、上記の構成に特に限定されない。
【0054】
例えば、図9に示すように、ブレーキユニット80を、エアシリンダ85aと、エアシリンダ85aのシャフト85bを把持することでロックするロック機構85cと、で構成してもよい。
【0055】
また、図10に示すように、ブレーキユニット80を、リンク機構を有するテーブルリフト86aと、テーブルリフト86aのガイドローラ86bの移動をロックするロック機構86cと、で構成してもよい。なお、テーブルリフト86aの両端をフレーム51と支持ブロック92にそれぞれ固定してもよい。或いは、テーブルリフト86aの一端を開放端にして、スプリング等によってテーブルリフト86aの一端を付勢してもよい。
【0056】
また、図11に示すように、ブレーキユニット80を、ねじ87aが形成されたシャフト87bと、ねじ87aと螺合するナット87cと、ねじ87aに対応するようにフレーム51に形成したねじ穴87dと、で構成してもよい。この場合には、ねじ穴87dにねじ87aを螺合させ、シャフト87bの先端が支持ブロック92と当接した状態で、ナット87cによりシャフト87bを固定する。
【0057】
リミットユニット90は、図2に示すように、トッププレート61に取り付けられており、センタクランプ70のスリーブ71がトッププレート61に対して離反方向に移動するのを規制(制限)している。
【0058】
リミットユニット90は、図2に示すように、本体ブロック91と、支持ブロック92と、シャフト93と、弾性部材(不図示)と、ロック機構(不図示)と、を有している。このリミットユニット90は、支持ブロック92を有すること以外はブレーキユニット80と実質的に同一の構成となっており、本体ブロック91は本体ブロック81と実質的に同一の構造であり、シャフト93はシャフト83と実質的に同一の構造である。なお、このリミットユニット90も、図8に示すように、4個設けられており、プローブカード20の中心Oを軸とした周方向に実質的に等間隔で配置されている。なお、リミットユニット90は、4個以上(例えば8個)であってもよい。
【0059】
支持ブロック92は、図2に示すように、トッププレート61と本体ブロック91との間に介在して、本体ブロック91をトッププレート61に固定している。また、この支持ブロック92の上面には、ブレーキユニット80のシャフト82が当接する。
【0060】
本実施形態では、シャフト93がスリーブ71に当接した状態で、リミットユニット90のロック機構がシャフト93をロックしている。これにより、スリーブ71は、図中上方向への移動が規制される。
【0061】
次に、本実施形態におけるテストヘッド40の作用について説明する。
【0062】
図2に示すように、搬送アーム33がプローブカード20に半導体ウェハWを押し付けると、その際の押圧力Fがプローブカード20を介して、センタクランプ70のスリーブ71に伝達される。このような押圧力Fは、プローブカード20の大型化やプローブ針21の多ピン化に伴って増大する傾向にある(例えば400kg程度)。
【0063】
このような押圧力Fを受けたスリーブ71は、プローブカード20に対して離反する方向に移動しようとするが、その移動がリミットユニット90により規制されている。すなわち、押圧力Fは、スリーブ71からリミットユニット90に伝達される。また、このリミットユニット90がトッププレート61に固定されていることから、押圧力Fは、トッププレート61にも伝達される。
【0064】
ここで、トッププレート61がプローバ30のヘッドプレート31と機械的に連結していることから、押圧力Fがヘッドプレート31に最終的に伝達されて、ヘッドプレート31が撓み、これに伴って、プローブカード20も撓んでしまう恐れがある。特に、トッププレート61やヘッドプレート31が薄いと、プローブカード20の撓みの問題が顕著に生じ易くなる。そこで、プローブカード20の撓みを抑制するために、スティフナ23の剛性を上げることで対応することも考えられるが、スティフナ23を厚くすることには限界がある。
【0065】
これに対し、本実施形態におけるテストヘッド40は、この押圧力Fをテストヘッド本体50のフレーム51に伝達するブレーキユニット80を備えている。このブレーキユニット80では、支持ブロック92に当接しているシャフト82を、フレーム51に取り付けられたロック機構84がロックする。このため、リミットユニット90に伝達された押圧力Fが、ヘッドプレート31に伝達される前に、ブレーキユニット80を介してフレーム51に伝達される。
【0066】
すなわち本実施形態では、プローブカード20に印加された押圧力Fが、センタクランプ70→リミットユニット90→ブレーキユニット80の経路を介して、テストヘッド本体50のフレーム51に伝達される。
【0067】
本実施形態では、4つのブレーキユニット80が、それぞれ100kg以上の荷重に耐えられるので、押圧力Fが400kg以下であれば、その押圧力Fをロスなくテストヘッド本体50のフレーム51に伝達することが可能となっている。
【0068】
また、このテストヘッド本体50の重量は、1000kg程度となっており、プローブカード20に印加される押圧力F(400kg程度)を十分に受け止めることが可能となっている。
【0069】
このように、ブレーキユニット80を介して押圧力Fを剛堅なフレーム51に伝達することで、ヘッドプレート31が撓み難くなり、これに伴ってプローブカード20の撓みも抑制される。プローブカード20の撓みが抑制されることで、プローブカード20のコンタクタ21と半導体ウェハWのDUTとの電気的な接触不良が抑制される。
【0070】
また、本実施形態では、ブレーキユニット80及びリミットユニット90が、図8に示すように、プローブカード20の中心Oを軸とした周方向に実質的に等間隔で配置されている。このため、ブレーキユニット80及びリミットユニット90が、プローブカード20に印加される押圧力Fをバランスよく受け止めることができ、プローブカード20の撓みが効果的に抑制される。
【0071】
また、本実施形態では、センタクランプ70がプローブカード20の中央部分に設けられたクランプヘッド24を把持し、プローブカード20が受ける押圧力Fを直接受け止めている。このため、スティフナ23の剛性に係わらず、押圧力Fに対応することができ、コストや取り扱いの点において優れている。
【0072】
また、本実施形態では、図2及び図8に示すように、ブレーキユニット80のシャフト82が、トップ連結部61bよりも内側(中心O寄り)に位置している。これにより、プローブカード20に印加される押圧力Fは、連結部31b,61bを介してヘッドプレート31に伝達される前に、ブレーキユニット80を介してフレーム51に確実に伝達される。このため、プローブカード20の撓みが効果的に抑制される。
【0073】
図12〜図15は本実施形態におけるテストヘッドの変形例を示す断面図である。
【0074】
本実施形態におけるブレーキユニット80では、シャフト82がリミットユニット90に当接しているが、特に限定されない。例えば、図12に示すように、シャフト82を、トッププレート61に直接当接させてもよい。この場合には、プローブカード20に印加される押圧力Fは、センタクランプ70→リミットユニット90→トッププレート61→ブレーキユニット80の経路を介してフレーム51に伝達される。このため、上記と同様に、プローブカード20の撓みを抑制することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、ブレーキユニット80をフレーム51に取り付け、シャフト82をリミットユニット90に当接させたが、これらの関係が逆であってもよい。例えば、図13に示すように、ロック機構84とリミットユニット90とを一体的にしてトッププレート61に固定し、シャフト82をテストヘッド本体50のフレーム51に当接させてもよい。この場合には、プローブカード20に印加される押圧力Fは、センタクランプ70→リミットユニット90→ブレーキユニット80の経路を介してフレーム51に伝達される。なお、図13に示す変形例において、リミットユニット90を設けなくてもよい。
【0076】
また、図14に示すように、ブレーキユニット80を、トッププレート61に取り付けて、シャフト82をテストヘッド本体50のフレーム51に当接させてもよい。この場合にも、プローブカード20に印加される押圧力Fは、センタクランプ70→リミットユニット90→ブレーキユニット80の経路を介してフレーム51に伝達される。
【0077】
また、図15に示すように、リミットユニット90を設けず、ブレーキユニット80のシャフト82を、センタクランプ70のスリーブ71の上面に当接させてもよい。この場合には、プローブカード20に印加される押圧力Fは、センタクランプ70→ブレーキユニット80の経路を介してフレーム51に伝達される。なお、図15に示す変形例において、ブレーキユニット80をセンタクランプ70に取り付けて、シャフト82をテストヘッド本体50のフレーム51に当接させてもよい。
【0078】
また、図16に示すように、センタクランプ70及びリミットユニット90を設けず、ブレーキユニット80のシャフト82を、プローブカード20の中央部分に直接当接させてもよい。この場合には、プローブカード20に印加される押圧力Fは、プローブカード20からブレーキユニット80のみを介してフレーム51に伝達される。このように、ブレーキユニット80が、プローブカード20の中央部分で押圧力Fを受け止めることで、より効果的にプローブカード20の撓みを抑制することができる。なお、この場合には、同図に示すように、プローブカード20にクランプヘッドを設けなくてもよい。
【0079】
次に、本実施形態におけるプローブカード20の装着方法について説明する。
【0080】
図17は本実施形態におけるテストヘッドの分解断面図、図18及び図19は本実施形態におけるセンタクランプの動作を説明する拡大断面図である。
【0081】
先ず、センタクランプ70及びリミットユニット90が取り付けられたハイフィックス60を、ブレーキユニット80が取り付けられたテストヘッド本体50に装着する。なお、この状態では、ブレーキユニット80のロック機構84のロックは解除されており、シャフト82の相対移動が許容されている。同様に、リミットユニット90のロック機構のロックも解除されており、シャフト93の相対移動が許容されている。従って、ハイフィックス60とテストヘッド本体50との機械的な接続は、スプリング64によってフローティング状態となっている。
【0082】
次いで、図1に示すように、マニピュレータ41及びモータ42によって、テストヘッド40をプローバ30に向かって反転させる。
【0083】
なお、この状態においてもシャフト82の相対移動は許容されており、図17の(i)に示すように、ハイフィックス60の微動に対してシャフト82が追従可能となっている。因みに、シャフト82は、弾性部材83によって付勢されて支持ブロック92に当接しているだけであるので、ハイフィックス60の平面方向の微動も許容される。なお、図17中の点線で示したテストヘッド本体50等は、上述の反転時の状態を示している。
【0084】
次いで、テストヘッド本体50をプローバ30に対して位置決めする。このテストヘッド本体50の位置決めは、特に図示しないが、プローバ30に設けられたガイドピンを、テストヘッド本体50の下面に形成されたガイド孔に嵌合させることによって行う。
【0085】
次いで、図17の(ii)に示すように、ブレーキユニット80のシャフト82をロックする。ここで、弾性部材83がシャフト82を付勢しているので、シャフト82は、リミットユニット90とフレーム51との間で突っ張った状態でロック(固定)される。
【0086】
なお、シャフト82のロックは、テストヘッド本体50の反転後であればよく、ヘッドプレート31とトッププレート61の連結部31b、61bの連結後(図17中の(vi)の後)に行ってもよい。なお、このようなブレーキユニット80(ロック機構84)の制御は、同図に示すように、コントローラ100によって行われる。
【0087】
次いで、図17中の(iii)に示すように、ホルダ34に装着されたプローブカード20を、センタクランプ70が把持可能な位置(高さ)まで搬送する。なお、プローブカード20の搬送は、プローバ30内の交換アーム(不図示)によって行われる。
【0088】
次いで、同図中の(iv)に示すように、センタクランプ70が、プローブカード20のクランプヘッド24を保持する。
【0089】
具体的には、図18に示すように、第1のエアシリンダ72を短縮させることで、スリーブ71をクランプヘッド24に向かって接近させて、クランプヘッド24のテーパ面24bで鋼球74を、スライドボディ73の外側に押し出す。これにより、鋼球74は、一旦、スライドボディ73の収容孔73aと、スリーブ71のリブ71cに形成された収容溝71dと、の間に収容される。
【0090】
次いで、図19に示すように、スリーブ71をクランプヘッド24に向かってさらに接近させて、スライドボディ73の先端をプローブカード20のスティフナ23に当接させる。この状態から、スリーブ71をクランプヘッド24に向かってさらに移動させると、スリーブ71がスライドボディ73に対して相対的に下降するので、鋼球74が、リブ71cの収容溝71dから押し出され、クランプヘッド24の係合溝24cと係合し、センタクランプ70によってクランプヘッド24が保持される(図4参照)。
【0091】
次いで、特に図示しないが、リミットユニット90をロックさせた後に、第2のエアシリンダ75を短縮させる。これにより、スライドボディ73がスリーブ71に対して相対的に引き上げられ、鋼球74と係合溝24cとの接触位置が、係合溝24cの略中央部分から係合溝24cの上部に移動するので、スリーブ当接面71aとクランプ当接面24aとが良好に密着することとなる。なお、第1及び第2のエアシリンダ72,75及びリミットユニット90の制御は、図17に示すコントローラ100によって行われる。
【0092】
次いで、図17の(v)に示すように、プロープカード20に設けられたコネクタ25と、ハイフィックス60のコネクタ62とを接続して、ハイフィックス60とプローブカード20を電気的に接続させる。
【0093】
次いで、図17の(vi)に示すように、ヘッドプレート31とトッププレート61の連結部31b,61bを係合させて、ハイフィックス60をプローバ30のヘッドプレート31に固定する。
【0094】
このように、本実施形態では、ブレーキユニット80のロック機構84が、テストヘッド本体50の位置決め前において、シャフト82の相対移動を許容し、テストヘッド本体50の位置決め後に、シャフト82の相対移動をロックする。このため、メンテナンスや部品交換等に伴ってテストヘッド40をプローバ30にドッキングする度に、シャフト82がハイフィックス60とテストヘッド本体50との間で突っ張った状態で固定し直されるので、ハイフィックス60とテストヘッド本体50との間隔が変動しても、プローブカード20に印加される押圧力Fをフレーム51に確実に伝達することができる。
【0095】
以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0096】
1…半導体ウェハ試験装置
10…テスタ
20…プローブカード
24…クランプヘッド
30…プローバ
31…ヘッドプレート
31b…ヘッド連結部
40…テストヘッド
50…テストヘッド本体
51…フレーム
60…ハイフィックス(インタフェース装置)
61…トッププレート
61b…トップ連結部
70…センタクランプ(保持機構)
71…スリーブ
80…ブレーキユニット(伝達手段)
81…本体ブロック
82…シャフト(当接部)
83…弾性部材(付勢手段)
84…ロック機構
90…リミットユニット(規制手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを有するテストヘッド本体と、
プローブカードと前記テストヘッド本体とを電気的に接続するインタフェース装置と、を備えたテストヘッドであって、
前記プローブカードと前記フレームの間に介在して、前記プローブカードに印加される押圧力を前記フレームに伝達する伝達手段を備えたことを特徴とするテストヘッド。
【請求項2】
請求項1記載のテストヘッドであって、
前記インタフェース装置のトッププレートに設けられ、前記プローブカードを保持する保持機構と、
前記トッププレートに設けられ、前記保持機構が前記プローブカードに対して離反方向に移動することを規制する規制手段と、を備えており、
前記伝達手段は、
前記規制手段又は前記フレームの一方に対して相対移動可能であり、前記規制手段又は前記フレームの他方に当接する当接部と、
前記規制手段又は前記フレームの一方に設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有することを特徴とするテストヘッド。
【請求項3】
請求項1記載のテストヘッドであって、
前記インタフェース装置のトッププレートに設けられ、前記プローブカードを保持する保持機構を備えており、
前記伝達手段は、
前記トッププレート又は前記フレームの一方に対して相対移動可能であり、前記トッププレート又は前記フレームの他方に当接する当接部と、
前記トッププレート又は前記フレームの一方に設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有することを特徴とするテストヘッド。
【請求項4】
請求項1記載のテストヘッドであって、
前記インタフェース装置のトッププレートに設けられ、前記プローブカードを保持する保持機構を備えており、
前記伝達手段は、
前記保持機構又は前記フレームの一方に対して相対移動可能であり、前記保持機構又は前記フレームの他方に当接する当接部と、
前記保持機構又は前記フレームの一方に設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有することを特徴とするテストヘッド。
【請求項5】
請求項2〜4の何れかに記載のテストヘッドであって、
前記保持機構は、前記プローブカードの中央部分に設けられたクランプヘッドを把持することを特徴とするテストヘッド。
【請求項6】
請求項1記載のテストヘッドであって、
前記伝達手段は、
前記フレームに対して相対移動可能であり、前記プローブカードに当接する当接部と、
前記フレームに設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有することを特徴とするテストヘッド。
【請求項7】
請求項2〜5の何れかに記載のテストヘッドであって、
前記当接部は、前記トッププレートにおけるプローバのヘッドプレートとの連結部よりも内側に配置されていることを特徴とするテストヘッド。
【請求項8】
請求項2〜7の何れかに記載のテストヘッドであって、
前記伝達手段は、前記当接部材を付勢する付勢手段を有することを特徴とするテストヘッド。
【請求項9】
請求項2〜8の何れかに記載のテストヘッドであって、
前記ロック機構は、前記テストヘッド本体がプローバに対して位置決めされる前において、前記当接部の相対移動を許容し、前記テストヘッド本体が前記プローバに対して位置決めされた後において、前記当接部の相対移動をロックすることを特徴とするテストヘッド。
【請求項10】
請求項1〜9の何れかに記載のテストヘッドと、
前記プローブカードに前記半導体ウェハを押し付けるプローバと、を備えたことを特徴とする半導体ウェハ試験装置。
【請求項1】
フレームを有するテストヘッド本体と、
プローブカードと前記テストヘッド本体とを電気的に接続するインタフェース装置と、を備えたテストヘッドであって、
前記プローブカードと前記フレームの間に介在して、前記プローブカードに印加される押圧力を前記フレームに伝達する伝達手段を備えたことを特徴とするテストヘッド。
【請求項2】
請求項1記載のテストヘッドであって、
前記インタフェース装置のトッププレートに設けられ、前記プローブカードを保持する保持機構と、
前記トッププレートに設けられ、前記保持機構が前記プローブカードに対して離反方向に移動することを規制する規制手段と、を備えており、
前記伝達手段は、
前記規制手段又は前記フレームの一方に対して相対移動可能であり、前記規制手段又は前記フレームの他方に当接する当接部と、
前記規制手段又は前記フレームの一方に設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有することを特徴とするテストヘッド。
【請求項3】
請求項1記載のテストヘッドであって、
前記インタフェース装置のトッププレートに設けられ、前記プローブカードを保持する保持機構を備えており、
前記伝達手段は、
前記トッププレート又は前記フレームの一方に対して相対移動可能であり、前記トッププレート又は前記フレームの他方に当接する当接部と、
前記トッププレート又は前記フレームの一方に設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有することを特徴とするテストヘッド。
【請求項4】
請求項1記載のテストヘッドであって、
前記インタフェース装置のトッププレートに設けられ、前記プローブカードを保持する保持機構を備えており、
前記伝達手段は、
前記保持機構又は前記フレームの一方に対して相対移動可能であり、前記保持機構又は前記フレームの他方に当接する当接部と、
前記保持機構又は前記フレームの一方に設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有することを特徴とするテストヘッド。
【請求項5】
請求項2〜4の何れかに記載のテストヘッドであって、
前記保持機構は、前記プローブカードの中央部分に設けられたクランプヘッドを把持することを特徴とするテストヘッド。
【請求項6】
請求項1記載のテストヘッドであって、
前記伝達手段は、
前記フレームに対して相対移動可能であり、前記プローブカードに当接する当接部と、
前記フレームに設けられ、前記当接部の相対移動をロックするロック機構と、を有することを特徴とするテストヘッド。
【請求項7】
請求項2〜5の何れかに記載のテストヘッドであって、
前記当接部は、前記トッププレートにおけるプローバのヘッドプレートとの連結部よりも内側に配置されていることを特徴とするテストヘッド。
【請求項8】
請求項2〜7の何れかに記載のテストヘッドであって、
前記伝達手段は、前記当接部材を付勢する付勢手段を有することを特徴とするテストヘッド。
【請求項9】
請求項2〜8の何れかに記載のテストヘッドであって、
前記ロック機構は、前記テストヘッド本体がプローバに対して位置決めされる前において、前記当接部の相対移動を許容し、前記テストヘッド本体が前記プローバに対して位置決めされた後において、前記当接部の相対移動をロックすることを特徴とするテストヘッド。
【請求項10】
請求項1〜9の何れかに記載のテストヘッドと、
前記プローブカードに前記半導体ウェハを押し付けるプローバと、を備えたことを特徴とする半導体ウェハ試験装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−165960(P2011−165960A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27900(P2010−27900)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】
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