説明

テラヘルツ波発生装置及び方法あるいは分光計測装置及び方法

【課題】小型高効率で温度安定性が高く、広帯域でかつ分解能が高く、屈折率の虚数部と実数部が同時に測定でき、偏光特性も測定できるテラヘルツ波発生装置および分光計測装置を提供する。
【解決手段】GaP結晶を励起する光源レーザの共振器にグレーティング及びビームエキスパンダーを配置して損傷なく線幅を狭くし、測定サンプルの透過及び反射を同時に測定する光路を有し、GaP結晶を回転することにより、偏光特性を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコヒーレントテラヘルツ波発生装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
生体物質や癌細胞などを形成する大きな有機分子、あるいは一般の有機分子を識別するための周波数掃引単色テラヘルツ光源・分光計としてGaPなどの半導体やLiNbOなどの誘電体をテラヘルツ波発生用非線形光学結晶として用いたものが知られている。特に、GaPのフォノンポラリトンモードを二つの励起レーザ光すなわち、ポンプ光、信号光で励起する方式は、テラヘルツ波周波数を、0.3THzから7THzまでの極めて広範囲に周波数掃引することができるので生体物質等のテラヘルツスペクトル全体を知ることが出来、癌の検出などに有効であることが示されている。ポンプ光(あるいは信号光)としてオプティカルパラメトリックオシレータ(OPO)を用いた場合、OPOを励起するのにYAGレーザの3逓倍波(355nm)を使うと、OPO出力の線幅が極めて狭くなり、結果としてテラヘルツ波の線幅が1.5GHzまで狭くなる。テラヘルツ光源・分光計測装置としては1.5GHzの周波数純度を有するので高分解能テラヘルツ透過あるいは反射スペクトルを得ることができ、従来観測が不可能であった、有機分子中の構造欠陥の検出も可能であることが示されている。なお、単色テラヘルツ電磁波の透過スペクトルから物質の吸収係数が求められるが、これは複素誘電率あるいは複素屈折率の虚数部に対応している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
OPOを励起光源としてGaP結晶から周波数掃引テラヘルツ波を発生させる方式は広帯域(0.3THz−7THz),高分解能(線幅1.5GHz)であり、かつ高出力(100mW−800mW)であるから、生体分子の精細なテラヘルツスペクトルが得られる。しかし、OPOの励起源としてYAGレーザの3逓倍波を使っているため、効率が極めて低く、従ってYAGレーザを大出力にしなければならない。YAGレーザのパルスエネエルギー1000mJが必要とされるため、装置を卓上型以下の小型にすることは困難である。3逓倍器の温度依存性が大きいため、周囲の温度変化の影響によって特性が変化する。本発明の目的は述上の欠点を除き、小型高効率で温度安定性高く、広帯域(0.3THz−7THz)高分解能、高出力の周波数掃引テラヘルツ光源・分光計測装置及び方法を提供することである。また、従来は、単色テラヘルツ光源を使った場合は、屈折率あるいは誘電率の虚数部に対応する吸収係数のみ測定されていたので、物質の誘電分散の詳細な測定を行うことは困難であった。本発明では、誘電率あるいは屈折率の実数部も同時に測定する方法、更にはそれらのテラヘルツ電磁波偏光方向依存性をも測定できる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
周波数可変のテレヘルツ波を発生させるにはGaP結晶のフォノンポラリトンを励起するが、励起用のポンプ光源、信号光源として、2台のCr添加フォーステライトレーザ(Cr:Forsterite)を使う。Cr:ForsteriteレーザはYAGレーザの基本波(1064nm)で励起されるため15%という極めて効率の高い発振が得られる。発振波長は1200nmから1300nmの間で可変であるからOPOと同様に0.3THzから7THzの間の周波数を掃引することができる。
【0005】
しかし、Cr:Forsteriteは発振可能波長帯が広いため、線幅も広く、0.1nm以上である。テラヘルツ波出力の線幅が30GHz以上となり、高分解能を得ることは不可能である。その理由はCr:Forsteriteレーザ内の波長選択にはガラスプリズムが用いられているため波長分散が小さいからである。ガラスプリズムの代わりにグレーティングを波長選択器に使えば、波長分散はプリズムの100倍も得られ、従ってそれだけ狭い線幅を得ることが可能となるが、グレーティングの材料として金属膜や、有機化合物のホログラフィックグレーティングが使われるが、発振出力が高いため、材料が蒸発劣化しやすく安定な動作ができない。そこで、グレーティングに入射するビームの口径を拡大する手段をCr:Forsteriteレーザの光路内に挿入し、グレーティング表面で適切なビームパワ密度まで低下させる。このような手段の挿入損は充分に小さければ発振閾値の実際的増加は避けることができるのでYAGレーザのパワを増大させる必要はないのである。
【実施例1】
【0006】
図1を使って説明する。Cr:Forsteriteレーザ1、2はテラヘルツ波発生のためのポンプ光、信号光を発生するレーザであり、YAGレーザ3の基本波波長1064nmによって励起され、波長1200nmから1300nmにおいて発振する。1,2のどちらかが波長可変であればよいのであるが、2が波長可変である場合について述べる。Cr:Forsteriteレーザ1の波長を例えば1200nmに固定する。0.1THzから7THzのテラヘルツ波を発生させるにはCr:Forsteriteレーザ2の波長を1204nmから1235nmの範囲で変化させる。つぎに、Cr:Forsteriteレーザ1,2の出力は偏光ビームスプリッタ4によって平行に近いビームに合成され所定の交差角θinext ,及び入射角αextでGaP単結晶5の入射面6に入射する。出力面7からテラヘルツ波周波数に依存する所定の角度でテラヘルツ波出力が取り出され、非放物面鏡8,9、DTGS(deuterium triglycine sulfide)やSiボロメータなどの検知器10を使って検出される。なお、分光のS/Nを高めるため、テラヘルツ波をサンプルに入射する前に、ウェッジ型のビームスプリッタによって分割し、別の検知器で検知する参照光路が設けられているが図面では省略されている。
【0007】
図2に示すようにCr:Forsteriteレーザ2の共振器を構成する波長選択用のグレーティング11は選択する波長にあわせてグレーティング回転機構により回転させる。グレーティングピッチは1200line/mmあるいは600line/mmである。12は発振光の平行ビーム径を拡大するためのビームエキスパンダーである。13はCr:Forsterite結晶、14はレーザ出力ミラ、15はYAGレーザからの入射ビーム、16はレーザ出力ビームである。
【0008】
ビームエキスパンダー12は図3(a)に示すように、焦点fの凹レンズ17と焦点fの凸レンズ18によって構成され、グレーティングに入射する平行ビームの径を広げる。ビーム径拡大率はf/fで与えられる。ビーム径を広げることによってエッジの影響が減るのでこれによっても発振光の線幅は狭くなり、0.003nm以下の線幅を得ることができる。
【0009】
Cr:Forsteriteレーザ1は、狭い線幅を得るために、2と同様にグレーティングとビームエキスパンダーを備えているか、あるいは、数個のプリズムとエタロン板を共振器内に備えている。エタロン板のフィルター効果によりグレーティングを使ったのとほぼ同じ分解能が得られる。なお、エタロンを使うと、発振周波数はエタロンの固有周波数である離散値に限定される。従って波長を連続的に変えることが出来ないのでこの方法はCr:Forsteriteレーザ2に使うことはできない。グレーティングは有機ポリマーを材料としてホログラフィー技術で作成することができる。表面は金などの膜をコーティングし反射率を高める。ビーム径拡大率はグレーティングが損傷を受けない限度のパルスビームエネルギー密度となるように設計される。例としてパルス幅が20nmの場合、損傷を受けないためにはパルスビームエネルギー密度を3mJ/mm以下に保つことが望ましい。一方、分光計測に必要な100mWのテラヘルツパルスを得るにはCr:Forsteriteレーザ1,2ともに出力6mJ,ビーム径約1mm x 1mm程度のビームが必要である。従って、損傷を受けないためにはビーム面積の拡大率は2倍以上でなければならず、f/fは1.4以上となる。ビーム径拡大用エキスパンダーのレンズは1200nm−1300nm領域で無反射コーティングされており、挿入損失はほとんど問題にならない。Cr:Forsterite 1、2の出力の線幅が0.003nmにおいて、テラヘルツ波出力の線幅は0.6GHz以下となる。
【0010】
GaP結晶は結晶長、幅、高さは一例として10mm,10mm,3mmあるいは10mm,5mm,5mmであり、入射面は<110>軸方向を向いている。結晶長は長さとともに出力が増大するが、テラヘルツ波の吸収のためある程度以上に長くすると出力が飽和または減少する。したがって結晶長は5mmから20mmの範囲であるが、7mmから13mmの範囲にあることが最も望ましい。テラヘルツ波の吸収は自由キャリアによって生じるのでキャリア密度は1012cm−3以下が必要である。
【0011】
以上の説明はCr:Forsteriteレーザによる励起方式について説明したが、OPO励起方式についても同様な方法を付加することができる。すなわち、OPOの励起光源としてYAGレーザの3逓倍波ではなく、2逓倍波(532nm)を使うことにより効率を高める。OPOの線幅は2逓倍にすることにより広くなるはずであるが、グレーティングを挿入した効果により狭まり、テラヘルツ波出力の線幅は1GHz以下となる。
【0012】
レーザ発振の安定を保持するためには、共振器内の光学部品は、設置されている環境に変化があっても、それぞれの幾何学的位置関係も精度よく固定されていなければならない。図3(b)では少なくとも、共振器内の反射鏡Mとグレーティング10が図示してない制御手段で安定したレーザ発振状態を保つように全方位にわたって正確な位置制御がなされているものである。もちろん、共振器を構成する構造物の材料は、温度変化や重力などの外力で変形しがたいセラミック材や金属が選定されている。
【0013】
グレーティングの回折角の制御は、例えば、テラヘルツ波の周波数10THzを100MHzの分解能で制御するとなると5桁を制御範囲に入れる必要があるので、可動部分の位置再現性を保証するためにも、ばね軸受けや圧電アクチュエータを適用したほうが良い。また、共振器内Cの温度は、図示していない保温材で囲んだ環境やPID制御器などで構成される温度制御手段で、+−0.02℃以内に制御されていることが望ましい。すくなくとも+−0.5℃以内に制御されていなければグレーティングによる高い分解能効果を発揮できないこととなる。グレーティングを用いないでプリズムを用いる場合も同様である。
【実施例2】
【0014】
ポンプ及び信号光レーザ部分及びテラヘルツ波発生部及び参照光路は実施例1とおなじであるが、図4に示すように、出力テラヘルツ波19はサンプル20を透過する透過光路とサンプルの表面で反射したテラヘルツ波を検出する反射光路に導かれそれぞれの検知器10,10’で検知される。図中21,22は反射光路を形成する平面ミラ及び非放物面ミラである。二つの検知器によって透過スペクトルと反射スペクトルが同時に測定され、屈折率の実数部と虚数部を両方とも求めることが出来る。簡単のため、垂直入射の場合で説明すると、反射率Rは複素屈折率n=n−ikを用いて次のように表される。
【0015】
【数1】

【0016】
屈折率の虚数部kは吸収係数αと次のような直接的関係があるので、透過率Tから直ちに求まる。dはサンプルの厚みである。Tは標準用のポリエチレンペレットの透過率である。なお、標準用ペレットは多重反射を避けるためウェッジ型に成型されている。代表的な測定サンプルは粉末状の物質をポリエチレン粉末に混合拡散させたものであり、表面反射率は標準ペレットとほぼ同じである。
【0017】
【数2】

【0018】
【数3】
T=Texp(−αd)
【0019】
一方、反射率は実数部と虚数部の両方に依存するが実数部の変化の効果の方が大きい。近似的に反射率の変化は屈折率実数部の変化を表す。虚数部kの効果を無視できないときは、上式で求められたkを使って、反射率の測定値と合うように屈折率を逐次近似的に求めればよく、結局、透過率と反射率の測定から物質の複素屈折率の周波数依存性がわかる。これらの計算はコンピュータに内蔵したプログラムで自動的に行われる。こうして、例えば、水溶液の複素屈折率の周波数依存性から、生体成分や溶液中の水分子の拡散、振動など、分子の挙動についての情報を得ることが出来る。
【実施例3】
【0020】
生体分子の結晶異方性や溶液中でのせん光性によって、テラヘルツ透過率や反射率の偏波方向依存性を生じる。したがって、テラヘルツ透過率あるいは反射率の偏波方向依存性を求めることによって物質状態についての知見を得ることが出来る。クライオスタット中にサンプルがあるときはサンプルを回転して測定することは機構が複雑で望ましくない。サンプルはエタロン効果による透過率変動を避けるため、ウェッジ型に形成されているので、ビーム方向が変化することも誤差を生じる。そこで図5のようにテラヘルツ波発生用GaP結晶を結晶長方向の周りに90度回転させる。テラヘルツ波の偏波方向は、回転後もほぼ<1−10>方向なので、結晶回転にともなって偏波方向eTHzが90度回転することとなる。なお、図中、e,eはCr:Forsteriteレーザ1,2の偏波方向を表す。 テラヘルツ波の偏波方向ごとにそれぞれスペクトルをとり、両者の比を取れば、物質の偏波依存性の周波数特性がわかる。なお、GaP結晶をテラヘルツ波パルスの発生繰返し周期である10Hzの1.25倍すなわち12.5Hzで回転すれば交互に結晶を0度及び90度の位置に保持することができるのでほぼ同時に偏光方向のスペクトルを得ることが出来る。
【実施例4】
【0021】
図6は被測定物Pは癌細胞Kが正常細胞Nと異なった形の水分分布で隣接している場合において被測定物に照射するテラヘルツ波の位置を図示していない照射位置可変手段を用いて変え、その前後の偏光特性の変化を計測する例である。Aは偏光版、Bはシリコンボロメータなどの検知器、19TはKに照射後位置を変化させたテラヘルツ波である。Aとしてはメタルメッシュ偏光板あるいは図では示してないが斜入射の反射板などが使われる。
【実施例5】
【0022】
実施例1−3ではテラヘルツ波検知器としてDTGSまたはSiボロメータを使うが、本実施例では図6に示すような水晶あるいはシリコンなどのメカニカルフィルタ23(電気機械振動子)を検知素子として使う。機械振動子の少なくとも一部には粉末カーボン24が塗布されており、テラヘルツ波25を吸収すると温度が上がり、熱ひずみを生じる結果、共振周波数が変化する。26は測定端子である。周波数変化あるいは位相変化を検出するか、またはそれによるフィルタの電圧透過度変化などのフィルタ特性の変化を検出することによりテラヘルツ波強度を計測する。テラヘルツ波のパルス幅は10nsであるから変化はこれに追従せず、ゆっくりと変動するが、パルス繰り返し周波数10Hzに追従するのでテラヘルツ波の検出が可能である。 Siボロメータと違って、室温で動作するので小型である。また、DTGSのように初期ポーリングの変化による感度劣化を生じることも無い。 更に、DTGSは周波数0.6THz以下になると急速に感度が低下し、0.1THzではほとんど感度がないが、本振動子は感度の低下が無いのである。
【0023】
なお、シリコンプロセス技術によってシリコンメカニカルフィルタの1次元アレーや2次元マトリックスを形成し、テラヘルツ波イメージング装置を構成することもできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、線幅が極めて狭く、屈折率の実数部と虚数部が同時に測定でき、偏光特性も測定できる、0.1THzから7THzの範囲内の周波数掃引テラヘルツ波発生光源及び分光計測装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】 実施例1におけるテラヘルツ波発生装置の構成を示す図である。
【図2】 実施例1における励起レーザの構成を示す図である。
【図3】 (a)は実施例1における励起レーザ共振器内の構成を示す図である。(b)は実施例1における励起レーザ共振器内のグレーティングと反射鏡の制御構成を示す図である。
【図4】 実施例2におけるテラヘルツ波透過及び反射スペクトルを測定するための構を示す図である。
【図5】 実施例3におけるGaP結晶の配置を示す図である。
【図6】 実施例4における偏光特性変化測定系の構成を示す図である。
【図7】 実施例5におけるテラヘルツ波検知器
【符号の説明】
【0026】
1…第1のCr:Forsteriteレーザ
2…第2のCr:Forsteriteレーザ
3…YAGレーザ
4…偏光ビームスプリッター
5…GaP結晶
6…GaPの入射面
7…GaPのテラヘルツ波出力面
9…非放物面鏡
10…非放物面鏡
11…グレーティング
12…ビームエキスパンダー
13…Cr:Forsterite結晶
14…出力ミラー
15…入射YAGレーザ光
16…Cr:Forsteriteレーザ出力光
17…凹レンズ
18…凸レンズ
19…出力テラヘルツ波ビーム
20…測定サンプル
21…平面ミラー
22…非放物面鏡
23…メカニカルフィルタ
24…塗布カーボン
25…テラヘルツ波
26…測定端子
A…偏光版
B…テラヘルツ波検知器
C…共振器内
M…反射鏡
P…被測定物
K…癌細胞
N…正常細胞
19T…テラヘルツ波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GaP結晶に励起用レーザ光を入射し、周波数0.1THzから7THzの範囲内のテラヘルツ電磁波を発生するテラヘルツ波発生装置あるいはテラヘルツ波分光計測装置において、すくなくとも一つの励起用レーザの共振器内に周波数選択用のグレーティングと前記グレーティングに入射する発振光のビーム径を拡大するビームエキスパンダーが配置されることにより、線幅の狭いテラヘルツ電磁波が発生することを特徴とする周波数掃引テラヘルツ波発生装置及び方法あるいは分光計測装置及び方法。
【請求項2】
前記励起用レーザの共振器を構成するグレーティングと反射鏡の位置がずれないように、共振器内を+−0.5℃以内に温度制御する手段を備え、且つ、グレーティングと反射鏡それぞれの位置をレーザ発振条件からそれない様に位置制御する手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の周波数掃引テラヘルツ波発生装置及び方法あるいは分光計測装置及び方法。
【請求項3】
前記励起用レーザの少なくとも一つがCr:forsteriteレーザであることを特徴とする請求項1乃至2に記載の周波数掃引テラヘルツ波発生装置及び方法あるいは分光計測装置及び方法。
【請求項4】
GaP結晶に励起用レーザ光を入射し、周波数0.1THzから7THzの範囲内の単色テラヘルツ電磁波を発生するテラヘルツ波分光計測装置において、測定サンプルのテラヘルツ周波数領域における透過率及び反射率をそれぞれ測定する手段、測定された透過率と反射率から複素屈折率の実数部と虚数部を求める手段を備え、前記実数部、虚数部のそれぞれのスペクトルを得ることを特徴とする周波数掃引テラヘルツ波発生装置及び方法あるいは分光計測装置及び方法。
【請求項5】
GaP結晶に励起用レーザ光を入射し、周波数0.1THzから7THzの範囲内の単色テラヘルツ電磁波を発生するテラヘルツ波分光計測装置において、前記GaP結晶を入射面に垂直な軸の周りに90度異なる配置においてそれぞれテラヘルツ透過あるいは反射スペクトルを得る手段を有することを特徴とする周波数掃引テラヘルツ波発生装置及び方法あるいは分光計測装置及び方法。
【請求項6】
GaP結晶に励起用レーザ光を入射し、周波数0.1THzから7THzの範囲内の単色テラヘルツ電磁波を発生するテラヘルツ波分光計測装置において、被測定物に電磁場変化あるいは温度変化、応力変化、位置変化などを与えて屈折率の変化をもたらす手段と、被測定物を透過あるいは反射してくるテラヘルツ電磁波を偏光版または反射板に照射させる手段と、前記屈折率変化の前後の偏光特性を計測する手段を有することを特徴とする周波数掃引テラヘルツ波発生装置及び方法あるいは分光計測装置及び方法。
【請求項7】
GaP結晶に励起用レーザ光を入射し、周波数0.1THzから7THzの範囲内の単色テラヘルツ電磁波を発生するテラヘルツ波分光計測装置において、テラヘルツ波検知器が熱ひずみによってフィルタ特性が変化するメカニカルフィルタであることを特徴とする周波数掃引テラヘルツ波発生装置及び方法あるいは分光計測装置及び方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−313140(P2006−313140A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163239(P2005−163239)
【出願日】平成17年5月7日(2005.5.7)
【出願人】(591172504)
【Fターム(参考)】