テレビ電話装置
【課題】発信者を容易に認識することができるテレビ電話装置を提供する。
【解決手段】テレビ電話装置を実現するCPU210は、操作部に対する操作に基づいて携帯電話による電話の発信あるいはデータの送信が行なわれることを検知する検知部310と、電話の発信が行なわれることの検知に応答して、カメラによる撮影を実行する撮影制御部320と、カメラによって取得された画像信号に基づいてその被写体を認識する画像認識部330と、電話の発信の際にカメラによって撮影された被写体が携帯電話の使用者であるか否かを判定する判定部340と、操作部に対して与えられた操作に応答して、送信を制御する送信制御部350とを備える。
【解決手段】テレビ電話装置を実現するCPU210は、操作部に対する操作に基づいて携帯電話による電話の発信あるいはデータの送信が行なわれることを検知する検知部310と、電話の発信が行なわれることの検知に応答して、カメラによる撮影を実行する撮影制御部320と、カメラによって取得された画像信号に基づいてその被写体を認識する画像認識部330と、電話の発信の際にカメラによって撮影された被写体が携帯電話の使用者であるか否かを判定する判定部340と、操作部に対して与えられた操作に応答して、送信を制御する送信制御部350とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテレビ電話装置に関し、特に、通話相手の特定を支援するテレビ電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ電話装置が知られている。たとえば、特開2006−253775号公報(特許文献1)は、発呼側の実在する発信者を受信側で確認できるテレビ電話装置を開示している。
【0003】
また、特開平9−224228号公報(特許文献2)は、使用者の意図に即した通信を行い、通信に関する利便性の向上を図ることができる画像通信装置を開示している。
【0004】
さらに、特開2005−295223号公報(特許文献3)は、発呼側の接続要求に伴って映像または音声で発信者を認識した後に、リアルタイムで動画、音声を双方向通信可能なネットワーク対応動画音声配信システムを開示している。
【特許文献1】特開2006−253775号公報
【特許文献2】特開平9−224228号公報
【特許文献3】特開2005−295223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の各技術によると、認識のための画像信号が送られることで通信に対する負荷が増大する恐れがあった。また、仮に画像信号を送信しない場合には、受信側が発呼者を正確に認識できない恐れもあった。
【0006】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、通信回線に対する負荷の増大を抑制しつつ受信側が発信者を容易に認識することができるテレビ電話装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明のある局面に従うテレビ電話装置は、インターネット・プロトコルに従って通信する電話手段と、被写体を撮影して画像信号を出力するカメラと、テレビ電話装置の使用者として予め登録された使用者の画像データを格納するメモリと、電話手段による発信が開始されたときにカメラに被写体を撮影させる撮影制御手段と、画像データと、カメラから出力された画像信号とに基づいて、撮影された被写体が予め登録された使用者であるか否かを判定する認識手段と、電話手段の発信を行なった使用者が予め登録された使用者であると判定されたときに、発信によって特定される通話相手に、被写体の画像信号を送信する送信制御手段とを備える。
【0008】
この発明の他の局面に従うテレビ電話装置は、予め規定された通信プロトコルに従って通信する通信手段と、被写体を撮影して画像信号を出力する撮影手段と、通信手段による通信が開始されたときに撮影手段に被写体を撮影させる撮影制御手段と、通信手段による通信の開始に応答して、撮影手段から出力された画像信号を、通信の相手先に送信する送信制御手段とを備える。
【0009】
好ましくは、テレビ電話装置は、当該テレビ電話装置の使用者を識別する識別データを格納する記憶手段と、撮影手段から出力された画像信号と、識別データとに基づいて、撮影手段によって撮影された被写体が使用者であるか否かを認識する認識手段とをさらに備える。被写体は使用者であることが認識されたときに、送信制御手段は、被写体の画像を通信の相手先に送信する。
【0010】
好ましくは、通信プロトコルは、インターネット・プロトコルを含む。
好ましくは、送信制御手段は、発信を表わす信号の送信前に、画像信号を送信する。
【0011】
この発明の他の局面に従うテレビ電話装置は、インターネット・プロトコルに従って、画像信号を受信する受信手段と、テレビ電話装置の通信相手を表わす画像データと、画像データに関連付けられる通信相手とを格納するメモリと、画像信号と画像データとが対応するか否かを判定する判定手段と、画像信号が画像データに対応すると判定されると、画像信号の送信者が通信相手であることを表示する表示制御手段とを備える。
【0012】
この発明のさらに他の局面に従うテレビ電話装置は、予め規定された通信プロトコルに従って、撮影によって取得された信号を受信する受信手段と、テレビ電話装置の通信相手を特定するため識別データと、識別データに関連付けられる通信相手とを格納する記憶手段と、信号と識別データとが対応するときに、信号の送信者が通信相手であることを通知する通知手段とを備える。
【0013】
好ましくは、通知手段は、信号の送信者が通信相手であることを表示する表示手段を含む。
【0014】
好ましくは、通知手段は、信号の送信者が通信相手であることを表わす音声を出力する音声出力手段を含む。
【0015】
好ましくは、テレビ電話装置は、信号と識別データとが対応するか否かを判定する判定手段をさらに備える。信号が識別データに対応すると判定されると、通知手段は、信号の送信者が通信相手であることを通知する。
【0016】
好ましくは、信号は、被写体の撮影によって生成された画像信号を含む。識別データは、テレビ電話装置の使用者を撮影することにより生成された画像データを含む。
【0017】
好ましくは、信号は、被写体の撮影によって生成された画像信号から算出された特徴量を含む。識別データは、テレビ電話装置の使用者の撮影によって生成された画像データから算出された特徴量を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0019】
<第1の実施の形態>
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る映像伝送システム10について説明する。図1は、映像伝送システム10のシステム構成を表わす図である。映像伝送システム10は、携帯電話100と携帯電話120とを備える。携帯電話100,120は、少なくともデータの送受信が可能な携帯電話である。好ましくは、携帯電話100,120は、テレビ電話機能を有する。テレビ電話機能は、たとえばIPプロトコルを用いて実現されるものであるが、他の通信プロトコルに従うものであってもよい。
【0020】
携帯電話100は、その筐体の前面に、カメラ102と、ディスプレイ104と、複数のボタンからなる操作部106とを備える。携帯電話100は、基地局110と通信可能である。
【0021】
携帯電話120は、その筐体の前面に、カメラ122と、ディスプレイ124と複数のボタンからなる操作部126とを備える。携帯電話120は、たとえば基地局130と通信可能な位置に存在している。
【0022】
基地局110と基地局130とは、ネットワーク140によって通信可能なように接続されている。
【0023】
携帯電話100の使用者150が携帯電話100を操作すると、カメラ102は使用者150を撮影し、携帯電話100はその撮影によって得られた画像信号を発信先である携帯電話120に送信する。
【0024】
携帯電話120は、その信号を受信すると、ディスプレイ124に使用者150の画像160を表示する。
【0025】
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る携帯電話100の構成について説明する。図2は、携帯電話100のハードウェア構成を表わすブロック図である。携帯電話100は、図1に示される構成に加えて、CPU(Central Processing Unit)210と、スピーカ220と、LED(Light Emitting Diode)230と、マイク260と、メモリ270と、送信部280と、受信部290とを備える。
【0026】
CPU210は、操作部106によって入力が受け付けられた操作に応じて、あるいは受信部290によって受信された信号に含まれる命令に基づいて、携帯電話100の動作を制御する。より具体的には、CPU210は、メモリ270に格納されているプログラムおよびデータを用いて、携帯電話100に対して与えられた命令に応じた処理を実行する。
【0027】
スピーカ210は、受信部290によって着信を受けた信号に基づく音声(すなわち通話相手の音声)を出力する。また他の局面において、スピーカ220は、メモリ270に音声データが格納されている場合、その音声データに基づく音声を出力する。
【0028】
カメラ102は、CPU210から出力される命令に基づいて撮影動作を実行し、その撮影により得られる画像信号をCPU210に送出する。
【0029】
ディスプレイ104は、CPU210によってメモリ270に書き込まれたデータに基づいて画像を表示する。操作部106は、携帯電話100に対する操作の入力を受け付けて、当該操作に応じた信号をCPU210に送出する。操作部106は、数字キー、ディスプレイ104に表示されるカーソルを上下および/または左右に移動させるためのカーソルキーおよびディスプレイ104に表示される項目の選択を決定するためのボタンなどを含む。操作部106は、他の局面において、押下を受け付けるボタンに代えて、ジョグダイヤルその他の操作手段によって実現されてもよい。
【0030】
マイク260は、携帯電話100に対する発話を受け付けて、その発話に応じた信号をCPU210に送出する。たとえば、携帯電話100が他の携帯電話120と通話可能な状態である場合には、マイク260に対して与えられた発話に応じた信号は、CPU210から送信部280に送られ、通話が実現される。
【0031】
メモリ270は、携帯電話100の製造時に予め準備されたデータと、CPU210によって生成されたデータと、受信部290によって受信されたデータとを格納する。メモリ270は、不揮発性のメモリとして実現される。CPU210によって生成されたデータは、RAM(Random Access Memory)その他の揮発性のメモリ(図示しない)に格納される。携帯電話100の動作を実現するために保持し続ける必要があるデータは、不揮発のメモリ270に格納される。データは、電話番号、ファームウェア、特定の処理を実現するアプリケーションプログラム等を含む。メモリ270は、たとえばフラッシュメモリ、ハードディスクなどによって実現される。また、他の局面において、メモリ270は、メモリカードその他の着脱可能な記録媒体によって構成されてもよい。
【0032】
送信部280は、CPU210によって与えられた命令に従って、通信セッションが形成された相手に対して音声信号あるいは画像信号を送信する。携帯電話100が通常の電話機として機能している場合、送信部280は、マイク260によって受け付けられた発話に応じた音声信号をその通話相手に送信する。他の局面において携帯電話100がデータ通信装置として機能している場合には、送信部280は、CPU210によって生成されたパケットを特定の相手に送信する。パケットの構成は後述する。
【0033】
受信部290は、基地局110から発信された信号を受信し、ノイズ除去、増幅などの処理を行なった後、処理後の信号をCPU210に送信する。携帯電話100が電話機として機能している場合には、受信部290は、相手から発信された呼出信号の着信を受け付ける。また、他の局面において、受信部290は、基地局110から発信されたパケットデータを受信する。
【0034】
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る携帯電話100を実現するCPU210について説明する。図3は、CPU210によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。CPU210は、検知部310と、撮影制御部320と、画像認識部330と、判定部340と、送信制御部350とを備える。
【0035】
検知部310は、操作部106に対する操作に基づいて携帯電話100による電話の発信あるいはデータの送信が行なわれることを検知する。たとえば、携帯電話100の使用者が操作部106の数字ボタンを押下して電話番号を入力した後に発信ボタン(図示しない)を押下したとき、検知部310は、電話の発信が行なわれることを検知する。検知部310による検知の結果は、撮影制御部320に与えられる。
【0036】
撮影制御部320は、携帯電話100による電話の発信が行なわれることの検知に応答して、カメラ102による撮影を実行する。より具体的には、撮影制御部320は、カメラ102に撮影命令を送出することにより、予め設定された撮影モードでカメラ102に被写体を撮影させる。カメラ102から出力される画像信号は、メモリ270その他の記憶手段に一時的に保持される。
【0037】
画像認識部330は、カメラ102によって取得された画像信号に基づいてその被写体を認識する。より具体的には、画像認識部330は、予め構成されたフィルタ処理を実行し、画像信号を画像処理が可能な程度に補正する。フィルタ処理は、たとえば、濃淡処理、エッジ強調処理、2値化処理等を含む。画像認識部330による認識の結果は、判定部340あるいは送信制御部350に送られる。
【0038】
判定部340は、メモリ270に予め格納されているデータと、カメラ102によって新たに取得された画像信号とに基づいて、電話の発信の際にカメラ102によって撮影された被写体が携帯電話100の使用者であるか否かを判定する。ある局面において、判定部340は、当該使用者を予め撮影した際に算出された特徴量と、カメラ102によって電話の発信の際に取得された画像信号に基づく特徴量とを比較することにより、電話をかけようとしている被写体が当該使用者であるか否かを判定する。
【0039】
送信制御部350は、操作部106に対して与えられた操作に応答して、送信部280を用いた送信を制御する。ある局面において、送信制御部350は、IP(Internet Protocol)に従った通信を実行する。好ましくは、送信制御部350は、SIP(Session Initiation Protocol)に従った通信セッションを形成し、IP電話を実現する。
【0040】
ある局面において、送信制御部350は、送信部280による電話の発信を表わす信号の送信前に、カメラ102の撮影によって取得された画像信号を送信する。他の局面において、送信制御部350は、当該発信を表わす信号と画像信号とを交互に送信してもよい。
【0041】
次に、図4を参照して、本実施の形態に係る携帯電話100のデータ構造について説明する。図4は、メモリ270におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。メモリ270は、データを格納するための複数のメモリ領域を含む。携帯電話100に予め与えられた電話番号は、メモリ領域410に格納されている。携帯電話の使用者として予め入力された名前は、メモリ領域420に格納されている。携帯電話100の使用者として予め入力された画像データは、メモリ領域430に格納されている。この画像データは、たとえば当該使用者が携帯電話100を把持してカメラ102を自己に向けて撮影することによって取得されたデータである。
【0042】
カメラ102による撮影を制御するための撮影制御プログラムは、メモリ領域440に格納されている。このプログラムがCPU210によって実行されると、CPU210は、撮影制御部320として機能する。
【0043】
カメラ102によって生成された画像を処理するためのプログラムは、メモリ領域450に格納されている。このプログラムがCPU210によって実行されると、CPU210は、画像認識部330として機能する。
【0044】
画像信号に基づいて特徴量を算出するためのプログラムは、メモリ領域460に格納されている。なお、このプログラムは、携帯電話100に必須なものではなく、選択的に格納されていてもよい。このプログラムがCPU210によって実行されると、CPU210は、カメラ102から出力された画像信号に基づいて特徴量を算出する。この場合、算出された特徴量は、メモリ270に確保される他のメモリ領域に書き込まれる。この場合、たとえばメモリ領域430に格納されている使用者の画像データと同様に、当該使用者を識別するためのデータとして使用されてもよい。
【0045】
携帯電話100のハードウェアの基本的な動作を制御するためのファームウェアは、メモリ領域470に格納されている。
【0046】
なお、図4の例で明らかなように、本実施の形態においては、携帯電話100の動作は、CPU210が各プログラムを実行することにより実現される。すなわち、携帯電話100の動作は、ハードウェアとソフトウェアとの協働として説明されている。しかしながら、他の局面において、携帯電話100は、特定の処理を実現する回路素子の組み合せとして実現されてもよい。
【0047】
次に、図5を参照して、携帯電話100の制御構造について説明する。図5は、CPU210が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【0048】
ステップS510にて、CPU210は、操作部106から出力される信号に基づいて、送信部280を介した発信操作を検知する。ステップS520にて、CPU210は、その検知に応答して、撮影指令をカメラ102に送出する。カメラ102は、その指令に応答して予め設定された撮影モードに従って撮影動作を実行する。撮影によって生成された画像信号は、CPU210に送出され、ワーク領域に一時的に書き込まれる。揮発メモリがCPU210とは別個に構成される場合には、当該信号は、その揮発メモリにおいて確保されたメモリ領域に書き込まれる。
【0049】
ステップS530にて、CPU210は、カメラ102から出力された画像信号に基づいて特徴量を算出する。ここで特徴量の算出は、通常の画像認識処理で使用される処理が用いられる。したがって、詳細な説明はここでは述べない。
【0050】
CPU210は、算出した特徴量をメモリ270の他のメモリ領域に格納する。ステップS540にて、CPU210は、メモリ270において予め格納されている特徴量と、ステップS530において算出された特徴量とを比較する。ステップS550にて、CPU210は、これらの特徴量が一致するか否かを判定する。CPU210は、これらの特徴量が一致すると判定すると(ステップS550にてYES)、制御をステップS560に切り換える。そうでない場合には(ステップS550にてNO)、CPU210は、制御をステップS580に切り換える。
【0051】
ステップS560にて、CPU210は、カメラ102から出力された画像信号と、発信元である携帯電話100の電話番号(メモリ領域410)とから、パケットデータを生成する。パケットの構成は後述する。
【0052】
ステップS570にて、CPU210は、送信部280を介して、ダイヤルされた相手先に対して、電話の呼出信号とパケットデータとを送信する。この場合、CPU210は、パケットデータを呼出信号の前に送信してもよい。他の局面において、CPU210は、呼出信号とパケットデータとを交互に送信してもよい。
【0053】
ステップS580にて、CPU210は、通常の発信動作を実行する。すなわち、CPU210は、送信制御部350として、呼出信号と携帯電話100の電話番号とを相手先(たとえば携帯電話120)に送信する。この送信を受けた携帯電話120は、通常の呼出動作(発呼)を実行する。
【0054】
次に、図6を参照して、携帯電話100が送信するパケット600について説明する。図6は、パケット600の構成を概念的に表わす図である。パケット600は、ヘッダ610と、ユーザデータ620とを含む。
【0055】
ヘッダ610は、宛先IPアドレスと、送信元IPアドレス(すなわち携帯電話100のアドレス)と、パケット600の送信日時と、携帯電話100の電話番号とを含む。
【0056】
ユーザデータ620は、カメラ102によって生成された画像データを含む。パケット600は、CPU210によって生成される(ステップS560)。このような構成を有するパケット600が携帯電話100から相手先(携帯電話120)に送信されると、相手先の携帯電話120は、パケット600から画像データを抽出し、そのデータに基づく画像を表示する。たとえば、図1に示されるように、携帯電話120は、ディスプレイ124において、発信者としての携帯電話100の使用者150に対応する画像160を表示する。その結果、着信を受けた携帯電話120の使用者は、その発信元を画像により認識することができるため、なりすましなどによる不正な着信か否かを容易に判定することができる。
【0057】
以上のようにして、本発明の第1の実施の形態に係る携帯電話100は、発呼操作に応答して、操作者をカメラ102によって撮影し、画像信号を取得する。携帯電話100は、その画像信号と、メモリ270に格納されている画像データ(メモリ領域430)とを比較して、操作者が携帯電話100の使用者であるか否かを判定する。当該使用者が携帯電話100を操作している場合、携帯電話100は、その画像データあるいは生成された画像信号を使用してパケットデータを生成し、生成したパケットデータを発呼相手に送信する。そのパケットデータを受信した相手は、その画像データを抽出し、ディスプレイに表示する。
【0058】
このような構成により、携帯電話100の発呼者を表わす画像が相手先に表示されるため、相手先は、発呼者が誰であるかを確実に認識することができる。したがって、その電話を受けた受信者は、安心して電話に応じることができる。一方、そのような表示がされない電話を受けた受信者は、電話に応答する前に予めそのことを認識することができる。したがって、電話に応答するか否かも含めて、受信者による応答の自由度が向上し得る。
【0059】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態に係る映像伝送システムは、電話の発信者は、画像信号を送信する代わりに、発信者を特定するためのデータであって撮影によって得られた画像信号に基づくデータを送信する機能を有する点で、前述の第1の実施の形態に係る映像伝送システム10と異なる。この場合、発信者を具体的に認識する処理は、その情報の受信側である着信を受ける携帯電話によって行なわれる。
【0060】
なお、本実施の形態において、発信側の携帯電話は、第1の実施の形態における携帯電話100(図2)と同様のハードウェアによって実現される。そこで、以下の説明では、図2に示されるハードウェア構成を用いて行なう。
【0061】
まず、図7を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る携帯電話を実現するCPU210について説明する。図7は、CPU210によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。CPU210は、検知部310と、撮影制御部320とに加えて、特徴量算出部730と送信制御部740とを備える。特徴量算出部730は、カメラ102から出力される画像信号に基づいて被写体の特徴量を算出する。算出の結果は、送信制御部740に与えられる。
【0062】
送信制御部740は、その算出された特徴量を用いて送信用のパケットデータを生成し、相手先に送信するように送信部280を駆動する。この場合、送信制御部740によって生成されるパケットは、画像信号を含まないため、送信されるデータ量が少なくなる。その結果、通信による負荷が軽減され得る。
【0063】
そこで、図8を参照して、本実施の形態に係る携帯電話から発信されるパケット800について説明する。図8は、パケット800の構成を概念的に表わす図である。パケット800は、ヘッダ810と、ユーザデータ820とを含む。ヘッダ810は、宛先IPアドレス(相手先のアドレス)、送信元IPアドレス(本実施の形態に係る携帯電話のアドレス)と、パケット800の送信日時と、当該携帯電話の電話番号とを含む。ユーザデータ820は、特徴量算出部730によって算出された特徴量を含む。この場合、パケット800は、カメラ102から出力された画像信号を有さない点に注意されたい。
【0064】
このようなパケット800が送信されると、パケット800の受信者は、ユーザデータ820から特徴量を抽出し、その特徴量を用いてパケット800の送信者を認識する処理を実行する。
【0065】
そこで、図9を参照して、本実施の形態に係る受信側の携帯電話120について説明する。図9は、携帯電話120のハードウェア構成を表わすブロック図である。携帯電話120は、カメラ120およびディスプレイ124および操作部126に加えて、CPU910と、スピーカ920と、LED930と、マイク960と、メモリ970と、送信部980と、受信部990とを備える。
【0066】
CPU910は、携帯電話120に対して与えられる操作指示と携帯電話120に対して与えられる信号と携帯電話120において予め格納されているデータとのいずれかに基づいて予め規定された処理を実行し、携帯電話120の動作を制御する。ある局面において、CPU910は、操作部126に対する着信を受ける操作に従って、受信部990によって受けられた電話に対する応答を開始する。他の局面において、CPU910は、メモリ970に格納されているデータと受信部990によって受信された信号に含まれるデータとに基づいてデータの送信者を認識するための処理を実行する。他の局面において、CPU910は、カメラ122に対して撮影命令を送信し、カメラ122による撮影を実現する。他の局面において、CPU910は、カメラ122によって生成された画像信号あるいはメモリ970に格納されているデータもしくは受信部990によって受信されたデータに基づいて画像をディスプレイ124に表示する。
【0067】
スピーカ920は、CPU910から送られる音声信号に基づいて音声を出力する。
マイク960は、携帯電話120に対する発話を受け付けて、その発話に応じた音声信号を送信部980に送信する。
【0068】
メモリ970は、携帯電話120に特定の動作を実行させるためのデータおよびプログラムを格納している。当該データは、携帯電話120の製造時に作成されたデータ、携帯電話120の使用者によって入力されたデータ(たとえば使用者の名称その他の属性など)とを含む。プログラムは、携帯電話120に電話機としての動作を実現するためのファームウェアと、SIPに従ったIP電話を実現するための通信制御プログラムと、その他のアプリケーションプログラムとを含む。
【0069】
送信部980は、CPU910から送られるパケットあるいは音声信号を特定の相手先に送信する。
【0070】
受信部990は、携帯電話120に対する着信を受け付けて、その着信信号に含まれるデータをCPU910に送出する。他の局面において、受信部990は、パケットデータを受信し、そのパケットに含まれるユーザデータを抽出し、抽出したデータをCPU910に送出する。CPU910が入力を受けたデータは、メモリ970に格納される。
【0071】
次に、図10を参照して、携帯電話120のデータ構造について説明する。図10は、メモリ970におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。メモリ970は、データを格納するための複数のメモリ領域を含む。
【0072】
携帯電話120に対して割り当てられた電話番号は、メモリ領域1010に格納されている。携帯電話120の使用者の名前は、メモリ領域1020に格納されている。
【0073】
メモリ970は、電話帳としてのテーブル1030も含む。テーブル1030は、データ項目として、予め登録された通話相手を識別するデータと、当該相手の電話番号と、当該相手について予め取得された特徴量とを含む。より具体的には、登録された通話相手ID(Identification)は、メモリ領域1032に格納されている。当該相手の電話番号は、メモリ領域1034に格納されている。当該相手の特徴量(たとえばその相手の顔画像の特徴量)は、メモリ領域1036に格納されている。たとえば、Aさん(ID=01)から着信を受けた場合、その着信は、電話番号(メモリ領域1034)および特徴量(メモリ領域1036)の双方を用いて認証されることになる。
【0074】
メモリ970は、携帯電話120に固有の処理を実行させるためのプログラムをさらに格納している。より具体的には、電話の発信者を特定するためのプログラムは、メモリ領域1040に格納されている。携帯電話120が着信を受けたことを通知するプログラムは、メモリ領域1050に格納されている。携帯電話120の基本的な動作を実現するためのファームウェアは、メモリ領域1060に格納されている。CPU910が、発信者特定プログラム(メモリ領域1040)を実行すると、携帯電話120が受けた着信の各々について、その発信者を特定するための処理が行なわれる。この処理の詳細は後述する。
【0075】
着信通知制御プログラム(メモリ領域1050)がCPU910によって実行されると、携帯電話120は、着信を受けた相手に応じた通知動作(たとえばスピーカ920からの音声の出力、ディスプレイ124における表示態様の切り換えなど)が実現される。
【0076】
次に、図11を参照して、本実施の形態に係る携帯電話120を実現するCPU910について説明する。図11は、CPU910によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。CPU910は、特徴量抽出部1110と、判定部1120と、着信通知制御部1130とを含む。
【0077】
特徴量抽出部1110は、携帯電話120が受信部990を介して受信したパケットの中から特徴量を抽出する。より具体的には、携帯電話120がパケット800を受信した場合には、特徴量抽出部1110は、ユーザデータ820から特徴量を取り出し、メモリ970において確保したワーク領域に書き込む。
【0078】
判定部1120は、特徴量抽出部1110によって抽出された特徴量と、メモリ970において予め格納されている特徴量(メモリ領域1036)とに基づいて、電話の発信者が予め登録された通話相手であるか否かを判定する。より具体的には、CPU910は、これらの特徴量が一致する場合には、その電話の発信者は登録された通話相手(メモリ領域1032)であると判定する。なお、判定部1120による誤判定を防止するために、算出された特徴量とメモリ領域1036に格納されている特徴量との差について許容誤差が設けられてもよい。
【0079】
着信通知制御部1130は、判定部1120の判定の結果に基づいて、携帯電話120による着信の通知動作を制御する。より具体的には、電話の発信者が予め登録された通話相手である場合には、着信通知制御部1130は、その旨を表わす画像をディスプレイ124に表示する。他の局面において、着信通知制御部1130は、その旨を通知するものとして予め準備された音声データに基づいて音声をスピーカ920から出力する。さらに他の局面において、携帯電話120がLED(Light Emitting Diode)930その他の発光手段を有する場合には、着信通知制御部1130は、予め登録された通話相手からの着信であることを表わすものとして規定された発光動作を当該発光手段に実行させる。当該発光動作は、携帯電話120の使用者によって予め定められた色の発光、予め設定されたパターンによる点滅等を含む。
【0080】
次に、図12を参照して、本実施の形態に係る携帯電話120の制御構造について説明する。図12は、CPU910が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【0081】
ステップS1210にて、CPU910は、受信部990から送られるデータに基づいてパケット800を受信したことを検知する。ステップS1220にて、CPU910は、パケット800のヘッダ810に格納されている制御コードに基づいて、IP電話の着信を受けたことを検知する。ステップS1230にて、CPU910は、受信したパケット800から特徴量(ユーザデータ821)と、相手先の電話番号(ヘッダ810)とを抽出し、これらのデータをメモリ970のワーク領域に書き込む。
【0082】
ステップS1240にて、CPU910は、テーブル1030(図10)を参照して、抽出した電話番号に対応する特徴量がメモリ970に存在するか否かを判定する。CPU910は、その特徴量がメモリ970に存在すると判定すると(ステップS1240にてYES)、制御をステップS1250に切り換える。そうでない場合には(ステップS1240にてNO)、CPU910は、制御をステップS1270に切り換える。
【0083】
ステップS1250にて、CPU910は、IP電話の発信者の名前をメモリ領域1032から読出して、その名前をディスプレイ124に表示する。ステップS1260にて、CPU910は、スピーカ920に命令を送信することにより、着信を通知するための呼出音声を出力する。
【0084】
ステップS1270にて、CPU910は、未登録の相手からの電話であるメッセージをディスプレイ124に表示する。このメッセージは、メモリ970に予め準備されて格納されているものである。
【0085】
ここで、図13を参照して、携帯電話120による表示態様について説明する。図13(A)および図13(B)は、電話の着信を受けた携帯電話120がディスプレイ124に表示する画面を表わす図である。
【0086】
図13(A)を参照して、携帯電話120が未登録の相手から着信を受けた場合には、ディスプレイ124は、メッセージ1310として「着信!発信者は未登録です」と表示する。
【0087】
図13(B)を参照して、携帯電話120が予め登録された相手から着信を受けた場合には、ディスプレイ124は、メッセージ1320として「Aさんからの電話です」と表示し、さらに画像データが予め格納されている場合には、画像1330を併せて表示する。
【0088】
以上のようにして、本発明の第2の実施の形態に係る携帯電話120は、IP電話の発信者から受信した特徴量に基づいて当該発信者が予め着信を受ける可能性のある通話相手として登録されているか否かを判定する。特徴量による判定のため、通信回線に対する付加は軽減される。
【0089】
このような構成により、携帯電話120は、判定の結果に基づいて、発呼動作を切り換えることができる。たとえば、携帯電話120が、通話相手ごとに予め登録された特徴量と、通話相手の顔画像のデータを有していてもよい。この場合、受信した発呼信号に含まれる特徴量に基づいて顔画像のデータが特定される。そして、このデータに基づく顔画像がディスプレイに表示される。
【0090】
このようにすると、画像データそのものを送信する場合に比べてデータ伝送量が削減されるため、通信回線に対する負荷を増大することなく、通話相手を容易に特定し易くなる。
【0091】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る映像伝送システム10のシステム構成を表わす図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る携帯電話100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図3】携帯電話100を実現するCPU210によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。
【図4】携帯電話100のメモリ270におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【図5】携帯電話100のCPU210が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【図6】携帯電話100が送信するパケット600の構成を概念的に表わす図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る携帯電話を実現するCPU210によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る携帯電話から発信されるパケット800の構成を概念的に表わす図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る携帯電話120のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図10】携帯電話120のメモリ970におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【図11】携帯電話120のCPU910によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。
【図12】携帯電話120のCPU910が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【図13】電話の着信を受けた携帯電話120がディスプレイ124に表示する画面を表わす図である。
【符号の説明】
【0093】
10 映像伝送システム、100,120 携帯電話、102 カメラ、104,124 ディスプレイ、106,126 操作部、110,130 基地局、140 ネットワーク、150 使用者、160 画像、600,800 パケット、610 ヘッダ、620 ユーザデータ、1030 テーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明はテレビ電話装置に関し、特に、通話相手の特定を支援するテレビ電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ電話装置が知られている。たとえば、特開2006−253775号公報(特許文献1)は、発呼側の実在する発信者を受信側で確認できるテレビ電話装置を開示している。
【0003】
また、特開平9−224228号公報(特許文献2)は、使用者の意図に即した通信を行い、通信に関する利便性の向上を図ることができる画像通信装置を開示している。
【0004】
さらに、特開2005−295223号公報(特許文献3)は、発呼側の接続要求に伴って映像または音声で発信者を認識した後に、リアルタイムで動画、音声を双方向通信可能なネットワーク対応動画音声配信システムを開示している。
【特許文献1】特開2006−253775号公報
【特許文献2】特開平9−224228号公報
【特許文献3】特開2005−295223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の各技術によると、認識のための画像信号が送られることで通信に対する負荷が増大する恐れがあった。また、仮に画像信号を送信しない場合には、受信側が発呼者を正確に認識できない恐れもあった。
【0006】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、通信回線に対する負荷の増大を抑制しつつ受信側が発信者を容易に認識することができるテレビ電話装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明のある局面に従うテレビ電話装置は、インターネット・プロトコルに従って通信する電話手段と、被写体を撮影して画像信号を出力するカメラと、テレビ電話装置の使用者として予め登録された使用者の画像データを格納するメモリと、電話手段による発信が開始されたときにカメラに被写体を撮影させる撮影制御手段と、画像データと、カメラから出力された画像信号とに基づいて、撮影された被写体が予め登録された使用者であるか否かを判定する認識手段と、電話手段の発信を行なった使用者が予め登録された使用者であると判定されたときに、発信によって特定される通話相手に、被写体の画像信号を送信する送信制御手段とを備える。
【0008】
この発明の他の局面に従うテレビ電話装置は、予め規定された通信プロトコルに従って通信する通信手段と、被写体を撮影して画像信号を出力する撮影手段と、通信手段による通信が開始されたときに撮影手段に被写体を撮影させる撮影制御手段と、通信手段による通信の開始に応答して、撮影手段から出力された画像信号を、通信の相手先に送信する送信制御手段とを備える。
【0009】
好ましくは、テレビ電話装置は、当該テレビ電話装置の使用者を識別する識別データを格納する記憶手段と、撮影手段から出力された画像信号と、識別データとに基づいて、撮影手段によって撮影された被写体が使用者であるか否かを認識する認識手段とをさらに備える。被写体は使用者であることが認識されたときに、送信制御手段は、被写体の画像を通信の相手先に送信する。
【0010】
好ましくは、通信プロトコルは、インターネット・プロトコルを含む。
好ましくは、送信制御手段は、発信を表わす信号の送信前に、画像信号を送信する。
【0011】
この発明の他の局面に従うテレビ電話装置は、インターネット・プロトコルに従って、画像信号を受信する受信手段と、テレビ電話装置の通信相手を表わす画像データと、画像データに関連付けられる通信相手とを格納するメモリと、画像信号と画像データとが対応するか否かを判定する判定手段と、画像信号が画像データに対応すると判定されると、画像信号の送信者が通信相手であることを表示する表示制御手段とを備える。
【0012】
この発明のさらに他の局面に従うテレビ電話装置は、予め規定された通信プロトコルに従って、撮影によって取得された信号を受信する受信手段と、テレビ電話装置の通信相手を特定するため識別データと、識別データに関連付けられる通信相手とを格納する記憶手段と、信号と識別データとが対応するときに、信号の送信者が通信相手であることを通知する通知手段とを備える。
【0013】
好ましくは、通知手段は、信号の送信者が通信相手であることを表示する表示手段を含む。
【0014】
好ましくは、通知手段は、信号の送信者が通信相手であることを表わす音声を出力する音声出力手段を含む。
【0015】
好ましくは、テレビ電話装置は、信号と識別データとが対応するか否かを判定する判定手段をさらに備える。信号が識別データに対応すると判定されると、通知手段は、信号の送信者が通信相手であることを通知する。
【0016】
好ましくは、信号は、被写体の撮影によって生成された画像信号を含む。識別データは、テレビ電話装置の使用者を撮影することにより生成された画像データを含む。
【0017】
好ましくは、信号は、被写体の撮影によって生成された画像信号から算出された特徴量を含む。識別データは、テレビ電話装置の使用者の撮影によって生成された画像データから算出された特徴量を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0019】
<第1の実施の形態>
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る映像伝送システム10について説明する。図1は、映像伝送システム10のシステム構成を表わす図である。映像伝送システム10は、携帯電話100と携帯電話120とを備える。携帯電話100,120は、少なくともデータの送受信が可能な携帯電話である。好ましくは、携帯電話100,120は、テレビ電話機能を有する。テレビ電話機能は、たとえばIPプロトコルを用いて実現されるものであるが、他の通信プロトコルに従うものであってもよい。
【0020】
携帯電話100は、その筐体の前面に、カメラ102と、ディスプレイ104と、複数のボタンからなる操作部106とを備える。携帯電話100は、基地局110と通信可能である。
【0021】
携帯電話120は、その筐体の前面に、カメラ122と、ディスプレイ124と複数のボタンからなる操作部126とを備える。携帯電話120は、たとえば基地局130と通信可能な位置に存在している。
【0022】
基地局110と基地局130とは、ネットワーク140によって通信可能なように接続されている。
【0023】
携帯電話100の使用者150が携帯電話100を操作すると、カメラ102は使用者150を撮影し、携帯電話100はその撮影によって得られた画像信号を発信先である携帯電話120に送信する。
【0024】
携帯電話120は、その信号を受信すると、ディスプレイ124に使用者150の画像160を表示する。
【0025】
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る携帯電話100の構成について説明する。図2は、携帯電話100のハードウェア構成を表わすブロック図である。携帯電話100は、図1に示される構成に加えて、CPU(Central Processing Unit)210と、スピーカ220と、LED(Light Emitting Diode)230と、マイク260と、メモリ270と、送信部280と、受信部290とを備える。
【0026】
CPU210は、操作部106によって入力が受け付けられた操作に応じて、あるいは受信部290によって受信された信号に含まれる命令に基づいて、携帯電話100の動作を制御する。より具体的には、CPU210は、メモリ270に格納されているプログラムおよびデータを用いて、携帯電話100に対して与えられた命令に応じた処理を実行する。
【0027】
スピーカ210は、受信部290によって着信を受けた信号に基づく音声(すなわち通話相手の音声)を出力する。また他の局面において、スピーカ220は、メモリ270に音声データが格納されている場合、その音声データに基づく音声を出力する。
【0028】
カメラ102は、CPU210から出力される命令に基づいて撮影動作を実行し、その撮影により得られる画像信号をCPU210に送出する。
【0029】
ディスプレイ104は、CPU210によってメモリ270に書き込まれたデータに基づいて画像を表示する。操作部106は、携帯電話100に対する操作の入力を受け付けて、当該操作に応じた信号をCPU210に送出する。操作部106は、数字キー、ディスプレイ104に表示されるカーソルを上下および/または左右に移動させるためのカーソルキーおよびディスプレイ104に表示される項目の選択を決定するためのボタンなどを含む。操作部106は、他の局面において、押下を受け付けるボタンに代えて、ジョグダイヤルその他の操作手段によって実現されてもよい。
【0030】
マイク260は、携帯電話100に対する発話を受け付けて、その発話に応じた信号をCPU210に送出する。たとえば、携帯電話100が他の携帯電話120と通話可能な状態である場合には、マイク260に対して与えられた発話に応じた信号は、CPU210から送信部280に送られ、通話が実現される。
【0031】
メモリ270は、携帯電話100の製造時に予め準備されたデータと、CPU210によって生成されたデータと、受信部290によって受信されたデータとを格納する。メモリ270は、不揮発性のメモリとして実現される。CPU210によって生成されたデータは、RAM(Random Access Memory)その他の揮発性のメモリ(図示しない)に格納される。携帯電話100の動作を実現するために保持し続ける必要があるデータは、不揮発のメモリ270に格納される。データは、電話番号、ファームウェア、特定の処理を実現するアプリケーションプログラム等を含む。メモリ270は、たとえばフラッシュメモリ、ハードディスクなどによって実現される。また、他の局面において、メモリ270は、メモリカードその他の着脱可能な記録媒体によって構成されてもよい。
【0032】
送信部280は、CPU210によって与えられた命令に従って、通信セッションが形成された相手に対して音声信号あるいは画像信号を送信する。携帯電話100が通常の電話機として機能している場合、送信部280は、マイク260によって受け付けられた発話に応じた音声信号をその通話相手に送信する。他の局面において携帯電話100がデータ通信装置として機能している場合には、送信部280は、CPU210によって生成されたパケットを特定の相手に送信する。パケットの構成は後述する。
【0033】
受信部290は、基地局110から発信された信号を受信し、ノイズ除去、増幅などの処理を行なった後、処理後の信号をCPU210に送信する。携帯電話100が電話機として機能している場合には、受信部290は、相手から発信された呼出信号の着信を受け付ける。また、他の局面において、受信部290は、基地局110から発信されたパケットデータを受信する。
【0034】
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る携帯電話100を実現するCPU210について説明する。図3は、CPU210によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。CPU210は、検知部310と、撮影制御部320と、画像認識部330と、判定部340と、送信制御部350とを備える。
【0035】
検知部310は、操作部106に対する操作に基づいて携帯電話100による電話の発信あるいはデータの送信が行なわれることを検知する。たとえば、携帯電話100の使用者が操作部106の数字ボタンを押下して電話番号を入力した後に発信ボタン(図示しない)を押下したとき、検知部310は、電話の発信が行なわれることを検知する。検知部310による検知の結果は、撮影制御部320に与えられる。
【0036】
撮影制御部320は、携帯電話100による電話の発信が行なわれることの検知に応答して、カメラ102による撮影を実行する。より具体的には、撮影制御部320は、カメラ102に撮影命令を送出することにより、予め設定された撮影モードでカメラ102に被写体を撮影させる。カメラ102から出力される画像信号は、メモリ270その他の記憶手段に一時的に保持される。
【0037】
画像認識部330は、カメラ102によって取得された画像信号に基づいてその被写体を認識する。より具体的には、画像認識部330は、予め構成されたフィルタ処理を実行し、画像信号を画像処理が可能な程度に補正する。フィルタ処理は、たとえば、濃淡処理、エッジ強調処理、2値化処理等を含む。画像認識部330による認識の結果は、判定部340あるいは送信制御部350に送られる。
【0038】
判定部340は、メモリ270に予め格納されているデータと、カメラ102によって新たに取得された画像信号とに基づいて、電話の発信の際にカメラ102によって撮影された被写体が携帯電話100の使用者であるか否かを判定する。ある局面において、判定部340は、当該使用者を予め撮影した際に算出された特徴量と、カメラ102によって電話の発信の際に取得された画像信号に基づく特徴量とを比較することにより、電話をかけようとしている被写体が当該使用者であるか否かを判定する。
【0039】
送信制御部350は、操作部106に対して与えられた操作に応答して、送信部280を用いた送信を制御する。ある局面において、送信制御部350は、IP(Internet Protocol)に従った通信を実行する。好ましくは、送信制御部350は、SIP(Session Initiation Protocol)に従った通信セッションを形成し、IP電話を実現する。
【0040】
ある局面において、送信制御部350は、送信部280による電話の発信を表わす信号の送信前に、カメラ102の撮影によって取得された画像信号を送信する。他の局面において、送信制御部350は、当該発信を表わす信号と画像信号とを交互に送信してもよい。
【0041】
次に、図4を参照して、本実施の形態に係る携帯電話100のデータ構造について説明する。図4は、メモリ270におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。メモリ270は、データを格納するための複数のメモリ領域を含む。携帯電話100に予め与えられた電話番号は、メモリ領域410に格納されている。携帯電話の使用者として予め入力された名前は、メモリ領域420に格納されている。携帯電話100の使用者として予め入力された画像データは、メモリ領域430に格納されている。この画像データは、たとえば当該使用者が携帯電話100を把持してカメラ102を自己に向けて撮影することによって取得されたデータである。
【0042】
カメラ102による撮影を制御するための撮影制御プログラムは、メモリ領域440に格納されている。このプログラムがCPU210によって実行されると、CPU210は、撮影制御部320として機能する。
【0043】
カメラ102によって生成された画像を処理するためのプログラムは、メモリ領域450に格納されている。このプログラムがCPU210によって実行されると、CPU210は、画像認識部330として機能する。
【0044】
画像信号に基づいて特徴量を算出するためのプログラムは、メモリ領域460に格納されている。なお、このプログラムは、携帯電話100に必須なものではなく、選択的に格納されていてもよい。このプログラムがCPU210によって実行されると、CPU210は、カメラ102から出力された画像信号に基づいて特徴量を算出する。この場合、算出された特徴量は、メモリ270に確保される他のメモリ領域に書き込まれる。この場合、たとえばメモリ領域430に格納されている使用者の画像データと同様に、当該使用者を識別するためのデータとして使用されてもよい。
【0045】
携帯電話100のハードウェアの基本的な動作を制御するためのファームウェアは、メモリ領域470に格納されている。
【0046】
なお、図4の例で明らかなように、本実施の形態においては、携帯電話100の動作は、CPU210が各プログラムを実行することにより実現される。すなわち、携帯電話100の動作は、ハードウェアとソフトウェアとの協働として説明されている。しかしながら、他の局面において、携帯電話100は、特定の処理を実現する回路素子の組み合せとして実現されてもよい。
【0047】
次に、図5を参照して、携帯電話100の制御構造について説明する。図5は、CPU210が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【0048】
ステップS510にて、CPU210は、操作部106から出力される信号に基づいて、送信部280を介した発信操作を検知する。ステップS520にて、CPU210は、その検知に応答して、撮影指令をカメラ102に送出する。カメラ102は、その指令に応答して予め設定された撮影モードに従って撮影動作を実行する。撮影によって生成された画像信号は、CPU210に送出され、ワーク領域に一時的に書き込まれる。揮発メモリがCPU210とは別個に構成される場合には、当該信号は、その揮発メモリにおいて確保されたメモリ領域に書き込まれる。
【0049】
ステップS530にて、CPU210は、カメラ102から出力された画像信号に基づいて特徴量を算出する。ここで特徴量の算出は、通常の画像認識処理で使用される処理が用いられる。したがって、詳細な説明はここでは述べない。
【0050】
CPU210は、算出した特徴量をメモリ270の他のメモリ領域に格納する。ステップS540にて、CPU210は、メモリ270において予め格納されている特徴量と、ステップS530において算出された特徴量とを比較する。ステップS550にて、CPU210は、これらの特徴量が一致するか否かを判定する。CPU210は、これらの特徴量が一致すると判定すると(ステップS550にてYES)、制御をステップS560に切り換える。そうでない場合には(ステップS550にてNO)、CPU210は、制御をステップS580に切り換える。
【0051】
ステップS560にて、CPU210は、カメラ102から出力された画像信号と、発信元である携帯電話100の電話番号(メモリ領域410)とから、パケットデータを生成する。パケットの構成は後述する。
【0052】
ステップS570にて、CPU210は、送信部280を介して、ダイヤルされた相手先に対して、電話の呼出信号とパケットデータとを送信する。この場合、CPU210は、パケットデータを呼出信号の前に送信してもよい。他の局面において、CPU210は、呼出信号とパケットデータとを交互に送信してもよい。
【0053】
ステップS580にて、CPU210は、通常の発信動作を実行する。すなわち、CPU210は、送信制御部350として、呼出信号と携帯電話100の電話番号とを相手先(たとえば携帯電話120)に送信する。この送信を受けた携帯電話120は、通常の呼出動作(発呼)を実行する。
【0054】
次に、図6を参照して、携帯電話100が送信するパケット600について説明する。図6は、パケット600の構成を概念的に表わす図である。パケット600は、ヘッダ610と、ユーザデータ620とを含む。
【0055】
ヘッダ610は、宛先IPアドレスと、送信元IPアドレス(すなわち携帯電話100のアドレス)と、パケット600の送信日時と、携帯電話100の電話番号とを含む。
【0056】
ユーザデータ620は、カメラ102によって生成された画像データを含む。パケット600は、CPU210によって生成される(ステップS560)。このような構成を有するパケット600が携帯電話100から相手先(携帯電話120)に送信されると、相手先の携帯電話120は、パケット600から画像データを抽出し、そのデータに基づく画像を表示する。たとえば、図1に示されるように、携帯電話120は、ディスプレイ124において、発信者としての携帯電話100の使用者150に対応する画像160を表示する。その結果、着信を受けた携帯電話120の使用者は、その発信元を画像により認識することができるため、なりすましなどによる不正な着信か否かを容易に判定することができる。
【0057】
以上のようにして、本発明の第1の実施の形態に係る携帯電話100は、発呼操作に応答して、操作者をカメラ102によって撮影し、画像信号を取得する。携帯電話100は、その画像信号と、メモリ270に格納されている画像データ(メモリ領域430)とを比較して、操作者が携帯電話100の使用者であるか否かを判定する。当該使用者が携帯電話100を操作している場合、携帯電話100は、その画像データあるいは生成された画像信号を使用してパケットデータを生成し、生成したパケットデータを発呼相手に送信する。そのパケットデータを受信した相手は、その画像データを抽出し、ディスプレイに表示する。
【0058】
このような構成により、携帯電話100の発呼者を表わす画像が相手先に表示されるため、相手先は、発呼者が誰であるかを確実に認識することができる。したがって、その電話を受けた受信者は、安心して電話に応じることができる。一方、そのような表示がされない電話を受けた受信者は、電話に応答する前に予めそのことを認識することができる。したがって、電話に応答するか否かも含めて、受信者による応答の自由度が向上し得る。
【0059】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態に係る映像伝送システムは、電話の発信者は、画像信号を送信する代わりに、発信者を特定するためのデータであって撮影によって得られた画像信号に基づくデータを送信する機能を有する点で、前述の第1の実施の形態に係る映像伝送システム10と異なる。この場合、発信者を具体的に認識する処理は、その情報の受信側である着信を受ける携帯電話によって行なわれる。
【0060】
なお、本実施の形態において、発信側の携帯電話は、第1の実施の形態における携帯電話100(図2)と同様のハードウェアによって実現される。そこで、以下の説明では、図2に示されるハードウェア構成を用いて行なう。
【0061】
まず、図7を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る携帯電話を実現するCPU210について説明する。図7は、CPU210によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。CPU210は、検知部310と、撮影制御部320とに加えて、特徴量算出部730と送信制御部740とを備える。特徴量算出部730は、カメラ102から出力される画像信号に基づいて被写体の特徴量を算出する。算出の結果は、送信制御部740に与えられる。
【0062】
送信制御部740は、その算出された特徴量を用いて送信用のパケットデータを生成し、相手先に送信するように送信部280を駆動する。この場合、送信制御部740によって生成されるパケットは、画像信号を含まないため、送信されるデータ量が少なくなる。その結果、通信による負荷が軽減され得る。
【0063】
そこで、図8を参照して、本実施の形態に係る携帯電話から発信されるパケット800について説明する。図8は、パケット800の構成を概念的に表わす図である。パケット800は、ヘッダ810と、ユーザデータ820とを含む。ヘッダ810は、宛先IPアドレス(相手先のアドレス)、送信元IPアドレス(本実施の形態に係る携帯電話のアドレス)と、パケット800の送信日時と、当該携帯電話の電話番号とを含む。ユーザデータ820は、特徴量算出部730によって算出された特徴量を含む。この場合、パケット800は、カメラ102から出力された画像信号を有さない点に注意されたい。
【0064】
このようなパケット800が送信されると、パケット800の受信者は、ユーザデータ820から特徴量を抽出し、その特徴量を用いてパケット800の送信者を認識する処理を実行する。
【0065】
そこで、図9を参照して、本実施の形態に係る受信側の携帯電話120について説明する。図9は、携帯電話120のハードウェア構成を表わすブロック図である。携帯電話120は、カメラ120およびディスプレイ124および操作部126に加えて、CPU910と、スピーカ920と、LED930と、マイク960と、メモリ970と、送信部980と、受信部990とを備える。
【0066】
CPU910は、携帯電話120に対して与えられる操作指示と携帯電話120に対して与えられる信号と携帯電話120において予め格納されているデータとのいずれかに基づいて予め規定された処理を実行し、携帯電話120の動作を制御する。ある局面において、CPU910は、操作部126に対する着信を受ける操作に従って、受信部990によって受けられた電話に対する応答を開始する。他の局面において、CPU910は、メモリ970に格納されているデータと受信部990によって受信された信号に含まれるデータとに基づいてデータの送信者を認識するための処理を実行する。他の局面において、CPU910は、カメラ122に対して撮影命令を送信し、カメラ122による撮影を実現する。他の局面において、CPU910は、カメラ122によって生成された画像信号あるいはメモリ970に格納されているデータもしくは受信部990によって受信されたデータに基づいて画像をディスプレイ124に表示する。
【0067】
スピーカ920は、CPU910から送られる音声信号に基づいて音声を出力する。
マイク960は、携帯電話120に対する発話を受け付けて、その発話に応じた音声信号を送信部980に送信する。
【0068】
メモリ970は、携帯電話120に特定の動作を実行させるためのデータおよびプログラムを格納している。当該データは、携帯電話120の製造時に作成されたデータ、携帯電話120の使用者によって入力されたデータ(たとえば使用者の名称その他の属性など)とを含む。プログラムは、携帯電話120に電話機としての動作を実現するためのファームウェアと、SIPに従ったIP電話を実現するための通信制御プログラムと、その他のアプリケーションプログラムとを含む。
【0069】
送信部980は、CPU910から送られるパケットあるいは音声信号を特定の相手先に送信する。
【0070】
受信部990は、携帯電話120に対する着信を受け付けて、その着信信号に含まれるデータをCPU910に送出する。他の局面において、受信部990は、パケットデータを受信し、そのパケットに含まれるユーザデータを抽出し、抽出したデータをCPU910に送出する。CPU910が入力を受けたデータは、メモリ970に格納される。
【0071】
次に、図10を参照して、携帯電話120のデータ構造について説明する。図10は、メモリ970におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。メモリ970は、データを格納するための複数のメモリ領域を含む。
【0072】
携帯電話120に対して割り当てられた電話番号は、メモリ領域1010に格納されている。携帯電話120の使用者の名前は、メモリ領域1020に格納されている。
【0073】
メモリ970は、電話帳としてのテーブル1030も含む。テーブル1030は、データ項目として、予め登録された通話相手を識別するデータと、当該相手の電話番号と、当該相手について予め取得された特徴量とを含む。より具体的には、登録された通話相手ID(Identification)は、メモリ領域1032に格納されている。当該相手の電話番号は、メモリ領域1034に格納されている。当該相手の特徴量(たとえばその相手の顔画像の特徴量)は、メモリ領域1036に格納されている。たとえば、Aさん(ID=01)から着信を受けた場合、その着信は、電話番号(メモリ領域1034)および特徴量(メモリ領域1036)の双方を用いて認証されることになる。
【0074】
メモリ970は、携帯電話120に固有の処理を実行させるためのプログラムをさらに格納している。より具体的には、電話の発信者を特定するためのプログラムは、メモリ領域1040に格納されている。携帯電話120が着信を受けたことを通知するプログラムは、メモリ領域1050に格納されている。携帯電話120の基本的な動作を実現するためのファームウェアは、メモリ領域1060に格納されている。CPU910が、発信者特定プログラム(メモリ領域1040)を実行すると、携帯電話120が受けた着信の各々について、その発信者を特定するための処理が行なわれる。この処理の詳細は後述する。
【0075】
着信通知制御プログラム(メモリ領域1050)がCPU910によって実行されると、携帯電話120は、着信を受けた相手に応じた通知動作(たとえばスピーカ920からの音声の出力、ディスプレイ124における表示態様の切り換えなど)が実現される。
【0076】
次に、図11を参照して、本実施の形態に係る携帯電話120を実現するCPU910について説明する。図11は、CPU910によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。CPU910は、特徴量抽出部1110と、判定部1120と、着信通知制御部1130とを含む。
【0077】
特徴量抽出部1110は、携帯電話120が受信部990を介して受信したパケットの中から特徴量を抽出する。より具体的には、携帯電話120がパケット800を受信した場合には、特徴量抽出部1110は、ユーザデータ820から特徴量を取り出し、メモリ970において確保したワーク領域に書き込む。
【0078】
判定部1120は、特徴量抽出部1110によって抽出された特徴量と、メモリ970において予め格納されている特徴量(メモリ領域1036)とに基づいて、電話の発信者が予め登録された通話相手であるか否かを判定する。より具体的には、CPU910は、これらの特徴量が一致する場合には、その電話の発信者は登録された通話相手(メモリ領域1032)であると判定する。なお、判定部1120による誤判定を防止するために、算出された特徴量とメモリ領域1036に格納されている特徴量との差について許容誤差が設けられてもよい。
【0079】
着信通知制御部1130は、判定部1120の判定の結果に基づいて、携帯電話120による着信の通知動作を制御する。より具体的には、電話の発信者が予め登録された通話相手である場合には、着信通知制御部1130は、その旨を表わす画像をディスプレイ124に表示する。他の局面において、着信通知制御部1130は、その旨を通知するものとして予め準備された音声データに基づいて音声をスピーカ920から出力する。さらに他の局面において、携帯電話120がLED(Light Emitting Diode)930その他の発光手段を有する場合には、着信通知制御部1130は、予め登録された通話相手からの着信であることを表わすものとして規定された発光動作を当該発光手段に実行させる。当該発光動作は、携帯電話120の使用者によって予め定められた色の発光、予め設定されたパターンによる点滅等を含む。
【0080】
次に、図12を参照して、本実施の形態に係る携帯電話120の制御構造について説明する。図12は、CPU910が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【0081】
ステップS1210にて、CPU910は、受信部990から送られるデータに基づいてパケット800を受信したことを検知する。ステップS1220にて、CPU910は、パケット800のヘッダ810に格納されている制御コードに基づいて、IP電話の着信を受けたことを検知する。ステップS1230にて、CPU910は、受信したパケット800から特徴量(ユーザデータ821)と、相手先の電話番号(ヘッダ810)とを抽出し、これらのデータをメモリ970のワーク領域に書き込む。
【0082】
ステップS1240にて、CPU910は、テーブル1030(図10)を参照して、抽出した電話番号に対応する特徴量がメモリ970に存在するか否かを判定する。CPU910は、その特徴量がメモリ970に存在すると判定すると(ステップS1240にてYES)、制御をステップS1250に切り換える。そうでない場合には(ステップS1240にてNO)、CPU910は、制御をステップS1270に切り換える。
【0083】
ステップS1250にて、CPU910は、IP電話の発信者の名前をメモリ領域1032から読出して、その名前をディスプレイ124に表示する。ステップS1260にて、CPU910は、スピーカ920に命令を送信することにより、着信を通知するための呼出音声を出力する。
【0084】
ステップS1270にて、CPU910は、未登録の相手からの電話であるメッセージをディスプレイ124に表示する。このメッセージは、メモリ970に予め準備されて格納されているものである。
【0085】
ここで、図13を参照して、携帯電話120による表示態様について説明する。図13(A)および図13(B)は、電話の着信を受けた携帯電話120がディスプレイ124に表示する画面を表わす図である。
【0086】
図13(A)を参照して、携帯電話120が未登録の相手から着信を受けた場合には、ディスプレイ124は、メッセージ1310として「着信!発信者は未登録です」と表示する。
【0087】
図13(B)を参照して、携帯電話120が予め登録された相手から着信を受けた場合には、ディスプレイ124は、メッセージ1320として「Aさんからの電話です」と表示し、さらに画像データが予め格納されている場合には、画像1330を併せて表示する。
【0088】
以上のようにして、本発明の第2の実施の形態に係る携帯電話120は、IP電話の発信者から受信した特徴量に基づいて当該発信者が予め着信を受ける可能性のある通話相手として登録されているか否かを判定する。特徴量による判定のため、通信回線に対する付加は軽減される。
【0089】
このような構成により、携帯電話120は、判定の結果に基づいて、発呼動作を切り換えることができる。たとえば、携帯電話120が、通話相手ごとに予め登録された特徴量と、通話相手の顔画像のデータを有していてもよい。この場合、受信した発呼信号に含まれる特徴量に基づいて顔画像のデータが特定される。そして、このデータに基づく顔画像がディスプレイに表示される。
【0090】
このようにすると、画像データそのものを送信する場合に比べてデータ伝送量が削減されるため、通信回線に対する負荷を増大することなく、通話相手を容易に特定し易くなる。
【0091】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る映像伝送システム10のシステム構成を表わす図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る携帯電話100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図3】携帯電話100を実現するCPU210によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。
【図4】携帯電話100のメモリ270におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【図5】携帯電話100のCPU210が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【図6】携帯電話100が送信するパケット600の構成を概念的に表わす図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る携帯電話を実現するCPU210によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る携帯電話から発信されるパケット800の構成を概念的に表わす図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る携帯電話120のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図10】携帯電話120のメモリ970におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【図11】携帯電話120のCPU910によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。
【図12】携帯電話120のCPU910が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【図13】電話の着信を受けた携帯電話120がディスプレイ124に表示する画面を表わす図である。
【符号の説明】
【0093】
10 映像伝送システム、100,120 携帯電話、102 カメラ、104,124 ディスプレイ、106,126 操作部、110,130 基地局、140 ネットワーク、150 使用者、160 画像、600,800 パケット、610 ヘッダ、620 ユーザデータ、1030 テーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビ電話装置であって、
インターネット・プロトコルに従って通信する電話手段と、
被写体を撮影して画像信号を出力するカメラと、
前記テレビ電話装置の使用者として予め登録された使用者の画像データを格納するメモリと、
前記電話手段による発信が開始されたときに前記カメラに被写体を撮影させる撮影制御手段と、
前記画像データと、前記カメラから出力された画像信号とに基づいて、撮影された被写体が前記予め登録された使用者であるか否かを判定する認識手段と、
前記電話手段の発信を行なった使用者が前記予め登録された使用者であると判定されたときに、前記発信によって特定される通話相手に、前記被写体の画像信号を送信する送信制御手段とを備える、テレビ電話装置。
【請求項2】
テレビ電話装置であって、
予め規定された通信プロトコルに従って通信する通信手段と、
被写体を撮影して画像信号を出力する撮影手段と、
前記通信手段による通信が開始されたときに前記撮影手段に被写体を撮影させる撮影制御手段と、
前記通信手段による通信の開始に応答して、前記撮影手段から出力された画像信号を、前記通信の相手先に送信する送信制御手段とを備える、テレビ電話装置。
【請求項3】
前記テレビ電話装置の使用者を識別する識別データを格納する記憶手段と、
前記撮影手段から出力された画像信号と、前記識別データとに基づいて、前記撮影手段によって撮影された被写体が前記使用者であるか否かを認識する認識手段とをさらに備え、
前記被写体は前記使用者であることが認識されたときに、前記送信制御手段は、前記被写体の画像を前記通信の相手先に送信する、請求項2に記載のテレビ電話装置。
【請求項4】
前記通信プロトコルは、インターネット・プロトコルを含む、請求項2に記載のテレビ電話装置。
【請求項5】
前記送信制御手段は、前記発信を表わす信号の送信前に、前記画像信号を送信する、請求項2に記載のテレビ電話装置。
【請求項6】
テレビ電話装置であって、
インターネット・プロトコルに従って、画像信号を受信する受信手段と、
前記テレビ電話装置の通信相手を表わす画像データと、前記画像データに関連付けられる通信相手とを格納するメモリと、
前記画像信号と前記画像データとが対応するか否かを判定する判定手段と、
前記画像信号が前記画像データに対応すると判定されると、前記画像信号の送信者が前記通信相手であることを表示する表示制御手段とを備える、テレビ電話装置。
【請求項7】
テレビ電話装置であって、
予め規定された通信プロトコルに従って、撮影によって取得された信号を受信する受信手段と、
前記テレビ電話装置の通信相手を特定するため識別データと、前記識別データに関連付けられる通信相手とを格納する記憶手段と、
前記信号と前記識別データとが対応するときに、前記信号の送信者が前記通信相手であることを通知する通知手段とを備える、テレビ電話装置。
【請求項8】
前記通知手段は、前記信号の送信者が前記通信相手であることを表示する表示手段を含む、請求項7に記載のテレビ電話装置。
【請求項9】
前記通知手段は、前記信号の送信者が前記通信相手であることを表わす音声を出力する音声出力手段を含む、請求項7に記載のテレビ電話装置。
【請求項10】
前記信号と前記識別データとが対応するか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記信号が前記識別データに対応すると判定されると、前記通知手段は、前記信号の送信者が前記通信相手であることを通知する、請求項7に記載のテレビ電話装置。
【請求項11】
前記信号は、被写体の撮影によって生成された画像信号を含み、
前記識別データは、前記テレビ電話装置の使用者を撮影することにより生成された画像データを含む、請求項7に記載のテレビ電話装置。
【請求項12】
前記信号は、被写体の撮影によって生成された画像信号から算出された特徴量を含み、
前記識別データは、前記テレビ電話装置の使用者の撮影によって生成された画像データから算出された特徴量を含む、請求項7に記載のテレビ電話装置。
【請求項1】
テレビ電話装置であって、
インターネット・プロトコルに従って通信する電話手段と、
被写体を撮影して画像信号を出力するカメラと、
前記テレビ電話装置の使用者として予め登録された使用者の画像データを格納するメモリと、
前記電話手段による発信が開始されたときに前記カメラに被写体を撮影させる撮影制御手段と、
前記画像データと、前記カメラから出力された画像信号とに基づいて、撮影された被写体が前記予め登録された使用者であるか否かを判定する認識手段と、
前記電話手段の発信を行なった使用者が前記予め登録された使用者であると判定されたときに、前記発信によって特定される通話相手に、前記被写体の画像信号を送信する送信制御手段とを備える、テレビ電話装置。
【請求項2】
テレビ電話装置であって、
予め規定された通信プロトコルに従って通信する通信手段と、
被写体を撮影して画像信号を出力する撮影手段と、
前記通信手段による通信が開始されたときに前記撮影手段に被写体を撮影させる撮影制御手段と、
前記通信手段による通信の開始に応答して、前記撮影手段から出力された画像信号を、前記通信の相手先に送信する送信制御手段とを備える、テレビ電話装置。
【請求項3】
前記テレビ電話装置の使用者を識別する識別データを格納する記憶手段と、
前記撮影手段から出力された画像信号と、前記識別データとに基づいて、前記撮影手段によって撮影された被写体が前記使用者であるか否かを認識する認識手段とをさらに備え、
前記被写体は前記使用者であることが認識されたときに、前記送信制御手段は、前記被写体の画像を前記通信の相手先に送信する、請求項2に記載のテレビ電話装置。
【請求項4】
前記通信プロトコルは、インターネット・プロトコルを含む、請求項2に記載のテレビ電話装置。
【請求項5】
前記送信制御手段は、前記発信を表わす信号の送信前に、前記画像信号を送信する、請求項2に記載のテレビ電話装置。
【請求項6】
テレビ電話装置であって、
インターネット・プロトコルに従って、画像信号を受信する受信手段と、
前記テレビ電話装置の通信相手を表わす画像データと、前記画像データに関連付けられる通信相手とを格納するメモリと、
前記画像信号と前記画像データとが対応するか否かを判定する判定手段と、
前記画像信号が前記画像データに対応すると判定されると、前記画像信号の送信者が前記通信相手であることを表示する表示制御手段とを備える、テレビ電話装置。
【請求項7】
テレビ電話装置であって、
予め規定された通信プロトコルに従って、撮影によって取得された信号を受信する受信手段と、
前記テレビ電話装置の通信相手を特定するため識別データと、前記識別データに関連付けられる通信相手とを格納する記憶手段と、
前記信号と前記識別データとが対応するときに、前記信号の送信者が前記通信相手であることを通知する通知手段とを備える、テレビ電話装置。
【請求項8】
前記通知手段は、前記信号の送信者が前記通信相手であることを表示する表示手段を含む、請求項7に記載のテレビ電話装置。
【請求項9】
前記通知手段は、前記信号の送信者が前記通信相手であることを表わす音声を出力する音声出力手段を含む、請求項7に記載のテレビ電話装置。
【請求項10】
前記信号と前記識別データとが対応するか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記信号が前記識別データに対応すると判定されると、前記通知手段は、前記信号の送信者が前記通信相手であることを通知する、請求項7に記載のテレビ電話装置。
【請求項11】
前記信号は、被写体の撮影によって生成された画像信号を含み、
前記識別データは、前記テレビ電話装置の使用者を撮影することにより生成された画像データを含む、請求項7に記載のテレビ電話装置。
【請求項12】
前記信号は、被写体の撮影によって生成された画像信号から算出された特徴量を含み、
前記識別データは、前記テレビ電話装置の使用者の撮影によって生成された画像データから算出された特徴量を含む、請求項7に記載のテレビ電話装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−199509(P2008−199509A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35176(P2007−35176)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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