説明

テープの巻き面形状評価装置

【課題】透明フランジを有するリールの巻き芯に巻回されたテープの巻き面形状評価装置であって、透明フランジ面の傾斜によってテープからの反射光の分離ができなかった点、巻き面全体の形状評価ができなかった点を解決する。
【解決手段】透明フランジを有するリールの巻き芯に巻回されたテープの巻き面形状評価装置であって、テープの、巻き芯に接して巻回された最内周部におけるテープの巻き面に対して透明フランジ越しにレーザ照射を行い、テープの巻き面からの反射受光量を検出することにより、反射受光量から計測された、対物レンズからテープの巻き面までの距離を基準位置として、テープの巻き面の高度差計測を行う計測部と、前記計測部に対して略平行に透明フランジを有するリールを移動可能とする移動部と該計測部から透明フランジ越しにレーザ照射された入射光と透明フランジ面との角度が略垂直になるように傾斜角度を制御可能とする制御部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明フランジを有するリールの巻き芯に巻回されるテープの巻き面形状を評価するテープの巻き面形状評価装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にテープ(薄くて細長い帯状のもの)は、リールの巻き芯に巻回された状態で出荷される。この際、巻き芯に巻回されたテープの巻き面形状が悪いと、外観を悪くするのは言うまでもなくその他の不具合も多々発生する。例えば、テープの巻き面形状が悪いと、テープの巻き面から突出したテープのエッジとフランジとが擦れることでテープのエッジが折れてしまい、特に短波長化やトラックピッチの狭幅化された、コンピューターバックアップ用の高記録密度磁気テープにおいては、繰り返し走行時におけるエラーレートの上昇やサーボエラーによる再生出力の低下など、磁気テープの記録再生上において懸念される問題を引き起こしてしまう。尚、テープの巻き面とはリールの巻き芯に巻回したテープの厚み方向のエッジで形成される面のことをいう。とりわけ磁気テープを高記録密度化することを要求される近年においては、磁気テープの巻き面形状評価が特に重要視されている。
【0003】
従来、この種の装置について、例えば、特許文献1には、フランジの無いリールの巻き芯に巻かれた印刷フィルム等の巻き面に斜め上方から光照射を行い、その反射光を画像処理することでその巻き面を評価する装置が開示されている。また、特許文献2には、磁気テープの巻き面に沿ってレーザ照射を行うレーザ照射装置(投光部)および受光部で構成されており、磁気テープの巻き面とフランジ間の隙間に突出している磁気テープの位置を計測する装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−337827号公報
【特許文献2】特開2003−341942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において提案される方法では、対象がリールを有しない印刷フィルム等のロール状に巻回してなる被検査物の巻き面形状を計測する装置である。従って、透明フランジを有するリールの巻き芯に巻回されたテープの場合、特許文献1で開示された装置では、透明フランジからの反射光と磁気テープの巻き面からの反射光とを分離ができず磁気テープの巻き面形状を評価するに至らなかった。また、特許文献2において提案される方法では、レーザ照射された入射光の方向が磁気テープの巻き面と略平行なために、最大突出量を示す磁気テープの位置より巻き芯側に存在する、フランジと磁気テープの巻き面の隙間に突出した磁気テープの検出ができず、巻き面全体の形状評価に至らなかった。
【0006】
そこで、本発明は従来の巻き面形状評価装置において、透明フランジ面の傾斜によってテープからの反射光の分離ができなかった点および巻き面全体の形状評価ができなかった点を解決し、テープの巻き面形状評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、透明フランジ面が傾斜を有するときでも巻き面全体の形状を評価する装置について鋭意検討した結果、完成したものである。すなわち、透明フランジを有するリールの巻き芯に巻回されたテープの巻き面形状評価装置であって、テープの巻き面形状評価装置は、少なくとも計測部と移動部と制御部を有し、計測部は、巻き芯に接して巻回された最内周部におけるテープの巻き面を基準高さとして、テープの巻き面の高度差計測を行い、移動部は、前記計測部に対して略平行に透明フランジを有するリールを移動可能とし、制御部は、該計測部から透明フランジ越しにレーザ照射された入射光と透明フランジ面との角度が略垂直になるように傾斜角度を制御可能とするテープの巻き面形状評価装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、透明フランジ面の傾斜によって透明フランジからの反射光とテープ巻き面からの反射光との分離ができなかった点および巻き面全体の形状評価ができなかった点を解決し、テープでも巻き面全体について評価することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図に基づいて本発明に係るテープの巻き面形状評価装置について詳しく説明する。尚、被評価対象物であるテープの一例として、磁気テープで説明を行う。
【0010】
図1は、磁気テープの代表例の斜視図である。本発明は、図2に示すように、リールの巻き芯Hの両端に透明フランジCF、下フランジBFが形成されるリールRにおいてそのリールの巻き芯Hに巻回された磁気テープの巻き面RP形状を評価する装置である。
【0011】
透明フランジCFを有するリールの最内周部での磁気テープの巻き面RPに対して透明フランジCF越しにレーザ照射を行い、磁気テープの巻き面RPからの反射受光量を検出することにより、反射受光量から計測された、対物レンズから磁気テープの巻き面までの距離を基準位置として磁気テープの巻き面RPの高度差計測を行う計測部1、前記計測部1に対して略平行に透明フランジCFを有するリールRを移動可能とする移動部2および前期計測部1から透明フランジ越しCFにレーザ照射された入射光と透明フランジ面の傾斜角度が略垂直になるように傾斜角度を制御可能とする制御部3を主な構成要素とする。
【0012】
本発明の計測部に採用される機器としては、共焦点の原理を利用した株式会社キーエンス製のレーザフォーカス変位計LT−8110等が挙げられる。共焦点に関しては次の計測原理とともに説明する。
【0013】
計測原理を模式的にあらわした図3に示すように、計測部はレーザ照射装置4や受光器5の他に光の一部を透過させ一部を反射するように片面が鏡となるハーフミラーHM、焦点が得られた面からの反射光のみ通過させるピンホール板P、コリメートレンズL1、対物レンズL2、対物レンズL2を高速振動させる音叉Oを備えている。レーザ照射装置4からレーザを発すると、このレーザは、ハーフミラーHMやコリメートレンズL1、対物レンズL2を透過して被測定物S上に照射される。本発明の場合、被測定物はリールに巻回された磁気テープである。その際、対物レンズL2は音叉Oにより高速振動が行われ、コリメートレンズL1と対物レンズL2の相対位置を随時変化させることにより、被測定物Sとの焦点調整を行う。被測定物からの反射光は、コリメートレンズL1、対物レンズL2を透過するとハーフミラーHMで所定の方向に反射され、焦点が得られた面からの反射光のみ、ピンホール板Pのピンホールを通って受光器5でその受光量が計測される。被測定物S上で焦点が一致したときにのみピンホール板P上で反射光の焦点と一致する。これを共焦点と称している。焦点を結んだときの音叉Oによって高速振動された対物レンズL2の位置を音叉位置検出センサ(図示してない)により検出し、対物レンズL2から被測定物Sまでの距離が計測される。
【0014】
実際に磁気テープの巻き面RPに対して透明フランジCF越しにレーザ照射を行った場合、音叉Oにより対物レンズL2を高速振動させ焦点調整を行っているため、磁気テープの巻き面RP上での焦点の他に、透明フランジCFの表面および裏面上で焦点が一致し、その結果3つの反射受光量が発生する。
【0015】
図4は透明フランジCFを有するリールに巻回された磁気テープの、巻き芯に接して巻回された最内周部Aから磁気テープの最外周部までの磁気テープの巻き面RPに対して透明フランジCF越しにレーザ照射を行った場合の、対物レンズL2の移動距離と透明フランジCFの表面、裏面および磁気テープの巻き面RPからの反射受光量との関係を示す。磁気テープの巻き面RPに焦点調整する過程で、透明フランジCF表面および裏面での焦点が先に一致する。音叉Oにより対物レンズL2を高速振動させ焦点調整を行い反射受光量が最大となった対物レンズL2の位置が焦点一致した位置であり、透明フランジCF表面で焦点一致した際の対物レンズL2の位置αでの反射受光量は最大となる。透明フランジCFの裏面で焦点一致した際の対物レンズL2の位置βでの反射受光量はαより小さい。これは透明フランジCFの裏面からの反射光が透明フランジ中を透過していく過程で乱反射等があるためである。磁気テープの巻き面RP上で焦点一致した際の対物レンズL2の位置γでの反射受光量はα、β位置での反射受光量よりさらに小さい。
【0016】
透明フランジCFの表面および裏面上の焦点に起因する反射受光量を除外し、磁気テープの巻き面RPからの反射受光量のみを得るためには、制御演算装置(図示してない)によって透明フランジCFの裏面上で焦点一致した対物レンズL2の位置βからコリメートレンズ側において焦点一致した際の反射受光量を除外する高度差閾値設定を行うことにより、磁気テープの巻き面RPからのみの反射受光量を抽出することが可能となる。透明フランジCFを有する磁気テープの最内周部Aにおける磁気テープの巻き面RP上で焦点一致した際の対物レンズL2の位置γを音叉位置検出センサ(図示してない)により検出し、反射受光量から計測された、対物レンズL2から磁気テープの巻き面RPまでの距離を基準位置として、計測部1に対して略平行に透明フランジを有するリールを移動可能とする移動部2により移動を行った場合の各磁気テープの巻き面RPの焦点一致した位置を計測することにより、対物レンズとリールR全体での磁気テープの巻き面RPとの距離(以下高度差と略する)を確認することができる。
【0017】
移動部2は、計測部1に対して略平行に磁気テープを移動させることができる。本機構としては株式会社アイエイアイ製小型リニアサーボアクチュエータ,LSA−H8SS等をはじめとする単軸ロボアクチュエータが挙げられる。計測部1を移動させることも考えられるが、移動に伴って発生する計測器自体の振動の影響を受け、光の照射位置制御が困難となる。一方、移動部2にてリールRを動かすことにより、光自体には移動による振動の影響を与えることなく、微小な移動距離制御が可能となり、かつ効率的であるといえる。移動部2の移動速度に関しては、光の反射応答速度よりも遅いことが好ましい。
【0018】
移動部2においては、上記アクチュエータに限定する必要は無く、計測部1に対して略並行にリールRを移動させることのできる装置であれば、本発明の目的は達成される。
【0019】
制御部3は、計測部1から透明フランジCF越しにレーザ照射された入射光と透明フランジ面との角度が略垂直になるように角度を制御させることができる。
【0020】
本発明の評価装置では、磁気テープの巻き面RPの焦点に起因する反射受光量のみを得るために、透明フランジCFの表面および裏面上の焦点に起因する反射受光量を除外することが必要である。そのため透明フランジCFの裏面上で焦点が合った時の対物レンズL2の位置よりコリメートレンズL1側おいて焦点が一致した際の反射受光量を除外する高度差閾値設定を行うことにより、磁気テープの巻き面RPからの反射受光量のみを抽出し、正確な磁気テープの巻き面RPの高度差を得ることができる。しかしながら、一般に透明フランジCFはリールRの半径方向に傾斜が設けられているので、透明フランジCF表面および裏面の焦点距離はリールの巻き芯H近傍の点から最外周の点まで一定ではなくなるため、高度差閾値設定を行うことができず、正確な磁気テープの巻き面形状測定を行うことはできない。そこで、計測部1から透明フランジCF越しにレーザ照射された入射光と透明フランジ面との傾斜角度を制御することを考えた。すなわち、計測部1でレーザ照射された光に対して、初めに照射される側の透明フランジ面が略垂直となるように制御する制御部3を設置した。制御部3においては、中央精機株式会社の二軸ゴニオスリムステージTD−913を初めとするゴニオステージが挙げられるが、上記ゴニオステージに限定する必要は無く、透明フランジ面の傾斜角度を補正できる装置であれば、本発明の目的は達成される。
【0021】
以下、図面を参照し、本発明の記録テープの巻き面形状評価装置について説明する。実施例および比較例はそれぞれ、本発明に係る記録テープの巻き面形状評価装置における透明フランジ面の傾斜補正を行って評価を行った場合および透明フランジ面の傾斜補正を行わずに評価を行った場合である。尚、実施例・比較例では共に、記録テープの一例として磁気テープを用いている。
【0022】
(比較例)
図5は比較例においてリールRを計測部1に対して、磁気テープの最内周部Aを基準に磁気テープMTの巻き外側方向へ、すなわち磁気テープの最外周方向へ略平行移動させた時のレーザ照射位置の模式図を示す。位置Aはリールの巻き芯Hに巻回された磁気テープの最内周部、位置Bは透明フランジCFの中央部、位置Cは透明フランジCFの巻き外側部でのレーザ照射位置を示す。以下、各位置において、透明フランジCF越しにレーザ照射を行った場合の、対物レンズL2の移動距離と透明フランジCFの表面、裏面および磁気テープの巻き面RPからの反射受光量との関係、テープ巻き位置に対する磁気テープの巻き面RPの高度差の詳細説明をする。
【0023】
図6は比較例でのレーザ照射位置A、BおよびCの対物レンズL2の移動距離と透明フランジCFの表面、裏面および磁気テープの巻き面RPからの反射受光量との関係を示す。
【0024】
α、βおよびγはそれぞれ透明フランジCFの表面、裏面および磁気テープの巻き面RP上での焦点一致したときの対物レンズの位置を示し、直線6は透明フランジCFの表面、裏面上での焦点に起因する反射受光量と磁気テープの巻き面RPからの反射受光量を分離する対物レンズL2の位置を示す高度差閾値直線を表す。
【0025】
レーザ照射位置Aでは透明フランジCFの表面および裏面上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置α、βが磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γよりコリメートレンズL1側に発生する。磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γでの反射受光量のみを検出するために高度差閾値直線6を透明フランジCFの表面および裏面上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置α、βと磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γとの間に設定する。この高度差閾値直線6よりコリメートレンズL1側に位置する反射受光量は検出しないように制御演算装置(図示しない)を作動させるため、磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γでの反射受光量のみ計測が可能である。
【0026】
レーザ照射位置Bでは透明フランジ面に傾斜があるため透明フランジCFの表面および裏面上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置α、βはレーザ照射位置Aと比較してコリメートレンズL1側に移動する。また、磁気テープMTが透明フランジCF側に巻かれている場合、磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γも同様に移動するため、前項で設定した高度差閾値直線6の位置に磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γが接近し、これ以上磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γが、高度差閾値直線6の位置よりもコリメートレンズL1側に移動すると計測が不可の状態になる。
【0027】
レーザ照射位置Cでは透明フランジ面に傾斜があるため透明フランジCFの表面および裏面上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置α、βはレーザ照射位置Bと比較して更にコリメートレンズL1側に移動する。また、磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γも更に上がるため、高度差閾値直線6よりコリメートレンズL1側に磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γが発生し、磁気テープの巻き面RPの高度差情報は得られない形になる。
【0028】
図7は比較例でのレーザ照射位置A、BおよびCの磁気テープ巻きの位置に対する磁気テープの巻き面の高度差を示す。レーザ照射位置AからBにおいては、磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γが高度差閾値直線6を越えないため、透明フランジCFを有するリールの巻き芯Hの先端部Aにおける磁気テープの巻き面RP上で焦点一致した際の対物レンズL2の位置γを音叉位置検出センサが作動しているので、反射受光量から計測された、対物レンズL2から磁気テープの巻き面RPまでの距離を基準位置として、磁気テープの巻き面RPの高度差情報が得られている。レーザ照射位置Bより透明フランジの外側の位置においては、磁気テープの巻き面RP上で焦点一致した際の対物レンズL2の位置γが高度差閾値直線6よりコリメートレンズL1側に移動するため、磁気テープの巻き面RPの高度差情報は得られない。
【0029】
(実施例)
図8は実施例において、計測部1に対して略平行に磁気テープを移動させることができる制御部3を設置して透明フランジ面の傾斜補正を行った形で、リールRを計測部1に対して最内周部Aを始点として、磁気テープMTの巻き外側方向へ略平行移動させた時のレーザ照射位置の模式図を示す。位置Aはリールに巻回された磁気テープの最内周部、位置Bは透明フランジCFの中央部、位置Cは透明フランジCFの巻き外側部でのレーザ照射位置を示す。以下、各位置において、透明フランジCF越しにレーザ照射を行った場合の、対物レンズL2の移動距離と透明フランジCFの表面、裏面および磁気テープの巻き面RPからの反射受光量との関係、テープ巻き位置に対する磁気テープの巻き面RPの高度差の詳細説明をする。
【0030】
図9は本発明の実施例におけるレーザ照射位置A、BおよびCの対物レンズL2の移動距離と透明フランジCFの表面、裏面および磁気テープの巻き面RPからの反射受光量との関係を示す。α、βおよびγはそれぞれ透明フランジCFの表面、裏面および磁気テープの巻き面RP上での焦点一致したときの対物レンズの位置を示し、直線6は透明フランジCFの表面、裏面上での焦点に起因する反射受光量と磁気テープの巻き面RPからの反射受光量を分離する高度差閾値直線を示す。
【0031】
レーザ照射位置Aでは透明フランジCFの表面および裏面上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置α、βが磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γよりコリメートレンズL1側に発生する。磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γのみを検出するために高度差閾値直線6を透明フランジCFの表面および裏面上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置α、βと磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γとの間に設定する。この高度差閾値直線6より高度差が高い位置の反射受光量は検出しないように制御演算装置(図示しない)を作動させるため、磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γでの反射受光量のみ計測が可能である。
【0032】
レーザ照射位置BおよびCでは透明フランジ面の傾斜補正を行っている為、透明フランジCFの表面および裏面上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置α、βはレーザ照射位置Aの場合である。また、磁気テープMTが透明フランジCF側に巻かれている場合においても、制御部3により透明フランジCFの傾斜補正を行っている為、磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γがコリメートレンズL1側へ移動することはなく、レーザ照射位置Aの場合と同様に磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γの反射受光量のみ計測が可能で磁気テープの巻き面RPの高度差情報が得られる状態である。
【0033】
図10は実施例でのレーザ照射位置A、BおよびCの磁気テープ巻き位置における磁気テープの巻き面RPの高度差を示す。レーザ照射位置A、BおよびCの各位置いずれも透明フランジ面の傾斜補正を行っている為、磁気テープの巻き面RP上での焦点一致した際の対物レンズL2の位置γにおける反射受光量が高度差閾値直線6を越えず、磁気テープの巻き面RPの高度差情報が得られている。

【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の対象となる磁気テープの代表例の斜視図
【図2】本発明による磁気テープの巻き面形状評価装置の実施例を示す図
【図3】巻き面形状評価装置計測部の原理図
【図4】対物レンズL2の移動距離と反射受光量との関係図
【図5】比較例におけるレーザ照射位置の模式図である。
【図6】比較例における対物レンズL2の移動距離と反射受光量との関係図
【図7】比較例でのレーザ照射位置A、BおよびCと磁気テープの巻き面の高度差との関係を示す図
【図8】実施例において、リールRを略平行移動させた時のレーザ照射位置の模式図。
【図9】実施例における対物レンズL2の移動距離と反射受光量との関係図
【図10】実施例でのレーザ照射位置A、BおよびCと磁気テープの巻き面の高度差との関係を示す図
【符号の説明】
【0035】
R リール
H リールの巻き芯
CF 透明フランジ
MT 磁気テープ
BF 下フランジ
RP 磁気テープの巻き面
1 磁気テープの巻き面RPの高度差計測を行う計測部
2 計測部1に対して略平行にリールRを移動可能とする移動部
3 計測部1からの入射光と透明フランジ面の傾斜角度が略垂直になるように傾斜角度を制御能とする制御部
4 レーザ投光器
5 レーザ受光器
P ピンポール板
HM ハーフミラー
L1 コリメートレンズ
L2 対物レンズ
O 音叉
S 被測定物
A 磁気テープの最内周部でのレーザ照射位置
B 透明フランジCFの中央部でのレーザ照射位置
C 透明フランジCFの巻き外側でのレーザ照射位置
α 透明フランジ表面で焦点一致したときの対物レンズの位置
β 透明フランジ裏面で焦点一致したときの対物レンズの位置
γ 磁気テープの巻き面で焦点一致したときの対物レンズの位置
6 反射受光量を分離する高度差閾値直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明フランジを有するリールの巻き芯に巻回されたテープの巻き面形状評価装置であって、
テープの巻き面形状評価装置は、少なくとも計測部と移動部と制御部を有し、
計測部は、巻き芯に接して巻回された最内周部におけるテープの巻き面を基準高度として、テープの巻き面の高度差計測を行い、
移動部は、前記計測部に対して略平行に透明フランジを有するリールを移動可能とし、
制御部は、該計測部から透明フランジ越しにレーザ照射された入射光と透明フランジ面との角度が略垂直になるように傾斜角度を制御可能とするテープの巻き面形状評価装置。
【請求項2】
テープは磁気テープである請求項1の評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−232661(P2008−232661A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69045(P2007−69045)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】