説明

テープフィーダ及び電子部品実装装置

【課題】ピックアップ位置におけるキャリアテープの幅方向の位置のばらつきを抑制して電子部品のピックアップミスの発生頻度を低減できるテープフィーダ及び電子部品実装装置を提供する。
【解決手段】テープ押さえ部材20に、後縁部20cがテープ送り方向と直交する方向に対して傾いて延びているトップテープ引出口20bを設ける。トップテープ16を後縁部20cに対して直交する方向に引っ張ると、キャリアテープ14には当該キャリアテープ14を斜め前方に押し出す力(推力)F1が働く。この推力の一部はテープ送り方向に押し出す力F2となるが、他の一部はキャリアテープ14を幅方向に付勢する力F3となって、キャリアテープ14をテープ通路5b上に設けられた当接部21に当接させるので、キャリアテープ14は当接部21に当接した状態のままピッチ送りされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装装置に装着され、キャリアテープに保持された電子部品を実装ヘッドによるピックアップ位置に供給するテープフィーダ及びこのテープフィーダを備えた電子部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装装置における電子部品の供給装置としてテープフィーダが知られている。このテープフィーダは、電子部品を収容したキャリアテープをピッチ送りすることにより、電子部品実装装置に備えられた実装ヘッドによるピックアップ位置(部品取出位置)に電子部品を供給するものである。キャリアテープは、電子部品の収納部(部品収納部)を有したベーステープと、ベーステープの上面に貼り付けられ部品収納部から電子部品が脱落することを防止するトップテープから成り、リールに巻き付けられた状態で供給される。
【0003】
テープフィーダは、上記リールを保持するとともにキャリアテープの通路(テープ通路)を有したフィーダ本体、フィーダ本体に設けられてキャリアテープの送り動作を行うスプロケット及びテープ通路上を送られるキャリアテープのピックアップ位置付近を上方から押さえるテープ押さえ部材を備えて成る。スプロケットは外周部に設けられた突起をキャリアテープに設けられた送り孔に係合させて間歇回転し、これによりキャリアテープはピッチ送りされて部品収納部内の電子部品がピックアップ位置に連続的に供給される。
【0004】
このようなテープフィーダにおけるキャリアテープの送り動作において、トップテープはキャリアテープ(ベーステープ)の部品収納部がピックアップ位置に到達する前に引き剥がされた後、テープ押さえ部材に設けられたトップテープ引出口から上方に引き出されてトップテープ回収機構によって回収される。このときトップテープは、トップテープ引出口を形成するトップテープの送り方向と直交する方向に延びた一つの縁部に接した状態でキャリアテープの送り方向と反対の方向に折り返されて引き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−175045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記従来のテープフィーダでは、スプロケットとその回転軸との間にはスプロケットの取り付けに起因する遊びがあり、その遊びによってスプロケットの突起の回転軌道が設計上の回転軌道に対してぶれる場合があった。このため、テープ通路上を進行するキャリアテープはその幅方向に対して変位し、ピックアップ位置でのキャリアテープの幅方向の位置にばらつきが生じてピックアップ位置への電子部品の供給が安定せず、これにより実装ヘッドによるピックアップミスが発生するという問題があった。特に、この問題は微小な電子部品をピックアップ対象とする場合に顕著であった。
【0007】
そこで本発明は、ピックアップ位置におけるキャリアテープの幅方向の位置のばらつきを抑制して電子部品のピックアップミスの発生頻度を低減できるテープフィーダ及び電子部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のテープフィーダは、電子部品を収容したベーステープの上面をトップテープによって封止して成るキャリアテープをピッチ送りすることによりピックアップ位置に電子部品を供給するテープフィーダであって、前記キャリアテープの通路であるテープ通路を有したフィーダ本体と、外周部に設けられた突起を前記ベーステープに設けられた送り孔に係合させて間歇的に回転することにより、前記テープ通路上で前記キャリアテープをテープ送り方向へピッチ送りさせるスプロケットと、前記テープ通路上をピッチ送りされるキャリアテープの一部を上方から押さえるとともに、前記ベーステープから引き剥がされて前記テープ送り方向と反対の方向に折り返されたトップテープが上方に引き出されるトップテープ引出口を有するテープ押さえ部材と、前記トップテープ引出口から上方に引き出された前記トップテープを前記テープ送り方向と反対の方向に引っ張って回収するトップテープ回収機構とを備え、前記トップテープ引出口においてトップテープの折り返し部分と接する縁部は、前記テープ送り方向と直交する方向に対して傾いている。
【0009】
請求項2記載のテープフィーダは、請求項1記載のテープフィーダであって、前記フィーダ本体部及び前記テープ押さえ部材の少なくとも一方に、前記テープ通路上をピッチ送りされるキャリアテープの幅方向の側面の一部と当接して前記キャリアテープの幅方向の位置決めを行う当接部を備えた。
【0010】
請求項3記載の電子部品実装装置は、基板を位置決めして保持する基板保持部と、電子部品を収容したベーステープの上面をトップテープによって封止して成るキャリアテープをピッチ送りすることによりピックアップ位置に電子部品を供給するテープフィーダと、前記ピックアップ位置に供給された電子部品をピックアップして前記基板保持部に保持された基板に実装する実装ヘッドを備えた電子部品実装装置であって、前記テープフィーダは、前記キャリアテープの通路であるテープ通路を有したフィーダ本体と、外周部に設けられた突起を前記ベーステープに設けられた送り孔に係合させて間歇的に回転することにより、前記テープ通路上で前記キャリアテープをテープ送り方向へピッチ送りさせるスプロケットと、前記テープ通路上をピッチ送りされるキャリアテープの一部を上方から押さえるとともに、前記ベーステープから引き剥がされて前記テープ送り方向と反対の方向に折り返されたトップテープが上方に引き出されるトップテープ引出口を有するテープ押さえ部材と、前記トップテープ引出口から上方に引き出された前記トップテープを前記テープ送り方向と反対の方向に引っ張って回収するトップテープ回収機構とを備え、前記トップテープ引出口においてトップテープの折り返し部分と接する縁部は、前記テープ送り方向と直交する方向に対して傾いている。
【0011】
請求項4記載の電子部品実装装置は、請求項3記載の電子部品実装装置であって、前記フィーダ本体部及び前記テープ押さえ部材の少なくとも一方に、前記テープ通路上をピッチ送りされるキャリアテープの幅方向の側面の一部と当接して前記キャリアテープの幅方向の位置決めを行う当接部を備えた。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、トップテープ引出口においてトップテープの折り返し部分と接する縁部はテープ送り方向と直交する方向に対して傾いており、トップテープがテープ送り方向と反対の方向に引っ張られてベーステープから剥離される際に、トップテープがキャリアテープをテープ送り方向に押し出す力(推力)の一部がキャリアテープを幅方向に付勢する力となってキャリアテープをフィーダ本体又はテープ押さえ部材の一部(或いはフィーダ本体又はテープ押さえ部材に設けた当接部)に当接させるので、キャリアテープはフィーダ本体又はテープ押さえ部材の一部(或いは当接部)に当接した状態のまま進行することになる。これにより、ピックアップ位置におけるキャリアテープの位置のばらつきを抑制することができ、ピックアップ位置への電子部品の供給を安定させて実装ヘッドによる電子部品のピックアップミスの発生頻度を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の平面図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の部分断面図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
【図4】(a)本発明の一実施の形態のキャリアテープの斜視図(b)本発明の一実施の形態のキャリアテープの断面図
【図5】本発明の一実施の形態のテープフィーダの斜視図
【図6】本発明の一実施の形態のテープフィーダの断面図
【図7】(a)本発明の一実装の形態のテープフィーダの部分斜視図(b)本発明の一実施の形態のテープフィーダの幅方向の断面図
【図8】本発明の一実装の形態のテープフィーダの部分平面図
【図9】本発明の一実装の形態のテープフィーダの部分平面図
【図10】(a)(b)本発明の他の実装の形態のテープフィーダの幅方向の断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず図1、図2を参照して電子部品実装装置の構造を説明する。図2は、図1におけるA−A断面を部分的に示している。図1において基台1の中央にはX方向(基板搬送方向)に搬送路2が配設されており、上流側から搬入された基板3を搬送し実装ステージに位置決めする。搬送路2は基板3を位置決めして保持する基板保持部となっている。搬送路2の両側方には複数のテープフィーダ5から成る部品供給部4が設けられている。各テープフィーダ5は、電子部品Pを保持したキャリアテープ14(図4参照)をピッチ送りすることにより、所定のピックアップ位置[S]に電子部品Pを供給する。
【0015】
基台1上面の両端部上にはY軸テーブル6A,6Bが配設されており、Y軸テーブル6A、6B上には2台のX軸テーブル7A,7Bが架設されている。Y軸テーブル6Aを駆動することにより、X軸テーブル7AがY方向に水平移動し、Y軸テーブル6Bを駆動することにより、X軸テーブル7BがY方向に水平移動する。X軸テーブル7A,7BにはX方向に移動自在なプレート7aが設けられており、プレート7aには実装ヘッド8および実装ヘッド8と一体的に移動する基板認識カメラ9が装着されている。
【0016】
実装ヘッド8には電子部品Pをピックアップするための吸着ノズル8aが装着されており、昇降機構(不図示)を介して昇降するようになっている。実装ヘッド8及び基板認識カメラ9は、Y軸テーブル6A,X軸テーブル7A,Y軸テーブル6B,X軸テーブル7Bをそれぞれ組み合わせて駆動することにより水平移動させることができる。また、部品供給部4と搬送路2の間の領域には部品認識カメラ10が配設されている。
【0017】
次に、図3を参照して電子部品実装装置の制御系の構成について説明する。制御部40は演算処理装置であり、記憶部41に記憶された各種の処理プログラムを実行することにより、電子部品実装装置の各部の動作や処理を制御する。即ち、搬送路2、Y軸テーブル6A,6B、X軸テーブル7A,7B、吸着ノズル8aを含む実装ヘッド8、基板認識カメラ9、部品認識カメラ10、及びテープフィーダ5は、制御部40によって動作制御がなされる。
【0018】
次に、電子部品Pの実装動作を説明する。制御部40は搬送路2を制御することによって、上流側から搬入された基板3の搬送を行って基板3を所定の実装作業位置に位置決めする。次いで、制御部40は基板認識カメラ9を基板3上まで移動させて上方から基板3を撮像して認識し、この認識結果を基に基板3の位置ずれを検出する。次いで、制御部40は実装ヘッド8を部品供給部4まで移動させ、テープフィーダ5においてピックアップ位置[S]に供給された電子部品Pを吸着ノズル8aによってピックアップする。
【0019】
次いで、制御部40は電子部品Pをピックアップした実装ヘッド8を部品認識カメラ10上まで移動させ、吸着ノズル8aに保持された電子部品Pを撮像して認識する。これにより、吸着ノズル8aに保持された状態における電子部品Pの位置が認識される。次いで、制御部40は実装ヘッド8を搬送路2に保持された基板3上まで移動させ、基板3上の所定の実装位置に対して吸着ノズル8aを下降させて電子部品Pを実装する。この電子部品Pの実装に際しては、基板3の位置ずれ及び吸着ノズル8aに保持された電子部品Pの当該吸着ノズル8aに対する位置を加味したうえで、吸着ノズル8aの基板3に対する下降位置が補正される。実装作業を終えた基板3は、その後下流に搬出される。
【0020】
このような構成を有する電子部品実装装置において、各テープフィーダ5はフィーダ装着用の台車11によって運搬され、台車11が基台1に結合されることによって基台1に取り付けられる。基台1に取り付けられた状態のテープフィーダ5は搬送路2と直交する方向(Y方向)に延び、この方向をテープフィーダ5の前後方向と定義する。また、このテープフィーダ5の前後方向のうち、搬送路2に向く方向を前方、その反対の方向を後方とする。
【0021】
図2において、各テープフィーダ5のキャリアテープ14はテープリール13に巻回状態で収納されており、各テープリール13は台車11に設けられたリール保持部12によって回転自在に保持されている。キャリアテープ14は、テープリール13の回転動作に応じて上方に引き出される。
【0022】
図4(a)、(b)において、キャリアテープ14は凹状の収容部15aが定ピッチで形成されたベーステープ15と、ベーステープ15の上面を封止するトップテープ16から成っており、収容部15aには電子部品Pが収容されている。またベーステープ15の一側部には、後述するスプロケットの外周部に設けられた突起と係合する送り孔15bが定ピッチで形成されている。
【0023】
図5、図6において、各テープフィーダ5は主としてフィーダ本体5a、スプロケット17、テープ押さえ部材20、トップテープ回収機構22から成っている。フィーダ本体5aは、キャリアテープ14の通路である前後方向に延びたテープ通路5bを有しており、テープリール13から引き出されたキャリアテープ14をテープ通路5bの上面に添ってフィーダ本体5aの後方側から前方側(以下、「テープ送り方向」と称する。)に向けて搬送する(矢印a)。
【0024】
図6において、スプロケット17はその外周部に送り孔15bに係合する突起17aが設けられており、フィーダ本体5aの前端上部に取り付けられるとともに、モータを備えた回転駆動機構18によって回転駆動する。回転駆動機構18によってスプロケット17を間歇的に回転(矢印b)させると、テープ通路5b上でキャリアテープ14がテープ送り方向(矢印a)へピッチ送りされる。なお、キャリアテープ14のテープ送り方向の位置停止の制御は、制御部40が回転駆動機構18のモータの回転を制御することによってなされる。上記構成において、スプロケット17及び回転駆動機構18は、キャリアテープ14をテープ通路5b上でピッチ送りさせるテープ送り機構となっている。
【0025】
図6において、前述の電子部品Pを吸着ノズル8aによってピックアップするピックアップ位置[S]は、フィーダ本体5aの前方領域であってスプロケット17のやや後方の位置に設定されている。また図5、図7(a)、(b)において、テープ押さえ部材20は下方に開口した凹状断面を有する部材から成り、フィーダ本体5aの前方領域に設けられてピックアップ位置[S]の近傍におけるキャリアテープ14の一部を上方から押さえる構成となっている。なお、図7(b)は図7(a)におけるB−B断面を示したものである。キャリアテープ14は、テープ通路5bとテープ押さえ部材20とによって上下両側面を閉囲された状態でピッチ送りされる。
【0026】
図7(a)、図8において、テープ押さえ部材20には、ピックアップ位置[S]にて吸着ノズル8aによってキャリアテープ14から電子部品Pをピックアップするための取出開口部20aが設けられている。また、テープ押さえ部材20において取出開口部20aの後方位置には、ベーステープ15から引き剥がされてテープ送り方向と反対の方向に折り返されたトップテープ16が上方に引き出されるトップテープ引出口20bが設けられており、このトップテープ引出口20bの後縁部20cはトップテープ16の折り返し部分と接する縁部となっている。このトップテープ引出口20bの後縁部20cは、テープ送り方向と直交する方向に対して傾いて延びている(図8では傾き角をαで示している)。また、図7(b)、図8に示すように、テープ通路5bの一側部には当接部21がテープ通路5bの上面に突出して設けられている。
【0027】
図6において、トップテープ回収機構22はトップテープ16をテープ送り方向と反対の方向に引っ張って回収する機能を有するものであって、フィーダ本体5aの後方に設けられている。トップテープ回収機構22は、互いの外周の一部を相互に当接させた状態で設けられた円状の回転送り部材23,24と、回転送り部材23,24の後方に設けられ、引き剥がされたトップテープ16を回収するテープ回収容器25と、回転送り部材24の外周の一部と当接する伝動ギア部材26と、伝動ギア部材26を駆動するモータ27とから成っている。ベーステープ15から引き剥がされたトップテープ16は、回転送り部材23,24に挟み込まれた状態となっている。このトップテープ回収機構22は、ベーステープ15から引き剥がされたトップテープ16が後縁部20cの延びる方向と直交する方向に引き出されるように、フィーダ本体5aに対して取付け位置が調整されている(図9参照)。
【0028】
図6において、トップテープ回収機構22の前方には可動なテンションローラ28を備えたテンション機構29が配設されている。テンションローラ28はガイドローラ30と同軸の支点を有するレバー部材31aによって保持されており、ベーステープ15から引き剥がされたトップテープ16はガイドローラ30の上側、テンションローラ28の下側を周回して後方に導かれる。
【0029】
レバー部材31aと一体のアーム部材31bにはスプリング32が結合され、レバー部材31a、アーム部材31bはスプリング32によって常に下方(矢印g)へ付勢されている。これにより、トップテープ16にはテンションローラ28を介してテンションが付与される。また、アーム部材31bの端部にはドグ31cが設けられており、このドグ31cの下方には当該ドグ31cの下方への変位を検出可能なフォトスイッチ33が配置されている。
【0030】
次に、テープフィーダ5による電子部品Pのピックアップ位置[S]への供給動作を説明する。この供給動作は、前述の制御部40がテープフィーダ5を構成する各機構を制御することによって実行される。まず、制御部40が回転駆動機構18を駆動させてスプロケット17を間歇回転させることにより、キャリアテープ14をテープ送り方向(矢印a)へピッチ送りさせる。このピッチ送りに伴い、ベーステープ15から引き剥がされたトップテープ16はトップテープ引出口20bの後縁部20cを基点に折り返されてトップテープ引出口20bの上方に引き出される。このとき、ベーステープ15から引き剥がされたトップテープ16には弛みが生じるので、これによりテンションローラ28が下方に移動するとともにアーム部材31bがスプリング32の付勢力によって下動し、ドグ31cが下方に変位する。この変位をフォトスイッチ33によって検出することで、トップテープ16の弛みが検出される。
【0031】
弛みが検出されたならば、直ちに制御部40がモータ27を駆動させることによって伝動ギア部材26は時計方向(矢印c)に回転し、この回転を受けて回転送り部材23,24はそれぞれ矢印d,e方向に回転する。これにより、弛んだトップテープ16は回転送り部材23,24の間から後方に導かれて(矢印f)テープ回収容器25に回収されるとともに、テンションローラ28及びドグ31cは再び上方に変位して引き剥がされたトップテープ16にテンションが付与される。トップテープ16が引き剥がされたベーステープ15は、収容部15aに収容された電子部品Pの上方を露呈した状態で前方に送られ、ピックアップ位置[S]に電子部品Pを供給する。
【0032】
ここで、前述のとおりトップテープ引出口20bの後縁部20cはテープ送り方向(矢印a)と直交する方向に対して傾いており、トップテープ回収機構22はトップテープ16を後縁部20cに対して直交する方向(矢印h)に引っ張るようになっている。そのため、キャリアテープ14(ベーステープ15)には当該キャリアテープ14を斜め前方に押し出す力(推力)F1が働くことになる(図8参照)。
【0033】
この推力の一部はテープ送り方向に押し出す力F2となるが、他の一部はキャリアテープ14を幅方向に付勢する力F3となって、キャリアテープ14をテープ通路5b上に設けられた前述の当接部21に当接させるので、キャリアテープ14は当接部21に当接した状態のままピッチ送りされることとなり、ピックアップ位置[S]におけるキャリアテープ14の位置のばらつきが抑制される。これにより、ピックアップ位置[S]への電子部品Pの供給を安定させることができ、その結果、微小な電子部品をピックアップ対象とする場合であっても、実装ヘッド8による電子部品のピックアップミスの発生頻度を低減させることができる。
【0034】
なお、当接部21はテープ押さえ部材20に設けてもよい。例えば図10(a)に示すように、テープ通路5bの上面と対向するテープ押さえ部材20の面20dに当接部21Aを設けてもよく、また図10(b)に示すように、テープ通路5bの幅方向の側面と対向するテープ押さえ部材20の面20eに当接部21Bを設けてもよい。また、フィーダ本体5a又はテープ押さえ部材20にキャリアテープ14の幅方向の側面の一部と当接する箇所があって、キャリアテープ14がその当接する箇所に当接したままピッチ送りされることにより同様の効果が得られるのであれば、当接部21を別途設ける必要はない。上記構成において、当接部21はテープ通路5b上をピッチ送りされるキャリアテープ14の幅方向の側面の一部と当接してキャリアテープ14の幅方向の位置決めを行う機能を有する。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、ピックアップ位置におけるキャリアテープの位置のばらつきを抑制して電子部品のピックアップミスの発生頻度を低減させることができ、電子部品実装の分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0036】
2 搬送路
3 基板
5 テープフィーダ
5a フィーダ本体
5b テープ通路
8 実装ヘッド
14 キャリアテープ
15 ベーステープ
16 トップテープ
17 スプロケット
20 テープ押さえ部材
20b トップテープ引出口
20c 後縁部
21,21A,21B 当接部
22 トップテープ回収機構
P 電子部品
[S] ピックアップ位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収容したベーステープの上面をトップテープによって封止して成るキャリアテープをピッチ送りすることによりピックアップ位置に電子部品を供給するテープフィーダであって、
前記キャリアテープの通路であるテープ通路を有したフィーダ本体と、
外周部に設けられた突起を前記ベーステープに設けられた送り孔に係合させて間歇的に回転することにより、前記テープ通路上で前記キャリアテープをテープ送り方向へピッチ送りさせるスプロケットと、
前記テープ通路上をピッチ送りされるキャリアテープの一部を上方から押さえるとともに、前記ベーステープから引き剥がされて前記テープ送り方向と反対の方向に折り返されたトップテープが上方に引き出されるトップテープ引出口を有するテープ押さえ部材と、
前記トップテープ引出口から上方に引き出された前記トップテープを前記テープ送り方向と反対の方向に引っ張って回収するトップテープ回収機構とを備え、
前記トップテープ引出口においてトップテープの折り返し部分と接する縁部は、前記テープ送り方向と直交する方向に対して傾いていることを特徴とするテープフィーダ。
【請求項2】
前記フィーダ本体部及び前記テープ押さえ部材の少なくとも一方に、前記テープ通路上をピッチ送りされるキャリアテープの幅方向の側面の一部と当接して前記キャリアテープの幅方向の位置決めを行う当接部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のテープフィーダ。
【請求項3】
基板を位置決めして保持する基板保持部と、電子部品を収容したベーステープの上面をトップテープによって封止して成るキャリアテープをピッチ送りすることによりピックアップ位置に電子部品を供給するテープフィーダと、前記ピックアップ位置に供給された電子部品をピックアップして前記基板保持部に保持された基板に実装する実装ヘッドを備えた電子部品実装装置であって、
前記テープフィーダは、前記キャリアテープの通路であるテープ通路を有したフィーダ本体と、
外周部に設けられた突起を前記ベーステープに設けられた送り孔に係合させて間歇的に回転することにより、前記テープ通路上で前記キャリアテープをテープ送り方向へピッチ送りさせるスプロケットと、
前記テープ通路上をピッチ送りされるキャリアテープの一部を上方から押さえるとともに、前記ベーステープから引き剥がされて前記テープ送り方向と反対の方向に折り返されたトップテープが上方に引き出されるトップテープ引出口を有するテープ押さえ部材と、
前記トップテープ引出口から上方に引き出された前記トップテープを前記テープ送り方向と反対の方向に引っ張って回収するトップテープ回収機構とを備え、
前記トップテープ引出口においてトップテープの折り返し部分と接する縁部は、前記テープ送り方向と直交する方向に対して傾いていることを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項4】
前記フィーダ本体部及び前記テープ押さえ部材の少なくとも一方に、前記テープ通路上をピッチ送りされるキャリアテープの幅方向の側面の一部と当接して前記キャリアテープの幅方向の位置決めを行う当接部を備えたことを特徴とする請求項3に記載の電子部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−98361(P2013−98361A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239992(P2011−239992)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】