説明

ディスク記録再生装置

【目的】 リアルタイムでテレビ番組等を視聴中に、任意の中断期間経過後、その中断時点から視聴する。
【構成】 本発明のディスク記録再生装置は、記録手段7と、再生手段12と、ディスク8の回転速度を制御するための制御手段10と、ポーズ操作に応答して、記録手段のみが動作中にはその時点の記録位置を保持し、少なくとも再生手段が動作中には再生位置を保持するためのアドレス保持手段11とを備え、このポーズの解除操作に応答して前記アドレス保持手段11にて保持されたアドレス位置よりデータの再生を開始する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録手段及び再生手段各々を独立して備え、その両手段による記録及び再生動作が同時に行えるディスク記録再生装置に関する。
【従来の技術】従来、ディスク記録再生装置としては、記録再生手段として記録及び再生を兼用する共通の光ピックアップまたは磁気ヘッドを備えたものが一般的であり、この共通の記録再生手段を記録時には記録手段として、再生時には再生手段として、夫々切り替えて使用していた。このような機構のディスク記録再生装置に於いては、ディスクに情報を記録中、そのディスクに記録された情報を再生すること、もしくは情報を再生中、そのディスクに別の情報を記録することが不可能であった。例えば、記録開始時刻及び記録終了時刻を設定した場合、その設定された時間内は記録再生手段が記録専用であるために、設定された記録終了時刻迄記録動作を実行しながら、同時に既に記録された情報を再生することができなかった。これに対し、特開平1−176383号公報には、それ自身のサーボ系を含む記録手段及び同じくそれ自身のサーボ系を含む再生手段を設けて、夫々を独立に制御することにより、CAV(角速度一定)方式もしくはCLV(線速度一定)方式で情報を記録すると同時に再生することができる装置が開示されている。
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、上述した従来のディスク記録再生装置は、記録手段及び再生手段を独立して備えることにより記録及び再生動作を同時に行えるが、テレビ画面に於いてテレビ番組等をリアルタイムで視聴中、任意の中断期間を経た後、その中断された時点から再生することができなかった。
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため本発明のディスク記録再生装置は、記録手段及び再生手段を別個に有し、記録と同時に再生が可能なディスク記録再生装置であって、前記再生手段による再生動作中に操作された場合に再生動作を中断し、その後再度操作された場合に再生動作を再開するポーズ動作設定手段を有し、前記記録手段による記録動作のみが行われている際にその時点の記録手段の位置を記憶させると共に記録手段による記録動作を継続させる指示信号と、所望期間経過後に前記記憶位置から再生手段による再生動作を開始させる指示信号とが、共に前記ポーズ動作設定手段の操作に応じて発生されるように構成したことを特徴とする。
【発明の実施の形態】次に、本発明のディスク記録再生装置について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例を示すブロック図である。まず記録系の構成について説明する。受信アンテナで受信したVHF帯またはUHF帯のテレビ高周波信号からチューナ回路1で所望のチャンネルの信号が選択される。そして、選択されたそのチャンネルの信号をオーディオ成分及びビデオ成分に分離した後、夫々を中間周波数信号(映像信号が58.75MHz、音声信号が54.25MHz)に変換する。次に、そのアナログビデオ信号をビデオ用A/D変換回路2bでデジタル信号に変換して、MPEGエンコーダ3で動画像の符号化方式の国際標準であるMPEG1規格に従って符号化する。このMPEG1規格に従うと、例えばNTSC方式のテレビに対応させる場合には、画素数352×240のデータを、フレーム周波数29.97Hzで再生されることになる。一方、アナログオーディオ信号は、オーディオ用A/D変換回路2aで、サンプリング周波数44.1kHzのデジタル信号に変換され、MPEGエンコーダ3でMPEG1規格のレイヤ1の方式に従って符号化される。この時、MPEG1ビデオ信号のセクタ・フォーマットは、CD−ROMの1セクタのユーザ・データ領域にあたる2324バイト(そのうちビデオデータは2296バイト)で1パックが構成されている。また、MPEG1オーディオデータのセクタ・フォーマットも、基本的に映像と同じとなるように、2324バイト(そのうちオーディオデータは2279バイト)で1パックが構成されている。次に、符号化されたビデオ信号及びオーディオ信号は、CD−ROMエンコーダ4で、各パック毎に同期信号として12ビット、ヘッダとして4ビット、サブヘッダとして8ビット、誤り検出符号として4ビット夫々が付加されて2352バイトとなり、CD−ROMフォーマットの1セクタが形成される。尚、同期信号を除くデータに対して、各セクタ内でスクランブル処理が施される。このように作成されたCD−ROMフォーマット化された両信号は、順次バッファメモリ5に保持される。このバッファメモリ5の動作については、後程詳述する。バッファメモリ5から読み出されたデータは、CDエンコーダ6で各フレーム毎に98個に分割される。その98分割された各データに同期信号、サブコード信号及びCIRC処理のための冗長ビットを付加して、インターリーブ処理を行う。更にEFM変調を施して、記録に適したCDフォーマットのフレーム単位のデータを形成する。そして最後に、CDフォーマット化されたデータは、記録手段7により順次ディスク8上に記録されていく。次に、再生系の構成について説明する。再生手段12によりディスクから読み出された信号は、再生手段12自身が備えるプリアンプ回路で波形整形される。波形整形された信号は、CDデコーダ13でEFM復調、インターリーブ解除及びCIRCエラー検出・訂正処理が施されてフレーム単位のデータが再生される。更に、98フレーム集めてセクタ単位のデータが形成される。また、このCDデコーダ13は、ディスク8から再生された同期信号の周波数変動分からスピンドルモータ9の速度検出信号を制御手段10に与える。これにより、制御手段10は、スピンドルモータ9の回転速度を認識することができる。このフレーム単位のデータは、CD−ROMデコーダ14で、各セクタ内に施されているスクランブルを解除して、もう一度エラー検出・訂正が行われる。そして、MPEGデコーダ15で、オーディオデータとビデオデータ夫々を分離してデコードし、更にオーディオデータはオーディオ用D/A変換器16a、ビデオデータはビデオ用D/A変換器16bで、夫々アナログデータに変換される。D/A変換されたオーディオデータは、テレビ17のオーディオ入力端子、同じくD/A変換されたビデオデータはビデオ端子から入力されることにより、テレビ17にてオーディオ及びビデオデータが再生される。次に、本発明の動作について説明する。以下の説明は、データをCLV方式にて記録する場合である。視聴者がテレビ番組をリアルタイムで視聴中、任意の中断期間を経た後、その中断された時点から再び視聴する場合について述べる。まず、テレビ放送等をリアルタイムで視聴する場合(以下リアルタイムモードと言う)、本発明のディスク記録再生装置を介さず、アンテナで受信したテレビジョン高周波信号を直接テレビ17に入力し、これを試聴する通常の方法が採られる。一方、そのアンテナで受信した信号は、同時にディスク記録再生装置にも入力されて、そこで記録消去可能なディスク8上にそのデータを記録している。そこで、このリアルタイムモードでポーズを指示すると、アンテナからテレビ17へ入力されていた信号はスイッチ18により遮断されるが、ディスク記録再生装置では引き続きディスクへの記録が継続され、それと同時に、ポーズが指示された時点の記録手段7の位置を示すアドレスがアドレス保持手段11にて保持される。所望時間経過後にポーズ解除の指示をすると、アドレス保持手段11に保持されたディスク上のアドレス位置から再生手段12により信号の読み出しが始まる。そうすると、それまで、記録手段7の位置に基づいてディスク8が線速度一定にて回転するよう回転制御されていたスピンドルモータ9が、ポーズ解除後は再生手段12の位置に基づいてディスク8が線速度一定にて回転するよう回転制御される。従って、通常の画像が再生されることになる。この時、記録手段7の位置に対しては、ディスク8は線速度一定とはなっていないので、ポーズ解除後の記録は間欠的な記録となる。即ち、記録手段7が既に記録した信号を再生手段12がディスク内側から追随して再生しているため、遅くとも内側にある再生手段12に対応する速度でディスクを回転させなければならず、外側の記録手段7にとっては、記録動作しか行っていない場合と比較して、ディスク8の回転速度が通常よりも速くなってしまう。このため、ポーズ解除後の記録は間欠的となる。このディスクを回転させるスピンドルモータ9の回転速度は、任意のクロックを発生することができるクロック発生回路を含む制御手段10に於いて、記録手段7及び再生手段12の位置を示すアドレス情報に基づいて制御される。次に、バッファメモリ5の制御について説明する。リアルタイムモードの場合は、記録動作しか行われないため、一定周波数のクロックに基づいて、即ち一定の速度にて、バッファメモリ5よりデータを連続的に読出し、ディスク8に記録すればよい。しかしながら、前述したようにリアルタイムモードにてテレビ番組を視聴している際にポーズ動作を行い、その後ポーズ動作を解除した場合は、再生優先のディスク回転制御が行われつつ、記録動作が行われるので、記録手段7のディスク8に対する線速度は、正規の場合より速くなっている。従って、正規の読出速度よりも速い速度でバッファメモリ5よりデータを読出し、ディスク8に記録する必要がある。このようにバッファメモリ5からのデータ読出速度を速くしたため、バッファメモリ5へのデータ書込速度よりも、バッファメモリ5からのデータ読出速度のほうが速くなることから、バッファメモリ5からの読出動作が間欠的になる。従って、このバッファメモリ5の容量としては、少なくとも間欠読出のための処理単位、例えばそれが1セクタであれば2352バイト必要となるが、実際には、データ転送時間の変動等を吸収するために、数百Kバイト以上必要となる。そこで、本実施例では128KバイトのRAM2個を交互に切り替えて使用することにした。更に、読出クロックについては、先に説明した通り読出し速度が正規の場合よりも速くなる場合があるので、制御手段10よりディスクの回転速度に応じたクロックを得る構成となっている。この正規のクロックよりも速い読出クロック周波数は、制御手段10にて、再生手段12の位置に対応する回転速度と記録手段7の位置に対応する回転速度の比を所定のクロック周波数に掛け合わせることにより計算することができる。以上の説明は、リアルタイムモード時、即ちディスクに対しては記録動作のみが行われている場合は、記録手段7の位置に対応した線速度一定のディスク回転制御が行われ、ポーズ解除後に於いて記録及び再生が同時に行われる場合には、再生手段12の位置に対応した線速度一定のディスク回転制御が行われる場合であった。ところで、このディスク8の回転速度については、ディスク8の回転速度を記録手段7がディスク8の最内周に位置する際に所定の線速度が得られるような速度に回転制御する、即ち角速度一定にて回転制御してもよい。この場合には、ディスク8にデータを記録する際のバッファメモリ5の読出クロックは、記録手段7の位置を示すアドレスのみに基づいて制御すればよく、先に説明した如く記録手段7と再生手段12の両方の位置に基づいて制御する必要はなく、好都合である。以上の説明は、リアルタイムモード時に於いてポーズ操作を行い、ポーズ解除後はディスク8に記録されたデータを通常の速度で再生する場合であった。この再生中に於いて、早送り等の操作を用いてディスク8に記録されたデータを早送り再生し、再生データがリアルタイムに追いついた場合、ディスク8からのデータの再生を停止させると同時に、スイッチ18をオンすることにより、アンテナからのテレビ信号をテレビ画面に表示するようにして、再びリアルタイムモードに復帰することができる。尚、記録動作が完全に終了した後に、ディスク8に記録されたデータを再生している際にポーズ動作をした場合には、再生手段12の位置を示すアドレスがアドレス保持手段11にて保持されることは勿論である。以上の説明に於いて、ポーズ動作は制御手段10に含まれるポーズ動作設定手段にて行い、ポーズ解除動作はその後ポーズ動作設定手段を再操作することにより行う構成とする。更に、記録手段7及び再生手段12は、光記録方式、磁気記録方式、光磁気記録方式等が使用できる。
【発明の効果】以上説明したように本発明のディスク記録再生装置によれば、リアルタイムでテレビ画面に表示されている番組を、任意の中断期間を経た後でも、その中断時点から引き続きテレビ画面上に表示することができる。従って、記録動作の継続中に於いても、その中断期間の内容を欠落部分なく表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディスク記録再生装置を示すブロック図。
【符号の説明】
5 バッファメモリ
7 記録手段
10 制御手段
11 アドレス保持手段
12 再生手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 記録手段及び再生手段を別個に有し、記録と同時に再生が可能なディスク記録再生装置であって、前記再生手段による再生動作中に操作された場合に再生動作を中断し、その後再度操作された場合に再生動作を再開するポーズ動作設定手段を有し、前記記録手段による記録動作のみが行われている際にその時点の記録手段の位置を記憶させると共に記録手段による記録動作を継続させる指示信号と、所望期間経過後に前記記憶位置から再生手段による再生動作を開始させる指示信号とが、共に前記ポーズ動作設定手段の操作に応じて発生されるように構成したことを特徴とするディスク記録再生装置。

【図1】
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【公開番号】特開2002−150660(P2002−150660A)
【公開日】平成14年5月24日(2002.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−251442(P2001−251442)
【分割の表示】特願平6−193254の分割
【出願日】平成6年8月17日(1994.8.17)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】