ディスプレイ制御装置
【課題】異なった観視者によって異なった眺めを見ることが可能なディスプレイを提供する。
【解決手段】マルチビューア・マルチビューディスプレイ60に複数の画像を表示するためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置61は、マルチビューア・マルチビューディスプレイ60の少なくともいくつかのピクセルの各ピクセル値に、マルチビューア・マルチビューディスプレイ60内での電気的なクロストークの関数である、電気的なクロストークの補正値を加算するよう構成された演算処理装置64を含む。
【解決手段】マルチビューア・マルチビューディスプレイ60に複数の画像を表示するためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置61は、マルチビューア・マルチビューディスプレイ60の少なくともいくつかのピクセルの各ピクセル値に、マルチビューア・マルチビューディスプレイ60内での電気的なクロストークの関数である、電気的なクロストークの補正値を加算するよう構成された演算処理装置64を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれの画像が異なる方向から見えるような、2つまたは複数の画像を表示するマルチビューア・マルチビューディスプレイに関するものである。また、本発明は、ディスプレイ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[一般的な背景]
何年にもわたって、従来のシングルビューディスプレイ装置(single view display devices)は、同時に複数のユーザによって観覧されるように設計されてきた。なお、上記シングルビューディスプレイ装置のディスプレイの特性は、観視者達がディスプレイに対して異なった角度から同じ良い画質で観覧を行うことができるようになっている。これは、例えば多くのユーザが、ディスプレイから同じ情報を得ることを必要とする空港および駅の出発情報の表示といった用途に有効である。しかしながら、異なる情報を同じディスプレイから、個々のユーザが得ることができるようになることが望ましい場合には、多くの応用例があげられる。例えば、自動車または他の乗り物の中で、乗客が映画を見たがっているかもしれないのに対して、ドライバーは衛星ナビゲーションのデータを見たがっているかもしれない。2つの別個のディスプレイ装置を用意することによって、これらの相反する要求を満たすことはできるだろうが、これは、余分なスペースを取るとともに、コストを増やすことになるだろう。その上、2つの別個のディスプレイが上述したような例で使用される場合、ドライバーにとって乗客用のディスプレイを見るのは、ドライバー自身の頭を動かせば可能なことであるので、乗客用のディスプレイがドライバーの気を散らすことになるだろう。さらなる例として、2人以上のプレーヤーのためのコンピュータゲームの各プレーヤーは、そのプレーヤー自身の視点からゲームを見たがっているかもしれない。これについては、各プレーヤーが個々のスクリーンで各プレーヤー自身の独自の視点で見ることができるように、区分されたディスプレイの画面で各プレーヤーがゲームを見ることによって現在のところ実現されている。しかしながら、多くのスペースを取って別々のディスプレイの画面を各プレーヤーに用意するのはコストがかかり、携帯型ゲームには実用的でない。
【0003】
これらの問題を解決するために、マルチビューア・マルチビューディレクショナルディスプレイ(multiple-viewer multiple-view directional display)が開発された。マルチビューア・マルチビューディレクショナルディスプレイの1つの用途として、それぞれの像(画像)が特定の方向でのみ見える状態で、同時に2つ以上の異なった画像を表示することができる「デュアルビューディスプレイ(dual-view display)」がある。例えば、一方向からディスプレイ装置を見ている観視者は、1つの画像が見え画像を見ることになるだろう。異なった画像を2人以上のユーザに示すことができるディスプレイは、2つ以上の別個のディスプレイを用いる場合と比べて、かなりのスペースおよびコストの節約になる。
【0004】
マルチビューア・マルチビューディレクショナルディスプレイの用途の例について上述したが、他にも多くの用途がある。例えば、航空機で、乗客ごとに個別の機内娯楽番組を、各乗客に提供するのに用いられるかもしれない。現在のところ、一般に列の前部席の後部に、各乗客に個別のディスプレイ装置が用意されている。マルチビューア・マルチビューディレクショナルディスプレイを使用すると、1つのディスプレイで、2人以上の乗客がめいめいに見たい映画を選択することが可能になるであろうことから、かなりコスト、スペース、および重量を抑えることができるだろう。
【0005】
マルチビューア・マルチビューディレクショナルディスプレイのさらなる利点は、ユーザが、めいめい他のユーザの視点から見られることを排除することができることである。これは、例えば現金自動預入支払機(ATM)を使用するような、銀行取引または売買取引などのセキュリティを必要とする用途のみならず、上述のコンピュータゲームの例においても望ましい。
【0006】
マルチビューディスプレイの、他に知られている代表物としては、三次元(3D)ディスプレイがある。正視では、頭部における両目の位置の違いのせいで、異なった眺めから、人の2つの目は世界の景色を知覚する。そして、これらの2つの眺めが、景色における様々な物体までの距離を算定するために、脳によって使用される。三次元画像に有効なディスプレイを開発するために、この状況を再現する必要があるとともに、1つの画像が各観視者のそれぞれの目に届いて得られる画像である、いわゆる「立体写真(stereoscopic pair)」を提供する必要がある。
【0007】
3Dディスプレイは、異なる眺めを目に対して提供するのに用いられる方法に応じて2つのタイプに分類される。立体視ディスプレイ(stereoscopic display)は、一般的に、立体写真の両方の画像を広い観視領域(viewing area)にわたって表示するものである。上記それぞれの眺めは、例えば表示の色、偏光状態、または時間に基づいて符号化される。また、ユーザは、眺めを分離する眼鏡からなるフィルタシステムを身につけなければならず、それぞれの目で意図される眺めだけを見させられることになる。
【0008】
自動立体視ディスプレイ(autostereoscopic display)は、それぞれの眺めが、個別に規定された空間の領域からのみ得られるように、右目の眺めと左目の眺めとを異なった方向で表示するものである。なお、画像がディスプレイのアクティブエリア(active area)の全体の向こう側に見える空間の領域は「ビューウィンドウ(viewing window)」と呼ばれる。もし、立体写真の左目側の眺めを得るためのビューウィンドウ内に観視者の左目が位置するとともに、立体写真の右目側の眺めを得るためのビューウィンドウ内に観視者の右目が位置するように、観視者が位置していれば、観視者の両目で正しい眺めを見ることができるだろうし、3D画像を知覚することもできるだろう。自動立体視ディスプレイは、観視者が何かを身につけるといった、観覧を行うための補助を必要としない。
【0009】
フラット・パネルの自動立体視ディスプレイに用いるために、通常のビューウィンドウの構成は、自動立体視ディスプレイの画像表示ユニットの画素(または「ピクセル」)構造と、一般的に視差オプティクスと呼ばれる光学素子との組み合わせからなっている。なお、視差オプティクスの例としては、たいていスリットが形成され、不透明な領域で区分された、透光性の領域を有するスクリーンである視差バリアがある。このスクリーンは、自動立体視ディスプレイを形成する画素の2次元アレイ(two-dimensional array)を有している空間光変調器(SLM)の前または後ろに配置することができる。
【0010】
図1は従来の自動立体視ディスプレイの平面図である。ディスプレイ1は画像表示装置の構成要素となる空間光変調器(SLM)4、および視差バリア5からなっている。図1のSLMは、アクティブマトリックス薄膜トランジスタ(TFT)基板6、対向基板7、および上記TFT基板と上記対向基板との間に配置された液晶層8を有する液晶ディスプレイ(LCD)の形をとっている。上記SLMは、複数の独立してアドレス可能なピクセルを規定するアドレス指定電極(図示せず)を備えているとともに、上記液晶層を並べるための配向層(図示せず)を備えている。また、視野角拡大フィルム9および直線偏光子10は、各基板6、7の外面に備えられる。そして、照明11は、バックライト(図示しない)から供給されている。
【0011】
視差バリア5は、SLM4に表面が隣接して形成された視差バリアのアパーチャアレイ13を有する基板12を含んでいる。上記アパーチャアレイは、不透明の部分14で分離された、垂直方向に広がる(すなわち、図1の水平面に対して垂直方向に広がる)透光性の開口15を含んでいる。また、反射防止(AR)コーティング16は、上記視差バリア基板12(ディスプレイ1の外面に形成されている)の反対側の表面に形成されている。
【0012】
SLM4のピクセル(pixels)は、図1の水平面に対して垂直方向に縦列が広がるように、横列と縦列とに配列されている。上記横列方向または水平方向のピクセルピッチ(1ピクセルの中心から、隣接しているピクセルの中心までの距離)はpである。アパーチャアレイ13の垂直方向に広がっている透光性スリット15の幅は2wであり、透光性スリット15の水平方向のピッチはbである。上記バリアのアパーチャアレイ13の面は、液晶層8の面から距離sの間隔があけられている。
【0013】
使用時には、ディスプレイ装置1は左目側の画像と右目側の画像とを形成し、観視者は、3D画像が見えるように、左目と右目とが左目側のビューウィンドウ2と右目側のビューウィンドウ3とにそれぞれ一致するような位置に、頭の位置を合わせる。左目側のビューウィンドウ2および右目側のビューウィンドウ3は、上記ディスプレイから、観覧に望ましい距離にあるウィンドウ面17に形成される。上記ウィンドウ面は、上記アパーチャアレイ13の面から距離roの間隔があけられている。また、上記ウィンドウ2、3は、上記ウィンドウ面に隣接しているとともに、人の両目の間の平均間隔に対応するピッチeを有している。そして、上記ディスプレイの中心への法線軸から各ウィンドウ10、11の中心への半角はαである。
【0014】
視差バリア5のスリット15のピッチは、ピクセルの縦列のグループが上記視差バリアの特定のスリットに関連付けられるように、SLM4のピクセルの縦列のピッチの整数倍に近くなるように選ばれる。図1に、SLM4のピクセルの縦列2つが、視差バリアの各透光性スリット15に関連付けられているディスプレイ装置を示す。
【0015】
図2に、SLM4と、ピクセルの縦列のピッチのちょうど整数倍のピッチを有する視差バリア5とから作り出される光の角度ゾーン(angular zones)を示す。この場合、表示パネルの表面の向こう側の異なった場所からの角度ゾーンが混ざり、画像(イメージ)1または画像(イメージ)2(「画像1」および「画像2」は、SLM4によって表示される2つの画像を示している)のための視点の純粋なゾーンというものは存在しない。これについて対処するため、上記視差バリアのピッチは、上記ピクセルの縦列のピッチの整数倍よりも僅かに小さくなるように、僅かに減少させることが好ましい。その結果、角度ゾーンは上記ディスプレイの正面の、予め規定された面(上記「ウィンドウ面」)に収束する。この効果は添付図面の図3からも明らかである。また、図3では、SLM4と変更された視差バリア5とによって作成される画像の域が示されている。このように作成された観視領域(viewing regions)は、平面図において、おおまかに凧の形をしている。
【0016】
図4は、他の従来の自動立体視ディスプレイ装置1の平面図である。これは、視差バリア5が、上記バックライトとSLM4との間になるようにSLM4の後方に位置することを除けば、図1のディスプレイ装置1に概ね対応している。なお、この装置には、観視者にとって上記視差バリアがそれほど目立たないとともに、上記ディスプレイのピクセルが、上記装置の前方のより近くにあるように見えるという利点を有しているものと思われる。さらに、図1および図4のそれぞれで、バックライトで照らされる透過型のディスプレイ装置(transmissive display device)を示しているが、間接照明(明るい状態での)に用いられる反射装置(reflective devices)は周知のものである。半透過型の装置(transflective device)の場合では、図4の後方の視差バリアは間接照明を吸収しないだろう。これは、反射光を用いる2次元(2D)またはシングルビューのモードを有するディスプレイであれば利点になる。
【0017】
図1および図4のディスプレイ装置では、視差バリアは視差オプティクスとして使用されている。なお、その他の種類の視差オプティクスは周知である。例えば、レンズ状のレンズアレイは、立体写真の画像を形成するように、異なる方向に組み合わされた画像を導くのに用いてもよい。
【0018】
画像を分割するホログラフィの方法は周知であるが、実際には、これらの方法は、視野角の問題、疑視域(pseudoscopic zones)、および上記画像の容易なコントロールが行えないなどの問題に悩まされている。
【0019】
視差オプティクスの他の種類としては、偏光された指向性の光源、およびパターン化された、上記SLMのピクセルに合わせて並べられた高精度のマイクロ偏光素子(micropolariser elements)を用いるマイクロ偏光ディスプレイ(micropolariser display)がある。そのようなディスプレイには、画面の高画質、コンパクトな装置、および2D表示モードと3D表示モードとを切り換える能力に対しての可能性がある。なお、視差オプティクスとしてマイクロ偏光ディスプレイを使用する場合には、上記SLMにマイクロ偏光素子を組み込むときの視差の問題を回避する必要が優先的にあります。
【0020】
カラーディスプレイが必要になる場合には、SLM4の各ピクセルに、三原色のうちの1色に沿ったフィルタを一般的に与える。それぞれ異なる色のフィルタを備える3つのピクセルのグループを調整することによって、多くの目に見える色が作り出されてもよい。自動立体視ディスプレイでは、各立体視像「チャンネル(channels)」の各々は、バランスのとれた色の出力のために、カラーフィルタを十分に含む必要がある。ある縦列内のすべてのピクセルが、それぞれのピクセルに関連付けられた同じカラーフィルタを有するので、多くのSLMは、製造の容易さに起因して、垂直方向の縦列に配列されたカラーフィルタを有している。もし、視差オプティクスが、視差オプティクスの各スリットまたは各小型レンズに関連付けられた3つのピクセルの列とともに、そのようなSLMに配置されるならば、各観視領域において見ることができるのは1色のピクセルだけとなる。よって、この状況を避けるようにカラーフィルタを配置するよう注意しなければならない。なお、適切なカラーフィルタの配置のさらなる詳細については、欧州特許第0 752 610号明細書に開示されている。
【0021】
[発明思想A:従来技術の概要]
図1および図4で示されたようなディスプレイ装置の視差オプティクスの機能は、SLM4のピクセルを通って伝わる光を、ある出力角に制限することである。この制限は、視差オプティクスの特定の要素(例えば透光性スリットなど)の後方の各ピクセルの列の視野角度(angle of view)を規定する。各ピクセルの視野角度の範囲は、ピクセルピッチp、ピクセル面と視差オプティクス面との間の間隔s、ピクセル面と視差オプティクス面との間の材料(図1のディスプレイにおける基板7)の屈折率nで割り出される。H.Yamamotoらは、“Optimum parameters and viewing areas of stereoscopic full-colour LED displays using parallax barrier”, IEICE Trans. Electron., vol. E83-C, No. 10, p1632 (2000)で、自動立体視ディスプレイの画像を中間で分ける上記角度は、ディスプレイのピクセルと視差バリアとの間の距離に依存していることを開示している。
【0022】
図1および図4の半角αは以下の式で与えられる。
【0023】
【数1】
【0024】
マルチビューア・マルチビューディレクショナルディスプレイとして用いるには、上述した種類の自動立体視ディスプレイにおける、2つの画像を中間で分ける上記角度はあまりに小さい。原則的には、ビューウィンドウの間の角度2αは、ピクセルピッチpを増加させる、視差オプティクスとピクセルとの間の間隔sを減少させる、または基板の屈折率nを増加させることによって、増加させることができるかもしれない。
【0025】
しかしながら、一般的に、上記ピクセルピッチは、ディスプレイ装置の必須の解像度の規格によって規定されており、変更することができない。
【0026】
一般的にガラスで作られている上記基板の屈折率を変更するのは、実用的または費用効率がよいとは必ずしも言えない。
【0027】
SLMのピクセル面と視差オプティクスとの間の間隔を減少させることによって、ビューウィンドウを中間で分ける角度を増加させるあらゆる試みも、結局のところ説明してきたような問題を生じさせるだけだろう。以下では、SLM4としてLCDを備えた図1のディスプレイ装置1の概略図である図5を一例として説明を行う。
【0028】
SLM4を形成するLCDパネルは2つのガラス基板から作られている。基板6は、SLMのピクセルのアドレス指定を行うためのTFTスイッチング素子(TFT switching elements)を持つことから、「TFT基板」として知られている。また、基板6は、一般的に、例えば、液晶層8を並べて液晶層の電気による切り換えを可能にするための他の層を持つこともある。他方では、基板7(図1の対向基板に対応)にカラーフィルタ18が、例えば、液晶層を並べるための他の層とともに形成される。従って、対向基板7は、一般的に「カラーフィルタ基板」またはCF基板として知られている。LCDパネルは、TFT基板の反対側にカラーファイルタ基板を位置づけ、上記2つの基板の間に液晶層8を挟むことによって形成される。これまでの自動立体視ディスプレイにおいては、図5で示されるように、完成したLCDパネルに視差オプティクスは接着されている。また、LCDピクセルと視差オプティクスとの間の距離は、主としてLCDのCF基板の厚さによって規定されている。CF基板の厚さを減少させることは、LCDピクセルと視差オプティクスとの間の距離を減少させることになるだろうが、上記基板はそれに対応して脆くなるだろう。CF基板の現実的な最小限の厚さはおよそ0.5mmだが、ピクセルと視差オプティクスとの間隔は、この厚さの基板に視差オプティクスが直接に接着されたとしても、マルチビューへの適用にはまだ大きすぎるだろう。
【0029】
米国特許第5850269号明細書には、レンズ状のレンズアレイを視差オプティクスとして用いる、他の3D自動立体視ディスプレイについて開示されている。なお、この取りはからいは、偶然に生じる望ましくない人工の色の発生を防ぐのに、特に関係がある。
【0030】
水平方向に細長いピクセルを有している自動立体視ディスプレイは周知であり、そのような装置は、例えば英国特許第2 396 070号明細書、英国特許第2 403 367号明細書、英国特許第2 317 734号明細書、英国特許第2 278 223号明細書、英国特許第2 315 902号明細書、英国特許第2 311 905号明細書、および英国特許第2 403 863号明細書に開示されている。しかしながら、これらの文献における水平方向に細長いピクセルの使用には、ビューウィンドウの分離とは無関係な、任意のいくつかの目的または役立ついくつかの目的のいずれかがある。そのようなディスプレイは、お互いが近接している2つ以上のビューウィンドウを備えており、一般的にその中心は、およそ典型的な咬合面間の間隔だけ離れた距離が空けられている。そのようなディスプレイは、例えば近接したビューウィンドウの間隔が比較的狭いことから、マルチビューアに用いるには不向きである。
【0031】
このような背景において、上記ディスプレイ上での方向にあたる「水平方向」は、ディスプレイ上での設計された、または「意図された」方位で通常表示される場合の画像の水平方向である。上記水平方向は、標準的または意図的に対応した位置および方向でディスプレイを見ている観視者の目の分かれている方向に平行、またはほぼ平行である。また、上記水平方向は、一般的に、ビューウィンドウの分かれている方向に平行またはほぼ平行である。
【0032】
国際公開第2004/088996パンフレットでは、画像表示の時間多重化(time multiplexing)および指向性のバックライトの切り替えに基づく、デュアルビューア・デュアルビューディスプレイ(dual viewer dual view display)を開示している。1番目の観視者と2番目の観視者によって観覧されるそれぞれの画像は、透過型LCD(transmissive LCD)の全体で交互に表示される。上記バックライトは上記LCDの後ろに配置されるとともに、光がLCDを通って1番目の観視者と2番目の観視者とに交互に向かうように、表示される画像に同期して切り換えられる。なお、許容範囲の表示性能を備えるために、上記LCDは、観視者によって認知可能な画像のちらつきを避けるために、十分に高い率で切り換えられる能力を有している必要がある。しかしながら、これは、比較的高価なLCDの使用を必要とする。また、比較的複雑なバックライト内での光の漏出のために、クロストークのパフォーマンス(performance)も比較的芳しくない。なお、クロストークのパフォーマンスの芳しくないことは、以下に述べる損失につながる。
【0033】
添付図面の図6では、LCDで使用される周知のタイプの、ラインごとの走査構成(scanning arrangement)について示す。上記LCDは、図6に示される列を有する縦列および横列のピクセルを含んでいる。また、上記SLMは、垂直方向または縦列方向に伸びている80のようなデータ線、および水平方向または横列方向に伸びている81のような走査線を含んでいる。データ線80は、ピクセルのアレイの先端に沿って位置するデータドライバに接続されるが、走査線81は、ピクセルアレイの左側に沿って位置する走査線ドライバに接続される。
【0034】
各ピクセルは、近接するデータ線80に接続された82のようなデータ入力(data input)、および近接する走査線81に接続された走査入力(scan input)83を有する。上記ディスプレイは、例えば、アクティブマトリックス薄膜トランジスタ型式のディスプレイであってもよい。
【0035】
上記ディスプレイは横列ごとに画像のデータ(画像データ)がリフレッシュされる。特に、ピクセルの横列の画像データは、画像を生成するソースからデータ線ドライバに連続的に送り込まれる。続いて、これが完了したとき、上記走査線ドライバは、走査線81へ、リフレッシュされるピクセルの横列に共通の走査パルスを供給する。このようにして、新たな画像データは、ピクセルの横列に送り込まれる。それから、ピクセルの横列のすべてがリフレッシュされるまで、この過程は各横列で順番に繰り返される。この過程は、その後、通常はピクセルの横列の最上層から再度開始され、ディスプレイが使用中である限り、繰り返される。なお、矢印84は、ピクセルデータがデータ線ドライバに提供される順番を示している。
【0036】
そのような走査構成は、マルチビューア・マルチビューディスプレイが含まれる、多目的に用いられるディスプレイに典型的である。従って、このようにリフレッシュされる、ディスプレイを駆動するための上記走査構成は、走査パルスの周波数および基準値のあるフレームのリフレッシュレートで比較的標準化されている。このようにして、データを供給するための構成は、これらの周波数に互換性をもつように作られている。
【0037】
LCDのような、たいていの空間光変調器は、このようにして横列ごとにリフレッシュされるように設計されているとともに、垂直方向または「縦列」方向に伸びているピクセルを有している。もし、そのような装置が、表示面の法線に対して90度回転するならば、その結果、上記ピクセルは水平方向に伸びていることになるだろう。しかしながら、そのような装置が、走査線とデータ線との位置を変える変更が行われる装置でない場合、そのような取りはからいに対しては、標準の走査技術と全く互換性のない、横列ごとのリフレッシュが必要になるだろう。横列ごとのリフレッシュを可能にするために装置を再設計することによって、走査線とデータ線ドライバとの位置が変えられたとしても、垂直方向(またはフレーム)および水平方向(またはライン)の度数は、標準の走査技術と互換性がないだろう。従って、標準的な走査方法および走査機器を、そのような仮定上の取りはからいに合わせて用いることはできない筈である。
【0038】
[発明思想B:従来技術の概要]
英国特許第2 278 223号明細書では、レンズ状のスクリーンとして例証されている視差オプティクスと協同する空間光変調器を含む自動立体視3Dディスプレイが開示されている。英国特許第2 278 223号明細書の図12では、上記変調器が、垂直方向に細長い形の左目側の画像と右目側の画像とを表示する、一対の隣り合ったピクセルの縦列を含んでいる。各横列の対は、左目側および右目側の画像が隣り合ったビューウィンドウで見えるように、関連したレンズ状のスクリーンの凸型レンズと協同する。なお、ビューウィンドウの中心は、人の両目の間の平均間隔に対応する間隔だけ離れている。上記ピクセル開口は、ブラックマスク(black mask)によって規定されるとともに、水平方向の横列に配列されるので、異なったグループのピクセル開口の間のブラックマスクの部分の幅は、同じグループの開口の間の幅よりも大きい。
【0039】
米国特許第4,829,365号明細書では、空間光変調器が、左目側および右目側のビューウィンドウを規定する、垂直方向の発光のラインの形をとったバックライトの配置と協同する自動立体視3Dディスプレイが開示されている。米国特許第4,829,365号明細書の図14では、ピクセルの横列の開口を規定している、上記変調器の前面に接するブラックマスクが示されている。なお、水平方向に隣接したピクセルの間のブラックマスクの部分は、すべて同じ幅である。
【0040】
なお、そのような周知の構成は、マルチビューア・マルチビューディスプレイには不向きである。例えば、異なった観視者が異なった光景を見ることを可能にするのに、上記ビューウィンドウは小さ過ぎるとともに、お互いが近すぎる。
【0041】
[発明思想C:従来技術の概要]
欧州特許第0953962号明細書では、目立たせないようにクロストークを補正するための技術が開示されている。そのような技術は、自動立体視3Dディスプレイに有効だが、異なった画像が異なった観視者によって見られるマルチビューディスプレイでは十分でない可能性がある。
【0042】
また、欧州特許第0822441号明細書では、視差オプティクスとして視差バリアを用いる自動立体視3Dディスプレイが開示されており、特に、回折によって引き起こされたクロストークを減少させるための技術が開示されている。例えば、回折、すなわちクロストークを減少させるための、「滑らかな」エッジを有しているピクセルが開示されている。
【0043】
英国特許第2 336 963号明細書では、観視者の目に対してのビューウィンドウにおいて見える画像間の、光学上のクロストークを減少させるための自動立体視3Dディスプレイと制御装置とが開示されている。なお、そのような光学上のクロストークは、上記ディスプレイの光学素子における散乱および回折のような光学上の影響によって生じる。また、制御装置は、各ピクセルに対しての画像データに、そのピクセルに対してのRGBのカラーベクトルに比例しているグレーレベルを加え、さらに補正値を引く。上記補正値は、異なる画像を表示するピクセルに対してのRGBのカラーベクトルに比例している。なお、ディスプレイ装置に対してのガンマ補正が、上記補正値を決定するときに考慮に入れられてもよい。
【0044】
眺め(視界)の間のクロストークを減少させるための、そのような周知の技術は、自動立体視3Dディスプレイには十分であるかもしれないが、マルチビューア・マルチビューディスプレイには十分でない可能性がある。もし、マルチビューア・マルチビューディスプレイを実用的にしようとするのならば、一般的に、マルチビューア・マルチビューディスプレイは、異なる観視者を対象とした眺めの間のクロストークがとても低くなければならない。例えば、そのようなディスプレイを、別の観視者を対象としたあらゆる眺めを、各観視者が見るべきでない、または見てはならない用途で用いる場合には、クロストークは、このために十分なだけ低くなければならない。もし、クロストークの量が高過ぎるならば、少なくともいくつかの状況で、観視者にとって意図しない画像を目にすることになる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】欧州特許第0752610号明細書
【特許文献2】米国特許第5850269号明細書
【特許文献3】英国特許第2396070号明細書
【特許文献4】英国特許第2403367号明細書
【特許文献5】英国特許第2317734号明細書
【特許文献6】英国特許第2278223号明細書
【特許文献7】英国特許第2315902号明細書
【特許文献8】英国特許第2311905号明細書
【特許文献9】英国特許第2403863号明細書
【特許文献10】国際公開第2004/088996号
【特許文献11】米国特許第4829365号明細書
【特許文献12】欧州特許第0953962号明細書
【特許文献13】欧州特許第0822441号明細書
【特許文献14】英国特許第2336963号明細書
【非特許文献】
【0046】
【非特許文献1】Hirotsugu.Yamamoto et al. “Optimum parameters and viewing areas of stereoscopic full-color LED display using parallax barrier”, IEICE Trans. Electron., (October 2000) vol. E83-C, No. 10, pp1632-1639
【発明の概要】
【0047】
[発明思想A:概要]
本発明の第1の側面によれば、空間的にインターレースされた(interlaced)複数の画像を表示するように配列された複数のピクセルを含み、上記ピクセルが、マルチビューディスプレイでの設計された画像方位のほぼ(substantially)水平方向に細長くなっている空間光変調器と、異なる画像に基づいて変調された上記空間光変調器からの光を個別の異なる方向にほぼ(substantially)制限するように、上記空間光変調器と協同する視差オプティクスとを含むマルチビューディスプレイが提供される。また、上記マルチビューディスプレイは、マルチビューアディスプレイ(multiple viewer display)であるとともに、上記マルチビューディスプレイに対する個別に異なる方向において、個別に異なる観視者によって見るための、上記空間的にインターレースされた画像が目に見える(visible)ように、上記視差オプティクスが上記空間光変調器と協同することを特徴としている。
【0048】
また、上記マルチビューディスプレイは、水平方向に縞のある(striped)カラーフィルタを含んでいてもよい。
【0049】
さらに、上記ピクセルは、長軸(major axes)がほぼ水平方向(horizontal direction)に伸びている長方形になっていてもよい。
【0050】
また、上記ピクセルは、一定の水平方向のピッチ(horizontal pitch)で水平方向に間隔をもって離されているとともに、上記水平方向のピッチの40%から90%までの間の水平方向の開口があってもよい。なお、上記水平方向の開口が、上記水平方向のピッチの70%とほぼ等しくてもよい。
【0051】
さらに、上記ピクセルは、上記水平方向の開口の3分の1にほぼ等しい垂直方向の開口があってもよい。
【0052】
また、上記視差オプティクス(parallax optic)は、上記ディスプレイ上の設計された画像方位(image orientation)の垂直方向に方向付けられた複数のスリットを含んでいる視差バリアを含んでもよい。
【0053】
さらに、上記スリットの水平方向の幅は、上記水平方向のピクセルの開口とほぼ等しくてもよい。また、代案として、上記スリットの水平方向の幅が、上記水平方向のピクセルの開口とほぼ等しくてもよい。さらなる代案として、上記視差バリアは、シングルビューの動作モード(single view mode of operation)を提供するために無効となってもよいとともに、上記スリットの上記水平方向の幅が上記水平方向のピクセルの開口よりも小さくてもよい。
【0054】
また、上記視差バリアは、シングルビューの動作モードを提供するために無効となってもよいとともに、上記スリットの上記水平方向の幅が上記水平方向のピクセルの開口よりも小さくてもよい。
【0055】
さらに、個別のレンズが各スリットに配置されてもよい。また、上記レンズは、円柱形の収束レンズ(cylindrically converging lenses)のような収束レンズであってもよい。そのような取り合わせによれば、より明るいディスプレイを提供するための、より広いスリットの使用が可能になる。さらに、例えば、画像のクロストークを減少させるために、上記画像間の変遷、すなわちビューウィンドウの変遷を、より急(sharper)にしてもよい。
【0056】
上記ピクセルは、上記ディスプレイ上での設計された画像方位の、水平方向に伸びる横列および垂直方向に伸びる縦列になって配列されてもよい。また、上記横列は、1よりも大きい整数であるN個の隣接した横列のグループとして配列されてもよく、各グループのピクセルは、上記グループのための共通の走査線に接続された走査入力と上記グループのすべてに共通の個別のデータ線に接続されたデータ入力とを有していてもよい。
【0057】
そのような取りはからいによれば、周知のタイプのディスプレイと同じ、またはよく似た程度の画像データの走査、および上記マルチビューディスプレイのリフレッシュが可能になる。従って、そのような取りはからいは、周知または標準的な画像ソース(image source)の配置、および走査技術に対して互換性があり、その上、十分に広い間隔の空いたビューウィンドウを有するマルチビューアディスプレイ(multiple viewer display)を提供するための幅広いピクセルの使用を可能にする。
【0058】
また、各グループでは、同じ1つの上記縦列にあるとともに、お互いに隣接しているピクセルのデータ入力(data input)は、隣接している上記データ線の1つに接続されていてもよい。
【0059】
さらに、Nは3と等しくてもよい。
【0060】
[発明思想B:概要]
本発明の第2の側面によれば、上記マルチビューディスプレイについて個別に異なる方向において、個別に異なる観視者によって見るための、空間的にインターレースされた(interlaced)複数の画像を表示するように配列された複数のピクセルを含む空間光変調器と、異なる画像に基づいて変調された上記空間光変調器からの光を個別の異なる方向(24,25)にほぼ(substantially)制限するように、上記空間光変調器と協同する視差オプティクスとを含み、さらに上記空間光変調器が、ブラックマスクを含み、上記ブラックマスクは、上記ピクセルのピクセル開口(pixel apertures)を規定するとともに、上記マルチビューディスプレイでの設計された画像方位の水平方向に隣接する上記ピクセル開口の間に、少なくとも2つの異なる幅を持つ部分(portions)を有しており、上記視差オプティクスが、それぞれがピクセルの個別のグループと協同する複数の視差素子(parallax elements)を含んでいるマルチビューディスプレイが提供される。また、上記マルチビューディスプレイは、マルチビューアディスプレイ(multiple viewer display)であるとともに、同じグループのピクセル間の上記ブラックマスクの各部分の上記幅は、異なるグループのピクセル間の上記ブラックマスクの各部分の上記幅よりも大きいことを特徴としている。
【0061】
また、上記同じグループのピクセル間の上記ブラックマスクの各部分の幅は、上記水平方向のピクセルピッチのほぼ32%からほぼ48%までの間であってもよい。
【0062】
さらに、異なるグループのピクセル間の上記ブラックマスクの各部分の幅は、上記水平方向のピクセルピッチのほぼ16%からほぼ24%までの間であってもよい。
【0063】
また、上記視差オプティクスが、上記マルチビューディスプレイ上の、設計された画像方位の垂直方向に方向付けられた複数のスリットを含んでいる視差バリアを含んでいてもよい。さらに、上記スリットの上記水平方向の幅は、水平方向のピクセル開口にほぼ等しくてもよい。
【0064】
その結果、異なった観視者によって異なった眺めを見ることが可能なディスプレイを提供することが可能になる。なお、マルチビューアディスプレイは、ビューウィンドウまたは異なる観視者が異なる眺めを見ることができるくらい十分に間隔をもって離れている領域を用意することが必要である。上記同じグループの水平方向に隣接したピクセル間の、比較的幅広いブラックマスクの部分は、そのような分離を実現可能にするとともに、観視範囲角(angular viewing range)または画像の混和が生じる範囲を減少させる。そして、これがマルチビューアディスプレイの性能の改良を実現可能にする。
【0065】
また、上記マルチビューディスプレイは、上記画像をインターレースする(interlacing)のに適した形(form)のピクセルデータを上記空間光変調器に提供するためのコントローラを含んでいてもよい。
【0066】
さらに、上記空間光変調器は、例えば液晶デバイスといったようなライトバルブを含んでもよい。
【0067】
また、上記複数の画像は、2つの画像からなってもよい。
【0068】
[発明思想C:概要]
本発明の第3の側面によれば、表示される各画像についての各ピクセルのピクセル値に、所定のグレーレベルを加算して総和(sum)を成すように、かつ、表示される上記画像の他の画像についての、少なくとももう1つのピクセルのピクセル値と、マルチビューア・マルチビューディスプレイのためのグレーレベルに対してピクセル強度を関係づける写像(mapping)との関数(function)である、光学上のクロストーク補正値を各総和(each sum)から減算するように、構成された演算処理装置を含むことを特徴とする、マルチビューア・マルチビューディスプレイに複数の画像を表示させるためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置が提供される。
【0069】
上述されるように、観視者が、異なる観視者を対象とした画像である「ゴースト像(ghost image)」を見てしまうという結果をもたらし得るので、マルチビューア・マルチビューディスプレイでの眺め間のクロストークは望ましくない。また、各観視者が、他の観視者を対象とした画像を見ることができてはならないという特定の要求が存在する場合に、これは特に望ましくない。ここで紹介する技術は、他の観視者によって、そのようなクロストークを、特定の観視者を対象とした画像が知覚できないほど十分に低いレベルに減少させることができる組み合わせ方を提供します。これは、例えば、2人以上の観視者にために画像を表示する単一のディスプレイ装置の、セキュリティ上の要求および法律上の要求を満たすことを可能にする。
【0070】
また、上記所定のグレーレベルは、すべてのピクセルで同じであってもよい。そのような取りはからいによれば、すべてのピクセルに追加するたった1つのグレーレベルについて計算を行うだけでよくなるので、クロストークを減少させるのに必要な計算が簡略化される。上記ディスプレイ制御装置の製造の期間中に、上記1つのグレーレベルを予め決めたり、前もってセットしたりすることになるため、いくつかの応用例に関してさえ上記は可能である。従って、さらに、上記ディスプレイ制御装置についての作業負荷がさらに減少される。なお、上記所定のグレーレベルは、最大限可能なクロストークの寄与(maximum possible crosstalk contribution)に相当していてもよい。
【0071】
さらに、上記少なくとももう1つのピクセルは、他にもう1つピクセルを含んでいてもよい。上記他のピクセルは、同じ色のものであってもよい。
【0072】
また、上記クロストークの補正値(crosstalk correction value)は、補正されるべきピクセル値の関数(function)であってもよい。
【0073】
さらに、本発明の第4の側面によれば、マルチビューア・マルチビューディスプレイの少なくともいくつか(some)のピクセルの各ピクセル値に、マルチビューア・マルチビューディスプレイ内での電気的なクロストーク(electrical crosstalk)の関数(function)である電気的なクロストークの補正値を加算するよう構成された演算処理装置を含むことを特徴とする、マルチビューア・マルチビューディスプレイに複数の画像を表示させるためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置が提供される。
【0074】
また、今回、これまで知られていなかった、マルチビューア・マルチビューディスプレイにおけるクロストークの発生に関する仕組みが見出された。この仕組みは、主に、または、もっぱらディスプレイ装置内で生じる、電気的なクロストークと関係がある。例えば、ディスプレイ装置のデータ線の間の寄生容量は、観視者が、他の観視者を対象とする画像の「ゴースト画像」を見ることができるかもしれないような、画像のクロストークを生み出す可能性がある。また、観視者が感知できないレベルまでクロストークを減少させるために、そのようなクロストークの補償を行うことが可能であることが、今回さらに見出された。
【0075】
また、上記関数は、補正されるべき上記ピクセル値の関数、および少なくとも他のもう1つのピクセルの上記ピクセル値を含んでいてもよい。さらに、上記少なくとももう1つのピクセルは、隣接するピクセルからなってもよい。なお、各ピクセル値を補正する場合に、もう1つのピクセル値を考慮に入れるだけで十分であることが、多くの応用例において意外にも見出された。これは、電気的なクロストークの明らかな影響を減少させるために必要とされる計算を簡略化する。
【0076】
上記関数は、さらに上記マルチビューア・マルチビューディスプレイに関するピクセル強度をグレーレベルに関連付けた写像の関数を含んでいてもよい。
【0077】
本発明の第5の側面によれば、少なくとも画像のうちの1つに、画像間のクロストークをマスキングする(masking)ためのマスキング画像(masking image)を追加するよう構成された演算処理装置を含むことを特徴とする、マルチビューア・マルチビューディスプレイに複数の画像を表示するためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置が提供される。
【0078】
また、マスキング画像を加えることによって、例えば「ゴースト画像」の形をとる、クロストークの目に見える度合いを減少すること、または排除することができるようになることが意外にも見出された。なお、そのようなマスキング画像は、費用および複雑さの点においてほんの僅か、またはまったく不利益のない比較的簡単な手段によって提供することができる。
【0079】
さらに、上記演算処理装置は、同じマスキング画像を上記画像のそれぞれに加算するよう構成されていてもよい。
【0080】
また、上記マスキング画像は、ノイズを含んでいてもよい。なお、代案として、上記マスキング画像は、ランダムテキスト(random text)を含んでいてもよい。
【0081】
さらに、上記マスキング画像は、静止画像を含んでいてもよい。なお、代案として、上記マスキング画像は、変化する画像(changing image)を含んでいてもよい。
【0082】
また、上記マスキング画像は、グレーレベルを含んでいてもよい。
【0083】
さらに、上記演算処理装置は、上記少なくとももう1つの画像がほぼ黒色の場合に、上記グレーレベルを加算するよう構成されていてもよい。
【0084】
また、上記マスキング画像は、上記ディスプレイの最大輝度の5%にほぼ等しい最大輝度を有していてもよい。
【0085】
さらに、上記マスキング画像は、予想されるクロストークの最大輝度の10倍以上の最大輝度を有していてもよい。
【0086】
また、上記複数の画像は、2つの画像からなってもよい。
【0087】
さらに、本発明の第3の側面から第5の側面までのいずれかに基づいた制御装置は、本発明の第1の側面または第2の側面に基づくディスプレイに組み合わされてもよい。
【0088】
本発明について、添付の図面を引用するとともに、例を用いてさらに述べる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】従来の自動立体視ディスプレイ装置の概略的な平面図である。
【図2】従来のマルチビューディスプレイ装置によって与えられるビューウィンドウの概略的な説明図である。
【図3】他の従来のマルチビューディレクショナルディスプレイ装置によって作り出されるビューウィンドウの概略的な平面図である。
【図4】他の従来の自動立体視ディスプレイ装置の概略的な平面図である。
【図5】従来のマルチビューディレクショナルディスプレイ装置の主要な構成を示す概略的な平面図である。
【図6】従来の走査構成を例証する、空間光変調器の一部の概略的な正面図である。
【図7】本発明の実施例の構成要素であるマルチビューディスプレイの、概略的な正面図を示すものである。
【図8】本発明の実施例の構成要素であるマルチビューディスプレイの、概略的な断面図を示すものである。
【図9】走査構成を例証する、図7および図8の上記マルチビューディスプレイの空間光変調器の一部の概略的な正面図である。
【図10】本発明の実施例の構成要素であるマルチビューディスプレイの概略的な断面図である。
【図11】好ましいピクセルの開口の形状、および好ましくないピクセルの開口の形状を例証する概略図である。
【図12】本発明の実施例の構成要素であるマルチビューディスプレイを例証する概略図である。
【図13】マルチビューディスプレイにおけるクロストークの原因を例証する概略図である。
【図14】本発明の実施例の構成要素であるディスプレイ制御装置の概略的な構成図である。
【図15】表示ピクセル強度(display pixel intensity)とグレーレベルとの間の関数を例証するグラフである。
【図16】本発明の実施例の構成要素であるマルチビューディスプレイの概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
図7および図8は、観視者によって左側の画像と右側の画像とが、マルチビューア・マルチビューディスプレイの法線の左側の方向からと右側の方向からとだけでそれぞれ見えるように左側の画像と右側の画像とを同時に表示するためのマルチビューア・マルチビューディスプレイの、それぞれ概略的な正面図および断面図を示すものである。上記ディスプレイは、バックライト(図示せず)を備えた透過型の液晶(LC)パネル20の形をとった空間光変調器と、前方の視差バリア21とを含む。LCパネル20は、それぞれ矢印24および矢印25によって指し示された方向における観賞のための、空間的に多重化された(spatially multiplexed)またはインターレースされた(interlaced)、左側および右側の眺めを表示するための、間にピクセルLおよびピクセルRが形成された基板22および基板23を含んでいる。なお、上記観賞の方向の間の角度はθで示される。また、視差バリア21は、LCパネル20のピクセル面が基板22と基板23との間に配置されるとともに、視差バリア面が基板22と基板26との間に配置されるように、基板26に接して形成される。
【0091】
図7の正面図で示されるように、上記ピクセルは、表示される2つの画像の、垂直方向の細長い片(ストリップ)をインターレースして表示するピクセルの、隣接した縦列とともに横列および縦列になって配列される。ピクセルの縦列のそれぞれの対は、視差バリア21の個別のスリット27と協同する。そして、上記ピクセルの縦列によって、上記空間光変調器をほぼ制限するため、正しくない画像が各観視者によって実質的に見られないのに対して、正しい画像が各観視者によって見られる。
【0092】
上記ピクセルのそれぞれは、その長軸が、LCパネル20の上記ピクセルによって表示される画像の、意図または設計された方位を参照した場合の水平方向に伸びている長方形である。また、各画素は、垂直方向の開口29のほぼ3倍の、水平方向の開口28を有している。この点で、上記水平方向の開口および垂直方向の開口は、それぞれ水平方向および垂直方向における上記ピクセルの上限の幅および上限の高さとして定義される。上記ピクセルは、水平方向の開口28が水平方向のピッチの40%から90%までの間であるような、水平方向のピッチ30を有する規則的な長方形のアレイとして配列される。また、好ましい実施例では、輝度と観視者の運動の自由度との間での良好な妥協案を与えるためであると同時に、上記ディスプレイ内での回折および散乱からの、画像間の比較的低いレベルのクロストークの発生のため、水平方向の開口28は上記水平方向のピクセルピッチの70%となっている。
【0093】
また、視差バリア21の各スリット27の幅31は、ディスプレイの十分な明るさを提供するために、ほぼ上記ピクセルの水平方向の開口と等しくてもよい。なお、改善のため、すなわちクロストークの低減のため、上記スリットの幅31がより広くされてもよいし、上記ピクセルの水平方向の開口がより小さくされてもよい。
【0094】
さらに、シングルビューの動作モード(single view mode of operation)を提供するために視差バリア21が無効になる可能性のある実施例において、より高い輝度は、上記スリットの幅31よりも、上記ピクセルの水平方向の開口28を大きくすることによって達成されてもよい。
【0095】
図7の正面図において陰で示されているように、上記ディスプレイは、水平方向に縞のあるカラーフィルタを含んでいる。よって、上記ピクセルは、各横列のピクセルが同一の色になっているとともに、垂直方向において赤、緑、および青の横列が周期的に繰り返される横列になって配列される。複合カラーのピクセル(composite colour pixel)は、垂直方向に配列された赤、緑、および青のピクセルの三つ組みによって形成される。
【0096】
水平方向に細長いピクセルの使用は、視差オプティクスタイプのディレクショナルディスプレイをマルチビューア・マルチビューディスプレイとして用いることを可能にする。上記「より幅広い(wider)」ピクセルは、上記LCピクセル面と上記視差素子面(上記面は図8で示された実施例におけるバリアスリットを含む)との間の実用的な間隔を生じさせることによって、マルチビューアに適した、より広く間隔が空けられたビューウィンドウを可能にする。したがって、この間隔を主に規定する基板は、頑丈さを満足できるだけ、および製造中および使用中に、脆い成分の特別な扱いを必要とさせないだけ十分にぶ厚い材料で作られていてもよい。例えば、少なくとも0.5mmの厚さをもつガラス基板には、標準的な屈折率を有するものが用いられてもよい。これによれば、比較的高い屈折率の、より「風変わりな」材料を使用する必要がなくなる。
【0097】
上記ディスプレイのピクセルの、異なるアスペクト比のため、各横列におけるピクセルの数と上記ディスプレイのピクセルの横列の数とが、例えば図6で示されるように、従来のLCパネルのものと異なる。例えば、図9で示されるように、上記水平方向のピクセル開口は、図6の上記パネルの水平方向のピクセルの開口のサイズのおよそ3倍だが、図9の垂直方向のピクセル開口は、図6の垂直方向のピクセル開口のサイズのおよそ1/3である。従って、図6と比べて、図9の各横列におけるピクセルの数は、およそ1/3である。また、図6においては、図9における横列のおよそ3倍のピクセルの数がある。
【0098】
図6の上記パネルにおけるように、図9の上記パネルを一度にリフレッシュするのは可能だろう。しかしながら、これには、図6の上記パネルに対して必要とされる、およそ3倍の走査パルスの頻度が必要となるだろう。また、各横列でリフレッシュされるピクセルの数は、およそ1/3となるだろう。これを達成するための走査は、図6を参照して上述されているような従来の走査と実質的に異なっているだろうし、上記ディスプレイにピクセルデータを供給するための既存の画像データソース(image data sources)と互換性がないだろう。
【0099】
図9では、この互換性のなさを実質的に克服する処置について示す。この場合では、上記ピクセルは、横列85のように、3つの集まりとして配列される。また、横列の各グループ85の中では、上記ピクセルは、3つのピクセルが縦列になって配列される。上記グループ85のピクセルのすべては、共通の走査線81に接続されている86のような走査入力を有している。また、上記ピクセルは、個々のデータ線に接続されているデータ入力を有している。よって、上記グループ85における3つの縦列の各ピクセルのデータ入力は、87から89までのような、隣接する個々のデータ線に接続される。上記接続は、各縦列におけるピクセルに隣接する上記データ入力が、隣接しているデータ線に接続されるものである。
【0100】
これは、従来の走査構成を、上記パネルをリフレッシュするのに利用することを実質的に可能にする。ピクセルの横列の各グループ85に対するピクセルデータは、ジグザグの矢印90によって示された順番で、データ線ドライバに送り込まれる。グループ85のすべてのピクセルに対してのデータが入力されたとき、グループ85に対する走査線81は、同時にグループ85のすべてのピクセルのリフレッシュを行うための、走査パルスを走査線ドライバから受けとる。従って、一度に3つの横列がリフレッシュされる。そして、この処理は、3つの横列の各グループに対して順番に繰り返される。この配列の結果として、上記ピクセルデータの入力と並びのグループの操作が、例えば図6で示されているような周知のタイプのディスプレイに互換性のある方法で起こる。上記ピクセルデータは、3つの横列に上記データを入力するために、いくらかの並び替え(reordering)を必要とするが、これは、従来の画像データソースの範囲内で容易に達成可能であり、互換性のなさをもたらすこともない。
【0101】
図10では、図8で示したのと同様のタイプのマルチビューアディスプレイについて示す。しかしながら、図10の上記ディスプレイは、バリア基板26が、高い屈折率の材料で作られた91のようなレンズのアレイに適合させるために、バリア基板26が、基板22から間隔を空けられているという点において異なる。上記レンズには、視差バリア21のスリット27に各レンズが配置される円柱形の収束レンズ、または微細な凸型レンズ(lenticules)を含む。レンズ91は、スリット27と一致している(coinciding with)平面を有する円柱形の、および平凸のものであって、凸状の表面がLCパネル20に向かって広がっているものである。レンズ91を有する視差バリア21は、低い屈折率の接着剤の層92によって、LCパネル20の基板22に取り付けられる。
【0102】
図10のマルチビューディスプレイは、本質的には図8のマルチビューディスプレイと同じように機能する。しかしながら、バリアスリット27における円柱形の収束レンズ91の使用は、より広いバリアスリット27の使用を可能にする。そして、これは上記ディスプレイに与えられる照明の量に対して、より明るい画像を提供することを可能にする。また、レンズ91は、画像間およびビューウィンドウ間の遷移をより急(sharper)にさせ、例えば、その結果、画像間のクロストークをより低減させる。
【0103】
図11では、上記ディスプレイ上の設計された画像方位の垂直方向に、上記ピクセルが伸びるまたは広がる、他のタイプのLCパネルを示す。パネルの一部の例が35において示されているとともに、「典型的な(ideal)」長方形のピクセルの形状の例が36において示されている。そのようなピクセルの形状36は、狭い幅側の水平方向において特性(features)を有していない。従って、そのような僅かな特性の欠如から、水平方向の回折によって、より大きなクロストークが生じるだろう。
【0104】
図11では、37、38、および39において、他の3つのピクセルの形状を示す。37および38で示された形状は、一定の幅を有しているとともに、2つの分離した長方形のサブアパーチャー(sub-apertures)で構成されている。従って、水平方向の回折に寄与する「乏しい(thin)」特性はない。また、39で示された形状は、上記ピクセルのどんな部分の最小の幅も、上記ピクセルの上記水平方向の開口の半分以上であるような、お互いに隣接する長方形の形状の2つのサブアパーチャーを含む。そのようなピクセルの形状の場合もやはり、水平方向の回折を比較的低くする。また、図11では、そのすべてが、比較的高い水平方向の回折を生じさせる、比較的細い垂直方向の線または領域を有している40から44までの、ピクセルの形状を示す。従って、このタイプの形状は、水平方向の回折を減少させ、不要なクロストークを避けるために、選ばないようにするべきである。
【0105】
図12では、図7から図9までに示したのと同様のタイプであるが、いくらか変更のある、マルチビューディスプレイに形成される視差オプティクス50と協同する液晶(LC)パネルを示す。LCパネル20のピクセルは、図7から図9までで示されているのと大体同じようにして配列されるが、左側の眺めと右側の眺めとが異なって割り当てられる。特に、お互いが垂直になった左側および右側の細長い片(strips)を交互に表示する列を有する(各縦列というよりむしろ)各横列のピクセルは、表示するための画像の1つとしての水平方向の薄片または細長い片を表示する。また、LCパネル20は、周期的に繰り返される赤、緑、および青の水平方向の縞を有する、図7で示されたタイプのカラーフィルタを含んでいる。図12では、異なる眺めを表示するピクセルの隣接する横列を示すが、上記ピクセルは、1つ以上の横列を含んでいる各組を有する、隣接する横列の組として配列され、上記眺めのうちの1つの水平方向の細長い片を表示してもよい。
【0106】
図12のディスプレイにおける視差オプティクス50は、マイクロルーバー(microlouvre)タイプのものであって、各列がLCパネル20のピクセルの個別の横列(または横列の組)にかぶさったり、協同したりするマイクロルーバーの横列を含んでいる。上記マイクロルーバーは、左側の観視者と右側の観視者とに向かって的確な方向においてLCパネル20からの光の透過をほぼ制限するように、それぞれの列において同じ方向に方向付けられているとともに、隣接した横列において異なる方向に方向付けられている日除け(ルーバー)を有する小型のベネチアン・ブラインドに似ている。従って、上記観察の方向は、51のような個々のルーバーの面に平行である。このタイプのマイクロルーバーの配列については周知であるので、これ以上詳細な説明は行わない。
【0107】
このように、図12は、水平方向に細長いピクセルを用いる視差オプティクスのタイプのマルチビューア・マルチビューディスプレイの他の実施例を示している。この実施例では、ビューウィンドウの間隔は、マイクロルーバーの方向によって主に規定される。観視者の上下運動が比較的限られるにも関わらず、良好なクロストークのパフォーマンスが達成されるので、そのようなディスプレイは、特に意図された観察場所からの上下方向への自由な動きが必要でない応用例に対して有用である。
【0108】
考えられる代案として、図12で示された視差オプティクス50は、実質的に同様の働きができるホログラフィック素子(holographic element)に取り替えてもよい。また、実際に、前述した実施例の視差オプティクスをホログラフィの構成要素に取り替えてもよい。
【0109】
図13では、マルチビューディスプレイにおける観察場所での画像間のクロストークの2つの原因について示す。図13の左側に示される原因1は、LCパネルのピクセル間で起こる可能性のある小さな影響である、電気的なクロストークに起因している。これは、例えば、これはLCパネルのドライバー回路の、(TFTの)薄膜トランジスタにおける寄生容量のせいで生じる可能性がある。上記電気的なクロストークのふるまいは、比較的複雑である。例えば、電気的なクロストークは、1「方向(direction)」だけにおいて生じる可能性がある。よって、1つのピクセルからのクロストークが、(図13の左側で示すように)片側のピクセルだけに影響を与える可能性がある。また、電気的なクロストークの規模は、影響を受けたピクセルに供給されたデータ値と、クロストークを引き起こしたピクセルに供給されたデータ値とに依存する可能性がある。
【0110】
図13の右側に示される原因2は、光学上のクロストークに起因している。これは、上記ディスプレイの光学素子の欠陥にする可能性があるが、また、視差バリアでの回折および散乱といった内在性の要因によっても生じる可能性がある。欧州特許第0953962号明細書では、光学上のクロストークを補正するのための周知の技術が開示されているが、参照することによって、上記内容はこの明細書中(herein)に組み込まれている。この技術については、自動立体視3Dディスプレイについての文脈において述べられている。マルチビューア・マルチビューディスプレイは、クロストークが非常に低いレベルにあることを必要とするが、以下に述べられているような、光学上のクロストークのための補正を改良することによって、それは実現可能である。
【0111】
異なる画像間のクロストークをもたらす電気的なクロストークは、マルチビューア・マルチビューディスプレイの性能を許容できないレベルにまで低下させ得る、これまで知られていなかったクロストークの作用である。そのような電気的なクロストークを発生させる電気的なメカニズムは、光学上のクロストークを発生させるメカニズムとは異なっている。従って、光学上のクロストークを減少させるための技術は、単独で画像間のクロストークを、許容できるレベルにまで減少させるには十分でない可能性がある。よって、電気的なクロストークおよび光学上のクロストークを減らすまたは「正す」ためには、異なる補正が必要とされる。しかしながら、そのような補正は、以下の計算と組み合わせてもよい。従って、眺め間のクロストークを許容できる範囲にすることを実現するために、組み合わされた補正(combined correction)が適用されてもよい。
【0112】
図14では、例えば前述のタイプのいずれかのディスプレイ60と、電気的な、および/または光学上のクロストークの補正を提供することができるディスプレイ制御装置61とを示す。ディスプレイ制御装置61は、タイミング発生器63によって制御されるデータオーガナイザ(data organiser)62を含み、ディスプレイ60のリフレッシュを行うのに対して適切な、時間的順序(temporal order)になるように、アナログまたはデジタルのピクセル値の順番を取り決めている。データオーガナイザ62およびタイミング発生器63は、的確な順番でマルチビューアマルチビューディスプレイにピクセルデータを供給するのにとって適切な、あらゆるタイプのものであってもよく、周知のタイプのものであってもよい。
【0113】
ディスプレイ制御装置61は、クロストークの補正を実行する演算処理装置(processor)64をさらに含んでいる。演算処理装置64は、アナログ加算器(summers)65および66、クロストーク計算機(crosstalk calculator)67を含んでいる。
【0114】
ディスプレイ制御装置61およびディスプレイ60は、デュアルビューの働き(dual view operation)ができるように配置されている。従って、2人の観視者が互いに、同時にディスプレイ60によって表示される、独立している画像を見ることができる。左側(L)および右側(R)の画像のデータは、ディスプレイ制御装置61の入力68および69に供給される。上記左側および右側の画像のデータは、アナログ加算器65および66の最初の入力のめいめい、およびクロストーク計算機67のそれぞれの入力に供給される。クロストーク計算機67は、各画像に対してのクロストークの補正値について計算し、これらの値をアナログ加算器65および66の2番目の入力に供給する。なお、クロストーク計算機67は、タイミング発生器63からタイミング信号を受け取る。
【0115】
アナログ加算器65および66からの出力は、個々のピクセルデータをディスプレイ60に対して適切な順序に整理する(organises)データオーガナイザ62に供給される。例えば、左側の画像と右側の画像とが、ディスプレイに関して1ピクセル幅の、垂直方向に細長い片が、インターレースされるようにして表示される場合では、データオーガナイザ62にはピクセルデータがアナログ加算器65および66から交互に供給されるとともに、必要であればピクセルデータが廃棄される。従って、ピクセルデータのための各水平方向のラインを、ディスプレイ60の水平方向の解像度に一致(matches)させる。
【0116】
電気的なクロストークに関して補正を行うため、クロストーク計算機67は、電気的なクロストークによって影響を受ける各ピクセルのピクセル値と、上記影響を受けたピクセルの上記クロストークに寄与している各ピクセルのピクセル値とに基づいて、補正値を算出する。また、クロストーク計算機67によって算出されるクロストークの補正値は、ピクセル強度とグレーレベルとの間の写像にも依存しているので、上記クロストークに関して、ピクセルのグレーレベルの、変化させる必要がある量を、より正確に補正を行うために、算出することができる可能性がある。図11では、任意の単位における強度が、0から255までで表されたグレーレベルに対してプロットされている、そのような関数の例について示す。クロストークの補正値は、影響を受けるピクセルのデータの度合い(level)、影響を与えるピクセルのデータの度合い(level)、およびピクセル強度とグレーレベルとの間の写像の関数である。
【0117】
影響を受けたピクセルの度合い、および影響を与えたピクセルの度合いの作用としてのクロストークは、実験的に割り出されてもよい。上記ピクセルが256のグレーレベル(黒を含む)を有している場合では、グレーレベルの、可能性のある組み合わせごとについての写像を割り出すために、255×255の測定を実行することが必要になるだろう。しかしながら、削減された数の測定をさせてもよく、上記写像を表すデータを手に入れる負担を減らすために、補間法のような概算を行ってもよい。
【0118】
各生産ラインからのディスプレイ、または可能であれば各個別のディスプレイについての、ピクセル強度とグレーレベルとの間の写像を決定するために測定を実行することが必要または望ましいかもしれない。逆に、生産工程が十分に不変であるならば、ディスプレイ60の1つの標本に関しての写像を決定するための測定を実行する必要だけしかないものとしてもよい。
【0119】
代わりに、またはさらに、演算処理装置64は、光学上のクロストークの補償を行ってもよい。例えば、典型的なマルチビューディスプレイ60において、光学上のクロストークは、異なる画像を表示する1以上隣接したピクセル(または、異なる画像を表示する、影響を受けたピクセルのような、同じ色の1以上隣接したピクセル)のピクセル強度、光学上のクロストークの「度合い(level)」(例えば、光学上の回折および散乱の量)、およびピクセル強度とグレーレベルとの間の写像の関数として、クロストーク計算機67によって割り出されてもよい。ピクセル強度とグレーレベルとの間の写像を考慮に入れることによって、例えば、上記写像が直線的であると想定した場合と比較して、補正の精度を改善することが可能である。図15に示すように、実際の写像はかなり非線形であるので、提示した技術によって補正が改善される。
【0120】
クロストークを減少させるために、クロストーク計算機67は、各画像に対して必要とされる補正値を割り出し、割り出した補正値を、すべてのピクセルに対しての、所定の定数のグレーレベルから差し引く。そして、その結果が、アナログ加算器65および66において、画像に追加される。
【0121】
例えば、もしクロストークが回折によって引き起こされるものであった場合には、上記クロストークは色に依存している可能性がある。例えば、そのような回折が、上記ディスプレイのクロストークに実質的な寄与をしているならば、上記クロストークは、赤い光よりも青い光に対して、より大きくなると期待される。そのような状況において、異なる色に対して独立して計算されるまたは導き出されるとともに、異なる色に対して異なった補償が行われるのが、クロストークにとって好ましい。従って、各ピクセルのクロストークに対して行われる補償の少なくとも一部は、同色の他の1つ以上のピクセルから導き出されることが好ましい。
【0122】
クロストークの計算のための代案または追加案として前述したように、クロストーク計算機67は、ノイズまたはランダムテキスト(random text)といった、ぼんやりした(faint)所定のマスキング画像(masking image)を加える。そのようなマスキング画像の追加は、上記クロストークを意味のある画像として判断することをより困難にさせる。従って、観視者(viewers)によるクロストークの知覚を減少させる。
【0123】
マスキング画像は、静止した(static)または常に一定の画像であってもよい。代案として、マスキング画像は、時間にともなって変化するマスクを上記クロストークにかけるのがより適切である場合には、時間にともなって変化するものであってもよい。例えば、変化する画像は、非静止の表示画像または表示画像群について言えば、マスキングを行うのに、より適切である可能性がある。
【0124】
マスキング画像のレベルは、単にクロストークを感知できなくする目的に十分になるように選ばれる。例えば、マスキング画像は、予想されるクロストークの最大輝度よりも、1桁(order of magnitude)高い最大輝度を有してもよい。例えば、0.4%のクロストークの場合では、マスキング画像は、ディスプレイの最大輝度のおよそ5%を、最大のレベルとして有する。
【0125】
代わりに、またはさらに、クロストークの視認性は、一定の強度を個々の画像に加えることによって、減少させられてもよい。特に、どちらかの画像が黒であるときに、クロストークによって生じる低レベル(low level)の画像への人の視覚の高い感度のために、クロストークの視認性はより高くなる。低レベルの一定の強度を加えることによって、特に画像が一般的に黒の場合、クロストークによって生じるグレーレベルにおけるばらつきに対して人の視覚がより反応しにくくなるグレーレベルの範囲にそれを動かすことによって、クロストークを目立たなくすることが可能である。
【0126】
そのような処置には、比較的ちょっとした画像処理の能力しか必要としないので、実施するのが容易であるとともに、安価で済む。また、この技術は、特に灰色が黒のスクリーン(black screen)に加えられる状況に適しているが、黒以外の画像に適用され、隠蔽率において、少ないが一様の、許容できる低減をもたらしてもよい。
【0127】
クロストークの視認性の低減のための付加的な手段は、周囲の照明状態の低いディスプレイの輝度を減少させるものであってもよい。例えば、(黒の画像に関して目立つような)クロストークは、周囲の照明状態が低いとき、例えば、夜に車両でディスプレイが用いられる場合に、特に目立つ可能性がある。例えば、バックライトを薄暗くすることによる、または画像処理によるような、上記ディスプレイの輝度の減少によって、クロストークの減少された輝度はそれほど目立たなくなる。これを制御するために、例えば光ダイオードといったセンサは、周囲の照明の強度を感知し、上記ディスプレイを薄暗くするよう制御するのに用いられてもよい。代案として、周囲の照明状態は、他のパラメータから推測されてもよい。例えば、上記ディスプレイが自動車などのような車両に取り付けられる場合、上記ディスプレイは、車両のヘッドライトが点けられるときに、薄暗くされるよう構成されていてもよい。
【0128】
図16では、2人の観視者が、観視方向24および25において、独立した画像を見ることを可能にするために視差バリア21と協同するLCパネル20を含む、他のマルチビューア・マルチビューディスプレイを示す。縦列になって配列されている左側(L)および右側(R)の画像のピクセルを有するデュアルビュー(dual view)の意図に関して、上記ディスプレイが図示されている。よって、上記画像は、1ピクセル幅の、インターレースされた垂直方向の細長い片(interlaced vertical strips)としてLCパネル20上に表示される。なお、上記ピクセルは、30で示される水平方向のピッチを有している。また、上記バリアスリットは、ほぼ水平方向のピクセル開口と等しい、31で示される幅を有している。
【0129】
LCパネル20は、上記ピクセルの水平方向の開口を規定する72および73などといった部分を有するブラックマスクを含む。各バリアスリットは、上記ブラックマスクを規定する上記部分72を有する(デュアルビューディスプレイのための)ピクセルの2つの縦列と関連付けられている(associated with)とともに、上記関連付けられたピクセルの縦列の上記開口の間に配置される。73といったような上記ブラックマスクの部分は、水平方向に隣接するピクセルが視差バリア21の異なるスリットに関連付けられるための上記水平方向のピクセル開口の残りのエッジを規定する。
【0130】
72といったような上記ブラックマスクの部分の水平方向の幅70は、上記ピクセルピッチ30の約32%から約48%までの間であるのに対して、上記ブラックマスクの部分73の幅71は、上記ピクセルピッチ30の約16%から約24%までの間である。典型例では、上記バリアスリットの幅31は上記ピクセルピッチ30の約70%、上記ブラックマスクの部分72の幅70は上記ピクセルピッチ30のほぼ40%、そして、上記ブラックマスクの部分73の幅71は上記ピクセルピッチ30のほぼ20%である。従って、バリアスリットの幅31は、上記ピクセルの水平方向の開口にほぼ等しい。
【0131】
比較的幅の広いブラックマスクの部分72を使用することによって、上記パネルのピクセル面とバリアスリット面との間に与えられる間隔に対して、ビューウィンドウ間のより大きな角度での分離が可能になる。これは、マルチビューアディスプレイが提供されるのを可能にするとともに、前述の間隔を減らすためのあらゆる要求を回避可能にする。なお、薄く脆い基板を使用する必要がないので、そのような薄い基板に関連している製造の問題を避けることができる。また、比較的薄いブラックマスクの部分73の使用は、LCパネル20の水平方向の空間分解能におけるあらゆる実質的な損失を回避、または低減する。
【0132】
上記マルチビューディスプレイおよびディスプレイ制御装置を以下のように構成してもよい。
【0133】
<1>
空間的にインターレースされた複数の画像を表示するように配列された複数のピクセル(L,R)を含み、上記ピクセル(L,R)が、マルチビューディスプレイでの設計された画像方位のほぼ水平方向に細長くなっている空間光変調器(20)と、異なる画像に基づいて変調された上記空間光変調器(20)からの光を個別の異なる方向(24,25)にほぼ制限するように、上記空間光変調器(20)と協同する視差オプティクス(21)とを含むマルチビューディスプレイであって、
上記マルチビューディスプレイは、マルチビューアディスプレイであるとともに、上記マルチビューディスプレイに対する個別に異なる方向(24,25)において、個別に異なる観視者によって見るために、上記空間的にインターレースされた画像が目に見えるように、上記視差オプティクス(21)が上記空間光変調器と協同することを特徴とするマルチビューディスプレイ。
【0134】
<2>
水平方向に縞のあるカラーフィルタを含むことを特徴とする<1>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0135】
<3>
前記ピクセル(L,R)は、長軸がほぼ前記水平方向に伸びている長方形になっていることを特徴とする<1>または<2>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0136】
<4>
前記ピクセル(L,R)は、一定の水平方向のピッチ(30)によって、水平方向に間隔をもって離されているとともに、上記水平方向のピッチ(30)の40%から90%までの間の水平方向の開口(28)が設けられていることを特徴とする<1>から<3>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0137】
<5>
前記水平方向の開口(28)は、前記水平方向のピッチ(30)の70%にほぼ等しいことを特徴とする<4>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0138】
<6>
前記ピクセル(L,R)には、前記水平方向の開口(28)の3分の1にほぼ等しい垂直方向の開口(29)が設けられていることを特徴とする<1>から<5>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0139】
<7>
前記視差オプティクス(21)は、前記ディスプレイ上の設計された画像方位の垂直方向に方向付けられた複数のスリット(27)を含んでいる視差バリアを含むことを特徴とする<1>から<6>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0140】
<8>
前記スリット(27)の前記水平方向の幅(31)は、前記水平方向のピクセル開口(28)よりも広いか、または等しいことを特徴とする<7>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0141】
<9>
前記スリット(27)の前記水平方向の幅(31)は、前記水平方向のピクセル開口(28)にほぼ等しいことを特徴とする<7>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0142】
<10>
前記視差バリア(21)は、シングルビューの動作モードを提供するために無効になるとともに、前記スリット(27)の前記水平方向の幅(31)が前記水平方向のピクセル開口(28)よりも小さいことを特徴とする<7>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0143】
<11>
各スリット(27)に、個別のレンズが配置されることを特徴とする<7>から<10>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0144】
<12>
前記レンズは収束レンズであることを特徴とする<11>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0145】
<13>
前記レンズは円柱形の収束レンズであることを特徴とする<12>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0146】
<14>
前記ピクセル(L,R)は、前記マルチビューディスプレイ上での設計された画像方位の、水平方向に伸びる横列および垂直方向に伸びる縦列として配列されることを特徴とする<1>から<13>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0147】
<15>
前記横列は、1よりも大きい整数であるN個の隣接した横列のグループとして配列され、各グループの前記ピクセル(L,R)は、上記グループのための共通の走査線に接続された走査入力と、上記グループのすべてに共通の個別のデータ線に接続されたデータ入力と、を有していることを特徴とする<14>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0148】
<16>
各グループでは、同じ1つの前記縦列にあるとともに、お互いに隣接しているピクセルのデータ入力は、隣接している前記データ線の1つに接続されていることを特徴とする<15>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0149】
<17>
前記Nが3に等しいことを特徴とする<15>または<16>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0150】
<18>
マルチビューディスプレイについて個別に異なる方向(24,25)において、個別に異なる観視者によって見るための、空間的にインターレースされた複数の画像を表示するように配列された複数のピクセル(L,R)を含む空間光変調器(20)と、異なる画像に基づいて変調された上記空間光変調器(20)からの光を個別の異なる方向(24,25)にほぼ制限するように、上記空間光変調器(20)と協同する視差オプティクス(21)とを含み、さらに上記空間光変調器(20)が、ブラックマスクを含み、上記ブラックマスクは、上記ピクセル(L,R)のピクセル開口を規定するとともに、上記マルチビューディスプレイでの設計された画像方位の水平方向に隣接する上記ピクセル開口の間に、少なくとも2つの異なる幅を持つ部分(72,73)を有しており、上記視差オプティクス(21)が、それぞれがピクセル(L,R)の個別のグループと協同する複数の視差素子を含むマルチビューディスプレイであって、
上記マルチビューディスプレイは、マルチビューアディスプレイであるとともに、同じグループのピクセル(L,R)間の上記ブラックマスクの各部分(72)の上記幅(70)が、異なるグループのピクセル(L,R)間の上記ブラックマスクの各部分(73)の上記幅(71)よりも大きいことを特徴とするマルチビューディスプレイ。
【0151】
<19>
前記同じグループのピクセル(L,R)間の前記ブラックマスクの各部分(72)の幅(70)は、前記水平方向のピクセルピッチ(30)のほぼ32%からほぼ48%までの間であることを特徴とする<18>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0152】
<20>
異なるグループのピクセル(L,R)間の前記ブラックマスクの各部分(73)の幅(71)は、前記水平方向のピクセルピッチ(30)のほぼ16%からほぼ24%までの間であることを特徴とする<18>または<19>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0153】
<21>
前記視差オプティクス(21)が、前記ディスプレイ上の、設計された画像方位の垂直方向に方向付けられた複数のスリットを含んでいる視差バリアを含むことを特徴とする<18>から<20>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0154】
<22>
前記スリットの前記水平方向の幅(31)は、前記水平方向のピクセル開口にほぼ等しいことを特徴とする<21>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0155】
<23>
前記画像をインターレースするのに適した形のピクセルデータを前記空間光変調器(20)に供給するためのコントローラ(61)を含むことを特徴とする<1>から<22>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0156】
<24>
前記空間光変調器(20)は、ライトバルブを含むことを特徴とする<1>から<23>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0157】
<25>
前記空間光変調器(20)は、液晶デバイスを含むことを特徴とする<24>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0158】
<26>
前記複数の画像は、2つの画像からなることを特徴とする<1>から<25>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0159】
<27>
マルチビューア・マルチビューディスプレイ(60)に複数の画像を表示するためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置であって、
上記ディスプレイ制御装置(61)は、表示される各画像についての各ピクセルのピクセル値に所定のグレーレベルを加算して総和を成すように、かつ、表示される上記画像の他の画像についての、少なくとももう1つのピクセルのピクセル値と、マルチビューア・マルチビューディスプレイのためのグレーレベルに対してピクセル強度を関係づける写像との関数である、光学上のクロストーク補正値を各総和から減算するように、構成された演算処理装置(64)を含むことを特徴とするディスプレイ制御装置。
【0160】
<28>
前記所定のグレーレベルは、すべてのピクセルで同一であることを特徴とする<27>に記載のディスプレイ制御装置。
【0161】
<29>
前記所定のグレーレベルは、最大限可能なクロストークの寄与に相当することを特徴とする<28>に記載のディスプレイ制御装置。
【0162】
<30>
前記少なくとも1つのピクセルは、他にもう1つピクセルを含んでいることを特徴とする<27>から<29>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0163】
<31>
前記他のピクセルまたは各々の他のピクセルは、各ピクセルと同じ色であることを特徴とする<27>から<30>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0164】
<32>
前記クロストークの補正値は、補正されるべき前記ピクセル値の関数であることを特徴とする<27>から<31>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0165】
<33>
マルチビューア・マルチビューディスプレイ(60)に複数の画像を表示するためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置であって、
上記ディスプレイ制御装置(61)は、上記マルチビューア・マルチビューディスプレイの少なくともいくつかのピクセルの各ピクセル値に、上記マルチビューア・マルチビューディスプレイ内での電気的なクロストークの関数である、電気的なクロストークの補正値を加算するよう構成された演算処理装置(64)を含むことを特徴とするディスプレイ制御装置。
【0166】
<34>
前記関数は、補正されるべき前記ピクセル値、および少なくとも他のもう1つのピクセルのピクセル値とを含むことを特徴とする<33>に記載のディスプレイ制御装置。
【0167】
<35>
前記少なくとも他のもう1つのピクセルは、隣接したピクセルからなることを特徴とする<34>に記載のディスプレイ制御装置。
【0168】
<36>
前記関数は、さらに上記マルチビューア・マルチビューディスプレイに関するピクセル強度をグレーレベルに関係付けた写像の関数を含むことを特徴とする<34>または<35>に記載のディスプレイ制御装置。
【0169】
<37>
マルチビューア・マルチビューディスプレイ(60)に複数の画像を表示するためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置であって、
上記ディスプレイ制御装置(61)は、少なくとも上記画像のうちの1つに、画像間のクロストークをマスキングするためのマスキング画像を追加するよう構成された演算処理装置(64)を含むことを特徴とするディスプレイ制御装置。
【0170】
<38>
前記演算処理装置(64)は、同じマスキング画像を上記画像のそれぞれに加算するようになっていることを特徴とする<37>に記載のディスプレイ制御装置。
【0171】
<39>
前記マスキング画像は、ノイズを含むことを特徴とする<37>または<38>に記載のディスプレイ制御装置。
【0172】
<40>
前記マスキング画像は、ランダムテキストを含むことを特徴とする<37>または<38>に記載のディスプレイ制御装置。
【0173】
<41>
前記マスキング画像は、静止画像を含むことを特徴とする<37>から<40>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0174】
<42>
前記マスキング画像は、変化する画像を含むことを特徴とする<37>から<40>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0175】
<43>
前記マスキング画像は、グレーレベルを含むことを特徴とする<37>または<38>に記載のディスプレイ制御装置。
【0176】
<44>
前記演算処理装置(64)は、前記少なくとも1つの像がほぼ黒色ならば、前記グレーレベルを加算するようになっていることを特徴とする<43>に記載のディスプレイ制御装置。
【0177】
<45>
前記マスキング画像は、前記マルチビューア・マルチビューディスプレイの最大輝度の5%にほぼ等しい最大輝度を有していることを特徴とする<37>から<44>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0178】
<46>
前記マスキング画像は、予想されるクロストークの最大輝度の10倍以上の最大輝度を有していることを特徴とする<37>から<45>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0179】
<47>
前記複数の画像は、2つの画像からなることを特徴とする<27>から<46>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0180】
<48>
<1>から<26>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイと組み合わされることを特徴とする<27>から<47>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0181】
<49>
空間的にインターレースされた複数の画像を表示するように配列された複数のピクセルを含む空間光変調器と、ディスプレイ上の設計された画像方位の垂直方向に方向付けられた複数のスリットを含む視差バリアとを含み、該視差バリアが、異なる画像に基づいて変調された上記空間光変調器からの光を個別の異なる方向にほぼ制限するように、上記空間光変調器と協同するマルチビューディスプレイであって、
上記マルチビューディスプレイは、マルチビューアディスプレイであるとともに、上記マルチビューディスプレイに対する個別に異なる方向において、個別に異なる観視者によって見るために、上記空間的にインターレースされた画像が目に見えるように、上記視差オプティクスが上記空間光変調器と協同し、前記スリットの前記水平方向の幅が、前記水平方向のピクセル開口にほぼ等しいことを特徴とするマルチビューディスプレイ。
【0182】
<50>
前記ピクセルは、一定の水平方向のピッチによって、水平方向に間隔をもって離されているとともに、上記水平方向のピッチの40%から90%までの間の水平方向の開口が設けられていることを特徴とする<49>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0183】
<51>
前記水平方向の開口は、前記水平方向のピッチの70%にほぼ等しいことを特徴とする<50>に記載のマルチビューディスプレイ。
【符号の説明】
【0184】
60 ディスプレイ(マルチビューア・マルチビューディスプレイ)
61 ディスプレイ制御装置(コントローラ)
64 演算処理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれの画像が異なる方向から見えるような、2つまたは複数の画像を表示するマルチビューア・マルチビューディスプレイに関するものである。また、本発明は、ディスプレイ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[一般的な背景]
何年にもわたって、従来のシングルビューディスプレイ装置(single view display devices)は、同時に複数のユーザによって観覧されるように設計されてきた。なお、上記シングルビューディスプレイ装置のディスプレイの特性は、観視者達がディスプレイに対して異なった角度から同じ良い画質で観覧を行うことができるようになっている。これは、例えば多くのユーザが、ディスプレイから同じ情報を得ることを必要とする空港および駅の出発情報の表示といった用途に有効である。しかしながら、異なる情報を同じディスプレイから、個々のユーザが得ることができるようになることが望ましい場合には、多くの応用例があげられる。例えば、自動車または他の乗り物の中で、乗客が映画を見たがっているかもしれないのに対して、ドライバーは衛星ナビゲーションのデータを見たがっているかもしれない。2つの別個のディスプレイ装置を用意することによって、これらの相反する要求を満たすことはできるだろうが、これは、余分なスペースを取るとともに、コストを増やすことになるだろう。その上、2つの別個のディスプレイが上述したような例で使用される場合、ドライバーにとって乗客用のディスプレイを見るのは、ドライバー自身の頭を動かせば可能なことであるので、乗客用のディスプレイがドライバーの気を散らすことになるだろう。さらなる例として、2人以上のプレーヤーのためのコンピュータゲームの各プレーヤーは、そのプレーヤー自身の視点からゲームを見たがっているかもしれない。これについては、各プレーヤーが個々のスクリーンで各プレーヤー自身の独自の視点で見ることができるように、区分されたディスプレイの画面で各プレーヤーがゲームを見ることによって現在のところ実現されている。しかしながら、多くのスペースを取って別々のディスプレイの画面を各プレーヤーに用意するのはコストがかかり、携帯型ゲームには実用的でない。
【0003】
これらの問題を解決するために、マルチビューア・マルチビューディレクショナルディスプレイ(multiple-viewer multiple-view directional display)が開発された。マルチビューア・マルチビューディレクショナルディスプレイの1つの用途として、それぞれの像(画像)が特定の方向でのみ見える状態で、同時に2つ以上の異なった画像を表示することができる「デュアルビューディスプレイ(dual-view display)」がある。例えば、一方向からディスプレイ装置を見ている観視者は、1つの画像が見え画像を見ることになるだろう。異なった画像を2人以上のユーザに示すことができるディスプレイは、2つ以上の別個のディスプレイを用いる場合と比べて、かなりのスペースおよびコストの節約になる。
【0004】
マルチビューア・マルチビューディレクショナルディスプレイの用途の例について上述したが、他にも多くの用途がある。例えば、航空機で、乗客ごとに個別の機内娯楽番組を、各乗客に提供するのに用いられるかもしれない。現在のところ、一般に列の前部席の後部に、各乗客に個別のディスプレイ装置が用意されている。マルチビューア・マルチビューディレクショナルディスプレイを使用すると、1つのディスプレイで、2人以上の乗客がめいめいに見たい映画を選択することが可能になるであろうことから、かなりコスト、スペース、および重量を抑えることができるだろう。
【0005】
マルチビューア・マルチビューディレクショナルディスプレイのさらなる利点は、ユーザが、めいめい他のユーザの視点から見られることを排除することができることである。これは、例えば現金自動預入支払機(ATM)を使用するような、銀行取引または売買取引などのセキュリティを必要とする用途のみならず、上述のコンピュータゲームの例においても望ましい。
【0006】
マルチビューディスプレイの、他に知られている代表物としては、三次元(3D)ディスプレイがある。正視では、頭部における両目の位置の違いのせいで、異なった眺めから、人の2つの目は世界の景色を知覚する。そして、これらの2つの眺めが、景色における様々な物体までの距離を算定するために、脳によって使用される。三次元画像に有効なディスプレイを開発するために、この状況を再現する必要があるとともに、1つの画像が各観視者のそれぞれの目に届いて得られる画像である、いわゆる「立体写真(stereoscopic pair)」を提供する必要がある。
【0007】
3Dディスプレイは、異なる眺めを目に対して提供するのに用いられる方法に応じて2つのタイプに分類される。立体視ディスプレイ(stereoscopic display)は、一般的に、立体写真の両方の画像を広い観視領域(viewing area)にわたって表示するものである。上記それぞれの眺めは、例えば表示の色、偏光状態、または時間に基づいて符号化される。また、ユーザは、眺めを分離する眼鏡からなるフィルタシステムを身につけなければならず、それぞれの目で意図される眺めだけを見させられることになる。
【0008】
自動立体視ディスプレイ(autostereoscopic display)は、それぞれの眺めが、個別に規定された空間の領域からのみ得られるように、右目の眺めと左目の眺めとを異なった方向で表示するものである。なお、画像がディスプレイのアクティブエリア(active area)の全体の向こう側に見える空間の領域は「ビューウィンドウ(viewing window)」と呼ばれる。もし、立体写真の左目側の眺めを得るためのビューウィンドウ内に観視者の左目が位置するとともに、立体写真の右目側の眺めを得るためのビューウィンドウ内に観視者の右目が位置するように、観視者が位置していれば、観視者の両目で正しい眺めを見ることができるだろうし、3D画像を知覚することもできるだろう。自動立体視ディスプレイは、観視者が何かを身につけるといった、観覧を行うための補助を必要としない。
【0009】
フラット・パネルの自動立体視ディスプレイに用いるために、通常のビューウィンドウの構成は、自動立体視ディスプレイの画像表示ユニットの画素(または「ピクセル」)構造と、一般的に視差オプティクスと呼ばれる光学素子との組み合わせからなっている。なお、視差オプティクスの例としては、たいていスリットが形成され、不透明な領域で区分された、透光性の領域を有するスクリーンである視差バリアがある。このスクリーンは、自動立体視ディスプレイを形成する画素の2次元アレイ(two-dimensional array)を有している空間光変調器(SLM)の前または後ろに配置することができる。
【0010】
図1は従来の自動立体視ディスプレイの平面図である。ディスプレイ1は画像表示装置の構成要素となる空間光変調器(SLM)4、および視差バリア5からなっている。図1のSLMは、アクティブマトリックス薄膜トランジスタ(TFT)基板6、対向基板7、および上記TFT基板と上記対向基板との間に配置された液晶層8を有する液晶ディスプレイ(LCD)の形をとっている。上記SLMは、複数の独立してアドレス可能なピクセルを規定するアドレス指定電極(図示せず)を備えているとともに、上記液晶層を並べるための配向層(図示せず)を備えている。また、視野角拡大フィルム9および直線偏光子10は、各基板6、7の外面に備えられる。そして、照明11は、バックライト(図示しない)から供給されている。
【0011】
視差バリア5は、SLM4に表面が隣接して形成された視差バリアのアパーチャアレイ13を有する基板12を含んでいる。上記アパーチャアレイは、不透明の部分14で分離された、垂直方向に広がる(すなわち、図1の水平面に対して垂直方向に広がる)透光性の開口15を含んでいる。また、反射防止(AR)コーティング16は、上記視差バリア基板12(ディスプレイ1の外面に形成されている)の反対側の表面に形成されている。
【0012】
SLM4のピクセル(pixels)は、図1の水平面に対して垂直方向に縦列が広がるように、横列と縦列とに配列されている。上記横列方向または水平方向のピクセルピッチ(1ピクセルの中心から、隣接しているピクセルの中心までの距離)はpである。アパーチャアレイ13の垂直方向に広がっている透光性スリット15の幅は2wであり、透光性スリット15の水平方向のピッチはbである。上記バリアのアパーチャアレイ13の面は、液晶層8の面から距離sの間隔があけられている。
【0013】
使用時には、ディスプレイ装置1は左目側の画像と右目側の画像とを形成し、観視者は、3D画像が見えるように、左目と右目とが左目側のビューウィンドウ2と右目側のビューウィンドウ3とにそれぞれ一致するような位置に、頭の位置を合わせる。左目側のビューウィンドウ2および右目側のビューウィンドウ3は、上記ディスプレイから、観覧に望ましい距離にあるウィンドウ面17に形成される。上記ウィンドウ面は、上記アパーチャアレイ13の面から距離roの間隔があけられている。また、上記ウィンドウ2、3は、上記ウィンドウ面に隣接しているとともに、人の両目の間の平均間隔に対応するピッチeを有している。そして、上記ディスプレイの中心への法線軸から各ウィンドウ10、11の中心への半角はαである。
【0014】
視差バリア5のスリット15のピッチは、ピクセルの縦列のグループが上記視差バリアの特定のスリットに関連付けられるように、SLM4のピクセルの縦列のピッチの整数倍に近くなるように選ばれる。図1に、SLM4のピクセルの縦列2つが、視差バリアの各透光性スリット15に関連付けられているディスプレイ装置を示す。
【0015】
図2に、SLM4と、ピクセルの縦列のピッチのちょうど整数倍のピッチを有する視差バリア5とから作り出される光の角度ゾーン(angular zones)を示す。この場合、表示パネルの表面の向こう側の異なった場所からの角度ゾーンが混ざり、画像(イメージ)1または画像(イメージ)2(「画像1」および「画像2」は、SLM4によって表示される2つの画像を示している)のための視点の純粋なゾーンというものは存在しない。これについて対処するため、上記視差バリアのピッチは、上記ピクセルの縦列のピッチの整数倍よりも僅かに小さくなるように、僅かに減少させることが好ましい。その結果、角度ゾーンは上記ディスプレイの正面の、予め規定された面(上記「ウィンドウ面」)に収束する。この効果は添付図面の図3からも明らかである。また、図3では、SLM4と変更された視差バリア5とによって作成される画像の域が示されている。このように作成された観視領域(viewing regions)は、平面図において、おおまかに凧の形をしている。
【0016】
図4は、他の従来の自動立体視ディスプレイ装置1の平面図である。これは、視差バリア5が、上記バックライトとSLM4との間になるようにSLM4の後方に位置することを除けば、図1のディスプレイ装置1に概ね対応している。なお、この装置には、観視者にとって上記視差バリアがそれほど目立たないとともに、上記ディスプレイのピクセルが、上記装置の前方のより近くにあるように見えるという利点を有しているものと思われる。さらに、図1および図4のそれぞれで、バックライトで照らされる透過型のディスプレイ装置(transmissive display device)を示しているが、間接照明(明るい状態での)に用いられる反射装置(reflective devices)は周知のものである。半透過型の装置(transflective device)の場合では、図4の後方の視差バリアは間接照明を吸収しないだろう。これは、反射光を用いる2次元(2D)またはシングルビューのモードを有するディスプレイであれば利点になる。
【0017】
図1および図4のディスプレイ装置では、視差バリアは視差オプティクスとして使用されている。なお、その他の種類の視差オプティクスは周知である。例えば、レンズ状のレンズアレイは、立体写真の画像を形成するように、異なる方向に組み合わされた画像を導くのに用いてもよい。
【0018】
画像を分割するホログラフィの方法は周知であるが、実際には、これらの方法は、視野角の問題、疑視域(pseudoscopic zones)、および上記画像の容易なコントロールが行えないなどの問題に悩まされている。
【0019】
視差オプティクスの他の種類としては、偏光された指向性の光源、およびパターン化された、上記SLMのピクセルに合わせて並べられた高精度のマイクロ偏光素子(micropolariser elements)を用いるマイクロ偏光ディスプレイ(micropolariser display)がある。そのようなディスプレイには、画面の高画質、コンパクトな装置、および2D表示モードと3D表示モードとを切り換える能力に対しての可能性がある。なお、視差オプティクスとしてマイクロ偏光ディスプレイを使用する場合には、上記SLMにマイクロ偏光素子を組み込むときの視差の問題を回避する必要が優先的にあります。
【0020】
カラーディスプレイが必要になる場合には、SLM4の各ピクセルに、三原色のうちの1色に沿ったフィルタを一般的に与える。それぞれ異なる色のフィルタを備える3つのピクセルのグループを調整することによって、多くの目に見える色が作り出されてもよい。自動立体視ディスプレイでは、各立体視像「チャンネル(channels)」の各々は、バランスのとれた色の出力のために、カラーフィルタを十分に含む必要がある。ある縦列内のすべてのピクセルが、それぞれのピクセルに関連付けられた同じカラーフィルタを有するので、多くのSLMは、製造の容易さに起因して、垂直方向の縦列に配列されたカラーフィルタを有している。もし、視差オプティクスが、視差オプティクスの各スリットまたは各小型レンズに関連付けられた3つのピクセルの列とともに、そのようなSLMに配置されるならば、各観視領域において見ることができるのは1色のピクセルだけとなる。よって、この状況を避けるようにカラーフィルタを配置するよう注意しなければならない。なお、適切なカラーフィルタの配置のさらなる詳細については、欧州特許第0 752 610号明細書に開示されている。
【0021】
[発明思想A:従来技術の概要]
図1および図4で示されたようなディスプレイ装置の視差オプティクスの機能は、SLM4のピクセルを通って伝わる光を、ある出力角に制限することである。この制限は、視差オプティクスの特定の要素(例えば透光性スリットなど)の後方の各ピクセルの列の視野角度(angle of view)を規定する。各ピクセルの視野角度の範囲は、ピクセルピッチp、ピクセル面と視差オプティクス面との間の間隔s、ピクセル面と視差オプティクス面との間の材料(図1のディスプレイにおける基板7)の屈折率nで割り出される。H.Yamamotoらは、“Optimum parameters and viewing areas of stereoscopic full-colour LED displays using parallax barrier”, IEICE Trans. Electron., vol. E83-C, No. 10, p1632 (2000)で、自動立体視ディスプレイの画像を中間で分ける上記角度は、ディスプレイのピクセルと視差バリアとの間の距離に依存していることを開示している。
【0022】
図1および図4の半角αは以下の式で与えられる。
【0023】
【数1】
【0024】
マルチビューア・マルチビューディレクショナルディスプレイとして用いるには、上述した種類の自動立体視ディスプレイにおける、2つの画像を中間で分ける上記角度はあまりに小さい。原則的には、ビューウィンドウの間の角度2αは、ピクセルピッチpを増加させる、視差オプティクスとピクセルとの間の間隔sを減少させる、または基板の屈折率nを増加させることによって、増加させることができるかもしれない。
【0025】
しかしながら、一般的に、上記ピクセルピッチは、ディスプレイ装置の必須の解像度の規格によって規定されており、変更することができない。
【0026】
一般的にガラスで作られている上記基板の屈折率を変更するのは、実用的または費用効率がよいとは必ずしも言えない。
【0027】
SLMのピクセル面と視差オプティクスとの間の間隔を減少させることによって、ビューウィンドウを中間で分ける角度を増加させるあらゆる試みも、結局のところ説明してきたような問題を生じさせるだけだろう。以下では、SLM4としてLCDを備えた図1のディスプレイ装置1の概略図である図5を一例として説明を行う。
【0028】
SLM4を形成するLCDパネルは2つのガラス基板から作られている。基板6は、SLMのピクセルのアドレス指定を行うためのTFTスイッチング素子(TFT switching elements)を持つことから、「TFT基板」として知られている。また、基板6は、一般的に、例えば、液晶層8を並べて液晶層の電気による切り換えを可能にするための他の層を持つこともある。他方では、基板7(図1の対向基板に対応)にカラーフィルタ18が、例えば、液晶層を並べるための他の層とともに形成される。従って、対向基板7は、一般的に「カラーフィルタ基板」またはCF基板として知られている。LCDパネルは、TFT基板の反対側にカラーファイルタ基板を位置づけ、上記2つの基板の間に液晶層8を挟むことによって形成される。これまでの自動立体視ディスプレイにおいては、図5で示されるように、完成したLCDパネルに視差オプティクスは接着されている。また、LCDピクセルと視差オプティクスとの間の距離は、主としてLCDのCF基板の厚さによって規定されている。CF基板の厚さを減少させることは、LCDピクセルと視差オプティクスとの間の距離を減少させることになるだろうが、上記基板はそれに対応して脆くなるだろう。CF基板の現実的な最小限の厚さはおよそ0.5mmだが、ピクセルと視差オプティクスとの間隔は、この厚さの基板に視差オプティクスが直接に接着されたとしても、マルチビューへの適用にはまだ大きすぎるだろう。
【0029】
米国特許第5850269号明細書には、レンズ状のレンズアレイを視差オプティクスとして用いる、他の3D自動立体視ディスプレイについて開示されている。なお、この取りはからいは、偶然に生じる望ましくない人工の色の発生を防ぐのに、特に関係がある。
【0030】
水平方向に細長いピクセルを有している自動立体視ディスプレイは周知であり、そのような装置は、例えば英国特許第2 396 070号明細書、英国特許第2 403 367号明細書、英国特許第2 317 734号明細書、英国特許第2 278 223号明細書、英国特許第2 315 902号明細書、英国特許第2 311 905号明細書、および英国特許第2 403 863号明細書に開示されている。しかしながら、これらの文献における水平方向に細長いピクセルの使用には、ビューウィンドウの分離とは無関係な、任意のいくつかの目的または役立ついくつかの目的のいずれかがある。そのようなディスプレイは、お互いが近接している2つ以上のビューウィンドウを備えており、一般的にその中心は、およそ典型的な咬合面間の間隔だけ離れた距離が空けられている。そのようなディスプレイは、例えば近接したビューウィンドウの間隔が比較的狭いことから、マルチビューアに用いるには不向きである。
【0031】
このような背景において、上記ディスプレイ上での方向にあたる「水平方向」は、ディスプレイ上での設計された、または「意図された」方位で通常表示される場合の画像の水平方向である。上記水平方向は、標準的または意図的に対応した位置および方向でディスプレイを見ている観視者の目の分かれている方向に平行、またはほぼ平行である。また、上記水平方向は、一般的に、ビューウィンドウの分かれている方向に平行またはほぼ平行である。
【0032】
国際公開第2004/088996パンフレットでは、画像表示の時間多重化(time multiplexing)および指向性のバックライトの切り替えに基づく、デュアルビューア・デュアルビューディスプレイ(dual viewer dual view display)を開示している。1番目の観視者と2番目の観視者によって観覧されるそれぞれの画像は、透過型LCD(transmissive LCD)の全体で交互に表示される。上記バックライトは上記LCDの後ろに配置されるとともに、光がLCDを通って1番目の観視者と2番目の観視者とに交互に向かうように、表示される画像に同期して切り換えられる。なお、許容範囲の表示性能を備えるために、上記LCDは、観視者によって認知可能な画像のちらつきを避けるために、十分に高い率で切り換えられる能力を有している必要がある。しかしながら、これは、比較的高価なLCDの使用を必要とする。また、比較的複雑なバックライト内での光の漏出のために、クロストークのパフォーマンス(performance)も比較的芳しくない。なお、クロストークのパフォーマンスの芳しくないことは、以下に述べる損失につながる。
【0033】
添付図面の図6では、LCDで使用される周知のタイプの、ラインごとの走査構成(scanning arrangement)について示す。上記LCDは、図6に示される列を有する縦列および横列のピクセルを含んでいる。また、上記SLMは、垂直方向または縦列方向に伸びている80のようなデータ線、および水平方向または横列方向に伸びている81のような走査線を含んでいる。データ線80は、ピクセルのアレイの先端に沿って位置するデータドライバに接続されるが、走査線81は、ピクセルアレイの左側に沿って位置する走査線ドライバに接続される。
【0034】
各ピクセルは、近接するデータ線80に接続された82のようなデータ入力(data input)、および近接する走査線81に接続された走査入力(scan input)83を有する。上記ディスプレイは、例えば、アクティブマトリックス薄膜トランジスタ型式のディスプレイであってもよい。
【0035】
上記ディスプレイは横列ごとに画像のデータ(画像データ)がリフレッシュされる。特に、ピクセルの横列の画像データは、画像を生成するソースからデータ線ドライバに連続的に送り込まれる。続いて、これが完了したとき、上記走査線ドライバは、走査線81へ、リフレッシュされるピクセルの横列に共通の走査パルスを供給する。このようにして、新たな画像データは、ピクセルの横列に送り込まれる。それから、ピクセルの横列のすべてがリフレッシュされるまで、この過程は各横列で順番に繰り返される。この過程は、その後、通常はピクセルの横列の最上層から再度開始され、ディスプレイが使用中である限り、繰り返される。なお、矢印84は、ピクセルデータがデータ線ドライバに提供される順番を示している。
【0036】
そのような走査構成は、マルチビューア・マルチビューディスプレイが含まれる、多目的に用いられるディスプレイに典型的である。従って、このようにリフレッシュされる、ディスプレイを駆動するための上記走査構成は、走査パルスの周波数および基準値のあるフレームのリフレッシュレートで比較的標準化されている。このようにして、データを供給するための構成は、これらの周波数に互換性をもつように作られている。
【0037】
LCDのような、たいていの空間光変調器は、このようにして横列ごとにリフレッシュされるように設計されているとともに、垂直方向または「縦列」方向に伸びているピクセルを有している。もし、そのような装置が、表示面の法線に対して90度回転するならば、その結果、上記ピクセルは水平方向に伸びていることになるだろう。しかしながら、そのような装置が、走査線とデータ線との位置を変える変更が行われる装置でない場合、そのような取りはからいに対しては、標準の走査技術と全く互換性のない、横列ごとのリフレッシュが必要になるだろう。横列ごとのリフレッシュを可能にするために装置を再設計することによって、走査線とデータ線ドライバとの位置が変えられたとしても、垂直方向(またはフレーム)および水平方向(またはライン)の度数は、標準の走査技術と互換性がないだろう。従って、標準的な走査方法および走査機器を、そのような仮定上の取りはからいに合わせて用いることはできない筈である。
【0038】
[発明思想B:従来技術の概要]
英国特許第2 278 223号明細書では、レンズ状のスクリーンとして例証されている視差オプティクスと協同する空間光変調器を含む自動立体視3Dディスプレイが開示されている。英国特許第2 278 223号明細書の図12では、上記変調器が、垂直方向に細長い形の左目側の画像と右目側の画像とを表示する、一対の隣り合ったピクセルの縦列を含んでいる。各横列の対は、左目側および右目側の画像が隣り合ったビューウィンドウで見えるように、関連したレンズ状のスクリーンの凸型レンズと協同する。なお、ビューウィンドウの中心は、人の両目の間の平均間隔に対応する間隔だけ離れている。上記ピクセル開口は、ブラックマスク(black mask)によって規定されるとともに、水平方向の横列に配列されるので、異なったグループのピクセル開口の間のブラックマスクの部分の幅は、同じグループの開口の間の幅よりも大きい。
【0039】
米国特許第4,829,365号明細書では、空間光変調器が、左目側および右目側のビューウィンドウを規定する、垂直方向の発光のラインの形をとったバックライトの配置と協同する自動立体視3Dディスプレイが開示されている。米国特許第4,829,365号明細書の図14では、ピクセルの横列の開口を規定している、上記変調器の前面に接するブラックマスクが示されている。なお、水平方向に隣接したピクセルの間のブラックマスクの部分は、すべて同じ幅である。
【0040】
なお、そのような周知の構成は、マルチビューア・マルチビューディスプレイには不向きである。例えば、異なった観視者が異なった光景を見ることを可能にするのに、上記ビューウィンドウは小さ過ぎるとともに、お互いが近すぎる。
【0041】
[発明思想C:従来技術の概要]
欧州特許第0953962号明細書では、目立たせないようにクロストークを補正するための技術が開示されている。そのような技術は、自動立体視3Dディスプレイに有効だが、異なった画像が異なった観視者によって見られるマルチビューディスプレイでは十分でない可能性がある。
【0042】
また、欧州特許第0822441号明細書では、視差オプティクスとして視差バリアを用いる自動立体視3Dディスプレイが開示されており、特に、回折によって引き起こされたクロストークを減少させるための技術が開示されている。例えば、回折、すなわちクロストークを減少させるための、「滑らかな」エッジを有しているピクセルが開示されている。
【0043】
英国特許第2 336 963号明細書では、観視者の目に対してのビューウィンドウにおいて見える画像間の、光学上のクロストークを減少させるための自動立体視3Dディスプレイと制御装置とが開示されている。なお、そのような光学上のクロストークは、上記ディスプレイの光学素子における散乱および回折のような光学上の影響によって生じる。また、制御装置は、各ピクセルに対しての画像データに、そのピクセルに対してのRGBのカラーベクトルに比例しているグレーレベルを加え、さらに補正値を引く。上記補正値は、異なる画像を表示するピクセルに対してのRGBのカラーベクトルに比例している。なお、ディスプレイ装置に対してのガンマ補正が、上記補正値を決定するときに考慮に入れられてもよい。
【0044】
眺め(視界)の間のクロストークを減少させるための、そのような周知の技術は、自動立体視3Dディスプレイには十分であるかもしれないが、マルチビューア・マルチビューディスプレイには十分でない可能性がある。もし、マルチビューア・マルチビューディスプレイを実用的にしようとするのならば、一般的に、マルチビューア・マルチビューディスプレイは、異なる観視者を対象とした眺めの間のクロストークがとても低くなければならない。例えば、そのようなディスプレイを、別の観視者を対象としたあらゆる眺めを、各観視者が見るべきでない、または見てはならない用途で用いる場合には、クロストークは、このために十分なだけ低くなければならない。もし、クロストークの量が高過ぎるならば、少なくともいくつかの状況で、観視者にとって意図しない画像を目にすることになる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】欧州特許第0752610号明細書
【特許文献2】米国特許第5850269号明細書
【特許文献3】英国特許第2396070号明細書
【特許文献4】英国特許第2403367号明細書
【特許文献5】英国特許第2317734号明細書
【特許文献6】英国特許第2278223号明細書
【特許文献7】英国特許第2315902号明細書
【特許文献8】英国特許第2311905号明細書
【特許文献9】英国特許第2403863号明細書
【特許文献10】国際公開第2004/088996号
【特許文献11】米国特許第4829365号明細書
【特許文献12】欧州特許第0953962号明細書
【特許文献13】欧州特許第0822441号明細書
【特許文献14】英国特許第2336963号明細書
【非特許文献】
【0046】
【非特許文献1】Hirotsugu.Yamamoto et al. “Optimum parameters and viewing areas of stereoscopic full-color LED display using parallax barrier”, IEICE Trans. Electron., (October 2000) vol. E83-C, No. 10, pp1632-1639
【発明の概要】
【0047】
[発明思想A:概要]
本発明の第1の側面によれば、空間的にインターレースされた(interlaced)複数の画像を表示するように配列された複数のピクセルを含み、上記ピクセルが、マルチビューディスプレイでの設計された画像方位のほぼ(substantially)水平方向に細長くなっている空間光変調器と、異なる画像に基づいて変調された上記空間光変調器からの光を個別の異なる方向にほぼ(substantially)制限するように、上記空間光変調器と協同する視差オプティクスとを含むマルチビューディスプレイが提供される。また、上記マルチビューディスプレイは、マルチビューアディスプレイ(multiple viewer display)であるとともに、上記マルチビューディスプレイに対する個別に異なる方向において、個別に異なる観視者によって見るための、上記空間的にインターレースされた画像が目に見える(visible)ように、上記視差オプティクスが上記空間光変調器と協同することを特徴としている。
【0048】
また、上記マルチビューディスプレイは、水平方向に縞のある(striped)カラーフィルタを含んでいてもよい。
【0049】
さらに、上記ピクセルは、長軸(major axes)がほぼ水平方向(horizontal direction)に伸びている長方形になっていてもよい。
【0050】
また、上記ピクセルは、一定の水平方向のピッチ(horizontal pitch)で水平方向に間隔をもって離されているとともに、上記水平方向のピッチの40%から90%までの間の水平方向の開口があってもよい。なお、上記水平方向の開口が、上記水平方向のピッチの70%とほぼ等しくてもよい。
【0051】
さらに、上記ピクセルは、上記水平方向の開口の3分の1にほぼ等しい垂直方向の開口があってもよい。
【0052】
また、上記視差オプティクス(parallax optic)は、上記ディスプレイ上の設計された画像方位(image orientation)の垂直方向に方向付けられた複数のスリットを含んでいる視差バリアを含んでもよい。
【0053】
さらに、上記スリットの水平方向の幅は、上記水平方向のピクセルの開口とほぼ等しくてもよい。また、代案として、上記スリットの水平方向の幅が、上記水平方向のピクセルの開口とほぼ等しくてもよい。さらなる代案として、上記視差バリアは、シングルビューの動作モード(single view mode of operation)を提供するために無効となってもよいとともに、上記スリットの上記水平方向の幅が上記水平方向のピクセルの開口よりも小さくてもよい。
【0054】
また、上記視差バリアは、シングルビューの動作モードを提供するために無効となってもよいとともに、上記スリットの上記水平方向の幅が上記水平方向のピクセルの開口よりも小さくてもよい。
【0055】
さらに、個別のレンズが各スリットに配置されてもよい。また、上記レンズは、円柱形の収束レンズ(cylindrically converging lenses)のような収束レンズであってもよい。そのような取り合わせによれば、より明るいディスプレイを提供するための、より広いスリットの使用が可能になる。さらに、例えば、画像のクロストークを減少させるために、上記画像間の変遷、すなわちビューウィンドウの変遷を、より急(sharper)にしてもよい。
【0056】
上記ピクセルは、上記ディスプレイ上での設計された画像方位の、水平方向に伸びる横列および垂直方向に伸びる縦列になって配列されてもよい。また、上記横列は、1よりも大きい整数であるN個の隣接した横列のグループとして配列されてもよく、各グループのピクセルは、上記グループのための共通の走査線に接続された走査入力と上記グループのすべてに共通の個別のデータ線に接続されたデータ入力とを有していてもよい。
【0057】
そのような取りはからいによれば、周知のタイプのディスプレイと同じ、またはよく似た程度の画像データの走査、および上記マルチビューディスプレイのリフレッシュが可能になる。従って、そのような取りはからいは、周知または標準的な画像ソース(image source)の配置、および走査技術に対して互換性があり、その上、十分に広い間隔の空いたビューウィンドウを有するマルチビューアディスプレイ(multiple viewer display)を提供するための幅広いピクセルの使用を可能にする。
【0058】
また、各グループでは、同じ1つの上記縦列にあるとともに、お互いに隣接しているピクセルのデータ入力(data input)は、隣接している上記データ線の1つに接続されていてもよい。
【0059】
さらに、Nは3と等しくてもよい。
【0060】
[発明思想B:概要]
本発明の第2の側面によれば、上記マルチビューディスプレイについて個別に異なる方向において、個別に異なる観視者によって見るための、空間的にインターレースされた(interlaced)複数の画像を表示するように配列された複数のピクセルを含む空間光変調器と、異なる画像に基づいて変調された上記空間光変調器からの光を個別の異なる方向(24,25)にほぼ(substantially)制限するように、上記空間光変調器と協同する視差オプティクスとを含み、さらに上記空間光変調器が、ブラックマスクを含み、上記ブラックマスクは、上記ピクセルのピクセル開口(pixel apertures)を規定するとともに、上記マルチビューディスプレイでの設計された画像方位の水平方向に隣接する上記ピクセル開口の間に、少なくとも2つの異なる幅を持つ部分(portions)を有しており、上記視差オプティクスが、それぞれがピクセルの個別のグループと協同する複数の視差素子(parallax elements)を含んでいるマルチビューディスプレイが提供される。また、上記マルチビューディスプレイは、マルチビューアディスプレイ(multiple viewer display)であるとともに、同じグループのピクセル間の上記ブラックマスクの各部分の上記幅は、異なるグループのピクセル間の上記ブラックマスクの各部分の上記幅よりも大きいことを特徴としている。
【0061】
また、上記同じグループのピクセル間の上記ブラックマスクの各部分の幅は、上記水平方向のピクセルピッチのほぼ32%からほぼ48%までの間であってもよい。
【0062】
さらに、異なるグループのピクセル間の上記ブラックマスクの各部分の幅は、上記水平方向のピクセルピッチのほぼ16%からほぼ24%までの間であってもよい。
【0063】
また、上記視差オプティクスが、上記マルチビューディスプレイ上の、設計された画像方位の垂直方向に方向付けられた複数のスリットを含んでいる視差バリアを含んでいてもよい。さらに、上記スリットの上記水平方向の幅は、水平方向のピクセル開口にほぼ等しくてもよい。
【0064】
その結果、異なった観視者によって異なった眺めを見ることが可能なディスプレイを提供することが可能になる。なお、マルチビューアディスプレイは、ビューウィンドウまたは異なる観視者が異なる眺めを見ることができるくらい十分に間隔をもって離れている領域を用意することが必要である。上記同じグループの水平方向に隣接したピクセル間の、比較的幅広いブラックマスクの部分は、そのような分離を実現可能にするとともに、観視範囲角(angular viewing range)または画像の混和が生じる範囲を減少させる。そして、これがマルチビューアディスプレイの性能の改良を実現可能にする。
【0065】
また、上記マルチビューディスプレイは、上記画像をインターレースする(interlacing)のに適した形(form)のピクセルデータを上記空間光変調器に提供するためのコントローラを含んでいてもよい。
【0066】
さらに、上記空間光変調器は、例えば液晶デバイスといったようなライトバルブを含んでもよい。
【0067】
また、上記複数の画像は、2つの画像からなってもよい。
【0068】
[発明思想C:概要]
本発明の第3の側面によれば、表示される各画像についての各ピクセルのピクセル値に、所定のグレーレベルを加算して総和(sum)を成すように、かつ、表示される上記画像の他の画像についての、少なくとももう1つのピクセルのピクセル値と、マルチビューア・マルチビューディスプレイのためのグレーレベルに対してピクセル強度を関係づける写像(mapping)との関数(function)である、光学上のクロストーク補正値を各総和(each sum)から減算するように、構成された演算処理装置を含むことを特徴とする、マルチビューア・マルチビューディスプレイに複数の画像を表示させるためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置が提供される。
【0069】
上述されるように、観視者が、異なる観視者を対象とした画像である「ゴースト像(ghost image)」を見てしまうという結果をもたらし得るので、マルチビューア・マルチビューディスプレイでの眺め間のクロストークは望ましくない。また、各観視者が、他の観視者を対象とした画像を見ることができてはならないという特定の要求が存在する場合に、これは特に望ましくない。ここで紹介する技術は、他の観視者によって、そのようなクロストークを、特定の観視者を対象とした画像が知覚できないほど十分に低いレベルに減少させることができる組み合わせ方を提供します。これは、例えば、2人以上の観視者にために画像を表示する単一のディスプレイ装置の、セキュリティ上の要求および法律上の要求を満たすことを可能にする。
【0070】
また、上記所定のグレーレベルは、すべてのピクセルで同じであってもよい。そのような取りはからいによれば、すべてのピクセルに追加するたった1つのグレーレベルについて計算を行うだけでよくなるので、クロストークを減少させるのに必要な計算が簡略化される。上記ディスプレイ制御装置の製造の期間中に、上記1つのグレーレベルを予め決めたり、前もってセットしたりすることになるため、いくつかの応用例に関してさえ上記は可能である。従って、さらに、上記ディスプレイ制御装置についての作業負荷がさらに減少される。なお、上記所定のグレーレベルは、最大限可能なクロストークの寄与(maximum possible crosstalk contribution)に相当していてもよい。
【0071】
さらに、上記少なくとももう1つのピクセルは、他にもう1つピクセルを含んでいてもよい。上記他のピクセルは、同じ色のものであってもよい。
【0072】
また、上記クロストークの補正値(crosstalk correction value)は、補正されるべきピクセル値の関数(function)であってもよい。
【0073】
さらに、本発明の第4の側面によれば、マルチビューア・マルチビューディスプレイの少なくともいくつか(some)のピクセルの各ピクセル値に、マルチビューア・マルチビューディスプレイ内での電気的なクロストーク(electrical crosstalk)の関数(function)である電気的なクロストークの補正値を加算するよう構成された演算処理装置を含むことを特徴とする、マルチビューア・マルチビューディスプレイに複数の画像を表示させるためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置が提供される。
【0074】
また、今回、これまで知られていなかった、マルチビューア・マルチビューディスプレイにおけるクロストークの発生に関する仕組みが見出された。この仕組みは、主に、または、もっぱらディスプレイ装置内で生じる、電気的なクロストークと関係がある。例えば、ディスプレイ装置のデータ線の間の寄生容量は、観視者が、他の観視者を対象とする画像の「ゴースト画像」を見ることができるかもしれないような、画像のクロストークを生み出す可能性がある。また、観視者が感知できないレベルまでクロストークを減少させるために、そのようなクロストークの補償を行うことが可能であることが、今回さらに見出された。
【0075】
また、上記関数は、補正されるべき上記ピクセル値の関数、および少なくとも他のもう1つのピクセルの上記ピクセル値を含んでいてもよい。さらに、上記少なくとももう1つのピクセルは、隣接するピクセルからなってもよい。なお、各ピクセル値を補正する場合に、もう1つのピクセル値を考慮に入れるだけで十分であることが、多くの応用例において意外にも見出された。これは、電気的なクロストークの明らかな影響を減少させるために必要とされる計算を簡略化する。
【0076】
上記関数は、さらに上記マルチビューア・マルチビューディスプレイに関するピクセル強度をグレーレベルに関連付けた写像の関数を含んでいてもよい。
【0077】
本発明の第5の側面によれば、少なくとも画像のうちの1つに、画像間のクロストークをマスキングする(masking)ためのマスキング画像(masking image)を追加するよう構成された演算処理装置を含むことを特徴とする、マルチビューア・マルチビューディスプレイに複数の画像を表示するためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置が提供される。
【0078】
また、マスキング画像を加えることによって、例えば「ゴースト画像」の形をとる、クロストークの目に見える度合いを減少すること、または排除することができるようになることが意外にも見出された。なお、そのようなマスキング画像は、費用および複雑さの点においてほんの僅か、またはまったく不利益のない比較的簡単な手段によって提供することができる。
【0079】
さらに、上記演算処理装置は、同じマスキング画像を上記画像のそれぞれに加算するよう構成されていてもよい。
【0080】
また、上記マスキング画像は、ノイズを含んでいてもよい。なお、代案として、上記マスキング画像は、ランダムテキスト(random text)を含んでいてもよい。
【0081】
さらに、上記マスキング画像は、静止画像を含んでいてもよい。なお、代案として、上記マスキング画像は、変化する画像(changing image)を含んでいてもよい。
【0082】
また、上記マスキング画像は、グレーレベルを含んでいてもよい。
【0083】
さらに、上記演算処理装置は、上記少なくとももう1つの画像がほぼ黒色の場合に、上記グレーレベルを加算するよう構成されていてもよい。
【0084】
また、上記マスキング画像は、上記ディスプレイの最大輝度の5%にほぼ等しい最大輝度を有していてもよい。
【0085】
さらに、上記マスキング画像は、予想されるクロストークの最大輝度の10倍以上の最大輝度を有していてもよい。
【0086】
また、上記複数の画像は、2つの画像からなってもよい。
【0087】
さらに、本発明の第3の側面から第5の側面までのいずれかに基づいた制御装置は、本発明の第1の側面または第2の側面に基づくディスプレイに組み合わされてもよい。
【0088】
本発明について、添付の図面を引用するとともに、例を用いてさらに述べる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】従来の自動立体視ディスプレイ装置の概略的な平面図である。
【図2】従来のマルチビューディスプレイ装置によって与えられるビューウィンドウの概略的な説明図である。
【図3】他の従来のマルチビューディレクショナルディスプレイ装置によって作り出されるビューウィンドウの概略的な平面図である。
【図4】他の従来の自動立体視ディスプレイ装置の概略的な平面図である。
【図5】従来のマルチビューディレクショナルディスプレイ装置の主要な構成を示す概略的な平面図である。
【図6】従来の走査構成を例証する、空間光変調器の一部の概略的な正面図である。
【図7】本発明の実施例の構成要素であるマルチビューディスプレイの、概略的な正面図を示すものである。
【図8】本発明の実施例の構成要素であるマルチビューディスプレイの、概略的な断面図を示すものである。
【図9】走査構成を例証する、図7および図8の上記マルチビューディスプレイの空間光変調器の一部の概略的な正面図である。
【図10】本発明の実施例の構成要素であるマルチビューディスプレイの概略的な断面図である。
【図11】好ましいピクセルの開口の形状、および好ましくないピクセルの開口の形状を例証する概略図である。
【図12】本発明の実施例の構成要素であるマルチビューディスプレイを例証する概略図である。
【図13】マルチビューディスプレイにおけるクロストークの原因を例証する概略図である。
【図14】本発明の実施例の構成要素であるディスプレイ制御装置の概略的な構成図である。
【図15】表示ピクセル強度(display pixel intensity)とグレーレベルとの間の関数を例証するグラフである。
【図16】本発明の実施例の構成要素であるマルチビューディスプレイの概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
図7および図8は、観視者によって左側の画像と右側の画像とが、マルチビューア・マルチビューディスプレイの法線の左側の方向からと右側の方向からとだけでそれぞれ見えるように左側の画像と右側の画像とを同時に表示するためのマルチビューア・マルチビューディスプレイの、それぞれ概略的な正面図および断面図を示すものである。上記ディスプレイは、バックライト(図示せず)を備えた透過型の液晶(LC)パネル20の形をとった空間光変調器と、前方の視差バリア21とを含む。LCパネル20は、それぞれ矢印24および矢印25によって指し示された方向における観賞のための、空間的に多重化された(spatially multiplexed)またはインターレースされた(interlaced)、左側および右側の眺めを表示するための、間にピクセルLおよびピクセルRが形成された基板22および基板23を含んでいる。なお、上記観賞の方向の間の角度はθで示される。また、視差バリア21は、LCパネル20のピクセル面が基板22と基板23との間に配置されるとともに、視差バリア面が基板22と基板26との間に配置されるように、基板26に接して形成される。
【0091】
図7の正面図で示されるように、上記ピクセルは、表示される2つの画像の、垂直方向の細長い片(ストリップ)をインターレースして表示するピクセルの、隣接した縦列とともに横列および縦列になって配列される。ピクセルの縦列のそれぞれの対は、視差バリア21の個別のスリット27と協同する。そして、上記ピクセルの縦列によって、上記空間光変調器をほぼ制限するため、正しくない画像が各観視者によって実質的に見られないのに対して、正しい画像が各観視者によって見られる。
【0092】
上記ピクセルのそれぞれは、その長軸が、LCパネル20の上記ピクセルによって表示される画像の、意図または設計された方位を参照した場合の水平方向に伸びている長方形である。また、各画素は、垂直方向の開口29のほぼ3倍の、水平方向の開口28を有している。この点で、上記水平方向の開口および垂直方向の開口は、それぞれ水平方向および垂直方向における上記ピクセルの上限の幅および上限の高さとして定義される。上記ピクセルは、水平方向の開口28が水平方向のピッチの40%から90%までの間であるような、水平方向のピッチ30を有する規則的な長方形のアレイとして配列される。また、好ましい実施例では、輝度と観視者の運動の自由度との間での良好な妥協案を与えるためであると同時に、上記ディスプレイ内での回折および散乱からの、画像間の比較的低いレベルのクロストークの発生のため、水平方向の開口28は上記水平方向のピクセルピッチの70%となっている。
【0093】
また、視差バリア21の各スリット27の幅31は、ディスプレイの十分な明るさを提供するために、ほぼ上記ピクセルの水平方向の開口と等しくてもよい。なお、改善のため、すなわちクロストークの低減のため、上記スリットの幅31がより広くされてもよいし、上記ピクセルの水平方向の開口がより小さくされてもよい。
【0094】
さらに、シングルビューの動作モード(single view mode of operation)を提供するために視差バリア21が無効になる可能性のある実施例において、より高い輝度は、上記スリットの幅31よりも、上記ピクセルの水平方向の開口28を大きくすることによって達成されてもよい。
【0095】
図7の正面図において陰で示されているように、上記ディスプレイは、水平方向に縞のあるカラーフィルタを含んでいる。よって、上記ピクセルは、各横列のピクセルが同一の色になっているとともに、垂直方向において赤、緑、および青の横列が周期的に繰り返される横列になって配列される。複合カラーのピクセル(composite colour pixel)は、垂直方向に配列された赤、緑、および青のピクセルの三つ組みによって形成される。
【0096】
水平方向に細長いピクセルの使用は、視差オプティクスタイプのディレクショナルディスプレイをマルチビューア・マルチビューディスプレイとして用いることを可能にする。上記「より幅広い(wider)」ピクセルは、上記LCピクセル面と上記視差素子面(上記面は図8で示された実施例におけるバリアスリットを含む)との間の実用的な間隔を生じさせることによって、マルチビューアに適した、より広く間隔が空けられたビューウィンドウを可能にする。したがって、この間隔を主に規定する基板は、頑丈さを満足できるだけ、および製造中および使用中に、脆い成分の特別な扱いを必要とさせないだけ十分にぶ厚い材料で作られていてもよい。例えば、少なくとも0.5mmの厚さをもつガラス基板には、標準的な屈折率を有するものが用いられてもよい。これによれば、比較的高い屈折率の、より「風変わりな」材料を使用する必要がなくなる。
【0097】
上記ディスプレイのピクセルの、異なるアスペクト比のため、各横列におけるピクセルの数と上記ディスプレイのピクセルの横列の数とが、例えば図6で示されるように、従来のLCパネルのものと異なる。例えば、図9で示されるように、上記水平方向のピクセル開口は、図6の上記パネルの水平方向のピクセルの開口のサイズのおよそ3倍だが、図9の垂直方向のピクセル開口は、図6の垂直方向のピクセル開口のサイズのおよそ1/3である。従って、図6と比べて、図9の各横列におけるピクセルの数は、およそ1/3である。また、図6においては、図9における横列のおよそ3倍のピクセルの数がある。
【0098】
図6の上記パネルにおけるように、図9の上記パネルを一度にリフレッシュするのは可能だろう。しかしながら、これには、図6の上記パネルに対して必要とされる、およそ3倍の走査パルスの頻度が必要となるだろう。また、各横列でリフレッシュされるピクセルの数は、およそ1/3となるだろう。これを達成するための走査は、図6を参照して上述されているような従来の走査と実質的に異なっているだろうし、上記ディスプレイにピクセルデータを供給するための既存の画像データソース(image data sources)と互換性がないだろう。
【0099】
図9では、この互換性のなさを実質的に克服する処置について示す。この場合では、上記ピクセルは、横列85のように、3つの集まりとして配列される。また、横列の各グループ85の中では、上記ピクセルは、3つのピクセルが縦列になって配列される。上記グループ85のピクセルのすべては、共通の走査線81に接続されている86のような走査入力を有している。また、上記ピクセルは、個々のデータ線に接続されているデータ入力を有している。よって、上記グループ85における3つの縦列の各ピクセルのデータ入力は、87から89までのような、隣接する個々のデータ線に接続される。上記接続は、各縦列におけるピクセルに隣接する上記データ入力が、隣接しているデータ線に接続されるものである。
【0100】
これは、従来の走査構成を、上記パネルをリフレッシュするのに利用することを実質的に可能にする。ピクセルの横列の各グループ85に対するピクセルデータは、ジグザグの矢印90によって示された順番で、データ線ドライバに送り込まれる。グループ85のすべてのピクセルに対してのデータが入力されたとき、グループ85に対する走査線81は、同時にグループ85のすべてのピクセルのリフレッシュを行うための、走査パルスを走査線ドライバから受けとる。従って、一度に3つの横列がリフレッシュされる。そして、この処理は、3つの横列の各グループに対して順番に繰り返される。この配列の結果として、上記ピクセルデータの入力と並びのグループの操作が、例えば図6で示されているような周知のタイプのディスプレイに互換性のある方法で起こる。上記ピクセルデータは、3つの横列に上記データを入力するために、いくらかの並び替え(reordering)を必要とするが、これは、従来の画像データソースの範囲内で容易に達成可能であり、互換性のなさをもたらすこともない。
【0101】
図10では、図8で示したのと同様のタイプのマルチビューアディスプレイについて示す。しかしながら、図10の上記ディスプレイは、バリア基板26が、高い屈折率の材料で作られた91のようなレンズのアレイに適合させるために、バリア基板26が、基板22から間隔を空けられているという点において異なる。上記レンズには、視差バリア21のスリット27に各レンズが配置される円柱形の収束レンズ、または微細な凸型レンズ(lenticules)を含む。レンズ91は、スリット27と一致している(coinciding with)平面を有する円柱形の、および平凸のものであって、凸状の表面がLCパネル20に向かって広がっているものである。レンズ91を有する視差バリア21は、低い屈折率の接着剤の層92によって、LCパネル20の基板22に取り付けられる。
【0102】
図10のマルチビューディスプレイは、本質的には図8のマルチビューディスプレイと同じように機能する。しかしながら、バリアスリット27における円柱形の収束レンズ91の使用は、より広いバリアスリット27の使用を可能にする。そして、これは上記ディスプレイに与えられる照明の量に対して、より明るい画像を提供することを可能にする。また、レンズ91は、画像間およびビューウィンドウ間の遷移をより急(sharper)にさせ、例えば、その結果、画像間のクロストークをより低減させる。
【0103】
図11では、上記ディスプレイ上の設計された画像方位の垂直方向に、上記ピクセルが伸びるまたは広がる、他のタイプのLCパネルを示す。パネルの一部の例が35において示されているとともに、「典型的な(ideal)」長方形のピクセルの形状の例が36において示されている。そのようなピクセルの形状36は、狭い幅側の水平方向において特性(features)を有していない。従って、そのような僅かな特性の欠如から、水平方向の回折によって、より大きなクロストークが生じるだろう。
【0104】
図11では、37、38、および39において、他の3つのピクセルの形状を示す。37および38で示された形状は、一定の幅を有しているとともに、2つの分離した長方形のサブアパーチャー(sub-apertures)で構成されている。従って、水平方向の回折に寄与する「乏しい(thin)」特性はない。また、39で示された形状は、上記ピクセルのどんな部分の最小の幅も、上記ピクセルの上記水平方向の開口の半分以上であるような、お互いに隣接する長方形の形状の2つのサブアパーチャーを含む。そのようなピクセルの形状の場合もやはり、水平方向の回折を比較的低くする。また、図11では、そのすべてが、比較的高い水平方向の回折を生じさせる、比較的細い垂直方向の線または領域を有している40から44までの、ピクセルの形状を示す。従って、このタイプの形状は、水平方向の回折を減少させ、不要なクロストークを避けるために、選ばないようにするべきである。
【0105】
図12では、図7から図9までに示したのと同様のタイプであるが、いくらか変更のある、マルチビューディスプレイに形成される視差オプティクス50と協同する液晶(LC)パネルを示す。LCパネル20のピクセルは、図7から図9までで示されているのと大体同じようにして配列されるが、左側の眺めと右側の眺めとが異なって割り当てられる。特に、お互いが垂直になった左側および右側の細長い片(strips)を交互に表示する列を有する(各縦列というよりむしろ)各横列のピクセルは、表示するための画像の1つとしての水平方向の薄片または細長い片を表示する。また、LCパネル20は、周期的に繰り返される赤、緑、および青の水平方向の縞を有する、図7で示されたタイプのカラーフィルタを含んでいる。図12では、異なる眺めを表示するピクセルの隣接する横列を示すが、上記ピクセルは、1つ以上の横列を含んでいる各組を有する、隣接する横列の組として配列され、上記眺めのうちの1つの水平方向の細長い片を表示してもよい。
【0106】
図12のディスプレイにおける視差オプティクス50は、マイクロルーバー(microlouvre)タイプのものであって、各列がLCパネル20のピクセルの個別の横列(または横列の組)にかぶさったり、協同したりするマイクロルーバーの横列を含んでいる。上記マイクロルーバーは、左側の観視者と右側の観視者とに向かって的確な方向においてLCパネル20からの光の透過をほぼ制限するように、それぞれの列において同じ方向に方向付けられているとともに、隣接した横列において異なる方向に方向付けられている日除け(ルーバー)を有する小型のベネチアン・ブラインドに似ている。従って、上記観察の方向は、51のような個々のルーバーの面に平行である。このタイプのマイクロルーバーの配列については周知であるので、これ以上詳細な説明は行わない。
【0107】
このように、図12は、水平方向に細長いピクセルを用いる視差オプティクスのタイプのマルチビューア・マルチビューディスプレイの他の実施例を示している。この実施例では、ビューウィンドウの間隔は、マイクロルーバーの方向によって主に規定される。観視者の上下運動が比較的限られるにも関わらず、良好なクロストークのパフォーマンスが達成されるので、そのようなディスプレイは、特に意図された観察場所からの上下方向への自由な動きが必要でない応用例に対して有用である。
【0108】
考えられる代案として、図12で示された視差オプティクス50は、実質的に同様の働きができるホログラフィック素子(holographic element)に取り替えてもよい。また、実際に、前述した実施例の視差オプティクスをホログラフィの構成要素に取り替えてもよい。
【0109】
図13では、マルチビューディスプレイにおける観察場所での画像間のクロストークの2つの原因について示す。図13の左側に示される原因1は、LCパネルのピクセル間で起こる可能性のある小さな影響である、電気的なクロストークに起因している。これは、例えば、これはLCパネルのドライバー回路の、(TFTの)薄膜トランジスタにおける寄生容量のせいで生じる可能性がある。上記電気的なクロストークのふるまいは、比較的複雑である。例えば、電気的なクロストークは、1「方向(direction)」だけにおいて生じる可能性がある。よって、1つのピクセルからのクロストークが、(図13の左側で示すように)片側のピクセルだけに影響を与える可能性がある。また、電気的なクロストークの規模は、影響を受けたピクセルに供給されたデータ値と、クロストークを引き起こしたピクセルに供給されたデータ値とに依存する可能性がある。
【0110】
図13の右側に示される原因2は、光学上のクロストークに起因している。これは、上記ディスプレイの光学素子の欠陥にする可能性があるが、また、視差バリアでの回折および散乱といった内在性の要因によっても生じる可能性がある。欧州特許第0953962号明細書では、光学上のクロストークを補正するのための周知の技術が開示されているが、参照することによって、上記内容はこの明細書中(herein)に組み込まれている。この技術については、自動立体視3Dディスプレイについての文脈において述べられている。マルチビューア・マルチビューディスプレイは、クロストークが非常に低いレベルにあることを必要とするが、以下に述べられているような、光学上のクロストークのための補正を改良することによって、それは実現可能である。
【0111】
異なる画像間のクロストークをもたらす電気的なクロストークは、マルチビューア・マルチビューディスプレイの性能を許容できないレベルにまで低下させ得る、これまで知られていなかったクロストークの作用である。そのような電気的なクロストークを発生させる電気的なメカニズムは、光学上のクロストークを発生させるメカニズムとは異なっている。従って、光学上のクロストークを減少させるための技術は、単独で画像間のクロストークを、許容できるレベルにまで減少させるには十分でない可能性がある。よって、電気的なクロストークおよび光学上のクロストークを減らすまたは「正す」ためには、異なる補正が必要とされる。しかしながら、そのような補正は、以下の計算と組み合わせてもよい。従って、眺め間のクロストークを許容できる範囲にすることを実現するために、組み合わされた補正(combined correction)が適用されてもよい。
【0112】
図14では、例えば前述のタイプのいずれかのディスプレイ60と、電気的な、および/または光学上のクロストークの補正を提供することができるディスプレイ制御装置61とを示す。ディスプレイ制御装置61は、タイミング発生器63によって制御されるデータオーガナイザ(data organiser)62を含み、ディスプレイ60のリフレッシュを行うのに対して適切な、時間的順序(temporal order)になるように、アナログまたはデジタルのピクセル値の順番を取り決めている。データオーガナイザ62およびタイミング発生器63は、的確な順番でマルチビューアマルチビューディスプレイにピクセルデータを供給するのにとって適切な、あらゆるタイプのものであってもよく、周知のタイプのものであってもよい。
【0113】
ディスプレイ制御装置61は、クロストークの補正を実行する演算処理装置(processor)64をさらに含んでいる。演算処理装置64は、アナログ加算器(summers)65および66、クロストーク計算機(crosstalk calculator)67を含んでいる。
【0114】
ディスプレイ制御装置61およびディスプレイ60は、デュアルビューの働き(dual view operation)ができるように配置されている。従って、2人の観視者が互いに、同時にディスプレイ60によって表示される、独立している画像を見ることができる。左側(L)および右側(R)の画像のデータは、ディスプレイ制御装置61の入力68および69に供給される。上記左側および右側の画像のデータは、アナログ加算器65および66の最初の入力のめいめい、およびクロストーク計算機67のそれぞれの入力に供給される。クロストーク計算機67は、各画像に対してのクロストークの補正値について計算し、これらの値をアナログ加算器65および66の2番目の入力に供給する。なお、クロストーク計算機67は、タイミング発生器63からタイミング信号を受け取る。
【0115】
アナログ加算器65および66からの出力は、個々のピクセルデータをディスプレイ60に対して適切な順序に整理する(organises)データオーガナイザ62に供給される。例えば、左側の画像と右側の画像とが、ディスプレイに関して1ピクセル幅の、垂直方向に細長い片が、インターレースされるようにして表示される場合では、データオーガナイザ62にはピクセルデータがアナログ加算器65および66から交互に供給されるとともに、必要であればピクセルデータが廃棄される。従って、ピクセルデータのための各水平方向のラインを、ディスプレイ60の水平方向の解像度に一致(matches)させる。
【0116】
電気的なクロストークに関して補正を行うため、クロストーク計算機67は、電気的なクロストークによって影響を受ける各ピクセルのピクセル値と、上記影響を受けたピクセルの上記クロストークに寄与している各ピクセルのピクセル値とに基づいて、補正値を算出する。また、クロストーク計算機67によって算出されるクロストークの補正値は、ピクセル強度とグレーレベルとの間の写像にも依存しているので、上記クロストークに関して、ピクセルのグレーレベルの、変化させる必要がある量を、より正確に補正を行うために、算出することができる可能性がある。図11では、任意の単位における強度が、0から255までで表されたグレーレベルに対してプロットされている、そのような関数の例について示す。クロストークの補正値は、影響を受けるピクセルのデータの度合い(level)、影響を与えるピクセルのデータの度合い(level)、およびピクセル強度とグレーレベルとの間の写像の関数である。
【0117】
影響を受けたピクセルの度合い、および影響を与えたピクセルの度合いの作用としてのクロストークは、実験的に割り出されてもよい。上記ピクセルが256のグレーレベル(黒を含む)を有している場合では、グレーレベルの、可能性のある組み合わせごとについての写像を割り出すために、255×255の測定を実行することが必要になるだろう。しかしながら、削減された数の測定をさせてもよく、上記写像を表すデータを手に入れる負担を減らすために、補間法のような概算を行ってもよい。
【0118】
各生産ラインからのディスプレイ、または可能であれば各個別のディスプレイについての、ピクセル強度とグレーレベルとの間の写像を決定するために測定を実行することが必要または望ましいかもしれない。逆に、生産工程が十分に不変であるならば、ディスプレイ60の1つの標本に関しての写像を決定するための測定を実行する必要だけしかないものとしてもよい。
【0119】
代わりに、またはさらに、演算処理装置64は、光学上のクロストークの補償を行ってもよい。例えば、典型的なマルチビューディスプレイ60において、光学上のクロストークは、異なる画像を表示する1以上隣接したピクセル(または、異なる画像を表示する、影響を受けたピクセルのような、同じ色の1以上隣接したピクセル)のピクセル強度、光学上のクロストークの「度合い(level)」(例えば、光学上の回折および散乱の量)、およびピクセル強度とグレーレベルとの間の写像の関数として、クロストーク計算機67によって割り出されてもよい。ピクセル強度とグレーレベルとの間の写像を考慮に入れることによって、例えば、上記写像が直線的であると想定した場合と比較して、補正の精度を改善することが可能である。図15に示すように、実際の写像はかなり非線形であるので、提示した技術によって補正が改善される。
【0120】
クロストークを減少させるために、クロストーク計算機67は、各画像に対して必要とされる補正値を割り出し、割り出した補正値を、すべてのピクセルに対しての、所定の定数のグレーレベルから差し引く。そして、その結果が、アナログ加算器65および66において、画像に追加される。
【0121】
例えば、もしクロストークが回折によって引き起こされるものであった場合には、上記クロストークは色に依存している可能性がある。例えば、そのような回折が、上記ディスプレイのクロストークに実質的な寄与をしているならば、上記クロストークは、赤い光よりも青い光に対して、より大きくなると期待される。そのような状況において、異なる色に対して独立して計算されるまたは導き出されるとともに、異なる色に対して異なった補償が行われるのが、クロストークにとって好ましい。従って、各ピクセルのクロストークに対して行われる補償の少なくとも一部は、同色の他の1つ以上のピクセルから導き出されることが好ましい。
【0122】
クロストークの計算のための代案または追加案として前述したように、クロストーク計算機67は、ノイズまたはランダムテキスト(random text)といった、ぼんやりした(faint)所定のマスキング画像(masking image)を加える。そのようなマスキング画像の追加は、上記クロストークを意味のある画像として判断することをより困難にさせる。従って、観視者(viewers)によるクロストークの知覚を減少させる。
【0123】
マスキング画像は、静止した(static)または常に一定の画像であってもよい。代案として、マスキング画像は、時間にともなって変化するマスクを上記クロストークにかけるのがより適切である場合には、時間にともなって変化するものであってもよい。例えば、変化する画像は、非静止の表示画像または表示画像群について言えば、マスキングを行うのに、より適切である可能性がある。
【0124】
マスキング画像のレベルは、単にクロストークを感知できなくする目的に十分になるように選ばれる。例えば、マスキング画像は、予想されるクロストークの最大輝度よりも、1桁(order of magnitude)高い最大輝度を有してもよい。例えば、0.4%のクロストークの場合では、マスキング画像は、ディスプレイの最大輝度のおよそ5%を、最大のレベルとして有する。
【0125】
代わりに、またはさらに、クロストークの視認性は、一定の強度を個々の画像に加えることによって、減少させられてもよい。特に、どちらかの画像が黒であるときに、クロストークによって生じる低レベル(low level)の画像への人の視覚の高い感度のために、クロストークの視認性はより高くなる。低レベルの一定の強度を加えることによって、特に画像が一般的に黒の場合、クロストークによって生じるグレーレベルにおけるばらつきに対して人の視覚がより反応しにくくなるグレーレベルの範囲にそれを動かすことによって、クロストークを目立たなくすることが可能である。
【0126】
そのような処置には、比較的ちょっとした画像処理の能力しか必要としないので、実施するのが容易であるとともに、安価で済む。また、この技術は、特に灰色が黒のスクリーン(black screen)に加えられる状況に適しているが、黒以外の画像に適用され、隠蔽率において、少ないが一様の、許容できる低減をもたらしてもよい。
【0127】
クロストークの視認性の低減のための付加的な手段は、周囲の照明状態の低いディスプレイの輝度を減少させるものであってもよい。例えば、(黒の画像に関して目立つような)クロストークは、周囲の照明状態が低いとき、例えば、夜に車両でディスプレイが用いられる場合に、特に目立つ可能性がある。例えば、バックライトを薄暗くすることによる、または画像処理によるような、上記ディスプレイの輝度の減少によって、クロストークの減少された輝度はそれほど目立たなくなる。これを制御するために、例えば光ダイオードといったセンサは、周囲の照明の強度を感知し、上記ディスプレイを薄暗くするよう制御するのに用いられてもよい。代案として、周囲の照明状態は、他のパラメータから推測されてもよい。例えば、上記ディスプレイが自動車などのような車両に取り付けられる場合、上記ディスプレイは、車両のヘッドライトが点けられるときに、薄暗くされるよう構成されていてもよい。
【0128】
図16では、2人の観視者が、観視方向24および25において、独立した画像を見ることを可能にするために視差バリア21と協同するLCパネル20を含む、他のマルチビューア・マルチビューディスプレイを示す。縦列になって配列されている左側(L)および右側(R)の画像のピクセルを有するデュアルビュー(dual view)の意図に関して、上記ディスプレイが図示されている。よって、上記画像は、1ピクセル幅の、インターレースされた垂直方向の細長い片(interlaced vertical strips)としてLCパネル20上に表示される。なお、上記ピクセルは、30で示される水平方向のピッチを有している。また、上記バリアスリットは、ほぼ水平方向のピクセル開口と等しい、31で示される幅を有している。
【0129】
LCパネル20は、上記ピクセルの水平方向の開口を規定する72および73などといった部分を有するブラックマスクを含む。各バリアスリットは、上記ブラックマスクを規定する上記部分72を有する(デュアルビューディスプレイのための)ピクセルの2つの縦列と関連付けられている(associated with)とともに、上記関連付けられたピクセルの縦列の上記開口の間に配置される。73といったような上記ブラックマスクの部分は、水平方向に隣接するピクセルが視差バリア21の異なるスリットに関連付けられるための上記水平方向のピクセル開口の残りのエッジを規定する。
【0130】
72といったような上記ブラックマスクの部分の水平方向の幅70は、上記ピクセルピッチ30の約32%から約48%までの間であるのに対して、上記ブラックマスクの部分73の幅71は、上記ピクセルピッチ30の約16%から約24%までの間である。典型例では、上記バリアスリットの幅31は上記ピクセルピッチ30の約70%、上記ブラックマスクの部分72の幅70は上記ピクセルピッチ30のほぼ40%、そして、上記ブラックマスクの部分73の幅71は上記ピクセルピッチ30のほぼ20%である。従って、バリアスリットの幅31は、上記ピクセルの水平方向の開口にほぼ等しい。
【0131】
比較的幅の広いブラックマスクの部分72を使用することによって、上記パネルのピクセル面とバリアスリット面との間に与えられる間隔に対して、ビューウィンドウ間のより大きな角度での分離が可能になる。これは、マルチビューアディスプレイが提供されるのを可能にするとともに、前述の間隔を減らすためのあらゆる要求を回避可能にする。なお、薄く脆い基板を使用する必要がないので、そのような薄い基板に関連している製造の問題を避けることができる。また、比較的薄いブラックマスクの部分73の使用は、LCパネル20の水平方向の空間分解能におけるあらゆる実質的な損失を回避、または低減する。
【0132】
上記マルチビューディスプレイおよびディスプレイ制御装置を以下のように構成してもよい。
【0133】
<1>
空間的にインターレースされた複数の画像を表示するように配列された複数のピクセル(L,R)を含み、上記ピクセル(L,R)が、マルチビューディスプレイでの設計された画像方位のほぼ水平方向に細長くなっている空間光変調器(20)と、異なる画像に基づいて変調された上記空間光変調器(20)からの光を個別の異なる方向(24,25)にほぼ制限するように、上記空間光変調器(20)と協同する視差オプティクス(21)とを含むマルチビューディスプレイであって、
上記マルチビューディスプレイは、マルチビューアディスプレイであるとともに、上記マルチビューディスプレイに対する個別に異なる方向(24,25)において、個別に異なる観視者によって見るために、上記空間的にインターレースされた画像が目に見えるように、上記視差オプティクス(21)が上記空間光変調器と協同することを特徴とするマルチビューディスプレイ。
【0134】
<2>
水平方向に縞のあるカラーフィルタを含むことを特徴とする<1>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0135】
<3>
前記ピクセル(L,R)は、長軸がほぼ前記水平方向に伸びている長方形になっていることを特徴とする<1>または<2>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0136】
<4>
前記ピクセル(L,R)は、一定の水平方向のピッチ(30)によって、水平方向に間隔をもって離されているとともに、上記水平方向のピッチ(30)の40%から90%までの間の水平方向の開口(28)が設けられていることを特徴とする<1>から<3>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0137】
<5>
前記水平方向の開口(28)は、前記水平方向のピッチ(30)の70%にほぼ等しいことを特徴とする<4>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0138】
<6>
前記ピクセル(L,R)には、前記水平方向の開口(28)の3分の1にほぼ等しい垂直方向の開口(29)が設けられていることを特徴とする<1>から<5>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0139】
<7>
前記視差オプティクス(21)は、前記ディスプレイ上の設計された画像方位の垂直方向に方向付けられた複数のスリット(27)を含んでいる視差バリアを含むことを特徴とする<1>から<6>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0140】
<8>
前記スリット(27)の前記水平方向の幅(31)は、前記水平方向のピクセル開口(28)よりも広いか、または等しいことを特徴とする<7>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0141】
<9>
前記スリット(27)の前記水平方向の幅(31)は、前記水平方向のピクセル開口(28)にほぼ等しいことを特徴とする<7>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0142】
<10>
前記視差バリア(21)は、シングルビューの動作モードを提供するために無効になるとともに、前記スリット(27)の前記水平方向の幅(31)が前記水平方向のピクセル開口(28)よりも小さいことを特徴とする<7>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0143】
<11>
各スリット(27)に、個別のレンズが配置されることを特徴とする<7>から<10>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0144】
<12>
前記レンズは収束レンズであることを特徴とする<11>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0145】
<13>
前記レンズは円柱形の収束レンズであることを特徴とする<12>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0146】
<14>
前記ピクセル(L,R)は、前記マルチビューディスプレイ上での設計された画像方位の、水平方向に伸びる横列および垂直方向に伸びる縦列として配列されることを特徴とする<1>から<13>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0147】
<15>
前記横列は、1よりも大きい整数であるN個の隣接した横列のグループとして配列され、各グループの前記ピクセル(L,R)は、上記グループのための共通の走査線に接続された走査入力と、上記グループのすべてに共通の個別のデータ線に接続されたデータ入力と、を有していることを特徴とする<14>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0148】
<16>
各グループでは、同じ1つの前記縦列にあるとともに、お互いに隣接しているピクセルのデータ入力は、隣接している前記データ線の1つに接続されていることを特徴とする<15>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0149】
<17>
前記Nが3に等しいことを特徴とする<15>または<16>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0150】
<18>
マルチビューディスプレイについて個別に異なる方向(24,25)において、個別に異なる観視者によって見るための、空間的にインターレースされた複数の画像を表示するように配列された複数のピクセル(L,R)を含む空間光変調器(20)と、異なる画像に基づいて変調された上記空間光変調器(20)からの光を個別の異なる方向(24,25)にほぼ制限するように、上記空間光変調器(20)と協同する視差オプティクス(21)とを含み、さらに上記空間光変調器(20)が、ブラックマスクを含み、上記ブラックマスクは、上記ピクセル(L,R)のピクセル開口を規定するとともに、上記マルチビューディスプレイでの設計された画像方位の水平方向に隣接する上記ピクセル開口の間に、少なくとも2つの異なる幅を持つ部分(72,73)を有しており、上記視差オプティクス(21)が、それぞれがピクセル(L,R)の個別のグループと協同する複数の視差素子を含むマルチビューディスプレイであって、
上記マルチビューディスプレイは、マルチビューアディスプレイであるとともに、同じグループのピクセル(L,R)間の上記ブラックマスクの各部分(72)の上記幅(70)が、異なるグループのピクセル(L,R)間の上記ブラックマスクの各部分(73)の上記幅(71)よりも大きいことを特徴とするマルチビューディスプレイ。
【0151】
<19>
前記同じグループのピクセル(L,R)間の前記ブラックマスクの各部分(72)の幅(70)は、前記水平方向のピクセルピッチ(30)のほぼ32%からほぼ48%までの間であることを特徴とする<18>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0152】
<20>
異なるグループのピクセル(L,R)間の前記ブラックマスクの各部分(73)の幅(71)は、前記水平方向のピクセルピッチ(30)のほぼ16%からほぼ24%までの間であることを特徴とする<18>または<19>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0153】
<21>
前記視差オプティクス(21)が、前記ディスプレイ上の、設計された画像方位の垂直方向に方向付けられた複数のスリットを含んでいる視差バリアを含むことを特徴とする<18>から<20>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0154】
<22>
前記スリットの前記水平方向の幅(31)は、前記水平方向のピクセル開口にほぼ等しいことを特徴とする<21>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0155】
<23>
前記画像をインターレースするのに適した形のピクセルデータを前記空間光変調器(20)に供給するためのコントローラ(61)を含むことを特徴とする<1>から<22>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0156】
<24>
前記空間光変調器(20)は、ライトバルブを含むことを特徴とする<1>から<23>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0157】
<25>
前記空間光変調器(20)は、液晶デバイスを含むことを特徴とする<24>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0158】
<26>
前記複数の画像は、2つの画像からなることを特徴とする<1>から<25>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイ。
【0159】
<27>
マルチビューア・マルチビューディスプレイ(60)に複数の画像を表示するためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置であって、
上記ディスプレイ制御装置(61)は、表示される各画像についての各ピクセルのピクセル値に所定のグレーレベルを加算して総和を成すように、かつ、表示される上記画像の他の画像についての、少なくとももう1つのピクセルのピクセル値と、マルチビューア・マルチビューディスプレイのためのグレーレベルに対してピクセル強度を関係づける写像との関数である、光学上のクロストーク補正値を各総和から減算するように、構成された演算処理装置(64)を含むことを特徴とするディスプレイ制御装置。
【0160】
<28>
前記所定のグレーレベルは、すべてのピクセルで同一であることを特徴とする<27>に記載のディスプレイ制御装置。
【0161】
<29>
前記所定のグレーレベルは、最大限可能なクロストークの寄与に相当することを特徴とする<28>に記載のディスプレイ制御装置。
【0162】
<30>
前記少なくとも1つのピクセルは、他にもう1つピクセルを含んでいることを特徴とする<27>から<29>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0163】
<31>
前記他のピクセルまたは各々の他のピクセルは、各ピクセルと同じ色であることを特徴とする<27>から<30>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0164】
<32>
前記クロストークの補正値は、補正されるべき前記ピクセル値の関数であることを特徴とする<27>から<31>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0165】
<33>
マルチビューア・マルチビューディスプレイ(60)に複数の画像を表示するためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置であって、
上記ディスプレイ制御装置(61)は、上記マルチビューア・マルチビューディスプレイの少なくともいくつかのピクセルの各ピクセル値に、上記マルチビューア・マルチビューディスプレイ内での電気的なクロストークの関数である、電気的なクロストークの補正値を加算するよう構成された演算処理装置(64)を含むことを特徴とするディスプレイ制御装置。
【0166】
<34>
前記関数は、補正されるべき前記ピクセル値、および少なくとも他のもう1つのピクセルのピクセル値とを含むことを特徴とする<33>に記載のディスプレイ制御装置。
【0167】
<35>
前記少なくとも他のもう1つのピクセルは、隣接したピクセルからなることを特徴とする<34>に記載のディスプレイ制御装置。
【0168】
<36>
前記関数は、さらに上記マルチビューア・マルチビューディスプレイに関するピクセル強度をグレーレベルに関係付けた写像の関数を含むことを特徴とする<34>または<35>に記載のディスプレイ制御装置。
【0169】
<37>
マルチビューア・マルチビューディスプレイ(60)に複数の画像を表示するためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置であって、
上記ディスプレイ制御装置(61)は、少なくとも上記画像のうちの1つに、画像間のクロストークをマスキングするためのマスキング画像を追加するよう構成された演算処理装置(64)を含むことを特徴とするディスプレイ制御装置。
【0170】
<38>
前記演算処理装置(64)は、同じマスキング画像を上記画像のそれぞれに加算するようになっていることを特徴とする<37>に記載のディスプレイ制御装置。
【0171】
<39>
前記マスキング画像は、ノイズを含むことを特徴とする<37>または<38>に記載のディスプレイ制御装置。
【0172】
<40>
前記マスキング画像は、ランダムテキストを含むことを特徴とする<37>または<38>に記載のディスプレイ制御装置。
【0173】
<41>
前記マスキング画像は、静止画像を含むことを特徴とする<37>から<40>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0174】
<42>
前記マスキング画像は、変化する画像を含むことを特徴とする<37>から<40>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0175】
<43>
前記マスキング画像は、グレーレベルを含むことを特徴とする<37>または<38>に記載のディスプレイ制御装置。
【0176】
<44>
前記演算処理装置(64)は、前記少なくとも1つの像がほぼ黒色ならば、前記グレーレベルを加算するようになっていることを特徴とする<43>に記載のディスプレイ制御装置。
【0177】
<45>
前記マスキング画像は、前記マルチビューア・マルチビューディスプレイの最大輝度の5%にほぼ等しい最大輝度を有していることを特徴とする<37>から<44>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0178】
<46>
前記マスキング画像は、予想されるクロストークの最大輝度の10倍以上の最大輝度を有していることを特徴とする<37>から<45>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0179】
<47>
前記複数の画像は、2つの画像からなることを特徴とする<27>から<46>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0180】
<48>
<1>から<26>までのいずれか1項に記載のマルチビューディスプレイと組み合わされることを特徴とする<27>から<47>までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【0181】
<49>
空間的にインターレースされた複数の画像を表示するように配列された複数のピクセルを含む空間光変調器と、ディスプレイ上の設計された画像方位の垂直方向に方向付けられた複数のスリットを含む視差バリアとを含み、該視差バリアが、異なる画像に基づいて変調された上記空間光変調器からの光を個別の異なる方向にほぼ制限するように、上記空間光変調器と協同するマルチビューディスプレイであって、
上記マルチビューディスプレイは、マルチビューアディスプレイであるとともに、上記マルチビューディスプレイに対する個別に異なる方向において、個別に異なる観視者によって見るために、上記空間的にインターレースされた画像が目に見えるように、上記視差オプティクスが上記空間光変調器と協同し、前記スリットの前記水平方向の幅が、前記水平方向のピクセル開口にほぼ等しいことを特徴とするマルチビューディスプレイ。
【0182】
<50>
前記ピクセルは、一定の水平方向のピッチによって、水平方向に間隔をもって離されているとともに、上記水平方向のピッチの40%から90%までの間の水平方向の開口が設けられていることを特徴とする<49>に記載のマルチビューディスプレイ。
【0183】
<51>
前記水平方向の開口は、前記水平方向のピッチの70%にほぼ等しいことを特徴とする<50>に記載のマルチビューディスプレイ。
【符号の説明】
【0184】
60 ディスプレイ(マルチビューア・マルチビューディスプレイ)
61 ディスプレイ制御装置(コントローラ)
64 演算処理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチビューア・マルチビューディスプレイに複数の画像を表示するためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置であって、
上記ディスプレイ制御装置は、上記マルチビューア・マルチビューディスプレイの少なくともいくつかのピクセルの各ピクセル値に、上記マルチビューア・マルチビューディスプレイ内での電気的なクロストークの関数である、電気的なクロストークの補正値を加算するよう構成された演算処理装置を含むことを特徴とするディスプレイ制御装置。
【請求項2】
前記関数は、補正されるべき前記ピクセル値、および少なくとも他のもう1つのピクセルのピクセル値とを含むことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ制御装置。
【請求項3】
前記少なくとも他のもう1つのピクセルは、隣接したピクセルからなることを特徴とする請求項2に記載のディスプレイ制御装置。
【請求項4】
前記関数は、さらに上記マルチビューア・マルチビューディスプレイに関するピクセル強度をグレーレベルに関係付けた写像の関数を含むことを特徴とする請求項2または3に記載のディスプレイ制御装置。
【請求項5】
前記複数の画像は、2つの画像からなることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【請求項6】
空間的にインターレースされた複数の画像を表示するように配列された複数のピクセルを含み、上記ピクセルが、マルチビューディスプレイでの設計された画像方位のほぼ水平方向に細長くなっている空間光変調器と、異なる画像に基づいて変調された上記空間光変調器からの光を個別の異なる方向にほぼ制限するように、上記空間光変調器と協同する視差オプティクスとを含むマルチビューディスプレイであって、
上記マルチビューディスプレイは、マルチビューアディスプレイであるとともに、上記マルチビューディスプレイに対する個別に異なる方向において、個別に異なる観視者によって見るために、上記空間的にインターレースされた画像が目に見えるように、上記視差オプティクスが上記空間光変調器と協同するマルチビューディスプレイと組み合わされることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【請求項7】
マルチビューディスプレイについて個別に異なる方向において、個別に異なる観視者によって見るための、空間的にインターレースされた複数の画像を表示するように配列された複数のピクセルを含む空間光変調器と、異なる画像に基づいて変調された上記空間光変調器からの光を個別の異なる方向にほぼ制限するように、上記空間光変調器と協同する視差オプティクスとを含み、さらに上記空間光変調器が、ブラックマスクを含み、上記ブラックマスクは、上記ピクセルのピクセル開口を規定するとともに、上記マルチビューディスプレイでの設計された画像方位の水平方向に隣接する上記ピクセル開口の間に、少なくとも2つの異なる幅を持つ部分を有しており、上記視差オプティクスが、それぞれがピクセルの個別のグループと協同する複数の視差素子を含むマルチビューディスプレイであって、
上記マルチビューディスプレイは、マルチビューアディスプレイであるとともに、同じグループのピクセル間の上記ブラックマスクの各部分の上記幅が、異なるグループのピクセル間の上記ブラックマスクの各部分の上記幅よりも大きいマルチビューディスプレイと組み合わされることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【請求項1】
マルチビューア・マルチビューディスプレイに複数の画像を表示するためのデータを供給するためのディスプレイ制御装置であって、
上記ディスプレイ制御装置は、上記マルチビューア・マルチビューディスプレイの少なくともいくつかのピクセルの各ピクセル値に、上記マルチビューア・マルチビューディスプレイ内での電気的なクロストークの関数である、電気的なクロストークの補正値を加算するよう構成された演算処理装置を含むことを特徴とするディスプレイ制御装置。
【請求項2】
前記関数は、補正されるべき前記ピクセル値、および少なくとも他のもう1つのピクセルのピクセル値とを含むことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ制御装置。
【請求項3】
前記少なくとも他のもう1つのピクセルは、隣接したピクセルからなることを特徴とする請求項2に記載のディスプレイ制御装置。
【請求項4】
前記関数は、さらに上記マルチビューア・マルチビューディスプレイに関するピクセル強度をグレーレベルに関係付けた写像の関数を含むことを特徴とする請求項2または3に記載のディスプレイ制御装置。
【請求項5】
前記複数の画像は、2つの画像からなることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【請求項6】
空間的にインターレースされた複数の画像を表示するように配列された複数のピクセルを含み、上記ピクセルが、マルチビューディスプレイでの設計された画像方位のほぼ水平方向に細長くなっている空間光変調器と、異なる画像に基づいて変調された上記空間光変調器からの光を個別の異なる方向にほぼ制限するように、上記空間光変調器と協同する視差オプティクスとを含むマルチビューディスプレイであって、
上記マルチビューディスプレイは、マルチビューアディスプレイであるとともに、上記マルチビューディスプレイに対する個別に異なる方向において、個別に異なる観視者によって見るために、上記空間的にインターレースされた画像が目に見えるように、上記視差オプティクスが上記空間光変調器と協同するマルチビューディスプレイと組み合わされることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【請求項7】
マルチビューディスプレイについて個別に異なる方向において、個別に異なる観視者によって見るための、空間的にインターレースされた複数の画像を表示するように配列された複数のピクセルを含む空間光変調器と、異なる画像に基づいて変調された上記空間光変調器からの光を個別の異なる方向にほぼ制限するように、上記空間光変調器と協同する視差オプティクスとを含み、さらに上記空間光変調器が、ブラックマスクを含み、上記ブラックマスクは、上記ピクセルのピクセル開口を規定するとともに、上記マルチビューディスプレイでの設計された画像方位の水平方向に隣接する上記ピクセル開口の間に、少なくとも2つの異なる幅を持つ部分を有しており、上記視差オプティクスが、それぞれがピクセルの個別のグループと協同する複数の視差素子を含むマルチビューディスプレイであって、
上記マルチビューディスプレイは、マルチビューアディスプレイであるとともに、同じグループのピクセル間の上記ブラックマスクの各部分の上記幅が、異なるグループのピクセル間の上記ブラックマスクの各部分の上記幅よりも大きいマルチビューディスプレイと組み合わされることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のディスプレイ制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−70205(P2011−70205A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238852(P2010−238852)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【分割の表示】特願2007−550068(P2007−550068)の分割
【原出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【分割の表示】特願2007−550068(P2007−550068)の分割
【原出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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