説明

ディスプレイ用カラーセンサおよびそれを用いるディスプレイシステムならびにディスプレイの校正方法

【課題】液晶ディスプレイの輝度および色度の校正を行うために、それらを測定する液晶ディスプレイ用カラーセンサにおいて、前記校正を正確に行えるようにする。
【解決手段】センサ3bに、液晶ディスプレイ2に対向配置され、小型で安価な光学系を持たない広受光角のセンサ3bを用いるにあたって、インターフェイス18を介して前記液晶ディスプレイ2側から階調情報を取得し、CPU17の演算・補正部17dがセンサ3bの測定結果を前記階調情報に基づいて補正して、狭受光角のセンサに相当する輝度値および色度値を求める。したがって、受光角の広いセンサ3bを用いても、液晶特有の階調による視野角変化の影響を受けることなく、受光角の狭いセンサ、すなわち一般の色彩輝度計で測定したように正確に、液晶ディスプレイ2の輝度値および色度値を測定することができ、前記校正を正確に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にLCD(液晶ディスプレイ)の輝度および色度を校正するにあたって、それらを測定するカラーセンサおよびそれを用いるディスプレイシステムならびにディスプレイの校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば印刷用や医療用などで使用される高品位なモニターには、使用に伴う前記輝度および色度のずれを校正することが必要になる。その輝度および色度の校正にあたって、CRTモニターの場合、従来では、たとえばコニカミノルタ社製のCRTキャリブレータと称される小型のカラーセンサが使用されている。そのCRTキャリブレータは、CRTから入射した光を、X,Y,Zの各色フィルタを通してそれぞれに対応するシリコンフォトダイオードで受光し、電流−電圧変換回路、A/D変換回路を経て、デジタル信号(カウント値)として内蔵のマイコンに取込み、そのマイコンがX,Y,Zのカウント値から校正係数を使って演算を行い、最終的な出力値である測色値を出力している。
【0003】
前記CRTキャリブレータは、吸盤でCRTの画面に吸着させて使用する構造になっており、前述のように小型でCRT画面からセンサまでの距離は短く、またコストアップを抑えるためにも、受光角を絞るようなレンズ等の光学系は設けられていない。このため、センサは広い受光角を持っており、正面からの光だけではなく、斜め方向から入射する光も受光する構造になっている。
【0004】
しかしながら、電子ビームの照射によってモニター(ブラウン管)表面付近が発光し、比較的広い視野角を有するCRTでは、見る角度によって輝度や色度が大きく変化せず、前記センサの広い受光角による影響は比較的小さい。このため、所定の1点で輝度を校正することで、ほぼ問題なく、低輝度から高輝度まで精度良く輝度および色度を測定することができる。
【0005】
これに対して、モニターの奥のバックライトが発光し、表面付近の液晶素子がその光をコントロールする液晶ディスプレイでは、見え方の異なる横方向の光が前記視野角による影響を受けてしまう。図7および図8は、前記のCRTキャリブレータで測定を行い、40cd/mの1点校正を行った状態で、輝度を変化させて前記輝度値(Lv値(図7))および色度値(x,y値(図8))を測定した結果を示すグラフであり、受光角の小さい基準センサ(コニカミノルタ社製の色彩輝度計CS−1000)による測定結果との誤差特性を示す。図7から、輝度は校正ポイントである前記40cd/mを中心として、ほぼそれから離れる程誤差が大きくなり、図8から、色度は前記40cd/mよりも小さくなる程、急激に誤差が大きくなっていることが理解される。このように前記CRTキャリブレータで液晶ディスプレイを測定する場合には、校正点以外で精度良く測定できないという問題が生じる。
【0006】
そこで、特許文献1では、LCDの視野角による誤差を無くすために、接触型のセンサを用いても、その出力をルックアップテーブルなどの変換手段を用いて換算することで、光学系を備えている望遠型のセンサに相当する測定結果を得られるようにした液晶ディスプレイの輝度測定装置が提案されている。また、液晶パネルによってもその変換値が異なるので、パネル毎の変換手段を備えて対応するものとなっている。
【特許文献1】特開2003−294528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の従来技術によれば、前記視野角の問題を或る程度解消することができる。しかしながら、液晶ディスプレイが、目で見て、あるいは受光角の狭い(前記望遠型の)センサで測った場合、同じ輝度値および色度値を表示していても、液晶ディスプレイでは、階調とバックライトの明るさとの組合わせが異なる場合がある。たとえば、経年使用に伴うバックライト光量の低下で、新品時よりも液晶の透過量を増加させるようなケースである。そのような場合、前記広い受光角によるセンサでは、階調によって測定結果に大きな誤差を生じてしまうという問題がある。
【0008】
図9に、バックライトの明るさを変化させて、前記のCRTキャリブレータで測定を行い、前記受光角の小さい基準センサ(コニカミノルタ社製の色彩輝度計CS−1000)による同様の測定結果との誤差特性を示す。この図9から、同じ輝度の測定値が得られた場合でも、バックライトの明るさと階調との組合わせが異なると、誤差量が変化することが理解される。このため、前記特許文献1のように、測定値に対してある補正を掛けたとしても、正確な補正にはならない。
【0009】
本発明の目的は、受光角の広いセンサを用いても、ディスプレイの輝度値および色度値を正確に測定することができるディスプレイ用カラーセンサおよびそれを用いるディスプレイシステムならびにディスプレイの校正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のディスプレイ用カラーセンサは、ディスプレイの輝度および色度を校正するためにそれらを測定するディスプレイ用カラーセンサにおいて、前記ディスプレイに対向配置される広受光角のセンサと、前記ディスプレイ側から階調情報を取得する入力手段と、前記センサの測定結果から、前記入力手段で得られた階調情報に基づいて、狭視野角のセンサに相当する輝度値および色度値を得る補正手段とを含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明のディスプレイの校正方法は、ディスプレイの輝度および色度の校正方法において、前記ディスプレイに広受光角のセンサを対向配置して、輝度値および色度値となるデータを測定するステップと、入力手段によって、前記ディスプレイ側から階調情報を取得するステップと、補正手段によって、前記センサの測定結果から、前記入力手段で得られた階調情報に基づいて、狭視野角のセンサに相当する輝度値および色度値を得るステップとを含むことを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、特に液晶ディスプレイの輝度および色度の校正を行うために、それらを測定するディスプレイ用カラーセンサにおいて、センサに前記ディスプレイに対向配置され、小型で安価な光学系を持たない広受光角のセンサ(広角型センサ)を用いるにあたって、前記ディスプレイ側から階調情報を取得する入力手段を設け、補正手段は、単に前記センサの測定結果から輝度値および色度値を得るのではなく、測定結果を前記入力手段で得られた階調情報に基づいて補正して、狭受光角のセンサ(望遠型センサ)に相当する輝度値および色度値を求める。ここで、本願発明者の実験によれば、前記広受光角のセンサ(広角型センサ)による狭受光角のセンサ(望遠型センサ)に対する誤差は、バックライトの明るさに関わらず、階調によって変化するという知見が得られた。
【0013】
したがって、受光角の広いセンサを用いても、たとえば階調に応じた誤差割合をキャンセルするように係数を掛けて補正を行なうなど、液晶の実際の階調に応じて測定結果を補正することで、液晶特有の階調による視野角変化の影響を受けることなく、受光角の狭いセンサ、すなわち一般の色彩輝度計で測定したように正確に、ディスプレイの輝度値および色度値を測定することができ、前記校正を正確に行うことができる。
【0014】
さらにまた、本発明のディスプレイシステムは、ディスプレイに前記のディスプレイ用カラーセンサを接続して成り、前記ディスプレイには、前記階調情報を出力する出力手段と、前記補正手段によって得られた輝度値および色度値に基づいて輝度および色度を校正する校正手段とを含むことを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、小型で安価な光学系を持たない広受光角のセンサを用いても、液晶特有の階調による視野角変化の影響を受けることなく、受光角の狭いセンサ、すなわち一般の色彩輝度計で測定したように正確に、ディスプレイの輝度値および色度値を測定することができ、校正を正確に行うことができるディスプレイシステムを実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のディスプレイ用カラーセンサおよびそれを用いる校正方法は、以上のように、特に液晶ディスプレイの輝度および色度の校正を行うために、それらを測定するディスプレイ用カラーセンサおよびそれを用いる校正方法において、ディスプレイに対向配置され、小型で安価な光学系を持たない広受光角のセンサを用いるにあたって、前記ディスプレイ側から階調情報を取得し、センサの測定結果を前記階調情報に基づいて補正して、狭受光角のセンサに相当する輝度値および色度値を求める。
【0017】
それゆえ、受光角の広いセンサを用いても、液晶特有の階調による視野角変化の影響を受けることなく、受光角の狭いセンサ、すなわち一般の色彩輝度計で測定したように正確に、ディスプレイの輝度値および色度値を測定することができ、前記校正を正確に行うことができる。
【0018】
さらにまた、本発明のディスプレイシステムは、以上のように、ディスプレイに前記のディスプレイ用カラーセンサを接続して成る。
【0019】
それゆえ、小型で安価な光学系を持たない広受光角のセンサを用いても、液晶特有の階調による視野角変化の影響を受けることなく、受光角の狭いセンサ、すなわち一般の色彩輝度計で測定したように正確に、ディスプレイの輝度値および色度値を測定することができ、校正を正確に行うことができるディスプレイシステムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の実施の一形態に係るディスプレイシステムである液晶ディスプレイシステム1の外観構成を示す斜視図である。この液晶ディスプレイシステム1は、輝度および色度の校正を必要とする高品位な液晶ディスプレイ2およびそのコントローラ4ならびにディスプレイ用カラーセンサであるセンサユニット3およびそのセンサ本体5を備えて構成される。前記センサ本体5はパーソナルコンピュータなどから成り、前記コントローラ4は映像信号処理回路に演算処理回路などを備えて成り、前記センサユニット3−センサ本体5間、液晶ディスプレイ2−コントローラ4間、センサ本体5−コントローラ4間は、それぞれUSBなどで接続されて成る。前記センサユニット3は、校正時に前記液晶ディスプレイ2の画面2aに(吸着などで)貼付けられる。なお、コントローラ4がセンサ本体5と一体となって、前記パーソナルコンピュータで構成されていてもよい。
【0021】
図2は、前記センサユニット3の電気的構成を示すブロック図である。受光素子から成るセンサ3bは、小型で、かつ安価な光学系を備えていない広受光角のセンサ(広角型センサ)のセンサである。前記画面2aから前記センサ3bの受光窓に入射した光は、赤外線吸収フィルタ11を透過した後、X,Y,Zの各色フィルタ12X,12Y,12Zを通過することで分光され、シリコンフォトダイオード13X,13Y,13Zで各波長の光が光電変換される。
【0022】
前記シリコンフォトダイオード13X,13Y,13Zで電流として得られた信号は、電流電圧変換回路(I/V変換回路)14X,14Y,14Zで電圧信号に変換され、ゲイン切替回路15X,15Y,15Zを通じてA/D変換回路16に入力される。前記ゲイン切替回路15X,15Y,15Zは、前記電圧信号をA/D変換回路16のダイナミックレンジに適応させるために設けられており、単体のA/D変換回路16が前記電圧信号をマルチプレックス動作によって所定周期でアナログ/デジタル変換した結果に基づいて、CPU17の回路ゲイン制御部17aが、前記ゲイン切替回路15X,15Y,15Zのゲインを制御する。また、前記CPU17のA/D変換回路制御部17bが、前記A/D変換回路16のサンプリングを制御する。こうして、I/V変換回路14X,14Y,14Z、ゲイン切替回路15X,15Y,15ZおよびA/D変換回路16は、センサ3bからのアナログ信号を、演算部となるCPU17で処理するためのデジタル信号に変換する信号変換部を構成する。
【0023】
前記CPU17は、前記信号変換部から入力された信号を演算し、Lv値、x,y値等の輝度値および色度値を得る前記演算部となり、前記回路ゲイン制御部17aおよびA/D変換回路制御部17bに加えて、前記A/D変換回路16からのX,Y,Zの各カウント値が入力されるA/Dカウント入力部17cと、そのカウント値から後述するような演算・補正を行って前記輝度値および色度値を得る演算・補正部17dと、インターフェイス部18を介して前記液晶ディスプレイ2と通信を行うデータ入出力部17eとを備えて構成される。
【0024】
注目すべきは、本発明では、前記輝度値および色度値を得る過程の中で、前記CPU17の演算・補正部17dは、データ入出力部17eからインターフェイス部18およびセンサ本体5を介して、ディスプレイコントローラ5から取得した液晶ディスプレイ2の階調情報に基づいて、メモリ19に格納されている補正テーブルを参照し、さらに必要に応じて補間演算などを行い、演算値に補正をかけることである。前記インターフェイス部18は、前記階調データの入力だけでなく、その演算結果を測定情報として液晶ディスプレイ2側へ出力して校正を行わせたり、液晶ディスプレイ2側から校正モードとなったことなどを受信する前記液晶ディスプレイ2との間の通信インターフェイスである。前記校正モードとなったことが入力されると、CPU17がそれに応答して、センサ3bによる受光から前記信号変換部や演算部の駆動制御を行う。
【0025】
以下に、前記CPU17による演算について、詳しく説明する。前記A/D変換回路16からCPU17のA/Dカウント入力部17cへは、上記のようにして画面2aからの入射光に対するX,Y,Zそれぞれのカウント値xcnt,ycnt,zcntが得られる。ただし、CPU17の演算・補正部17dは、たとえばセンサユニット3の収納容器への格納状態などの入射光を遮光した状態で、同様にしてカウント値を得ており、それを前記入射光のカウント値から減算することで、シリコンフォトダイオード13X,13Y,13Zの暗電流や、他の回路14X,14Y,14Z;15X,15Y,15Z;16のオフセットの影響を除去している。
【0026】
得られたX,Y,Zのカウント値xcnt,ycnt,zcntから、前記演算・補正部17dは、前述の1点の校正から導かれた校正定数a11,a12,a13;a21,a22,a23;a31,a32,a33を用いて、下式から実際の測色値Xdata,Ydata,Zdataを計算する。このため、前記メモリ19の校正係数記憶部19aには、出力される測定値が基準となる光源および測定器で値付けされる基準値に合わせ込まれるようにして求められた前記校正係数a11,a12,a13;a21,a22,a23;a31,a32,a33が予め格納されている。
【0027】
Xdata=xcnt×a11+ycnt×a12+zcnt×a13・・・(1)
Ydata=xcnt×a21+ycnt×a22+zcnt×a23・・・(2)
Zdata=xcnt×a31+ycnt×a32+zcnt×a33・・・(3)
【0028】
ここで、前記校正係数a11,a12,a13;a21,a22,a23;a31,a32,a33の決定は、基準となるディスプレイなどの光源に、分光色彩輝度計などを用いて行われ、具体的には、或るひとつの輝度の条件の白色(たとえば、6500K,40cd/mなど)と、そのときのR,G,B単色とを測定し、行列式を解くことによって求められる。前記演算・補正部17dは、全ての測定範囲において、上記で得られた校正係数a11,a12,a13;a21,a22,a23;a31,a32,a33を使用して、輝度値および色度値を出力する。前記校正係数a11,a12,a13;a21,a22,a23;a31,a32,a33の一例は、たとえば表1のようである。
【0029】
【表1】

【0030】
その後、注目すべきは、本発明では、前記演算・補正部17dは、上述のようにして得られた測色値Xdata,Ydata,Zdataに対して、予め液晶ディスプレイ2のパネルの種類に対応して前記メモリ19の階調補正係数記憶部19bに格納されている補正係数の内、前記液晶ディスプレイ2側から取得した階調データに対応した補正係数kx,ky,kzを乗じ、下式のようにして、最終的に出力するX,Y,Zの値Xout,Yout,Zoutを計算することである。
【0031】
Xout=Xdata×kx ・・・(4)
Yout=Ydata×ky ・・・(5)
Zout=Zdata×kz ・・・(6)
【0032】
次に、前記補正係数kx,ky,kzの決定方法について説明する。センサユニット3と液晶ディスプレイ2とは、基本的に1対1で使用され、階調による配光特性の変化は液晶パネル毎にバラツキがあるので、これに対応した補正係数kx,ky,kzを一意的に決定する必要がある。そこで、液晶ディスプレイ2が、たとえば各色8ビットのデータで制御される場合、0〜255の階調に対して、階調5,15,27,48,72,150,234の7点で前記補正係数kx,ky,kzが設定される。このように階調の低いところで細かく補正係数を設定しているのは、図3から明らかなように、誤差の割合を補正しようとすると、階調の低いところでグラフが大きく曲がっているので、細かい間隔で補正係数を設定しなければ、間を補間する際に誤差が大きくなってしまうためである。データポイント以外の部分は、直線補間や、近似式で補間が行われる。こうして求めた補正係数kx,ky,kzの一例は、たとえば表2のようである。このような補正係数kx,ky,kzを設定する階調の設定間隔や数は、その液晶パネルの特性や、求められるセンサの性能に応じて、適宜選択されればよい。
【0033】
【表2】

【0034】
前記図3は、バックライトの明るさに関わらず、階調のみに着目して誤差量を測定した結果を示すグラフである。これらの図3および前述の図9から、階調の値に対する誤差割合(%)は、バックライトの設定に関わらず、ほぼ一定になることが理解される。本発明では、本願発明者が知見したこの特性を利用して、CPU17の演算・補正部17dが液晶ディスプレイ2側の階調情報を取得し、その階調に応じた誤差割合をキャンセルするように係数を掛けて補正を行なう。
【0035】
図4および図5は、本願発明者の実験結果を示すグラフであり、前述の図7および図8に対応している。すなわち、上述のようにしてセンサユニット3を用いて測定を行い、40cd/mの1点校正を行った状態で、輝度を変化させて輝度値(Lv値(図4))および色度値(x,y値(図5))を測定した結果を示すグラフであり、受光角の小さい基準センサ(コニカミノルタ社製の色彩輝度計CS−1000)による測定結果との誤差特性を示す。図4から、輝度は校正ポイントである前記40cd/mだけでなく、低輝度から高輝度まで、ほぼ誤差が抑えられており、図5から、色度も前記40cd/mだけでなく、低輝度側で若干現れるものの、高輝度まで、ほぼ誤差が抑えられていることが理解される。
【0036】
図6は、前述のような輝度値および色度値の測定方法を説明するためのフローチャートである。ステップS1では、液晶ディスプレイ2側からインターフェイス部18およびデータ入出力部17eを介して、演算・校正部17dに測定コマンドおよび現在の階調情報が入力される。これに応答して、CPU17は測定モードとなり、ステップS2で、回路ゲイン制御部17aがゲイン切替回路15X,15Y,15Zのゲインを制御するとともに、ステップS3で、A/D変換回路制御部17bがA/D変換回路16のサンプリングを制御する。こうして、ステップS4で、A/D変換回路16から演算・校正部17dに前記X,Y,Zのカウント値xcnt,ycnt,zcntが得られる。
【0037】
続いて、ステップS5では、前記演算・補正部17dが、前記カウント値xcnt,ycnt,zcntに、前記校正係数記憶部19aからの校正定数a11,a12,a13;a21,a22,a23;a31,a32,a33を用いて、前記式1〜3に従って、測色値Xdata,Ydata,Zdataを計算する。一方、ステップS6では、前記演算・補正部17dは、前記階調補正係数記憶部19bに格納されている補正係数の内、前記液晶ディスプレイ2側から取得した階調データに対応した補正係数を読出し、適宜補間演算を行うなどして、実際に乗算する補正係数kx,ky,kzを求めている。そして、ステップS7において、前記式4〜6に従って、最終的に出力するX,Y,Zの値Xout,Yout,Zoutを計算し、ステップS8で、データ入出力部17eから外部インターフェイス18を介して、前記測定情報として液晶ディスプレイ2側へ送信し、前記輝度および色度の校正を行わせる。
【0038】
このように構成することで、液晶ディスプレイ2の輝度および色度の校正を行うために、それらを測定するセンサユニット3において、センサ3bに前記液晶ディスプレイ2に対向配置され、小型で安価な光学系を持たない広受光角のセンサ(広角型センサ)を用いるにあたって、前記液晶ディスプレイ2側から階調情報を取得するインターフェイス18を設け、補正手段となるCPU17の演算・補正部17dは、前記センサ3bの測定結果から、単に輝度値および色度値を得るのではなく、測定結果を前記階調情報に基づいて補正して、狭受光角のセンサ(望遠型センサ)に相当する輝度値および色度値を求めるので、液晶特有の階調による視野角変化の影響を受けることなく、受光角の狭いセンサ、すなわち一般の色彩輝度計で測定したように正確に、液晶ディスプレイ2の輝度値および色度値を測定することができ、前記校正を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の一形態に係る液晶ディスプレイシステムの外観構成を示す斜視図である。
【図2】センサユニットの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】前記液晶ディスプレイの階調を変化させてCRTキャリブレータで測定を行った結果の受光角の小さい基準センサによる同様の測定結果との誤差特性を示すグラフである。
【図4】CRTキャリブレータで測定を行って液晶ディスプレイを本発明による校正を行った状態で、輝度を変化させて輝度値を測定した結果を示すグラフである。
【図5】CRTキャリブレータで測定を行って液晶ディスプレイを本発明による校正を行った状態で、輝度を変化させて色度値を測定した結果を示すグラフである。
【図6】本発明による輝度値および色度値の測定方法を説明するためのフローチャートである。
【図7】CRTキャリブレータで測定を行って液晶ディスプレイを校正した状態で、輝度を変化させて輝度値を測定した場合の受光角の小さい基準センサによる同様の測定結果との誤差特性を示すグラフである。
【図8】CRTキャリブレータで測定を行って液晶ディスプレイを校正した状態で、輝度を変化させて色度値を測定した場合の受光角の小さい基準センサによる同様の測定結果との誤差特性を示すグラフである。
【図9】前記液晶ディスプレイのバックライトの明るさを変化させてCRTキャリブレータで測定を行った場合の受光角の小さい基準センサによる同様の測定結果との誤差特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0040】
1 液晶ディスプレイシステム
2 液晶ディスプレイ
2a 画面
3 センサユニット
3b センサ
4 ディスプレイコントローラ
5 センサ本体
11 赤外線吸収フィルタ
12X,12Y,12Z 色フィルタ
13X,13Y,13Z シリコンフォトダイオード
14X,14Y,14Z 電流電圧変換回路
15X,15Y,15Z ゲイン切替回路
16 A/D変換回路
17 CPU
17a 回路ゲイン制御部
17b A/D変換回路制御部
17c A/Dカウント入力部
17d 演算・補正部
17e データ入出力部
18 インターフェイス部
19 メモリ
19a 校正係数記憶部
19b 階調補正係数記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイの輝度および色度を校正するためにそれらを測定するディスプレイ用カラーセンサにおいて、
前記ディスプレイに対向配置される広受光角のセンサと、
前記ディスプレイ側から階調情報を取得する入力手段と、
前記センサの測定結果から、前記入力手段で得られた階調情報に基づいて、狭視野角のセンサに相当する輝度値および色度値を得る補正手段とを含むことを特徴とするディスプレイ用カラーセンサ。
【請求項2】
ディスプレイに前記請求項1記載のディスプレイ用カラーセンサを接続して成り、前記ディスプレイには、前記階調情報を出力する出力手段と、前記補正手段によって得られた輝度値および色度値に基づいて輝度および色度を校正する校正手段とを含むことを特徴とするディスプレイシステム。
【請求項3】
ディスプレイの輝度および色度の校正方法において、
前記ディスプレイに広受光角のセンサを対向配置して、輝度値および色度値となるデータを測定するステップと、
入力手段によって、前記ディスプレイ側から階調情報を取得するステップと、
補正手段によって、前記センサの測定結果から、前記入力手段で得られた階調情報に基づいて、狭視野角のセンサに相当する輝度値および色度値を得るステップとを含むことを特徴とするディスプレイの校正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−168466(P2009−168466A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3560(P2008−3560)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(303050160)コニカミノルタセンシング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】