説明

デジタルサウンド処理および等化のためのデータ駆動ソフトウェアアーキテクチャ

【課題】サウンド処理、より具体的には、車両用オーディオシステムのデジタルサウンド処理およびオーディオ信号の等化を提供すること。
【解決手段】車両音響システムのデジタル音声処理設計システムは、コンピュータと、コンピュータによって起動される設計ツールとを含む。設計ツールは、ユーザがテンプレートファイル内に格納される音声処理基準を規定することを可能にする。音響信号プロセッサは、音響源の第1および第2リアルチャネル入力に接続される。音響信号プロセッサに結合されるメモリはテンプレートファイルを格納する。音響信号プロセッサおよびメモリに結合される音声処理エンジンは、音声処理基準を得るために起動時間にテンプレートファイルを読み出す。音声処理エンジンは、音声処理基準を第1および第2リアルチャネル入力に付与することを可能にする。設計ツールは、ユーザが仮想チャネル入力および出力を作成することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、サウンド処理、および、より具体的には、車両用オーディオシステムのデジタルサウンド処理およびオーディオ信号の等化に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
車両用のオーディオシステムの設計には、複数の異なったファクタが考慮されている。オーディオシステム設計者は、車両におけるスピーカの位置および数を選択する。各スピーカの所望の周波数応答もまた決定されなければならない。例えば、インストルメントパネル上に配置されるスピーカの所望の周波数応答は、後部ドアパネルの下部分に配置されるスピーカの所望の周波数応答とは異なり得る。
【0003】
オーディオシステム設計者は、様々な種類の機器がオーディオシステムへ与える影響の態様もまた考慮しなければならない。例えば、コンバーチブル車におけるオーディオシステムは、ハードトップである同じモデルの車両における同じオーディオシステムほど音が良好であり得ない。車両用のオーディオシステムの選択肢は、さらに、著しく多様であり得る。車両用の1つのオーディオの選択肢は、チャネルごとに40ワットの増幅を有する基本的な4スピーカシステムを含み得る一方で、別のオーディオの選択肢は、チャネルごとに200ワットの増幅を有する12スピーカシステムを含み得る。オーディオシステム設計者は、車両用のオーディオシステムを設計する場合、これらの構成の全てを考慮しなければならない。このために、オーディオシステムの設計は、時間およびコストがかかる。オーディオシステム設計者は、さらに、信号処理および等化に関して比較的広い予備知識を有しなければならない。
【0004】
車両の音質に対する消費者の期待は過去十年にわたって劇的に高まった。消費者は、今日、車両における非常にハイクオリティのサウンドシステムを期待する。ラジオ、コンパクトディスクおよびテーププレーヤ等の従来のソースからのハイクオリティのオーディオに加えて、車両用オーディオシステムは、携帯電話、ナビゲーションシステムおよびビデオシステムと一体化される。これらのさらなるオーディオソースの各々は、ステレオヘッドユニットとは異なり得るチャネル入力およびオーディオ処理の要求を有する。いくつかの車両用オーディオシステムは、聴音環境をカスタマイズするために、進歩した信号処理技術を採用する。例えば、いくつかの車両用オーディオシステムは、ホームシアターシステムに提供されるサラウンドサウンドと類似するマトリクスサラウンドサウンド処理を組み込む。
【0005】
サラウンドサウンドプロセッサは、左右の入力信号を異なった比率で組み合わせて、2つ以上の出力信号を発生させる。この入力オーディオ信号の種々の組み合わせは、数学的にN×2マトリクスで示され得る。マトリクスは、特定の出力信号のために左および/または右の入力オーディオ信号の比率を規定する2Nマトリクス係数を含む。より一般的な場合、サラウンドサウンドプロセッサは、さらに、N×Mマトリクス係数を用いて、N個の入力チャネルをM個の出力チャネルに転換し得る。Greisingerによる米国特許第4,796,844号および第5,870,480号(この出願は、参考のため、本明細書中に援用される)は、左右のステレオ入力から5または7個のチャネルを提供するサラウンドサウンドシステムを開示する。
【0006】
これまでの記載から理解され得るように、オーディオシステム設計者が複数のオーディオソースを統合する際に支援するサウンド処理および等化設計ツールが所望される。オーディオシステム設計者がカスタムサウンド処理および車両用オーディオシステムの等化を生成することを可能にするサウンド処理および設計ツールもまた所望される。車両用オーディオシステムを設計するために必要とされる経験のレベルおよび時間を低減することも所望される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明による車両用オーディオシステムのデジタルサウンド処理設計システムは、コンピュータ、および、このコンピュータによって実行される設計ツールを備える。デザインツールは、ユーザが、テンプレートファイルに格納されるサウンド処理基準を定義することを可能にする。オーディオ信号プロセッサは、オーディオソースの第1および第2のリアルチャネル入力に接続される。オーディオ信号プロセッサに結合されるメモリは、テンプレートファイルを格納する。オーディオ信号プロセッサおよびメモリに結合されたサウンド処理エンジンは、テンプレートファイルを実行時に読み出して、サウンド処理基準を取得する。サウンド処理エンジンは、サウンド処理基準を第1および第2のリアルチャネル入力に適用する。設計ツールは、ユーザがバーチャルチャネル入力、および、部分的に第1および第2のリアルチャネル入力に基づく出力を生成することを可能にする。
【0008】
本発明のさらに別の機能において、サウンド処理基準は、車両の速度の関数として、少なくとも1つの入力チャネルのゲインファクタを変更する速度/ゲイン関数を含む。フィルタプロファイルは、さらに、第1および第2のリアルチャネル入力の少なくとも1つに適用され得る。他のサウンド処理基準は、チャネルゲイン、車両識別セレクタ、オーディオソースセレクタ、遅延等を含む。
【0009】
明細書、図面および特許請求の範囲を検討した後、さらに別の目的、機能および利点が当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明による第1の例示的信号処理システムの機能ブロック図である。
【図2】図2は、本発明による第2の例示的信号処理システムの機能ブロック図である。
【図3】図3は、信号処理設計ツールおよびオーディオ信号プロセッサの機能ブロック図である。
【図4】図4は、本発明による信号処理設計ツールのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)である。
【図5】図5は、図4の信号処理設計ツールのゲイン設定ダイアログボックスである。
【図6】図6は、図4の信号処理設計ツールの遅延設定ダイアログボックスである。
【図7】図7は、図4の信号処理設計ツールの第1のフィルタ設定ダイアログボックスである。
【図8】図8は、図4の信号処理設計ツールの第2のフィルタ設定ダイアログボックスである。
【図9】図9は、パッシブ混合ダイアログボックスの実施形態を示す図である。
【図10】図10は、速度ゲインダイアログボックスの実施形態を示す図である。
【図11】図11は、VINコードダイアログボックスの実施形態を示す図である。
【図12】図12は、オーディオソースダイアログボックスの実施形態を示す図である。
【図13】図13は、コピーフィルタダイアログボックスの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(好適な実施形態の詳細な説明)
次の詳細な説明は、好適な例示的実施形態のみを提供し、かつ、本発明の範囲、適用性または構成を制限することは意図されない。むしろ、好適な例示的実施形態の次の詳細な説明は、当業者に、本発明の好適な例示的実施形態を実装を可能にするための説明を提供する。添付の特許請求の範囲に示される本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、エレメントの機能および構成において種々の変更がなされ得ることが理解される。
【0012】
本発明による車両用オーディオシステムのデジタルサウンド処理システムは、リモートサウンド処理モジュールとの通信リンクを有するPCベースの設計ツールを含む。リモートサウンド処理モジュールは、車両内に配置され、ラジオ、DVDプレーヤおよび衛星デジタルラジオを含む、1つ以上のソースからのオーディオ信号を処理する。リモートサウンド処理モジュールの出力は、他の信号処理モジュールまたはスピーカを駆動し得、この場合、信号増幅が用いられることが多い。リモートサウンド処理モジュールによって行われる信号処理は、シリアルバスインターフェースを介して伝送される、PCベースの設計ツールからのコマンドを介して構成され得る。PCベースの設計ツールは、ユーザが、リモートサウンド処理モジュールとの通信リンクを確立する前に、リモートサウンド処理のための信号処理パラメータを準備することを可能にする。設計ツールは、ユーザが各出力チャネルにおける処理をカスタマイズすることを可能にする。ユーザに利用可能な処理ブロックは、サラウンドサウンド復号エレメント、無限インパルス応答(IIR)フィルタバンク、タイムアラインメントおよび速度依存ゲインを有するクロスバーミキサを含む。リモートサウンド処理モジュールは、1つ以上のバーチャルチャネルもまた組み込み得る。バーチャルチャネルは、出力がクロスバーミキサの入力ベクトルに現れるチャネルである。
【0013】
ここで、図1を参照すると、例示的なオーディオ信号プロセッサ10が示される。ヘッドユニット12は、左チャネル14および右チャネル18を発生させる。左チャネル14は、アナログデジタルコンバータ(ADC)20−1に出力される。第1のゲインブロック22は、倍率(scaling factor)Gをデジタル化された左チャネルに適用する。第1のゲインブロック22の出力は、クロスバーマトリクス26に入力される。同様にヘッドユニット12の右チャネル18は、ADC20−2に出力される。第2のゲインブロック28は、倍率Gをデジタル化された右チャネルに適用する。第2のゲインブロック28の出力は、クロスバーマトリクス26に入力される。
【0014】
ナビゲーションユニット34は、ADC20−3によってデジタル化されたアナログ出力信号を発生させる。第3のゲインブロック38は、倍率Gをデジタル化されたナビゲーションオーディオ信号に適用する。第3のゲインブロック38の出力は、クロスバーマトリクス26に入力される。携帯電話42は、ADC20−4によってデジタル化されたアナログ出力信号を発生させる。第4のゲインブロック46は、倍率Gをデジタル化されたセルラーオーディオ信号に適用する。第4のゲインブロック46の出力は、クロスバーマトリクス26に入力される。
【0015】
加算された信号58は、クロスバーマトリクス26によってフィルタブロック60に出力される。フィルタブロック60は、オールパス、ローパス、ハイパス、バンドパス、ピークまたはノッチ、トレブルシェルビング、ベースシェルビング、および/または他のオーディオフィルタ関数等の従来のフィルタ関数を提供するデジタルフィルタを含む。フィルタブロック60の出力62は、ボリュームゲインブロック64に接続される。ボリュームゲインブロック64のゲインは、車両入力信号66によって決定される。例えば、好ましくは、車両入力信号66は、車両データバスによって提供される車両速度を含む。車両入力信号66はまた、コンバーチブルの上部の上昇、コンバーチブルの上部の下降、車両始動、車両停止、窓上昇、窓下降等の車両状態信号を含み得る。ヘッドユニット12からのフェード、バランス、およびボリューム、ナビゲーションユニット34、ならびに/あるいは、携帯電話等の他の入力信号もまた使用される。
【0016】
ボリュームゲインブロック64の出力68は、遅延ブロック70に入力される。遅延ブロックの出力72は、リミッタ74に入力される。リミッタ74の出力76は、デジタルアナログコンバータ(DAC)78に入力される。リミッタ74は、クリップ検出ブロック80を利用し得る。図1の例示的なオーディオ信号プロセッサ10は、左右のオーディオ入力チャネルからN出力チャネルを混合するためにパッシブマトリクスサラウンドサウンドを利用する。言い換えると、パッシブマトリクスは、経時的に変化しないマトリクス係数を含む。好適な実施形態では、Nは5または7に等しい。Nが5に等しい場合、サウンド車両システムは、好適には、左正面、右正面、右背面、左背面および中央スピーカを含む。
【0017】
ここで、図2を参照すると、代替の例示的な信号処理システム100が示される。図1の参照符号は、同様な構成要素を表すのに適するところで使用される。アクティブマトリクスサラウンドサウンドデコーダ110は、S_Leftチャネル112、S_Centerチャネル114、S_Rightチャネル116、左サラウンドチャネル120、および右サラウンドチャネル124をさらに提供する。アクティブマトリクスサラウンドデコーダ110のマトリクス係数は経時的に変化する。本明細書中で参考として援用される、Greisingerの米国特許第4,796,844号および5,870,480号は、アクティブマトリクス係数の計算を説明するサラウンドサウンドシステムを開示する。
【0018】
S_Leftチャネル112は、倍率Gを有する第5のゲインブロック130と関連付けられる。S_Centerチャネル114は、倍率Gを有する第6のゲインブロック132と関連付けられる。S_Rightチャネル116は、倍率Gを有する第7のゲインブロック134と関連付けられる。左サラウンドチャネル120は、倍率Glsを有する第8のゲインブロック136と関連付けられる。右サラウンドチャネル124は、倍率Grsを有する第9のゲインブロック140と関連付けられる。ゲインブロック22、28、38、46、130、132、134、136、および140の出力は、クロスバーマトリクス26に入力される。
【0019】
ここで、図3を参照すると、機能的なブロック図は、好適にはヘッドユニット12に接続される増幅器152の一部を形成するオーディオ信号プロセッサ150を示す。オーディオ信号プロセッサ150は、マイクロプロセッサ154、メモリ156、入力/出力(I/O)インターフェース160、サウンド処理および等化エンジン164、ならびにテンプレートファイル168を含む。テンプレートファイル168は、以下により十分に説明されたように、入力および出力チャネル定義、フィルタ定義、ゲイン設定、および他の設計者によって定義された基準を含む。実際のおよび仮想的な入力および出力は、最初にテキストエディタを用いてテンプレートファイルに入力される。ハードコーディングフィルタ、ゲイン設定、および他の基準ではなく、オーディオ信号プロセッサ150は、テンプレートファイル168から実行時にその基準を取得する。言い換えると、オーディオ信号プロセッサ150は、データ駆動アーキテクチャを利用する。マイクロプロセッサ154ならびにサウンド処理および等化エンジン164は、テンプレートファイル168において示される設計者定義の基準を使用して、オーディオ信号処理および等化をカスタマイズする。メモリ156は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、および/または他の適切な電子メモリを含む。テンプレートファイル168は、好ましくは、メモリ156に格納される。
【0020】
本発明は、コンピュータ172上で実行されるグラフィックソフトウエアプログラムを含むサウンド処理設計ツール170を提供する。コンピュータ172は、マイクロプロセッサ174、メモリ176(RAM、ROM、または他のメモリを含む)、マウス177、ディスプレイ178、および/またはI/Oインターフェース180を含む。サウンド処理設計ツール170は、以下に説明されるように、テンプレートファイル168の作成によって設計者を支援する。テンプレートファイル168は、実行時にサウンド処理および等化エンジン164によって使用される。
【0021】
ここで、図4を参照すると、信号処理設計ツール170によって提供されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)250が示される。GUI250は、ファイル258−1、通信258−2、ツール258−3、ウインドウ258−4、およびヘルプ258−5等の複数のドロップダウンメニューアイテム258を有するドロップダウンメニューバー254を含む。設計者は、好適には、マウス、キーボード、または任意の他の入力デバイスを用いて、GUI250においてポイントかつクリックする。設計ウインドウ260内部のオブジェクトは、スクロールバー264および266を用いて従来の態様で配置される。信号処理設計ツール170は、各出力チャネルのために出力ダイアログボックス270を提供する。
【0022】
図4に示された例では、4つの実際の入力および1つの仮想的な入力が存在する。4つの実際の入力は、右正面、左正面、右背面、左背面チャネル入力を含む。図4において4つの実際の出力および1つの仮想出力が存在する。4つの実際の出力は、右正面、左正面、右背面および左背面チャネル出力を含む。図4における仮想的チャネル出力は、20ヘルツにおいて中央周波数を有する4次ハイパスフィルタ、100ヘルツにおいて中央周波数を有する8次ローパスフィルタ、および各4つの入力チャネルの上での−2.51のゲインによって定義される。図4に示されたサウンドプロセッサは、仮想入力チャネルを形成するために実際の入力チャネルの各々から低音信号を結合することによって低音加算機能を提供する。実際の出力チャネルの各々は、実際の入力信号と共に加算された基本(base)部分を含む。例えば、右正面出力チャネルは、仮想入力チャネル(0.0のゲインを有する)に加えて右正面入力チャネル(ゲイン2.0を有する)を含む。
【0023】
出力ダイアログボックス270は、設計者が入力チャネルの各々に対してゲインを設定することを可能にする。例えば、出力ダイアログボックス270−3は、左背面出力チャネルに対応する。ゲイン設定カラム274におけるテキストボックスは、設計者が左背面出力チャネルに対する入力チャネルのゲインを設定することを可能にする。ブランクのままのテキストボックスは、デフォルトによって−100dBゲインを含む。図4に示された例では、左背面出力チャネルは、左背面入力チャネルに対する2.0のゲインおよび仮想入力チャネルに対する0.0のゲインを有する。設計者がゲイン設定カラム274における特定のテキストボックス上でダブルクリックする場合、図5に示された混合ダイアログボックス276が起動される。
【0024】
ここで、図5を参照すると、混合ダイアログボックス276は、設計者がデシベル(dB)と線形ゲイン(linear gain)設定との間で選択することを可能にする第1および第2のラジオボタン278および280を含む。テキストボックス282は、設計者が特定のゲイン設定を入力することを可能にする。コマンドボタン284は、設計者がゲイン設定を削除することを可能にする。コマンドボタン286は、設計者がゲイン設定を更新することを可能にする。コマンドボタン288は、設計者が混合ダイアログボックス276を閉じることを可能にする。
【0025】
図4および図6を参照すると、ミュートカラム290に現われるテキストボックスは、設計者が1つ以上の入力チャネルをミュートすることを可能にする。ミュートカラム290内の任意のテキストボックス上をダブルクリックすることは、「Yes」から「No」へ、または「No」から「Yes」へ入力チャネルのミュート状態を切り替える。設計者がフィルタコマンドボックス292上をクリックする場合、第1のフィルタ設定ダイアログボックス294(図6において理解され得る)が起動される。
【0026】
ここで、図6を参照すると、第1のフィルタ設定ダイアログボックス294は、出力チャネルおよびその位置に対して現在設定されるフィルタを列挙する。図6に示された例では、左背面出力チャネルは、5000Hzにおいて中央周波数を有する2次ローパスフィルタを有する。さらなるフィルタは、設計者によって追加され得る。コマンドボタン298、300、および302はそれぞれ、設計者がフィルタを削除し、フィルタをプロットし、そして第1のフィルタ設定ダイアログボックス294を閉じることを可能にする。テキストボックス306は、出力チャネルおよびその各々の位置に対して現在指定されたフィルタを表示する。コマンドボタン308は、設計者がさらなるフィルタプロファイルをダウンロードすることを可能にする。コマンドボタン310は、設計者がフィルタを出力チャネルに追加することを可能にする第2のフィルタ設定ダイアログボックス312(図7に示される)を起動することを可能にする。
【0027】
ここで、図7を参照して、第2のフィルタセッティングダイアログボックス314は、複数のラジオボタン320を有するフィルタセクションフレーム316を含み、複数のラジオボタン320は、複数のフィルタプロフィールに関連する。フィルタプロフィールは、オールパス、ローパス、ハイパス、バンドパス、ピークまたはノッチ、3重シェルビング(shelving)およびベースシェルビングを含む。当業者は、他のフィルタプロフィールが本発明の範囲から逸脱することなく加えられ得ることを理解している。テキストボックス322、324、326および328は、フィルタの順序、中央の周波数、ゲインおよびQセッティングにそれぞれ関連する。設計者がフィルタ選択フレーム316の異なるフィルタから選択する場合、テキストボックス322、324、326および328は、選択されたフィルタプロフィールに基づいてイネーブルまたはディセーブルされる。例えば、設計者がローパスフィルタを選択する場合、テキストボックス322および324の順序および中央振動数は、イネーブルされ、ゲインおよびQテキストボックス326および328は、ディセーブルされる。コマンドボタン330によって、設計者は、周波数の関数としてフィルタのゲイン応答を表示フレーム332にプロット可能となる。コマンドボタン340によって、設計者は、選択されたフィルタを増幅器に加えることが可能となる。キャンセルボタン342によって、設計者は、変更をキャンセルすることが可能となる。
【0028】
図4を前に戻って参照して、コマンドボタン350によって、設計者は、周波数およびフェーズ角度の関数として出力チャネルの応答をプロット可能となり、これにより、開発者が行われた変更をレビューすることができる。コマンドボタン354によって、設計者は、出力チャネル用の全ての入力チャネルを弱めるか、出力チャネル用の全ての入力チャネルを弱めないかが可能となる。コマンドボタン358は、図8で示された遅延ダイアログボックス364を立ち上げる。
【0029】
次に、図8を参照して、遅延ダイアログボックス364は、ラジオボタン366および368を含む。このラジオボタン366および368によって、設計者は、サンプルの数に基づいて、または、1000分の1秒の時間に基づいて遅延を選択することが可能となる。テキストボックス372および374によって、設計者は、遅延をエンタ可能となる。コマンドボタン378によって、設計者は、遅延を更新することが可能となる。コマンドボタン388によって、設計者は、遅延ダイアログボックス364を閉じることが可能となる。
【0030】
図4および9を参照して、コマンドボタン370によって、設計者は、RS232ポートを介してテンプレートファイルをコンピュータから増幅器に送ることが可能となる。1度、テンプレートファイルが増幅器にダウンロードされると、増幅器は、テンプレートファイルのパラメータを用いてオーディオストリームの処理を開始する。コマンドボタン374は、受動的なミックスダイアログボックス378を立ち上げる。受動的なミックスダイアログボックス378は、第1および第2のテキストボックス382および386を含む。これらの第1および第2のテキストボックス382および386によって、設計者は、左フロントおよび右フロントの入力チャネル用のゲインおよび角度セッティングを入力可能となる。第3および第4のテキストボックス388および390によって、設計者は、左リアおよび右リア用のゲインおよび角度設定を入力可能となる。コマンドボタン394によって、設計者は、受動的なミックスダイアログボックス378を閉じることが可能となる。
【0031】
図4および10を参照して、コマンドボタン398は、スピードゲインダイアログボックス400を立ち上げる。スピードゲインダイアログボックス400によって、設計者は、出力チャネルを車両スピードの関数として設定可能となる。スピードゲインダイアログボックス400は、個々のスピードおよびゲイン設定に関連するダイアログボックスの対404−1、404−2、404−3、404−4および404−5を含む。補間ラインフィッティングは、スピード/ゲイン関数を滑らかにするように用いられ得る。コマンドボタン408によって、スピードゲイン設定が全ての出力チャネルにコピーされることが可能となる。コマンドボタン412によって、設計者は、スピードゲイン関数をダウンロード可能となる。コマンドボタン414によって、スピードゲイン関数を再描画することを可能とする。コマンドボタン416および418は、変更を承認またはキャンセルする。
【0032】
設計者がドロップ−ダウンメニューバー254からツール258−3を選択するとき、VIN(車両識別番号)コード、オーディオソース、プログラムフラッシュ、読み出し専用、オフセット、および、コピーフィルタオプションが提示される。設計者がVINコードオプションを選択する場合、図11に示されるVINコードダイアログボックス430が立ち上げられる。図11をここで参照して、第1のフレーム432は、複数のラジオボタン434を含む。この複数のラジオボタンによって、設計者は、VINコードの特性のうちの1つを選択可能となる。第2のフレーム436によって、設計者は、複数のラジオボタンに438を用いてVINコードの別の特性を選択可能となる。例えば、第1のフレーム432によって、設計者は、車両モデルを特定するVINコードの第5の特性を選択可能となる。第2のフレーム436によって、設計者は、本体のスタイルを選択可能となる。コマンドボタン440および442によって、設計者は、VINコードダイアログボックス430を更新または閉じることが可能となる。VINコードダイアログボックス430によって、設計者は、特定のサウンド処理テンプレートが特定の車両モデルのみに適用されることを特定可能となる。
【0033】
ここで、図4および図12を参照して、設計者がオーディオソースオプションを選択するとき、オーディオソースダイアログボックス450が立ち上げられる。オーディオソースボックス450は、テンプレートファイル168用のオーディオソースを選択するためのラジオボタン454を含むフレーム452を含む。選択は、ノーソース情報、AM、FM、テープ、CD、DVDオーディオおよびDVDビデオを含む。コマンドボタン456によって、設計者は、オーディオソースダイアログボックス450を閉じることが可能となる。
【0034】
設計者がツールドロップダウンメニュー上のプログラムフラッシュオプションを選択するとき、ユーザは、遠隔信号処理モジュールでコア信号処理エンジンソフトウェアを更新し得る。設計者がツールドロップ−ダウンメニュー上のDCオフセットオプションを選択するとき、ユーザは、増幅器から出力されたDCオフセット電圧を調節し得、非電圧メモリの新規の設定を増幅器内に格納する。
【0035】
次に図4および13を参照して、設計者がツールドロップ−ダウンメニューのコピーフィルタを選択するとき、コピーフィルタダイアログボックス470が立ち上げられる。コピーフィルタダイアログボックス470は、第1および第2のテキストボックス472および474を含む。第1および第2のテキストボックス472および474によって、設計者は、ソースおよび送信先のチャネルを指定可能となる。ソースチャネルは、フィルタ用のソースであり、送信先チャネルは、フィルタがコピーされる送信先である。コピーフィルタダイアログボックス470によって、設計者は、他のチャネル用のフィルタを素早く複製可能となり、設計プロセスを促進させる。コマンドボタン478は、テキストボックス472に記述されたソースチャネルからテキストボックス474に記述された送信先チャネルにフィルタをコピーする。コマンドボタン480は、コピーフィルタの動作をキャンセルする。
【0036】
サウンド処理設計ツールは、サウンドプロセッサ用の設計者の設定を含むテンプレートファイルを生成する。設定は、動作時間におけるサウンドプロセッシングおよび平均化エンジンによって読み出され、所望のサウンドプロセッシングおよび平均化が達成される。付録Aは、バス加算アプリケーション用の例示的なテンプレートファイルを含む。付録Bは、1つの仮想チャネルによる4−イン、6−アウトの実施例を図示する。
【0037】
仮想チャネルの他の使用法は、スピード依存バスブースト、トーン制御および大音量生成を含む。スピード依存トーン制御は、バス、中音域またはトレブルをスピードの関数として変化させる。仮想チャネルの他の使用法は、当業者に明らかである。
【0038】
上記から理解されるように、本発明に従うサウンド処理ツールは、オーディオシステム用のサウンド処理および平均化のコーディングを動的に単純化するデータ駆動機構を用いる。サウンド処理ツールによって、設計者は、仮想入力および出力チャネルを生成可能にする。さらに、設計者は、サウンド処理設計が適用するVINコードを単純化し得る。設計者は、各オーディオ入力ソース用に、異なるサウンド処理プロフィール、フィルタ、ゲイン等を特定し得る。さらに、設計者は、Nの入力チャネルからのMの出力チャネルを容易に混ぜ得る。サウンド処理デザインツールの簡単なGUIによって、あまり経験が無く、かつ、教育の無い設計者でも、車両のオーディオシステム用にサウンド処理および平均化を定義可能である。
【0039】
本発明の幅広い教示が様々な形態でインプリメントされ得ることを、当業者は、上記された記述から認識し得る。従って、図面、明細書および上掲の特許請求の範囲に基づいて、特定の熟練者に対しては他の実施形態が明らかであるために、本発明が特定の実施例と結び付いて記述されるが、本発明の本当の範囲は限定されない。
【0040】
(付録A)
【0041】
【表1】

【0042】

【0043】

【0044】

【0045】
(付録B)
【0046】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両音響システムのデジタル音声処理設計システムであって、本願明細書に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−42813(P2010−42813A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268151(P2009−268151)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【分割の表示】特願2002−588724(P2002−588724)の分割
【原出願日】平成14年4月19日(2002.4.19)
【出願人】(592051453)ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド (91)
【Fターム(参考)】