説明

デジタルデータ受信機

【課題】 走行状態に係わらず、安定してテレビ放送を視聴することを可能とするデジタルデータ受信機を提供することを目的とする。
【解決手段】 第1放送データから第1映像データを生成する第1映像データ生成部(18)と、第2放送データから第2映像データを生成する第2映像データ生成部(19)と、デジタルデータ受信機が搭載されている車両の位置情報を取得する位置情報取得部(36)と、第1放送データの受信に適した第1受信エリアに対応した第1受信エリア情報及び第2放送データの受信に適した第2受信エリアに対応した第2受信エリア情報が記憶された記憶部(32)と、現在位置情報、第1受信エリア情報及び第2受信エリア情報に基づいて、第1映像データと第2映像データとの切換えを行う映像切換部(34、24)と、を有することを特徴とするデジタルデータ受信機(10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の放送を切換えて使用することができるデジタル放送受信機等のデジタルデータ受信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送では、伝送特性の異なる複数の階層を同時に伝送する階層伝送が可能である。そこで、例えば、デジタル放送による同一チャネル内で高品質画像と低品質画像とを受信し、受信状態に応じて良好な画面に切替える技術、さらには切替えの為の受信感度の閾値をユーザの好みに合わせて設定することができる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、車両用や携帯型等のデジタルデータ受信機においては、放送データの受信状態は、局所的に電波を受信しにくくなる部分(ビルの影や谷部等)等の走行環境によって微妙に変化してしまうため、受信状態のみよって画像切替えを行うと、頻繁に画像の切替える必要が生じ、安定して画像を視聴することができないという不具合があった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−158726号公報(2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、受信状態のみによって頻繁に画像を切替える必要のないデジタルデータ受信機を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、走行状態に拘らず、安定してテレビ放送を視聴することを可能とするデジタルデータ受信機を提供することを目的とする。
【0007】
さらに、本発明は、デジタル放送及びアナログ放送を合わせて受信することができ、状況に応じて最適な放送を表示することを可能とするデジタルデータ受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るデジタルデータ受信機は、第1放送データから第1映像データを生成する第1映像データ生成部と、第2放送データから第2映像データを生成する第2映像データ生成部と、デジタルデータ受信機の位置情報を取得する位置情報取得部と、第1放送データの受信に適した第1受信エリアに対応した第1受信エリア情報及び第2放送データの受信に適した第2受信エリアに対応した第2受信エリア情報が記憶された記憶部と、現在位置情報、第1受信エリア情報及び第2受信エリア情報に基づいて、第1映像データと第2映像データとの切換えを行う映像切換部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るデジタルデータ受信機では、第1放送データは固定向けデジタル放送データであり且つ第2放送データは携帯向けデジタル放送データであり、映像切換部は、デジタルデータ受信機が第1受信エリア内に存在すると判断された場合には第1映像データを出力するように切換えを行い、デジタルデータ受信機が第1受信エリア内に存在せず且つ第2受信エリア内に存在すると判断された場合には第2映像データを出力するように切換えを行うことが好ましい。受信エリア情報に応じて、固定向けデジタル放送による映像と携帯向けデジタル放送による映像との切換えを行うように構成した。なお、受信エリアによる映像の切換えに加えて、さらに受信感度や受信状態等に応じて、最適な映像を出力するように制御を行うことも可能である。
さらに、本発明に係るデジタルデータ受信機では、第1放送データの受信感度に対応した第1放送データ受信感度信号及び第2放送データの受信感度に対応した第2放送データ受信感度信号を発生する感度信号発生部と、現在位置情報、第1受信エリア情報、第2受信エリア情報、第1放送データ受信感度信号及び第2放送データ受信感度信号に基づいて、第1受信エリア情報及び第2受信エリア情報の修正を行うためのエリア情報修正部と、
をさらに有することが好ましい。例えば、第1受信エリア内に自車両が存在すると判断されたにも拘らず、良好に第1映像データを受信できなかった場合には、第1受信エリア情報を修正しようとするものである。
【0010】
さらに、本発明に係るデジタルデータ受信機では、現在位置情報、第1受信エリア情報及び第2受信エリア情報に基づいて、デジタルデータ受信機が、第1受信エリアから第2受信エリアに移動したこと又は第2受信エリアから第1受信エリアに移動したことを通知するエリア変更通知信号を発生するエリア変更通知信号発生部を、さらに有することが好ましい。受信エリアが変わったことをユーザに通知できるように構成したものである。
【0011】
さらに、本発明に係るデジタルデータ受信機では、第1映像データと第2映像データ間で映像切換部による切換えが行われたことを通知する映像データ切換通知信号を発生する映像データ切換通知信号発生部を、さらに有することが好ましい。放送が切換わったことをユーザに通知できるように構成したものである。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係るデジタルデータ受信機は、第1放送データから第1映像データを生成する第1映像データ生成部と、第2放送データから第2映像データを生成する第2映像データ生成部と、アナログ放送映像信号を取得するアナログ放送映像信号取得部と、デジタルデータ受信機の位置情報を取得する位置情報取得部と、第1放送データの受信に適した第1受信エリアに対応した第1受信エリア情報及び第2放送データの受信に適した第2受信エリアに対応した第2受信エリア情報が記憶された記憶部と、現在位置情報、第1受信エリア情報及び第2受信エリア情報に基づいて、第1映像データ、第2映像データ及びアナログ放送映像信号の切換えを行う映像切換部と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るデジタルデータ受信機では、第1放送データは固定向けデジタル放送データであり且つ第2放送データは携帯向けデジタル放送データであり、映像切換部は、デジタルデータ受信機が第1受信エリア内に存在すると判断された場合には第1映像データを出力するように切換えを行い、デジタルデータ受信機が第1受信エリア内に存在せず且つ第2受信エリア内に存在すると判断された場合には第2映像データを出力するように切換えを行い、デジタルデータ受信機が第1受信エリア内に存在せず且つ第2受信エリア内に存在しないと判断された場合にはアナログ放送映像信号を出力するように切換えを行うことが好ましい。受信エリア情報に応じて、固定向けデジタル放送による映像、携帯向けデジタル放送による映像及びアナログ放送による映像の切換えを行うように構成した。なお、受信エリアによる映像の切換えに加えて、さらに受信感度や受信状態等に応じて、最適な映像を出力するように制御を行うことも可能である。
さらに、本発明に係るデジタルデータ受信機では、第1放送データの受信感度に対応した第1放送データ受信感度信号及び第2放送データの受信感度に対応した第2放送データ受信感度信号を発生する感度信号発生部と、現在位置情報、第1受信エリア情報、第2受信エリア情報、第1放送データ受信感度信号及び第2放送データ受信感度信号に基づいて、第1受信エリア情報及び第2受信エリア情報の修正を行うためのエリア情報修正部と、
をさらに有することが好ましい。例えば、第1受信エリア内に自車両が存在すると判断されたにも拘らず、良好に第1映像データを受信できなかった場合には、第1受信エリア情報を修正しようとするものである。
【0014】
さらに、本発明に係るデジタルデータ受信機では、現在位置情報、第1受信エリア情報及び第2受信エリア情報に基づいて、デジタルデータ受信機が、第1受信エリアから第2受信エリアに移動したこと、第2受信エリアから第1受信エリアに移動したこと、又は第1及び第2受信エリア外に移動したことを通知するエリア変更通知信号を発生するエリア変更通知信号発生部を、さらに有することが好ましい。受信エリアが変わったことをユーザに通知できるように構成したものである。
【0015】
さらに、本発明に係るデジタルデータ受信機では、第1映像データ、第2映像データ及びアナログ放送映像信号間で映像切換部による切換えが行われたことを通知する映像データ切換通知信号を発生する映像データ切換通知信号発生部を、さらに有することが好ましい。放送が切換わったことをユーザに通知できるように構成したものである。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明に係るデジタルデータ受信機は、デジタルデータ受信機であって、第1放送データから第1映像データを生成する第1映像データ生成部と、第2放送データから第2映像データを生成する第2映像データ生成部と、アナログ放送映像信号を取得するアナログ放送映像信号取得部と、第1映像データ、第2映像データ及びアナログ放送映像信号の切換えを行う映像切換部と、第1映像データ、第2映像データ又はアナログ放送映像信号に基づく映像を表示させるための表示制御部と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るデジタルデータ受信機では、表示制御部は、1つの画面に、第1映像データ基づく第1映像、第2映像データ基づく第2映像及びアナログ放送映像信号に基づく第3映像を表示させることが好ましい。3つの種類の放送を同時に表示できるように構成したものである。
【0018】
さらに、本発明に係るデジタルデータ受信機では、第1映像データ基づく第1映像、第2映像データ基づく第2映像及びアナログ放送映像信号に基づく第3映像のいずれか1つを選択するための選択部、をさらに有することが好ましい。ユーザが好みの種類の放送を選択することができるように構成したものである。
【0019】
さらに、本発明に係るデジタルデータ受信機では、表示制御部は、選択部で選択された映像を表示するように制御することが好ましい。例えば、ユーザが選択した放送のみを表示させることができるようにしたものである。
【0020】
さらに、本発明に係るデジタルデータ受信機では、表示制御部は、選択部で選択された映像を、他の選択されなかった映像と比較して大きく表示するように制御することが好ましい。例えば、ユーザが選択した種類の放送による映像を表示部全体に表示し、非選択放送による映像を小さく表示画面の周辺部に表示できるように構成した。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るデジタルデータ受信機によれば、受信エリア情報に基づいて映像データの切換えを行うように制御されるので、頻繁に画像を切替える必要がなく、安定して良好な映像を視聴することが可能となった。
【0022】
また、本発明に係るデジタルデータ受信機によれば、デジタル放送及びアナログ放送を合わせて受信し、状況に応じて最適な放送を選択することができるので、安定して良好な映像を視聴することが可能となった。
【0023】
さらに、本発明に係るデジタルデータ受信機によれば、固定向けデジタル放送、携帯向けデジタル放送、アナログ放送の中から、ユーザが自由に選択することができるので、ユーザの好みに合わせて、最適な映像を視聴することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下図面を参照して、本発明に係るデジタルデータ(放送)受信機について説明する。
【0025】
図1は、本発明に係わるデジタルデータ受信機10の概要を示すブロック図である。
【0026】
デジタルデータ受信機10は、チューナ部12、OFDM復調処理部14、TSデコード部16、第1オーディオデコーダ18、第2オーディオデコーダ19、第1ビデオデコーダ20、第2ビデオデコーダ21、音声切換処理部22、映像切換処理部24、提示処理部26、遅延回路30、D/A変換器31、RAM32、ROM33、制御部34、端末インターフェイス35、I/O36及びシステムバス38等から構成されている。また、デジタルデータ受信機10は、アンテナ40、車載用のディスプレイ50及びスピーカ60、リモコン70、ナビゲーション装置80及びアナログTV受信端末90と接続されている。
【0027】
デジタルデータ受信機10は、リモコン70及び/又はディスプレイ50に設けられた各種入力装置(ボタン、タッチパネル等)からの操作入力によって制御される。さらに、デジタルデータ受信機10は、少なくとも、ナビゲーション装置80に設けられたGPS情報受信部82からデジタルデータ受信機10の搭載された車両の位置情報、車速パルス受信部84から車速パルス情報を受信できるように構成されている。なお、デジタルデータ受信機10に、前述したアンテナ40、車載用のディスプレイ50及びスピーカ60、リモコン70、ナビゲーション装置80及びアナログTV受信端末90の何れか1つ又は複数を含むように構成しても良い。
【0028】
チューナ部12は、アンテナ40より受信放送波を受信し、所望の帯域に存在するOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を抽出して、内蔵するAGC(Auto Gain Control)回路によってレベル調整後、OFDM復調処理部14へ送る。なお、OFDM信号は、AGC信号によって、所望のレベルに制御される。また、チューナ部12は、AGC信号をシステムバス38を介して制御部34に送信する。制御部34は、AGC信号の電圧値に応じて、受信感度が良い/悪いの判別を各放送毎に行うことができる。
【0029】
OFDM復調処理部14は、デジタル変調されたOFDM信号の復調を行い、誤り訂正処理等を行って、TS(トランスポート・ストリーム)パケット信号をTSデコード部16へ送る。また同時に、OFDM復調処理部14は、トランスポートエラー(TS−ERR):A、B及びCをシステムバス38を介して制御部34へ送信する。TS−ERR:Aは、携帯放送向けエラーを示し、TS−ERR:B又はTS−ERR:Cは、固定放送向けエラーを示している。
TSデコード部16は、TSパケット信号を、第1映像データ及び第1音声データと、第2映像データ及び第2音声データに分離し、それぞれ第1オーデイオデコーダ18及び第1ビデオデコーダ20と、第2オーデイオデコーダ19及び第2ビデオデコーダ21とに送る。ここで、第1映像データ及び第1音声データは、固定向け(家庭用の一般向け)デジタル放送に対応し、MPEG2方式によって符号化された符号化データ(以下、「固定向け放送データ」と言う)である。また、第2映像データ及び第2音声データは、携帯受信用のモバイル放送に対応し、H.264方式(MPEG−4Part10としても知られる映像圧縮方式の一つ)(又はMPEG4方式)によって符号化された符号化データ(以下、「携帯向け放送データ」と言う)である。
【0030】
また、TSデコード部16は、同時に固定向け放送データのデコードエラー信号及び携帯向け放送データのデコードエラー信号をシステムバス38を介して制御部34へ送る。
【0031】
OFDM方式では、同時に3種類の信号キャリアを搬送することができるので、最大3種類の映像データをTSデコード部16から分離することができるが、本実施形態では、MPEG2方式と、H.264方式(又はMPEG4方式)とで符号化された2種類の符号化データを取扱っている。しかしながら、これに限定されることなく、第3のオーデイオ及びビデオデコーダを設けることもできる。
【0032】
第1及び第2オーデイオデコーダ18及び19の音声データは、制御部34の制御によって音声切換処理部で何れか一方が選択され、遅延回路30にて所定の遅延処理が成されて映像データと同期を取った後、D/A変換器31によってアナログ信号に変換されて、スピーカ60から出力される。
【0033】
また、第1及び第2ビデオデコーダ20及び21からの映像データは、制御部34の制御によって映像切換処理部24で何れか一方が選択され、提示処理部26において所定の処理がなされた後、ディスプレイ50に表示される。
【0034】
制御部34は、RAM32及びROM33を利用しながら、予めインストールされているプログラムにしたがって動作し、システムバス38と接続されている各要素の制御を行う。また、制御部34は、ナビゲーション装置80から自車両の位置情報を取得し、予め記憶されている受信エリア情報と照らし合わせて、最適なデータを決定する。さらに、制御部34は、チューナ部12からAGC信号を、OFDM復調処理部14からTS−ERR:A及びB(又はC)を、デコード処理部16からデコードエラー信号を受信し、各信号に基づいて固定向け放送データ及び携帯向け放送データの受信状態が良好か否かの判断を行う。本実施形態では、制御部34は、AGC信号に基づいて受信感度が悪く、TS−ERR:A又はB(又はC)とデコードエラー信号が出力されている場合には、受信状態不良と判断する。さらに、制御部34は、受信状態の良/不良の判断に応じて音声切換処理部22及び映像切換処理部24を制御して、映像データ及び音声データの切換えをさらに行う。
【0035】
固定向け放送データにおける映像データ及び音声データは、MPEG2方式で符号化された符号化データによるものであって、高品質であるが、ビットレートが高いことからノイズ耐性が弱く、放送局からの距離が長くなると、良好な受信が困難となる場合がある。これに対して、携帯向け放送データにおける映像データ及び音声データは、H.264方式(又はMPEG4方式)で符号化された符号化データによるものであって、MPEG2方式に比べるとビットレートが低いため、ノイズ耐性が強く、放送局からの距離がより長くなっても良好に受信することが可能となる。
【0036】
提示処理部28は、選択された固定波放送向け又は携帯放送向けの映像データを、ディスプレイ50サイズに適合させて表示させるための処理部であって、映像データを一時記憶するためのVRAM等の記憶部27、後述する映像データの演算処理を行うための演算処理部28等を有している。
【0037】
アナログTV受信端末90は、アナログ放送信号を受信し、端末I/F回路35へ受信信号を出力する。端末I/F回路35がアナログ信号端末90からの受信信号を受信し、受信信号を映像信号と音声信号に分離して、音声信号を音声切替処理部22へ、映像信号を映像切替処理部24へ送信する。なお、アナログTV受信端末90は、アナログTV受信機能付き携帯電話であっても良い。さらに、アナログTV受信端末90は、受信信号の受信感度を検知し、受信感度情報を端末I/F回路35を介して制御部34へ出力する機能を有している。
【0038】
以下、図2を用いて、固定向け放送、携帯向け放送及びアナログ放送との切換処理フローについて説明する。図2のフローは、デジタルデータ受信機10の制御部34が、主に予めインストールされたプログラムに従って、実行する。
【0039】
最初に、放送局から、MPEG2方式で符号化された符号化データによる固定向け放送データ、及びH.264方式(又はMPEG4方式)で符号化された符号化データによる携帯向け放送データによる同じ内容の放送プログラムが、同一の放送チャンネルにおいて階層伝送されいるものとする。また、放送局から、前述のデジタル放送と同じ内容の放送プログラムがアナログ放送電波によって放送されているものとする。さらに、デジタルデータ受信機10は、電源がONされ、各種機能が動作可能な状況になるものとする(S201)。
【0040】
次に、ユーザの所定の操作に従って、デジタルデータ受信機10がTVモードに移行する(S202)。
【0041】
次に、制御部34は、ナビゲーション装置80から自車両の現在位置情報を取得する(S203)。
【0042】
次に、制御部34は、S203で取得した現在位置情報及び予め記憶部32に記憶されている受信エリア情報に基づいて、自車両が固定向け放送データを受信可能な第1受信エリア内に位置しているかの判断を行う(S204)。
【0043】
図3に、受信エリア情報の一例を示す。
【0044】
受信エリア情報は、図3に示されるように、固定向け放送データを受信可能な第1受信エリアに対応した第1受信エリア情報301と、携帯向け放送データ受信可能な第2受信エリアに対応した第2受信エリア情報302とを含んでいる。実際には、受信エリア情報は、地図上で1km×1km(又は5km×5km)を示すビットマップ情報として、記憶部32に記憶される。
【0045】
S204で自車両が第1受信エリア内に存在すると判断された場合には、制御部34は、固定向け放送データの受信状態が良好である否かの判断を行う(S205)。ここで、制御部34は、固定向け放送データに関し、AGC信号に基づいて受信感度が悪く、TS−ERR:B及びデコードエラー信号が出力されている場合に、受信状態が不良と判断し、それ以外の場合には受信状態良好と判断する。なお、前記判断条件は一例であって、他の条件を採用することも可能である。
【0046】
S205で受信状態良好と判断された場合には、制御部34は、固定向け放送の映像データ及び音声データを選択するように音声切替処理部22及び映像切替処理部24を制御する(S206)。
【0047】
次に、制御部34は、表示部50に固定向け放送が選択された旨を表示する(S207)。
【0048】
図4に、表示部50の表示領域400に表示される画像及びメッセージの配置例を示す。
【0049】
本実施形態では、図4に示すように、表示領域400内に、TV放送映像の表示領域401、メッセージ表示領域402、表示ボタン403、切替ボタン404、通知ボタン405を配置した。また、表示部50の表面には透明導電膜等によるタッチパネル式入力機構が設けられており、表示部50への表示と連動して表示部50の表面に触れることによって、所望の入力を行うことができるように構成した。
【0050】
例えば、S207では、401に固定向け放送の映像データによる映像が表示され、402に「固定向けデジタルTV放送が選択されました。」等の第1メッセージが表示される。
【0051】
また、表示決定ボタン403は切替え後放送を決定するためのボタンであり、切替ボタン404は固定向け放送、携帯向け放送及びアナログ放送をマニュアルで切替えるためのボタンであり、通知ON/OFFボタン405は通知(切替え)のON/OFFを行うためのボタンである。
S204で自車両が第1受信エリア内に存在しないと判断された場合には、制御部34は、S203で取得した現在位置情報及び予め記憶部32に記憶されている受信エリア情報に基づいて、自車両が携帯向け放送データを受信可能な第2受信エリア内に位置しているかの判断を行う(S208)。
【0052】
S204で自車両が第2受信エリア内に存在すると判断された場合、及びS205で固定向け放送の受信状態が不良であると判断された場合には、制御部34は、携帯向け放送データの受信状態が良好である否かの判断を行う(S209)。ここで、制御部34は、携帯向け放送データに関し、AGC信号に基づいて受信感度が悪く、TS−ERR:A及びデコードエラー信号が出力されている場合に、受信不良と判断し、それ以外の場合には受信状態良好と判断する。なお、前記判断条件は一例であって、他の条件を採用することも可能である。
【0053】
S209で受信状態良好と判断された場合には、制御部34は、携帯向け放送の映像データ及び音声データを選択するように音声切替処理部22及び映像切替処理部24を制御する(S210)。
【0054】
次に、制御部34は、表示部50に携帯向け放送が選択された旨の表示を行う(S211)。例えば図4に示した表示例において、401に携帯向け放送の映像データによる映像が表示され、402に「携帯向けデジタルTV放送が選択されました。」等の第2メッセージが表示される。
【0055】
S208で自車両が第2受信エリア内にも存在しないと判断された場合、及びS209で携帯向け放送の受信状態が不良であると判断された場合には、制御部は、アナログ放送用受信信号の感度が良好であるか否かの判断を行う(S212)。アナログ放送用受信信号の感度が良好か否かは、制御部34が、端末I/F回路35を介してアナログTV受信端末90からの受信感度信号を受信し、受信された受信感度信号に基づいて判断する。
【0056】
S212で、アナログ放送受信信号の感度が良好であると判断された場合には、制御部34は、アナログ放送用の映像信号及び音声信号を選択するように音声切替処理部22及び映像切替処理部24を制御する(S213)。
【0057】
次に、制御部34は、表示部50にアナログ放送が選択された旨の表示を行う(S214)。例えば図4に示した表示例において、401にアナログ放送による映像が表示され、402に「アナログ放送が選択されました。」等の第3メッセージが表示される。
【0058】
S212で、アナログ放送受信信号の感度が不良であると判断された場合には、制御部34は、いずれの方法も選択しない旨の表示を行う(S215)。例えば図4に示した表示例において、401には何も表示されず、402に「何れの放送も選択されませんでした。」等の第4メッセージが表示される。なお、この場合、401に、予め定められた静止画像等を表示し、アナログ放送の音声信号のみを出力するようにしても良い。
【0059】
上記のフローは、デジタルデータ受信装置10がTVモードにある限り、所定のタイミングで繰り返され、固定向け放送、携帯向け放送、及びアナログ放送が適宜切替られて、常に最適な映像が表示部50に表示される。
【0060】
図5に、表示部50に表示される他の表示例を示す。
【0061】
図5の表示例では、表示領域400内に、TV放送映像の表示領域501、固定向け放送選択ボタン502、携帯向け放送選択ボタン503、アナログ放送選択ボタン504、及び自動切替えボタン505が配置される。固定向け放送選択ボタン502が押された場合には固定向け放送が強制的に選択され、携帯向け放送選択ボタン503が押された場合には携帯向け放送が強制的に選択され、アナログ放送選択ボタン504が押された場合にはアナログ放送が強制的に選択されるように、制御部34によって制御がなされるように構成した。また、自動切替えボタン505が押された場合には、図2に示すフローに従って、自動的に放送の切替え制御が実行される。
【0062】
図6に、表示部50に表示される更に他の表示例を示す。
【0063】
図6の表示例では、表示領域400内に、固定向け放送表示領域601、携帯向け放送表示領域602、アナログ放送表示領域603、及び自動切替えボタン504が配置される。図6の例では、各領域601〜603には、各放送映像が同時並行的に表示されるものとする。また、自動切替えボタン505が押された場合には、図2に示すフローに従って、自動的に放送の切替え制御が実行され、選択された放送映像が、表示部50の表示領域全体に表示されるように構成した。なお、各領域601〜603の部分を押すと、押された領域に対応する放送映像が、表示部50の表示領域全体に表示されるように構成しても良い。
【0064】
図7に、表示部50に表示される更に他の表示例を示す。
【0065】
図7の表示例では、表示領域400内に、選択された放送映像を表示する領域701、選択されなかった放送映像を表示する第1の領域702及び第2の領域703を配置した。図7の例では、放送映像の切替えは図2のフローに従って自動的に実行され、選択された放送映像が領域701に表示され、選択されなかった他の2つの放送映像が領域702及び703に表示される。例えば、制御部34によって固定向け放送が選択された場合には、固定向け放送が領域701に表示され、携帯向け放送及びアナログ向け放送は領域702及び703にそれぞれ表示される。
【0066】
図2のフローでは、最初に受信エリア情報に基づいてどの放送を選択するかを判断し、次に選択された放送の受信状態を判断して、受信状態が良好であればその放送を選択するように制御した。しかしながら、受信状態を判断せずに、受信エリア情報のみに基づいて、放送の切換えを行うように制御することもできる。
【0067】
図2のフローにおいて、受信エリア情報に基づいて所定の放送を選択したにも拘らず、受信状態が不良であって、結果として他の放送を選択した場合には、制御部34は、受信エリア情報を書き換えることが好ましい。次回に同じ位置を自車両が走行した場合、より早く適切な放送を選択できるからである。また、逆に、固定向け放送及び携帯向け放送を受信するするためのエリアでないエリアにおいて、良好に放送を受信できる場合には、そのエリアを追加するように受信エリア情報を書き換えることが好ましい。
【0068】
図2のフローでは、図4のメッセージ表示領域402に各放送が選択されたことを表示するように制御した。しかしながら、受信エリアが変更になった事、例えば、「第1受信エリアから第2受信エリアに移行しました。」、「第2受信エリアから第1受信エリアに移行しました。」等のメッセージを表示するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るデジタルデータ受信機の概要を示すブロック図である。
【図2】放送切換処理フローの一例を示す図である。
【図3】受信エリア情報の一例を示す図である。
【図4】表示方法の一例を示す図である。
【図5】表示方法の他の例を示す図である。
【図6】表示方法のさらに他の例を示す図である。
【図7】表示方法のさらに他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
10 デジタルデータ受信機
14 OFDM復調処理部
16 TSデコード処理部
18 第1オーデイオデコーダ
19 第2オーデイオデコーダ
20 第1ビデオデコーダ
21 第2ビデオデコーダ
22 音声切換処理部
24 映像切換処理部
26 提示処理部
34 制御部
35 端末I/F回路
36 I/O
50 ディスプレイ
60 スピーカ
70 リモコン
80 ナビゲーション装置
90 アナログTV受信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルデータ受信機であって、
第1放送データから第1映像データを生成する第1映像データ生成部と、
第2放送データから第2映像データを生成する第2映像データ生成部と、
デジタルデータ受信機の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記第1放送データの受信に適した第1受信エリアに対応した第1受信エリア情報及び前記第2放送データの受信に適した第2受信エリアに対応した第2受信エリア情報が記憶された記憶部と、
前記現在位置情報、前記第1受信エリア情報及び前記第2受信エリア情報に基づいて、前記第1映像データと前記第2映像データとの切換えを行う映像切換部と、
を有することを特徴とするデジタルデータ受信機。
【請求項2】
前記第1放送データは固定向けデジタル放送データであり、前記第2放送データは携帯向けデジタル放送データであり、
前記映像切換部は、デジタルデータ受信機が前記第1受信エリア内に存在すると判断された場合には前記第1映像データを出力するように切換えを行い、デジタルデータ受信機が前記第1受信エリア内に存在せず且つ前記第2受信エリア内に存在すると判断された場合には前記第2映像データを出力するように切換えを行う、請求項1に記載のデジタルデータ受信機。
【請求項3】
前記第1放送データの受信感度に対応した第1放送データ受信感度信号及び前記第2放送データの受信感度に対応した第2放送データ受信感度信号を発生する感度信号発生部と、
前記現在位置情報、前記第1受信エリア情報、前記第2受信エリア情報、前記第1放送データ受信感度信号及び前記第2放送データ受信感度信号に基づいて、前記第1受信エリア情報及び前記第2受信エリア情報の修正を行うためのエリア情報修正部と、をさらに有する請求項2に記載のデジタルデータ受信機。
【請求項4】
前記現在位置情報、前記第1受信エリア情報及び前記第2受信エリア情報に基づいて、デジタルデータ受信機が、前記第1受信エリアから前記第2受信エリアに移動したこと又は前記第2受信エリアから前記第1受信エリアに移動したことを通知するエリア変更通知信号を発生するエリア変更通知信号発生部を、さらに有する請求項1〜3の何れか一項に記載のデジタルデータ受信機。
【請求項5】
前記第1映像データと前記第2映像データ間で前記映像切換部による切換えが行われたことを通知する映像データ切換通知信号を発生する映像データ切換通知信号発生部を、さらに有する請求項1〜4の何れか一項に記載のデジタルデータ受信機。
【請求項6】
デジタルデータ受信機であって、
第1放送データから第1映像データを生成する第1映像データ生成部と、
第2放送データから第2映像データを生成する第2映像データ生成部と、
アナログ放送映像信号を取得するアナログ放送映像信号取得部と、
デジタルデータ受信機が位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記第1放送データの受信に適した第1受信エリアに対応した第1受信エリア情報及び前記第2放送データの受信に適した第2受信エリアに対応した第2受信エリア情報が記憶された記憶部と、
前記現在位置情報、前記第1受信エリア情報及び前記第2受信エリア情報に基づいて、前記第1映像データ、前記第2映像データ及び前記アナログ放送映像信号の切換えを行う映像切換部と、を有することを特徴とするデジタルデータ受信機。
【請求項7】
前記第1放送データは固定向けデジタル放送データであり、前記第2放送データは携帯向けデジタル放送データであり、
前記映像切換部は、デジタルデータ受信機が前記第1受信エリア内に存在すると判断された場合には前記第1映像データを出力するように切換えを行い、デジタルデータ受信機が前記第1受信エリア内に存在せず且つ前記第2受信エリア内に存在すると判断された場合には前記第2映像データを出力するように切換えを行い、デジタルデータ受信機が前記第1受信エリア内に存在せず且つ前記第2受信エリア内に存在しないと判断された場合には前記アナログ放送映像信号を出力するように切換えを行う、請求項6に記載のデジタルデータ受信機。
【請求項8】
前記第1放送データの受信感度に対応した第1放送データ受信感度信号及び前記第2放送データの受信感度に対応した第2放送データ受信感度信号を発生する感度信号発生部と、
前記現在位置情報、前記第1受信エリア情報、前記第2受信エリア情報、前記第1放送データ受信感度信号及び前記第2放送データ受信感度信号に基づいて、前記第1受信エリア情報及び前記第2受信エリア情報の修正を行うためのエリア情報修正部と、をさらに有する請求項7に記載のデジタルデータ受信機。
【請求項9】
前記現在位置情報、前記第1受信エリア情報及び前記第2受信エリア情報に基づいて、デジタルデータ受信機が、前記第1受信エリアから前記第2受信エリアに移動したこと、前記第2受信エリアから前記第1受信エリアに移動したこと、又は前記第1及び第2受信エリア外に移動したことを通知するエリア変更通知信号を発生するエリア変更通知信号発生部を、さらに有する請求項6〜8の何れか一項に記載のデジタルデータ受信機。
【請求項10】
前記第1映像データ、前記第2映像データ及び前記アナログ放送映像信号間で前記映像切換部による切換えが行われたことを通知する映像データ切換通知信号を発生する映像データ切換通知信号発生部を、さらに有する請求項6〜9の何れか一項に記載のデジタルデータ受信機。
【請求項11】
デジタルデータ受信機であって、
第1放送データから第1映像データを生成する第1映像データ生成部と、
第2放送データから第2映像データを生成する第2映像データ生成部と、
アナログ放送映像信号を取得するアナログ放送映像信号取得部と、
前記第1映像データ、前記第2映像データ及び前記アナログ放送映像信号の切換えを行う映像切換部と、
前記第1映像データ、前記第2映像データ又は前記アナログ放送映像信号に基づく映像を表示させるための表示制御部と、
を有することを特徴とするデジタルデータ受信機。
【請求項12】
前記表示制御部は、1つの画面に、前記第1映像データ基づく第1映像、前記第2映像データ基づく第2映像及び前記アナログ放送映像信号に基づく第3映像を表示させる、請求項11に記載のデジタルデータ受信機。
【請求項13】
前記第1映像データ基づく第1映像、前記第2映像データ基づく第2映像及びアナログ放送映像信号に基づく第3映像のいずれか1つを選択するための選択部、をさらに有する請求項11に記載のデジタルデータ受信機。
【請求項14】
前記表示制御部は、前記選択部で選択された映像を表示するように制御する、請求項13に記載のデジタルデータ受信機。
【請求項15】
前記表示制御部は、前記選択部で選択された映像を、他の選択されなかった映像と比較して大きく表示するように制御する、請求項13に記載のデジタルデータ受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−173777(P2006−173777A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360252(P2004−360252)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】