説明

デジタル放送システムとこのシステムに用いられる送信系装置、緊急放送処理装置、データサーバ及び受信機

【課題】災害情報、防災情報等の緊急情報を的確にかつ迅速に通知可能とする。
【解決手段】緊急放送の要請指示があった場合には、緊急放送処理装置117が応答し、先に述べた開始/終了フラグ、伝送・信号種別、緊急情報の内容をACキャリア等に配置して緊急放送TSを作成し、TSエンコーダ112で圧縮符号化して再多重装置113に送り、通常放送TSと多重する。このようにして、緊急放送の要請があった場合でも、自動的にその要請に対応し、また通常放送TSも合わせて送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば地上デジタル放送において、災害情報や防災情報等の緊急情報を的確にかつ迅速に放送するデジタル放送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、普及が進められている地上デジタル放送にあっては、緊急警報放送を行う場合は、第1種開始(地震警戒)と第2種開始(津波警戒)のみが規定されている(例えば非特許文献1参照)。これは、従来の地上アナログ放送において、第1種開始(地震警戒)と第2種開始(津波警戒)が規定されていたものを引き継いだからである。
【0003】
ところで、放送の分野では、その技術の進歩により、緊急地震速報等が実用化を目指しているが、これらの新しい情報、および、従来は別の手段で伝送されていた自治体の地域防災無線、および、これからの実用化が目指されている閉空間における緊急放送に未だ対応できていないのが現状である。
【非特許文献1】http://www.geocities.co.jp/Technopolis/1549/kinkei.thm#jissi「緊急警報放送(EWS)とは?」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上述べたように、デジタル放送システムは、緊急情報の的確かつ迅速な通知手段として期待されているが、未だ十分な対応を行うことができない状況にある。
【0005】
本発明は上記の課題を解決すべく、災害情報、防災情報等の緊急情報を的確にかつ迅速に通知可能とするデジタル放送システムとその送信系装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明は、デジタル放送信号の標準方式として、緊急情報記述子の開始/終了フラグビット及び伝送・信号種別ビットそれぞれの値により予め決められた種別の緊急情報の提示開始を指示することが規定されたデジタル放送システムにおいて、前記デジタル放送信号に前記緊急情報の関連情報を含め、前記緊急情報の提示開始の指示を、前記緊急情報の関連情報の提示開始に用いることを特徴とする。
【0007】
特に、前記緊急情報記述子の開始/終了フラグビットが1、伝送・信号種別ビットが0を伝送する場合は、前記緊急情報として無線局運用規則に規定する第1種開始信号の提示開始を指示すると規定されているとき、前記関連情報として地震関連情報、または地震関連情報及びその他の緊急情報を含めることを特徴とする。
【0008】
また、前記緊急情報記述子の開始/終了フラグビットが1、伝送・信号種別ビットが1を伝送する場合は、前記緊急情報として無線局運用規則に規定する第2種開始信号の提示開始を指示すると規定されているとき、前記関連情報として津波関連情報、または津波関連情報及びその他の緊急情報を含めることを特徴とする。
【0009】
また、前記デジタル放送信号に前記その他の緊急情報を含め、前記緊急情報記述子の開始/終了フラグビットが0、伝送・信号種別ビットが1を伝送する場合は、前記その他の緊急情報の提示開始を指示するものとすることを特徴とする。
【0010】
また、前記その他の緊急情報とは、災害情報、防災情報、地域情報、伝言情報のいずれかであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るデジタル放送システムに用いられる送信系装置は、前記デジタル放送信号は地上デジタル放送信号である場合に、前記信号種別ビットを特定のAC(Auxiliary Channel)キャリアにマッピングすることを特徴とする。
【0012】
また、前記開始/終了フラグビットをTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号にマッピングすることを特徴とする。
【0013】
また、前記緊急放送記述子の内容を特定のAC(Auxiliary Channel)キャリアにマッピングすることを特徴とする。
【0014】
また、前記デジタル放送信号は地上波デジタル放送信号であり、前記緊急情報をTS(Transport Stream)及びOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)信号のACキャリアのいずれかにマッピングすることを特徴とする。
【0015】
また、前記ACキャリアへのマッピングは、速報性が要求される場合は周波数方向にマッピングし、移動体向け重視の緊急情報の場合は時間軸方向にマッピングすることを特徴とする。
【0016】
また、前記開始/終了フラグビット、伝送・信号種別フラグビットによる前記緊急情報の起動開始処理をその緊急情報の送信要請で指定される地域向けの放送信号のみに対応させることを特徴とする。
【0017】
さらに、上記デジタル放送システムにあっては、それぞれ管理区域内の異常発生を監視する複数の監視センタと、前記複数の監視センタのいずれかから送出され、特定の項目に沿って指示される緊急放送要請情報を取り込み、複数の放送局の中から前記要請情報の項目内容に基づいて放送局と放送チャンネルを決定してその放送局に緊急放送要請情報を通知する緊急放送処理装置と、前記複数の放送局それぞれに設けられ、前記緊急放送要請情報に基づいて前記開始/終了フラグビット、伝送・信号種別フラグビット、緊急情報を生成して通常放送信号に乗せる処理を行う緊急情報処理手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0018】
また、前記緊急情報処理装置、前記複数の放送局それぞれの緊急情報処理手段でそれぞれ処理された結果を蓄積する1つ以上のデータサーバを備えることを特徴とする。
【0019】
また、複数のデータサーバを用いる場合には互いに異なる地点に配備することを特徴とする。
【0020】
また、上記デジタル放送システムに用いられる受信機は、前記デジタル放送信号を受信して前記緊急情報の提示開始の指示を受けて自動起動し、前記緊急情報の関連情報の提示を開始することを特徴とする。
【0021】
また、上記受信機において、前記デジタル放送信号が地上デジタル放送信号であり、信号種別ビットが特定のAC(Auxiliary Channel)キャリアにマッピングされているとき、常時、前記ACキャリアを復調して前記信号種別ビットの内容に基づいてチャンネル変更を決定することを特徴とする。
【0022】
また、上記受信機において、前記デジタル放送信号が地上デジタル放送信号であり、開始/終了フラグビットがTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)領域に挿入されているとき、常時、前記TMCC領域内の開始/終了フラグビットを監視して、この開始/終了フラグが検出されたとき、その検出結果に応じて電源のオン・オフを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、災害情報、防災情報等の緊急情報を的確にかつ迅速に通知可能とするデジタル放送システムとその送信系装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0025】
本実施形態では、本発明を地上デジタル放送システムに適用するものとし、緊急警報信号として、以下のように規定する。
【0026】
(1)標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式(総務省告示)緊急情報記述子の構成において、開始/終了フラグは1を伝送・信号種別は0を伝送する場合は、無線局運用規則に規定する第1種開始信号および地震関連情報の開始信号と規定する。
【0027】
(2)標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式(総務省告示)緊急情報記述子の構成において、開始/終了フラグは1を伝送・信号種別は0を伝送する場合は、無線局運用規則に規定する第1種開始信号および地震関連情報の開始信号およびその他緊急放送の開始信号と規定する。
【0028】
(3)標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式(総務省告示)緊急情報記述子の構成において、開始/終了フラグは1を伝送・信号種別は1を伝送する場合は、無線局運用規則に規定する第2種開始信号および津波関連情報の開始信号と規定する。
【0029】
(4)標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式(総務省告示)緊急情報記述子の構成において、開始/終了フラグは1を伝送・信号種別は1を伝送する場合は、無線局運用規則に規定する第2種開始信号および津波関連情報の開始信号およびその他緊急放送の開始信号と規定する。
【0030】
(5)緊急情報記述子の構成において、開始/終了フラグは0を伝送・信号種別は1を伝送する場合は、無線局運用規則に規定する第1種開始信号および第2種開始信号を除くその他緊急放送の開始信号と規定する。
【0031】
(6)その他緊急放送とは、緊急地震速報・緊急津波速報・洪水・火災・暴動・テロ・侵略など防災上必要な情報および、自治体・公的機関・交通機関・公共機関などの地域防災情報をいう。
【0032】
本発明において、各種情報の伝送には、以下の手法を採用する。
【0033】
(7)規定(1),(2),(3),(4)、(5)の信号種別を特定のACキャリアに乗せる。
【0034】
(8)受信機において、規定(1),(2),(3),(4)、(5)は、TMCC復調もしくはOFDMの時間軸信号の相関をとることにより開始/終了フラグを検出し、特定のACキャリア復調もしくはOFDMの時間軸信号の相関をとることにより信号種別を検出する。尚、現状の緊急警報情報では、開始/終了フラグはTMCCに乗せてあるが、信号種別はTMCCに乗せていない。
【0035】
(9)緊急放送記述子の内容を特定のACキャリアに乗せる。
【0036】
(10)緊急放送をTSおよび、OFDMのACキャリアに乗せる。
【0037】
(11)手法(7)〜(10)において、ACキャリアへのマッピングを周波数軸方向に行う。この場合は、放送の速報性が得られる。また、移動体向けの情報の場合には、ACキャリアへのマッピングを時間軸方向に行う。この場合は、移動体での受信を可能とする1セグメントによる部分放送(いわゆる1セグ放送)に有利である。
【0038】
(12)上記規定(1)〜(5)のいずれかと、手法(7)〜(11)とを組み合わせることで、様々な緊急情報を必要な人に向けて高速で伝達しつつ、緊急情報が不必要な人に通常放送を提供する。
【0039】
(13)(6)に述べた、その他緊急放送は、国・自治体・公的機関・交通機関・公共機関が放送局にその他緊急放送を要請することにより送出されるものとする。
【0040】
(14)(13)に述べた、放送局にその他緊急放送を要請する装置は、1つ以上のセンサを持ち、0もしくは1つ以上の入力手段を持つ。放送局にその他緊急放送を伝達する装置は、有線電話、光通信、携帯端末、衛星電話、等である。要請する内容は、音声による依頼のほか、緊急放送の依頼者・緊急放送を必要とする地域・緊急放送の内容・対処方法を依頼する。
【0041】
以下、具体例をあげて説明する。
【0042】
まず、第1種開始(地震警戒)と第2種開始(津波警戒)以外の緊急放送をその他緊急放送として規定する。規定に従ってOFDM変調を行い、送出する。
【0043】
規定(1)、(2)、(3)、(4)の一部分は従来の方法なので緊急起動するが、誤り訂正、時間デインターリーブ、TSデコードの出力として緊急放送を送出するため、放送局における緊急放送起動の発信後、受信機が第1種開始(地震警戒)と第2種開始(津波警戒)を識別し、地域符号を検出して、情報を伝達するまでに時間がかかっていた。また、規定(1)、(2)、(3)、(4)、(5)は誤り訂正、時間デインターリーブ、TSデコードの出力として緊急放送を送出するため、放送局における緊急放送起動の発信後、受信機が起動するまでに時間がかかる。たとえば、緊急地震速報は秒単位の速報性が要求される。これらのニーズを満たすには、OFDM復調前もしくはOFDM復調直後に検出した信号にて、受信機を起動し、緊急情報を伝達する必要がある。そのためには、手法(11)で述べているようにする必要がある。
【0044】
(12)を実施例として述べる。
【0045】
(5)で規定する、緊急情報記述子の構成において、開始/終了フラグは0を伝送・信号種別は1を伝送するものとし、無線局運用規則に規定する第1種開始信号および第2種開始信号を除くその他緊急放送にて、(6)で規定する緊急地震速報を伝送するものとする。例えば、緊急地震速報は緊急情報記述子における、未定義領域に記述する。開始/終了フラグと信号種別、地域符号も緊急情報記述子に記述する。手法(9)に従って、緊急情報記述子を特定のACキャリアにマッピングする。手法(11)に従って、マッピングは時間軸方向に行う。また、手法(10)に従って、緊急放送の音声は特定のACキャリアの時間軸方向に、緊急放送の画像はTSに多重することにより行う。
【0046】
受信装置は、受信位置を把握する手段として、固定受信の場合は住所情報によるプリセットもしくはGPSを用い、移動受信の場合はGPSを用いて位置を把握する。また、受信したOFDM信号をOFDM復調し、特定のACキャリアから緊急情報記述子を抽出する。この抽出は常に行う。その結果、無線局運用規則に規定する第1種開始信号及び第2種開始信号を除くその他緊急放送にて、地域符号を得て受信位置における緊急放送か否かを判断し、受信地点における緊急放送である場合(この緊急放送であることの抽出を常に行ってもよい)に、受信装置がOFFのときは受信装置をONにする。
【0047】
この結果、受信装置側は、OFDM復調するだけで、緊急地震速報を速やかに伝達することが可能となる。さらに、特定のACキャリアにて伝送している音声を受信者に速やかに受信者に伝達することが可能となる。さらに、時間デインターリーブ・誤り訂正・TSデコードの処理を行って、特定のTSにて伝送している地震情報を画面上に表示して、受信者に伝達する。
【0048】
尚、規定(1)および(2)の地震関連情報とは、例えば、緊急地震速報をいう。OFDM復調後のTS、例えば、PMT・NITの緊急情報記述子の未定義領域を用いて、緊急地震速報であることを通知する。
【0049】
規定(3)および(4)の津波関連情報とは、例えば、緊急津波速報をいう。OFDM復調後の(TS)、例えば、PMT・NITの緊急情報記述子の未定義領域を用いて、緊急地震速報であることを通知する。
【0050】
規定(6)のその他緊急放送とは、例えば、火山噴火情報をいう。OFDM復調後のTS、例えば、PMT・NITの緊急情報記述子の未定義領域を用いて、火山噴火情報であることを通知する。
【0051】
手順(9)において、緊急放送記述子は、例えば、地上デジタルテレビジョン放送の部分受信可能な0セグメントのACキャリアに、時間軸方向にマッピングする。このことにより、TSまで戻さずに、緊急放送記述子の内容が得られ、起動の必要な受信装置のみを速やかに起動させることができる。
【0052】
その他緊急放送をSFN中継装置にてローカルに割り込ませた場合は、フレーム同期の一致、シンボル同期の一致、FFTクロックの一致、キャリア位相の一致をとる必要がある。この一致をとる方法は存在するが、SFNの要求条件であるOFDM波形の一致は実現できない。これらの一致を取れない場合は、SFN局同士の等電界地域近傍で、劣化もしくは受信不能な状態になる。そこで、手法(13)のように、その他緊急放送を放送局から乗せることにより、SFN局同士の等電界地域近傍で放送に影響を与えることなく、実施できる。
【0053】
図1は、緊急情報を放送する地上デジタル放送システムの一例を示す概念図である。図1において、11は地上デジタル放送の放送局であり、この放送局11で生成される放送信号は送信所12に送られ、所定の地域に向けて送出される。この送出電波はSFN中継装置13により中継され、予め決められた領域に向けて再送される。
【0054】
一方、例えば閉所(ここではトンネルとする)用放送システムでは、トンネル外に設置される受信アンテナ14によって上記送信所12または中継装置13から送出される放送信号を受信する。この受信信号はヘッドエンド設備15に送られてデジタル放送信号のデコード処理を受けた後、分配器16にて、例えば上り車線、下り車線に設置される複数系統の送信アンテナ171〜174に分配され、トンネル内の車両搭載受信装置に向けて伝送される。尚、各送信アンテナ系統の端部には終端抵抗181,182が接続され、トンネル外部に送信波が漏れないようになされている。
【0055】
上記トンネル内には、監視モニタまたは火災報知器等のセンサ191〜193が配備されており、これらは監視センタ20にて管理されている。監視センタ20には、放送局20に緊急放送を要請する端末装置(図示せず)が配備されており、センサ191〜193のいずれかに異常が発生しこれを検知した場合には、直ちに放送局11へ緊急情報の放送を要請することができる。尚、上記緊急放送要請用の端末装置には、不法行為を排除するためのセキュリティ対策を講じておくことが肝要である。
【0056】
ところで、放送局11、監視センタ20はいずれも複数存在する。図2に、複数の監視センタ20と複数の放送局11との間で緊急情報の放送要請を行う場合のネットワークシステム構成を示し、図3に放送局11において、緊急情報放送を実現するための具体的な構成を示す。
【0057】
図2において、複数の監視センタ(図ではA,B,Cの3つ)20、複数の放送局(図ではA,B,Cの3つ)11はそれぞれIPネットワークに接続され、互いにIPネットワーク(専用線でもよい)を通じて任意に通信可能となされている。このIPネットワークには、各監視センタ20から送出される緊急放送を要請する情報(以下、緊急放送情報(1))をその内容によっていずれの放送局11に放送させるかを指定する緊急情報処理装置21と、緊急放送の要請内容を蓄積して、必要に応じてその情報を提供するデータサーバ22が接続されている。緊急放送情報(1)としては、予め、要請内容の項目として、「いつ」(時間)、「どこで」(トンネル等)、「何が(火災等)発生したのか、もしくは何の発生が予想されるのか」、「誰が」(トンネル管理者等)、「どこの」(トンネル内とその近傍等)、「誰に」(車等)等の項目を決めておくことで、情報を正確に、漏れなく伝達することができる。
【0058】
具体的には、上記緊急放送処理装置21は、1つ以上存在し、IPネットワークを通じて送られてくる緊急放送情報(1)を受信して、情報の内容を読み、どこの放送局のどのチャンネルを用いて緊急放送することが適しているかを判断し、対象の放送局に向けて緊急放送情報(2)((1)の情報に放送局の指定、チャンネル指定の情報が含まれる)を送出する。この情報(2)はIPネットワークを通じて送出されるが、専用線で伝送するようにしてもよい。
【0059】
放送局11は、図3に示すように、内部に緊急放送用の放送局内処理装置117を備える。この装置117は、IPネットワーク(あるいは専用線)などで送られてくる緊急放送情報(2)を受信して、放送として緊急放送を送出する。送出した情報の内容(緊急放送情報(2)の内容に、いつ、緊急放送をしたのかを示す情報を付加した内容)を緊急放送情報(3)としてIPネットワーク(あるいは専用線)を通じてデータサーバ22等に送出する。
【0060】
上記データサーバ22は、1以上存在し、専用線またはIPネットワークから送られてくる緊急放送情報(1),(2),(3)を受信して、情報の内容を保存し、必要に応じてバックアップ、削除を行う。
【0061】
上記放送局11から送出される放送波を受信する受信器30は、図1においては自動車に搭載される。受信器30がオフの場合は、緊急放送の受信時に起動する。受信器30がオンで緊急放送とは異なるチャンネルを受信しているときは、緊急放送のチャンネルに自動的に変更する。
【0062】
図3は、緊急放送対応の放送局11に設置される送信系装置の概略構成を示すブロック図である。図3において、地上デジタル放送の通常放送用ISDB−T_TS(1)は、多重装置113に送られ、ここでISDB−T_TS信号となってOFDM変調器114に送られてOFDM変調された後、送出装置115により電力増幅され、送信アンテナ116から地上デジタル放送波として送出される。
【0063】
上記構成において、緊急放送の要請指示があり、緊急放送情報(2)が与えられた場合、緊急放送用として新設される放送局内処理装置117がこれを受けて、与えられた情報のうち、音声・映像をエンコーダ112に送り、データ(要請内容項目であげられた情報及び開始/終了フラグ、伝送信号種別)を多重装置113に送る。エンコーダ112に送られた音声・映像は圧縮符号化されてISDB−Tに沿ったTSに変換され多重装置113にて通常放送用ISDB-T_TSのダミーバイト部分、または無効階層TSに多重される。被多重情報(この情報はISDB-T_informationと呼ばれる)をダミーバイト部分に多重する例を図4に示す。図4は、インターフェース信号形式が204バイトの多重フレーム構造を有する放送TS形式を示している。この放送TS構造に対するISDB-T_informationの多重位置は、188バイトの情報部分以外の8バイトであり、この8バイト(0〜7の番号を振る)のうちの、4,5,6,7にMSB詰めでAC_dataとして多重される。そこで、この領域に緊急放送の情報(上記の例では音声・映像)を多重する。
【0064】
また、上記構成において、OFDM変調器114は、AC_dataがダミーバイト部分に多重されたISDB-T_TSからAC領域のデータを抽出し、ACキャリアにマッピングする。そのマッピング方法は、図5に示す手順に従って行われる。すなわち、多重方法においては、マッピング後に開始/終了フラグと伝送信号種別とを含む緊急放送情報のデータが、図5に示すセグメント番号0のACキャリアへマッピングされるように多重する。また、緊急放送情報の音声・映像は、セグメント番号0を除くセグメントへ多重する。
【0065】
以上のように、放送局11において、緊急放送情報があった場合には、緊急放送処理装置117が応答し、先に述べた開始/終了フラグ、伝送・信号種別、緊急情報の内容を作成する。そして、TSエンコーダ112で圧縮符号化して緊急放送用のISDB-T_TSを作成して多重装置113に送り、通常放送のISDB-T_TSと多重する。このようにして、緊急放送の要請があった場合でも、自動的にその要請に対応することができ、また通常放送TSも合わせて送信することが可能となる。
【0066】
さらに、緊急放送処理装置117で処理された結果を蓄積する1つ以上のデータサーバ22を備え、複数のデータサーバを用いる場合には互いに異なる地点に配備しておくと、災害発生時の予備系として機能させることができる。尚、これらのデータサーバには当然何らかのセキュリティが必要であり、テロ等による不法行為から防御する必要がある。
【0067】
図6は、上記放送局から送出される緊急放送情報が多重された地上デジタル放送信号を受信再生する受信機の具体的な構成を示すブロック図である。図6において、アンテナ31で受けた地上デジタル放送信号はダウンコンバータ(D/C)32でベースバンドOFDM信号に変換され、FFT(高速フーリエ変換)復調器33のFFT処理によってISDB-T_TSが復調される。このISDB-T_TSは、SP等化回路34、デインターリーブ処理回路35、誤り訂正回路36を経て元の放送TSに戻され、デコーダ37によって映像信号と音声信号に変換され、それぞれ表示器38及びスピーカ39によって提示される。
【0068】
一方、FFT復調器33から出力されるISDB-T_TSはTMCC復調・検出器3A及びAC復調・検出器3Bにも送られる。TMCC復調・検出器3Aは、ISDB-T_TSのTMCC領域からTMCC情報を抽出し、このTMCC情報中の開始/終了フラグを検出して緊急放送受信機内処理装置3Cに通知する。一方、AC復調・検出器3Bは、ISDB-T_TSのACキャリアを復調して映像・音声データを検出し、上記処理装置3Cに送る。
【0069】
上記緊急放送受信機内処理装置3Cは、開始/終了フラグの通知があったとき、電源制御回路3Dに対して電源のオン・オフを指示する。また、電源オンの状態でAC領域の音声・映像データが送られてきたとき、これらのデータをACデコーダ3Eに送って音声・映像信号に変換する。これらの音声・映像信号は、スピーカ39、表示器38によって適宜提示される。
【0070】
ここで、上記電源制御回路3Dは、SP等化回路34、デインターリーブ処理回路35、誤り訂正回路36、デコーダ37、表示器38及びスピーカ39、ACデコーダ3Eの電源供給が管理しており、主電源オフの状態では電源を供給しないようにして省電力化を図り、信号受信部の回路には電源を供給して緊急放送の待機状態とする。
【0071】
上記構成において、緊急放送受信機内処理装置3Cは、AC復調・検出器3Bから出力されるACキャリアの情報データとTMCC復調・検出器3Aで得られるTMCC情報に記述されている開始・終了フラグとを入力し、情報データ(いつ、どこで、〜、誰に、開始・終了フラグ、伝送信号種別)を用いて、受信機を起動させる必要があるか否かを決定する。必要に応じて、GPS等にて受信機の位置情報を取得する。開始フラグが通知されて受信機を起動する必要がある場合、主電源をオンに制御によりSP等化回路34、デインターリーブ処理回路35、誤り訂正回路36、デコーダ37、表示器38及びスピーカ39、ACデコーダ3Eに電源を供給してそれぞれの処理動作を開始させ、AC復調後の緊急情報データ、ACデコーダ3Eで得られる緊急放送の映像・音声信号を表示器38及びスピーカ39によって提示する。
【0072】
以上の構成による受信機では、電源オフの状態であっても、緊急放送があったときに自動的に立ち上がり、緊急放送を提示することが可能となる。この発展型として、主電源オフの状態では、34〜39,3Eに電源を供給せず、その他の機能ブロックは1セグメントのみの復調を行うことで待機時の消費電力を削減し、34〜39,3Eに電源を供給するときに他の機能ブロックは13セグメントの動作を行わせることにより、緊急放送時の起動と待機時の消費電力削減を両立することができる。
【0073】
ところで、受信機において、電源オン状態であるチャンネルを受信しているとき、または受信機がオフ状態で待機状態にあるとき、他のチャンネルで緊急放送がなされた場合がある。このような場合に、確実に緊急放送を受信再生可能な受信機の構成を図7に示す。
【0074】
図7において、アンテナ41で受けた地上デジタル放送信号は、第1の受信系R1において、ダウンコンバータ(D/C)42−1に供給され、周波数制御器43−1及び発振器44−1により、ユーザ選択の受信チャンネル(以下、指定チャンネル)に合わせられてベースバンドOFDM信号が選局される。このOFDM信号は、FFT復調器45−1で復調されてISDB-T_TSとなり、SP等化回路46、デインターリーブ処理回路47、誤り訂正回路48、デコーダ49、表示器4A及びスピーカ4Bによって、13セグメントの動作で再生処理される。また、FFT復調器45−1で得られたISDB-T_TSは、AC復調器4C及びACデコーダ4Dにも送られ、13セグメントの動作でACキャリアに乗せられた緊急情報が復調再生され、表示器4A及びスピーカ4Bから出力される。
【0075】
一方、アンテナ41で受けた地上デジタル放送信号は、第2の受信系R2において、ダウンコンバータ(D/C)42−2に供給され、周波数制御器43−2及び発振器44−2により、巡回的に各受信チャンネル(以下、自動切替チャンネル)に合わせられてベースバンドOFDM信号が選局される。このOFDM信号は、FFT復調器45−2で復調されてISDB-T_TSとなる。復調されたISDB-T_TSはTMCC復調・検出器4E及びAC復調・検出器4Fに供給される。
【0076】
TMCC復調・検出器4Eは、ISDB-T_TSのTMCC領域からTMCC情報を抽出し、このTMCC情報中の開始/終了フラグを検出して緊急放送受信機内処理装置4Hに通知する。一方、AC復調・検出器4Fは、ISDB-T_TSのACキャリアを復調して伝送信号種別データを検出し、上記処理装置4Hに送る。この緊急放送受信機内処理装置4Hは、開始/終了フラグと伝送信号種別データから受信機を起動あるいはチャンネル変更する必要があるか否かを決定する。必要に応じてGPS等により受信機の位置情報を取得し、適宜利用する。起動する必要のある場合には、電源制御を介して第1の受信系R1を起動し、緊急放送がある場合には、AC復調器4C及びACデコーダ4Dも起動する。尚、第2の受信系は13セグメントの動作でもよいが、1セグメントのみ対応するようにすることで省電力化を実現できる。
【0077】
上記構成において、指定チャンネルの周波数制御は、通常の放送を受信するものとする。その周波数は、受信機のリモートコントローラあるいは表示器パネル面のタッチ操作によって設定されるもので、受信機がオンであるチャンネルを受信しているとき、また受信機がオフで待機状態にあるとき、他のチャンネルで緊急放送がなされたときに制御される。
【0078】
上記構成によれば、受信機において、電源オン状態であるチャンネルを受信しているとき、または受信機がオフ状態で待機状態にあるとき、他のチャンネルで緊急放送がなされた場合であっても、自動的に緊急放送を受信して再生することができる。
【0079】
尚、図7に示す構成において、実際には、周波数制御器43−1の周波数制御に対してFFT復調器45−2、TMCC復調・検出器4E、AC復調・検出器4Fの同期を図る必要がある。図7では、同期制御回路4Gによって同期処理が行われる。
【0080】
図8は、上記同期制御回路4Gの具体的な同期処理構成を示すブロック図、図9は図8に示すフレーム同期の処理の概要を示す図である。ここでは、受信周波数設定で設定されるチャンネル周波数の数を8とする。
【0081】
図8において、D/C42−2の出力は、シンボル同期検出(ガード相関)が施された後、スイッチSW11,SW12によってチャンネル変更(全8チャンネル)を受けつつ各チャンネルでシンボル同期再生が行われる。また、FFT復調器45−2の出力は、クロック同期検出が施された後、スイッチSW21,SW22によってチャンネル変更(全8チャンネル)を受けつつ各チャンネルでクロック同期再生が行われる。また、D/C42−2の出力は、キャリア同期検出が施された後、スイッチSW31,SW32によってチャンネル変更(全8チャンネル)を受けつつ各チャンネルでキャリア同期再生が行われる。また、TMCC復調出力は、フレーム同期検出が施された後、スイッチSW41,SW42によってチャンネル変更(全8チャンネル)を受けつつ各チャンネルでキャリア同期再生が行われる。上記シンボル、クロック、キャリア、フレームそれぞれの同期再生は、各チャンネルのフレーム同期再生出力に基づいて、図9に示すタイミングで行われる。
【0082】
すなわち、上記構成による同期制御回路4Gでは、各フレーム同期検出より、開始/終了フラグのTMCC情報、伝送信号種別のシンボル番号の切替タイミングをシンボル同期再生結果にて決定し、シンボルのフレーム周期にてスイッチSW11,SW12〜SW41,SW42を制御すると共に周波数制御部43−2へ出力する。
【0083】
第2受信系の受信周波数の設定は、全チャンネル周波数の集合であり、この周波数を順次切り替えていく。
【0084】
以上は、ARIB STD-B31の標準であるTMCC情報内(開始フラグ/終了フラグ:ARIB STD-B10)の緊急警報放送用フラグ(0:起動制御なし、1:起動制御あり)を基準に検討し、伝送信号種別(信号種別:ARIB STD-B10)をACに乗せることを提案している。ARIB STD-B31を改訂すれば、ACによる伝送信号種別の伝送は不要となる。改訂する例を以下に示す。
【0085】
まず、TMCCで、従来、セグメント形式に用いられているB17〜B19は、[000]のときは同期セグメント、[001]〜[110]のときは禁止(定義無し)、[111]のときは差動セグメントを示しているが、ここでは、B17〜B19において、[000]のときは同期セグメント、[001]〜[110]のときはいずれか一つを伝送信号種別に割り当てて、[111]のときは差動セグメントとして利用する。
【0086】
また、従来、B110〜B121はリザーブであるが、ARIB STD-B10で緊急情報記述子のarea-code(地域符号)の12bitを割り当てることにより、どの地域に向けた緊急放送であるかを速やかに伝達し、速やかに起動することが可能となる。
【0087】
但し、この方法では、言うまでもなく、従来の標準に乗っ取った受信機では起動することができないが、この変更による影響は最低限に留めることができる。
【0088】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明に係るデジタル放送システムの一実施形態を示す概略構成図。
【図2】図1に示すシステムにおいて、複数の監視センタと複数の放送局との間で緊急情報の放送要請を行う場合のネットワークシステム構成を示すブロック図。
【図3】図2に示す緊急放送対応の放送局に設置される送信系装置の概略構成を示すブロック図。
【図4】図3に示す送信系装置において、ISDB-T_informationをダミーバイト部分に多重する例を示す図。
【図5】図3に示す送信系装置において、OFDM変調器によってACデータがダミーバイト部分に多重されたISDB-T_TSからAC領域のデータを抽出し、ACキャリアにマッピングする方法を説明するための図。
【図6】図3に示す放送局から送出される緊急放送情報が多重された地上デジタル放送信号を受信再生する受信機の具体的な構成を示すブロック図。
【図7】図3に示す放送局から送出される緊急放送情報が多重された地上デジタル放送信号を受信再生する受信機の他の具体的な構成を示すブロック図。
【図8】図7に示す受信機に用いられる同期制御回路の具体的な同期処理構成を示すブロック図。
【図9】図8に示すフレーム同期の処理の概要を示す図。
【符号の説明】
【0090】
11…放送局、112…エンコーダ、113…多重装置、114…OFDM変調器、115…送出装置、116…送信アンテナ、117…緊急放送放送局内処理装置、12…送信所、13…中継装置、14…地上波デジタル放送受信アンテナ、15…ヘッドエンド設備、16…分配器、171〜174…送信アンテナ、181,182…終端抵抗、191〜193…監視モニタ(または火災報知器等のセンサ)、20…監視センタ、
31…アンテナ、32…D/C、33…FFT復調器、34…SP等化回路、35…デインターリーブ処理回路、36…誤り訂正回路、37…デコーダ、38…表示器、39…スピーカ、3A…TMCC復調・検出器、3B…AC復調・検出器、3C…緊急放送受信機内処理装置、3D…電源制御回路、3E…ACデコーダ、
41…アンテナ、42−1,42−2…D/C、43−1,43−2…周波数制御器、44−1,44−2…発振器、45−1,45−2…FFT復調器、46…SP等化回路、47…デインターリーブ処理回路、48…誤り訂正回路、49…デコーダ、4A…表示器、4B…スピーカ、4C…AC復調器、4D…ACデコーダ、4E…TMCC復調・検出器、4F…AC復調・検出器、4H…緊急放送受信機内処理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送信号の標準方式として、緊急情報記述子の開始/終了フラグビット及び伝送・信号種別ビットそれぞれの値により予め決められた種別の緊急情報の提示開始を指示することが規定されたデジタル放送システムにおいて、
前記デジタル放送信号に前記緊急情報の関連情報を含め、前記緊急情報の提示開始の指示を、前記緊急情報の関連情報の提示開始に用いることを特徴とするデジタル放送システム。
【請求項2】
前記緊急情報記述子の開始/終了フラグビットが1、伝送・信号種別ビットが0を伝送する場合は、前記緊急情報として無線局運用規則に規定する第1種開始信号の提示開始を指示すると規定されているとき、前記関連情報として地震関連情報、または地震関連情報及びその他の緊急情報を含めることを特徴とする請求項1記載のデジタル放送システム。
【請求項3】
前記緊急情報記述子の開始/終了フラグビットが1、伝送・信号種別ビットが1を伝送する場合は、前記緊急情報として無線局運用規則に規定する第2種開始信号の提示開始を指示すると規定されているとき、前記関連情報として津波関連情報、または津波関連情報及びその他の緊急情報を含めることを特徴とする請求項1記載のデジタル放送システム。
【請求項4】
前記デジタル放送信号に前記その他の緊急情報を含め、前記緊急情報記述子の開始/終了フラグビットが0、伝送・信号種別ビットが1を伝送する場合は、前記その他の緊急情報の提示開始を指示するものとすることを特徴とする請求項1記載のデジタル放送システム。
【請求項5】
前記その他の緊急情報とは、災害情報、防災情報、地域情報、伝言情報のいずれかであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか記載のデジタル放送システム。
【請求項6】
前記デジタル放送信号は地上デジタル放送信号であり、前記信号種別ビットを特定のAC(Auxiliary Channel)キャリアにマッピングすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載のデジタル放送システムに用いられる送信系装置。
【請求項7】
前記デジタル放送信号は地上デジタル放送信号であり、前記開始/終了フラグビットをTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)領域に挿入することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載のデジタル放送システムに用いられる送信系装置。
【請求項8】
前記デジタル放送信号は地上デジタル放送信号であり、前記緊急放送記述子の内容を特定のAC(Auxiliary Channel)キャリアにマッピングすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載のデジタル放送システムに用いられる送信系装置。
【請求項9】
前記デジタル放送信号は地上デジタル放送信号であり、前記緊急情報をTS(Transport Stream)及びOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)信号のACキャリアのいずれかにマッピングすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載のデジタル放送システムに用いられる送信系装置。
【請求項10】
前記ACキャリアへのマッピングは、速報性が要求される場合は周波数方向にマッピングし、移動体向け重視の緊急情報の場合は時間軸方向にマッピングすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載のデジタル放送システムに用いられる送信系装置。
【請求項11】
前記開始/終了フラグビット、伝送・信号種別フラグビットによる前記緊急情報の起動開始処理をその緊急情報の送信要請で指定される地域向けの放送信号のみに対応させることを特徴とする請求項1乃至5記載のデジタル放送システムに用いられる送信系装置。
【請求項12】
それぞれ管理区域内の異常発生を監視する複数の監視センタと、
前記複数の監視センタのいずれかから送出され、特定の項目に沿って指示される緊急放送要請情報を取り込み、複数の放送局の中から前記要請情報の項目内容に基づいて放送局と放送チャンネルを決定してその放送局に緊急放送要請情報を通知する緊急放送処理装置と、
前記複数の放送局それぞれに設けられ、前記緊急放送要請情報に基づいて前記開始/終了フラグビット、伝送・信号種別フラグビット、緊急情報を生成して通常放送信号に乗せる処理を行う緊急情報処理手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載のデジタル放送システム。
【請求項13】
さらに、前記緊急情報処理装置、前記複数の放送局それぞれの緊急情報処理手段でそれぞれ処理された結果を蓄積する1つ以上のデータサーバを備えることを特徴とする請求項12記載のデジタル放送システム。
【請求項14】
さらに、前記データサーバを複数用いる場合には、互いに異なる地点に配備することを特徴とする請求項13記載のデジタル放送システム。
【請求項15】
それぞれ管理区域内の異常発生を監視する複数の監視センタのいずれかから送出され、特定の項目に沿って指示される緊急放送要請情報を取り込み、複数の放送局の中から前記要請情報の項目内容に基づいて放送局と放送チャンネルを決定してその放送局に緊急放送要請情報を通知することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載のデジタル放送システムに用いられる緊急放送処理装置。
【請求項16】
それぞれ管理区域内の異常発生を監視する複数の監視センタのいずれかから送出され、特定の項目に沿って指示される緊急放送要請情報に基づいて、複数の放送局の中から放送局と放送チャンネルを決定してその放送局に緊急放送要請情報が通知される場合に、
前記複数の放送局それぞれに設けられ、前記緊急放送要請情報に基づいて前記開始/終了フラグビット、伝送・信号種別フラグビット、緊急情報を生成して通常放送信号に乗せる処理を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載のデジタル放送システムに用いられる放送局内緊急情報処理装置。
【請求項17】
前記緊急情報処理装置、前記複数の放送局それぞれの緊急情報処理手段でそれぞれ処理された結果を蓄積することを特徴とする請求項12記載のデジタル放送システムに用いられるデータサーバ。
【請求項18】
請求項1乃至5のいずれか記載のデジタル放送システムに用いられ、前記デジタル放送信号を受信して前記緊急情報の提示開始の指示を受けて自動起動し、前記緊急情報の関連情報の提示を開始することを特徴とする受信機。
【請求項19】
前記デジタル放送信号が地上デジタル放送信号であり、信号種別ビットが特定のAC(Auxiliary Channel)キャリアにマッピングされているとき、常時、前記ACキャリアを復調して前記信号種別ビットの内容に基づいてチャンネル変更を決定することを特徴とする請求項18記載の受信機。
【請求項20】
前記デジタル放送信号が地上デジタル放送信号であり、開始/終了フラグビットがTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)領域に挿入されているとき、常時、前記TMCC領域内の開始/終了フラグビットを監視して、この開始/終了フラグが検出されたとき、その検出結果に応じて電源のオン・オフを制御することを特徴とする請求項18記載の受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−243936(P2007−243936A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28424(P2007−28424)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】