説明

デンプンを含有する造形体を製造する方法、デンプンを含有する均質化素材、および軟カプセル製造装置

【課題】ゼラチンが含まれていない、医薬上有用なカプセルを提供する。
【解決手段】デンプン含有体を第一加工装置中で均質化された素材にし、第二加工装置中で熱可塑性加工可能な素材とし、第二加工装置出口で押出成形フィルムとし、そのご断続的造形法でカプセル体とする。封入温度で少なくとも100%の押出材料の破断点歪を保証する、得られた材料の Staudinger 指数の値が少なくとも40ml/gであるように行う。特に、一個構成カプセルカバーを含む軟カプセルを、この材料からロータリーダイ法で製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立クレイムの前提部分に記載の、デンプンを含有する造形体を製造する方法、デンプンを含有する均質化素材、および軟カプセルを製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保護の理由での生物分解性材料からの造形体は、長い間非常に大きな関心事となっている。特に、BSE問題のために、ゼラチンが含まれていない材料のカプセルケーシングを含むカプセルは、医薬上有効な物質の投与に重要となっている。
【0003】
EP118240号、US4,738,724号などの一連の公報には、デンプンからのインサートカプセルの製造が記載されている。それらインサートカプセルは、適切な場合には、極めて粘稠なまたは固体の活性物質を充填された中間体貯蔵後に、射出成型法を用いて二個構成ケーシングとして予備製造される。インサート連結の非密封性のために、インサートカプセルは、低粘性流体に不適当である。更に、充填剤入りインサートカプセルの製造方法は、カプセルケーシングの製造および充填の作業工程を互いに別々に行わなければならないので、複雑であり且つ費用が掛かる。
【0004】
流動性の、最も広範な意味では、ポンプ輸送可能なカプセル内容材料については、ゼラチンの一個構成カプセルケーシングを含むカプセルが示されており、これらは、自動化可能な連続方法で製造することができる。カプセルケーシングの製造および同時のこの充填は、一つの作業工程で行われる。この連続した1段法の場合、充填中および後のカプセルケーシングが、造形部材の外縁を溶着することによって互いに接合される造形部材を製造する。この造形部材製造は、Norton法、Banner 法または Schering 法などを用いた末広金型および先細金型によってか、又は、例えば、ロータリーダイ法および Accogel 法(“Die Kapsel”Fahrig/Hofer - Publisher, Shttgart 1983; Lachmann/Liebermann/Kanig,“The Theory and Practice of Industrial Pharmacy”; Third Edition, Philadelphia 1986)で実現可能であるような回転造形ドラムによって行われる。充填は、一個構成カプセルケーシングを成形するための造形部材の打抜および溶着中に規定量の活性物質を供給する計量型ポンプを利用して行われる。溶着、すなわち、継目の成形は、概して、圧力および熱によって行われる。製造費は、二個構成インサートカプセルについてはかなり減少する。
【0005】
US5,342,626号は、ロータリーダイ法でのカプセルの製造を記載しているが、この場合、カプセルケーシング材料は、カラゲーン、マンナンガム、例えば、ガラクトマンナンおよびグルコマンナンなど、ゲラン(gelan)または互いの混合物から成る。しかしながら、これら巨大分子の植物生体ポリマーは、原料が高価すぎるので、費用に関して許容できない。
【0006】
一個構成カプセルの製造法は、カプセルケーシング材料への一連の需要を示す。主な必要条件の一つは、充分な強度を有する高弾性“エンドレス”テープを成形するカプセルケーシング材料の能力である。カプセルケーシングは、必要な場合、活性物質を放出することができるように胃腸管内で速やかに溶解しなければならない。カプセルケーシング材料は、溶着性でなければならない。造形部材を成形する材料の分子、特に、ポリマーの巨大分子は、継目位置において、継目位置の充分な安定性を確保するために、理想的には、浸透すべきである。ゼラチンは、これら全ての条件をほぼ理想的におよび現在のところ一個構成カプセルの材料として取り替えられ得ないほどに充分に満たしている。
【0007】
利用可能性および費用の判定基準の下では、一個構成カプセルケーシングの製造用のデンプンは、望ましい初期材料でもある。
【0008】
デンプンフィルムの製造は、既に幾度か記載されているが、一個構成カプセルケーシングを製造するためにこのようなデンプンフィルムが有していなければならない性状組合せは、これまで開示されていない。
【0009】
EP474705号は、デンプン溶融素材の押出によってデンプン造形体を製造する方法を記載している。このデンプン溶融素材は、50%を越えるアミロース含有率のデンプンおよび添加剤を含有する。その溶融素材から、押出前、中および/または後に、真空にすることによって水を除去する。この材料から押し出される箔は、80〜200%の破断点伸びを有する。高アミロース含有率のデンプンは、アミロース鎖の劣化する性質が、カプセルケーシングの速やかな溶解に有利であるので、カプセルケーシング材料として不適当である。
【0010】
EP0397819号は、熱可塑性加工可能なデンプンを製造する方法を開示しており、この場合、デンプン中の結晶性部分は5%未満である。この方法は、天然のデンプンを、少なくとも30.7(MPa)1/2の溶解パラメーターを有する少なくとも10重量%の添加剤と混合することから成る。この混合物を、120℃〜220℃の温度で加熱することによって溶融素材中に送る。デンプンの水分は、既に、溶融素材中の5%未満まで減少している。熱可塑性条件に送る前の用いられるデンプンのモル質量は、1,000,000ダルトンより大きい、好ましくは、3,000,000〜10,000,000ダルトンである。この方法は、充分な強度を有する造形体への充分な加工性を有する熱可塑性デンプンを生じるが、この熱可塑性デンプンを用いて製造される造形体の破断点伸びは、40〜55%の値に達するだけである。デンプンフィルムの弾性は、したがって、連続法での一個構成カプセルケーシングの製造には低すぎ、造形部材の製造上の引裂きまたは完成カプセルの引裂きをもたらす。デンプンフィルムは、一個構成カプセルケーシングへの需要に充分である溶着性も継ぎ合わせ強度も有していない。
【0011】
EP304401号は、同様に、デンプンから造形目的物を製造する方法を記載している。これに必要な熱可塑性デンプン溶融素材は、前処理されたデンプンから製造される。天然デンプンの脱構造化(結晶性領域の破壊)および引き続きの均質化(熱可塑性条件に送ること)は、それぞれの場合、10〜20%の水分を有する密閉容器中において120℃〜190℃の温度で起こる。この方法によって製造されるデンプンフィルムの破断点伸びは、連続法での一個構成カプセルケーシングの製造に不充分である。これらデンプンフィルムは、更に、不充分な溶着性および継目強度も示す。
【0012】
EP0542155号は、フィルムの製造に特に適している生物分解性造形用素材を開示している。熱可塑性加工性デンプンとは別のこれら造形用素材は、セルロース誘導体を含有する。その破断点伸びは、連続法での一個構成カプセルケーシングの製造に不充分である85%の値を超えない。それらフィルムの溶着性は不充分である。EP542155号に開示されるポリマーブレンドの多くは、医薬用途にも食品にも許されない物質を含有する。
【0013】
WO97/35537号は、回転造形ドラムによって製造され且つゼリー化デンプンを含有する一個構成カプセルを開示している。フィルム表面の部分エッチングは、(ブリスターパッケージからカプセルを押し出す際の)輸送および圧力安定性に関して、一個構成カプセルの製造に不都合であることを示している。これによって、継目位置の領域におけるカプセルケーシングは、過度に軟質且つ柔軟性になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、当該技術の状況の問題を克服することである。
【0015】
具体的には、本発明の目的は、ゼラチン不含造形体およびその製造方法を提供することである。具体的には、一個構成カプセルケーシングを含むデンプンカプセルを提供する。
【0016】
もう一つの目的は、半連続法または連続法によって、具体的には、ロータリーダイ法によって加工して一個構成カプセルケーシングにすることができるデンプン含有フィルムを提供することである。
【0017】
なおもう一つの目的は、一般的な加工条件を用いて、カプセル封入操作中に少なくとも100%の破断点伸びを有する、カプセルケーシングを製造するためのデンプンフィルムを提供することである。
【0018】
なおもう一つの目的は、充分な溶着性を有するデンプンフィルムを提供することである。
【0019】
なおもう一つの目的は、少なくとも1年間の貯蔵期間後に、非密封性も、カプセルケーシングの溶解速度の変化も示さない一個構成カプセルケーシングを含むデンプンカプセルを提供することである。
【0020】
これら目的は、独立クレイムの特徴によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0021】
具体的には、それらは、デンプン含有造形体、特に、一個構成カプセルケーシングを含む軟カプセルを製造する方法であって、
(a)第一加工装置中において、少なくとも1種類のデンプン、水、および少なくとも1種類の有機軟化剤を含有する混合物を、加熱し且つ混練しながら加工して、熱可塑性加工可能な、好ましくは、均質化された素材にし;
(b)適切な場合には、工程(a)で得られた素材の冷却後、貯蔵可能な中間生成物、具体的には、粒状物を製造し、次に、第二加工装置において該中間生成物を加熱して、熱可塑性加工可能な素材にし;
(c)第一の加工装置の出口、又は適切な場合には第二の加工装置の出口において、少なくとも一つの材料ライン、具体的には、押出成形フィルムを製造し;
(d)該材料ラインを、連続または断続的造形法で再造形して造形体にし;
(e)適切な場合には、その造形体を乾燥させる工程を含み、
ここにおいて、工程(a)〜(c)を、工程(d)においてその材料ラインを形成する素材中のデンプンの極限粘度数[η](シュタウジンガー指数(Staudinger Index))が40ml/g以上、好ましくは、少なくとも50ml/g、なお一層好ましくは、少なくとも80ml/gの値を有するように行う方法によって解決される。一層優れた性質は、そのデンプンの極限粘度数が100ml/g以上の値を有する場合に得られる。最も好都合な性質は、130ml/g以上のデンプンの極限粘度数値について得られる。極限粘度数は、1000ml/gの最大値を越えなくてよい。好都合な態様において、極限粘度数は、700ml/g、なお一層好ましくは300ml/gを越えない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
工程(a)で用いられる混合物は、好ましくは、その混合物の全重量に対して45〜80重量%の重量範囲内のデンプンを含有する。
【0023】
“一個構成”という用語は、互いの上にある外縁を持つ2個のカプセル部材の挿入および/または接着によって生じる二個構成カプセルとは別のものと理解されるはずである。一個構成カプセルケーシングは、継目位置を全く含まなくてよいし、またはそれが造形部材から成形される場合、溶着された継目位置を含んで成形されてよい。
【0024】
“軟カプセル”という用語は、文献に引用されるように一個構成カプセルを製造するのに一般的に用いられる連続および半連続の1ステップ製造法の製品として理解されるはずである。この用語は、硬カプセルも(互いに接合した二個構成カプセルについての説明のように)、全質量に対して12%までの軟化剤含有率を含有しうるので、軟化剤含有率の区別にすら役立たない。
【0025】
“熱可塑性加工性メルトおよび非晶質”という用語は、Rompp Chemie Lexikon, publisher: J.Falbe, M.Regitz, 9thEdition, 1992, Georg Thieme publishing house, Stuttgart によって定義されている。
【0026】
デンプンという用語は、天然デンプン、更には、物理的および/または化学的に修飾されたデンプンとして理解されるはずである。本発明によれば、抽出される植物とは無関係の全てのデンプンが、本方法の工程(a)で用いられる混合物に適している。好ましい態様形態では、このデンプンは、水不含デンプンの全重量に対して50%を越えるアミロペクチン含有率を有する。物理的および/または化学的に修飾されたポテトデンプンは、本方法に好適であることが示されている。
【0027】
本発明には、しかしながら、最も広範囲の意味で、全てのポリグルカン、すなわち、1,4および/または1,6ポリ−α−D−グルカンおよび/またはこれらの混合物が適している。
【0028】
好ましい態様では、デンプンは、ヒドロキシプロピル化デンプンである。置換度(DS)は、0.01〜0.5の範囲内、好ましくは、0.05〜0.25の範囲内、なお一層好ましくは0.1〜0.15の範囲内である。特に好ましいのは、ヒドロキシプロピル化ポテトデンプンである。
【0029】
更に好ましい態様では、デンプンとは、ペースト化され、糊化され、予め煮沸されたデンプンである。それぞれの種類のデンプンに典型的な温度以上で、“溶解”、すなわち、水性デンプン懸濁液中のデンプン粒の不可逆的崩壊は、最高の膨潤度に到達後に起こる。この操作を“糊化”と称する。糊化、すなわち、高温で当初容量の40倍までのデンプン粒の不可逆的膨潤は、デンプン粒構造の完全な崩壊までの更なる水和を可能にする水の漸進的吸収および水素架橋結合の解離を必要とする。
【0030】
工程(a)において、次に続く加工工程(b)および(c)と全く同様に、デンプン含有混合物を熱可塑性加工可能な、好ましくは、均質化された状態にする加工は、アミロース分子およびアミロペクチン分子の短フラグメントへの非制御破壊を妨げる条件下で行われるべきである。
【0031】
全ての加工パラメーター、例えば、温度、圧力、一時滞留時間および混練力などの協同は、工程(a)〜(c)の際に、デンプン分子の広範囲の破壊を妨げるように考慮されるべきである。したがって、例えば、比較的高温でも、デンプン含有素材の一時滞留時間がこれら温度で短時間保持される場合、デンプン分子の広範囲の破壊を免れることができる。
【0032】
好ましい態様では、第一の加工装置および適切な場合には第二の加工装置において、更には、材料ラインの製造において、熱可塑性加工可能な素材の温度は、160℃を越えず、好ましくは、120℃を越えず、なお一層好ましくは90℃を越えない。160℃でも、工程(a)における崩壊操作は、5分間未満で、好ましくは、3分間未満で完了する。
【0033】
更に好ましい態様では、工程(a)〜(c)における均質化素材の製造において混練によって素材に伝達されるエネルギーは、0.3kWh/kg、好ましくは、0.2kWh/kg、なお一層好ましくは0.175kWh/kgを越えない。
【0034】
熱可塑性加工可能な状態への加工は、デンプン粒を不可逆的に膨潤させるが、これは、その素材が均一状態に加工されうるためのおよび冷却後に均質化した状態のままであるための必要条件である。
【0035】
工程(a)〜(c)によって、デンプン中に本質的にもはや結晶性領域が存在しない素材を生じる。押出材料ライン中の結晶性領域は、ピンホールの形成をもたらす、すなわち、工程(c)における材料ラインが押出成形フィルムである場合に引き続き特に不都合に作用する材料中の不均一性をもたらす。“本質的にもはや結晶性領域が存在しない”とは、再造形に適切である押出材料の物理的パラメーターの悪化が結晶性領域の存在に続くことがないほどに、これら結晶性領域を破壊するということを意味する。
【0036】
“均一素材/材料”および“均質化材料/素材”という用語は、その材料中のどの位置でも、本質的に同じ物理的性質/パラメーターを有する材料または素材として理解されるはずである。僅かな偏差は、空気湿度の吸収によってそれぞれの材料または造形部材表面上で生じることがありうる。本発明の場合、顕微鏡下でなお見えるデンプン粒の数が平均の1%未満である場合、素材は均一であるまたは均質化されている。これについては、熱可塑性加工可能な状態の素材を冷却し、切断して薄片にし、光学顕微鏡下で分析する。
【0037】
均質化素材は、混合物を軟化した状態にまたは均質な液体状態に加工して、熱可塑性加工可能な状態を生じることによって得られる。混合物を構成する成分の主要部分(デンプン、有機軟化剤、滑剤および離型剤)は、溶解デンプン中に存在することができ、充分に長い放置または混合(混練)時間について、その組成物は素材(均一素材)のどの位置でも本質的に同じである。この均一状態は、熱可塑性状態の冷却でも、その後でも保持される。本質的に脱混合過程は起きない。これは、造形体の均一な機械的性質を室温で確実にする。
【0038】
ポリマー同族列内の極限粘度数[η]または(Staudinger Index)は、モル質量および分子量分布の重量平均に次の関係を有する。
【0039】
[η]=K×Mα
式中、αは、分子形状に依存する指数であり、K値は、溶解物質および溶媒に依存する定数である。ポリマー相同列内の極限粘度数が大きければ、それ以外は未変化のパラメーターを有するポリマーの分子量は大きい。極限粘度数の測定は、絶対分子量を与えることはできない。
【0040】
デンプンの絶対分子質量の評価は、知られているように極めて難しく、その結果は、用いられる測定法に依存する。このことは、分子が一層分岐状であるほどあてはまる。したがって、アミロペクチンおよびアミロペクチン含有デンプンの絶対分子質量測定の結果も、高度の不確定さを有する。絶対分子質量測定は、更に、極めて高価であるが、極限粘度数の測定は、より速く、より信頼できる、目的により適合する値を与える。
【0041】
完全な説明を与えなくても、まず第一に、用いられるデンプンのアミロペクチン分子の重合度は、工程(d)において生じる材料ラインの可塑性の要因であることが示されると考えられる。高い破断点伸びは、特に、ロータリーダイ法で軟カプセルに造形されるためのウェブ様フィルムにとって極めて重要である。
【0042】
存在するデンプンアミロペクチン分子の構成部分の充分な重合度を持ち、いずれにしても与えられるデンプンゲルの固有塑性に加えて、アミロペクチン分子の絡み合いおよびもつれによって組み立てられ且つ分子の枝分かれによって支持されるある種の“デンプン網状構造”も生じうるということが考えられる。しかしながら、アミロース分子も、充分に高い重合度で、これら“デンプン網状構造”に関与しうる。更に、エーテル、エステル、ビニルおよびアセタール結合の形成の下でのデンプンヒドロキシル基の化学置換は、“デンプン網状構造”の形成を促すので、これらも好都合でありうる。
【0043】
工程(d)および工程(e)は、アミロースおよびアミロペクチン分子が更に破壊するのを妨げる条件下で行われる。これを用いて工程(d)または(e)で得られる造形体は、工程(a)〜(c)が行われたデンプンと本質的に同じ重合度を有する。
【0044】
これら網状構造の存在、そしておそらくは、ピンホール形成(軟PVCと同様の)の形で見えない、分析的に立証できないナノ結晶の存在も、明らかに、弾性プラトーの存在の原因である。非晶質非架橋ポリマー、特に、直鎖状ポリマーのヤング率Eは、通常は、ガラス転移温度の範囲を通じて運転後の増加温度とともに、0℃までほぼ直線的に降下する。それらポリマーは、充分に高い温度によって液体として挙動する。対照的に、弾性プラトーの特徴は、ヤング率E、破断点伸びεb、最大強度σm等のような機械的性質が、より長い温度範囲にわたってほぼ一定の状態のままであり、ほとんど温度と無関係であるということである。弾性プラトーは、通常、架橋(化学架橋)ポリマーについて認められるだけである(Introduction to Polymers, Publ. R.J.Young, P.A.Lovell, Chapman and Hall, London, 2nd edition 1991,page 344/345 を参照されたい)。意外にも、本発明の素材は、化学架橋の不存在にもかかわらず、弾性プラトーを有する。
【0045】
このバックグラウンドに対して、1,4ポリグルカンの短い直鎖と共結晶化する1,4および1,6−ポリグルカンの好都合な性状も理解されうる。共結晶化により、一方において、網状構造の形成にプラスに作用する枝分かれが更に生じ、他方において、見えないナノ結晶領域が生じる。好ましくは、1,4および1,6−ポリグルカンとしてアミロペクチンを利用する。
【0046】
本発明による素材および本発明による製造方法を用いて得られる素材は、約20℃〜80℃の温度範囲内で、温度とは本質的に無関係であるεb、σm、Eのような機械的性質を示す。充填化造形体へのフィルムの再造形および充填に関する弾性プラトーは、決定的に重要である。したがって、本発明によるデンプン含有フィルムのヤング率Eは、ロータリーダイ法での再造形および充填の場合、最大2MPa、好ましくは最大1MPaである。言い換えると、機械の充填ウエッジの接触圧が与えられると、フィルムは、充填用材料がフィルムと充填ウエッジとの間で切れるロータリーダイ法でカプセルケーシングの造形を最終的に行う充填用材料のそのような充填圧力に耐えられなくてもよい。実際に、εbおよびσmとは無関係の40℃〜60℃の温度は、これら素材から製造されるフィルムの、ロータリーダイ法を用いた軟カプセルへの加工性を可能にする。
【0047】
材料ラインの造形体への再造形操作、特に、技術的に知られている方法を用いた一個構成軟カプセルへの押出成形フィルムの再成形は、40℃〜90℃、好ましくは、60℃〜80℃の範囲内で少なくとも100%の材料ライン、特に、フィルムの破断点伸びを必要とする。好ましい態様では、材料ライン、特に、フィルムの破断点伸びは、少なくとも160%、なお一層好ましくは、少なくとも240%である。
【0048】
材料ラインの、特に、それから製造される造形体の25℃および60%相対空気湿度での強度σmは、少なくとも2MPaでなければならない。好ましい態様では、σmは、3.5MPa以上、なお一層好ましくは5MPa以上である。この値は、室温においてカプセルケーシングの充分な安定性(包装、貯蔵および輸送の安全および使用)を確実にする。
【0049】
充填は、しかしながら、2MPa以下の充填圧を必要とする上昇温度のフィルムで行われる。これは、存在する素材についてのカプセル封入温度(40℃〜90℃)で2MPa以下のヤング率Eを用いて与えられる。これは、弾性プラトーについての引用で既に説明されている。
【0050】
工程(a)で用いられる混合物の全軟化剤含有率は、水不含デンプンの重量に対して少なくとも12重量%である。好ましい態様では、軟化剤の含有率は、30重量%〜60重量%の範囲内、なお一層好ましくは38重量%〜55重量%の範囲内である。
【0051】
本発明による方法を使用することにより、著しく分解されたデンプンオリゴマーを全面的に排除することができる。このことは、高い全体量の軟化剤を素材中に含有させることを可能にする。最新の均質化方法に用いた場合に生じるオリゴマーも同様に軟化作用を示すと考えられるが、多量の軟化剤を含有させることは不可能であろう。
【0052】
好ましくは、16.3(MPa)1/2以上の溶解パラメーターを有する軟化剤を用いる。有機軟化剤は、多価アルコール、有機酸、アミン、酸アミドおよびスルホキシドから成る群より選択される。好適なのは多価アルコールである。しかしながら、水も、軟化剤として機能し、したがって、全軟化剤含有率の一部分を形成する。工程(a)で用いられる混合物の水分は、全混合物に対して6〜30重量%の範囲内である。
【0053】
工程(a)で用いられる混合物の水成分部分は、本発明による方法の場合、工程(b)または(c)で直接的に変更されてよい。したがって、水分に依存する物理的パラメーターは、変更されることがありうる。
【0054】
工程(a)で用いられる混合物には、更に、(d)および(e)で生じる造形体の必要な性状に応じるために、混合物の全重量に対して3.5重量%〜15重量%、好ましくは、5重量%〜8重量%の重量範囲内の少なくとも1種類の添加剤を加えることができる。それら添加剤は、アルカリイオンまたはアルカリ土類イオンの炭酸塩および/または炭酸水素塩、追加の崩壊剤、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、物理的および/または化学的修飾生体ポリマー、特に、多糖および植物ポリペプチドから成る群より選択される。
【0055】
均質化素材の不透明度は、例えば、好ましくは、二酸化チタンの充填剤としての添加を伴って達せられる。
【0056】
崩壊剤としては、カプセルケーシングの迅速崩壊のために、好ましくは、炭酸カルシウムおよびアミラーゼを加える。
【0057】
物理的および/または化学的修飾生体ポリマーの群は、セルロース、特に、部分ヒドロキシプロピル化セルロース、アルギン酸塩、カラゲーナン、ガラクトマンナン、グルコマンナン、カゼインを含む。
【0058】
好ましい態様では、工程(a)で用いられる混合物は、レシチン、食用脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリド、食用脂肪酸のポリグリセリンエステル、食用脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、食用脂肪酸の糖エステルおよび食用脂肪酸から成る群より選択される内部滑剤および離型剤を更に含む。
【0059】
滑剤および離型剤は、混合物の全重量に対して0〜4重量%の範囲内で混合物中に含まれる。好ましくは、それを、0.5〜2重量%、なお一層好ましくは0.8〜1.5重量%で混合物に加える。好都合には、滑剤および離型剤は、グリセリンモノステアラートおよびレシチンから成る群より選択される。
【0060】
食用脂肪酸は、天然脂肪のトリグリセリドの酸成分として存在する一炭素酸として理解されるはずである。それらは、偶数のC原子を有し、非分岐状炭素骨格を有する。脂肪酸の鎖長は、2〜26C原子に変化する。脂肪酸の大部分は不飽和脂肪酸である。
【0061】
工程(c)における熱可塑性加工性状態のデンプン素材は、幅広スロットノズルによって押し出されて、デンプンフィルムまたはデンプンテープにすることができる。素材は、しかしながら、熱可塑性状態から未定型のまま冷却し、冷却し、乾燥させ、加工して、貯蔵可能な粒状物にすることもできる(湿分からの密封を用いて)。この粒状物は、後の方の加工に利用可能である。場合により、粒状物へと加工される素材に、必要な滑剤および離型剤、軟化剤および添加剤の一部分だけを加えることができる。例えば、第一加工手段において望ましくない着色を免れるために動物および/または植物脂肪の添加を中止し、第二加工装置中での粒状物の再溶融にこれら後者を添加するだけにすることができる。
【0062】
次に、押し出されたテープを、直接的に更に加工するか、又は適切な場合には中間層としてプラスチック箔を用いて、貯蔵用にロール上に巻き取る。ポリエチレンは、適当な箔材料であることが分かっている。
【0063】
本発明による方法によって得られるデンプンフィルムは、一個構成カプセルを製造するための最新の技術水準から公知である全ての装置で具体的に軟カプセルに加工することができる。連続装置、特にロータリーダイ法は、適することが分かっている。カプセル壁は、デンプンフィルムから予め打ち抜かれた二つの造形部材半分から、加熱下、好ましくは50℃以上で溶着される。二つの“エンドレスデンプンフィルム”は、逃げを有する二つの隣接するローラーまたはドラムによってもたらされ、これらローラーまたはドラムは、反対方向に回転する。デンプンフィルムは、充填用素材の充填圧によって逃げに加圧され、それによってカプセル半分が成形されるが、ポンプ輸送可能なまたは射出可能なカプセル充填剤は、バルブによって正確に計量され、そして充填用くさびによって造形用ドラムの巻込み入口に導入される。カプセルの形状およびサイズは、したがって、ドラム中の逃げの幾何学寸法および計量される充填剤容量に依存する。
【0064】
矛盾しないために、カプセルという用語は、このように、典型的なカプセル造形品としてのみならず、例えば、ボール、クッションおよびフィギュア(figures)のような“ケーシング”の他の全ての形としても理解されるはずである。今日まで、この基本原則から多くの更なる発展および逸脱がある。
【0065】
本発明によるデンプンフィルムによって製造される一個構成カプセルケーシングは、例えば、活性物質の放出を遅らせるために、更にコーティングされていてよい。
【0066】
フィルム成形性が合成および/または天然ポリマーに基づく材料を用いた本発明によるデンプンフィルムの同時押出、コーティングおよび積層は、多層箔によってカプセルケーシングの若干の性状を形成する更に別の可能性を生じる。
【0067】
具体的には、多層構造によって、容易に溶着可能なコーティングを内側に有するが、外側は、カプセル破壊の遅延作用が起こるようにコーティングされているデンプン箔を製造することができる。
【0068】
したがって、本発明の一部分は、更に、均質化されたデンプン含有素材であって、好ましくは、その素材の全重量に対して45〜80重量%の重量範囲内で存在する少なくとも1種類の本質的に非晶質のデンプンを含むものであり、この素材は、水、少なくとも1種類の有機軟化剤を更に含み、ここで、該有機軟化剤は水不含デンプンの重量に対して少なくとも12重量%の成分部分であり、かつ、均質化素材中のデンプンの極限粘度数は少なくとも40ml/gである。
【0069】
好ましくは、デンプンの極限粘度数は、少なくとも50ml/g、なお一層好ましくは、少なくとも80ml/gである。特に好ましいのは、100ml/g以上のデンプンの極限粘度数である。より優れた性状も、130ml/g以上のデンプンの極限粘度数について得られる。デンプンの極限粘度数は、1000ml/g、好ましくは700ml/g、なお一層好ましくは300ml/gを越えなくてよい。
【0070】
好都合には、水不含デンプンの重量に対して50重量%以上のアミロペクチン含有率のデンプンを用いる。
【0071】
有機軟化剤の含有率は、好都合には、素材の全重量に対して30重量%〜60重量%の範囲内、なお一層好ましくは38重量%〜55重量%の範囲内、なお一層好ましくは40重量%〜50重量%の範囲内である。
【0072】
軟化剤、デンプンおよび添加剤の態様に関して、本発明方法の該当態様に言及する。
【0073】
具体的な態様において、造形体は、素材の全重量に対して最大15重量%の水分を有する。
【0074】
素材がフィルムとして成形され、ロータリーダイ法を用いた一個構成カプセルケーシングの製造に用いられる場合、40℃〜90℃のカプセル封入温度で少なくとも100%の破断点伸びを必要とするが、しかしながら、好ましくは、破断点伸びは少なくとも160%、なお一層好ましくは、少なくとも240%である。
【0075】
造形体、特に、フィルムから成形される軟カプセルケーシングは、25℃および60%相対空気湿度において、好ましくは、少なくとも3.5MPa、なお一層好ましくは、少なくとも5MPaの強度σmを有する。
【0076】
本発明の一部分は、更に、本発明による素材から製造される造形体である。
【0077】
更に、本発明の部分は、一個構成カプセルケーシングであって、少なくとも40ml/g、好ましくは、少なくとも50ml/g、なお一層好ましくは、少なくとも80ml/gの極限粘度数を有するデンプンを含有する一個構成カプセルケーシングである。特に好都合なのは、100ml/gのデンプンの極限粘度数、なお一層好ましくは130ml/gの極限粘度数を有するカプセルである。
【0078】
本発明による素材は、例えば、WO00/28976号に記載されているように、多室、特に、二室カプセルの製造に充分に適している。1種類または複数のフィルムの水分は、完成乾燥カプセルにおいて、特に、室を形成する隔壁において低く設定されうるので、ほとんどここで応力が生じる。これは、多室ゼラチン軟カプセルと比較して、多室カプセルの安定性をかなり増加させる。
【0079】
例えば、一方の室に粉末または粒状物を充填し、もう一方の室に液体が入っている二室カプセルを実現させることができる。
【0080】
造形体、特に、カプセルケーシングは、0.1〜2mm、好ましくは0.2〜0.6mmの範囲内の厚みを有する。
【0081】
更に好ましい態様では、造形体、特に、ゼラチン軟カプセルは、多層フィルムから成る。少なくとも二つのフィルムは、異なった化学組成を有する。
【0082】
一層カプセルケーシングの製造を無視すると、熱可塑性加工可能なデンプン溶融素材は、他のいずれの種類の造形体、特に、包装材料を製造するのにも用いることができる。熱可塑性条件において、素材を加工する、特に、押出することができる。
【0083】
装置に関する側面での本発明の一つの実施例を図面に示し、以下、更に詳細に説明する。
【0084】
破断点伸びおよびヤング率Eの測定は、DIN標準規格53455にしたがって、それぞれ、DIN EN ISO527−1〜ISO527−3で行われる。破断点伸びの測定は、このDIN標準規格にしたがって、該当するカプセル封入温度で行われる。
【0085】
極限粘度数[η]の測定は、DIN標準規格:DIN51562−1〜51562−4と同様に行われる。しかしながら、試料の軟化剤含有率および Ubbelohde 粘度計でのランスルー(run-through)時間へのその影響は、ここで考慮されなければならなかった。これについて、最初に、ランスルー時間t0への軟化剤含有率の影響を、得られる検量線によって決定した後、ランスルー時間t0softenerを、次の式にしたがって任意の軟化剤含有率を用いて計算しうる。
【0086】
0softener=t0・(1.00002+0.00238・Csoftener
式中、Csoftenerは、存在する軟化剤のmg/mlでの濃度である。破壊されるデンプンについて決定される極限粘度数を、関連試料の機械的性質と一緒に、表1に示す。
【0087】
図1において破断点伸びと極限粘度数との間の関係を示している試料の製造は、次のように行われる。
【0088】
デンプン:56.2〜56.9重量%
グリセリン:水不含デンプンの含有率に対して41.8重量%
水:混合物の全重量に対して1.3〜2.0重量%
これら混合物を、Brabender ニーダー中において160rpmで、それぞれの場合に15分間の混練時間を用い、110℃、160℃、200℃、220℃および235℃の可変混練温度で均質化した。
【0089】
図1は、デンプン含有素材の破断点伸びの、そのデンプンの極限粘度数への依存性を示す。図1および関連の表1から、Brabender ニーダー中の上昇する温度について、デンプンの極限粘度数は減少する、すなわち、それ以外は未変化の組成物および未変化の加工パラメーター(温度のみ可変)について、デンプンの破壊度は増加するということが明らかである。97%の破断点伸びは、82.8ml/gの極限粘度数で達せられる。次に、極限粘度数の増加する値についての破断点伸びは、漸近的に約105%の極限値に達する。
【0090】
極限粘度数の初期値、すなわち、破断点伸びの著しい上昇が認められる値は、軟化剤成分部分とは無関係であり、デンプン分子の分子量平均値または該当する極限粘度数に単独に依存する。
【0091】
より低い軟化剤含有率について、グラフの形は横ばいになる、すなわち、グラフは、破断点伸びのより低い値まで移動する。
【0092】
素材全体の極限粘度数を測定する場合でも、その数値は、デンプンの重合度に本質的に依存する。極限粘度数の値は、素材の残りの成分とはほとんど無関係である(または数学的には、それらの少ない影響を考慮しなくてよい)。
【0093】
最大強度σmは、DIN標準規格53455およびDIN EN ISO527−1〜ISO527−3と同様に評価した。更に、σmは、極限粘度数、すなわち、デンプンの破壊度への依存性を示す。それ以外は未変化の条件について、極限粘度数が低いほど、σmはより小さい。
【0094】
図2において1で全体として示される充填および造形ステーションは、カプセル封入のために造形用ドラム対6、6’を含み、ここにおいて、造形用ドラム表面には、カプセルを造形するのに必要なくぼみが配置される。造形用ドラム対の巻込み入口には、充填用くさび5が配置され、それを介して、デリバリーポンプ5によって充填用材料を導入することができる。この具体例について、カプセルケーシングは、一方には、二つのデンプンフィルム7a、7a’、そしてもう一方には7b、7b’によって形成される、異なった材料性状を有する二つの層から成る。これら二つのデンプンフィルムは、スクリュー型押出機2a、2a’および2b、2b’で製造され、そして迂回ドラム3を経て直接的に且つ同じコンベヤー速度で、造形用ドラム対6、6’の巻込み入口へと導かれる。スクリュー型押出機は、これと一緒に、充填および造形ステーションの隣に配置され、適切な場合には同じ機械フレーム上に配置される。
【0095】
デンプンフィルムは、造形用ドラム対の間で造形し且つ溶着して一個構成軟カプセルにするが、ここにおいて、それらは充填用材料を封入している。個々のカプセル9を集め、いずれの場合にも、乾燥工程へと導くが、残りのフィルム骨格8は、おそらくは再循環により、新しいカプセルに再度加工される。
【0096】
造形および充填ステーションの隣の押出機、および造形および充填ステーション中への押出用フィルムの“インライン”供給(中間貯蔵を用いることなく)の直接的配置は、当然ながら、いつでも、したがって、単層カプセルケーシングの製造についても可能である(通常は、ロータリーダイ法)。
【0097】
図3は、大いに単純化された方法で二軸スクリュー型押出機10を示しているが、この場合、これは、12個の個々のハウジングブロック1〜12から構成される。これらハウジングブロックは、左から右へと連続して番号を付されている。それぞれのハウジングブロックは、別々の制御回路を用いて電気的に加熱することができおよび/またはバルブ制御される冷水の流入を用いて冷却することができる。更に、個々のブロックは、以下に更に説明されるように、連通部分を与えることができる。この場合、それは、等回転し、緊密に噛み合う二軸スクリュー型押出機の場合であり、ここにおいて、スクリューの直径は44mmである。スクリュー軸全体の長さは2,112mmであり、これは、48の長さ対直径比に該当する。押出機の先端において、材料をノズル14によって供給する。このノズルは、例えば、2mm口径の12個の孔を含んでいてよい。同時に、粒状物の製造について、個々の材料ラインを熱スプルーした後、流動層乾燥機へとそれらを導くことが考えられうる。しかしながら、ノズル14では、完成材料フィルムを直接的に取り出すこともできる。
【0098】
適当な位置のスクリュー12上には、材料混合物の混練を可能な限り均一にするために、異なった形状の混練用ディスク13を配置する。ブロック1を、水を用いて冷却し、粉末フィード15を与える。ブロック2を密閉し、ブロック3上には、混練スペース中に計量する流体用の注入ノズル16を配置する。ブロック2および3の遷移領域には、微細中立混練ディスク13を配置する。ブロック4〜6を再度密閉するが、ここにおいて、ブロック5上には、幅広で中立の逆コンベヤー混練ディスクを与える。ブロック7は、その配置に連通導管17を有し、これは、真空源に連通している。ブロック8上には、再度、粉末フィード18を配置し、そのスクリューは、微細な中立のおよび/またはコンベヤー混練ディスクを与えられる。ブロック9は、同様に、その配置に注入ノズル19を有し、ブロック10は密閉される。ブロック10内のスクリューは、対照的に、その配置に、幅広、中立および逆コンベヤー混練ディスクを有する。ブロック11は、追加の連通導管20を有し、これは、真空源にまたは大気に連通されていてよい。ブロック12は密閉されるが、しかしながら、スクリューは、ここにおいて、中位のコンベヤー混練ディスクを有する。
【0099】
図のコンベヤースクリューの下に、温度曲線を示す。調整可能な温度精度は、+/−3℃である。規定の温度について、それは、溶融素材中の温度と一致することを強制的に必要としないブロック温度の場合である。溶融素材中の温度は、明らかに、他のパラメーターによって、特に、スクリューの回転速度によってなお影響される。押出については、したがって、これら条件を考慮することおよび最適材料性状が得られるように調整可能な変数を互いにつり合わせることが必要である。
【0100】
この図によって記載される具体例について、340回転/分(rpm)の回転速度にする。全押出量は、約34.3kg/時であり、エネルギー消費量は約0.175kWh/kgである。20℃で保持されるブロック1には、20kg/時(約60%)のデンプン粉末を計量する。その粉末を、シフト用エッジを用いて入れた後、100℃まで加熱されるブロック2および3に供給する。ブロック3について、重量計量ピストンポンプによって少なくとも10barの使用圧力を用いて11kg/時(約30%)のグリセリンの計量を行う。密閉ブロック4〜6において、温度を140℃まで上昇させる。ブロック7について、800mbarの真空を適用し、ここにおいて、約6%の水が出る。温度は、ここで再度110℃に戻す。ブロック8について、1.4kg/時(約10%)の炭酸カルシウムの供給を行う。適切な場合には、ブロック9では、1.9kg/時(約5〜8%)のグリセリンを計量してよい。使用圧力は、同様に、少なくとも10barである。この連通が必要とされない場合、それを盲プラグを用いて閉じる。ブロック11では、再度、真空を適用し、ここにおいて、約2〜4%の水が出る。適切な場合には、大気通気も充分である。
【0101】
溶融素材の温度は、デンプンの熱破壊がそれ以外では起こらないので、押出機のどの位置でも、160℃を越えなくてよい。更に、それは、デンプンの熱変化が少ないほど、溶融素材が高温にされるのが短くなる場合である。したがって、温度制御と材料押出量との最適な関係を作るべきである。
【0102】
図4には、ヤング率Eに依存する温度を示す。試験試料の組成は、実施例2に該当する(非破線)。それと比較して、同様のガラス転移温度のサーモプラスト(thermoplast)の理論温度挙動を示す。“標準”サーモプラスト(破線)の弾性率は、速やかに直線的にゼロに降下するが、試験試料について、40℃〜約70℃の範囲内の弾性率は、温度とはほとんど無関係である。この挙動は、特に、本発明の好都合な性状の原因でもある。
【実施例】
【0103】
本発明を、次の実施例によって更に説明する。
【0104】
実施例1
二軸押出機(ZSK30型,Werner & Pfleiderer)によって、次の成分を連続的に計量し、熱可塑性加工可能な状態に加工した。
【0105】
デンプン: 7.7kg/時
レシチン: 0.147kg/時
グリセリンモノステアラート: 0.147kg/時
グリセリン(99.5純度): 4.47kg/時
沈降炭酸カルシウム: 1.0kg/時
ここにおいて、180rpmのスクリュー回転速度を用いて、次の条件下で押し出した(図3を参照されたい)。
【0106】
ブロック1: 25℃
ブロック2および3: 100℃
ブロック4〜6: 140℃
ブロック7〜9: 110℃
ブロック10〜12: 110℃
ノズル: 110℃
水不含デンプンに対して、これは、38.77%のグリセリン含有率に該当する。水不含最終生成物に対して、次の成分部分が得られた。
【0107】
レシチン: 1.11%
グリセリンモノステアラート: 1.11%
デンプン(水不含): 55.15%
CaCO3: 7.76%
グリセリン: 34.87%
押出時の比エネルギー吸収: 0.275kWh/kg
押出成形フィルムは、具体的な成形品に無関係に造形品の製造に適している。特に適しているのは、ロータリーダイ法での一個構成カプセルケーシングを含む軟カプセルの製造用のフィルムである。
【0108】
デンプン含有素材中のデンプンの極限粘度数[η]は、107,2ml/g+/−5%である。押出成形フィルムは、カプセル成形用状態で102%+/−10%の破断点伸びを有する。
【0109】
実施例2
二軸押出機(ZSK30型,Werner & Pfleiderer)によって、次の成分を連続的に計量し、熱可塑性加工可能な状態に加工した。
【0110】
デンプン: 7.7kg/時
レシチン: 0.147kg/時
グリセリンモノステアラート: 0.147kg/時
グリセリン(99.5純度): 4.67kg/時
ここにおいて、260rpmのスクリュー回転速度を用いて、実施例1と同様の条件下で押し出した。
【0111】
ブロック4では、(デンプン粉末から)過剰の水を除去するために、代わりに真空を適用してよい(例えば、800mbar)。
【0112】
水不含デンプンに対して、これは、39.81%のグリセリン含有率に該当する。水不含最終生成物に対して、次の成分部分が得られた。
【0113】
レシチン: 1.18%
グリセリンモノステアラート: 1.18%
デンプン(水不含): 58.81%
押出成形フィルムは、具体的な成形品に無関係に造形品の製造に適している。特に適しているのは、ロータリーダイ法での一個構成カプセルケーシングを含む軟カプセルの製造用のフィルムである。
【0114】
デンプン含有素材中のデンプンの極限粘度数[η]は、115,6ml/g+/−5%である。押出成形フィルムは、カプセル成形用状態で107%+/−10%の破断点伸びを有する。
【0115】
実施例3
二軸押出機(ZSK30型,Werner & Pfleiderer)によって、次の成分を連続的に計量し、熱可塑性加工可能な状態に加工した。
【0116】
全て、重量%で示す
デンプン: 57.88%
レシチン: 1.06%
グリセリンモノステアラート: 1.06%
グリセリン(98%純度): 3.64%
ソルビトールシロップ(30%水含有):36.36%
ここにおいて、次のパラメーターの下で製造する。
【0117】
二軸押出機のスクリュー回転速度=150r.p.m.
ブロック7および10中に、真空ポンプによって、過剰の水(特に、デンプンおよびソルビトールシロップの水分率によって製品中に導入される)を除去するために400mbarの圧力を加えた。
【0118】
ブロック温度
ブロック1: 20℃
ブロック2および3: 110℃
ブロック4および5: 140℃
ブロック6および7: 120℃
ブロック8および9: 110℃
ブロック10〜12: 100℃
ノズル: 95℃
押出時の比エネルギー吸収は、0.195kWh/kgであった。
【0119】
水不含最終生成物に対して、次の組成が得られる(全て、重量百分率で示す)。
【0120】
デンプン(水不含): 61.25%
レシチン: 1.31%
グリセリンモノステアラート: 1.32%
グリセリン: 4.44%
ソルビトール: 31.69%
押出成形フィルムは、具体的な成形品に無関係に造形品の製造に適している。特に適しているのは、ロータリーダイ法での一個構成カプセルケーシングを含む軟カプセルの製造用のフィルムである。
【0121】
デンプン含有素材中のデンプンの極限粘度数[η]は、92,5ml/g+/−5%である。押出成形フィルムは、カプセル成形用状態で107%+/−10%の破断点伸びを有する。
【0122】
実施例4
実施例3の場合と同様の押出条件および次の投与量。
【0123】
二軸押出機(ZSK25型,Krupp,Werner & Pfleiderer)によって、次の成分を連続的に計量し、熱可塑性加工可能な状態に加工した。
【0124】
全て、重量%で示す
デンプン: 58.92%
グリセリンモノステアラート: 1.08%
グリセリン(98%純度): 3.64%
ソルビトールシロップ(30%水含有):36.36%
押出時の比エネルギー吸収は、0.265kWh/kgであった。
【0125】
水不含最終生成物に対して、次の組成が得られる(全て、重量百分率で示す)。
【0126】
デンプン(水不含): 62.46%
グリセリンモノステアラート: 1.35%
グリセリン: 4.44%
ソルビトール: 31.75%
押出成形フィルムは、具体的な成形品に無関係に造形品の製造に適している。特に適しているのは、ロータリーダイ法での一個構成カプセルケーシングを含む軟カプセルの製造用のフィルムである。
【0127】
デンプン含有素材中のデンプンの極限粘度数[η]は、128,3ml/g+/−5%である。押出成形フィルムは、カプセル成形用状態で156%+/−10%の破断点伸びを有する。
【0128】
実施例5
実施例3の場合と同様の押出条件および次の投与量。
【0129】
二軸押出機(ZSK25型,Krupp,Werner & Pfleiderer)によって、次の成分を連続的に計量し、熱可塑性加工可能な状態に加工した。
【0130】
全て、重量%で示す
デンプン: 62.95%
グリセリンモノステアラート: 1.15%
グリセリン(98%純度): 8.28%
ソルビトール(30%水分率): 27.61%
押出時の比エネルギー吸収は、0.295kWh/kgであった。
【0131】
水不含最終生成物に対して、次の組成が得られる(全て、重量百分率で示す)。
【0132】
デンプン(水不含): 65.17%
グリセリンモノステアラート: 1.40%
グリセリン: 9.89%
ソルビトール: 23.54%
押出成形フィルムは、具体的な成形品に無関係に造形品の製造に適している。特に適しているのは、ロータリーダイ法での一個構成カプセルケーシングを含む軟カプセルの製造用のフィルムである。
【0133】
デンプン含有素材中のデンプンの極限粘度数[η]は、79,3ml/g+/−5%である。押出成形フィルムは、カプセル成形用状態で203%+/−10%の破断点伸びを有する。
【0134】
実施例6
実施例3の場合と同様の押出条件および次の投与量。
【0135】
二軸押出機(ZSK25型,Krupp,Werner & Pfleiderer)によって、次の成分を連続的に計量し、熱可塑性加工可能な状態に加工した。
【0136】
全て、重量%で示す
デンプン: 55.80%
グリセリンモノステアラート: 1.02%
グリセリン(98%純度): 3.93%
ソルビトールシロップ(30%水含有):19.63%
マルチトールシロップ(25%水含有):19.63%
押出時の比エネルギー吸収は、0.225kWh/kgであった。
【0137】
水不含最終生成物に対して、次の組成が得られる(全て、重量百分率で示す)。
【0138】
デンプン(水不含): 58.73%
グリセリンモノステアラート: 1.26%
グリセリン: 4.76%
ソルビトール: 17.01%
マルチトール: 18.23%
押出成形フィルムは、具体的な成形品に無関係に造形品の製造に適している。特に適しているのは、ロータリーダイ法での一個構成カプセルケーシングを含む軟カプセルの製造用のフィルムである。
【0139】
デンプン含有素材中のデンプンの極限粘度数[η]は、74,8ml/g+/−5%である。押出成形フィルムは、カプセル成形用状態で184%+/−10%の破断点伸びを有する。
【0140】
実施例7
実施例3の場合と同様の押出条件および次の投与量。
【0141】
二軸押出機(ZSK25型,Krupp,Werner & Pfleiderer)によって、次の成分を連続的に計量し、熱可塑性加工可能な状態に加工した。
【0142】
全て、重量%で示す
デンプン: 59.88%
グリセリンモノステアラート: 1.10%
グリセリン(98%純度): 3.55%
ソルビトールシロップ(高成分部分の水和オリゴ糖含有):17.74%
ソルビトール(30%水含有): 17.74%
押出時の比エネルギー吸収は、0.185kWh/kgであった。
【0143】
水不含最終生成物に対して、次の組成が得られる(全て、重量百分率で示す)。
【0144】
デンプン(水不含): 63.36%
グリセリンモノステアラート: 1.37%
グリセリン: 4.33%
ソルビトール: 15.46%
高成分部分の水和オリゴ糖を含むソルビトール:15.46%
押出成形フィルムは、具体的な成形品に無関係に造形品の製造に適している。特に適しているのは、ロータリーダイ法での一個構成カプセルケーシングを含む軟カプセルの製造用のフィルムである。
【0145】
デンプン含有素材中のデンプンの極限粘度数[η]は、88,1ml/g+/−5%である。押出成形フィルムは、カプセル成形用状態で240%+/−10%の破断点伸びを有する。
【0146】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】図1は、デンプンを含有する本発明による素材の、極限粘度数[η]に依存する破断点伸び[εb]を示す。
【図2】図2は、ロータリーダイ法での充填および造形ステーションの概略図を示す。
【図3】図3は、優先的な温度条件を用いた二軸スクリュー型押出機の記号表示を示す。
【図4】図4は、本発明によるデンプンを含有する均質化素材の、温度(50%相対湿度で状態調節される)に依存するヤング率E[MPa]を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプン含有造形体を製造する方法であって、
(a)第一加工装置において、水不含デンプンの重量に対して50重量%以上のアミロペクチン含有率を有する、少なくとも1種類の天然デンプン又は化学的に修飾されたデンプン、水、及び、少なくとも1種類の有機軟化剤を含有する混合物を溶融し且つ混練しながら、均質化された熱可塑性溶融組成物にする工程、ただし、該有機軟化剤の重量は該混合物の全重量に対して38〜55重量%である;
(b)適切な場合には、均質化された溶融組成物を冷却後、貯蔵可能な中間生成物を製造し、そして、その後、第二加工装置において該中間生成物を溶融する工程;
(c)第一の加工装置の出口、又は、適切な場合には第二の加工装置の出口において、少なくとも一つの押出物を製造する工程;
(d)該押出物を連続または不連続造形法で再造形して造形体にする工程;
(e)適切な場合には、該造形体を乾燥させる工程
によることを特徴とし、
該工程(a)〜(c)を、該工程(d)において該押出物を形成する該組成物の極限粘度数の値が少なくとも40ml/gとなるように行うことを特徴とする方法。
【請求項2】
デンプン含有造形体が一個構成カプセルケーシングであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
押出物が押出成形フィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
押出物を形成する組成物の極限粘度数が少なくとも50ml/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
押出物を形成する組成物の極限粘度数が少なくとも80ml/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法
【請求項6】
工程(a)で用いられる該混合物が、食用脂肪酸のレシチン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、食用脂肪酸のポリグリセリンエステル、食用脂肪酸のポリエチレンエステル、食用脂肪酸の糖エステル、および食用脂肪酸ピロリドンから成る群より選択される内部滑剤または離型剤を更に含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
有機軟化剤の含有率が40重量%〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記工程(a)〜(c)における溶融組成物の温度が、160℃を越えないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記工程(a)〜(c)における溶融組成物の温度が、120℃を越えないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記工程(a)〜(c)における溶融組成物の温度が、90℃を越えないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記工程(a)〜(c)において混練によって溶融組成物に伝達されるエネルギーが、0.3kWh/kgを越えないことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記工程(a)〜(c)において混練によって溶融組成物に伝達されるエネルギーが、0.2kWh/kgを越えないことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記工程(a)〜(c)において混練によって溶融組成物に伝達されるエネルギーが、0.175kWh/kgを越えないことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも第一加工装置における溶融が等回転二軸スクリュー押出機中で生じること、およびスクリューの長手方向に沿って設けられた押出機の個々の区画を異なった温度に加熱することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
工程(c)において、押出物を、非付着性材料の中間層と一緒にフラットフィルムとして押し出すことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
フィルムがロール形状で貯蔵され、その後に造形体に造形されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
造形体がカプセルケーシングであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程(d)における再造形が、二つの均一材料フィルムを通常のカプセル封入法で造形して、一個構成カプセルケーシングを有する軟カプセルを供給することを包含し、ここで、カプセルケーシングの互いの接合およびカプセルケーシングへの充填が一工程で行われることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
通常のカプセル封入法がロータリーダイ法であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
工程(c)において、フィルムをチューブ造形法で押出後、該チューブにスリットを入れて、フラットテープとして工程(d)において更に加工することを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
均質化されたデンプン含有組成物であって、水不含デンプンの重量に対して50%以上のアミロペクチン含有率を有し、天然デンプン又は化学的に修飾されたデンプンから得られる少なくとも45重量%の非晶質デンプン、水、および、該組成物の全重量に対して38〜55%の比率の少なくとも1種類の有機軟化剤を含み、該均質化組成物の極限粘度数の値が少なくとも40ml/gであることを特徴とする前記組成物。
【請求項22】
極限粘度数の値が少なくとも50ml/gであることを特徴とする請求項21に記載の均質化組成物。
【請求項23】
極限粘度数の値が少なくとも80ml/gであることを特徴とする請求項21に記載の均質化組成物。
【請求項24】
前記組成物が、レシチン、食用脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド、食用脂肪酸のポリグリセリンエステル、食用脂肪酸のポリエチレンエステル、食用脂肪酸の糖エステル、並びに食用脂肪酸から成る群より選択される滑剤および離型剤を更に含有することを特徴とする請求項21に記載の均質化組成物。
【請求項25】
前記軟化剤が、多価アルコール、有機酸、ヒドロキシ酸、アミン、アミド、スルホキシド、およびピロリドンから成る群より選択されることを特徴とする請求項21〜24のいずれか1項に記載の均質化組成物。
【請求項26】
組成物の全重量に対して3.5重量%〜15重量%の少なくとも1種の添加剤を更に含有し、ここで、該添加剤が、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類イオンの炭酸塩および/または炭酸水素塩、アミラーゼ、追加の崩壊剤、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、物理的および/または化学的修飾生体ポリマー、および植物ポリペプチドから成る群より選択されることを特徴とする請求項21〜25のいずれか1項に記載の均質化組成物。
【請求項27】
請求項21〜26のいずれか1項に記載の組成物から成る造形体。
【請求項28】
前記造形体が40℃〜90℃の温度で、少なくとも100%の破断点伸びを有することを特徴とする請求項27に記載の造形体。
【請求項29】
前記造形体が40℃〜90℃の温度で、少なくとも160%の破断点伸びを有することを特徴とする請求項27に記載の造形体。
【請求項30】
前記造形体が40℃〜90℃の温度で、少なくとも240%の破断点伸びを有することを特徴とする請求項27に記載の造形体。
【請求項31】
前記造形体が25℃および60%相対空気湿度で、少なくとも3.5MPaの強度σmを有することを特徴とする請求項27〜30のいずれか1項に記載の造形体。
【請求項32】
前記造形体が25℃および60%相対空気湿度で、少なくとも5MPaの強度σmを有することを特徴とする請求項27〜30のいずれか1項に記載の造形体。
【請求項33】
前記造形体が軟カプセルケーシングであることを特徴とする請求項27〜32のいずれか1項に記載の造形体。
【請求項34】
該カプセルケーシングが、0.1〜2mmの厚みを有することを特徴とする請求項33に記載の造形体。
【請求項35】
前記造形体が多層フィルムから構成されていること、および少なくとも二つの該フィルムが異なった化学組成を有することを特徴とする請求項27〜34のいずれか1項に記載の造形体。
【請求項36】
前記造形体が、一個構成カプセルケーシングを持つ多室カプセルであり、該多室カプセルが、該カプセル中に少なくとも二つの密閉された区画を作るように少なくとも一つの隔壁を含むことを特徴とする請求項27〜35のいずれか1項に記載の造形体。
【請求項37】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法で請求項21〜26のいずれか1項に記載の組成物から構成される一個構成カプセルケーシング及びカプセル内容物から成る軟カプセルを製造する装置であって、該装置が、
(a)充填および造形ステーションの1個ずつ並べて配置される、少なくとも二つのウェブ様フィルムを製造するための押出機;及び
(b)少なくとも二つのウェブ様フィルムからカプセルケーシングを造形法で造形し且つカプセル内容物を充填するための、充填および成形ステーション
を包含し、該押出機並びに該充填および造形ステーションが、該押出機からのウェブ様フィルムを軟カプセル製造用の充填および造形ステーションに直接に導入できるように互いに並べて配置されていることを特徴とする前記装置。
【請求項38】
一個構成カプセルケーシングおよびカプセル内容物からなるデンプンカプセルであって、該カプセルケーシングが請求項21〜26のいずれか1項に記載の組成物からなることを特徴とする前記デンプンカプセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−167637(P2007−167637A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−330133(P2006−330133)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【分割の表示】特願2001−539432(P2001−539432)の分割
【原出願日】平成12年11月16日(2000.11.16)
【出願人】(502173567)スイス・キャップス・レヒテ・ウント・リツェンツェン・アクチェンゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】