説明

データ収集装置、全体管理システム、及び制御プログラムの書き換え方法

【課題】呼吸状態監視装置の制御プログラミングの書き換えが容易なデータ収集装置、全体管理システム、及び制御プログラミングの書き換え方法を提供すること。
【解決手段】パソコン85の画面の表示に従って、制御プログラムの書き換えを実施する場合には、その旨の入力を行う(S200)。次に、目的とする制御プログラムを選択する(S210)。次に、実行キーの入力があった場合には(S220)、ブートモードによる制御プログラムの書き換えを行う。つまり、パソコン85からの指令信号により、呼吸状態監視装置3のA/D内蔵マイコン49のポートを制御し、NMIをLow(ブートモード)にして(S230)、ウォッチドッグタイマを停止させる。S240では、ブートモードにて、シリアルポートから制御プログラムの書き換えを行う。そして、制御プログラムの書き換えが完了した場合には(S250)、NMIをHiにする(S260)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電フィルム等を用いて、例えば睡眠時などの呼吸の正常・異常やいびきなどの呼吸状態を調べることができるデータ収集装置、全体管理システム、及び制御プログラムの書き換え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人の呼吸の状態を調べる技術として、口元にサーミスタを貼り付ける技術が知られている(特許文献1参照)
また、体の動きを圧電素子で検出し、その検出結果から呼吸の状態を調べる技術も知られている(特許文献2参照)。
【0003】
更に、近年では、口にPVDF(ポリフッ化ビニリデン)フィルムを貼り付け、その検出信号から呼吸を検出する技術も開示されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特許第2794196号公報 (第2頁 第2図)
【特許文献2】特許第2803374号公報 (第1頁 図2)
【特許文献3】米国特許第5311875号明細書 (第1頁 第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した引用文献の技術では、呼吸状態を検出するセンサを測定装置に接続して使用するが、その測定装置は大型であり、スクリーニングには使用し難いという問題があった。
【0005】
つまり、多くの人にそれぞれ測定装置を取り付けて、各個人の呼吸の異常等を簡単に検出するためには、装置の小型化や操作性の向上などが必要であるが、従来は、そのための対策が十分では無い。
【0006】
更に、装置を小型化して各個人に装着して測定した場合(即ち携帯型の呼吸状態監視装置を用いた場合)において、各装置からデータを収集しスクリーニングなどを行うためのシステムについて、特に、携帯型の呼吸状態監視装置の制御プログラミングの書き換えに関しては、何ら検討もされていないのが現状である。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、呼吸状態監視装置の制御プログラミングの書き換えが容易なデータ収集装置、全体管理システム、及び制御プログラミングの書き換え方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)請求項1の発明は、呼吸センサを用いて生体の呼吸状態(例えば呼吸の有無やいびき)を検出し該呼吸状態を示す呼吸データを記憶する呼吸状態監視装置が、着脱可能に装着され、該呼吸状態監視装置の呼吸データを収集するデータ収集装置において、前記データ収集装置に装着された呼吸状態監視装置に対して、前記データ収集装置から前記呼吸状態監視装置の動作を制御する新たな制御プログラムを送信することにより、前記呼吸状態監視装置の制御プログラムを書き換えることを特徴とする。
【0009】
本発明では、データ収集装置に呼吸状態監視装置を装着することにより、呼吸状態監視装置に記憶された呼吸データを、データ収集装置に容易に収集することができる。
特に、本発明では、データ収集装置から呼吸状態監視装置の新たな制御プログラムを送信することにより、呼吸状態監視装置に格納されている制御プログラムを新たな制御プログラムに書き換えることができる。よって、呼吸状態の検出条件を変更したい場合、例えば測定タイミングや測定期間を変更したい場合には、データ収集装置により、容易に変更に対応することができる。
【0010】
尚、前記呼吸センサとは、生体に装着して呼吸状態を検出するセンサである。
(2)請求項2の発明は、前記データ収集装置に装着された複数の呼吸状態監視装置に対して、それぞれの呼吸状態監視装置の制御プログラムを、同時又は順次書き換えることを特徴とする。
【0011】
本発明では、データ収集装置に複数の呼吸状態監視装置を装着した場合に、同時に又は順次、各呼吸状態監視装置の制御プログラムを書き換えることができるので、多数の呼吸状態監視装置を用いるスクリーニングの場合でも、書き換え作業が極めて容易であるという顕著な効果を奏する。
【0012】
(3)請求項3の発明は、前記データ収集装置に接続された外部制御装置(例えばパソコン)から又は外部記憶装置(例えば各種のメモリ)から送信される新たな制御プログラムにより、前記呼吸状態監視装置の制御プログラムを書き換えることを特徴とする。
【0013】
例えばパソコン等の外部制御装置がデータ収集装置に接続された場合には、外部制御装置からの制御により、呼吸状態監視装置の制御プログラムを書き換えることができる。
また、例えば各種のメモリ等の外部記憶装置がデータ収集装置に接続(装着を含む)された場合には、その外部記憶装置から送信される新たな制御プログラムにより、呼吸状態監視装置の制御プログラムを書き換えることができる。
【0014】
(4)請求項4の発明は、前記呼吸状態監視装置の電源として充電池を備えている場合には、該充電池に対する充電を行う際に、前記制御プログラムの書き換えを行うことを特徴とする。
【0015】
本発明では、充電池の充電を行う際に(即ち同時に)、制御プログラムの書き換えを行うので、書き換えの処理を効率的に行うことができる。
(5)請求項5の発明は、前記呼吸状態監視装置の電源として充電池を備えている場合には、該充電池に対する充電を行う際に、前記呼吸データの収集を行うことを特徴とする。
【0016】
本発明では、充電池の充電を行う際に(即ち同時に)、呼吸データの収集を行うので、呼吸データの収集の処理を効率的に行うことができる。
(6)請求項6の発明(全体管理システム)は、前記請求項1〜5のいずれかに記載の呼吸状態監視装置であって、内部のメモリに、自身のIDを示すIDデータを記憶するとともに、前記メモリとは別に、該装置自身のIDを示すIDデータを装置外から接触又は非接触で読み取り可能に記録する記録部を備えた呼吸状態監視装置と、前記請求項1〜5のいずれかに記載のデータ収集装置と、前記記録部に記録されたIDデータを読み取る読取装置と、前記データ収集装置の動作を制御するとともに、前記呼吸状態監視装置のメモリに記憶された自身のIDを示すIDデータを前記データ収集装置を介して読み込み可能な外部制御装置と、を備え、前記呼吸状態監視装置の記録部に記録されたIDデータが前記読取装置を介して前記外部制御装置に読み込まれ、且つ、前記呼吸状態監視装置のメモリに記憶された自身のIDを示すIDデータが前記データ収集装置を介して前記外部制御装置に読み込まれた場合には、前記記録部から得られるIDデータと前記メモリのIDデータとを照合することを特徴とする。
【0017】
本発明では、例えば呼吸状態監視装置本体やIDタグ等に表示された(又は記録された)例えばバーコードや磁気データをリーダによって読み込むことによって、或いは、IDタグ等(例えばICタグ)の発信器のメモリに記憶されたIDデータを(電波を介して)リーダによって読み取ることによって、多数ある呼吸状態監視装置のうち、どの呼吸状態監視装置に対する処理を行うべきかが分かる。また、呼吸状態監視装置本体のメモリに記憶されたIDデータをデータ収集装置側(従って外部制御装置側)に読み込むことによって、多数ある呼吸状態監視装置のうち、どの呼吸状態監視装置に対する処理を行うべきかが分かる。
【0018】
これにより、例えばバーコード、磁気データ、ICタグ等により示されるIDデータが読み取られた呼吸状態監視装置と、これから充電やデータの送受信が行われる呼吸状態監視装置とが一致しているかどうかを確認できるので、他人のデータと間違える様な作業ミスを防止できるという利点がある。
【0019】
尚、前記記録部としては、装置本体の表面に表示されたバーコードや2次元コード等の様に、光学的に読み取り可能な表示部分が挙げられる。また、磁気カードのように磁気的に読み取り可能な磁気データが記録された記録部分が挙げられる。更に、電波にてIDデータを送信できる非接触のICタグや、接触してIDデータを読み取ることができるICタグ等(詳しくはそれらのメモリ)が挙げられる。
【0020】
(7)請求項7の発明は、前記読み込まれたIDデータ及び前記呼吸データの測定の日付に基づいて、前記呼吸データのファイルのファイル名を自動作成することを特徴とする。
【0021】
つまり、呼吸データを読み込むファイルのファイル名を、IDデータ及び日付に基づいて、例えばIDと日付を含むようなファイル名を自動作成するので、他人のデータと間違える様な作業ミスを防止することができる。
【0022】
(8)請求項8の発明は、呼吸センサを用いて生体の呼吸状態を検出し該呼吸状態を示す呼吸データを記憶する呼吸状態監視装置から呼吸データを収集するデータ収集装置を用い、該データ収集装置に装着された呼吸状態監視装置に対して、前記データ収集装置から前記呼吸状態監視装置に新たな制御プログラムを送信して、前記呼吸状態監視装置の制御プログラムの書き換えを行うことを特徴とする。
【0023】
本発明は、前記請求項1の発明と同様な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明を実施するための最良の形態の例(実施例)について説明する。
【実施例】
【0025】
本実施例の装置構成等は、多くの被験者に対して、その呼吸の異常を抽出(スクリーニング)するために用いられるものである。
a)まず、本実施例の装置構成のうち、呼吸状態の監視に用いられる呼吸状態監視システムを、図1〜図3を用いて説明する。
【0026】
図1に示す様に、呼吸状態監視システム(睡眠時無呼吸スクリーナ)1は、呼吸状態、詳しくは睡眠時の呼吸の有無を検出するためのシステムであり、被験者に取り付けられる呼吸センサ2と、呼吸センサ2が着脱可能に取り付けられて、呼吸センサ2からの信号を記録する呼吸状態監視装置3とから構成されている。
【0027】
前記呼吸センサ2は、略T字形状の内カバー4及び外カバー5の2重構造からなるセンサ本体6を備えるとともに、両カバー4、5の左右の下端を連結する連結部7と、両カバー4、5の間から伸びる一対のリード線9、11と、リード線9、11の先端に取り付けられたセンサ側コネクタ13(図2参照)とを備えている。
【0028】
このうち、両カバー4、5は、図1の上下方向に伸びる中央部4a、5aが紙面表側に凸となった例えばポリエステルからなる薄肉のフィルム状の部材であり、口及び鼻からの息を検出するための呼吸検出部15と、呼吸検出部15の後端側(同図上方)の左右の両端から突出する一対の脚部17、19とから構成されている。
【0029】
また、下カバー4の先端側には、長方形の圧電素子(例えばピエゾ素子)23が取り付けられており、上カバー5の先端側には、圧電素子23に対応する投影位置(図1の紙面表側)には、複数のスリット状の換気孔24が形成されている。
【0030】
一方、前記呼吸状態監視装置3は、腕等に装着可能なような軽量な携帯型の装置であり、図3に示す様に、略直方体のプラスチック製の筐体25と、その内部に収容された監視側電子制御装置27(図4参照)とを備えている。
【0031】
この呼吸状態監視装置3の上面には、センサ側コネクタ13が嵌め込まれる装置側上コネクタ(モジュラージャック)29が設けられ、第1〜第4LED31〜37が半透明のカバー39に覆われて配置されている。
【0032】
また、呼吸状態監視装置3の左側面には、呼吸状態の測定(監視)の開始や終了のオン・オフを行う測定開始スイッチ41が配置されている。更に、呼吸状態監視装置3の下面には、呼吸状態監視装置3をベース装置(データ収集装置)43(図6参照)に接続するために、装置側下コネクタ(D−SUBコネクタ)45が配置されている。
【0033】
尚、呼吸状態監視装置3の裏面には、呼吸状態監視装置3自身のID番号を示すバーコードのシール(記録部)47が貼り付けられている。
b)次に、呼吸状態監視装置3の電気的構成について、図4及び図5を用いて説明する。
【0034】
図4に示す様に、呼吸状態監視装置3の監視側電子制御装置27として、周知のA/D内蔵マイコン49、リチウム電池でバックアップされたリアルタイムクロック51、不揮発性メモリ53、フラッシュメモリ55、シリアル通信回線57を備えるとともに、チャージアンプ(AMP)59、ゲイン1倍AMP61、ゲイン2倍AMP63を備えている。
【0035】
また、前記A/D内蔵マイコン49は、呼吸状態監視装置3の動作を制御する制御プログラム(ファームウェア)を記憶した内蔵フラッシュメモリ50を備えており、バッテリ切れ表示器65の第1LED31、呼吸フロー表示器67の第2〜第4LED33〜37に接続されている。
【0036】
装置側下コネクタ45は、バッテリ(充電池)69を介して、装置側上コネクタ29に接続され、更に、装置側上コネクタ29は、電子制御装置27に電力を供給する電源回路71に接続されている。
【0037】
ここで、呼吸状態監視装置3は、図5に示す様に、データ収集装置43に装着されることによって、データ収集装置43のベース側コネクタ(D−SUBコネクタ:オス側)73から、装置側下コネクタ(メス側)45の専用の充電端子(図示せず)を介して、充電池69に充電される構成になっているが、充電池69から電源回路71への回路は、装置側上コネクタ29によって、常時は、開かれた構造となっている。
【0038】
つまり、呼吸センサ2のセンサ側コネクタ13を装置側上コネクタ29に装着することによって、充電池69から電源回路71へ電力が供給されるとともに、呼吸センサ2からの信号が呼吸状態監視装置3に入力するように構成されている。
【0039】
c)次に、呼吸状態監視装置3からの呼吸データの収集などを行う全体管理システムの構成について、図6及び図7を用いて説明する。
図6に示す様に、本実施例では、呼吸状態監視装置3から呼吸データを収集するためや、後述する呼吸状態監視装置3の制御プログラムの書き換えのための全体管理システム81として、呼吸状態監視装置3のバーコードを読み込むバーコードリーダ83と、複数の呼吸状態監視装置3を着脱可能に装着するデータ収集装置43と、バーコードリーダ83やデータ収集装置43を制御するパソコン85を備えている。
【0040】
尚、データ収集装置43には電源スイッチ44が設けられ、USBジャック111を介してパソコン85に接続されている。
このうち、データ収集装置43は、図7に示す様に、呼吸状態監視装置3を最大50個まで装着できる装置であり、データ収集装置43の表面には、ベース側コネクタ73が50個配置されている。
【0041】
詳しくは、ベース側コネクタ73は、縦10列×横5列にて配列されており、縦10列づつ5つのブロックに分離されている。従って、各ブロックごと分離可能である。
また、データ収集装置43の表面には、各ベース側コネクタ73に対応して、状態表示LED87と充電表示LED89が配置されている。
【0042】
更に、データ収集装置43の表面上空には、透明の案内板91が取り付けられている。この案内板91は、ネジ93により中空位置に配置されており、案内板91には、呼吸状態監視装置3の外形形状に合わせて形成された長方形の開口部95が、各ベース側コネクタ73の位置に対応して設けられている。
【0043】
d)次に、データ収集装置43の電気的構成について、図8を用いて説明する。
図8に示す様に、データ収集装置43には、データ収集装置43を制御するためのベース側電子制御装置101が設けられている。
【0044】
このベース側電子制御装置101は、周知のA/D内蔵マイコン103、USBコントローラ105、呼吸状態監視装置3を充電するための充電回路107、呼吸状態監視装置3との通信を行うための通信回路109を備えている。
【0045】
前記USBコントローラ105は、USBジャック111に接続されており、このUSBジャック111を介してパソコン85に接続されている。
また、前記A/D内蔵マイコン103は、状態表示LED87及び充電表示ランプ89に接続されるとともに、充電回路107及び通信回路109は、ベース側コネクタ73に接続されている。
【0046】
つまり、前記ベース側コネクタ73は、図9に示す様に、9ピン(第1〜第9ピン110a〜110i)のコネクタであり、そのうちの3本のピン(第1〜第3ピン110a〜110c)が充電回路107に接続され、他の4本のピン(第5〜第8ピン110e〜110h)が通信回路109に接続されている。また、前記4本のピンのうちの2本のピン(第5、第6ピン110e、110f)が制御プログラムを書き換えるための制御信号の送信に用いられ、他の2本のピン(第7、第8ピン110g、110h)が制御プログラムを送信するために用いられる。
【0047】
従って、呼吸状態監視装置3の装置側下コネクタ45がベース側コネクタ73に接続されると、前記充電回路107に接続されたピンを介して、充電池69に対する充電が可能となる。また、同時に、前記通信回路109に接続されたピンを介して、呼吸データの受信が可能となり、更に、制御プログラムの書き換えが可能となる。
【0048】
また、本実施例では、呼吸状態監視装置3とデータ収集装置43との送受信は、クロック同期式シリアル通信で行うので、1台の呼吸状態監視装置3当たり、通常は20秒程度で呼吸データの受信が完了する。
【0049】
尚、データ収集装置43には、マニュアルにて充電開始を行う充電開始スイッチ113やベース側電子制御装置101に電力を供給する電源回路115等の構成も備えている。
d)次に、呼吸状態監視システムの使用方法及び全体管理システムの使用方法について、順を追って説明する。
【0050】
(1)呼吸状態の測定方法
・まず、個々の被験者に対してその呼吸状態を測定する場合には、呼吸状態監視装置3を被験者の腕に取り付ける。また、呼吸センサ2のセンサ本体5を、口と鼻との間に両面テープで取り付ける。
【0051】
・そして、センサ側コネクタ13を装置側上コネクタ29に装着すると、充電池69から電源回路71に到る回路が閉じて、監視側電子制御装置27に電力が供給される状態となる。
【0052】
・次に、測定開始スイッチ41が「入(オン)」に操作されると、呼吸センサ2からの信号の処理が開始される。具体的には、第3LED35が点灯し、息が吸われると第2LEDが点灯し、息が吐かれると第4LED37が点灯する。
【0053】
また、測定開始スイッチ41が「入」に操作されてから3分間経過すると、第2〜第4LED33〜37は消灯する。同時に、その時間をリアルタイムクロック51から読み出して、フラッシュメモリ55に記憶し、また、呼吸センサ2からの信号をフラッシュメモリ55に記憶する動作を開始する。
【0054】
・その後、測定開始スイッチ41から10時間経過すると、呼吸状態を示す信号の記憶を終了し、呼吸状態の測定を終了する。
これによって、被験者の呼吸状態をチェックするために必要なデータが、フラッシュメモリ55に蓄積されたことになる。
【0055】
・測定が終了すると、センサ本体5が顔から外されるとともに、呼吸センサ2が呼吸状態監視装置3から外されることになる。この呼吸センサ2の取り外し動作によって、充電池69から電源回路71に到る回路が開くことになる。
【0056】
(2)スクリーニングの処理方法
前記図6に示す様に、呼吸センサ2が外された各呼吸状態監視装置3は、データ収集装置43に装着されて、スクリーニングのために呼吸データを収集する処理が行われる。
【0057】
具体的には、パソコン85に、データ収集装置43とバーコードリーダ83と接続した全体管理システム81を構築し、以下、パソコン85の制御ソフトの指示に従って、順次作業を進める。
【0058】
・まず、パソコン85の制御ソフトを作動させると、バーコードの読み取りを指示されるので、作業者は、バーコードリーダ83を用いて、各呼吸状態監視装置3のバーコードを読み取る。即ち、呼吸状態監視装置3自身を示すIDをパソコン85に読み込む処理を行う。
【0059】
・次に、読み取ったIDに応じて、データ収集装置43の所定位置に呼吸状態監視装置3を装着するように案内するために、装着位置を示す状態表示LED87を点灯する。
・その状態表示LED87の点灯を見て、作業者が、呼吸状態監視装置3の装置側下コネクタ45をベース側コネクタ73に、上方より嵌めこみ、呼吸状態監視装置3をデータ収集装置43に装着する。
【0060】
この装着によって、データ収集装置43の充電回路107と呼吸状態監視装置3の充電池69とが接続され、充電が可能な状態となる。また、この充電のための回路とは別に、データ収集装置43の通信回路109と呼吸状態監視装置3のシリアル通信回路57とが接続され、呼吸状態監視装置3とデータ収集装置43との通信が可能な状態となる。
【0061】
・このとき、呼吸状態監視装置3の不揮発性メモリ53から、呼吸状態監視装置3のIDが、データ収集装置43を介してパソコン85に送信される。
従って、パソコン85では、読み取ったバーコードによるIDと呼吸状態監視装置3に記憶されたIDとが一致するか否かを照合する。そして、一致しない場合には、その旨をディスプレイ117に表示する。
【0062】
・一致した場合は、他に装着する呼吸状態監視装置3があるか否かが問われるので、有る場合は、再度、同様に、バーコードを読み込む作業及び指示された位置に呼吸状態監視装置3を装着する作業を繰り返す。
【0063】
そして、全ての呼吸状態監視装置3に対して同様な作業が終了した場合には、パソコン85に、終了した旨の入力を行う。
・その終了の入力によって、パソコン85からは、充電及びデータの読み込み開始の可否を問われるので、その処理を開始する場合には、その旨の入力を行う。
【0064】
・そして、前記充電及び呼吸データの読み込み開始の入力に基づいて、パソコン85からの指令によって、充電が開始される。また、呼吸状態監視装置3からは、データ収集装置43を介して、測定日時のデータと呼吸データとがパソコン85に入力される。
【0065】
このとき、パソコン85では、呼吸状態監視装置3に対応したファイルが自動作成される。具体的には、バーコードによって読み込まれた呼吸状態監視装置3のIDと測定の日付とからなるファイル名を有するファイルが作成され、このファイルに呼吸データが格納される。
【0066】
例えば、IDが「1234」で、日付が「2005年12月25日」の場合には、「0512251234」のようなファイル名を有するファイルが自動作成される。
ここで、各呼吸状態監視装置3の充電のタイミングとしては、例えば装着の順番で順次充電を行う方法が考えられるが、同時に行ってもよい。
【0067】
尚、充電中には各充電表示LED89が点滅し、充電が終了すると各充電表示LED89が点灯状態となる。
(3)制御プログラムの書き換え方法
制御プログラムの書き換えは、例えば前記(2)のスクリーニングの処理の後に実施される。 例えば呼吸データの読み込みが終了すると、パソコン85の表示画面に「制御プログラムの書き換えを実施しますか」と表示されるので、以下、パソコン85の制御ソフトの指示に従って、順次作業を進める。
【0068】
以下、その処理を、図10のフローチャートに沿って説明する。
まず、パソコン85の画面の表示に従って、制御プログラムの書き換えを実施する場合には、その旨の入力を行う(S200)。
【0069】
次に、目的に応じた制御プログラムを選択する(S210)。この選択する制御プログラムとしては、例えば装置の機能向上を目的としたソフト、測定間隔の変更を目的としたソフトなどがある。
【0070】
具体的には、例えば呼吸データを記憶する間隔を1秒から0.1秒に変更する場合とか、測定する期間を10時間から12時間に変更する場合などには、制御プログラムの書き換えが必要であるので、その変更後の内容による制御が可能なソフトを選択する。
【0071】
次に、実行キーの入力があった場合には(S220)、ブートモードによる制御プログラムの書き換えが実施される。
以下は、ブートモードによる制御プログラムの書き換えの手順を示している。
【0072】
まず、パソコン85からの(制御プログラムを書き換えるための)指令信号は、データ収集装置43を介して、呼吸状態監視装置3に送信される。この指令信号により、呼吸状態監視装置3のA/D内蔵マイコン49のポートを制御し、NMIをLow(ブートモード)にして(S230)、ウォッチドッグタイマを停止させる。
【0073】
S240では、ブートモードにて、シリアルポートから制御プログラムの書き換えを行う。
具体的には、呼吸状態監視装置3のA/D内蔵マイコン49の内蔵フラッシュメモリ50をクリアして、内蔵フラッシュメモリ50に格納された制御プログラムを消去する。次に、パソコン85からデータ収集装置43を介して呼吸状態監視装置3に、制御プログラムを書き換えるための書換用プログラムを送信するとともに、新たな制御プログラムを送信する。従って、書換用プログラムにより、新たな制御プログラムの書き込みが行われる。
【0074】
そして、制御プログラムの書き換えが完了した場合には(S250)、NMIをHiにして(S260)、一旦本処理を終了する。
尚、上述した呼吸データの送受信のタイミング或いは制御プログラムの書き換えのタイミングは、例えば呼吸状態監視装置3の装着の順番で順次行う方法が考えられる。また、充電と呼吸データの送受信、或いは充電と制御プログラムの書き換えは、同一の呼吸状態監視装置3において同時に行うと効率的であるが、異なるタイミングで行ってもよい。
【0075】
e)次に、本実施例の効果を説明する。
本実施例は、データ収集装置43に多数の呼吸状態監視装置3を装着することにより、各呼吸状態監視装置3に記憶されそれぞれの呼吸データを、短時間でデータ収集装置43に容易に収集することができる。
【0076】
特に、本実施例では、データ収集装置43から多数の呼吸状態監視装置3に対して新たな制御プログラムを送信することにより、多数の呼吸状態監視装置3の制御プログラムを同時に(又は順次)書き換えることができる。よって、多くの呼吸状態監視装置3を用いてスクリーニングを行う際に、呼吸状態の検出条件を変更したい場合、例えば測定タイミングや測定期間を変更したい場合には、簡易な操作で容易に対応することができる。
【0077】
また、本実施例では、呼吸状態監視装置3の充電の際に、呼吸データの収集や制御プログラムの書き換えを行うことができるので、それらの作業を非常に能率的に行うことができる。
【0078】
尚、本発明は前記実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、種々の態様で実施できることはいうまでもない。
(1)前記実施例では、データ収集装置を制御装置する装置として、データ収集装置と別体のパソコンを用いたが、データ収集装置自体に制御装置やディスプレイ等を組み込んで、データ収集装置自体で呼吸データの収集等の処理を行ってもよい。
【0079】
(2)また、前記実施例では、バーコードにてIDを示すIDデータを表示し、それをバーコードリーダにて読み取るようにしたが、それ以外にも、2次元コード等の光学的な読み取り可能な記録部を用いてよい。また、(磁気カードに採用されているような)磁気データにてIDデータを記録して、それを装置外からリーダを使用して読み取るようにしてもよい。或いは、接触又は非接触のICタグ等を用いて、それをリーダにて読み取るようにしてもよい。
【0080】
尚、IDデータを記録した記録部は、装置の表面などに設けてもよいが、別途ICタグ等に記録部を設け、そのICタグ等を装置に取り付けて使用してもよい。
(3)更に、データ収集装置に、コンパクトフラッシュ(登録商標)カードなどのメモリを着脱自在に装着できる構成とし、このメモリに記憶した新たな制御プログラムを読み込んで、呼吸状態監視装置の制御プログラムを書き換えてもよい。
【0081】
この場合には、データ収集装置自体に制御装置を組み込み、この制御装置により、制御プログラムの書き換えを行うことができる。
(4)また、前記実施例では、呼吸を検出する例を挙げたが、呼吸だけでなく、いびきを検出することもできる。その場合には、例えばローパスフィルタやハイパスフィルタを用いればよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施例の呼吸状態監視システムを示す説明図である。
【図2】呼吸センサの呼吸状態監視装置への装着状態を示す説明図である。
【図3】呼吸状態監視装置を示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(e)は左側面図、(f)は背面図である。
【図4】呼吸状態監視装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】呼吸状態監視装置のデータ収集装置への装着状態を示す説明図である。
【図6】全体管理システムのシステム構成を示す説明図である。
【図7】データ収集装置を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図8】データ収集装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】コネクタのピンの構成を示す説明図である。
【図10】制御プログラムを書き換える手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
1・・・呼吸状態監視システム
2・・・呼吸センサ
3・・・呼吸状態監視装置
23・・・圧電素子
43・・・データ収集装置
45・・・装置側下コネクタ
69・・・充電池
73・・・ベース側コネクタ
81・・・全体管理システム
85・・・パソコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸センサを用いて生体の呼吸状態を検出し該呼吸状態を示す呼吸データを記憶する呼吸状態監視装置が、着脱可能に装着され、該呼吸状態監視装置の呼吸データを収集するデータ収集装置において、
前記データ収集装置に装着された呼吸状態監視装置に対して、前記データ収集装置から前記呼吸状態監視装置の動作を制御する新たな制御プログラムを送信することにより、前記呼吸状態監視装置の制御プログラムを書き換えることを特徴とするデータ収集装置。
【請求項2】
前記データ収集装置に装着された複数の呼吸状態監視装置に対して、それぞれの呼吸状態監視装置の制御プログラムを、同時又は順次書き換えることを特徴とする請求項1に記載のデータ収集装置。
【請求項3】
前記データ収集装置に接続された外部制御装置から又は外部記憶装置から送信される新たな制御プログラムにより、前記呼吸状態監視装置の制御プログラムを書き換えることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ収集装置。
【請求項4】
前記呼吸状態監視装置の電源として充電池を備えている場合には、該充電池に対する充電を行う際に、前記制御プログラムの書き換えを行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のデータ収集装置。
【請求項5】
前記呼吸状態監視装置の電源として充電池を備えている場合には、該充電池に対する充電を行う際に、前記呼吸データの収集を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のデータ収集装置。
【請求項6】
前記請求項1〜5のいずれかに記載の呼吸状態監視装置であって、内部のメモリに、自身のIDを示すIDデータを記憶するとともに、前記メモリとは別に、該装置自身のIDを示すIDデータを装置外から接触又は非接触で読み取り可能に記録する記録部を備えた呼吸状態監視装置と、
前記請求項1〜5のいずれかに記載のデータ収集装置と、
前記記録部に記録されたIDデータを読み取る読取装置と、
前記データ収集装置の動作を制御するとともに、前記呼吸状態監視装置のメモリに記憶された自身のIDを示すIDデータを前記データ収集装置を介して読み込み可能な外部制御装置と、
を備え、
前記呼吸状態監視装置の記録部に記録されたIDデータが前記読取装置を介して前記外部制御装置に読み込まれ、且つ、前記呼吸状態監視装置のメモリに記憶された自身のIDを示すIDデータが前記データ収集装置を介して前記外部制御装置に読み込まれた場合には、前記記録部から得られるIDデータと前記メモリのIDデータとを照合することを特徴とする全体管理システム。
【請求項7】
前記読み込まれたIDデータ及び前記呼吸データの測定の日付に基づいて、前記呼吸データのファイルのファイル名を自動作成することを特徴とする請求項6に記載の全体管理システム。
【請求項8】
呼吸センサを用いて生体の呼吸状態を検出し該呼吸状態を示す呼吸データを記憶する呼吸状態監視装置から呼吸データを収集するデータ収集装置を用い、該データ収集装置に装着された呼吸状態監視装置に対して、前記データ収集装置から前記呼吸状態監視装置に新たな制御プログラムを送信して、前記呼吸状態監視装置の制御プログラムの書き換えを行うことを特徴とする制御プログラムの書き換え方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−275411(P2007−275411A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107737(P2006−107737)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】