説明

データ放送受信装置

【課題】 データ放送において所望の情報を表示させる際に有用で、視聴者がキーワードを入力することにより所定のコンテンツを表示可能としたデータ放送受信装置を提供する。
【解決手段】 データ放送受信装置において、BMLブラウザ制御部は、操作部から検索キーワードを入力されたときに、取得したBML文書データから項目情報として記述されている項目キーワードを抽出し、この抽出された項目キーワードと操作部から入力された検索キーワードを比較し、項目キーワードに検索キーワードが含まれる場合に、当該項目キーワードに関連付けられたリンク情報に対応するBML文書データを取得するとともに、当該BML文書データの解析結果に基づいてデータ放送画面を生成し、出力するキーワード検索処理を実行するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ放送を受信可能なデータ放送受信装置及びデータ放送信号を含むBS/CS/地上デジタル放送を受信可能なデジタル放送受信装置に関し、特に、データ放送画面において視聴者が所望のコンテンツを表示させる場合に有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の発達により放送の分野でもデジタル信号を用いた放送が実用化され、デジタル化された動画の放送(テレビ放送)に加え、視聴者が操作できるコンテンツの放送(データ放送)が可能になっている。このデータ放送には、テレビ放送を視聴しているときにニュースや気象情報などを表示させる番組と連動したデータ放送と、データのみを専門に放送する独立したデータ放送とがある。視聴者は、このデータ放送を使うことによって、ニュースや天気予報などの必要な情報をいつでも自由にテレビ画面に表示させることができる。
【0003】
ここで、データ放送で提供されるコンテンツはBMLという言語で記述されている。BMLとは、社団法人電波産業界(ARIB:Association of Radio Industries and Businesses)において規定された、データ放送用のマルチメディアコンテンツを記述する言語であり、インターネット標準であるHTMLと高い親和性を持たせたXMLの文法により再定義したXHTMLをベースとしている。例えば、データ放送においては、基本的にデータ放送受信装置に付属のリモコンにより操作することを前提としているため、フォーカスを持つことが可能な各項目間のフォーカスの移動をリモコンに配置されている「上」「下」「左」「右」の方向ボタンにより行わせるとともに、データ放送受信装置の種類によって同じボタンを押しても違った項目にフォーカスが移動することを避けるために、BML文書中にフォーカス状態にある項目情報から各方向ボタンや「青」「赤」「緑」「黄」の4色の色ボタンが押された場合に、どの項目に移動するかを記述される。
【0004】
一方、データ放送受信装置には、BMLで記述されたコンテンツを再生するためのソフトウェア(以下、BMLブラウザと称する)が内蔵されている。例えば、テレビ番組を視聴しているときにリモコンのdボタン(データボタン)を押すと、BMLブラウザが起動され、番組と連動したデータ放送の目次が表示される。または、テレビ放送、ラジオ放送、データ放送の何れかを選択可能なサービス切換ボタンを押してデータ放送を選択することで、独立したデータ放送を表示することができる。そして、このデータ放送画面において、方向ボタンと決定ボタン、または色ボタン等により必要な項目を選択して所望の情報を表示させることができる。
【0005】
上述したように、データ放送では、テレビ画面においてリモコンの方向ボタン等でフォーカスを移動して表示する項目を選択し決定するため、操作性の自由度が非常に制限される。つまり、パーソナルコンピュータを用いてWebページ上で所望の情報を表示させるときのように、マウスを使用してカーソルを好きな位置に合わせてクリックすることで、選択・決定するという自由な操作をすることはできない。
【0006】
にもかかわらず、データ放送のコンテンツにおいては、リモコンのどのボタンを操作することで、どこにフォーカスを移動させられるのかがわかりにくい構成のものが多い。そこで、データ放送で提供されるBML文書を表示させる際に、リモコンの方向ボタンの中で現在どの方向ボタンが有効であるか、または有効な方向ボタンが操作された場合にフォーカス状態にある要素がどの要素に移動するのかを視聴者に知らせるようにしたBMLデータ放送ブラウザ装置が提案されている(特許文献1)。また、データ放送の表示画面において、動作が有効なボタンの機能を解析して、その解析結果に基づいて、ボタンの機能説明内容を決定してディスプレイに表示するようにしたデータ放送受信装置が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−16849号公報
【特許文献2】特開2004−194126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記先願技術によれば、リモコンの各ボタンを操作する際の利便性を向上することはできるものの、視聴者のボタン操作自体を改善するものではないので、視聴者が目的の情報を入手するためには所定のボタン操作を行う必要がある。
【0008】
また、データ放送においては、リモコンの限られた操作ボタンにより所望の情報を表示させなければならない上、大抵のコンテンツは階層構造を有しているため、ボタン操作の回数は比較的多くなってしまう。これは、利用するコンテンツが決まっている場合(例えば、特定地域の天気予報等)でも同様で、その都度決まったボタン操作を行う必要があり視聴者にとって面倒である。
【0009】
本発明は、データ放送において所望の情報を表示させる際に有用で、視聴者がキーワードを入力することにより所定のコンテンツを表示可能としたデータ放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、データ放送向けのページ記述言語で記述されたBML文書データを含む放送信号を受信する受信部と、受信した放送信号からBML文書データを取得するBML文書取得部と、取得したBML文書データの記述内容を解析するBML文書解析部と、解析結果に基づいてデータ放送画面を生成するデータ放送画面生成部と、前記生成されたデータ放送画面において複数の項目情報の中から所望の項目情報を選択するのに有効な操作ボタンを配置された操作部と、前記操作部からの入力信号に基づいて、前記BML文書取得部、BML文書解析部、及びデータ放送画面生成部を制御するBMLブラウザ制御部と、を備えたデータ放送受信装置において、前記BMLブラウザ制御部は、前記操作部から検索キーワードを入力されたときに、前記BML文書取得部により取得したBML文書データから項目情報として記述されている項目キーワードを抽出し、この抽出された項目キーワードと前記操作部から入力された検索キーワードとを比較し、前記項目キーワードと前記検索キーワードが一致する場合に、当該項目キーワードに関連付けられたリンク情報に対応するBML文書データを取得するとともに、当該BML文書データの解析結果に基づいてデータ放送画面を生成し、出力するキーワード検索処理を実行する一方、前記BML文書取得部により取得したBML文書データ内に、前記操作部から入力された検索キーワードと一致する項目キーワードがないと判定した場合、当該BML文書データ内において項目キーワードに関連付けられたリンク情報を抽出し、この抽出されたリンク情報に対応するBML文書データを読み出して、当該BML文書データに対して前記キーワード検索処理を実行することを特徴とする。

請求項2に係る発明は、データ放送向けのページ記述言語で記述されたBML文書データを含む放送信号を受信する受信部と、受信した放送信号からBML文書データを取得するBML文書取得部と、取得したBML文書データの記述内容を解析するBML文書解析部と、解析結果に基づいてデータ放送画面を生成するデータ放送画面生成部と、前記生成されたデータ放送画面において複数の項目情報の中から所望の項目情報を選択するのに有効な操作ボタンを配置された操作部と、前記操作部からの入力信号に基づいて、前記BML文書取得部、BML文書解析部、及びデータ放送画面生成部を制御するBMLブラウザ制御部と、を備えたデータ放送受信装置において、前記BMLブラウザ制御部は、前記操作部から検索キーワードを入力されたときに、前記BML文書取得部により取得したBML文書データから項目情報として記述されている項目キーワードを抽出し、この抽出された項目キーワードと前記操作部から入力された検索キーワードとを比較し、前記項目キーワードに前記検索キーワードが含まれる場合に、当該項目キーワードに関連付けられたリンク情報に対応するBML文書データを取得するとともに、当該BML文書データの解析結果に基づいてデータ放送画面を生成し、出力するキーワード検索処理を実行するようにしたものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記BMLブラウザ制御部は、前記BML文書取得部により取得したBML文書データ内に、前記操作部から入力された検索キーワードを含む項目キーワードがないと判定した場合、当該BML文書データ内において項目キーワードに関連付けられたリンク情報を抽出し、この抽出されたリンク情報に対応するBML文書データを読出し、当該BML文書データに対してキーワード検索処理を実行するようにしたものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記BMLブラウザ制御部は、前記抽出されたリンク情報に対応するBMLデータを取得し、解析結果に基づいてデータ放送画面をその都度生成し、出力するようにしたものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記BMLブラウザ制御部は、前記キーワード検索処理の結果として、データ放送画面を生成し出力するとともに、前記操作部からの入力信号に基づいて当該コンテンツが目的とするコンテンツであるか否かの判定を行い、当該コンテンツが目的とするコンテンツでないと判定した場合は、前記キーワード検索処理を継続するようにしたものである。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記BMLブラウザ制御部は、前記項目キーワードと前記検索キーワードが一致する場合に、当該項目キーワードに関連付けられたリンク情報に対応するBML文書データを取得するとともに、当該BML文書データの解析結果に基づいてデータ放送画面を生成し、出力するようにしたものである。
【0015】
請求項7に係る発明は、デジタル放送信号を受信し、処理可能なデータ放送受信装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、データ放送受信装置において、BMLブラウザ制御部は、操作部から検索キーワードを入力されたときに、取得したBML文書データから項目情報として記述されている項目キーワードを抽出し、この抽出された項目キーワードと操作部から入力された検索キーワードを比較し、項目キーワードに検索キーワードが含まれる場合に、当該項目キーワードに関連付けられたリンク情報に対応するBML文書データを取得するとともに、当該BML文書データの解析結果に基づいてデータ放送画面を生成し、出力するキーワード検索処理を実行するようにしたので、視聴者は検索キーワードを入力するだけで所望のコンテンツを表示させることができる。
【0017】
本発明は、BML文書データには項目情報として項目キーワードが必ず記述されていることを利用することで、データ放送におけるキーワード検索を比較的簡単な方法で実現可能としたものである。したがって、通常用いられるBML文書データを使用して実現可能なので、データ放送を提供する放送局側において、キーワード検索用の記述をBML文書データに追加する必要はなく、放送局側の負担が増加することはない。
【0018】
また、BMLブラウザ制御部は、取得したBML文書データ内に、操作部から入力された検索キーワードを含む項目キーワードがないと判定した場合、当該BML文書データ内において項目キーワードに関連付けられたリンク情報を抽出し、この抽出されたリンク情報に対応するBML文書データを取得し、当該BML文書データに対してキーワード検索処理を実行するようにしたので、トップページからリンクされているすべてのコンテンツを検索することができる。
【0019】
さらに、BMLブラウザ制御部は、抽出されたリンク情報に対応するBMLデータの解析結果に基づいてデータ放送画面をその都度生成し、出力するようにしたので、視聴者は検索状況をリアルタイムで認識することができ、また、偶然に視聴したいコンテンツが表示されたときには、キーワード検索処理を中断し現在表示されているコンテンツを視聴することも可能となる。
【0020】
また、BMLブラウザ制御部は、キーワード検索処理の結果として、データ放送画面を生成し出力するとともに、操作部からの入力信号に基づいて当該コンテンツが目的とするコンテンツであるか否かの判定を行い、当該コンテンツが目的とするコンテンツでないと判定した場合は、前記キーワード検索処理を継続するようにしたので、視聴者が所望するコンテンツを得られるまでキーワード検索処理を継続させることができる。すなわち、視聴者が入力した検索キーワードが大雑把でも、キーワード検索処理を継続させることで所望のコンテンツを表示させることが可能となる。
【0021】
さらに、BMLブラウザ制御部は、項目キーワードと検索キーワードが一致する場合に、当該項目キーワードに関連付けられたリンク情報に対応するBML文書データを取得するとともに、当該BML文書データの解析結果に基づいてデータ放送画面を生成し、出力するようにして、検索キーワードが項目キーワードに含まれる場合でもキーワード検索処理を中断しないようにしたので、視聴者は所望のコンテンツを短時間で表示させることができる。これは、視聴者が所望するコンテンツの詳細なタイトル(項目キーワードに対応する)を知得している場合に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、本発明を適用したデータ放送を受信可能なデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【0024】
本実施形態に係る地上デジタル放送受信装置は、BS/CS/地上デジタル放送を含むテレビ放送信号を受信可能で、チューナ12と、TS分離部13と、音声デコーダ14と、音声処理部15と、映像デコーダ16と、映像合成部17と、を備えるとともに、データ放送を表示可能とするため、BML文書取得部18と、BML文書解析部19と、データ放送画面生成部20と、BMLブラウザ制御部22と、を備える。また、操作手段の一つとしてリモコン装置11が付属されており、入力検出部21によりリモコン装置11からの入力信号を検出する。さらに、電話回線50に接続可能な通信部24を備え、電話回線50を介して視聴者から放送局に情報を送信できるように構成されている。
【0025】
映像データ、音声データ、及びBML文書データが多重化された放送信号がアンテナ30によって受信され、チューナ12でトランスポートストリーム信号(TS信号)に復号される。そして、TS分離部13でTS信号から音声データ、映像データ、BML文書データが抽出・分離される。
【0026】
TS分離部13でTS信号から分離された音声データは、音声デコーダ14でMPEG2音声データにデコードされ、音声処理部15でアナログ音声信号に変換される。そして、音声処理部14で変換されたアナログ音声信号は、スピーカ等で構成される音声出力部60から出力される。
【0027】
TS分離部13でTS信号から分離された映像データは、映像デコーダ16でMPEG2映像データにデコードされ、映像合成部17で後述するデータ放送画面生成部20から供給されるデータ放送画面データと合成され、アナログ映像信号に変換される。そして、映像合成部17で生成されたアナログ映像信号は、液晶パネル等のテレビジョン受像機で構成される表示部40に出力される。
【0028】
一方、TS分離部13でTS信号から分離されたBML文書データは、BML文書取得部18で取得され、取得されたBML文書データはBML文書解析部19で記述内容を解析され、所定の内部データ形式に変換される。そして、BML文書解析部19による解析結果に基づいて、データ放送画面生成部20により表示レイアウトされてデータ放送画面が生成される。
【0029】
本実施形態では、リモコン装置11からの入力信号に基づいて、BMLブラウザ制御部22により、BML文書取得部18、BML文書解析部19、データ放送画面生成部20を制御するように構成されている。つまり、リモコン装置11から送信されたリモコン信号(光信号)は入力検出部21により検出され、BMLブラウザ制御部22にキーコードが渡される。そして、BMLブラウザ制御部22は、この入力されたキーコードに応じてデータ放送画面におけるフォーカス移動処理等の画面更新や、内部データの更新等を行う。
【0030】
図2は、リモコン装置11の外観構成の一例を示す上面図である。図2に示すリモコン装置11は、デジタル放送受信装置自体の電源をON/OFFする電源ボタン111、サービス(テレビ放送,ラジオ放送,データ放送)切換やメニュー表示等に用いる各種ファンクションボタン112、受信チャンネルの設定等に用いるチャンネル/番号ボタン113、データ放送画面において項目情報間でフォーカスを移動させたり、フォーカスされた項目情報を選択したりするデータ放送ボタン114、デジタル放送受信装置に接続されるテレビジョン受像機を操作するのに用いるテレビ操作用ボタン115等を備えている。
【0031】
データ放送ボタン114は、詳細には、視聴している番組に連動したデータ放送画面を表示させるまたはデータ放送画面を解除し元の番組に戻るためのデータボタン(dボタン)129と、データ放送画面におけるフォーカスを上下左右に移動させる方向ボタン121〜124と、フォーカスされた項目情報を選択する決定ボタン131と、データ放送画面において青,赤,緑,黄に割り当てられた制御(例えば、青,赤,緑,黄に関連付けられたコンテンツを表示させる制御)を実行させる色ボタン125〜128と、直前のコンテンツに戻るための戻るボタン130等を有する。視聴者は、データ放送画面において、これらのデータ放送画面において有効な操作ボタンを操作することにより、所望のコンテンツを自由に表示させることができる。
【0032】
図3は、本実施形態に係るデジタル放送受信装置によるデータ放送画面の一表示例を示す説明図であり、放送局から提供されたBML文書データに基づいて生成されるデータ放送画面D1と、データ放送画面における操作説明等を表示するサブ画面D2で構成される。
【0033】
図3に示すように、データ放送画面D1には、各種項目(図3ではニュース,天気予報,スポーツ,おすすめの番組)が所定の位置に表示された項目情報MIと、動画情報VIと、文字情報TIと、色ボタンに割り当てられた項目情報CIと、が表示されている。また、ニュースの項目にフォーカス枠Fが付加されて、当該項目がフォーカスされていることを示している。このフォーカス枠Fは、リモコン装置11の方向ボタン121〜124(図3では上ボタン121または下ボタン122)を操作することで移動される。例えば、視聴者がリモコン装置11のデータボタン129を操作すると、図3に示すようなトップページが表示される。ただし、BML文書データは放送局によって提供されるので、データ放送画面のレイアウトや表示される項目情報等は提供されるデータ放送ごとに異なることはいうまでもない。
【0034】
一方、サブ画面D2には、リモコン装置11の方向ボタン121〜124でフォーカス枠Fを移動させて所望の項目情報を選択できること、決定ボタン131で選択した項目情報を決定できること、メニューボタン141(ファンクションボタンの一つ)でキーワード検索できることを示している。このサブ画面D2は、本実施形態のデジタル放送受信装置でデータ放送画面D1に付随して表示される画面であり、データ放送画面D1の表示内容に関連して変更されるものではない。
【0035】
このようなデータ放送画面において、方向ボタン121〜124によりフォーカス枠Fを移動させて何れかの項目情報を選択して決定ボタン131を操作するか、または何れかの色ボタン125〜128を操作することで、次に表示させるコンテンツが決定される。そして、BML文書取得部18で該当するBML文書データが読み出され、BML文書解析部19で記述内容が解析され、データ放送画面生成部20で新たなデータ放送画面が生成されることとなる。
【0036】
図4は、図3のデータ放送画面に対応するBML文書データの一部を抜粋した記述例であり、図3の"ニュース"の項目情報に関する。
【0037】
すなわち、図4に示すように、"ニュース"の項目情報は、<p>,</p>で挟まれた1つの要素B1として記述される。具体的には、当該要素のIDを示す(a)、当該要素の表示位置及び表示領域を示す(b)、リモコン装置11の方向ボタン等が操作された場合にフォーカスをどのように移動するかを示す(c)、フォーカスされた状態で決定ボタンが押されたときの処理を示す(d)、当該要素の項目情報としての項目キーワード(e)等で構成される。図4(e)に示すように、項目キーワード(図4では"ニュース")は<p>と</p>の間に文字情報として記述されている。
【0038】
また、(d)に対応する操作(ボタンの押下)がなされて、"keydown()"がコールされたときの処理内容はS1に記述されている。すなわち、"ニュース"の項目がフォーカスされた状態で決定キーが押されたときには、"news.bml"というBML文書データが読み出され、このBML文書データに基づく新たにデータ放送画面が表示されることとなる。このように、BML文書データ内には、各項目(項目キーワード)に関連付けてリンク情報が設定されており、このリンク情報に対応するBML文書データは拡張子がbmlのファイル名で記述されている。
【0039】
本実施形態では、図4に示すように、BML文書データには項目情報として項目キーワードが必ず記述されていることを利用して、データ放送におけるキーワード検索を実現可能としたものである。すなわち、本実施形態のデジタル放送受信装置では、リモコン装置11から検索キーワードを入力されたときに、取得したBML文書データ内の項目キーワードと検索キーワードを比較し、項目キーワードと検索キーワードが一致した場合に、当該項目キーワードに関連付けられたリンク情報に対応するBML文書データを取得し、これに基づいてデータ放送画面を表示部40に出力する。
【0040】
図5は、キーワード検索処理に関するフローチャートであり、この処理はBMLブラウザ制御部22で実行される。一例として、視聴者が検索キーワードとして"星占い"と入力したときのキーワード検索処理について説明する。また、ここで説明するデータ放送は、図6に示すような階層構造を有するものとする。また、視聴者は、割り込みキー入力によりキーワード検索処理を途中で中断し、現在表示されているコンテンツを視聴できるものとする。
【0041】
キーワード検索処理は、リモコン装置11から検索キーワードを入力されたときに開始される。視聴者は、例えば、図3に示すようなデータ放送画面において、メニューボタン141を操作することで検索キーワードを入力可能な画面(例えば文字情報が行列表示された文字パレット)を表示させ、リモコン装置11の方向ボタン121〜124及び決定ボタン131を用いて検索キーワード"星占い"を入力する。
【0042】
検索キーワードが入力されると、キーワード検索処理を開始し、まず、ステップ101で、当該コンテンツの元になるBML文書データ内から項目キーワードを抽出する。図3に示すトップページの場合、"ニュース","天気予報","スポーツ","おすすめの番組"等が抽出されることとなる。
【0043】
次いで、ステップS102で、項目キーワードと検索キーワードとを比較する。つまり、トップページにおいて抽出された項目キーワードである"ニュース","天気予報","スポーツ","おすすめの番組"のそれぞれと検索キーワードである"星占い"とを比較する。
【0044】
そして、ステップS103で両者が一致するか判定し、一致する場合は該当のコンテンツのデータ放送画面を表示し、処理を終了する。すなわち、一致した項目キーワードに関連付けられたリンク情報に対応するBML文書データを取得し、当該BML文書データの解析結果に基づいてデータ放送画面を生成し、表示部40に出力する。このように、項目キーワードと検索キーワードとが一致した場合に、対応するデータ放送画面を出力するようにしたので、検索キーワードが項目キーワードに含まれる場合でもキーワード検索処理を中断することはなく、視聴者は所望のコンテンツを短時間で表示される。
【0045】
一方、ステップS103で両者が一致しないと判定した場合は、ステップS104に移行し、下位階層のコンテンツがあるか、すなわち現在表示されているコンテンツ内にリンク情報を有する項目情報(項目キーワード)が含まれるか判定する。そして、下位階層のコンテンツがあると判定した場合は、1の項目キーワードに関連付けられたリンク情報に対応するBML文書データを取得し、当該BML文書データの解析結果に基づいてデータ放送画面を生成し、表示部40に出力する(ステップS109)。そして、当該BML文書データに対してステップS101以降の処理を実行する。
【0046】
例えば、トップページにおいては、"ニュース","天気予報","スポーツ","おすすめの番組"の4つの項目情報がそれぞれリンク情報を有するので、その中の1の項目キーワード(例えば"ニュース")に関連付けられたリンク情報(news.bml)に対応するBML文書データを取得し、これに基づいてデータ放送画面が表示されるとともに、このBML文書データに対してキーワード検索が実行されることとなる。
【0047】
このように、抽出されたリンク情報に対応するBMLデータの解析結果に基づいてデータ放送画面をその都度生成し、出力するようにしたので、視聴者は検索状況をリアルタイムで認識することができる。
【0048】
一方、ステップS104で下位階層のコンテンツがないと判定した場合は、ステップS105に移行して上位階層のコンテンツがあるか判定する。このとき、トップページ以外のコンテンツにおいては必ず上位階層のコンテンツが存在することになる。
【0049】
そして、ステップS105で上位階層のコンテンツがあると判定した場合、つまり当該コンテンツがトップページではないと判定した場合は、リンク元のBML文書データを取得し、取得したBML文書データの解析結果に基づいてデータ放送画面を生成し、表示部40に出力する(ステップS109)。そして、このBML文書データに対してステップS101以降の処理を実行する。
【0050】
例えば、図6に示すコンテンツの階層構造において、「プロ野球」コンテンツ(jpb.bml)に対してキーワード検索が実行された場合は下位階層のコンテンツはないので、リンク元である上位階層の「野球」コンテンツ(baseball.bml)に遷移し、この「野球」コンテンツに対してキーワード検索が実行されることとなる。なお、「プロ野球」コンテンツのような最下層のコンテンツについては、リンク情報を有する項目キーワードも存在しないので、当然に検索キーワードと項目キーワードが一致するということはない。
【0051】
また、リンク元の上位階層のコンテンツに戻ってキーワード検索を行うときは、下位階層のコンテンツとしてすでに検索済みのコンテンツは除外するようにする。つまり、「プロ野球」コンテンツから上位階層の「野球」コンテンツに戻ってキーワード検索を続ける場合、ステップS104で下位階層のコンテンツがあるか否かを判定するときに、既にキーワード検索を行った「プロ野球」コンテンツは除外される。すなわち、図6の場合は、下位階層のコンテンツとして「メジャーリーグ」コンテンツ(mlb.bml)に遷移してキーワード検索を実行することとなる。これにより、トップページからリンクされているすべてのコンテンツに対して効率的にキーワード検索を行うことができる。
【0052】
一方、ステップS105で上位階層のコンテンツがないと判定した場合、つまりトップページであると判定した場合は、当該データ放送においてリンクされているすべてのコンテンツにおいて検索キーワードと一致する項目キーワードはないことになるので、"該当する情報無し"と表示部40に出力し(ステップS106)、処理を終了する。
【0053】
なお、本実施形態では、トップページから「おすすめ」コンテンツ(recommend.bml)→「占い」コンテンツ(uranai.bml)と遷移し、この「占い」コンテンツ内の項目キーワードとして"星占い"が抽出されたときに、項目キーワードと検索キーワードとが一致したと判定する。そして、一致した項目キーワード"星占い"に関連付けられたリンク情報(hoshiuranai.bml)に対応するBML文書データを取得し、当該BML文書データの解析結果に基づいてデータ放送画面を生成し、表示部40に出力することとなる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態のデジタル放送受信装置では、BML文書データには項目情報として項目キーワードが必ず記述されていることを利用することで、データ放送におけるキーワード検索を実現可能としている。これにより、視聴者は検索キーワードを入力するだけで所望のコンテンツを表示させることができる。また、データ放送を提供する放送局側において、キーワード検索用の記述をBML文書データに追加する必要はなく、通常用いられるBML文書データを使用して実現可能なので、放送局側の負担が増加する虞はない。
(変形例)
図7は、変形例に係るキーワード検索処理に関するフローチャートであり、この処理はBMLブラウザ制御部22で実行される。ここで、図7に示すフローチャートでは、項目キーワードが検索キーワードを含む場合にも対応している点が図5に示すフローチャートと異なる。
【0055】
検索キーワードが入力されると、キーワード検索処理を開始し、まず、ステップ201で、当該コンテンツの元になるBML文書データ内から項目キーワードを抽出する。次いで、ステップS202で、項目キーワードと検索キーワードとを比較する。
【0056】
そして、ステップS203で項目キーワードが検索キーワードを含むか判定し、含む場合は該当のコンテンツのデータ放送画面を表示する(ステップS207)。すなわち、該当する項目キーワードに関連付けられたリンク情報に対応するBML文書データを取得し、当該BML文書データの解析結果に基づいてデータ放送画面を生成し、表示部40に出力する。さらに、ステップS208で当該コンテンツが視聴者の目的とするコンテンツであるか判定する。例えば、表示部40に"このコンテンツでよろしいですか?"等の確認表示を出力し、視聴者によるリモコン装置11からの入力(例えば、"はい"または"いいえ"を方向ボタンで選択)に基づいて判定する。
【0057】
そして、当該コンテンツが視聴者の目的とするコンテンツであると判定した場合はそのまま処理を終了し、目的とするコンテンツでないと判定した場合はステップS201以降の処理を実行する。すなわち、同一のコンテンツに対して再度キーワード検索を実行することとなる。この場合、すでに検索済みのコンテンツは抽出する項目キーワードから除外するようにする。
【0058】
なお、その他の処理(ステップS204〜ステップS206,S209)については、図5のフローチャートと同様であるので説明は省略する。また、項目キーワードが検索キーワードと一致する場合は、ステップS208の処理を省略して、そのまま処理を終了してもよい。
【0059】
このように、項目キーワードが検索キーワードを含む場合は、キーワード検索処理の結果として、データ放送画面を生成し出力するとともに、リモコン装置11からの入力信号に基づいて当該コンテンツが目的とするコンテンツであるか否かの判定を行い、当該コンテンツが目的とするコンテンツでないと判定した場合は、前記キーワード検索処理を継続するようにしたので、視聴者が所望するコンテンツを得られるまでキーワード検索処理を継続させることができる。すなわち、視聴者が入力した検索キーワードが大雑把でも、キーワード検索処理を継続させることで所望のコンテンツを表示させることが可能となる。
【0060】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0061】
例えば、上記実施形態では、検索キーワードの入力開始をメニューボタン141に割り当てているが、これに制限されず、その他の特定の操作ボタンに割り当てるようにしてもよい。また、デジタル放送受信装置の操作メニュー画面において、キーワード検索を実行するための項目を設け、これを選択することでキーワード検索を実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明を適用したデータ放送を受信可能なデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】リモコン装置11の外観構成の一例を示す上面図である。
【図3】本実施形態に係るデジタル放送受信装置によるデータ放送画面の一表示例を示す説明図である。
【図4】図3のデータ放送画面に対応するBML文書の一部を抜粋した記述例である。
【図5】キーワード検索処理に関するフローチャートである。
【図6】本実施形態のデータ放送の階層構造を示す説明図である。
【図7】変形例に係るキーワード検索処理に関するフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
11 操作部(リモコン装置)
12 チューナ
13 TS分離部
14 音声デコーダ
15 音声処理部
16 映像デコーダ
17 映像合成部
18 BML文書取得部
19 BML文書解析部
20 データ放送画面生成部
21 入力検出部
22 BMLブラウザ制御部
23 記憶部
24 通信部
30 アンテナ
40 表示部
50 電話回線
60 音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ放送向けのページ記述言語で記述されたBML文書データを含む放送信号を受信する受信部と、
受信した放送信号からBML文書データを取得するBML文書取得部と、
取得したBML文書データの記述内容を解析するBML文書解析部と、
解析結果に基づいてデータ放送画面を生成するデータ放送画面生成部と、
前記生成されたデータ放送画面において複数の項目情報の中から所望の項目情報を選択するのに有効な操作ボタンを配置された操作部と、
前記操作部からの入力信号に基づいて、前記BML文書取得部、BML文書解析部、及びデータ放送画面生成部を制御するBMLブラウザ制御部と、を備えたデータ放送受信装置において、
前記BMLブラウザ制御部は、
前記操作部から検索キーワードを入力されたときに、前記BML文書取得部により取得したBML文書データから項目情報として記述されている項目キーワードを抽出し、この抽出された項目キーワードと前記操作部から入力された検索キーワードとを比較し、前記項目キーワードと前記検索キーワードが一致する場合に、当該項目キーワードに関連付けられたリンク情報に対応するBML文書データを取得するとともに、当該BML文書データの解析結果に基づいてデータ放送画面を生成し、出力するキーワード検索処理を実行する一方、
前記BML文書取得部により取得したBML文書データ内に、前記操作部から入力された検索キーワードと一致する項目キーワードがないと判定した場合、当該BML文書データ内において項目キーワードに関連付けられたリンク情報を抽出し、この抽出されたリンク情報に対応するBML文書データを読み出して、当該BML文書データに対して前記キーワード検索処理を実行することを特徴とするデータ放送受信装置。
【請求項2】
データ放送向けのページ記述言語で記述されたBML文書データを含む放送信号を受信する受信部と、
受信した放送信号からBML文書データを取得するBML文書取得部と、
取得したBML文書データの記述内容を解析するBML文書解析部と、
解析結果に基づいてデータ放送画面を生成するデータ放送画面生成部と、
前記生成されたデータ放送画面において複数の項目情報の中から所望の項目情報を選択するのに有効な操作ボタンを配置された操作部と、
前記操作部からの入力信号に基づいて、前記BML文書取得部、BML文書解析部、及びデータ放送画面生成部を制御するBMLブラウザ制御部と、を備えたデータ放送受信装置において、
前記BMLブラウザ制御部は、前記操作部から検索キーワードを入力されたときに、
前記BML文書取得部により取得したBML文書データから項目情報として記述されている項目キーワードを抽出し、
この抽出された項目キーワードと前記操作部から入力された検索キーワードとを比較し、
前記項目キーワードに前記検索キーワードが含まれる場合に、当該項目キーワードに関連付けられたリンク情報に対応するBML文書データを取得するとともに、当該BML文書データの解析結果に基づいてデータ放送画面を生成し、出力するキーワード検索処理を実行することを特徴とするデータ放送受信装置。
【請求項3】
前記BMLブラウザ制御部は、前記BML文書取得部により取得したBML文書データ内に、前記操作部から入力された検索キーワードを含む項目キーワードがないと判定した場合、
当該BML文書データ内において項目キーワードに関連付けられたリンク情報を抽出し、
この抽出されたリンク情報に対応するBML文書データを読出し、
当該BML文書データに対してキーワード検索処理を実行することを特徴とする請求項2に記載のデータ放送受信装置。
【請求項4】
前記BMLブラウザ制御部は、前記抽出されたリンク情報に対応するBMLデータを取得し、解析結果に基づいてデータ放送画面をその都度生成し、出力することを特徴とする請求項2または3に記載のデータ放送受信装置。
【請求項5】
前記BMLブラウザ制御部は、前記キーワード検索処理の結果として、データ放送画面を生成し出力するとともに、前記操作部からの入力信号に基づいて当該コンテンツが目的とするコンテンツであるか否かの判定を行い、
当該コンテンツが目的とするコンテンツでないと判定した場合は、前記キーワード検索処理を継続することを特徴とする請求項2から4の何れかに記載のデータ放送受信装置。
【請求項6】
前記BMLブラウザ制御部は、前記項目キーワードと前記検索キーワードとが一致する場合に、当該項目キーワードに関連付けられたリンク情報に対応するBML文書データを取得するとともに、当該BML文書データの解析結果に基づいてデータ放送画面を生成し、出力することを特徴と請求項2から5の何れかに記載のデータ放送受信装置。
【請求項7】
デジタル放送信号を受信し、処理することを特徴とする請求項2から6の何れかに記載のデータ放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−180133(P2006−180133A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−370130(P2004−370130)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】