データ管理システム
【課題】 受信者に煩わしい入力操作を行わせることなく、受信者の近くの画像形成装置へ画像データを送信することができるデータ管理システムを提供する。
【解決手段】 本データ管理システムでは、携帯電話装置40が、当該携帯電話装置40の通信エリア内に存在するプリンタ60を検索し、存在が確認されたプリンタ60の固有情報を、Eメールにより文書サーバ10へ送信する。一方、文書サーバ10は、LANを介して接続されている複数のプリンタ60の何れかで処理されるべき印刷データを記憶しており、携帯電話装置40から上記固有情報を受信すると、その固有情報を送信した携帯電話装置40の所有者である受信者宛の印刷データを、その固有情報に対応するプリンタ60へLANを介して送信する。このような構成により、受信者が携帯電話装置40を所有してプリンタ60へ近づくと、その受信者宛の印刷データがそのプリンタ60で出力される。
【解決手段】 本データ管理システムでは、携帯電話装置40が、当該携帯電話装置40の通信エリア内に存在するプリンタ60を検索し、存在が確認されたプリンタ60の固有情報を、Eメールにより文書サーバ10へ送信する。一方、文書サーバ10は、LANを介して接続されている複数のプリンタ60の何れかで処理されるべき印刷データを記憶しており、携帯電話装置40から上記固有情報を受信すると、その固有情報を送信した携帯電話装置40の所有者である受信者宛の印刷データを、その固有情報に対応するプリンタ60へLANを介して送信する。このような構成により、受信者が携帯電話装置40を所有してプリンタ60へ近づくと、その受信者宛の印刷データがそのプリンタ60で出力される。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像形成装置で処理すべき画像データを管理するデータ管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、画像形成装置としての複数のプリンタと、これらに画像データとしての印刷データを送信するコンピュータとがネットワークを介して繋がったシステムでは、印刷要求を行う者が、印刷データの送信先となるプリンタをコンピュータから指定することで、所望のプリンタに印刷物を出力させることができる。
【0003】ここで、印刷要求者と、この印刷要求者からの要求により出力される印刷物を受け取るべき受取対象者である受信者とが同一人物である場合には、印刷要求者(この場合、受信者でもある)が自分の近くにあるプリンタを印刷データの送信先に指定すればよいが、印刷要求者と受信者とが異なる場合には、印刷要求者が受信者の現在位置を把握していないと、受信者から離れた位置にあるプリンタで印刷物が出力されてしまうことがある。受信者が常に同じ位置にいるとは限らないからである。
【0004】一方、特開2001−154822号公報に記載のネットワークプリンタシステムでは、印刷要求者により入力される情報キーを用いて印刷データの送信先となるプリンタを指定するようにしている。即ち、このネットワークプリンタシステムの場合、プリンタは、印刷要求者に情報キーを入力させ、この情報を自身の識別情報(MACアドレス等)と共にネットワーク内にブロードキャストする。一方、ワークステーションは、印刷要求者に情報キーを入力させると共に、プリンタ側からブロードキャストされてきた情報キーと、自身において入力された情報キーとが一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合に、その情報キーをブロードキャストしたプリンタを、印刷データの送信先のプリンタとして設定する。
【0005】従って、このようなシステムを利用して、印刷要求者がコンピュータから情報キーを入力すると共に、受信者がプリンタから同一の情報キーを入力するようにすれば、受信者の近くに位置するプリンタに印刷物を出力させることが考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このようなシステムでは、受信者が印刷物を受け取る際に、プリンタから情報キーをわざわざ入力しなければならないため、煩わしい。しかも、受信者がプリンタから入力する情報キーは、印刷要求者がコンピュータから入力する情報キーと同一の情報でなければならないことから、印刷要求者と受信者とが異なる場合は、印刷要求者から受信者に情報キーを連絡しなければならなくなり、実用的ではない。
【0007】本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、受信者に煩わしい入力操作を行わせることなく、受信者の近くの画像形成装置へ画像データを送信することができるデータ管理システムを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記目的を達成するためになされた請求項1に記載のデータ管理システムは、画像データが表す画像を形成する複数の画像形成装置と通信可能なデータ管理装置と、このデータ管理装置及び画像形成装置と通信可能な通信装置と、を備えたものである。尚、通信装置としては、例えば、携帯電話装置やPDA(Personal Digital(Data) Assistants)のように、容易に持ち運びができるような小型・軽量のものが好ましい。
【0009】そして、通信装置では、検索手段が、当該通信装置と通信可能な画像形成装置を検索し、識別情報送信手段が、検索手段により画像形成装置が確認された場合に、その画像形成装置を識別するための第1識別情報を、当該通信装置を識別するための第2識別情報と共に、データ管理装置へ送信する。尚、第1識別情報は、データ管理装置にて画像形成装置を識別する際の手掛かりとなる情報であればよく、この第1識別情報としては、例えば、画像形成装置の通信先アドレスや、画像形成装置に付けられた名称等を用いることができる。また、第2識別情報は、データ管理装置にて通信装置を識別する際の手掛かりとなる情報であればよく、この第2識別情報としては、例えば、通信装置の通信先アドレスや、通信装置の所有者名等を用いることができる。
【0010】一方、データ管理装置では、読出手段が、複数の画像形成装置のうちの何れかで処理すべき画像データから、その画像データに付与された受信者(即ち、その画像データが表す画像を受けるべき対象者)を表す受信者情報を読み出し、受信手段が、通信装置から第1識別情報及び第2識別情報を受信する。そして更に、データ送信手段が、受信手段により受信された第2識別情報に対応する受信者情報が読み出された画像データを、受信手段により受信された第1識別情報から識別される画像形成装置へ送信する。尚、画像データに付与された受信者情報とは、画像データが表す画像とは別に追加された情報であってもよく、画像データが表す画像に含まれた情報であってもよい。また、第2識別情報に対応する受信者情報とは、第2識別情報から識別される通信装置の所有者を識別するための情報のことである。
【0011】このような請求項1のデータ管理システムでは、通信装置と画像形成装置との通信を、通信エリアが比較的狭い通信方式を用いて行うことで、通信装置の検索手段が、当該通信装置の近くに存在する画像形成装置を検索することとなる。そして、この検索手段により当該通信装置と通信可能な画像形成装置が確認された場合(即ち、当該通信装置の近くに存在する画像形成装置が検知された場合)に、通信装置の識別情報送信手段が、その確認された画像形成装置を識別するための第1識別情報を、第2識別情報と共にデータ管理装置へ送信する。尚、識別情報送信手段が各識別情報をデータ管理装置へ送信するタイミングは、例えば、検索手段により画像形成装置が確認された時であってもよく、また、検索手段により画像形成装置が確認されている状態で所定の入力操作が行われた時であってもよい。
【0012】そして、データ管理装置では、データ送信手段が、受信手段により受信された第1識別情報から識別される画像形成装置(即ち、受信手段により受信された第2識別情報から識別される通信装置の近くに位置している画像形成装置)へ、その第2識別情報に対応する受信者情報が読み出された画像データを送信するようになっているが、ここで、第2識別情報に対応する受信者情報については、例えば、次の(1),(2)のように判断することができる。
【0013】(1)本データ管理システムに用いられる第2識別情報と受信者情報とが同一の情報を表すものである場合、例えば、第2識別情報及び受信者情報が、共に通信装置の所有者名を表すものである場合には、受信手段により受信された第2識別情報と同一内容の受信者情報を、第2識別情報に対応する受信者情報として判断する。
【0014】(2)一方、本データ管理システムに用いられる第2識別情報と受信者情報とが異なる情報を表すものである場合、例えば、第2識別情報が通信装置の通信先アドレスを表すものであり、受信者情報がその通信装置の所有者名を表すものである場合には、第2識別情報と受信者情報との対応を予め記憶しておき、受信手段により受信された第2識別情報に対応させて記憶している受信者情報を、第2識別情報に対応する受信者情報として判断する。
【0015】このような請求項1のデータ管理システムによれば、通信装置を所有した受信者の近くに位置している画像形成装置へ、その受信者を表す受信者情報が付与された画像データが送信されるため、受信者が受けるべき画像を、その受信者の近くの画像形成装置に確実に形成させることができる。
【0016】しかも、受信者は、画像データの送信先となる画像形成装置を指定するための煩雑な入力操作を行う必要がない。例えば、通信装置により画像形成装置が確認されると直ちにデータ管理装置からその画像形成装置へ画像データが送信されるようにすれば、受信者による入力操作を全く不要にすることができる。一方、通信装置により画像形成装置が確認されても、その通信装置で所定の入力操作が行われない間はデータ管理装置からその画像形成装置へ画像データが送信されないようにすれば、受信者の意図しないタイミングで画像形成装置により画像が形成されてしまうことを防止することができるため、特に、画像データの表す画像が機密内容の場合に効果的である。そして、この場合にも、上記所定の入力操作は簡単な操作にすることが可能である。
【0017】加えて、本データ管理システムを利用する画像形成装置には、特別な機能を持たせる必要がないため、汎用の画像形成装置(例えば、プリンタやファクシミリ等)を使用することができる。ところで、請求項1のデータ管理システムでは、受信者情報が付与された画像データを、その受信者情報が表す受信者の近くに位置している画像形成装置へ送信することができるが、データ管理装置の読出手段により画像データから受信者情報が読み出されなかった場合には、その画像データの送信先の画像形成装置を特定することができない。
【0018】そこで、請求項2に記載のデータ管理システムのように、読出手段により画像データから受信者情報が読み出されなかった場合には、データ送信手段が、その画像データを予め決められた画像形成装置へ送信するように構成されていることが好ましい。
【0019】このようにすれば、受信者情報が読み出されなかった画像データを適切に処理することができる。一方、通信装置の検索手段が画像形成装置を検索しても、当該通信装置に対応する画像データ(詳しくは、当該通信装置を識別するための第2識別情報に対応する受信者情報が読み出された画像データであって、当該通信装置の所有者を受信者とする画像データ)が存在しなければ無意味である。
【0020】そこで、請求項3に記載のデータ管理システムでは、データ管理装置が、読出手段により画像データに付与された受信者情報が読み出された場合に、この受信者情報に対応する通信装置(詳しくは、受信者情報に対応する第2識別情報から識別される通信装置)へ受信通知を送信する受信通知送信手段を備え、通信装置の検索手段が、当該通信装置で受信通知が受信された場合に、画像形成装置の検索を開始するように構成されている。
【0021】このような請求項3のデータ管理システムによれば、通信装置の検索手段により、当該通信装置に対応する画像データが存在しないにもかかわらず不要な検索が行われることを防ぐことができる。また、通信装置に対応する画像データが存在しても、その通信装置の所有者がそれに気付かなければ、画像形成装置へ出向かないことが考えられる。
【0022】そこで、請求項4に記載のデータ管理システムでは、データ管理装置が、読出手段により画像データに付与された受信者情報が読み出された場合に、この受信者情報に対応する通信装置へ受信通知を送信する受信通知送信手段を備え、通信装置が、受信通知を受信した場合に、当該通信装置の所有者に報知するための報知動作を行うように構成されている。
【0023】このような請求項4のデータ管理システムによれば、画像データの受信者が、その画像データの存在に気が付かないままでいるといったことを防ぐことができる。ところで、第1識別情報として画像形成装置の固有情報を用いる場合には、請求項5のように構成すればよい。
【0024】即ち、請求項5のデータ管理システムでは、通信装置の検索手段が、当該通信装置と通信可能な画像形成装置に記憶されているこの画像形成装置の固有情報を取得するとともに、識別情報送信手段が、検索手段により取得された画像形成装置の固有情報を、第1識別情報としてデータ管理装置へ送信するように構成されている。
【0025】このような請求項5のデータ管理システムによれば、例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)や、HTTP(HyperText Transfer Protocol)等といった汎用のプロトコルを用いて、汎用の画像形成装置からその画像形成装置に記憶されている固有情報を取得することができる。
【0026】また、請求項6に記載のデータ管理システムのように、検索手段が、通信を行う際に通信機器間で互いの固有情報を交換する通信方式により画像形成装置と通信を行って、この画像形成装置を検索するとともに、識別情報送信手段が、検索手段によって交換された画像形成装置の固有情報を、第1識別情報としてデータ管理装置へ送信するように構成されていてもよい。
【0027】このような請求項6のデータ管理システムによれば、例えば、bluetooth方式といった汎用の無線通信方式を用いて、汎用の画像形成装置からその画像形成装置に記憶されている固有情報としてのBDアドレス(Bluetooth Deviceアドレス)を取得することができる。
【0028】一方、通信装置の検索手段が、当該通信装置と通信可能な画像形成装置を検索した結果、複数の画像形成装置が同時に確認されることも考えられる。そこで、請求項7に記載のデータ管理システムでは、検索手段が、無線LANを介して通信可能な通信エリア内で画像形成装置を検索するとともに、2つ以上の画像形成装置を同時に確認した場合に、確認される画像形成装置が1つになるまで通信エリアを縮小するように構成されている。
【0029】このような請求項7のデータ管理システムによれば、通信装置に最も近い画像形成装置を容易に判断することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明が適用された実施形態のデータ管理システムについて、図面を用いて説明する。まず図1は、本実施形態のデータ管理システムの構成を表す構成図である。
【0031】このデータ管理システムは、プリンタ60で印刷処理すべき画像データとしての印刷データ及びFAXデータを管理するためのもので、文書サーバ10と、携帯電話装置40とを備えている。本データ管理システムにおいて、文書サーバ10は、LAN(ローカルエリアネットワーク)2を介して、複数のプリンタ60及びパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)4と接続されており、また、LAN2を介してインターネット6にも接続されている。更に、文書サーバ10は、公衆回線8にも接続されている。
【0032】そして、本実施形態において、文書サーバ10、携帯電話装置40及びプリンタ60は、それぞれbluetooth方式の無線通信が可能な構成となっている。ここで、周知ではあるが、bluetooth方式の無線通信について簡単に説明する。
【0033】bluetooth方式の通信は、2.4GHz帯域を用いた無線伝送方式で、その通信エリアは、送信出力のクラスにより異なるが、約10〜100[m]である。尚、本実施形態では、文書サーバ10、携帯電話装置40及びプリンタ60のそれぞれに、クラス3の送信出力のものが用いられており、半径約10[m]の通信エリア(ピコネットエリア)内に存在する通信相手との間で通信可能となっている。
【0034】また、bluetooth方式の通信を行う機器には、各機器の固有情報であるBDアドレス(Bluetooth Deviceアドレス)が記憶されている。そして、bluetooth方式による通信では、通信範囲内に存在する通信機器を検索する際に通信機器間で互いのBDアドレスが交換されるようになっている。
【0035】次に、文書サーバ10の構成について説明する。文書サーバ10は、図2に示すように、各種制御を行う制御部12と、図示しない表示器(ディスプレイ)に情報を表示する表示部14と、図示しない入力器(キーボード)により外部からの入力操作を受け付ける入力部16と、不揮発性メモリのNVRAM18と、公衆回線8を介してデータの送受信を行う公衆回線通信部20と、LAN2を介してデータの送受信を行うネットワーク通信部22と、bluetooth方式の無線通信によりデータの送受信を行うbluetooth通信部24と、外部から受信した印刷データやFAXデータを図示しない記憶装置(ハードディスク)に蓄積する蓄積部26と、これらを接続するバス28とを備えている。
【0036】また、NVRAM18は、プリンタデータベース30と、受信者データベース32と、通信方式データベース34とを備えている。尚、各データベースに記憶されている情報は、入力部16から入力されたものである。ここで、各データベースに記憶されている情報について説明する。
【0037】プリンタデータベース30には、図3に示すように、当該文書サーバ10とLAN2を介して接続されている各プリンタ60についての情報が記憶されている。具体的には、各プリンタ60の情報として、プリンタ名と、IPアドレス(Internet Protocolアドレス)と、BDアドレスとが記憶されており、更に、記憶されているプリンタ60のうちの一つが、後述する処理にて参照されるデフォルト装置として、予め指定されている。尚、図3では、「*」マークがデフォルト装置の指定を表している。また、以下の説明では、デフォルト装置に指定されているプリンタ60を、デフォルトプリンタ60という。
【0038】一方、受信者データベース32には、図4に示すように、本データ管理システムを利用してプリンタ60から印刷物を受け取る受信者の情報が記憶されている。具体的には、各受信者の情報として、受信者名が記憶されており、更に、各受信者が所有する携帯電話装置40の通信先情報として、Eメールアドレスと、BDアドレスと、電話番号とが記憶されている。
【0039】一方また、通信方式データベース34には、図5に示すように、当該文書サーバ10から携帯電話装置40への通信方式の優先度を表す情報が記憶されている。具体的には、通信方式(bluetooth、Eメール及び電話)と、それらの優先順位とが記憶されている。
【0040】次に、携帯電話装置40の構成について説明する。携帯電話装置40は、本データ管理システムを利用してプリンタ60から印刷物を受け取る各受信者に所有されているもので、図6に示すように、bluetooth方式の無線通信によりデータの送受信を行うbluetooth通信部42と、最寄りの基地局との無線通信によりインターネット6や公衆回線8等を介したデータの送受信を行う無線通信部44と、図示しない表示器(ディスプレイ)に情報を表示する表示部46と、図示しない入力器(操作キー)により外部からの入力操作を受け付ける入力部48と、不揮発性メモリのNVRAM50と、各種制御を行う制御部52と、これらを接続するバス54とを備えている。
【0041】次に、プリンタ60の構成について説明する。プリンタ60は、外部から受信した印刷データやFAXデータが表す画像を用紙へ印刷する印刷処理を行う汎用の装置で、図7に示すように、不揮発性メモリのNVRAM62と、図示しない表示器(ディスプレイ)に情報を表示する表示部64と、図示しない入力器(操作キー)により外部からの入力操作を受け付ける入力部66と、bluetooth方式の無線通信によりデータの送受信を行うbluetooth通信部68と、受信した印刷データ及びFAXデータが表す画像を用紙へ印刷する印刷部70と、各種制御を行う制御部72と、LAN2を介してデータの送受信を行うネットワーク通信部74と、これらを接続するバス76とを備えている。
【0042】次に、パソコン4について説明する。パソコン4には、本データ管理システム用のプリンタドライバがインストールされており、印刷に関する設定を行うための印刷設定操作として、印刷データの送信先となる文書サーバ10の指定や、この印刷データの表す画像が印刷された用紙(印刷物)を受け取るべき受信者の受信者名の入力等を行うことができるようになっている。そして、パソコン4は、印刷データの送信操作が行われると、入力された受信者名を含んだ印刷データを、送信先として指定された文書サーバ10へ、LAN2を介して送信する。
【0043】そして、文書サーバ10は、パソコン4からLAN2を介して送られて来る印刷データや、図示しない外部のファクシミリから公衆回線8やインターネット6を介して送られて来るFAXデータを受信すると、その印刷データ又はFAXデータ(以下、これらのデータを受信データともいう)を一旦蓄積すると共に、受信データが受信された旨の受信通知を、その受信データの表す画像が印刷された印刷物を受け取るべき受信者が所有する携帯電話装置40へ送信する。そして更に、文書サーバ10は、その携帯電話装置40から受信データの送信先のプリンタ60を指示する旨の出力指令を受信すると、そのプリンタ60へ受信データを送信する。
【0044】次に、このような文書サーバ10の動作を実現するために制御部12が行うデータ送信処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。尚、本データ送信処理は、ネットワーク通信部22又は公衆回線通信部20により受信データが受信されることで開始される。
【0045】このデータ送信処理が開始されると、まずS100にて、受信された受信データを蓄積部26に蓄積させる。そして、S110で、この受信データに受信者に関する受信者情報が含まれているか否かを確認するための受信者情報確認処理を行う。尚、この受信者情報確認処理の具体的な内容については、後述する。
【0046】そして、S120へ移行し、上記受信者情報確認処理の結果、受信データに受信者情報が含まれていた否かを判定する。このS120で、受信データに受信者情報が含まれていなかったと判定した場合には、S130へ移行し、ネットワーク通信部22に、S100にて蓄積部26に蓄積させた受信データをLAN2を介してデフォルトプリンタ60へ送信させる。尚、デフォルトプリンタ60へ受信データを送信する際の通信先情報としては、プリンタデータベース30に記憶されているIPアドレスが用いられる。
【0047】一方、S120で、受信データに受信者情報が含まれていたと判定した場合には、S140へ移行し、受信データが受信された旨の受信通知を、その受信データに含まれている受信者情報が表す受信者(以下、この受信者を受信者Aという)が所有する携帯電話装置40へ送信させる際に用いる通信方式を選択する通信方式選択処理を行う。尚、この通信方式選択処理の具体的な内容については、後述する。
【0048】そして、S150へ移行し、上記通信方式選択処理にて選択した通信方式に対応する通信部に、受信者Aが所有する携帯電話装置40へ受信通知を送信させる。そして次に、S160へ移行して、受信者Aが所有する携帯電話装置40からの出力指令が受信されたか否かを判定する。尚、出力指令は、後述するが、bluetooth方式、Eメール又は電話の何れかの通信方式で送信される。
【0049】ここで、受信された出力指令が、受信者Aが所有する携帯電話装置40により送信されたものであるか否かについては、以下のように判定する。
■出力指令がbluetooth方式の通信で送信されて来た場合には、その出力指令に送信元の携帯電話装置40のBDアドレス(第2識別情報に相当)が含まれているため、このBDアドレスが、受信者Aが所有する携帯電話装置40のものであるか否かを、受信者データベースを参照して判定する。
【0050】■また、出力指令がインターネット6を介してEメールで送信されて来た場合には、その出力指令に送信元の携帯電話装置40のEメールアドレス(第2識別情報に相当)が含まれているため、このEメールアドレスに基づき、■の場合と同様に判定する。
【0051】■一方、出力指令が公衆回線8を介して電話で送信されて来た場合には、その出力指令に送信元の携帯電話装置40の電話番号(第2識別情報に相当)が含まれているため、この電話番号に基づき、■,■の場合と同様に判定する。尚、上記■〜■では、いずれも携帯電話装置40に固有の通信先情報に基づき判定するようにしているが、これに限ったものではない。例えば、文書サーバ10が識別性のあるデータを含んだ受信通知を送信し、その受信通知を受信した携帯電話装置40が上記識別性のあるデータ(或いは、該データと関連性のあるデータ)を含んだ出力指令を返すようにすれば、文書サーバ10は、その出力指令に含まれたデータ(第2識別情報に相当)に基づき、受信通知の送信先の携帯電話装置40からのものであるか否かを判定することができる。
【0052】そして、S160で、受信者Aが所有する携帯電話装置40からの出力指令が受信されていないと判定した場合には、S170へ移行し、受信通知を送信してからの継続時間が一定時間T1を超えたか否かを判定する。このS170で、一定時間T1を超えていないと判定した場合には、S160へ戻る。
【0053】一方、S170で、一定時間T1を超えたと判定した場合には、S130へ移行し、ネットワーク通信部22に、S100にて蓄積部26に蓄積させた受信データをLAN2を介してデフォルトプリンタ60へ送信させる。一方また、S160で、受信者Aが所有する携帯電話装置40からの出力指令が受信されたと判定した場合には、S180へ移行し、ネットワーク通信部22に、S100にて蓄積部26に蓄積させた受信データをLANを介してプリンタ60へ送信させる。ここで、受信データの送信先となるプリンタ60は、受信された出力指令に基づき決定される。即ち、出力指令には、後述するが、受信者Aが所有する携帯電話装置40により検知されて存在が確認されたプリンタ60のBDアドレス(第1識別情報に相当)が含まれており、このBDアドレスに対応するIPアドレスをプリンタデータベース30から取得して、受信データを送信する際の通信先情報として用いるようになっている。
【0054】尚、S180又はS130において、受信データの送信先となるプリンタ60が当該文書サーバ10のピコネットエリア内のプリンタ60である場合には、bluetooth通信部24に受信データを送信させるようにしてもよい。この場合には、受信された出力指令に含まれているプリンタ60のBDアドレスを、受信データを送信する際の通信先情報としてそのまま用いることができるため、プリンタデータベース30を参照する必要がない。
【0055】こうして、S130又はS180で、プリンタ60へ受信データを送信させると、S190へ移行し、S100にて蓄積部26に蓄積させた受信データ(即ち、プリンタ60へ送信済みの受信データ)を蓄積部26に消去させて、本データ送信処理を終了する。
【0056】つまり、本データ送信処理では、受信データに受信者情報が含まれていない場合や、受信者情報は含まれているものの、その後に出力指令が受信されない場合には、その受信データをデフォルトプリンタ60へ送信させるようになっており、一方、受信データに受信者情報が含まれており、且つ、出力指令が受信された場合には、受信データをその出力指令に基づくプリンタ60へ送信させるようになっている。
【0057】次に、文書サーバ10の制御部12が行う受信者情報確認処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。尚、本受信者情報確認処理は、前述したデータ送信処理(図8)におけるS110の処理に当たる。この受信者情報確認処理が開始されると、まず、S200にて、受信データがFAXデータであるか否かを判定する。具体的には、受信データを受信した通信部と、受信データのデータ形式とに基づいて判定するようになっている。即ち、受信データが公衆回線通信部20により受信されたのであれば、その受信データはFAXデータであると判定する。また、受信データがネットワーク通信部22により受信されたのであれば、パソコン4からの印刷データとインターネットファクシミリからのFAXデータとの何れかであることが考えられるため、通信に用いたプロトコルの種類(必要に応じてデータ形式についても)に基づき判別する。
【0058】そして、S200で、受信データがFAXデータであると判定した場合には、S210へ移行し、その受信データをスキャンして、この受信データが表す画像の宛先部分(例えば、1ページ目の画像の左上に当たる部分)を参照する。そして次に、S220で、受信データが表す画像の宛先部分に名前の書き込みがあるか否かを判定する。
【0059】このS220で、宛先部分に名前の書き込みがあると判定した場合には、S230へ移行し、その宛先部分に書かれている名前を、受信者名を表す受信者情報と判断して、本受信者情報確認処理を終了する。一方、S220で、宛先部分に名前の書き込みが無いと判定した場合には、S240へ移行し、受信データに受信者情報が含まれていないと判断して、本受信者情報確認処理を終了する。
【0060】一方また、S200で、受信データがFAXデータではない(即ち、印刷データである)と判定した場合には、S250へ移行し、受信データに受信者名が含まれているか否かを判定する。そして、S250で、受信者名が含まれていないと判定した場合には、S240へ移行し、受信データに受信者情報が含まれていないと判断して、本受信者情報確認処理を終了する。
【0061】一方、S250で、受信者名が含まれていると判定した場合には、S260へ移行し、その受信者名を受信者情報と判断して、本受信者情報確認処理を終了する。次に、文書サーバ10の制御部12が行う通信方式選択処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。尚、本通信方式選択処理は、前述したデータ送信処理(図8)におけるS140の処理に当たる。
【0062】この通信方式選択処理が開始されると、まず、S300にて、通信方式データベース34を参照して、最も優先度の高い通信方式(この例では、bluetooth)を選択する。そして、S310へ移行し、受信者データベース32を参照して、受信データに含まれている受信者情報が表す受信者Aについて、選択した通信方式での通信先情報が登録されているか否かを判定する。尚、S310において、BDアドレスについては、受信者データベース32に登録されていても、当該文書サーバ10と通信可能な範囲(即ち、当該文書サーバ10のピコネットエリア内)にそのBDアドレスの携帯電話装置40が存在していない場合には、登録されていないと判定する。
【0063】このS310で、通信先情報が登録されていないと判定した場合には、S320へ移行し、通信方式データベース34を参照して、次に優先度の高い通信方式を選択し、S310へ戻る。一方、S310で、通信先情報が登録されていると判定した場合には、S330へ移行し、その通信方式に決定して、本通信方式選択処理を終了する。
【0064】つまり、本通信方式選択処理では、受信者Aが所有する携帯電話装置40と通信可能な通信方式の中から、最も優先度が高いものを選択するようになっている。尚、本実施形態では、通信方式の優先度が、通信コストに基づき定められている。
【0065】次に、携帯電話装置40の制御部52が行う検索処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。尚、本検索処理は、文書サーバ10からの受信通知がbluetooth通信部42又は無線通信部44により受信されると自動的に開始される。但し、受信通知がEメールにより送信されて来た場合に限っては、そのEメールの開封操作が入力部48の操作キーから行われることにより開始される。
【0066】この検索処理が開始されると、まずS400にて、受信データが文書サーバ10に送信されて来た旨のメッセージの表示を、表示部46に行わせる。そして、S410へ移行し、当該携帯電話装置40のピコネットエリア内にプリンタ60が存在するか否かを判定する。つまり、ピコネットエリア内でプリンタ60を検索するようになっている。
【0067】具体的には、ピコネットエリア内のbluetooth通信機器に応答を求めるための要求信号を、bluetooth通信部42に送信させ、応答信号がbluetooth通信部42により受信されたか否かで判定する。ここで、ピコネットエリア内にプリンタ60以外のbluetooth通信機器が存在している場合にも応答信号が受信されることとなるが、bluetooth方式の通信機器が有する標準機能として、通信相手の装置の種別を問い合わせる機能があるため、この機能を利用して、応答信号を送信してきたbluetooth通信機器がプリンタ60であるか否かを判断することができる。尚、応答信号が受信されると共に、通信相手のBDアドレスが取得される。
【0068】そして、S410で、ピコネットエリア内にプリンタ60が存在しないと判定した場合には、S420へ移行し、プリンタ60の検索を開始してからの継続時間が一定時間T2を超えたか否かを判定する。このS420で、一定時間T2を超えたと判定した場合には、そのまま本検索処理を終了する。
【0069】一方、S420で、一定時間T2を超えていないと判定した場合には、S430へ移行し、一定時間T3だけ待機して、S410へ戻る。尚、S430にて一定時間T3だけ待機するのは、プリンタ60の検索に要する消費電力を低減するためである。
【0070】一方また、S410で、ピコネットエリア内にプリンタ60が存在すると判定した場合(即ち、通信可能なプリンタ60が確認された場合)には、S440へ移行し、文書サーバ10についての通信先情報の中から、最も優先度の高い通信先情報を選択する。尚、当該携帯電話装置40のNVRAM50には、文書サーバ10についての通信先情報として、BDアドレス、Eメールアドレス及び電話番号が、BDアドレス→Eメールアドレス→電話番号の優先順位で予め記憶されている。
【0071】そして、S450へ移行し、選択した通信先情報を通信先として文書サーバ10と通信ができるか否かを判定する。このS450で、選択した通信先情報を用いて文書サーバ10と通信ができないと判定した場合には、S460へ移行し、次に優先度の高い通信先情報を選択して、S450に戻る。
【0072】一方、S450で、選択した通信先情報を用いて文書サーバ10と通信ができると判定した場合には、S470へ移行し、その通信先情報に対応する通信部に、存在が確認されたプリンタ60のBDアドレスを含んだ出力指令を文書サーバ10へ送信させて、本検索処理を終了する。
【0073】次に、本データ管理システムの動作例について説明する。尚、以下の説明において、図1に示す文書サーバ10及び複数のプリンタ60は、同じフロアに設置されているものとし、図1に示す複数のパソコン4は、文書サーバ10及びプリンタ60が設置されているフロア(以下、第1フロアという)とは異なるフロア(以下、第2フロアという)に設置されているものとする。
【0074】[第1動作例]第1動作例として、第1フロアで仕事をしているTaroさん宛てに、第2フロアに設置されているパソコン4から、印刷データを送信する場合について説明する。
【0075】第2フロアに設置されているパソコン4の使用者が、パソコン4からの印刷設定操作として、第1フロアに設置されている文書サーバ10を印刷データの送信先に指定すると共に、受信者名を「Taro」と入力し、更に、印刷データの送信操作を行うと、パソコン4上の印刷データが、第1フロアに設置されている文書サーバ10へLAN2を介して送信される。
【0076】そして、文書サーバ10は、パソコン4からの印刷データを受信すると、図8のS100〜S120の処理として、受信した印刷データを一旦蓄積すると共に、この印刷データに受信者名が含まれていることを確認する。尚、パソコン4からの印刷設定操作において、受信者名が入力されなかった場合には、S130の処理へ移行し、Taroさん宛ての印刷データをLAN2を介してデフォルトプリンタ60へ送信して印刷物を出力させ、更に、S190の処理として、蓄積した印刷データを消去する。
【0077】そして次に、文書サーバ10は、S140の処理として、印刷データに含まれている受信者名(「Taro」)の表す受信者が所有する携帯電話装置40へ受信通知を送信する際に用いる通信方式を、通信方式データベース34に記憶している通信方式の優先度と、受信者データベース32に記憶している通信先情報(詳しくは、Taroさんが所有する携帯電話装置40の通信先情報)とに基づいて選択する。
【0078】ここで、Taroさんは、文書サーバ10から離れた位置で仕事をしており、文書サーバ10とTaroさんの所有する携帯電話装置40とが、bluetooth方式の通信を行えない状態になっているものとする。そのため、文書サーバ10は、bluetoothの次に優先度の高いEメールを通信方式として選択する。
【0079】そして、文書サーバ10は、S150の処理として、Taroさんの所有する携帯電話装置40へEメールによる受信通知を送信する。一方、Taroさんの所有する携帯電話装置40は、Eメールによる受信通知を受信すると、当該携帯電話装置40の本来の機能として、着信音及び振動による報知動作を行い、更に、TaroさんによりEメールの開封操作が行われると、図11のS400の処理として、文書サーバ10にデータが送信されて来た旨のメッセージを表示器に表示する。また、携帯電話装置40は、S410〜S430の処理として、当該携帯電話装置40のピコネットエリア内に存在するプリンタ60の検索を開始する。尚、この時点では、携帯電話装置40のピコネットエリア内にプリンタ60が存在しないものとする。
【0080】そして、Taroさんが、自分宛のデータの印刷物を取りに行くために最寄りのプリンタ60の方へ出向くことで、携帯電話装置40のピコネットエリア内にプリンタ60が入ると、携帯電話装置40は、プリンタ60を検知すると共に、そのプリンタ60のBDアドレスを取得する。尚、Taroさんがプリンタ60の方へ出向かず、プリンタ60の検索を開始してからプリンタ60を検知できない継続時間が一定時間T2を超えると、携帯電話装置40は、出力指令を送信することなく処理を終了する。
【0081】また、携帯電話装置40は、S440〜S460の処理として、予め記憶している優先順位に基づき、文書サーバ10へ出力指令を送信するための通信先情報を選択する。ここで、Taroさんは、文書サーバ10から離れた位置にあるプリンタ60へ出向いており、文書サーバ10とTaroさんの所有する携帯電話装置40とが、bluetooth方式の通信を行えない状態になっているものとする。そのため、携帯電話装置40は、BDアドレスの次に優先度の高いEメールアドレスを、出力指令を送信するための通信先情報として用いる。
【0082】そして、携帯電話装置40は、S470の処理として、検知したプリンタ60のBDアドレスを含む出力指令をEメールで文書サーバ10へ送信する。一方、文書サーバ10は、図8のS160,S170の処理として、携帯電話装置40からEメールによる出力指令を受信すると、その出力指令の送信元のEメールアドレス及び受信者データベース32に基づき、Taroさんの所有する携帯電話装置40からの出力指令であると判断する。
【0083】そして、文書サーバ10は、S180の処理として、受信した出力指令に含まれるプリンタ60のBDアドレスと、プリンタデータベース30とに基づき、携帯電話装置40により検知されたプリンタ60のIPアドレスを読み出し、このIPアドレスを通信先として、Taroさん宛の印刷データをLAN2を介して送信する。これにより、Taroさんが出向いたプリンタ60で印刷物が出力される。尚、受信通知を送信してから出力指令を受信できない継続時間が一定時間T1を超えると、S130の処理へ移行し、Taroさん宛の印刷データをLAN2を介してデフォルトプリンタ60へ送信して、印刷物を出力させる。
【0084】その後、文書サーバ10は、S190の処理として、蓄積した印刷データを消去する。
[第2動作例]第2動作例として、第1フロアで仕事をしているHanakoさん宛てに、公衆回線8を介して接続されている外部のファクシミリからのFAXデータが送信されて来た場合について説明する。尚、外部のファクシミリからのFAXデータは、文書サーバ10の電話番号を通信先として送信される。
【0085】文書サーバ10は、外部のファクシミリからのFAXデータを受信すると、図8のS100〜S120の処理として、受信したFAXデータを一旦蓄積すると共に、このFAXデータをスキャンして、そのFAXデータが表す画像の宛先部分に書かれている名前(「Hanako」)を、受信者名を表す受信者情報と判断する。尚、FAXデータが表す画像の宛先部分に名前が書かれていなければ、S130の処理へ移行し、Hanakoさん宛てのFAXデータをLAN2を介してデフォルトプリンタ60へ送信して印刷物を出力させ、更に、S190の処理として、蓄積したFAXデータを消去する。
【0086】そして次に、文書サーバ10は、S140の処理として、FAXデータに含まれている受信者名(「Hanako」)の表す受信者が所有する携帯電話装置40へ受信通知を送信する際に用いる通信方式を、通信方式データベース34に記憶している通信方式の優先度と、受信者データベース32に記憶している通信先情報(詳しくは、Hanakoさんが所有する携帯電話装置40の通信先情報)とに基づいて選択する。
【0087】ここで、Hanakoさんは、文書サーバ10から離れた位置で仕事をしており、文書サーバ10とHanakoさんの所有する携帯電話装置40とが、bluetooth方式の通信を行えない状態になっているものとする。また、Hanakoさんの携帯電話装置40には、Eメールを送受信する機能がないものとする。そのため、文書サーバ10は、Eメールの次に優先度の高い電話を通信方式として選択する。
【0088】そして、文書サーバ10は、S150の処理として、Hanakoさんの所有する携帯電話装置40へ、公衆回線8を介して電話による受信通知を送信する。一方、Hanakoさんの所有する携帯電話装置40は、電話による受信通知を受信すると、当該携帯電話装置40の本来の動作として、着信音及び振動による報知動作を行い、数回のコールの後、自動着信して受信通知のデータを受信する。そして、図11のS400の処理として、文書サーバ10にデータが送信されて来た旨のメッセージを表示器に表示する。また、携帯電話装置40は、S410〜S430の処理として、当該携帯電話装置40のピコネットエリア内に存在するプリンタ60の検索を開始する。尚、この時点では、携帯電話装置40のピコネットエリア内にプリンタ60が存在しないものとする。
【0089】そして、Hanakoさんが、自分宛のデータの印刷物を取りに行くために最寄りのプリンタ60の方へ出向くことで、携帯電話装置40のピコネットエリア内にプリンタ60が入ると、携帯電話装置40は、プリンタ60を検知すると共に、そのプリンタ60のBDアドレスを取得する。尚、Hanakoさんがプリンタ60の方へ出向かず、プリンタ60の検索を開始してからプリンタ60を検知できない継続時間が一定時間T2を超えると、携帯電話装置40は、出力指令を送信することなく処理を終了する。
【0090】また、携帯電話装置40は、S440〜S460の処理として、予め記憶している優先順位に基づき、文書サーバ10へ出力指令を送信するための通信先情報を選択する。ここで、Hanakoさんは、文書サーバ10に最も近い位置にあるプリンタ60へ出向いており、文書サーバ10とHanakoさんの所有する携帯電話装置40とが、bluetooth方式の通信を行える状態になっているものとする。そのため、携帯電話装置40は、優先度の最も高いBDアドレスを、出力指令を送信するための通信先情報として用いる。
【0091】そして、携帯電話装置40は、S470の処理として、検知したプリンタ60のBDアドレスを含む出力指令を、bluetooth方式の通信で文書サーバ10へ送信する。一方、文書サーバ10は、図8のS160,S170の処理として、携帯電話装置40からbluetooth方式の通信で出力指令を受信すると、その出力指令の送信元のBDアドレス及び受信者データベース32に基づき、Hanakoさんの所有する携帯電話装置40からの出力指令であると判断する。
【0092】そして、文書サーバ10は、S180の処理として、受信した出力指令に含まれるプリンタ60のBDアドレスと、プリンタデータベース30とに基づき、携帯電話装置40により検知されたプリンタ60のIPアドレスを読み出し、このIPアドレスを通信先として、Hanakoさん宛のFAXデータをLAN2を介して送信する。これにより、Hanakoさんが出向いたプリンタ60で印刷物が出力される。尚、受信通知を送信してから出力指令を受信できない継続時間が一定時間T1を超えると、S130の処理へ移行し、Hanakoさん宛のFAXデータをLAN2を介してデフォルトプリンタ60へ送信して、印刷物を出力させる。
【0093】その後、文書サーバ10は、S190の処理として、蓄積したFAXデータを消去する。このような本実施形態のデータ管理システムによれば、受信者が受け取るべき印刷物を、その受信者の近くのプリンタ60で確実に出力させることができる。しかも、受信者は、受信通知によるメッセージを確認した後で、最寄りのプリンタ60へ出向くだけでよく、受信データの送信先のプリンタ60を指示するための面倒な入力操作を一切行う必要がない。
【0094】また、受信者情報が含まれていない受信データについては、デフォルトプリンタ60へ送信するようになっているため、適切に処理することができる。また更に、携帯電話装置40からの出力指令を受信できない受信データについても、デフォルトプリンタ60へ送信するようになっているため、文書サーバ10内に蓄積された受信データが印刷されないまま忘れられてしまうことを防ぐことができる。
【0095】一方、携帯電話装置40によるプリンタ60の検索が、必要なときにのみ行われるようになっているため、携帯電話装置40の消費電力を低減することができる。また、携帯電話装置40が、受信通知を受信すると、着信音及び振動による報知動作に加え、メッセージの表示による報知動作を行うことで、携帯電話装置40の所有者に受信データの存在を効果的に知らせることができる。
【0096】加えて、本データ管理システムを利用するプリンタ60には、特別な機能を持たせる必要がないため、bluetooth方式の通信に対応した汎用のプリンタ60を使用することができる。尚、上記実施形態では、プリンタ60が、画像形成装置に相当し、文書サーバ10が、データ管理装置に相当し、携帯電話装置40が、通信装置に相当している。
【0097】また、bluetooth通信部42と、図11におけるS410〜S430の処理とが、検索手段に相当し、bluetooth通信部42と、無線通信部44と、図11におけるS470の処理とが、識別情報送信手段に相当している。
【0098】一方、図8におけるS110の処理が、読出手段に相当し、公衆回線通信部20と、ネットワーク通信部22と、bluetooth通信部24と、図8におけるS160,S170の処理とが、受信手段に相当する。また更に、ネットワーク通信部22と、図8におけるS130,S180の処理とが、データ送信手段に相当し、公衆回線通信部20と、ネットワーク通信部22と、bluetooth通信部24と、図8におけるS150の処理とが、受信通知送信手段に相当している。
【0099】以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。例えば、上記実施形態のデータ管理システムでは、携帯電話装置40が、当該携帯電話装置40のピコネットエリア内に存在するプリンタ60を検索するようになっているが、ピコネットエリア内に複数のプリンタ60が存在することも考えられる。
【0100】そこで、携帯電話装置40が、複数のプリンタ60を検知すると、検知されるプリンタ60が1台になるまで、当該携帯電話装置40のピコネットエリアの範囲を縮小していく(即ち、送信出力を下げていく)ようにしてもよい。このようにすれば、携帯電話装置40が、当該携帯電話装置40に最も近いプリンタ60を容易に判断することができる。
【0101】また、上記実施形態のデータ管理システムでは、文書サーバ10が、受信データを送信する際の通信先情報であるプリンタ60のIPアドレスを、携帯電話装置40からの出力指令に含まれるプリンタ60のBDアドレスと、当該文書サーバ10のプリンタデータベース30とに基づいて得るようになっているが、これに限ったものではない。例えば、携帯電話装置40が、周知の簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)を利用して、プリンタ60に記憶されているそのプリンタ60の通信先情報を取得する構成であってもよい。
【0102】具体的には、プリンタ60が、SNMPに基づく管理情報ベース(MIB)内の管理情報として、当該プリンタ60のプリンタ名、IPアドレス及びBDアドレスといった固有情報を記憶しており、携帯電話装置40が、SNMPマネージャを用いてプリンタ60から固有情報を取得し、その固有情報を含んだ出力指令を文書サーバ10へ送信する。このようにすれば、文書サーバ10は、受信データを送信する際の通信先情報であるプリンタ60のIPアドレスを、携帯電話装置40から直接取得することができるため、プリンタデータベース30を参照する必要がない。また、MIBを備えた汎用のプリンタ60をそのまま利用することができる。
【0103】また、MIB内の情報は、SNMP以外のプロトコルを用いて取得することも可能である。例えば、MIB内の固有情報についてのURLがプリンタ60で定義されていれば、携帯電話装置40が、HTTPを用いてそのURLを指定したGet指令をプリンタ60へ送信することで、MIB内の固有情報を返信させることができる。
【0104】また更に、上記実施形態のデータ管理システムでは、携帯電話装置40が、プリンタ60を検知すると直ちに出力指令を文書サーバ10へ送信するようになっているが、これに限ったものではない。例えば、携帯電話装置40が、プリンタ60を検知すると、まず当該携帯電話装置40の所有者にプリンタ60を出力してよいか否かの確認操作を求めるようにしてもよい。このようにすれば、受信者が意図していないタイミングで印刷物が出力されてしまうことを防止することができるので、特に、機密内容の画像を印刷する場合に効果的である。また、上記確認操作は、簡単な操作(例えば、1つのキーを押すだけのワンタッチ操作)にすることが可能であるため、操作が煩雑にならない。
【0105】一方、上記実施形態のデータ管理システムでは、携帯電話装置40が、プリンタ60を検索するための無線LANによる通信方式としてbluetooth方式を用いたが、これ以外の通信方式(例えば、IEEE802.11など)を用いてもよい。
【0106】一方また、文書サーバ10は、プリンタ60と一体のものであってもよい。例えば、プリンタ機能やファクシミリ機能を備えた複合装置(所謂、マルチファンクションペリフェラル(MFP))に文書サーバ10を組み込んだものが考えられる。尚、この場合には、MFPにおいてプリンタ60として機能する部分が、画像形成装置に相当し、MFPにおいて文書サーバ10として機能する部分が、データ管理装置に相当する。
【0107】また、上記実施形態では、画像形成装置として印刷データ又はFAXデータが表す画像を用紙へ印刷するプリンタ60を用いたが、これに限ったものではなく、例えば、受信したデータが表す画像を画面に表示する表示装置であってもよい。
【0108】更に、上記実施形態では、文書データに受信データが到来した後であって、かつ、携帯電話装置40からプリンタ60のBDアドレスを受信した後に、そのプリンタ60に対して受信データを送信する例を挙げて説明したが、これに限ったものではなく、携帯電話装置40から受信したプリンタ60のBDアドレスの内、最新のBDアドレスを記憶しておき、文書サーバに受信データが到来する度に、その最新のBDアドレスを有するプリンタ60に受信データを送信する構成にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態のデータ管理システムの構成を表す構成図である。
【図2】 文書サーバの構成を表すブロック図である。
【図3】 プリンタデータベースの説明図である。
【図4】 受信者データベースの説明図である。
【図5】 通信方式データベースの説明図である。
【図6】 携帯電話装置の構成を表すブロック図である。
【図7】 プリンタの構成を表すブロック図である。
【図8】 データ送信処理を表すフローチャートである。
【図9】 受信者情報確認処理を表すフローチャートである。
【図10】 通信方式選択処理を表すフローチャートである。
【図11】 検索処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
10…文書サーバ、12,52,72…制御部、14,46,64…表示部、16,48,66…入力部、18,50,62…NVRAM、20…公衆回線通信部、22,74…ネットワーク通信部、24,42,68…bluetooth通信部、26…蓄積部、28,54,76…バス、30…プリンタデータベース、32…受信者データベース、34…通信方式データベース、40…携帯電話装置、44…無線通信部、60…プリンタ、70…印刷部
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像形成装置で処理すべき画像データを管理するデータ管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、画像形成装置としての複数のプリンタと、これらに画像データとしての印刷データを送信するコンピュータとがネットワークを介して繋がったシステムでは、印刷要求を行う者が、印刷データの送信先となるプリンタをコンピュータから指定することで、所望のプリンタに印刷物を出力させることができる。
【0003】ここで、印刷要求者と、この印刷要求者からの要求により出力される印刷物を受け取るべき受取対象者である受信者とが同一人物である場合には、印刷要求者(この場合、受信者でもある)が自分の近くにあるプリンタを印刷データの送信先に指定すればよいが、印刷要求者と受信者とが異なる場合には、印刷要求者が受信者の現在位置を把握していないと、受信者から離れた位置にあるプリンタで印刷物が出力されてしまうことがある。受信者が常に同じ位置にいるとは限らないからである。
【0004】一方、特開2001−154822号公報に記載のネットワークプリンタシステムでは、印刷要求者により入力される情報キーを用いて印刷データの送信先となるプリンタを指定するようにしている。即ち、このネットワークプリンタシステムの場合、プリンタは、印刷要求者に情報キーを入力させ、この情報を自身の識別情報(MACアドレス等)と共にネットワーク内にブロードキャストする。一方、ワークステーションは、印刷要求者に情報キーを入力させると共に、プリンタ側からブロードキャストされてきた情報キーと、自身において入力された情報キーとが一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合に、その情報キーをブロードキャストしたプリンタを、印刷データの送信先のプリンタとして設定する。
【0005】従って、このようなシステムを利用して、印刷要求者がコンピュータから情報キーを入力すると共に、受信者がプリンタから同一の情報キーを入力するようにすれば、受信者の近くに位置するプリンタに印刷物を出力させることが考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このようなシステムでは、受信者が印刷物を受け取る際に、プリンタから情報キーをわざわざ入力しなければならないため、煩わしい。しかも、受信者がプリンタから入力する情報キーは、印刷要求者がコンピュータから入力する情報キーと同一の情報でなければならないことから、印刷要求者と受信者とが異なる場合は、印刷要求者から受信者に情報キーを連絡しなければならなくなり、実用的ではない。
【0007】本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、受信者に煩わしい入力操作を行わせることなく、受信者の近くの画像形成装置へ画像データを送信することができるデータ管理システムを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記目的を達成するためになされた請求項1に記載のデータ管理システムは、画像データが表す画像を形成する複数の画像形成装置と通信可能なデータ管理装置と、このデータ管理装置及び画像形成装置と通信可能な通信装置と、を備えたものである。尚、通信装置としては、例えば、携帯電話装置やPDA(Personal Digital(Data) Assistants)のように、容易に持ち運びができるような小型・軽量のものが好ましい。
【0009】そして、通信装置では、検索手段が、当該通信装置と通信可能な画像形成装置を検索し、識別情報送信手段が、検索手段により画像形成装置が確認された場合に、その画像形成装置を識別するための第1識別情報を、当該通信装置を識別するための第2識別情報と共に、データ管理装置へ送信する。尚、第1識別情報は、データ管理装置にて画像形成装置を識別する際の手掛かりとなる情報であればよく、この第1識別情報としては、例えば、画像形成装置の通信先アドレスや、画像形成装置に付けられた名称等を用いることができる。また、第2識別情報は、データ管理装置にて通信装置を識別する際の手掛かりとなる情報であればよく、この第2識別情報としては、例えば、通信装置の通信先アドレスや、通信装置の所有者名等を用いることができる。
【0010】一方、データ管理装置では、読出手段が、複数の画像形成装置のうちの何れかで処理すべき画像データから、その画像データに付与された受信者(即ち、その画像データが表す画像を受けるべき対象者)を表す受信者情報を読み出し、受信手段が、通信装置から第1識別情報及び第2識別情報を受信する。そして更に、データ送信手段が、受信手段により受信された第2識別情報に対応する受信者情報が読み出された画像データを、受信手段により受信された第1識別情報から識別される画像形成装置へ送信する。尚、画像データに付与された受信者情報とは、画像データが表す画像とは別に追加された情報であってもよく、画像データが表す画像に含まれた情報であってもよい。また、第2識別情報に対応する受信者情報とは、第2識別情報から識別される通信装置の所有者を識別するための情報のことである。
【0011】このような請求項1のデータ管理システムでは、通信装置と画像形成装置との通信を、通信エリアが比較的狭い通信方式を用いて行うことで、通信装置の検索手段が、当該通信装置の近くに存在する画像形成装置を検索することとなる。そして、この検索手段により当該通信装置と通信可能な画像形成装置が確認された場合(即ち、当該通信装置の近くに存在する画像形成装置が検知された場合)に、通信装置の識別情報送信手段が、その確認された画像形成装置を識別するための第1識別情報を、第2識別情報と共にデータ管理装置へ送信する。尚、識別情報送信手段が各識別情報をデータ管理装置へ送信するタイミングは、例えば、検索手段により画像形成装置が確認された時であってもよく、また、検索手段により画像形成装置が確認されている状態で所定の入力操作が行われた時であってもよい。
【0012】そして、データ管理装置では、データ送信手段が、受信手段により受信された第1識別情報から識別される画像形成装置(即ち、受信手段により受信された第2識別情報から識別される通信装置の近くに位置している画像形成装置)へ、その第2識別情報に対応する受信者情報が読み出された画像データを送信するようになっているが、ここで、第2識別情報に対応する受信者情報については、例えば、次の(1),(2)のように判断することができる。
【0013】(1)本データ管理システムに用いられる第2識別情報と受信者情報とが同一の情報を表すものである場合、例えば、第2識別情報及び受信者情報が、共に通信装置の所有者名を表すものである場合には、受信手段により受信された第2識別情報と同一内容の受信者情報を、第2識別情報に対応する受信者情報として判断する。
【0014】(2)一方、本データ管理システムに用いられる第2識別情報と受信者情報とが異なる情報を表すものである場合、例えば、第2識別情報が通信装置の通信先アドレスを表すものであり、受信者情報がその通信装置の所有者名を表すものである場合には、第2識別情報と受信者情報との対応を予め記憶しておき、受信手段により受信された第2識別情報に対応させて記憶している受信者情報を、第2識別情報に対応する受信者情報として判断する。
【0015】このような請求項1のデータ管理システムによれば、通信装置を所有した受信者の近くに位置している画像形成装置へ、その受信者を表す受信者情報が付与された画像データが送信されるため、受信者が受けるべき画像を、その受信者の近くの画像形成装置に確実に形成させることができる。
【0016】しかも、受信者は、画像データの送信先となる画像形成装置を指定するための煩雑な入力操作を行う必要がない。例えば、通信装置により画像形成装置が確認されると直ちにデータ管理装置からその画像形成装置へ画像データが送信されるようにすれば、受信者による入力操作を全く不要にすることができる。一方、通信装置により画像形成装置が確認されても、その通信装置で所定の入力操作が行われない間はデータ管理装置からその画像形成装置へ画像データが送信されないようにすれば、受信者の意図しないタイミングで画像形成装置により画像が形成されてしまうことを防止することができるため、特に、画像データの表す画像が機密内容の場合に効果的である。そして、この場合にも、上記所定の入力操作は簡単な操作にすることが可能である。
【0017】加えて、本データ管理システムを利用する画像形成装置には、特別な機能を持たせる必要がないため、汎用の画像形成装置(例えば、プリンタやファクシミリ等)を使用することができる。ところで、請求項1のデータ管理システムでは、受信者情報が付与された画像データを、その受信者情報が表す受信者の近くに位置している画像形成装置へ送信することができるが、データ管理装置の読出手段により画像データから受信者情報が読み出されなかった場合には、その画像データの送信先の画像形成装置を特定することができない。
【0018】そこで、請求項2に記載のデータ管理システムのように、読出手段により画像データから受信者情報が読み出されなかった場合には、データ送信手段が、その画像データを予め決められた画像形成装置へ送信するように構成されていることが好ましい。
【0019】このようにすれば、受信者情報が読み出されなかった画像データを適切に処理することができる。一方、通信装置の検索手段が画像形成装置を検索しても、当該通信装置に対応する画像データ(詳しくは、当該通信装置を識別するための第2識別情報に対応する受信者情報が読み出された画像データであって、当該通信装置の所有者を受信者とする画像データ)が存在しなければ無意味である。
【0020】そこで、請求項3に記載のデータ管理システムでは、データ管理装置が、読出手段により画像データに付与された受信者情報が読み出された場合に、この受信者情報に対応する通信装置(詳しくは、受信者情報に対応する第2識別情報から識別される通信装置)へ受信通知を送信する受信通知送信手段を備え、通信装置の検索手段が、当該通信装置で受信通知が受信された場合に、画像形成装置の検索を開始するように構成されている。
【0021】このような請求項3のデータ管理システムによれば、通信装置の検索手段により、当該通信装置に対応する画像データが存在しないにもかかわらず不要な検索が行われることを防ぐことができる。また、通信装置に対応する画像データが存在しても、その通信装置の所有者がそれに気付かなければ、画像形成装置へ出向かないことが考えられる。
【0022】そこで、請求項4に記載のデータ管理システムでは、データ管理装置が、読出手段により画像データに付与された受信者情報が読み出された場合に、この受信者情報に対応する通信装置へ受信通知を送信する受信通知送信手段を備え、通信装置が、受信通知を受信した場合に、当該通信装置の所有者に報知するための報知動作を行うように構成されている。
【0023】このような請求項4のデータ管理システムによれば、画像データの受信者が、その画像データの存在に気が付かないままでいるといったことを防ぐことができる。ところで、第1識別情報として画像形成装置の固有情報を用いる場合には、請求項5のように構成すればよい。
【0024】即ち、請求項5のデータ管理システムでは、通信装置の検索手段が、当該通信装置と通信可能な画像形成装置に記憶されているこの画像形成装置の固有情報を取得するとともに、識別情報送信手段が、検索手段により取得された画像形成装置の固有情報を、第1識別情報としてデータ管理装置へ送信するように構成されている。
【0025】このような請求項5のデータ管理システムによれば、例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)や、HTTP(HyperText Transfer Protocol)等といった汎用のプロトコルを用いて、汎用の画像形成装置からその画像形成装置に記憶されている固有情報を取得することができる。
【0026】また、請求項6に記載のデータ管理システムのように、検索手段が、通信を行う際に通信機器間で互いの固有情報を交換する通信方式により画像形成装置と通信を行って、この画像形成装置を検索するとともに、識別情報送信手段が、検索手段によって交換された画像形成装置の固有情報を、第1識別情報としてデータ管理装置へ送信するように構成されていてもよい。
【0027】このような請求項6のデータ管理システムによれば、例えば、bluetooth方式といった汎用の無線通信方式を用いて、汎用の画像形成装置からその画像形成装置に記憶されている固有情報としてのBDアドレス(Bluetooth Deviceアドレス)を取得することができる。
【0028】一方、通信装置の検索手段が、当該通信装置と通信可能な画像形成装置を検索した結果、複数の画像形成装置が同時に確認されることも考えられる。そこで、請求項7に記載のデータ管理システムでは、検索手段が、無線LANを介して通信可能な通信エリア内で画像形成装置を検索するとともに、2つ以上の画像形成装置を同時に確認した場合に、確認される画像形成装置が1つになるまで通信エリアを縮小するように構成されている。
【0029】このような請求項7のデータ管理システムによれば、通信装置に最も近い画像形成装置を容易に判断することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明が適用された実施形態のデータ管理システムについて、図面を用いて説明する。まず図1は、本実施形態のデータ管理システムの構成を表す構成図である。
【0031】このデータ管理システムは、プリンタ60で印刷処理すべき画像データとしての印刷データ及びFAXデータを管理するためのもので、文書サーバ10と、携帯電話装置40とを備えている。本データ管理システムにおいて、文書サーバ10は、LAN(ローカルエリアネットワーク)2を介して、複数のプリンタ60及びパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)4と接続されており、また、LAN2を介してインターネット6にも接続されている。更に、文書サーバ10は、公衆回線8にも接続されている。
【0032】そして、本実施形態において、文書サーバ10、携帯電話装置40及びプリンタ60は、それぞれbluetooth方式の無線通信が可能な構成となっている。ここで、周知ではあるが、bluetooth方式の無線通信について簡単に説明する。
【0033】bluetooth方式の通信は、2.4GHz帯域を用いた無線伝送方式で、その通信エリアは、送信出力のクラスにより異なるが、約10〜100[m]である。尚、本実施形態では、文書サーバ10、携帯電話装置40及びプリンタ60のそれぞれに、クラス3の送信出力のものが用いられており、半径約10[m]の通信エリア(ピコネットエリア)内に存在する通信相手との間で通信可能となっている。
【0034】また、bluetooth方式の通信を行う機器には、各機器の固有情報であるBDアドレス(Bluetooth Deviceアドレス)が記憶されている。そして、bluetooth方式による通信では、通信範囲内に存在する通信機器を検索する際に通信機器間で互いのBDアドレスが交換されるようになっている。
【0035】次に、文書サーバ10の構成について説明する。文書サーバ10は、図2に示すように、各種制御を行う制御部12と、図示しない表示器(ディスプレイ)に情報を表示する表示部14と、図示しない入力器(キーボード)により外部からの入力操作を受け付ける入力部16と、不揮発性メモリのNVRAM18と、公衆回線8を介してデータの送受信を行う公衆回線通信部20と、LAN2を介してデータの送受信を行うネットワーク通信部22と、bluetooth方式の無線通信によりデータの送受信を行うbluetooth通信部24と、外部から受信した印刷データやFAXデータを図示しない記憶装置(ハードディスク)に蓄積する蓄積部26と、これらを接続するバス28とを備えている。
【0036】また、NVRAM18は、プリンタデータベース30と、受信者データベース32と、通信方式データベース34とを備えている。尚、各データベースに記憶されている情報は、入力部16から入力されたものである。ここで、各データベースに記憶されている情報について説明する。
【0037】プリンタデータベース30には、図3に示すように、当該文書サーバ10とLAN2を介して接続されている各プリンタ60についての情報が記憶されている。具体的には、各プリンタ60の情報として、プリンタ名と、IPアドレス(Internet Protocolアドレス)と、BDアドレスとが記憶されており、更に、記憶されているプリンタ60のうちの一つが、後述する処理にて参照されるデフォルト装置として、予め指定されている。尚、図3では、「*」マークがデフォルト装置の指定を表している。また、以下の説明では、デフォルト装置に指定されているプリンタ60を、デフォルトプリンタ60という。
【0038】一方、受信者データベース32には、図4に示すように、本データ管理システムを利用してプリンタ60から印刷物を受け取る受信者の情報が記憶されている。具体的には、各受信者の情報として、受信者名が記憶されており、更に、各受信者が所有する携帯電話装置40の通信先情報として、Eメールアドレスと、BDアドレスと、電話番号とが記憶されている。
【0039】一方また、通信方式データベース34には、図5に示すように、当該文書サーバ10から携帯電話装置40への通信方式の優先度を表す情報が記憶されている。具体的には、通信方式(bluetooth、Eメール及び電話)と、それらの優先順位とが記憶されている。
【0040】次に、携帯電話装置40の構成について説明する。携帯電話装置40は、本データ管理システムを利用してプリンタ60から印刷物を受け取る各受信者に所有されているもので、図6に示すように、bluetooth方式の無線通信によりデータの送受信を行うbluetooth通信部42と、最寄りの基地局との無線通信によりインターネット6や公衆回線8等を介したデータの送受信を行う無線通信部44と、図示しない表示器(ディスプレイ)に情報を表示する表示部46と、図示しない入力器(操作キー)により外部からの入力操作を受け付ける入力部48と、不揮発性メモリのNVRAM50と、各種制御を行う制御部52と、これらを接続するバス54とを備えている。
【0041】次に、プリンタ60の構成について説明する。プリンタ60は、外部から受信した印刷データやFAXデータが表す画像を用紙へ印刷する印刷処理を行う汎用の装置で、図7に示すように、不揮発性メモリのNVRAM62と、図示しない表示器(ディスプレイ)に情報を表示する表示部64と、図示しない入力器(操作キー)により外部からの入力操作を受け付ける入力部66と、bluetooth方式の無線通信によりデータの送受信を行うbluetooth通信部68と、受信した印刷データ及びFAXデータが表す画像を用紙へ印刷する印刷部70と、各種制御を行う制御部72と、LAN2を介してデータの送受信を行うネットワーク通信部74と、これらを接続するバス76とを備えている。
【0042】次に、パソコン4について説明する。パソコン4には、本データ管理システム用のプリンタドライバがインストールされており、印刷に関する設定を行うための印刷設定操作として、印刷データの送信先となる文書サーバ10の指定や、この印刷データの表す画像が印刷された用紙(印刷物)を受け取るべき受信者の受信者名の入力等を行うことができるようになっている。そして、パソコン4は、印刷データの送信操作が行われると、入力された受信者名を含んだ印刷データを、送信先として指定された文書サーバ10へ、LAN2を介して送信する。
【0043】そして、文書サーバ10は、パソコン4からLAN2を介して送られて来る印刷データや、図示しない外部のファクシミリから公衆回線8やインターネット6を介して送られて来るFAXデータを受信すると、その印刷データ又はFAXデータ(以下、これらのデータを受信データともいう)を一旦蓄積すると共に、受信データが受信された旨の受信通知を、その受信データの表す画像が印刷された印刷物を受け取るべき受信者が所有する携帯電話装置40へ送信する。そして更に、文書サーバ10は、その携帯電話装置40から受信データの送信先のプリンタ60を指示する旨の出力指令を受信すると、そのプリンタ60へ受信データを送信する。
【0044】次に、このような文書サーバ10の動作を実現するために制御部12が行うデータ送信処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。尚、本データ送信処理は、ネットワーク通信部22又は公衆回線通信部20により受信データが受信されることで開始される。
【0045】このデータ送信処理が開始されると、まずS100にて、受信された受信データを蓄積部26に蓄積させる。そして、S110で、この受信データに受信者に関する受信者情報が含まれているか否かを確認するための受信者情報確認処理を行う。尚、この受信者情報確認処理の具体的な内容については、後述する。
【0046】そして、S120へ移行し、上記受信者情報確認処理の結果、受信データに受信者情報が含まれていた否かを判定する。このS120で、受信データに受信者情報が含まれていなかったと判定した場合には、S130へ移行し、ネットワーク通信部22に、S100にて蓄積部26に蓄積させた受信データをLAN2を介してデフォルトプリンタ60へ送信させる。尚、デフォルトプリンタ60へ受信データを送信する際の通信先情報としては、プリンタデータベース30に記憶されているIPアドレスが用いられる。
【0047】一方、S120で、受信データに受信者情報が含まれていたと判定した場合には、S140へ移行し、受信データが受信された旨の受信通知を、その受信データに含まれている受信者情報が表す受信者(以下、この受信者を受信者Aという)が所有する携帯電話装置40へ送信させる際に用いる通信方式を選択する通信方式選択処理を行う。尚、この通信方式選択処理の具体的な内容については、後述する。
【0048】そして、S150へ移行し、上記通信方式選択処理にて選択した通信方式に対応する通信部に、受信者Aが所有する携帯電話装置40へ受信通知を送信させる。そして次に、S160へ移行して、受信者Aが所有する携帯電話装置40からの出力指令が受信されたか否かを判定する。尚、出力指令は、後述するが、bluetooth方式、Eメール又は電話の何れかの通信方式で送信される。
【0049】ここで、受信された出力指令が、受信者Aが所有する携帯電話装置40により送信されたものであるか否かについては、以下のように判定する。
【0050】
【0051】
【0052】そして、S160で、受信者Aが所有する携帯電話装置40からの出力指令が受信されていないと判定した場合には、S170へ移行し、受信通知を送信してからの継続時間が一定時間T1を超えたか否かを判定する。このS170で、一定時間T1を超えていないと判定した場合には、S160へ戻る。
【0053】一方、S170で、一定時間T1を超えたと判定した場合には、S130へ移行し、ネットワーク通信部22に、S100にて蓄積部26に蓄積させた受信データをLAN2を介してデフォルトプリンタ60へ送信させる。一方また、S160で、受信者Aが所有する携帯電話装置40からの出力指令が受信されたと判定した場合には、S180へ移行し、ネットワーク通信部22に、S100にて蓄積部26に蓄積させた受信データをLANを介してプリンタ60へ送信させる。ここで、受信データの送信先となるプリンタ60は、受信された出力指令に基づき決定される。即ち、出力指令には、後述するが、受信者Aが所有する携帯電話装置40により検知されて存在が確認されたプリンタ60のBDアドレス(第1識別情報に相当)が含まれており、このBDアドレスに対応するIPアドレスをプリンタデータベース30から取得して、受信データを送信する際の通信先情報として用いるようになっている。
【0054】尚、S180又はS130において、受信データの送信先となるプリンタ60が当該文書サーバ10のピコネットエリア内のプリンタ60である場合には、bluetooth通信部24に受信データを送信させるようにしてもよい。この場合には、受信された出力指令に含まれているプリンタ60のBDアドレスを、受信データを送信する際の通信先情報としてそのまま用いることができるため、プリンタデータベース30を参照する必要がない。
【0055】こうして、S130又はS180で、プリンタ60へ受信データを送信させると、S190へ移行し、S100にて蓄積部26に蓄積させた受信データ(即ち、プリンタ60へ送信済みの受信データ)を蓄積部26に消去させて、本データ送信処理を終了する。
【0056】つまり、本データ送信処理では、受信データに受信者情報が含まれていない場合や、受信者情報は含まれているものの、その後に出力指令が受信されない場合には、その受信データをデフォルトプリンタ60へ送信させるようになっており、一方、受信データに受信者情報が含まれており、且つ、出力指令が受信された場合には、受信データをその出力指令に基づくプリンタ60へ送信させるようになっている。
【0057】次に、文書サーバ10の制御部12が行う受信者情報確認処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。尚、本受信者情報確認処理は、前述したデータ送信処理(図8)におけるS110の処理に当たる。この受信者情報確認処理が開始されると、まず、S200にて、受信データがFAXデータであるか否かを判定する。具体的には、受信データを受信した通信部と、受信データのデータ形式とに基づいて判定するようになっている。即ち、受信データが公衆回線通信部20により受信されたのであれば、その受信データはFAXデータであると判定する。また、受信データがネットワーク通信部22により受信されたのであれば、パソコン4からの印刷データとインターネットファクシミリからのFAXデータとの何れかであることが考えられるため、通信に用いたプロトコルの種類(必要に応じてデータ形式についても)に基づき判別する。
【0058】そして、S200で、受信データがFAXデータであると判定した場合には、S210へ移行し、その受信データをスキャンして、この受信データが表す画像の宛先部分(例えば、1ページ目の画像の左上に当たる部分)を参照する。そして次に、S220で、受信データが表す画像の宛先部分に名前の書き込みがあるか否かを判定する。
【0059】このS220で、宛先部分に名前の書き込みがあると判定した場合には、S230へ移行し、その宛先部分に書かれている名前を、受信者名を表す受信者情報と判断して、本受信者情報確認処理を終了する。一方、S220で、宛先部分に名前の書き込みが無いと判定した場合には、S240へ移行し、受信データに受信者情報が含まれていないと判断して、本受信者情報確認処理を終了する。
【0060】一方また、S200で、受信データがFAXデータではない(即ち、印刷データである)と判定した場合には、S250へ移行し、受信データに受信者名が含まれているか否かを判定する。そして、S250で、受信者名が含まれていないと判定した場合には、S240へ移行し、受信データに受信者情報が含まれていないと判断して、本受信者情報確認処理を終了する。
【0061】一方、S250で、受信者名が含まれていると判定した場合には、S260へ移行し、その受信者名を受信者情報と判断して、本受信者情報確認処理を終了する。次に、文書サーバ10の制御部12が行う通信方式選択処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。尚、本通信方式選択処理は、前述したデータ送信処理(図8)におけるS140の処理に当たる。
【0062】この通信方式選択処理が開始されると、まず、S300にて、通信方式データベース34を参照して、最も優先度の高い通信方式(この例では、bluetooth)を選択する。そして、S310へ移行し、受信者データベース32を参照して、受信データに含まれている受信者情報が表す受信者Aについて、選択した通信方式での通信先情報が登録されているか否かを判定する。尚、S310において、BDアドレスについては、受信者データベース32に登録されていても、当該文書サーバ10と通信可能な範囲(即ち、当該文書サーバ10のピコネットエリア内)にそのBDアドレスの携帯電話装置40が存在していない場合には、登録されていないと判定する。
【0063】このS310で、通信先情報が登録されていないと判定した場合には、S320へ移行し、通信方式データベース34を参照して、次に優先度の高い通信方式を選択し、S310へ戻る。一方、S310で、通信先情報が登録されていると判定した場合には、S330へ移行し、その通信方式に決定して、本通信方式選択処理を終了する。
【0064】つまり、本通信方式選択処理では、受信者Aが所有する携帯電話装置40と通信可能な通信方式の中から、最も優先度が高いものを選択するようになっている。尚、本実施形態では、通信方式の優先度が、通信コストに基づき定められている。
【0065】次に、携帯電話装置40の制御部52が行う検索処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。尚、本検索処理は、文書サーバ10からの受信通知がbluetooth通信部42又は無線通信部44により受信されると自動的に開始される。但し、受信通知がEメールにより送信されて来た場合に限っては、そのEメールの開封操作が入力部48の操作キーから行われることにより開始される。
【0066】この検索処理が開始されると、まずS400にて、受信データが文書サーバ10に送信されて来た旨のメッセージの表示を、表示部46に行わせる。そして、S410へ移行し、当該携帯電話装置40のピコネットエリア内にプリンタ60が存在するか否かを判定する。つまり、ピコネットエリア内でプリンタ60を検索するようになっている。
【0067】具体的には、ピコネットエリア内のbluetooth通信機器に応答を求めるための要求信号を、bluetooth通信部42に送信させ、応答信号がbluetooth通信部42により受信されたか否かで判定する。ここで、ピコネットエリア内にプリンタ60以外のbluetooth通信機器が存在している場合にも応答信号が受信されることとなるが、bluetooth方式の通信機器が有する標準機能として、通信相手の装置の種別を問い合わせる機能があるため、この機能を利用して、応答信号を送信してきたbluetooth通信機器がプリンタ60であるか否かを判断することができる。尚、応答信号が受信されると共に、通信相手のBDアドレスが取得される。
【0068】そして、S410で、ピコネットエリア内にプリンタ60が存在しないと判定した場合には、S420へ移行し、プリンタ60の検索を開始してからの継続時間が一定時間T2を超えたか否かを判定する。このS420で、一定時間T2を超えたと判定した場合には、そのまま本検索処理を終了する。
【0069】一方、S420で、一定時間T2を超えていないと判定した場合には、S430へ移行し、一定時間T3だけ待機して、S410へ戻る。尚、S430にて一定時間T3だけ待機するのは、プリンタ60の検索に要する消費電力を低減するためである。
【0070】一方また、S410で、ピコネットエリア内にプリンタ60が存在すると判定した場合(即ち、通信可能なプリンタ60が確認された場合)には、S440へ移行し、文書サーバ10についての通信先情報の中から、最も優先度の高い通信先情報を選択する。尚、当該携帯電話装置40のNVRAM50には、文書サーバ10についての通信先情報として、BDアドレス、Eメールアドレス及び電話番号が、BDアドレス→Eメールアドレス→電話番号の優先順位で予め記憶されている。
【0071】そして、S450へ移行し、選択した通信先情報を通信先として文書サーバ10と通信ができるか否かを判定する。このS450で、選択した通信先情報を用いて文書サーバ10と通信ができないと判定した場合には、S460へ移行し、次に優先度の高い通信先情報を選択して、S450に戻る。
【0072】一方、S450で、選択した通信先情報を用いて文書サーバ10と通信ができると判定した場合には、S470へ移行し、その通信先情報に対応する通信部に、存在が確認されたプリンタ60のBDアドレスを含んだ出力指令を文書サーバ10へ送信させて、本検索処理を終了する。
【0073】次に、本データ管理システムの動作例について説明する。尚、以下の説明において、図1に示す文書サーバ10及び複数のプリンタ60は、同じフロアに設置されているものとし、図1に示す複数のパソコン4は、文書サーバ10及びプリンタ60が設置されているフロア(以下、第1フロアという)とは異なるフロア(以下、第2フロアという)に設置されているものとする。
【0074】[第1動作例]第1動作例として、第1フロアで仕事をしているTaroさん宛てに、第2フロアに設置されているパソコン4から、印刷データを送信する場合について説明する。
【0075】第2フロアに設置されているパソコン4の使用者が、パソコン4からの印刷設定操作として、第1フロアに設置されている文書サーバ10を印刷データの送信先に指定すると共に、受信者名を「Taro」と入力し、更に、印刷データの送信操作を行うと、パソコン4上の印刷データが、第1フロアに設置されている文書サーバ10へLAN2を介して送信される。
【0076】そして、文書サーバ10は、パソコン4からの印刷データを受信すると、図8のS100〜S120の処理として、受信した印刷データを一旦蓄積すると共に、この印刷データに受信者名が含まれていることを確認する。尚、パソコン4からの印刷設定操作において、受信者名が入力されなかった場合には、S130の処理へ移行し、Taroさん宛ての印刷データをLAN2を介してデフォルトプリンタ60へ送信して印刷物を出力させ、更に、S190の処理として、蓄積した印刷データを消去する。
【0077】そして次に、文書サーバ10は、S140の処理として、印刷データに含まれている受信者名(「Taro」)の表す受信者が所有する携帯電話装置40へ受信通知を送信する際に用いる通信方式を、通信方式データベース34に記憶している通信方式の優先度と、受信者データベース32に記憶している通信先情報(詳しくは、Taroさんが所有する携帯電話装置40の通信先情報)とに基づいて選択する。
【0078】ここで、Taroさんは、文書サーバ10から離れた位置で仕事をしており、文書サーバ10とTaroさんの所有する携帯電話装置40とが、bluetooth方式の通信を行えない状態になっているものとする。そのため、文書サーバ10は、bluetoothの次に優先度の高いEメールを通信方式として選択する。
【0079】そして、文書サーバ10は、S150の処理として、Taroさんの所有する携帯電話装置40へEメールによる受信通知を送信する。一方、Taroさんの所有する携帯電話装置40は、Eメールによる受信通知を受信すると、当該携帯電話装置40の本来の機能として、着信音及び振動による報知動作を行い、更に、TaroさんによりEメールの開封操作が行われると、図11のS400の処理として、文書サーバ10にデータが送信されて来た旨のメッセージを表示器に表示する。また、携帯電話装置40は、S410〜S430の処理として、当該携帯電話装置40のピコネットエリア内に存在するプリンタ60の検索を開始する。尚、この時点では、携帯電話装置40のピコネットエリア内にプリンタ60が存在しないものとする。
【0080】そして、Taroさんが、自分宛のデータの印刷物を取りに行くために最寄りのプリンタ60の方へ出向くことで、携帯電話装置40のピコネットエリア内にプリンタ60が入ると、携帯電話装置40は、プリンタ60を検知すると共に、そのプリンタ60のBDアドレスを取得する。尚、Taroさんがプリンタ60の方へ出向かず、プリンタ60の検索を開始してからプリンタ60を検知できない継続時間が一定時間T2を超えると、携帯電話装置40は、出力指令を送信することなく処理を終了する。
【0081】また、携帯電話装置40は、S440〜S460の処理として、予め記憶している優先順位に基づき、文書サーバ10へ出力指令を送信するための通信先情報を選択する。ここで、Taroさんは、文書サーバ10から離れた位置にあるプリンタ60へ出向いており、文書サーバ10とTaroさんの所有する携帯電話装置40とが、bluetooth方式の通信を行えない状態になっているものとする。そのため、携帯電話装置40は、BDアドレスの次に優先度の高いEメールアドレスを、出力指令を送信するための通信先情報として用いる。
【0082】そして、携帯電話装置40は、S470の処理として、検知したプリンタ60のBDアドレスを含む出力指令をEメールで文書サーバ10へ送信する。一方、文書サーバ10は、図8のS160,S170の処理として、携帯電話装置40からEメールによる出力指令を受信すると、その出力指令の送信元のEメールアドレス及び受信者データベース32に基づき、Taroさんの所有する携帯電話装置40からの出力指令であると判断する。
【0083】そして、文書サーバ10は、S180の処理として、受信した出力指令に含まれるプリンタ60のBDアドレスと、プリンタデータベース30とに基づき、携帯電話装置40により検知されたプリンタ60のIPアドレスを読み出し、このIPアドレスを通信先として、Taroさん宛の印刷データをLAN2を介して送信する。これにより、Taroさんが出向いたプリンタ60で印刷物が出力される。尚、受信通知を送信してから出力指令を受信できない継続時間が一定時間T1を超えると、S130の処理へ移行し、Taroさん宛の印刷データをLAN2を介してデフォルトプリンタ60へ送信して、印刷物を出力させる。
【0084】その後、文書サーバ10は、S190の処理として、蓄積した印刷データを消去する。
[第2動作例]第2動作例として、第1フロアで仕事をしているHanakoさん宛てに、公衆回線8を介して接続されている外部のファクシミリからのFAXデータが送信されて来た場合について説明する。尚、外部のファクシミリからのFAXデータは、文書サーバ10の電話番号を通信先として送信される。
【0085】文書サーバ10は、外部のファクシミリからのFAXデータを受信すると、図8のS100〜S120の処理として、受信したFAXデータを一旦蓄積すると共に、このFAXデータをスキャンして、そのFAXデータが表す画像の宛先部分に書かれている名前(「Hanako」)を、受信者名を表す受信者情報と判断する。尚、FAXデータが表す画像の宛先部分に名前が書かれていなければ、S130の処理へ移行し、Hanakoさん宛てのFAXデータをLAN2を介してデフォルトプリンタ60へ送信して印刷物を出力させ、更に、S190の処理として、蓄積したFAXデータを消去する。
【0086】そして次に、文書サーバ10は、S140の処理として、FAXデータに含まれている受信者名(「Hanako」)の表す受信者が所有する携帯電話装置40へ受信通知を送信する際に用いる通信方式を、通信方式データベース34に記憶している通信方式の優先度と、受信者データベース32に記憶している通信先情報(詳しくは、Hanakoさんが所有する携帯電話装置40の通信先情報)とに基づいて選択する。
【0087】ここで、Hanakoさんは、文書サーバ10から離れた位置で仕事をしており、文書サーバ10とHanakoさんの所有する携帯電話装置40とが、bluetooth方式の通信を行えない状態になっているものとする。また、Hanakoさんの携帯電話装置40には、Eメールを送受信する機能がないものとする。そのため、文書サーバ10は、Eメールの次に優先度の高い電話を通信方式として選択する。
【0088】そして、文書サーバ10は、S150の処理として、Hanakoさんの所有する携帯電話装置40へ、公衆回線8を介して電話による受信通知を送信する。一方、Hanakoさんの所有する携帯電話装置40は、電話による受信通知を受信すると、当該携帯電話装置40の本来の動作として、着信音及び振動による報知動作を行い、数回のコールの後、自動着信して受信通知のデータを受信する。そして、図11のS400の処理として、文書サーバ10にデータが送信されて来た旨のメッセージを表示器に表示する。また、携帯電話装置40は、S410〜S430の処理として、当該携帯電話装置40のピコネットエリア内に存在するプリンタ60の検索を開始する。尚、この時点では、携帯電話装置40のピコネットエリア内にプリンタ60が存在しないものとする。
【0089】そして、Hanakoさんが、自分宛のデータの印刷物を取りに行くために最寄りのプリンタ60の方へ出向くことで、携帯電話装置40のピコネットエリア内にプリンタ60が入ると、携帯電話装置40は、プリンタ60を検知すると共に、そのプリンタ60のBDアドレスを取得する。尚、Hanakoさんがプリンタ60の方へ出向かず、プリンタ60の検索を開始してからプリンタ60を検知できない継続時間が一定時間T2を超えると、携帯電話装置40は、出力指令を送信することなく処理を終了する。
【0090】また、携帯電話装置40は、S440〜S460の処理として、予め記憶している優先順位に基づき、文書サーバ10へ出力指令を送信するための通信先情報を選択する。ここで、Hanakoさんは、文書サーバ10に最も近い位置にあるプリンタ60へ出向いており、文書サーバ10とHanakoさんの所有する携帯電話装置40とが、bluetooth方式の通信を行える状態になっているものとする。そのため、携帯電話装置40は、優先度の最も高いBDアドレスを、出力指令を送信するための通信先情報として用いる。
【0091】そして、携帯電話装置40は、S470の処理として、検知したプリンタ60のBDアドレスを含む出力指令を、bluetooth方式の通信で文書サーバ10へ送信する。一方、文書サーバ10は、図8のS160,S170の処理として、携帯電話装置40からbluetooth方式の通信で出力指令を受信すると、その出力指令の送信元のBDアドレス及び受信者データベース32に基づき、Hanakoさんの所有する携帯電話装置40からの出力指令であると判断する。
【0092】そして、文書サーバ10は、S180の処理として、受信した出力指令に含まれるプリンタ60のBDアドレスと、プリンタデータベース30とに基づき、携帯電話装置40により検知されたプリンタ60のIPアドレスを読み出し、このIPアドレスを通信先として、Hanakoさん宛のFAXデータをLAN2を介して送信する。これにより、Hanakoさんが出向いたプリンタ60で印刷物が出力される。尚、受信通知を送信してから出力指令を受信できない継続時間が一定時間T1を超えると、S130の処理へ移行し、Hanakoさん宛のFAXデータをLAN2を介してデフォルトプリンタ60へ送信して、印刷物を出力させる。
【0093】その後、文書サーバ10は、S190の処理として、蓄積したFAXデータを消去する。このような本実施形態のデータ管理システムによれば、受信者が受け取るべき印刷物を、その受信者の近くのプリンタ60で確実に出力させることができる。しかも、受信者は、受信通知によるメッセージを確認した後で、最寄りのプリンタ60へ出向くだけでよく、受信データの送信先のプリンタ60を指示するための面倒な入力操作を一切行う必要がない。
【0094】また、受信者情報が含まれていない受信データについては、デフォルトプリンタ60へ送信するようになっているため、適切に処理することができる。また更に、携帯電話装置40からの出力指令を受信できない受信データについても、デフォルトプリンタ60へ送信するようになっているため、文書サーバ10内に蓄積された受信データが印刷されないまま忘れられてしまうことを防ぐことができる。
【0095】一方、携帯電話装置40によるプリンタ60の検索が、必要なときにのみ行われるようになっているため、携帯電話装置40の消費電力を低減することができる。また、携帯電話装置40が、受信通知を受信すると、着信音及び振動による報知動作に加え、メッセージの表示による報知動作を行うことで、携帯電話装置40の所有者に受信データの存在を効果的に知らせることができる。
【0096】加えて、本データ管理システムを利用するプリンタ60には、特別な機能を持たせる必要がないため、bluetooth方式の通信に対応した汎用のプリンタ60を使用することができる。尚、上記実施形態では、プリンタ60が、画像形成装置に相当し、文書サーバ10が、データ管理装置に相当し、携帯電話装置40が、通信装置に相当している。
【0097】また、bluetooth通信部42と、図11におけるS410〜S430の処理とが、検索手段に相当し、bluetooth通信部42と、無線通信部44と、図11におけるS470の処理とが、識別情報送信手段に相当している。
【0098】一方、図8におけるS110の処理が、読出手段に相当し、公衆回線通信部20と、ネットワーク通信部22と、bluetooth通信部24と、図8におけるS160,S170の処理とが、受信手段に相当する。また更に、ネットワーク通信部22と、図8におけるS130,S180の処理とが、データ送信手段に相当し、公衆回線通信部20と、ネットワーク通信部22と、bluetooth通信部24と、図8におけるS150の処理とが、受信通知送信手段に相当している。
【0099】以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。例えば、上記実施形態のデータ管理システムでは、携帯電話装置40が、当該携帯電話装置40のピコネットエリア内に存在するプリンタ60を検索するようになっているが、ピコネットエリア内に複数のプリンタ60が存在することも考えられる。
【0100】そこで、携帯電話装置40が、複数のプリンタ60を検知すると、検知されるプリンタ60が1台になるまで、当該携帯電話装置40のピコネットエリアの範囲を縮小していく(即ち、送信出力を下げていく)ようにしてもよい。このようにすれば、携帯電話装置40が、当該携帯電話装置40に最も近いプリンタ60を容易に判断することができる。
【0101】また、上記実施形態のデータ管理システムでは、文書サーバ10が、受信データを送信する際の通信先情報であるプリンタ60のIPアドレスを、携帯電話装置40からの出力指令に含まれるプリンタ60のBDアドレスと、当該文書サーバ10のプリンタデータベース30とに基づいて得るようになっているが、これに限ったものではない。例えば、携帯電話装置40が、周知の簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)を利用して、プリンタ60に記憶されているそのプリンタ60の通信先情報を取得する構成であってもよい。
【0102】具体的には、プリンタ60が、SNMPに基づく管理情報ベース(MIB)内の管理情報として、当該プリンタ60のプリンタ名、IPアドレス及びBDアドレスといった固有情報を記憶しており、携帯電話装置40が、SNMPマネージャを用いてプリンタ60から固有情報を取得し、その固有情報を含んだ出力指令を文書サーバ10へ送信する。このようにすれば、文書サーバ10は、受信データを送信する際の通信先情報であるプリンタ60のIPアドレスを、携帯電話装置40から直接取得することができるため、プリンタデータベース30を参照する必要がない。また、MIBを備えた汎用のプリンタ60をそのまま利用することができる。
【0103】また、MIB内の情報は、SNMP以外のプロトコルを用いて取得することも可能である。例えば、MIB内の固有情報についてのURLがプリンタ60で定義されていれば、携帯電話装置40が、HTTPを用いてそのURLを指定したGet指令をプリンタ60へ送信することで、MIB内の固有情報を返信させることができる。
【0104】また更に、上記実施形態のデータ管理システムでは、携帯電話装置40が、プリンタ60を検知すると直ちに出力指令を文書サーバ10へ送信するようになっているが、これに限ったものではない。例えば、携帯電話装置40が、プリンタ60を検知すると、まず当該携帯電話装置40の所有者にプリンタ60を出力してよいか否かの確認操作を求めるようにしてもよい。このようにすれば、受信者が意図していないタイミングで印刷物が出力されてしまうことを防止することができるので、特に、機密内容の画像を印刷する場合に効果的である。また、上記確認操作は、簡単な操作(例えば、1つのキーを押すだけのワンタッチ操作)にすることが可能であるため、操作が煩雑にならない。
【0105】一方、上記実施形態のデータ管理システムでは、携帯電話装置40が、プリンタ60を検索するための無線LANによる通信方式としてbluetooth方式を用いたが、これ以外の通信方式(例えば、IEEE802.11など)を用いてもよい。
【0106】一方また、文書サーバ10は、プリンタ60と一体のものであってもよい。例えば、プリンタ機能やファクシミリ機能を備えた複合装置(所謂、マルチファンクションペリフェラル(MFP))に文書サーバ10を組み込んだものが考えられる。尚、この場合には、MFPにおいてプリンタ60として機能する部分が、画像形成装置に相当し、MFPにおいて文書サーバ10として機能する部分が、データ管理装置に相当する。
【0107】また、上記実施形態では、画像形成装置として印刷データ又はFAXデータが表す画像を用紙へ印刷するプリンタ60を用いたが、これに限ったものではなく、例えば、受信したデータが表す画像を画面に表示する表示装置であってもよい。
【0108】更に、上記実施形態では、文書データに受信データが到来した後であって、かつ、携帯電話装置40からプリンタ60のBDアドレスを受信した後に、そのプリンタ60に対して受信データを送信する例を挙げて説明したが、これに限ったものではなく、携帯電話装置40から受信したプリンタ60のBDアドレスの内、最新のBDアドレスを記憶しておき、文書サーバに受信データが到来する度に、その最新のBDアドレスを有するプリンタ60に受信データを送信する構成にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態のデータ管理システムの構成を表す構成図である。
【図2】 文書サーバの構成を表すブロック図である。
【図3】 プリンタデータベースの説明図である。
【図4】 受信者データベースの説明図である。
【図5】 通信方式データベースの説明図である。
【図6】 携帯電話装置の構成を表すブロック図である。
【図7】 プリンタの構成を表すブロック図である。
【図8】 データ送信処理を表すフローチャートである。
【図9】 受信者情報確認処理を表すフローチャートである。
【図10】 通信方式選択処理を表すフローチャートである。
【図11】 検索処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
10…文書サーバ、12,52,72…制御部、14,46,64…表示部、16,48,66…入力部、18,50,62…NVRAM、20…公衆回線通信部、22,74…ネットワーク通信部、24,42,68…bluetooth通信部、26…蓄積部、28,54,76…バス、30…プリンタデータベース、32…受信者データベース、34…通信方式データベース、40…携帯電話装置、44…無線通信部、60…プリンタ、70…印刷部
【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像データが表す画像を形成する複数の画像形成装置と通信可能なデータ管理装置と、該データ管理装置及び前記画像形成装置と通信可能な通信装置と、を備えたデータ管理システムであって、前記通信装置は、当該通信装置と通信可能な前記画像形成装置を検索する検索手段と、前記検索手段により前記画像形成装置が確認された場合に、その画像形成装置を識別するための第1識別情報を、当該通信装置を識別するための第2識別情報と共に、前記データ管理装置へ送信する識別情報送信手段と、を備え、前記データ管理装置は、前記複数の画像形成装置のうちの何れかで処理すべき画像データから、該画像データに付与された受信者を表す受信者情報を読み出す読出手段と、前記通信装置から前記第1識別情報及び前記第2識別情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された第2識別情報に対応する受信者情報が読み出された画像データを、前記受信手段により受信された第1識別情報から識別される画像形成装置へ送信するデータ送信手段と、を備えていること、を特徴とするデータ管理システム。
【請求項2】 請求項1に記載のデータ管理システムにおいて、前記データ送信手段は、前記読出手段により前記画像データから前記受信者情報が読み出されなかった場合に、その画像データを予め決められた画像形成装置へ送信すること、を特徴とするデータ管理システム。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載のデータ管理システムにおいて、前記データ管理装置は、前記読出手段により前記画像データに付与された前記受信者情報が読み出された場合に、該受信者情報に対応する通信装置へ受信通知を送信する受信通知送信手段を備え、前記通信装置の検索手段は、当該通信装置で前記受信通知が受信された場合に、前記画像形成装置の検索を開始すること、を特徴とするデータ管理システム。
【請求項4】 請求項1又は請求項2に記載のデータ管理システムにおいて、前記データ管理装置は、前記読出手段により前記画像データに付与された前記受信者情報が読み出された場合に、該受信者情報に対応する通信装置へ受信通知を送信する受信通知送信手段を備え、前記通信装置は、前記受信通知を受信した場合に、当該通信装置の所有者に報知するための報知動作を行うように構成されていること、を特徴とするデータ管理システム。
【請求項5】 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のデータ管理システムにおいて、前記通信装置の検索手段は、当該通信装置と通信可能な画像形成装置に記憶されている該画像形成装置の固有情報を取得するとともに、前記識別情報送信手段は、前記検索手段により取得された前記画像形成装置の固有情報を、前記第1識別情報として前記データ管理装置へ送信すること、を特徴とするデータ管理システム。
【請求項6】 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のデータ管理システムにおいて、前記検索手段は、通信を行う際に通信機器間で互いの固有情報を交換する通信方式により前記画像形成装置と通信を行って、該画像形成装置を検索するとともに、前記識別情報送信手段は、前記検索手段によって交換された前記画像形成装置の固有情報を、前記第1識別情報として前記データ管理装置へ送信すること、を特徴とするデータ管理システム。
【請求項7】 請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載のデータ管理システムにおいて、前記検索手段は、無線LANを介して通信可能な通信エリア内で画像形成装置を検索するとともに、2つ以上の画像形成装置を同時に確認した場合に、確認される画像形成装置が1つになるまで前記通信エリアを縮小すること、を特徴とするデータ管理システム。
【請求項1】 画像データが表す画像を形成する複数の画像形成装置と通信可能なデータ管理装置と、該データ管理装置及び前記画像形成装置と通信可能な通信装置と、を備えたデータ管理システムであって、前記通信装置は、当該通信装置と通信可能な前記画像形成装置を検索する検索手段と、前記検索手段により前記画像形成装置が確認された場合に、その画像形成装置を識別するための第1識別情報を、当該通信装置を識別するための第2識別情報と共に、前記データ管理装置へ送信する識別情報送信手段と、を備え、前記データ管理装置は、前記複数の画像形成装置のうちの何れかで処理すべき画像データから、該画像データに付与された受信者を表す受信者情報を読み出す読出手段と、前記通信装置から前記第1識別情報及び前記第2識別情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された第2識別情報に対応する受信者情報が読み出された画像データを、前記受信手段により受信された第1識別情報から識別される画像形成装置へ送信するデータ送信手段と、を備えていること、を特徴とするデータ管理システム。
【請求項2】 請求項1に記載のデータ管理システムにおいて、前記データ送信手段は、前記読出手段により前記画像データから前記受信者情報が読み出されなかった場合に、その画像データを予め決められた画像形成装置へ送信すること、を特徴とするデータ管理システム。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載のデータ管理システムにおいて、前記データ管理装置は、前記読出手段により前記画像データに付与された前記受信者情報が読み出された場合に、該受信者情報に対応する通信装置へ受信通知を送信する受信通知送信手段を備え、前記通信装置の検索手段は、当該通信装置で前記受信通知が受信された場合に、前記画像形成装置の検索を開始すること、を特徴とするデータ管理システム。
【請求項4】 請求項1又は請求項2に記載のデータ管理システムにおいて、前記データ管理装置は、前記読出手段により前記画像データに付与された前記受信者情報が読み出された場合に、該受信者情報に対応する通信装置へ受信通知を送信する受信通知送信手段を備え、前記通信装置は、前記受信通知を受信した場合に、当該通信装置の所有者に報知するための報知動作を行うように構成されていること、を特徴とするデータ管理システム。
【請求項5】 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のデータ管理システムにおいて、前記通信装置の検索手段は、当該通信装置と通信可能な画像形成装置に記憶されている該画像形成装置の固有情報を取得するとともに、前記識別情報送信手段は、前記検索手段により取得された前記画像形成装置の固有情報を、前記第1識別情報として前記データ管理装置へ送信すること、を特徴とするデータ管理システム。
【請求項6】 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のデータ管理システムにおいて、前記検索手段は、通信を行う際に通信機器間で互いの固有情報を交換する通信方式により前記画像形成装置と通信を行って、該画像形成装置を検索するとともに、前記識別情報送信手段は、前記検索手段によって交換された前記画像形成装置の固有情報を、前記第1識別情報として前記データ管理装置へ送信すること、を特徴とするデータ管理システム。
【請求項7】 請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載のデータ管理システムにおいて、前記検索手段は、無線LANを介して通信可能な通信エリア内で画像形成装置を検索するとともに、2つ以上の画像形成装置を同時に確認した場合に、確認される画像形成装置が1つになるまで前記通信エリアを縮小すること、を特徴とするデータ管理システム。
【図1】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2003−173251(P2003−173251A)
【公開日】平成15年6月20日(2003.6.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−372848(P2001−372848)
【出願日】平成13年12月6日(2001.12.6)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成15年6月20日(2003.6.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成13年12月6日(2001.12.6)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]