説明

トナーとこれを用いた画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ

【課題】トナー品質を良好に保ちつつ離型剤を適切な分散径で均一分散させ、長期にわたり良好な画像を得ることが可能な画像形成用のトナーを提供すること。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含有する画像形成用のトナーであって、前記結着樹脂が、ポリエステル系樹脂と、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルから選ばれる1種または2種以上をモノマー単位として含むビニル系重合体とを少なくとも含有し、前記ビニル系重合体のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの少なくとも一部が、アクリル酸及びメタクリル酸に末端に水酸基を持つポリエステルオリゴマーを縮合させたモノマーユニットであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、静電印刷、プリンター、ファクシミリ、静電記録等の電子写真方式の画像形成に用いられるトナー、並びに該トナーを用いた画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンター、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に対し、省エネルギー化及び高速化についての市場要求が強くなってきている。このような性能を達成するには、画像形成装置における定着手段の熱効率の改善を図ることが重要である。
一般に、画像形成装置では、電子写真記録、静電記録、磁気記録等の画像形成プロセスにより、間接転写方式又は直接転写方式によって未定着トナー画像が、記録シート、印刷紙、感光紙、静電記録紙等の記録媒体上に形成される。このような未定着トナー画像を定着するための定着手段としては、例えば熱ローラ方式、フィルム加熱方式、電磁誘導加熱方式等の接触加熱方式が広く採用されている。
【0003】
電子写真法による画像形成方法は、一般には、光導電性物質を用いて作製された感光体上に、種々の手段を用いて形成された静電荷像を、現像剤を用いて現像した後、現像された像を必要に応じて紙等に転写し、加熱、加圧、溶剤蒸気等によって定着する方法である。
静電荷像を現像する方式には、大別して、絶縁性有機液体中に各種の顔料や染料が分散されている液体現像剤を用いる液体現像方式と、カスケード法、磁気ブラシ法、パウダークラウド法等のように、天然又は合成樹脂にカーボンブラック等の着色剤が分散されている乾式現像剤(以下、トナーと称する)を用いる乾式現像方式があり、近年乾式現像方式が広く使用されている。
【0004】
一方、静電荷像を現像するために使用されるトナーの製造方法としては、大別して粉砕法と重合法が挙げられる。粉砕法では、熱可塑性樹脂中に、着色剤、帯電制御剤、オフセット防止剤等を溶融混合して均一に分散させ、得られた組成物を粉砕、分級することにより、トナーを製造する。粉砕法を用いると、ある程度優れた特性を有するトナーを製造することができるが、トナー用材料に制限がある。例えば、溶融混合により得られる組成物は、経済的に使用することが可能な装置を用いて、粉砕し、分級することができるものでなければならない。このため、溶融混合により得られる組成物は、充分に脆くせざるを得ない。さらに、得られた組成物を粉砕する際に、粒径分布が広くなりやすい。このとき、良好な解像度と階調性のある複写画像を得るためには、例えば、トナーの重量平均粒径を小さくする必要があり、粒径が4μm以下の微粉と15μm以上の粗粉を分級により除去すると、トナーの収率が低下するという問題がある。また、粉砕法では、着色剤、帯電制御剤等を熱可塑性樹脂中に均一に分散させることが困難である。このため、トナーの流動性、現像性、耐久性、画像品質等に悪影響を及ぼす。
【0005】
そこで、これらの粉砕法における問題点を克服するために、重合法によるトナーの製造方法が知られており、例えば、懸濁重合法や乳化重合凝集法(例えば、特許文献1参照)を用いてトナーが製造されている。また、特許文献2には、ポリエステル系樹脂からなるトナーを水中で有機溶媒を用いて球形化したトナー、特許文献3には、イソシアネート基を有するプレポリマーとアミン類を反応させることにより得られるトナーが開示されている。
【0006】
また、トナーを紙媒体に定着させる工程において、現在ではその効率の高さより、加熱定着が主流となっている。加熱定着の場合、定着ローラーとトナーの密着性を抑制する為、定着面へのオイル塗布が施されたが、近年は、トナー内部に離型剤を含有するトナーが主となっている。そして、前記重合法により得られるトナー中において離型剤を適度に分散するために、離型剤分散剤の使用が提案されている(例えば、特許文献4、5、6参照)。
【0007】
しかしながら、これら文献中に記載の離型剤分散剤の構成はポリオレフィンにビニル系樹脂をグラフトした樹脂であるが、分散剤としての性能が高くないため多量添加が必要であった。また、ポリオレフィン部分の分子量が大きいため、あるいはポリオレフィン部の存在そのものの影響により、トナー品質に悪影響を与えているという不具合が指摘されている。
【0008】
また、特許文献7、8には、トナーバインダーとしてスチレン系樹脂を用いた粉砕トナーにおいて、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等のポリオレフィン離型剤や、これらポリオレフィン系樹脂にスチレン系樹脂をグラフトさせた樹脂が有効であることが記載されている。しかし、特許文献7及び8で用いられているスチレン系樹脂は、低温定着性に劣るために、近年の省エネルギー化の要求を満たす低温定着化に対する課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、トナー品質を良好に保ちつつ離型剤を適切な分散径で均一分散させ、長期にわたり良好な画像を得ることが可能な画像形成用のトナーを提供するとともに、極めて高画質な画像を形成することができる画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討した結果、少なくとも結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含有してなり、前記結着樹脂が、ポリエステル系樹脂と、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルから選ばれる1種または2種以上をモノマー単位として含むビニル系重合体を少なくとも含有していることを特徴とするトナーが長期にわたり良好な画像を得ることが可能なことを見出して、下記の本発明を得た。
【0011】
(1)少なくとも結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含有してなり、前記結着樹脂が、ポリエステル系樹脂と、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルから選ばれる1種または2種以上をモノマー単位として含むビニル系重合体とを少なくとも含有し、前記ビニル系重合体のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの少なくとも一部が、アクリル酸及びメタクリル酸に末端に水酸基を持つポリエステルオリゴマーを縮合させたモノマーユニットであることを特徴とするトナー。
【0012】
(2)前記ビニル系重合体の重量平均分子量が3000以上30000以下である上記(1)に記載のトナー。
(3)前記ビニル系重合体のSP値(ソルビリティー パラメーター)が10.0から13.0である上記(1)又は(2)に記載のトナー。
(4)前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgが30℃以上70℃以下である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のトナー。
(5)前記ポリエステル系樹脂(A)と、前記ビニル系重合体(B)との質量比〔(B)/(A)〕が、1/99〜20/80である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のトナー。
(6)前記ビニル系重合体の添加量が、前記離型剤100質量部に対し、5〜100質量部である上記(1)〜(5)のいずれかに記載のトナー。
(7)前記結着樹脂に対する前記離型剤の質量比率〔(離型剤/結着樹脂)×100〕が、0.1〜20質量%である上記(1)〜(6)のいずれかに記載のトナー。
【0013】
(8)前記トナーが、液体媒体中で形成されることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のトナー。
(9)前記液体媒体中で形成されるトナー粒子が、ポリマー溶液を水系媒体中に懸濁させて得られる上記(8)に記載のトナー。
(10)前記液体媒体中で形成されるトナー粒子が、少なくとも有機溶媒中に、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、結着樹脂、着色剤、離型剤を溶解又は分散させ、該溶液または分散液からなる油相を樹脂微粒子含有水系媒体中で分散させ、該活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体を反応させた後、もしくは反応させながら、該有機溶媒を除去させて得られる上記(9)に記載のトナー。
(11)前記液体媒体中で形成されるトナー粒子が、液体媒体中で樹脂微粒子を凝集させて得られる上記(8)〜(10)のいずれかに記載のトナー。
【0014】
(12)前記トナー粒子の重量平均粒径が3〜15μmであることを特徴とする上記(8)〜(11)のいずれかに記載のトナー。
(13)前記トナー粒子の重量平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との割合(Dv/Dn)が1.25以下であることを特徴とする上記(8)〜(12)のいずれかに記載のトナー。
【0015】
(14)上記(1)〜(13)のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
【0016】
(15)上記(1)〜(13)のいずれかに記載のトナーが充填されてなることを特徴とするトナー入り容器。
【0017】
(16)静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記トナーが上記(1)〜(13)のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
(17)現像手段が、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有している上記(16)に記載の画像形成装置。
(18)現像手段が、トナーが供給される現像剤担持体と、該現像剤担持体表面にトナーの薄層を形成する層厚規制部材を有する上記(16)に記載の画像形成装置。
(19)定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接しない面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する定着手段である上記(16)〜(18)のいずれかに記載の画像形成装置。
(20)定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接する面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する定着手段である上記(16)〜(18)のいずれかに記載の画像形成装置。
(21)定着手段が、未定着画像が形成された記録媒体を、磁性金属から構成されて電磁誘導により加熱される加熱ローラと、前記加熱ローラと平行に配置された定着ローラと、前記加熱ローラと前記定着ローラとに張り渡され、前記加熱ローラにより加熱されると共にこれらのローラによって回転される無端帯状のトナー加熱媒体と、前記トナー加熱媒体を介して前記定着ローラに圧接されると共に、前記トナー加熱媒体に対して順方向に回転して定着ニップ部を形成する加圧ローラとを有する定着手段において、前記トナー加熱媒体と前記加圧ローラの間を通過させて前記未定着画像を加熱定着する上記(16)〜(18)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0018】
(22)静電潜像担持体表面を帯電させる帯電工程と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、前記トナーが上記(1)〜(13)のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法。
【0019】
(23)静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記トナーが上記(1)〜(13)のいずれかに記載のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、トナー品質を良好に保ちつつ離型剤を適切な分散径で均一分散させ、長期にわたり良好な画像を得ることが可能な画像形成用トナーを提供することが可能となる。
【0021】
本発明の現像剤は、本発明の前記トナーを含む。このため、本発明のトナーは、磁性キャリアと混合して用いる二成分現像剤用トナーとして、また磁性キャリアを使用しない一成分現像剤用トナーとして使用可能である。この該現像剤を用いて電子写真法により画像形成を行うと、長期にわたり良好な画像を得ることができる。
本発明のトナー入り容器は、本発明の前記トナーを容器中に収容してなる。このため、該トナー入り容器に収容されたトナーを用いて電子写真法により画像形成を行うと、長期にわたり良好な画像を得ることができる。
【0022】
本発明の画像形成装置においては、前記帯電手段が、前記静電潜像担持体表面を一様に帯電させる。前記露光手段が前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する。前記現像手段が、前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する。前記転写手段が、該可視像を記録媒体に転写する。前記定着手段が前記記録媒体に転写された転写像を定着する。このとき、前記トナーとして本発明の前記トナーを用いているので、長期間にわたって色調の変化がなく、濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の見られない極めて高画質な画像を形成することができる。
【0023】
本発明の画像形成方法においては、前記帯電工程において、前記静電潜像担持体表面を一様に帯電させる。前記露光工程において、前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する。前記現像工程において、前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する。前記転写工程において、該可視像を記録媒体に転写する。前記定着工程において、前記記録媒体に転写された転写像を定着する。このとき、前記トナーとして本発明の前記トナーを用いているので、長期間にわたって色調の変化がなく、濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の見られない極めて高画質な画像を形成することができる。
【0024】
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能であり、利便性に優れ、また、前記本発明のトナーを用いているので、長期間にわたって色調の変化がなく、濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の見られない極めて高画質な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】画像形成装置における帯電ローラの一例を示す概略断面図である。
【図2】画像形成装置における接触方式の帯電ローラを画像形成装置に適用した一例を示す概略図である。
【図3】画像形成装置における非接触方式のコロナ帯電器を画像形成装置に適用した一例を示す概略図である。
【図4】画像形成装置における非接触方式の帯電ローラの一例を示す概略図である。
【図5】画像形成装置における一成分現像手段の一例を示す概略図である。
【図6】画像形成装置における二成分現像手段の一例を示す概略図である。
【図7】本発明のタンデム型画像形成装置における直接転写方式の一例を示す概略図である。
【図8】本発明のタンデム型画像形成装置における間接転写方式の一例を示す概略図である。
【図9】本発明の画像形成装置におけるベルト方式の定着手段の一例を示す概略図である。
【図10】本発明の画像形成装置における熱ローラ方式の定着手段の一例を示す概略図である。
【図11】本発明の画像形成装置における電磁誘導加熱方式の定着手段の一例を示す概略図である。
【図12】本発明の画像形成装置における電磁誘導加熱方式の定着手段の他の一例を示す概略図である。
【図13】本発明の画像形成装置におけるクリーニングブレードの一例を示す概略図である。
【図14】本発明の画像形成装置におけるクリーニングレス方式の画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図15】本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図16】本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略図である。
【図17】本発明のタンデム型画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図18】図17の各画像形成要素の拡大図である。
【図19】本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
【図20】本発明の画像形成装置の別の例を示す概略図である。
【図21】本発明の画像形成装置のさらに別の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<トナー>
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含有してなり、外添剤、更に必要に応じてその他の成分(トナー粒子に含有可能な成分:無機微粒子、樹脂微粒子、帯電制御剤、未変性ポリエステル樹脂、高分子重合体粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料等)を含有してなる。
【0027】
〔結着樹脂〕
前記結着樹脂は、ポリエステル系樹脂と、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルから選ばれる1種または2種以上をモノマー単位として含むビニル系重合体とを少なくとも含有し、前記ビニル系重合体のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの少なくとも一部が、アクリル酸及びメタクリル酸に末端に水酸基を持つポリエステルオリゴマーを縮合させたモノマーユニットである。
【0028】
[ポリエステル系樹脂]
ポリエステル系樹脂は、トナーに良好な低温定着性を付与するが、未変性ポリエステル樹脂(変性されていないポリエステル樹脂)を含有することがさらに好ましい。
【0029】
ポリエステル系樹脂(ポリエステル系重合体)を構成するモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオール、などが挙げられる。
【0030】
ポリエステル系樹脂を架橋させるためには、3価以上のアルコールを併用することが好ましい。前記3価以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、例えば、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
【0031】
ポリエステル系樹脂を形成する酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などがあげられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
【0032】
前記アルコール成分と前記カルボン酸成分との縮重合は、エステル化触媒の存在下で行うことが好ましい。前記エステル化触媒としては、p−トルエンスルホン酸等のルイス酸類、チタン化合物、Sn−C結合を有さない錫(II)化合物が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は両者を併用して用いられる。これらの中でも、チタン化合物、Sn−C結合を有さない錫(II)化合物が特に好ましい。
【0033】
前記チタン化合物としては、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、又はアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
前記チタン化合物としては、例えばチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(CO)〕、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート〔Ti(C10N)(CO)〕、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(C11O)〕、チタンジエチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(CO)〕、チタンジヒドロキシオクチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(OHC16O)〕、チタンジステアレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(C1837O)〕、チタントリイソプロピレートトリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(CO)〕、チタンモノプロピレートトリス(トリエタノールアミネート)〔Ti(C14N)(CO)〕などが挙げられる。これらの中でも、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネートが特に好ましく、これらは、例えばマツモト交商社製の市販品としても入手可能である。
【0034】
その他の好ましいチタン化合物としては、例えばテトラ−n−ブチルチタネート〔Ti(CO)〕、テトラプロピルチタネート〔Ti(CO)〕、テトラステアリルチタネート〔Ti(C1837O)〕、テトラミリスチルチタネート〔Ti(C1429O)〕、テトラオクチルチタネート〔Ti(C17O)〕、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネート〔Ti(C17O)(OHC16O)〕、ジミリスチルジオクチルチタネート〔Ti(C1429O)(C17O)〕などが挙げられる。これらの中でも、テトラステアリルチタネート、テトラミリスチルチタネート、テトラオクチルチタネート、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネートが好ましく、これらは、例えばハロゲン化チタンを対応するアルコールと反応させることにより得ることもできるが、ニッソー社等の市販品としても入手可能である。
前記チタン化合物の存在量は、前記アルコール成分及び前記カルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01質量部〜1.0質量部が好ましく、0.1質量部〜0.7質量部がより好ましい。
【0035】
ポリエステル系樹脂の酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが最も好ましい。
【0036】
前記ポリエステル系樹脂は、ガラス転移温度(Tg)30℃以上70℃以下であるのが好ましい。この範囲から外れると定着特性の悪化、耐熱保存性の悪化を招く場合がある。
【0037】
[未変性ポリエステル樹脂]
前記未変性ポリエステル樹脂は、低温定着性、光沢性等を向上させる目的で前記トナー粒子中に含有させることができる。前記未変性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂と同様のもの、即ちポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物、等が挙げられる。該未変性ポリエステル樹脂は、その一部が前記ウレア結合生成基含有ポリエステル系樹脂(RMPE)と相溶している事、即ち互いに相溶可能な類似の構造であるのが、低温定着性、耐ホットオフセット性の点で好ましい。
【0038】
前記未変性ポリエステル樹脂の質量平均分子量としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定値で、1000〜30000が好ましく、1500〜10000がより好ましく、2000〜8000が特に好ましい。前記質量平均分子量が、1000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、30000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0039】
前記未変性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、5以上が好ましく、10〜120がより好ましく、20〜80が更に好ましい。前記水酸基価が5未満であると、耐熱保存性と低温定着性とが両立し難くなる事がある。
前記未変性ポリエステル樹脂の酸価としては、1〜40が好ましく、4〜30がより好ましい。一般に前記トナーに酸価をもたせることによって負帯電性となり易くなる。
【0040】
前記未変性ポリエステル樹脂をトナーに含有させる場合、前記ウレア結合生成基含有ポリエステル系樹脂と該未変性ポリエステル樹脂との混合質量比としては、5/95〜50/50が好ましい。前記未変性ポリエステル樹脂の混合質量比が、95超であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とが両立し難くなることがあり、50未満であると、低温定着の悪化がみられることがある。
【0041】
[ビニル系重合体]
前記ビニル系重合体としては、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルであることが好ましい。アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの使用により離型剤粒子間に反発力を与えることができる。また、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルはポリエステル樹脂と相溶可能であり、良好な定着画像を示す。アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルのエステル基については、請求項2に記載のようにビニル系重合体のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの少なくとも一部が、アクリル酸及びメタクリル酸に末端に水酸基を持つポリエステルオリゴマーを縮合させたモノマーユニットであることが好ましい。たとえばメチルエステルのみのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのビニル系樹脂を使用した場合、離型剤粒子間の反発力が不十分で凝集が起こる。
【0042】
前記ビニル系重合体の分子量としては、重量平均分子量が3000以上30000以下であることが好ましい。重量平均分子量が3000以下であると離型剤への吸着が不十分であり、30000以上であるとトナーの定着特性に悪影響を及ぼす。
またビニル系重合体のSP値としては10.0から13.0の間であることが好ましい。SP値が10.0より以下あるいは13.0より以上であるとポリエステル系樹脂との相溶性が低くなる。
【0043】
前記ビニル系重合体の添加量としては、離型剤100質量部に対し、5質量部〜100質量部であることが好ましい。5重量部以下であると離型剤の分散が不十分であり、100重量部以上であると定着特性や帯電特性に悪影響を及ぼす。
【0044】
(ポリエステル系樹脂とビニル系樹脂との混合割合)
ポリエステル系樹脂(A)とビニル系樹脂(B)との混合割合は、質量比〔(B)/(A)〕で、1/99〜20/80が適当である。この範囲から外れると定着特性や耐熱保存性の悪化を招く場合がある。
【0045】
なお、前記結着樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の結着樹脂、例えば、スチレン−アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の他の樹脂が併用されていてもよいが、前記ポリエステル系樹脂(A)及びビニル系樹脂(B)の総含有量は、前記結着樹脂中80質量%以上であるのが好ましい。
【0046】
〔離型剤〕
離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えばワックス類等が好適に挙げられる。前記ワックス類としては、例えば、低分子量ポリオレフィンワクス、合成炭化水素系ワックス、天然ワックス類、石油ワックス類、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、これらの各種変性ワックス等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
前記低分子量ポリオレフィンワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。前記合成炭化水素ワックスとしては、例えば、フィッシャートロプシュワックスが挙げられる。
前記天然ワックス類としては、例えば、蜜ろう、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックスなどが挙げられる。前記石油ワックス類としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。前記高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
【0048】
前記離型剤の融点としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜160℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、60〜90℃が特に好ましい。前記融点が、40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある他、定着機への紙の巻き付き等が発生することがある。
ここで、融点とは、示差走査熱量分析(Differential scanning calorimetry;DSC)により得られる示差熱曲線において、吸熱量が極大になる吸熱ピークの温度である。
【0049】
前記離型剤のトナー粒子(トナー母体粒子)における含有量としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜40質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。前記含有量が40質量%を超えると、低温定着性の阻害や画質の劣化(光沢度が高すぎる)を生ずることがある。
【0050】
前記離型剤分散液中の離型剤粒子の粒子径としては、体積基準粒度分布におけるメジアン径が0.2μm以上3.0μm以下であることが好ましく、0.2μm以上1.0μm以下がより好ましい。メジアン径が3.0μm以上であると、離型剤のトナー表面露出量が多くなり感光体への汚染、定着性の低下、耐熱保存性の悪化、ケミカルトナーに用いた場合造粒挙動が不安定になるなどの問題を引き起こすことがある。
前記離型剤分散液中の離型剤粒子の粗大粒子割合としては、体積基準粒度分布において粒径5.0μm以上の積算頻度が5.0%以下であることが好ましい。積算頻度が5.0%以上であると、離型剤のトナー表面露出量が多くなり感光体への汚染、定着性の低下、耐熱保存性の悪化、ケミカルトナーに用いた場合トナーが粗大化するといった問題を引き起こすことがある。
【0051】
〔着色剤〕
着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0052】
前記着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用のものとしては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
【0053】
マゼンタ用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、177、179、202、206、207、209、211;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
【0054】
シアン用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36などが挙げられる。
【0055】
イエロー用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー0−16、1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、151、154、180;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36などが挙げられる。
【0056】
前記着色剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
【0057】
本発明で用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチとともに混練される結着樹脂としては、前記結着樹脂と同じものが使用できる。また結着樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0058】
前記マスターバッチは、マスターバッチ調製用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得ることができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の、水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため、乾燥する必要がなく、好適に使用される。混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。
【0059】
また、前記マスターバッチ調製用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1〜100で、着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10〜50で、着色剤を分散させて使用することがより好ましい。酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1未満であるとき、および、アミン価が100を超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。なお、酸価はJIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
【0060】
また、顔料の分散性を高めるために分散剤を用いることができる。分散剤は、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、具体的な市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
【0061】
前記分散剤の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるスチレン換算質量での、メインピークの極大値の分子量で、500〜100,000が好ましく、顔料分散性の観点から、3,000〜100,000がより好ましい。特に、5,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000が最も好ましい。分子量が500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがあり、分子量が100,000を超えると、溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。前記分散剤は、トナー中に、着色剤に対して0.1〜10質量%の割合で配合することが好ましい。配合割合が0.1質量%未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10質量%より多いと、高湿下での帯電性が低下することがある。
【0062】
〔帯電制御剤〕
帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4 級アンモニウム塩(フッ素変性4 級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体またはその化合物、タングステンの単体またはその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、などが挙げられる。これらの中でも、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩が好ましい。前記金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、亜鉛、チタン、ストロンチウム、ホウ素、ケイ素、ニッケル、鉄、クロム、ジルコニウムなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0063】
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR 、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージNX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、等が挙げられる。
【0064】
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、あるいは前記トナー粒子の各成分と共に前記有機溶媒に直接、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー粒子表面に固定させてもよい。
前記帯電制御剤の前記トナー粒子における含有量としては、前記結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定する事ができないが例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。該含有量が0.1質量部未満であると、トナーの帯電特性の悪化が見られることがあり、10質量部を超えると、トナー粒子の帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラーとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
【0065】
〔無機微粒子〕
無機微粒子としては特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
前記無機微粒子の一次粒子径としては、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積としては、20〜500m/gが好ましい。前記無機微粒子の前記トナーにおける含有量としては、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.01〜2.0質量%がより好ましい。
なお、前記無機微粒子は、前記トナーの外添剤として好適に使用することができる。
【0067】
〔樹脂微粒子〕
樹脂微粒子としては、水系媒体中で水性分散液を形成しうる樹脂であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂でもよく、例えば、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細な球状の樹脂樹脂粒子の水性分散液が得られ易い点で、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種で形成されているのが好ましい。
【0068】
なお、前記ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合または共重合したポリマーであり、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、などが挙げられる。
【0069】
また、前記樹脂微粒子としては、少なくとも2つの不飽和基を有する単量体を含んでなる共重合体を用いることもできる。前記少なくとも2つの不飽和基を持つ単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」;三洋化成工業社製)、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールアクリレートなどが挙げられる。
【0070】
前記樹脂微粒子の体積平均粒径としては、20〜400nmが好ましく、30〜350nmがより好ましい。該体積平均粒径が20nm未満であると、前記トナー粒子の表面上に残存する前記樹脂微粒子が皮膜化したり、前記トナー粒子の表面全体を密に覆ってしまうことがあり、その結果、該樹脂微粒子が前記トナー粒子内部の前記結着樹脂、転写材としての定着紙との接着性を阻害し、定着下限温度が上昇してしまうことがあり、400nmを超えると、前記樹脂微粒子がワックス成分の染み出しを阻害し、十分な離型性が得られず、オフセットが発生することがある。
【0071】
前記樹脂微粒子のトナー粒子被覆率としては、75〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましい。該トナー粒子被覆率が、75%未満であると、前記トナー粒子の保存性が悪化してしまい、保管時乃至使用時にブロッキングを発生してしまうことがある。
前記樹脂微粒子の前記トナー粒子における含有量としては、0.5〜8.0質量%が好ましく、0.6〜7.0質量%がより好ましい。該含有量が、0.5質量%未満であると、前記トナーの保存性が悪化してしまい、保管時乃至使用時にブロッキングの発生が見られることがあり、8.0質量%を超えると、前記樹脂微粒子がワックスの染み出しを阻害し、十分な離型性が得られず、オフセットが発生することがある。
【0072】
〔高分子重合体粒子〕
前記高分子重合体粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ソープフリー乳化重合、懸濁重合、分散重合等によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合樹脂、熱硬化性樹脂、などで形成された粒子が挙げられる。
【0073】
〔流動性向上剤〕
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。
【0074】
〔クリーニング性向上剤〕
前記クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、重量平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
【0075】
〔磁性材料〕
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、などが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
【0076】
〔外添剤〕
トナーの流動性や保存性、現像性、転写性、耐久性を高めるために、トナー母体粒子に外添剤として、酸化物微粒子、疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子や、高分子系の樹脂微粒子を添加混合してもよい。転写性や耐久性を低下させるワックスをこれらの外添剤で覆い隠すこととトナー表面が微粒子で覆われることによる接触面積が低下することによりこの効果が得られる。これらの無機微粒子はその表面が疎水化処理されていることが好ましく、疎水化処理されたシリカや酸化チタン、といった金属酸化物微粒子が好適に用いられる。疎水化処理されたシリカの外添量より疎水化処理された酸化チタンの外添量を多くすることにより湿度に対する帯電の安定性にも優れ、トナー転写率の改善および耐フィルミング性の良いトナーとすることができる。
【0077】
前記無機微粒子や前記樹脂微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmのものが好ましく用いられる。無機微粒子の使用割合は、種類にもよるが、トナー粒子に対してその0.01〜5質量%の範囲で用いられる。無機微粒子の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。また、高分子系の樹脂微粒子としては、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0078】
前記疎水化処理剤の代表例としては以下のものが挙げられる。ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、p−クロルフェニルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルジクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン、オクチル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、ノニル−トリクロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−トリクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−トリクロルシラン、ジペンチル−ジクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジドデシル−ジクロルシラン、ジヘキサデシル−ジクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−オクチル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジデセニル−ジクロルシラン、ジノネニル−ジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルペンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ジエチルテトラメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等。この他チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤も使用可能である。
【0079】
以上の外添剤の混合には、一般の粉体の混合機が用いられるが、ジャケット等を装備して内部の温度を調節できることが好ましい。例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが好ましく用いられる。
【0080】
上記した無機微粒子や樹脂微粒子はトナー中に含有(内添)させることにより外添した場合より効果は減少するが転写性や耐久性を向上させる効果が得られるとともにトナーの粉砕性を向上させることができる。また、外添と内添を併用することにより外添した微粒子が埋め込まれることを抑制することができるため優れた転写性が安定して得られるとともに耐久性も向上する。
【0081】
〔トナー粒子の物性等〕
本発明におけるトナー粒子は、その形状、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下のような、熱特性、画像濃度、平均円形度、体積平均粒径、体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)などを有していることが好ましい。
【0082】
(熱特性)
前記熱特性は、フローテスター特性とも言われ、例えば、軟化温度(Ts)、流出開始温度(Tfb)、1/2法軟化点(T1/2)などとして評価される。
これらの熱特性は、適宜選択した方法により測定することができ、例えば、高架式フローテスターCFT500型(島津製作所社製)を用いて測定したフローカーブから求めることができる。
前記軟化温度(Ts)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃以上が好ましく、80〜120 ℃がより好ましい。前記軟化温度(Ts)が、50℃未満であると、耐熱保存性および低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
前記流出開始温度(Tfb)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、60℃以上が好ましく、70〜150℃がより好ましい。前記流出開始温度(Tfb)が、60℃未満であると、耐熱保存性および低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
前記1/2法軟化点(T1/2)は、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、60℃以上が好ましく、80〜170℃がより好ましい。前記1/2 法軟化点(T1/2)が、60℃未満であると、耐熱保存性および低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
【0083】
(画像濃度)
前記画像濃度は、分光計(X−ライト社製、938スペクトロデンシトメータ)を用いて測定した濃度値が、1.90以上が好ましく、2.00以上がより好ましく、2.10 以上が特に好ましい。
前記画像濃度が、1.90未満であると、画像濃度が低く、高画質が得られないことがある。
前記画像濃度は例えば、imagio Neo450(リコー社製)を用いて、複写紙(TYPE6000<70W>;リコー社製)に現像剤の付着量が1.00±0.05mg/cmのベタ画像を定着ローラの表面温度が160±2℃で形成し、得られたベタ画像における任意の6箇所の画像濃度を、分光計(X−ライト社製、938スペクトロデンシトメータ)を用いて測定しその平均値を算出することにより、測定することができる。
【0084】
(平均円形度)
前記平均円形度は、前記トナーの形状と投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値であり、例えば、0.900〜0.980が好ましく、0.950〜0.975がより好ましい。なお、前記平均円形度が0.94未満の粒子が15%以下であるのが好ましい。
前記平均円形度が、0.900未満であると、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがあり、0.980を超えると、ブレードクリーニングなどを採用している画像形成システムでは、感光体上および転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れ、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが感光体上に転写残トナーとなって蓄積した画像の地汚れが発生してしまうことがあり、あるいは、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまうことがある。
前記平均円形度は例えば、トナー粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法などにより計測することができ、例えば、フロー式粒子像分析装置FPIA−3000シスメックス社製)等を用いて計測することができる。
【0085】
(体積平均粒径)
前記トナーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、3〜8μmが好ましい。
前記体積平均粒径が、3μm未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがある。一方、8μmを超えると、高解像で高画質の画像を得る事が難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
【0086】
前記トナーにおける体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)としては、1.00〜1.25が好ましく、1.10〜1.25がより好ましい。
前記体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)が、1.25を超えると、二成分現像剤では、現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーが薄層化し、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、また、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記体積平均粒径、及び、前記体積平均粒子径と個数平均粒子径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)は、例えば、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTAII」を用いて測定することができる。
【0087】
<二成分現像剤>
本発明のトナーは、キャリアと併用されて二成分現像剤とすることができる。
キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている静電潜像担持体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
【0088】
前記芯材の粒径としては、平均粒径(重量平均粒径(D50))で、10〜200μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。前記平均粒径(重量平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、200μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
【0089】
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー(フッ化三重(多重)共重合体)、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が特に好ましい。
【0090】
前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、一般的に知られているシリコーン樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂;アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等で変性したシリコーン樹脂、などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、ストレートシリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2400、SR2406、SR2410などが挙げられる。
【0091】
前記変性シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、信越化学工業社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)、などが挙げられる。なお、シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
【0092】
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
【0093】
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付の方法としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
【0094】
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01〜5.0質量%が好ましい。前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
【0095】
前記現像剤が二成分現像剤である場合には、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90〜98質量%が好ましく、93〜97質量%がより好ましい。
前記二成分系現像剤のトナーとキャリアの混合割合は、一般にキャリア100質量部に対しトナー1〜10.0質量部が好ましい。
【0096】
<トナーの製造方法>
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、従来公知のトナーの製造方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、混練・粉砕法、懸濁重合法、分散重合法、乳化凝集法、ポリマー溶液懸濁法、ポリマー伸長法等が挙げられる。なかでもポリマー溶液を水系媒体中に懸濁させてトナー粒子を得る方法や、ポリマー伸長法によりトナー粒子を得る方法が好ましい。
【0097】
〔混練・粉砕法〕
前記混練・粉砕法は、例えば、少なくとも結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含有するトナー材料を溶融混練し、得られた混練物を粉砕し、分級することにより、前記トナーの母体粒子を製造する方法である。
前記溶融混練では、前記トナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸又は二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、株式会社池貝製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、結着樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
【0098】
前記粉砕では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
【0099】
前記分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離器等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナー母体粒子を製造することができる。
【0100】
次いで、外添剤のトナー母体粒子への外添が行われる。トナー母体粒子と外添剤とをミキサーを用い、混合及び攪拌することにより外添剤が解砕されながらトナー母体粒子表面に被覆される。この時、無機微粒子や樹脂微粒子等の外添剤を均一かつ強固にトナー母体粒子に付着させることが耐久性の点で重要である。
【0101】
〔ポリマー伸長法〕
本発明のトナーの製造においては、ポリマー伸長法において、活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を少なくとも反応させて水系媒体中で接着性基材を生成しつつトナー粒子を形成し、必要に応じて、樹脂微粒子、着色剤、離型剤、非反応性ポリエステル樹脂、帯電制御剤等の成分を含んでなるトナー粒子とするのが好ましい。
【0102】
[活性水素基含有化合物および該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体]
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体としては、前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を少なくとも有しているものであれば特に制限はなく、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの誘導体樹脂、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
【0103】
前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、特に制限はなく、公知の置換基等の中から適宜選択することができるが、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、クロリド基、等が挙げられる。これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。これらの中でも、イソシアネート基が特に好ましい。
【0104】
前記活性水素基含有化合物および該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体の質量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1000以上が好ましく、2000〜1000000がより好ましく、8000〜100000が特に好ましい。
前記質量平均分子量が、1000未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。またガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30〜70℃が好ましく、40〜65℃がより好ましい。
前記ガラス転移温度(Tg)が30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が十分でないことがある。
【0105】
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物であり、かつ前記活性水素基含有ポリエステル樹脂をポリイソシアネート(PIC)と反応させてなるもの、などが挙げられる。
【0106】
前記ポリオール(PO)としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール(DIO)、3価以上のポリオール(TO)、ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物、等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ジオール(DIO)単独、または前記ジオール(DIO)と少量の前記3価以上のポリオール(TO)との混合物、等が好ましい。
【0107】
前記ジオール(DIO)としては、例えば、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
前記アルキレングリコールとしては、炭素数2〜12のものが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
前記アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
前記脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA 等が挙げられる。
前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記脂環式ジオールに対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
前記ビスフェノール類としては例えば、ビスフェノールA 、ビスフェノールF、ビスフェノールS 等が挙げられる。
前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記ビスフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの混合物が特に好ましい。
【0108】
前記3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上のものが好ましく、例えば、3価以上の多価脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
前記3価以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
前記3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記3価以上のポリフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
【0109】
前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合物における、前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合質量比(DIO:TO)としては、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1 がより好ましい。
【0110】
前記ポリカルボン酸(PC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジカルボン酸(DIC)単独、またはDICと少量の3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物が好ましい。前記ジカルボン酸としては、例えば、アルキレンジカルボン酸、アルケニレンジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、などが挙げられる。
【0111】
前記アルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。前記アルケニレンジカルボン酸としては、炭素数4〜20のものが好ましく、例えば、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜20のものが好ましく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
【0112】
前記3価以上のポリカルボン酸(TC)としては、3〜8価またはそれ以上のものが好ましく、例えば、芳香族ポリカルボン酸、などが挙げられる。
前記芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20のものが好ましく、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0113】
前記ポリカルボン酸(PC)としては、前記ジカルボン酸(DIC)、前記3価以上のポリカルボン酸(TC)、および、前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸との混合物、から選択されるいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステル物を用いることもできる。
前記低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
【0114】
前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物における前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合質量比(DIC:TC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
【0115】
前記ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)とを重縮合反応させる際の混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ポリオール(PO)における水酸基[OH]と、前記ポリカルボン酸(PC)におけるカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が、通常、2/1〜1/1であるのが好ましく、1.5/1〜1/1であるのがより好ましく、1.3/1 〜1.02/1であるのが特に好ましい。
【0116】
前記ポリオール(PO)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0117】
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択する事ができるが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらのフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの、などが挙げられる。
【0118】
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
前記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。
前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
前記イソシアヌレート類としては、例えば、トリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート等が挙げられる。
これらは、1種単独でも使用することができ、2種以上を併用してもよい。
【0119】
前記ポリイソシアネート(PIC)と、前記活性水素基含有ポリエステル樹脂(例えば水酸基含有ポリエステル樹脂)とを反応させる際の混合比率としては、該ポリイソシアネート(PIC)におけるイソシアネート基[NCO]と、該水酸基含有ポリエステル樹脂における水酸基[OH]との混合当量比([NCO]/[OH])が、通常、5/1〜1/1であるのが好ましく、3/1〜1.2/1であるのがより好ましく、1.5/1〜1.1/1であるのが特に好ましい。
前記混合当量比([NCO]/[OH])が5を超えると、耐オフセット性が悪化することがあり、1未満であると、合成時にゲル化することがある。
【0120】
前記ポリイソシアネート(PIC)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が更に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)の1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、2以上が好ましく、2.0 〜2.5 がより好ましく、2.0〜2.2がより好ましい。
前記イソシアネート基の平均数が、2未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0121】
(活性水素基含有化合物)
前記活性水素基含有化合物は、前記水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。前記活性水素基含有化合物としては、活性水素基を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)である場合には、該イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)と伸長反応、架橋反応等の反応により高分子量化可能な点で、前記アミン類(B)が好適である。前記活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルコール性水酸基が特に好ましい。
【0122】
前記アミン類(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジアミン(BI)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)等、が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン(B1)、ジアミン(B1)と少量の3価以上のポリアミン(B2)との混合物、が特に好ましい。
【0123】
前記ジアミン(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン、等が挙げられる。該芳香族ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。該脂環式ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。該脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
前記3価以上のポリアミン(B2)としては、例えば、ジエチレントリミン、トリエチレンテトラミン、等が挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、などが挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、などが挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸、などが挙げられる。
前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば、前記(B1)から(B5)のいずれかのアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物、などが挙げられる。
【0124】
前記アミン類(B)と、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)との混合比率としては、前記イソシアネート基含有プレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、前記アミン類(B)中のアミノ基[NH]の混合当量比([NCO]/[NH])が、1/3〜3/1であるのが好ましく、1/2〜2/1であるのがより好ましく、1/1.5〜1.5/1であるのが特に好ましい。
前記混合当量比([NCO]/[NH])が、1/3未満であると、低温定着性が低下する事があり、3/1を超えると、分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0125】
(水系媒体)
前記水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、該水と混和可能な溶媒、これらの混合物、などが挙げられる。
【0126】
(トナーの製造)
前記トナーの製造方法は、活性水素基含有化合物および該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を少なくとも反応させて水系媒体中で接着性基材を生成させつつ粒子状のトナーを得る工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
前記工程では例えば水系媒体相の調製、有機溶媒相の調製、乳化・分散、その他(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)の合成、前記活性水素基含有化合物の合成など)を行う。
【0127】
前記水系媒体相の調製は、例えば、前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させることにより行うことができる。該樹脂微粒子の該水系媒体中の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5〜10質量%が好ましい。
前記有機溶媒相の調製は、前記有機溶媒中に前記活性水素基含有化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、前記着色剤、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記未変性ポリエステル樹脂等のトナー原料を、溶解乃至分散させることにより行うことができる。
【0128】
なお、前記トナー原料の中で、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)以外の成分は、前記水系媒体相調製において、前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させる際に該水系媒体中に添加混合してもよいし、あるいは、前記有機溶媒相を前記水系媒体相に添加する際に、該有機溶媒相と共に前記水系媒体相に添加してもよい。
【0129】
前記有機溶媒としては、前記トナー原料を溶解乃至分散可能な溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、除去の容易性の点で沸点が150℃未満の揮発性のものが好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、等が挙げられる。これらの中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、などが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記トナー原料100質量部に対し、40〜300質量部が好ましく、60〜140質量部がより好ましく、80〜120質量部が更に好ましい。
【0130】
前記乳化・分散は、先に調製した前記有機溶媒相を、先に調製した前記水系媒体相中に乳化・分散させることにより行うことができる。そして、該乳化・分散の際、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを伸長反応乃至架橋反応させると、前記接着性基材が生成する。
【0131】
前記接着性基材(例えば、前記ウレア変性ポリエステル樹脂は、例えば、(1)前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む前記有機溶媒相を、前記活性水素基含有化合物(例えば、前記アミン類(B))と共に、前記水系媒体相中に乳化・分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、(2)前記有機溶媒相を、予め前記活性水素基含有化合物を添加した前記水系媒体中に乳化・分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、あるいは(3)前記有機溶媒相を、前記水系媒体中に添加混合させた後で、前記活性水素基含有化合物を添加し、分散体を形成し、該水系媒体相中で粒子界面から両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよい。なお、前記(3)の場合、生成するトナー表面に優先的に変性ポリエステル樹脂が生成され、該トナー粒子において濃度勾配を設けることもできる。
【0132】
前記乳化・分散により、前記接着性基材を生成させるための反応条件としては特に制限はなく、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と前記活性水素基含有化合物との組合せに応じて適宜選択することができ、反応時間としては、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましく、反応温度としては、0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。
【0133】
前記水系媒体相中において、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む前記分散体を安定に形成する方法としては、例えば、前記水系媒体相中に、前記有機溶媒に溶解乃至分散させた前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))、前記着色剤、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記未変性ポリエステル樹脂などの前記トナー原料を加えて、せん断力により分散させる方法、等が挙げられる。
【0134】
前記分散は、その方法としては特に制限はなく、公知の分散機等を用いて適宜選択することができ、該分散機としては、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、などが挙げられる。これらの中でも、前記分散体の粒径を2〜20μm に制御することができる点で、高速せん断式分散機が好ましい。
前記高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度等の条件については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記回転数としては、1000〜30000rpmが好ましく、5000〜20000rpmがより好ましく、前記分散時間としては、バッチ方式の場合は、0.1〜5分が好ましく前記分散温度としては、加圧下において0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。なお、前記分散温度は高温である方が一般に分散が容易である。
【0135】
前記乳化・分散において、前記水系媒体の使用量としては、前記トナー原料100質量部に対し、50〜2000質量部が好ましく、100〜1000質量部がより好ましい。前記水系媒体の使用量が、50質量部未満であると、前記トナー原料の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがあり、2000質量部を超えると、生産コストが高くなることがある。
前記乳化・分散においては必要に応じて、粒度分布をシャープにし、安定に分散を行う観点から、分散剤を用いることが好ましい。前記分散剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
【0136】
前記界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、などが挙げられる。
【0137】
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するものが好適に挙げられる。該フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2 〜10 のフルオロアルキルカルボン酸またはその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−オメガ−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸またはその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)またはその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸またはその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。該フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製);フロラードFC−93 、FC−95 、FC−98 、FC−129(住友3M 社製);ユニダインDS−101 、DS−102(ダイキン工業社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製);エクトップEF−102 、103 、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
【0138】
前記陽イオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。前記アミン塩型界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等が挙げられる。前記四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。該陽イオン界面活性剤の中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級または三級アミン酸、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10個)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、などが挙げられる。該カチオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子社製);フロラードFC−135(住友3M社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製);エクトップEF−132(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
【0139】
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等が挙げられる。
【0140】
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
【0141】
前記難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト、等が挙げられる。前記高分子系保護コロイドとしては、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アミド化合物またはこれらのメチロール化合物、クロライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類、などが挙げられる。
【0142】
前記酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0143】
前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
【0144】
前記ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類としては例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。
【0145】
前記ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。
【0146】
前記アミド化合物又はこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、又はこれらのメチロール化合物、等が挙げられる。
【0147】
前記クロライド類としては例えばアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等が挙げられる。
【0148】
前記窒素原子若しくはその複素環を有するもの等ホモポリマー又は共重合体としては例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。
【0149】
前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等が挙げられる。
【0150】
前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0151】
前記乳化・分散においては、必要に応じて分散安定剤を用いることができる。
該分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能なものなどが挙げられる。該分散安定剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法などによって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することができる。
前記乳化・分散においては、前記伸長反応乃至前記架橋反応の触媒を用いることができる。該触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、などが挙げられる。
【0152】
前記乳化・分散において得られた乳化スラリーから、有機溶媒を除去する。該有機溶媒の除去は、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、液滴中の前記有機溶媒を完全に蒸発除去する方法、(2)乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法、などが挙げられる。
前記有機溶媒の除去が行われると、トナー粒子が形成される。この方法においては、該トナー粒子をウエットケーキとして濾取し、洗浄、乾燥等を行うことができ、更にその後、所望により分級等を行うことができる。該分級は、例えば、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができ、乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよい。
【0153】
こうして、得られたトナー粒子を、前記着色剤、離型剤、前記帯電制御剤等の粒子と共に混合したり、更に機械的衝撃力を印加することにより、該トナー粒子の表面から該離型剤等の粒子が脱離するのを防止することができる。
前記機械的衝撃力を印加する方法としては、例えば、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し加速させて粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法、などが挙げられる。この方法に用いる装置としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢、などが挙げられる。
以上の工程により、前記トナー粒子が形成される。
【0154】
<画像形成装置、画像形成方法>
本発明における画像形成装置(フルカラー画像形成装置)は、少なくとも感光体と、この感光体の表面を一様に帯電する帯電手段と、一様帯電された感光体表面に像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段と、形成された静電潜像にトナーを使用して現像する現像手段と、現像されたトナー像を記録媒体に転写させる転写手段とを少なくとも具備してなる画像形成要素を複数配列したフルカラー画像形成装置であって、前記使用されるトナーが本発明のカラー画像形成用トナーであることを特徴とするものである。
更に、本発明におけるフルカラー画像形成装置は、少なくとも感光体と、帯電手段、像露光手段、現像手段、転写手段を有し、該現像手段が異なる色のトナーによって充填された複数の現像部を備え、該複数の現像部に対応した複数の感光体を具備したタンデム方式のフルカラー画像形成装置であって、前記使用されるトナーが前記本発明のカラー画像形成用トナーであることを特徴とするものである。
以下、先ず本発明のカラー画像形成用トナーが使用されるフルカラー画像形成装置において配備される各手段の基本となる構成要素のみを抽出して説明する(図1〜図6)。その後に、フルカラー画像形成装置について説明する(図7〜図19)。なお、図19はフルカラー画像形成装置用プロセスカートリッジを説明するための概略図を示す。
【0155】
画像形成装置は、静電潜像担持体(感光体)と、帯電手段と、露光手段(像露光手段)と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有するものであり、クリーニング手段、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有するものである。なお、帯電手段と、露光手段とを合わせて静電潜像形成手段と称することもある。
本発明のフルカラー画像形成装置によれば、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性が優れ、トナー同士の固着凝集が起り難く、光沢度の高いカラー画像形成用トナーを使用するので、高速の画像形成においても異常画像の発生がなく安定した画像を出力することができる。本発明のフルカラー画像形成方法およびフルカラー画像形成装置を用いれば、電子写真法を用いた電子写真応用分野(例えば、レーザープリンタ、複写機、ファクシミリ等)に広く適用することができる。
【0156】
画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、クリーニング工程、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。なお、帯電工程と、露光工程とを合わせて静電潜像形成工程と称することもある。
画像形成方法は、上記画像形成装置により好適に実施することができ、前記帯電工程は前記帯電手段により行うことができ、前記露光工程は前記露光手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記クリーニング工程は前記クリーニング手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
本発明のフルカラー画像形成方法によれば、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性が優れ、トナー同士の固着凝集が起り難く、光沢度の高いカラー画像形成用トナーを使用するので、高速の画像形成においても異常画像の発生がなく安定して高品質の画像を出力することができる。
【0157】
〔静電潜像担持体(感光体)〕
前記静電潜像担持体(感光体)としては、その材質、形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ドラム状、シート状、エンドレスベルト状などが挙げられる。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記画像形成装置の大きさや仕様等に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン、CdS、ZnO等の無機感光体;ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、などが挙げられる。
【0158】
前記アモルファスシリコン感光体は、例えば、支持体を50〜400℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法により、a−Siからなる感光層を形成したものである。これらの中でも、プラズマCVD法が特に好ましく、具体的には、原料ガスを直流、高周波又はマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Siからなる感光層を形成する方法が好適である。
【0159】
前記有機感光体(OPC)は、(1)光吸収波長域の広さ、光吸収量の大きさ等の光学特性、(2)高感度、安定な帯電特性等の電気的特性、(3)材料の選択範囲の広さ、(4)製造の容易さ、(5)低コスト、(6)無毒性、等の理由から一般に広く応用されている。このような有機感光体の層構成としては、単層構造と、積層構造とに大別される。
【0160】
前記単層構造の感光体は、支持体と、該支持体上に単層型感光層を設けてなり、更に必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有してなる。前記積層構造の感光体は、支持体と、該支持体上に電荷発生層、および電荷輸送層を少なくともこの順に有する積層型感光層を設けてなり、更に必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有してなる。
【0161】
〔帯電工程および帯電手段〕
前記帯電工程は、静電潜像担持体(感光体)表面を帯電させる工程であり、前記露光手段により行われる。前記帯電手段としては、前記感光体の表面に電圧を印加して一様に帯電させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。このような帯電手段としては、(1)静電潜像担持体(感光体)と接触して帯電させる接触方式の帯電手段と、(2)感光体と非接触で帯電させる非接触方式の帯電手段とに大別される。
【0162】
〔接触方式の帯電手段〕
前記(1)の接触方式の帯電手段としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、磁気ブラシ、ファーブラシ、フィルム、ゴムブレードなどが挙げられる。これらの中でも、前記帯電ローラは、コロナ放電に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、静電潜像担持体の繰り返し使用時における安定性に優れ、画質劣化防止に有効である。
前記磁気ブラシは、例えば、Zn−Cuフェライト等の各種フェライト粒子を支持する非磁性の導電スリーブと、該スリーブに内包されるマグネットロールとから構成される。前記ファーブラシは、例えばカーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物等により導電処理されたファーを、金属又は導電処理された芯金に巻き付けたり、張り付けて形成される。
【0163】
図1は、帯電ローラの一例を示す断面図である。この帯電ローラ310は、円柱状を呈する導電性支持体としての芯金311と、該芯金311の外周面上に一様の厚さで形成された抵抗調整層312と、該抵抗調整層312の表面を被覆してリークを防止する保護層313とを有する。前記抵抗調整層312は、熱可塑性樹脂組成物を押出成形又は射出成形により芯金311の周面に設けることにより形成される。前記抵抗調整層312に用いられる熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)又はその共重合体(AS、ABS等)などが挙げられる。
【0164】
前記抵抗調整層312は、高分子型イオン導電剤が分散する熱可塑性樹脂組成物により形成されている。この抵抗調整層312の体積固有抵抗値は、106〜109Ω・cmが好ましい。前記体積固有抵抗値が109Ω・cmを超えると、帯電量が不足し、感光体ドラムがムラのない画像を得るために十分な帯電電位を得ることができなくなることがあり、体積固有抵抗値が106Ω・cm未満であると、感光体ドラム全体へのリークが生じるおそれがある。
【0165】
前記高分子型イオン導電剤としては、単体での抵抗値が106〜1010Ω・cm程度であり、樹脂の抵抗を下げやすいものが用いられる。その一例として、ポリエーテルエステルアミド成分を含有する化合物が挙げられる。前記抵抗調整層312の抵抗値を上記のような値にするため、その配合量は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して30〜70質量部が好ましい。
【0166】
また、前記高分子型イオン導電剤として、4級アンモニウム塩基含有高分子化合物を用いることもできる。該4級アンモニウム塩基含有高分子化合物としては、例えば、4級アンモニウム塩基含有ポリオレフィン等が挙げられる。前記抵抗調整層312の抵抗値を上記のような値にするため、その配合量は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して10〜40質量部が好ましい。
【0167】
前記高分子型イオン導電剤の熱可塑性樹脂への分散は、二軸混練機、ニーダー等により行うことができる。前記高分子型イオン導電剤は熱可塑性樹脂組成物中に分子レベルで均一に分散するので、前記抵抗調整層312には導電性顔料が分散する抵抗調整層に見られるような導電性物質の分散不良に伴う抵抗値のばらつきが生じない。また、前記高分子型イオン導電剤が高分子化合物であるため、熱可塑性樹脂組成物中に均一に分散して固定され、ブリードアウトが生じにくくなっている。
【0168】
前記保護層313は、その抵抗値が抵抗調整層312の抵抗値よりも大きくなるように形成される。これにより感光体ドラムへの欠陥部へのリークが回避される。ただし、保護層313の抵抗値を高くしすぎると、帯電効率が低下するため、保護層313の抵抗値と抵抗調整層312の抵抗値との差は103Ω・cm以下であることが好ましい。
【0169】
前記保護層313を形成する材料としては、成膜性が良好である点から樹脂材料が好適である。前記樹脂材料としては、例えば、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などが非粘着性に優れ、トナーの付着を防止する観点から好ましい。また、前記樹脂材料は一般に電気的な絶縁性を有するため、樹脂材料単体で保護層313を形成すると帯電ローラの特性が満たされない。そこで、前記樹脂材料に対して各種導電剤を分散させることによって、保護層313の抵抗値を調整する。なお、保護層303と抵抗調整層302との接着性を向上させるため、前記樹脂材料にイソシアネート等の反応硬化剤を分散させてもよい。
【0170】
前記帯電ローラ310は、電源に接続されており、所定の電圧が印加される。該電圧は、直流(DC)電圧のみでもよいが、DC電圧に交流(AC)電圧を重畳させた電圧であることが好ましい。このようにAC電圧を印加することにより、感光体ドラム表面をより均一に帯電することができる。
【0171】
図2は、図1に示すような接触方式の帯電ローラ310を帯電手段として画像形成装置に適用した一例を示す概略図である。図2において、静電潜像担持体としての感光体ドラム321の周囲には、該感光体ドラム表面を帯電するための帯電ローラ310、帯電処理面に潜像を形成するための露光手段323、感光体ドラム表面の潜像にトナーを付着することで可視像を形成する現像手段324、形成された感光体ドラム上の可視像を記録媒体326上に転写する転写手段325、記録媒体上の可視像を定着する定着手段327、感光体ドラム上の残留トナーを除去し、回収するためのクリーニング手段330、感光体ドラム上の残留電位を除去するための除電装置331が順に配設されている。
前記帯電手段310としては、図1に示す接触方式の帯電ローラ310が設けられ、感光体ドラム321表面はこの帯電ローラ310によって一様に帯電される。
【0172】
〔非接触方式の帯電手段〕
前記(2)の非接触の帯電手段としては、例えば、コロナ放電を利用した非接触帯電器や針電極デバイス、固体放電素子、静電潜像担持体(感光体)に対して微小な間隙をもって配設された導電性又は半導電性の帯電ローラなどが挙げられる。
前記コロナ放電は、空気中のコロナ放電によって発生した正又は負のイオンを静電潜像担持体の表面に与える非接触な帯電方法であり、静電潜像担持体に一定の電荷量を与える特性を持つコロトン帯電器と、一定の電位を与える特性を持つスコロトロン帯電器とがある。
【0173】
前記コロトン帯電器は、放電ワイヤの周囲に半空間を占めるケーシング電極とそのほぼ中心に置かれた放電ワイヤとから構成される。
前記スコロトロン帯電器は、前記コロトロン帯電器にグリッド電極を追加したものであり、グリッド電極は静電潜像担持体表面から1.0〜2.0mm離れた位置に設けられている。
【0174】
図3は、非接触方式のコロナ帯電器を帯電手段として画像形成装置に適用した一例を示す概略図である。なお、図3においては、図2におけるものと同じものは同符号で示した。
前記帯電手段としては、非接触方式のコロナ帯電器314が設けられ、感光体ドラム321表面はコロナ帯電器314によって一様に帯電される。前記静電潜像担持体に対して微小な間隙をもって配設された帯電ローラとしては、前記静電潜像担持体に対して微小な間隙を持つように前記帯電ローラを改良したものである。前記微小な間隙は10〜200μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。
【0175】
図4は、非接触の帯電ローラの一例を示す概略図である。この図4では、帯電ローラ310は、感光体ドラム321に対して微小な間隙Hをもって配設されている。この微小な間隙Hは、帯電ローラ310の両端部の非画像形成領域に一定の厚みを有するスペーサ部材を巻き付けるなどして、スペーサ部材の表面を感光体ドラム321表面に当接させることで、設定することができる。なお図4中、304は電源である。
【0176】
図4では、微小ギャップHの維持方法として、帯電ローラ310の両端部にフィルム302を巻きつけてスペーサ部材としている。このスペーサ302は、静電潜像担持体の感光面に接触させ、帯電ローラと静電潜像担持体の画像領域にある一定の微小ギャップHが得られるようになっている。また、印加バイアスは、AC重畳タイプの電圧を印加して、帯電ローラと静電潜像担持体との微小ギャップに生じる放電により、静電潜像担持体を帯電させる。なお、図4に示すように、帯電ローラの軸311をスプリング303で加圧することで、微小ギャップHの維持精度が向上する。
【0177】
なお、前記スペーサ部材は帯電ローラと一体成型してもよい。このとき、ギャップ部分は、少なくともその表面を絶縁体にする。これにより、ギャップ部分での放電をなくし、ギャップ部分に放電生成物が堆積し、該放電生成物の粘着性により、トナーがギャップ部分に固着し、ギャップが広がることを防止できる。
また、前記スペーサ部材としては、熱収縮チューブを用いてもよい。このような熱収縮チューブとしては、例えば105℃用のスミチューブ(商品名:F105℃、住友化学社製)などが挙げられる。
【0178】
〔露光工程および露光手段〕
前記露光は、例えば、前記露光手段を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。前記露光における光学系は、アナログ光学系とディジタル光学系とに大別される。前記アナログ光学系は、原稿を光学系により直接静電潜像担持体上に投影する光学系であり、前記ディジタル光学系は、画像情報が電気信号として与えられ、これを光信号に変換して静電潜像担持体を露光し作像する光学系である。前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系、などの各種露光器が挙げられる。なお、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0179】
〔現像工程および現像手段〕
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、トナー乃至現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像手段を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
【0180】
前記現像手段は、一般的には乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよいが、本発明はカラー画像形成用トナーを対象とすることから、多色用現像手段が選択される。現像手段は、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像手段内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該感光体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
【0181】
〔一成分現像手段〕
前記一成分現像手段としては、トナーが供給される現像剤担持体と、該現像剤担持体表面にトナーの薄層を形成する層厚規制部材とを有する一成分現像装置が好適に用いられる。
図5は、一成分現像装置の一例を示す概略図である。この一成分現像装置は、トナーからなる一成分現像剤を使用し、現像剤担持体としての現像ローラ402上にトナー層を形成し、現像ローラ402上のトナー層を静電潜像担持体としての感光体ドラム1と接触させるように搬送することにより、感光体ドラム1上の静電潜像を現像する接触一成分現像を行うものである。
【0182】
図5において、ケーシング401内のトナーは、撹拌手段としてのアジテータ411の回転により攪拌され、機械的にトナー供給部材としての供給ロ−ラ412に供給される。この供給ローラ412は発泡ポリウレタン等で形成されていて、可撓性を有し、50〜500μmの径のセルでトナーを保持し易い構造となっている。また、供給ローラのJIS−A硬度は10〜30゜と比較的低く、現像ローラ402とも均一に当接させることができる。
【0183】
供給ローラ412は現像ローラ402と同方向、即ち両ローラの対向部で互いに表面が逆方向に移動するように回転駆動されている。また、両ローラの線速比(供給ローラ/現像ローラ)は0.5〜1.5が好ましい。また、供給ローラ412を、現像ローラ402と逆方向、即ち両ローラの対向部で互いに表面が同方向に移動するように回転させてもよい。なお、本実施形態では、供給ローラ412は現像ローラ402と同方向の回転で、その線速比は0.9に設定した。供給ローラ412の現像ローラ402に対する喰い込み量は0.5〜1.5mmに設定している。本実施形態ではユニット有効幅が240mm(A4サイズ縦)の場合、必要なトルクは14.7〜24.5N・cmである。
【0184】
現像ローラ402は、導電性基体上にゴム材料からなる表層を有してなり、直径が10〜30mmであり、表面を適宜荒らして表面粗さRzを1〜4μmとしたものである。この表面粗さRzの値はトナーの平均粒径に対して13〜80%となり、これにより現像ローラ402表面に埋没することなくトナーが搬送されるものである。特に、現像ローラ402の表面粗さRzは、著しく低帯電のトナーを保持しないように、トナーの平均粒径の20〜30%の範囲が好ましい。
【0185】
前記ゴム材料としては、例えばシリコーンゴム、ブタジエンゴム、NBRゴム、ヒドリンゴム、EPDMゴムなどが挙げられる。また、現像ローラ402の表面に、特に経時品質を安定化させるためにコート層を被覆することが好ましい。前記コート層の材料としては、例えばシリコーン系材料、テフロン(登録商標)系材料などが挙げられる。前記シリコーン系材料はトナー帯電性に優れ、前記テフロン(登録商標)系材料は離型性に優れている。なお、導電性を得るために適宜カーボンブラック等の導電性材料を含有させることもできる。前記コ−ト層の厚みは5〜50μmが好ましい。この範囲を外れると、割れ易い等の不具合が発生しやすくなることがある。
【0186】
前記供給ローラ412上、又は内部に存在する、所定極性(本実施形態の場合は、負極性)のトナーは、回転により接触点で互いに反対方向に回転する現像ローラ402と挟まれることにより、摩擦帯電効果で負の帯電電荷を得て静電気力により、また、現像ローラ402の表面粗さによる搬送効果により現像ローラ402上に保持される。しかし、この時の現像ローラ402上のトナー層は均一ではなくかなり過剰に付着している(1〜3mg/cm2)。そこで、層厚規制部材としての規制ブレード413を現像ローラ402に当接させることにより、現像ローラ402上に均一な層厚を有するトナー薄層を形成している。規制ブレード413は先端が現像ローラ402の回転方向に対して下流側を向き、規制ブレ−ド413の中央部が当接する、いわゆる腹当て当接であるが、逆方向でも設定可能であるし、エッジ当接を実現することも可能である。
【0187】
前記規制ブレードの材料としては、SUS304等の金属が好ましく、厚みは0.1〜0.15mmである。前記金属以外にも厚み1〜2mmのポリウレタンゴム等のゴム材料やシリコーン樹脂等の比較的硬度の高い樹脂材料が使用可能である。なお、金属以外でもカ−ボンンブラック等を混ぜ込むことにより低抵抗化できるので、バイアス電源を接続して現像ローラ402との間に電界を形成することも可能である。
【0188】
前記層厚規制部材としての規制ブレード413は、ホルダーからの自由端長として10〜15mmが好ましい。前記自由端長が15mmを超えると、現像手段が大きくなって画像形成装置内にコンパクトに納めることができなくなり、10mm未満であると、規制ブレードが現像ローラ402表面と接触するときに振動が生じやすくなり、画像上に横方向の段々ムラ等の異常画像が発生し易くなることがある。
【0189】
前記規制ブレード413の当接圧は0.049〜2.45N/cmの範囲が好ましい。前記当接圧が2.45N/cmを超えると、現像ローラ402上のトナー付着量が減少し、かつトナー帯電量が増加し過ぎるので、現像量が減少して画像濃度が低くなることがあり、0.049N/cm未満であると、薄層が均一に形成されずにトナーの固まりが規制ブレードを通過することがあり、画像品質が著しく低下することがある。本実施形態にでは、現像ローラ402のJIS−A硬度が30゜のものを、規制ブレード413は厚み0.1mmのSUS板を使用し、その当接圧は60gf/cmに設定した。このとき、目標の現像ローラ上のトナー付着量を得ることができた。
【0190】
また、層厚規制部材としての規制ブレード413の当接角度は先端が現像ローラ402の下流側を向く方向で現像ローラ402の接線に対して10〜45゜が好ましい。前記規制ブレード413と現像ローラ402に挟まれたトナーの薄層形成に不必要な分は、現像ローラ402から剥ぎ取られ、目標範囲である単位面積当たり0.4〜0.8mg/cmの均一な厚みを持った薄層が形成される。この時のトナー帯電は最終的に本実施例では−10〜−30μC/gの範囲であり、感光体ドラム1上の静電潜像と対向して現像される。
したがって本実施形態の一成分現像装置によれば、感光体ドラム1の表面と現像ローラ402の表面の距離が従来の二成分現像手段の場合より更に狭くなり、現像能力が高まり、更なる低電位でも現像が可能となる。
【0191】
〔二成分現像手段〕
前記二成分現像手段としては、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有する二成分現像装置が好適である。
【0192】
図6は、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤を用いた二成分現像装置の一例を示す概略図である。この図6の二成分現像装置424では、二成分現像剤がスクリュー441によって攪拌および搬送され、現像剤担持体としての現像スリーブ442に供給される。この現像スリーブ442に供給される二成分現像剤は層厚規制部材としてのドクターブレード443によって規制され、供給される現像剤量はドクターブレード443と現像スリーブ442との間隔であるドクターギャップによって制御される。このドクターギャップが小さすぎると、現像剤量が少なすぎて画像濃度不足になり、逆にドクターギャップが大きすぎると、現像剤量が過剰に供給されて静電潜像担持体としての感光体ドラム1上にキャリア付着が発生するという問題が生じる。そこで、現像スリーブ442内部には、その周表面に現像剤を穂立ちさせるように磁界を形成する磁界発生手段としての磁石が備えられており、この磁石から発せられる法線方向磁力線に沿うように、現像剤が現像スリーブ442上にチェーン状に穂立ちされて磁気ブラシが形成される。
【0193】
現像スリーブ442と感光体ドラム1は、一定の間隙(現像ギャップ)を挟んで近接するように配置されていて、双方の対向部分に現像領域が形成されている。現像スリーブ442は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂等の非磁性体を円筒形に形成しており、回転駆動機構(不図示)によって回転されるようになっている。磁気ブラシは、現像スリーブ442の回転によって現像領域に移送される。現像スリーブ442には現像用電源(不図示)から現像電圧が印加され、磁気ブラシ上のトナーが現像スリーブ442と感光体ドラム1間に形成された現像電界によってキャリアから分離し、感光体ドラム1上の静電潜像上に現像される。なお、現像電圧には交流を重畳させてもよい。
【0194】
前記現像ギャップは、現像剤粒径の5〜30倍程度が好ましく、現像剤粒径が50μmであれば0.5〜1.5mmに設定することが好適である。これより現像ギャップ広くすると、望ましい画像濃度がでにくくなることがある。
また、前記ドクターギャップは、現像ギャップと同程度か、あるいはやや大きくすることが好ましい。感光体ドラム1のドラム径やドラム線速、現像スリーブ442のスリーブ径やスリーブ線速は、複写速度や装置の大きさ等の制約によって決まる。ドラム線速に対するスリーブ線速の比は、必要な画像濃度を得るために1.1以上にすることが好ましい。なお、現像後の位置にセンサを設置し、光学的反射率からトナー付着量を検出してプロセス条件を制御することもできる。
【0195】
〔転写工程および転写手段〕
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であり、転写手段を用いて行われる。前記転写手段としては。静電潜像担持体上の可視像を記録媒体に直接転写する転写手段と、又は中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する二次転写手段とに大別される。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する二次転写手段とを有する態様が好ましい。
【0196】
〔中間転写体〕
前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記中間転写体の静止摩擦係数は、0.1〜0.6が好ましく、0.3〜0.5がより好ましい。中間転写体の体積抵抗は数Ωcm以上103Ωcm以下であることが好ましい。このように体積抵抗を数Ωcm以上103Ωcm以下とすることにより、中間転写体自身の帯電を防ぐとともに、電荷付与手段により付与された電荷が該中間転写体上に残留しにくくなるので、二次転写時の転写ムラを防止できる。また、二次転写時の転写バイアス印加を容易にすることができる。
【0197】
前記中間転写体の材質としては、特に制限はなく、公知の材料の中から目的に応じて適宜選択することができるが、以下のものが好適である。
(1)ヤング率(引張弾性率)の高い材料を単層ベルトとして用いたものであり、例えば、PC(ポリカーボネート)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PAT(ポリアルキレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)とPAT(ポリアルキレンテレフタレート)とのブレンド材料、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)とPCとのブレンド材料、ETFEとPATとのブレンド材料、PCとPATとのブレンド材料、カーボンブラック分散の熱硬化性ポリイミドなどが挙げられる。これらヤング率の高い単層ベルトは画像形成時の応力に対する変形量が少なく、特にカラー画像形成時にリブズレが生じにくいという利点を有している。
(2)上記(1)のヤング率の高いベルトを基層とし、その外周上に表面層又は中間層を付与した2〜3層構成のベルトであり、これら2〜3層構成のベルトは単層ベルトの硬さに起因して発生するライン画像の中抜けを防止しうる性能を有している。
(3)樹脂、ゴム又はエラストマーを用いたヤング率の比較的低い弾性ベルトであり、このような弾性ベルトは、その柔らかさによりライン画像の中抜けが殆ど生じないという利点を有している。また、弾性ベルトの幅を駆動ロールおよび張架ロールより大きくし、ロールより突出したベルト耳部の弾力性を利用して蛇行を防止できるので、リブや蛇行防止装置を必要とせず低コストを実現できる。
これらの中でも、前記(3)の弾性ベルトが特に好ましい。
【0198】
前記弾性ベルトは、転写部においてトナー層、平滑性の悪い記録媒体に対応して変形する。つまり、局部的な凹凸に追従して弾性ベルトは変形するため、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ文字の中抜けの無い、平面性の悪い記録媒体に対しても均一性の優れた転写画像が得られる。
【0199】
前記弾性ベルトに用いる樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE,PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(例えば、シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0200】
前記弾性ベルトに用いるゴムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば天然ゴム、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0201】
前記弾性ベルトに用いるエラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレア熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、フッ素樹脂系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0202】
前記弾性ベルトに用いる抵抗値調節用導電剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル等の金属粉末;酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物などが挙げられる。なお、前記導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。
【0203】
また、前記弾性ベルトの表層は、弾性材料による静電潜像担持体への汚染防止、転写ベルト表面への表面摩擦抵抗を低減させてトナーの付着力を小さくしてクリーニング性、二次転写性を高めることができるものが要求される。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種又は2種以上を使用し、表面エネルギーを小さくし潤滑性を高めることができる材料、例えばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、二酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を分散させ使用することができる。また、前記フッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素リッチな層を形成させて、表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
【0204】
前記弾性ベルトの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、回転する円筒形の型に材料を流し込みベルトを形成する遠心成型法、液体塗料を噴霧し膜を形成させるスプレー塗工法、円筒形の型を材料の溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、内型,外型の中に注入する注型法、円筒形の型にコンパウンドを巻き付け、加硫研磨を行う方法などが挙げられる。
【0205】
また、前記弾性ベルトの伸びを防止する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(1)伸びの少ない芯体層にゴム層を形成する方法、(2)芯体層に伸びを防止する材料を添加する方法などが挙げられる。
前記伸びを防止する芯体層を構成する材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、綿、絹等の天然繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維等の合成繊維;炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維等の無機繊維;鉄繊維、銅繊維等の金属繊維などが挙げられ、これら材料を用いて、織布状又は糸状としたものが好適に用いられる。
前記糸は1本又は複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等のどのような撚り方であってもよい。なお、前記糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。また、前記織布は、メリヤス織り等のどのような織り方の織布でも使用可能であり、交織した織布も使用可能であり、導電処理を施したものでも構わない。
【0206】
前記芯体層の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(1)筒状に織った織布を金型等に被せ、その上に被覆層を設ける方法、(2)筒状に織った織布を液状ゴム等に浸漬して芯体層の片面又は両面に被覆層を設ける方法、(3)糸を金型等に任意のピッチで螺旋状に巻き付け、その上に被覆層を設ける方法などが挙げられる。
前記被覆層の厚みは、該被覆層の硬度にもよるが、厚すぎると表面の伸縮が大きくなり表層に亀裂の発生しやすくなる。また、伸縮量が大きくなることから画像の伸びや縮みが大きくなること等から厚すぎる(約1mm以上)ことは好ましくない。
【0207】
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写器は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着画像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
【0208】
以下、フルカラー画像形成装置について説明する。
[タンデム型画像形成装置]
〔転写手段〕
前記タンデム型画像形成装置は、少なくとも静電潜像担持体(感光体)、帯電手段、露光手段(像露光手段)、現像手段、および転写手段を含む画像形成要素を複数配列したものである。このタンデム型画像形成装置では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の4つの画像形成要素を搭載し、各々の可視像を4つの画像形成要素で並列に作成し、記録媒体又は中間転写体上で重ね合わせることから、より高速にフルカラー画像を形成できる。
【0209】
前記タンデム型の画像形成装置としては、(1):図7に示すように、複数の画像形成要素の各静電潜像担持体1との対向領域である転写位置を通過するように表面が移動する記録媒体Sに転写手段2により、順次、前記各静電潜像担持体1上に形成された可視像を転写する直接転写方式と、(2):図8に示すように、複数の画像形成要素の各静電潜像担持体1上の可視像を一次転写手段2により一旦中間転写体4に順次転写した後、中間転写体4上の画像を二次転写手段5により記録媒体Sに一括転写する間接転写方式とがある。なお、図8では転写手段としての転写装置5は転写搬送ベルトであるが、ローラ形状であってもよい。
【0210】
前記図7に示す直接転写方式(1)と、前記図8に示す間接転写方式(2)とを比較すると、直接転写方式(1)では、静電潜像担持体1を並べたタンデム型画像形成部Tの上流側に給紙装置6を、下流側に定着手段としての定着装置7を配置しなければならず、記録媒体の搬送方向に大型化する。これに対し、間接転写方式(2)では、二次転写位置を比較的自由に設置することができ、給紙装置6、および定着装置7をタンデム型画像形成部Tと重ねて配置することができ、小型化が可能となるという利点がある。
また、前記(1)の直接転写方式では、記録媒体の搬送方向に大型化しないためには、定着装置7をタンデム型画像形成部Tに接近して配置することとなる。そのため、記録媒体Sがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができず、記録媒体Sの先端が定着装置7に進入するときの衝撃(特に厚い記録媒体で顕著となる)や、定着装置7を通過するときの記録媒体の搬送速度と、転写搬送ベルトによる記録媒体の搬送速度との速度差により、定着装置7が上流側の画像形成に影響を及ぼしやすい。これに対し、前記(2)の間接転写方式は、記録媒体Sがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができるため、定着装置7がほとんど画像形成に影響を及ぼさない。
【0211】
以上のようなことから、最近では、特に間接転写方式のものが注目されてきている。この種のカラー画像形成装置では、図8に示すような、一次転写後に静電潜像担持体1上に残留する転写残トナーを、クリーニング手段としてのクリーニング装置8で除去して静電潜像担持体1表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えている。また、二次転写後に中間転写体4上に残留する転写残トナーを、中間転写体クリーニング装置9で除去して中間転写体4表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えている。
【0212】
〔定着工程および定着手段〕
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着手段を用いて定着させる工程である。前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有する定着装置が好適に用いられる。
前記定着部材としては、互いに当接してニップ部を形成可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せ、などが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、無端状ベルトとローラとの組合せや誘導加熱などによる前記定着部材の表面からの加熱方法を用いるのが好ましい。
【0213】
前記定着部材としては、例えば、公知の加熱加圧手段(加熱手段と加圧手段との組合せ)が挙げられる。前記加熱加圧手段としては、前記無端状ベルトと前記ローラとの組合せの場合には、例えば、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せが挙げられ、前記ローラと前記ローラとの組合せの場合には、例えば、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、などが挙げられる。
【0214】
前記定着部材が無端状ベルトである場合、該無端状ベルトは、熱容量の小さい材料で形成されるのが好ましく、例えば、基体上にオフセット防止層が設けられてなる態様などが挙げられる。前記基体を形成する材料としては、例えば、ニッケル、ポリイミドなどが挙げられ、前記オフセット防止層を形成する材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素系樹脂などが挙げられる。
【0215】
前記定着部材がローラである場合、該ローラの芯金は、高い圧力による変形(たわみ)を防止するため非弾性部材で形成されるのが好ましい。該非弾性部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス、真鍮等の高熱伝導率体が好適に挙げられる。また、前記ローラは、その表面がオフセット防止層で被覆されていることのが好ましい。該オフセット防止層を形成する材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、RTVシリコーンゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
【0216】
前記定着工程においては、前記トナーによる画像を前記記録媒体に転写し、該画像が転写された記録媒体を、前記ニップ部に通過させることにより、前記画像を前記記録媒体に定着させてもよいし、前記ニップ部にて前記画像の前記記録媒体への転写および定着を同時に行ってもよい。また、前記定着工程は、各色のトナーに対し、前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
【0217】
前記ニップ部は、少なくとも2つの前記定着部材が互いに当接して形成される。
前記ニップ部の面圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、55N/cm2以上が好ましく、70〜500N/cm2がより好ましく、60〜300N/cm2が更に好ましい。該ニップ部の面圧が高すぎると、ローラの耐久性が低下する場合がある。一方、前記ニップ部の面圧が55N/cm2未満であると、オフセット防止性が不充分となることがある。
【0218】
前記トナーによる画像の前記記録媒体への定着の温度(即ち、前記加熱手段による前記定着部材の表面温度)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、120〜240℃が好ましく、150〜220℃がより好ましい。前記定着温度が120℃未満であると、定着性が不十分となることがあり、240℃を超えると、省エネルギー化の実現の点で好ましくない。
【0219】
前記定着手段としては、(1)定着手段がローラおよびベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接しない面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱および加圧して定着する態様(内部加熱方式)と、(2)定着手段がローラおよびベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接する面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱および加圧して定着する態様(外部加熱方式)とに大別される。なお、両者を組み合わせたものを用いることも可能である。
【0220】
前記(1)の内部加熱方式の定着手段としては、例えば、前記定着部材それ自体が内部に加熱手段を有するものが挙げられる。このような加熱手段としては、例えばヒーター、ハロゲンランプ等の熱源が挙げられる。
前記(2)の外部加熱方式の定着手段としては、例えば、前記定着部材の少なくとも1つにおける表面の少なくとも一部が加熱手段により加熱される態様が好ましい。このような加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電磁誘導加熱手段などが挙げられる。
【0221】
前記電磁誘導加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁場を発生する手段と、電磁誘導により発熱する手段とを有するものなどが好適である。
前記電磁誘導加熱手段としては、例えば、前記定着部材(例えば、加熱ローラ)へ近接するように配置される誘導コイルと、この誘導コイルが設けられている遮蔽層と、この遮蔽層の誘導コイルが設けられている面の反対側に設けられている絶縁層とからなるものが好ましい。このとき、前記加熱ローラは、磁性体からなる態様、ヒートパイプである態様などが好ましい。
前記誘導コイルは、前記加熱ローラの、前記加熱ローラと前記定着部材(例えば、加圧ローラ、無端状ベルトなど)との接触部位の反対側において、少なくとも半円筒部分を包む状態にて配置されるのが好ましい。
【0222】
〔内部加熱方式の定着手段〕
図9は、内部加熱方式の定着手段の一例を示すベルト式定着装置である。この図9のベルト式定着装置510は、加熱ローラ511と、定着ローラ512と、定着ベルト513と、加圧ローラ514とを備えている。
定着ベルト513は、内部に回転可能に配置された加熱ローラ511と定着ローラ512とによって張架され、加熱ローラ511により所定の温度に加熱されている。加熱ローラ511は、内部には加熱源515が内蔵されており、加熱ローラ511の近傍に取り付けられた温度センサ517により温度調節可能に設計されている。定着ローラ512は、定着ベルト513の内側に、かつ定着ベルト513の内面に当接しながら回転可能に配置されている。加圧ローラ514は、定着ベルト513の外側に、かつ定着ベルト513の外面に、定着ローラ512を圧接するようにして当接し、回転可能に配置されている。また、定着ベルト513の表面硬度は、加圧ローラ514の表面硬度よりも低く、定着ローラ512および加圧ローラ514間に形成されたニップ部Nにおいては、記録媒体Sの導入側端および排出側端の間に位置する中間領域が、前記導入側端および前記排出側端よりも、定着ローラ512側に位置する。
【0223】
図9に示すベルト式定着装置510において、まず、定着処理すべきトナー画像Tが形成された記録媒体Sが加熱ローラ511まで搬送される。そして、内蔵されている加熱源515の働きにより所定の温度に加熱された加熱ローラ511および定着ベルト513により記録媒体S上のトナー画像Tが加熱されて溶融状態となる。この状態において、該記録媒体Sが定着ローラ512および加圧ローラ514間に形成されたニップ部Nに挿入される。該ニップ部Nに挿入された記録媒体Sは、定着ローラ512および加圧ローラ514の回転に連動して回転する定着ベルト513の表面に当接され、前記ニップ部Nを通過する際に押圧され、トナー画像Tが記録媒体S上に定着される。次いで、トナー画像Tが定着された記録媒体Sは、定着ローラ512および加圧ローラ514間を通過し、定着ベルト513から剥離され、トレイ(不図示)に搬送される。このとき、記録媒体Sが、加圧ローラ514側に向けて排出され、記録媒体Sの定着ベルト513への巻き付きが防止される。なお、定着ベルト513はクリーニングローラ516で清浄化される。
【0224】
また、図10に示す熱ロール式定着装置515は、前記定着部材としての加熱ローラ520と、これに当接されて配置された加圧ローラ530とを備えている。
加熱ローラ520は、中空の金属シリンダー521を有し、その表面がオフセット防止層522で被覆されて形成されており、内部に加熱ランプ523が配設されている。また、加圧ローラ530は、金属シリンダー531を有し、その表面がオフセット防止層532で被覆されて形成されている。なお、加圧ローラ530は、金属シリンダー531が中空形状を有し、その内部に加熱ランプ533が配設されていてもよい。
加熱ローラ520と加圧ローラ530とは、バネ(不図示)により付勢されることにより、圧接された状態にて、回転可能に設けられ、ニップ部Nを形成する。また、加熱ローラ520におけるオフセット防止層522の表面硬度は、加圧ローラ530におけるオフセット防止層532の表面硬度よりも低く、加熱ローラ520および加圧ローラ530間に形成されたニップ部Nにおいては、記録媒体Sの導入側端および排出側端の間に位置する中間領域が、前記導入側端および前記排出側端よりも、加熱ローラ520側に位置する。
【0225】
図10に示す熱ロール式定着装置515において、まず、定着処理すべきトナー画像Tが形成された記録媒体Sが加熱ローラ520と加圧ローラ530とのニップ部Nまで搬送される。そして、内蔵されている加熱ランプ523の働きにより所定の温度に加熱された加熱ローラ520により記録媒体S上のトナーTが加熱されて溶融状態となると同時に、ニップ部Nを通過する際に、加圧ローラ530の押圧力により押圧され、トナー画像Tが記録媒体S上に定着される。次いで、トナー画像Tが定着された記録媒体Sは、加熱ローラ520および加圧ローラ530間を通過し、トレイ(不図示)に搬送される。このとき、記録媒体Sが、加圧ローラ530側に向けて排出され、記録媒体Sの加圧ローラ530への巻き付きが防止される。なお、加熱ローラ520は、クリーニングローラ(不図示)で清浄化される。
【0226】
〔外部加熱方式の定着手段〕
図11は、外部加熱方式の定着手段の一例を示す電磁誘導加熱式定着装置570である。この図11の電磁誘導加熱式定着装置570は、加熱ローラ566と、定着ローラ580と定着ベルト567と、加圧ローラ590と、電磁誘導加熱手段560とを備えている。
定着ベルト567は、内部に回転可能に配置された加熱ローラ566と定着ローラ580とによって張架され、加熱ローラ566により所定の温度に加熱されている。
加熱ローラ566は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル又はこれら金属の合金等の中空円筒状の磁性金属部材を有し、例えば、外径が20〜40mm、肉厚が0.3〜1.0mmに設けられ、低熱容量で昇温の速い構成となっている。
【0227】
定着ローラ580は、例えば、ステンレススチール等の金属製の芯金581を有し、その表面が耐熱性を有するシリコーンゴムをソリッド状又は発泡状にした弾性層582で被覆されて形成されており、定着ベルト567の内側に、かつ定着ベルト567の内面に当接しながら回転可能に配置されている。定着ローラ580は、加圧ローラ590からの押圧力により、加圧ローラ590と定着ローラ580との間に所定幅のニップ部Nを形成するために、外径を20〜40mm程度に設け、加熱ローラ566よりも大きくしている。弾性層582は、その肉厚を4〜6mm程度とし、加熱ローラ566の熱容量が定着ローラ580の熱容量よりも小さくなるように形成され、加熱ローラ566のウォームアップ時間の短縮化を図っている。
【0228】
加圧ローラ590は、例えば、銅、アルミ等の熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金591を有し、その表面を耐熱性およびトナー離型性の高い弾性層592で被覆されて形成されており、定着ベルト567の外側に、かつ定着ベルト567の外面に、定着ローラ580を圧接するようにして当接し、回転可能に配置されている。なお、芯金591には上記金属以外にSUSを使用してもよい。
【0229】
電磁誘導加熱手段560は、加熱ローラ566の近傍であって、加熱ローラ566の軸方向にわたって配設されている。電磁誘導加熱手段560は、磁界発生手段である励磁コイル561と、この励磁コイル561が巻き回されたコイルガイド板562とを有している。コイルガイド板562は加熱ローラ566の外周面に近接配置された半円筒形状をしており、励磁コイル561は長い一本の励磁コイル線材をこのコイルガイド板562に沿って加熱ローラ566の軸方向に交互に巻き付けたものである。なお、励磁コイル561は、発振回路が周波数可変の駆動電源(不図示)に接続されている。励磁コイル561の外側には、フェライト等の強磁性体よりなる半円筒形状の励磁コイルコア563が、励磁コイルコア支持部材564に固定されて励磁コイル561に近接配置されている。
【0230】
図11に示す電磁誘導加熱式の定着装置570において、電磁誘導加熱手段560の励起コイル561へ通電すると、該電磁誘導加熱手段560の周囲に交番磁界が形成され、励起コイル561と近接し、かつ該励起コイル561により囲まれている状態の加熱ローラ566が、過電流の励起により均一かつ効率よく予熱される。定着処理すべきトナー画像Tが形成された記録媒体Sは、定着ローラ580と加圧ローラ590とのニップ部Nまで搬送される。そして、電磁誘導加熱手段560の働きにより所定の温度に加熱された加熱ローラ566により、該加熱ローラ566との接触部位W1にて加熱された定着ベルト567により、記録媒体S上のトナー画像Tが加熱されて溶融状態となる。この状態において、該記録媒体Sが定着ローラ580および加圧ローラ590の間に形成されたニップ部Nに挿入される。該ニップ部Nに挿入された記録媒体Sは、定着ローラ580および加圧ローラ590の回転に連動して回転する定着ベルト567の表面に当接され、前記ニップ部Nを通過する際に押圧され、トナー画像Tが記録媒体S上に定着される。
【0231】
次いで、トナー画像Tが定着された記録媒体Sは、定着ローラ580および加圧ローラ590間を通過し、定着ベルト567から剥離され、トレイ(不図示)に搬送される。このとき、記録媒体Sが、加圧ローラ590側に向けて排出され、記録媒体Sの定着ベルト567への巻き付きが防止される。なお、定着ベルト567がクリーニングローラ(不図示)で清浄化される。
【0232】
また、図12に示す電磁誘導方式のロール式定着装置525は、前記定着部材としての定着ローラ520と、これに当接されて配置された加圧ローラ530と、定着ローラ520および加圧ローラを外側から加熱する電磁誘導加熱源540とを備えた定着手段である。
定着ローラ520は、芯金521を有し、その表面は断熱弾性層522、発熱層523、および離型層524がこの順に被覆されて形成されている。また、加圧ローラ530は、芯金531を有し、その表面は断熱弾性層532、発熱層533、および離型層534がこの順に被覆されて形成されている。なお、離型層524および離型層534は、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)で形成されている。
【0233】
定着ローラ520と加圧ローラ530とは、図示しないバネにより付勢されることにより、圧接された状態にて、回転可能に設けられ、ニップ部Nを形成する。
電磁誘導加熱源540は、定着ローラ520および加圧ローラ530の近傍にそれぞれ配設され、発熱層523および発熱層533を電磁誘導により加熱する。図12に示す定着装置においては、電磁誘導加熱源540により、定着ローラ520および加圧ローラ530が均一かつ効率よく予熱される。また、ローラとローラとの組合せであるため、ニップ部Nの高面圧化を容易に実現することができる。
【0234】
〔クリーニング工程およびクリーニング手段〕
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留するトナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。また、前記現像手段が、静電潜像担持体表面に当接される現像剤担持体を有し、かつ前記静電潜像担持体に形成された静電潜像を現像すると共に該静電潜像担持体上の残留トナーを回収することによって、クリーニング手段を設けることなくクリーニングを行うことができる(クリーニングレス方式)。
【0235】
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留するトナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、クリーニングブレード、ブラシクリーナ、ウエブクリーナなどが挙げられる。これらの中でも、トナー除去能力が高く、小型で安価であるクリーニングブレードが特に好ましい。前記クリーニングブレードに用いられるゴムブレードの材質としては、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、等が挙げられ、これらの中でも、ウレタンゴムが特に好ましい。
【0236】
図13は、クリーニングブレード613における静電潜像担持体との接触部615近傍を拡大して示す説明図である。クリーニングブレード613には、接触部615から静電潜像担持体の回転方向上流側に向けて拡開する空間Sを感光体ドラム1の表面との間に形成するトナー阻止面617が設けられている。本実施の形態においては、空間Sが鋭角になるように、トナー阻止面617は接触部615から感光体ドラム1の回転方向上流側に延出している。
【0237】
トナー阻止面617には、図13に示すように、クリーニングブレード613より摩擦係数の高い高摩擦部としてのコーティング部618が設けられている。このコーティング部618は、クリーニングブレード613を形成する材料よりも摩擦係数の高い材料(高摩擦材料)によって形成されている。このような高摩擦材料としては、例えば、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等が挙げられる。なお、高摩擦材料は、DLCに限るものではない。コーティング部618は、トナー阻止面617において、感光体ドラム1の表面に接触しない範囲で設けられている。
なお、クリーニング手段は、図示を省略しているが、クリーニングブレードによって掻き取られた残存トナーを回収するトナー回収羽根、トナー回収羽根が回収した残存トナーを回収部まで搬送するトナー回収コイルなどを備えている。
【0238】
[クリーニングレス方式の画像形成装置]
図14は、現像手段がクリーニング手段を兼ねたクリーニングレス画像形成装置の一例を示す概略図である。
図14において、1は静電潜像担持体としての感光体ドラム、620は接触帯電手段としてのブラシ帯電装置、603は露光手段としての露光装置、604は現像手段としての現像装置、640は給紙カセット、650はローラ転写手段、Pは記録媒体を示す。
【0239】
このクリーニングレス画像形成装置では、感光体ドラム1表面の転写残トナーは引き続く感光体ドラム1の回転で、感光体ドラム1に接触している接触帯電装置620の位置に至り、感光体ドラム1に接触しているブラシ帯電部材621の磁気ブラシ部(不図示)に一時的に回収され、該回収されたトナーが再び感光体ドラム1の表面に吐き出されて最終的に現像装置604内に現像剤と共に現像剤担持体631で回収され、感光体ドラム1は繰り返して画像形成に供される。
【0240】
ここで、現像手段604がクリーニング手段を兼ねるとは、転写後に感光体ドラム1上に若干残留したトナーを現像バイアス(現像剤担持体631に印加する直流電圧と感光体ドラム1の表面電位間の電位差)によって回収する方法を意味する。このような現像手段がクリーニング手段を兼ねたクリーニングレス画像形成装置では、転写残トナーは現像装置604に回収され、次工程以後用いられるため、廃トナーをなくし、メンテナンスフリーとなり、かつクリーナーレスシステムになるため、スペース面での利点も際だって大きく、画像形成装置を大幅に小型化することが可能となる。
【0241】
〔その他の工程およびその他の手段〕
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0242】
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記電子写真トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0243】
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0244】
[画像形成装置および画像形成方法]
次に、本発明の画像形成装置により画像形成方法を実施する一の態様について、図15を参照しながら説明する。図15に示す画像形成装置100は、静電潜像担持体としての感光体ドラム10と、帯電手段としての帯電ローラ20と、露光手段としての露光装置による露光30と、現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニング手段としてのクリーニングブレード60と、除電手段としての除電ランプ70とを備える。
【0245】
中間転写体50は無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、図中矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍にクリーニングブレード90が配置されており、また、記録媒体95に可視像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー画像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、静電潜像担持体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と記録媒体95との接触部との間に配置されている。
【0246】
現像器40は、現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45Mおよびシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えており、イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えており、シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラにより回転可能に張架され、一部が静電潜像担持体10と接触している。
【0247】
図15に示す画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置が感光ドラム10上に像様に露光30を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像してトナー像を形成する。該トナー像が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に記録媒体95上に転写(二次転写)される。その結果、記録媒体95上には転写像が形成される。なお、静電潜像担持体10上の残存トナーは、クリーニングブレード60により除去され、静電潜像担持体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
【0248】
本発明の画像形成装置により画像形成方法を実施する他の態様について、図16を参照しながら説明する。図16に示す画像形成装置100は、図15に示す画像形成装置100において、現像剤担持体としての現像ベルト41を備えておらず、静電潜像担持体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M、およびシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図15に示す画像形成装置100と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図16においては、図15におけるものと同じものは同符号で示した。
【0249】
図20の概略図に本発明のフルカラー画像形成装置の別の例を示す。また、図21の概略図に本発明のフルカラー画像形成装置のさらに別の例を示す。図20において、符号321は感光体、323は露光手段、325は転写手段、326は記録媒体、327は定着手段、341〜344は各カラー(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)用画像形成要素を示す。また図21において、符号311は帯電手段、321は感光体、323は露光手段、324は現像手段、325は転写手段、326は記録媒体、327は定着手段、330はクリーニング手段、351〜354は各カラー(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)用画像形成要素、355は中間転写体、356はローラを示す。
【0250】
[タンデム型画像形成装置および画像形成方法]
本発明の画像形成装置により画像形成方法を実施する他の態様について、図17を参照しながら説明する。図17に示す画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。タンデム型画像形成装置100は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
【0251】
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15および16に張架され、図17中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング手段17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、およびブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光手段21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写手段22が配置されている。二次転写手段22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録媒体と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写手段22の近傍には定着手段25が配置されている。
なお、タンデム画像形成装置100においては、二次転写手段22および定着手段25の近傍に、記録媒体の両面に画像形成を行うために該記録媒体を反転させるための反転装置28が配置されている。
【0252】
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33および第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの画像情報とされる。
【0253】
そして、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段、およびシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ、およびシアンの各トナー画像が形成される。
すなわち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段およびシアン用画像形成手段)は、図18に示すように、それぞれ、静電潜像担持体10(ブラック用静電潜像担持体10K、イエロー用静電潜像担持体10Y、マゼンタ用静電潜像担持体10M、およびシアン用静電潜像担持体10C)と、該静電潜像担持体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記静電潜像担持体を露光(図18中、L)し、該静電潜像担持体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、およびシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像器61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、クリーニング手段63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、およびシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像および該シアン画像は、支持ローラ14、15および16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用静電潜像担持体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用静電潜像担持体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用静電潜像担持体10M上に形成されたマゼンタ画像およびシアン用静電潜像担持体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像およびシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0254】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つから記録媒体を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上の記録媒体を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録媒体の紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写手段22との間に記録媒体を送出させ、二次転写手段22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該記録媒体上に転写(二次転写)することにより、該記録媒体上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング手段17によりクリーニングされる。
【0255】
カラー画像が転写され形成された前記記録媒体は、二次転写手段22により搬送されて、定着手段25へと送出され、定着手段25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該記録媒体上に定着される。その後、該記録媒体は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えて反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
【0256】
[プロセスカートリッジ]
本発明のフルカラー画像形成装置用プロセスカートリッジは、少なくとも感光体と、感光体の表面を一様に帯電する帯電手段、一様帯電された感光体表面に像露光を行い静電潜像を形成する露光手段(像露光手段)、形成された静電潜像に前記本発明のトナー(保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れている)を使用して現像する現像手段、現像されたトナー像を記録媒体に転写させる転写手段、転写後に感光体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段から選択される一つの手段とが一体化し、更に必要に応じて適宜選択した除電手段などの他の手段を有してなる画像形成装置本体に着脱可能に構成されたものであり、トナーの補給に好適に使用することができる。
前記現像手段としては、本発明の現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容された現像剤を担持しかつ搬送する静電潜像担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
本発明のプロセスカートリッジは、各種電子写真装置、ファクシミリ、プリンターに着脱自在に備えさせることができ、前述の画像形成装置に着脱自在に備えさせるのが好ましい。
【0257】
ここで、前記プロセスカートリッジは、例えば、図19に示すように、感光体101を内蔵し、他に帯電手段102、現像手段104、クリーニング手段107を含み、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。図19のプロセスカートリッジ例では、現像済みの感光体101上のトナー像を、記録媒体(受像紙)105に転写するための転写手段108を有している。
前記感光体101としては、上述したようなものを用いることができる。露光手段103には、高解像度で書き込みが行うことのできる光源が用いられる。帯電手段102には、任意の帯電部材が用いられる。
【実施例】
【0258】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、下記において「部」は質量部を、「%」は質量%を意味する。
【0259】
二成分現像剤に用いられるキャリア(フェライトキャリア)を以下のようにして製造した。
(キャリアの製造)
下記組成の被覆材をスターラーで10分間分散して被覆液を調製し、この被覆液と、芯材(Mnフェライト粒子、質量平均粒径=35μm)5000部を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながら被覆を行うコーティング装置に投入して、前記被覆液を芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250℃、2時間焼成して、キャリアを製造した。
[被覆材の組成]
トルエン 450部
シリコーン樹脂(SR2400、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、
不揮発分50質量%) 450部
アミノシラン(SH6020、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製) 10部
カーボンブラック 10部
【0260】
また、ポリマー伸長法によるトナーの作製のための「水相の調製」、「低分子ポリステルの合成」、「ポリエステルプレポリマーの合成」、「ケチミンの合成」、及び「マスターバッチ(MB)の作製」を行った。更に、実施例、比較例に供するための離型剤分散液(ワックス分散液)を下記により準備した。
【0261】
(水相の調製)
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、105nmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは59℃であり、質量平均分子量は15万であった。
続いて、水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業社製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
【0262】
(低分子ポリエステルの合成)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部、およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧、230℃で8時間反応し、更に10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量2500、質量平均分子量6700、Tg43℃、酸価255mgKOH/gであった。
【0263】
(ポリエステルプレポリマーの合成)
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリツト酸22部、およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、更に10〜15mmHgの減圧で5時間反応し、[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、質量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.55mgKOH/g、水酸基価515mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート質量%は、1.53%であった。
【0264】
(ケチミンの合成)
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物]を得た。[ケチミン化合物]のアミン価は418mgKOH/gであった。
【0265】
(マスターバッチ(MB)の作製)
水1200部、カーボンブラック(Printex35〔DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5〕、デクサ社製)540部、 ポリエステル樹脂1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ]を得た。
【0266】
(離型剤分散剤1の調製)
融点75℃のパラフィンワックス9部、[低分子ポリエステル1]21部、酢酸エチル64部、ビニル系重合体(アクリル酸メチルエステル−アクリル酸ポリエステルオリゴマー共重合体(SP値:13.0、重量平均分子量:2.9×10)6部からなる混合物を78℃に加熱した後冷却して得た晶析液をビーズミル分散機に投入し、2時間分散させ離型剤分散液1を得た。
【0267】
(離型剤分散液2の調製)
ビニル系重合体をメタクリル酸メチルエステル−メタクリル酸ポリエステルオリゴマー共重合体(SP値:10.3、重量平均分子量:0.6×10)とした以外は離型剤分散液1の作製と同様にして、離型剤分散液2を作製した。
【0268】
(離型剤分散液3の調製)
ビニル系重合体をメタクリル酸メチルエステル−メタクリル酸ポリエステルオリゴマー共重合体(SP値:12.1、重量平均分子量:1.7×10)とした以外は離型剤分散液1の作製と同様にして、離型剤分散液3を作製した。
【0269】
(離型剤分散液4の調製)
ビニル系重合体のかわりに、メタクリル酸メチルエステル−アクリル酸ブチル共重合体(SP値:11.2、重量平均分子量:2.0×10)とした以外は離型剤分散液1の作製と同様にして、離型剤分散液4を作製した。
【0270】
(離型剤分散液5の調製)
ビニル系重合体のかわりに、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ブチルアクリレートグラフト共重合体(SP値:11.2、重量平均分子量:1.3×10)とした以外は離型剤分散液1の作製と同様にして、離型剤分散液5を作製した。
【0271】
(離型剤分散液6の調製)
離型剤を融点85℃のカルナウバワックスとした以外は離型剤分散液1の作製と同様にして、離型剤分散液6を作製した。
【0272】
〔実施例1〕
(油相の作成)
撹拌翼をセットした容器に、離型剤分散液1を260部、酢酸エチルを100部仕込んだ。次いで、容器内容物を攪拌しながら容器に[マスターバッチ1]56部、[低分子ポリエステル1]184部を投入し、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
この[原料溶解液1]600部を他の容器に移し、TKホモミキサーで回転数8000rpmで1時間混合し、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度は55%であった。
【0273】
(乳化・分散・脱溶・洗浄・乾燥)
[顔料・WAX分散液1]を600部、[プレポリマー1]を60部、[ケチミン化合物1]を4.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化社製)で5000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13000rpmで1分間混合し[乳化スラリー1]を得た。撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶媒した後、40℃で4時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。[分散スラリー1]は、体積平均粒径5.16μm、個数平均粒径4.56μm(マルチサイザーIIで測定)であった。
【0274】
続いて、[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキに10重量%水酸化ナトリウム水溶液20部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで30分間混合した後、減圧濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。さらに、得られた濾過ケーキに10重量%塩酸20部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。
循風乾燥機を用いて、得られた濾過ケーキを45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体粒子を得た。
【0275】
(トナーの作製)
得られたトナー母体粒子100部に、疎水化処理された平均粒子径12nmのシリカ(日本アエロジル社製、商品名「RX200」)0.8部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて表面処理を行い、常法によりトナー1を作製した。
【0276】
〔実施例2〕
実施例1において、離型剤分散液1の代わりに離型剤分散液2を用いた以外は実施例1と同様にして、トナー2を得た。
〔実施例3〕
実施例1において、離型剤分散液1の代わりに離型剤分散液3を用いた以外は実施例1と同様にして、トナー3を得た。
〔実施例4〕
実施例1において、[低分子ポリエステル1]160部、ビニル系重合体(アクリル酸メチルエステル−アクリル酸ポリエステルオリゴマー共重合体(SP値:13.0、重量平均分子量:2.9×10)24部とした以外は実施例1と同様にして、トナー4を得た。
〔実施例5〕
実施例1において、[低分子ポリエステル1]130部、ビニル系重合体(アクリル酸メチルエステル−アクリル酸ポリエステルオリゴマー共重合体(SP値:13.0、重量平均分子量:2.9×10)54部とした以外は実施例1と同様にして、トナー5を得た。
〔実施例6〕
実施例1において、離型剤分散液1の代わりに離型剤分散液6を用いた以外は実施例1と同様にして、トナー6を得た。
【0277】
〔比較例1〕
実施例1において、離型剤分散液1の代わりに離型剤分散液4を用いた以外は実施例1と同様にして、トナー7を得た。
【0278】
〔比較例2〕
実施例1において、離型剤分散液1の代わりに離型剤分散液5を用いた以外は実施例1と同様にして、トナー8を得た。
【0279】
得られた実施例1〜6および比較例1〜2のトナーについて、以下のようにして、トナー物性及び画像濃度の測定と、融着の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
【0280】
(トナー粒径)
トナーの平均粒径及び粒度分布はカーコールターカウンター法による。トナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。本発明においてはコールターカウンターTA−II型を用いて、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC社製)接続し測定した。
【0281】
以下にその測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上40.30μm未満の粒子を対象とする。本発明に係わる体積分布から求めた体積基準の体積平均粒径(Dv)及び個数分布から求めた個数平均粒径(Dn)とその比Dv/Dnを求めた。
【0282】
(分子量測定)
本発明による分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により次のように測定される。40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を毎分1 mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.06重量%に調製した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0283】
(ガラス転移点Tg(℃))
ガラス転移点の測定は、理学電機社製のRigaku THRMOFLEX TG8110により、昇温速度10℃/分の条件にて測定される。
Tgの測定方法について概説する。Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用した。
まず試料約10mgをアルミ製試料容器に入れ、それをホルダユニットにのせ、電気炉中にセットする。まず、室温から昇温速度10℃/分で150℃まで加熱した後、150℃で10分間放置、室温まで試料を冷却して10分放置、窒素雰囲気下で再度150℃まで昇温速度10℃/分で加熱してDSC測定を行った。Tgは、TAS−100システム中の解析システムを用い、Tg近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
【0284】
(帯電量評価)
(1)15秒撹拌帯電量
得られた各トナー10gとフェライトキャリア100gとを温度28℃、湿度80%の環境内で内容積の3割までステンレス製ポットに入れ、100rpmの撹拌速度で15秒撹拌し、トナーの帯電量(μC/g)をブローオフ法[東芝ケミカル社製:TB−200を使用]にて測定した。
(2)10分撹拌帯電量
上記(1)の攪伴時間15秒を10分に変更した以外は、上記(1)と同様にして帯電量を測定した。
【0285】
(定着性評価)
定着ローラーとしてテフロン(登録商標)ローラーを使用したリコー社製複写機(MF2200)の定着部を改造した装置を用いて、これにリコー社製のタイプ6200紙をセットし複写テストを行なった。定着温度を変化させてコールドオフセット温度(定着下限温度)とホットオフセット温度(耐ホットオフセット温度)を求めた。従来の低温定着トナーの定着下限温度は140〜150℃程度である。なお、低温定着の評価条件は、紙送りの線速度を120〜150mm/秒、面圧1.2Kgf/cm、ニップ幅3mm、高温オフセットの評価条件は紙送りの線速度を50mm/秒、面圧2.0Kgf/cm、ニップ幅4.5mmと設定した。
【0286】
(耐熱保存性)
トナーを55℃×8時間保管後、42メッシュのふるいにて2分間ふるい、金網上の残存率をもって耐熱保存性とした。耐熱保存性の良好なトナーほど残存率は小さい。以下の4段階で評価した。
×:30%以上
△:20〜30%
○:10〜20%
◎:10%未満
【0287】
<画像濃度>
得られた各現像剤について、タンデム型カラー電子写真装置(imagio Neo450、リコー社製)を用いて、複写紙(TYPE6000<70W>、リコー社製)に各現像剤の付着量が1.00±0.05mg/cmのベタ画像を形成した。該ベタ画像の形成は、前記複写紙8000枚に対して、繰り返し行った。得られたベタ画像の画像濃度を、初期および8000枚耐久後について目視で観察し、下記基準に基づき評価した。なお得られた画像濃度が高い程、高濃度の画像が形成できる。この評価は本発明のトナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置、および画像形成方法の実施例に相当する。
【0288】
[評価基準]
◎:初期および8000枚耐久後において、画像濃度に変化がなく、高画質が得られた。
○:8000 枚耐久後において、やや画像濃度が低下し、画質が低下した。
×:8000 枚耐久後において、著しく画像濃度低下し、画質が大きく低下した。
【0289】
<融着>
また、前記画像形成後において、OPC感光体へのトナーの融着を、目視により観察し、下記基準に基づいて評価した。
[評価基準]
○:トナーの感光体への融着が認められなかった。
×:トナーの感光体への融着が認められた。
【0290】
【表1】

【0291】
【表2】

【0292】
(評価結果)
上記評価結果より、本発明のトナーは、耐熱保存性が良好であり、帯電量が安定しており、またトナー融着が生じにくいため、長期にわたって良質の画像が得られるものである。
【符号の説明】
【0293】
(図1の符号)
310 帯電ローラ
311 芯金
312 抵抗調整層
313 保護層
(図2、図3の符号)
310 帯電ローラ
314 コロナ帯電器
321 感光体ドラム
323 露光手段
324 現像手段
325 転写手段
326 記録媒体
327 定着手段
330 クリーニング手段
331 除電装置
(図4の符号)
302 スペーサ
303 スプリング
304 電源
310 帯電ローラ
311 帯電ローラの軸
321 感光体ドラム
H 微小ギャップ
(図5の符号)
1 感光体ドラム
401 ケーシング401
402 現像ローラ
411 アジテータ411
412 供給ロ−ラ412
413 規制ブレード
(図6の符号)
1 感光体ドラム
424 二成分現像装置
441 スクリュー441
442 現像スリーブ
443 ドクターブレード
(図7、図8符号)
1 静電潜像担持体(感光体ドラム)
2 転写手段(図7)、一次転写手段(図8)
3 搬送ベルト
4 中間転写体
5 二次転写手段
6 給紙装置
7 定着手段
8 クリーニング手段
9 中間転写体クリーニング手段
S 記録媒体S
T トナー画像
(図9の符号)
510 ベルト式定着装置
511 加熱ローラ
512 定着ローラ
513 定着ベルト
514 加圧ローラ
515 加熱源
516 クリーニングローラ
517 温度センサ
S 記録媒体
T トナー画像
(図10の符号)
515 熱ロール式定着装置
520 加熱ローラ
530 加圧ローラ
521 金属シリンダー
522 オフセット防止層
523 加熱ランプ
531 金属シリンダー
532 オフセット防止層
533 加熱ランプ
(図11の符号)
560 電磁誘導加熱手段
561 励磁コイル
562 コイルガイド板
563 励磁コイルコア
564 励磁コイルコア支持部材
566 加熱ローラ
567 定着ベルト
570 電磁誘導加熱式定着装置
580 定着ローラ
581 芯金
582 弾性層
590 加圧ローラ
591 芯金
592 弾性層
S 記録媒体
T トナー画像
(図12の符号)
520 定着ローラ
521 芯金
522 断熱弾性層
523 発熱層
524 離型層
525 ロール式定着装置
530 加圧ローラ
540 電磁誘導加熱源
531 芯金
532 断熱弾性層
533 発熱層
534 離型層
N ニップ部
(図13の符号)
1 感光体ドラム
613 クリーニングブレード613
615 接触部
617 トナー阻止面
618 コーティング部
S 空間
(図14の符号)
1 感光体ドラム
603 露光装置
604 現像装置
620 ブラシ帯電装置
621 ブラシ帯電部材
631 現像剤担持体
640 給紙カセット
650 ローラ転写手段
P 記録媒体
(図15、図16の符号)
10 感光体ドラム
10K ブラック用静電潜像担持体
10Y イエロー用静電潜像担持体
10M マゼンタ用静電潜像担持体
10C シアン用静電潜像担持体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング手段
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光手段
22 二次転写手段
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着手段
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 反転装置
30 露光
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像器
45Y イエロー用現像器
45M マゼンタ用現像器
45C シアン用現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング手段
61 現像器
62 転写帯電器
63 クリーニング手段
64 除電器
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング手段
95 記録媒体
100 画像形成装置
(図17、図18の符号)
10 静電潜像担持体
10K ブラック用静電潜像担持体
10Y イエロー用静電潜像担持体
10M マゼンタ用静電潜像担持体
10C シアン用静電潜像担持体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
50 中間転写体
60 帯電器
61 現像器
62 転写帯電器
63 クリーニング手段
64 除電器
L 露光
100 タンデム型画像形成装置
101 静電潜像担持体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 記録媒体
107 クリーニング手段
108 転写手段
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
220 加熱ローラ
230 加圧ローラ
300 スキャナ
302 フィルム
303 スプリング
311 芯金
312 抵抗調整層
313 保護層
310 帯電ローラ
321 静電潜像担持体
323 露光手段
324 現像手段
325 転写手段
326 記録媒体
327 定着手段
330 クリーニング手段
331 除電装置
400 原稿自動搬送装置(ADF)
401 ケーシング
402 現像ローラ
411 アジテータ
412 供給ローラ
413 規制ブレード
510 ベルト式定着装置
511 加熱ローラ
512 定着ローラ
513 定着ベルト
514 加圧ローラ
515 熱ロール式定着装置
525 ロール式定着装置
570 電磁誘導加熱式定着装置
613 クリーニングブレード
S 記録媒体
P 記録媒体
(図19の符号)
101 感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 記録媒体(受像紙)
107 クリーニング手段
108 転写手段
(図20の符号)
321 感光体
323 露光手段
325 転写手段
326 記録媒体
327 定着手段
341〜344 各カラー(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)用画像形成要素
(図21の符号)
311 帯電手段
321 感光体
323 露光手段
324 現像手段
325 転写手段
326 記録媒体
327 定着手段
330 クリーニング手段
351〜354 各カラー(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)用画像形成要素
355 中間転写体
356 ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0294】
【特許文献1】特許第2537503号公報
【特許文献2】特開平09−34167号公報
【特許文献3】特開平11−149180号公報
【特許文献4】特開2001−249485号公報
【特許文献5】特開2001−249492号公報
【特許文献6】特開2007−264621号公報
【特許文献7】特公昭52−3304号公報
【特許文献8】特公平7−82255号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含有してなり、
前記結着樹脂が、ポリエステル系樹脂と、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルから選ばれる1種または2種以上をモノマー単位として含むビニル系重合体とを少なくとも含有し、前記ビニル系重合体のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの少なくとも一部が、アクリル酸及びメタクリル酸に末端に水酸基を持つポリエステルオリゴマーを縮合させたモノマーユニットであることを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記ビニル系重合体の重量平均分子量が3000以上30000以下である請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記ビニル系重合体のSP値が10.0から13.0である請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgが30℃以上70℃以下である請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
【請求項5】
前記ポリエステル系樹脂(A)と、前記ビニル系重合体(B)との質量比〔(B)/(A)〕が、1/99〜20/80である請求項1から4のいずれかに記載のトナー。
【請求項6】
前記ビニル系重合体の添加量が、前記離型剤100質量部に対し、5〜100質量部である請求項1から5のいずれかに記載のトナー。
【請求項7】
前記結着樹脂に対する前記離型剤の質量比率〔(離型剤/結着樹脂)×100〕が、0.1〜20質量%である請求項1から6のいずれかに記載のトナー。
【請求項8】
前記トナーが、液体媒体中で形成されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のトナー。
【請求項9】
前記液体媒体中で形成されるトナー粒子が、ポリマー溶液を水系媒体中に懸濁させて得られる請求項8に記載のトナー。
【請求項10】
前記液体媒体中で形成されるトナー粒子が、少なくとも有機溶媒中に、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、結着樹脂、着色剤、離型剤を溶解又は分散させ、該溶液または分散液からなる油相を樹脂微粒子含有水系媒体中で分散させ、該活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体を反応させた後、もしくは反応させながら、該有機溶媒を除去させて得られる請求項9に記載のトナー。
【請求項11】
前記液体媒体中で形成されるトナー粒子が、液体媒体中で樹脂微粒子を凝集させて得られる請求項8〜10のいずれかに記載のトナー。
【請求項12】
前記トナー粒子の重量平均粒径が3〜15μmであることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のトナー。
【請求項13】
前記トナー粒子の重量平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との割合(Dv/Dn)が1.25以下であることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載のトナー。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
【請求項15】
請求項1から13のいずれかに記載のトナーが充填されてなることを特徴とするトナー入り容器。
【請求項16】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記トナーが、請求項1から13のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
現像手段が、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有している請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
現像手段が、トナーが供給される現像剤担持体と、該現像剤担持体表面にトナーの薄層を形成する層厚規制部材を有する請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項19】
定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接しない面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する定着手段である請求項16から18のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項20】
定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接する面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する定着手段である請求項16から18のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項21】
定着手段が、未定着画像が形成された記録媒体を、磁性金属から構成されて電磁誘導により加熱される加熱ローラと、前記加熱ローラと平行に配置された定着ローラと、前記加熱ローラと前記定着ローラとに張り渡され、前記加熱ローラにより加熱されると共にこれらのローラによって回転される無端帯状のトナー加熱媒体と、前記トナー加熱媒体を介して前記定着ローラに圧接されると共に、前記トナー加熱媒体に対して順方向に回転して定着ニップ部を形成する加圧ローラとを有する定着手段において、前記トナー加熱媒体と前記加圧ローラの間を通過させて前記未定着画像を加熱定着する請求項16から18のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項22】
静電潜像担持体表面を帯電させる帯電工程と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、
前記トナーが、請求項1から13のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項23】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
前記トナーが、請求項1から13のいずれかに記載のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−93415(P2012−93415A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238440(P2010−238440)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】