説明

トナー消費量算出装置、画像形成装置、及びトナー消費量算出方法

【課題】色ずれ補正及びトナー消費量の算出を精度よく低コストに実現する。
【解決手段】複数のラインメモリ139−1〜139−4に複数の画素で構成される画像データを順次記録する記録部135と、読み出しタイミングを制御して複数のラインメモリから画像データを順次読み出すことにより、画像データにスキュー補正を施すスキュー補正部137と、複数のラインメモリから画像データを順次読み出し、注目画素のトナー消費量を周辺画素の光量を考慮してカウントするカウント部141と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー消費量算出装置、画像形成装置、及びトナー消費量算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、LEDA(発光ダイオードアレイ)を用いて露光を行う電子写真方式の画像形成装置において、LEDAのチップ配置のばらつきによるスキューとうねりが原因で発生する色ずれを補正する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、上述のような画像形成装置において、注目画素に対する周辺画素の発光の影響を考慮してトナー消費量を算出する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。この技術によれば、トナー消費量を精度よく算出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に開示されたような技術は、いずれも多数のラインメモリを必要とするため、ラインメモリの搭載量が増え、コストの増大を招いてしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、色ずれ補正及びトナー消費量の算出を精度よく低コストに実現することができるトナー消費量算出装置、画像形成装置、及びトナー消費量算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかるトナー消費量算出装置は、複数のラインメモリと、前記複数のラインメモリに複数の画素で構成される画像データを順次記録する記録部と、読み出しタイミングを制御して前記複数のラインメモリから前記画像データを順次読み出すことにより、前記画像データにスキュー補正を施すスキュー補正部と、前記複数のラインメモリから前記画像データを順次読み出し、注目画素のトナー消費量を周辺画素の光量を考慮してカウントするカウント部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の態様にかかる画像形成装置は、上記トナー消費量算出装置を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の別の態様にかかるトナー消費量算出方法は、記録部が、複数のラインメモリに複数の画素で構成される画像データを順次記録する記録ステップと、スキュー補正部が、読み出しタイミングを制御して前記複数のラインメモリから前記画像データを順次読み出すことにより、前記画像データにスキュー補正を施すスキュー補正ステップと、カウント部が、前記複数のラインメモリから前記画像データを順次読み出し、注目画素のトナー消費量を周辺画素の光量を考慮してカウントするカウントステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、色ずれ補正及びトナー消費量の算出を精度よく低コストに実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施形態の印刷装置の機械的構成の一例を示す模式図である。
【図2】図2は、本実施形態の印刷装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、スキュー補正前の画像データの一例を示す図である。
【図4】図4は、スキュー補正後の画像データの一例を示す図である。
【図5】図5は、本実施形態のカウント部による周辺画素の光量を考慮して注目画素のトナー消費量をカウントする手法の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、本実施形態のスキュー補正部及びカウント部による制御手法の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、本実施形態のスキュー補正部及びカウント部による制御手法の一例を示す説明図である。
【図8】図8は、本実施形態のスキュー補正部及びカウント部による制御手法の一例を示す説明図である。
【図9】図9は、本実施形態の4色のフルカラー印刷のラインメモリ使用方法の説明図である。
【図10】図10は、変形例のモノクロ印刷のラインメモリ使用方法の説明図である。
【図11】図11は、変形例の2色印刷のラインメモリ使用方法の説明図である
【図12】図12は、変形例3の印刷装置の機械的構成の一例を示す模式図である。
【図13】図13は、上記実施形態及び各変形例の印刷装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかるトナー消費量算出装置、画像形成装置、及びトナー消費量算出方法の実施形態を詳細に説明する。以下の各実施形態では、本発明のトナー消費量算出装置を備える画像形成装置を、電子写真方式の印刷装置に適用した場合を例に取り説明するが、これに限定されるものではない。本発明の画像形成装置は、電子写真方式で画像を形成する装置であれば適用でき、例えば、電子写真方式の複写機や複合機(MFP:Multifunction Peripheral)などにも適用できる。なお、複合機とは、印刷機能、複写機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する装置である。
【0012】
図1は、本実施形態の印刷装置10の機械的構成の一例を示す模式図である。
【0013】
図1に示すように、印刷装置10は、給紙トレイ12と、給紙ローラ14と、分離ローラ対16と、画像形成部18と、定着部40とを、備える。なお図1に示す例では、後述するように、搬送ベルトに沿って各色の作像部が配列されたいわゆるタンデムタイプと称される印刷装置を示しているが、これに限定されるものではない。
【0014】
給紙トレイ12には、複数の記録紙が重ね合わせて収容される。
【0015】
給紙ローラ14は、給紙トレイ12の最上部に位置する記録紙Pに当接されており、当接している記録紙Pを給紙する。
【0016】
分離ローラ対16は、給紙ローラ14により給紙された記録紙Pを画像形成部18へ送る。なお、給紙ローラ14により2枚以上の記録紙が給紙された場合には、分離ローラ対16は、記録紙P以外の記録紙を押し戻すことにより、記録紙Pと記録紙P以外の記録紙とを分離し、記録紙Pのみを画像形成部18へ送る。
【0017】
画像形成部18は、分離ローラ対16から送られた記録紙Pに画像を形成するものであり、作像部20B、20M、20C、及び20Yと、LEDAヘッド32と、搬送ベルト34と、駆動ローラ36と、従動ローラ38とを、備える。
【0018】
作像部20B、20M、20C、及び20Yは、分離ローラ対16から送られた記録紙Pを搬送する搬送ベルト34の搬送方向の上流側から作像部20B、20M、20C、及び20Yの順番で搬送ベルト34に沿って配列されている。
【0019】
作像部20Bは、感光体ドラム22B、並びに感光体ドラム22Bの周囲に配置された帯電器24B、現像器26B、転写器28B、感光体クリーナ(図示省略)、及び除電器30Bを備える。作像部20B及びLEDAヘッド32は、感光体ドラム22B上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、及び除電工程)を行うことにより、感光体ドラム22B上にブラックのトナー画像を形成する。
【0020】
なお、作像部20M、20C、及び20Yは、いずれも作像部20Bと共通の構成要素を備えており、作像部20Mは、作像プロセスを行うことによりマゼンタのトナー画像を形成し、作像部20Cは、作像プロセスを行うことによりシアンのトナー画像を形成し、作像部20Yは、作像プロセスを行うことによりイエローのトナー画像を形成する。このため、以下では、作像部20Bの構成要素についての説明を主に行い、作像部20M、20C、及び20Yの構成要素については、作像部20Bの構成要素の符号に付したBに替えてそれぞれM、C、Yを付すに留め、その説明を省略する。
【0021】
感光体ドラム22B(像担持体の一例)は、図示せぬ駆動モータにより回転駆動される。
【0022】
まず、帯電工程では、帯電器24Bは、回転駆動されている感光体ドラム22Bの外周面を暗中にて一様に帯電する。
【0023】
続いて、露光工程では、LEDAヘッド32(露光部の一例)は、回転駆動されている感光体ドラム22Bの外周面をブラック画像に応じた照射光で露光し、感光体ドラム22B上にブラック画像に基づく静電潜像を形成する。なお、LEDAヘッド32は、感光体ドラム22Mの場合、外周面をマゼンタ画像に応じた照射光で露光し、感光体ドラム22Cの場合、外周面をシアン画像に応じた照射光で露光し、感光体ドラム22Yの場合、外周面をイエロー画像に応じた照射光で露光する。
【0024】
続いて、現像工程では、現像器26Bは、感光体ドラム22B上に形成された静電潜像をブラックトナーで現像し、感光体ドラム22B上にブラックのトナー画像を形成する。
【0025】
続いて、転写工程では、転写器28Bは、感光体ドラム22Bと搬送ベルト34により搬送される記録紙Pとが接する転写位置で、感光体ドラム22B上に形成されたブラックのトナー画像を記録紙Pに転写する。なお、感光体ドラム22B上には、トナー画像の転写後においても未転写トナーが僅かながら残存する。
【0026】
続いて、クリーニング工程では、感光体クリーナは、感光体ドラム22B上に残存している未転写トナーを払拭する。
【0027】
最後に、除電工程では、除電器30Bは、感光体ドラム22B上の残留電位を除電する。そして、作像部20Bは、次回の画像形成を待機する。
【0028】
搬送ベルト34は、駆動ローラ36と従動ローラ38とに巻回されたエンドレスのベルトであり、分離ローラ対16から送られた記録紙Pが静電吸着作用により吸着される。搬送ベルト34は、駆動ローラ36が図示せぬ駆動モータにより回転駆動させられることにより無端移動し、吸着されている記録紙Pを作像部20B、20M、20C、20Yの順に搬送する。
【0029】
そして、搬送ベルト34により搬送される記録紙Pには、まず、作像部20Bによりブラックのトナー画像が転写され、続いて、作像部20Mによりマゼンタのトナー画像、作像部20Cによりシアンのトナー画像、作像部20Yによりイエローのトナー画像が重畳して転写される。これにより、記録紙P上にフルカラーの画像が形成される。
【0030】
定着部40は、搬送ベルト34から剥離された記録紙Pを加熱及び加圧することにより、作像部20B、20M、20C、及び20Yにより形成されたフルカラーの画像を記録紙Pに定着させる。画像が定着された記録紙Pは、印刷装置10の外部に排紙される。
【0031】
図2は、本実施形態の印刷装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、印刷装置10は、コントローラ110と、ページメモリ120と、LEDA制御部130と、LEDAヘッド32とを、備える。なお、LEDA制御部130がトナー消費量算出装置の一例となる。
【0032】
コントローラ110は、PC50(PC50にインストールされているプリンタドライバ)により生成された印刷データを、ネットワーク(図示省略)を介して受信する。なお、印刷データは、例えば、PDL(Page Description Language)などで記述されている。そしてコントローラ110は、受信した印刷データをページメモリ120上で複数の画素で構成される画像データ(例えば、ビットマップデータ)に変換し、LEDA制御部130へライン単位で転送する。
【0033】
LEDA制御部130は、コントローラ110からライン単位で転送される画像データに基づいて、LEDAヘッド32を発光させ、静電潜像を形成させる。つまり、LEDA制御部130は、コントローラ110から転送される画像データを発光データとして扱う。LEDA制御部130は、画像処理部131と、記録部135と、スキュー補正部137と、複数のラインメモリ139−1〜139−4と、カウント部141とを、備える。
【0034】
なおLEDA制御部130は、チャンネル0(ch0)〜チャンネル3(ch3)の複数チャンネル(図示省略)を備えており、コントローラ110からライン単位で転送される画像データは色版毎に対応するチャンネルに入力され、画像処理部131、記録部135、複数のラインメモリ139−1〜139−4の順番で転送される。従って、画像処理部131、記録部135、スキュー補正部137、及びカウント部141は、ch0〜ch3からライン単位で転送される各色の画像データに対して、以下で説明する処理を行う。
【0035】
本実施形態では、ch0にブラック、ch1にシアン、ch2にマゼンタ、ch3にイエローの画像データが入力され、複数のラインメモリ139−1にブラック、複数のラインメモリ139−2にシアン、複数のラインメモリ139−3にマゼンタ、複数のラインメモリ139−4にイエローの画像データが入力されるものとするが、これに限定されるものではない。
【0036】
画像処理部135は、コントローラ110からライン単位で転送される画像データに画像処理を施し、スキュー補正部137へライン単位で転送する。画像処理は、例えば、内部パターンを付加する処理やトリミング処理などである。なお、画像処理として、例えば、ジャギー補正などのラインメモリを要する処理を行う場合、LEDA制御部130は、画像処理部135用のラインメモリを有することになる。
【0037】
記録部135は、複数のラインメモリ139−1〜139−4のうち該当する複数のラインメモリに画像データを順次記録する。
【0038】
スキュー補正部137は、読み出しタイミングを制御して複数のラインメモリ139−1〜139−4のうち該当する複数のラインメモリから画像データを順次読み出すことにより、画像データにスキュー補正を施し、LEDAヘッド32へライン単位で転送する。例えば、スキュー補正部137は、図3に示す画像データにスキュー補正を施し、図4に示す画像データとする。本実施形態では、スキュー補正部137は、スキュー補正を行うことによりLEDAヘッド32のうねり特性を補正するものとするが、スキュー補正はこれに限定されるものではなく、画像データに基づく画像の傾きを補正するものであってもよい。
【0039】
なおスキュー補正部137は、前記スキュー補正部は、主走査解像度をL(Lは自然数)倍した画像データについては、1回の動作でスキュー補正を行う画素数をL倍にしてスキュー補正する。またスキュー補正部137は、画像データをN(Nは自然数)回読み出すことにより、画像データの副走査解像度をN倍密する。
【0040】
LEDAヘッド32は、スキュー補正部137からライン単位で転送される画像データに基づいて、発光し、静電潜像を形成する。
【0041】
カウント部141は、複数のラインメモリ139−1〜139−4のうち該当する複数のラインメモリから画像データを順次読み出し、注目画素のトナー消費量を周辺画素の光量を考慮してカウントする。なおカウント部141は、スキュー補正部137により該当する複数のラインメモリから画像データが読み出されていない間に、画像データを読み出す。また、スキュー補正部137が1回の動作でスキュー補正を行う画素数と、カウント部141が1回の動作でトナー消費量をカウントする画素数とは、異なる場合もある。
【0042】
図5は、本実施形態のカウント部141による周辺画素の光量を考慮して注目画素のトナー消費量をカウントする手法の一例を示す説明図である。
【0043】
本実施形態では、カウント部141は、該当する複数のラインメモリのうち連続する5ライン分のラインメモリから画像データを読み出し、読み出した画像データから主走査方向及び副走査方向にそれぞれ5画素抽出し、注目画素Aを中心に5×5のマトリクスデータを生成する。
【0044】
まず、カウント部141は、生成したマトリクスデータに対し、LEDAヘッド32の特性に合わせて、濃度データのγ変換を行う。
【0045】
続いて、カウント部141は、生成したマトリクスデータを構成する各画素に重み付け係数を設定し、この重み付け係数を用いて注目画素Aの合計光量を算出する。具体的には、カウント部141は、数式(1)より注目画素Aの合計光量を算出する。なお、重み付け係数は、注目画素Aを挟んで対称関係にある参照画素同士で共通の値が設定される。
【0046】
注目画素Aの合計光量=A*main+(C+G)*ref1_1+(E+I)*ref1_2+(B+D+F+H)*ref1_3+(L+T)*ref2_1+(P+X)*ref2_2+(K+M+S+U)*ref2_3+(O+Q+W+Y)*ref2_4+(J+N+R+V)*ref2_5 …(1)
【0047】
続いて、カウント部141は、飽和処理を行う。これは、トナー現像量は、感光体ドラム22を露光する光量に比例するが、所定の光量レベル(トナー現像量の上限値)で飽和し、それ以上現像されないためである。具体的には、カウント部141は、注目画素Aの合計光量≦上限値であれば、注目画素Aのトナー消費量の換算値=注目画素Aの合計光量とし、注目画素Aの合計光量>上限値であれば、注目画素Aのトナー消費量の換算値=上限値とする。
【0048】
続いて、カウント部141は、注目画素Aのトナー消費量の換算値を実際のトナー消費量に近づけるため、注目画素Aのトナー消費量の換算値から一定量のオフセット値を減算する。但し、実際のトナー消費量(オフセット値を減算した値)がマイナスの場合は、実際のトナー消費量を0とする。
【0049】
カウント部141は、以上の処理を画像データの全画素に対して行い、当該画像データの現像により消費されるトナー消費量の合計値を算出する。なお、周辺画素が画像領域外の場合、周辺画素は、光量0の画素として処理される。
【0050】
なおカウント部141は、主走査解像度をL倍した画像データについては、1回の動作でトナー消費量をカウントする画素数でカウントする。またカウント部141は、スキュー補正部137が画像データの副走査解像度をN倍密する場合、N回の動作に分けて画像データのトナー消費量をカウントする。
【0051】
またカウント部141は、スキュー補正前の画像データのトナー消費量をカウントし、当該画像データのカウント終了後は、0データに対してトナー消費量をカウントする(図3参照)。またカウント部141は、カウント値が上限に達すると、カウントを停止する。
【0052】
図6〜図8は、本実施形態のスキュー補正部137及びカウント部141による制御手法の一例を示す説明図である。
【0053】
図6では、画像データは、600dpi(4bit)でラインメモリに入力(ライト)され、600dpi(4bit)で出力(リード)される。なお、図6では、記録部135は、ライトデータを2画素処理でラインメモリに書き込み、スキュー補正部137及びカウント部141は、処理対象データ(リードデータ)を4画素処理でラインメモリから読み出し、処理する。
【0054】
副走査1倍の単密の場合、スキュー補正部137が4画素処理でスキュー補正を行った後、カウント部141が、4画素処理でトナー消費量をカウントしている。
【0055】
副走査2倍の2倍密の場合、スキュー補正部137が4画素処理でスキュー補正を2回行い、それぞれのスキュー補正の後、カウント部141が、4画素処理でトナー消費量をカウントしている。この場合、カウント部141が、1回のトナー消費量カウントで処理する画素数及び処理時間は、単密の場合の1/2となる。
【0056】
副走査4倍の4倍密の場合、スキュー補正部137が4画素処理でスキュー補正を4回行い、それぞれのスキュー補正の後、カウント部141が、4画素処理でトナー消費量をカウントしている。この場合、カウント部141が、1回のトナー消費量カウントで処理する画素数及び処理時間は、単密の場合の1/4となる。
【0057】
図7では、画像データは、600dpi(4bit)でラインメモリに入力(ライト)され、1200dpi(2bit)で出力(リード)される。なお、図7では、記録部135は、ライトデータを2画素処理でラインメモリに書き込み、スキュー補正部137は、処理対象データ(リードデータ)を8画素処理でラインメモリから読み出し、処理し、カウント部141は、処理対象データ(リードデータ)を4画素処理でラインメモリから読み出し、処理する。
【0058】
図7では、画像データの主走査解像度が2倍となるため、スキュー補正部137の処理画素数も2倍とし、画像データの主走査解像度が1倍の場合と同一の処理時間としている(図6参照)。また、カウント部141の処理画素数は、画像データの主走査解像度が1倍の場合と同一の画素数であるため、処理時間が2倍となっている(図6参照)。
【0059】
副走査1倍の単密の場合、スキュー補正部137が8画素処理でスキュー補正を行った後、カウント部141が、4画素処理でトナー消費量をカウントしている。
【0060】
副走査2倍の2倍密の場合、スキュー補正部137が8画素処理でスキュー補正を2回行い、それぞれのスキュー補正の後、カウント部141が、4画素処理でトナー消費量をカウントしている。
【0061】
副走査4倍の4倍密の場合、スキュー補正部137が8画素処理でスキュー補正を4回行い、それぞれのスキュー補正の後、カウント部141が、4画素処理でトナー消費量をカウントしている。
【0062】
図8では、画像データは、1200dpi(2bit)でラインメモリに入力(ライト)され、1200dpi(2bit)で出力(リード)される。なお、図8では、記録部135は、ライトデータを8画素処理でラインメモリに書き込み、スキュー補正部137は、処理対象データ(リードデータ)を8画素処理でラインメモリから読み出し、処理し、カウント部141は、処理対象データ(リードデータ)を4画素処理でラインメモリから読み出し、処理する。
【0063】
副走査1倍の単密の場合、スキュー補正部137が8画素処理でスキュー補正を行った後、カウント部141が、4画素処理でトナー消費量をカウントしている。
【0064】
副走査2倍の2倍密の場合、スキュー補正部137が8画素処理でスキュー補正を2回行い、それぞれのスキュー補正の後、カウント部141が、4画素処理でトナー消費量をカウントしている。
【0065】
以上のように、本実施形態によれば、スキュー補正を行うためのラインメモリとトナー消費量をカウントするためのラインメモリとを共用するので、ラインメモリ数を削減することができ、色ずれ補正及びトナー消費量の算出を精度よく低コストに実現できる。
【0066】
(変形例)
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0067】
(変形例1)
上記実施形態では、4色のフルカラーの印刷を前提に説明したが、変形例1では、モノクロ印刷(単一印刷)、2色印刷の場合について説明する。
【0068】
上記実施形態では、図9に示すように、複数のラインメモリ139−1〜139−4それぞれから、スキュー補正部137は、スキュー用画像データを読み出し、カウント部141は、トナー消費カウント用データを読み出していた。しかしながら、モノクロ印刷や2色印刷の場合には、使用していない色版の複数のラインメモリは、当然使用されない。
【0069】
このため、変形例では、記録部135は、単一印刷又は2色印刷の場合、使用していない色版の複数のラインメモリにも画像データを順次記録し、カウント部141は、使用していない色版の複数のラインメモリから画像データを順次読み出し、注目画素のトナー消費量を周辺画素の光量を考慮してカウントする。
【0070】
例えば、モノクロ印刷の場合、図10に示すように、記録部135は、ラインメモリ139−1だけでなくラインメモリ139−2にもブラック(Bk)の画像データを記録し、カウント部141は、ラインメモリ139−1ではなくラインメモリ139−2から画像データを読み出し、注目画素のトナー消費量をカウントする。
【0071】
また例えば、2色印刷の場合、図11に示すように、記録部135は、ラインメモリ139−1だけでなくラインメモリ139−2にもブラック(Bk)の画像データを記録し、カウント部141は、ラインメモリ139−1ではなくラインメモリ139−2から画像データを読み出し、注目画素のトナー消費量をカウントする。同様に、記録部135は、ラインメモリ139−3だけでなくラインメモリ139−4にもマゼンタ(M)の画像データを記録し、カウント部141は、ラインメモリ139−3ではなくラインメモリ139−4から画像データを読み出し、注目画素のトナー消費量をカウントする。
【0072】
このようにすれば、同一ラインメモリ共用化による線速に対するパフォーマンスの低下を防ぐことができる。
【0073】
(変形例2)
また例えば、スキュー補正部137が1回の動作でスキュー補正を行う画素数と、カウント部141が1回の動作でトナー消費量をカウントする画素数とを一致させ、カウント部141及びスキュー補正部137は、複数のラインメモリから画像データを同時に読み出すようにしてもよい。
【0074】
(変形例3)
上記実施形態では、各作像部が記録紙に直接画像を形成する例について説明したが、各作像部が中間転写ベルトに画像を形成し、中間転写ベルトから記録紙に画像を転写するようにしてもよい。以下では、上記実施形態との相違点の説明を主に行い、上記実施形態と同様の機能を有する構成要素については、上記実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0075】
図12は、変形例3の印刷装置210の機械的構成の一例を示す模式図である。図12に示すように、印刷装置210は、画像形成部318が、搬送ベルト34、駆動ローラ36、及び従動ローラ38に代えて、中間転写ベルト334、駆動ローラ336、及び従動ローラ338を備え、更に2次転写ローラ339を備える点で第1実施形態と相違する。
【0076】
中間転写ベルト334は、駆動ローラ336と従動ローラ338とに巻回されたエンドレスのベルトである。中間転写ベルト334は、駆動ローラ336が図示せぬ駆動モータにより回転駆動させられることにより、作像部20B、20M、20C、20Yの順に無端移動する。
【0077】
中間転写ベルト334には、まず、作像部20Bによりブラックのトナー画像が転写され、続いて、作像部20Mによりマゼンタのトナー画像、作像部20Cによりシアンのトナー画像、作像部20Yによりイエローのトナー画像が重畳して転写される。これにより、中間転写ベルト334上にフルカラーの画像が形成される。
【0078】
そして、分離ローラ対16から画像が形成された中間転写ベルト334上に記録紙Pが送られ、中間転写ベルト334と記録紙Pとが接する2次転写位置にて、中間転写ベルト334から記録紙Pに画像が転写される。
【0079】
2次転写位置には、2次転写ローラ339が配置されている。2次転写ローラ339は、2次転写位置にて、記録紙Pを中間転写ベルト334に押し当てる。これにより転写効率が高まる。なお、2次転写ローラ339は、中間転写ベルト334に密着しており、接離機構はない。
【0080】
(ハードウェア構成)
図13は、上記実施形態及び各変形例の印刷装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図13に示すように、上記実施形態及び各変形例の印刷装置は、コントローラ910とエンジン部(Engine)960とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ910は、複合機全体の制御、描画、通信、及び操作表示部920からの入力を制御するコントローラである。エンジン部960は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部960には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0081】
コントローラ910は、CPU911と、ノースブリッジ(NB)913と、システムメモリ(MEM−P)912と、サウスブリッジ(SB)914と、ローカルメモリ(MEM−C)917と、ASIC916と、ハードディスクドライブ(HDD)918とを有し、ノースブリッジ(NB)913とASIC916との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス915で接続した構成となる。また、MEM−P912は、ROM912aと、RAM912bとをさらに有する。
【0082】
CPU911は、複合機の全体制御をおこなうものであり、NB913、MEM−P912およびSB914からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0083】
NB913は、CPU911とMEM−P912、SB914、AGPバス915とを接続するためのブリッジであり、MEM−P912に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0084】
MEM−P912は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM912aとRAM912bとからなる。ROM912aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM912bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0085】
SB914は、NB913とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB914は、PCIバスを介してNB913と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
【0086】
ASIC916は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス915、PCIバス、HDD918およびMEM−C917をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC916は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC916の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C917を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部960との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC916には、PCIバスを介してUSB(Universal Serial Bus)940、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース950が接続される。操作表示部920はASIC916に直接接続されている。
【0087】
MEM−C917は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD918は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0088】
AGPバス915は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P912に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【符号の説明】
【0089】
10、210 印刷装置
12 給紙トレイ
14 給紙ローラ
16 分離ローラ対
18、318 画像形成部
20B、20M、20C、20Y 作像部
22B、22M、22C、22Y 感光体ドラム
24B、24M、24C、24Y 帯電器
26B、26M、26C、26Y 現像器
28B、28M、28C、28Y 転写器
30B、30M、30C、30Y 除電器
32 LEDAヘッド
34 搬送ベルト
36、336 駆動ローラ
38、338 従動ローラ
40 定着部
50 PC
110 コントローラ
120 ページメモリ
130 LEDA制御部
131 画像処理部
135 記録部
137 スキュー補正部
139−1〜139−4 ラインメモリ
141 カウント部
334 中間転写ベルト
339 2次転写ローラ
910 コントローラ
911 CPU
912 システムメモリ
912a ROM
912b RAM
913 ノースブリッジ
914 サウスブリッジ
915 AGPバス
916 ASIC
917 ローカルメモリ
918 ハードディスクドライブ
920 操作表示部
940 USB
950 IEEE1394インタフェース
960 エンジン部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特開2007−174571号公報
【特許文献2】特開2007−078794号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のラインメモリと、
前記複数のラインメモリに複数の画素で構成される画像データを順次記録する記録部と、
読み出しタイミングを制御して前記複数のラインメモリから前記画像データを順次読み出すことにより、前記画像データにスキュー補正を施すスキュー補正部と、
前記複数のラインメモリから前記画像データを順次読み出し、注目画素のトナー消費量を周辺画素の光量を考慮してカウントするカウント部と、
を備えることを特徴とするトナー消費量算出装置。
【請求項2】
前記カウント部は、前記スキュー補正部により前記複数のラインメモリから前記画像データが読み出されていない間に、前記複数のラインメモリから前記画像データを読み出すことを特徴とする請求項1に記載のトナー消費量算出装置。
【請求項3】
前記スキュー補正部が1回の動作でスキュー補正を行う画素数と、前記カウント部が1回の動作でトナー消費量をカウントする画素数とが、異なることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー消費量算出装置。
【請求項4】
前記スキュー補正部が1回の動作でスキュー補正を行う画素数と、前記カウント部が1回の動作でトナー消費量をカウントする画素数とが、一致し、
前記カウント部及び前記スキュー補正部は、前記複数のラインメモリから前記画像データを同時に読み出すことを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー消費量算出装置。
【請求項5】
前記スキュー補正部は、主走査解像度をL(Lは自然数)倍した前記画像データを、1回の動作でスキュー補正を行う画素数をL倍にしてスキュー補正し、
前記カウント部は、主走査解像度をL倍した前記画像データを、1回の動作でトナー消費量をカウントする画素数でカウントすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナー消費量算出装置。
【請求項6】
前記スキュー補正部は、前記画像データをN(Nは自然数)回読み出すことにより、前記画像データの副走査解像度をN倍密し、
前記カウント部は、N回の動作に分けて前記画像データのトナー消費量をカウントすることを特徴とする請求項1〜3及び5のいずれか1つに記載のトナー消費量算出装置。
【請求項7】
画像データの色版毎に前記複数のラインメモリを備え、
前記記録部は、単一印刷又は2色印刷の場合、使用していない色版の前記複数のラインメモリにも前記画像データを順次記録し、
前記カウント部は、前記使用していない色版の前記複数のラインメモリから前記画像データを順次読み出し、注目画素のトナー消費量を周辺画素の光量を考慮してカウントすることを特徴とする請求項1〜3及び5〜6のいずれか1つに記載のトナー消費量算出装置。
【請求項8】
前記カウント部は、スキュー補正前の画像データのトナー消費量をカウントし、当該画像データのカウント終了後は、0データに対してトナー消費量をカウントすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のトナー消費量算出装置。
【請求項9】
前記カウント部は、カウント値が上限に達すると、カウントを停止することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のトナー消費量算出装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載のトナー消費量算出装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
記録部が、複数のラインメモリに複数の画素で構成される画像データを順次記録する記録ステップと、
スキュー補正部が、読み出しタイミングを制御して前記複数のラインメモリから前記画像データを順次読み出すことにより、前記画像データにスキュー補正を施すスキュー補正ステップと、
カウント部が、前記複数のラインメモリから前記画像データを順次読み出し、注目画素のトナー消費量を周辺画素の光量を考慮してカウントするカウントステップと、
を含むことを特徴とするトナー消費量算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−64894(P2013−64894A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203845(P2011−203845)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】