説明

トラクタ

【課題】 計器盤の存在にかかわらず運転パネルの取り外しを操作簡単に行うことができるようにし、しかも構造簡単に得ることができるようにする。
【解決手段】 運転パネル31およびエンジンボンネット22を支持するよう車体フレーム56に立設された支持フレーム23の上端側と、ステアリングホィール30を支持するよう車体フレーム6に立設されたハンドルポスト33とを運転パネル31の内側で連結する連結部材34を設けてある。計器盤32の表示面32aに望ませて運転パネル31に設けた表示窓40と、計器盤32を運転パネル31の内面側に位置させて支持するよう連結部材34に設けた計器盤支持部34cとを設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホィールの下方に設けた運転パネルと計器盤とを備えたトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のトラクタとして、従来、たとえば特許文献1に記載されたトラクタがあった。特許文献1に記載されたトラクタでは、操縦ハンドル(ステアリングホィールに相当)と、第1カバー(運転パネルに相当)と、計器部(計器盤に相当)とを備えている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−2239号公報(段落〔0014〕、〔0015〕、図1,3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のトラクタでは、運転パネルを取り外して、運転パネルの内側に位置する各種の装置や機器の点検や修理を行われることがある。この場合、計器盤が運転パネルに支持されていると、運転パネルに計器盤を介してコードやケーブルが繋がっていることから、運転パネルの取り外しが可能となるよう、計器盤を運転パネルから取り外すか、あるいはコードやケーブルを切り離す煩わしい手間が必要になる。
【0005】
本発明の目的は、運転パネルの取り外しを操作簡単に行うことができ、しかも構造簡単に得ることができるトラクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、ステアリングホィールの下方に設けた運転パネルと計器盤とを備えたトラクタにおいて、
前記運転パネルおよびエンジンボンネットを支持するよう車体フレームに立設された支持フレームの上端側と、前記ステアリングホィールを支持するよう車体フレームに立設されたハンドルポストとを前記運転パネルの内側で連結する連結部材を設け、
前記計器盤の表示面に望ませて前記運転パネルに設けた表示窓と、前記計器盤を前記運転パネルの内面側に位置させて支持するよう前記連結部材に設けた計器盤支持部とを設けてある。
【0007】
本第1発明の構成によると、計器盤を連結部材の計器盤支持部に支持させて車体側に残したままにし、運転パネルを計器盤とは独立させて支持フレームから取り外すことができる。
支持フレームとハンドルポストとを連結部材による連結によって補強することができ、この連結部材を支持手段にして、計器盤を車体側に残るように支持させることができる。
【0008】
したがって、計器盤と運転パネルとを分離させる手間、あるいは計器盤のためのコードやケーブルを切り離す手間を掛けずに操作簡単に運転パネルを取り外して点検や修理作業を能率よく行うことができる。しかも、支持フレームとハンドルポストとの補強を行わせる連結部材を計器盤支持の支持手段に利用した簡単な構造で済ませて安価に得ることができる。
【0009】
本第2発明では、前記連結部材に、前記運転パネルの前記表示窓の付近を締め付け連結するパネル支持部を設けてある。
【0010】
本第2発明の構成によると、運転パネルの表示窓付近のパネル支持部への締め付けにより、運転パネルの表示窓付近を計器盤に圧接して運転パネルと計器盤との間のシールを良好に行わせることができる。
【0011】
したがって、運転パネルを単独で取り外せるよう計器盤を連結部材に支持させるものでありながら、運転パネルと計器盤との間のシールを良好に行って浸水などを防止することができる。
【0012】
本第3発明では、前記計器盤の前記表示面が、車体側面視で計器盤上下方向での中央側が凹入した湾曲面である。
【0013】
本第3発明の構成によると、表記が反射光によって見えにくくならいように、表示面の湾曲によって反射光の向きなどを調整することができる。
【0014】
したがって、表示が見やすくて正確な表示の認識を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るトラクタの全体側面図である。図2は、本発明の実施例に係るトラクタの全体平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係るトラクタは、左右一対の操向操作および駆動自在な前車輪1,1と、左右一対の駆動自在な後車輪2,2と、車体前部に設けたエンジン3を有した原動部Aと、車体後部に左右一対の後輪フェンダー4,4の間に配置して設けた運転座席5を有した運転部Bとを備えさせて自走車を構成し、この自走車の車体フレーム6の後部に、左右一対のリフトアーム11,11を有したリンク機構10と、動力取り出し軸7とを備えて構成してある。
【0016】
このトラクタは、車体後部に前記リンク機構10を介してロータリー耕耘装置(図示せず)を連結するとともに、前記エンジン3の出力を前記動力取り出し軸7からロータリー耕耘装置に伝達するよう構成して、乗用型耕耘機を構成する。このように、このトラクタは、車体後部に各種の作業装置を駆動自在に連結して各種の乗用型作業機を構成する。
【0017】
図1に示すように、前記車体フレーム6は、前記エンジン3を備える他、このエンジン3の後部に連結された伝動ケース8と、この伝動ケース8の後部に連結されたミッションケース9と、前記エンジン3の下部に連結された前輪支持フレーム6aを備えて構成してある。
【0018】
図1,3に示すように、前記原動部Aは、前記エンジン3を備える他、エンジン3の後部の上方に配置したエンジン用の燃料タンク20と、エンジン3の下部の両横側方に位置する横側板21と、前記左右一対の横側板21,21の上方から前方にかけて位置する一つのエンジンボンネット22とを備えている。
【0019】
前記左右一対の横側板21,21と前記エンジンボンネット22とは、エンジンルームを前記前輪支持フレーム6aの上方に形成している。図・に示すように、前記エンジンボンネット22は、車体フレーム6に立設された車体前後方向視で門形の支持フレーム23と、エンジンボンネット22の後端部とにわたって設けた左右一対の枢支機構24,24を介して前記支持フレーム23に支持されている。
【0020】
つまり、エンジンボンネット22は、前記左右一対の枢支機構24,24が備える枢支ピン25の軸芯まわりに上下に揺動開閉してエンジンルームを開閉する。
【0021】
前記燃料タンク20は、この燃料タンク20の周囲に分散配置して前記支持フレーム23に設けたステー26(図4参照)を介して前記支持フレーム23に支持されている。
【0022】
図1,2に示すように、前記運転部Bは、前記運転座席5を備える他、この運転座席5の前方に設けたステアリングホィール30と、このステアリングホィール30の下方に設けた運転パネル31および計器盤32とを備えている。
【0023】
図5は、運転部Bにおける運転パネル配設部での後面図である。図6は、運転部Bにおける運転パネル配設部での側面図である。これらの図に示すように、前記ステアリングホィール30は、車体フレーム6を構成する前記伝動ケース8に前記支持フレーム23よりも車体後方側で立設されたハンドルポスト33にハンドル軸30aを介して回転自在に支持されている。
【0024】
前記ハンドルポスト33は、前記伝動ケース8に下端部が連結された板金材で成るポスト基部33aと、このポスト基部33aの上端部から車体上方向きに延出した筒体で成るポスト先端部33bとを備えて構成してある。前記ハンドル基部33aは、前記ハンドル軸30aが内嵌する筒軸部33cを備えている。
【0025】
前記支持フレーム23と前記ハンドルポスト33とは、前記運転パネル31の内側に設けた連結部材34によって連結されて支持強度を高めるよう補強されている。
【0026】
図4は、前記連結部材34の後面図である。この図と図6とに示すように、前記連結部材34は、支持フレーム23の上端側と、ハンドルポスト33の前記ポスト基部33aの上端側とを連結する左右一対の帯板で成る連結材本体34a,34aと、前記左右一対の連結材本体34a,34aをこれらの一端側と他端側とで連結する一対の車体横向きの連結杆34b,34bとを備えて構成してある。
【0027】
図6に示すように、前記計器盤32は、これの表示面32aが車体後方向きでかつ車体上方向きになる状態で前記運転パネル31の内側に配置され、前記連結部材34の前記一対の連結杆34b,34bの両端側に設けた計器盤支持部34cに支持されている。
【0028】
図5,6に示すように、前記計器盤32は、前記表示面32aを有した計器ケース35と、この計器ケース35の車体横方向での中央部に支持されたエンジン回転計36と、計器ケース35の前記エンジン回転計36よりも一端側に支持された温度計37と、計器ケース35の前記エンジン回転計36よりも他端側に支持された燃料計38とを備えている。エンジン回転計36は、前記エンジン3の回転数を表示する。温度計37は、エンジン冷却水の温度を表示する。燃料計38は、前記燃料タンク20の貯留量を表示する。
【0029】
図6に示すように、計器盤32の前記表示面32aは、湾曲形状を備えるよう成形された透明板によって構成されていて、車体側面視で計器盤上下方向での中央側が凹入した湾曲面になっており、表示が反射光によって見えにくくならないよう反射光の向き調整をする。
【0030】
前記運転パネル31は、表示窓40を有した運転板部41と、左右一対の横側板部42,42と、天板部43とを備えて構成してある。この運転パネル31は、運転板部41と横側板部42と天板部43とを樹脂素材の成型によって一体形成した樹脂になっている。表示窓40は、運転板部41の貫通孔で成っている。前記運転板部41は、前記ハンドルポスト33の前記ポスト先端部33bが挿通するステアリング孔44と、前記ポスト先端部33bを覆う筒形カバー45とを備えている。
【0031】
前記運転パネル31は、前記表示窓40が前記計器盤32の前記表示面32aに臨んだ組み付け姿勢で、前記支持フレーム23と前記ハンドルポスト33とに脱着自在に支持されている。
すなわち、運転パネル31は、前記各横側板部42の前端側の下部に設けた連結片46と、前記天板部43の前端側に設け連結孔47と、前記運転板部41の下端部に設けた連結部48とを備えている。
各横側板部42の連結片46は、前記支持フレーム23に設けた支持片50に連結ピン51によって係脱自在に係合されている。前記連結ピン51は、前記連結片46に一体成形されている。
天板部43の前端側は、前記支持フレーム23に設けた支持アーム52に前記連結孔47によって係脱自在に係合されている。
運転板部41の連結部48は、前記ハンドルポスト33の前記ポスト基部33aに設けた支持板53に連結ネジ54によって脱着自在に連結されている。
【0032】
運転パネル31の前記表示窓40の上側付近は、前記連結部材34の前記連結杆34bに板部材を立設して設けたパネル支持部34dに連結ネジ55によって締め付け連結され、運転パネル31の表示窓40の付近での運転パネル31と計器盤32とのシールが行なわれている。
【0033】
図6は、運転部Bの運転パネル取り付け状態での側面図である。図7は、運転部Bの運転パネル取り外し状態での側面図である。これらの図に示すように、連結片47を支持フレーム23の支持アーム52に係止させ、左右一対の連結片46,46を支持フレーム23の支持片50に連結ピン51によって係合させ、連結部48をハンドルポスト33の支持板54に連結ネジ54によって連結し、表示窓付近を連結部材34のパネル支持部34dに連結ネジ55によって連結することにより、運転パネル31が所定の取り付け状態になる。
【0034】
連結片47の支持アーム52に対する係止を解除し、左右一対の連結片46,46の支持片50に対する連結ピン51による係合を解除し、連結部48の支持板54に対する連結ネジ54による連結を解除し、表示窓付近のパネル支持部334dに対する連結ネジ55による連結を解除することにより、運転パネル31を取り外すことができる。運転パネル31を取り外しても、計器盤32は、連結部材34の計器盤支持部34dに支持されて所定の取り付け状態で車体側に残る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】トラクタの全体側面図
【図2】トラクタの全体平面図
【図3】原動部と運転部との側面図
【図4】連結部材の後面図
【図5】運転部の運転パネル配設部の後面図
【図6】運転部の運転パネル取り付け状態での側面図
【図7】運転部の運転パネル取り外し状態での側面図
【符号の説明】
【0036】
6 車体フレーム
22 エンジンボンネット
23 支持フレーム
30 ステアリングホィール
31 運転パネル
32 計器盤
32a 計器盤の表示面
33 ハンドルポスト
34 連結部材
34c 計器盤支持部
34d パネル支持部
40 表示窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホィールの下方に設けた運転パネルと計器盤とを備えたトラクタであって、
前記運転パネルおよびエンジンボンネットを支持するよう車体フレームに立設された支持フレームの上端側と、前記ステアリングホィールを支持するよう車体フレームに立設されたハンドルポストとを前記運転パネルの内側で連結する連結部材を設け、
前記計器盤の表示面に望ませて前記運転パネルに設けた表示窓と、前記計器盤を前記運転パネルの内面側に位置させて支持するよう前記連結部材に設けた計器盤支持部とを設けてあるトラクタ。
【請求項2】
前記連結部材に、前記運転パネルの前記表示窓の付近を締め付け連結するパネル支持部を設けてある請求項1記載のトラクタ。
【請求項3】
前記計器盤の前記表示面が、車体側面視で計器盤上下方向での中央側が凹入した湾曲面である請求項1または2記載のトラクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−234353(P2009−234353A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81202(P2008−81202)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】