説明

トランスインピーダンスアンプ、半導体デバイス、および光通信モジュール

【課題】高速、かつ高品質な受信動作が実現可能な、トランスインピーダンスアンプを含んだ光通信モジュールを提供する。
【解決手段】トランスインピーダンスアンプTIAにおいて、単相電流信号を入力として単相電圧信号に変換するプリアンプPRAMPと、プリアンプPRAMPの出力の単相電圧信号の中心電位を検出する閾値検出回路ATCと、プリアンプPRAMPの出力の単相電圧信号を差動化するとともに増幅するポストアンプPSAMPと、プリアンプPRAMPに電源を供給する電源回路PSPYとを有する。特に、電源回路PSPYは、プリアンプPRAMPの入力電圧信号または出力電圧信号でプリアンプPRAMPの電源端子に流れる変化電流とその変化電流と逆相の変化電流とを出力する。これにより、電源電流変化量を相殺する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスインピーダンスアンプを含んだ光通信モジュール、およびそれを含んだ光通信装置に関し、特に、ルータ装置やサーバ装置等の光通信装置、およびその部品の一つでありレーザダイオードとフォトダイオードを用いて光通信を行う光通信モジュールに適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、非特許文献1には、高速光受信回路においてフォトダイオードからの電流信号を電圧信号に変換するとともに、増幅するトランスインピーダンスアンプが記載されている。特に、数Gbps以上の高速動作が要求されるトランスインピーダンスアンプとしては、レギュレーティッドカスケード型の増幅回路が最適である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“1.25−Gb/s Regulated Cascode CMOS Transimpedance Amplifier for Gigabit Ethernet(登録商標) Applications”,IEEE JOURNAL OF SOLID−STATE CIRCUITS,VOL.39,NO.1,JANUARY 2004.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、通信速度の高速化に伴い、その通信速度は10Gbpsから25Gbps、40Gbps等へと遷移している。このような通信速度の高速化に伴い、例えばルータ装置やサーバ装置として、光ファイバケーブルに対応した光通信装置の適用が進んでいる。光通信装置は、通常、装置間におけるキロメートルオーダーといった長距離伝送を前提としており、この伝送距離に伴う高速性、信頼性の確保が重要となっている。
【0005】
このような光通信装置の中には、比較的大型のサイズ(例えば数十センチメートルオーダーやメートルオーダー)を持つ装置も多数存在するが、その装置内部では、通常、電気信号を用いた通信が行われている。すなわち、光通信装置は、例えば、外部から入力された光信号を電気信号に変換し、この電気信号によって装置内部での短距離通信(例えばメートルオーダー)を行いながら所定の処理を行い、再び電気信号を光信号に変換して外部に出力している。
【0006】
この短距離通信は、例えば、銅線ケーブル等を用いた電気信号による通信が行われるが、通信速度の高速化が進むにつれて、銅線ケーブルでは伝送波形品質の著しい低下が生じてしまう。このため、このような装置内部の短距離通信にも光通信を適用することが求められつつある。この場合、光通信ではルータ装置等の内部信号処理はすべて電気信号で行うため、光素子で光信号を電気信号に変換する必要がある。このため、この部分で消費される電力を小さく抑えることが望ましい。
【0007】
ここで、本発明が解決しようとする課題を、本発明の実施の形態に適用される図1および図2を例に説明する。図1はルータ装置内部の概略構成の一例を示す説明図、図2はこのルータ装置内部のカード間通信を行うための光通信モジュールの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0008】
図1に示すルータ装置内部の構成では、インタフェースカードIFC[1],IFC[2],…上に搭載された論理デバイスLSI_LGiとスイッチカードSWC上に搭載された論理デバイスLSI_LGsとの間を、光通信モジュールOMDi,OMDsと光コネクタCNi,CNsと光通信線路OFで光通信する。
【0009】
図2に示す光通信モジュールOMD(OMDi,OMDs)は、レーザダイオードLDとフォトダイオードPDからなる光素子ブロックOBKと、レーザダイオードドライバLDDとトランスインピーダンスアンプTIAからなるアナログフロントエンドブロックAFEと、論理デバイスLSI(LSI_LGi,LSI_LGs)との電気インタフェースである伝送速度変換回路SDCとから構成される。送信動作は、伝送速度変換回路SDCからの電気信号を受けたレーザダイオードドライバLDDが電流信号でレーザダイオードLDを駆動することで、レーザダイオードLDから光信号が送信用の光通信線路OFtxに出力される。一方、受信動作では、受信用の光通信線路OFrxからの光信号をフォトダイオードPDで電流信号に変換し、さらにこの電流信号をトランスインピーダンスアンプTIAで電圧信号に変換して伝送速度変換回路SDCに伝える。
【0010】
一連の光通信動作によって消費される電力を抑えるためには、送受信する光信号エネルギーを小さく抑えることや、光素子ブロックOBKやアナログフロントエンドブロックAFEで消費される電力を抑えることが重要である。送受信する光信号エネルギーやレーザダイオードLDで消費する電力を小さく抑えることは、特にフォトダイオードPDが受信する光信号のエネルギーを抑えることになり、トランスインピーダンスアンプTIAの入力電流信号を小さくすることになる。一般的に、トランスインピーダンスアンプTIAの入力電流信号は、数100μA程度の微小電流である。このため、トランスインピーダンスアンプTIAの利得は、出力電圧信号として後段の伝送速度変換回路SDCの動作に必要な数100mVを確保するために、1KΩ程度必要となる。
【0011】
図10は、一般的な従来のトランスインピーダンスアンプTIAと、このトランスインピーダンスアンプTIAを構成するプリアンプの回路構成の一例を示す回路図である。図10に示すトランスインピーダンスアンプTIAは、フォトダイオードPDからの単相電流信号を電圧信号に変換するプリアンプPRAMPと、プリアンプPRAMPの出力信号から信号の中心レベル(閾値電圧)を検出する閾値検出回路ATCと、プリアンプPRAMPの単相出力信号を差動化するとともに増幅するポストアンプPSAMPとから構成される。ここで、特にプリアンプPRAMPは、単相の電流信号を入力として単相の電流信号を出力する回路であるため、電源VDDの電圧変動の影響を受けやすい。さらに、この回路は、前述したようにフォトダイオードPDからの入力電流も数100μAと微小電流であるため、電源VDDの電圧変動による出力信号への影響の割合が大きい。したがって、このプリアンプPRAMPでは、電源VDDの電圧変動によって、高品質な電流・電圧信号変換動作が阻害されることになる。
【0012】
次に、この電源VDDの電圧変動が出力信号に与える影響を、特に高速化と低電力化に有効な電界効果トランジスタ(以下、MOSトランジスタと略す)を用いた前記非特許文献1に相当する図10に示したプリアンプPRAMPで説明する。このプリアンプPRAMPでは、フォトダイオードPDからの受信電流Iinを受けると、MOSトランジスタM1や負荷抵抗RL1に流れる電流が受信電流Iin分だけ減少することになり、ノードV1の電位が負荷抵抗RL1の抵抗値と受信電流Iinの電流値との積の電位変化を生じ、この電位変化をMOSトランジスタM3と定電流源IS2で構成されたソースフォロア回路で出力ノードVoに出力することで、電流・電圧変換が行われる。一方、この回路では、電源VDDの電圧変動ΔVddが負荷抵抗RL1とソースフォロア回路を介して出力ノードVoにほとんど減衰しないで伝わることになる。この時、MOSトランジスタM2に流れる電流は、受信電流Iinによって入力電圧Vinが上昇するため、増加する。この結果、電源VDDには、MOSトランジスタM1とM2に流れる電流の差分の電流変化が生じる。
【0013】
ここで、MOSトランジスタM1とM2の相互コンダクタンスを、それぞれgm1とgm2と仮定すると、この電源VDDに流れる電流変化量ΔIddは、
ΔIdd=Iin×[1−gm2/gm1/(1+gm2×RL2)]
但し、1<gm1×RL2であるため、
ΔIdd≒Iin
となる。ところで、この回路の高帯域化には、動作帯域が負荷抵抗RL1に反比例するため、負荷抵抗RL1を小さくする必要がある。例えば、動作帯域を数GHz以上にするためには、負荷抵抗RL1を数100Ω程度にする必要があり、さらに高帯域化するには、数10Ωに低減する必要がある。
【0014】
このプリアンプPRAMPの出力信号Voの振幅は、前述したように受信電流Iinが数100μA程度で、負荷抵抗RL1が数100Ωであるため、数10mV程度となる。一方で、電源VDDの電圧変動ΔVddは、電源VDDの電源インピーダンスZVddと前述の電流変化量ΔIdd(=Iin)の積となる。数Gbps以上の光通信における受信電流信号の周波数成分は、数10MHz〜数GHz程度となる。特に、数10MHz帯の電源インピーダンスZVddを下げるために、チップ内のプリアンプPRAMP近傍にバイパスコンデンサCbpを設けるが、半導体上に形成できる面積の制約からチップ内のプリアンプPRAMP近傍のバイパスコンデンサCbpの上限は、約100pF程度である。
【0015】
この結果、電源VDDの電圧変動ΔVddは、数10MHz帯の電源インピーダンスZVddが数10Ωで電源電流変化量ΔIddが数100μAであるため、数mVにもなってしまう。したがって、プリアンプPRAMPの出力では、受信信号が数10mVに対して数mVの雑音が生じることで、受信信号に対する電源雑音の割合が数10%を超えることになり、高品質な数Gbps以上の高速な受信動作実現が困難となる。
【0016】
そこで、本発明は、このようなことを鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、高速、かつ高品質な受信動作が実現可能な、トランスインピーダンスアンプを含んだ光通信モジュールを提供することにある。本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態の概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0018】
すなわち、代表的な実施の形態によるトランスインピーダンスアンプは、単相電流信号を入力として単相電圧信号に変換するプリアンプと、前記プリアンプの出力の単相電圧信号の中心電位を検出する閾値検出回路と、前記プリアンプの出力の単相電圧信号を差動化するとともに増幅するポストアンプと、前記プリアンプに電源を供給する電源回路とを有する。特に、前記電源回路は、前記プリアンプの入力電圧信号または出力電圧信号で前記プリアンプの電源端子に流れる変化電流とその変化電流と逆相の変化電流とを出力することを特徴とする。この構成によって、前記電源回路に電源電流変化量を相殺する機能を有し、受信動作時に生じるプリアンプの電源電流の変化を相殺し、この電源電流変化による出力雑音を低減することが可能となる。
【0019】
また、代表的な実施の形態による半導体デバイスは、レーザダイオードを駆動するレーザダイオードドライバと、フォトダイオードからの電流信号を増幅ならびに電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、前記レーザダイオードドライバおよび前記トランスインピーダンスアンプに対する入出力信号の伝送速度と外部に対する入出力信号の伝送速度とを変換する伝送速度変換回路とを有する。そして、前記レーザダイオードドライバと前記トランスインピーダンスアンプと前記伝送速度変換回路とは同一の半導体チップ上に形成される。特に、前記トランスインピーダンスアンプは、前述のような構成を有することを特徴とする。
【0020】
また、代表的な実施の形態による光通信モジュールは、光素子デバイスと、半導体デバイスとを有する。そして、前記光素子デバイスと前記半導体デバイスとは同一のパッケージ基板上に搭載される。さらに、前記光素子デバイスは、フォトダイオードと、レーザダイオードとを有し、そして、前記フォトダイオードと前記レーザダイオードとは同一の半導体チップ上に形成される。また、前記半導体デバイスは、前述のような構成を有し、そして、特に、前記トランスインピーダンスアンプは、前述のような構成を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本願において開示される発明のうち、電源電流変化による出力雑音を低減する光通信モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1によるルータ装置において、このルータ装置内部の概略構成の一例を示す説明図である。
【図2】図1におけるルータ装置内部のカード間通信を行うための光通信モジュールの概略構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図2における光通信モジュールの概略構造の一例を示す断面図である。
【図4】図2における光通信モジュールにおいて、(a),(b)は受信系を構成する部品の一つであるトランスインピーダンスアンプの構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例2におけるルータ装置において、(a),(b)はトランスインピーダンスアンプを構成するプリアンプと電源回路の回路構成の一例を示す回路図である。
【図6】本発明の実施例3におけるルータ装置において、(a),(b)はトランスインピーダンスアンプを構成するプリアンプと電源回路(電源電流変化検出・相殺回路の具体例)の回路構成の一例を示す回路図である。
【図7】図6におけるトランスインピーダンスアンプを適用した場合の電源電圧の変化による出力雑音の低減効果の一例を示す説明図である。
【図8】本発明の実施例4におけるルータ装置において、トランスインピーダンスアンプを構成するプリアンプと電源回路(電源電流変化検出・相殺回路の別の具体例)の回路構成の一例を示す回路図である。
【図9】本発明の実施例5におけるルータ装置において、トランスインピーダンスアンプを構成するプリアンプと電源回路(電源電流変化検出・相殺回路のさらに別の具体例)の回路構成の一例を示す回路図である。
【図10】従来のルータ装置において、トランスインピーダンスアンプと、このトランスインピーダンスアンプを構成するプリアンプの回路構成の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施例において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0024】
さらに、以下の実施例において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施例において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0025】
また、実施例の各機能ブロックを構成する回路素子は、特に制限されないが、公知のCMOS(相補型MOSトランジスタ)等の集積回路技術によって、単結晶シリコンのような半導体基板上に形成される。なお、実施例では、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)の一例としてMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)(MOSトランジスタと略す)を用いるが、ゲート絶縁膜として非酸化膜を除外するものではない。図面にはMOSトランジスタの基板電位の接続は特に明記していないが、MOSトランジスタが正常動作可能な範囲であれば、その接続方法は特に限定しない。
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0027】
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態によるトランスインピーダンスアンプ(トランスインピーダンスアンプTIA、一例として()内に対応する構成要素等を付記)は、単相電流信号を入力として単相電圧信号に変換するプリアンプ(プリアンプPRAMP)と、前記プリアンプの出力の単相電圧信号の中心電位を検出する閾値検出回路(閾値検出回路ATC)と、前記プリアンプの出力の単相電圧信号を差動化するとともに増幅するポストアンプ(ポストアンプPSAMP)と、前記プリアンプに電源を供給する電源回路(電源回路PSPY)とを有する。特に、前記電源回路は、前記プリアンプの入力電圧信号または出力電圧信号で前記プリアンプの電源端子に流れる変化電流とその変化電流と逆相の変化電流とを出力することを特徴とする。
【0028】
また、本実施の形態による半導体デバイスは、レーザダイオードを駆動するレーザダイオードドライバ(レーザダイオードドライバLDD)と、フォトダイオードからの電流信号を増幅ならびに電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプ(トランスインピーダンスアンプTIA)と、前記レーザダイオードドライバおよび前記トランスインピーダンスアンプに対する入出力信号の伝送速度と外部に対する入出力信号の伝送速度とを変換する伝送速度変換回路(伝送速度変換回路SDC)とを有する。そして、前記レーザダイオードドライバと前記トランスインピーダンスアンプと前記伝送速度変換回路とは同一の半導体チップ上に形成される。特に、前記トランスインピーダンスアンプは、前述のような構成を有することを特徴とする。
【0029】
また、本実施の形態による光通信モジュールは、光素子デバイスと、半導体デバイスとを有する。そして、前記光素子デバイスと前記半導体デバイスとは同一のパッケージ基板上に搭載される。さらに、前記光素子デバイスは、フォトダイオード(フォトダイオードPD)と、レーザダイオード(レーザダイオードLD)とを有し、そして、前記フォトダイオードと前記レーザダイオードとは同一の半導体チップ上に形成される。また、前記半導体デバイスは、前述のような構成を有し、そして、特に、前記トランスインピーダンスアンプは、前述のような構成を有することを特徴とする。
【0030】
以上説明した本発明の実施の形態の概要に基づいた各実施例を、以下において具体的に説明する。以下に説明する実施例は本発明を用いた一例であり、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、各実施例においては、電圧や信号の端子名と、この端子名に対応する電圧や信号の名称に同じ符号を付して説明する場合がある。
【実施例1】
【0031】
本発明の実施例1を、図1〜図4を用いて説明する。
【0032】
<ルータ装置>
図1は、本実施例1によるルータ装置において、このルータ装置内部の概略構成の一例を示す説明図である。
【0033】
本実施例1によるルータ装置は、例えば、幅および奥行きがそれぞれ数十cm、高さが1〜2m等といった筐体で構成されている。この筐体の表面には、多数の通信コネクタが設けられ、それぞれは、例えばイーサネット(登録商標)ケーブル端子や、あるいは光ファイバケーブル端子等である。
【0034】
ルータ装置の内部には、例えば、図1に示すように、複数のインタフェースカードIFC(IFC[1],IFC[2],…)や、スイッチカードSWC等が備わっている。各カードは、バックプレーンBKP等と呼ばれる部品に備わったカードコネクタにそれぞれ接続される。各カードコネクタには、バックプレーンBKPから各カードに電源を供給するためのコネクタや、光通信線路(代表的には光ファイバケーブル)OFを介して各カード間で通信を行うための光コネクタ(光ファイバコネクタ)CNi,CNsが含まれている。ここでは、各インタフェースカードIFCが光コネクタCNiと光通信線路OFと光コネクタCNsを介してスイッチカードSWCに接続され、これによって各インタフェースカードIFC間でスイッチカードSWCを介した通信が可能となる。
【0035】
各インタフェースカードIFCには、通信の上位階層で必要となる所定のプロトコル処理を行う論理デバイスLSI_LGiや、この論理デバイスLSI_LGiの入出力となる電気信号を光信号に変換し、光コネクタCNiを介して光通信線路OFとの間の入出力を行う光通信モジュールOMDiが実装されている。同様に、スイッチカードSWCにも、所定のプロトコル処理を行う論理デバイスLSI_LGsや、この論理デバイスLSI_LGsの入出力となる電気信号を光信号に変換し、光コネクタCNsを介して光通信線路OFとの間の入出力を行う光通信モジュールOMDsが実装されている。
【0036】
このようなルータ装置等の光通信装置において、各光通信線路OFの長さは、例えば数メートルに達する場合がある。この場合、光通信線路OFの代わりに銅線ケーブル等を用いると、伝送損失により、例えば数十Gbpsレベルの通信に対応できない恐れがある。そこで、以降において具体的に説明する本実施例の光通信モジュールを用いることが有益となる。
【0037】
<光通信モジュール>
図2は、前述した図1におけるルータ装置内部のカード間通信を行うための光通信モジュールOMDの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0038】
本実施例における光通信モジュールOMDは、光素子ブロックOBKと、アナログフロントエンドブロックAFEと、伝送速度変換回路SDCを備えている。
【0039】
光素子ブロックOBKは、送信用の光通信線路OFtxに出力を行うレーザダイオードLDと、受信用の光通信線路OFrxから入力された光信号を電気信号(電流信号)に変換するフォトダイオードPDを備えている。レーザダイオードLDおよびフォトダイオードPDは、例えば、それぞれ個別の半導体チップで構成され、実際には、通信チャネル数に応じてレーザダイオードLD、フォトダイオードPD共にそれぞれ複数個、あるいは、アレイ状に集積した半導体チップとして存在する。
【0040】
アナログフロントエンドブロックAFEは、レーザダイオードLDを駆動するレーザダイオードドライバLDDと、フォトダイオードPDからの電流信号を増幅ならびに電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプTIAを備えている。アナログフロントエンドブロックAFEは、ここでは、一つの半導体チップLSI_OPに形成している例を示しているが、レーザダイオードドライバLDDとトランスインピーダンスアンプTIAは、個別に形成して別チップとしてもよい。
【0041】
伝送速度変換回路SDCは、SerDes(Serializer/Deserializer)等と呼ばれ、アナログフロントエンドブロックAFE(レーザダイオードドライバLDDおよびトランスインピーダンスアンプTIA)に対する入出力信号の伝送速度と光通信モジュールOMDの外部(すなわち論理デバイスLSI_LG)に対する入出力信号の伝送速度とを変換する。
【0042】
以上のように構成される光通信モジュールOMDにおいて、送信動作は、伝送速度変換回路SDCからの電気信号を受けたレーザダイオードドライバLDDが電流信号でレーザダイオードLDを駆動することで、レーザダイオードLDから光信号が送信用の光通信線路OFtxに出力される。一方、受信動作では、受信用の光通信線路OFrxからの光信号をフォトダイオードPDで電流信号に変換し、さらにこの電流信号をトランスインピーダンスアンプTIAで電圧信号に変換して伝送速度変換回路SDCに伝える。
【0043】
例えば、図1の論理デバイスLSI_LGと光通信モジュールOMDの間では、10Gbps×10本(10チャネル)の電気信号が送受信され、伝送速度変換回路SDCは、この電気信号を25Gbps×4本(4チャネル)に変換してアナログフロントエンドブロックAFEとの間で送受信する。この場合、図1の各カード(インタフェースカードIFC、スイッチカードSWC)間の光通信線路OFを介した通信も、光素子25Gbps×4チャネルで行われる。
【0044】
図2の例では、アナログフロントエンドブロックAFEと伝送速度変換回路SDC間の電気I/O低減による省電力化を図るため、アナログフロントエンドブロックAFEと、伝送速度変換回路SDCを、CMOS等の同一半導体プロセスで形成し、それらを半導体チップLSI_OPに、一体集積した構成(後述する図3に図示)となっているが、アナログフロントエンドブロックAFEと、伝送速度変換回路SDCは、それぞれ別の半導体チップとして実装されてもよい。
【0045】
<光通信モジュールの構造>
図3は、前述した図2における光通信モジュールOMDの概略構造の一例を示す断面図(見やすくするために断面表記を省略)である。
【0046】
本実施例における光通信モジュールOMDの構造は、光素子ブロックOBKを一体集積した光素子デバイスと、アナログフロントエンドブロックAFEと伝送速度変換回路SDCを一体集積した半導体チップLSI_OPの半導体デバイスと、この光素子デバイスと半導体デバイスを搭載するパッケージ基板等から構成される。この光素子デバイスと半導体デバイスは、バンプを介してパッケージ基板に搭載される。光素子デバイスに相対する位置には、光ファイバケーブル等の光通信線路OFが接続された光コネクタCNが配置されている。この光素子デバイスと半導体デバイスをパッケージ基板に搭載した光通信モジュールOMDは、さらにインタフェースカードIFCやスイッチカードSWC等の基板上に搭載された構造となる。
【0047】
光素子デバイスは、前述した図2に示した、フォトダイオードPDと、レーザダイオードLDとを有し、これらが同一の半導体チップ上に形成されている。半導体デバイスは、前述した図2に示した、レーザダイオードLDを駆動するレーザダイオードドライバLDDと、フォトダイオードPDからの電流信号を増幅ならびに電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプTIAと、レーザダイオードドライバLDDおよびトランスインピーダンスアンプTIAに対する入出力信号の伝送速度と外部に対する入出力信号の伝送速度とを変換する伝送速度変換回路SDCとを有し、これらが同一の半導体チップ上に形成されている。
【0048】
以上のような構造からなる本実施例の光通信モジュールOMDにおいては、CMOS等の同一半導体プロセスにより、アナログフロントエンドブロックAFEと伝送速度変換回路SDCを一体集積した半導体チップLSI_OPとして構成することが可能である。従来は、伝送速度変換回路SDCの部分はCMOSプロセスのデバイスで形成できたが、アナログフロントエンドブロックAFEの部分はSiGe、InP等の高速デバイスで形成していたため、この2つのデバイスを基板上に搭載して構成していた。この構成では、2つのデバイス間を接続する基板上の信号配線が、伝送速度変換回路SDCの部分のデバイスから外部への低速信号(例えば10Gbps以下)の信号配線に比べて、例えば25Gbps以上の高速信号となっていた。このため、電気I/O部の消費電力が大きくなり、この改善が望まれていた。この要望に対して、本実施例では、CMOSプロセスで図3のような半導体チップLSI_OPとして一体集積した半導体デバイスとすることができるので、高速信号の電気I/Oを削減し、低電力化を実現することができる。
【0049】
<トランスインピーダンスアンプ>
図4は、前述した図2における光通信モジュールOMDにおいて、受信系を構成する部品の一つであるトランスインピーダンスアンプTIAの構成の一例を示すブロック図である。図4(a)はプリアンプPRAMPの電流変化ΔIddをプリアンプPRAMPの出力電圧で検出するブロック構成を、図4(b)はプリアンプPRAMPの電流変化ΔIddをプリアンプPRAMPの入力電圧で検出するブロック構成を示す。
【0050】
まず、図4(a)に示すトランスインピーダンスアンプTIAの構成について説明する。図4(a)に示すトランスインピーダンスアンプTIAは、フォトダイオードPDからの単相電流信号を電圧信号に変換するプリアンプPRAMPと、プリアンプPRAMPの単相出力電圧信号から信号の中心レベル(閾値電圧)を検出する閾値検出回路ATCと、プリアンプPRAMPの単相出力電圧信号を差動化するとともに増幅するポストアンプPSAMPと、プリアンプPRAMPに電源VDDを供給する電源回路PSPYとで構成される。
【0051】
この電源回路PSPYは、プリアンプPRAMPの出力電圧信号を入力とし、このプリアンプPRAMPの出力電圧信号でプリアンプPRAMPの電源端子VDDに流れる変化電流ΔIddを検出し、この変化電流ΔIddと逆相の変化電流をプリアンプPRAMPに出力する。この構成をとることによって、受信動作時に生じるプリアンプPRAMPの電源電流の変化ΔIddを相殺し、この電源電流変化による出力雑音を低減することが可能となる。
【0052】
次に、図4(b)に示すトランスインピーダンスアンプTIAの構成について説明する。図4(b)に示すトランスインピーダンスアンプTIAは、図4(a)に示すトランスインピーダンスアンプTIAと同様に、プリアンプPRAMPと、閾値検出回路ATCと、ポストアンプPSAMPと、電源回路PSPYとで構成され、図4(a)と異なる点は、電源回路PSPYは、プリアンプPRAMPの入力電圧信号を入力としている点である。図4(b)に示すトランスインピーダンスアンプTIAの構成についても、プリアンプPRAMPの電流変化が受信電流に比例するため、入力電圧を使っても、この電源電流変化を検出することが可能である。したがって、この図4(b)に示すトランスインピーダンスアンプTIAの構成でも、電源電流変化量を検出する機能以外は図4(a)と同様な構成であるため、図4(a)と同様に電源電流変化による出力雑音を低減することが可能となる。
【0053】
<実施例1の効果>
以上のように、本実施例1によれば、プリアンプPRAMPと閾値検出回路ATCとポストアンプPSAMPと電源回路PSPYとで構成されるトランスインピーダンスアンプTIAにおいて、電源回路PSPYは、プリアンプPRAMPの出力電圧または入力電圧でプリアンプPRAMPの電源端子VDDに流れる変化電流ΔIddを検出し、この変化電流ΔIddと逆相の変化電流をプリアンプPRAMPに出力することで、受信動作時に生じるプリアンプPRAMPの電源電流の変化を相殺し、この電源電流変化による出力雑音を低減することができる。この結果、このトランスインピーダンスアンプTIAを含む光通信モジュールOMDおよびルータ装置を用いることで、高速、かつ高品質な受信動作を実現することが可能となる。
【0054】
さらに、トランスインピーダンスアンプTIAを含むアナログフロントエンドブロックAFEと伝送速度変換回路SDCを、CMOSプロセスにより一体集積した半導体チップLSI_OPとして構成することができるので、高速信号の電気I/Oを削減し、低電力化を実現することが可能となる。
【実施例2】
【0055】
本発明の実施例2を、図5を用いて説明する。本実施例2は、前記実施例1のトランスインピーダンスアンプTIAを構成するプリアンプPRAMPと電源回路PSPYの回路構成を具体的に示した例である。
【0056】
本実施例2において、電源回路PSPYは、プリアンプPRAMPに電源電圧を供給するレギュレータ(レギュレータREG)と、プリアンプPRAMPの入力電圧信号または出力電圧信号を入力としてプリアンプPRAMPの電源端子に流れる変化電流を検出し、この変化電流と逆相の変化電流を前記レギュレータの出力に加算する電流加算回路(電源電流変化検出・相殺回路COVVI)と、前記レギュレータの出力に設けたバイパス容量(バイパスコンデンサCb)とを有することを特徴とする。
【0057】
<トランスインピーダンスアンプ>
図5は、本実施例2におけるルータ装置において、トランスインピーダンスアンプTIAを構成するプリアンプPRAMPと電源回路PSPYの回路構成の一例を示す回路図である。図5は、前述した図4に示したトランスインピーダンスアンプTIAにおいて、電源回路PSPYを、電源VDDの電圧変動を抑えるバイパスコンデンサCbと、プリアンプPRAMPの電源電流変化を検出し、この変化電流と逆相の変化電流でプリアンプPRAMPの電源電流変化を相殺する電源電流変化検出・相殺回路COVVIと、プリアンプPRAMPの電源を供給するレギュレータREGとから構成した例である。このトランスインピーダンスアンプTIAの電源は、電源端子VPWから印加される。
【0058】
なお、プリアンプPRAMPは、前述した図10に示したプリアンプと同様に、MOSトランジスタM1,M2,M3と、定電流源IS1,IS2と、負荷抵抗RL1,RL2とから構成され、電源回路PSPYから電源VDDが印加される。
【0059】
図5に示すトランスインピーダンスアンプTIAにおいて、それぞれ、図5(a)はプリアンプPRAMPの電流変化ΔIddをプリアンプPRAMPの出力電圧で検出する回路構成を、図5(b)はプリアンプPRAMPの電流変化ΔIddをプリアンプPRAMPの入力電圧で検出する回路構成を示す。
【0060】
まず、図5(a)に示す回路構成について説明する。レギュレータREGは、図5(a)に示すようにオペアンプで構成可能で、このオペアンプの出力は、出力電位を負極側入力に帰還することで、正極側入力電位が出力される。したがって、正極側入力端子にプリアンプPRAMPの電源電圧Vddを印加すればよい。一方、プリアンプPRAMPの受信動作による電源電流変化は、前述したように受信電流信号に比例する。さらに、プリアンプPRAMPの出力電圧も受信電流に比例する。このため、電源電流変化検出・相殺回路COVVIは、プリアンプPRAMPの出力電圧Voに比例した受信電流と逆相の電流を流すことで、レギュレータREGの出力に流れる変化電流を相殺することが可能となる。この結果、プリアンプPRAMPの電源VDDの電圧変動を小さく抑えることが可能となる。加えて、レギュレータREGの出力に設けたバイパスコンデンサCbで電源電流変化を吸収し、さらに電源電圧変動を小さく抑えることが可能となる。
【0061】
次に、図5(b)に示す回路構成について説明する。図5(b)に示す回路構成は、図5(a)と同様に、レギュレータREGがオペアンプで構成され、レギュレータREGの出力にはバイパスコンデンサCbを設けて構成され、図5(a)と異なる点は、電源電流変化検出・相殺回路COVVIは、プリアンプPRAMPの入力電圧を入力としている点である。図5(b)に示す回路構成についても、プリアンプPRAMPの電流変化が受信電流に比例するため、入力電圧を使っても、この電源電流変化を検出することが可能である。したがって、この回路構成でも、電源電流変化量を検出する機能以外は図5(a)と同様な構成であるため、図5(a)と同様に、プリアンプPRAMPの電源VDDの電圧変動を小さく抑えることが可能となる。加えて、レギュレータREGの出力に設けたバイパスコンデンサCbで電源電流変化を吸収し、さらに電源電圧変動を小さく抑えることが可能となる。
【0062】
<実施例2の効果>
以上のように、本実施例2によれば、トランスインピーダンスアンプTIAを構成する電源回路PSPYを、レギュレータREGと電源電流変化検出・相殺回路COVVIとバイパスコンデンサCbとで構成することで、前記実施例1と同様の効果が得られると共に、特に、プリアンプPRAMPの電源VDDの電圧変動を小さく抑えることが可能となり、さらに、バイパスコンデンサCbで電源電流変化を吸収して電源電圧変動を小さく抑えることが可能となる。
【実施例3】
【0063】
本発明の実施例3を、図6および図7を用いて説明する。本実施例3は、前記実施例2の電源回路PSPYを構成する電源電流変化検出・相殺回路COVVIの回路構成を具体的に示した例である。
【0064】
本実施例3において、電流加算回路(電源電流変化検出・相殺回路COVVI)は、任意の電流値に調整可能な定電流源(定電流源ISC1)と、カレントスイッチ回路(MOSトランジスタMCS1,MCS2)とを有し、前記カレントスイッチ回路の一方の端子がレギュレータREGの出力に接続され、もう一方の端子が第1の電源端子に接続され、プリアンプPRAMPの入力電圧信号または出力電圧信号の状態によって、前記定電流源の電流がプリアンプPRAMPの電源端子に流れる変化電流と逆相となるように前記カレントスイッチ回路を介してレギュレータREGの出力電流に加算されることを特徴とする。
【0065】
具体的に、前記カレントスイッチ回路は、互いのソース端子が接続されると共に前記定電流源に接続された第1の電界効果トランジスタ(MOSトランジスタMCS1)と第2の電界効果トランジスタ(MOSトランジスタMCS2)とを有し、前記第1の電界効果トランジスタのドレインがレギュレータREGの出力に接続され、前記第2の電界効果トランジスタのドレインが前記第1の電源端子に接続され、前記第1の電界効果トランジスタのゲートがプリアンプPRAMPの入力電位変化と同相の出力に接続されていることを特徴とする。
【0066】
さらに、前記第2の電界効果トランジスタのゲートがローパスフィルタ(抵抗RlpとコンデンサClp)を介して、プリアンプPRAMPの出力に接続されていることを特徴とする。
【0067】
<トランスインピーダンスアンプ>
図6は、本実施例3におけるルータ装置において、(a),(b)はトランスインピーダンスアンプTIAを構成するプリアンプPRAMPと電源回路PSPY(電源電流変化検出・相殺回路COVVIの具体例)の回路構成の一例を示す回路図である。図6は、図5で示したトランスインピーダンスアンプTIAにおいて、電源電流変化検出・相殺回路COVVIを差動回路で構成した一例を示す。
【0068】
それぞれ、図6(a)はプリアンプPRAMPの電流変化ΔIddをプリアンプPRAMPの出力電圧で検出する回路構成を、図6(b)はプリアンプPRAMPの電流変化ΔIddをプリアンプPRAMPの入力電圧で検出する回路構成を示す。
【0069】
まず、図6(a)に示す回路構成について説明する。電源電流変化検出・相殺回路COVVIは、カレントスイッチ回路を構成するMOSトランジスタMCS1,MCS2と、定電流源ISC1と、ローパスフィルタを構成する抵抗RlpおよびコンデンサClpで構成される。この電源電流変化検出・相殺回路COVVIにおいて、MOSトランジスタMCS1のドレインはレギュレータREGの出力に、MOSトランジスタMCS2のドレインは電源端子VPWにそれぞれ接続され、MOSトランジスタMCS1,MCS2のソースは共通に定電流源ISC1に接続され、接地されている。MOSトランジスタMCS1のゲートはプリアンプPRAMPの出力に接続され、MOSトランジスタMCS2のゲートはコンデンサClpを通じて接地されている。MOSトランジスタMCS1のゲートとMOSトランジスタMCS2のゲートとの間には、抵抗Rlpが接続されている。
【0070】
このような回路構成において、ローパスフィルタは、プリアンプPRAMPの出力電圧の中心電圧を検出する。このため、電源電流変化検出・相殺回路COVVIでは、プリアンプPRAMPの出力電圧が、ローパスフィルタで検出した中心電圧よりも高い時、つまりハイレベルを出力した時、定電流源ISC1の電流がMOSトランジスタMCS1を介してレギュレータREGの出力から流れ出ることになる。したがって、プリアンプPRAMPの入力に受信電流が流れ込むと、プリアンプPRAMPでは、電源電流が受信電流Iin分減少すると同時に、その出力電圧はハイレベルに上昇する。この結果、レギュレータREGの出力電流は、この時にプリアンプPRAMPの電源電流が減少すると同時に電源電流変化検出・相殺回路COVVIの出力電流が増加するため、受信電流Iinと定電流源ISC1の電流が同じになるように調整すれば、互いの電流変化量が相殺され、ほとんど変化しないことになる。
【0071】
次に、図6(b)に示す回路構成について説明する。図6(b)に示す回路構成は、図6(a)と同様に、電源電流変化検出・相殺回路COVVIは、MOSトランジスタMCS1,MCS2と、定電流源ISC1と、抵抗RlpおよびコンデンサClpで構成され、図6(a)と異なる点は、電源電流変化検出・相殺回路COVVIはプリアンプPRAMPの入力電圧を入力とするため、MOSトランジスタMCS1のゲートをプリアンプPRAMPの入力に接続している点である。図6(b)に示す回路構成についても、プリアンプPRAMPの電流変化が受信電流に比例するため、入力電圧を使っても、この電源電流変化を検出することが可能である。したがって、この回路でも、電源電流変化量を検出する機能以外は図6(a)と同様な構成であるため、図6(a)と同様に、受信電流Iinと定電流源ISC1の電流が同じになるように調整すれば、互いの電流変化量が相殺され、ほとんど変化しないことになる。
【0072】
<電源電圧の変化による出力雑音の低減効果>
図7は、前述した図6(a)に示したトランスインピーダンスアンプTIAを適用した場合の電源電圧の変化による出力雑音の低減効果の一例を示す説明図である。図7は、65nmCMOSデバイスを用いて図6(a)で示した例の回路を設計し、レギュレータREGの出力電流変化量の周波数依存性を求めた一例である。縦軸は、トランスインピーダンスアンプTIAにおいて、レギュレータREGの出力電流の変化(電源雑音電流[μApp])を、横軸には受信信号の周波数[Hz]を示している。図7において、破線は電源電流変化検出・相殺回路COVVIを動作させない場合(ノイズキャンセル無、bst:ベスト、typ:タイプ、wst:ワースト)を、実線は電源電流変化検出・相殺回路COVVIを動作させた場合(ノイズキャンセル有)を示している。
【0073】
この図7から、受信電流の周波数成分が数100MHz(1.E+08)以下で、受信動作に発生するプリアンプPRAMPの出力に生じる受信電流起因の雑音低減効果が得られることがわかる。図7の例では、電源電流変化検出・相殺回路COVVIを動作させた場合は、動作させない場合に比べて92%低減の効果が得られた。数100MHz以上の周波数で、雑音が上昇する原因は、電源電流変化検出・相殺回路COVVIの動作帯域が数100MHzであることに起因する。したがって、この電源電流変化検出・相殺回路COVVIの動作帯域を上げることで解決される。さらに、前述したように、この周波数帯の雑音に関しては、本実施例で示す電源回路PSPYのレギュレータREGの出力に設けたバイパスコンデンサCbによって、その電流変化による電圧変動を吸収することが可能である。
【0074】
この図7に示す電源電圧の変化による出力雑音の低減効果は、図6(a)に示したトランスインピーダンスアンプTIAに代えて、前述した図6(b)に示したトランスインピーダンスアンプTIAを適用した場合にも同様に得ることが可能である。
【0075】
<実施例3の効果>
以上のように、本実施例3によれば、トランスインピーダンスアンプTIAを構成する電源回路PSPYにおいて、この電源回路PSPY内の電源電流変化検出・相殺回路COVVIを、MOSトランジスタMCS1,MCS2と定電流源ISC1と抵抗RlpおよびコンデンサClpとで構成することで、前記実施例1と同様の効果が得られると共に、特に、電源電流変化検出・相殺回路COVVIの動作帯域を上げることで受信電流起因の雑音低減効果を得ることが可能となり、さらに、バイパスコンデンサCbによって電流変化による電圧変動を吸収することが可能となる。
【実施例4】
【0076】
本発明の実施例4を、図8を用いて説明する。本実施例4は、前記実施例2の電源回路PSPYを構成する電源電流変化検出・相殺回路COVVIの回路構成を具体的に示した例であり、前記実施例3の図6とは別の例である。
【0077】
本実施例4において、電流加算回路(電源電流変化検出・相殺回路COVVI)を構成するカレントスイッチ回路は、第1の電界効果トランジスタ(MOSトランジスタMCS1)と第2の電界効果トランジスタ(MOSトランジスタMCS2)とを有し、前記第2の電界効果トランジスタのゲートが閾値検出回路ATCの出力に接続されていることを特徴とする。
【0078】
<トランスインピーダンスアンプ>
図8は、本実施例4におけるルータ装置において、トランスインピーダンスアンプTIAを構成するプリアンプPRAMPと電源回路PSPY(電源電流変化検出・相殺回路COVVIの別の具体例)の回路構成の一例を示す回路図である。図8は、図6で示した電源電流変化検出・相殺回路COVVIとは別の構成例を示す。
【0079】
図8に示すトランスインピーダンスアンプTIAでは、電源電流変化検出・相殺回路COVVIを構成する差動回路の入力をポストアンプPSAMPの差動入力端子に接続(MOSトランジスタMCS1のゲートをポストアンプPSAMPの正極側入力端子に接続し、MOSトランジスタMCS2のゲートをポストアンプPSAMPの負極側入力端子に接続、別の観点では、MOSトランジスタMCS1のゲートを閾値検出回路ATCの入力に接続し、MOSトランジスタMCS2のゲートを閾値検出回路ATCの出力に接続)し、図6の回路で電源電流変化検出・相殺回路COVVI内に設けたローパスフィルタの機能を閾値検出回路ATCで兼用する構成にしている。この回路でも、電源電流変化検出・相殺回路COVVIが前述の図6で示した回路と同じ機能を持つため、同じ動作と効果が得られる。
【0080】
なお、図8においては、プリアンプPRAMPの電流変化ΔIddをプリアンプPRAMPの出力電圧で検出する回路構成を示したが、プリアンプPRAMPの電流変化ΔIddをプリアンプPRAMPの入力電圧で検出する回路構成においても同様である。
【0081】
<実施例4の効果>
以上のように、本実施例4によれば、トランスインピーダンスアンプTIAを構成する電源回路PSPY内の電源電流変化検出・相殺回路COVVIにおいて、カレントスイッチ回路のMOSトランジスタMCS2のゲートを閾値検出回路ATCの出力に接続することで、前記実施例1と同様の効果が得られると共に、特に、ローパスフィルタの機能を閾値検出回路ATCで兼用することが可能となる。
【実施例5】
【0082】
本発明の実施例5を、図9を用いて説明する。本実施例5は、前記実施例2の電源回路PSPYを構成する電源電流変化検出・相殺回路COVVIの回路構成を具体的に示した例であり、前記実施例3の図6および前記実施例4の図8とは別の例である。
【0083】
本実施例5において、電流加算回路(電源電流変化検出・相殺回路COVVI)は、電界効果トランジスタ(MOSトランジスタMPS1)と、任意の抵抗値に設定可能な抵抗(抵抗REPS1)とを有し、前記電界効果トランジスタのソースが前記抵抗で接地され、ドレインがレギュレータREGの出力に接続されたソース接地型増幅回路で構成されていることを特徴とする。
【0084】
<トランスインピーダンスアンプ>
図9は、本実施例5におけるルータ装置において、トランスインピーダンスアンプTIAを構成するプリアンプPRAMPと電源回路PSPY(電源電流変化検出・相殺回路COVVIのさらに別の具体例)の回路構成の一例を示す回路図である。図9は、図6で示した電源電流変化検出・相殺回路COVVIおよび図8で示した電源電流変化検出・相殺回路COVVIとはさらに別の構成例を示す。
【0085】
図9に示すトランスインピーダンスアンプTIAでは、電源回路PSPYにおいて、電源電流変化検出・相殺回路COVVIが、プリアンプPRAMPの入力電圧でプリアンプPRAPの電源端子に流れる変化電流を検出し、その変化電流の逆相電流を出力することで電源電流変化を相殺するソース接地型増幅回路で構成している。このソース接地型増幅回路は、MOSトランジスタMPS1と、任意の抵抗値に設定可能な抵抗REPS1とで構成され、MOSトランジスタMPS1のソースが抵抗REPS1で接地され、ドレインがレギュレータREGの出力に接続され、ゲートがプリアンプPRAMPの入力に接続されている。この回路では、電源電流変化を相殺する電流を抵抗REPS1で調整することで、レギュレータREGの出力電流変化量を低減し、受信動作によるプリアンプPRAMPの出力雑音を低減することが可能となる。
【0086】
なお、図9においては、プリアンプPRAMPの電流変化ΔIddをプリアンプPRAMPの入力電圧で検出する回路構成を示したが、プリアンプPRAMPの電流変化ΔIddをプリアンプPRAMPの出力電圧で検出する回路構成においても同様である。
【0087】
<実施例5の効果>
以上のように、本実施例5によれば、トランスインピーダンスアンプTIAを構成する電源回路PSPYにおいて、この電源回路PSPY内の電源電流変化検出・相殺回路COVVIを、MOSトランジスタMPS1と抵抗REPS1とで構成することで、前記実施例1と同様の効果が得られると共に、特に、電源電流変化を相殺する電流を抵抗REPS1で調整することで、レギュレータREGの出力電流変化量を低減し、受信動作によるプリアンプPRAMPの出力雑音を低減することが可能となる。
【0088】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0089】
なお、本発明のトランスインピーダンスアンプは、このトランスインピーダンスアンプを含んだ光通信モジュール、およびこの光通信モジュールを含んだ光通信装置に関し、特に、装置内で光ファイバケーブルを介した通信を行う光通信モジュールおよびルータ装置に適用して有益なものであり、これに限らず、サーバ装置等の光通信装置、およびその部品の一つでありレーザダイオードとフォトダイオードを用いて光通信を行う光通信モジュール製品全般に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
IFC(IFC[1],IFC[2],…) インタフェースカード
SWC スイッチカード
BKP バックプレーン
LSI(LSI_LGi,LSI_LGs) 論理デバイス
OMD(OMDi,OMDs) 光通信モジュール
CN(CNi,CNs) 光コネクタ
OF(OFrx,OFtx) 光通信線路
OBK 光素子ブロック
LD レーザダイオード
PD フォトダイオード
AFE アナログフロントエンドブロック
LDD レーザダイオードドライバ
TIA トランスインピーダンスアンプ
SDC 伝送速度変換回路
LSI_OP 半導体チップ
PRAMP プリアンプ
ATC 閾値検出回路
PSAMP ポストアンプ
PSPY 電源回路
VPW 電源端子(トランスインピーダンスアンプ)
VDD 電源端子(プリアンプ)
COVVI 電源電流変化検出・相殺回路
REG レギュレータ
Cb バイパスコンデンサ
MCS1,MCS2 MOSトランジスタ
ISC1 定電流源
Rlp 抵抗(ローパスフィルタ)
Clp コンデンサ(ローパスフィルタ)
MPS1 MOSトランジスタ
REPS1 抵抗
M1,M2,M3 MOSトランジスタ
IS1,IS2 定電流源
RL1,RL2 負荷抵抗
Cbp バイパスコンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単相電流信号を入力として単相電圧信号に変換するプリアンプと、
前記プリアンプの出力の単相電圧信号の中心電位を検出する閾値検出回路と、
前記プリアンプの出力の単相電圧信号を差動化するとともに増幅するポストアンプと、
前記プリアンプに電源を供給する電源回路とを有し、
前記電源回路は、前記プリアンプの入力電圧信号または出力電圧信号で前記プリアンプの電源端子に流れる変化電流とその変化電流と逆相の変化電流とを出力する、ことを特徴とするトランスインピーダンスアンプ。
【請求項2】
請求項1記載のトランスインピーダンスアンプにおいて、
前記電源回路は、前記プリアンプに電源電圧を供給するレギュレータと、前記プリアンプの入力電圧信号または出力電圧信号を入力として前記プリアンプの電源端子に流れる変化電流を検出し、この変化電流と逆相の変化電流を前記レギュレータの出力に加算する電流加算回路と、前記レギュレータの出力に設けたバイパス容量とを有することを特徴とするトランスインピーダンスアンプ。
【請求項3】
請求項2記載のトランスインピーダンスアンプにおいて、
前記電流加算回路は、任意の電流値に調整可能な定電流源と、カレントスイッチ回路とを有し、前記カレントスイッチ回路の一方の端子が前記レギュレータの出力に接続され、もう一方の端子が第1の電源端子に接続され、前記プリアンプの入力電圧信号または出力電圧信号の状態よって、前記定電流源の電流が前記プリアンプの電源端子に流れる変化電流と逆相となるように前記カレントスイッチ回路を介して前記レギュレータの出力電流に加算されることを特徴とするトランスインピーダンスアンプ。
【請求項4】
請求項3記載のトランスインピーダンスアンプにおいて、
前記カレントスイッチ回路は、互いのソース端子が接続されると共に前記定電流源に接続された第1の電界効果トランジスタと第2の電界効果トランジスタとを有し、前記第1の電界効果トランジスタのドレインが前記レギュレータの出力に接続され、前記第2の電界効果トランジスタのドレインが前記第1の電源端子に接続され、前記第1の電界効果トランジスタのゲートが前記プリアンプの入力電位変化と同相の出力に接続されていることを特徴とするトランスインピーダンスアンプ。
【請求項5】
請求項4記載のトランスインピーダンスアンプにおいて、
前記第2の電界効果トランジスタのゲートがローパスフィルタを介して、前記プリアンプの出力に接続されていることを特徴とするトランスインピーダンスアンプ。
【請求項6】
請求項4記載のトランスインピーダンスアンプにおいて、
前記第2の電界効果トランジスタのゲートが前記閾値検出回路の出力に接続されていることを特徴とするトランスインピーダンスアンプ。
【請求項7】
請求項2記載のトランスインピーダンスアンプにおいて、
前記電流加算回路は、電界効果トランジスタと、任意の抵抗値に設定可能な抵抗とを有し、前記電界効果トランジスタのソースが前記抵抗で接地され、ドレインが前記レギュレータの出力に接続されたソース接地型増幅回路で構成されていることを特徴とするトランスインピーダンスアンプ。
【請求項8】
レーザダイオードを駆動するレーザダイオードドライバと、
フォトダイオードからの電流信号を増幅ならびに電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、
前記レーザダイオードドライバおよび前記トランスインピーダンスアンプに対する入出力信号の伝送速度と外部に対する入出力信号の伝送速度とを変換する伝送速度変換回路とを有する半導体デバイスであって、
前記レーザダイオードドライバと前記トランスインピーダンスアンプと前記伝送速度変換回路とは同一の半導体チップ上に形成され、
前記トランスインピーダンスアンプは、
前記フォトダイオードからの単相電流信号を入力として単相電圧信号に変換するプリアンプと、
前記プリアンプの出力の単相電圧信号の中心電位を検出する閾値検出回路と、
前記プリアンプの出力の単相電圧信号を差動化するとともに増幅して前記伝送速度変換回路に出力するポストアンプと、
前記プリアンプに電源を供給する電源回路とを有し、
前記電源回路は、前記プリアンプの入力電圧信号または出力電圧信号で前記プリアンプの電源端子に流れる変化電流とその変化電流と逆相の変化電流とを出力する、ことを特徴とする半導体デバイス。
【請求項9】
請求項8記載の半導体デバイスにおいて、
前記電源回路は、前記プリアンプに電源電圧を供給するレギュレータと、前記プリアンプの入力電圧信号または出力電圧信号を入力として前記プリアンプの電源端子に流れる変化電流を検出し、この変化電流と逆相の変化電流を前記レギュレータの出力に加算する電流加算回路と、前記レギュレータの出力に設けたバイパス容量とを有することを特徴とする半導体デバイス。
【請求項10】
請求項9記載の半導体デバイスにおいて、
前記電流加算回路は、任意の電流値に調整可能な定電流源と、カレントスイッチ回路とを有し、前記カレントスイッチ回路の一方の端子が前記レギュレータの出力に接続され、もう一方の端子が第1の電源端子に接続され、前記プリアンプの入力電圧信号または出力電圧信号の状態よって、前記定電流源の電流が前記プリアンプの電源端子に流れる変化電流と逆相となるように前記カレントスイッチ回路を介して前記レギュレータの出力電流に加算されることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項11】
請求項10記載の半導体デバイスにおいて、
前記カレントスイッチ回路は、互いのソース端子が接続されると共に前記定電流源に接続された第1の電界効果トランジスタと第2の電界効果トランジスタとを有し、前記第1の電界効果トランジスタのドレインが前記レギュレータの出力に接続され、前記第2の電界効果トランジスタのドレインが前記第1の電源端子に接続され、前記第1の電界効果トランジスタのゲートが前記プリアンプの入力電位変化と同相の出力に接続されていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項12】
請求項11記載の半導体デバイスにおいて、
前記第2の電界効果トランジスタのゲートがローパスフィルタを介して、前記プリアンプの出力に接続されているか、または、前記第2の電界効果トランジスタのゲートが前記閾値検出回路の出力に接続されていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項13】
請求項9記載の半導体デバイスにおいて、
前記電流加算回路は、電界効果トランジスタと、任意の抵抗値に設定可能な抵抗とを有し、前記電界効果トランジスタのソースが前記抵抗で接地され、ドレインが前記レギュレータの出力に接続されたソース接地型増幅回路で構成されていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項14】
光素子デバイスと、
半導体デバイスとを有する光通信モジュールであって、
前記光素子デバイスと前記半導体デバイスとは同一のパッケージ基板上に搭載され、
前記光素子デバイスは、フォトダイオードと、レーザダイオードとを有し、前記フォトダイオードと前記レーザダイオードとは同一の半導体チップ上に形成され、
前記半導体デバイスは、前記レーザダイオードを駆動するレーザダイオードドライバと、前記フォトダイオードからの電流信号を増幅ならびに電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、前記レーザダイオードドライバおよび前記トランスインピーダンスアンプに対する入出力信号の伝送速度と外部に対する入出力信号の伝送速度とを変換する伝送速度変換回路とを有し、前記レーザダイオードドライバと前記トランスインピーダンスアンプと前記伝送速度変換回路とは同一の半導体チップ上に形成され、
前記トランスインピーダンスアンプは、
前記フォトダイオードからの単相電流信号を入力として単相電圧信号に変換するプリアンプと、
前記プリアンプの出力の単相電圧信号の中心電位を検出する閾値検出回路と、
前記プリアンプの出力の単相電圧信号を差動化するとともに増幅して前記伝送速度変換回路に出力するポストアンプと、
前記プリアンプに電源を供給する電源回路とを有し、
前記電源回路は、前記プリアンプの入力電圧信号または出力電圧信号で前記プリアンプの電源端子に流れる変化電流とその変化電流と逆相の変化電流とを出力する、ことを特徴とする光通信モジュール。
【請求項15】
請求項14記載の光通信モジュールにおいて、
前記電源回路は、前記プリアンプに電源電圧を供給するレギュレータと、前記プリアンプの入力電圧信号または出力電圧信号を入力として前記プリアンプの電源端子に流れる変化電流を検出し、この変化電流と逆相の変化電流を前記レギュレータの出力に加算する電流加算回路と、前記レギュレータの出力に設けたバイパス容量とを有することを特徴とする光通信モジュール。
【請求項16】
請求項15記載の光通信モジュールにおいて、
前記電流加算回路は、任意の電流値に調整可能な定電流源と、カレントスイッチ回路とを有し、前記カレントスイッチ回路の一方の端子が前記レギュレータの出力に接続され、もう一方の端子が第1の電源端子に接続され、前記プリアンプの入力電圧信号または出力電圧信号の状態よって、前記定電流源の電流が前記プリアンプの電源端子に流れる変化電流と逆相となるように前記カレントスイッチ回路を介して前記レギュレータの出力電流に加算されることを特徴とする光通信モジュール。
【請求項17】
請求項16記載の光通信モジュールにおいて、
前記カレントスイッチ回路は、互いのソース端子が接続されると共に前記定電流源に接続された第1の電界効果トランジスタと第2の電界効果トランジスタとを有し、前記第1の電界効果トランジスタのドレインが前記レギュレータの出力に接続され、前記第2の電界効果トランジスタのドレインが前記第1の電源端子に接続され、前記第1の電界効果トランジスタのゲートが前記プリアンプの入力電位変化と同相の出力に接続されていることを特徴とする光通信モジュール。
【請求項18】
請求項17記載の光通信モジュールにおいて、
前記第2の電界効果トランジスタのゲートがローパスフィルタを介して、前記プリアンプの出力に接続されているか、または、前記第2の電界効果トランジスタのゲートが前記閾値検出回路の出力に接続されていることを特徴とする光通信モジュール。
【請求項19】
請求項15記載の光通信モジュールにおいて、
前記電流加算回路は、電界効果トランジスタと、任意の抵抗値に設定可能な抵抗とを有し、前記電界効果トランジスタのソースが前記抵抗で接地され、ドレインが前記レギュレータの出力に接続されたソース接地型増幅回路で構成されていることを特徴とする光通信モジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−21543(P2013−21543A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153933(P2011−153933)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、次世代高効率ネットワークデバイス技術開発 委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】