説明

トリミング装置、トリミング方法、及び加飾部品の製造方法

【課題】余剰領域の切除に掛かる時間を短縮することができるとともに、余剰領域の切除を容易に行うことができるトリミング装置を提供すること。
【解決手段】トリミング装置20は、支持手段21、光学制御式レーザー照射装置22a〜22c及び移動制御手段40を備える。支持手段21は、ワーク2における被加飾領域4とは異なる領域を支持する。光学制御式レーザー照射装置22a〜22cは、被加飾領域4の外形線に沿ってレーザーL1〜L3を照射することにより、余剰領域11a,11bを切除する。移動制御手段40は、レーザーL1〜L3の照射距離を一定範囲に保持するために、光学制御式レーザー照射装置22a〜22cをワーク2に対して接近または離間させる制御を行うとともに、支持手段21に支持されたワーク2の位置を変位させる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに付着されたフィルムにおいて被加飾領域からはみ出した余剰領域を切除するトリミング装置、トリミング方法、及び加飾部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の内装部品などでは、デザイン性や品質を高めるために樹脂成形体(ワーク)の外表面に装飾を加えるようにした加飾部品(例えば、コンソールボックス、インストルメントパネル、アームレストなど)が多く実用化されている。このような加飾部品に装飾を加える方法としては、例えば、樹脂成形体となる樹脂材料と装飾用のフィルムとを成形型内に配置した状態で射出成形(インモールド成形)を行うことにより、外表面にフィルムが付着した樹脂成形体を形成する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上記した特許文献1に記載の方法では、樹脂成形体からのフィルムのはみ出し部分が余剰領域(バリ)となってしまうため、フィルムの付着後にバリを切除する切除工程(トリミング)を行う必要がある。そこで、特許文献1に記載の従来技術では、多関節ロボットのハンドに保持された超音波カッターを用いて、フィルムのバリをトリミングする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−207391号公報(図2など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、樹脂成形体の表面側及び裏面側の両方からトリミングする場合、樹脂成形体を片側ずつトリミングしなければならない。また、表面側からトリミングを行った後で裏面側からトリミングを行う場合、樹脂成形体の表面側からのトリミングが終了した後で、樹脂成形体を裏返す作業が必要になる。その結果、トリミングが終了するまでに掛かる時間が長くなるため、加飾部品の製造効率が低下してしまう。しかも、特許文献1に記載の超音波カッターを用いてトリミングを行う場合、1つの超音波カッターを樹脂成形体の両側に移動させる作業が必要になるため、トリミングが困難である。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、余剰領域の切除に掛かる時間を短縮することができるとともに、余剰領域の切除を容易に行うことができるトリミング装置及びトリミング方法を提供することにある。また、別の目的は、余剰領域の切除に掛かる時間を短縮するとともに、余剰領域の切除を容易にすることにより、加飾部品の製造効率を向上させることができる加飾部品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ワークの外表面上に設定された被加飾領域にフィルムを付着した際に、前記フィルムにおいて前記被加飾領域からはみ出した余剰領域を切除するトリミング装置であって、前記ワークにおける前記被加飾領域とは異なる領域を支持するとともに、支持された前記ワークの位置を変位させる支持手段と、前記支持手段によって支持された前記ワークの周囲において前記ワークに対して接近または離間可能に設置され、前記被加飾領域の外形線に沿ってレーザーを照射することにより、前記余剰領域を切除する複数の光学制御式レーザー照射装置と、前記レーザーの照射距離を一定範囲に保持するために、前記複数の光学制御式レーザー照射装置を前記ワークに対して接近または離間させる制御を行うとともに、前記支持手段に支持された前記ワークの位置を変位させる制御を行う移動制御手段とを備えることを特徴とするトリミング装置をその要旨とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、フィルムの余剰領域を切除する光学制御式レーザー照射装置が複数設けられているため、例えばワークの表面側及び裏面側の両方から余剰領域を切除する場合であっても、それぞれの余剰領域を複数の光学制御式レーザー照射装置を用いて同時に切除することができる。また、表面側から余剰領域の切除を行った後で裏面側から余剰領域の切除を行う場合、余剰領域の切除が終了した後でワークを裏返す作業が不要になる。しかも移動制御手段は、複数の光学制御式レーザー照射装置をワークに対して接近または離間させるのに加えて、支持手段に支持されたワークの位置を変位させる制御も行うため、光学制御式レーザー照射装置だけを移動させる場合よりも、レーザーの照射距離を素早く調節できる。以上のことから、余剰領域の切除が終了するまでに掛かる時間を短縮することができる。しかも請求項1に記載の発明では、余剰領域を切除する切除作業を複数の光学制御式レーザー照射装置に分担させている。即ち、切除作業において1つの光学制御式レーザー照射装置を複雑に移動させなくても済むため、余剰領域の切除を容易に行うことができる。
【0009】
また、レーザー照射装置は、ミラーなどを備える「光学制御式」であり、ミラーの位置を変更することによってレーザーの照射位置や焦点位置を調整するようになっている。しかし、レーザーの照射距離を一定範囲に保持することが困難であるため、レーザーがフィルムに届かないおそれがある。そこで、請求項1に記載の発明では、複数の光学制御式レーザー照射装置をワークに対して接近または離間させるようになっている。よって、レーザー照射装置が光学制御式であったとしても、レーザーの照射距離を一定範囲に保持することができ、レーザーがフィルムに確実に到達するようになるため、余剰領域の切除を確実に行うことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記支持手段は、前記ワークにおける前記被加飾領域とは異なる領域を支持する支持治具と、鉛直方向に延びる回転軸を中心として前記支持治具を回転させる回転手段と、前記支持治具を平面方向に移動させる移動手段とを備えることをその要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ワークを支持した支持治具を回転手段で回転させるとともに、支持治具を移動手段で平面方向に移動させることにより、ワークの被加飾領域と光学制御式レーザー照射装置との間に支持治具が存在しないように調節することができる。よって、光学制御式レーザー照射装置が被加飾領域の外形線に沿ってレーザーを照射する際に、レーザーが支持治具に遮られにくくなるため、被加飾領域全体がレーザーの照射範囲内に入りやすくなる。ゆえに、複数の光学制御式レーザー照射装置による被加飾領域全体へのレーザーの照射を確実に行うことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記ワークは、前記被加飾領域が設定された凸状湾曲面であるワーク表面と、前記ワーク表面の反対側に位置する凹状湾曲面であるワーク裏面とを有するとともに、前記ワーク表面及び前記ワーク裏面を貫通する部品取付孔が形成され、前記複数の光学制御式レーザー照射装置は、前記ワーク裏面を臨むように配置された裏面側レーザー照射装置と、前記ワーク表面を臨むように配置された表面側レーザー照射装置とを備え、前記裏面側レーザー照射装置は、前記ワーク裏面側からレーザーを照射することにより、前記フィルムにおいて前記ワークの外側からはみ出した前記余剰領域を切除し、前記表面側レーザー照射装置は、前記ワーク表面側からレーザーを照射することにより、前記フィルムにおいて前記部品取付孔の内面からはみ出した前記余剰領域を切除することをその要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、ワーク表面が凸状湾曲面であり、ワーク裏面が凹状湾曲面であるため、ワークは全体として湾曲形状をなしている。このため、フィルムにおいてワークの外側からはみ出した余剰領域は、ワークの外縁からワーク裏面側に延びる可能性が高い。よって、ワーク裏面を臨むように配置された裏面側レーザー照射装置からレーザーを照射すれば、ワークの外側からはみ出した余剰領域を確実に切除することができる。また、フィルムにおいて部品取付孔の内面からはみ出した余剰領域は、ワーク表面上に位置している。よって、ワーク表面を臨むように配置された表面側レーザー照射装置からレーザーを照射すれば、部品取付孔の内面からはみ出した余剰領域を確実に切除することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、ワークの外表面上に設定された被加飾領域にフィルムを付着した際に、前記フィルムにおいて前記被加飾領域からはみ出した余剰領域を切除するトリミング方法であって、前記ワークにおける前記被加飾領域とは異なる領域を支持する支持工程と、前記支持工程後、複数の光学制御式レーザー照射装置から前記被加飾領域の外形線に沿ってレーザーを照射することにより、前記余剰領域を切除する切除工程とが行われ、前記切除工程では、前記複数の光学制御式レーザー照射装置を前記ワークに対して接近または離間させるとともに、前記ワークの位置を変位させることにより、前記レーザーの照射距離を一定範囲に保持し、前記照射距離が一定範囲に保持された状態で、前記複数の光学制御式レーザー照射装置からレーザーを照射することを特徴とするトリミング方法をその要旨とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、切除工程において、複数の光学制御式レーザー照射装置がフィルムの余剰領域を切除するため、例えばワークの表面側及び裏面側の両方から余剰領域を切除する場合であっても、それぞれの余剰領域を複数の光学制御式レーザー照射装置を用いて同時に切除することができる。また切除工程において、表面側から余剰領域の切除を行った後で裏面側から余剰領域の切除を行う場合、余剰領域の切除が終了した後でワークを裏返す作業が不要になる。しかも切除工程では、複数の光学制御式レーザー照射装置をワークに対して接近または離間させるのに加えて、支持手段に支持されたワークの位置を変位させる制御も行うため、光学制御式レーザー照射装置だけを移動させる場合よりも、レーザーの照射距離を素早く調節できる。以上のことから、余剰領域の切除が終了するまでに掛かる時間を短縮することができる。しかも請求項4に記載の発明では、切除工程における余剰領域の切除作業を複数の光学制御式レーザー照射装置に分担させている。即ち、切除作業において1つの光学制御式レーザー照射装置を複雑に移動させなくても済むため、余剰領域の切除を容易に行うことができる。
【0016】
また、レーザー照射装置は、ミラーなどを備える「光学制御式」であり、ミラーの位置を変更することによってレーザーの照射位置や焦点位置を調整するようになっている。しかし、レーザーの照射距離を一定範囲に保持することが困難であるため、レーザーがフィルムに届かないおそれがある。そこで、請求項4に記載の発明では、切除工程において、複数の光学制御式レーザー照射装置をワークに対して接近または離間させるようになっている。よって、レーザー照射装置が光学制御式であったとしても、レーザーの照射距離を一定範囲に保持することができ、レーザーがフィルムに確実に到達するようになるため、余剰領域の切除を確実に行うことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、ワークの外表面上に設定された被加飾領域にフィルムを付着した際に、前記フィルムにおいて前記被加飾領域からはみ出した余剰領域を切除することにより、加飾部品を製造する方法であって、前記ワークにおける前記被加飾領域とは異なる領域を支持する支持工程と、前記支持工程後、複数の光学制御式レーザー照射装置から前記被加飾領域の外形線に沿ってレーザーを照射することにより、前記余剰領域を切除する切除工程とが行われ、前記切除工程では、前記複数の光学制御式レーザー照射装置を前記ワークに対して接近または離間させるとともに、前記ワークの位置を変位させることにより、前記レーザーの照射距離を一定範囲に保持し、前記照射距離が一定範囲に保持された状態で、前記複数の光学制御式レーザー照射装置からレーザーを照射することを特徴とする加飾部品の製造方法をその要旨とする。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、切除工程において、複数の光学制御式レーザー照射装置がフィルムの余剰領域を切除するため、例えばワークの表面側及び裏面側の両方から余剰領域を切除する場合であっても、それぞれの余剰領域を複数の光学制御式レーザー照射装置を用いて同時に切除することができる。また切除工程において、表面側から余剰領域の切除を行った後で裏面側から余剰領域の切除を行う場合、余剰領域の切除が終了した後でワークを裏返す作業が不要になる。しかも切除工程では、複数の光学制御式レーザー照射装置をワークに対して接近または離間させるのに加えて、支持手段に支持されたワークの位置を変位させる制御も行うため、光学制御式レーザー照射装置だけを移動させる場合よりも、レーザーの照射距離を素早く調節できる。以上のことから、余剰領域の切除が終了するまでに掛かる時間を短縮することができる。しかも請求項5に記載の発明では、切除工程における余剰領域の切除作業を複数の光学制御式レーザー照射装置に分担させている。即ち、切除作業において1つの光学制御式レーザー照射装置を複雑に移動させなくても済むため、余剰領域の切除を容易に行うことができる。よって、加飾部品の製造効率を向上させることができる。
【0019】
また、レーザー照射装置は、ミラーなどを備える「光学制御式」であり、ミラーの位置を変更することによってレーザーの照射位置や焦点位置を調整するようになっている。しかし、レーザーの照射距離を一定範囲に保持することが困難であるため、レーザーがフィルムに届かないおそれがある。そこで、請求項5に記載の発明では、切除工程において、複数の光学制御式レーザー照射装置をワークに対して接近または離間させるようになっている。よって、レーザー照射装置が光学制御式であったとしても、レーザーの照射距離を一定範囲に保持することができ、レーザーがフィルムに確実に到達するようになるため、余剰領域の切除を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上詳述したように、請求項1〜5に記載の発明によると、余剰領域の切除に掛かる時間を短縮することができるとともに、余剰領域の切除を容易に行うことができる。特に、請求項2に記載の発明によると、複数の光学制御式レーザー照射装置による被加飾領域全体へのレーザーの照射を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態の自動車用加飾部品を示す斜視図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】トリミング装置を示す概略構成図。
【図4】自動車用加飾部品の製造方法を示す説明図。
【図5】自動車用加飾部品の製造方法を示す説明図。
【図6】自動車用加飾部品の製造方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
図1,図2に示されるように、自動車用加飾部品1は、立体形状の樹脂成形体2(ワーク)を備えている。本実施形態の自動車用加飾部品1は、自動車のドアに設けられたアームレストの上面を覆う装飾パネルである。また、樹脂成形体2は、凸状湾曲面であるワーク表面3a(外表面)と、ワーク表面3aの反対側に位置する凹状湾曲面であるワーク裏面3bとを有している。なお、ワーク表面3aの外周部分はワーク側面3cとなっている。さらに、樹脂成形体2には、パワーウィンドウスイッチ(図示略)を取り付けるためのスイッチ取付孔6(部品取付孔)と、ドアロックスイッチ(図示略)を取り付けるためのスイッチ取付孔7(部品取付孔)とが設けられている。これらスイッチ取付孔6,7は、ワーク表面3a及びワーク裏面3bを貫通している。
【0024】
そして、樹脂成形体2においてスイッチ取付孔6,7を除く表面(ワーク表面3a)上には被加飾領域4が設定され、被加飾領域4にはフィルム10が付着している。本実施形態のフィルム10は、アクリル樹脂などの透明樹脂に塗料を塗工することによって形成されたものであり、表面には木目模様の装飾が施されている。さらに、フィルム10の表面には、フィルム10を保護するためのクリアコート層(図示略)が形成されている。
【0025】
次に、トリミング装置20について説明する。
【0026】
図3に示されるトリミング装置20は、樹脂成形体2の被加飾領域4にフィルム10を付着した際に、フィルム10において被加飾領域4からはみ出した余剰領域11a,11b(バリ)を切除する装置である。余剰領域11aは、フィルム10において樹脂成形体2の外側からはみ出した領域であり、余剰領域11bは、フィルム10においてスイッチ取付孔6,7の内面からはみ出した領域である。
【0027】
また、トリミング装置20は支持装置21(支持手段)を備えている。支持装置21は、支持治具31、サーボモーター32(回転手段)及び電動アクチュエータ33(移動手段)を備えている。支持治具31は、ワーク表面3aを上方に向けるとともにワーク裏面3bを下方に向けた状態で、樹脂成形体2を水平に支持するようになっている。図5,図6に示されるように、支持治具31は、鉛直方向に延びる支持棒51と、支持装置21の設置面に対して平行に配置される支持板52とを備えている。支持棒51は、下端部がサーボモーター32の回転軸に接続されるとともに、上端部が支持板52の略中央部に接続されている。また、支持板52には、3個のボス孔53が互いに離間した状態で設けられている。そして、樹脂成形体2のワーク裏面3bに突設された3個のボス54が各ボス孔53に挿入されることにより、樹脂成形体2が支持板52によって支持される。即ち、支持治具31は、樹脂成形体2において被加飾領域4とは異なる領域であって、樹脂成形体2の略中心となる位置を支持するようになっている。なお、各ボス54は、ワーク裏面3bにおいてスイッチ取付孔6,7を除く領域に配置されている。各ボス54は、自動車用加飾部品1をアームレストに取り付ける際に用いられる取付用ボスを兼ねている。
【0028】
図3に示されるように、サーボモーター32及び電動アクチュエータ33は、支持治具31に支持された樹脂成形体2の位置を変位させるようになっている。具体的に言うと、サーボモーター32は、鉛直方向に延びる回転軸を中心として支持治具31を回転させるようになっている。また、電動アクチュエータ33は、支持装置21の設置面に設置されるアクチュエータ本体61と、エア圧によって平面方向に沿って移動するピストンロッド62とからなっている。ピストンロッド62の先端部はサーボモーター32に接続されている。そして、ピストンロッド62をアクチュエータ本体61から突出させることにより、支持治具31が平面方向に移動するようになっている。なお、サーボモーター32及び電動アクチュエータ33によって樹脂成形体2の位置が変位したとしても、樹脂成形体2は水平な状態を維持するようになっている。
【0029】
また、トリミング装置20は、光学制御式レーザー照射装置である裏面側レーザー照射装置22a、表面側レーザー照射装置22b及び側面側レーザー照射装置22cを備えている。レーザー照射装置22a〜22cは、支持装置21によって支持された樹脂成形体2の周囲において、樹脂成形体2に対して接近または離間可能に設置されている。具体的に言うと、裏面側レーザー照射装置22aは樹脂成形体2のワーク裏面3bを臨むように配置され、表面側レーザー照射装置22bはワーク表面3aを臨むように配置され、側面側レーザー照射装置22cは樹脂成形体2のワーク側面3cを臨むように配置されている。そして、裏面側レーザー照射装置22aは、ワーク裏面3b側から被加飾領域4の外形線5a(図5参照)に沿ってレーザーL1を照射することにより、フィルム10の余剰領域11aを切除するようになっている。また、表面側レーザー照射装置22bは、ワーク表面3a側から被加飾領域4の外形線5b(図5参照)に沿ってレーザーL2を照射することにより、フィルム10の余剰領域11bを切除するようになっている。さらに、側面側レーザー照射装置22cは、ワーク側面3c側からレーザーL3を照射することにより、余剰領域11aにおいてレーザーL1,L2では分担しきれないワーク側面3c部分を切除するようになっている。
【0030】
なお、図3に示される各レーザー照射装置22a〜22cは、レーザーL1〜L3を発生させるレーザー発生部(図示略)、レーザーL1〜L3を偏向させるレーザー偏向部(図示略)、及び、レーザー発生部及びレーザー偏向部を制御するレーザー制御部(図示略)をそれぞれ備えている。レーザー偏向部は、レンズ(図示略)と反射ミラー(図示略)とを複合させてなる光学系であり、これらレンズ及び反射ミラーの位置を変更することにより、レーザーL1〜L3の照射位置や焦点位置を調整するようになっている。即ち、本実施形態のレーザー照射装置22a〜22cは、ガルバノミラー式のレーザー照射装置である。また、レーザー制御部は、レーザーL1〜L3の照射時間変調、照射強度変調、照射面積変調などの制御を行うようになっている。
【0031】
次に、トリミング装置20の電気的構成について説明する。
【0032】
図3に示されるように、トリミング装置20は、装置全体を統括的に制御する制御装置24を備えている。制御装置24は、CPU40、メモリ41及び入出力ポート42等からなる周知のコンピュータにより構成されている。CPU40は、サーボモーター32、電動アクチュエータ33及びレーザー照射装置22a〜22cに電気的に接続されており、各種の駆動信号によってそれらを制御する。具体的に言うと、CPU40は、支持装置21に支持された樹脂成形体2の位置を変位させる制御を行うようになっている。即ち、CPU40は移動制御手段としての機能を有している。詳述すると、CPU40は、サーボモーター32にワーク回転信号を出力し、回転軸を中心として支持治具31を回転させる制御を行うようになっている。また、CPU40は、電動アクチュエータ33にワーク移動信号を出力し、支持治具31を平面方向に移動させる制御を行うようになっている。さらに、CPU40は、レーザー照射装置22a〜22cに装置移動信号を出力し、レーザー照射装置22a〜22cを樹脂成形体2に対して接近または離間させる制御を行うようになっている。これにより、レーザーL1〜L3の照射距離が、余剰領域11a,11bの切除が可能な距離である一定範囲(本実施形態では一定)に保持されるようになる。また、CPU40は、レーザー照射装置22a〜22cにレーザー照射信号を出力し、レーザー照射装置22a〜22cからレーザーL1〜L3を照射させる制御を行うようになっている。なお、メモリ41には、レーザー照射装置22a〜22cのレーザー照射条件(レーザーL1〜L3の照射時間、レーザーL1〜L3の照射強度、レーザーL1〜L3の照射位置など)を示すデータがあらかじめ記憶されている。
【0033】
次に、自動車用加飾部品1の製造方法を説明する。
【0034】
まず、熱可塑性を有する樹脂材料(例えばABS樹脂)を用いて所定の立体形状に成形した樹脂成形体2を準備する。具体的に言うと、第1型及び第2型からなる成形型(図示略)を準備する。次に、フィルム10を第1型の成形面上に配置した後、フィルム10の周縁部を第1型と第2型とで挟持する。これにより、内部に樹脂成形体2と同一形状かつ同一体積のキャビティが構成される。この状態で、所定量の樹脂材料を加熱した状態でキャビティ内に充填した後、冷却することにより、フィルム10が付着した樹脂成形体2がインモールド成形される。その後、第1型及び第2型を互いに離間させれば、フィルム10が付着した樹脂成形体2が取り出される(図4参照)。
【0035】
しかし、フィルム10において第1型と第2型とで挟持された部位(余剰領域11a,11b)は不要であるため、インモールド成形後に余剰領域11a,11bを切除しなければならない。そこで、フィルム10の余剰領域11a,11bを切除するトリミング方法を説明する。
【0036】
まず、支持工程を行い、作業者によって、樹脂成形体2における被加飾領域4とは異なる領域を支持治具31に支持させる。具体的に言うと、樹脂成形体2に設けられた3個のボス54を、支持板52に設けられた3個のボス孔53に挿入することにより、樹脂成形体2を支持治具31に支持させる(図5,図6参照)。
【0037】
続く切除工程では、レーザー照射装置22a〜22cからレーザーL1〜L3を照射することにより、余剰領域11a,11bを切除する。詳述すると、CPU40は、被加飾領域4の外形線5a,5bを示す画像データを、レーザー照射を行うためのレーザー照射データに変換する。次に、CPU40は、変換したレーザー照射データをメモリ41に記憶する。さらに、CPU40は、レーザー照射に用いられるレーザー照射パラメータ(レーザーL1〜L3の照射位置、焦点位置、照射角度、照射面積、照射時間、照射強度など)を設定する。
【0038】
そして、CPU40は、メモリ41に記憶されているレーザー照射データに基づいてレーザー照射を行うことにより、余剰領域11a,11bを切除する。具体的に言うと、CPU40は、メモリ41に記憶されている外形線5a用のレーザー照射データを読み出し、読み出したレーザー照射データに基づいてレーザー照射信号を生成し、生成したレーザー照射信号を裏面側レーザー照射装置22aに出力する。裏面側レーザー照射装置22aは、CPU40から出力されたレーザー照射信号に基づいて、被加飾領域4の外形線5aに沿ってレーザーL1を照射する。その結果、フィルム10から余剰領域11aが除去される。
【0039】
次に、CPU40は、メモリ41に記憶されている外形線5b用のレーザー照射データを読み出し、読み出したレーザー照射データに基づいてレーザー照射信号を生成し、生成したレーザー照射信号を表面側レーザー照射装置22bに出力する。表面側レーザー照射装置22bは、CPU40から出力されたレーザー照射信号に基づいて、被加飾領域4の外形線5bに沿ってレーザーL2を照射する。その結果、フィルム10から余剰領域11bが除去される。
【0040】
さらに、余剰領域11aにおいてレーザーL1,L2では分担しきれない部分(ワーク側面3c部分)がある場合、CPU40は、メモリ41に記憶されている外形線5a用のレーザー照射データを読み出し、読み出したレーザー照射データに基づいてレーザー照射信号を生成し、生成したレーザー照射信号を側面側レーザー照射装置22cに出力する。側面側レーザー照射装置22cは、CPU40から出力されたレーザー照射信号に基づいて、被加飾領域4の外形線5aに沿ってレーザーL3を照射し、余剰領域11aを完全に除去する。
【0041】
なお、レーザー照射装置22a〜22cのレーザー制御部は、レーザー発生部からレーザーL1〜L3を照射させ、外形線5a,5b用のレーザー照射データに応じてレーザー偏向部を制御する。この制御により、レーザーL1〜L3の照射位置や焦点位置を変更し、フィルム10において外形線5a,5bと一致する部分を昇華または脆化させることで、余剰領域11a,11bを切除する。
【0042】
また、CPU40は、メモリ41に記憶されているレーザー照射データを読み出し、読み出したレーザー照射データに基づいてワーク回転信号を生成し、生成したワーク回転信号をサーボモーター32に出力する。サーボモーター32は、CPU40から出力されたワーク回転信号に基づいて駆動することにより、支持治具31に支持された樹脂成形体2を回転軸を中心として回転させる。さらに、CPU40は、メモリ41に記憶されているレーザー照射データを読み出し、読み出したレーザー照射データに基づいてワーク移動信号を生成し、生成したワーク移動信号を電動アクチュエータ33に出力する。電動アクチュエータ33は、CPU40から出力された駆動信号に基づいて駆動することにより、ピストンロッド62の位置を変位させて支持治具31を平面方向に移動させる。また、CPU40は、メモリ41に記憶されているレーザー照射データを読み出し、読み出したレーザー照射データに基づいて装置移動信号を生成し、生成した装置移動信号をレーザー照射装置22a〜22cに出力する。レーザー照射装置22a〜22cは、CPU40から出力された装置移動信号に基づいて駆動することにより、レーザー照射装置22a〜22cを樹脂成形体2に対して接近または離間させる。その結果、樹脂成形体2に対するレーザーL1〜L3の照射位置や照射角度が変更され、被加飾領域4に対するレーザーL1〜L3の照射距離が一定に保持される。そして、レーザー照射装置22a〜22cは、照射距離が一定に保持された状態で、CPU40から出力されたレーザー照射信号に基づいてレーザーL1〜L3を照射する。
【0043】
なお、CPU40は、サーボモーター32に出力したパルス信号の回数に基づいて、樹脂成形体2の姿勢(回転角度)を把握する。次に、CPU40は、把握した樹脂成形体2の回転角度に基づいてレーザー照射データを生成し、生成したレーザー照射データに基づいて補正信号を生成し、生成した補正信号をレーザー照射装置22a〜22cに出力する。そして、レーザー照射装置22a〜22cは、CPU40から出力された補正信号に基づいて駆動することにより、レーザー照射装置22a〜22cの位置を補正する。以上の工程を経て自動車用加飾部品1が製造される。
【0044】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0045】
(1)本実施形態のトリミング装置20では、フィルム10の余剰領域11a,11bを切除する3台のレーザー照射装置22a〜22cが設けられている。このため、ワーク表面3a側及びワーク裏面3b側の両方から余剰領域11a,11bを切除する本実施形態の場合であっても、それぞれの余剰領域11a,11bをレーザー照射装置22a〜22cを用いて同時に切除することができる。また本実施形態では、ワーク裏面3b側→ワーク表面3a側→ワーク側面3c側の順番で余剰領域11a,11bの切除を行っているが、余剰領域11aの切除が終了した後で樹脂成形体2を裏返す作業が不要になる。しかもCPU40は、レーザー照射装置22a〜22cを樹脂成形体2に対して接近または離間させるのに加えて、支持装置21に支持された樹脂成形体2の位置を変位させる制御も行うため、レーザー照射装置22a〜22cだけを移動させる場合よりも、レーザーL1〜L3の照射距離を素早く調節できる。以上のことから、余剰領域11a,11bの切除が終了するまでに掛かる時間を短縮することができる。しかも本実施形態では、余剰領域11a,11bを切除する切除作業を複数のレーザー照射装置22a〜22cに分担させている。即ち、切除作業において1つのレーザー照射装置を複雑に移動させなくても済むため、余剰領域11a,11bの切除を容易に行うことができる。よって、自動車用加飾部品1の製造効率を向上させることができる。
【0046】
(2)本実施形態では、ワーク表面3aが凸状湾曲面であり、ワーク裏面3bが凹状湾曲面であるため、樹脂成形体2は全体として湾曲形状をなしている。このため、フィルム10において樹脂成形体2の外側からはみ出した余剰領域11aは、樹脂成形体2の外縁からワーク裏面3b側に延びる可能性が高い。よって、ワーク裏面3bを臨むように配置された裏面側レーザー照射装置22aからレーザーL1を照射すれば、樹脂成形体2の外側からはみ出した余剰領域11aを切除することができる。しかしながら、余剰領域11aは必ずしもワーク裏面3b側に延びるとは限らないため、レーザーL1を照射したとしても余剰領域11aを切除しきれない可能性がある。
【0047】
そこで本実施形態では、余剰領域11aにおいてレーザーL1,L2では分担しきれない部分(ワーク側面3c部分)がある場合に、側面側レーザー照射装置22cからレーザーL3を照射するようになっている。その結果、余剰領域11aが完全に除去されるため、自動車用加飾部品1の外観品質を高めることができる。
【0048】
(3)本実施形態の支持工程において、樹脂成形体2の支持に用いられるボス54は、自動車用加飾部品1をアームレストに取り付ける際に用いられる取付用ボスを兼ねている。このため、樹脂成形体2の支持に用いられるボスを取付用ボスとは別に設けなくても済むため、自動車用加飾部品1の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0049】
(4)本実施形態の支持治具31は、樹脂成形体2の略中心となる位置を支持するようになっている。即ち、支持治具31は余剰領域11aから離れた箇所に配置されるため、表面側レーザー照射装置22bや側面側レーザー照射装置22cがレーザーL2,L3を照射する際に、レーザーL2,L3が支持治具31に遮られにくくなる。
【0050】
(5)本実施形態の自動車用加飾部品1では、フィルム10を保護するクリアコート層が形成されるので、自動車用加飾部品1の外観品質を長期間にわたって保つことができる。また、フィルム10の表面に凹凸があったとしても、クリアコート層によってフィルム10の凹凸が平坦化されるので、凹凸に蓄積する埃などの汚れを防止することができる。
【0051】
なお、本実施形態を以下のように変更してもよい。
【0052】
・上記実施形態の切除工程では、レーザー照射装置22a〜22cが、レーザーL1〜L3の照射をワーク裏面3b側→ワーク表面3a側→ワーク側面3c側の順番で行っていたが、レーザーL1〜L3の照射を同時に行うようにしてもよい。このようにすれば、レーザーL1〜L3の照射を迅速に行うことができ、自動車用加飾部品1を短時間で製造することができる。
【0053】
・上記実施形態の切除工程では、レーザー照射装置22a〜22cが、レーザーL1〜L3の照射をワーク裏面3b側→ワーク表面3a側→ワーク側面3c側の順番で行っていたが、レーザーL1〜L3を照射する順番を適宜変更してもよい。また、切除工程では、1台のレーザー照射装置(レーザー照射装置22a〜22c)がレーザー(レーザーL1〜L3)の照射を1つの外形線(外形線5a,5b)に沿って行っていたが、例えばレーザー偏向部を複数設けることにより、1台のレーザー装置がレーザーの照射を複数の外形線に沿って同時に行うようにしてもよい。このようにすれば、レーザーの照射を迅速に行うことができ、自動車用加飾部品1を短時間で製造することができる。
【0054】
・上記実施形態のトリミング装置20には、3台のレーザー照射装置22a〜22cが設置されていたが、例えば側面側レーザー照射装置22cを省略してもよい。逆に、レーザー照射装置の設置数を増やしてもよい。
【0055】
・上記実施形態の側面側レーザー照射装置22cは、裏面側レーザー照射装置22aから照射されたレーザーL1によって余剰領域11aを切除しきれない場合に、レーザーL3を照射するようになっていた。しかし、側面側レーザー照射装置22cは、裏面側レーザー照射装置22aから照射されたレーザーL1が余剰領域11aの一部を切除する場合に、レーザーL3を照射して余剰領域11aの残りの部分を切除するようになっていてもよい。
【0056】
・上記実施形態では、フィルム10の表面を保護するようにクリアコート層が形成されていたが、クリアコート層は省略されていてもよい。
【0057】
・上記実施形態の自動車用加飾部品1では、フィルム10の表面に木目模様の装飾が施されていたが、装飾は適宜変更することができる。なお、装飾としては、木目模様の装飾以外に、炭素繊維織物を示す模様の装飾や、ヘアライン加工が施されたアルミパネルを示す模様の装飾などを挙げることができる。
【0058】
・上記実施形態では、自動車用加飾部品1をドアのアームレストに具体化するものであったが、これ以外に、コンソールボックス、インストルメントパネルなどの部品に具体化してもよい。
【0059】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0060】
(1)自動車用部品素材の外表面上に設定された被加飾領域にフィルムを付着した際に、前記フィルムにおいて前記被加飾領域からはみ出した余剰領域を切除するトリミング装置であって、前記自動車用部品素材における前記被加飾領域とは異なる領域を支持するとともに、支持された前記自動車用部品素材の位置を変位させる支持手段と、前記支持手段によって支持された前記自動車用部品素材の周囲において前記自動車用部品素材に対して接近または離間可能に設置され、前記被加飾領域の外形線に沿ってレーザーを照射することにより、前記余剰領域を切除する複数の光学制御式レーザー照射装置と、前記レーザーの照射距離を一定範囲に保持するために、前記複数の光学制御式レーザー照射装置を前記自動車用部品素材に対して接近または離間させる制御を行うとともに、前記支持手段に支持された前記自動車用部品素材の位置を変位させる制御を行う移動制御手段とを備えることを特徴とするトリミング装置。
【0061】
(2)自動車用部品素材の外表面上に設定された被加飾領域にフィルムを付着した際に、前記フィルムにおいて前記被加飾領域からはみ出した余剰領域を切除することにより、自動車用加飾部品を製造する方法であって、前記自動車用部品素材における前記被加飾領域とは異なる領域を支持する支持工程と、前記支持工程後、複数の光学制御式レーザー照射装置から前記被加飾領域の外形線に沿ってレーザーを照射することにより、前記余剰領域を切除する切除工程とが行われ、前記切除工程では、前記複数の光学制御式レーザー照射装置を前記自動車用部品素材に対して接近または離間させるとともに、前記自動車用部品素材の位置を変位させることにより、前記レーザーの照射距離を一定範囲に保持し、前記照射距離が一定範囲に保持された状態で、前記複数の光学制御式レーザー照射装置からレーザーを照射することを特徴とする自動車用加飾部品の製造方法。
【符号の説明】
【0062】
1…加飾部品としての自動車用加飾部品
2…ワークとしての樹脂成形体
3a…外表面としてのワーク表面
3b…ワーク裏面
4…被加飾領域
5a,5b…外形線
6,7…部品取付孔としてのスイッチ取付孔
10…フィルム
11a,11b…余剰領域
20…トリミング装置
21…支持手段としての支持装置
22a…光学制御式レーザー照射装置としての裏面側レーザー照射装置
22b…光学制御式レーザー照射装置としての表面側レーザー照射装置
22c…光学制御式レーザー照射装置としての側面側レーザー照射装置
31…支持治具
32…回転手段としてのサーボモーター
33…移動手段としての電動アクチュエータ
40…移動制御手段としてのCPU
L1,L2,L3…レーザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの外表面上に設定された被加飾領域にフィルムを付着した際に、前記フィルムにおいて前記被加飾領域からはみ出した余剰領域を切除するトリミング装置であって、
前記ワークにおける前記被加飾領域とは異なる領域を支持するとともに、支持された前記ワークの位置を変位させる支持手段と、
前記支持手段によって支持された前記ワークの周囲において前記ワークに対して接近または離間可能に設置され、前記被加飾領域の外形線に沿ってレーザーを照射することにより、前記余剰領域を切除する複数の光学制御式レーザー照射装置と、
前記レーザーの照射距離を一定範囲に保持するために、前記複数の光学制御式レーザー照射装置を前記ワークに対して接近または離間させる制御を行うとともに、前記支持手段に支持された前記ワークの位置を変位させる制御を行う移動制御手段と
を備えることを特徴とするトリミング装置。
【請求項2】
前記支持手段は、前記ワークにおける前記被加飾領域とは異なる領域を支持する支持治具と、鉛直方向に延びる回転軸を中心として前記支持治具を回転させる回転手段と、前記支持治具を平面方向に移動させる移動手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のトリミング装置。
【請求項3】
前記ワークは、前記被加飾領域が設定された凸状湾曲面であるワーク表面と、前記ワーク表面の反対側に位置する凹状湾曲面であるワーク裏面とを有するとともに、前記ワーク表面及び前記ワーク裏面を貫通する部品取付孔が形成され、
前記複数の光学制御式レーザー照射装置は、前記ワーク裏面を臨むように配置された裏面側レーザー照射装置と、前記ワーク表面を臨むように配置された表面側レーザー照射装置とを備え、
前記裏面側レーザー照射装置は、前記ワーク裏面側からレーザーを照射することにより、前記フィルムにおいて前記ワークの外側からはみ出した前記余剰領域を切除し、
前記表面側レーザー照射装置は、前記ワーク表面側からレーザーを照射することにより、前記フィルムにおいて前記部品取付孔の内面からはみ出した前記余剰領域を切除する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のトリミング装置。
【請求項4】
ワークの外表面上に設定された被加飾領域にフィルムを付着した際に、前記フィルムにおいて前記被加飾領域からはみ出した余剰領域を切除するトリミング方法であって、
前記ワークにおける前記被加飾領域とは異なる領域を支持する支持工程と、
前記支持工程後、複数の光学制御式レーザー照射装置から前記被加飾領域の外形線に沿ってレーザーを照射することにより、前記余剰領域を切除する切除工程と
が行われ、
前記切除工程では、
前記複数の光学制御式レーザー照射装置を前記ワークに対して接近または離間させるとともに、前記ワークの位置を変位させることにより、前記レーザーの照射距離を一定範囲に保持し、
前記照射距離が一定範囲に保持された状態で、前記複数の光学制御式レーザー照射装置からレーザーを照射する
ことを特徴とするトリミング方法。
【請求項5】
ワークの外表面上に設定された被加飾領域にフィルムを付着した際に、前記フィルムにおいて前記被加飾領域からはみ出した余剰領域を切除することにより、加飾部品を製造する方法であって、
前記ワークにおける前記被加飾領域とは異なる領域を支持する支持工程と、
前記支持工程後、複数の光学制御式レーザー照射装置から前記被加飾領域の外形線に沿ってレーザーを照射することにより、前記余剰領域を切除する切除工程と
が行われ、
前記切除工程では、
前記複数の光学制御式レーザー照射装置を前記ワークに対して接近または離間させるとともに、前記ワークの位置を変位させることにより、前記レーザーの照射距離を一定範囲に保持し、
前記照射距離が一定範囲に保持された状態で、前記複数の光学制御式レーザー照射装置からレーザーを照射する
ことを特徴とする加飾部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−110873(P2011−110873A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270995(P2009−270995)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000110343)トリニティ工業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】