トンネル掘削機のカッタヘッド
【課題】 トンネル築造後に回収されるトンネル掘削機におけるカッタヘッドであって、最外径部分のリング状外周部をトンネル掘削壁面に仮覆工部材としてトンネル掘削機の外胴と共に残置させ、その掘削壁面からの地盤の崩落を防止する。
【解決手段】 カッタヘッド本体1は、外径がトンネル覆工体Sの内径よりも小径の中央カッタ板部2と、この中央カッタ板部2の外周面にボルトによって着脱自在に結合した外周カッタ板部3とからなり、この外周カッタ板部3の外周面にリング状外周部4をボルトによって着脱自在に結合してなるもので、トンネル築造後に中央カッタ板部2を外周カッタ板部3から取り外して掘削機本体10と一体的に回収、撤去し、しかるのち、外周カッタ板部3をリング状外周部4の内周面から取り外して回収、撤去し、リング状外周部4をトンネル掘削壁面に残置させておくように構成している。
【解決手段】 カッタヘッド本体1は、外径がトンネル覆工体Sの内径よりも小径の中央カッタ板部2と、この中央カッタ板部2の外周面にボルトによって着脱自在に結合した外周カッタ板部3とからなり、この外周カッタ板部3の外周面にリング状外周部4をボルトによって着脱自在に結合してなるもので、トンネル築造後に中央カッタ板部2を外周カッタ板部3から取り外して掘削機本体10と一体的に回収、撤去し、しかるのち、外周カッタ板部3をリング状外周部4の内周面から取り外して回収、撤去し、リング状外周部4をトンネル掘削壁面に残置させておくように構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中にトンネルを掘削したのち、該トンネル内を通じて掘削機本体と一体的に回収し、再使用を可能にしたトンネル掘削機のカッタヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発進立坑側からトンネル掘削機によって地中にトンネルを掘削しながら該掘削壁面にトンネル覆工体を施工していくトンネル工事においては、該トンネル掘削機が到達立坑に達すると、この到達立坑内から地上に回収して再利用することが行われているが、到達側に既存の人孔が設けられていたり、周辺に建物等が存在していて到達立坑が設けられない場合や2基のトンネル掘削機を地中でドッキングさせる場合のように到達立坑を設けない場合、或いは、到達立坑が未完成の場合や既設の長い管路にトンネル掘削機を直交させるように到達させた場合等には、トンネル掘削機を発進立坑側に向かって後退させて回収しなければならない。
【0003】
このような回収型のトンネル掘削機としては、例えば、特許文献1に記載されているように、外径がトンネル径と同径の外胴と、この外胴内に後方に向かって引き出し可能に配設された掘削機本体とからなるトンネル掘削機が知られており、該掘削機本体は上記外胴の内面に着脱自在に係止した円筒形状の内胴と、該内胴の前部に一体に設けている隔壁に回転自在に支持されたカッタヘッドと、このカッタヘッドの駆動手段と、カッタヘッドによって掘削された掘削土砂の排出手段とを備えていると共に上記カッタヘッドを縮径可能に形成している。
【0004】
そして、このトンネル掘削機によって所定長さまでトンネルを掘削すると、上記掘削土砂排出手段をトンネル覆工体内を通じて回収、撤去すると共に、カッタヘッドをトンネル覆工体の内径以下にまで縮径させ、且つ、外胴に対する内胴の係止を解いたのち、該外胴を掘削壁面に残した状態で掘削機本体をトンネル覆工体内を通じて後方に回収、撤去している。
【0005】
このように構成したトンネル掘削機において、上記縮径可能なカッタヘッドの構造としては、複数個のカッタビットを前方に向かって突設している数本のスポーク体を、駆動モータによって回転駆動される回転中心軸の先端部から外径方向に放射状に設けてこれらのスポーク体によってトンネル覆工体の内径よりも小径のトンネル中央部分を掘削する中央カッタヘッド部を形成すると共に、各スポーク体の突出端面に、前方に向かって複数個のカッタビットを突設しているスポーク片を着脱自在に取付けて、これらのスポーク片によってトンネル覆工体の外径に等しいトンネル径を掘削するように構成している。
【0006】
一方、上記トンネル掘削機のカッタ板はスポークタイプであるから、自立性に優れた硬質の地盤の掘削に適していても、崩壊しやすい軟弱地盤や地下水の発生しやすい地盤の掘削には不適である。このような崩壊性の地盤を掘削するには、所謂、面板タイプのカッタ板が使用され、このカッタ板を回収型のトンネル掘削機に適用するには、外径がトンネル覆工体の内径よりも小径の中央カッタ板部と、この中央カッタ板部の外周面に、例えば、特許文献2に記載されているように円環形状の外周カッタ板部を着脱自在に連結し、この外周カッタ板部によってトンネル覆工体の外径に等しいトンネル径を掘削するように構成している。
【特許文献1】特許第3439745号公報
【特許文献2】特許第2038809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の回収型トンネル掘削機におけるカッタヘッドによれば、掘削機本体の回収時にスポーク体からスポーク片を取り外してカッタヘッドの外径をトンネル覆工体の内径よりも小径にしたのち、トンネル掘削機の外胴をトンネル掘削壁面に残置した状態で、掘削機本体を縮径したカッタヘッドと共に該外胴内からトンネル覆工体内を通じて発進立坑側に回収、撤去すると、トンネル掘削壁面に残置させている上記外胴から前方側のトンネル掘削壁面部分がトンネル内に露出した状態となっているため、その掘削壁面部の地盤がトンネル内に崩落する虞れが生じ、この壁面部に何らかの覆工処理を施す必要がある。
【0008】
一方、面板タイプのカッタ板によれば、外周カッタ板部は円環形状に形成されているので、トンネル掘削時においてトンネル掘削壁面に残置させておくと、その外周面で切羽近傍部のトンネル掘削壁面を覆工して土留機能を発揮させることができるが、そうすると、この外周カッタ板部の再使用ができなくなって極めて不経済であるばかりでなく、その内周部分がトンネル内に大きく突出した状態となるので、この部分の切除作業等を必要とするといった問題点がある。
【0009】
さらに、上記円環形状の外周カッタ板部は分解不能であるから、特許文献1のスポーク片のようにトンネル覆工体内を通じて発進立坑側に回収することができず、到達立坑側に残置させて該到達立坑を通じて回収可能としたトンネル築造方法にした採用することができない。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、トンネル掘削後に縮径したカッタヘッドと一体的に掘削機本体を発進立坑側に回収、撤去した際に、トンネル掘削壁面にトンネル掘削機の外胴と共に残置させて土留や止水機能を発揮する仮覆工部材として使用ずくことができるトンネル掘削機のカッタヘッドの構造を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明のトンネル掘削機のカッタヘッドは、請求項1に記載したように、掘削したトンネルの覆工体内を通じて掘削機本体と一体に回収されるトンネル掘削機のカッタヘッドであって、外径が上記トンネル覆工体の内径よりも小径となるように縮径可能に形成しているカッタヘッド本体と、その外周端に着脱自在に取付けられ、トンネル掘削機の外胴と共にトンネル掘削壁面に残置させるリング状外周部とを備えていることを特徴とする。
【0012】
このように構成したトンネル掘削機のカッタヘッドにおいて、請求項2に係る発明は、カッタヘッド本体を、外径がトンネル覆工体の内径よりも小径の中央カッタ板部と、この中央カッタ板部の外周面に取り外し可能に被嵌させている円環形状の外周カッタ板部とから形成し、この外周カッタ板部の外周面にリング状外周部を取り外し可能に被嵌させていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、上記請求項2に記載のカッタヘッドにおいて、その円環形状の円環形状の外周カッタ板部を複数の分割カッタピースから構成し、隣接するカッタピース同士をボルトにより着脱自在に結合していると共に、これらのカッタピースの少なくとも一つに、両側面間の幅が内周側から外周側に向かって徐々に幅狭くなるように形成したキーカッタピースを備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明は、カッタヘッド本体を、掘削機本体の回転中心軸の先端部から径方向に放射状に突設し、且つ、前面に複数個のカッタビットを装着してなる複数本の縮径可能なスポーク体から構成し、このスポーク体の外端面をリング状外周部の内周面に取り外し可能に連結していることを特徴とする。
【0015】
このように構成した請求項4に記載のカッタヘッドにおいて、上記スポーク体を、長さが上記トンネル覆工体の内径の半径よりも短い内側スポーク体部と、この内側スポーク体部の外端面に内端面を取り外し可能に固定している外側スポーク体部とから構成し、外側スポーク体部の外端面をリング状外周部の内周面に取り外し可能に連結していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に係る発明によれば、カッタヘッド本体の外径をトンネル覆工体の内径よりも小径となるように縮径可能に形成していると共に、このカッタヘッド本体の外周端に、トンネル掘削機の外胴と共にトンネル掘削壁面に残置させるリング状外周部を着脱自在に取付けているので、回収する際に、カッタヘッド本体の外周端をリング状外周部からの連結を解いて該カッタヘッド本体を縮径させたのち、掘削機本体を後退させることによってカッタヘッド本体を掘削機本体と一体に簡単に回収することができるのは勿論、外径がトンネル覆工体の内径よりも大径に形成されていてこのトンネル覆工体内を通じて回収することができないリング状外周部をトンネル掘削壁面に残置しておくように構成しているので、該リング状外周部がトンネル掘削壁面の仮覆工部材としての機能を発揮して該部からの地盤の崩落や地下水の浸入等を確実に防止することができ、また、このリング状外周部からの連結を解いた上記カッタヘッド本体の回収作業が円滑且つ確実に行うことができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、上記カッタヘッド本体は、外径がトンネル覆工体の内径よりも小径の中央カッタ板部と、この中央カッタ板部の外周面に取り外し可能に被嵌させている円環形状の外周カッタ板部とからなり、この外周カッタ板部の外周面にリング状外周部を取り外し可能に被嵌させているので、崩壊しやすい軟弱地盤や地下水の発生しやすい地盤の掘削には適した面板タイプのカッタヘッド、即ち、カッタ板であって、そのリング状外周部をトンネル掘削面に残置させておくことができるカッタ板を構成することができ、このリング状外周部の内周面にその外周面を取り外し可能に嵌合させている上記円環形状の外周カッタ板部として、その外径をトンネル覆工体の内径よりも小径に形成した構造としておくことにより、或いは、該外周カッタ板部を複数分割可能に構成しておくことにより、トンネル覆工体内を通じての回収作業が確実に行うことができる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、上記請求項2に記載の円環形状の外周カッタ板部を複数のカッタピースに分割し、隣接するカッタピース同士をボルトにより着脱自在に結合していると共に、これらのカッタピースの少なくとも一つに、両側面間の幅が内周側から外周側に向かって徐々に幅狭くなるように形成したキーカッタピースを備えているので、中央カッタ板部を掘削機本体と一体的に回収、撤去したのちトンネル覆工体の内径よりも外径を大径に形成しているこの外周カッタ板部を解体する際に、各カッタピースを、互いに結合した接合面をガイドとしてカッタ板の径方向に直交する方向、即ち、トンネル長さ方向に引き出しながら解体するような作業を必要とすることなく、まず、上記キーカッタピースを隣接する両側のカッタピースとの結合を解いたのち、中央カッタ板部の除去跡である空間部に向かって抜き取ることにより、該空間部を利用して簡単に撤去、回収することができ、しかるのち、このキーカッタピースと結合していたカッタピースを始め、複数個のカッタピースを上記空間部を利用して順次、能率よく回収、撤去することができる。
【0019】
従って、トンネル築造後において、カッタ板の後方側にトンネル掘削機の外胴がトンネル掘削壁面を被覆、支保した状態で残置されているにもかかわらず、この外胴に邪魔されることなく、さらには、前方に作業空間が殆ど存在しない場合においても、中央カッタ板部の除去跡の空間部を利用して、トンネル覆工体の内径よりも外径が大径のこの外周カッタ板部を円滑且つ確実に分解、回収することができ、次のトンネル築造に再使用することができる。
【0020】
一方、請求項4に係る発明によれば、上記カッタヘッド本体は、回転中心軸の先端部から径方向に放射状に突設し、且つ、前面に複数個のカッタビットを装着してなる複数本の縮径可能なスポーク体からなり、このスポーク体の外端面をリング状外周部の内周面に取り外し可能に連結しているので、自立性に優れた硬質の地盤の掘削に適したスポークタイプのカッタヘッドであって、そのリング状外周部をトンネル掘削面に残置させておくことができるカッタヘッドを構成することができる。
【0021】
このように構成したスポークタイプのカッタヘッド本体において、請求項5に係る発明によれば、上記スポーク体を、長さがトンネル覆工体の内径の半径よりも短い内側スポーク体部と、この内側スポーク体部の外端面に内端面を取り外し可能に固定している外側スポーク体部とからなり、外側スポーク体部の外端面をリング状外周部の内周面に取り外し可能に連結しているので、外側スホーク体部の外端面をリング状外周部の内周面に連結、支持させた状態にしてこの外側スポーク体部から内側スポーク体部の連結を解くことができ、従って、内側スポーク体部を掘削機本体と一体に回収する作業を能率よく行えると共に、この内側スポーク体部の回収後、外側スポーク体部をリング状外周部から取り外してトンネル覆工体内を通じて容易に回収、撤去することができ、次のトンネル築造時に再び使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1は面板タイプのカッタヘッドを備えたトンネル掘削機の前半部分の縦断側面図、図2はそのカッタヘッドの正面図であって、このカッタヘッドは外径が後述するトンネル覆工体Sの内径よりも小径に形成されている円板形状の中央カッタ板部2と、この中央カッタ板部2の外周面に内周面を嵌合させてボルト9により取り外し可能に結合している円環形状の外周カッタ板部3とからなるカッタヘッド本体1と、このカッタヘッド本体1の上記外周カッタ板部3の外周面に内周面を嵌合させてボルト9'により結合している円形のリング状外周部4とから構成している。さらに、カッタヘッド本体1における上記リング状外周部4の外径はトンネル掘削機の外胴11の外径に等しい径に形成していると共に、内径はトンネル覆工体Sの内径よりも大径に形成されている。従って、このリング状外周部4の内周面に結合している外周カッタ板部3の外径もトンネル覆工体Sの内径よりも大径に形成されている。
【0023】
上記中央カッタ板部2は、円形の前面板部の外周縁に後方、即ち、トンネル覆工体S側に向かって前面板部に対し直角に屈折した一定幅のリング状周壁2cを突設していると共にその中心部を、掘削機本体10に装着している駆動モータ12によって回転駆動される回転中心軸13の前端部外周面に一体に固着してあり、さらにその前面板部に中心部から上記リング状周壁2cの前端部内周面に亘って、周方向に一定間隔を存した一対の土砂取入れ開口部5、5を複数対(図においては4対)、放射状に設けてこれらの各対の互いに平行な開口部5、5間をスポーク形状の面板部2aに形成していると共に、隣接するスポーク形状の面板部2a、2a間に上記開口部5を介して中空扇形状の面板部2bを形成している。そして、スポーク形状の面板部2aの両側端縁と中央部とにカッタビット6を径方向に一定間隔毎に前方に向かって突設している。
【0024】
一方、上記外周カッタ板部3は、周方向に複数の扇形状カッタピース31〜36に分割されていて、隣接するカッタピースの対向する側面同士を接合してボルト9'により着脱自在に順次結合することによって円環形状に形成されていると共に、各カッタピース31〜36の内周面を上記中央カッタ板部2のリング状周壁2cにおける対向する外周面にボルト9によって着脱自在に結合してあり、さらに、この外周カッタ板部3の外周面を上記円形のリング状外周部4の内周面にボルト9'によって取り外し可能に結合している。
【0025】
詳しくは、各カッタピース31〜36は、その前面板部の周縁、即ち、周方向に円弧状に湾曲した内外周縁部と直線状の両側縁部とに、一定幅の内外周壁部3c、3dと両側壁部3e、3eとをそれぞれ前面板部に対して直角に屈折させて後方に向かって突設している。そして、隣接するカッタピースにおける対向する側壁部3e、3e同士を接合させてボルト9'により順次、周方向に結合、連結することにより円環形状の外周カッタ板部3を形成していると共に、円弧状に湾曲している内側周壁部3cの内周面を上記中央カッタ板部2のリング状周壁2cにおける外周面に接合してボルト9により着脱自在に結合している。
【0026】
さらに、各カッタピース31〜36における周方向に円弧状に湾曲した外側周壁部3dの外周面を、この周壁部3dと前後方向の幅が同一幅に形成されている上記リング状外周部4の内周面に接合して該周壁部3dをボルト9'によりリング状外周部4の内周面に取り外し可能に結合している。なお、中央カッタ板部2のリング状周壁2cとカッタピース31〜36の内側周壁部3cとの結合は、これらの周壁2cと周壁部3cとに周方向に一定間隔毎にボルト取付孔7(図3に示す)を設け、該ボルト取付孔7、7間にボルト9を挿通してナット8を螺合することにより行われてあり、隣接するカッタピースの側壁部3e、3e同士の結合は、図4に示すように互いに接合する一方の側壁部3eの複数箇所にボルト挿通孔7'を、他方の側壁部3eにこれらのボルト挿通孔7'と対向する螺子孔8'をそれぞれ設けて、ボルト挿通孔7'から該螺子孔8'にボルト9'を螺合させることにより行っている。
【0027】
同様に、上記各カッタピース31〜36の外側周壁部3dに周方向に一定間隔毎に該周壁部3dの内外周面に亘って貫通したボルト挿通孔7'を設ける一方、リング状外周部4の内周面にこれらのボルト挿通孔7'と対向する螺子孔8'を設けて、ボルト挿通孔7'から該螺子孔8'にボルト9'を螺締することにより、カッタピース31〜36をリング状外周部4に対して取り外し可能に結合している。
【0028】
上記中央カッタ板部2と外周カッタ板部3とはその形状を左右対称となるように形成されてあり、詳しくは、図2に示すように中央カッタ板部2は上記スポーク形状の面板部2aをカッタ板1の回転中心軸13から周方向に互いに90度の角度間隔を存して四方に放射状に突設していると共に、外周カッタ板部3は、基本的には上下左右に同大、同形のカッタピース31〜34に4等分されてあり、そのうちの1つのカッタピース31の両側部をキーカッタピース35、36に形成している。
【0029】
具体的には、両側に上記キーカッタピース35、36を配設しているカッタピース31をカッタ板1の上周部側に配設した状態において、このカッタ板1の両側部に左右に対称的に配設している両側のカッタピース32、33は、その周方向の中央部に、中央カッタ板部2における両側のスポーク形状の面板部2aとこの面板部2aを挟むように設けている上記対の開口部5、5との延長方向に、中央カッタ板部2のリング状周壁2cとこれらのカッタピース32、33の内側周壁部3cとを介してスポーク形状の中央面板部3aとこの中央面板部3aを挟んだ互いに平行な一対の開口部5'、5'とをそれぞれ設けていると共に、周方向の両側端部に該開口部5'と同じ形状の開口部5'を設けてあり、さらに、これらの開口部5'を設けた面板部の端縁部に前方に向かって複数個のカッタビット6を突設している。
【0030】
同様に、下周部側に配設したカッタピース34は、その周方向の中央部に、中央カッタ板部2における下側のスポーク形状の面板部2aとこの面板部2aを挟むように設けている上記対の開口部5、5との延長方向に、中央カッタ板部2のリング状周壁2cと該カッタピース34の内側周壁部3cとを介してスポーク形状の中央面板部3aとこの中央面板部3aを挟んだ互いに平行な一対の開口部5'、5'とをそれぞれ設けていると共に、周方向の両側端部に該開口部5'と同形の開口部5'を設けてあり、さらに、これらの開口部5'を設けた面板部の端縁部に前方に向かって複数個のカッタビット6を突設している。
【0031】
一方、両側部にキーカッタピース35、36を配設している上周部側のカッタピース31は、キーカッタピース35、36を備えた全体の形状としては上記カッタピース32〜34と同一形状に形成されているが、このカッタピース31に対して両側カッタピース35、36は分割されていて、カッタピース31の中央部に、上記中央カッタ板部2における上側のスポーク形状の面板部2aとこの面板部2aを挟むように設けている上記対の開口部5、5との延長方向に、中央カッタ板部2のリング状周壁2cと該カッタピース34の内側周壁部3cとを介してスポーク形状の中央面板部3aとこの中央面板部3aを挟んだ互いに平行な一対の開口部5'、5'とを設けてあり、両側キーカッタピース35、36にはその中央部に一つの開口部5'を内外周面間に亘って設けている。なお、これらの開口部5'を設けた面板部の端縁部に前方に向かって複数個のカッタビット6を突設している。また、上記リング状外周部4の前面にも複数個のカッタビット6を前方に向かって突設している。
【0032】
さらに、外周カッタ板部3における上記両側に配したカッタピース32、33の両側壁部3e、3eと、下周部側に配したカッタピース34の両側壁部3e、3e、及び、上記両側に配したカッタピース32、33の側壁部3eに接合したキーカッタピース35、36の一方の側壁部3eとは、カッタ板1の直径線上に設けられているが、上記上周部側に配設したカッタピース31の両側壁部3e' 、3e' と、この側壁部3e' に接合してボルト9'により結合しているキーカッタピース35、36の他方の側壁部3e' とは、その延長線上を中央カッタ板部2の垂直方向の直径線上における上部側に交差する方向に傾斜させてキーカッタピース35、36の周方向の幅を内周側から外周側に向かって徐々に幅狭くなるように、即ち、楔形状に形成している。
【0033】
なお、中央カッタ板部2におけるスポーク形状の任意の面板部2aの後面に、図1に示すように径方向に向けたジャッキ25を装着してあり、そのロッド26の先端に装着しているコピーカッタ27を、外周カッタ板部3の外側周壁部3dとリング状外周部4とを貫通してリング状外周部4から出没自在に突出させ、トンネル曲線部の施工等において、該コピーカッタ27により地山をオーバーカットするように構成している。
【0034】
次に、このように構成したカッタヘッドを備えている回収型のトンネル掘削機の構造を簡単に説明すると、図5に示すように、このトンネル掘削機は、泥水式シールド工法に使用される掘削機であって、外径がトンネル掘削径と略同径に形成された円筒形状の鋼管からなる外胴11と、この外胴11の前端部内周面にその外周端面を溶接等により一体に固着していると共に中央部に、トンネル掘削壁面に施工されたトンネル覆工体Sの内径よりも小径の円形孔15を設けている円環板形状の支持壁14と、この支持壁14の上記円形孔15にその短筒状内胴16をシール材17を介して後方に向かって引き出し可能に支持させている掘削機本体10と、上記外胴11の長さ方向の中間部内周面に周方向に一定間隔毎に配設された複数本の推進ジャッキ18及び方向修正ジャッキ19と、掘削土砂の排出手段である送排泥管20、21と、セグメントを組み立てるエレクタ22とから構成されている。
【0035】
掘削機本体10は上記短筒状内胴16の前端に該内胴16の開口端を密閉している隔壁16a を一体に設けていると共にこの隔壁16a の中心部に上記カッタ板1の回転中心軸13を回転自在に支持してあり、さらに、隔壁16a の後面にカッタヘッド本体1を回転駆動する駆動モータ12を装着してなるものである。この掘削機本体10の内胴16の後端部は、外胴11の内周面に取り外し可能に固定している推進反力受止部材23によって受止されている。
【0036】
このように構成したトンネル掘削機を発進立坑(図示せず)内に設置し、該カッタヘッドを回転させながら所定方向にトンネルTを掘進していく。そして、一定長のトンネルを掘削する毎に、エレクタ22により掘削壁面にセグメントを組み立てて掘削壁面を覆工し、このトンネル覆工体Sの前端面に推進ジャッキ18の推進反力を受止させて、該推進ジャッキ18を伸長させることによってトンネル掘削機を前進させる。この時、推進ジャッキ18による推進力は推進反力受止部材23を介して掘削機本体10に伝達され、カッタヘッドを切羽に押しつけながら地山を掘削する。
【0037】
カッタヘッドによって掘削された土砂は、該カッタヘッド本体1に設けている上記開口部5、5'を通じてカッタヘッドと掘削機本体10の隔壁16a との間の土砂室24内に取り込まれ、この土砂室24に連通している上記送排泥管20、21による還流泥水によって泥水と共にトンネル側に排出される。
【0038】
このトンネル掘削機によって所定位置まで掘削壁面にセグメントによる覆工を行いながらトンネルTを掘削したのち、該掘削機本体10をこのトンネル覆工体S内を通じて発進立坑側まで後退させて回収しなければならない場合、まず、エレクタ22や送排泥管20、21、推進ジャッキ18、方向修正ジャッキ19等を解体や取り外し等してトンネル覆工体S内を通じて後方に回収すると共に、推進反力受止部材23を取り外して外胴11に対する掘削機本体10の固定を解く一方、隔壁16a に設けている出入口(図示せず)を通じて作業員が土砂室24内に入り、カッタヘッド本体1の後方側から該カッタヘッド本体1における中央カッタ板部2の周壁2cと外周カッタ板部3の内側周壁部3cとを結合させているボルト9'を取り外す。なお、推進ジャッキ18や方向修正ジャッキ19は掘削機本体10の回収の邪魔にならない場合には掘削機本体10の回収後に撤去してもよい。
【0039】
次いで、掘削機本体10を後方に牽引してその短筒状内胴16を外胴11の内周面に固着している支持壁14の円形孔15から抜き取る。この際、カッタヘッド本体1における回転中心軸13の前端部に一体に設けている中央カッタ板部2は上述したように外周カッタ板部3に対する結合を解かれているので、図6に示すように掘削機本体10と一体的に後退し、支持壁14の円形孔15を通過して後方に移動する。この中央カッタ板部2を備えた掘削機本体10をトンネル覆工体S内を通じて発進立坑側に回収するには、例えば、支持壁14の円形孔15から抜き取られた掘削機本体10の内胴16の下周部と、円形孔15を通過した中央カッタ板部2の下周部とに、車輪(図示せず)を装着し、これらの車輪をトンネル覆工体Sの内底面上を転動させることによって行うことができる。
【0040】
こうして、カッタヘッド本体1の中央カッタ板部2が除去されると、外周カッタ板部3はトンネル掘削壁面に内嵌、支持された状態で残り、この外周カッタ板部3の内周面で囲まれた中央カッタ板部2の除去跡、即ち、抜き取り跡に図7に示すように空間部28が設けられた状態となる。そして、この空間部28を作業空間に利用して、この外周カッタ板部3の解体、撤去を行う。
【0041】
まず、この外周カッタ板部3を形成している複数のカッタピース31〜35において、上記作業空間部に向かって、即ち、カッタヘッド本体1の中心に向かって抜き取り可能に組み込んでいるキーカッタピース35、36を回収、撤去する。この際、これらのカッタピース31〜35の分解作業の安全性、作業性を考慮して、予め、トンネル掘削作業が完了した時点でキーカッタピース35、36が上部に位置した状態となるようにカッタヘッドを回動、停止させておく。そして、下部側のカッタピース34を足場として上部側のカッタピース31の両側壁部3e' 、3e' とキーカッタピース35、36の側壁部3e' 、3e' とを結合させているボルト9'を取り外すと共に、キーカッタピース35、36の側壁部3eと両側カッタピース32、33の側壁部3eとを結合させているボルト9'を取り外し、さらに、キーカッタピース35、36の外側周壁部3dとリング状外周部4とを結合しているボルト9'を取り外したのち、図8に示すように、これらのキーカッタピース35、36を隣接するカッタピース31と32間、及び31と33間から上記空間部28内に向かって引き抜くようにして回収、撤去する。
【0042】
次いで、上記空間部28を利用して上側カッタピース31の外側周壁部3dをリング状外周部4の内周面に結合させているボルト9'を取り外したのち、図9に示すように該上側カッタピース31を回収、撤去すると共に、両側カッタピース32、33も同様にして下側カッタピース34の両側壁部3e、3eに対してボルト9'によって結合している側壁部3e、3eを該ボルト9'を取り外すことによってその結合を解き、さらに、その外側周壁部3dとリング状外周部4とを結合しているボルト9'を取り外したのち、図10に示すように、回収、撤去し、しかるのち、下側カッタピース34の外側周壁部3dとリング状外周部4との結合ボルト9'を取り外して図11に示すように該下側カッタピース34を回収、撤去する。
【0043】
こうして、外周カッタ板部3を複数のカッタピース31〜36に解体してトンネル覆工体S内を通じて発進立坑側に搬出、回収し、次のトンネル工事を行う際に、再び、カッタヘッドの外周カッタ板部3として使用する。一方、カッタヘッド本体1のリング状外周部4は回収することなく図12に示すように、外胴11と共にトンネル掘削壁面の覆工材の一部として残しておく。なお、以上の実施の形態においては、カッタヘッド本体1における外周カッタ板部3を構成している複数のカッタピース31〜36のうち、キーカッタピースを2個、組み込んでいるが、1個だけであってもよく、また、リング状外周部4を各カッタピース31〜36に応じて複数分割してそれぞれのカッタピースの外周面に一体に設けた外周カッタ板部3の構造としておいてもよい。
【0044】
また、外周カッタ板部3はその外径がトンネル覆工体Sの内径よりも小径に形成されている場合には、上記のように複数のカッタピース31〜36に分割しておくことなく、一体構造の円環形状にしてトンネル築造後、該外周カッタ板部3を中央カッタ板部2と一体に回収するように構成しておけばよい。
【0045】
さらに、トンネル掘削壁面に残置しておくリング状外周部4の後端面と外胴11の前端面との間に生じている隙間は、掘削機本体10と外胴11との連結を解いた後に、掘削機本体10を回収する際又は回収後に、推進ジャッキ18を伸長させることにより、トンネル覆工体Sを支点として該推進ジャッキ18を装着している外胴11全体を前進させ、その前端面をリング状外周部4の後端面に当接させることよって閉じられる。
【0046】
以上の実施の形態においては面板タイプのカッタヘッドの構造について説明したが、スポークタイプのカッタヘッド1'についても同様な構造に構成されている。即ち、図13は推進工法によってトンネルを掘削するトンネル掘削機の縦断側面図、図14はそのカッタヘッドの正面図であって、このカッタヘッドは、掘削機本体10' の隔壁16a に回転自在に支持された回転中心軸13' の先端部に、該回転中心軸13' の軸心に対して直角方向である径方向に向かって長さがトンネル覆工体S'の内径の半径よりも短い複数本(図においては4本)の内側スポーク体部2'を放射状に突設していると共に、この内側スポーク体部2'の外端面(先端面)に外端面がトンネル掘削機の外胴11の内面近傍部に達する外側スポーク体部3'の内端面をボルト9aによって取り外し可能に連結してなるカッタヘッド本体1'と、このカッタヘッド本体1'における上記4本の外側スポーク体部3'の外端面にボルト9bによってその内周面における四方内面を取り外し可能に連結している外径が上記外胴11と略同径のリング状外周部4'とから構成されている。
【0047】
さらに、上記カッタヘッド本体1'における内側スポーク体部2'による掘削径はトンネル覆工体S'の内径よりも小径で、外側スポーク体部3'による掘削径はトンネル覆工体S'の内径よりも大径に形成されている。なお、これらの内外側スポーク体部2'、3'とリング状外周部4'の前面には複数本のカッタビット6を突設している。
【0048】
上記トンネル掘削機の構造を簡単に説明すると、外径がトンネル掘削径と略同径に形成された円筒形状の鋼管からなる上記外胴11と、この外胴11の内径がトンネル覆工体S'の内径よりも僅かに小径の二重管構造に形成されている前部内周面にその外周面を後方へ引き出し可能に挿嵌させている掘削機本体10' の内胴16と、この内胴16の内周面に外周端を一体に固着している上記隔壁16a と、この隔壁16a に回転自在に支持された先端部に上記カッタヘッド1'を一体に設けている上記回転中心軸13' と、カッタヘッドの駆動モータ12と、方向修正ジャッキ19と、スクリューコンベアからなる掘削土砂排出手段20a と、掘削機本体10' の後端部を外胴11の後部内周面に固定、支持させる推進力伝達部材13とから構成されている。
【0049】
このように構成したトンネル掘削機を発進立坑内に設置すると共に一定長のヒューム管等からなる管体pを上記方向修正ジャッキ19を介して接続し、駆動モータ12を駆動してカッタヘッドを回転させると共に管体pの後端面を発進立坑内に配設している複数本の推進ジャッキからなる推進手段によって押し進めてトンネルを掘削しながら、一定長のトンネル掘削毎に管体pを継ぎ足してトンネル掘削機を掘進させ、管体列によってトンネル覆工体S'を形成していく。
【0050】
次に、所定長のトンネルの掘削後、掘削機本体10' を回収するには、まず、掘削土砂排出手段20a を取り外して発進立坑側に回収、撤去したのち、内側スポーク体部2'と外側スポーク体部3'とを結合しているボルト9aを取り外して内側スポーク体部2'を外側スポーク体部3'の内周面に接して後退可能にする一方、外側スポーク体部3'をリング状外周部4'に連結、支持させておき、また、推進力伝達部材23を取り外す。
【0051】
しかるのち、掘削機本体10' にガイドローラ等を装着してこの掘削機本体10' を図15に示すように後方に牽引することにより、発進立坑側に回収、撤去すると共に方向修正ジャッキ19も回収する。次いで、外側スポーク体部3'をリング状外周部4'から取り外して回収撤去する。なお、この外側スポーク体部3'は、掘削機本体10' を回収する前に、その内外周面を内側スポーク体部2'とリング状外周部4'とに連結しているボルト9a、9bを取り外すことによって先に回収、撤去しておき、しかるのち、内側スポーク体部2'を掘削機本体10' と共に後方に回収、撤去してもよい。
【0052】
なお、このスポークタイプのカッタヘッドにおいては、内側スポーク体部2'に外側スポーク体部3'をボルトを介して継ぎ足すことにより拡径し、該外側スポーク体部3'を取り外すことによって縮径させるように構成しているが、内側スポーク体部2'に外側スポーク体部3'をジャッキによって出没自在に配設して外径を拡縮させるように構成しておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】トンネル掘削機の前半部分の縦断側面図。
【図2】カッタ板の正面図。
【図3】図2におけるA−A線断面図。
【図4】図2におけるB−B線断面図。
【図5】トンネル掘削機全体の縦断側面図。
【図6】掘削機本体を回収している状態の簡略縦断側面図。
【図7】中央カッタ板部を除去した後のカッタ板の外周カッタ板部の正面図。
【図8】キーカッタピースを撤去している外周カッタ板部の正面図。
【図9】上側カッタピースを撤去している状態の正面図。
【図10】両側カッタピースを撤去している状態の正面図。
【図11】下側カッタピースを撤去している状態の正面図。
【図12】トンネル掘削壁面に残置させたリング状外周部の簡略縦断側面図。
【図13】推進工法によってトンネルを掘削するトンネル掘削機の縦断側面図。
【図14】そのカッタヘッドの正面図。
【図15】掘削機本体を回収している状態の簡略縦断側面図。
【符号の説明】
【0054】
1 カッタヘッド本体
2 中央カッタ板部
3 外周カッタ板部
4 リング状外周部
10 掘削機本体
31〜34 カッタピース
35、36 キーカッタピース
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中にトンネルを掘削したのち、該トンネル内を通じて掘削機本体と一体的に回収し、再使用を可能にしたトンネル掘削機のカッタヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発進立坑側からトンネル掘削機によって地中にトンネルを掘削しながら該掘削壁面にトンネル覆工体を施工していくトンネル工事においては、該トンネル掘削機が到達立坑に達すると、この到達立坑内から地上に回収して再利用することが行われているが、到達側に既存の人孔が設けられていたり、周辺に建物等が存在していて到達立坑が設けられない場合や2基のトンネル掘削機を地中でドッキングさせる場合のように到達立坑を設けない場合、或いは、到達立坑が未完成の場合や既設の長い管路にトンネル掘削機を直交させるように到達させた場合等には、トンネル掘削機を発進立坑側に向かって後退させて回収しなければならない。
【0003】
このような回収型のトンネル掘削機としては、例えば、特許文献1に記載されているように、外径がトンネル径と同径の外胴と、この外胴内に後方に向かって引き出し可能に配設された掘削機本体とからなるトンネル掘削機が知られており、該掘削機本体は上記外胴の内面に着脱自在に係止した円筒形状の内胴と、該内胴の前部に一体に設けている隔壁に回転自在に支持されたカッタヘッドと、このカッタヘッドの駆動手段と、カッタヘッドによって掘削された掘削土砂の排出手段とを備えていると共に上記カッタヘッドを縮径可能に形成している。
【0004】
そして、このトンネル掘削機によって所定長さまでトンネルを掘削すると、上記掘削土砂排出手段をトンネル覆工体内を通じて回収、撤去すると共に、カッタヘッドをトンネル覆工体の内径以下にまで縮径させ、且つ、外胴に対する内胴の係止を解いたのち、該外胴を掘削壁面に残した状態で掘削機本体をトンネル覆工体内を通じて後方に回収、撤去している。
【0005】
このように構成したトンネル掘削機において、上記縮径可能なカッタヘッドの構造としては、複数個のカッタビットを前方に向かって突設している数本のスポーク体を、駆動モータによって回転駆動される回転中心軸の先端部から外径方向に放射状に設けてこれらのスポーク体によってトンネル覆工体の内径よりも小径のトンネル中央部分を掘削する中央カッタヘッド部を形成すると共に、各スポーク体の突出端面に、前方に向かって複数個のカッタビットを突設しているスポーク片を着脱自在に取付けて、これらのスポーク片によってトンネル覆工体の外径に等しいトンネル径を掘削するように構成している。
【0006】
一方、上記トンネル掘削機のカッタ板はスポークタイプであるから、自立性に優れた硬質の地盤の掘削に適していても、崩壊しやすい軟弱地盤や地下水の発生しやすい地盤の掘削には不適である。このような崩壊性の地盤を掘削するには、所謂、面板タイプのカッタ板が使用され、このカッタ板を回収型のトンネル掘削機に適用するには、外径がトンネル覆工体の内径よりも小径の中央カッタ板部と、この中央カッタ板部の外周面に、例えば、特許文献2に記載されているように円環形状の外周カッタ板部を着脱自在に連結し、この外周カッタ板部によってトンネル覆工体の外径に等しいトンネル径を掘削するように構成している。
【特許文献1】特許第3439745号公報
【特許文献2】特許第2038809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の回収型トンネル掘削機におけるカッタヘッドによれば、掘削機本体の回収時にスポーク体からスポーク片を取り外してカッタヘッドの外径をトンネル覆工体の内径よりも小径にしたのち、トンネル掘削機の外胴をトンネル掘削壁面に残置した状態で、掘削機本体を縮径したカッタヘッドと共に該外胴内からトンネル覆工体内を通じて発進立坑側に回収、撤去すると、トンネル掘削壁面に残置させている上記外胴から前方側のトンネル掘削壁面部分がトンネル内に露出した状態となっているため、その掘削壁面部の地盤がトンネル内に崩落する虞れが生じ、この壁面部に何らかの覆工処理を施す必要がある。
【0008】
一方、面板タイプのカッタ板によれば、外周カッタ板部は円環形状に形成されているので、トンネル掘削時においてトンネル掘削壁面に残置させておくと、その外周面で切羽近傍部のトンネル掘削壁面を覆工して土留機能を発揮させることができるが、そうすると、この外周カッタ板部の再使用ができなくなって極めて不経済であるばかりでなく、その内周部分がトンネル内に大きく突出した状態となるので、この部分の切除作業等を必要とするといった問題点がある。
【0009】
さらに、上記円環形状の外周カッタ板部は分解不能であるから、特許文献1のスポーク片のようにトンネル覆工体内を通じて発進立坑側に回収することができず、到達立坑側に残置させて該到達立坑を通じて回収可能としたトンネル築造方法にした採用することができない。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、トンネル掘削後に縮径したカッタヘッドと一体的に掘削機本体を発進立坑側に回収、撤去した際に、トンネル掘削壁面にトンネル掘削機の外胴と共に残置させて土留や止水機能を発揮する仮覆工部材として使用ずくことができるトンネル掘削機のカッタヘッドの構造を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明のトンネル掘削機のカッタヘッドは、請求項1に記載したように、掘削したトンネルの覆工体内を通じて掘削機本体と一体に回収されるトンネル掘削機のカッタヘッドであって、外径が上記トンネル覆工体の内径よりも小径となるように縮径可能に形成しているカッタヘッド本体と、その外周端に着脱自在に取付けられ、トンネル掘削機の外胴と共にトンネル掘削壁面に残置させるリング状外周部とを備えていることを特徴とする。
【0012】
このように構成したトンネル掘削機のカッタヘッドにおいて、請求項2に係る発明は、カッタヘッド本体を、外径がトンネル覆工体の内径よりも小径の中央カッタ板部と、この中央カッタ板部の外周面に取り外し可能に被嵌させている円環形状の外周カッタ板部とから形成し、この外周カッタ板部の外周面にリング状外周部を取り外し可能に被嵌させていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、上記請求項2に記載のカッタヘッドにおいて、その円環形状の円環形状の外周カッタ板部を複数の分割カッタピースから構成し、隣接するカッタピース同士をボルトにより着脱自在に結合していると共に、これらのカッタピースの少なくとも一つに、両側面間の幅が内周側から外周側に向かって徐々に幅狭くなるように形成したキーカッタピースを備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明は、カッタヘッド本体を、掘削機本体の回転中心軸の先端部から径方向に放射状に突設し、且つ、前面に複数個のカッタビットを装着してなる複数本の縮径可能なスポーク体から構成し、このスポーク体の外端面をリング状外周部の内周面に取り外し可能に連結していることを特徴とする。
【0015】
このように構成した請求項4に記載のカッタヘッドにおいて、上記スポーク体を、長さが上記トンネル覆工体の内径の半径よりも短い内側スポーク体部と、この内側スポーク体部の外端面に内端面を取り外し可能に固定している外側スポーク体部とから構成し、外側スポーク体部の外端面をリング状外周部の内周面に取り外し可能に連結していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に係る発明によれば、カッタヘッド本体の外径をトンネル覆工体の内径よりも小径となるように縮径可能に形成していると共に、このカッタヘッド本体の外周端に、トンネル掘削機の外胴と共にトンネル掘削壁面に残置させるリング状外周部を着脱自在に取付けているので、回収する際に、カッタヘッド本体の外周端をリング状外周部からの連結を解いて該カッタヘッド本体を縮径させたのち、掘削機本体を後退させることによってカッタヘッド本体を掘削機本体と一体に簡単に回収することができるのは勿論、外径がトンネル覆工体の内径よりも大径に形成されていてこのトンネル覆工体内を通じて回収することができないリング状外周部をトンネル掘削壁面に残置しておくように構成しているので、該リング状外周部がトンネル掘削壁面の仮覆工部材としての機能を発揮して該部からの地盤の崩落や地下水の浸入等を確実に防止することができ、また、このリング状外周部からの連結を解いた上記カッタヘッド本体の回収作業が円滑且つ確実に行うことができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、上記カッタヘッド本体は、外径がトンネル覆工体の内径よりも小径の中央カッタ板部と、この中央カッタ板部の外周面に取り外し可能に被嵌させている円環形状の外周カッタ板部とからなり、この外周カッタ板部の外周面にリング状外周部を取り外し可能に被嵌させているので、崩壊しやすい軟弱地盤や地下水の発生しやすい地盤の掘削には適した面板タイプのカッタヘッド、即ち、カッタ板であって、そのリング状外周部をトンネル掘削面に残置させておくことができるカッタ板を構成することができ、このリング状外周部の内周面にその外周面を取り外し可能に嵌合させている上記円環形状の外周カッタ板部として、その外径をトンネル覆工体の内径よりも小径に形成した構造としておくことにより、或いは、該外周カッタ板部を複数分割可能に構成しておくことにより、トンネル覆工体内を通じての回収作業が確実に行うことができる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、上記請求項2に記載の円環形状の外周カッタ板部を複数のカッタピースに分割し、隣接するカッタピース同士をボルトにより着脱自在に結合していると共に、これらのカッタピースの少なくとも一つに、両側面間の幅が内周側から外周側に向かって徐々に幅狭くなるように形成したキーカッタピースを備えているので、中央カッタ板部を掘削機本体と一体的に回収、撤去したのちトンネル覆工体の内径よりも外径を大径に形成しているこの外周カッタ板部を解体する際に、各カッタピースを、互いに結合した接合面をガイドとしてカッタ板の径方向に直交する方向、即ち、トンネル長さ方向に引き出しながら解体するような作業を必要とすることなく、まず、上記キーカッタピースを隣接する両側のカッタピースとの結合を解いたのち、中央カッタ板部の除去跡である空間部に向かって抜き取ることにより、該空間部を利用して簡単に撤去、回収することができ、しかるのち、このキーカッタピースと結合していたカッタピースを始め、複数個のカッタピースを上記空間部を利用して順次、能率よく回収、撤去することができる。
【0019】
従って、トンネル築造後において、カッタ板の後方側にトンネル掘削機の外胴がトンネル掘削壁面を被覆、支保した状態で残置されているにもかかわらず、この外胴に邪魔されることなく、さらには、前方に作業空間が殆ど存在しない場合においても、中央カッタ板部の除去跡の空間部を利用して、トンネル覆工体の内径よりも外径が大径のこの外周カッタ板部を円滑且つ確実に分解、回収することができ、次のトンネル築造に再使用することができる。
【0020】
一方、請求項4に係る発明によれば、上記カッタヘッド本体は、回転中心軸の先端部から径方向に放射状に突設し、且つ、前面に複数個のカッタビットを装着してなる複数本の縮径可能なスポーク体からなり、このスポーク体の外端面をリング状外周部の内周面に取り外し可能に連結しているので、自立性に優れた硬質の地盤の掘削に適したスポークタイプのカッタヘッドであって、そのリング状外周部をトンネル掘削面に残置させておくことができるカッタヘッドを構成することができる。
【0021】
このように構成したスポークタイプのカッタヘッド本体において、請求項5に係る発明によれば、上記スポーク体を、長さがトンネル覆工体の内径の半径よりも短い内側スポーク体部と、この内側スポーク体部の外端面に内端面を取り外し可能に固定している外側スポーク体部とからなり、外側スポーク体部の外端面をリング状外周部の内周面に取り外し可能に連結しているので、外側スホーク体部の外端面をリング状外周部の内周面に連結、支持させた状態にしてこの外側スポーク体部から内側スポーク体部の連結を解くことができ、従って、内側スポーク体部を掘削機本体と一体に回収する作業を能率よく行えると共に、この内側スポーク体部の回収後、外側スポーク体部をリング状外周部から取り外してトンネル覆工体内を通じて容易に回収、撤去することができ、次のトンネル築造時に再び使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1は面板タイプのカッタヘッドを備えたトンネル掘削機の前半部分の縦断側面図、図2はそのカッタヘッドの正面図であって、このカッタヘッドは外径が後述するトンネル覆工体Sの内径よりも小径に形成されている円板形状の中央カッタ板部2と、この中央カッタ板部2の外周面に内周面を嵌合させてボルト9により取り外し可能に結合している円環形状の外周カッタ板部3とからなるカッタヘッド本体1と、このカッタヘッド本体1の上記外周カッタ板部3の外周面に内周面を嵌合させてボルト9'により結合している円形のリング状外周部4とから構成している。さらに、カッタヘッド本体1における上記リング状外周部4の外径はトンネル掘削機の外胴11の外径に等しい径に形成していると共に、内径はトンネル覆工体Sの内径よりも大径に形成されている。従って、このリング状外周部4の内周面に結合している外周カッタ板部3の外径もトンネル覆工体Sの内径よりも大径に形成されている。
【0023】
上記中央カッタ板部2は、円形の前面板部の外周縁に後方、即ち、トンネル覆工体S側に向かって前面板部に対し直角に屈折した一定幅のリング状周壁2cを突設していると共にその中心部を、掘削機本体10に装着している駆動モータ12によって回転駆動される回転中心軸13の前端部外周面に一体に固着してあり、さらにその前面板部に中心部から上記リング状周壁2cの前端部内周面に亘って、周方向に一定間隔を存した一対の土砂取入れ開口部5、5を複数対(図においては4対)、放射状に設けてこれらの各対の互いに平行な開口部5、5間をスポーク形状の面板部2aに形成していると共に、隣接するスポーク形状の面板部2a、2a間に上記開口部5を介して中空扇形状の面板部2bを形成している。そして、スポーク形状の面板部2aの両側端縁と中央部とにカッタビット6を径方向に一定間隔毎に前方に向かって突設している。
【0024】
一方、上記外周カッタ板部3は、周方向に複数の扇形状カッタピース31〜36に分割されていて、隣接するカッタピースの対向する側面同士を接合してボルト9'により着脱自在に順次結合することによって円環形状に形成されていると共に、各カッタピース31〜36の内周面を上記中央カッタ板部2のリング状周壁2cにおける対向する外周面にボルト9によって着脱自在に結合してあり、さらに、この外周カッタ板部3の外周面を上記円形のリング状外周部4の内周面にボルト9'によって取り外し可能に結合している。
【0025】
詳しくは、各カッタピース31〜36は、その前面板部の周縁、即ち、周方向に円弧状に湾曲した内外周縁部と直線状の両側縁部とに、一定幅の内外周壁部3c、3dと両側壁部3e、3eとをそれぞれ前面板部に対して直角に屈折させて後方に向かって突設している。そして、隣接するカッタピースにおける対向する側壁部3e、3e同士を接合させてボルト9'により順次、周方向に結合、連結することにより円環形状の外周カッタ板部3を形成していると共に、円弧状に湾曲している内側周壁部3cの内周面を上記中央カッタ板部2のリング状周壁2cにおける外周面に接合してボルト9により着脱自在に結合している。
【0026】
さらに、各カッタピース31〜36における周方向に円弧状に湾曲した外側周壁部3dの外周面を、この周壁部3dと前後方向の幅が同一幅に形成されている上記リング状外周部4の内周面に接合して該周壁部3dをボルト9'によりリング状外周部4の内周面に取り外し可能に結合している。なお、中央カッタ板部2のリング状周壁2cとカッタピース31〜36の内側周壁部3cとの結合は、これらの周壁2cと周壁部3cとに周方向に一定間隔毎にボルト取付孔7(図3に示す)を設け、該ボルト取付孔7、7間にボルト9を挿通してナット8を螺合することにより行われてあり、隣接するカッタピースの側壁部3e、3e同士の結合は、図4に示すように互いに接合する一方の側壁部3eの複数箇所にボルト挿通孔7'を、他方の側壁部3eにこれらのボルト挿通孔7'と対向する螺子孔8'をそれぞれ設けて、ボルト挿通孔7'から該螺子孔8'にボルト9'を螺合させることにより行っている。
【0027】
同様に、上記各カッタピース31〜36の外側周壁部3dに周方向に一定間隔毎に該周壁部3dの内外周面に亘って貫通したボルト挿通孔7'を設ける一方、リング状外周部4の内周面にこれらのボルト挿通孔7'と対向する螺子孔8'を設けて、ボルト挿通孔7'から該螺子孔8'にボルト9'を螺締することにより、カッタピース31〜36をリング状外周部4に対して取り外し可能に結合している。
【0028】
上記中央カッタ板部2と外周カッタ板部3とはその形状を左右対称となるように形成されてあり、詳しくは、図2に示すように中央カッタ板部2は上記スポーク形状の面板部2aをカッタ板1の回転中心軸13から周方向に互いに90度の角度間隔を存して四方に放射状に突設していると共に、外周カッタ板部3は、基本的には上下左右に同大、同形のカッタピース31〜34に4等分されてあり、そのうちの1つのカッタピース31の両側部をキーカッタピース35、36に形成している。
【0029】
具体的には、両側に上記キーカッタピース35、36を配設しているカッタピース31をカッタ板1の上周部側に配設した状態において、このカッタ板1の両側部に左右に対称的に配設している両側のカッタピース32、33は、その周方向の中央部に、中央カッタ板部2における両側のスポーク形状の面板部2aとこの面板部2aを挟むように設けている上記対の開口部5、5との延長方向に、中央カッタ板部2のリング状周壁2cとこれらのカッタピース32、33の内側周壁部3cとを介してスポーク形状の中央面板部3aとこの中央面板部3aを挟んだ互いに平行な一対の開口部5'、5'とをそれぞれ設けていると共に、周方向の両側端部に該開口部5'と同じ形状の開口部5'を設けてあり、さらに、これらの開口部5'を設けた面板部の端縁部に前方に向かって複数個のカッタビット6を突設している。
【0030】
同様に、下周部側に配設したカッタピース34は、その周方向の中央部に、中央カッタ板部2における下側のスポーク形状の面板部2aとこの面板部2aを挟むように設けている上記対の開口部5、5との延長方向に、中央カッタ板部2のリング状周壁2cと該カッタピース34の内側周壁部3cとを介してスポーク形状の中央面板部3aとこの中央面板部3aを挟んだ互いに平行な一対の開口部5'、5'とをそれぞれ設けていると共に、周方向の両側端部に該開口部5'と同形の開口部5'を設けてあり、さらに、これらの開口部5'を設けた面板部の端縁部に前方に向かって複数個のカッタビット6を突設している。
【0031】
一方、両側部にキーカッタピース35、36を配設している上周部側のカッタピース31は、キーカッタピース35、36を備えた全体の形状としては上記カッタピース32〜34と同一形状に形成されているが、このカッタピース31に対して両側カッタピース35、36は分割されていて、カッタピース31の中央部に、上記中央カッタ板部2における上側のスポーク形状の面板部2aとこの面板部2aを挟むように設けている上記対の開口部5、5との延長方向に、中央カッタ板部2のリング状周壁2cと該カッタピース34の内側周壁部3cとを介してスポーク形状の中央面板部3aとこの中央面板部3aを挟んだ互いに平行な一対の開口部5'、5'とを設けてあり、両側キーカッタピース35、36にはその中央部に一つの開口部5'を内外周面間に亘って設けている。なお、これらの開口部5'を設けた面板部の端縁部に前方に向かって複数個のカッタビット6を突設している。また、上記リング状外周部4の前面にも複数個のカッタビット6を前方に向かって突設している。
【0032】
さらに、外周カッタ板部3における上記両側に配したカッタピース32、33の両側壁部3e、3eと、下周部側に配したカッタピース34の両側壁部3e、3e、及び、上記両側に配したカッタピース32、33の側壁部3eに接合したキーカッタピース35、36の一方の側壁部3eとは、カッタ板1の直径線上に設けられているが、上記上周部側に配設したカッタピース31の両側壁部3e' 、3e' と、この側壁部3e' に接合してボルト9'により結合しているキーカッタピース35、36の他方の側壁部3e' とは、その延長線上を中央カッタ板部2の垂直方向の直径線上における上部側に交差する方向に傾斜させてキーカッタピース35、36の周方向の幅を内周側から外周側に向かって徐々に幅狭くなるように、即ち、楔形状に形成している。
【0033】
なお、中央カッタ板部2におけるスポーク形状の任意の面板部2aの後面に、図1に示すように径方向に向けたジャッキ25を装着してあり、そのロッド26の先端に装着しているコピーカッタ27を、外周カッタ板部3の外側周壁部3dとリング状外周部4とを貫通してリング状外周部4から出没自在に突出させ、トンネル曲線部の施工等において、該コピーカッタ27により地山をオーバーカットするように構成している。
【0034】
次に、このように構成したカッタヘッドを備えている回収型のトンネル掘削機の構造を簡単に説明すると、図5に示すように、このトンネル掘削機は、泥水式シールド工法に使用される掘削機であって、外径がトンネル掘削径と略同径に形成された円筒形状の鋼管からなる外胴11と、この外胴11の前端部内周面にその外周端面を溶接等により一体に固着していると共に中央部に、トンネル掘削壁面に施工されたトンネル覆工体Sの内径よりも小径の円形孔15を設けている円環板形状の支持壁14と、この支持壁14の上記円形孔15にその短筒状内胴16をシール材17を介して後方に向かって引き出し可能に支持させている掘削機本体10と、上記外胴11の長さ方向の中間部内周面に周方向に一定間隔毎に配設された複数本の推進ジャッキ18及び方向修正ジャッキ19と、掘削土砂の排出手段である送排泥管20、21と、セグメントを組み立てるエレクタ22とから構成されている。
【0035】
掘削機本体10は上記短筒状内胴16の前端に該内胴16の開口端を密閉している隔壁16a を一体に設けていると共にこの隔壁16a の中心部に上記カッタ板1の回転中心軸13を回転自在に支持してあり、さらに、隔壁16a の後面にカッタヘッド本体1を回転駆動する駆動モータ12を装着してなるものである。この掘削機本体10の内胴16の後端部は、外胴11の内周面に取り外し可能に固定している推進反力受止部材23によって受止されている。
【0036】
このように構成したトンネル掘削機を発進立坑(図示せず)内に設置し、該カッタヘッドを回転させながら所定方向にトンネルTを掘進していく。そして、一定長のトンネルを掘削する毎に、エレクタ22により掘削壁面にセグメントを組み立てて掘削壁面を覆工し、このトンネル覆工体Sの前端面に推進ジャッキ18の推進反力を受止させて、該推進ジャッキ18を伸長させることによってトンネル掘削機を前進させる。この時、推進ジャッキ18による推進力は推進反力受止部材23を介して掘削機本体10に伝達され、カッタヘッドを切羽に押しつけながら地山を掘削する。
【0037】
カッタヘッドによって掘削された土砂は、該カッタヘッド本体1に設けている上記開口部5、5'を通じてカッタヘッドと掘削機本体10の隔壁16a との間の土砂室24内に取り込まれ、この土砂室24に連通している上記送排泥管20、21による還流泥水によって泥水と共にトンネル側に排出される。
【0038】
このトンネル掘削機によって所定位置まで掘削壁面にセグメントによる覆工を行いながらトンネルTを掘削したのち、該掘削機本体10をこのトンネル覆工体S内を通じて発進立坑側まで後退させて回収しなければならない場合、まず、エレクタ22や送排泥管20、21、推進ジャッキ18、方向修正ジャッキ19等を解体や取り外し等してトンネル覆工体S内を通じて後方に回収すると共に、推進反力受止部材23を取り外して外胴11に対する掘削機本体10の固定を解く一方、隔壁16a に設けている出入口(図示せず)を通じて作業員が土砂室24内に入り、カッタヘッド本体1の後方側から該カッタヘッド本体1における中央カッタ板部2の周壁2cと外周カッタ板部3の内側周壁部3cとを結合させているボルト9'を取り外す。なお、推進ジャッキ18や方向修正ジャッキ19は掘削機本体10の回収の邪魔にならない場合には掘削機本体10の回収後に撤去してもよい。
【0039】
次いで、掘削機本体10を後方に牽引してその短筒状内胴16を外胴11の内周面に固着している支持壁14の円形孔15から抜き取る。この際、カッタヘッド本体1における回転中心軸13の前端部に一体に設けている中央カッタ板部2は上述したように外周カッタ板部3に対する結合を解かれているので、図6に示すように掘削機本体10と一体的に後退し、支持壁14の円形孔15を通過して後方に移動する。この中央カッタ板部2を備えた掘削機本体10をトンネル覆工体S内を通じて発進立坑側に回収するには、例えば、支持壁14の円形孔15から抜き取られた掘削機本体10の内胴16の下周部と、円形孔15を通過した中央カッタ板部2の下周部とに、車輪(図示せず)を装着し、これらの車輪をトンネル覆工体Sの内底面上を転動させることによって行うことができる。
【0040】
こうして、カッタヘッド本体1の中央カッタ板部2が除去されると、外周カッタ板部3はトンネル掘削壁面に内嵌、支持された状態で残り、この外周カッタ板部3の内周面で囲まれた中央カッタ板部2の除去跡、即ち、抜き取り跡に図7に示すように空間部28が設けられた状態となる。そして、この空間部28を作業空間に利用して、この外周カッタ板部3の解体、撤去を行う。
【0041】
まず、この外周カッタ板部3を形成している複数のカッタピース31〜35において、上記作業空間部に向かって、即ち、カッタヘッド本体1の中心に向かって抜き取り可能に組み込んでいるキーカッタピース35、36を回収、撤去する。この際、これらのカッタピース31〜35の分解作業の安全性、作業性を考慮して、予め、トンネル掘削作業が完了した時点でキーカッタピース35、36が上部に位置した状態となるようにカッタヘッドを回動、停止させておく。そして、下部側のカッタピース34を足場として上部側のカッタピース31の両側壁部3e' 、3e' とキーカッタピース35、36の側壁部3e' 、3e' とを結合させているボルト9'を取り外すと共に、キーカッタピース35、36の側壁部3eと両側カッタピース32、33の側壁部3eとを結合させているボルト9'を取り外し、さらに、キーカッタピース35、36の外側周壁部3dとリング状外周部4とを結合しているボルト9'を取り外したのち、図8に示すように、これらのキーカッタピース35、36を隣接するカッタピース31と32間、及び31と33間から上記空間部28内に向かって引き抜くようにして回収、撤去する。
【0042】
次いで、上記空間部28を利用して上側カッタピース31の外側周壁部3dをリング状外周部4の内周面に結合させているボルト9'を取り外したのち、図9に示すように該上側カッタピース31を回収、撤去すると共に、両側カッタピース32、33も同様にして下側カッタピース34の両側壁部3e、3eに対してボルト9'によって結合している側壁部3e、3eを該ボルト9'を取り外すことによってその結合を解き、さらに、その外側周壁部3dとリング状外周部4とを結合しているボルト9'を取り外したのち、図10に示すように、回収、撤去し、しかるのち、下側カッタピース34の外側周壁部3dとリング状外周部4との結合ボルト9'を取り外して図11に示すように該下側カッタピース34を回収、撤去する。
【0043】
こうして、外周カッタ板部3を複数のカッタピース31〜36に解体してトンネル覆工体S内を通じて発進立坑側に搬出、回収し、次のトンネル工事を行う際に、再び、カッタヘッドの外周カッタ板部3として使用する。一方、カッタヘッド本体1のリング状外周部4は回収することなく図12に示すように、外胴11と共にトンネル掘削壁面の覆工材の一部として残しておく。なお、以上の実施の形態においては、カッタヘッド本体1における外周カッタ板部3を構成している複数のカッタピース31〜36のうち、キーカッタピースを2個、組み込んでいるが、1個だけであってもよく、また、リング状外周部4を各カッタピース31〜36に応じて複数分割してそれぞれのカッタピースの外周面に一体に設けた外周カッタ板部3の構造としておいてもよい。
【0044】
また、外周カッタ板部3はその外径がトンネル覆工体Sの内径よりも小径に形成されている場合には、上記のように複数のカッタピース31〜36に分割しておくことなく、一体構造の円環形状にしてトンネル築造後、該外周カッタ板部3を中央カッタ板部2と一体に回収するように構成しておけばよい。
【0045】
さらに、トンネル掘削壁面に残置しておくリング状外周部4の後端面と外胴11の前端面との間に生じている隙間は、掘削機本体10と外胴11との連結を解いた後に、掘削機本体10を回収する際又は回収後に、推進ジャッキ18を伸長させることにより、トンネル覆工体Sを支点として該推進ジャッキ18を装着している外胴11全体を前進させ、その前端面をリング状外周部4の後端面に当接させることよって閉じられる。
【0046】
以上の実施の形態においては面板タイプのカッタヘッドの構造について説明したが、スポークタイプのカッタヘッド1'についても同様な構造に構成されている。即ち、図13は推進工法によってトンネルを掘削するトンネル掘削機の縦断側面図、図14はそのカッタヘッドの正面図であって、このカッタヘッドは、掘削機本体10' の隔壁16a に回転自在に支持された回転中心軸13' の先端部に、該回転中心軸13' の軸心に対して直角方向である径方向に向かって長さがトンネル覆工体S'の内径の半径よりも短い複数本(図においては4本)の内側スポーク体部2'を放射状に突設していると共に、この内側スポーク体部2'の外端面(先端面)に外端面がトンネル掘削機の外胴11の内面近傍部に達する外側スポーク体部3'の内端面をボルト9aによって取り外し可能に連結してなるカッタヘッド本体1'と、このカッタヘッド本体1'における上記4本の外側スポーク体部3'の外端面にボルト9bによってその内周面における四方内面を取り外し可能に連結している外径が上記外胴11と略同径のリング状外周部4'とから構成されている。
【0047】
さらに、上記カッタヘッド本体1'における内側スポーク体部2'による掘削径はトンネル覆工体S'の内径よりも小径で、外側スポーク体部3'による掘削径はトンネル覆工体S'の内径よりも大径に形成されている。なお、これらの内外側スポーク体部2'、3'とリング状外周部4'の前面には複数本のカッタビット6を突設している。
【0048】
上記トンネル掘削機の構造を簡単に説明すると、外径がトンネル掘削径と略同径に形成された円筒形状の鋼管からなる上記外胴11と、この外胴11の内径がトンネル覆工体S'の内径よりも僅かに小径の二重管構造に形成されている前部内周面にその外周面を後方へ引き出し可能に挿嵌させている掘削機本体10' の内胴16と、この内胴16の内周面に外周端を一体に固着している上記隔壁16a と、この隔壁16a に回転自在に支持された先端部に上記カッタヘッド1'を一体に設けている上記回転中心軸13' と、カッタヘッドの駆動モータ12と、方向修正ジャッキ19と、スクリューコンベアからなる掘削土砂排出手段20a と、掘削機本体10' の後端部を外胴11の後部内周面に固定、支持させる推進力伝達部材13とから構成されている。
【0049】
このように構成したトンネル掘削機を発進立坑内に設置すると共に一定長のヒューム管等からなる管体pを上記方向修正ジャッキ19を介して接続し、駆動モータ12を駆動してカッタヘッドを回転させると共に管体pの後端面を発進立坑内に配設している複数本の推進ジャッキからなる推進手段によって押し進めてトンネルを掘削しながら、一定長のトンネル掘削毎に管体pを継ぎ足してトンネル掘削機を掘進させ、管体列によってトンネル覆工体S'を形成していく。
【0050】
次に、所定長のトンネルの掘削後、掘削機本体10' を回収するには、まず、掘削土砂排出手段20a を取り外して発進立坑側に回収、撤去したのち、内側スポーク体部2'と外側スポーク体部3'とを結合しているボルト9aを取り外して内側スポーク体部2'を外側スポーク体部3'の内周面に接して後退可能にする一方、外側スポーク体部3'をリング状外周部4'に連結、支持させておき、また、推進力伝達部材23を取り外す。
【0051】
しかるのち、掘削機本体10' にガイドローラ等を装着してこの掘削機本体10' を図15に示すように後方に牽引することにより、発進立坑側に回収、撤去すると共に方向修正ジャッキ19も回収する。次いで、外側スポーク体部3'をリング状外周部4'から取り外して回収撤去する。なお、この外側スポーク体部3'は、掘削機本体10' を回収する前に、その内外周面を内側スポーク体部2'とリング状外周部4'とに連結しているボルト9a、9bを取り外すことによって先に回収、撤去しておき、しかるのち、内側スポーク体部2'を掘削機本体10' と共に後方に回収、撤去してもよい。
【0052】
なお、このスポークタイプのカッタヘッドにおいては、内側スポーク体部2'に外側スポーク体部3'をボルトを介して継ぎ足すことにより拡径し、該外側スポーク体部3'を取り外すことによって縮径させるように構成しているが、内側スポーク体部2'に外側スポーク体部3'をジャッキによって出没自在に配設して外径を拡縮させるように構成しておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】トンネル掘削機の前半部分の縦断側面図。
【図2】カッタ板の正面図。
【図3】図2におけるA−A線断面図。
【図4】図2におけるB−B線断面図。
【図5】トンネル掘削機全体の縦断側面図。
【図6】掘削機本体を回収している状態の簡略縦断側面図。
【図7】中央カッタ板部を除去した後のカッタ板の外周カッタ板部の正面図。
【図8】キーカッタピースを撤去している外周カッタ板部の正面図。
【図9】上側カッタピースを撤去している状態の正面図。
【図10】両側カッタピースを撤去している状態の正面図。
【図11】下側カッタピースを撤去している状態の正面図。
【図12】トンネル掘削壁面に残置させたリング状外周部の簡略縦断側面図。
【図13】推進工法によってトンネルを掘削するトンネル掘削機の縦断側面図。
【図14】そのカッタヘッドの正面図。
【図15】掘削機本体を回収している状態の簡略縦断側面図。
【符号の説明】
【0054】
1 カッタヘッド本体
2 中央カッタ板部
3 外周カッタ板部
4 リング状外周部
10 掘削機本体
31〜34 カッタピース
35、36 キーカッタピース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削したトンネルの覆工体内を通じて掘削機本体と一体に回収されるトンネル掘削機のカッタヘッドであって、外径が上記トンネル覆工体の内径よりも小径となるように縮径可能に形成しているカッタヘッド本体と、その外周端に着脱自在に取付けられ、トンネル掘削機の外胴と共にトンネル掘削壁面に残置させるリング状外周部とを備えていることを特徴とするトンネル掘削機のカッタヘッド。
【請求項2】
カッタヘッド本体は、外径がトンネル覆工体の内径よりも小径の中央カッタ板部と、この中央カッタ板部の外周面に取り外し可能に被嵌させている円環形状の外周カッタ板部とからなり、この外周カッタ板部の外周面にリング状外周部を取り外し可能に被嵌させていることを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機のカッタヘッド。
【請求項3】
円環形状の外周カッタ板部は複数のカッタピースに分割されていて隣接するカッタピース同士をボルトにより着脱自在に結合していると共に、これらのカッタピースの少なくとも一つに、両側面間の幅が内周側から外周側に向かって徐々に幅狭くなるように形成したキーカッタピースを備えていることを特徴とする請求項2に記載のトンネル掘削機のカッタヘッド。
【請求項4】
カッタヘッド本体は、回転中心軸の先端部から径方向に放射状に突設し、且つ、前面に複数個のカッタビットを装着してなる複数本の縮径可能なスポーク体からなり、このスポーク体の外端面をリング状外周部の内周面に取り外し可能に連結していることを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機のカッタヘッド。
【請求項5】
スポーク体は、長さが上記トンネル覆工体の内径の半径よりも短い内側スポーク体部と、この内側スポーク体部の外端面に内端面を取り外し可能に固定している外側スポーク体部とからなり、外側スポーク体部の外端面をリング状外周部の内周面に取り外し可能に連結していることを特徴とする請求項4に記載のトンネル掘削機のカッタヘッド。
【請求項1】
掘削したトンネルの覆工体内を通じて掘削機本体と一体に回収されるトンネル掘削機のカッタヘッドであって、外径が上記トンネル覆工体の内径よりも小径となるように縮径可能に形成しているカッタヘッド本体と、その外周端に着脱自在に取付けられ、トンネル掘削機の外胴と共にトンネル掘削壁面に残置させるリング状外周部とを備えていることを特徴とするトンネル掘削機のカッタヘッド。
【請求項2】
カッタヘッド本体は、外径がトンネル覆工体の内径よりも小径の中央カッタ板部と、この中央カッタ板部の外周面に取り外し可能に被嵌させている円環形状の外周カッタ板部とからなり、この外周カッタ板部の外周面にリング状外周部を取り外し可能に被嵌させていることを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機のカッタヘッド。
【請求項3】
円環形状の外周カッタ板部は複数のカッタピースに分割されていて隣接するカッタピース同士をボルトにより着脱自在に結合していると共に、これらのカッタピースの少なくとも一つに、両側面間の幅が内周側から外周側に向かって徐々に幅狭くなるように形成したキーカッタピースを備えていることを特徴とする請求項2に記載のトンネル掘削機のカッタヘッド。
【請求項4】
カッタヘッド本体は、回転中心軸の先端部から径方向に放射状に突設し、且つ、前面に複数個のカッタビットを装着してなる複数本の縮径可能なスポーク体からなり、このスポーク体の外端面をリング状外周部の内周面に取り外し可能に連結していることを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機のカッタヘッド。
【請求項5】
スポーク体は、長さが上記トンネル覆工体の内径の半径よりも短い内側スポーク体部と、この内側スポーク体部の外端面に内端面を取り外し可能に固定している外側スポーク体部とからなり、外側スポーク体部の外端面をリング状外周部の内周面に取り外し可能に連結していることを特徴とする請求項4に記載のトンネル掘削機のカッタヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−169945(P2007−169945A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366207(P2005−366207)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【Fターム(参考)】
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