説明

ドア開閉装置

【課題】組立作業を煩雑にすることなく、駆動手段によるドア移動時における異物の挟み込みを防止できるドア開閉装置を提供する。
【解決手段】車両本体Bの開口DOを開閉可能に設けたドアDと、動力によりドアDを開閉移動する駆動手段10と、ロック状態の場合に全閉状態にあるドアDの開移動を禁止し、アンロック状態の場合に全閉状態にあるドアDの開移動を許容するラッチ操作ユニット100とを備えたドア開閉装置において、ドアDに設けてあり、ロック位置に移動した場合にラッチ操作ユニット100をロック状態とする一方、アンロック位置に移動した場合にラッチ操作ユニット100をアンロック状態とするロックノブRNと、ロックノブRNの移動を検知可能な検知手段S4と、駆動手段10によるドアDの移動中に検知手段S4がロックノブRNの移動を検知した場合に、駆動手段10によるドアDの移動を停止する制御手段500とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両本体に設けたドアを駆動手段の動力により開閉移動するドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に車両本体に設けたドアの開閉移動を許容するドア開閉装置には、全閉状態にあるドアの開移動を規制するラッチ操作ユニットが設けてある。ラッチ操作ユニットは、ロック状態とアンロック状態とに切り替え可能に構成してあり、ロック状態の場合には全閉状態にあるドアの開移動を禁止する一方、アンロック状態の場合には全閉状態にあるドアの開移動を許容する。このラッチ操作ユニットはドアに設けたロックノブを操作することにより、ロック状態/アンロック状態に切り替えることが可能である。このようなドア開閉装置では、ロックノブの移動を検知可能な検知手段が設けてある。
【0003】
この種のドア開閉装置には、駆動手段の動力を用いて車両に設けたドアを開閉移動するものが知られている。このドア開閉装置は、運転席やワイヤレスリモコンに設けたスイッチを操作することにより駆動手段の動力によって全開位置にあるドアを閉移動して全閉状態とする一方、全閉位置にあるドアを開移動して全開状態とするものである。
【0004】
上述のドア開閉装置では、ドアに設けたアームレストに荷重センサを設けたものが知られている。このドア開閉装置は、駆動手段によるドアの移動中に荷重センサが荷重を検出した場合、駆動手段によるドアの移動を停止することにより、ドアと車両本体との間の異物の挟み込みを防止するものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−303575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1のドア開閉装置では、ドア移動時における異物の挟み込みを防止することができるが、ドアに荷重センサを設ける必要があるため、組立作業が煩雑になる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、組立作業を煩雑にすることなく、駆動手段によるドア移動時における異物の挟み込みを防止できるドア開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るドア開閉装置は、車両本体の開口を開閉可能に設けたドアと、動力により前記ドアを開閉移動する駆動手段と、ロック状態とアンロック状態とに切り替え可能であり、ロック状態の場合に全閉状態にあるドアの開移動を禁止し、アンロック状態の場合に全閉状態にあるドアの開移動を許容するラッチ操作ユニットとを備え、前記ラッチ操作ユニットがアンロック状態である場合に、全閉状態にあるドアを前記駆動手段により開移動可能なドア開閉装置において、前記ドアに設けてありロック位置とアンロック位置とに移動操作可能であって、ロック位置に移動した場合に前記ラッチ操作ユニットをロック状態とする一方、アンロック位置に移動した場合に前記ラッチ操作ユニットをアンロック状態とするロックノブと、前記ロックノブの移動を検知可能な検知手段と、前記駆動手段による前記ドアの移動中に前記検知手段が前記ロックノブの移動を検知した場合に、前記駆動手段による前記ドアの移動を停止する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上述したドア開閉装置において、前記ドアは車両本体に沿って開閉移動するスライドドアであり、前記ロックノブの移動方向は前記スライドドアの開閉方向と同一方向であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上述したドア開閉装置において、前記ロックノブは、ロック位置に対してアンロック位置が前記スライドドアの開方向に位置し、前記制御手段は、前記駆動手段による前記スライドドアの開移動中に前記検知手段が前記ロックノブのアンロック位置からロック位置への移動を検知した場合に、前記駆動手段による前記ドアの移動を停止することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述したドア開閉装置において、前記スライドドアの車両室内側に上下方向に延在して設けてあり、前記スライドドアを開閉操作するインサイドハンドルと、前記インサイドハンドルの操作の有無を検出する操作検出手段とを備え、前記ロックノブは、上下方向に延在するインサイドハンドルの延長上に設けてあり、前記制御手段は、前記駆動手段による前記スライドドアの移動中に前記操作検出手段が前記インサイドハンドルの操作を検出した場合に、前記駆動手段による前記スライドドアの移動を停止することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るドア開閉装置は、車両本体の開口を開閉可能に設けたドアと、
動力により前記ドアを開閉移動する駆動手段と、ロック状態とアンロック状態とに切り替え可能であり、ロック状態の場合に全閉状態にあるドアの開移動を禁止し、アンロック状態の場合に全閉状態にあるドアの開移動を許容するラッチ操作ユニットとを備え、前記ラッチ操作ユニットがアンロック状態である場合に、全閉状態にあるドアを前記駆動手段により開移動可能なドア開閉装置において、前記ドアに設けてありロック位置とアンロック位置とに移動操作可能であって、ロック位置に移動した場合に前記ラッチ操作ユニットをロック状態とする一方、アンロック位置に移動した場合に前記ラッチ操作ユニットをアンロック状態とするロックノブと、前記ロックノブの位置を検知可能な検知手段と、全開位置から全開位置と全閉位置との間の所定位置までの前記ドアの移動領域において、前記駆動手段による前記ドアの閉移動中に前記検知手段が前記ロックノブの移動を検知した場合に、前記駆動手段による前記ドアの閉移動を維持し、所定位置から全閉位置までの前記ドアの移動領域において、前記駆動手段による前記ドアの閉移動中に前記検知手段が前記ロックノブの移動を検知した場合に、前記駆動手段による前記ドアの閉移動を停止する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上述したドア開閉装置において、前記制御手段は、前記駆動手段による前記ドアの移動を停止した後、前記駆動手段により前記ドアを反転移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るドア開閉装置は、駆動手段によるドアの移動中に検知手段がロックノブの移動を検知した場合に、駆動手段によるドアの移動を停止するように制御するものであるため、組立作業を煩雑にすることなく、駆動手段によるドア移動時における異物の挟み込みを防止することができる。
【0015】
また、本発明に係るドア開閉装置は、所定位置から全閉位置までのドアの移動領域において、駆動手段によるドアの閉移動中に検知手段がロックノブの移動を検知した場合に、駆動手段によるドアの閉移動を停止するように制御するものであるため、組立作業を煩雑にすることなく、駆動手段によるドア移動時における異物の挟み込みを防止することができる。更に、全開位置から所定位置までのドアの移動領域において、駆動手段によるドアの閉移動中に検知手段がロックノブの移動を検知した場合に、駆動手段によるドアの閉移動を維持するように制御するものであるため、全開位置からのスライドドアの閉移動直後に、ロックノブをアンロック位置からロック位置に操作した場合、またはインサイドハンドルの操作と同時に不意にロックノブを移動した場合における不要な停止をなくし、使用者の利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1であるドア開閉装置を適用した四輪自動車の概念図である。
【図2】図2は、図1に示す四輪自動車に適用したスライドドアの斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すラッチ操作ユニットを車両室内側から見た図である。
【図4】図4は、図3に示すラッチ操作ユニットの詳細構成を車両室内側から見た図である。
【図5】図5は、図3に示すラッチ操作ユニットの詳細構成を車両室外側から見た図である。
【図6】図6は、図3に示すラッチ操作ユニットのアンロック状態を示す概念図である。
【図7】図7は、図3に示すラッチ操作ユニットのロック状態を示す概念図である。
【図8】図8は、図3に示すラッチ操作ユニットに適用するロッキングレバーを車両室内側から見た図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態1であるドア開閉装置のインサイドハンドルおよびロックノブを示す斜視図である。
【図10】図10は、図9に示すロックノブのロック位置およびアンロック位置を示す図である。
【図11】図11は、インサイドハンドルが開操作された状態を示す断面図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態1であるドア開閉装置の構成要素を模式的に示したブロック図である。
【図13】図13は、制御手段が実施するスイッチ操作に基づく開移動制御処理を示したフローチャートである。
【図14】図14は、制御手段が実施するハンドル操作に基づく開移動制御処理を示したフローチャートである。
【図15】図15は、制御手段が実施するスイッチ操作に基づく閉移動制御処理を示したフローチャートである。
【図16】図16は、制御手段が実施するハンドル操作に基づく閉移動制御処理を示したフローチャートである。
【図17】図17は、本発明の実施の形態2であるドア開閉装置の構成要素を模式的に示したブロック図である。
【図18】図18は、本発明の実施の形態2である制御手段が実施するスイッチ操作に基づく閉移動制御処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、添付の図面を参照して本発明に係るドア開閉装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1であるドア開閉装置を適用した四輪自動車の概念図である。本実施の形態におけるドア開閉装置は、駆動手段10の動力により車両本体Bに設けたスライドドア(ドア)Dを車両本体Bの側方に沿って車両前方および車両後方に移動することにより車両本体Bの開口DOを開閉するものである。尚、ここでは車両本体Bの右側に配設するスライドドアD(右ハンドル車において運転席の後方側に配設するスライドドア)を適用対象として説明を行う。車両本体Bの左側に配設されるスライドドアに関しては、以下のものを対称に構成すればよい。
【0019】
駆動手段10は、スライドドアDを開閉移動するものであり、車両本体Bの内部空間に配設してある。駆動手段10は、モータ11と、クラッチ12とを備えており、ベースプレート(図示せず)を介して車両本体Bに固定してある。
【0020】
モータ11は、スライドドアDの駆動源を成すものであり、正逆転可能に構成してある。クラッチ12は、モータ11の動力をスライドドアDに伝達するものであり、モータ11の動力を伝達可能にする連結状態と、モータ11の動力の伝達を遮断する遮断状態とに電気的に切り替え可能に構成してある。駆動手段10は、クラッチ12を連結状態とし、モータ11を正転作動した場合にスライドドアDを開移動する一方、クラッチ12を連結状態とし、モータ11を反転作動した場合にスライドドアDを閉移動する。
【0021】
スライドドアDは、車両本体Bの開口DOを開閉するものであり、図1に示すように、アッパーレール21と、ロワーレール22と、センターレール23とにより支持してある。アッパーレール21は、車両本体Bに形成した開口DOの上縁に配設してあり、ロワーレール22は開口DOの下縁に配設してある。また、センターレール23は車両本体Bの後部側面に配設してある。尚、アッパーレール21、ロワーレール22およびセンターレール23は、閉塞直前で車両室内側に大きく湾曲している。
【0022】
図2に示すように、スライドドアDは、アッパーブラケット21aと、ロワーブラケット22aと、センターブラケット23aとを備えている。アッパーブラケット21aは、スライドドアDの車両室内側の前方上縁部に設けてあり、アッパーレール21に摺動可能に係合している。ロワーブラケット22aは、スライドドアDの車両室内側の前方下縁部に設けてあり、ロワーレール22に摺動可能に係合している。また、センターブラケット23aはスライドドアDの車両室内側の後方中央部に設けてあり、センターレール23に摺動可能に係合している。これにより、スライドドアDは車両本体Bに沿って車両前方および車両後方に移動可能に構成してある。
【0023】
スライドドアDの後縁部と車両本体Bとの間と、スライドドアDの前縁部と車両本体Bとの間には、全閉ラッチユニットCRが設けてある。全閉ラッチユニットCRは、車両本体Bに対してスライドドアDを全閉状態に保持する全閉保持手段を構成するものである。全閉ラッチユニットCRは、閉扉ラッチ検知センサ31を備えている。閉扉ラッチ検知センサ31は、全閉ラッチユニットCRのラッチ解除状態、ハーフラッチ状態およびフルラッチ状態を検知するものである。また、スライドドアDの後縁部と車両本体Bとの間に設けてある全閉ラッチユニットCRは、クローザ装置CLを備えている。クローザ装置CLは、クラッチ機構(図示せず)を内蔵したアクチュエータであり、全閉ラッチユニットCRがハーフラッチ状態となった場合に、クラッチ機構が連結状態であることを条件に、全閉ラッチユニットCRをフルラッチ状態に移行させるように機能する。ハーフラッチ状態からフルラッチ状態への移行途中であっても、クラッチ機構が連結状態から遮断状態となれば、直ちに移行動作を中断するように構成してある。
【0024】
スライドドアDに設けたロワーブラケット22aと車両本体Bとの間には、全開ラッチユニットORが設けてある。全開ラッチユニットORは、車両本体Bに対してスライドドアDを全開状態に保持する全開保持手段を構成するものである。全開ラッチユニットORは、開扉ラッチ検知センサ32を備えている。開扉ラッチ検知センサ32は、全開ラッチユニットORのラッチ解除状態、フルラッチ状態を検知するものである。
【0025】
上述した全閉ラッチユニットCRおよび全開ラッチユニットORは、いずれも従前のものと同様の構成を有しており、例えば車両本体Bに設けたストライカに歯合するラッチと、このラッチの移動を制御するラチェットとを備えて構成してある。
【0026】
スライドドアDは、ラッチ操作ユニット100と、アウトサイドハンドルOHと、インサイドハンドルIHと、ロックノブRNとを備えている。ラッチ操作ユニット100は、第1ワイヤケーブルWC1、第2ワイヤケーブルWC2、第3ワイヤケーブルWC3を介して全閉ラッチユニットCRおよび全開ラッチユニットORのラッチ状態の解除操作を行うものである。
【0027】
図3〜図7は、本実施の形態におけるラッチ操作ユニット100を示したものである。ラッチ操作ユニット100は、図6に示すアンロック状態と、図7に示すロック状態とに切り替え可能に構成してある。ラッチ操作ユニット100は、スライドドアDのドアインナパネルIPにベースプレート101を介して配設してあり、ベースプレート101に回転軸部材であるインサイドハンドルレバー軸102を備え、かつこのインサイドハンドルレバー軸102に扉操作レバー110と、リンクレバー120と、ロアオープンレバー160とを備えている。
【0028】
扉操作レバー110は、図5に示すように、ベースプレート101の裏面側(車両室外側)においてインサイドハンドルレバー軸102の軸心回りに回転する態様でインサイドハンドルレバー軸102に配設した板状部材である。扉操作レバー110は貫通孔である出力部係合孔111を有している。また、扉操作レバー110は、図5に示す初期状態から図5において反時計回りに回転した場合に第1扉操作検出センサ(操作検出手段)S1と当接してこれをON操作し、図5において扉操作レバー110が時計回りに回転した場合に第2扉操作検出センサ(操作検出手段)S2に当接してこれをON操作する。
【0029】
リンクレバー120は、図5に示すように、ベースプレート101の裏面側において、ベースプレート101とロアオープンレバー160との間であって、インサイドハンドルレバー軸102の軸心回りに回転可能となる態様でインサイドハンドルレバー軸102に配設した板状部材である。リンクレバー120は、係合ピン130を介して扉操作レバー110と係合してあり、連結リンクL2の一端が連結してある。
【0030】
ロアオープンレバー160は、図5に示すように、ベースプレート101の裏面側において、ベースプレート101と扉操作レバー110との間であって、インサイドハンドルレバー軸102の軸心回りに回転可能となる態様でインサイドハンドルレバー軸102に配設した板状部材である。ロアオープンレバー160は、扉操作レバー110と係合している。また、ロアオープンレバー160には、第3ワイヤケーブルWC3の一端が連結してある。第3ワイヤケーブルWC3の他端部は、全開ラッチユニットORに連係してあり、引張操作された場合に全開ラッチユニットORのラッチ状態を解除することが可能である。
【0031】
また、ラッチ操作ユニット100は、図4および図5に示すように、ベースプレート101においてインサイドハンドルレバー軸102よりも車両後方側となる部位に第2回転軸部材であるレバー軸104を有しており、そのレバー軸104よりもさらに車両後方側となる部位に第3回転軸部材であるロッキングレバー軸105を有している。レバー軸104には、オープンレバー140と、オープンサブレバー150と、オープンハンドルレバー170とが配設してある。オープンレバー140と、オープンサブレバー150と、オープンハンドルレバー170とは、共通のレバー軸104に配設してあるが、レバー軸104の軸心回りに個別に回転することが可能である。また、ロッキングレバー軸105には、ロッキングレバー180が配設してある。
【0032】
オープンレバー140は、図3および図4に示すように、ベースプレート101の表面側においてレバー軸104の軸心回りに回転する態様でレバー軸104に配設した板状部材である。図6および図7に示すように、オープンレバー140には貫通孔であるロックピンスライド溝141が形成してある。ロックピンスライド溝141には、後述するロックピン201が挿入してある。オープンレバー140には、図3に示すように、第1ワイヤケーブルWC1の一端部および第2ワイヤケーブルWC2の一端部がそれぞれ連結してある。第1ワイヤケーブルWC1の他端部は、スライドドアDの後縁部の全閉ラッチユニットCRに連係してあり、引張操作された場合にその全閉ラッチユニットCRのラッチ状態を解除し、その全閉ラッチユニットCRが有するクローザ装置CLのクラッチ機構を連結状態から遮断状態に切り換える。第2ワイヤケーブルWC2の他端部は、スライドドアDの前縁部の全閉ラッチユニットCRに連係してあり、引張操作された場合にその全閉ラッチユニットCRのラッチ状態を解除する。
【0033】
オープンサブレバー150は、図3,図4および図6に示すように、ベースプレート101の裏面側においてレバー軸104の軸心回りに回転する態様でレバー軸104に配設した板状部材であり、ロックピン係合部151を有している。図6および図7に示すように、ロックピン係合部151はラッチ操作ユニット100のアンロック状態において、後述するロックピン201と係合する一方、ロック状態においてロックピン201との係合が解除される。また、オープンサブレバー150には、連結リンクL2の他端部が連結してある。
【0034】
オープンハンドルレバー170は、図5に示すように、ベースプレート101の裏面側においてレバー軸104の最も車両外側となる部位に配設した板状部材である。オープンハンドルレバー170は突出ピン171を有している。図6および図7に示すように、突出ピン171はオープンハンドルレバー170の裏面側から車両外側に向けて突出するよう設けてあり、ロアオープンレバー160に当接している。またオープンハンドルレバー170はオープンサブレバー150と係合している。オープンハンドルレバー170には第4ワイヤケーブルWC4の一端部が連結してある。第4ワイヤケーブルWC4の他端部は、アウトサイドハンドルOHに連係してある。通常、第4ワイヤケーブルWC4には張力が発生していないが、アウトサイドハンドルOHが操作された場合、第4ワイヤケーブルWC4に張力が発生し、オープンハンドルレバー170を図5において反時計回りに回転させる。また、オープンハンドルレバー170には第5ワイヤケーブルWC5の一端部が連結してある。第5ワイヤケーブルWC5は、図5に示すように、他端部がリリースアクチュエータRAの出力レバー179に連係してあり、通常、張力が発生していない。この初期状態において、リリースアクチュエータRAが駆動した場合、出力レバー179の先端が図5の下方に向けて揺動し、その揺動によって第5ワイヤケーブルWC5に張力が発生してオープンハンドルレバー170を図5において反時計回りに揺動させる。オープンハンドルレバー170は、図5において反時計回りに回転した場合に第3扉操作検出センサS3に当接してこれをON操作する。
【0035】
ロッキングレバー180は、図3および図4に示すように、ベースプレート101の表面側に配設した板状部材であり、図8に示すように、ロックピン保持部181と、アクチュエータ係合部182と、ロック操作検出部183とを有している。
【0036】
ロックピン保持部181は、ロッキングレバー軸105から車両前方側に向けて延在した部分である。このロックピン保持部181には、その延在端部にロック部材200が設けてある。ロック部材200は、基端部を介してロックピン保持部181に回転可能に支承してあり、先端部にロックピン201を有している。ロックピン201は、ロック部材200の先端部からベースプレート101に向けて突出した円柱状部材であり、その突出端部がオープンレバー140のロックピンスライド溝141を貫通し、更にベースプレート101を貫通し、アンロック状態においてオープンサブレバー150に係合することが可能である。
【0037】
アクチュエータ係合部182は、ロッキングレバー軸105から車両後方側に向けて延在し、その先端部が二股に分岐したものであり、分岐部分を介してロッキングアクチュエータ190に連係している。
【0038】
ロッキングアクチュエータ190は、図3〜図5に示すように、ベースプレート101の最も車両後方側となる部位に配設したもので、車両前方側となる部位にロッキング出力レバー191を備えている。ロッキング出力レバー191は、ベースプレート101の表面に沿う態様であって、出力レバー軸190aを中心に回動するもので、その先端部に設けた係合突起192をアクチュエータ係合部182の分岐部分に係合させてある。
【0039】
ロッキングアクチュエータ190は、出力レバー軸190aを中心にロッキング出力レバー191を図4において最も時計回りに回転動作した場合にアクチュエータ係合部182を介してロックピン保持部181を下動し、オープンレバー140のロックピンスライド溝141においてロックピン201をロックピン係合部151の回転移動域に占位することによってラッチ操作ユニット100をアンロック状態とする一方、出力レバー軸190aを中心にロッキング出力レバー191を図4において最も反時計回りに回動動作した場合にアクチュエータ係合部182を介してロックピン保持部181を上動し、オープンレバー140のロックピンスライド溝141においてロックピン201をロックピン係合部151の回転移動域外に占位することによってラッチ操作ユニット100をロック状態とするように機能する。
【0040】
ロック操作検出部183は、ロッキングレバー軸105から上方に向けて延在した部分である。このロック操作検出部183は、アクチュエータ係合部182が下方に傾斜して延在した状態にある場合(ロック状態)にベースプレート101に設けたロック検知センサ(検知手段)S4から離隔する一方、図3においてロッキングレバー180が反時計回りに回転した場合(アンロック状態)にロック検知センサS4に当接してこれをON操作するものである。
【0041】
アウトサイドハンドルOHは、スライドドアDを車両室外側から開閉操作するものであり、スライドドアDの車両外側の前方寄りの上下方向中央部に配設してある。
【0042】
インサイドハンドルIHは、図9〜図11に示すように、スライドドアDを車両室内側から開閉操作するものであり、スライドドアDの車両室内側の二列目シート2SのシートクッションSCとウエストラインWLとの間に上下方向に延在する態様で配設してある。インサイドハンドルIHは図3、図4および図11に示すように、ハンドルベース部材300を介してラッチ操作ユニット100に配設してあり、ハンドルベース部材300とインサイドハンドルIHとは、ハンドルベース部材300の長手方向となる上下方向に沿った操作軸部材320を介して互いに連結してあり、ハンドルベース部材300に対して操作軸部材320の軸心回りにインサイドハンドルIHを傾動させることが可能である。インサイドハンドルIHは、操作ハンドル部材310と操作出力部311を有している。操作ハンドル部材310はインサイドハンドルIHを手動操作する部位であり、スライドドアDの車両室内側に突出する態様で配設してある。操作出力部311は、扉操作レバー110の出力部係合孔111に挿通してあり、インサイドハンドルIHを車両室内側から操作することにより、扉操作レバー110を回転動作させることが可能である。
【0043】
図1〜図3、図9および図10に示すように、インサイドハンドルIHの操作ハンドル部材310の上方にはロックノブRNが設けてある。ロックノブRNは矩形状を成しており、ロックノブRNは上下方向に延在するインサイドハンドルIHの操作ハンドル部材310の延長上に設けてある。ロックノブRNの横幅は操作ハンドル部材310の横幅と略同一に形成してある。このロックノブRNは、ドアインナパネルIPに沿って車両前方および車両後方に移動する態様で配設してあり、図10(a)に示すロック位置と、図10(b)に示すアンロック位置とに移動可能に構成してある。アンロック位置はロック位置に対してスライドドアDの開方向となる車両後方に位置している。
【0044】
ロックノブRNは、リンクロッド330を介してロッキング出力レバー191に連係してある。ロックノブRNをアンロック位置とすることにより、出力レバー軸190aを中心にロッキング出力レバー191が図4において最も時計回りに回転動作し、アクチュエータ係合部182を介してロックピン保持部181を下動して、オープンレバー140のロックピンスライド溝141においてロックピン201をロックピン係合部151の回転移動域に占位することによってラッチ操作ユニット100をアンロック状態とする一方、ロックノブRNをロック位置とすることにより、出力レバー軸190aを中心にロッキング出力レバー191を図4において最も反時計回りに回転動作し、アクチュエータ係合部182を介してロックピン保持部181を上動して、オープンレバー140のロックピンスライド溝141においてロックピン201をロックピン係合部151の回転移動域外に占位することによってラッチ操作ユニット100をロック状態とすることが可能である。また、ロックノブRNは、ロッキングアクチュエータ190によってラッチ操作ユニット100がロック状態またはアンロック状態となると、リンクロッド330を介してロッキング出力レバー191の回転動作が伝達されることにより、アンロック位置またはロック位置に移動する。
【0045】
図6はラッチ操作ユニットのアンロック状態を示す図であり、図7は、ラッチ操作ユニット100のロック状態を示す図である。ラッチ操作ユニット100がアンロック状態にある場合、ロックピン201がロックピン係合部151の回転移動域内に位置することになり、オープンレバー140とオープンサブレバー150とが、ロッキングレバー180のロックピン201を介して係合した状態となる。
【0046】
アンロック状態でリリースアクチュエータRAを駆動すると、出力レバー179の先端が図5の下方に向けて揺動することにより第5ワイヤケーブルWC5の引張が発生して、オープンハンドルレバー170が図5において反時計回り(図6において時計回り)に回転する。図6に示すように、オープンハンドルレバー170の回転は、突出ピン171を介してロアオープンレバー160に伝達され、ロアオープンレバー160が反時計回りに回転するとともに、オープンサブレバー150に伝達され、オープンサブレバー150が時計回りに回転する。ロアオープンレバー160が反時計回りに回転すると、第3ワイヤケーブルWC3が引張操作され、全開ラッチユニットORのラッチ状態が解除される。
【0047】
一方、オープンハンドルレバー170の回転によりオープンサブレバー150が時計回りに回転すると、ロックピン201を介してオープンレバー140が時計回りに回転することによって、第1ワイヤケーブルWC1および第2ワイヤケーブルWC2がそれぞれ引張操作される。これにより全閉ラッチユニットCR,CRのラッチ状態が解除される。
【0048】
また、アンロック状態でアウトサイドハンドルOHを操作すると、第4ワイヤケーブルWC4の引張が発生して、オープンハンドルレバー170が図6において時計回りに回転する。図6に示すように、オープンハンドルレバー170の回転は、突出ピン171を介してロアオープンレバー160に伝達され、ロアオープンレバー160が反時計回りに回転するとともに、オープンサブレバー150に伝達され、オープンサブレバー150が時計回りに回転する。ロアオープンレバー160が反時計回りに回転すると、第3ワイヤケーブルWC3が引張操作され、全開ラッチユニットORのラッチ状態が解除される。一方、オープンハンドルレバー170の回転によりオープンサブレバー150が時計回りに回転すると、ロックピン201を介してオープンレバー140が時計回りに回転することによって、第1ワイヤケーブルWC1および第2ワイヤケーブルWC2がそれぞれ引張操作される。これにより全閉ラッチユニットCR,CRのラッチ状態が解除される。
【0049】
尚、アウトサイドハンドルOHを操作すると、オープンハンドルレバー170が時計回りに回転して第3扉操作検出センサS3をON操作する。これによりアウトサイドハンドルOHの操作を検出することが可能となる。
【0050】
また、アンロック状態でインサイドハンドルIHを開操作すると、扉操作レバー110が図6において時計回りに回転する。この回転が扉操作レバー110とリンクレバー120とを係合する係合ピン130を介してリンクレバー120に伝達され、リンクレバー120が時計回りに回転する。リンクレバー120が回転すると、連結リンクL2を介してオープンサブレバー150が時計回りに回転し、さらにオープンサブレバー150の回転がロックピン201を介してオープンレバー140に伝達され、オープンレバー140が時計回りに回転することになるため、第1ワイヤケーブルWC1および第2ワイヤケーブルWC2がそれぞれ引張操作されることになる。第1ワイヤケーブルWC1が引張操作されると、スライドドアDの前縁部の全閉ラッチユニットCRのラッチ状態が解除され、第2ワイヤケーブルWC2が引張操作されると、スライドドアDの後縁部の全閉ラッチユニットCRのラッチ状態が解除される。
【0051】
尚、インサイドハンドルIHを開操作すると、扉操作レバー110が図6において時計回りに回転して第1扉操作検出センサS1をON操作する。これによりインサイドハンドルIHの開操作を検出することが可能となる。
【0052】
また、アンロック状態でインサイドハンドルIHを閉操作すると、扉操作レバー110が図6において反時計回りに回転する。この回転がロアオープンレバー160に伝達され、ロアオープンレバー160が反時計回りに回転する。これにより第3ワイヤケーブルWC3が引張操作されることになり、全開ラッチユニットORのラッチ状態が解除されることになる。
【0053】
尚、インサイドハンドルIHを閉操作すると、扉操作レバー110が図6において反時計回りに回転して第2扉操作検出センサS2をON操作する。これによりインサイドハンドルIHの閉操作を検出することが可能となる。
【0054】
ラッチ操作ユニット100をアンロック状態からロック状態に切り替えると、図7に示すように、ロックピン201がロックピン係合部151の回転移動域外に位置することになる。
【0055】
ロック状態でリリースアクチュエータRAを駆動すると、出力レバー179の先端が図5の下方に向けて揺動することにより第5ワイヤケーブルWC5の引張が発生して、オープンハンドルレバー170が図5において反時計回り(図7において時計回り)に回転するが、オープンハンドルレバー170の回転に伴うオープンサブレバー150の回転はオープンレバー140に伝達されない。従って、全閉ラッチユニットCRはラッチ状態を維持することになる。
【0056】
また、ロック状態でアウトサイドハンドルOHを操作すると、第4ワイヤケーブルWC4の引張が発生してオープンハンドルレバー170が図7において時計回りに回転するが、オープンハンドルレバー170の回転に伴うオープンサブレバー150の回転はオープンレバー140に伝達されない。従って、全閉ラッチユニットCRはラッチ状態を維持することになる。但し、ロック状態においても、オープンハンドルレバー170の回転によって第3扉操作検出センサS3がON操作されることによりアウトサイドハンドルOHの操作を検出することは可能である。
【0057】
また、ロック状態でインサイドハンドルIHを開操作すると、扉操作レバー110の時計回りの回転はリンクレバー120および連結リンクL2を介してオープンサブレバー150に伝達されるが、オープンサブレバー150の回転はオープンレバー140に伝達されない。従って、全閉ラッチユニットCRはラッチ状態を維持することになる。但し、ロック状態においても、扉操作レバー110の回転によって第1扉操作検出センサS1がON操作されることによりインサイドハンドルIHの開操作を検出することは可能である。ロック状態でインサイドハンドルIHを閉操作すると、扉操作レバー110が図7において反時計回りに回転して第2扉操作検出センサS2をON操作する。これによりインサイドハンドルIHの閉操作を検出することが可能となる。
【0058】
上記ドア開閉装置は、上記構成の他に制御手段500を備えている。制御手段500は、ドア開閉装置を統括的に制御するものである。図12に示すように、制御手段500には、運転席スイッチSW1、ワイヤレスリモコンキースイッチSW2、第1扉操作検出センサS1、第2扉操作検出センサS2、第3扉操作検出センサS3、ロック検知センサS4、閉扉ラッチ検知センサ31および開扉ラッチ検知センサ32が電気的に接続してある。運転席スイッチSW1は、運転席に配設されたスイッチであり、スライドドアDの開操作を行う開扉スイッチSW1aとスライドドアDの閉操作を行う閉扉スイッチSW1bとを備えている。ワイヤレスリモコンキースイッチSW2は、乗員が携帯可能なワイヤレスリモコンに配設されたスイッチであり、スライドドアDの開操作を行うリモコン開扉スイッチSW2aとスライドドアDの閉操作を行うリモコン閉扉スイッチSW2bとを備えている。更に、制御手段500には、リリースアクチュエータRA、クローザ装置CL、駆動手段10のモータ11およびクラッチ12が電気的に接続してある。
【0059】
運転席スイッチSW1およびワイヤレスリモコンキースイッチSW2がON操作されると、制御手段500はON信号を取得する。このON信号を取得した場合、制御手段500はリリースアクチュエータRAを制御する。また、閉扉ラッチ検知センサ31および開扉ラッチ検知センサ32によるラッチ状態の検知信号の取得することにより、取得した信号に応じてリリースアクチュエータRA、モータ11、クラッチ12、クローザ装置CLを制御する。更に、第1扉操作検出センサS1、第2扉操作検出センサS2および第3扉操作検出センサS3からON信号を取得した場合、およびロック検知センサS4からロックノブRNの移動を示す検知信号を取得した場合に、取得した信号に応じてモータ11の制御を行う。
【0060】
上述のようなドア開閉装置では、次のようにして車両本体Bに対するスライドドアDの開閉移動を行う。
【0061】
まず、開扉スイッチSW1aおよびリモコン開扉スイッチSW2aによるスイッチ操作に基づくスライドドアDの開移動について説明する。図13は、制御手段500が行うスイッチ操作に基づく開移動制御処理を示したフローチャートである。尚、開扉スイッチSW1aおよびリモコン開扉スイッチSW2aのON操作時において、スライドドアDは全閉状態であり、ラッチ操作ユニット100はアンロック状態であって、ON操作が有効な状態であるとする。
【0062】
スイッチ操作に基づく開移動制御処理において、開扉スイッチSW1aまたはリモコン開扉スイッチSW2aがON操作された場合、すなわち開扉スイッチSW1aまたはリモコン開扉スイッチSW2aからON信号が与えられた場合(ステップS101:Yes)、制御手段500は、リリースアクチュエータRAを駆動させる(ステップS102)。リリースアクチュエータRAの駆動により、第1ワイヤケーブルWC1と第2ワイヤケーブルWC2の引張が発生し、全閉ラッチユニットCRのラッチ状態が解除され、スライドドアDが開方向へ移動可能な状態となる。
【0063】
閉扉ラッチ検知センサ31が全閉ラッチユニットCRのラッチ状態の解除を検知した場合、すなわち閉扉ラッチ検知センサ31からラッチ解除状態の検知信号が与えられた場合(ステップS103:Yes)、制御手段500は、リリースアクチュエータRAの駆動を停止させる(ステップS104)。その後、制御手段500はクラッチ12を連結状態とさせてモータ11を正転作動させる(ステップS105)。モータ11が正転作動することによりスライドドアDは開移動する。
【0064】
モータ11が正転作動した状態で、インサイドハンドルIHやアウトサイドハンドルOHによるハンドル操作がなされた場合、すなわち第1扉操作検出センサS1、第2扉操作検出センサS2または第3扉操作検出センサS3からON信号が与えられた場合(ステップS106:Yes)、制御手段500は、クラッチ12の連結状態を維持させたままモータ11の正転作動を停止させて(ステップS107)、今回の処理を終了して手順をリターンする。モータ11が正転作動を停止することにより、スライドドアDは移動を停止する。尚、制御手段500は、ステップS107において、モータ11の正転作動を停止させた後に、モータ11を反転作動させて処理を終了することも可能である。この場合、スライドドアDは開方向への移動を停止した後、閉方向へ移動する。
【0065】
一方、上記ステップS106において、インサイドハンドルIHおよびアウトサイドハンドルOHによるハンドル操作がない場合、すなわち第1扉操作検出センサS1、第2扉操作検出センサS2および第3扉操作検出センサS3からON信号が与えられない場合(ステップS106:No)、かつロッキングアクチュエータ190の作動やロックノブRNの操作により、ロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知した場合、すなわちロック検知センサS4からロックノブRNの移動を示す検知信号が与えられた場合(ステップS108:Yes)に、制御手段500は、クラッチ12の連結状態を維持させたままモータ11の正転作動を停止させて(ステップS109)、今回の処理を終了して手順をリターンする。モータ11が正転作動を停止することにより、スライドドアDは移動を停止する。尚、制御手段500は、ステップS109において、モータ11の正転作動を停止させた後に、モータ11を反転作動させて処理を終了することも可能である。この場合、スライドドアDは開方向への移動を停止した後、閉方向へ移動する。
【0066】
上記ステップS108において、ロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知しない場合、すなわちロック検知センサS4からロックノブRNの移動を示す検知信号が与えられない場合(ステップS108:No)、かつ開扉ラッチ検知センサ32が全開ラッチユニットORのフルラッチ状態を検知した場合、すなわち開扉ラッチ検知センサ32からフルラッチ状態の検知信号が与えられた場合(ステップS110:Yes)に、制御手段500は、モータ11の正転作動を停止させてクラッチ12を遮断状態とさせ(ステップS111)、今回の処理を終了して手順をリターンする。尚、ステップS111においてモータ11の正転作動を停止させてクラッチ12を遮断状態とする条件は、以下のようにしてもよい。上記ステップS108において、ロック検知センサS4からロックノブRNの移動を示す検知信号が与えられない場合(ステップS108:No)に、スライドドアDの位置を検知可能な手段によって、スライドドアDが全開手前位置に位置したことを検知し、かつスライドドアDと全開ストッパ(図示せず)との当接により、モータ11の電流値上昇が所定値を超えたことを検知した場合、すなわち位置を検知可能な手段により検知信号が与えられ、モータ11における所定の電流値を検知した場合(ステップS110:Yes)に、制御手段500は、モータ11の正転作動を停止させてクラッチ12を遮断状態とさせ(ステップS111)、今回の処理を終了して手順をリターンする。
【0067】
次に、インサイドハンドルIHおよびアウトサイドハンドルOHによるハンドル操作に基づくスライドドアDの開移動について説明する。図14は、制御手段500が行うハンドル操作に基づく開移動制御処理を示したフローチャートである。尚、インサイドハンドルIHおよびアウトサイドハンドルOHによるスライドドアDの開操作時において、スライドドアDは全閉状態であり、ラッチ操作ユニット100はアンロック状態であって、ハンドル操作が有効な状態であるとする。
【0068】
ハンドル操作に基づく開移動制御処理において、インサイドハンドルIHまたはアウトサイドハンドルOHが開操作され、第1扉操作検出センサS1または第3扉操作検出センサS3がON操作されると、制御手段500に第1扉操作検出センサS1または第3扉操作検出センサS3からON信号が与えられる(ステップS201:Yes)。インサイドハンドルIHまたはアウトサイドハンドルOHを開操作することにより、第1ワイヤケーブルWC1と第2ワイヤケーブルWC2に引張が発生し、全閉ラッチユニットCR,CRのラッチ状態が解除され、スライドドアDが開方向へ移動可能な状態となる。
【0069】
その後、閉扉ラッチ検知センサ31が全閉ラッチユニットCRのラッチ状態の解除を検知した場合、すなわち閉扉ラッチ検知センサ31からラッチ解除状態の検知信号が与えられた場合(ステップS202:Yes)、制御手段500は、クラッチ12を連結状態とさせてモータ11を正転作動させる(ステップS203)。モータ11が正転作動することによりスライドドアDは開移動する。
【0070】
モータ11が正転作動した状態で、インサイドハンドルIHやアウトサイドハンドルOHによるハンドル操作がなされた場合、すなわち第1扉操作検出センサS1、第2扉操作検出センサS2または第3扉操作検出センサS3からON信号が与えられた場合(ステップS204:Yes)、制御手段500は、クラッチ12の連結状態を維持させたままモータ11の正転作動を停止させて(ステップS205)、今回の処理を終了して手順をリターンする。モータ11が正転作動を停止することにより、スライドドアDは移動を停止する。尚、制御手段500は、ステップS205において、モータ11の正転作動を停止させた後に、モータ11を反転作動させて処理を終了することも可能である。この場合、スライドドアDは開方向への移動を停止した後、閉方向へ移動する。
【0071】
一方、上記ステップS204において、インサイドハンドルIHおよびアウトサイドハンドルOHによるハンドル操作がない場合、すなわち第1扉操作検出センサS1、第2扉操作検出センサS2および第3扉操作検出センサS3からON信号が与えられない場合(ステップS204:No)、かつロッキングアクチュエータ190の作動やロックノブRNの操作により、ロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知した場合、すなわちロック検知センサS4からロックノブRNの移動を示す検知信号が与えられた場合(ステップS206:Yes)に、制御手段500は、クラッチ12の連結状態を維持させたままモータ11の正転作動を停止させて(ステップS207)、今回の処理を終了して手順をリターンする。モータ11が正転作動を停止することにより、スライドドアDは移動を停止する。尚、制御手段500は、ステップS207において、モータ11の正転作動を停止させた後に、モータ11を反転作動させて処理を終了することも可能である。この場合、スライドドアDは開方向への移動を停止した後、閉方向へ移動する。
【0072】
上記ステップS206において、ロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知しない場合、すなわちロック検知センサS4からロックノブRNの移動を示す検知信号が与えられない場合(ステップS206:No)、かつ開扉ラッチ検知センサ32が全開ラッチユニットORのフルラッチ状態を検知した場合、すなわち開扉ラッチ検知センサ32からフルラッチ状態の検知信号が与えられた場合(ステップS208:Yes)に、制御手段500は、モータ11の正転作動を停止させてクラッチ12を遮断状態とさせ(ステップS209)、今回の処理を終了して手順をリターンする。尚、ステップS209においてモータ11の正転作動を停止させてクラッチ12を遮断状態とする条件は、以下のようにしてもよい。上記ステップS206において、ロック検知センサS4からロックノブRNの移動を示す検知信号が与えられない場合(ステップS206:No)に、スライドドアDの位置を検知可能な手段によって、スライドドアDが全開手前位置に位置したことを検知し、かつスライドドアDと全開ストッパ(図示せず)との当接により、モータ11の電流値上昇が所定値を超えたことを検知した場合、すなわち位置を検知可能な手段により検知信号が与えられ、モータ11における所定の電流値を検知した場合(ステップS208:Yes)に、制御手段500は、モータ11の正転作動を停止させてクラッチ12を遮断状態とさせ(ステップS209)、今回の処理を終了して手順をリターンする。
【0073】
次に、閉扉スイッチSW1bおよびリモコン閉扉スイッチSW2bによるスイッチ操作に基づくスライドドアの閉移動について説明する。図15は、制御手段500が行うスイッチ操作に基づく開移動制御処理を示したフローチャートである。尚、閉扉スイッチSW1bおよびリモコン閉扉スイッチSW2bのON操作時において、スライドドアDは全開状態であるとする。
【0074】
スイッチ操作に基づく閉移動制御処理において、閉扉スイッチSW1bまたはリモコン閉扉スイッチSW2bがON操作された場合、すなわち閉扉スイッチSW1bまたはリモコン閉扉スイッチSW2bからON信号が与えられた場合(ステップS301:Yes)、制御手段500は、リリースアクチュエータRAを駆動させる(ステップS302)。リリースアクチュエータRAの駆動により、第3ワイヤケーブルWC3の引張が発生し、全開ラッチユニットORのラッチ状態が解除され、スライドドアDが閉方向へ移動可能な状態となる。
【0075】
開扉ラッチ検知センサ32が全開ラッチユニットORのラッチ状態の解除を検知した場合、すなわち開扉ラッチ検知センサ32からラッチ解除状態の検知信号が与えられた場合(ステップS303:Yes)、制御手段500は、リリースアクチュエータRAの駆動を停止させる(ステップS304)。その後、制御手段500はクラッチ12を連結状態とさせてモータ11を反転作動させる(ステップS305)。モータ11が反転作動することによりスライドドアDは閉移動する。尚、ステップS304においてリリースアクチュエータRAの駆動を停止する条件は、以下のようにしてもよい。上記ステップS302の後、スライドドアDの位置を検知可能な手段によって、スライドドアDが全開位置から閉方向側の所定位置に位置したことを検知した場合、すなわち位置を検知可能な手段により検知信号が与えられた場合(ステップS303:Yes)に、制御手段500は、リリースアクチュエータRAの駆動を停止させ(ステップS304)、その後、制御手段500はクラッチ12を連結状態とさせてモータ11を反転作動させる(ステップS305)。
【0076】
モータ11が反転作動した状態で、インサイドハンドルIHやアウトサイドハンドルOHによるハンドル操作がなされた場合、すなわち第1扉操作検出センサS1、第2扉操作検出センサS2または第3扉操作検出センサS3からON信号が与えられた場合(ステップS306:Yes)、制御手段500は、クラッチ12の連結状態を維持させたままモータ11の反転作動を停止させて(ステップS307)、今回の処理を終了して手順をリターンする。モータ11が反転作動を停止することにより、スライドドアDは移動を停止する。尚、制御手段500は、ステップS307において、モータ11の反転作動を停止させた後に、モータ11を正転作動させて処理を終了することも可能である。この場合、スライドドアDは閉方向への移動を停止した後、開方向へ移動する。
【0077】
一方、上記ステップS306において、インサイドハンドルIHおよびアウトサイドハンドルOHによるハンドル操作がない場合、すなわち第1扉操作検出センサS1、第2扉操作検出センサS2および第3扉操作検出センサS3からON信号が与えられない場合(ステップS306:No)、かつロッキングアクチュエータ190の作動やロックノブRNの操作により、ロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知した場合、すなわちロック検知センサS4からロックノブRNの移動を示す検知信号が与えられた場合(ステップS308:Yes)に、制御手段500は、クラッチ12の連結状態を維持させたままモータ11の反転作動を停止させて(ステップS309)、今回の処理を終了して手順をリターンする。モータ11が反転作動を停止することにより、スライドドアDは移動を停止する。尚、制御手段500は、ステップS309において、モータ11の反転作動を停止させた後に、モータ11を正転作動させて処理を終了することも可能である。この場合、スライドドアDは閉方向への移動を停止した後、開方向へ移動する。
【0078】
上記ステップS308において、ロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知しない場合、すなわちロック検知センサS4からロックノブRNの移動を示す検知信号が与えられない場合(ステップS308:No)、かつ閉扉ラッチ検知センサ31が全閉ラッチユニットCRのハーフラッチ状態を検知した場合、すなわち閉扉ラッチ検知センサ31からハーフラッチ状態の検知信号が与えられた場合(ステップS310:Yes)に、制御手段500は、モータ11の反転作動を停止させてクラッチ12を遮断状態とさせる(ステップS311)。
【0079】
その後、制御手段500は、クローザ装置CLを駆動させる(ステップS312)。クローザ装置CLの駆動により、スライドドアDは全閉位置へ移動する。スライドドアDが全閉状態となり、閉扉ラッチ検知センサ31が全閉ラッチユニットCRのフルラッチ状態を検知した場合、すなわち閉扉ラッチ検知センサ31からフルラッチ状態の検知信号が与えられた場合(ステップS313:Yes)、制御手段500は、クローザ装置CLの駆動を停止させて(ステップS314)、今回の処理を終了して手順をリターンする。
【0080】
次に、インサイドハンドルIHおよびアウトサイドハンドルOHによるハンドル操作に基づくスライドドアDの閉移動について説明する。図16は、制御手段500が行うハンドル操作に基づく閉移動制御処理を示したフローチャートである。尚、インサイドハンドルIHおよびアウトサイドハンドルOHによるスライドドアDの閉操作時において、スライドドアDは全開状態であるとする。
【0081】
ハンドル操作に基づく閉移動制御処理において、インサイドハンドルIHまたはアウトサイドハンドルOHが閉操作され、第2扉操作検出センサS2または第3扉操作検出センサS3がON操作されると、制御手段500に第2扉操作検出センサS2または第3扉操作検出センサS3からON信号が与えられる(ステップS401:Yes)。インサイドハンドルIHまたはアウトサイドハンドルOHの操作により、第3ワイヤケーブルWC3に引張が発生し、全開ラッチユニットORのラッチ状態が解除され、スライドドアDが閉方向へ移動可能な状態となる。
【0082】
その後、開扉ラッチ検知センサ32が全開ラッチユニットORのラッチ状態の解除を検知した場合、すなわち開扉ラッチ検知センサ32からラッチ解除状態の検知信号が与えられた場合(ステップS402:Yes)、制御手段500は、クラッチ12を連結状態とさせてモータ11を反転作動させる(ステップS403)。モータ11が反転作動することによりスライドドアDは閉移動する。
【0083】
モータ11が反転作動した状態で、インサイドハンドルIHやアウトサイドハンドルOHによるハンドル操作がなされた場合、すなわち第1扉操作検出センサS1、第2扉操作検出センサS2または第3扉操作検出センサS3からON信号が与えられた場合(ステップS404:Yes)、制御手段500は、クラッチ12の連結状態を維持させたままモータ11の反転作動を停止させて(ステップS405)、今回の処理を終了して手順をリターンする。モータ11が反転作動を停止することにより、スライドドアDは移動を停止する。尚、制御手段500は、ステップS405において、モータ11の反転作動を停止させた後に、モータ11を正転作動させて処理を終了することも可能である。この場合、スライドドアDは閉方向への移動を停止した後、開方向へ移動する。
【0084】
一方、上記ステップS404において、インサイドハンドルIHおよびアウトサイドハンドルOHによるハンドル操作がない場合、すなわち第1扉操作検出センサS1、第2扉操作検出センサS2および第3扉操作検出センサS3からON信号が与えられない場合(ステップS404:No)、かつロッキングアクチュエータ190の作動やロックノブRNの操作により、ロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知した場合、すなわちロック検知センサS4からロックノブRNの移動を示す検知信号が与えられた場合(ステップS406:Yes)に、制御手段500は、クラッチ12の連結状態を維持させたままモータ11の反転作動を停止させて(ステップS407)、今回の処理を終了して手順をリターンする。モータ11が反転作動を停止することにより、スライドドアDは移動を停止する。尚、制御手段500は、ステップS407において、モータ11の反転作動を停止させた後に、モータ11を正転作動させて処理を終了することも可能である。この場合、スライドドアDは閉方向への移動を停止した後、開方向へ移動する。
【0085】
上記ステップS406において、ロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知しない場合、すなわちロック検知センサS4からロックノブRNの移動を示す検知信号が与えられない場合(ステップS406:No)、かつ閉扉ラッチ検知センサ31が全閉ラッチユニットCRのハーフラッチ状態を検知した場合、すなわち閉扉ラッチ検知センサ31からハーフラッチ状態の検知信号が与えられた場合(ステップS408:Yes)に、制御手段500は、モータ11の反転作動を停止させてクラッチ12を遮断状態とさせる(ステップS409)。
【0086】
その後、制御手段500は、クローザ装置CLを駆動させる(ステップS410)。クローザ装置CLの駆動により、スライドドアDは全閉位置へ移動する。スライドドアDが全閉状態となり、閉扉ラッチ検知センサ31が全閉ラッチユニットCRのフルラッチ状態を検知した場合、すなわち閉扉ラッチ検知センサ31からフルラッチ状態の検知信号が与えられた場合(ステップS411:Yes)、制御手段500は、クローザ装置CLの駆動を停止させて(ステップS412)、今回の処理を終了して手順をリターンする。
【0087】
上述したように、本発明の実施の形態1におけるドア開閉装置によれば、駆動手段10によるスライドドアDの移動中にロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知した場合に、駆動手段10によるスライドドアDの移動を停止するように制御するものであるため、組立作業を煩雑にすることなく、駆動手段10によるスライドドアDの移動時における異物の挟み込みを防止することができる。尚、ロックノブRNは乗員が日常的に操作する部分であることから、危険回避性が高いものとなる。
【0088】
また、ロックノブRNの移動方向はスライドドアDの開閉方向と同一方向であるため、ロックノブRNが異物と接触した場合に、スライドドアDの移動によってロックノブを移動させてスライドドアを停止させることができ、緊急時に乗員がロックノブRNを移動する場合に、移動操作し易い。尚、ロックノブRNは乗員が日常的に操作する部分であることから、危険回避性が高いものとなる。
【0089】
また、ロックノブRNは、ロック位置に対してアンロック位置がスライドドアDの開方向に位置してあり、駆動手段10によるスライドドアDの開移動中にロック検知センサS4がロックノブRNのアンロック位置からロック位置への移動を検知した場合に、駆動手段10によるスライドドアDの移動を停止するものであるため、ロックノブRNがアンロック位置にあってスライドドアDが開移動された場合に、アンロック位置にあるロックノブRNが異物と接触してロック位置に移動することによりスライドドアDを停止させることができる。
【0090】
また、スライドドアDを開閉操作するインサイドハンドルIHが、スライドドアDの車両室内側に上下方向に延在して設けてあり、インサイドハンドルIHの操作の有無を検出する第1扉操作検出センサS1と第2扉操作検出センサS2とを備え、ロックノブRNが、上下方向に延在するインサイドハンドルIHの延長上に設けてあり、制御手段500が、駆動手段10によるスライドドアDの移動中にロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知した場合または第1扉操作検出センサS1および第2扉操作検出センサS2がインサイドハンドルIHの操作を検出した場合の少なくともどちらか一方を検出した場合に、駆動手段10によるスライドドアDの移動を停止するものであるため、検出範囲を上下方向に広範囲に設けることができる。
【0091】
また、駆動手段10によるスライドドアDの移動を停止した後、駆動手段10によりスライドドアDを反転移動するように制御するものであるため、手動操作を行うことなくスライドドアDを反転移動させることができる。
【0092】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2におけるドア開閉装置を説明する。図17は、本発明の実施の形態2であるドア開閉装置の構成要素を模式的に示したブロック図である。実施の形態2におけるドア開閉装置は、実施の形態1における制御手段500に替えて制御手段510を備えており、更に位置検知手段501を備えている。実施の形態2において、実施の形態1と同一の符号は同一の構成を示し、ここではその詳細を省略する。
【0093】
制御手段510は、ドア開閉装置を統括的に制御するものである。図17に示すように、制御手段510には、運転席スイッチSW1、ワイヤレスリモコンキースイッチSW2、第1扉操作検出センサS1、第2扉操作検出センサS2、第3扉操作検出センサS3、ロック検知センサS4、閉扉ラッチ検知センサ31、開扉ラッチ検知センサ32および位置検知手段501が電気的に接続してある。
【0094】
位置検知手段501は、スライドドアDの位置を検知するものであり、より具体的にはスライドドアDの移動領域において全開位置と全閉位置との間に位置する所定位置に対して、スライドドアDが全開位置側の領域であるか全閉位置側の領域であるかを検知するものである。本実施の形態において位置検知手段501は時間を計る計時装置であり、閉移動制御処理において、クラッチ12を連結状態としてモータ11を反転作動させた後、制御手段510は位置検知手段501による時間の計測を開始させる。位置検知手段501が所定の時間を計測すると、位置検知手段501から制御手段510に検知信号が与えられる。本実施の形態では、駆動手段10によるスライドドアDの全開位置から全閉位置までの移動時間は約5秒であって、駆動手段10の動力によりスライドドアDが全開位置から約3秒閉移動した位置を全開位置と全閉位置との間の所定位置としている。
【0095】
運転席スイッチSW1およびワイヤレスリモコンキースイッチSW2がON操作されると、制御手段510はON信号を取得する。このON信号を取得した場合、制御手段510はリリースアクチュエータRAを制御する。また、閉扉ラッチ検知センサ31および開扉ラッチ検知センサ32によるラッチ状態の検知信号の取得することにより、取得した信号に応じてリリースアクチュエータRA、モータ11、クラッチ12、クローザ装置CLを制御する。更に、第1扉操作検出センサS1、第2扉操作検出センサS2および第3扉操作検出センサS3からON信号を取得した場合に、取得した信号に応じてモータ11の制御を行う。また、位置検知手段501から所定位置の経過を示す検知信号を取得し、ロック検知センサS4からロックノブRNの移動を示す検知信号を取得した場合に、取得した信号に応じてモータ11の制御を行う。
【0096】
上述のようなドア開閉装置では、次のようにして車両本体Bに対するスライドドアDの閉移動を行う。
【0097】
図18は、制御手段510が行うスイッチ操作に基づく閉移動制御処理を示したフローチャートである。尚、閉扉スイッチSW1bおよびリモコン閉扉スイッチSW2bのON操作時において、スライドドアDは全開状態であるとする。
【0098】
スイッチ操作に基づく閉移動制御処理において、閉扉スイッチSW1bまたはリモコン閉扉スイッチSW2bがON操作された場合、すなわち閉扉スイッチSW1bまたはリモコン閉扉スイッチSW2bからON信号が与えられた場合(ステップS501:Yes)、制御手段510は、リリースアクチュエータRAを駆動させる(ステップS502)。リリースアクチュエータRAの駆動により、第3ワイヤケーブルWC3の引張が発生し、全開ラッチユニットORのラッチ状態が解除され、スライドドアDが閉方向へ移動可能な状態となる。
【0099】
開扉ラッチ検知センサ32が全開ラッチユニットORのラッチ状態の解除を検知した場合、すなわち開扉ラッチ検知センサ32からラッチ解除状態の検知信号が与えられた場合(ステップS503:Yes)、制御手段510は、リリースアクチュエータRAの駆動を停止させる(ステップS504)。その後、制御手段510はクラッチ12を連結状態とさせてモータ11を反転作動させる(ステップS505)。モータ11が反転作動することによりスライドドアDは閉移動する。尚、ステップS504においてリリースアクチュエータRAの駆動を停止する条件は、以下のようにしてもよい。上記ステップS502の後、スライドドアDの位置を検知可能な手段によって、スライドドアDが全開位置から閉方向側の所定位置に位置したことを検知した場合、すなわち位置を検知可能な手段により検知信号が与えられた場合(ステップS503:Yes)に、制御手段500は、リリースアクチュエータRAの駆動を停止させ(ステップS504)、その後、制御手段500はクラッチ12を連結状態とさせてモータ11を反転作動させる(ステップS505)。
【0100】
モータ11が反転作動した状態で、インサイドハンドルIHやアウトサイドハンドルOHによるハンドル操作がなされた場合、すなわち第1扉操作検出センサS1、第2扉操作検出センサS2または第3扉操作検出センサS3からON信号が与えられた場合(ステップS506:Yes)、制御手段510は、クラッチ12の連結状態を維持させたままモータ11の反転作動を停止させて(ステップS507)、今回の処理を終了して手順をリターンする。モータ11が反転作動を停止することにより、スライドドアDは移動を停止する。尚、制御手段510は、ステップS507において、モータ11の反転作動を停止させた後に、モータ11を正転作動させて処理を終了することも可能である。この場合、スライドドアDは閉方向への移動を停止した後、開方向へ移動する。
【0101】
一方、上記ステップS506において、インサイドハンドルIHおよびアウトサイドハンドルOHによるハンドル操作がない場合、すなわち第1扉操作検出センサS1、第2扉操作検出センサS2および第3扉操作検出センサS3からON信号が与えられない場合(ステップS506:No)、かつ位置検知手段501がスライドドアDの所定位置の経過を検知した場合、すなわち位置検知手段501から所定位置の経過を示す検出信号が与えられた場合(ステップS508:Yes)に、制御手段510は以下のように制御を行う。
【0102】
ロッキングアクチュエータ190の作動やロックノブRNの操作により、ロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知した場合、すなわちロック検知センサS4からロックノブRNの移動を示す検知信号が与えられた場合(ステップS509:Yes)、制御手段510は、クラッチ12の連結状態を維持させたままモータ11の反転作動を停止させて(ステップS510)、今回の処理を終了して手順をリターンする。モータ11が反転作動を停止することにより、スライドドアDは移動を停止する。尚、制御手段510は、ステップS510において、モータ11の反転作動を停止させた後に、モータ11を正転作動させて処理を終了することも可能である。この場合、スライドドアDは閉方向への移動を停止した後、開方向へ移動する。
【0103】
上記ステップS509において、ロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知しない場合、すなわちロック検知センサS4からロックノブRNの移動を示す検知信号が与えられない場合(ステップS509:No)、かつ閉扉ラッチ検知センサ31が全閉ラッチユニットCRのハーフラッチ状態を検知した場合、すなわち閉扉ラッチ検知センサ31からハーフラッチ状態の検知信号が与えられた場合(ステップS511:Yes)に、制御手段510は、モータ11の反転作動を停止させてクラッチ12を遮断状態とさせる(ステップS512)。
【0104】
その後、制御手段510は、クローザ装置CLを駆動させる(ステップS513)。クローザ装置CLの駆動により、スライドドアDは全閉位置へ移動する。スライドドアDが全閉状態となり、閉扉ラッチ検知センサ31が全閉ラッチユニットCRのフルラッチ状態を検知した場合、すなわち閉扉ラッチ検知センサ31からフルラッチ状態の検知信号が与えられた場合(ステップS514:Yes)、制御手段510は、クローザ装置CLの駆動を停止させて(ステップS515)、今回の処理を終了して手順をリターンする。
【0105】
実施の形態2における閉移動制御処理では、制御手段510は、位置検知手段501から検知信号が与えられるまでの間は、ロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知した場合、すなわちロック検知センサS4からロックノブRNの移動を示す検知信号が与えられた場合であってもモータ11の反転作動を維持する制御を行う。
【0106】
上述したように、本発明の実施の形態2におけるドア開閉装置によれば、所定位置から全閉位置までのスライドドアDの移動領域において、駆動手段10によるドアの閉移動中にロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知した場合に、駆動手段10によるスライドドアDの閉移動を停止するように制御するものであるため、組立作業を煩雑にすることなく、駆動手段10によるスライドドアDの移動時における異物の挟み込みを防止することができる。更に、全開位置から所定位置までのドアの移動領域において、駆動手段10によるスライドドアDの閉移動中にロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知した場合に、駆動手段10によるスライドドアDの閉移動を維持するように制御するものであるため、全開位置からのスライドドアDの開移動直後に、ロックノブRNをアンロック位置からロック位置に操作した場合、またはインサイドハンドルIHの操作と同時に不意にロックノブRNを移動した場合における不要な停止をなくし、使用者の利便性を向上することができる。
【0107】
尚、本実施の形態では、位置検知手段501によってモータ11の反転作動によるスライドドアDの閉移動開始時から所定の時間を計ることにより、スライドドアDの所定位置の経過を検知しているが、位置検知手段501はこの構成に限られるものではなく、所定位置に対し、スライドドアDが全開位置側の領域であるか全閉位置側の領域であるかを検知できるものであればよい。
【0108】
尚、実施の形態2では、閉扉スイッチSW1bまたはリモコン閉扉スイッチSW2bによるスイッチ操作に基づく閉移動制御処理において、全開位置から所定位置までのスライドドアDの移動領域において、ロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知した場合にモータ11の反転作動を維持するものとしているが、インサイドハンドルIHおよびアウトサイドハンドルOHによるハンドル操作に基づく閉移動制御処理において、全開位置から所定位置までのスライドドアDの移動領域において、ロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知した場合にモータ11の反転作動を維持するものとしてもよい。また、同様の構成により、スイッチ操作およびハンドル操作に基づく開移動制御処理において、全閉位置から所定位置までのスライドドアDの移動領域において、ロック検知センサS4がロックノブRNの移動を検知した場合に、制御手段510がモータ11の正転作動を維持させるものとすることも可能である。
【0109】
尚、上述した実施の形態1および実施の形態2において、ロック検知センサS4は、ロッキングレバー180に当接可能な位置に設けることにより、間接的にロックノブRNの移動を検知しているが、ロック検知センサS4の検知対象はロッキングレバー180に限られるものではない。ロック検知センサS4はロックノブRNの移動を検知できるものであればよく、例えば、ロック検知センサをロック位置またはアンロック位置にあるロックノブRNに当接するように設けることにより、ロックノブRNの移動を直接的に検知するものであってもよい。
【符号の説明】
【0110】
10 駆動手段
11 モータ
31 閉扉ラッチ検知センサ
32 開扉ラッチ検知センサ
100 ラッチ操作ユニット
500、510 制御手段
501 位置検知手段
B 車両本体
CL クローザ装置
CR 全閉ラッチユニット
D スライドドア
DO 開口
IH インサイドハンドル
OH アウトサイドハンドル
OR 全開ラッチユニット
RA リリースアクチュエータ
RN ロックノブ
S1 第1操作検出センサ
S2 第2扉操作検出センサ
S3 第3扉操作検出センサ
S4 ロック検知センサ
SW1 運転席スイッチ
SW2 ワイヤレスリモコンキースイッチ
WC1 第1ワイヤケーブル
WC2 第2ワイヤケーブル
WC3 第3ワイヤケーブル
WC4 第4ワイヤケーブル
WC5 第5ワイヤケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体の開口を開閉可能に設けたドアと、
動力により前記ドアを開閉移動する駆動手段と、
ロック状態とアンロック状態とに切り替え可能であり、ロック状態の場合に全閉状態にあるドアの開移動を禁止し、アンロック状態の場合に全閉状態にあるドアの開移動を許容するラッチ操作ユニットと
を備え、前記ラッチ操作ユニットがアンロック状態である場合に、全閉状態にあるドアを前記駆動手段により開移動可能なドア開閉装置において、
前記ドアに設けてありロック位置とアンロック位置とに移動操作可能であって、ロック位置に移動した場合に前記ラッチ操作ユニットをロック状態とする一方、アンロック位置に移動した場合に前記ラッチ操作ユニットをアンロック状態とするロックノブと、
前記ロックノブの移動を検知可能な検知手段と、
前記駆動手段による前記ドアの移動中に前記検知手段が前記ロックノブの移動を検知した場合に、前記駆動手段による前記ドアの移動を停止する制御手段と
を備えたことを特徴とするドア開閉装置。
【請求項2】
前記ドアは車両本体に沿って開閉移動するスライドドアであり、
前記ロックノブの移動方向は前記スライドドアの開閉方向と同一方向であることを特徴とする請求項1に記載のドア開閉装置。
【請求項3】
前記ロックノブは、ロック位置に対してアンロック位置が前記スライドドアの開方向に位置し、
前記制御手段は、前記駆動手段による前記スライドドアの開移動中に前記検知手段が前記ロックノブのアンロック位置からロック位置への移動を検知した場合に、前記駆動手段による前記ドアの移動を停止することを特徴とする請求項2に記載のドア開閉装置。
【請求項4】
前記スライドドアの車両室内側に上下方向に延在して設けてあり、前記スライドドアを開閉操作するインサイドハンドルと、
前記インサイドハンドルの操作の有無を検出する操作検出手段とを備え、
前記ロックノブは、上下方向に延在するインサイドハンドルの延長上に設けてあり、
前記制御手段は、前記駆動手段による前記スライドドアの移動中に前記操作検出手段が前記インサイドハンドルの操作を検出した場合に、前記駆動手段による前記スライドドアの移動を停止することを特徴とする請求項3に記載のドア開閉装置。
【請求項5】
車両本体の開口を開閉可能に設けたドアと、
動力により前記ドアを開閉移動する駆動手段と、
ロック状態とアンロック状態とに切り替え可能であり、ロック状態の場合に全閉状態にあるドアの開移動を禁止し、アンロック状態の場合に全閉状態にあるドアの開移動を許容するラッチ操作ユニットと
を備え、前記ラッチ操作ユニットがアンロック状態である場合に、全閉状態にあるドアを前記駆動手段により開移動可能なドア開閉装置において、
前記ドアに設けてありロック位置とアンロック位置とに移動操作可能であって、ロック位置に移動した場合に前記ラッチ操作ユニットをロック状態とする一方、アンロック位置に移動した場合に前記ラッチ操作ユニットをアンロック状態とするロックノブと、
前記ロックノブの位置を検知可能な検知手段と、
全開位置から全開位置と全閉位置との間の所定位置までの前記ドアの移動領域において、前記駆動手段による前記ドアの閉移動中に前記検知手段が前記ロックノブの移動を検知した場合に、前記駆動手段による前記ドアの閉移動を維持し、所定位置から全閉位置までの前記ドアの移動領域において、前記駆動手段による前記ドアの閉移動中に前記検知手段が前記ロックノブの移動を検知した場合に、前記駆動手段による前記ドアの閉移動を停止する制御手段とを備えたことを特徴とするドア開閉装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記駆動手段による前記ドアの移動を停止した後、前記駆動手段により前記ドアを反転移動することを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載のドア開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−219522(P2012−219522A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86796(P2011−86796)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000148896)三井金属アクト株式会社 (127)
【Fターム(参考)】