説明

ドライエマルション、その製造方法及びその使用

本発明は、ドライエマルションに関する。特に本発明は、疎水性液相及び水溶性又は水分散性ポリマーマトリックスを含み且つ疎水性相含有率が高いドライエマルションに関する。本発明はまた、ドライエマルションの製造方法及び該エマルションの使用にも関する。用いられる水溶性マトリックスは、ブロックコポリマーを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライエマルションに関する。より特定的には、本発明は、疎水性液相及び水溶性又は水分散性ポリマーマトリックスを含み且つ疎水性相含有率が高いドライエマルションに関する。本発明はまた、ドライエマルションの製造方法及び該エマルションの使用方法をも提供する。
【背景技術】
【0002】
ドライエマルションは、固体マトリックス中に疎水性液相が分散して成る組成物である。これらは、水性相中に疎水性液相が分散して成るエマルションを乾燥させることによって得ることができ、該水性相は水溶性又は水分散性化合物を含み、この水溶性又は水分散性化合物が乾燥後にマトリックスの全部又は一部を構成することになる。ドライエマルションの形の組成物及びそれらの調製方法は、当業者に周知である。ドライエマルションは一般的に粉末又は粒体(顆粒)の形にある。
【0003】
かくして、既知のドライエマルションには、例えば国際公開WO97/15385号パンフレット(R95139G1)に記載されたように、アクリル酸のポリマーのようなポリマー電解質マトリックスを含むものがある。また、国際公開WO00/26280号パンフレット(R98145)、同WO02/32563号パンフレット(R00137)及び同WO03/006148号パンフレット(R01103)に記載されたように、マトリックスが親水性単位と疎水性基又はグラフトを含む単位とを含むポリマーを含むドライエマルションも周知である。また、国際公開WO99/55819号パンフレット又は米国特許第3971852号明細書に記載されたように、マトリックスが随意に変性された澱粉であるドライエマルションも周知である。また、国際公開WO97/15386号パンフレット(R95140)、同WO97/15387号パンフレット(R95141)、同WO99/38611号パンフレット(R98011)及び同WO99/38945号パンフレット(R98010)にもその他のマトリックスを用いることが記載されている。また、ポリビニルアルコールを用いることも知られている。
【0004】
国際公開WO03/002242号パンフレットには、高割合のグリホサートイソプロピルアンモニウム塩及び両親媒性ブロックコポリマーを含む水性相中に疎水性相が分散して成るエマルションを乾燥させることが記載されている。かかる乾燥は、塩を非常に高い含有率で含むマトリックスをもたらす。このような高い含有率で塩が存在することは、ドライエマルションに予定される用途にとって一般的に無益であり、従って単に費用が高くつくだけである。しかも、これはマトリックスの挙動に影響を及ぼす。多くの場合、高含有率で塩が存在しないようにするのが好ましい。
【0005】
ドライエマルションは一般的に、水性組成物中に疎水性相が分散して成るエマルションを得るために水性組成物中に分散させることが予定される。かくして、ドライエマルションは疎水性相の取扱い及び/又は輸送及び/又は搬送及び/又は保護を容易にし又はそれらの経済性を高めることができる。例えば、ドライエマルションは別の固体状化合物と共に配合することができ、最終使用者によって水と一緒にされることができる。かくして、例えば粉末混合物を製造することが可能である。これは例えば粒状又は粉末状洗剤配合物及びある種の農作物保護用組成物の場合である。ドライエマルションはまた、作業者が疎水性相を含む水性配合物を調製することによって水と一緒にすることもできる。また、外部要因(例えばpHの変化、温度変化、周囲の化学組成の変化、尿や汗のような水性物質の放出等)によって再分散を誘発したり、再分散速度を制御したりすることができるという利点があることも、注目される。
【0006】
ドライエマルションの品質には、次のことが包含される:水柱における再分散が容易であること;乾燥及び/又は再分散の間に非水混和性(即ち水と混和性でない)疎水性相の凝集がないこと;粉末流動性が良好であること;並びに容易に取り扱える形であること(例えばオイル状ではないこと)。ドライエマルションのマトリックスは、それ自体は配合物又は最終用途においてそれほど有用ではないものである場合もある。しかし、このマトリックスは非常に重要な、少なくとも一時的な補助剤を構成する。従って、ドライエマルションの利用分野は、もたらされる利点とのバランスにおいて、マトリックスの量及び性状(従って費用)による制限を受ける。マトリックスの量が多いほど、この補助剤の利点が少なくなる。これまでは、マトリックス含有率が30重量%未満でありながら取扱いが容易な形及び/又は満足できる再分散特性を示すことができる既知のドライエマルションは存在していない。
【特許文献1】国際公開WO97/15385号パンフレット
【特許文献2】国際公開WO00/26280号パンフレット
【特許文献3】国際公開WO02/32563号パンフレット
【特許文献4】国際公開WO03/006148号パンフレット
【特許文献5】国際公開WO99/55819号パンフレット
【特許文献6】米国特許第3971852号明細書
【特許文献7】国際公開WO97/15386号パンフレット
【特許文献8】国際公開WO97/15387号パンフレット
【特許文献9】国際公開WO99/38611号パンフレット
【特許文献10】国際公開WO99/38945号パンフレット
【特許文献11】国際公開WO03/002242号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の問題点を解消することができ、かかるエマルションの利用分野を広げることができる新規のドライエマルションがここに見出された。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は、水溶性又は水分散性ポリマーを含むマトリックス中に疎水性液相が分散されて成るドライエマルションであって、
・前記マトリックス中に含まれる水溶性又は水分散性ポリマーが1個又はそれより多くの親水性ブロックAと1個又はそれより多くの疎水性ブロックBとを含む水溶性又は水分散性ブロックコポリマーを含み、該コポリマーが単独のもの又は別の水溶性又は水分散性ポリマーとの混合物であること、
・前記疎水性相と前記マトリックスとの重量比が50/50より大きく、好ましくは70/30より大きく、さらに好ましくは80/20より大きいこと、及び
・前記マトリックスが水溶性又は水分散性ポリマーを少なくとも50重量%含むこと
を特徴とする、前記ドライエマルションを提供する。
【0009】
前記マトリックスは、塩含有率が20重量%以下であるのが好ましく、10重量%以下であるのがさらに好ましい。
【0010】
本発明はまた、かかるエマルションの調製方法及び使用をも提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
定義
【0012】
本明細書において、水溶性又は水分散性ポリマーとは、25℃の温度の水中に10重量%の濃度において巨視的(即ち肉眼で見える)相分離を示さないポリマーである。本明細書において水溶性又は水分散性である品質は、ドライエマルションが調製されるpH及び/又はドライエマルションが再分散時に用いられるpHを参照する。
【0013】
本明細書において疎水性相とは、10重量%の濃度で25℃の温度において非水混和性である(巨視的相分離を形成する)化合物又は該化合物を2種以上含む組成物である。本明細書において、疎水性又は水分散性相である品質は、ドライエマルションが調製されるpH及び/又はドライエマルションが再分散時に用いられるpHを参照する。
【0014】
本明細書においてモノマーから由来する単位とは、該モノマーから重合によって直接得られた形の単位である。かくして、例えばアクリル酸又はメタクリル酸のエステルから誘導される単位は、例えばアクリル酸若しくはメタクリル酸のエステル又は酢酸ビニルをそれぞれ重合させ、次いで加水分解を実施することによってそれぞれ得られる式−CH2−CH(COOH)−、−CH2−C(CH3)(COOH)−、−CH2−CH(OH)−の単位をカバーしない。アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される単位は例えば、モノマー(例えばアクリル酸又はメタクリル酸のエステル)を重合させ、次いで得られたポリマーを式−CH2−CH(COOH)−又はCH2−C(CH3)(COOH)−の単位を与えるように反応させる(例えば加水分解する)ことによって得られる単位をカバーする。ビニルアルコールから誘導される単位は例えば、モノマー(例えばビニルエステル)を重合させ、次いで得られたポリマーを式−CH2−CH(OH)−の単位を与えるように反応させる(例えば加水分解する)ことによって得られる単位をカバーする。
【0015】
本明細書において平均分子量は、別途記載がない限り、好適な溶剤中での排除クロマトグラフィーを多角光散乱検出器(GPC−MALLS)に連結したものによって測定される数平均分子量である。本明細書においてはまた、ポリマーを調製するために用いた成分の質量から決定される理論平均分子量を参照することもできる。
【0016】
ブロック、側鎖、主鎖、周辺鎖又は中心部の理論平均分子量は、典型的には、次の式に従って計算される。
【数1】

ここで、Miはモノマーiの分子量であり、niはモノマーiのモル数であり、nprecursorはブロック、側鎖、主鎖、周辺鎖又は中心部のマクロ分子鎖が結合する化合物のモル数である。この化合物は、移動剤(若しくは移動基)又は開始剤、先行ブロック等であることができる。先行ブロックである場合、モル数は、例えば移動剤(若しくは移動基)又は開始剤のような、該先行ブロックマクロ分子鎖が結合する化合物のモル数であると考えることができる。
【0017】
本明細書において用語「疎水性ブロック」とは、その通常の意味において「水に対する親和性を持たない」ブロックに用いられる。これは、そのブロックから成るポリマーが、単独で(同じ組成及び同じ分子量のもの)、25℃の蒸留水中で1重量%超の濃度において2相巨視的溶液を形成することを意味する。
【0018】
同様に、本明細書において用語「親水性ブロック」とは、その通常の意味において「水に対する親和性を持つ」ブロックに用いられる。これは、そのブロックが25℃の蒸留水中で1重量%超の濃度において2相巨視的溶液を形成しがちではないことを意味する。
【0019】
ドライエマルションの成分
【0020】
ドライエマルションは、水溶性又は水分散性ポリマーを含むマトリックス中に疎水性液相が分散されて成る。疎水性液相は、マトリックス中の含有物(液滴)の形{有利には平均寸法(Horibaレーザ散乱式粒子寸法測定装置によって測定)が0.1〜50μmの範囲、好ましくは1〜10μmの範囲、例えば1〜5μmの範囲のもの}で存在する。この平均寸法は、最終用途に応じて変えることができる。
【0021】
ドライエマルションの組成の一部を構成することができる各種の成分の詳細を以下に与える。
【0022】
疎水性相
【0023】
疎水性相は、単独の又は混合物状のすべての種類の化合物を随意に疎水性溶剤中の溶液又は分散体の形で含むことができる。もちろん、疎水性相は単一の疎水性液体のみから成っていてもよい。
【0024】
疎水性相又は該疎水性相中に含まれる化合物の例には、以下のもの(溶液、分散体又はエマルションとして)が包含される:
・シリコーン類、例えばMD、MTD及び/又はMQタイプのシリコーンオイル及びシリコーンゴム等(随意に溶剤中に溶解させたもの)(このシリコーン類は、随意にアミン、アルコール、ポリオール等のような基で官能化されていてもよい)。この種のシリコーンは、当業者に周知である。
・芳香剤。
・有機、動物若しくは植物油又は鉱油及びこれらの油の誘導体(これらの油及び誘導体は非水混和性のものである)。
・非水混和性有機溶剤。
・非水溶性又は非水分散性活性物質(随意に溶剤中に溶解させたもの)。
・それらの混合物。
【0025】
農薬の分野では、活性農作物保護物質は、α−シアノフェノキシベンジルカルボキシレート又はα−シアノハロフェノキシカルボキシレートの類、芳香族置換基を含むN−メチルカーボネートの類並びにアルドリン、アジンホス−メチル、ベンフルラリン、ビフェントリン、クロルホキシム、クロルピリホス、フルクロラリン、フルロキシピル、ジクロルボス、マラチオン、モリナート、パラチオン、ペルメトリン、プロフェノホス、プロピコナゾール、プロチオホス、ピリフェノックス、ブタクロール、メトラクロール、クロリメホス(chlorimephos)、ダイアジノン、フルアジホップ−P−ブチル、ヘプトパルギル(heptopargil)、メカルバム、プロパルガイト、プロスルホカルブ、ブロモホス−エチル、カルボフェノチオン、シハロトリン、ノバルロン、デルタメトリン及びペンディメタリンのような活性物質から選択することができる。活性農作物保護物質は、例えば該活性物質の効力を高める補助剤、消泡剤、固化防止剤及び充填剤(水溶性又は非水溶性)から選択される慣用の添加剤の存在下で用いてもよい。
【0026】
農作物保護配合物の分野において好適な活性物質としてはまた、植物油、鉱油、シリコーンオイル、シリコーン消泡剤等を挙げることもできる。
【0027】
美容術の分野において用いることができる活性物質の例には、シリコーンオイル、特にジメチコーンの類に属するもの;親油性ビタミン、例えばビタミンA及びその誘導体、ビタミンB2、パントテン酸、ビタミンD並びにビタミンE;モノ−、ジ−及びトリグリセリド;芳香剤;殺細菌剤;紫外線吸収剤、例えばPABA及びPARAタイプのアミノベンゾエート誘導体、サリチレート、シンナメート、アントラニレートジベンゾイルメタン、カンファー誘導体並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0028】
また、老化防止剤を用いることもできる。この老化防止剤の特定的な例には、レチノイド、α−及びβ−ヒドロキシ酸、それらの塩、及びそれらのエステル、脂溶性ビタミン、アスコルビン酸パルミテート、セラミド、シュードセラミド、リン脂質、脂肪酸、脂肪アルコール、コレステロール、ステロール及びそれらの混合物が包含される。好ましい脂肪酸及び脂肪アルコールとしては、より特定的には、12〜20個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状アルキル鎖を有するものを挙げることができる。当該化合物は、特にリノール酸であることができる。
【0029】
同様に、セリュライト防止剤、特にイソブチルメチルキサンチン及びテオフィリン等;並びに抗ニキビ剤、例えばレゾルシノール、レゾルシノールアセテート、過酸化ベンゾイル及び多くの天然化合物を用いることも可能である。
【0030】
また、香料、芳香剤、精油及びエッセンスを疎水性活性物質として用いることもできる。例として、ミント、スペアミント、ペパーミント、メントール、バニラ、シナモン、ベイ、アニスシード、ユーカリ、タイム、セージ、セダーリーフ、ナツメグ、柑橘類(レモン、ライム、グレープフルーツ、オレンジ)、フルーツ(リンゴ、西洋梨、桃、サクランボ、プラム、イチゴ、ラズベリー、アプリコット、パイナップル、ブドウ等)の油及び/又はエッセンス(単独又は混合物として)を挙げることができる。
【0031】
抗菌剤は、チモール、メントール、トリクロサン、4−ヘキシルレゾルシノール、フェノール、ユーカリプトール、安息香酸、過酸化ベンゾイル、ブチルパラベン及びそれらの混合物から選択することができる。
【0032】
塗料分野において用いることができる本発明にとって好適な活性物質の例には、アルキド樹脂、エポキシ樹脂及びブロック化又は非ブロック化イソシアネートが包含される。
【0033】
紙分野においては、とりわけ、アルキルケテン二量体(AKD)又はアルケニルコハク酸無水物(ASA)のような樹脂を挙げることができる。
【0034】
洗剤の分野においては、アミノシリコーン柔軟剤、シリコーン消泡剤、抗菌剤、芳香剤、油及びエッセンス等を可能な活性物質として挙げることができる。この点に関しては、美容術の分野のための活性物質に関して示したこのタイプの化合物のリストを参照することができる。
【0035】
好適な疎水性活性物質の中ではまた、以下のものを挙げることもできる。
・動物性又は植物性の有機油/脂肪/ワックス;
・鉱油/鉱ワックス;
・前記油のアルコーリシスから得られる生成物;
・モノ−、ジ−及びトリ−グリセリド;
・10〜40個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪酸;これらの酸と1〜6個の炭素原子を有するアルコールとのエステル;
・8〜40個の炭素原子を有する飽和又は不飽和モノアルコール;
(これらの化合物は、単独で又は混合物として用いられる)。
【0036】
動物性の有機油/脂肪/ワックスとしては、とりわけ、マッコウクジラ油、鯨油、アザラシ油、サメ油、タラ肝油、ラード及び羊脂(獣脂)、ペルヒドロスクアレン及び蜜蝋(単独又は混合物として)を挙げることができる。
【0037】
植物性の有機油/脂肪/ワックスとしては、とりわけ、菜種油、ヒマワリ油、落花生油、オリーブ油、クルミ油、トウモロコシ油、大豆油、アボカド油、亜麻仁油、麻油、ブドウ種油、コプラ(やし)油、パーム油、綿実油、オイルパーム油、ババス油、ホホバ油、ゴマ油、ヒマシ油、マカダミア油、スイートアーモンド油、カルナウバ蝋、シアバター、ココアバター及びピーナツバター(単独又は混合物として)を挙げることができる。
【0038】
鉱油/鉱ワックスに関しては、とりわけ、ナフテン油、パラフィン油(ワセリン)及びイソパラフィン油、並びにパラフィンワックスを(単独又は混合物として)挙げることができる。
【0039】
また、前記の油のアルコーリシスから得られる生成物を用いることもできる。
【0040】
飽和又は不飽和脂肪酸に関しては、これらは10〜40個、より特定的には18〜40個の炭素原子を含有し、1つ又はそれより多くの共役又は非共役エチレン性不飽和を含んでいてもよい。これらの酸は1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を含んでいてもよいということに留意されたい。
【0041】
飽和脂肪酸の例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びベヘン酸を挙げることができる。
【0042】
不飽和脂肪酸の例としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸及びリシノール酸並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0043】
脂肪酸エステルに関しては、上に列挙した酸のエステルであって、アルコールから誘導される部分が1〜6個の炭素原子を有するもの、例えばメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル等を挙げることができる。
【0044】
前記疎水性相は、非水混和性中間相中に、この中間相中に混和性でも可溶性でもない内側相が分散されて成ることもできる。この場合、このエマルションはマルチドライエマルションと称することができる。
【0045】
前記疎水性相は、シリコーンオイル(特にアミノシリコーンオイル)中に芳香剤、香料又はエッセンスが溶解されて成ることもできる。
【0046】
もちろん、マトリックス中に2つ又はそれより多くの異なる疎水性相が分散されて2つの含有物の集合を形成して成るドライエマルションも除外されない。
【0047】
水溶性又は水分散性ポリマー
【0048】
前記マトリックス中に含まれる水溶性又は水分散性ポリマーは、1個又はそれより多くの親水性ブロックAと1個又はそれより多くの疎水性ブロックBとを含む水溶性又は水分散性ブロックコポリマーを含み、該コポリマーは、単独のものであってもよく、別の水溶性又は水分散性ポリマーとの混合物であってもよい。
【0049】
マトリックスが前記ブロックコポリマーと別の水溶性又は水分散性ポリマーとの混合物を含む場合、この混合物中のブロックコポリマーの重量割合は50%未満であってよい。
【0050】
少なくとも1つのブロック、好ましくは少なくとも2つのブロックがエチレン性不飽和モノマー、好ましくはモノ−α−エチレン性不飽和モノマーから誘導されたものであるのが好ましい。前記水溶性又は水分散性ブロックコポリマーは、A−Bジブロックコポリマー又はA−B−Aトリブロックコポリマー(ここで、ブロックAは親水性であり、ブロックBは疎水性である)であるのが好ましい。
【0051】
前記ブロックコポリマー又は混合物は、特に粉末の形、液体中の分散体の形又は溶剤(水他)中の溶液の形で存在していてよい。
【0052】
親水性ブロックA
【0053】
ブロックAは、親水性、ノニオン性、イオン性又は潜在的にイオン性のモノマーから誘導される親水性、ノニオン性、イオン性{カチオン性、アニオン性、潜在的にカチオン性、潜在的にアニオン性若しくは両性(ツビッター)イオン性}又は潜在的にイオン性の単位を含む。ブロックAはまた、少なくとも1種の疎水性モノマーから誘導される疎水性単位を、このブロックが親水性特徴を維持するのに充分低い量で、含んでいてもよい。この量は、ブロックAが誘導される全モノマーの10モル%までの範囲であることができる。
【0054】
「カチオン性又は潜在的にカチオン性の単位AC」という表現は、カチオン性又は潜在的にカチオン性の基を含む単位を意味することが意図される。カチオン性の単位又は基は、コポリマーが存在する媒体のpHに拘らず、少なくとも1つの正電荷を(一般的に塩素イオン、臭素イオン、サルフェート基、メチルサルフェート基のような1つ以上のアニオンと組み合わせて)有する単位又は基である。潜在的にカチオン性の単位又は基は、コポリマーが存在する媒体のpHに応じて、中性であることもでき、少なくとも1つの正電荷を有することもできる単位又は基である。この場合には、中性の形又はカチオン性の形にある潜在的にカチオン性の単位ACと言う。拡大して、カチオン性又は潜在的にカチオン性のモノマーと言うこともできる。
【0055】
「アニオン性又は潜在的にアニオン性の単位AA」という表現は、アニオン性又は潜在的にアニオン性の基を含む単位を意味することが意図される。アニオン性の単位又は基は、コポリマーが存在する媒体のpHに拘らず、少なくとも1つの負電荷を{一般的にアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属(例えばナトリウム)化合物のカチオン又はアンモニウムのようなカチオン性基のような1つ又はそれより多くのカチオンと組み合わせて}有する単位又は基である。潜在的にアニオン性の単位又は基は、コポリマーが存在する媒体のpHに応じて、中性であることもでき、少なくとも1つの負電荷を有することもできる単位又は基である。この場合には、中性の形又はアニオン性の形にある潜在的にアニオン性の単位AAと言う。拡大して、アニオン性又は潜在的にアニオン性のモノマーと言うこともできる。
【0056】
用語「中性単位AN」とは、コポリマーが存在する媒体のpHに拘らず電荷を持たない単位を意味することが意図される。
【0057】
ノニオン性親水性モノマーの例としては、次のものを挙げることができる:
・α,β−エチレン性不飽和酸のヒドロキシアルキルエステル、例えばアクリル酸及びメタクリル酸ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピル、グリセリルモノメタクリレート等、
・α,β−エチレン性不飽和酸アミド、例えばアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等、
・ポリ(エチレンオキシド)タイプの水溶性ポリオキシアルキレン部分を持つα,β−エチレン性不飽和モノマー、例えばポリ(エチレンオキシド)−α−メタクリレート(Laporte社からのBisomer S20W、S10W等) 又はα,ω−ジメタクリレート、Rhodia社からのSipomer BEM(ω−ベヘニルポリオキシエチレンメタクリレート)、Rhodia社からのSipomer SEM-25(ω−トリスチリルフェニルポリオキシエチレンメタクリレート)等、
・親水性単位又は部分の前駆体であって、重合後にも加水分解によってビニルアルコール単位又はポリビニルアルコール部分をもたらすことができるα,β−エチレン性不飽和モノマー、例えば酢酸ビニル、
・ビニルピロリドン、
・ウレイドタイプのα,β−エチレン性不飽和モノマー、特に2−イミダゾリジノン−エチルメタクリルアミド(Rhodia社からのSipomer WAM II)。
【0058】
少量で用いることができるイオン性又は潜在的にイオン性モノマーの例は、下に挙げる(部分Aに関して)。
【0059】
潜在的にカチオン性の親水性モノマー(単位ACを誘導することができるもの)の例としては、次のものを挙げることができる:
・α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のN,N−(ジアルキルアミノ−ω−アルキル)アミド、例えばN,N−ジメチルアミノメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメチルメタクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、4−(N,N−ジメチルアミノ)ブチルアクリルアミド及び4−(N,N−ジメチルアミノ)ブチルメタクリルアミド、
・α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸アミノエステル、例えばアクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(DMAA)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(DMAM)、メタクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル、メタクリル酸2−(t−ブチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジペンチルアミノ)エチル及びメタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、
・ビニルピリジン、
・ビニルアミン、
・ビニルビニルイミダゾリン、
・アミン官能基の前駆体であって、簡単な酸又は塩基加水分解によって第1アミンをもたらすモノマー、例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等。
【0060】
カチオン性親水性モノマー(単位ACを誘導することができるもの)の例としては、次のものを挙げることができる:
・アクリロイル−又はアクリロイルオキシアンモニウムモノマー、例えばトリメチルアンモニオプロピルメタクリレートクロリド、トリメチルアンモニオエチルアクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニオエチルアクリルアミドブロミド、トリメチルアンモニオエチルメタクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニオエチルメタクリルアミドブロミド、トリメチルアンモニオブチルアクリルアミドメチルサルフェート、トリメチルアンモニオブチルメタクリルアミドメチルサルフェート、トリメチルアンモニオプロピルメタクリルアミドメチルサルフェート(MES)、(3−メタクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート及びアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド;
・1−エチル−2−ビニルピリジニウムブロミド、1−エチル−2−ビニルピリジニウムクロリド、1−エチル−2−ビニルピリジニウムメチルサルフェート、1−エチル−4−ビニルピリジニウムブロミド、1−エチル−4−ビニルピリジニウムクロリド及び1−エチル−4−ビニルピリジニウムメチルサルフェート;
・N,N−ジアルキルジアリルアミンモノマー、例えばN,N−ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DADMAC);
・ポリ第4級モノマー、例えばジメチルアミノプロピルメタクリルアミドクロリド及びN−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム(DIQUAT)等。
【0061】
親水性又は疎水性ノニオン性(中性)モノマー(単位ANを誘導することができるもの)の例は、すでに上に挙げた(部分Bに関して)。
【0062】
アニオン性又は潜在的にアニオン性のモノマー(単位AAを誘導することができるもの)の例としては、次のものを挙げることができる:
・カルボン酸官能基を少なくとも1つ有するモノマー、例えばα,β−エチレン性不飽和カルボン酸又は対応する酸無水物、例えばアクリル酸、メタクリル酸若しくはマレイン酸又は酸無水物、フマル酸、イタコン酸、N−メタクリロイルアラニン、N−アクリロイルグリシン及びそれらの水溶性塩、
・カルボキシレート官能基の前駆体であって、重合後にも加水分解によってカルボン酸官能基をもたらすモノマー、例えばアクリル酸t−ブチル、
・サルフェート又はスルホネート官能基を少なくとも1つ有するモノマー、例えば2−スルホキシエチルメタクリレート、ビニルベンゼンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート及びそれらの水溶性塩、
・ホスホネート又はホスフェート官能基を少なくとも1つ有するモノマー、例えばビニルホスホン酸等、エチレン性不飽和ホスフェートエステル、例えばメタクリル酸ヒドロキシエチルから誘導されるホスフェート(Rhodia社からのEmpicryl 6835)及びポリオキシアルキレンメタクリレートから誘導されるもの、並びにそれらの水溶性塩。
【0063】
両性イオン性モノマー(単位AZを誘導することができるもの)の例としては、次のものを挙げることができる:
・スルホベタインモノマー、例えばスルホプロピルジメチルアンモニオエチルメタクリレート(Raschig社からのSPE)、スルホプロピルジメチルアンモニオプロピルメタクリルアミド(Raschig社からのSPP)及びスルホプロピル−2−ビニルピリジニウム(Raschig社からのSPV)、
・ホスホベタインモノマー、例えばホスファトエチルトリメチルアンモニオエチルメタクリレート、
・カルボキシベタインモノマー。
【0064】
疎水性ブロックB
【0065】
ブロックBは、一般的にノニオン性である疎水性単位を含む。ブロックBはまた、少なくとも1種の親水性モノマーから誘導される親水性単位を、このブロックが疎水性特徴を維持するのに充分低い量で、含んでいてもよい。この量は、ブロックBが誘導される全モノマーの10モル%までの範囲であることができる。
【0066】
疎水性ノニオン性モノマー(部分B、例えばブロックBを誘導することができるもの)の例としては、次のものを挙げることができる:
・ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等、
・ハロゲン化ビニル又はハロゲン化ビニリデン、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、
・α,β−モノエチレン性不飽和酸のC1〜C12アルキルエステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等、
・飽和カルボン酸のビニルエステル又はアリルエステル、例えば酢酸ビニル、酢酸アリル、プロピオン酸ビニル、プロピオン酸アリル、ビニルベルサテート(versatate)、アリルベルサテート、ステアリン酸ビニル、ステアリン酸アリル等、
・3〜12個の炭素原子を有するα,β−モノエチレン性不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等、
・α−オレフィン、例えばエチレン等、
・共役ジエン、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン、
・ポリジメチルシロキサン(PDMS)鎖を生じることができるモノマー。
【0067】
かくして、部分Bはシリコーン、例えばポリジメチルシロキサン鎖又はジメチルシロキシ単位を含むコポリマーであることができる。
【0068】
本発明に従うコポリマーは、制御された若しくは制御されていないラジカル重合、開環重合(特にアニオン性若しくはカチオン性のもの)、アニオン若しくはカチオン重合、又はポリマーの化学変性等の任意の既知の方法によって得ることができる。
【0069】
「リビング」又は「制御された」ラジカル重合法を用いるのが好ましい。
【0070】
「リビング」又は「制御された」ラジカル重合法の例としては、特に以下のものを参照することができる:
・国際公開WO98/58974号パンフレット、同WO00/75207号パンフレット及び同WO01/42312号パンフレットの方法(これは、キサンテートタイプの制御剤によって制御されたラジカル重合を用いる)、
・国際公開WO98/01478号パンフレットのジチオエステルタイプの制御剤によって制御されたラジカル重合法、
・国際公開WO02/08307号パンフレットに記載された方法、特にポリオルガノシロキサンブロックを含むコポリマーを得るための方法、
・国際公開WO99/31144号パンフレットのジチオカルバメートタイプの制御剤によって制御されたラジカル重合法、
・国際公開WO02/26836号パンフレットのジチオカルバゼートタイプの制御剤によって制御されたラジカル重合法、
・国際公開WO03/082928号パンフレットの制御剤によって制御されたラジカル重合法、
・国際公開WO02/10223号パンフレットのジチオホスホロエステルタイプの制御剤によって制御されたラジカル重合法、
(制御されたラジカル重合によって上記のように得られるブロックコポリマーは随意に、例えば加水分解、酸化、還元、熱分解又は置換タイプの方法によってそれらの硫黄含有鎖末端の精製反応に付すことができる);
・ニトロキシド前駆体の存在下における重合を採用する国際公開WO99/03894号パンフレットの方法、
・原子移動ラジカル重合(ATRP)を採用する国際公開WO96/30421号パンフレットの方法、
・Otuら、Makromol. Chem. Rapid Commun., 3, 127(1982年)の教示に従うイニファーター(iniferter)タイプの制御剤によって制御されたラジカル重合法、
・タケモトら、Jap. 50, 127, 991(1975年)、ダイキン工業株式会社(日本)及びMatyjaszewskiら、Macromolecules, 28, 2093(1995年)の教示に従うヨウ素の退行性移動(transfert degeneratif)によって制御されたラジカル重合法、
・D. BraunらによってMacromol. Symp. 111, 63(1996年)に開示されたテトラフェニルエタン誘導体によって制御されたラジカル重合法、或は
・WaylandらによってJ. Am. Chem. Soc. 116, 7973(1994年)に記載された有機コバルト錯体によって制御されたラジカル重合法、
・ジフェニルエチレンによって制御されたラジカル重合法(国際公開WO00/39169号パンフレット又は同WO00/37507号パンフレット)。
【0071】
ブロックAとブロックBとの間の重量比は、50/50又はそれより大きいのが好ましい。全体分子量は1000〜100000の範囲、好ましくは2000〜40000の範囲、さらに好ましくは3000〜20000の範囲である。
【0072】
特に有利な具体例に従えば:
・前記疎水性相が脂肪酸エステルを含み且つ前記ブロックコポリマーが、
・・アクリル酸から誘導されるブロックA(PAA)及びアクリル酸ブチルから誘導されるブロックB(PABU),若しくは
・・アクリルアミドから誘導されるブロックA(PAM)及びアクリル酸ブチルから誘導されるブロックB(PABU)、若しくは
・・アクリル酸から誘導されるブロックA(PAA)及び酢酸ビニルから誘導されるブロックB(PVAc)
を含むジブロックであるか、
・前記疎水性相がシリコーンを含み且つ前記ブロックコポリマーが、
・・アクリル酸から誘導されるブロックA(PAA)及びアクリル酸ブチルから誘導されるブロックB(PABU)、若しくは
・・ポリビニルピロリドンから誘導されるブロックA(PVP)及びアクリル酸ブチルから誘導されるブロックB(PABU)
を含むジブロックであるか、又は
・前記疎水性相がシリコーンを含み且つ前記ブロックコポリマーがアクリル酸から誘導されるブロックA(PAA)2つ及びポリジメチルオルガノシロキサン(PDMS)ブロックB1つを含むトリブロックである。
【0073】
混合物として用いることができる別の水溶性又は水分散性ポリマーには、例えばジイソブチレンと無水マレイン酸{酸の形又はカルボン酸塩(例えばカルボン酸ナトリウム)の形のもの}とのコポリマーが包含され、その一例はRhodia社より販売されているGeropon EGPMである。また、澱粉誘導体、ポリペプチド、ポリビニルアルコール及びその誘導体並びにカゼインを挙げることもできる。水溶性又は水分散性ポリマーは、特に国際公開WO97/15385号パンフレット(R95139G1)、同WO00/26280号パンフレット(R98145)、同WO02/32563号パンフレット(R00137)、同WO03/006148号パンフレット(R01103)、同WO99/55819号パンフレット、米国特許第3971852号明細書、国際公開WO97/15386号パンフレット(R95140)、同WO97/15387号パンフレット(R95141)、同WO99/38611号パンフレット(R98011)及び同WO99/38945号パンフレット(R98010)に記載されている。
【0074】
1つの有利な具体例に従えば、ジイソブチレンと無水マレイン酸{酸の形又はカルボン酸塩(例えばカルボン酸ナトリウム)の形のもの}とのコポリマー(「別のコポリマー」)とブロックコポリマーとの混合物(好ましくは別のコポリマー/ブロックコポリマーの重量比が95/5〜5/95のもの、さらに好ましくは90/10〜10/90の物、例えば約80/20のもの)を用いる。この具体例に従えば、マトリックスが塩を含まないか又は10重量%未満しか含まないのが有利である。疎水性相とマトリックスとの間の(高い)重量比に関して、2種のポリマーの間の相乗効果を観察することができる。混合物を用いた場合には一方のポリマーを単独で用いた場合よりも前記の重量比を高くすることが可能である。さらに、別のコポリマーの存在は、優れた粉末品質(非粘着性)を得ることを可能にする。実際、混合物を用いる場合には、疎水性相の割合、粉末の品質、再分散についての適性及び場合によっては費用についてさえ、驚くべき折衷点が観察される。
【0075】
1つの有利な具体例に従えば、前記マトリックスは5〜100重量%の前記ブロックコポリマー及び0〜95重量%の別の水溶性又は水分散性コポリマー[好ましくはジイソブチレンと無水マレイン酸{酸の形又はカルボン酸塩(例えばカルボン酸ナトリウム)の形のもの}とのコポリマー]を含み、全体が100%である。これらの割合は、ブロックコポリマーについて10%〜90%であり且つ別のポリマーについて10%〜90%であるのが好ましい。例えば、ブロックコポリマーが約20%であり且つ別のコポリマーが80%である。混合物の割合は、疎水性相の関数として、そして再分散(ブロックコポリマーを多くする)、粘着性(別のコポリマーを多くする)、疎水性相の量(ブロックコポリマーを多くする)及び場合により費用に関して達成されるべき目的に応じて、変えることができる。
【0076】
追加の乳化剤
【0077】
ドライエマルションは、乳化剤、例えばノニオン性又はアニオン性界面活性剤をさらに含んでいてよい。
【0078】
ノニオン性界面活性剤は、ポリアルコキシル化ノニオン性界面活性剤、例えば以下のもの(単独のもの又は混合物として)から選択することができる:
・ポリアルコキシル化脂肪アルコール;
・ポリアルコキシル化トリグリセリド;
・ポリアルコキシル化脂肪酸エステル;
・ポリアルコキシル化ソルビタンエステル;
・ポリアルコキシル化脂肪酸アミド;
・ポリアルコキシル化脂肪アミン;
・ポリアルコキシル化アミドアミン;
・ポリアルコキシル化ジ−(1−フェニルエチル)フェノール;
・ポリアルコキシル化トリ−(1−フェニルエチル)フェノール;
・ポリアルコキシル化アルキルフェノール;
・ポリアルコキシル化ポリシロキサン;
・エチレンオキシド又はプロピレンオキシドとエチレンジアミンとの縮合から得られる生成物;
・ポリアルコキシル化テルペン系炭化水素;
・ポリアルコキシル化アルキルポリグリコシド。
【0079】
(ポリ)アルキル化とは、エトキシ及びプロポキシ単位又はそれらの組合せを意味する。界面活性剤は、エトキシ単位又はエトキシ/プロポキシ単位を含むものであるのが好ましい。
【0080】
これらの界面活性剤中のエトキシ(EO)及び/又はプロポキシ(PO)単位の数は、一般的に1〜100の範囲、より特定的には1〜50の範囲で変化する。
【0081】
EO又はEO/PO脂肪アルコールは一般的に6〜22個の炭素原子(EO及びPO単位はこれらの数から除外される)を含有する。好ましくは、これらの単位はエトキシ(EO)単位である。
【0082】
EO又はEO/PO脂肪酸は一般的に6〜22個の炭素原子(EO及びPO単位はこれらの数から除外される)を含有する。好ましくは、これらの単位はエトキシ(EO)単位である。
【0083】
EO又はEO/PO(好ましくはEO)トリグリセリドは、より特定的には植物又は動物性のトリグリセリド、例えば亜麻仁油、大豆油、ヒマシ油、菜種油等のグリセリドである。
【0084】
EO又はEO/PO脂肪酸エステルは一般的に酸部分について6〜22個の炭素原子(EO及びPO単位はこれらの数から除外される)を含有し、エトキシル化(EO)物であるのが好ましい。
【0085】
EO又はEO/PO(好ましくはEO)ソルビタンエステルは、より特定的には10〜20個の炭素原子を有する脂肪酸(例えばラウリン酸、ステアリン酸又はオレイン酸)の環化ソルビトールエステルである。
【0086】
用語「EO又はEO/POトリグリセリド」とは、本発明においては、トリグリセリドをエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドでアルコキシル化することによって得られる物質だけではなく、トリグリセリドをポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールでエステル交換することによって得られる物質にも向けられる。
【0087】
同様に、用語「EO又はEO/PO脂肪酸エステル」は、脂肪酸をエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドでアルコキシル化することによって得られる物質だけではなく、脂肪酸をポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールでエステル交換することによって得られる物質も包含する。
【0088】
EO又はEO/POアミン及び脂肪酸アミドは一般的に6〜22個の炭素原子(EO及びPO単位はこれらの数から除外される)を含有し、エトキシル化(EO)物であるのが好ましい。
【0089】
EO又はEO/POアミドアミンは一般的に2〜22個の炭素原子(EO及びPO単位はこれらの数から除外される)を含有し、エトキシル化(EO)物であるのが好ましい。
【0090】
EO又はEO/POアルキルフェノールは一般的に4〜12個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を1又は2個有するものである。アルキル基の特定的な例には、オクチル、ノニル又はドデシル基が包含される。
【0091】
ポリシロキサン(これはエトキシル化(EO)物であるのが好ましい)は、より特定的には、2〜10個のケイ素原子を含有する直鎖状又は分枝鎖状ポリアルキルシロキサンであり、そのアルキル基はメチル基であるのが好ましい。
【0092】
好適なテルペン系炭化水素(好ましくはEO又はEO/PO)は、特にα−ピネン又はβ−ピネンから誘導されたものである。これらは国際公開WO96/01245号パンフレットに記載されている。
【0093】
アルキルポリグリコシドは、グルコースをC4〜C20アルキル基を有する第1級脂肪アルコールと縮合させることによって得ることができ、アルキルポリグリコシド1モル当たり約0.5〜3の平均グルコース単位数を有することができる。
【0094】
アニオン性界面活性剤に関しては、特に次のもの(単独のもの又は混合物として)を挙げることができる:
・アルキルエステルスルホネート、例えば式R−CH(SO3M)−CH2COOR’のもの
{ここで、RはC8〜C20、好ましくはC10〜C16炭化水素基(随意に1個又はそれより多くの不飽和を有するもの)を表わし、
R’はC1〜C6、好ましくはC1〜C3アルキル基を表わし、そして
Mは水素原子、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム)、アルカリ土類金属(例えばカルシウム)又は非置換若しくは置換アンモニウム(メチル−、ジメチル−、トリメチル−、テトラメチルアンモニウム、ジメチルピペリジニウム等)カチオン或はアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)から誘導されるものである}(非常に特定的には、基RがC14〜C16であるメチルエステルスルホネートを挙げることができる);
・アルキルエステルサルフェート、例えば式R−CH(OSO3M)−CH2COOR’のもの
{ここで、RはC8〜C20、好ましくはC10〜C16炭化水素基(随意に1個又はそれより多くの不飽和を有するもの)を表わし、
R’はC1〜C6、好ましくはC1〜C3アルキル基を表わし、そして
Mは上で定義した通りである};
・アルキルベンゼンスルホネート、より特定的にはC9〜C20アルキルベンゼンスルホネート、第1級又は第2級アルキルスルホネート、特にC8〜C22アルキルスルホネート、及びアルキルグリセロールスルホネート;
・アルキルサルフェート、例えば式ROSO3Mのもの
(ここで、RはC10〜C24、好ましくはC12〜C20アルキル又はヒドロキシアルキル基であり、そして
Mは上で定義した通りである);
・アルキルエーテルサルフェート、例えば式RO(AO)nSO3Mのもの
(ここで、RはC10〜C24、好ましくはC12〜C20アルキル又はヒドロキシアルキル基を表わし、
AOはエトキシル化及び/又はプロポキシル化基を表わし、
Mは上で定義した通りであり、そして
nは一般的に1〜4の範囲である)、
例えばn=2のラウリルエーテルサルフェート;
・アルキルアミドサルフェート、例えば式RCONHR’OSO3Mのもの
(ここで、RはC2〜C22、好ましくはC6〜C20アルキル基を表わし、
R’はC2〜C3アルキル基を表わし、そして
Mは上で定義した通りである)
並びにそれらのポリアルコキシル化(エトキシル化及び/又はプロポキシル化)誘導体;
・飽和又は不飽和脂肪酸の塩、例えばC8〜C24、好ましくはC14〜C20のものとMと同じ定義を有するカチオンとの塩、N−アシル−N−アルキルタウレート、アルキルイセチオネート、アルキルスクシナメート、スルホスクシネートのモノエステル又はジエステル、N−アシルサルコシネート、及びポリエトキシカルボキシレート;並びに
・アルキル−又はジアルキル−スルホスクシネート、例えばC6〜C24アルキル−又はジアルキル−スルホスクシネート(そのカチオンは、Mと同じ定義を有する)、特にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;
・ホスフェートモノエステル及びジエステル、例えば式(RO)x−P(=O)(OM)xのもの
{ここで、Rはアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル又はアリール基(これらの基は随意にポリアルコキシル化されていてよい)を表わし、
x及びx’は1又は2であり、但し、xとx’との合計は3であり、そして
Mは上で定義した通りである}
(これらのエステルは、特にポリアルコキシル化脂肪アルコール、ポリアルコキシル化ジ−及びトリ−(1−フェニルエチル)フェノール並びにポリアルコキシル化アルキルフェノールから誘導される)。
【0095】
その他の化合物
【0096】
ドライエマルションは、その他の成分を含んでいてもよく、このその他の成分は、調製の過程で有用なものであってもよく、その特性又は用途を変更させる目的に有用なものであってもよい。
【0097】
このその他の成分は、特に活性成分(これは、使用の際に例えば液状配合物においてある機能を有する成分を意味する)であることができ、これはマトリックス中に含まれ、水性相中に配合される。
【0098】
前記成分はまた、消泡剤、国際公開WO03/055584号パンフレット(R01186)に記載されたような糖類であることもでき、また、第IIA、IVA、VA、VIII、IB及びIIIB族からの少なくとも1種の元素を含む錯化剤であることもでき、これは国際公開WO03/006148号パンフレット(R01103)に記載されたように水中における再分散の場合に疎水性相の放出を制御することを容易にする。
【0099】
ドライエマルションは、随意に残留水を含んでいてもよい。水含有率は、10重量%未満であるのが有利であり、3%未満であるのがより一層好ましい。
【0100】
方法
【0101】
工程(a)エマルションの調製
【0102】
この方法の第1の工程においては、水性相中に疎水性液相が分散して成るエマルションを調製する。このエマルションは、水溶性又は水分散性ポリマー及びさらに随意に乳化剤を含む。
【0103】
すべてのエマルション調製方法を用いることができる。これらは、当業者に周知である。これらの方法としては、例えば「Encyclopedia of Emulsions Technology」第1〜3巻、Paul Becher、Marcel Dekker社発行(1983年)に記載された方法を本発明において用いることができる。
【0104】
従って、いわゆる直接相乳化法を用いることができる。この方法は、簡単に言えば、水及び乳化剤(水溶性又は水分散性ポリマーを含む)を含有する混合物を調製し、次いで撹拌しながら液状の形の疎水性相を導入することから成る。
【0105】
別の好適な方法は、相転換による乳化である。この経路に従えば、前記疎水性相を乳化剤と混合し、水(これは例えば水溶性又は水分散性ポリマーのような別の成分を含有していてもよい)を撹拌しながら1滴ずつ導入する。所定量の水が導入された時に、エマルションは転換を受ける。これは、直接水中油エマルションを与える。得られたエマルションを次いで、分散相の容量分率が好適なものになるように水で希釈する。
【0106】
最後に、Manton Gaulin and Microfluidizer(Microfluidics)ミルのようなコロイドミルを用いることによってエマルションを調製することも可能である。
【0107】
水性相中に分散される疎水性相の液滴の平均寸法は、一般的に0.1〜50μmの範囲、多くの場合1〜10μmの範囲、好ましくは0.2〜5μmの範囲である(粒子体積に関して表わされ、Horibaレーザ散乱式粒子寸法測定装置によって測定される)。
【0108】
乳化は、周囲温度付近の温度において実施することができるが、しかしそれより高い温度や低い温度も可能である。
【0109】
第1の具体例に従えば、エマルションは水性相、疎水性相及び水溶性又は水分散性ポリマーを含み、乳化剤を補充添加していないものである。この具体例においては、ポリマーは乾燥後の将来のマトリックスとしての機能に加えて、乳化剤機能を有することもできる。
【0110】
第2の具体例に従えば、エマルションは水性相、疎水性相、水溶性又は水分散性ポリマー及びさらにポリマー以外の乳化剤、例えば界面活性剤を含む。この具体例においては、乳化剤の機能は、乳化を助け且つ/又は水性相の液滴の寸法の調節に関与することである。この具体例により、疎水性相の液滴の寸法がより一層制限されたエマルションを得ること(より効果的な乳化)が一般的に可能になる。
【0111】
乾燥前のエマルション中に存在する水の量は、5〜99重量%の範囲であることができ、20〜70重量%の範囲であるのが好ましい。一般的に言えば、水はその後除去されなければならないので、少量の水を用いるのが好ましい。
【0112】
工程(b)、(c)及び(d)乾燥、転化
【0113】
エマルションから水を除去してドライエマルションを得るために採用される方法は、当業者に周知の任意の手段を伴うものであってよい。
【0114】
この操作は、混合物の各種構成要素に加えられる温度がそれらの分解温度より低い温度であるようにして行う。
【0115】
本発明の第1の具体例に従えば、オーブン乾燥を用いることができる。この乾燥は、薄いフィルム状で行うのが好ましい。より特定的には、乾燥実施温度は100℃又はそれ未満、好ましくは30〜90℃の範囲、さらに好ましくは50〜90℃の範囲とする。
【0116】
本発明の別の特定的な具体例に従えば、前記混合物(又はエマルション)を迅速乾燥に付す。迅速乾燥は、適切には、Duprat(登録商標)ドラムを用いた流動床中での噴霧乾燥、又は凍結乾燥(凍結/昇華)を包含する。
【0117】
噴霧乾燥(例えばNiro装置による)、又は流動床中での乾燥(例えばAeromatic装置による)は一般的に、例えばノズル又はタービンによって実施される噴霧を高温ガス流と組み合わせた噴霧乾燥塔のような任意の既知の装置を用いて行うことができる。高温ガス(一般的に空気)の塔頂部における入口温度は50℃〜250℃の範囲であるのが好ましく、出口温度は、得られる粒体の構成要素の分解温度未満であるのが好ましい。
【0118】
混合物(又はエマルション)を乾燥させるための操作をDuprat(登録商標)ドラムによって、又は乾燥フィルムを乾燥用支持体から例えば掻き取り操作により分離させて迅速に得ることが可能な任意の手段によって、実施した場合には、粒子が得られ、これは随意に粉砕してもよい。必要ならば、粒体を得るためにこれらの粒子を続いての凝集工程のような転化に付してもよい。
【0119】
この乾燥工程の時点で粒体中に固化防止剤のような添加剤を添加することもできるということに留意されたい。
【0120】
例として、特に炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、シリカ、ベントナイト、酸化チタン、タルク、水和アルミナ及びスルホアルミン酸カルシウムから選択される充填剤を用いることが推奨される。
【0121】
乾燥は、外側水性相の少なくとも90重量%、好ましくは90〜95重量%が取り除かれるように実施するのが好ましい。水が0.5モル/リットル未満の塩を含むのが好ましい。残留水の量は、3重量%未満であるのが好ましい。
【0122】
用途
【0123】
ドライエマルションは、以下の用途に用いることができる:
・農作物保護配合物中;
・布類(洗濯物)手入れ用配合物中、例えば粉末状又はタブレット状洗剤中、柔軟剤配合用、芳香剤搬送、消泡剤配合物、又は例えばファイバー(典型的には布類)上に付着させるためのシリコーンの配合物、又は例えばファイバー(典型的には布類)上に付着させるための芳香剤、香料若しくはエッセンスを含むシリコーンの配合物;
・自動食器洗い用配合物中(粉末又はタブレットの形のもの);
・化粧(美容)用配合物;
・一般的に織又は不織テキスタイル物品中、より特定的には
・・家庭用布類中、
・・スキンケア用布類中、
・・乳児ケア用布類中、
・・おむつパンツ中、
・・化粧落とし用布類中、
・・入浴剤配合物中;
・建築材料及び/又は土木工事用配合物、例えばセメント硬化遅延又は促進剤配合物用;
・表面コーティング用配合物中、例えば塗料中;或は
・シリコーンオイルを固体の形(例えば消泡剤)で配合するため。
【実施例】
【0124】
本発明のその他の詳細や利点は、以下の限定効果のない実施例を読めば見えてくるだろう。
【0125】
成分
【表1】

【0126】
例1〜3
【0127】
次の手順の内の1つによってドライエマルションを調製する。
【0128】
手順1
・水中にブロックポリマーを溶解させる。
・13500rpmで回転するUltra-Turrax撹拌機で撹拌しながら疎水性相を添加する。添加の後に、撹拌を2分間続ける。
・得られたエマルションを平底金属容器中に注いで、厚さ約1mmのエマルションの層にする。
・エマルション中に含まれた水が最大限除去されるまで、前記容器を70℃のオーブン中に入れる(一定重量になるまで計量によって確認する)。
【0129】
手順2
【0130】
・界面活性剤を水の一部に溶解させる。
・13500rpmで回転するUltra-Turrax撹拌機で撹拌しながら疎水性相を添加する。添加の後に、撹拌を2分間続ける。
・粒子寸法を小さくするために、エマルションをMicrofluidizerホモジナイザー中に200バールの圧力下で3回通す。
・残りの水中に前もって溶解させたブロックポリマーを、撹拌(Ultra-Turraxを用いて9500rpmにおいて30秒間)しながら添加する。
・得られたエマルションを平底金属容器中に注いで、厚さ約1mmのエマルションの層にする。
・エマルション中に含まれた水が最大限除去されるまで、前記容器を70℃のオーブン中に入れる(一定重量になるまで計量によって確認する)。
【0131】
乾燥前のエマルション:
【表2】

【0132】
ドライエマルション:
【表3】

【0133】
評価:
【表4】

【0134】
*D50:Horibaレーザ散乱式粒子寸法測定装置で測定した乳化液滴のメジアン直径
**再分散:ドライエマルションのフィルムを大まかに粉砕(0.5〜2μm)する。得られた粉末0.5gを10ミリリットルのフラスコ中で水4.5gに添加する。このフラスコを単純に振り混ぜることによって1分間撹拌する。撹拌の終わりに、分散が完了する。
【0135】
例4〜7
【0136】
Ultra-Turrax撹拌機を13500rpmにおいて用いてブロックポリマー3の水溶液(水中、pH10)に疎水性相3を少しずつ添加することによって、ブロックポリマー3で安定化された水中の疎水性相3の80%エマルション(例4)を調製する。比較のために、Ultra-Turrax撹拌機を13500rpmにおいて用いて慣用のノニオン性界面活性剤(界面活性剤1)の水溶液に疎水性相3を少しずつ添加することによって、界面活性剤1で安定化された疎水性相3の80%エマルション(比較例5)を調製する。
【0137】
これらのエマルションの特徴を下記の表にまとめる。
【表5】

【0138】
平均粒子寸法は、Coulter LS 130粒度分析装置を用いて測定する。
【0139】
これらのエマルションをガラスプレート上で周囲温度において及びオーブン中で105℃において乾燥させてフィルムを形成させる。
【0140】
結果は次の通りだった。
【表6】

【0141】
再水和前後のフィルムを、Olympus BX 60光学顕微鏡で観察する(1目盛り=8.23μm)。
【0142】
比較用ポリマーを用いて同様にドライエマルションを製造する。
【表7】

平均粒子寸法は、Coulter LS 130粒度分析装置を用いて測定する。
【0143】
【表8】

【0144】
再水和前後のフィルムを、Olympus BX 60光学顕微鏡で観察する(1目盛り=8.23μm)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性又は水分散性ポリマーを含むマトリックス中に疎水性液相が分散されて成るドライエマルションであって、
・前記マトリックス中に含まれる水溶性又は水分散性ポリマーが1個又はそれより多くの親水性ブロックAと1個又はそれより多くの疎水性ブロックBとを含む水溶性又は水分散性ブロックコポリマーを含み、該コポリマーが単独のもの又は別の水溶性又は水分散性ポリマーとの混合物であること、
・前記疎水性相と前記マトリックスとの重量比が50/50より大きく、好ましくは70/30より大きく、さらに好ましくは80/20より大きいこと、及び
・前記マトリックスが水溶性又は水分散性ポリマーを少なくとも50重量%含むこと
を特徴とする、前記ドライエマルション。
【請求項2】
乳化剤化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のドライエマルション。
【請求項3】
前記マトリックスが水溶性又は水分散性ポリマーを少なくとも80重量%含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のドライエマルション。
【請求項4】
前記マトリックスの塩含有率が20重量%以下、好ましくは10重量%以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のドライエマルション。
【請求項5】
前記疎水性相が、
・シリコーン、
・芳香剤、
・有機、動物若しくは植物油又は鉱油有機油、鉱物油、植物油又は鉱油及びこれらの油の誘導体(これらの油及び誘導体は非水混和性のものである)、
・非水混和性有機溶剤、
・非水溶性又は非水分散性活性物質、
・それらの混合物
から選択される化合物を溶液、分散体又はエマルション状で含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のドライエマルション。
【請求項6】
前記疎水性相が、非水混和性中間相中に、この中間相中に混和性でも可溶性でもない内側相が分散されて成る組成物であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のドライエマルション。
【請求項7】
前記ブロックAと前記ブロックBとの間の重量比が50/50又はそれより大きいことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のドライエマルション。
【請求項8】
前記水溶性又は水分散性ポリマーがA−Bジブロックコポリマー又はA−B−Aトリブロックコポリマーであり、ここで、ブロックAが親水性であり且つブロックBが疎水性であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のドライエマルション。
【請求項9】
少なくとも1つのブロック、好ましくは少なくとも2つのブロックがエチレン性不飽和モノマー、好ましくはモノ−α−エチレン性不飽和モノマーから誘導されたものであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のドライエマルション。
【請求項10】
次の工程:
(a)水性相中に疎水性液相が分散して成る水中分散状のエマルションであって、水溶性又は水分散性コポリマーのマトリックスを単独で又は別の水溶性又は水分散性ポリマーとの混合物状で含み且つさらに随意に乳化剤化合物を含む前記エマルションを調製する工程、
(b)水を除去してドライエマルションを得る工程、
(c)随意としての、前記ドライエマルションを粉末又は粒体にする工程、
(d)前記ドライエマルションを回収する工程
を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のドライエマルションの製造方法。
【請求項11】
工程(b)においてエマルションを薄膜蒸発、凍結乾燥又は噴霧乾燥することによって水を除去することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記水性相と前記疎水性相との割合が5%〜99%の範囲であること及び前記水の塩含有率が0.5モル/リットル未満であることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
作物保護配合物、布類手入れ用配合物、食器洗い用配合物、化粧用配合物、家庭用若しくはスキンケア用若しくは乳児ケア用布類、おむつパンツ、建築材料及び/若しくは土木工事用配合物又は表面コーティング用配合物(例えば塗料)における、請求項1〜9のいずれかに記載のドライエマルションの使用。

【公表番号】特表2007−529592(P2007−529592A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503373(P2007−503373)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000618
【国際公開番号】WO2005/100454
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】