説明

ドレン処理装置、熱源装置及びドレン処理方法

【課題】熱交換により発生したドレンの排出処理に関し、中和及び滅菌処理を施すことにより、ドレン排出の容易化とともに熱源装置の配管構成の簡略化を図る。
【解決手段】熱交換で発生したドレンを中和し(例えば、中和器76)、中和したドレンを溜める(例えば、ドレンタンク78)とともに、前記の溜められたドレンを滅菌してドレンを浴槽を通じて排出する。ドレンの排出においては、ドレンタンク(78)内のドレンのレベルや浴槽水(48)の排水に合わせて行う等の制御をし、既設の配管をドレンの排出用に共用させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換等により生じたドレンの処理に関し、例えば、潜熱回収により熱交換器に生じるドレンの滅菌、排出等の処理を行うドレン処理装置、熱源装置及びドレン処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃焼排気から潜熱を回収する熱交換器は、その熱交換によりドレンが発生し、そのドレン排出対策が不可欠である。ドレンは、燃焼排気中の窒素酸化物等が溶け込むため、強酸性を呈し、中和処理の後、廃棄される。
【0003】
このようなドレン処理に関し、中和処理を経て排出する給湯装置(特許文献1)が提案されている。
【特許文献1】特開2001−263789号公報(段落番号0007、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、中和後のドレンは、多量にタンクに溜められて長時間放置されると、雑菌等が繁殖する恐れがある。特に、適当な熱が加わる環境下や夏場では、その汚染は顕著であろう。また、熱源装置は屋外に設置されるのが一般的であるから、その排気口から雨水や空気中のゴミ等が侵入し、これらが中和後のドレンを汚染させるおそれも無視できない。
【0005】
また、熱源装置を用いた風呂装置では、排水管等の多数の配管設備を備えており、浴槽に中和後のドレンを流し込むことは可能であるが、中和して放置されたドレンの浴槽への排出は避けられてきた。
【0006】
このような課題に関し、既述の特許文献1には開示はなく、それを解決する手段や着想についての開示もない。
【0007】
そこで、本発明は、熱交換により発生するドレンに関し、ドレン排出の容易化を実現することを目的とする。
【0008】
また、本発明の他の目的は、熱源装置の配管構成の簡略化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の構成を列挙すれば、次の通りである。
【0010】
上記目的を達成するための本発明の第1の側面は、熱交換により生じたドレンを処理するドレン処理装置であって、前記ドレンを中和する中和手段と、前記中和手段で中和された前記ドレンを溜めるドレンタンクと、前記ドレンタンクに溜められた前記ドレンを滅菌する滅菌手段とを備える構成である。斯かる構成では、ドレンを滅菌するので、細菌の繁殖が抑制され、しかも、滅菌後のドレンは、浴槽等を通じて排出させることができ、その処理が容易になる。従って、斯かる構成により、上記目的が達せられる。
【0011】
このドレン処理装置において、前記ドレンタンクの前記ドレンのレベルを検出する検出手段と、前記ドレンタンクに接続されて前記ドレンタンクから前記ドレンを排出させる排出路と、前記検出手段の検出レベルに基づき、前記排出路のドレン排出を制御する制御手段とを備える構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達せられる。
【0012】
このドレン処理装置において、前記排出路は、浴槽水を加熱する熱源装置の追焚回路の一部又は全部で構成され、前記制御手段は、前記浴槽水の排出に応じて前記ドレンの排出制御を行う構成としてもよい。斯かる構成により、上記目的が達せられる。
【0013】
このドレン処理装置において、前記制御手段は、浴槽が所定水位以下の場合に、前記ドレンタンクの前記ドレンを前記排出路から排出させる構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達せられる。
【0014】
このドレン処理装置において、前記滅菌手段に光触媒を用いた構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達せられる。
【0015】
このドレン処理装置において、前記滅菌手段に紫外線を発する光源を備える構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達せられる。
【0016】
上記目的を達成するための本発明の第2の側面は、燃焼排気から潜熱を回収する熱交換器を備え、その熱交換により上水加熱、浴槽水加熱又は暖房用熱媒の加熱を行なう熱源装置であって、前記熱交換で生じたドレンを中和する中和手段と、前記中和手段で中和された前記ドレンを溜めるドレンタンクと、前記ドレンタンクに溜められた前記ドレンを滅菌する滅菌手段とを備える構成である。斯かる構成により、上記目的が達せられる。
【0017】
この熱源装置において、前記ドレンタンクから前記ドレンを排出させる排出路と、前記ドレンタンク内の前記ドレンのレベルを検出する検出手段と、前記検出手段の検出レベルに基づき、前記排出路から前記ドレンの排出を制御する制御手段とを備えた構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達せられる。
【0018】
この熱源装置において、前記排出路は、前記浴槽水を前記熱交換器に循環させる追焚回路の一部又は全部で構成され、前記制御手段は、前記浴槽水の排出に応じて前記ドレンタンクの前記ドレンを排出させる構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達せられる。
【0019】
上記目的を達成するための本発明の第3の側面は、熱交換により生じたドレンを処理するドレン処理方法であって、前記ドレンを中和する処理と、前記ドレンをドレンタンクに溜める処理と、前記ドレンタンクに溜められた前記ドレンを滅菌する処理とを含む構成である。斯かる構成により、上記目的が達せられる。
【0020】
このドレン処理方法において、前記ドレンタンク内のドレンレベルを検出する処理と、前記ドレンレベルに基づき、前記ドレンタンクから前記ドレンを排出させる処理とを含む構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達せられる。
【0021】
このドレン処理方法において、前記熱交換により加熱される浴槽水を循環させる追焚回路の一部又は全部を通じて前記ドレンタンクの前記ドレンを、前記浴槽水の排出に応じて排出させる処理を含む構成としてもよい。斯かる構成により、上記目的が達せられる。
【0022】
このドレン処理方法において、前記ドレンの排出は、前記浴槽水の水位が所定水位以下の場合に、浴槽に排出させる構成としてもよい。斯かる構成により、上記目的が達せられる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、次の効果が得られる。
【0024】
(1) 中和されたドレンに滅菌処理を施すので、ドレンの腐敗等の不都合はなく、処理の容易化が図られる。
【0025】
(2) ドレンを浴槽を通して排出することができ、既存の配管設備を利用できる等、配管構成の簡略化を図ることができる。
【0026】
(3) 浴槽水の排水タイミングに同期させてドレンタンクからドレンを排出すれば、効率よくドレンを排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〔第1の実施の形態〕
【0028】
本発明の第1の実施の形態について、図1を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態に係る給湯・追焚装置を示す図である。
【0029】
この給湯・追焚装置2は、ドレン処理装置を備えた熱源装置の一例であって、上水による給湯機能と、浴槽水の追焚機能とを備えている。熱源装置としては、加熱温水を熱媒とする暖房機能を備えた構成としてもよい。
【0030】
この給湯・追焚装置2には、給湯用熱交換器として一次熱交換器4及び二次熱交換器6とともに、追焚用熱交換器8が備えられている。一次熱交換器4及び二次熱交換器6は共通の給湯用燃焼室10に設置されており、一次熱交換器4は、バーナ12のガス燃焼によって得られた燃焼排気14の主として顕熱により熱交換を行い、二次熱交換器6は、燃焼排気14から主として潜熱により熱交換を行う。
【0031】
給水口16から給水された上水Wは、給湯路18の二次熱交換器6、一次熱交換器4により加熱され、給湯口20から給湯されるとともに、注湯管路21から追焚回路22に導かれ、必要に応じて浴槽24にも給湯される。給湯路18には、流量センサ26、温度センサ28、30、32、水制御弁34、過圧逃し弁36が設けられるとともに、一次熱交換器4に跨がってバイパス管38が形成され、このバイパス管38にはバイパス水制御弁40が設けられている。また、注湯管路21には注湯電磁弁42、注湯量センサ44及び逆止弁46が設けられている。
【0032】
流量センサ26は、給湯路18を流れる上水Wの流量を電気的に検出し、検出流量を電気信号で出力する。温度センサ28は、二次熱交換器6の出口側の温水の温度を検出し、その検出温度を電気信号で出力する。温度センサ30は、一次熱交換器4の出口側の温水の温度を検出し、その検出温度を電気信号で出力する。温度センサ32は、注湯管路21の分岐部の温水の温度を検出し、その検出温度を電気信号で出力する。これら温度センサ28、30、32はサーミスタで構成される。水制御弁34は給湯路18に流れる温水量を制御する。バイパス管38は湯の設定温度に対する応答性を高めるために形成され、バイパス水制御弁40によってバイパス流量を制御する。
【0033】
注湯電磁弁42は、注湯管路21を通して追焚回路22に流れ込む注湯量を制御し、注湯量センサ44は、その注湯量を検出する。また、逆止弁46は上水Wと浴槽水48とを分離する分離手段であって、上水圧によって開弁し、追焚回路22からの浴槽水48が注湯管路21側に流れ込むのを防止している。
【0034】
また、追焚回路22は、浴槽24の浴槽水48を熱交換器8に循環させて再加熱するための循環路であって、加熱手段として既述の追焚用熱交換器8を備える。この追焚用熱交換器8は、追焚用燃焼室50に設置されたバーナ52のガス燃焼で得られた燃焼排気54の顕熱により熱交換を行う。この実施の形態では、燃焼排気54の顕熱による熱交換を行う追焚用熱交換器8を設置しているが、潜熱による熱交換を行う熱交換器を設置する構成としてもよい。
【0035】
追焚回路22は浴槽24に循環アダプタ56を介して接続されており、この追焚回路22には、循環ポンプ58、流水スイッチ60、風呂用水位センサ62、温度センサ64、66、切替弁68が設けられている。循環ポンプ58は、浴槽水48を追焚用熱交換器8及び浴槽24に循環させる。流水スイッチ60は、循環流水を検出し、流水の有無を電気信号で出力する。水位センサ62は、浴槽24の浴槽水48の水位を圧力によって検出し、その検出水位を電気信号で出力する。温度センサ64は、浴槽24の出側の浴槽水48の温度を検出し、温度センサ66は、浴槽24の入側の浴槽水48の温度を検出し、検出温度を電気信号で出力する。
【0036】
そして、切替弁68にはドレン排出路70が接続され、ドレン排出路70からドレン72を追焚回路22に流入させる。ドレン排出路70はドレン受け74に接続され、ドレン受け74には二次熱交換器6の熱交換により生じたドレン72が溜められる。ドレン排出路70には、ドレン72を中和する中和器76が設置されているとともに、中和後のドレン72を溜めるドレンタンク78が設置されている。ドレンタンク78には、中和後のドレン72を滅菌する滅菌手段として滅菌部79が設置されている。
【0037】
この実施の形態では、ドレン排出路70の一部に追焚回路22及び浴槽24が設置されており、浴槽24には浴槽水48又は浴槽水48とともにドレン72を排水するための排水部が設けられている。この排水部は、排水栓80によって開閉される。
【0038】
また、バーナ12、52にはガス供給管82を通して燃料ガスGが供給され、ガス供給管82には元ガス電磁弁84、ガス比例弁86が設置され、バーナ12側には切替電磁弁88、90、92、バーナ52側にはガス電磁弁94が設置され、燃焼ガスGの切替及び調整が行われる。また、給湯用燃焼室10には給気ファン96、追焚用燃焼室50には給気ファン98が設置され、個別に燃焼用空気が供給される。
【0039】
また、制御装置100は、既述の各種センサの検出信号や設定信号等を制御情報に用いて燃焼制御、給湯制御、ドレン排出制御、滅菌制御等を行う。この制御装置100には遠隔制御のためのリモコン装置102が接続されている。なお、制御装置100による給湯又は追焚は、同時又は個別の何れの運転形態も可能である。
【0040】
斯かる構成において、給湯口20又は注湯電磁弁42が開かれることによりバーナ12が点火され、その燃焼排気14の顕熱又は潜熱を用いて一次熱交換器4及び二次熱交換器6の熱交換により、上水Wが加熱される。そして、加熱上水HWは、給湯口20から給湯され、又は、注湯電磁弁42が開かれることにより、注湯管路21から追焚回路22に導かれ、浴槽24への注湯が可能である。
【0041】
熱交換により二次熱交換器6に発生したドレン72は、ドレン受け74で回収され、ドレン排出路70を通じて、中和器76に導かれ、中和された後、ドレンタンク78に溜められ、滅菌部79で滅菌処理が施される。ドレンタンク78のドレン72は、例えば、浴槽水48の排水タイミングに合わせて、切替弁68が切り替えられ、追焚回路22を経て浴槽24に排出される。
【0042】
また、追焚指令により、追焚用バーナ52が点火されるとともに、循環ポンプ58を動作させると、浴槽水48は追焚回路22に循環し、追焚用熱交換器8を通過することにより加熱される。即ち、追焚回路22の循環により、浴槽24の浴槽水48は所定温度に再加熱される。Aは、熱交換器8からの戻り浴槽水48の移動方向、Bは、浴槽24から熱交換器8への往き浴槽水48の移動方向である。なお、Cは、排水栓80が開かれた際の浴槽水48の排水を示す。
【0043】
次に、ドレンタンク78及び中和器76について、図2を参照して説明する。図2は中和器及びドレンタンクの形態を表す図である。
【0044】
中和器76は、ドレン72を溜めるタンク101を備えるとともに、蓋103を備えており、この蓋103にはドレン72を中和器76の内部に導くドレン排出路70が接続されている。この中和器76には中和剤105が装填されており、その内部がドレン導入側と排出側とを分離する仕切板107で仕切られている。中和剤105には例えば、炭酸カルシウムが用いられる。仕切板107は蓋103から垂下しており、その下端部とタンク101の底部との間には中和剤105中にドレン72を通過させるための通過部109が設けられている。また、蓋103の近傍には、中和後のドレン72を排出するための排出口111が設けられ、タンク101にドレン72が一定量溜まると、その上澄液が自然流出によってタンク101から排出口111より排出され、ドレン排出路70を経てドレンタンク78に導かれる。
【0045】
中和器76において、ドレン72は、強酸性であるが、中性ないし中性と見做し得る程度のpH(ペーハー)に中和される。なお、中和方法は、ドレン72のpHを中性に近づけるものであればよく、他の手段を用いてもよい。
【0046】
ドレンタンク78は、適宜のタイミングの排出や滅菌処理を行うために、中和後のドレン72が溜められる容器である。既述の通り、このドレンタンク78には滅菌部79が併設されており、この実施の形態では、ドレンタンク78の内部に、滅菌材として光触媒シート104、紫外線LED(発光ダイオード)106が設けられている。光触媒シート104は光触媒の分解機能によりドレン72の滅菌を行い、紫外線LED106には制御装置100から給電され、光触媒シート104に対し、紫外線供給が行われる。
【0047】
また、ドレンタンク78には、ドレン72のレベルを検出する検出手段としてレベルセンサ108が設置され、共通電極COM、電極H、電極Lが設けられている。即ち、共通電極COM及び電極Hで、レベルセンサH110が構成され、共通電極COM及び電極Lで、レベルセンサL112が構成されている。共通電極COMと電極Hとが没することにより高レベル、共通電極COMと電極Lとが没することにより低レベルが検出される。即ち、共通電極COMと電極H又は電極Lとの導通状態によりレベルが検出され、ドレン排出の制御等を行う。また、ドレンタンク78の天井部にドレン72の流入口、その底部に排出を行う排出口が設けられているとともに、側面上部にオーバーフロー時の排出口が設けられている。
【0048】
ドレン受け74に回収されたドレン72は、ドレン排出路70を通って中和器76にその天井部から流入され、中和剤105によって中和処理される。そして、ドレン72は中和器76に溜められ、排出口111の高さまで達すると、ドレンタンク78へと自然排出される。
【0049】
ドレンタンク78に流入されたドレン72は、後述の排出タイミングに至るまで溜められ、紫外線LED106からの紫外線の供給を受けた光触媒シート104の分解機能により滅菌処理が施される。
【0050】
次に、制御装置100及びリモコン装置102について、図3を参照して説明する。図3は、制御装置100の入出力関係及びリモコン装置102の構成例を示す図である。
【0051】
この制御装置100は例えばマイクロコンピュータ等のプロセッサ、I/O部、記憶部114、タイマ116等で構成される。記憶部114には、プロセッサの動作プログラム、設定値及び各種データ等が記憶されている。タイマ116は複数のタイマを有する構成であり、後述するドレンタンク78内のドレン72の滞留時間の計測等の各種の制御に必要な時間計測を行う。
【0052】
この制御装置100には、ドレンタンク78に設置されたレベルセンサL112及びレベルセンサH110、追焚回路22に設置された風呂用水位センサ62及び流水スイッチ60、その他のセンサ等の検出信号が入力される。そして、制御装置100より制御指示が循環ポンプ58、切替弁68、紫外線LED106、その他の機能部品等へ出力される。
【0053】
また、リモコン装置102の制御部120には、キースイッチ等を含む操作部121から操作入力が加えられ、制御部120の制御出力が表示部122、警報機123、図示しない他の機器に加えられている。
【0054】
次に、給湯・追焚装置2の給湯及び追焚動作について、図4を参照して説明する。図4は、給湯・追焚動作のメインルーチンを示すフローチャートである。
【0055】
電源が投入されると、機種設定の読込み、出力の初期化、イニシャルテスト等のイニシャライズ処理が実行され(ステップS1)、各種センサの検出値の取込み等が行われる(ステップS2)。常時行う処理として、後述のドレン排出管理(ステップS3)が実行される。
【0056】
給湯・追焚の各動作の判断が行われ、まず、給湯口20等を開けたときの給湯動作の実行か否かが判定され(ステップS4)、給湯動作の実行(ステップS4のYES)の場合には、給湯動作制御(ステップS5)に移行する。そして、この給湯動作制御の後、又は、給湯動作の不実行の場合(ステップS4のNO)、自動スイッチの投入等、自動湯張りの実行か否かの判定を行う(ステップS6)。自動湯張りの実行の場合(ステップS6のYES)には自動湯張り制御が実行される(ステップS7)。
【0057】
この自動湯張り制御の後、又は、自動湯張りの不実行の場合(ステップS6のNO)、追焚スイッチの投入により、追焚の実行か否かの判定が行われ(ステップS8)、追焚実行の場合(ステップS8のYES)には追焚制御(ステップS9)が実行される。
【0058】
そして、この追焚制御の後、又は、追焚の不実行の場合(ステップS8のNO)、ぬるく、足し湯スイッチの投入等によるその他の実行か否かを判定し(ステップS10)、その他の実行の場合(ステップS10のYES)には、水をうめる、足し湯等、その他の制御が実行され(ステップS11)、ステップS2に戻る。その他の実行でない場合(ステップS10のNO)にもステップS2に戻る。なお、それぞれの制御は、一旦開始すると終了するまで次のステップに移行しないわけではなく、常にこれらの処理ループを繰り返しながら、必要な制御を行うようになっている。
【0059】
また、自動湯張り中に注湯しているにもかかわらず、所定時間内に水位センサ62や流水スイッチ60によって浴槽24の水位が上昇しないと判断した場合には、浴槽24の排水栓80が抜けていると判断し、即ちこれを排出タイミングであると判断し、ドレンの排出管理を行う。
【0060】
次に、ドレンの排出管理について、図5を参照して説明する。図5は、ドレン72の排出条件の判断に関するフローチャートである。
【0061】
ドレン72の排出のタイミングは、ドレン72がドレンタンク78内に長時間滞留している場合、後述の追焚回路22の配管洗浄開始の条件が成立した場合、及びドレンタンク78のドレン72がレベルセンサH110以上の場合である。ドレンレベルの状態の計測時間の経過は、レベルセンサL112が連続してONしている時間を制御装置100のタイマ116にて計測するが、レベルセンサL112を下回った場合にはリセットされる。
【0062】
まず、ドレン72が溢れるのを防止するために、ドレンタンク78内に滅菌処理がされていないドレン72が、レベルセンサL112以上の状態で所定時間TMとして例えば、3カ月以上が経過しているか否かを判断する(ステップS101)。所定時間TMを経過していると判断された場合(ステップS101のYES)には、浴槽水48の排水を行うか否かに関わらず、ドレン排出処理が行われる(ステップS102)。この場合、ドレン72が浴槽水48に排出されることになるが、中和処理及び滅菌処理が施されているので問題とはならない。
【0063】
ドレン72が、所定時間TMとして例えば、3カ月が経過していない場合(ステップS101のNO)には、前記ドレン72が、ドレンタンク78内に滅菌処理がされずにレベルセンサL112以上の状態で所定時間Ttとして例えば、72時間以上が経過しているか否かの判断が行われる(ステップS103)。ドレン72が所定時間Ttとして例えば、72時間が経過していると判断される場合(ステップS103のYES)には、ドレンタンク78内の紫外線LED106をONして、ドレンの滅菌処理を開始する(ステップS104)。そして、滅菌を行うのに必要な所定時間として例えば、5分間が経過したか否かの判断が行われ(ステップS105)、所定時間が経過していない場合には、引き続き滅菌処理を行い、所定時間が経過している場合には、紫外線LED106をOFFにし(ステップS106)、制御装置100のタイマ116をリセットする。この場合にはドレン72の排出は行わない。
【0064】
また、ドレン72が、所定時間Ttが経過していないと判断される場合(ステップS103のNO)には、追焚回路22が後述する配管洗浄の開始条件を満たしているか否かの判断が行われる(ステップS107)。
【0065】
配管洗浄の開始条件は、浴槽24の排水栓80が抜かれたことの判断により行う。まず、浴槽水48の減少による水位の変化を水位センサ62により検出し、次に、浴槽水48の減少により、水位が所定の判定基準に達した場合、その基準に達した時点から所定時間Tsとして例えば、3分間の計測を行う。所定時間Tsが経過後、循環ポンプ58を駆動し、追焚回路22内に設けられた流水スイッチ60により検出した流水の状態により、浴槽水48の水位が浴槽24の循環口に設けられた循環アダプタ56を下回ったか否かの判断を行う。前記判断の結果、浴槽水48の水位が循環アダプタ56を下回っていると判断した場合、浴槽24の排水栓80が抜かれた状態であると判断する。また、浴槽24の排水栓80等に対し、センサ等を取り付けることにより、直接排水栓80等が抜かれた状態を検知することも可能であり、さらに排水を電磁弁の開閉で行う方式にあっては、電磁弁の開に連動してもよい。
【0066】
配管洗浄の開始条件が成立する場合(ステップS107のYES)には、ドレン72の排出処理が行われた後(ステップS108)、配管洗浄を行う(ステップS109)。なお、前記の配管洗浄を行うか否かは任意であり、ドレン72の排出処理を行うか否かの条件ではない。また、配管洗浄の開始条件が成立しない場合(ステップS107のNO)には、ドレンタンク78内のドレン72がレベルセンサH110以上であるか否の判断がされる(ステップS110)。前記判断の結果、ドレン72のレベルがレベルセンサH110以上である場合(ステップS110のYES)には、ドレン72が溢れるのを防止するため、浴槽24が排水状態であるか否かに関わらず、ドレンの排出処理が行われる(ステップS111)。この場合も前記と同様、ドレン72に対して中和処理及び滅菌処理が施されているので、浴槽水48に混入させても問題ない。
【0067】
次に、ドレン排出処理について、図6を参照して説明する。図6は、図5のドレン排出処理のステップ(S102、S108、S111)の詳細を示すフローチャートである。
【0068】
まず、ドレンタンク78内のドレン72のレベルが、レベルセンサL112に達しているか否かの判断が行われ(ステップS201)、レベルセンサL112に達していない場合にはドレンの排出は行わない(ステップS201のNO)。達している場合には(ステップS201のYES)、紫外線LED106をONにしてドレンタンク78内の滅菌処理を開始し(ステップS202)、所定時間(例えば5分間)経過した後(ステップS203)、紫外線LED106をOFFにして滅菌処理を終了する(ステップS204)。
【0069】
なお、配管洗浄の条件を満たしてドレンの排出処理を行う場合(図5のステップS108)には、前記の配管洗浄の条件の判断(図5のステップS107)において、浴槽水48が基準水位以下になったことを検知した後、所定時間Tsの計測を行っているが、当該時間計測の開始に合わせてドレンタンク78の紫外線LED106を点灯させてドレンの滅菌処理を行う構成としてもよい。
【0070】
滅菌処理の終了後、追焚回路22に設けられた切替弁68を切り替えて、ドレン72を追焚回路22内へと流入可能状態にする(ステップS205)とともに、循環ポンプ58を駆動させてドレン72の排出を行う(ステップS206)。ドレン72の排出中は、ドレンタンク78内のレベルセンサL112によりドレン72のレベルを監視し(ステップS207)、レベルセンサL112を下回ったところで循環ポンプ58を停止させ(ステップS208)、切替弁68を切り替えてドレン72が追焚回路22内に流入できない状態にして(ステップS209)、ドレン排出処理を終了する。

〔第2の実施の形態〕
【0071】
本発明の第2の実施の形態について、図7を参照して説明する。図7は、第2の実施の形態に係る給湯・追焚装置を示す図である。図7において、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0072】
第2の実施の形態は、ドレン排出路70を追焚回路22と分離させて構成し、ドレン排出路70に設けた開閉弁128を制御装置100で制御する構成としたものである。
【0073】
斯かる構成において、開閉弁128は、浴槽24の排水タイミングや、追焚回路22の配管洗浄のタイミングに合わせることなく、レベルセンサ108が排出レベルとしてレベルセンサH110が高レベルHを検出したときに開閉すればよい。また、その排出から例えば、72時間の経過や、3ケ月の経過した後、同様に、開閉弁128を開くようにしてもよい。
【0074】
このようにすれば、中和及び滅菌したドレン72への細菌の繁殖等の不都合を回避でき、また、ドレン72を追焚回路22や浴槽24を通して排出させる必要がない。

〔他の実施の形態〕
【0075】
(1) 上記実施の形態では、光触媒シート104を用いたが、図8に示すように、光触媒ボール130を用いてもよい。斯かる構成としても、ドレンタンク78に溜められたドレン72を滅菌処理が可能であり、ドレン72の腐敗等の不都合がなく、まとめて廃棄することが可能となる。
【0076】
(2) 上記実施の形態では、光触媒による滅菌処理のための紫外線の供給源として紫外線LED106を用いたが、図9に示すように、ドレンタンク78に外部から紫外線を導く明かり窓132等を設けるとともに、熱源装置のケースにも紫外線を透過する明かり窓等を設けて、熱源装置外より紫外線を供給する構成としてもよい。斯かる構成によっても、ドレンタンク78に溜められたドレン72を滅菌処理が可能であるとともに、紫外線LED106やその制御が不要となる。
【0077】
(3) 上記実施の形態では、追焚回路22を通してドレン72を排出しているが、追焚回路22をドレン排出路として構成する場合、追焚回路22の一部を用いてもよい。
【0078】
(4) 上記実施の形態では、光触媒により滅菌処理を行っているが、滅菌部79に一般的な殺菌剤の他、銅メッシュ等の他の部材を用いてもよく、また、緑色片岩等の天然鉱物を用いてもよい。
【0079】
以上のように、本発明の最も好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態の構成に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明によれば、ドレンに中和処理及び滅菌処理を施して、ドレンの排出処理の容易化を図るとともに、熱源装置の配管構成の簡略化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】第1の実施の形態に係る給湯・追焚装置を表す図である。
【図2】中和器及びドレンタンクの構成例を表す図である。
【図3】給湯・追焚装置の制御装置を示すブロック図である。
【図4】給湯・追焚動作のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図5】ドレンの排出条件の判断に関するフローチャートである。
【図6】ドレン排出処理を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態に係る給湯・追焚装置を表す図である。
【図8】他の中和器及びドレンタンクの構成例を表す図である。
【図9】他の中和器及びドレンタンクの構成例を表す図である。
【符号の説明】
【0082】
2 給湯・追焚装置
4 一次熱交換器
6 二次熱交換器
22 追焚回路
70 ドレン排出路
72 ドレン
76 中和器
78 ドレンタンク
79 滅菌部
100 制御装置
104 光触媒シート
106 紫外線LED
108 レベルセンサ
110 レベルセンサH
112 レベルセンサL

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換により生じたドレンを処理するドレン処理装置であって、
前記ドレンを中和する中和手段と、
前記中和手段で中和された前記ドレンを溜めるドレンタンクと、
前記ドレンタンクに溜められた前記ドレンを滅菌する滅菌手段と、
を備えることを特徴とするドレン処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のドレン処理装置において、
前記ドレンタンクの前記ドレンのレベルを検出する検出手段と、
前記ドレンタンクに接続されて前記ドレンタンクから前記ドレンを排出させる排出路と、
前記検出手段の検出レベルに基づき、前記排出路のドレン排出を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするドレン処理装置。
【請求項3】
請求項2記載のドレン処理装置において、
前記排出路は、浴槽水を加熱する熱源装置の追焚回路の一部又は全部で構成され、
前記制御手段は、前記浴槽水の排出に応じて前記ドレンの排出制御を行うことを特徴とするドレン処理装置。
【請求項4】
請求項3記載のドレン処理装置において、
前記制御手段は、浴槽が所定水位以下の場合に、前記ドレンタンクの前記ドレンを前記排出路から排出させる構成としたことを特徴とするドレン処理装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載のドレン処理装置において、
前記滅菌手段に光触媒を用いたことを特徴とするドレン処理装置。
【請求項6】
請求項1記載のドレン処理装置において、
前記滅菌手段に紫外線を発する光源を備えることを特徴とするドレン処理装置。
【請求項7】
燃焼排気から潜熱を回収する熱交換器を備え、その熱交換により上水加熱、浴槽水加熱又は暖房用熱媒の加熱を行なう熱源装置であって、
前記熱交換で生じたドレンを中和する中和手段と、
前記中和手段で中和された前記ドレンを溜めるドレンタンクと、
前記ドレンタンクに溜められた前記ドレンを滅菌する滅菌手段と、
を備えることを特徴とする熱源装置。
【請求項8】
請求項7記載の熱源装置において、
前記ドレンタンクから前記ドレンを排出させる排出路と、
前記ドレンタンク内の前記ドレンのレベルを検出する検出手段と、
前記検出手段の検出レベルに基づき、前記排出路から前記ドレンの排出を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする熱源装置。
【請求項9】
請求項8記載の熱源装置において、
前記排出路は、前記浴槽水を前記熱交換器に循環させる追焚回路の一部又は全部で構成され、
前記制御手段は、前記浴槽水の排出に応じて前記ドレンタンクの前記ドレンを排出させる構成としたことを特徴とする熱源装置。
【請求項10】
熱交換により生じたドレンを処理するドレン処理方法であって、
前記ドレンを中和する処理と、
前記ドレンをドレンタンクに溜める処理と、
前記ドレンタンクに溜められた前記ドレンを滅菌する処理と、
を含むことを特徴とするドレン処理方法。
【請求項11】
請求項10記載のドレン処理方法において、
前記ドレンタンク内のドレンレベルを検出する処理と、
前記ドレンレベルに基づき、前記ドレンタンクから前記ドレンを排出させる処理と、
を含むことを特徴とするドレン処理方法。
【請求項12】
請求項10記載のドレン処理方法において、
前記熱交換により加熱される浴槽水を循環させる追焚回路の一部又は全部を通じて前記ドレンタンクの前記ドレンを、前記浴槽水の排出に応じて排出させる処理を含むことを特徴とするドレン処理方法。
【請求項13】
請求項12記載のドレン処理方法において、
前記ドレンの排出は、前記浴槽水の水位が所定水位以下の場合に、浴槽に排出させることを特徴とするドレン処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−170741(P2007−170741A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368715(P2005−368715)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000170130)高木産業株式会社 (87)
【Fターム(参考)】